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特表2023-518686BCMAに特異的な抗体およびキメラ抗原受容体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】BCMAに特異的な抗体およびキメラ抗原受容体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230426BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230426BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230426BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20230426BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230426BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230426BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230426BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230426BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20230426BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20230426BHJP
【FI】
C12N15/13
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/12
C07K16/18
C07K19/00
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K14/725
C12N1/15
A61P35/00
A61K35/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553680
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(85)【翻訳文提出日】2022-09-05
(86)【国際出願番号】 KR2021003135
(87)【国際公開番号】W WO2021182929
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0031211
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522352373
【氏名又は名称】キュロセル インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】CUROCELL INC.
【住所又は居所原語表記】(Sinseong-dong)48,Yuseong-daero 1184beon-gil,Yuseong-gu,Daejeon 34109,Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】518357128
【氏名又は名称】イファ ユニバーシティ-インダストリー コラボレーション ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】EWHA UNIVERSITY - INDUSTRY COLLABORATION FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】52, Ewhayeodae-gil Seodaemun-gu Seoul 03760, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】シム、ヒョン ボ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョン チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミ ギョン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB63
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA51
4H045FA74
(57)【要約】
抗BCMA結合タンパク質に関し、詳しくは、BCMAに特異的に結合する抗原結合領域を含み、前記抗原結合領域は、i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域の相補性決定領域1(VH-CDR1)と、ii)配列番号2のアミノ酸配列または配列番号2と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、iii)配列番号3のアミノ酸配列または配列番号3と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVH-CDR3と、を含む、単離されたBCMA結合タンパク質を提供する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BCMAに特異的に結合する抗原結合領域を含むBCMA結合タンパク質であって、
前記抗原結合領域は、
i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域の相補性決定領域1(VH-CDR1)と、
ii)配列番号2のアミノ酸配列または配列番号2と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、
iii)配列番号3のアミノ酸配列または配列番号3と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVH-CDR3と、
を含む
ことを特徴とする単離されたBCMA結合タンパク質。
【請求項2】
前記抗原結合領域は、
i)配列番号4のアミノ酸配列または配列番号4と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域の相補性決定領域1(VL-CDR1)と、
ii)配列番号5のアミノ酸配列または配列番号5と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVL-CDR2と、
iii)配列番号6のアミノ酸配列または配列番号6と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVL-CDR3と、
をさらに含む
請求項1に記載の単離されたBCMA結合タンパク質。
【請求項3】
前記BCMA結合タンパク質は、
配列番号7のアミノ酸配列または配列番号7と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)配列と、
配列番号8のアミノ酸配列または配列番号8と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)と、
を含む
請求項1に記載の単離されたBCMA結合タンパク質。
【請求項4】
前記BCMA結合タンパク質はリンカーをさらに含み、前記リンカー、VHおよびVLは、N末端からC末端方向へのVH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VHから選択されるいずれか1つの順序で配列される
請求項3に記載の単離されたBCMA結合タンパク質。
【請求項5】
前記BCMA結合タンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む
請求項1に記載の単離されたBCMA結合タンパク質。
【請求項6】
前記BCMA結合タンパク質は、
i)IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMから選択される免疫グロブリンと、
ii)Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、VHH、VNARから選択される天然抗体断片と、
iii)scFv、dsFv、ds-scFv、(scFv)2、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ペンタボディから選択されるエンジニアリング抗体と、
iv)Fc、少なくとも1つの重鎖定常領域、多量体化領域、化学リンカー、またはそれらの組み合わせに連結されたii)またはiii)と、
v)抗BCMAキメラ抗原受容体(CAR)と、からなる群から選択されるいずれか1つである
請求項1に記載の単離されたBCMA結合タンパク質。
【請求項7】
前記抗BCMAキメラ抗原受容体は細胞内シグナル伝達領域をさらに含み、
前記細胞内シグナル伝達領域は、CD3ζ、FcγR、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD27、CD28、IL-2Rβ、IL-15R-α、CD40、MyD88、DAP10、DAP12、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、SLAMタンパク質、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、CD2、CD7、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、B7-H3、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、およびCD83特異的リガンドから選択されるいずれか1つ以上に由来するシグナル伝達領域を含む
請求項6に記載の単離されたBCMA結合タンパク質。
【請求項8】
前記抗BCMAキメラ抗原受容体は膜貫通領域をさらに含み、前記膜貫通領域は、T細胞受容体(TCR)α鎖、TCRβ鎖、CD3ζ、CD3ε、CD28、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、CD278、およびCD314から選択されるいずれか1つに由来する
請求項6に記載の単離されたBCMA結合タンパク質。
【請求項9】
前記抗BCMAキメラ抗原受容体はヒンジ領域をさらに含み、前記ヒンジ領域は、前記BCMA結合タンパク質と膜貫通領域との間に位置し、CD8、FcγIIIαおよびIgG1から選択されるいずれか1つに由来する
請求項6に記載の単離されたBCMA結合タンパク質。
【請求項10】
前記抗BCMAキメラ抗原受容体は、N末端におけるシグナルペプチドをさらに含み、前記シグナルペプチドは、CD8、IgG1重鎖、IgK軽鎖およびGM-CSFから選択されるいずれか1つに由来する
請求項6に記載の単離されたBCMA結合タンパク質。
【請求項11】
前記抗BCMAキメラ抗原受容体は、配列番号15のアミノ酸配列または配列番号15と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む
請求項6に記載の単離されたBCMA結合タンパク質。
【請求項12】
請求項1に記載のBCMA結合タンパク質をコードする
ことを特徴とする単離された核酸。
【請求項13】
請求項12に記載のBCMA結合タンパク質をコードする核酸を含む
ことを特徴とする細胞。
【請求項14】
請求項1に記載のBCMA結合タンパク質を発現する
ことを特徴とする細胞。
【請求項15】
請求項13または14に記載の細胞を含む
ことを特徴とする抗がん効果を有する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合するタンパク質に関し、より詳しくは、BCMA結合タンパク質、それをコードする核酸、それを含む細胞、および前記細胞を含む、抗がん効果を有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
がん治療、特に血液がん(hematological malignancy)に対する優れた効果を示してきた改変T細胞療法は、標的分子特異的な方法で腫瘍細胞と特異的に結合してそれを殺せるように遺伝子操作されたT細胞を用いたがん治療方法である。このような標的化は一般に、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする組換えDNA分子を患者由来のT細胞に導入することによって行われる。CARは、細胞外標的化領域、膜貫通領域、および1つ以上の細胞内シグナル伝達領域を含む合成受容体である。ほとんどの場合、細胞外標的化領域は、所与の腫瘍関連抗原(tumor-associated antigen:TAA)などの標的分子に特異的な抗体の一本鎖Fv断片(scFv)からなる。細胞外標的化領域は、CARが腫瘍に対する特異性を有するようにし、細胞内シグナル伝達領域はCARの標的分子結合時にT細胞を活性化し、これらの操作されたT細胞はがん患者に再注入され、CARの標的分子を発現する細胞に特異的に結合してこれを殺す。
【0003】
血液がんにおけるCAR-T治療の有効性を報告する多くの臨床研究は、B細胞悪性腫瘍の治療に関するもので、CD19またはCD20を標的化している。CAR-T細胞療法が効果的な治療法として浮上しているが、CARシグナル伝達の最適化、標的抗原の最適化、細胞製造方法の最適化、安全性の向上、CAR-T細胞の治療可能性を高めるための組み合わせ戦略の最適化などの様々な側面において依然として改善の余地がある。
【0004】
多発性骨髄種(MM)は、クローン形質細胞の蓄積を特徴とするの蓄積を特徴とするがんである。MMは血液がんの2番目に多く発生し、MMによる死亡はすべてのがんによる死亡の2%を占めている。MMは患者ごとに特性が不均一な疾患であり、攻撃性や治療耐性の程度差が大きい。例えば、一部の患者は診断後10年以上生存するが、治療に対する耐性が急速に発達し、2年以内に死亡する患者もいる。様々な治療薬が開発されているが、現在、MMに対する治療はあまり効果を期待できない。すなわち、既存の療法がMMの寛解を誘導することもあるが、結局、ほぼすべての患者で疾患が再発して死亡に至り、化学療法や放射線療法などの伝統的な治療方法には有毒な副作用がある。したがって、MMを治療するためのより効果的な治療薬が必要とされている。
【0005】
報告されているMMの治療の潜在的な標的には、成熟B細胞上で主に発現する腫瘍壊死因子受容体ファミリーのメンバーであるB細胞成熟抗原(BCMA)がある。BCMAは形質細胞の生存を媒介し、健康な個体の体液性免疫を長期的に維持するが、最近、BCMAの発現が多くのがん、自己免疫障害および感染性疾患と関連していることが報告されている。BCMAの発現が増加したがんには、一部の血液がん、例えば、多発性骨髄腫、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、様々な白血病および膠芽細胞腫が含まれる。したがって、BCMA発現細胞を特異的に標的とする効果的な治療薬が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の要求を解決するために案出されたものであり、本発明は、BCMAに特異的に結合する抗原結合領域を含む単離されたBCMA結合タンパク質であって、前記抗原結合領域が、i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域の相補性決定領域1(VH-CDR1)と、ii)配列番号2のアミノ酸配列または配列番号2と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、iii)配列番号3のアミノ酸配列または配列番号3と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVH-CDR3と、を含む、単離されたBCMA結合タンパク質を提供する。
【0007】
また、本発明は、前記BCMA結合タンパク質をコードする単離された核酸を提供する。
【0008】
さらに、本発明は、前記BCMA結合タンパク質をコードする核酸を含む細胞を提供する。
【0009】
またさらに、本発明は、前記BCMA結合タンパク質を発現する細胞を提供する。
【0010】
またさらに、本発明は、前記細胞を含む、抗がん効果を有する組成物を提供する。
【0011】
本発明が達成しようとする技術的課題は、上記の技術的課題に限定されるものではなく、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載から本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の技術的課題を達成するために、本発明の一態様による単離されたBCMA結合タンパク質は、BCMAに特異的に結合する抗原結合領域を含み、前記抗原結合領域は、i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域の相補性決定領域1(VH-CDR1)と、ii)配列番号2のアミノ酸配列または配列番号2と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、iii)配列番号3のアミノ酸配列または配列番号3と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVH-CDR3と、を含む。
【0013】
ここで、前記抗原結合領域は、i)配列番号4のアミノ酸配列または配列番号4と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域の相補性決定領域1(VL-CDR1)と、ii)配列番号5のアミノ酸配列または配列番号5と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVL-CDR2と、iii)配列番号6のアミノ酸配列または配列番号6と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVL-CDR3と、をさらに含んでいてもよい。
【0014】
前記BCMA結合タンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列または配列番号7と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)配列と、配列番号8のアミノ酸配列または配列番号8と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)と、を含んでいてもよい。前記BCMA結合タンパク質はリンカーをさらに含み、前記リンカー、VHおよびVLは、N末端からC末端方向へのVH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VHから選択されるいずれか1つの順序で配列されてもよい。
【0015】
前記BCMA結合タンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0016】
前記BCMA結合タンパク質は、i)IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMから選択される免疫グロブリンと、ii)Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、VHH、VNARから選択される天然抗体断片と、iii)scFv、dsFv、ds-scFv、(scFv)2、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ペンタボディから選択されるエンジニアリング抗体と、iv)Fc、少なくとも1つの重鎖定常領域、多量体化領域、化学リンカー、またはそれらの組み合わせに連結されたii)またはiii)と、v)抗BCMAキメラ抗原受容体(CIR)と、からなる群から選択されるいずれか1つであってもよい。前記抗BCMAキメラ抗原受容体は細胞内シグナル伝達領域をさらに含み、前記細胞内シグナル伝達領域は、CD3ζ、FcγR、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD27、CD28、IL-2Rβ、IL-15R-α、CD40、MyD88、DAP10、DAP12、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、SLAMタンパク質、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、CD2、CD7、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、B7-H3、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、およびCD83特異的リガンドから選択されるいずれか1つ以上に由来するシグナル伝達領域を含んでいてもよい。前記抗BCMAキメラ抗原受容体は膜貫通領域をさらに含み、前記膜貫通領域は、T細胞受容体(TCR)α鎖、TCRβ鎖、CD3ζ、CD3ε、CD28、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、CD278、およびCD314から選択されるいずれか1つに由来してもよい。前記抗BCMAキメラ抗原受容体はヒンジ領域をさらに含み、前記ヒンジ領域は、前記BCMA結合タンパク質と膜貫通領域との間に位置し、CD8、FcγRIIIαおよびIgG1から選択されるいずれか1つに由来してもよい。前記抗BCMAキメラ抗原受容体は、N末端におけるシグナルペプチドをさらに含み、前記シグナルペプチドは、CD8、IgG1重鎖、IgK軽鎖およびGM-CSFから選択されるいずれか1つに由来してもよい。前記抗BCMAキメラ抗原受容体は、配列番号15のアミノ酸配列または配列番号15と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0017】
本発明の他の一態様による単離された核酸は、前記BCMA結合タンパク質をコードすることを特徴とする。
【0018】
本発明のさらに他の一態様による細胞は、前記BCMA結合タンパク質をコードする核酸を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明のさらに他の一態様による細胞は、前記BCMA結合タンパク質を発現することを特徴とする。
【0020】
本発明のさらに他の一態様による抗がん効果を有する組成物は、前記BCMA結合タンパク質をコードする核酸を含む細胞、または前記BCMA結合タンパク質を発現する細胞を含む。
【0021】
上述した課題を解決する手段は、単に例示的なものであり、本発明を限定しようとするものと解釈されてはならない。上述した例示的な実施形態に加えて、図面及び発明の詳細な説明においてさらなる実施形態が存在することが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、BCMAに特異的に結合する抗原結合領域を含むBCMA結合タンパク質であって、前記抗原結合領域が、i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域の相補性決定領域1(VH-CDR1)と、ii)配列番号2のアミノ酸配列または配列番号2と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、iii)配列番号3のアミノ酸配列または配列番号3と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVH-CDR3と、を含む、単離されたBCMA結合タンパク質を最初に開示する。
【0023】
本発明の一実施形態による前記BCMA結合タンパク質は、BCMAに対する特異的結合活性を示すことができる。
【0024】
本発明の一実施形態による前記BCMAに特異的に結合する抗原結合領域を含むキメラ抗原受容体(CAR)は、免疫細胞において十分に発現され得る。このように前記BCMAに特異的なCARを発現する免疫細胞は、BCMAを発現する細胞に対して特異的な細胞毒性を示す可能性があり、生体内に導入時にBCMAを発現する腫瘍を効果的に治療することができる。
【0025】
本発明の一実施形態による前記BCMA結合タンパク質は、BCMAに関連することが知られている多数のがん、自己免疫障害および感染性疾患などの疾病、特にがん疾患の診断、予防、予後予測および治療などに用いることができる。
【0026】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明又は特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】抗BCMA scFv抗体候補物質のBCMA特異的結合を確認するためのFACSデータである。
図2】本発明の一実施形態による抗BCMA CARおよびそれを含むベクターの構造模式図である。
図3】本発明の一実施形態による抗BCMA CARの配列および構造である。
図4】本発明の一実施形態による抗BCMA CARの細胞発現を、ビオチン化BCMAを用いて分析したデータである。
図5】本発明の一実施形態による抗BCMA CARの細胞発現を、ビオチン化抗ヒトFab抗体を用いて分析したデータである。
図6】本発明の一実施形態による抗BCMA CAR-T細胞のIFN-γ分泌活性分析データである。
図7】抗BCMA(C11D5.3)および抗BCMA(B10)scFvで調製した各抗BCMA CAR構成とそのT細胞上の発現を示すデータである。
図8】抗BCMA(C11D5.3)および抗BCMA(B10)scFvで調製した各抗BCMA CAR-Tの細胞毒性能を示すデータである。
図9】抗BCMA(C11D5.3)および抗BCMA(B10)scFvで調製した各抗BCMA CAR-Tの生体内抗がん効果を示す代表的なイメージ(CAR-T投与量1×10個)である。
図10】抗BCMA(C11D5.3)および抗BCMA(B10)scFvで調製した各抗BCMA CAR-Tの生体内抗がん効果を示す代表的なイメージ(CAR-T投与量0.5×10個)である。
図11】抗BCMA(C11D5.3)および抗BCMA(B10)scFvで調製した各抗BCMA CAR-Tの生体内抗がん効果を示す代表的なイメージ(CAR-T投与量0.25×10個)である。
図12】抗BCMA(C11D5.3)および抗BCMA(B10)scFvで調製した各抗BCMA CAR-Tの投与量別生体内抗がん効果を示すデータである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して本発明について説明する。しかしながら、本発明は種々の異なる形態に実現でき、したがってここで説明する実施形態に限定されるものではない。そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書の全体にわたって同一または類似する構成要素に対しては同一の参照符号を付けた。
【0029】
明細書の全般に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているとしたとき、これは、「直接的に連結」されている場合だけではなく、これらの間に他の部材を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。ある部分がある構成要素を「備える(含む)」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに備えていてもよいということを意味する。
【0030】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたもので、本発明を限定する意図はない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しない。
【0031】
本明細書では、「領域(domain)」は、機能的または構造的特性を有する単位を指す用語として使用される。例えば、結合領域(binding domain)は、標的分子(例えば抗原)を認識または相互作用して特異的に結合する機能を有する任意の領域を指す。本発明によるBCMA結合タンパク質は、抗原であるBCMAに特異的な結合領域を含む。本発明による領域は、好ましくはポリペプチドである。このようなポリペプチドは、単一のポリペプチド鎖であり得、いくつかのポリペプチド鎖の一部を組み合わせることで形成されるモジュールであり得る。前記ポリペプチドは、タンパク質部分および非タンパク質部分を含み得、この場合、前記非タンパク質部分は、例えばグルタルアルデヒドなどの化学的架橋剤または化学的リンカーであり得る。
【0032】
本発明で使用される「VH」、「VL」、「CDR」、「Fv」、「Fab」、「Fab」、「F(ab’)2」、「Fc」、「VHH」、および「VNAR」はそれぞれ、一般に免疫グロブリンと交換可能な用語として使用される天然抗体の一部(すなわち、断片)である。基本的な4本鎖抗体ユニットは、2本の同一の軽鎖(Light chainまたはL chain)及び2本の同一の重鎖(Heavy chainまたはH chain)から構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、1つのジスルフィド共有結合によって重鎖に連結され、2本の重鎖は、重鎖アイソタイプに応じて1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結されている。重鎖及び軽鎖はそれぞれ、さらに規則的に離間した鎖間ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は、N末端からC末端への順に可変領域(VH)とそれに連結された定常領域(CH)を含み、このとき、哺乳動物免疫グロブリンの場合、α鎖、δ鎖およびγ鎖の各々については3つの定常領域(CH)、ならびにμ及びεアイソタイプの各々については4つのCHを有する。各軽鎖は、N末端からC末端への順に可変領域(VL)とそれに連結された定常領域(CL)を有する。VLは、VHと整合しており、CLは、重鎖の第1の定常領域(CH1)と整合している。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変領域と重鎖可変領域との間に界面を形成すると知られており、VHとVLとが一緒に対合(pairing)することにより、単一の抗原結合部位を形成する。免疫グロブリンは、含まれる重鎖の種類によって分類でき、例えば、重鎖としてα、δ、ε、γ、μを含む哺乳動物の免疫グロブリンは、それぞれ順にIgA、IGD、IgE、IgG、およびIgMに分類される。一部の系統の動物は、他の形態の免疫グロブリンを有することもある。例えば、鳥類、両生類、脛骨および軟骨魚類では重鎖可変領域の種類および/または個数が異なる免疫グロブリンが見られ、ラクダ科(Camelidae)動物とサメでは重鎖のみで構成され、定常領域の数がそれぞれ2と5個であり、それぞれVHHおよびVNARと呼ばれる重鎖可変領域を含む免疫グロブリンが見られる。
【0033】
前記「可変」は、可変領域のある特定のセグメントが、抗体間で配列が大幅に異なるという事実に関連している。可変領域は、抗原結合を媒介する部分であり、特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を規定する。このような可変性は、可変領域全体にわたって均等に分布しているわけではなく、軽鎖及び重鎖の両方の可変領域において、 超可変領域(超可変領域(hypervariable region;HVR)または相補性決定領域(complementarity-determining region:CDR)) と呼ばれる3つのセグメントに集中している。これに対して、可変領域上でより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(framework region:FR)と呼ばれる。哺乳動物免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の可変領域は、それぞれ3つのCDRによって連結された4つのFRを含む。各鎖において、CDRはFR領域によって近接して配置されており、これにより他の鎖のCDRと共に抗体の抗原結合領域を形成する。定常領域は、抗体を抗原に結合することに直接関連するわけではないが、抗体依存性細胞傷害を誘導する際に抗体を認識する部位になるなどの機能を有する。
【0034】
Fvは、抗体の抗原認識および結合部位を完全に含む最小限の断片であり、VHおよびVLの二量体からなる。Fabは、Fvと比較して軽鎖の定常領域およびCH1を含む断片を指し、IgG抗体をパパインで処理することにより得ることができる。Fab′は、Fabと比較してヒンジ(CH1とCH2との間)部の一部をさらに含み、IgG抗体をペプシン処理して得られるF(ab′)2は、ジスルフィド結合でつながっているヒンジ部を含むので、2価の結合部位を含むことになる。Fc領域は、抗原特異的結合領域を含まない抗体の結晶化可能な定常領域であり、2つの同一のタンパク質断片からなる。IgG、IgAおよびIgDアイソタイプにおけるFc領域は、抗体重鎖の第2および第3定常領域(CH2-CH3)を含み、IgMおよびIgEアイソタイプにおけるFc領域は、抗体重鎖の第2、第3および第4定常領域(CH2-CH3-CH4)を含む。
【0035】
本明細書に含まれるアミノ酸配列は、本発明による結合タンパク質の結合特性を維持しつつ配列の相違が生じるように変化した場合、当該配列と80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上の相同性を有する配列を含み得る。変化は、幾つかのアミノ酸残基の付加、置換、または欠失から選択されるいずれか1つ以上であり得る。
【0036】
本発明の一態様による単離されたBCMA結合タンパク質は、BCMAに特異的に結合する抗原結合領域を含み、前記抗原結合領域は、i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域の相補性決定領域1(VH-CDR1)と、ii)配列番号2のアミノ酸配列または配列番号2と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、iii)配列番号3のアミノ酸配列または配列番号3と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVH-CDR3と、を含む。好ましくは、BCMA結合タンパク質は、i)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域の相補性決定領域1(VH-CDR1)と、ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、iii)配列番号3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3と、を含む。
【0037】
ここで、前記BCMA結合タンパク質は、i)配列番号4のアミノ酸配列または配列番号4と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域の相補性決定領域1(VL-CDR1)と、ii)配列番号5のアミノ酸配列または配列番号5と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVL-CDR2と、iii)配列番号6のアミノ酸配列または配列番号6と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むVL-CDR3と、をさらに含み得る。好ましくは、前記BCMA結合タンパク質は、i)配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域の相補性決定領域1(VL-CDR1)と、ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むVL-CDR2と、iii)配列番号6のアミノ酸配列を含むVL-CDR3と、をさらに含み得る。
【0038】
B細胞成熟抗原(BCMA)は、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーのメンバーである。BCMAは、B細胞活性化因子(BAFF)および増殖誘導リガンド(APRIL)に結合する。BCMAは、非悪性細胞の中でも主として血漿細胞および成熟B細胞のサブセットにおいて発現することが報告されている。
【0039】
BCMAは、様々なヒトがんで発現または過剰発現している。BCMAを発現または過剰発現するがんの例としては、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、急性リンパ性白血病(ALL)リンパ腫、ホジキンリンパ腫および多発性骨髄腫(MM)などが挙げられる。本発明のBCMA結合タンパク質は、BCMAを特異的に認識し、それに結合することにより、BCMAを発現するがん細胞を標的化することができる。このようなBCMA結合タンパク質を含むポリペプチドまたはタンパク質は、BCMA発現がん細胞を検出すること、BCMA発現がん細胞の標的化及び破壊、がん細胞の減少及び除去、免疫細胞及び/又はエフェクター分子の腫瘍部位への浸潤の促進、並びに抗がん反応の増強/延長など、疾患の診断、予防、予後予測および治療のための全過程で利用できると予想できる。前記BCMA結合タンパク質を含むポリペプチドまたはタンパク質は、上記の用途で使用される場合、その有効性を高めるために追加のポリペプチド、タンパク質または化合物などと結合され得る。例えば、前記BCMA結合タンパク質は、結晶化可能フラグメント(crystallizable fragment:Fc)、複合体薬物(conjugated drugs)、追跡を容易にできる分子タグ(molecular tag、例えば蛍光マーカー、タンパク質タグなど)などを単独でまたは組み合わせてさらに含み得る。
【0040】
前記BCMA結合タンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列または配列番号7と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含んでいてもよく、好ましくは、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHを含んでいてもよい。前記BCMA結合タンパク質は、配列番号8のアミノ酸配列または配列番号8と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)をさらに含んでいてもよく、好ましくは、配列番号8のアミノ酸配列を含むVLをさらに含んでいてもよい。
【0041】
前記BCMA結合タンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列または配列番号7と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)と、配列番号8のアミノ酸配列または配列番号8と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)と、を含んでいてもよく、好ましくは、配列番号7のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号8のアミノ酸配列を含むVLと、を含んでいてもよい。
【0042】
前記BCMA結合タンパク質はリンカーをさらに含み、前記リンカー、VH及びVLは、N末端からC末端方向へのVH-リンカー-VL又はVL-リンカー-VHから選択されるいずれか1つの順序で配列されてもよく、好ましくは、VH-リンカー-VLの順序で配列されてもよい。ここで、リンカーは、互いに異なる領域(domain)を連結する部分であり、2~500個のアミノ酸を含んでいてもよい。前記リンカーは、グリシンおよびセリンからなってもよく、好ましくは、前記リンカーは、(Gly Ser (x個のグリシンおよびy個のセリンからなる配列がn個連結されているもので、x、yおよびnはそれぞれ1以上10以下の整数)を含んでいてもよく、より好ましくは、(Gly -Ser 配列を含んでいてもよく、さらに好ましくは、nは1、2、3、4、5、または6であってもよく、最も好ましくは、nが3または4であるもの、例えば(Gly -Ser (すなわち、GGGGSGGGGGSGGGGS)などを含んでいてもよい。
【0043】
前記BCMA結合タンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよく、好ましくは、配列番号9のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0044】
前記BCMA結合タンパク質は、i)IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMから選択される免疫グロブリンと、ii)Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、VHH、およびVNARから選択される天然抗体断片と、iii)scFv、dsFv、ds-scFv、(scFv)2、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、およびペンタボディから選択される、エンジニアリング抗体と、iv)Fc、1つ以上の重鎖定常領域、多量体化領域、化学的リンカー、またはそれらの組み合わせに連結されたii)またはiii)と、v)抗BCMAキメラ抗原受容体(CAR)と、からなる群から選択されるいずれか1つであってもよい。
【0045】
前記BCMA結合タンパク質は、BCMAに対してのみ抗原特異性を有する(すなわち、単一特異性)ものであり得、前記BCMA結合タンパク質が含むBCMA抗原結合領域が結合するエピトープ以外のBCMA上の1つ以上のエピトープ;またはBCMA以外の1つ以上の抗原;に対して抗原特異性をさらに有する(すなわち、多重特異性)ものであり得る。前記BCMA結合タンパク質は、1つの抗原結合領域を含む(一価)ものであり得、1つ以上の抗原結合領域を含む(多価)ものであり得る。前記BCMA結合タンパク質は、本発明に記載の1つ以上の配列を含む、人為的に操作された(engineered)抗体であり得る。scFvは抗体のVHおよびVLをリンカーペプチドで連結したものであり、dsFvはジスルフィド結合で安定化されたFvであり、ds-scFvはジスルフィド結合で安定化されたscFvであり、(scFv)2は2つのscFvが結合したものである。ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ペンタボディは、それぞれscFvが二量体、三量体、四量体、五量体を形成したものである。
【0046】
本発明のBCMA結合タンパク質は、当技術分野で公知の任意のタイプの免疫グロブリンであり得る。例えば、前記BCMA結合タンパク質は、任意のアイソタイプの抗体、例えば、IgA、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)、IgMなどであり得る。前記BCMA結合タンパク質は、単クローン性(monoclonal:モノクローナル)または多クローン性(polyclonal:ポリクローナル)であり得る。前記BCMA結合タンパク質は、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリ、ハムスター、ヒトなどの動物から単離または精製された天然由来抗体であるか、または天然由来抗体の配列特性を参照して設計および遺伝子合成された合成抗体であり得る。前記BCMA結合タンパク質は、ヒト化抗体またはキメラ性抗体などの操作された抗体であり得る。前記BCMA結合タンパク質は、単量体形態または重合体形態であり得る。前記BCMA結合タンパク質は、化学修飾、例えばジスルフィド結合の付加、グリコシル化、側鎖修飾アミノ酸、メチオニンの酸化、アスパラギンまたはグルタミンの脱アミド化、γ-カルボキシル化、β-ヒドロキシル化、硫酸化などの1つ以上を含み得る。前記BCMA結合タンパク質は、BCMAに対して任意のレベルの親和性(affinity) または結合力(avidity)を有し得る。前記BCMA結合タンパク質は、マウス、ウサギ、ヒト、ヒト化、またはキメラタンパク質から選択されるいずれか1つであり得る。
【0047】
本発明による抗BCMAキメラ抗原受容体(CAR)分子は、前述のBCMA結合領域に加えて、膜貫通領域および細胞内シグナル伝達領域をさらに含む。
【0048】
一般に、CARは、免疫細胞上に発現した場合、このような免疫細胞が細胞(一般的にはがん細胞)上の標的分子を特異的に認識して結合するようにし、このような結合が前記免疫細胞の細胞内シグナル伝達の活性化につながるようにする、ポリペプチドからなるセットである。CARは、少なくとも標的抗原を認識する細胞外抗原結合領域、膜貫通領域、および細胞内シグナル伝達領域を含む。前記細胞内シグナル伝達領域は、好ましくは、刺激分子または共刺激分子に由来するものである。前記ポリペプチドからなるセットは、単鎖ポリペプチドの形態であってもよいし、刺激により二量体化または多量体化するスイッチで互いに結合したポリ鎖(poly chain)の形態であってもよい。刺激分子とは、抗原特異的な免疫反応を活性化するシグナル伝達に関与する分子をいい、共刺激分子とは、免疫細胞の抗原非特異的な初期シグナルを増幅または減少させる分子をいう。前記細胞内シグナル伝達領域は、刺激分子または共刺激分子に由来する1つ以上のシグナル伝達領域を含み得る。このようなシグナル伝達領域を介して、好ましくはそれを発現する免疫細胞の活性化を誘導することができ、ここで活性化は、細胞の増殖、エフェクター細胞への分化、サイトカイン分泌、細胞毒性物質分泌、食細胞作用(phagocytosis)、標的細部死滅誘導のうちの1つ以上を開始および/または増加させることを含み得る。CARは、前記細胞外抗原結合領域、前記膜貫通領域、および前記細胞内シグナル伝達領域を含む融合タンパク質であり得る。前記CARは、N末端におけるシグナルペプチドまたはリーダー配列をさらに含み得、前記シグナルペプチドは、CARの発現および細胞膜への定着中に切り出され得る。
【0049】
前記細胞内シグナル伝達領域は、CD3ζ、FcγR、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD27、CD28、IL-2Rβ、IL-15R-α、CD40、MyD88、DAP10、DAP12、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、SLAMタンパク質、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、CD2、CD7、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、B7-H3、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、およびCD83特異的リガンドから選択されるいずれか1つ以上に由来するシグナル伝達領域を含んでいてもよい。好ましくは、細胞内シグナル伝達領域は、CD3ζおよび4-1BBのうちから選択されるいずれか1つ以上を含んでいてもよく、最も好ましくは両方を含んでいてもよい。
【0050】
前記細胞内シグナル伝達領域は、配列番号10のアミノ酸配列又は配列番号10と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、および、配列番号11のアミノ酸配列又は配列番号11と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、から選択されるいずれか1つ以上を含んでいてもよい。好ましくは、細胞内シグナル伝達領域は、配列番号10のアミノ酸配列および配列番号11のアミノ酸配列から選択されるいずれか1つ以上を含んでいてもよく、より好ましくは、配列番号10のアミノ酸配列および配列番号11のアミノ酸配列のすべてを含んでいてもよい。
【0051】
前記膜貫通領域は、T細胞受容体(TCR)α鎖、TCRβ鎖、CD3ζ、CD3ε、CD28、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、CD278およびCD314の中から選択されるいずれか1つに由来し得る。好ましくは、前記膜貫通領域は、前記抗BCMA CAR分子の二量化を促進できるものから選択でき、例えば、CD3ζ、CD28またはCD8に由来し、より好ましくはCD8に由来し、最も好ましくはCD8αに由来し得る。前記膜貫通領域は、配列番号12のアミノ酸配列または配列番号12と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよく、好ましくは配列番号12のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0052】
前記抗BCMA CAR分子はヒンジ領域をさらに含み、前記ヒンジ領域はBCMA結合タンパク質と膜貫通領域との間に位置し得る。前記ヒンジ領域は、CD8、FcγRIIIα、およびIgG1から選択されるいずれか1つに由来し、好ましくはCD8に由来し、より好ましくはCD8αに由来し得る。前記ヒンジ領域は、配列番号13のアミノ酸配列または配列番号13と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0053】
前記抗BCMA CAR分子は、N末端におけるシグナルペプチドをさらに含んでいてもよい。シグナルペプチドは、CD8、IgG1重鎖、IgK軽鎖およびGM-CSFから選択されるいずれか1つに由来し、好ましくはCD8に由来し、最も好ましくはCD8αに由来し得る。前記シグナルペプチドは、配列番号14のアミノ酸配列または配列番号14と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよく、好ましくは配列番号14のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0054】
前記抗BCMA CARは、配列番号15のアミノ酸配列または配列番号15と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含んでいてもよく、好ましくは配列番号15のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0055】
前記抗BCMA CARは、互いに異なる各ペプチドモジュール、領域などの間を連結するリンカーをさらに含み得る。ここで、リンカーは、前述したように2~500個のアミノ酸を含み得る。前記リンカーは、前述したリンカーおよび下記の表の配列から選択されるいずれか1つであり得る。
【0056】
【表1】
【0057】
本発明の他の態様による単離された核酸は、前述のBCMA結合タンパク質をコードすることを特徴とする。前記核酸は、前記BCMA結合タンパク質をコードする配列に作動可能に連結される細胞内の発現調節配列を含んでいてもよい。前記発現調節配列には、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、内部リボソームエントリー部位(IRES)、イントロン、その他の転写後調節因子などが1つ以上含まれていてもよい。前記発現調節配列は、後述するように、前記BCMA結合タンパク質をコードする単離された核酸が細胞に含まれて前記BCMA結合タンパク質を発現する場合、当該細胞での発現を調節するのに適したものを選択することができる。
【0058】
前記核酸はベクターの形態で前記細胞に含まれていてもよい。前記ベクターは、DNA、RNA、プラスミド、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターおよびレトロウイルスベクターから選択されてもよい。好ましくは、レンチウイルスベクターおよびレトロウイルスベクターから選択されてもよいが、これは、レンチウイルスベクターおよびレトロウイルスベクターに含まれる遺伝子が前記免疫細胞のゲノムDNAに挿入されて前記遺伝子を安定的に発現できるようにするためである。最も好ましくはレンチウイルスベクターであり得る。
【0059】
前記核酸を前記のようなベクター形態で使用する場合、ベクター内の変動、すなわち、特定の配列をベクター内に導入するためのクローニングプロセスにおいて生じ得る塩基配列の付加、修飾および欠失や、ベクターの利便性や性能などを高めるための構成要素の変更または導入は、当業者にとって自明であるため、詳細な説明は省略する。
【0060】
本発明のさらに他の態様による細胞は、前述のBCMA結合タンパク質をコードする核酸を含むことを特徴とする。
【0061】
本発明のさらに他の態様による細胞は、前述のBCMA結合タンパク質を発現することを特徴とする。
【0062】
前記細胞は、酵母、真菌(カビ)、昆虫細胞および哺乳動物細胞を含む真核細胞および原核細胞を含む。例えば、前記細胞は大腸菌(E.coli)などの細菌であってもよく、サッカロミセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、ヤロウィア、ピキア・パストリス、カンジダ、トリコデルマ・リーセイ、ニューロスポラ、シュワンニオミセス、クルイベロミセス、ペニシリウム、トリポクラジウムおよびアスペルギルス宿主などの真核微生物であってもよい。前記細胞は、グリコシル化などの翻訳後修飾(post-translational modification)プロセスが、抗体などの形態で発現されるのにより適した多細胞生物体に由来し得、前記BCMA結合タンパク質をコードする核酸を含むベクターに適した宿主細胞が選択され得る。例えば、バキュロウイルスベクターを使用する場合、前記細胞は、ツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda:)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、カイコ(Bombyx mori)などから適切に選択された生物に由来し得る。前記細胞内で発現したBCMA結合タンパク質は、使用のために単離および精製されてもよく、これは、前記BCMA結合タンパク質を、細胞内発現後に好ましくは細胞の可溶画分から単離し、次いで、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーなどの精製プロセスにより行われてもよいが、これに限定されない。抗体、融合タンパク質等の発現(生合成)、単離及び精製プロセスは当業者にとって自明に選択できるので、これらについての詳細な説明は省略する。
【0063】
前記細胞は好ましくは免疫細胞であり得、前記免疫細胞は、T細胞前駆体、NK細胞前駆体、T細胞、ナチュラルキラー(Natural Killer:NK)細胞、NKT(Natural Killer T)細胞、B細胞、単核球、マクロファージおよび樹状細胞から選択されるいずれか1つであり得、より好ましくはT細胞であり得、最も好ましくは細胞毒性T細胞であり得る。
【0064】
前記細胞を患者に投与する場合、対象患者に自己由来、同種由来、または異種由来の細胞のいずれか1つを投与してもよく、異種由来の場合、哺乳動物から得られてもよい。免疫拒絶反応の可能性を減らすために、好ましくは同種由来、最も好ましくは自己由来のものを使用することができる。
【0065】
前記細胞は、前記BCMA結合タンパク質を発現する細胞の活性、適合性、効率および/または安全性を向上させる別の作用剤をさらに含んでいてもよい。前記作用剤は核酸またはタンパク質であり得る。前記作用剤は、前記BCMA結合タンパク質またはそれをコードする核酸とは異なる分子として発現されてもよく、同じ分子に含まれる形態であってもよい。前記作用剤は、例えば追加の1つ以上のCARであり得、追加のCARは同じ標的分子を有する、すなわちBCMAの他のエピトープを標的とし得、異なる標的分子を標的とし得る。前記異なる標的分子は、5T4、α5β1-インテグリン、707-AP,AFP,ART-4,B7H4,BAGE,β-カテニン/m,Bcr-abl,MN/CIX抗原,CA125,CAMEL,CAP-1,CASP-8,CD4,CD7,CD19,CD20,CD22,CD25,CD30,CD33,CD38,CD44バリアント ドメイン6,CD123,CD135,CD138,CD269,CDC27/m,CDK4/m,CEA,CLEC12A,CT,Cyp-B,DAM,EGFR,ErbB3,ELF2M,EMMPRIN,EpCam,ETV6-AML1,G250,GAGE,GnT-V,Gp100,HAGE,HER-2/new,HLA-A*0201-R170I,HPV-E7,HSP70-2M,HST-2,hTERT(またはhTRT),iCE,IGF-1R,IL-2R,IL-5,KIAA0205,LAGE,LDLR/FUT,MAGE,MART-1/melan-A,MART-2/Ski,MC1R,ミオシン/m,MUC1,MUM-1,MUM-2,MUM-3,NA88-A,ナチュラルキラーグループ2D,Lewis Y抗原,PAP,プロテイナーゼ-3,p190マイナーbcr-abl,Pml/RARα,PRAME,PSA,PSM,PSMA,RAGE,RU1またはRU2,SAGE,SART-1,SART-3,サバイビン,TEL/AML1,TGFβ,TPI/m,TRP-1,TRP-2,TRP-2/INT2,VEGF,WT1,NY-Eso-1およびNY-Eso-Bから選択されるものであり、前記患者のBCMA発現がんにおいてBCMAに加えて特異的に発現される更なる分子であり得る。前記作用剤は、免疫細胞機能を調整または調節する1つ以上の作用剤であり得る。前記免疫細胞機能を調整または調節する分子は阻害性分子であり得、前記作用剤は前記分子の発現、機能、またはその両方を減少させる物質であり得る。前記阻害性分子は、PD1、PD-L1、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3およびCEACAM-5など)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4およびTGFRベータなどを含む。前記作用剤は、dsRNA、siRNA、shRNAなどの阻害性核酸、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(clustered regularly interspaced short palindromic repeat:CRISPR)、転写活性剤様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)または亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)などの阻害性タンパク質または系、あるいは、前記阻害性分子に対する抗体もしくは結合部位を含むタンパク質や小分子としての結合を通じて前記阻害性分子を阻害することができる。前記作用剤は前記細胞の生存を調節するができる。例えば、前記細胞を患者に投与する際にサイトカインストームなどの副作用がある場合、特定の物質に応答して、投与された細胞を除去したり、アポトーシス(細胞死滅)を誘導したりできる分子であり得、その例としては、米国消滅特許第5358866号、米国登録特許第9393292号及び欧州登録特許第2836511号などがある。
【0066】
本発明のさらに他の態様による抗がん効果を有する組成物は、前述のBCMA結合タンパク質をコードする核酸を含む細胞、または前述のBCMA結合タンパク質を発現する細胞を含む。
【0067】
前記組成物は、BCMA発現が増加しているがんの治療に使用することができる。前記組成物は、好ましくは、多発性骨髄腫、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、様々な白血病および膠芽細胞腫の治療に使用することができる。
【0068】
前記抗がん効果を有する組成物に、前記免疫細胞以外にも、薬学的に許容される塩、担体、賦形剤、ビヒクル及び治療効果をさらに高めることができる他の様々な添加剤等を添加できることは、当業者には明らかであるため、これについての詳細な説明は省略する。
【0069】
本発明において好ましい医薬製剤は、意図される投与経路、送達形式、および所望の投与量に応じて、本開示および製剤化技術の一般的な知識に照らして決定することができる。投与方法に関係なく、有効な用量を、患者の体重、体表面積または器官のサイズに基づき計算することができる。本明細書に記載の製剤のそれぞれを含む治療のための適切な投与量を決定するのに必要な計算および更なる精緻化は、当技術分野で日常的に行われるものであり、当技術分野で日常的に行われる作業の範囲内にある。適切な投与量は、適切な用量反応データの使用により確認することができる。
【実施例
【0070】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例について詳細に説明する。しかしながら、本発明は様々な異なる形態にも具現可能であり、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0071】
実施例1.scFvライブラリーの構築および抗BCMA scFv候補群の導出
<実施例1-1>scFvライブラリーの構築
scFvライブラリーは、大韓民国特許第10-0961392号に記載された方法により構築した。
【0072】
簡単に説明すると、ヒトのVH3-23/VL1-g遺伝子を基にして相補性決定部位(CDR)に無作為配列を挿入することでライブラリーを設計し、β-ラクタマーゼ遺伝子を選択マーカーとして有するプラスミドベクターにおいてβ-ラクタマーゼ遺伝子のリーダー配列直後に制限酵素切断配列を導入してpFDVプラスミドベクターを製造し、scFv遺伝子ライブラリーを挿入した後、大腸菌をトランスフェクトし、その後、これを培養してライブラリーを構築した。このプロセスにより、ライブラリー内で異常な停止コドン又はフレームシフトを有するscFv遺伝子配列を大部分除去してライブラリーの品質を向上させることが可能である。培養されたライブラリーからエラーが除去された配列をポリメラーゼ連鎖反応で増幅した後、それからscFv遺伝子ライブラリーを組換えてpComb3Xファージミドベクターに挿入し、ER2537株の大腸菌をトランスフェクトして最終ライブラリーを獲得した。ライブラリーを、カルベニシリンを含むスーパーブロス(SB)培地400mLに培養し、600ナノメートルでの吸光度が0.5になったときに1013CFUのVCSM13補助ファージを加えて80rpmで撹拌し、1時間37℃で感染させた。これに最終70μg/mLのカナマイシン抗生物質を入れ、30℃、200rpmで撹拌し、一晩(オーバーナイト)培養して、scFvが表面提示されたファージを産生した。翌朝、培養液を遠心分離し、培養液中のファージを4%のポリエチレングリコール-8000と3%の塩化ナトリウムを加えて沈殿させた。沈殿したファージを50mLのPBS緩衝溶液に溶解させ、このような方式で再度沈殿させ、最終的に2mLのPBS緩衝溶液に溶解させた。これを遠心分離して異物を除去することによりファージscFvライブラリーを得、一般的に、最終ファージライブラリーには1013CPU/mL以上のファージ粒子が含まれる。
【0073】
<実施例1-2>抗BCMA scFvの選別
免疫試験管に10μg/mlの濃度のBCMAを添加して1時間試験管表面にタンパク質を吸着させた後、3%スキムミルク溶液を試験管に添加してBCMAが吸着していない表面を保護した。試験管を空にした後、ここに、3%スキムミルク溶液に分散した1012CFUの抗体ファージライブラリーを入れて抗原と結合させた。非特異的に結合したファージをTBST(Tween20含有トリス緩衝生理食塩水)溶液で3回洗浄した後、残りの抗原特異的ファージ抗体を、100mMトリエチルアミン溶液を用いて溶離した。
【0074】
溶離したファージを1.0M濃度のTris-HClバッファー(pH7.8)で中和した後、ER2537大腸菌を37℃で1時間感染させ、感染した大腸菌を、カルベニシリンを含むルリア-ベルターニ(Luria-Bertani:LB)寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。このように培養された大腸菌を3mLのスーパーブロス(SB)-カルベニシリン培養液に懸濁し、15%グリセロールを添加して一部は-80℃に保管し、残りのうち50μlを20mLのSB-カルベニシリン-2%グルコース溶液に接種し、37℃で培養した。培養液の600ナノメートル光線の吸光度が0.5になると遠心分離してバクテリアのみを分離し、これを再び20mLのSB-カルベニシリン培養液に懸濁した後、1012PFU(Plaque-Forming Unit:プラーク形成単位)のVCSM13補助ファージを入れて徐々に攪拌し、37℃で培養した。
【0075】
1時間後、カナマイシン70μg/mlを添加し、30℃で急速に撹拌し(250rpm)、一晩培養した。翌日、培養液を遠心分離した後、ファージ粒子を含む上澄み液1mLをライブラリーとして用い、上記のパニング工程を繰り返すことにより抗原特異的クローンを濃縮した。
【0076】
実施例2.抗BCMA scFv抗体の発現および精製
パニングを3~4回程度繰り返した後、抗原特異的候補クローン4種(OPAL A1、OPAL B10、OPALS-L A5およびOPALS-K H6)を確保し、各抗体遺伝子を含む大腸菌を、カルベニシリンを含有するLB寒天培地に塗布、培養して単一のコロニーを得、これを200μLのSB-カルベニシリン溶液に接種、培養した後、IPTGで誘導してscFvタンパク質を大腸菌のペリプラズム(periplasm)で発現させた。大腸菌を40μLの1×TES(50mMのトリス、1mMのEDTA、20%のスクロース、pH8.0)溶液に懸濁した後、これに0.2×TES溶液60μLを加えて混合し、4℃で30分以上処理し、遠心分離して上澄み液でペリプラズムを抽出した。
【0077】
<実施例2-1>BCMAに対して選別されたscFv抗体の発現
選別された4種のBCMAに対するscFv陽性単一コロニークローンを、カルベニシリンを含むSB培地(30gのバクトトリプトン、20gの酵母抽出物、10g/LのMOPSバッファー)5mlに培養し、シードカルチャーを開始して一晩培養後、500mlカルベニシリン含有SB培地に移し、OD600が0.5程度になったとき、IPTGを1mMになるように加え、30℃で一晩培養し、scFv抗体を大腸菌のペリプラズムで発現させた。翌日、遠心分離により得られた大腸菌を1×TESバッファー(50mMのトリス、1mMのEDTA、20%のスクロース,pH8.0)に懸濁した後、0.2×TESを1.5倍添加して混合し、遠心分離してペリプラズムを抽出した。
【0078】
<実施例2-2>選別されたscFv抗体の精製
ペリプラズムから抽出したscFv抗体に最終的に5mMのMgSO4を加え、これを予めPBSで平衡化したNi-NTA beadと混合し、1時間冷蔵で攪拌してNi-beadに結合させた後、アフィニティークロマトグラフィーを行い、結合していないタンパク質をPBSで十分に洗浄した。5mMのイミダゾールを含むバッファーでより十分に洗浄し、次いで結合したscFv抗体を、200mMのイミダゾールバッファーを用いて溶出した。溶出した抗体は透析して電気泳動により純度を確認し、BCA法によりタンパク質を定量して精製抗体量を記録し、その後、一定量を分株して冷凍保管した。
【0079】
<実施例2-3>抗BCMAscFv選別のためのFACS及びシーケンシング
ペリプラズムから抽出したscFv抗体は、蛍光活性化セルソーティング(FACS)技術を用いて、scFv抗体が細胞表面のBCMAに結合しているかどうかを確認した。ここで使用した細胞は、BCMAを発現するものとしてよく知られているB細胞リンパ腫細胞株であるRaji細胞であり、Raji細胞をプレートに2×10個となるように培養した後、トリプシン処理してプレートから分離後、遠心分離した。このように準備した細胞を、3%BSA(w/v)を含むPBSで4℃にて1時間ブロッキングし、その後、1×PBSで1回洗浄し、3分間3000rpmで遠心分離した後、各一次抗体と反応させた(各実験群:OPAL A1を6.2μg/mL、OPAL B10を13.2μg/mL、OPALS-L A5を21μg/mL、OPALS-K H6を20μg/mL;陽性対照群:抗BCMAポリクローナル抗体(ビオチン化)0.5μg/mL)、1×PBSで3回洗浄した後、各二次抗体と反応させ(各実験群:抗HA-PE;陽性対照群:アビジン-FITC)1×PBSで2回洗浄した。これを一定の希釈水で希釈し、FACSで分析した(FACSキャリバー、BDバイオサイエンス)(図1)。
【0080】
これから最終的に選別したBCMA抗原特異的抗体クローン1種(OPAL B10、以下B10)を、カルベニシリンを含む10mlのSB培地で一晩培養し、プラスミドミニプレップキットを用いてプラスミドDNAを抽出した後、キャピラリーシーケンスサービス(マクロジェン社)により塩基配列を得た。これをタンパク質配列に変換した後、Kabatタンパク質配列データベースと国際ImMunoGeneTics情報システム(IMGT)分析方法に基づいてCDR配列を分析した。
【0081】
後述する実施例および実験例で使用した細胞株および培養液は、以下の通りである:293T細胞は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)に10%のウシ胎児血清(FBS)、2mMのL-グルタミン、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシンが含まれた培養液で培養した。NCI-H929、RPMI 8226、U266B1細胞は、RPMI1640培地に10%のウシ胎児血清(FBS)、2mMのL-グルタミン、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)が含まれた培養液で培養した。PBMCは、AIM-V培地に5%のImmune Cell SR(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)が含まれた培養液で培養した。
【0082】
実施例3.pL-B10-BBzプラスミドの調製
B10塩基配列を含む遺伝子断片(配列番号1)と遺伝子断片(配列番号2)(表2)とを、インテグレーテッドDNAテクノロジー(Integrated DNA technologies)に合成注文した。2つの遺伝子断片およびプライマー(配列番号1および2)(表3)を用いてオーバーラップエクステンションPCRを行い、PCR産物を得た。制限酵素Xho1およびEcoRVが処理されたPCR産物を、制限酵素Xho1およびEcoRVが処理されたpLV-CD19-BBzプラスミド(PNAS,2016,Ma JSY)に挿入してpLV-B10-BBzを製造した。(図2および図3
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
実施例4.レンチウイルスベクターの製造
293T細胞をPoly-D-Lysineでコーティングされた150mm培養皿(SPL)に入れ、24時間培養した。翌日、新しい293T細胞培養液に交換した後、pMDL g/p(Gag/Pol発現)、pRSV-Rev(Rev発現)、pMDG.1(Envelope発現)、およびpLV-B10-BBzプラスミドとリポフエクトァミン2000(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を入れてトランスフェクションを行った。48時間後に培養液を回収し、Lenti-X Concentrator(タカラバイオ社)を用いて生産されたレンチウイルスベクター(Lentiviral Vector)を濃縮後、濃縮されたレンチウイルスベクターを4%のラクトース溶液中に懸濁した。その後、0.2μmのシリンジフィルター(ミリポア社)で濾過後、-80℃で保管した。
【0086】
実施例5.T細胞形質転換及び増幅
凍結したHuman PBMCを解凍後、CliniMACS PBS / EDTA バッファー(ミルテニーバイオテク社)および0.5%のアルブミン(グリーンクロス社)を含む洗浄液で2回洗浄した。洗浄したPBMCにMACS CD4 MicrobeadとMACS CD8 Microbead(ミルテニーバイオテク社)を入れて30分間結合させた後、QuadroMACSTM Separator(ミルテニーバイオテク社)によりT細胞を分離した。分離されたT細胞を洗浄後に培養液に懸濁し、T Cell TransAct(商標)(ミルテニーバイオテク社)と100IU/mLの組換えヒトIL-2(韓国BMI社)を入れて活性化した。24時間後、活性化T細胞にレンチウイルスベクターをMOI=3となるように添加し、一晩培養した。翌日、形質導入されたT細胞(transduced T cell)を洗浄後、100IU/mLの組換えヒトIL-2となるように入れ、G-Rex 6M Plate(Wilson Wolf社)に入れてCAR-T細胞の大量培養を行った。細胞数は、培養液中のグルコース濃度の変化によって確認した。
【0087】
実験例1.抗BCMA CAR発現分析
細胞表面(Cell Surface)のCAR発現をフローサイトメトリーで確認した。1×10個の細胞をD-PBSで2回洗浄した後、Human BD Fc Block(BD Biosciences社)と混合し、 常温で10分間反応させた。そして、PE-Cy7マウス抗ヒトCD3(BD Biosciences社)抗体と共に、ビオチン化BCMA(Biotinylated BCMA)(Argo社)またはビオチン化抗ヒトFab抗体を加えた後、常温で15分間反応させた。この試料をD-PBSで2回洗浄した後、Fixable Viability Dye eFlour 780(eBioscience社)とStreptavidin-Alexa Fluor(登録商標)647(BioLegend社)を加え、常温で15分間反応させた。D-PBSで2回洗浄後、D-PBSで再懸濁し、BD FACSVerse(登録商標)フローサイトメーターで分析してCAR発現を確認した。
【0088】
ビオチン化BCMAを用いた結果は図4と同様であり、ビオチン化抗ヒトFab抗体を用いた結果は図5と同様であり、本発明の実施例による抗BCMA CARを含むベクターで形質転換したT細胞(B10-BBZ CAR-T)群において前記抗BCMA CARの発現を確認することができた。
【0089】
実験例2.IFN-γ放出アッセイ(Release Assay)
T細胞5.0×10個を単独培養したり、K562-Mock(BCMAを発現しないK562細胞、1:1比)またはK562-BCMA(BCMAを発現するK562細胞、1:1比)と37℃、5%COの細胞培養器で24時間共培養したりした。各試料の500×gで5分間遠心分離して得られた上澄み液に含まれるIFN-γの量を、DuoSet ELISA Ancillary Reagent Kit2(R&Dシステム社)とHuman IFN-γ Duo Set ELISA(R&Dシステム社)を用いて測定し、その結果を図6に示した。図6に示すように、データを、単独でT細胞のみを培養した場合(単独);T細胞を、BCMAを発現しないK562細胞(K562-Mock)と共培養した場合;T細胞に刺激剤(PMA/イオノマイシン)処理した場合(Stimulation);T細胞を、BCMAを発現するK562細胞(K562-BCMA)と共培養した場合;K-562-BCMA群で測定されたIFN-γ量をCAR陽性であるT細胞の比率で補正した場合(CAR+補正、%IFN-γ/Viable CAR-T);に分けて示した。
【0090】
その結果、抗BCMA CARを導入した細胞群は、導入していない対照群に比べて、細胞毒性活性の指標であるIFN-γの分泌が全群で高く、特に前記CARの標的分子であるBMCAに特異結果として、IFN-γの分泌が大幅に高まることが確認できた。
【0091】
実験例3.抗BCMA(C11D5.3)および抗BCMA(B10)scFvからなるCARのT細胞形質導入の確認。
周知の抗BCMA CAR(C11D5.3)と抗BCMA(B10)CARとの機能的違いを評価するために、US20150051266A1特許に記載されているC11D5.3 scFv塩基配列に基づいて図7のようにCARを構築した。抗BCMA(C11D5.3)と抗BCMA(B10)scFvとからなるCARの形質導入4日目に、LNGFR磁気ビーズを用いて、形質導入されたT細胞を選別した。選別後6日目、APCコンジュゲートLNGFR Ab(ミルテニーバイオテク社、クローン:ME20.4-1.H4,カタログ番号130-113-418)、ビオチン化ヒトBCMA/TNFRSF17 Protein,FC,Avitag(商標),Streptavidin-PE-Cy7)を用いてT細胞を染色した後、フローサイトメーターを用いて、形質導入された細胞のパーセント(%)を確認した。その結果、形質導入されたT細胞の純度は70%以上であり、LNGFRとCARがほぼ1:1の比率で発現していることが確認できた(図7)。
【0092】
実験例4.抗BCMA(C11D5.3)と抗BCMA(B10)scFvとからなるCARが形質導入されたT細胞の細胞毒性能の評価。
BCMA、GFPを発現する多発性骨髄腫細胞株RPMI8226細胞(RPMI8226-GL)1×10とMock T細胞、抗BCMA(B10)CAR T細胞、抗BCMA(C11D5.3)CAR T細胞0.5×10個、0.1×10個を、37℃、5%COの条件で48時間共培養した。GFP蛍光値を2時間間隔で48時間測定し、0時間基準で正規化して細胞毒性能を評価した。測定の結果、抗BCMA(B10)CAR T細胞は、抗BCMA(C11D5.3)CAR T細胞と同様の細胞毒性能を示した(図8)。
【0093】
実験例5.抗BCMA(C11D5.3)CAR-Tと抗BCMA(B10)CAR-Tの生体内抗がん効能の評価。
1×10個のRPMI8226-GLをS.Ceh注入した後12日目に、1×10、0.5×10、0.25×10個のCAR-T細胞を静脈注入し、1週間間隔で腫瘍細胞が発現するルシフェラーゼ活性を測定することで抗がん効能を評価した。実験の結果、注入されたCAR-T細胞の量に依存して細胞毒性能が観察され、抗BCMA(C11D5.3)CAR-T細胞の抗がん効能と抗BCMA(B10)CAR-T細胞の抗がん効能とは類似していた(図9図12)。
【0094】
まとめると、これらの結果は、本発明による抗BCMA CARを発現するT細胞が、BCMA特異的な高い細胞毒性活性を有し、周知の効能を有する既存のBCMA CARに匹敵する高いインビトロおよびインビボ抗がん効能を有することを示している。
【0095】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須特徴を変更することなく他の具体的な形態に容易に変形可能である。よって、以上で記述した実施形態は、全ての面で例示的なものであり、限定的ではない。例えば、単一型に説明されている各構成要素は分散して実施されてもよく、同様に、分散して説明されている構成要素も結合された形態で実施されてもよい。
【0096】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
2023518686000001.app
【国際調査報告】