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特表2023-518675薬剤を有する電界紡糸構造体、並びにその製造方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】薬剤を有する電界紡糸構造体、並びにその製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/32 20060101AFI20230426BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230426BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20230426BHJP
   D04H 1/728 20120101ALI20230426BHJP
【FI】
A61K47/32
A61K9/70
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/34
A61K31/12
A61K31/352
A61K36/185
A61P25/04
D04H1/728
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549770
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(85)【翻訳文提出日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 US2021019043
(87)【国際公開番号】W WO2021168410
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】62/979,818
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523002002
【氏名又は名称】エヌエフエス アイピー ホールディングス、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ジェド ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】カフェンバージャー、ケイティー
(72)【発明者】
【氏名】オースト、デヴァン
(72)【発明者】
【氏名】カユハ、ロス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C088
4C206
4L047
【Fターム(参考)】
4C076AA71
4C076AA95
4C076BB31
4C076CC01
4C076EE03A
4C076EE06A
4C076EE13A
4C076EE16A
4C076EE22A
4C076EE23A
4C076EE24A
4C076EE26A
4C076EE27A
4C076EE30A
4C076EE31A
4C076EE37A
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA32
4C086MA63
4C086NA13
4C086ZA08
4C088AB12
4C088BA18
4C088MA32
4C088MA63
4C088NA13
4C088ZA08
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA52
4C206MA83
4C206NA13
4C206ZA08
4L047AA08
4L047AA11
4L047AA16
4L047AA17
4L047AA21
4L047AA23
4L047AA26
4L047AA29
4L047AB02
4L047AB08
4L047CC03
(57)【要約】
薬剤を含む電界紡糸構造体を形成するシステムおよび方法が開示されている。電界紡糸構造体は、薬剤が1つ以上の電界紡糸ポリマー全体に分散されるように、薬剤を有するポリマー溶液から電界紡糸されたポリマーを1つ以上含むことができる。薬剤は、カンナビノイド、フィトカンナビノイド、大麻草によって生成されるテルペン、またはそれらの組合せを含むことができる。1つ以上の電界紡糸ポリマーは、所定の時間にわたって分解し、所定の時間にわたって薬剤を送達するように構成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界紡糸構造体であって、
薬剤を有するポリマー溶液から電界紡糸された1つ以上のポリマーであって、前記薬剤が前記1つ以上の電界紡糸ポリマー全体に分散されるポリマーを有し、
前記薬剤は、カンナビノイド、フィトカンナビノイド、大麻草によって生成されるテルペン、またはそれらの組み合わせの少なくとも1つを有し、
前記1つ以上の電界紡糸ポリマーは、所定の時間にわたって分解し、所定の時間にわたって薬剤を送達するように構成される、
電界紡糸構造体。
【請求項2】
請求項1記載の電界紡糸構造体において、前記薬剤は、前記1つ以上のポリマーに対して少なくとも100wt%の量で存在する、電界紡糸構造体。
【請求項3】
請求項1記載の電界紡糸構造体において、前記1つ以上のポリマーは、第1のポリマーと第2のポリマーを有する、電界紡糸構造体。
【請求項4】
請求項3記載の電界紡糸構造体において、前記第1のポリマーと前記第2のポリマーは共電界紡糸されたものである、電界紡糸構造体。
【請求項5】
請求項3記載の電界紡糸構造体において、
前記第1のポリマーは、第1の期間にわたって分解して、第1の期間にわたって薬剤を放出するように構成され、前記第2のポリマーは、第2の期間にわたって分解して、第2の期間にわたって薬剤を放出するように構成されるものである、
電界紡糸構造体。
【請求項6】
請求項5記載の電界紡糸構造体において、前記第1の期間と前記第2の期間が重ならない、電界紡糸構造体。
【請求項7】
請求項5記載の電界紡糸構造体において、前記第1の期間と前記第2の期間が少なくとも部分的に重なる、電界紡糸構造体。
【請求項8】
請求項3記載の電界紡糸構造体において、前記第1のポリマーと前記第2のポリマーが同軸構成で配置される、電界紡糸構造体。
【請求項9】
請求項1記載の電界紡糸構造体において、前記1つ以上のポリマーが、ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルピロリドン、デキストラン、サッカライド、セルロース、キトサン、ゼラチン、コラーゲン、ポリビニルアルコール、Eudragit、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、シリコーン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ乳酸-co-カプロラクトン、ポリ乳酸-co-グリコリド、ポリグリコール酸、ポリグリセロールセバシン、クエン酸ポリジオール、ポリヒドロキシブチレート、ポリエーテルアミド、ポリジオキサノン、これらの誘導体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、電界紡糸構造体。
【請求項10】
請求項1記載の電界紡糸構造体において、前記電界紡糸構造体はシートの形態である、電界紡糸構造体。
【請求項11】
請求項10記載の電界紡糸構造体において、前記シートは、約1cm~約6cmの平均長さ、約5mm~約10mmの平均幅、及び約1mm~約2mmの平均厚さを有する、電界紡糸構造体。
【請求項12】
電界紡糸構造体を作製する方法であって、前記方法は、
1つ以上のポリマーを有するポリマー溶液に薬剤を分散させる工程と、
前記ポリマー溶液を電界紡糸して、電界紡糸構造体の1つ以上の電界紡糸ポリマー全体に分散した薬剤を有する電界紡糸構造体を形成する工程とを
有し、
前記薬剤は、カンナビノイド、フィトカンナビノイド、大麻草によって生成されるテルペン、またはそれらの組み合わせの少なくとも1つを有し、
前記1つ以上の電界紡糸ポリマーは、所定の時間にわたって分解し、所定の時間にわたって薬剤を送達するように構成される、
方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記薬剤は、前記1つ以上のポリマーに対して少なくとも100wt%の量で存在する、方法。
【請求項14】
請求項12記載の方法において、前記1つ以上のポリマーは、第1のポリマーと第2のポリマーを有する、方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記ポリマー溶液を電界紡糸する工程は、前記第1のポリマーを有する第1のポリマー溶液と前記第2のポリマーを有する第2のポリマー溶液を共電界紡糸して電界紡糸構造体を形成する工程を有する、方法。
【請求項16】
請求項14記載の方法において、
前記第1のポリマーは、第1の期間にわたって分解して、第1の期間にわたって薬剤を放出するように構成され、前記第2のポリマーは、第2の期間にわたって分解して、第2の期間にわたって薬剤を放出するように構成されるものである、
方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記第1の期間と前記第2の期間が重ならない、方法。
【請求項18】
請求項16記載の方法において、前記第1の期間と前記第2の期間が少なくとも部分的に重なる、方法。
【請求項19】
請求項14記載の方法において、前記第1のポリマーと前記第2のポリマーが同軸構成で配置される、方法。
【請求項20】
請求項12記載の方法において、前記1つ以上のポリマーが、ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルピロリドン、デキストラン、サッカライド、セルロース、キトサン、ゼラチン、コラーゲン、ポリビニルアルコール、Eudragit、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、シリコーン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ乳酸-co-カプロラクトン、ポリ乳酸-co-グリコリド、ポリグリコール酸、ポリグリセロールセバシン、クエン酸ポリジオール、ポリヒドロキシブチレート、ポリエーテルアミド、ポリジオキサノン、これらの誘導体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項21】
請求項12記載の方法において、前記電界紡糸構造体はシートの形態である、方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、前記シートは、約1cm~約6cmの平均長さ、約5mm~約10mmの平均幅、及び約1mm~約2mmの平均厚さを有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年2月21日に出願された、「ELECTROSPUN FIBERS HAVING A PHARMACEUTICAL AND METHODS OF MAKING AND USING THE SAME」と題する米国仮出願シリアル番号62/979,818の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものである。
【背景技術】
【0002】
ポリマー繊維などの構造体は、怪我や病気、障害を治療するための薬剤の送達に有用であると考えられる。電界紡糸は、このような構造体を、その特性や含有する物質の量を細かく制御しながら作製する方法の一つである。このような構造体は、他の薬剤投与方法の代わりに使用することが有用な場合がある。このような場合、薬剤を含む電界紡糸構造体が有利になる可能性がある。特に、その中に分散された1つ以上の薬剤を有する電界紡糸ポリマー構造体の必要性が存在し、これにより、移植されるか、経口、局所、又は他の送達媒体を介して投与されるかにかかわらず、構造体が薬剤の制御された送達を提供することができる。いくつかの実施形態では、電界紡糸ポリマー構造体中に分散され、及び/又はそれを介して投与される薬剤は、カンナビノイド、フィトカンナビノイド(例えば、テトラヒドロカンナビノール又はカンナビジオール)、大麻草によって生成されるテルペン、及びそれらの組合せを含み得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、カンナビノイド、フィトカンナビノイド(例えば、テトラヒドロカンナビノールまたはカンナビジオール)、大麻草によって生成されるテルペン、およびそれらの組み合わせなどの薬剤を含む電界紡糸構造体に関する。
【0004】
いくつかの実施形態では、電界紡糸構造体が提供され、前記電界紡糸構造体は、薬剤を有するポリマー溶液から電界紡糸された1つ以上のポリマーであって、前記薬剤が前記1つ以上の電界紡糸ポリマー全体に分散されるようなポリマーを有し、前記薬剤は、カンナビノイド、フィトカンナビノイド、大麻草によって生成されるテルペン、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つを有し、前記1つ以上の電界紡糸ポリマーは、所定の時間にわたって分解し、所定の時間にわたって薬剤を送達するように構成される。
【0005】
いくつかの実施形態では、電界紡糸構造体を製造する方法が提供され、前記方法は、1つ以上のポリマーを有するポリマー溶液に薬剤を分散させる工程と、前記ポリマー溶液を電界紡糸して、電界紡糸構造体の1つ以上の電界紡糸ポリマー全体に分散した薬剤を有する電界紡糸構造体を形成する工程とを有し、前記薬剤はカンナビノイド、フィトカンナビノイド、大麻草によって生成されるテルペン、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つを有し、前記1つ以上の電界紡糸ポリマーは所定の時間にわたって分解し、所定の時間にわたって薬剤を送達するよう構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記薬剤は、前記1つ以上のポリマーに対して少なくとも100wt%の量で存在する。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記1つ以上のポリマーは、第1のポリマー及び第2のポリマーを有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1のポリマーおよび第2のポリマーは、共電界紡糸された。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1のポリマーは、第1の期間にわたって分解して、第1の期間にわたって薬剤を放出するように構成され、第2のポリマーは、第2の期間にわたって分解して、第2の期間にわたって薬剤を放出するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の期間と第2の期間は重ならない。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の期間と第2の期間は少なくとも部分的に重なっている。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1のポリマーと第2のポリマーは、同軸構成で配置される。
【0013】
いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルピロリドン、デキストラン、サッカライド、セルロース、キトサン、ゼラチン、コラーゲン、ポリビニルアルコール、Eudragit、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、シリコーン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ乳酸-co-カプロラクトン、ポリ乳酸-co-グリコリド、ポリグリコール酸、ポリグリセロールセバシン、クエン酸ポリジオール、ポリヒドロキシブチレート、ポリエーテルアミド、ポリジオキサノン、それらの誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、電界紡糸構造体は、シートの形態である。
【0015】
いくつかの実施形態では、シートは、約1cm~約6cmの平均長さ、約5mm~約10mmの平均幅、及び約1mm~約2mmの平均厚さを有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示の実施形態による、ポリマーと、ポリマーの重量に基づいて50wt%の薬剤とを有する繊維の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
図2図2は、本開示の一実施形態による、ポリマーと、ポリマーの重量に基づいて75wt%の薬剤とを有する繊維のSEM画像である。
図3図3は、本明細書に記載の電界紡糸構造体を用いて舌下投与した場合(「ストリップ(strip)」)および経口投与した場合(「グミ(gummy)」)の、豚1頭におけるカンナビジオールの血漿濃度を比較するグラフである。
図4図4は、本明細書に記載の電界紡糸構造体を用いて舌下投与した場合(「ストリップ(strip)」)と経口投与した場合(「丸薬(pill)」)の、豚1頭におけるクエン酸シルデナフィルの血漿濃度を比較したグラフである。
図5図5は、本開示の実施形態による、薬剤を含む電界紡糸構造体のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、記述された特定のシステム、装置、および方法に限定されるものではなく、これらは変化し得る。説明で使用される用語は、特定のバージョンまたは実施形態を説明するためだけのものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0018】
以下の用語は、本願の目的のために、以下に示すそれぞれの意味を有するものとする。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本開示のいかなる内容も、本開示に記載された実施形態が、先行発明により当該開示に先行する権利を有しないことを認めるものとして解釈されるものではない。
【0019】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないと指示しない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば、「薬剤」への言及は、当業者に知られている1つまたは複数の薬剤およびその等価物への言及などである。
【0020】
本明細書において、用語「約」は、それが使用されている数値のプラスまたはマイナス10%を意味する。したがって、約50mmとは、45mm~55mmの範囲内であることを意味する。
【0021】
本明細書で使用される用語「からなる(consists of)」または「からなる(consisting of)」は、装置または方法が、特定の請求された実施形態または請求項に具体的に記載された要素、工程、または成分のみを含むことを意味する。
【0022】
用語「有する(comprising)」が移行句として使用される実施形態または請求項において、そのような実施形態は、用語「有する(comprising)」を用語「からなる(consisting of)」または「本質的にからなる(consisting essentially of)」に置き換えることによっても想定することができる。
【0023】
治療薬と共に使用される場合の「投与する」は、治療薬を標的組織に直接またはその上に投与すること、または治療薬を患者に投与して、治療薬が標的組織に正の影響を与えることを意味する。組成物を「投与する」は、注射、局所投与、経口投与、頬部投与、舌下投与、経皮投与、移植、またはこれらの方法のいずれかと他の既知の技術との組み合わせによって達成され得る。
【0024】
本明細書で使用される用語「対象」は、ヒト、および野生動物、家畜、家畜などの非ヒト脊椎動物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0025】
「薬学的に許容される」とは、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成分と適合しなければならず、その受容者に有害ではないことを意味する。
【0026】
本明細書で使用される用語「治療薬」は、患者の望ましくない状態又は疾患を治療、対抗、阻害、改善、予防又は改良するために利用される薬剤を意味する。一部において、本明細書の実施形態は、障害又は状態の治療に向けられる。障害又は状態は、いくつかの非限定的な例において、てんかんなどの発作性障害、痛み、うつ病、気分障害などを含むことができる。障害又は状態はまた、例えば、喘息、中毒、多発性硬化症、免疫障害、アレルギー、アナフィラキシー、慢性疾患、偏頭痛、糖尿病、癌、及びそのようなものを含んでもよい。
【0027】
組成物の「治療上有効な量」または「有効量」は、所望の効果、すなわち障害を緩和、抑制、遮断、または逆転させることを達成するために計算された所定量である。本発明の方法によって企図される活性は、適切な場合には、医学的治療および/または予防的治療の両方を含む。治療的および/または予防的効果を得るために本発明に従って投与される化合物の特定の用量は、もちろん、例えば、投与される化合物、投与経路、および治療される状態を含む、事例を取り巻く特定の状況により決定される。化合物は広い投与量範囲にわたって有効であり、例えば、1日当たりの投与量は、通常、約0.001mg/kg~約30mg/kgの範囲、より通常、約10mg/kg~20mg/kgの範囲に収まるであろう。そのような投与量は、1日1回、週1回、1日複数回、または週複数回送達することができる。しかしながら、投与される有効量は、治療されるべき状態、投与される化合物の選択、及び選択された投与経路を含む関連状況に照らして医師によって決定されることが理解され、したがって、上記の投与量の範囲は、いかなる形でも本明細書の実施形態の範囲を制限することを意図するものではない。本発明の化合物の治療有効量は、典型的には、生理学的に許容される賦形剤組成物中に投与されたときに、有効な全身濃度または組織中の局所濃度を達成するのに十分であるような量である。
【0028】
本明細書で使用する用語「治療する」、「治療された」、または「治療」は、治療的処置と予防的または防止的措置の両方を指し、その目的は、望ましくない生理学的状態、障害または疾患を抑制、防止または減速(軽減)し、または改善、抑制、またはその他の有益または望ましい臨床的結果を得ることである。本発明の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果は、症状の改善または緩和、状態、障害または疾患の程度の減少、安定化(すなわち、悪化しない)を含むが、これらに限定されるものではない。状態、障害または疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しないこと);状態、障害または疾患の発症の遅延または進行の遅延;状態、障害または疾患の状態の改善;および検出可能か検出不可能かにかかわらず寛解(部分的または全体的か)、または状態、障害または疾患の向上または改善などが挙げられるが、これらに限定されない。治療には、過度の副作用を伴わない臨床的に有意な反応を引き出すことが含まれる。治療には、治療を受けなかった場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長することも含まれる。
【0029】
本明細書に開示された新規な薬物送達機構には、多くの薬剤が使用可能である。特に、最近、親油性が高く、分子量が高く、水溶性が悪い薬物候補が多数開発されている。そのような薬物候補の水溶性の低さは、開発中のその薬物候補の失敗をもたらし、またはバイオアベイラビリティの低下をもたらし、最適でない薬物送達、さらには患者のコンプライアンス低下をもたらす可能性がある。承認済みまたは開発中の薬剤の多くは水溶性が低く、そのバイオアベイラビリティを向上させることができる薬物送達メカニズムが必要とされている。
【0030】
例えば、大麻の一部の成分は、様々な疾患や症状に対する新たな治療法の最前線に最近登場している。大麻に含まれる植物性カンナビノイドの中で2番目に多いカンナビジオール(CBD)は、患者さんに投与した場合の薬効が期待できることから、盛んに研究されている。CBDは、抗炎症、抗酸化、抗アポトーシス、免疫調節、抗てんかん、抗不安など、さまざまな有益な特性を持つことが示されている。しかし、大麻に含まれる植物性カンナビノイドの中で最も一般的に知られているテトラヒドロカンナビノール(THC)とは異なり、CBDは精神的な副作用を起こさない。これらの広く潜在的な薬効があることと、精神作用がないことから、CBDは大麻を医療として安全かつ効果的に使用するための魅力的な選択肢となる。カンナビノイドは、大麻草から選択的に抽出され、精製され、油に溶解され、対象にカンナビノイドを送達するために様々な方法で使用され得る。現在、CBDオイルは、典型的には、対象に経口的に送達される。対象は、典型的には、CBDオイルの代謝を助けるために、ゴマ油などの担体と混合されたCBDオイルを毎日複数回大量に飲む。対象は、胃腸の副作用、味、頻度、利便性、及び薬物の生体吸収における有効性を含む多くの理由から、この送達様式を極めて望ましくないと感じる傾向がある。さらに、対象の中には、身体的または精神的な障害により嚥下が困難な者もいる。したがって、より少ない望ましくない副作用を生じさせながら化合物のより高いバイオアベイラビリティをもたらす高用量のCBDオイルの制御された放出を可能にし、それによって投与レジメンに対する対象のコンプライアンスを増加させる簡単な送達方法に対する必要性が存在する。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される新規薬物送達機構と共に使用される薬剤は、カンナビノイド、フィトカンナビノイド(例えば、THC又はCBD)、大麻草によって生成されるテルペン、及びそれらの組合せを含み得る。
【0031】
他の薬剤も、本明細書に開示される新規の薬物送達機構と共に使用され得る。そのような薬剤は、例えば、ステロイド、抗炎症剤、非ステロイド性抗炎症剤、鎮痛剤、スタチン、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗菌剤、免疫抑制剤、免疫調節剤、抗増殖剤、鎮静剤、ビタミン、ホルモン、成長因子、血管拡張剤、血管収縮剤、抗ヒスタミン、オピオイド、および同様のものを含むことができる。このような薬剤は、例えば、アセトアミノフェン、カンナビジオール、テトラヒドロカンナビノール、ロバスタチン、アトルバスタチン、カフェイン、ニコチン、インスリン、クエン酸シルデナフィル等も含み得る。
【0032】
電界紡糸
電界紡糸は、ポリマー溶液を繊維などの構造体に加工するために使用することができる方法である。得られる繊維の直径がナノメートルスケールである実施形態では、繊維はナノファイバーと呼ばれることがある。繊維は、マンドレル、鋳型、またはコレクターなどの様々な受け面を使用して、様々な形状に形成することができる。得られた繊維の型または形状は、生体構造の修復または置換を含む多くの用途で使用され得る。いくつかの実施形態では、得られた構造体(例えば、繊維または繊維スキャフォールド)は、生物学的生体またはその一部に移植され得る。
【0033】
電界紡糸法は、ポリマー注入システムと受け面との間に高DC電圧電位を印加することによって、ポリマー溶液から構造体(例えば、繊維)を紡糸することを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電荷が、電界紡糸システムの1つ又は複数の構成要素に印加されてもよい。いくつかの実施形態において、電荷は、受け取り表面、ポリマー注入システム、ポリマー溶液、又はそれらの組み合わせ若しくは部分に印加されてもよい。理論に束縛されることを望まないが、ポリマー溶液がポリマー注入システムから排出されるとき、それは電荷への曝露により不安定化されると考えられている。この不安定化した溶液は、帯電した受け面に引き寄せられると考えられる。不安定化した溶液がポリマー注入システムから受け面へ移動すると、その溶媒が蒸発してポリマーが伸び、受け面上に堆積した細長い繊維を残すことがある。ポリマー溶液は、ポリマー注入システムから排出され、電荷にさらされると、テイラーコーンを形成することがある。さらに、ポリマーは、繊維、繊維状スキャフォールド、ストリップ、パッチ、シート、または解剖学的構造に対応する形状など、さまざまな異なる構造で電界紡糸することができる。さらに、構造体は、1つまたは複数のポリマーを使用して電界紡糸することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、「共電界紡糸」と呼ばれるプロセスで、複数のポリマー型を互いに電界紡糸して構造体を形成することができる。共電界紡糸では、2つ以上のポリマー溶液(同じまたは異なるポリマー種類を含む)が異なる出口から射出され、同時に互いに電界紡糸されて、結果として得られる構造体を形成する。共電界紡糸では、異なるポリマー溶液から形成された2つの異なる繊維が互いに絡み合うように形成される。共電界紡糸ポリマーは、同じポリマー溶液から紡糸することも、異なるポリマー溶液から紡糸することも可能である。共電界紡糸ポリマータイプは、同じまたは異なる分解速度を有することができる。一例として、第1の分解速度を有する第1のポリマー型は、第2の分解速度を有する第2のポリマー型と共電界紡糸され得、それによって、ポリマー型の異なる分解速度に基づいて、異なるポリマー型内に含まれる1つ以上の薬剤を放出する時間放出プロファイルを提供する電界紡糸構造体を作製することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、「同軸電界紡糸」または「多軸電界紡糸」と呼ばれるプロセスにおいて、複数のポリマー型を互いに電界紡糸して構造体を形成することができる。同軸または多軸電界紡糸では、2つ以上のポリマー溶液(同じまたは異なるポリマー種類を含む)が同じ出口から拒絶され、結果として得られる構造を形成するために互いに電界紡糸される。同軸または多軸電界紡糸により、コア-シェル構造を有する異なるポリマー型から構成される単一繊維が形成される。同軸または多軸電界紡糸されたポリマーの種類は、同じまたは異なる分解速度を有することができる。一例として、第1の分解速度を有する第1のポリマー種類を、第2の分解速度を有する第2のポリマー種類と同軸または多軸電界紡糸することができ、それによって、ポリマー種類の異なる分解速度に基づいて異なるポリマー種類内に含まれる1つまたは複数の薬剤を放出する時間放出プロファイルを有する電界紡糸構造体を作製することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、上述の共電界紡糸及び同軸又は多軸電界紡糸技術はまた、互いに組み合わせて使用され得る。例えば、同軸のポリマー又は繊維は、互いに共電界紡糸され得る。したがって、上述した様々な技術は、その中に含まれる薬剤(これは後述する)のための様々な時限放出プロフィールを有する構造を電界紡糸するために使用され得る。
【0037】
ポリマー注入システム
ポリマー注入システムは、注入システムから受取面へのポリマー溶液の流れを可能にするために、ある量のポリマー溶液を大気中に放出するように構成された任意のシステムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー注入システムは、構造体(例えば、繊維)に形成されるべきポリマー溶液の制御された体積流速を有する連続的又は直線的な流れを送達してもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー注入システムは、繊維に形成されるべきポリマー溶液の可変ストリームを送達してもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー注入システムは、複数の繊維に形成されるべきポリマー溶液の断続的ストリームを送達するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー注入システムは、手動又は自動制御下のシリンジを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー注入システムは、個別又は組み合わせた手動又は自動制御の下にある複数のシリンジ及び複数の針又は針状部品を含んでもよい。いくつかの実施形態では、マルチシリンジポリマー注入システムは、複数のシリンジ及び複数の針又は針状部品を含んでもよく、各シリンジは同じポリマー溶液を含む。いくつかの実施形態では、マルチシリンジポリマー注入システムは、複数のシリンジ及び複数の針又は針状部品を含んでもよく、1つ又は複数のシリンジが1つ又は複数の異なるポリマー溶液を含んでいる。いくつかの実施形態では、ポリマー注入システムは、ポリマー溶液に浸漬し、ドラムが回転するにつれて溶液を排出する回転ドラムを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマー注入システムは、ワイヤベースの電界紡糸システムを含み得る。いくつかの実施形態において、電荷は、ポリマー注入システム、又はその一部に適用され得る。いくつかの実施形態では、電荷は、ポリマー注入システムの針または針状構成要素に印加され得る。一つの特定の実施形態において、ポリマー注入システムは、ELMARCO(登録商標)から入手可能なNS 8S1600U電界紡糸生産ラインなどの、ワイヤ電極ベースのポリマー注入システムを含み得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、ポリマー溶液は、約5mL/時以下の針あたりの流量でポリマー注入システムから射出されてもよい。針あたりの流量のいくつかの非限定的な例としては、約0.1mL/時、約0.5mL/時、約1mL/時、約1.5mL/時、約2mL/時、約2.5mL/時、約3mL/時、約3.5mL/時、約4mL/時、約4.5mL/時、約5mL/時、約6mL/時、約7mL/時、約8mL/時、約9mL/時、約10mL/時、約11mL/時、約12mL/時、約13mL/時、約14mL/時、約15mL/時、約16mL/時,約17mL/時、約18mL/時、約19mL/時、約20mL/時、約21mL/時、約22mL/時、約23mL/時、約24mL/時、約25mL/時、約26mL/時、約27mL/時、約28mL/時、約29mL/時、約30mL/時、約31mL/時、約32mL/時、約33mL/時、約34mL/時、約35mL/時、約36mL/時、約37mL/時、約38mL/時、約39mL/時、約40mL/時、約41mL/時、約42mL/時、約43mL/時、約44mL/時、約45mL/時、約46mL/時、約47mL/時、約48mL/時、約49mL/時、約50mL/時、または終点を含むこれらの値の任意の2つの間の範囲を含んでもよい。
【0039】
ポリマー溶液がポリマー注入システムから受け取り面に向かって移動するとき、得られる繊維の直径は、約0.1μm~約10μmの範囲であってよい。電界紡糸繊維の直径のいくつかの非限定的な例は、約0.1μm、約0.2μm、約0.5μm、約1μm、約2μm、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、又は終点を含むこれらの値の任意の2つの間の範囲を含んでもよい。
【0040】
ポリマー溶液
いくつかの実施形態では、ポリマー注入システムは、ポリマー溶液で充填されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー溶液は、1つ以上のポリマーを有し得る。いくつかの実施形態では、ポリマー溶液は、熱の適用によってポリマー液体に形成された流体であってもよい。ポリマー溶液は、限定されないが、ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルピロリドン、デキストラン、サッカライド、セルロース、キトサン、ゼラチン、コラーゲン、ポリビニルアルコール、Eudragit、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、シリコーン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ乳酸-co-カプロラクトン、ポリ乳酸-co-グリコリド、ポリグリコール酸(PGA)、ポリグリセロールセバシン、クエン酸ポリジオール、ポリヒドロキシブチレート、ポリエーテルアミド、ポリジオキサノン、これらのコポリマー、及びこれらの組み合わせ又は誘導体などの合成または半合成ポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマー溶液は、水溶性ポリマーであるポリマーを含んでもよい。電界紡糸に使用される代替ポリマー溶液は、フィブロネクチン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、キトサン、又はそれらの組み合わせなどの天然ポリマーを含んでもよい。ポリマー溶液はまた、任意の組み合わせ又は組成比で、合成ポリマー及び天然由来のポリマーの組み合わせを含んでもよいことが理解されよう。いくつかの非限定的な例では、ポリマー溶液は、例えば、ポリ(エチレンオキシド)とポリカプロラクトンの、約5%~約90%の重量パーセント比を含んでいてもよい。そのような重量パーセント比の非限定的な例は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約33%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約66%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又は終点を含むこれらの値の任意の2つの間の範囲を含んでもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリマー溶液の重量を基準にして約1wt%~約30wt%の量で存在してもよい。いくつかの非限定的な例では、ポリマーは、例えば、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%、約20wt%、約21wt%、約22wt%、約23wt%、約24wt%、約25wt%、約26wt%、約27wt%、約28wt%、約29wt%、約30wt%、または終点を含むこれらの値の任意の2つの間の範囲の量で存在してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、ポリマー溶液は、1つ以上の溶媒を有し得る。いくつかの実施形態において、溶媒は、例えば、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ヘキサン、エーテル、ジオキサン、酢酸エチル、ピリジン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、トリフルオロ酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、酢酸、ジメチルアセトアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、水、アルコール、イオン性化合物、またはそれらの組合せを有し得る。アルコールの非限定的な例としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどを含む。溶媒または溶媒(複数)中のポリマーまたはポリマー(複数)の濃度範囲は、限定されるものではないが、約1wt%~約50wt%であってよい。溶液中のポリマー濃度のいくつかの非限定的な例は、約1wt%、3wt%、5wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、約25wt%、約30wt%、約35wt%、約40wt%、約45wt%、約50wt%、または終点を含むこれらの値の任意の2つの間の範囲であって良い。
【0043】
いくつかの実施形態では、ポリマー溶液はまた、1つ以上の薬剤を含んでもよい。薬剤は、油、液体、粉末、結晶、液滴、又は当該技術分野で知られている他の任意の形態を有し得る。本明細書で述べたように、いくつかの実施形態では、薬剤は、構造体が電界紡糸されるポリマー溶液に取り込まれ得る。したがって、薬剤は、電界紡糸構造体の全体にわたって分散されるか、又は他の方法で組み込まれる。これらの実施形態は、薬剤が構造体の外側(すなわち、シェル内)にのみ存在するか、又は構造体内(すなわち、コア内)にのみ含まれるコア/シェル構造を使用する薬剤送達ビークル(電界紡糸か否かにかかわらず)とは異なる。いくつかの実施形態では、薬剤は、非晶質状態でポリマー溶液に組み込まれ得る。他の実施形態では、薬剤は、結晶状態でポリマー溶液に取り込まれ得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、カンナビス油、カンナビノイド油、CBD油、オリーブ油、ゴマ油、カノーラ油、パーム油、植物油、ひまし油、ココナッツ油、コーン油、大豆油、これらの誘導体、又はこれらの組み合わせなどの油を有し得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、カンナビノイド;THC又は純粋なCBDなどのフィトカンナビノイド;大麻草によって生成されるテルペン;及びそれらの任意の組合せを有し得る。いくつかの実施形態では、薬剤はまた、1つ以上の有効成分を含んでいてもよい。活性成分は、例えば、ステロイド、抗炎症剤、非ステロイド性抗炎症剤、鎮痛剤、スタチン、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、免疫抑制剤、免疫調節剤、抗増殖剤、鎮静剤、ビタミン、ホルモン、成長因子、血管拡張剤、血管収縮剤、抗ヒスタミン、オピオイド、その誘導体、又はこれらの組合せを含んでいてもよい。他の例では、活性成分は、アセトアミノフェン、CBD、テトラヒドロカンナビノール、ロバスタチン、アトルバスタチン、カフェイン、ニコチン、インスリン、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、薬剤は、アミオダロン、アムロジピン、アピキサバン、アテノロール、アトルバスタチン、ベナゼプリル、ビソプロロール、カンデサルタン、カルベジロール、クロルタリドン、クロニジン、クロピドグレル、コレセベラム、ダビガトラン、ジゴキシン、ジルチアゼム、ジピリダモール、ドキサゾシン、エドキサバン、エナラプリル、エノキサパリン、エゼチミブ、フェロジピン、フェノフィブラート、フォシノプリル、フロセミド、ゲムフィブロジル、ヒドララジン、ヒドロクロロチアジド、イルベサルタン、一硝酸イソソルビド、ラベタロール、リシノプリル、ロサルタン、ロバスタチン、メトプロロール、ネビボロール、ナイアシン、ニフェジピン、ニトログリセリン、オルメサルタン、オメガ3-エチルエステル、プラスグレル、プラバスタチン、プロプラノロール、キナプリル、ラミプリル、ラノラジン、リバロキサバン、ロスバスタチン、サクビトリル/バルサルタン、シンバスタチン、スピロノラクトン、テルミサルタン、テラゾシン、チカグレロル、トルバプタン、トルセミド、トリアムテレン/ヒドロクロロチアジド、バルサルタン、ベラパミル、ワルファリン、アレンドロネート、カナグリフロジン、共役エストロゲン、シアノコバラミン、ダパグリフロジン、デキサメタゾン、デュラグルチド、エストラジオール、エチニルエストラジオール/エトノゲストレル、エキセナチド、葉酸、グリメピリド、グリピジド、イバンドロネート、レボチロキシン、リナグリプチン、リラグルチド、メドロキシプロゲステロン、メトホルミン、メチルプレドニゾロン、ピオグリタゾン、プレドニゾロン、プロゲステロン、ラロキシフィン、レパグリニド、リセドロネート、ロジグリタゾン、サキサグリプチン、デクスランソプラゾール、ジシクロミン、ジフェノキシレート/アトロピン、エソメプラゾール、ファモチジン、ランソプラゾール、ルビプロストン、メトクロプラミド、オメプラゾール、オンダンセトロン、パントプラゾール、ポリエチレングリコール、プロクロペラジン、プロメタジン、ラベプラゾール、リフタジン、ラニチジン、リフタジン、プロクロルペラジン、プロクロルペラジン、ラベプラゾール、リフタジン。ラニチジン、リファミキシン、スクラルファート、チザニジン、アシクロビル、アルベンダゾール、アモキシシリン、アモキシシリン/クラブラン酸、アタザナビル、アジスロマイシン、セフジニル、セフロキシム、セファレキシン、クロルヘキシジン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、エファビレンツ・エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシル、エンテカビル、フィダクソマイシン、フルコナゾール、ガチフロキサシン、ヒドロキシクロロキン、イミキモド、ケトコナゾール、レボフロキサシン、マラビロク、メトロニダゾール、ミノサイクリン、モキシフロキサシン、ムピロシン、ニトロキサニド、ニトロフラントイン、ナイスタチンオセルタミビル、ペニシリン、フェナゾピリジン、ラルテグラビル、ソフォスブビル、テルビナフィン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、バラシクロビル、アロプリノール、コルチシン、エピネフリン、エタネルセプト、タクロリムス、アダパレン、ビマトプロスト、ブリモニジンクロベタゾール、クロトリマゾール/ベタメタゾン。シクロスポリン、ダリフェナシン、デュタステリド、フェブキソスタット、フィナステリド、フルオシノニド、ヒドロコルチゾン、ラタノプロスト、ロテプレドノール、オキシブチニン、prenatal 1+1、シルデナフィル、ソリフェナシン、タダラフィル、タムスロシン、テストステロン、トルテロジン、トラボプロスト、トリアムチノーゲン。バルデナフィル、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アリピプラゾール、アトモキセチン、バクロフェン、ベンズトロピン、ブプロピオン、ブスピロン、カルバマゼピン、カルビドパ/レボドパ、シタラム、クロバザム、クロナゼパム、デスベンラファキシン、デクスメチルフェニデート、ジアゼパム、ジバルバ、デスベンラフィキシン、デクスメチルドパミン、デスベンラファキシン、デクスメチルドパミン、デスベンラファキシン・デクスメチルフェニデート、ジアゼパム、ジバルプロエックス、ドネペジル、ドキセピン、デュロキセチン、エレトリプタン、エスシタロプラム、エスゾピクロン、フルオキセチン、ガバペンチン、グアンファシン、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、リスデキサンフェタミン、リチウム、ロラゼパム、ルラシドン、メクリジン、メマンチン、メタキサロン、メチルフェニデート、ミルタザピン、モダフィニル、ノルトリプチリン、オランザピン、オキシカルバゼピン、パロキセチン、フェノバルビタール、フェンテルミン、フェニトイン、プラミペキソール、プレガバリン、クエチアピン、リスペリドン、リザトリプタン、ロピニロール、セルトラリン、スマトリプタン、テマゼパム、トピラメート、トラゾドン、ベンラファキシン、ジビラゾドン、ジビラゾドンゾルピデム、アザチオプリン、アナストロゾール、ダルベポエチン、エポエチンアルファ、メトトレキサート、タモキシフェン、ブプレノルフィン/ナロキソン、カリソプロドール、セレコキシブ、タイレノール(コデン有りおよび無し)、シクロベンザプリン、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェンタニル、ヒドロコドン(アセトアミノフェン有りおよび無し)、イブプロフェン、インドメタシン、リドカイン、メロキシカム、メタドン、メソカルバモール、モルヒネ、ナブメトン、ナプロキセン、オキシコドン、ペントサン、トラマドール、アルブテロール、アゼラスチン、ベンゾナテート、ブデソニド、ブデソニド/ホルモテロール、セチリジン、フェキソフェナジン、フルチカゾン、サルメテロール、ヒドロキシジン、イプラトロピウム/アルブテロール、レバルブテロール、レボセチリジン、モメタゾン、モンテルカスト、オロパタジン、チオトロピウム、トリアムシノン、バレニクリンまたはそれらの任意の組合せを有し得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、薬剤は、本明細書の他の実施形態に記載されるポリマー溶液とは異なる溶液に分散されてもよい。いくつかの実施形態では、薬剤は、ポリマー溶液中に分散させることができる。他の実施形態では、薬剤は、ポリマー溶液に添加される前に、別の溶液に分散させることができる。いくつかの実施形態において、薬剤は、結晶を含んでいてもよい。結晶は、約10nm~約10μmの第1の寸法を有していてもよい。特定の実施形態では、第1の寸法は、結晶の長さ、幅、若しくは高さ、又はそれらの組み合わせを記述してもよい。他の実施形態では、薬剤は、油に溶解した結晶を有し得る。
【0047】
ポリマー溶液中のポリマーの種類によって、電界紡糸構造体の特性が決定される場合がある。一部の構造体は、移植されたときに生物学的に安定であり、吸収性又は生分解性ではないポリマーで構成されてもよい。このような構造体は、移植されたままの期間、一般に化学的に変化しないままであってもよい。あるいは、構造体は、時間の経過とともに吸収または生分解される可能性のあるポリマーで構成されてもよい。このような構造体は、器官および/または組織の修復または置換のための初期テンプレートまたはスキャフォールドとして機能することができる。これらの器官または組織のテンプレートまたはスキャフォールドは、組織または器官が自然の構造および細胞によって置換または修復されると、インビボで分解される場合がある。あるいは、このような構造体は、細胞または組織の生着よりもむしろ薬物送達に適切な速度など、より速く制御された速度で分解または崩壊することができる。ポリマー溶液およびその結果として得られる電界紡糸構造体は、1種類以上のポリマーから構成されてもよく、その中の各ポリマーは、生体安定性や生分解性などの特定の特性を有していてもよいことがさらに理解されうる。
【0048】
いくつかの実施形態において、薬剤は、様々な温度で調製され、ポリマー溶液に組み込まれ、又は他の方法で処理され得る。一実施形態では、薬剤は、室温または周囲温度で処理され得る。例えば、薬剤は、20~25℃で処理され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、薬剤は、薬剤の種類及び薬剤を有する電界紡糸構造体の意図された用途に基づいて変化する様々な異なる用量で提供され得る。例えば、本明細書に記載の電界紡糸構造体中の薬剤は、対象が電界紡糸構造体を受け取る又は摂取する能力に応じて、異なる投与量で提供され得る。特に、一部の個人又は動物は、(例えば、医学的状態又は動物の場合には、電界紡糸構造体を飲み込もうとしないことに起因して)飲み込むことが困難な場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、電界紡糸構造体中の薬剤の投与量は、人又は動物に送達され、それによって飲み込まれることを必要とする電界紡糸構造体の量を最小化するために増加され得る。
【0050】
電解紡糸構成要素への電荷の適用
電界紡糸システムにおいて、1つ以上の電荷は、例えば、受け面、ポリマー注入システム、ポリマー溶液、又はそれらの部分などの1つ以上の構成要素、又は構成要素の部分に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、正電荷が、ポリマー注入システム、又はその一部に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、負の電荷が、ポリマー注入システム、またはその一部に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー注入システム、またはその一部は、接地されてもよい。いくつかの実施形態では、正電荷がポリマー溶液、またはその一部に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、負の電荷が、ポリマー溶液、またはその一部に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー溶液、又はその一部は、接地されてもよい。いくつかの実施形態において、正電荷は、受け面又はその一部に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、負の電荷が、受け面、又はその一部に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、受け面又はその一部は、接地されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の構成要素又はその部分は、同じ電荷を受けてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の構成要素、またはその部分は、1つ以上の異なる電荷を受け取ってもよい。
【0051】
電界紡糸システムの任意の構成要素又はその一部に適用される電荷は、終点を含め、約-100kV~約100kVであってよい。いくつかの非限定的な例では、電界紡糸システムの任意の構成要素又はその一部に適用される電荷は、約-100kV、約-75kV、約-50kV、約-30kV、約-25kV、約-15kV、約-10kV、約-5kV、約-3kV、約-1kV、約-0.01kV、約0.01kV、約1kV、約5kV、約10kV、約12kV、約15kV、約20kV、約25kV、約30kV、約50kV、約75kV、約100kV、又は終点を含むこれらの値の任意の2つの間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、電界紡糸システムの任意の構成要素、又はその一部は、接地されてもよい。
【0052】
電界紡糸時の受け面の移動
電界紡糸中、いくつかの実施形態では、受取面は、ポリマー注入システムに対して移動してもよい。いくつかの実施形態において、ポリマー注入システムは、受取面に対して移動してもよい。ある電界紡糸構成要素の別の電界紡糸構成要素に対する移動は、例えば、実質的に回転的、実質的に並進的、又はそれらの任意の組合せであってよい。いくつかの実施形態において、電界紡糸システムの1つ又は複数の構成要素は、手動制御で移動してもよい。いくつかの実施形態では、電界紡糸システムの1つ又は複数の構成要素は、自動化された制御の下で移動してもよい。いくつかの実施形態では、受け面は、1つ又は複数のモーター又は運動制御システムを用いて移動することができる支持構造と接触しているか又はその上に取り付けられていてもよい。受け面上に堆積された電界紡糸構造体のパターンは、ポリマー注入システムに対する受け面の1つ又は複数の動きに依存してもよい。いくつかの実施形態では、受け面は、その長軸を中心に回転するように構成されてもよい。一つの非限定的な例では、直線軸に沿った並進速度よりも速いその長軸に関する回転速度を有する受け面は、受け面について巻きを形成する、電界紡糸繊維のほぼらせん状の堆積をもたらす可能性がある。別の例では、回転軸に関する回転速度よりも速い直線軸に沿った並進速度を有する受け面は、受け面の直線範囲に沿った電界紡糸繊維のほぼ直線的な堆積をもたらし得る。いくつかの実施形態では、電界紡糸システムは、ローラー電界紡糸システムを含み得る。
【0053】
薬剤を有する電界紡糸構造体
いくつかの実施形態では、上述の電界紡糸技術及び電界紡糸システムのいずれかを用いて、1つ又は複数の薬剤を含むポリマー溶液から構造体を電界紡糸することができる。薬剤がポリマー溶液内に分散されている実施形態では、ポリマー溶液から電界紡糸された構造体は、したがって、全体に分散された薬剤を含む。特定の実施形態では、薬剤は、コア/シェル構造を使用する薬剤送達ビヒクルのように、薬剤が電界紡糸構造体の外側表面のみに存在するのではなく、電界紡糸ポリマー構造全体に分散される。このような実施形態は、電界紡糸構造体の外側表面を薬剤で浸漬、噴霧、又はその他の方法で処理することを除外する。これらの実施形態の1つの利点は、電界紡糸ポリマー構造体内及び全体に分散されている薬剤が、電界紡糸構造体を、そこから薬剤が偶然又は予期せず除去されることに対して耐性があるものにすることである。その中に分散された薬剤を含む電界紡糸構造体の例示的な実施形態のSEM画像が、図5に示されている。
【0054】
いくつかの実施形態では、電界紡糸ポリマーは、1つ又は複数のポリマーを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーは、限定されないが、上述したポリマーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーは、水溶性ポリマーを含んでいてもよい。ポリマーはまた、任意の組み合わせ又は組成比の合成ポリマー及び天然由来のポリマーの組み合わせを含んでもよいことが理解され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、薬剤は、油を有し得る。特定の実施形態では、油は、例えば、カンナビス油、カンナビノイド油、CBD油、オリーブ油、ゴマ油、カノーラ油、パーム油、植物油、それらの誘導体、又はそれらの組合せを有し得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、結晶を有し得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、溶液に分散又は溶解した油を有し得る。他の実施形態では、薬剤は、溶液中に分散または溶解された結晶を有し得る。特定の実施形態では、薬剤は、油に分散または溶解した結晶を有し得る。ある実施形態では、薬剤は、油に分散又は溶解したCBD結晶を有し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、薬剤は、ポリマーの重量を基準にして、約1wt%~約1,500wt%の量で存在し得る。本明細書で使用される「wt%」という用語は、特定された材料を含む製剤の総重量に基づく、特定された材料の重量パーセントを指す。例えば、ポリマーの重量を基準にして約500wt%の量で存在する薬剤は、薬剤の濃度がポリマーの総重量の5倍である最終製剤に相当する。一実施形態では、薬剤は、約1wt%~約1,500wt%の量で存在してもよい。いくつかの実施形態では、薬剤は、約50wt%~約75wt%の量で存在してもよい。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約20wt%、約30wt%、約40wt%、約50wt%、約60wt%、約70wt%、約80wt%、約90wt%、約100wt%、約110wt%、約120wt%、約130wt%、約140wt%、約150wt%、約160wt%、約170wt%、約180wt%、約190wt%、約200wt%、約210wt%、約220wt%、約230wt%、約240wt%、約250wt%、約260wt%、約270wt%、約280wt%、約290wt%、約300wt%、約310wt%、約320wt%、約330wt%、約340wt%、約350wt%、約360wt%、約370wt%、約380wt%、約390wt%、約400wt%、約410wt%、約420wt%、約430wt%、約440wt%、約450wt%、約460wt%、約470wt%、約480wt%、約490wt%、約500wt%、約510wt%、約520wt%、約530wt%、約540wt%、約550wt%、約560wt%、約570wt%、約580wt%、約590wt%、約600wt%、約610wt%、約620wt%、約630wt%、約640wt%、約650wt%、約660wt%、約670wt%、約680wt%、約690wt%、約700wt%、約710wt%、約720wt%、約730wt%、約740wt%、約750wt%、約760wt%、約770wt%、約780wt%、約790wt%、約800wt%、約810wt%、約820wt%、約830wt%、約840wt%、約850wt%、約860wt%、約870wt%、約880wt%、約890wt%、約900wt%、約910wt%、約920wt%、約930wt%、約940wt%、約950wt%、約960wt%、約970wt%、約980wt%、約990wt%、約1,000wt%、約1.110wt%、約1,120wt%、約1,130wt%、約1,140wt%、約1,150wt%、約1,160wt%、約1,170wt%、約1,180wt%、約1,190wt%、約1,200wt%、約1,210wt%、約1,220wt%、約1,230wt%、約1,240wt%、約1,250wt%、約1,260wt%、約1,270wt%、約1,280wt%、約1.290wt%、約1,300wt%、約1,310wt%、約1,320wt%、約1,330wt%、約1,340wt%、約1,350wt%、約1,360wt%、約1,370wt%、約1.380wt%、約1,390wt%、約1,400wt%、約1,410wt%、約1,420wt%、約1,430wt%、約1,440wt%、約1,450wt%、約1,460wt%、約1,470wt%、約1,480wt%、約1,490wt%、約1,500wt%またはこれらの値の任意の2つの間(端点を含む)をポリマーの重量に基づく範囲の量で存在していてもよい。例えば、図1及び図2は、ポリマーの重量を基準として、それぞれ50wt%及び75wt%の薬剤を含む電界紡糸ポリマー繊維の走査電子顕微鏡(SEM)画像を示している。
【0057】
本明細書に開示される実施形態の別の利点は、薬剤を含むポリマーを電界紡糸することにより、ポリマーから電界紡糸された構造内に高濃度の薬剤を含むメカニズムが提供されることである。押出成形又はコーティング技術などの他の処理方法は、押出成形されたポリマー内に存在し得る薬剤の量に制限がある。特に、押出ポリマーは、押出プロセスに耐えるためにある程度の機械的完全性を必要とするので、押出ポリマーは、高濃度の薬剤を保持することができない。高い薬剤含有量を有する押出ポリマーは、粘度の増加を示し、及び/又は機械的完全性を有さないか、若しくは貧弱な最終的な押出製品をもたらす。対照的に、本明細書に開示される電界紡糸構造体は、高い薬剤含有量を有する電界紡糸ポリマーから形成することができ、同時に高度な機械的完全性を有する電界紡糸構造体を提供することが可能である。本明細書に記載されるような電界紡糸ポリマーは、高濃度の薬剤を担持することができる。そのような高担持濃度の例は、本明細書に開示されている。電界紡糸ポリマーの高負荷濃度は、予想外に、強度及び伸びの極端な損失を被る典型的な溶融プロセス、すなわち押出成形を介して製造される構造体と比較して、十分な引張強度、弾性率及び伸びを維持する構造体をもたらす。例えば、一実施形態において、本明細書に記載の電界紡糸ポリマーは、約100wt%の薬剤を装填することができ、十分な引張強度、弾性率、及び伸びを維持する構造体をもたらすことができる。典型的な溶融加工技術は、押出成形品において機械的完全性の損失を被る前にポリマー中に存在し得る薬剤の量に制限される。例えば、典型的なポリ塩化ビニル(PVC)製剤の充填剤含有量を増加させると、破断伸度と引張強度が低下することが示されている。さらに、熱硬化性樹脂も充填剤含有量の増加に伴い、引張強さと伸び(%)の減少が見られる。典型的な溶融プロセスシステムは、約25%の充填剤の充填量で最高の合成特性を持つことが示されており、その後、合成特性は大きく損なわれる。したがって、約25%~50wt%を超える充填剤の充填量は、典型的な溶融プロセスポリマー系の強度、伸び、およびその他の機械的特性に悪影響を及ぼすことが示されている。対照的に、即時開示の実施形態による繊維、すなわち、高濃度の充填剤(薬剤を含む)を有する電界紡糸ポリマーから作られた繊維は、先行技術の溶融プロセスシステムに鑑みて予想外の十分な機械的完全性を保持することが観察されている。さらに、電界紡糸プロセスは、一般に薬剤の構造、純度、または完全性を破壊しない薬剤の安全な処理温度である室温で実施され得る。室温での処理は、本明細書に開示される方法を、薬剤を損傷する可能性がある溶融押出のような加熱処理よりも望ましいものにする。加えて、高濃度の薬剤を有する電界紡糸ポリマーは、例えば、有効量の薬剤を許容される投与方法で対象に送達することが可能な構造体をもたらす。したがって、いくつかの実施形態では、電界紡糸ポリマー中の薬剤の濃度を最大化することが望ましい。いくつかの実施形態では、薬剤は、ポリマー溶液から形成される構造の完全性を同時に保持しながら、電界紡糸ポリマー中の薬剤の濃度を最大化する量で存在してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、電界紡糸繊維は、約5μm~約5mの長さを有してよい。いくつかの実施形態において、繊維は、例えば、約5μm、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約150μm、約200μm、約250μm、約300μm、約400μm、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、約900μm、約1mm、約5mm、約10mm、約20mm、約30mm、約40mm、約50mm、約60mm、約70mm、約80mm、約90mm、約100mm、約150mm、約200mm、約250mm、約300mm、約350mm、約400mm、約450mm、約500mm、約550mm、約600mm、約650mm、約700mm、約750mm、約800mm、約850mm、約900mm、約950mm、約1m、約2m、約3m、約4m、約5m又はこれらの値の任意の2つの間(終点を含む)である。いくつかの実施形態では、電界紡糸構造体は、1つ以上の電界紡糸繊維、電界紡糸繊維断片、又はそれらの組み合わせから作製することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、電界紡糸繊維は、約50nm~約50μmの直径を有していてもよい。いくつかの実施形態では、電界紡糸繊維は、例えば、約50nm、約100nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、約500nm、約550nm、約600nm、約650nm、約700nm、約750nm、約800nm、約800nm、約850nm、約900nm、約950nm、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、またはこれらの値の任意の2値の範囲(終点も含む)の直径を有してよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、電界紡糸構造体は、例えば、断片、クラスター、撚糸、糸、ロープ、ブレード、シート、コイル、チューブ、シリンダー、織物、又は器官のモールドなどの形状に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、構造体は、例えば、気管、気管及び少なくとも1つの気管支の少なくとも一部、気管及び喉頭の少なくとも一部、喉頭、食道、大腸、小腸、上部腸、下部腸、血管構造、動脈、静脈、神経導管、靭帯、腱及びそれらの部分などの器官の型に成形されてもよい。いくつかの実施形態では、構造体は、縫合糸の形状に形成されてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、電界紡糸構造体は、シート、ストリップ、又はパッチを含み得る。いくつかの実施形態において、電界紡糸構造体は、約1cm~約6cmの平均長さ、約5mm~約10mmの平均幅、及び約1mm~約2mmの平均厚さを有し得る。シートの平均長さは、例えば、約1cm、約2cm、約3cm、約4cm、約5cm、約6cm、又は端点を含むこれらの値のうちの任意の2つの間の任意の範囲であってもよい。シートの平均幅は、例えば、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、又は端点を含むこれらの値のうちの任意の2つの間の任意の範囲であってよい。シートの平均厚さは、例えば、約1mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、約2mm、又は端点を含むこれらの値ののうちの任意の2つの間の任意の範囲であってもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される電界紡糸構造体は、特定の方法で、又は特定の期間にわたって分解し、薬剤の定義された放出プロファイルを提供するように構成され得る。すなわち、電界紡糸構造体が対象の身体と接触すると(例えば、摂取、局所適用、又は舌下適用の場合)、構造体のポリマーは(自然に又は対象の身体の機構を介して)分解し、これにより電界紡糸構造体内に分散された薬剤が対象に放出される。したがって、電界紡糸構造体は、薬剤の時間的な放出を予測可能に制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、構造体は、定義された期間にわたって分解するポリマー型から電界紡糸され得る。いくつかの実施形態では、構造体は、異なる又は同じ期間にわたって分解するポリマー型の組み合わせ又はブレンドから電界紡糸することができる。例えば、電界紡糸構造体は、第1の期間にわたって分解する第1のポリマー材料と、第2の期間にわたって分解する第2のポリマー材料とから構成され得る。したがって、そのような電界紡糸構造体は、第1の期間にわたって第1の量の薬剤(第1のポリマー材料内に分散される)を放出し、第2の期間にわたって第2の量の薬剤(第2のポリマー材料内に分散される)を放出するであろう。期間は互いに重なり得るか、または非重複である。異なるポリマー材料は、例えば、共電界紡糸、同軸電界紡糸、多軸電界紡糸、又はそれらの組み合わせを含む様々な異なる技術を使用して、電界紡糸構造体を形成するために互いに電界紡糸され得る。いくつかの実施形態では、構造体は、構造体の分解、ひいては薬剤の放出プロファイルを制御するために、特定の構成で作製することができる。一実施形態では、電界紡糸構造体は、同軸配置された第1のポリマー溶液及び第2のポリマー溶液を用いて同軸電界紡糸されたコアシェル電界紡糸構造体を構成し得る。第1ポリマー溶液及び第2ポリマー溶液は、同じポリマー材料であってもよいし、異なるポリマー材料であってもよい。別の実施形態では、電界紡糸構造体は、3軸構成で配置された3つのポリマー溶液を用いて多軸電界紡糸されたコアシェル電界紡糸構造体を含み得る。さらに別の実施形態では、電界紡糸構造体は、複数の電界紡糸ポリマーを互いに共電界紡糸し、それによって複数の絡み合ったポリマー繊維を形成することからなることができる。
【0063】
特定の実施形態では、本明細書に記載される電界紡糸構造体は、任意の薬剤が有効であることが知られている任意の障害を含む、多くの障害を治療するために使用され得る。そのような障害には、例えば、てんかんなどの発作性障害、パーキンソン病や振戦などの運動障害、うつ病、不安、気分障害、人格障害、睡眠障害、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、神経変性障害、痛みなどが含まれ得る。また、このような障害としては、例えば、喘息、依存症、多発性硬化症、免疫障害、アレルギー、アナフィラキシー、慢性疾患、偏頭痛、糖尿病、癌等を挙げることができる。
【0064】
一実施形態では、本明細書に記載の電界紡糸構造体は、例えば、対象における発作障害を治療するために使用され得る。対象における障害を治療するための方法は、電界紡糸ポリマー及び有効量の薬剤を含む構造体を得る工程と、前記構造体を前記対象の領域に適用する工程と、及び電界紡糸構造体を崩壊させる工程とを含み得る。このような実施形態では、電界紡糸構造体は、例えば、ポリ(エチレンオキシド)及びCBDを有し得る。特定の実施形態では、薬剤は、電界紡糸ポリマーの重量を基準として約100wt%の量で存在してもよい。いくつかの実施形態では、障害は、発作性障害であってよい。他の実施形態では、障害は、本明細書に記載される障害のいずれかであってよい。
【0065】
様々な実施形態において、本明細書に記載の薬剤含浸電界紡糸ポリマー構造体は、様々な異なる様式で、及び/又は様々な異なるオリフィス若しくは膜を介して送達され得る。特に、薬剤含浸電界紡糸ポリマー構造体は、経口投与、局所投与、頬側投与、舌下投与、膣投与、肛門投与、眼投与、及び/又は経鼻投与などの様々な異なる投与技法で送達され得る。薬剤は、電界紡糸ポリマー構造体がそれと接触したときに崩壊するようにする任意の膜又はオリフィスを介して投与され得る。これらの実施形態において、電界紡糸ポリマー構造体は、個人の身体の領域(例えば、頬領域又は舌下領域)に適用され、ある期間にわたって崩壊するようにされて、ある期間にわたって個人に薬剤を送達し得る。
【0066】
別の実施形態では、方法は、電界紡糸ポリマー及び有効量の薬剤を含む構造体を得る工程と、対象内に構造体を移植する工程と、及び構造体を崩壊させる工程とを含み得る。特定の実施形態では、薬剤は、電界紡糸ポリマーの重量に基づいて約100wt%の量で存在し得る。
【0067】
一例の実施態様として、CBDオイルのような薬剤を、本明細書に記載されるような電界紡糸ポリマー構造体で組み込むことにより、カンナビジオール化合物を含む繊維状スキャフォールドを製造することができる。このようなスキャフォールドが、インビボで望ましい分解速度を有するポリマーを選択することによって作られるならば、得られるスキャフォールドは、薬物送達のための有望な候補となり得る。例えば、ポリ(エチレンオキシド)とCBDオイルを有する繊維状スキャフォールドは、機械的特性を失うことなく約100%の油を有することができるので、CBDの送達のための口腔内崩壊錠またはスキャフォールドとして使用することができる。本明細書に記載の方法において使用するための繊維状スキャフォールドの寸法を変更し、投与頻度を変更することは、対象に対する薬物投与量を変更するための簡単な方法を表すことができる。頬側から投与される場合、繊維状スキャフォールドは、体内に吸収される際に対象の口の中で崩壊し、それによって、CBDの他の送達様式に関連する第一通過代謝をバイパスして、胃腸の副作用を排除することができる。対象にCBDオイルを送達する現在の方法と比較すると、これは典型的には、対象がゴマ油などの担体と混合された大量のCBDオイルを毎日複数回飲むことを含み、本明細書に記載の繊維を含むスキャフォールドは、投与される薬剤のバイオアベイラビリティを驚くほど改善することを可能にし得る。本明細書に記載の投与方法はまた、他の経口薬を嚥下する又は服用する対象の能力に関係なく、特定の投与レジメンに対する対象のコンプライアンスを改善することができる。本明細書に記載の投与方法はまた、特にキャリアオイル中の薬物の不正確な組み合わせと比較した場合、特定の薬剤の投与量を繊維に含ませる精度を改善し得る。
【0068】
実施例
実施例1:電界紡糸ポリマー繊維内への油の分散
いくつかの例では、ポリマー(例えば、ポリ(エチレンオキシド)及びEudragitのL-100)を、油のための水溶性及びpH感受性ポリマー担体として使用した。ジクロロメタンに溶解したポリ(エチレンオキシド)を含むポリマー溶液は、溶液中の固体ポリマーの質量に対する油の質量に関して、1:1の高さの油成分の充填で連続電界紡糸繊維を製造することが可能であった。溶液中の固体ポリマーの質量に対する油の質量の1:2の比を用いて、以下の油を試験し、連続電界紡糸繊維を製造した:植物油、キャノーラ油、オリーブ油、及びゴマ油。オリーブ油、ヘキサフルオロイソプロパノール、およびポリ(グリコール酸)またはポリ(酢酸ビニル)から構成される溶液を電界紡糸し、連続的な電界紡糸繊維を生成した。これらの溶液は、電界紡糸によって繊維に形成された。油が充填されたポリマー溶液をシリンジに装填し、金属製の針先に10kV~13kVの正電圧をかけながら、20ゲージ針を通して5mL/時の流速で送液した。この帯電した針の先端を、適用電圧-5kVの捕集面から20~30cm離した位置に配置した。このようにして製造された材料を、厚さ約0.1mmの繊維マットが生成されるまで蓄積した。例えば、図1および図2は、ポリマーの重量に基づいてそれぞれ50wt%および75wt%の薬剤(油状)を有する電界紡糸ポリマー繊維の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
【0069】
実施例2:豚モデルにおけるカンナビジオールの経口送達と舌下送達
カンナビジオールの経口投与と舌下投与の両方を受けるように、4頭の健康なヨークシャーブタを選択した(すなわち、各動物は、48時間おきに経口投与と舌下投与の両方を受けた)。舌下投与では、本明細書に記載のような繊維を含むスキャフォールドを各動物に対して使用した。具体的には、カンナビジオールと、ジクロロメタンに溶解した13wt%の分子量100,000のポリエチレンオキシドとを有するポリマー溶液を用いて、繊維を電界紡糸した。カンナビジオールは、本明細書に記載されるように、得られた電界紡糸ポリエチレンオキシド繊維内に分散された。得られた電界紡糸ポリエチレンオキシド繊維は、(ポリエチレンオキシドの質量に対して)40wt%のカンナビジオールおよび50wt%の菓子用糖類(すなわち、ポリエチレンオキシド10mgに対して、4mgのカンナビジオールおよび5mgの菓子用糖類が加えられた)を有した。
【0070】
スキャフォールドは各動物の舌下に置かれ、その場で溶けるようにした。動物の静脈にカテーテルを入れ、ベースラインと投与後3、9、15、30、45、60、120分に血液を採取した。
【0071】
経口投与では、各動物は、舌下投与に用いたスキャフォールド内に含まれるカンナビジオールと同量のカンナビジオール(各投与で合計10mgのカンナビジオール)を含むグミ(経口投与)を受けた。ベースラインと投与後3、9、15、30、45、60、120分に再び静脈カテーテルを用いて血液を採取した。
【0072】
各血液サンプルを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析し、カンナビジオールの血漿濃度をng/mLで決定した。図3は、本明細書に記載の繊維を用いて舌下投与した場合(「ストリップ」)および経口投与した場合(「グミ」)の代表的な動物(番号7~18)におけるカンナビジオールの血漿中濃度を示すグラフである。図3は、舌下投与が、経口投与と比較して、より短時間でより高い血漿濃度に到達したことを示している。
【0073】
実施例3:豚モデルにおけるクエン酸シルデナフィルの経口送達と舌下送達
クエン酸シルデナフィルの経口投与と舌下投与の両方を受けるように、4頭の健康なヨークシャーブタを選択した(すなわち、各動物は48時間おきに経口投与と舌下投与の両方を受けた)。舌下投与では、本明細書に記載の繊維を有するスキャフォールドを各動物に対して使用した。具体的には、クエン酸シルデナフィルと、ジクロロメタンに溶解した13wt%の分子量100,000のポリエチレンオキシドとを有するポリマー溶液を用いて、構成される繊維を電界紡糸した。クエン酸シルデナフィルは、本明細書に記載されるように、得られた電界紡糸ポリエチレンオキシド繊維内に分散された。得られた電界紡糸ポリエチレンオキシド繊維は、(ポリエチレンオキシド質量に対して)25wt%のクエン酸シルデナフィルおよび50wt%の菓子用糖類(すなわち、ポリエチレンオキシド10mgに対して、2.5mgのクエン酸シルデナフィルおよび5mgの菓子用糖類が加えられた)を有した。
【0074】
スキャフォールドは各動物の舌下に置かれ、その場で溶けるようにした。動物の静脈にカテーテルを入れ、ベースラインと投与後3、9、15、30、45、60、120分に血液を採取した。
【0075】
経口投与では、各動物は舌下投与に用いたスキャフォールド内に含まれる同量のクエン酸シルデナフィル(各投与で合計25mgのクエン酸シルデナフィル)を含む丸薬(経口投与)を受けた。ベースラインと投与後3、9、15、30、45、60、120分に再び静脈カテーテルを用いて血液を採取した。
【0076】
各血液サンプルをHPLCを用いて分析し、クエン酸シルデナフィルの血漿濃度をng/mLで決定した。図4は、代表的な動物(番号4~17)において、本明細書に記載の繊維を用いて舌下投与した場合(「ストリップ(strip)」)および経口投与した場合(「丸薬(pill)」)のクエン酸シルデナフィルの血漿中濃度を示すグラフである。図4は、舌下投与が経口投与と比較して短時間で高い血漿濃度に達し、舌下投与がより長い期間にわたって高い血漿濃度を維持することを示す。
【0077】
本開示は、その例示的な実施形態の説明によって例示され、実施形態が特定の詳細に記載されてきたが、添付の請求項の範囲をそのような詳細に制限すること、またはいかなる方法でも制限することは、出願人の意図ではない。追加の利点および修正は、当業者には容易に現れるであろう。したがって、その広い局面における本開示は、示され、説明された特定の詳細、代表的な装置及び方法、及び/又は例示的な例のいずれにも限定されない。したがって、本出願人の一般的な発明概念の精神または範囲から逸脱することなく、そのような詳細から逸脱することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】