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特表2023-518693懸濁している細胞を分離する遠心分離機システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】懸濁している細胞を分離する遠心分離機システム
(51)【国際特許分類】
   B04B 1/02 20060101AFI20230426BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
B04B1/02
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554347
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(85)【翻訳文提出日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 US2021022739
(87)【国際公開番号】W WO2021188655
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/991,820
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】300077375
【氏名又は名称】ニューマチック スケール コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】PNEUMATIC SCALE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】10 ASCOT PARKWAY CUYAHOGA FALLS OHIO 44223 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー,エス.
(72)【発明者】
【氏名】マーロ,ティー.
【テーマコード(参考)】
4B029
4D057
【Fターム(参考)】
4B029AA09
4B029AA11
4B029BB02
4B029BB04
4B029BB06
4B029BB11
4B029BB12
4B029CC01
4D057AA03
4D057AB01
4D057AC01
4D057AD01
4D057AE02
4D057AF01
4D057BC01
(57)【要約】
【構成】
細胞懸濁液を分離液および濃縮液に分離する装置は、固体壁の回転可能な遠心分離機ボウル(172)内のキャビティ中に解放自在に位置する使い捨て構造(178、240、250,370、414)を有する。ボウルおよび使い捨て構造の一部は軸線(174,428)を中心にして回転する。静置入り口供給配管(184、430)、分離液排出配管(212、436)および濃縮液排出配管(230、448)が、回転する使い捨て構造の軸線に沿って延在する。分離液求心ポンプ(208、438)が、分離液排出配管に流体接続する。濃縮液求心ポンプ(216、450)が、濃縮液排出配管に流体接続する。少なくとも一つの濃縮液チャネル(380、454)および濃縮液求心ポンプ室(376、452)が細胞濃縮液の流れを促進する構造をもつ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な遠心分離機ボウル内に解除可能に収納する構造体であって、このボウル内に設けて前記構造体の内部領域内において細胞培養物中の細胞を細胞濃縮液および細胞分離液に動作的に分離する構造体、を有する装置であって、
この構造体が操作位置において
上部ディスク状部分と、
下部と、
前記上部ディスク状部分および前記下部の垂直方向中間にある円筒形コアと、
前記コアから放射状に外側に配され、このコアを取り囲む関係にある分離室と、
前記ボウルに動作的に係合する構成の外壁であって、
前記上部ディスク状部分に対して液密関係で延在し、かつ前記分離室と境界を成し、
前記コアと前記分離室を取り囲む関係で延材し、
かつ内部形状が円錐台形で、前記上部ディスク状部分に隣接する内半径よりも前記下部に隣接する内半径が小さい外壁と、
垂直に延在する供給配管と、
垂直に延在する分離液排出配管と、
垂直に延在する濃縮液排出配管と、
を有し、
前記上部ディスク状部分および前記外壁が前記ボウルに動作的に係合した状態で、垂直な軸線を中心にして回転可能であり、
前記構造体はさらに、前記コアに軸方向に整合し、前記供給配管を中心にして同軸的に位置し、かつ前記分離液排出配管に流体連絡する分離液求心ポンプを有し、
前記分離液求心ポンプは、前記上部ディスク状部分内の分離液求心ポンプ室内に位置し、
前記分離液求心ポンプ室は前記上部ディスク状部分内に延在する少なくとも一つの分離液チャネルを介して前記分離室に流体連絡し、
各分離液チャネルは前記コアの放射状外側方向にそれぞれ位置する分離液チャネル入り口と前記分離液求心ポンプ室との間に流体連絡するように延在し、
前記構造体はさらに、前記コアに軸方向に整合し、前記供給配管を中心にして同軸的に位置し、前記分離液求心ポンプの上に垂直に位置し、かつ前記濃縮液排出配管に流体連絡する濃縮液求心ポンプを有し、
前記濃縮液求心ポンプは前記の上部ディスク状部分内の濃縮液求心ポンプ室内に位置し、
前記濃縮液求心ポンプ室は、前記上部ディスク状部分内に延在する少なくとも一つの放射状に延在する濃縮液チャネルを介して前記分離室に流体連絡し、
前記の少なくとも一つの放射状に延在する濃縮液チャネルが、ひとつひとつすべての分離液入り口の放射状外向きに位置するそれぞれの濃縮液チャネル入り口の間に放射状方向に延在し、
前記ボウルの回転時、前記上部ディスク状部分および前記外壁が前記供給配管、前記分離液排出配管、前記濃縮液排出配管、前記分離液求心ポンプおよび前記濃縮液求心ポンプのそれぞれに対して回転し、
各濃縮液チャネルがそれぞれの濃縮液チャネル入り口および前記濃縮液求心ポンプ室の中間にあるチャネル部分を有し、この濃縮液求心ポンプ室の、それぞれの濃縮液チャネル部分領域内の濃縮液流れの方向に対して直角をなす横断面積が連続的に漸増し、前記軸線に対する放射状方向の近接度が対応して高くなる
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記各濃縮液チャネルの前記チャネル部分が前記それぞれの濃縮液チャネル入り口で始まり、放射状に内向きに延在する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記各濃縮液チャネルの前記チャネル部分が前記それぞれの濃縮液チャネル入り口で始まり、この濃縮液チャネル入り口から放射状に内向きにかつ上向きに延在する請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記各濃縮液チャネルの前記チャネル部分が前記それぞれの濃縮液チャネル入り口で始まり、この濃縮液チャネル入り口から放射状に内向きにかつ上向きに延在し、
前記各濃縮液チャネルがさらに水平かつ放射状に延在する部分を有し、この水平かつ放射状に延在する部分が前記チャネル部分と前記濃縮液求心ポンプ室の流体方向中間まで延在する請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記各濃縮液チャネルの前記チャネル部分が前記それぞれの濃縮液チャネル入り口で始まり、この濃縮液チャネル入り口から放射状内向きにかつ上向きに延在し、
前記各濃縮液チャネルがさらに水平かつ放射状に延在する部分を有し、この水平かつ放射状に延在する部分が前記チャネル部分と前記濃縮液求心ポンプ室の流体方向中間まで延在し、
前記各濃縮液チャネルの水平かつ放射状に延在する部分が、前記濃縮液求心ポンプ室内のそれぞれの細胞濃縮液チャネル出口において放射状に内向きに終端し、
前記各濃縮液チャネルの水平かつ放射状に延在する部分が、その全長にわたって一定の横断面積を有する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記各濃縮液チャネルの前記チャネル部分が前記それぞれの濃縮液チャネル入り口で始まり、この濃縮液チャネル入り口から放射状に内向きにかつ上向きに延在し、
前記各濃縮液チャネルがさらに水平かつ放射状に延在する部分を有し、この水平かつ放射状に延在する部分が前記濃縮液求心ポンプ室から放射状外向きに延在する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記各濃縮液チャネルの前記チャネル部分が前記それぞれの濃縮液チャネル入り口で始まり、この濃縮液チャネル入り口から放射状に内向きにかつ上向きに延在し、
前記各濃縮液チャネルがさらに水平かつ放射状に延在する部分を有し、この水平かつ放射状に延在する部分が前記濃縮液求心ポンプ室から外向きに延在し、
前記チャネル部分が、前記の水平かつ放射状に延在する部分で終端し、
各濃縮液チャネルの水平かつ放射状に延在する部分が、その全長にわたって一定の横断面積を有する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記各濃縮液チャネルの前記チャネル部分が前記それぞれの濃縮液チャネル入り口で始まり、この濃縮液チャネル入り口から放射状に内向きにかつ上向きに延在し、
前記各濃縮液チャネルがさらに水平かつ放射状に延在する部分を有し、この水平かつ放射状に延在する部分がそれぞれの細胞濃縮液チャネル出口から外向きに前記濃縮液求心ポンプ室に延在し、
前記濃縮液求心ポンプが濃縮液求心ポンプ入り口を有し、各細胞濃縮液チャネル出口が前記濃縮液求心ポンプ入り口に軸方向かつ放射状方向に整合し、
各チャネル部分がそれぞれの水平かつ放射状に延在する部分で放射状に内向きに終端し、
前記各濃縮液チャネルの前記水平かつ放射状に延在する部分がその全長にわたって一定の横断面積を有する請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記上部ディスク状部分が上部ピースおよびこれと係合関係にある下部ピースを有し、
前記各濃縮液チャネルがこの上部ピースの少なくとも一つの下面およびこの下部ピースの少なくとも一つの上面と境を接する請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記の少なくとも一つの放射状に延在する濃縮液チャネルが単体の、実質的に環状の濃縮液チャネルを有する請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記の少なくとも一つの放射状に延在する濃縮液チャネルが複数の、角度をつけて離間した個別の濃縮液チャネルを有する請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記の少なくとも一つの放射状に延在する濃縮液チャネルが単体の、実質的に環状の濃縮液チャネルを有し、
前記濃縮液チャネルの前記チャネル部分が実質的に環状の濃縮液チャネル入り口で始まり、前記濃縮液チャネル入り口から放射状に内向きにかつ上向きに延在する請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記の少なくとも一つの放射状に延在する濃縮液チャネルが単体の、実質的に環状の濃縮液チャネルを有し、
前記濃縮液チャネルの前記チャネル部分が実質的に環状の濃縮液チャネル入り口で始まり、前記濃縮液チャネル入り口から放射状に内向きにかつ上向きに延在し、
前記濃縮液チャネルがさらに実質的に環状の、水平かつ放射状に延在する部分を有し、この水平かつ放射状に延在する部分が実質的に環状の細胞濃縮液チャネル出口から外向きに前記濃縮液求心ポンプ室まで延在し、
チャネル部分が前記の水平かつ放射状に延在する部分で放射状に内向きに終端する請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記の少なくとも一つの放射状に延在する濃縮液チャネルが単体の、実質的に環状の濃縮液チャネルを有し、
前記濃縮液チャネルのチャネル部分が実質的に環状の濃縮液チャネル入り口で始まり、この濃縮液チャネル入り口から放射状に内向きにかつ上向きに延在し、
前記上部ディスク状部分が実質的に環状の漏斗チャネルを有し、この環状の漏斗チャネルが前記環状濃縮液チャネル入り口まで上向きに、かつ放射状に内向きに延在する請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記の少なくとも一つの放射状に延在する濃縮液チャネルが単体の、実質的に環状の濃縮液チャネルを有し、
前記濃縮液チャネルの前記チャネル部分が実質的に環状の濃縮液チャネル入り口で始まり、この濃縮液チャネル入り口から放射状に内向きにかつ上向きに延在し、
前記上部ディスク状部分が実質的に環状の漏斗チャネルを有し、この環状の漏斗チャネルが前記環状濃縮液チャネル入り口まで上向きかつ放射状に内向きに延在し、
前記上部ディスク状部分が実質的に環状の細胞濃縮液案内面を有し、この環状の細胞濃縮液案内面が前記環状漏斗チャネルの下に延在し、放射状に外向きに前記分離室と境を接し、
前記環状の細胞濃縮液案内面がさらに放射状外向きに延在し、上向きに前記環状漏斗チャネルに近接する請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記の少なくとも一つの放射状に延在する濃縮液チャネルが単体の、実質的に環状の濃縮液チャネルを有し、
前記濃縮液チャネルのチャネル部分が実質的に環状の濃縮液チャネル入り口で始まり、この濃縮液チャネル入り口から放射状に内向きにかつ上向きに延在し、
前記上部ディスク状部分が実質的に環状の漏斗チャネルを有し、この環状の漏斗チャネルが前記環状濃縮液チャネル入り口まで上向きに、かつ放射状に内向きに延在し、
前記上部ディスク状部分が実質的に環状の細胞濃縮液案内面を有し、この環状の細胞濃縮液案内面が前記環状漏斗チャネルの下に延在し、放射状に外向きに前記分離室と境を接し、
前記環状の細胞濃縮液案内面がさらに放射状外向きに延在し、上向きに前記環状漏斗チャネルに近接し、
前記上部ディスク状部分が、前記分離室内の下側において放射状に延在する表面と境を接し、前記の放射状に延在する表面が実質的に環状のエッジで放射状に外向きに終端し、この環状エッジが前記放射状に外向きに延在する環状の細胞濃縮液案内面の軸方向において上にあり、そして前記環状の漏斗チャネルが前記環状エッジから上向きに延在する請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記の少なくとも一つの放射状に延在する濃縮液チャネルが複数の、角度をもって離間した、個別の濃縮液チャネルを有し、
前記各濃縮液チャネルのチャネル部分が
それぞれの濃縮液チャネル入り口で始まり、前記濃縮液チャネル入り口から放射状に内向きにかつ上向きに延在するとともに、
濃縮液流れの方向に対して直角な方向において一定の横断面幅、および前記軸線からの放射状の距離に従って変動する垂直高さ
を有する請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記の少なくとも一つの放射状に延在する濃縮液チャネルが複数の、角度をもって離間した、個別の濃縮液チャネルを有し、
前記各濃縮液チャネルの前記チャネル部分が
それぞれの濃縮液チャネル入り口で始まり、前記濃縮液チャネル入り口から放射状に内向きにかつ上向きに延在するとともに、
濃縮液流れの方向に対して直角な方向において一定の横断面幅、および前記軸線からの放射状距離に従って変動する垂直高さを有し、
前記上部ディスク状部分が複数の、角度をもって離間した、垂直開口を有し、各垂直開口が前記分離室の放射状外周とそれぞれのチャネル入り口との間に延在する請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記の少なくとも一つの放射状に延在する濃縮液チャネルが複数の、角度をもって離間した、個別の濃縮液チャネルを有し、
前記各濃縮液チャネルの前記チャネル部分が
それぞれの濃縮液チャネル入り口で始まり、前記濃縮液チャネル入り口から放射状に内向きにかつ上向きに延在するとともに、
濃縮液流れの方向に対して直角な方向において一定の横断面幅、および前記軸線からの放射状距離に従って変動する垂直高さを有し、
前記上部ディスク状部分が係合状態にある上部ピースおよび下部ピースを有し、各濃縮液チャネルがこれら上部ピースおよび下部ピースのそれぞれの表面と境を接する請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記構造が使い捨て構造である請求項1に記載の装置。
【請求項21】
回転可能な遠心分離機ボウル内に解除可能に収納する構造体であって、このボウル内に設けて前記構造体の内部領域内において細胞培養物中の細胞を細胞濃縮液および細胞分離液に動作的に分離する構造体、を有する装置であって、
この構造体は操作位置において
上部ディスク状部分と、
この上部ディスク状部分の下に垂直に延在する円筒形コアと、
前記ボウルに動作的に係合する構成の外壁であって、
前記上部ディスク状部分と液密係合状態で延在し、
前記コアを取り囲む関係で延在し、
前記上部ディスク状部分から垂直に離間する配置の該構造体の端部における形状が、内側半径がより短い円錐台形であり、
前記コアを取り囲む関係で延在し、かつ前記コアおよび前記外壁の中間で放射状に延在する前記構造体内で前記分離室と境界を成す外壁と、
垂直に延在する細胞培養物供給配管と、
垂直に延在する分離液排出配管と、
垂直に延在する濃縮液排出配管と、
を有し、
前記上部ディスク状部分および前記外壁が前記ボウルに動作的に係合した状態で、垂直な軸線を中心にして回転可能であり、前記供給配管、分離液排出配管および前記濃縮液排出配管が前記の垂直な軸線に関して同軸であり、
前記の上部ディスク状部分は、
少なくとも一つの分離液開口を介して前記分離室と流体連絡する分離液求心ポンプ室と、
少なくとも一つの濃縮液チャネルを介して前記分離室に流体連絡する濃縮液求心ポンプ室とを有し、前記の少なくとも一つの濃縮液チャネルは、
前記少なくとも一つの分離液開口から放射状に外向きに位置する濃縮液チャネル入り口を有するとともに、
前記少なくとも一つの濃縮液入り口と前記濃縮液求心ポンプ室との間に放射状にかつ流体方向に延在し、
前記構造体はさらに、前記分離液求心ポンプ室内の前記供給配管に対して同軸的に位置するともに、前記分離液排出配管と流体連絡する分離液求心ポンプと、
濃縮液求心ポンプであって、該濃縮液求心ポンプ室内の前記供給配管に対して同軸的に位置し、前記分離液求心ポンプの上に垂直に位置するとともに、前記濃縮液排出配管と流体連絡する濃縮液求心ポンプと、を有し、
前記ボウルの回転時、前記上部ディスク状部分および前記外壁が前記供給配管、前記分離液排出配管、前記濃縮液排出配管、前記分離液求心ポンプおよび前記濃縮液求心ポンプのそれぞれに対して回転し、
各濃縮液チャネルが前記それぞれの濃縮液チャネル入り口および前記濃縮液求心ポンプ室の中間に延在するチャネル部分を有し、前記チャンネル部分は、前記それぞれの濃縮液チャネル部分内の濃縮液流れの方向に対して直角をなす横断面積が連続的に漸増し、前記軸線に対する放射状の近接度が対応して高くなることを特徴とする装置。
【請求項22】
それぞれの濃縮液チャネル部分がそれぞれの濃縮液チャネルのそれぞれの濃縮液チャネル入り口で始まり、それぞれのチャネル入り口から放射状に内向きにかつ上向きに延在する請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記の少なくとも一つのチャネルが単体の、実質的に環状の濃縮液チャネルを有する請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記の少なくとも一つのチャネルが複数の、角度をもって離間した個別の濃縮液チャネルを有する請求項22に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は原料の遠心分離処理に関する。本発明の例示的な構成は、遠心分離処理によって懸濁している細胞を分離する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
懸濁している細胞を分離する装置および方法は、多くの技術的環境下で有用である。このような装置および方法には改善の余地がある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に開示する例示的な構成は、予め殺菌された、使い捨て式の流路構成部材を使用して、大規模細胞培養における細胞を遠心分離する装置および方法に関する。本発明で使用する遠心分離機は、予め殺菌された、使い捨て式の構成部材を使用する固体壁遠心分離機であればよく、高細胞濃度で細胞懸濁液を処理できる。
【0004】
例示的な構成では、回転可能に固定した供給/排出部材を使用する。多くの場合、使い捨て部材は拡張直径を備えたコア部を有する剛性フレームに取り付けた可撓性膜を有する。使い捨て部材はさらに少なくとも一つの救心ポンプを有することができる。この使い捨て構造については、内側が円錐台形になっている多用途剛性ボウル内に支持することができる。これら構造部材によって、システムが十分高い角速度を維持できるため、高度に濃縮した細胞培養液流れを効率よく処理できる沈降速度を実現できる。供給時の濁り度などを最小限に抑えることができる特性をもつため、細胞濃縮液を連続的に、あるいは半連続的に排出でき、全体の生成速度(産生速度)を現在使用されている速度以上にすることができる。本明細書に例示する構造および方法を有効に実施でき、汚染の恐れを小さく抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国公開出願第2010/0167388号
【特許文献2】米国特許第10,384,216号
【特許文献3】米国特許第9,222,067号
【特許文献4】米国特許第6,615,590号
【特許文献5】米国特許第9,427,748号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Ramesh S.Gaonker著“Microprocessor Architecture,Programming, and Applications with the 8085”(Prentic Hall,2002)
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、使い捨て式の多用途部材を有する遠心分離機システムの例示的な構成を示す概略図である。
図2図2は、図1の遠心分離機システム構成の上部フランジ領域を示す詳細図であり、可撓性の室材料をフランジの表面にシールする方法を示す図である。
図3図3は、図1に示す遠心分離機システム構成の使い捨て部材のコア部および上部フランジを示す等角投影破断図である。
図4図4は、遠心分離機システムのポンプ室が加速器フィンを有する、図1に示す構成を示す概略図である。
図5図5は、図4に示す遠心分離機システム構成におけるポンプ室の上部を示す等角投影図である。
図6図6は、(浅いプール遠心分離を行う)コア直径を拡張した使い捨て遠心分離機システムのコア部および上下のフランジを示す等角投影破断図である。
図7図7は、図6の供給加速器を示す等角投影図である。
図8図8は、標準的なコア直径、湾曲羽根を有する供給加速器、および楕円形ボウルを備えた使い捨て遠心分離機システムのコア部、および上下フランジを示す等角投影破断図である。
図9図9は、図8の供給加速器を示す等角投影図である。
図10図10は、濃縮液(concentrate)を連続排出する遠心分離機システムの一部を示す概略図である。
図11図11は、濃縮液を連続排出する遠心分離機システムを有する別な構成を示す概略図である。
図12図12は、希釈液導入機能を備えた、濃縮液を連続排出する遠心分離機システムを示す概略図である。
図13図13は、求心ポンプ(centripetal pump)のスロットル機構を備えた、濃縮液を連続排出する遠心分離機システムのさらに別な構成を示す概略図である。
図14図14は、コア部を備え、かつストレートな羽根をもつ供給加速器を備えた使い捨て遠心分離機システムのコア部および上フランジを示す等角投影破断図である。
図15図15は、図14の供給加速器を示す等角投影図である。
図16図16は、別な濃縮液を連続排出する遠心分離システムを示す等角投影破断図である。
図17図17は、別な求心ポンプを示す等角投影展開図である。
図18図18は、渦巻き式流路を内部に備えた別な求心ポンプのプレートを示す等角投影図である。
図19図19は、遠心分離コアキャビティ内に正圧を確実に維持する動作を行う遠心分離機システムを示す概略図である。
図20図20は、図19に示す少なくとも一つの制御回路が実行する簡略化した例示的なロジックフローを示す概略図である。
図21図21は、別な連続的に分離液(centrate)および濃縮液を排出する遠心分離機システムを示す横断概略図である。
図22図22は、さらに別な連続的に分離液および濃縮液を排出する遠心分離機システムを示す横断概略図である。
図23図23は、さらに別な連続的に分離液および濃縮液を排出する遠心分離機システムを示す横断概略図である。
図24図24は、例示的な連続的に分離液および濃縮液を排出する遠心分離機システムを示す概略図である。
図25図25は、図24の例示的な制御システムに対応するロジックフローを示す概略図である。
図26図26は、分離室内の濃縮液/分離液ダムを有する使い捨て遠心分離機構造の例示的な上部を示す横断面図である。
図27図27は、空気/液体界面のラジアル位置を制御するために分離液ポンプ室および濃縮液ポンプ室内の羽根を有する使い捨て構造の例示的な上部を示す横断面図である。
図28図28は、複数の室内羽根を有する例示的な濃縮液または分離液ポンプ室の表面を示す斜視図である。
図29図29は、空気/液体界面の位置を示す図27に示すのと同様な使い捨て構造の例示的な上部を示す軸方向横断面図である。
図30図30は、空気ポケット内に加圧空気を維持する空気流路を備える使い捨て構造の例示的な上部を示す軸方向横断面図である。
図31図31は、分離液流れの背圧制御を行う例示的な遠心分離システムを示す概略図である。
図32図32は、さらに別な連続的な分離液/濃縮液排出用遠心分離システムを示す軸方向横断概略図である。
図33図33は、図32に示すシステムの上部を示す横断概略図である。
図34図34は、図32と同様な図であるが、システムが運転状態にあり、また環状の細胞濃縮物領域を分離室内に設定した状態を示す横断概略図である。
図35図35は、さらに別な使い捨て式遠心分離構造を示す外部正面からみた斜視図である。
図36図36は、図35に示す使い捨て式構造を示す横断面図である。
図37図37は、図35に示す使い捨て式構造の上部のディスク状部分を示す分解図である。
図38図38は、図35に示す構造の上部のディスク状部分の下側部分を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
バイオ医薬品プロセスに適用される細胞培養の分野では、細胞培養を行う流体などの流体培地から細胞を分離する必要がある。細胞培養の目的の生成物としては、細胞が培地内に排泄する分子種、細胞内に残る分子種、あるいは細胞それ自体であればよい。生成(生産、産生)スケールで、細胞培養プロセスの初期段階が、バッチモードまたは連続モードのいずれかで動作することができるバイオリアクター内で生じるのが一般的である。反復バッチプロセスも実施可能である。目的の生成物については、最終的な精製および生成物の組織立て(product formulation)に先立って他のプロセス部材から分離する必要があることが多い。細胞採取は、他のプロセス部材からのこれら細胞分離を指す一般的な用語である。また、清澄化は細胞を含有しない上澄み(または分離液)が目的である細胞分離を指す用語であり、細胞回収は細胞濃縮液が目的である分離を指す用語である。本明細書に開示する例示的な構成は、大規模な細胞培養システムにおける細胞採取に関する。
【0009】
細胞採取分離方法は、バッチ式遠心分離、断続的遠心分離、連続遠心分離、半連続遠心分離、接線方向濾過(TFF)および深層濾過などである。生産スケールでの大容量細胞培養における細胞採取用の遠心分離は、歴史的には、微生物汚染を防止する無菌環境を設定する定置洗浄(CIP)技術や定置滅菌(SIP)技術を必要とする複雑な多用途システムである。実験室規模や連続的な細胞採取プロセスでは、より小型のシステムを利用することができる。Pneumatic Scale Corporation製の、米国公開出願第2010/0167388(全体をここに援用する)に記載されているUniFuge遠心分離機システムによれば、断続的な処理を使用して最大約2000リットルの量で3~30リットル/分の範囲で細胞採取をバッチ式培養によって成功裏に実施できる。また、米国特許第10,384,216号および米国特許第9,222,067号(いずれも本出願の譲り受け人であるPneumatic ScaleCorporationが所有する)も全文をここに援用する。一般的にいって、断続処理の場合、濃縮液を排出するために、遠心分離ボウルの回転および供給流れの両者を定期的に停止する必要がある。この処理方法は通常濃度が低く、生存率の高い培養では成功裏に実施できる。なお、この方法では大きなバッチを処理でき、また細胞濃縮液は比較的迅速に、かつ完全に排出できる。
【0010】
時には、“高濁度供給原料”と呼ばれることもある供給原料に高濃度の細胞および細胞デブリを含有する高濃度および/または低生存率細胞培養物から細胞を採取する必要がある。このような高濁度供給原料は、一部の遠心分離機システムでは処理速度が遅くなる恐れがある。以下がその理由である。
(1)供給流量を遅くし、遠心分離機における滞留時間を延長し、小さな細胞デブリ粒子を分離する必要がある。
(2)細胞および細胞デブリの両者の濃度が高くなると、細胞濃縮液のボウルへの充填が速くなり、ボウルを停止して濃縮液を排出する必要がある。
これら要因が重なり、正味の処理速度が低下し、細胞採取処理時間が許容できない程長くなる恐れがある。長い処理時間に対応してコスト高になる上に、遠心分離時間も長くなり、生成物の汚染の恐れが強くなり、低生存率の細胞培養物にも損失が出る恐れがある。
【0011】
供給原料における細胞および細胞デブリの濃度が高くなると、細胞濃縮液の粘度がきわめて高くなる。これによって、排出サイクルを延長しても、遠心分離機から細胞濃縮液を完全に排出することが難しくなる。場合にもよるが、緩衝液のリンスサイクルを延長すると、濃縮物を十分完全に排出することができるが、排出サイクルに対してこのような調節のいずれかを行うか、あるいは両者を調節する必要が生じ、処理時間が長くなる。大容量の細胞培養処理を行うことがより複雑になり、コストも高くなる。
【0012】
ボウルサイズを大きくし、断続的な処理サイクルの供給部分を延長することによってシステムサイズをスケールアップことは実用的でないことが多い。細胞濃縮液の排出サイクルがこれに応じてより長くなるからである。単純な形状上のスケールアップができなくなる別な制限も発生し、適正な流体の動的ファクターのスケールアップにバラツキが生じる。いずれの遠心分離の場合、最大処理速度は分離すべき粒子の沈降速度に依存する。この沈降速度は式1によって定義されるストークスの法則の変分によって与えられる。

公式1


なお、式中のvは沈降速度、Δρは固液密度差、dは粒子径、rは粒子のラジアル位置、ωは角速度、そしてμは液体速度である。スケールアップジオメトリーの場合、ボウルの半径を変えると、粒子が占める最大半径方向位置rが変わる。従って、式1の他のパラメーターを一定に維持した場合、ボウル半径が大きくなり、平均沈降速度が増し、所定の分離効率に関して処理量が増える。ところが、半径が長くなると、必要になることもある原料強度が強くなり、また他の工学的な制限もあるため、ボウルの角速度を維持することがより難しくなる。角速度の低下が、比例して大きくなる半径の二乗根を上回ると、平均沈降速度および(半径に比例する)処理量増加が共に減少する。
【0013】
考慮する必要がある工学的な制限の一つは、より大きなボウルを回転させるために必要な角速度が実際には実現し難い点にある。より巨大で、よりコストのかかる遠心分離機駆動プラットフォームが必要になるからである。
【0014】
さらに、半径が大きくなる間角速度を一定に保持する場合、遠心分離機の壁部に向けて細胞を推し進める力も強くなる。十分高い角速度でボウルを回転させ、目的の処理効率を得る場合、容器の壁部および容器内の細胞に加わる応力が強くなる。細胞についていえば、細胞が過度に高い濃度に詰め込まれることによって細胞が損傷を受けることになる。細胞損傷は、細胞生存率を維持する必要がある用途では不利に作用し、分離液中の溶液に存在する生成物の汚染につながる。過度に高い細胞濃度から生じる高い粘度も細胞濃縮物の完全排出に不利に作用する場合も生じる。
【0015】
例示的な構成は、産業規模で大容量の細胞懸濁液を処理するために好適な速度で高濃度の細胞および細胞デブリを含有する低生存率細胞懸濁培養物の連続的な、あるいは半連続的な遠心分離を行う装置および方法を包含する。一部の例示的な遠心分離機は予め殺菌を行った使い捨て設計であり、20リットル/分を超える流量でこのような細胞懸濁液を処理できる。この流れ容量のため、トータルな運転時間を2000リットルバイオリアクターの場合2~3時間に設定できる。使い捨て遠心分離機システムの例示的な構成では、約20~40リットル/分で運転する状態で、約300~2,000リットルの流体を処理できる。
【0016】
図1に、使い捨て遠心分離機構造1000を示す。この遠心分離機構造1000はコア部1510、上フランジ1300、下フランジ1200、および上フランジ1300および下フランジ1200の両方にシール(封着)した可撓性(flexible)ライナー1100を有するコア構造1500(図3に明示する)を備える。この遠心分離機構造1000は回転ポンプ室1420内に一対の静置ペアリングディスク(paring disc)1410を有する求心ポンプ1400、および回転機械式シール1700を備える。
【0017】
遠心分離機構造1000は供給/排出装置2000も備える。この装置2000は遠心分離機1000の回転軸1525(図12に示す)を中心にして複数の同軸配管を備える。供給/排出装置2000の最も内側の部分は、供給配管2100を備える。複数の補助的な配管が供給配管2100を同軸的に取り囲み、分離液の排出2200、濃縮液の排出2500(例えば図12を参照)、または希釈液の供給5000(例えば図12を参照)を行う配管または流体路を備えることができる。供給/排出接続部の各部は適正な流体接続によって遠心分離機1000の内部の一部に流体接続することができ、またさらに同軸配管に流体接続して、システムから分離液、濃縮液、または希釈液を取り出すことができ、あるいはシステムにこれらを加えることができる。
【0018】
図1に示す上下のフランジ1300、1200はコア部1510と軸方向に整合し、かつコア部1510に対して凹状になっている円錐形ボウルを有する。このコア部1510は全体として円筒形本体を有し、その中空の円筒形中心は軸1525(図12に明示する)を備える供給配管2100を受け取ることでできる大きさをもつ。上フランジ1300、コア部1510および下フランジ1200は一体的な構造を取ることができ、膜とも呼ぶことがある可撓性ライナー1100のより強固な支持体になる。他の構成では、コア部1500は複数の部材から構成することができる。他の構成では、コア部1510および上フランジ1300を単一の部材から構成し、下フランジ1200を別な部材から構成してもよい。あるいは、コア部1510および下フランジ1200を単一部材から構成し、上フランジ1300を別な部材から構成してもよい。
【0019】
例示的な一体コア部1510/上フランジ1300の構成を図3に示す。この一体的な部材については、下フランジ1200に接合し、遠心分離機1000の使い捨て部材の内部支持構造1500を形成することができる。この構造によって可撓性ライナー1100を剛性か半剛性の固定内部支持構造1500の周囲に上部および底部において固定する。遠心分離機システムが使用中の場合には、可撓性ライナー1100の外部も多用途構造体3000のボウルおよびカバーの壁部によって支持する。
【0020】
例示的な分離室1550は全体として円筒形の開放室であり、この開放室は全体的にみてコア部1510の外面1515および可撓性ライナー1100と境界を成すとともに、下フランジ1200の上面1210および上フランジ1300の下面1310と境界を成す。コア部1510の中心キャビティ1520からコア部1510の外面1515まで延在する孔1530によって分離室1550は供給配管2100に流体接続する。この分離室1550は、コア部1500を介して同様な孔1540によってポンプ室1420にも流体接続する。本実施例では、孔1540はポンプ室1420の方に上向き角度をもち、コア部1510と上フランジ1300との接合室部の真下で分離室1550に開口する。図12に示すように、上向き角度以外の、水平かあるいは下向き角度などの角度で孔1420または4420はポンプ室に入る。さらに、一部の構成では、これら孔1420、4420の代わりに加速器フィン間のスリットまたはギャップを使用してもよい。
【0021】
図1には、供給配管キャリヤ2300を有する供給/排出装置2000も示すが、この配管キャリヤを介して供給配管2100が遠心分離機1000の底部に近い、図3に示す位置まで延在する。この位置では、供給配管2100が移動することなく、供給機能および排出機能の両機能を発揮できる。供給プロセス時のせん断力は、供給配管2100のノズル2110と下フランジ1200の上面1210との間のギャップを細心の注意を払って設計することにより、また供給配管2100のノズルの2110の直径および遠心分離機の角速度によって最小に抑制できる。(本出願に援用する)米国特許第6,615,590号には、せん断力を最小に抑制するために適正な関係を選択する方法が開示されている。当業者にとって公知な回転遠心分離機への液体細胞培地の供給に応じて発生するせん断力を最小に抑制する他の好適な供給配管も使用することができる。
【0022】
さらに、図1には、分離液排出流路2200を介して分離液を排出する求心ポンプ1400も示す。図1に示す構成では、分離液ポンプ1400はポンプ室1420内の上フランジ1300の上に配置する。ポンプ室1420は、コア部1510の上面1505および遠心分離機カバー1600の内面1605、1620が形成する室部である。遠心分離機カバー1600は円筒形壁部(図5に示す)および全体として円形ディスク(図5に示す)の形を取る係合キャップ部1610を備えることができる。この遠心分離機カバー1600については、一体的に形成してもよく、あるいは個別部材から形成してもよい。
【0023】
以下により詳しく説明するように、他の構成では、分離液ポンプ室1420の形状および位置については変更することができる。ポンプ室1420はコア構造体1500の上端付近で軸方向に対称的なポンプ室であり、このコア構造体は、コア1515の外部付近から分離液ポンプ室1420に延入する孔またはスリット1530を介して分離室1550と流体接続する。一部の構成では、図11および図12に明示するように、分離液ポンプ室1420は分離室1550内の凹部に設けることができる。
【0024】
例示的な分離液ポンプ1400は、一対のペアリングディスク1410を備える。ペアリングディスク1410は2つの薄い円形ディスク(プレート)であり、これらはコア構造体1500の軸1525と軸方向に整合する。図1図5に示す構成では、ペアリングディスク1410は遠心分離機構造1000に対して静置保持され、一定のギャップ1415(図15の1415)によって相互分離する。ペアリングディスク1410の間にあるこのギャップ1415が流体接続し、遠心分離機1000から分離液を取り出し、この分離液はペアリングディスク1410の間を流れ、分離液出口2400で終了する、供給配管キャリヤ2300を取り囲む中空円筒形の分離液排出流路2200に流入する。
【0025】
例示的な使い捨て遠心分離機構造1000については、多用途遠心分離機構造体3000内に収容する。この構造体3000はボウル3100およびカバー3200を備える。遠心分離機ボウル3100の壁部が、遠心分離機1000の回転時に遠心分離機1000の可撓性ライナー1100を支持する。このために、使い捨て遠心分離機1000の外側構造部と多用途構造体3000の内側構造部とが相互に一致する。同様に、上フランジ1200の上面、コア部1510の上部の外側および遠心分離機カバー1600の壁部1640の下部が、回転時支持を行うようになっている多用途ボウルカバー3200の内面に一致する。以下に詳しく説明するように、多用途ボウル1300およびボウルカバー3200があるため、せん断力によってライナー1100を切り裂き、使い捨て遠心分離機1000から接触を断つことがなくなる。一部の構成では、一致する使い捨て遠心分離機1000を選択することによって、既存の多用途構造体3000を使い捨て処理に組み込むことができる。また、他の構成では、多用途構造体3000を使い捨て遠心分離機1000と併用できるように特別な設計を行ってもよい。
【0026】
図2に、可撓性ライナー1100の上フランジ1300へのシールを説明するために、多用途遠心分離機構造体3000の上フランジ1300、プラスチックライナー1100およびカバー3200の例示的な構造の一部を示す。可撓性ライナー1100としては、ポリウレタン(TPU)やその他の強靭性があり、耐引き裂き性を有し、生体適合性を備えたポリマーなどの熱可塑性エラストマーを使用することができ、また上下のフランジ1300、1200としては、ポリエーテルイミド、ポリカーボネートやポリスルフォンなどの剛性のあるポリマーから形成してもよい。可撓性ライナー1100は薄いスリーブかエンベロープであり、このスリーブなどについては、上下のフランジ1300、1200間に延在し、かつこれらフランジにシールされ、分離室1550の外壁を形成する。ライナー1100および上下のフランジ1300、1200およびコア部1510の材料については、例示に過ぎない。当業者ならば、公知材料と同様な特性を備えた適当な材料を選択できるはずである。
【0027】
熱接着取り付けプロセスを使用して、図2に示す領域内に異なる材料を接着することができる。フランジ材料を予熱し、エラストマー系ポリマーを加熱されたポリマーの上に配置し、エラストマー系フィルムライナー1100の軟化点以上の温度でこれを加熱加圧することによって熱接着部1110を形成する。同様にして、プラスチックライナー1100を下フランジ1200に接着する。熱接着部1110について説明したが、これは例示に過ぎない。可撓性フィルムとフランジ材料との間に同様に強く、比較的永久的な接着部を構成する他の手段、例えば温度、化学薬品、接着剤やその他の接着手段などを代用することができる。
【0028】
例示的な使い捨て部材を予め殺菌する。これら部材を保護包装から取り出し、遠心分離機に据え付けている間、熱接着部1110が使い捨て室部内に殺菌状態を維持する。使用時には、延伸性を示す可撓性ライナー1100が再使用可能なボウル3100の壁部に整合する。再使用可能なボウル3100が十分な支持を確保し、また可撓性ライナー1100が十分な弾性を示すため、使い捨て遠心分離機1000は、大きな半径の遠心分離機1000に液体細胞培地や他の懸濁液が充填され、かつ処理速度が約2~40リットル/分に達する沈降速度に達するほど高い角速度で遠心分離機が回転するさいに発生する強い回転力に十分耐え得る。
【0029】
熱接着部1110に加えて、シーリングリッジまたは“ナビン(nubbins)”3210がボウルカバー3200上に存在するため、剛性のある上フランジ1300を熱可塑性エラストマー系フィルムが圧縮し、さらにシール作用が強くなる。同じ圧縮シールをボウル3100の下部にも使用するため、剛性のある下フランジ1200を熱可塑性エラストマー系フィルムでシールすることができる。これらシール部が、室部に液体を充填するさいの遠心分離時に発生する静水圧がもたらすせん断力から熱接着領域1110を分離することによってこの領域を支持する。熱接着領域1110と圧縮ナビン3210とのシール部が、ボウル壁部における97psiの静水圧に対応する3000xgで試験を受けたことになる。ライニングは十分薄く、また圧縮性であるため、ナビン3210が可撓性ライナー1100を圧縮し、かつこれを把持するが、熱的接着部1110や圧縮ナビン3210付近で裂ける恐れは最小限に抑えることができる。一つの実施例構成では、可撓性TPUライナーのシール厚さは0.010インチで、裂けることもなく、あるいは漏出も見られない。
【0030】
図1および図2の図示に対応する構成について、直径が5.5インチのボウル内で試験を行った。2000xgでの水圧容量は>7リットル/分であり、哺乳動物細胞を3リットル/分の流速において99%の効率で成功裏に分離できた。
【0031】
ほとんどの場合、上下のフランジ1300、1200は図1に示す形状と同様な形状をもっていればよいが、一部の場合、使い捨て遠心分離機の上面は図10および図11に示すように、異なる形状であってもよい。図10および図11に示す構成では、全体として円錐形の上フランジ1300に一致する全体として円錐形ボウルカバー3200と比較した場合、上フランジおよびボウルカバーの両者はディスク形である。当業者ならば、本発明のシーリング技術を異なる形状のシーリング表面に応用できるはずである。
【0032】
図4および図5に、求心ポンプ1400の効率を改善する特徴を備えた実施例の構成を示す。図5に詳細に示すように、図1および図2に示す内部構造と同様な、使い捨て部材の内部構造はポンプ室1420のキャップ部1610の内面1620上に複数のラジアルフィン1630を備える。ラジアルフィン1630は薄い、全体として矩形のラジアルプレートであればよく、キャップ部1610の内面1620から垂直に延在する。例示的な構成では、6つのフィン1630を使用するが、他の構成では、フィン1630の個数は6つ以下でもよく、6つ以上でもよい。この構成では、フィンはキャップ1620の内面の一部を構成するが、他の構成では、キャップ1610以外の形状を取ることができるポンプ室1420の上面1620を備えることができる。遠心分離機システムの使用時、フィン1630はポンプ室1420内の求心ポンプ1400のペアリングディスク1410の上に位置する。これらフィン1630は遠心分離機1000の角回転をポンプ室1420内の分離液に伝える。
【0033】
以上の結果、求心ポンプ1400の効率が向上し、ペアリングディスク1410上のポンプ室1420内の気液界面が安定化し、気体バリヤのサイズが大きくなる。この気体バリヤは全体として円筒形気体カラムであり、この気体カラムは供給/排出機構2000の外側から外向きに延在し、ポンプ室1420に延入し、回転している分離液の内面に至る。気体バリヤのサイズがこのように大きくなるのは、分離液の角速度が高くなり、分離液が遠心分離機の壁部に強制的に押し付けられるからである。ポンプ室1420内で回転している分離液が静置ペアリングディスク1410に接触すると、摩擦が発生する結果、ポンプ1400の効率が低下することがある。分離液と同じ角速度で回転する複数のラジアルフィン1630を付設すると、速度低下を抑えることができる。この速度低下は、回転している分離液と静置ペアリングディスク1410との衝突から発生する。
【0034】
図6に、濁度の高い供給原料に使用するコア構造1500を示す例示的な構成を示す。コア構造1500はコア部1510、上フランジ1300、および下フランジ1200を備える。このコア部1510は円筒形の中心キャビティ1520を備え、供給配管2100をこの中心キャビティ1520に挿入できる。中心軸1525からコア部1515の外側までの距離(図6の破線6000で示すコア部幅)は、図3に示す構成における対応距離よりも長い。より直径が大きいコア部1510を使用するので、分離室1550の深さ(破線6010で示す)が浅くなり、遠心分離機1000が浅いプール遠心分離機として動作することが可能になる。一般的に、分離室1550の深さ6010は、図1および図12に示すコア部1510の外側と可撓性ライナー1100との間の距離である。浅いプール遠心分離機の場合、遠心分離機の直径に対して分離室1550の深さ6010が小さい。図12に示す例示的な構成から読み取れるように、細胞濃縮液の取り出しを容易にするために、浅いプールの深さ6010は分離室1550の底部において浅くなり、分離室1550の上部において幾分深くなる。本発明の一部の構成では、コア部幅に対する平均分離プール深さ6010の比は1:1か、1:1未満である。浅いプール遠心分離機の実例は、Pneumatic Scale Corporation製のViaFuge(R)遠心分離機システムの適宜選択されるモデルである。より高い供給流量で分離を可能にすることが浅いプール遠心分離機の一つの利点である。所定のボウル内径についてはより高い平均重力によってこの利点は実現でき、所定の角速度でより高い沈降速度を得ることができる。結果として分離特性が改善し、高濃度の細胞デブリを含有する濁度の高い供給原料を分離するさいに有利に作用する。
【0035】
図6に示すコア部構造1500の実施例構成も下フランジ1200の一部として加速器羽根1560を有する。(図10および図11に示す)固形コア部1510に開けた孔1530ではなく、加速器羽根1560(図12に示す)がコア部1510の中心キャビティ1520と分離室1550とを流体接続する別な構成になる。
【0036】
図6に示すコア部構造1500の例示的な構成では、加速器羽根1560は複数の放射状方向(なお、本明細書において、「放射状方向」「放射状」をそれぞれ「ラジアル方向」「ラジアル」ともいう。)に離間した、全体として矩形の薄いプレート1580を備え、これらの羽根は下フランジ1200の上部円錐面から上向きに延在する。これらプレート1580はコア部1510の基底部に対して上向きに直交延在する。また、プレート1580はコア部1510の軸線1525付近から全体としてラジアル方向に外向きに延在する。例示的な構成では、図7に明示するように、12枚のプレート1580が存在する。他の構成では、プレート数は12以下、あるいは12以上でもよい。さらに、他の構成では、図9の例示的な構成に示すように、プレート1580は遠心分離機1000の回転方向に湾曲していてもよい。下フランジ1200の内面は、楕円形の加速器ボウル1590を形成するように構成してもよく、そこから湾曲プレートが上向きに延在する。以上の構成は例示であり、当業者ならば、これらプレート、下フランジ1200の形状および/または埋設加速器がもたらす濁度減少からさらに作用効果を引き出すようにこれら構成を異なる方法で組み合わせ、あるいはこれら構成を部分修正できるはずである。
【0037】
連続的な、あるいは半連続的な動作を行う使い捨て遠心分離機1000のさらに別な作用効果を図10図12に示す。図10に示す例示的な構成は、細胞濃縮液を取り出す第2求心ポンプ4400を備える。細胞濃縮液を取り出す求心ポンプ4400は、分離液を取り出すために求心ポンプ1400の上に位置する。この求心ポンプ4400はポンプ室4420、およびペアリングディスク4410を備える。複数の孔または連続スリット4540が分離室1550の上部外周部からポンプ室4420に延入するため、分離室1550の上部外側部分が第2ポンプ室4420に流体接続する。ポンプ室1400と同様に、ポンプ室4400も図10図12に示す形状とは異なる形状であってもよいが、分離室1550に流体接続するコア部構造1500の上端付近において全体として軸方向に対称的な形状を有する。ポンプ室1400と同様に、このポンプ室はコア部構造1500内の凹部によって部分的に、あるいは全体的に形成することができる。分離液ポンプ室1400がコア部構造1500の上端付近にある場合、細胞濃縮液ポンプ室4400は全体としてこの上に設けることになる。ポンプ室4400は、細胞濃縮液を取り出すために、孔またはスリット4540によって分離室1550と流体接続する。これらスリット等が分離室1550の外側上壁付近から延在するため、遠心力によってそこに押し付けられたより重い細胞濃縮液を回収することができる。
【0038】
図10に示す構成では、濃縮液排出ポンプ4400に使用するペアリングディスク4410が、分離液排出ポンプ1400に使用するものとほぼ同じ半径を有し、回転可能に固定する。図11に示す構成などの構成では、濃縮液排出ポンプ4400のペアリングディスク4410の半径は、分離液排出ポンプ1400の場合よりも大きく、これに対応してポンプ室4420も大きい。各種の中間直径をもつペアリングディスクも使用可能である。最適な直径は、排出すべき細胞濃縮液の特性に依存する。ペアリングディスクの直径が大きくなると、ポンプ能力が高くなるが、発生するせん断力も大きくなる。
【0039】
図1図4および図10に示す構成では、濃縮液排出ポンプ4400のペアリングディスク4410は、回転可能に固定する。他の構成では、例えば図11に示す構成では、ペアリングディスク4410は、ゼロと遠心分離機1000の角速度との間にある角速度で回転できる構成である。目的の角速度については、当業者によく知られている多数の機構によって制御できる。制御手段の実例は外部スリップクラッチであり、これによってペアリングディスク4410が遠心分離機1000の角速度の分数である角速度で回転できる。ペアリングディスクの角速度のその他の制御手段については、当業者ならば理解できるはずである。
【0040】
図1図4図10~12に示す構成では、ペアリングディスク1410と4410との間のギャップ1415、4415は固定する。図13に示す構成などの構成の場合、ペアリングディスク1410と4410との間のギャップ1415、4415は調整可能であり、分離液および濃縮液を遠心分離機1000から取り出す流量を制御できる。ペアリングディスク1410および4410の各対のうちの一つは、上下に移動可能なスロットルチューブ(throttle tube)6100に取り付ける。このスロットルチューブ6100は上下動でき、各対のペアリングディスク1410、4410間のギャップ1415、4415を狭め、あるいは広げることができる。さらに、外部蠕動ポンプ2510(図示省略)を濃縮液取り出しライン2500(図示省略)に取り付けることができ、濃縮液の取り出しが容易になる。このポンプ2510については、ポンプ室4420内のセンサー4430によって制御することができる。このセンサー4430(図示省略)を使用すると、希釈ポンプ5150を制御でき、これによって濃縮液の取り出しを希釈液添加に同期させることが可能になる。
【0041】
また、図13には分離液ポンプ1400を遠心分離機1000の基底部に設けた構成を示す。図13に示す構成では、ポンプ室1420と可撓性ライナー1100との間に分離液溜め1555が形成する。孔1530がポンプ室1420の下にあるコア部1510からこの分離液溜め1555に延入する。さらに、図示の例示的な構成では、孔1540がコア部1510の外面1515に隣接する分離室1550からポンプ室1420に延入するため、分離液ポンプ1400を使用して分離液を取り出すことができる。また、孔4540が分離室1550とその上部外面との間からポンプ室4420に延入するため、細胞濃縮液がポンプ室4420に流入し、求心ポンプ4400を使用してこれを取り出すことができる。
【0042】
上記したように、図示の例示的な構成では、ペアリングディスク1410と4410との間のギャップ1415、4415は、各対のペアリングディスク4410、1410の一つに接続したスロットルチューブ6100を使用することによって調整可能である。スロットルチューブ6100、および各ペアリングディスク4410、1410の一つは上下動でき、ギャップ1415、4415を狭め、あるいは広げることができる。図示の例示的な構成では、スロットルチューブ6100はそれぞれペアリングディスク対4410、1410の下ペアリングディスクおよび上ペアリングディスクに取り付ける。その他の構成では、この取り付け順を逆にしてもよく、一基の求心ポンプを絞りで調節してもよく、あるいは(図13に図示するような逆ではなく)2基の求心ポンプを平行に絞りで調節することも可能である。
【0043】
図10図12に示す構成から見て取れるように、固形の多用途ボウル3100の壁部は上部より基底部において厚いため、内側が円錐台形になり、半径が上端においてよりも下端において小さい使い捨て遠心分離機構造1000を支持することができる。このように、分離室1550の上端の半径が大きいため、より濃厚な細胞濃縮液が分離室1550の外側上部に向かい、求心ポンプ室4420に流入する。図示の構成では、上部においてよりも基底部において厚い壁部を備えた多用途ボウル3100によって円錐台形になる。当業者ならば、内部形状が円錐台形の多用途ボウル3100も厚みが均一の壁部を有し、多用途ボウル3100を目的に応じた内部形状を取るように変更できることを認識できるはずである。
【0044】
図10図12に示す例示的な構成では、供給機構2000も細胞や細胞濃縮液を取り出す付加的な流路を備える。図1に示す構成では、供給配管2100周囲の円筒形流路2200を使用して分離液を取り出す。図10図12に示す構成でも、細胞や細胞濃縮液を取り出す、ここでは細胞排出管2500と呼ぶ円筒形の同軸流路を備える。細胞排出配管2500が濃縮液取り出す流路2200を取り囲む。粘度がきわめて高いことが予想される濃縮液に使用することを想定して遠心分離機を設計する場合、供給配管2100周囲に付加的な円筒形同軸流路5000を設けることができ、細胞濃縮液ポンプ室4420内に希釈液を導入し、濃縮液の粘度を低くすることができる。図12に示す例示的な構成では、希釈液流路5000は細胞排出流路を取り囲む同軸管を備え、下端においてペアリングディスク4410上の薄いディスク状流路5100に開口し、ペアリングディスク4410の外縁部付近で排出を行うため、ポンプ室4420に流体連絡できる。この位置においてこの手段によって希釈液を注入すると、希釈液が分離液に導入されるではなく、濃縮液と混合され、これとともに排出されることを制限することになり、これは用途にもよるが望ましくない。別な構成では、希釈液をペアリングディスクに直接導入し、ラジアル方向上向きに拡散させるか、あるいはペアリングディスクの上に位置する別なディスクに直接導入する。
【0045】
希釈液の選択は、何が分離プロセスの対象であるかに依存し、また希釈すべき細胞濃縮液の性質に依存する。場合にもよるが、希釈液としては単純な等浸透圧緩衝液か脱イオン水を利用できる。また、細胞濃縮液の特性に対して特異的な希釈液を使用した方が有利な場合がある。例えば、低い細胞生存率で行う生産規模のバッチ式細胞培養では、通常、培地に凝集剤を添加する。これは、遠心分離機に供給すると、細胞および細胞デブリが大きな粒子に凝集するため、沈降速度を高くすることによって、分離が容易になるからである。細胞も、または細胞デブリも表面電荷が負電荷であるため、凝集剤として使用する化合物は一般的には陽イオンポリマーであり、このポリマーはポリエチレンイミンのように複数の正電荷を帯びている。複数の正電荷を帯びているため、このような凝集剤は負電荷の細胞および細胞デブリに結合し、大きな凝集体になる。このような凝集剤を使用した場合、細胞濃縮液の粘度が高くなることもあり、これは望ましくない。従って、本発明に特に有用な希釈剤は細胞濃縮物の粘度を高める結合を妨害する解膠剤(deflocculant)である。解膠剤の実例は塩化ナトリウム溶液などの高塩分濃度緩衝液であり、その濃度は0.1M~1.0Mである。細胞濃縮液の粘度を低くするために有効な他の解膠剤はアクリル酸のポリマーなどの陰イオンポリマーである。
【0046】
細胞生存性を維持すべき細胞濃縮液の場合、例えばデキストランやPluronic F-68などのせん断保護剤である希釈液を選択する。このせん断保護剤を等浸透圧緩衝液と併用すると、遠心分離機からの排出時に細胞の生存性が高くなる。
【0047】
図4に示す例示的な遠心分離機の動作(操作)を以下に説明する。供給サイクル時、供給懸濁液は供給配管2100を介して回転ボウル装置に流入する。この供給懸濁液が下フランジ1200付近のコア部1510の中心キャビティ1520に流入すると、遠心力によって下フランジ1200の上面にそって外向きに推し進められ、コア部1510内の孔1530を介して分離室1550に流入する。
【0048】
分離液が、分離室1550、即ちコア部1510を取り囲む上フランジ1300の下にある中空の、全体として円筒形スペースに集まる。分離液は、分離室1550とコア部1410に隣接する分離室1550の上部にあるポンプ室1420との間にある孔1540に出合うまで、入り口から上向きに流れ、孔1530を介して分離室に流入する。液体よりも密度の高い粒子は、沈降(粒子濃縮液)によって孔1530から分離室1550の外壁に向かって移動する。遠心分離機1000の回転が停止すると、粒子濃縮液は重力の影響を受けて下向きに移動し、供給配管2100のノズル2110に流入し、供給/排出機構2000によって排出される。
【0049】
回転時、分離液が孔1540を介して分離液ポンプ室1420に流入する。ポンプ室1420内で、回転する分離液が静置ペアリングディスク1410に衝突し、液体の運動エネルギーを圧力に変換し、この圧力によって供給/排出機構2000内の分離液排出路を介して上向きに排出され、分離液排出配管2400から外に出る。
【0050】
回転する求心ポンプ1400のキャップ部分1610の内面1620にラジアルフィン1630を付設することによってこのポンプ1400の効率が高くなる。これらフィン1630が、回転装置の角モメンタムをポンプ室1420内の分離液に与える。さもなければ、回転している分離液の静置ペアリングディスク1410の衝突時に、摩擦のためにスローダウンが発生する恐れがある。求心ポンプ1400が、ポンプ室1420内に気液界面があるため、機械的シールよりもすぐれた分離液排出手段になる。ポンプ室1420内の気体が、回転するシール1700によって外部環境の汚染を受けることがなくなる。ペアリングディスク1410間の排出されている分離液が供給プロセス時にも、あるいは排出プロセス時にも空気に接触することがないため、排出プロセスで空気の細胞培地への導入時に発生することが多い過剰な泡立ちを防止できる。
【0051】
図4および図5に示す遠心分離機1000の構成では、細胞濃縮液は、ボウルの回転および供給流れを定期的に中断し、次に分離室1550の外壁にそって集められる細胞濃縮液をポンプによって排出することによって排出される。このプロセスは断続処理として知られている。分離室1550が体積容量に達すると、遠心分離機の回転が中断する。細胞濃縮液が供給配管2100のノズル2110に向かって流下し、これを供給配管2100からポンプによって吐き出すことによって回収する。遠心分離機1000を外部から弁操作(図示省略)して、濃縮液を回収容器(図示省略)に回収する。バイオリアクターの全バッチが完全に処理されていない場合には、ボウル回転および供給流れを再開し、バッチがすべて処理されるまで供給/排出サイクルを続行する。
【0052】
上述したように、細胞培地の濃縮時、あるいは細胞培地が相当量の細胞デブリを含有している場合には、上記プロセスの速度が遅くなる。滞留時間を延長して小さなデブリ粒子を捕獲しなければならないからであり、このためには、供給流量を小さくし、分離室1550を迅速充填し、培養バッチ毎に回転を頻繁にかつ繰り返し中断する必要がある。さらに、細胞濃縮液がより粘稠化するため、重力の作用が働かなくなり、細胞濃縮液が遠心分離機1000の底部に届かなくなり、この結果長時間が必要になり、場合によっては、洗浄を行って残留している細胞を取り出す必要が出てくる。
【0053】
図6図13に示す例示的な構成の一部を変更した使い捨て遠心分離機では、角速度を上げることなく、平均沈降速度をより高くし、遠心分離機1000を連続的に、あるいは半連続的に操作し、細胞取り出し時に希釈液を細胞濃縮液に添加できるため、細胞の取り出しがより簡単になり、またより完全になる。
【0054】
図6図12に示す使い捨て遠心分離機構造1000の構成については、前記のように操作を行う。供給懸濁液は、供給管2100から使い捨て遠心分離機構造1000に供給する。供給懸濁液が加速器羽根1560に衝突すると、これら羽根1560が、使い捨て遠心分離機1000の角速度に近い角速度を供給懸濁液に与える。孔1530ではなく、羽根1560を使用すると、より大容量の供給懸濁液をより遅いラジアル速度で分離室1550に送ることができるため、羽根1560間の開口よりも小さな横断面をもつ開口を備えた孔1530に供給懸濁液を送り込むさいに発生するジェット流を防止することができる。分離ゾーンまたは分離プールに入るさいにこのように供給流れが低速になるため、プールの液体の撹乱が最小になり、沈降をより効率的に実施できる。
【0055】
遠心分離機1000が回転すると、分離液よりも稠密な粒子が分離室1550の外側に押し進み、粒子を含有しない分離液がコア部1510に接近する。遠心分離機ボウル3100の形状は逆円錐台形であり、上端の半径が下端の半径よりも小さい。遠心力によって、粒子が分離室の上部の中心から離れた部分(上部外側部分)に集まる。この遠心分離機1000の場合、濃縮液を半連続的に排出する操作を行う。分離液の排出の場合、その操作は全体として図4を参照して説明したように行う。細胞濃縮液の排出も同様に行うが、分離室1550の上部外側部分付近に集まる細胞濃縮液は、分離室1550の上部外壁付近の孔4540から濃縮液排出ポンプ室4400に流入する。
【0056】
懸濁液の供給量、および回転の角速度については、限定するものではないが(ここに全体を援用する)米国特許第9,427,748号に開示されている振動センサーなどのセンサーを使用してモニターすることができる。このようなセンサーシステムによってセンサー構成が、遠心分離機がほぼ充填されたことを示すまで、より小さな流量で充填を行ってから、この情報に応じて供給流量および角速度を適切に調節する。例えば、遠心分離機がほぼ完全に充填された後は、供給量を小さくするか、供給を中断し、角速度を上げて沈降速度を高くし、沈降および排出が本質的に終了したなら、このサイクルを繰り返す。システムを以上説明したように最適化し、プロセスを中断する必要性を小さく抑える場合には、沈降に必要な角速度で連続的に、あるいはほぼ連続的にシステムを操作することが可能になる。
【0057】
濃縮液を半連続的に排出する場合、断続的に動作し、濃縮液を取り出す濃縮液ポンプ4400を使用して、懸濁液を連続的に遠心分離機1000に送り込む。濃縮液ポンプ4400の動作については、濃縮液が排出されているか否かを示す濃縮液排出ラインの光学的センサーによって制御することができる。濃縮液ポンプ4400の代わりに、懸濁液を最も効率よく処理するための弁の開閉時を決定する制御器およびセンサーを使用して排出サイクルを管理してもよい。
【0058】
さらに、ペアリングディスク4410、1410間に調節可能なギャップを備えた遠心分離機1000を使用することによって排出の平均速度を制御できる。なお、一組のペアリングディスク4410、1410が調節可能であればよい。ペアリングディスク4410、1410(遠心分離機1000から出る流路の一部を構成する)間のギャップが開くと、流れが生じ、閉じると流れが止まる。即ち、このギャップは内部弁として作用する。目的の生成物に応じて、あるいは生成物の特性に応じて、ペアリングディスク4410、1410間のギャップ4415、1415を広げ、あるいは狭めることが有利である。ギャップが変化すると、ペアリングディスクに対応するポンプ作用およびせん断速度の両者に影響が出る。
【0059】
遠心分離機1000からの濃縮液および分離液の取り出し速度(量)、および取り出した濃縮液の生存性については、図4図13に示す例示的な構成の諸特徴を利用してさらに制御できる。分離液ポンプ室1420内の加速器フィンと同様な加速器フィン4630を濃縮液ポンプ室4420に付設すると、流動する濃縮液とディスク4410との間に働く摩擦によるスローダウンが幾分かなくなるため、濃縮液を取り出す速度が増す。ポンプ室4420の上面の加速器フィン4630に加えて、このようなフィン4630はポンプ室4420の下面にも付設でき、効果が増す。孔1540、4540の代わりにスリットを使用することもでき、ポンプ室1420、4420に流入する原料に加わるせん断力を最小に抑えることができる。
【0060】
濃縮液の生存性に懸念がある場合に、回転可能なペアリングディスク4410をポンプ室4420内に設けると、ペアリングディスク4410の表面に接触している間、濃縮液に加わるせん断力を低く抑えることができる。ペアリングディスク4410の回転速度を静置と分離室1550の回転速度との間にある速度に調節すると、濃縮液生存性と排出速度とのバランスを取ることができる。目的とする角速度については、当業者にとって公知な多数の機構によって制御できる。制御手段の実例はスリップクラッチであり、このクラッチを使用すると、ペアリングディスクが遠心分離機の角速度の分数である角速度で回転する。スリップクラッチの使用は、当業者にとって公知である。さらに、当業者にとっては自明なスリップクラッチ以外の手段もあり、いずれも角速度を調節できる。
【0061】
蠕動ポンプ2510も、特に供給懸濁液が高濃度の場合、濃縮液の取り出しの効率および信頼性を高くするために使用することができる。蠕動ポンプ2510を使用すると、求心ポンプ4400を単独使用する場合よりも遠心分離機1000からの濃縮液の流量をより精密に制御できる。求心ポンプの速度は蠕動ポンプ2510の速度ほど簡単には調節できないからである。
【0062】
さらに、希釈液ポンプ5150を使用して希釈液流路5000を介して殺菌水や緩衝液などの希釈液を濃縮液ポンプ室4420にポンプ供給し、濃縮液の粘度を落とすことができる。有用な希釈液のより完全な説明については上記を参照されたい。求心ポンプ2510および希釈液ポンプ5150のいずれかの、あるいは両者の動作速度については、濃縮液排出接続部2500内に設けた自動制御器(以下に説明する)に応答する濃度センサー4430によって制御することができる。この制御器については、濃度センサー4430に応答してそれぞれ濃縮液の粒子濃度に応じて、および/または標準的な供給/排出サイクルに応じて、希釈液添加および濃縮液の取り出しの両者に関してポンプ速度を開始、停止、または変更するようにプログラムを設定することができる。
【0063】
図16に、濃縮液および分離液を連続的に供給し、連続的な分離処理を行う遠心分離機に使用するコア部の別な例示的な構成を示す。コア部10は、遠心分離機の回転可能なボウル内に設置する上述したコア部と同様である。処理時、遠心分離機ボウルおよびコア部は軸線12を中心にして回転する。遠心分離機は静置装置14および回転可能な装置16を有する。
【0064】
上記実施例と同様に、静置装置14は供給配管18を備える。供給配管18は軸線12と同軸であり、コア部の分離室またはキャビティ22の底部に隣接する開口20内で終端する。静置装置はさらに分離液求心ポンプ24を有する。以下細部にわたって説明する分離液求心ポンプ24は入り口開口26、および環状の出口開口28を有する。環状の出口開口は分離液配管18を備える。この環状出口開口は分離液配管30に流体接続する。分離液配管は供給配管18に、これを同軸的に取り囲んで延在する。
【0065】
この例示的な構成では、分離液求心ポンプ24は分離液ポンプ室32内に位置する。分離液ポンプ室は、回転可能な装置の一部であり、また操作時に分離液のプールに暴露される分離液求心ポンプの入り口開口26になる壁部によって構成される。
【0066】
さらに、この例示的な構成は濃縮液求心ポンプ34を備える。この例示的な構成の濃縮液求心ポンプ34も、以上詳しく説明してきた構成と同様な構成を備えていればよい。例示的な構成では、濃縮液求心ポンプ34は求心ポンプの環状外周と境界を成す壁部内に位置する入り口開口36を備える。なお、濃縮液求心ポンプ34の外周径は分離液ポンプの外周径よりも大きい。さらに、濃縮液ポンプは出口開口38を備える。この環状の出口開口38は濃縮液出口配管40に流体接続し、濃縮液出口配管は分離液配管30を同軸的に取り囲んで延在する。
【0067】
例示的な構成では、濃縮液求心ポンプの入り口開口36は濃縮液ポンプ室42内に位置する。濃縮液ポンプ室は回転可能な装置16によって構成する。操作時、濃縮液求心ポンプの入り口開口36は濃縮液ポンプ室42内の濃縮液に暴露される。濃縮液ポンプ室42は上部44と垂直方向(上下方向)に境界を成す。少なくとも一つの流体シール46は出口配管40の外周と上部44との間に延在する。例示的なシール46については、分離室の内部から流体が漏出する恐れを小さく抑え、かつコア部の外部領域からの汚染物の導入を防止するように構成する。
【0068】
遠心分離機の操作時、ボウル、およびキャビティおよび分離室を備えたコア部が軸線12を中心にして回転方向に回転する。回転方向におけるこの回転によって、供給配管18を介して導入した細胞懸濁液を、分離液配管30を介して排出される分離液、そして濃縮液出口配管40を介して排出される濃縮液に操作時に/動作的に分離する。
【0069】
細胞懸濁液は、分離室の底部にある配管開口20を介して分離室22に流入する。細胞懸濁液は遠心力および複数の加速器羽根48によって外向きに流動する。加速器羽根によって懸濁液が外向きに流動すると、細胞懸濁液に遠心力が作用するため、細胞液が分離室の外側の境界となる環状のテーパー壁50に向かって外向きに流動する。図示のように、テーパー壁50に対して濃縮した細胞液が外向きかつ上向きに押し進み、複数の濃縮液スロット52内を流れる。濃縮液は濃縮液スロットを超えて上向きに流動し、濃縮液ポンプ室42に流入し、ここから濃縮液求心ポンプ34によって濃縮液が排出される。
【0070】
例示的な構成では、操作時、細胞を含まない分離液が、分離室22の内側と境界を成す垂直な環状壁54に近接して位置する。この分離液は、分離液ポンプ室32と境界を成す環状基底構造内の分離液孔56に上向きに流動し、分離液室内の分離液のプールを形成する。分離液室から、分離液求心ポンプ24の操作によって分離液が流動し、そしてコア部から分離液配管30を介して送られる。
【0071】
図16の例示的な構成では、濃縮液ポンプおよび分離液ポンプの構成は図17と全体として同じである。図17において、分離液求心ポンプ24は等角投影図として示す。図17に示すように、例示的な分離液求心ポンプはディスク状本体を有し、この本体は第1プレート58および第2プレート60を備える。操作時、第1プレートおよび第2プレートはネジ62などの締め付け部材によって開放可能に係合状態を保持する。むろん、その他の構成では、別な構成および締め付け方法を採用することができる。
【0072】
例示的な構成では、第2プレート60は湾曲渦巻き式流路64の3つの側部と境界を成す壁部を備える。なお、例示的な構成では、求心ポンプは一対の全体として対向する渦巻き式流路64を備える。他の構成では、別な渦巻き式流路の本数および構成を採用することができる。
【0073】
例示的な構成では、第1プレートおよび第2プレートが求心ポンプのディスク状本体を備え、この本体が環状の外周66になる垂直に延在する外壁67を備える。この環状外周に渦巻き式流路64に対する入り口開口68が延在する。軸線12からラジアル方向外向きに環状回収室70が延在し、渦巻き式流路に流体接続する。環状回収室70が、入り口開口68から流入する流体を受け取る。この環状回収室70は、軸線12と同軸な環状出口開口に流体接続する。分離液求心ポンプのこの例示的な構成では、環状の出口開口は供給配管18の外壁と第2プレート60の内壁との間に延在する環状スペースであり、第2プレート60の内壁の出口は分離液出口配管30に流体接続する。
【0074】
例示的な構成では、渦巻き式流路64のそれぞれは、ボウルと分離室の回転方向に流路が湾曲するように構成する。回転方向は図17に矢印Rによって示す。例示的な構成では、渦巻き式流路と境界を成し、かつ回転方向に向く垂直延在の壁部74それぞれを回転方向に湾曲させる。渦巻き式流路と水平な境界を成す壁部74の湾曲構成によって、この例示構成のポンプ特性を強化できる。さらに、例示的な構成における各渦巻き式流路の対向壁部も同様な湾曲構成を取る。渦巻き式流路と水平な境界を成す垂直に延在する壁部の湾曲構成によって、各渦巻き式流路の入り口から回収室までの横断面積が一定になる。この一定の横断面積は、壁部74、76間に延在し、かつ渦巻き式流路と一方の側において水平な境界を成す全体として平坦な壁部78を使用して実現することも可能である。さらに、例示的な構成では、第1プレート58は一方の側において全体として平面状の円形面80を有し、プレートを求心ポンプのディスク状本体に構成するさいにこの円形面80は内向きになる。この例示的な構成では、円形面80が求心ポンプの両渦巻き式流路64側部と水平な境界になる。
【0075】
なお、一対のプレートを備えた前記の例示的な構成については、一方のプレートに、湾曲渦巻き式流路の4側部のうちの3側部との境界に成る壁部を有する凹部を形成し、他方のプレートに渦巻き式流路の残りの側部との境界に成る表面を形成してもよく、別な構成では、別な構成および構造を採用することができる。
【0076】
図16に示す例示的な求心ポンプ構造では、同サイズのペアリングディスク型求心ポンプよりも液体移動量を大きく取ることができる。さらに、この例示的な構成では、同等のペアリングディスクよりも液体加熱量が少なくて済む。
【0077】
以上の例示的な構成では、分離液求心ポンプ24の環状外周の外径が濃縮液求心ポンプ34の外周外径よりも小さい。この構成を使用すると、分離液ポンプ室32に形成する分離液のプールから過剰量の液体を分離液求心ポンプが取り出すことがなくなる。分離液ポンプ室に十分な液体が存在するため、分離液求心ポンプの入り口に隣接する分離液に波が発生することがなくなる。分離液が不十分になることを原因とする波の発生は、遠心分離機およびコア部に振動を与えるだけでなく、これらの他の特性を劣化するものである。
【0078】
例示構成の濃縮液ポンプの環状外周が大きいため、濃縮液求心ポンプによって液体が優先的にコア部から流れ出ることになる。例示的な構成では、濃縮液出力配管40の下流側流れについて、コア部からの濃縮液流れに対する分離液流れの比を制御することが可能になる。
【0079】
上記構成を備えた求心ポンプを利用する例示的な構成では、さらに、遠心分離機の特性および流れ特性は、実施する分離プロセスの具体的な原料および要件に特化することができる。具体的には、求心ポンプの外周の直径については、具体的な処理活性に合わせて最適な特性を得ることができるように設定することができる。例えば、求心ポンプの外周の直径が大きくなる程、出口における流れが強くなり、圧力が高くなる。さらに、直径が大きくなると、比較的小さい直径の場合よりも混合率が高くなる。ただし、直径がより大きくなると、外周直径の小さい求心ポンプの場合よりも、加熱度がより強くなる。このように、加熱度を低く抑えるためには、より小さい直径の外周を使用することができる。なお、特定の分離プロセスにおいて目的に応じて流れ特性および圧力特性を変更するために、出口開口のサイズ、面積および個数を変更してもよく、異なる渦巻き式流路構成を採用することも可能である。
【0080】
図19は、細胞懸濁処理時に、本明細書ではキャビティと呼ぶ分離室内に陽圧を維持するさいに役立つ例示システムの概略図である。前記構成に関連して説明したように、分離室内には処理全体を通して大気圧以上の陽圧を維持するのが一般的に望ましい。このように構成すると、静置装置とコア部の回転可能な装置との間に処理時延在している一つかそれ以上の流体シールに浸透することによって汚染物が分離室に導入されるリスクが小さくなる。さらに前述したように、流体シールの内面と接触する分離室内に空気を陽圧で維持することが一般的には望ましい。シールに隣接して空気ポケットが存在すると、シールが被処理物と接触することがなくなり、汚染物の処理済み液への導入のリスクや、分離室からの液の漏出のリスクが小さくなる。
【0081】
図19を参照して説明した例示システムの場合、分離室内に一定の陽圧を維持するため、汚染物の導入リスクや他の処理済み液の漏出リスクが小さくなる。
【0082】
図19に概略を示す通り、遠心分離機は回転可能なボウル82を備える。この遠心分離機ボウルはモーター86やその他の好適な装置によって軸線84を中心にして回転可能である。
【0083】
図示の例示的な遠心分離機構造は回転可能な使い捨てコア部88を備え、このコア部が本明細書では分離室と呼ぶキャビティ90と境界を成す。
【0084】
前記他の構成と同様に、この例示的なコア部は静置装置を備え、この静置装置は、キャビティの底部領域に隣接して位置する入り口開口94を有する懸濁液入り口供給配管92を備える。静置装置はさらに少なくとも一つの求心ポンプ96を備える。この例示的な構成の求心ポンプはディスク状本体を有し、少なくとも一つのポンプ入り口98がその外周に隣接し、かつポンプ出口100が求心ポンプの中心に隣接位置する。このポンプ出口が分離液出口配管102に流体接続する。分離液出口配管は、既述の方法で懸濁液入り口配管を取り囲むように同軸的に延在する。流体を収容した分離室の回転可能な上部104が入り口配管および出口配管に関してコア部のキャビティを流体的にシールする少なくとも一つのシール106に動作接続する。この少なくとも一つのシール106が、静置状態にある分離液出口配管102の環状の外面と、図示のように、キャビティ90の内部的に境界を成す上部内壁を有するコア部の回転可能な上部104との間に操作時に/動作的にシール関係で延在する。
【0085】
例示的な構成では、入り口配管92はポンプ108に流体接続する。例示的な構成におけるポンプ108は、細胞懸濁液を損傷させずに供給を行うために有用な蠕動ポンプである。むろん、この型式のポンプは例示に過ぎず、他の構成では他の型式のポンプを使用することができる。さらに例示的な構成では、ポンプ108は可逆的であり、このため、ポンプ108は供給ポンプとして動作し、入り口ライン110から細胞懸濁液を制御された供給量で入り口配管に吐き出す。さらに例示的な構成では、このポンプ108は細胞濃縮液を遠心分離作用によって分離した後に、濃縮液取り出し/排出ポンプとして動作することができる。この機能を発揮するさい、ポンプ108は、細胞懸濁液を分離室に供給するさいの流れから入り口配管92の流体の流れを反転することによって分離室から細胞濃縮液を吐き出す動作を行う。次に、細胞濃縮液を濃縮液ライン112に吐き出す。図19に示すように、入り口ライン110および濃縮液ライン112はそれぞれ弁114および116によって選択的に開閉を行う。例示的な構成では、これらの弁114および116はピンチバルブを備え、可撓性ラインまたは配管内の流れを開閉する。むろん、この方法は例示にすぎず、他の構成では、他の方法を利用できる。
【0086】
例示的なシステムでは、分離液出口配管102は分離液排出ライン118に流体接続する。この分離液排出ラインは、分離液排出ポンプ120に流体接続する。例示的な構成では、分離液排出ポンプ120は、流量を選択的に調節する可変流量ポンプである。例えば一部の例示的な構成では、ポンプ120はモーターを有する蠕動ポンプを備えることができ、このモーターの速度を制御し、ポンプの流量を選択的に加減することができる。分離液排出ポンプの出口から処理済み分離液を好適な回収室やその他の処理装置に送り出す。
【0087】
図19に概略を示す例示的な構成では、圧力ダンピングリザーバー122は、分離液出出口配管102およびポンプ120の流体的に中間にある分離液排出ライン118に流体接続する。例示的な構成では、圧力ダンピングリザーバーは全体として垂直に延在する容器を備え、この内部領域に分離液を液密関係で保持する。圧力ダンピングリザーバーは、分離液排出ライン118に流体接続する底部ポート124を備える。
【0088】
このリザーバー122の反対側には上部ポート126がある。この上部ポートは空気圧に暴露される。例示的な構成では、上部ポートは128で概略を示す高空気圧源からの空気圧に暴露される。例示的な構成では、高圧源は圧縮機、空気保存タンクやシステムの操作に必要な範囲内で大気圧以上の高空気圧源になるその他の好適な装置を備える。高空気圧源128からの空気を殺菌フィルター130で処理し、不純物を除去する。調節器132が圧力ダンピングリザーバーの上部ポートに大気圧以上の空気圧レベルを全体として一定に維持する。例示的な構成では、空気圧調節器は電子的な高速動作調節器を備えているため、全体として一定の空気圧を目的のレベルに確実に維持できる。例示的な高速調節器132は、圧力が目的のレベルよりも落ちると直ちに作動し、上部ポート126に作用する圧力を上げ、そして上部ポートに作用する圧力が調節器の設定値よりも高くなると、直ちに調節器の圧力を解放する。
【0089】
一部の構成では、調節器の出口は、想像線で概略を示す空気ライン143を介して分離室の上部104の内部に動作的に流体接続していてもよい。このような例示的な構成では、リザーバーの上部ポート126に作用する調節器の出口圧力も空気ライン143を介して分離室内部のエアポケットに作用する。このエアポケットは蠕動ポンプ入り口の上にあるキャビティのレベルまで下向きに延在し、少なくとも一つのシール106の内部に至り、軸線84に近接する領域からラジアル方向に上部104の内側にある上部内壁まで延在する。例示的な構成では、ライン143が少なくとも一つの分離された流路を介して少なくとも一つのシールの下にある分離室内の領域に陽圧を加える。この分離された流路は、分離液出口配管102および入り口供給配管92を備えた装置の静置構造を介して延在する。空気ライン143の少なくとも一つの分離された流路によって、分離室に開口する少なくとも一つの空気開口を介して上部104の内部に空気圧が印加する。この少なくとも一つの開口145は、求心ポンプに対する入り口98の上にあり、かつ少なくとも一つのシール106の下にある出口配管102の外面の外側に位置する。むろん、分離室のエアポケットおよび少なくとも一つのシールの内側に空気陽圧を印加する空気ラインのこの構成は例示に過ぎず、他の構成では、他の構成および方法を使用することができる。
【0090】
圧力ダンピングリザーバー122の例示的な構成では、上部液面センサー134が、圧力ダンピングリザーバーの内部にある分離液を検出する。上部液面センサーは上部液面にある分離液を操作時に/動作的に検出する。低い液面センサー136は、より低いレベルにあるリザーバー内の液体を検出する。高い液面センサー138は、上部液面レベルより高いリザーバー内の高い液面レベルを検出する位置にある。この高い液面センサーは許容できないほど高いレベルにある液面を検出し、システムの操作停止か、あるいは他の安全対策が必要な異常事態を発生したことを示す。例示的な構成では、液面センサー134、136および138は、圧力ダンピングリザーバー内において近接する分離液面を検出するために有用な静電容量式近接センサー(capacitive proximity sensor)を備える。これら型式のセンサーは例示に過ぎず、他の構成では他のセンサーおよび方法を使用することができる。
【0091】
例示的な構成は、さらにシステムの操作にとって適切な他の部材を備える。例えば、懸濁液、分離液や濃縮液などの特定のシステムにとって適切な処理および操作を行う前記以外の弁、ライン、圧力接続やその他の好適な部材を備えることができる。例えば、付加的な弁として、分離液排出ライン118の開閉状態を制御するための弁140がある。システムに使用できる付加的なライン、弁、接続やその部材はシステムの性質に依存して変更する部材である。
【0092】
図19の例示的なシステムは、さらに制御器と呼ぶこともある少なくとも一つの制御回路142を備える。この少なくとも一つの制御回路142は一つかそれ以上のプロセッサー144を備える。このプロセッサーは、一つかそれ以上のデータ保存装置146に操作時に/動作的に接続する。ここでプロセッサーとは、プロセッサー実行命令に従って、一つかそれ以上のデータ保存装置に保存されていた、あるいは外部ソースから受け取ったデータを処理し、情報を解析し、他の装置を制御し、あるいは他のアクションを実行する電子デバイスを意味する。一つかそれ以上の制御回路はハードウェア回路、ソフトウェア、ファームウェアまたはアプリケーションとして実装され、制御回路がデータを受信し、保存し、あるいは処理し、そして他のアクションを実行することを可能にする。例えば、制御回路は一つかそれ以上のマイクロプロセッサー、CPU、FPGA、ASICや、電子計算装置の方法で機能を実行できる他の集積回路や他の形式の回路を実装することができる。なお、データ保存装置はRAM、フラッシュメモリー、ハードドライブ、ソリッドステート装置、CD、DVD、光学メモリー、磁気メモリーやコンピュータ実行可能な命令および/またはデータを保存する回路可読媒体などの一つかそれ以上の揮発性/非揮発性のメモリーに対応する。
【0093】
回路実行可能な命令には、複数のプログラミング言語およびフォーマットのうちの任意のもの含まれる。これら言語およびフォーマットは制限するものではないが例示すると、本明細書に記載するアクションなどのアクションを実行するルーチン、サブルーチン、実行スレッド、オブジェクト、スクリプト、メソドロジーおよび機能がある。制御回路の構造は、本明細書に援用するRamesh S.Gaonker著“Microprocessor Architecture,Programming, and Applications with the 8085”(Prentic Hall,2002)を名称とする教科書に説明されている原理を包摂し、この原理に対応し、かつこの原理を利用するものである。むろん、これら回路構造は例示に過ぎず、他の構成では、情報を保存、処理、解析かつ出力する他の回路構造を使用することができる。
【0094】
例示的な構成では、前記の少なくとも一つの制御回路142はセンサー134、136および138などの少なくとも一つのセンサーとの好適な界面に操作時に/動作的に接続する。少なくとも一つの制御回路も可変流量排出ポンプ120に操作時に/動作的に接続する。さらに、一部の例示的な構成では、少なくとも一つの制御回路は他の装置、例えばモーター86、ポンプ108、調節器132、空気圧力源128、流体制御弁、その他の装置と操作時に/動作的に接続することができる。
【0095】
上記に例示した少なくとも一つの制御回路は操作時に/動作的にデータを受信し、データ保存装置146に保存されている回路実行可能な命令に従ってこのような装置を制御する。例示的な構成では、流体ダンピングリザーバー内の液面147は、分離液排出配管102内の圧力に対応する特性である。空気ライン143を使用しない一つの例示的な構成では、分離液排出配管内の圧力がコア部の上部104内の圧力を指し示し、かつシール106に隣接する分離室内の圧力の性質を指し示す事実を利用し、排出ポンプおよび他の部材の操作を制御する。既に説明したように、大気圧以上の陽圧および分離室内の少なくとも一つのシールに隣接するエアポケットを維持し、陰圧から生じる不純物の分離室への導入を防止することが望ましい。なお、分離室内において液面が高くなり過ぎると、圧力および被処理懸濁液がシールから溢流し、潜在的な汚染問題や望ましくない被処理液の暴露、損失問題が発生する。これは、求心ポンプからの出口に接続する分離液ラインにかかる背圧が高くなり過ぎるためである。
【0096】
例示的な構成では、ボウルの回転速度に応じて、求心ポンプのポンプ吐き出し力およびポンプ出力圧力レベルが発生する。求心ポンプのこの圧力出力レベルはボウルおよびコア部の回転速度に応じて変動する。空気ライン143を使用しない例示的な構成の場合、背圧については、分離液出口配管で制御すべきである。ポンプ120および圧力ダンピングリザーバーの液面147を操作するモーターの速度を制御すると、背圧が発生する。背圧については、ポンプ出力圧力未満に維持し(このため求心ポンプが分離室から分離液を送り出すことができる)、また大気圧以上の陽圧を維持して、汚染物がシールを超えて分離室に進入することを確実に防止し、シールに隣接する分離室内に空気を高圧維持し、被処理懸濁液の各成分からシールを隔てる。
【0097】
例示的な構成では、圧力ダンピングリザーバーの上部ポート126に印加される高圧は調節器132によって維持する。さらに、ポンプ120の速度を維持し、センサー134が検出した上部液面レベル134と下部液面レベル136との間に液面レベル147を維持する少なくとも一つの制御回路142によって、分離室から流れ出る分離液を制御し、分離室の上部領域の圧力を目的の一定値に維持し、分離液がシールに接触しないように、あるいはシールから溢流しないようにする。
【0098】
空気ライン143を使用する別な構成では、調節器の陽圧レベルがリザーバー122内の流体と分離室の求心ポンプ入り口の上にある領域の両者に作用する。これら両位置に加わる陽圧レベルが同じであるため、分離液排出配管の背圧(リザーバー内の流体に加わる圧力)が、分離室の上部にあるエアポケット内の圧力とほぼ常時同じである。このため、求心ポンプがいずれの圧力からも全く影響を受けずに動作できる。
【0099】
この例示的な構成では、ポンプ120および他のシステム部材は、少なくとも一つの制御回路142に応答して制御を行う。このため、分離液生成時常にリザーバー122の内部には確実に十分な容積の空気が存在する。従って、リザーバーが目的のダンピング作用を分離液排出ラインの圧力変化に加え、これを鎮静化する。この変化はさもなければポンプ120のポンピング作用を原因として生じるものである。鎮静化は、センサー134によって検出される上部液面レベル以下にリザーバー122内の液体を維持することによって行う。さらに、リザーバーの液面レベルを制御して、センサー136によって検出される下部液面レベル以上に維持する。これによって、求心ポンプが空気を吐き出さず、分離液における通気を確実に抑え込むことができる。
【0100】
例示的な構成では、分離室から流れ出る分離液を少なくとも一つの制御回路の操作によって制御する。例示的な制御回路が、処理条件時システムを操作し、分離室90へ流れてくる細胞懸濁液の流れをポンプ108によって全体として一定流量に維持する一方で、モーター86の動作によって分離プロセスを行い、一定のボウル速度を維持し、分離液と細胞濃縮液とを分離する。また、この例示構成では、求心ポンプからの分離液排出ラインへの理想的な一定背圧を維持する操作を行う一方で、分離室内の空気をエアポケットの下側のレベル以上に維持し、少なくとも一つのシール106を分離液および被処理濃縮液から分離する。
【0101】
例示的な構成では、圧力ダンピングリザーバー内の調節器の操作を通じて維持する圧力は大気圧以上のほぼ2kpa(0.29psi)に設定する。例示的なシステムでは、この圧力に設定すると、シールの完全性および分離性を細胞懸濁液処理時の全段階を通して確実に維持できることが判明した。むろん、この設定値は例示に過ぎず、他の構成では、他の圧力設定値、および圧力ダンピングリザーバー構成、センサーなどを採用することができる。
【0102】
図20は、分離液排出配管に目的の圧力レベルを維持し、かつ分離室の上部内に目的の圧力レベルを維持するさいに少なくとも一つの制御回路142の操作を通じて実行する例示的なロジックを示す概略図である。なお、一部の例示的な構成における制御回路は、上記以外の数多くの付加的な、あるいは異なる機能を実行できる。これら機能には上記の圧力制御機能に加えて遠心分離機の操作の異なる処理プロセスおよび工程の全体制御も含まれる。図20に示すように、初期サブルーチン工程148では、少なくとも一つの制御回路142を操作して、遠心分離機操作が現在分離室から分離液が排出されているモードにあるか否かを判定することができる。このモードにある場合、少なくとも一つの制御回路が作動し、分離液排出ポンプ120が分離液排出ライン118からくる分離液を排出する操作を行う。このためには、ポンプのモーターを作動すればよい。例示的な構成では、ポンプ120の流量を最初に設定値に設定するか、あるいはプロセス時の制御回路操作を通して決定できる具体的な操作条件に応じて変更することもできる。分離液排出ポンプの操作は工程150で実施する。
【0103】
次に、少なくとも一つの制御回路を操作し、工程152において液体が高い液面レベルセンサー138の高い液面レベルにあるか否かを決定する。この液面レベルにある場合には、状態が望ましくないことを示す。センサー138のレベルで液体が検出された場合には、制御回路を操作し、この状態に対処するステップを取る。このためには、ポンプ120を操作し、流量を高くし、遠心分離機の動作が続いた状態で、所定時間内で液面レベルが低下したか否かを決定することができる。あるいは、またこれに加えて、少なくとも一つの制御回路によってポンプ108の速度を低下させて、流入してくる液体の流れを抑制することができる。このような対応を取っても所定時間内に液面レベルが下がらない場合には、付加的な工程を取る。このような工程では、ボウル182の回転を遅くするか、停止することができる。このような対応策には、ポンプ108の操作を停止させて分離室へのより多くの懸濁液の導入を避けることが含まれる。一般的にはシステムの通常操作停止と呼ばれるこれら工程は、工程154として示すことができる。
【0104】
高い液面レベルセンサー138の液面レベルで液体が検出されない場合、少なくとも一つの制御回路を操作し、センサー134の上部液面レベルで液体が検出されるか否かを決定する。これが工程156である。上部液面レベルで液体が検出された場合には、少なくとも一つの制御回路がその保存されている命令に応答して作動し、放出ポンプ120の速度、従って流量を上げる。例示的な構成では、これはポンプの一部であるモーターの速度を上げることによって行う。これが工程158である。ポンプの流量を上げると、圧力ダンピングリザーバーの液面レベル147が、より多くの液体がポンプ120によって移動するため下がり始める。
【0105】
工程156において、センサー134の上部液面レベルで液体が検出されない場合には、少なくとも一つの制御回路を操作して、センサー134の上部液面レベルで液体を検出されるか否かを決定する。これが工程160である。上部液面レベルで液体が検出されない場合には、少なくとも一つの制御回路がそのプログラムに従って作動し、ポンプ120の流量を下げる。例示的な構成では、モーターの速度を下げることによってこれを行う。これが工程162である。例示的な構成では、ポンプ120の流量を下げると、圧力ダンピングリザーバー内において液面レベル147が上昇し始める。一部の例示的な構成では、所定の時間内でリザーバー内において液面レベルが上昇しない場合には、制御回路がそのプログラムに従って作動し、前記の停止工程154などの付加的な対策を取る。例示的な構成の制御回路が作動し、ポンプ120の供給量を変更し、圧力ダンピングリザーバー内の液面レベル147を、分離液生成時のセンサー134および136の液面レベル間にある全体として一定な液面レベルに維持する。
【0106】
例示的な構成では、圧力ダンピングリザーバー内の液体全体に殺菌空気の全体として一定の高圧を維持するが、これによって、分離液出口配管中、および分離室内のシールに同様な高圧を一貫して確実に維持できる。例示の構成ではさらに、ボウルが異なる速度で回転している遠心分離機の異なる操作条件時に圧力を目的のレベルに維持できる。これら条件には、例えば、細胞懸濁液を分離室に最初に比較的高流量で充填する時の条件、および遠心分離機が比較的低速で回転する条件が含まれる。最終充填を行う次の条件時にも圧力を維持できる。この条件下では、分離室への細胞懸濁液の流量は小さくなり、またボウルの回転速度はより高速になる。さらに、懸濁液のボウルへの供給時および分離液の分離室からの排出時に、前述したように陽圧を維持できる。例示の構成ではさらに、少なくとも一つの制御回路を操作し、濃縮液を分離室から吐き出している間、陽圧を維持する。これら条件全部を通して分離室内に陽圧を維持するが、これによって汚染および望ましくない状態が生じる恐れが小さくなる。これら状態は、さもなければ(大気圧以下の)陰圧状態によって生じる。
【0107】
むろん、以上の特徴、部材、構造および制御方法は例示に過ぎず、他の構成では他のアプローチも使用できる。さらに、例示的な構成におけるシステムは、分離液および濃縮液の両者を連続処理するモードではなく、バッチモードで処理を行うが、この原理は他の型式のシステムにも適用可能である。
【0108】
例示の構成に圧力ダンピングリザーバーを使用すると、出口配管および分離室内に目的の圧力レベルを確実に維持できるが、他の例示的な構成では他の方法も使用することができる。例えば一部の構成では、出口配管、分離室や、分離室内の圧力に対応する他の位置において圧力を直接検出してもよく、および/または圧力をこれらに印加してもよい。いくつかの構成では、排出ポンプの流量は制御され得るので、好適な圧力レベルを維持できる。さらに別な構成では、例示的な制御回路を操作し、排出ポンプおよび懸濁液をコア部および/または好適な弁やその他の流れ制御装置に供給するポンプの両者を制御し、好適な圧力レベルを維持することも可能である。このような別なアプローチについては、使用する具体的な遠心分離機および処理すべき液体などに応じて選択するのが望ましい。
【0109】
図21は、連続的に、あるいは半連続的に細胞培養バッチの細胞分離液および細胞濃縮液に分離する構成の別な遠心分離機システム170を示す概略図である。この例示システムは、軸線174を中心にして回転できる剛性のある遠心分離機ボウル172を備える。このボウルは使い捨て構造178を解放可能に受け取る構成のキャビティ176を備える。この剛性ボウルは上部開口180を備える。環状の固定リングやその他の固定構造182が、この使い捨て構造178を解放可能にボウルキャビティ内に固定する。
【0110】
この構成の例示的な使い捨て構造178は、中心軸方向に延在する供給配管184を備える。以下に説明するように、この供給配管を使用して、細胞培養バッチ液を使い捨て構造178の内部領域186に送る。供給配管184は、使い捨て装置の第1軸端188において上部から第2軸端192における下部において内部領域まで延在する。使い捨て構造178は、第1軸端に隣接するほぼディスク状部分194を備える。例示的なディスク状部分194は全体として剛性を示す。即ち、この部分は剛性あるいは半剛性を示し、環状外周196を備える。環状外周は、遠心分離機ボウルキャビティ176の上記環状境界壁198に係合する構成である。ディスク状部分194の環状外周は剛性を示すボウル172に係合する構成であるため、使い捨て構造がこれと一体回転する。
【0111】
さらに、この例示的な使い捨て構造178は中空の、剛性または半剛性を示す円筒形コア部200を備える。コア部200はディスク状部分194に操作時に/動作的に係合し、これと一体回転する。コア部200はディスク状部分と軸方向に整合し、使い捨て構造178の上部と下部との間の中間まで軸方向に延在する。コア部200は、供給配管184が通る上開口202および下開口204を備える。
【0112】
ディスク状部分194は、ほぼ円形の分離液求心ポンプ室206を備える。分離液求心ポンプ208はポンプ室206内に位置する。ほぼ環状の分離液開口210は、分離液ポンプ室206に流体接続する。ここで“ほぼ環状”とは、開口が環状構成の離散的な開口および/または連続開口を意味する。分離液求心ポンプ208は分離液排出配管212に流体接続する。分離液排出配管212は、供給配管184を取り囲む関係で同軸的に延在する。排出される分離液は、求心ポンプ外周上のほぼ環状の開口および供給配管の外部にある分離液排出配管212の環状スペースを通過する。
【0113】
さらに、ディスク状部分194は濃縮液求心ポンプ室214を備える。濃縮液求心ポンプ214はほぼ円筒形の室であり、分離液求心ポンプ室206の上に位置する。濃縮液求心ポンプ室214はその内部に濃縮液求心ポンプ216が位置する。濃縮液求心ポンプは、濃縮液排出配管220に流体接続する。濃縮液排出配管220は、分離液排出配管212を環状に取り囲む関係で延在する。濃縮液は濃縮液求心ポンプ外周のほぼ環状の開口を通過し、かつ分離液排出配管の外側にある濃縮液排出配管220内の環状スペースを通過する。
【0114】
ほぼ環状の濃縮液開口218は、濃縮液ポンプ室214に流体接続する。例示的な例では、ほぼ環状の濃縮液開口およびほぼ環状の分離液開口は同心同軸開口であり、濃縮液開口が分離液開口の外側にラジアル方向に位置する。むろん、この構成は例示に過ぎず、他の構成では、他のアプローチおよび構成をとることができる。
【0115】
さらに、例示的な使い捨て構造178は可撓性の外壁222を備える。この可撓性外壁222は液密壁部であり、例示の使い捨て式構成178の操作位置において、剛性を示すボウルキャビティ176と境界を成す壁部に支持係合状態で延在する。例示的な構成では、可撓性の外壁222は、ディスク状部分194と操作時に係合し、強固に流体接続する。可撓性外壁は内部が円錐台形であり、第2軸端192に隣接する使い捨て構造の底部に隣接する内側半径が小さい。
【0116】
例示的な可撓性外壁222は、コア部200の少なくとも一部を取り囲む関係で延在する。さらに、外壁222は環状分離室224と境界をなす。分離室224はコア部200の外壁と可撓性外壁222との間にラジアル方向に延在する。ほぼ環状の濃縮液開口218およびほぼ環状の分離液開口210は、それぞれ分離室224に流体連絡する。
【0117】
例示的な構成では、可撓性外壁222は織り目の出た外面(textured outer surface)226を備える。この織り目の出た外面によって、剛性ボウル172のキャビティと境界を成す表面と可撓性外壁222との間のスペースから空気が出ていく。例示的な構成では、織り目の出た外面は、剛性ボウルに接触する可撓性外壁のほぼ全領域にわたる。例示的な構成では、織り目の出た外面は、一つかそれ以上のパターンで外向きに延在する突起または凹み228を備え、これらの間にスペースまたは凹部を形成するため通気がよくなる。ボウルキャビティ内に上部開口180かあるいは下部開口230を介して使い捨て構造178を配置したさいに、このボウルキャビティに通気が生じる。例示的な構成では、上記突起は弾性を示す変形可能な材質から構成することができ、ボウルの剛性壁に対するライナーの力に応答して高さが低くなる。可撓性外壁222の織り目の出た外面226があるため、エアポケットが遠心分離機の剛性ボウルと使い捨て構造との間に取り込まれる恐れが小さくなる。このようなエアポケットがあると、壁部輪郭にバラツキが発生し、さらに分離プロセスに悪影響を与えるようにバランスが悪くなり、および/また分離室の輪郭を変形させる恐れが出てくる。むろん、上記のような空気放出構造は例示に過ぎず、他の構成では、他の空気放出構造を採用することができる。
【0118】
さらに、図21に示す例示的な使い捨て構造は剛性または半剛性を示す、下部ディスク状の部分232を備える。この剛性や半剛性を示す材質によって操作時にその形を維持できる。例示的な構成では、下部ディスク状部分232は円錐形であり、垂直に延在する壁部またはその他の構造によってコア部200の下端に操作時に/動作的に接続し、これに取り付けられる。複数の角度をもって離間した流路234が、ディスク状部分232の上面とコア部のラジアル方向に外向きの下部との間に延在する。流路232は第2軸端192の底部に対してラジアル方向外向きかつ上向きに延在するため、供給配管184の開口190を介して内部領域186に流入する細胞培養バッチ液中の細胞が、ラジアル方向外向きかつ上向きに分離室224に流入する。
【0119】
例示的な構成では、可撓性外壁222は、使い捨て構造の第2軸端192における下部のディスク状部分232の下に延在する。可撓性外壁222は、下部のディスク状部分232および使い捨て構造が位置するキャビティと境界を成す剛性ボウル172の壁面の中間まで延在する。
【0120】
例示的な構成では、遠心分離機ボウル172、上部ディスク状部分194、下部ディスク状部分232および可撓性外壁222が回転している間、供給配管184、分離液排出配管212、濃縮液排出配管220、分離液求心ポンプ208および濃縮液求心ポンプ216は静置状態を維持する。少なくとも一つの環状弾性シール236は、濃縮液排出配管220の外面と上部ディスク状部分194との間に操作時に/動作的にシール係合するように延在する。少なくとも一つのシール236が、前記したように気密シールを維持するため、細胞処理時にエアポケットを内部領域186の内部に維持でき、被処理細胞培養バッチ液からシールを分離することができる。使い捨て構造の内部領域内に維持されたエアポケットによって、分離液求心ポンプ208および濃縮液求心ポンプ216が細胞培養バッチ液に流体連絡する状態を維持する。上記と同様に、内部領域内に陽圧を維持することができるため、少なくとも一つのシール236を被処理細胞培養バッチ液から確実に分離することができる。あるいは、被処理液からシールの分離状態を維持するために別なアプローチを採用してもよい。
【0121】
例示的なシステム170は上記と同様に操作を行う。細胞培養バッチ液内の細胞は、供給配管184を介して使い捨て構造178の内部領域186に流入する。これら細胞は、使い捨て構造の下部軸端において供給配管開口190を介して内部領域186に流入する。遠心分離力を受けて、細胞が開口234内を外向きに流動し、分離室224に流入する。外向きかつ上向きテーパーをもつ外壁222によって、細胞または細胞液を含有する細胞濃縮液が分離室224のラジアル方向外向きの上部領域に集まる。全体として細胞を含まない分離液が、コア部200の外壁にラジアル方向内向きに隣接する分離室に集まる。
【0122】
例示的な構成では、細胞分離液はほぼ環状の分離液開口から上向きに流れ、分離液ポンプ室に流入する。この分離液は、分離液求心ポンプのほぼ環状の開口を内向きに通過し、次に分離液排出配管212を上向きに流れる。同時に、細胞濃縮液はほぼ環状の排出開口218から濃縮液求心ポンプ室214に流入する。細胞濃縮液は濃縮液求心ポンプ216のほぼ環状の開口を内向きに通過してから、濃縮液排出配管220を上向きに流れる。この例示的な構成によって、例示システム170の連続的な、あるいは半連続的な操作が可能になる。上記と同様にしてシステム170の操作を制御することができるため、システムを長期間にわたって信頼性高く操作でき、目的の細胞濃縮液、そして全体として細胞を含まない分離液を別々な出力流体流れとして送ることができる。
【0123】
図22は、別な遠心分離機システム238を示す図である。このシステム238は使い捨て構造240を備える。この使い捨て構造240は、多くの点で前述の使い捨て構造178と同じである。全体として上記の使い捨て構造178と同じであるこの使い捨て構造240の構造および特徴の一部については、使い捨て構造178と同じ参照符号で示す。
【0124】
使い捨て構造240については、剛性または半剛性を示す下部ディスク状部分242を有する点で使い捨て構造178とは異なる。下部ディスク状部分242については、コア部200の下端に操作時に/動作的に接続する全体として円錐形構造である。複数のラジアル方向外向きかつ上向きに延在する流路244が、コア部200の下端と下部ディスク状部分242との間に延在する。さらに、例示的な下部ディスク状部分242は角度をもって離間したラジアル方向に延在する羽根246を備える。流路については、各対の角度的に隣接する羽根246間にラジアル方向に外向きに延在する。この例示的な構成では、羽根246はディスク状部分242の底部から上向きに延在し、少なくとも一部の羽根は、ラジアル方向の外側部分においてコア部に操作時に/動作的に係合する。例示的な構成では、これら羽根246が細胞培養バッチ処理を加速するため、使い捨て構造の内部領域内の移動および分離が容易になる。
【0125】
図23に、遠心分離機システム248の別な例示的な構成を示す。この例示的な構成は使い捨て構造250を備える。この使い捨て構造250は多くの点で、前記の使い捨て構造178と類似している。前記の使い捨て構造178と同じ構造および特徴の一部については、使い捨て構造250でも同じ参照符号で示す。
【0126】
使い捨て構造250については、下部ディスク状部分252を備える点で使い捨て構造178とは異なる。下部ディスク状部分252は、壁部やその他の好適な構造を介してコア部200に操作時に/動作的に接続する全体として剛性または半剛性を示す円錐形構造である。下部ディスク状部分252は、複数の角度をもって離間し、ラジアル方向外向きに延在する加速器羽根254を備える。これらの加速器羽根254はディスク状部分252の下部円錐形側部から下向きに延在する。それぞれ直接的にかつ角度的に隣接する対の羽根254は、これらの間に延在する流路を備える。この例示的な構成では、可撓性外壁222が羽根254の下端と、キャビティ176と境界を成す剛性ボウル172の壁部との中間に延在する。この例示的な構成では、加速器が液中にあり、細胞培養バッチ液を加速するため、使い捨て構造の内部領域内で生じる分離が容易になる。むろん、本明細書に記載する使い捨て構造の特徴を異なる構成で組み合わせ、異なる種類の原料および異なる特性をもつ原料の分離処理を容易にしてもよく、また所望の出力流体流れを発生してもよい。
【0127】
図26は、別な使い捨て構造304を示す図である。この使い捨て構造304は以下に説明する点を除いて、前記の使い捨て構造178と同様である。使い捨て構造178と同じ要素については、図26に同じ参照符号で使用して示す。
【0128】
使い捨て構造304は、連続的な環状濃縮液ダム306を備える。濃縮液ダム306は分離室224に下向きに延在し、ほぼ環状の濃縮液開口218からラジアル方向内向きに延在する。横断面の形で示す例示的な環状の濃縮液ダムは、濃縮液開口の下に下向きに延在し、かつ軸方向横断面内に、開口218に向かって外向きに延在するテーパー状外面308を備える。
【0129】
さらに、使い捨て構造304は連続的な環状の分離液ダム310を備える。この分離液ダム310は、ほぼ環状の分離液開口210の下にある分離室224において下向きに延在する。分離液ダム310は分離液開口210からラジアル方向外向きに位置する。例示的な構成では、濃縮液ダム306および分離液ダム310が、分離室224内に延在する下向き距離はほぼ同じである。なお、他の構成例では、他の構成も採用することができる。また、他の構成例では、遠心分離機構造は濃縮液ダムか分離液ダムのいずれかを備えることができるが、これらダム両者を備えることはない。
【0130】
環状凹部312は、分離液ダムと濃縮液ダムとの間においてラジアル方向に分離室内に延在する。この例示的な環状凹部は、分離液ダムと濃縮液ダムとの間において上向きに延在し、これらの間に環状ポケットを形成する。
【0131】
例示的な構成では、濃縮液ダム306があるため、分離すべき主に細胞やその他の固形物が分離室224と境界を成す上部にそって外向きに通過し、濃縮液開口218および濃縮液求心ポンプ室214に確実に到達する。さらに、この分離液ダム310によって、主に細胞を含有しない分離液が分離室224と境界を成す上面にそって流れ、ほぼ環状の分離液開口210に流入し、分離液ポンプ室206に到達することが可能になる。なお、被処理液の性質およびこのような被処理液の操作条件に応じて、異なる構成において濃縮液ダムおよび分離液ダムに多数の変更を加えることができる。
【0132】
図24は、全体として細胞培養物を連続処理して、全体として細胞を含有しない分離液および細胞濃縮液の流れを生成する例示的な制御システムを示す概略図である。この例示的な構成では、前記の遠心分離機システム170を使用する。なお、例示的なシステムの特徴などについては、本明細書で説明する数多くの異なる種類の原料、遠心分離機システムおよび構造と併用することができる。
【0133】
図示の例示的な構成では、遠心分離機ボウル172はモーター256によって軸線174を中心にして所定の速度で回転する。供給配管184は細胞培養バッチ液を受け取る細胞培養供給ライン258に操作時に/動作的に接続する。この供給ラインは供給ポンプ260に操作時に/動作的に接続する。例示的な構成では、供給ポンプ260は蠕動ポンプか、あるいは細胞培養液を所定の流量で使い捨て構造に送るために好適な他のポンプであればよい。
【0134】
分離液排出配管212は、分離液排出ライン262に流体接続する。分離液光学密度センサー264は分離液排出ライン262の内部領域に操作時に/動作的に接続する。例示的な構成では、分離液光学密度センサーは光学センサーであり、このセンサーは使い捨て構造から現在来ている細胞の密度を操作時に/動作的求めるものである。例示的な構成でこれを行うには、受け取り装置によって受け取られ、かつ分離液流れの少なくとも一部を有するエミッターによって光出力の強度低下を測定してもよい。受け取り装置が受け取るエミッターからの光量は、分離液の細胞密度が高くなると減少する。これは、分離液内に存在する細胞の密度か細胞量を求めるために利用することができるセンサーの一例に過ぎず、他の構成では、他の型式のセンサーも採用することができる。例えば、光としては近赤外光やその他の可視光、あるいは不可視光を利用することができる。他の検出構成では、電磁形態、音波形態や他の信号形態も利用可能である。分離液排出ラインは分離液ポンプ266に操作時に/動作的に接続する。例示的な構成では、分離液ポンプは蠕動ポンプや分離液をポンプ供給するために好適な他の可変流量ポンプであればよい。
【0135】
例示の構成では、濃縮液排出配管220は濃縮液排出ライン268の内部領域に操作時に/動作的に接続する。濃縮液光学密度センサー270は、濃縮液排出ライン268の内部領域の少なくとも一部に操作時に/動作的に接続する。例示の濃縮液光学密度センサーについては、前記の分離液光学密度センサーと同じように操作してもよい。なお、濃縮液光学密度センサーは異なる構造や異なる特性を備えていてもよく、他の例示構成では、異なる型式の細胞密度センサーを利用できることはいうまでもない。濃縮液排出ライン268は濃縮液ポンプ272に操作時に/動作的に接続する。例示の構成では、濃縮液ポンプ272は蠕動ポンプや、損傷を与えることなく濃縮液をポンプ配送するのに好適な他の可変流量ポンプを備えていればよい。なお、これら構造や部材は例示に過ぎず、別なシステムでは異なる、あるいは付加的な部材を備えることができる。
【0136】
例示的な制御システムは、本明細書で制御器と呼ぶこともある制御回路274を備える。例示的な構成では、この制御回路は一つかそれ以上のプロセッサー276を備えていればよく、また一つかそれ以上のデータ保存装置278を備えていてもよい。一つかそれ以上のデータ保存装置は、一つかそれ以上の有形媒体(tangible mediums)を備え、この媒体は回路実行可能な命令およびデータを保持し、制御器によって実行された場合に、以下に説明するような操作を行うことができる。このような媒体を例示すると、ソリッドステートメモリー、磁気メモリー、光学メモリーや回路が実行可能な命令および/またはデータを保持するためのその他の非一時的な媒体がある。さらに、制御回路は既述の構造などを備えていてもよい。
【0137】
以下、図25に示すロジックフローの概略図を参照して、例示の制御器274が実行する操作を説明することにする。例示の構成では、制御器274が作動し、システム内の各部材の操作を制御し、全体として細胞を含有しない分離液および細胞濃縮液を同時に発生する出力流れを維持する。このためには、それぞれ分離液出口ラインおよび濃縮液出口ライン内の光学密度センサーを使用して、出力液の細胞密度(または濁度)を検出するとともに、システム部材の操作を調節し、出力を目的の範囲内に維持することができる。
【0138】
例示の制御システムを使用する場合、システムの操作開始に先立って処理すべき細胞培養液中の細胞濃度を測定する。供給ポンプ260の動作速度と同様に、遠心分離機の目的の軸方向回転速度を決定する。例示的な構成では、遠心分離機の回転速度および供給ポンプによる供給細胞液の供給速度については、全体として制御器によって一定の設定値として維持する。むろん、他の構成およびシステムでは、細胞処理時に速度および流量を制御器によって調節することができる別な方法も採用可能である。
【0139】
例示的な構成では、決定された細胞濃度に基づいて、外部濃縮液ポンプ272の排出速度(流量)を(本明細書では「プライムバリュー」(prime value)と呼ぶこともある)初期値に設定する。例示的な構成では、外部濃縮液ポンプ272が初期値で初期動作する時間に対応する「初期所要時間」(prime duration)も設定する。この所要時間中に使い捨て構造178に部分的な充填を行う。この例示的なシステムでは、細胞密度に基づく濃縮液ポンプだけでなく、供給ポンプ260からの供給量についても“基礎速度”を設定する。濃縮液ポンプの基礎速度は、濃縮液ポンプが初期所要時間の後に作動することになる速度(流量に対応する)である。例示的な構成では、設定された基礎時間は、細胞密度が目的の設定限度未満にある分離液、および細胞密度が目的の設定範囲以上の細胞濃縮液を生成する濃縮液ポンプ速度に対応すると考えられる。これら設定値および設定範囲は好適な入力装置の入力に応答して受け取られ、少なくとも一つのデータ保存装置に保存される。
【0140】
図25に示す例示的なロジックフローにおいて、初期速度での濃縮液ポンプ272の動作は工程280によって示す。制御器によって、少なくとも使い捨て構造178を少なくとも部分的に充填する初期所要時間に対応する時間濃縮液ポンプが初期速度で動作しているかどうかを決定する。
【0141】
一旦濃縮液ポンプが初期所要時間初期速度で作動した後は、制御器が濃縮液ポンプの速度を工程284によって示される基礎速度に増速する。制御器274が作動し、センサー264によって検出された分離液の細胞密度をモニターする。また、制御器によって、工程286に示すように、目的の設定点よりも光学密度が高いかどうかを決定する。分離液の光学密度が設定点よりも高くない場合には、分離液から細胞や細胞物質が十分なくなっているため、制御器の測定によって濃縮液ポンプの動作速度に変化はなく、ロジックが工程284に戻る。
【0142】
工程286で、分離液の光学濃度が設定点より高いことが判明した場合には、ロジックが工程288に進む。工程288では、制御器が作動して、濃縮液ポンプの速度を設定された増分工程量だけ増速する。この速度増分の目的は、全体として分離液の光学濃度が分離液中の細胞数が減少する結果として、設定値をクリアさせることである。
【0143】
工程288で濃縮液ポンプ272を増速した後、センサー264に応答して制御器が作動し、工程290で分離液の光学密度が、濃縮液ポンプの速度(流量)増分から設定された時間の経過後依然として設定点よりも高いかどうかを判定する。高い場合には、設定点よりも高くなくなるまで、制御器が分離液の光学濃度をモニターし続ける。例示的な構成では、命令は設定時間を含む。濃縮液ポンプ速度制御器によって、基礎速度への調節が目的の設定点にあるか、あるいはそれ未満のレベルに分離液の光学密度を維持するために十分であることが判明する前は、この設定時間中分離液の光学密度は設定点よりも高くあってはならない。工程292では、増速された濃縮液ポンプ速度によって、細胞が十分取り除かれた分離液を一定に生成することに対応するか、あるいはプログラムされた待機時間に達することに対応する保存設定時間分離液の光学密度を設定点以下に維持されていることを制御器が判定する。細胞が十分取り除かれた分離液を一定に生成することに応答して、あるいはプログラムされた待機時間に達することに応答して、工程294で制御器が濃縮液ポンプの基礎速度値を増速された基礎速度に対応するように調節を行う。制御器が新しい基礎速度を設定し、ロジックが工程284に戻る。なお、工程286において分離液光学密度が依然として設定点よりも高いと判定された場合には、濃縮液ポンプ速度を再調節してもよい。
【0144】
例示制御器は、同時に出力濃縮液流れ中の細胞の光学密度をモニターする。このためには、センサー270によって検出された光学密度をモニターすることができる。工程296に示すように、制御器が作動し、濃縮液内の光学密度が目的の設定点よりも低いかどうかを判定する。この光学密度がデータ保存装置に保存されている目的の設定点値以上の場合には、濃縮液出力流内の細胞濃度が目的のレベル以上であり、ロジックは工程284に戻る。濃縮液の光学密度が目的の設定点未満の場合、これは濃縮液内の細胞レベルが目的未満であることを意味し、制御器は工程298に移る。工程298では、濃縮液ポンプの速度を所定の増分工程分だけ減速する。濃縮液ポンプが減速すると、出力流量が減少し、全体として濃縮液出力流中の細胞量が減るため、濃縮液出力流の光学密度が高くなる。
【0145】
次に、工程300に示すように、濃縮液ポンプ272が新しい減速速度で濃縮液ポンプ272を作動させる。工程302に示すように、制御器によって、データ保存装置に保存されている設定値に対応する設定時間にこの減速速度で濃縮液ポンプが作動するため、減速が十分であるかどうかに関して決定を行う前に、出力濃縮液流れ中の細胞濃度が高くなる。工程302においてこの時間が経過した後は、制御器が工程284に戻り、ここからロジックフローを繰り返し、さらに速度調節が必要かどうかを判定する。
【0146】
むろん、この簡略化した概略のロジックフローは例示に過ぎず、他の構成では、異なるロジックフローおよび/またはシステム部材の付加的な演算パラメーターを分離液および濃縮液の目的の出力流れを得るためにモニターしかつ調節してもよい。例えば、他の例示的な例では、分離液排出ポンプの速度、従って分離液排出流れについては、分離液中の細胞のレベルに対応する分離液の光学密度センサーによって検出された光学密度に少なくとも部分的に応答して変更してもよい。例えば、検出された分離液中の細胞レベルが設定限界を超えている場合には、制御器の制御によって分離液の流量を減らしてもよい。これは、別な構成として、あるいは濃縮液排出流量の制御と合わせて、制御器によって行えばよい。制御器によって、分離液中の細胞レベルが設定限界未満に、あるいは設定範囲内に確実に維持されるように分離液流れを変更してもよい。
【0147】
別の構成では、あるいはこれらに加えて、制御器によって使い捨て構造に流入する細胞懸濁液の流量を制御してもよい。このためには、使い捨て構造からの分離液および濃縮液の流量を変更し、制御器に対応するメモリーに保存されているプログラムされた設定限界内に分離液中および濃縮液中の細胞レベルを維持してもよい。さらに、制御器はそのプログラミングに従って操作を行い、ボウルの回転速度、希釈液導入、希釈液導入量などの他の処理パラメーターを変更し、設定限界および目的の処理速度が実装された分離液特性および濃縮液特性を維持してもよい。他の例示構成では、さらに、他の特性またはパラメーターを制御システムによってモニターし、あるいは調節して目的の生成物を得ることができる。
【0148】
図27は、さらに別な使い捨て式遠心分離機構造314を示す横断面図である。この遠心分離機構造314は、以下の点を除いて前記使い捨て式分離機構造178と全体として同様である。この使い捨て構造314は、内部に延在しかつシール236を被処理液から分離するエアポケットの空気/液体界面を目的のラジアル方向位置に操作時に/動作的に確実により安定的に維持できる要素を備える。
【0149】
使い捨て構造314では、分離液ポンプ208は分離液ポンプ室316内に位置する。分離液ポンプ室316はその底部において下部分離液求心ポンプ室面318と垂直方向に境界を成し、かつ上部側においては円形の上部分離液求心ポンプ室面320と垂直方向に境界を成す。
【0150】
下部分離液ポンプ室面318は、下部分離液求心ポンプ室開口322からラジアル方向外向きに延在する。例示的な構成では、下部分離液求心ポンプ室開口322はコア部200の円形上部を介して延在し、前記の上部開口202は対応するものである。供給配管184は、下部分離液求心ポンプ室開口を介して延在する。
【0151】
上部分離液求心ポンプ室面320は、円形の上部分離液求心ポンプ室開口324からラジアル方向外向きに延在する。供給配管184および分離液排出配管212は、上部分離液求心ポンプ室開口を介して軸方向に延在する。
【0152】
複数の角度をもって離間し、上向きに延在する下部分離液室羽根326は、下部分離液求心ポンプ室面318上に延在する。下部分離液室羽根326は下部分離液求心ポンプ室開口322から始まり、ラジアル方向外向きに延在する。図28により詳しく図示する下部分離液室羽根326は、回転軸線174からラジアル方向外向きに延在し、その延在距離は下部分離液羽根の距離Vである。例示的な構成では、下部分離液室羽根326は、下部分離液求心ポンプ室面318の円形凹部内を上向きに延在する。なお、この構成は例示に過ぎず、他の構成を使用することもできる。例えば、羽根のラジアル方向長さ、羽根の高さ、および凹部の深さおよび直径については、目的の流体圧力特性を得ることができるように変更することができる。
【0153】
複数の角度をもって離間し、下向きに延在する上部分離液室羽根328は、上部分離液求心ポンプ室面320から延在する。上部分離液室羽根328それぞれは、上部分離液求心ポンプ室開口324から始まり、ラジアル方向外向きに延在する。上部分離液室羽根は、回転軸線174からラジアル方向外向きに延在し、その延在距離は上部分離液羽根の距離である。例示的な構成では、上部分離液羽根の距離は下部分離液羽根の距離Vにほぼ対応する。例示的な構成では、上部分離液室羽根は、図28に示す下部分離室羽根と同様な構成を備えた上部分離液求心ポンプ室面の円形凹部に下向きに延在するが、向きは逆向きである。
【0154】
図示の例示的な構成では、分離液求心ポンプ208はほぼ環状の分離液求心ポンプ開口330を備える。ほぼ環状の分離液求心ポンプ開口330は、回転軸線174からラジアル方向外向きに延在し、その延在距離は分離液ポンプ開口の距離である。分離液求心ポンプ開口330が位置する分離液ポンプ開口の距離は、下部分離液羽根の距離および上部分離液羽根の距離よりも後ほど示す理由により大きい。
【0155】
使い捨て構造314の例示的な構成では、濃縮液求心ポンプ216は濃縮液ポンプ室332内に位置する。濃縮液ポンプ室332は、下側において円形の下部濃縮液求心ポンプ室面334と上下方向に境界をなす。分離液ポンプ室332は、上側においては円形の上部分離液求心ポンプ室面336と上下方向に境界を成す。
【0156】
下部濃縮液求心ポンプ室面334は、下部の濃縮液求心ポンプ室開口338からラジアル方向外向きに延在する。例示的な構成では、下部濃縮液求心ポンプ室開口はサイズにおいて上部分離液求心ポンプ室開口324に対応するとともに、この開口に対して連続的である。供給配管184および分離液排出配管212は、下部濃縮液求心ポンプ室開口338を介して延在する。
【0157】
複数の角度をもって離間し、上向きに延在する下部濃縮液室羽根340は、下部濃縮液求心ポンプ室面334上に延在する。下部濃縮液室羽根334は下部濃縮液求心ポンプ室開口338から始まり、ラジアル方向外向きに延在する。下部濃縮液室羽根334は、回転軸線からラジアル方向外向きに延在し、その延在距離は下部濃縮液羽根の距離である。例示的な構成では、下部濃縮液求心ポンプ室羽根334は、前記上下の分離液室羽根と同様に下部濃縮液求心ポン室面の円形凹部上に延在する。むろん、この構成は例示に過ぎない。
【0158】
上部濃縮液求心ポンプ室面336は、上部濃縮液求心ポンプ室開口342からラジアル方向外向きに延在する。供給配管184、分離液排出配管212および濃縮液排出配管220は同軸的に上部濃縮液求心ポンプ室開口342を介して延在する。複数の角度をもって離間した、上部濃縮液室羽根344は表面336から下向きに延在する。上部濃縮液室羽根は、上部濃縮液求心ポンプ室開口342からラジアル方向外向きに延在し、その延在距離は上部濃縮液羽根の距離である。上部濃縮液室羽根は、上部濃縮液求心ポンプ室面内の上向きに延在する円形の凹部内に延在する。例示的な構成では、上部濃縮液室羽根については、前記の下部濃縮液室羽根および上下の分離液室羽根と同様な構成である。むろん、このアプローチは例示に過ぎず、他の構成では他のアプローチも使用可能である。
【0159】
濃縮液求心ポンプ216は、ほぼ環状の濃縮液ポンプ開口346を備える。この濃縮液ポンプ開口は回転軸線174からラジアル方向に配置し、その配置距離は濃縮液ポンプ開口の距離である。むろん、この構成は例示に過ぎず、他の構成では他のアプローチも採用可能である。
【0160】
例示的な使い捨て構造314では、上下の濃縮液室羽根344、340および上下の分離液室羽根326、328は分離液ポンプ室330内の環状の空気/液体界面348および濃縮液ポンプ室332内の空気/液体界面350を安定化するとともに、ラジアル方向にこれらを配置する操作を行う。図28に示すように、空気/液体界面348は分離液室羽根の長さにそってラジアル方向中間に位置する。即ち、分離液ポンプ開口330からラジアル方向内向きに位置する。ラジアル方向に延在する分離液室羽根が遠心分離ポンプ力を与え、環状の空気/液体界面348を分離液求心ポンプ上下の両者においてラジアル方向位置に維持する。即ち、分離液ポンプ開口330のラジアル方向内向きに位置する。例示的な構成では、羽根がさらに空気/液体界面を維持する作用をもつため、分離液ポンプの上下の両者において同軸円形構成を維持できる。例示的な構成ではさらに、回転軸線に対する界面のラジアル方向位置を後述するように制御できるため、分離液ポンプ開口330を常に分離液内に維持でき、これが空気に暴露されることはない。
【0161】
上部濃縮液室羽根344および下部濃縮液室羽根340は、分離液室羽根と同様に動作する。これら濃縮液室羽根は、ほぼ環状の濃縮液ポンプ開口346の内側にあるラジアル方向距離において、濃縮液ポンプ室332内に円形の空気/液体界面350を維持するものである。この構成によって、濃縮液ポンプ開口が常に確実に濃縮液に暴露されるが、空気に暴露されることはない。なお、図示の構成では、分離液求心ポンプおよび濃縮液求心ポンプはほぼ同じサイズであるが、他の構成では、これら求心ポンプのサイズは異なっていてよい。このような場合、分離液室羽根および濃縮液室羽根が延在する回転軸線からのラジアル方向距離については異なっていてもよい。分離液ポンプ室および濃縮液ポンプ室内の空気/液体界面の回転軸線に対するラジアル方向位置も異なっていてもよい。使い捨て装置を構成する部材とこの使い捨て構造によって処理される具体的な被処理材との間の具体的な関係に応じて、多数の異なる羽根構造を採用することが可能である。
【0162】
図30に、さらに別な使い捨て構造352の上部部分を示す。この使い捨て構造352は、以下の点を除くと、前記使い捨て構造304と同様である。使い捨て構造352は、濃縮液排出配管220を取り囲む同軸関係で延在する空気配管354を有する。空気配管354は、使い捨て構造内部の開口356に連絡する。これら開口356は空気配管の内部から濃縮液ポンプ室332の濃縮液求心ポンプ216の上まで延在する。この例示構成では、シール236が空気配管354に操作時に/動作的に係合し、空気配管だけでなく、濃縮液排出配管、分離液排出配管および供給配管との気密係合を維持する。なお、空気配管を利用して、使い捨て構造内のエアポケット中の空気圧力レベルを選択的に維持することができる。このような構成は、前記のシステムや、加圧空気の外部供給源を利用して被処理材から遠心分離機構造のシールを分離するとともに、目的位置に空気/液体界面を維持することができる他のシステムにも適用可能である。むろん、この構造は例示に過ぎず、他の構成では他のアプローチを採用することができる。
【0163】
図31は、細胞懸濁液をほぼ細胞を含有しない分離液および濃縮液に連続的に分離するために使用することができるシステム358を示す概略図である。このシステム358は、以下の点を除いて、前記システム170と同様である。例示の構成では、システム358は使い捨て構造352と同様な使い捨て構造を使用して操作を行う。システム358の制御器274は、使い捨て構造内の空気/液体界面の位置を制御し、分離液ポンプ開口および濃縮液ポンプ開口のそれぞれの回転軸線に対してラジアル方向内向きに界面を確実に維持する操作を行う。
【0164】
例示的な構成では、流れの背圧調節器360は分離液排出ライン262に流体接続する。この例示的な構成では、流れの背圧調節器360は流体的には分離液排出配管212と分離液ポンプ266の中間にある。例示システム358は加圧空気源362を備える。この加圧空気源362は圧力制御パイロット弁364に接続する。この制御弁は制御器274に操作時に/動作的に接続する。制御器274からの信号に応じて、パイロットライン366内の可変圧力を選択する。パイロットライン366は背圧調節器360に流体接続する。パイロットライン366内に圧力制御パイロット弁が印加する圧力によって、分離液流、従って流れの背圧制御器360によって印加される分離液流れの背圧を制御できる。
【0165】
例示的な構成では、圧力制御弁368は加圧空気源362に流体連絡する。制御弁368はまた制御器274に操作時に/動作的に接続する。この例示的な構成では、制御弁368を制御して、空気配管354および使い捨て構造352の上部内のエアポケットに選択的に正確な圧力を印加する。
【0166】
例示的な構成では、保存されている実行可能な命令に従って制御器274が動作し、システム170に関連して説明したようにシステム358の動作を制御する。例示的な構成ではさらに、制御器274が作動し、パイロット圧力弁364を制御し、背圧調節器360が分離液排出配管212に印加する背圧を変更する。制御器274はまた弁368も制御する。制御器が作動し、使い捨て構造の内部の上部のエアポケットに印加される圧力を維持するとともに、選択的にこれを変更する。制御器はそのプログラミングに従って動作し、分離液流れの背圧および/またはエアポケット圧力を変更し、エアポケットの空気/液体界面を分離液ポンプ開口330および濃縮液ポンプ開口346から内向きに配向する回転軸線距離に維持する。分離液流れの背圧およびエアポケット両者における圧力変更が、本例示構成の分離液室羽根および濃縮液羽根と相俟って、空気/液体界面の安定性およびラジアル方向における外向き範囲を維持するため、分離液出力および濃縮液出力に使い捨て構造から空気が導入されることを確実に抑えることができる。さらに、分離液の背圧および流れを選択できるため、排出される濃縮液の細胞レベル、対応して検出される光学密度に強い影響を与えることができる。このように、制御器がそのプログラミングに従って動作し、濃縮液流量、分離液背圧、分離液流量、エアポケットの内圧、細胞懸濁液の使い捨て構造への流量や考えられるその他の遠心分離プロセスの動作変数を選択的に変更でき、制御器に対応する少なくとも一つの保存装置に保存されている設定限界および/または設定範囲内に分離液特性および濃縮液特性を維持できる。さらに、例示的な構成によれば、分離プロセスの信頼性の高い制御を維持した状態で、異なる種類の原料の分離および操作を異なる流量で実施できる。むろん、空気/液体界面の位置の制御についてシステム170の諸特徴に関連して説明してきたが、このような制御は他の、あるいは異なる種類の処理要素を有する他の型式のシステムにも採用することができる。
【0167】
図32図34に、さらに別な使い捨て構造370を示す。この例示的な使い捨て構造370は、他の使い捨て構造178、240および250に関連して説明してきた特徴と同様な各種の特徴を備えている。なお、他の使い捨て構造において使用し、ここに記載する付加的な特徴も、使い捨て構造370で示した特徴および関係をもつ構成に使用可能である。
【0168】
使い捨て構造370は上部ディスク状部分372を有する。この例示的な上部ディスク状部分372は内部に分離液求心ポンプ室374を有する。分離液求心ポンプ208は、分離液求心ポンプ室374内に収容する。この分離液求心ポンプ室は上部のディスク状部分内に分離液室(chamber volume)を有する。
【0169】
分離液求心ポンプ室は、少なくとも一つの分離液チャネル410を介して分離室に流体連絡する。分離液チャネル410については、少なくとも一つの分離液チャネルの入り口412に流体接続する。例示的な少なくとも一つの分離液チャネル入り口412については、円筒形コアの円筒壁に対して最近接するが、これから半径方向外向きに延在する分離室に流体連絡する。図示の例示的な構成では、少なくとも一つの分離液チャネル入り口412は実質的に環状の単体の入り口であり、分離液チャネルは実質的に環状の単体チャネルである。
【0170】
さらに、上部ディスク状部分は濃縮液求心ポンプ室376を有する。例示的な濃縮液ポンプ室376は円筒形室であり、この円筒形室は、垂直に延在する円形仕切り壁378によって水平に仕切られた円筒形室である。濃縮液求心ポンプ室376は上部ディスク状部分内に濃縮液室(chamber volume)を有する。この例示的な構成では、上部ディスク状部分内の分離液室の容積(容量)は、以下に記載する理由から、濃縮液室の容積より大きい。
【0171】
例示的な上部ディスク状部分は上部ピース394および下部ピース396を有する。例示的な構成では、上部ピースおよび下部ピースは解除可能な係合で保持する。この方法は例示であり、他の構成では他の方法を使用できることは無論である。操作または稼働状態では、この例示的な下部ピース396はその上側において上部の環状境界面398に接している。例示的な下部ピース396はその下側において下部の環状境界面400に接している。上部の環状境界面398は、ラジアル方向外向きの円錐形環状上面部分402およびラジアル方向に内向きの、ラジアル方向に平面状に延在する上面部分404を有する。下部の環状境界面398は半径方向に外向きの、円錐形環状下面部分406およびラジアル方向に内向きで、ラジアル方向に平面状に延在する下面部分408を有する。上部ピース394および下部ピース396の稼働位置では、ラジアル方向に内向きで、ラジアル方向に平面状で水平方向に延在する下面408およびラジアル方向に内向きで、ラジアル方向に平面状で水平方向に延在する上面404が相互に平行に延在する。なお、稼働位置では、円錐状の環状上面部分402および円錐状の環状下面部分は、後ほど説明する理由から平行関係でなくてもよい。
【0172】
例示的な構成では、実質的に環状の細胞濃縮液チャネル380は、上部ディスク状部分372の上部ピース394と下部ピース396との間に延在する。環状の細胞濃縮液チャネル380は、実質的に環状の細胞濃縮液チャネル入り口382からラジアル方向内向きに延在する。濃縮液チャネル入り口は、分離液入り口412からさらにラジアル方向外向きに位置する。濃縮液チャネル入り口382については、図34に示すように、遠心分離機ボウルによる装置の回転時に細胞濃縮液384が分離室の環状のラジアル方向外向きの領域384に集まる外壁の内面に隣接するラジアル方向外周において分離室224の上部領域に流体接続する位置に設ける。
【0173】
例示的な構成では、実質的に環状の漏斗チャネル(funnel channel)381が環状の細胞濃縮液チャネル入り口382に対して上方かつラジアル方向内向きに延在する。稼働位置にある上部ディスク状部分372の例示的な下部ピース396が、ラジアル方向にある下部内向き側において実質的に平面状の、ラジアル方向に延在する表面379に接する。例示的なラジアル方向に延在する表面379は、環状エッジ377においてラジアル方向外向きに終端する。使い捨て構造の稼働位置では、環状の漏斗チャネル381は環状エッジ377から外向きに延在する。さらに、例示的な環状かつディスク状部分372の例示的な上部ピース394は実質的に環状の細胞濃縮液案内面383を有する。環状の細胞濃縮液案内面383は環状漏斗チャネル381の下に延在し、ラジアル方向に延在する平面状表面379の軸方向レベルで分離室224にラジアル方向外向きに接する。この例示的な構成では、環状の細胞濃縮液案内面383はさらにラジアル方向外向きに延在し、漏斗チャネルに上向きに近接する。
【0174】
この例示的な構成では、環状の細胞濃縮液チャネル380は実質的に環状の細胞濃縮液出口386において濃縮液求心ポンプ室376でラジアル方向内向きに終端する。また、例示的な構成では、環状の細胞濃縮液出口386は垂直に延在する境界壁378の中間点に延在する位置にある。この例示的な構成では、濃縮液求心ポンプは実質的に環状の濃縮液求心ポンプ入り口388を有する。チャネル380の環状の細胞濃縮液出口はラジアル方向および軸方向において濃縮液求心ポンプ入り口388と整合関係にある。
【0175】
前記の例示的な構成では、環状の細胞濃縮液チャネルは軸方向横断面内にテーパー部分390およびラジアル方向に延在する部分392を有する。このラジアル方向に延在する部分392は、下部ピース396のラジアル方向に平面状に延在する上面部分404と上部ピース394のラジアル方向に平面状に延在する下面部分408との間において直接ラジアル方向外向きに延在する。さらに、この例示的なラジアル方向に延在する部分392は環状の細胞濃縮液出口386から直接ラジアル方向外向きに延在する。使い捨て構造の稼働位置では、環状の細胞濃縮液チャネルの水平方向かつラジアル方向に延在する部分392は、一定のチャネル高さをもつ。即ち、このチャネル高さはチャネルの各領域における濃縮液流の方向に対してこれを横断するチャネルの寸法を意味する。この結果として、水平方向かつラジアル方向に延在する部分はその全長を通して一定の横断面積を有する。この例示的な構成では、水平方向かつラジアル方向に延在する部分392は軸方向かつラジアル方向において整合し、従って軸方向横断面における高さは濃縮液求心ポンプの入り口と同じ高さになる。
【0176】
環状の細胞濃縮液チャネル380のテーパー部分390は、下部ピースの円錐形環状上面部分402と上部ピースの円錐形環状下面部分406との間に延在する。環状の細胞濃縮液チャネル380については、チャネル高さ(およびチャネルの横断面積)が細胞濃縮液流路入り口382からテーパー部分がラジアル方向に延在する部分392に流体接続する位置にかけて連続的に漸増するチャネル部分をもつように構成する。この構成によって、チャネル部分390の濃縮液流の方向に対して直角な横断面積が広くなり、回転軸線に対する接近度が高くなる。濃縮液チャネルの横断面積が連続的に漸増することは、チャネル部分において、濃縮液流の方向に対して直角なチャネルの横断面積がスムーズに増加し、チャネル横断面積がただちに10%以上変化するチャネル部分に離散的な位置ずれ(any discrete steps in locations)がないことを意味する。
【0177】
本構成において、テーパー部分390内の使い捨てシステムの回転軸に近接した状態で、チャネルの高さが一定に高くなるため、細胞濃縮液の流体速度を好ましい高い速度に維持できる。例示的な構成では、環状の細胞濃縮液チャネルが、圧力低下領域を避けることができるため、チャネル入り口382から流路出口386に至る細胞濃縮液の成分のラジアル方向内向き速度を好適な速度に維持できる。
【0178】
例示的な構成では、環状チャネル380に対する環状入り口382は、軸方向横断面において高さが最も低く、かつ横断面積が最小なチャネルの部分である。環状入り口382では、細胞、およびこれら細胞が懸濁している流体がラジアル方向内向きに流れ始める。使い捨て構造のこの領域では、液体よりも濃くなっている細胞が、遠心分離機の回転によってラジアル方向外向きになっている遠心加速力を受ける。例示的な構成の稼働時、既に説明した濃縮液ポンプ272などの外部濃縮液ポンプを作動し、環状チャネル入り口382においてラジアル方向内向きに流れる液体流れの平均速度をもたらす流量を維持する。即ち、沈降速度、およびチャネル入り口で濃縮液に作用する遠心分離力によってもたらされるラジアル方向外向きに向かう細胞に作用する力を維持する。さらに、一部の例示的な構成では、テーパー部分390が上方にテーパー化した構成になっているため、チャネル入り口およびチャネル部分において細胞の流れに対抗する沈降力の成分が、同じラジアル方向位置においてラジアル方向内向きチャネル内の細胞の動きに対抗する沈降力の成分よりも小さくなる。
【0179】
例示的な構成では、環状の濃縮液チャネルの環状テーパー部分の高さが、使い捨て構造の回転軸からのラジアル方向距離が短くなるに従って高くなる。軸方向横断面内のチャネルの例示的な構成では、テーパー部分390のチャネル高さ、従って濃縮液流れの方向に対して直角をなす横断面積が、使い捨て構造の回転軸に対する近接度が増すに従って(回転軸からのラジアル方向距離が短くなるに従って)、連続的に漸増する。チャネルの高さが軸からのラジアル方向距離が短くなるにつれて連続的に漸増する例示的な構成の場合、細胞濃縮液内の細胞が、細胞が懸濁している液体とともに、ラジアル方向内向きに高速で濃縮液チャネルを連続的に通過するため、好適である。チャネル高さが高くなっているにもかかわらず、細胞に弱くなったラジアル方向外向きの遠心加速力が作用し、これに対応して回転軸からのラジアル方向距離が短くなるため、チャネル入り口382から細胞濃縮液がラジアル方向内向きに移行している間中、好適な半径方向内向きの速度を維持できる。従って、例示的な構成では、細胞濃縮液が環状入り口382からラジアル方向内向きに細胞濃縮液出口386に向かって移動し、濃縮液求心ポンプ室376に流入し、通過している間、細胞濃縮液はチャネル380の全体を通してチャネル部分390内において好適な高いラジアル内向き速度を維持する。
【0180】
なお、留意すべきは、図32図34に示す例示的な構成では、連続的に漸増する横断面積を有するチャネル部分はチャネル入り口で始まるが、他の構成では、他のアプローチや別な配置を適用できる点である。例えば、一部の別な構成では、この配置を有するチャネル部分は別な位置に設けてもよい。このような位置は濃縮液チャネルの具体的構成に、そしてチャネルの具体的部分において濃縮液が十分高い流れ速度を達成し、これによって沈降や目的の流れを妨害する他の力を抑制できる方法で濃縮液やその内部の細胞が移動するために必要な条件に応じて設定することができる。さらに、この例示的な構成では横断面積が連続的に漸増する環状の濃縮液チャネル部分を単独使用しているが、他の構成では複数の濃縮液チャネルなどの他のチャネルも使用可能である。図32図34に示す構成は例示に過ぎず、他の構成も使用可能である。
【0181】
例示的な構成では、濃縮液排出配管220は、既に説明したように、システム稼働時に外部濃縮液ポンプに流体接続する。例示的な構成では、既に説明したシステム170と同様に、あるいは濃縮液排出配管内に好適な背圧を維持した状態で、細胞濃縮液の出口流れを生成する制御回路に応答する他のシステムと同様に、濃縮液ポンプを稼働させることができる。使い捨て構造370を稼働させて、本明細書で挙げた運転能力を発揮させるシステムには他の数多くの構成部材を実装できることは言うまでもない。
【0182】
例示的なシステムの稼働時、使い捨て構造370は遠心分離機ボウルに接続し、構造の内部領域にある細胞懸濁液を分離する。細胞懸濁液は、既に説明したように、細胞を実質的に含有しない細胞分離液に、そして細胞分に富む細胞濃縮液に分離する。例示的な構成では、分離室上部のラジアル方向外周部に遠心分離作用によって環状の細胞濃縮液領域384が生成する。この例示的な環状の細胞濃縮液領域は、環状のチャネル入り口382との流体接続を維持するだけでなく、実質的に環状の細胞濃縮液案内表面および環状の漏斗チャネル(これらに沿って細胞濃縮液はチャネル入り口382に向かって移動する)との接触関係を維持する。
【0183】
一部の例示的な構成では、上部ディスク状部分のラジアル方向に延在する表面379に隣接する分離室のラジアル方向外周部と境界を接する環状の細胞濃縮液案内表面383が作動して、細胞濃縮液を上方に押し進め、これを環状の漏斗チャネル381に上向きに押し込む。これは、案内表面がラジアル方向外向きにさらに延在し、最終流路に上向きに近接するからである。遠心分離機の回転によって発生した遠心分離力によって環状の細胞濃縮液案内表面383に対してラジアル方向外向きに推し進められた細胞濃縮液が移動し、案内表面に係合し、環状漏斗チャネルに流入することができる。この案内表面が細胞濃縮液を案内し、この細胞濃縮液が上方かつラジアル方向内向きに移動し、環状の細胞濃縮液入り口に流入する。軸方向横断面が環状の漏斗チャネルと境を接する環状の収束表面によって、細胞濃縮液がチャネル入り口382に向かってラジアル方向上方に案内されると、細胞濃縮液の液体成分のラジアル方向内向き速度が、漏斗チャネルの面積減少に従って増す。既に説明したように、例示の構成は高さ最少(そして横断面積が最小)であるため、環状のチャネル入り口382において細胞濃縮液の液相の流体速度が最大化する。
【0184】
例示的な構成およびその稼働方法では、外部濃縮液ポンプが作動し、環状の細胞濃縮液チャネル380内の細胞濃縮液が、細胞の沈降速度より高い細胞濃縮液の液相のラジアル方向内向きの平均速度を生み出す流量において、環状の細胞濃縮液入り口382から連続的に環状の細胞濃縮出口386に移動する流れを生成する。例示的な構成では、流路の高さを横切りかつ流路のラジアル方向の全長にわたって細胞濃縮液の液相を一定の高い平均速度で実現でき、従って細胞濃縮液およびこの内部の細胞が環状の細胞濃縮液チャネルに有利に流れることになる。さらに、例示的な構成では、チャネルのテーパー部分390の連続的に漸増する横断面、ラジアル方向に延在する部分392の一定の高さ、および全体が環状の細胞濃縮液チャネルの全体として一定で、比較的小さな横断面積の理由から、チャネルの長さに沿って重大な圧力低下が生じる領域がなくなり、流路全体にわたって液相の速度および細胞の連続性を十分に維持できる。
【0185】
さらに、例示的な構成の稼働時には、濃縮液求心ポンプ室376に流入する細胞濃縮液は、細胞濃縮液の液相および細胞相が確実に濃縮液求心ポンプ入り口をラジアル方向内向きに通過する十分高い速度および流量で移動する。この例示的な構成では、この結果は濃縮液求心ポンプ室の容積および配置だけでなく、求心ポンプ216の求心ポンプ入入り口388に対するチャネル出口386の配置によっても容易に得られる。
【0186】
例示的な構成にはこれらの特徴があるため、例示的な使い捨て構造において細胞濃縮液のラジアル方向内向き流が容易に発生し、かつ使い捨て構造および対応するシステムの稼働が有利になる。これら特徴および構成は例示であり、また本明細書に記載する原理については、他の配置および他の使い捨て構造や複数回使用構造にも適用でき、他の遠心分離プロセスにおいて所望の性能特性および細胞分離を達成できる。
【0187】
図35図38に使い捨て構造414のさらに別な構成を示す。この例示的な代替使い捨て構造は、既に説明してきた多くの特徴をもち、上部ディスク状部分416を有する。外壁418は、使い捨て構造414が位置する構成の遠心分離ボウルと稼働時に接続する構成である。この構造は外壁418の下部分420を有する。図36に例示する使い捨て構造は内部領域を有し、その形状は円錐台形であり、下部分420に隣接する内径はより小さい。
【0188】
既に説明してきた構成と同様に、使い捨て構造414は円筒形コア422を有する。この円筒形コア422は、当該構造の内部領域の上下部分の間に軸方向に延在し、円筒形の外部仕切り壁424を有する。なお、円筒形コア422については、図36には中実構造として示しているが、他の構成の場合、中空のコア構造を使用することができる。例示的な構成では、円筒形コア422は内部領域において上部ディスク状部分の底部と複数の上向きの、角度をもって離間した羽根426との間に延在する。これらの羽根426は間に流体チャネルを有し、これらチャネルは使い捨て構造の内部領域の下部と境を接する壁の内側から上向きに延在する。
【0189】
例示的な構成では、使い捨て構造414は、遠心分離ボウル内で軸線428を中心にして回転できる構成である。さらに、この使い捨て構造は稼働位置において垂直に延在する供給配管430を有し、この配管が当該構造の内部領域に細胞培養物を受け取るようになっている。例示的な供給配管430は、細胞分離液および細胞濃縮液に分離すべき流入物を導入すべき領域に至る使い捨て構造の下部分内の配管開口432まで下向きに延在する。図示の例示的な構成では、供給配管430はコア内の円筒形開口434を介して軸方向に延在する。
【0190】
前記の例示的な使い捨て構造はその稼働位置において、垂直に延在する分離液排出配管436を有する。この垂直に延在する分離液排出配管436は分離液求心ポンプ438に流体接続する。分離液求心ポンプは、上部ディスク状部分416内に位置する分離液求心ポンプ室440内に位置する。分離液求心ポンプ室440は分離室442に流体接続し、この分離室はコア422の外壁と使い捨て構造の内部領域と境を接する壁との間にラジアル方向に延在する。分離液求心ポンプ室は、少なくとも一つの分離液チャネル入り口444および少なくとも一つの分離液チャネル446を介して分離室442に流体接続する。例示的な構成では、この少なくとも一つの分離液チャネル入り口444は、コア422と境を接する円筒壁からラジアル方向外向きではあるが、これにラジアル方向に近接する分離室に位置する。例示的な構成では、分離液チャネル入り口の形状は弧状である。さらに例示構成の稼働位置では、分離液求心ポンプ室440は水平に延在する上下の分離液ポンプ室の表面を有し、これら表面は既に説明してきた羽根326および328などの上下の分離液室羽根を有することができる。
【0191】
さらに、例示的な使い捨て構造414は稼働位置に垂直に延在する濃縮液排出配管448を有する。前記の他の構成と同様に、濃縮液排出配管448、分離液排出配管436および供給配管430については、使い捨て構造上に同軸配置する。濃縮液排出配管448は濃縮液求心ポンプ450に流体接続する。濃縮液求心ポンプ450については、上部ディスク状部分416内の濃縮液求心ポンプ室452内に配置する。例示的な構成では、濃縮液求心ポンプ室はそれぞれ上下の濃縮液求心ポンプ室表面と境を接し、各表面は既に説明した羽根と同様なラジアル方向に延在するチャンバー羽根を有することができる。
【0192】
この例示的な構成では、濃縮液求心ポンプ室は複数のラジアル方向に延在する濃縮液チャネル454を介して分離室に流体接続する。例示的な構成では、濃縮液チャネルそれぞれは上部ディスク状部分内に延在し、そして他のチャネルそれぞれから所定角度で離間している。例示的な上部ディスク状部分416は上部ピース456および下部ピース458からなる。さらに、例示的な上部ディスク状部分は底部ピース460を有する。稼働状態の例示的な構成では、上部ピース456、下部ピース458および底部ピース460それぞれはサンドイッチ状の係合関係にある。稼働位置では、複数の濃縮液チャネルのそれぞれは上部ピース456の少なくとも一つの下向き表面および下部ピース458の少なくとも一つの上向き表面と境を接する。
【0193】
図36に示すように、複数の濃縮液チャネル454それぞれは濃縮液チャネル入り口462を有する。例示的な構成では、濃縮液チャネル入り口はそれぞれの濃縮液チャネルの全体を通して濃縮液流れの方向に対して直角な方向において最少の横断面積を有する。各濃縮液チャネル入り口462は、上部ディスク状部分に延入する垂直開口464を介して分離室の外周に流体接続する。例示的な構成では、各濃縮液チャネル454は、底部ピース460を貫通し、上部ピース456と下部ピース458との間にあって、これらと境を接するそれぞれの垂直開口464を介して分離室に流体接続する。例示的な構成では、垂直開口464それぞれは底部ピース460内に弧状の細長いスロットを有する。この配置は例示であって、他の構成では他のアプローチも使用可能であることは言うまでもない。
【0194】
例示的な構成では、各濃縮液チャネルは、チャネル入り口462から濃縮液求心ポンプ室へのチャネルからの各開口までの横断面幅は全体として一定である。濃縮液チャネルそれぞれは、各濃縮液チャネル部分内の濃縮液流れの方向に対して直角な横断面積が連続的に漸増するチャネル部分を有する。この横断面積は、チャネル部分の位置の使い捨て構造の軸線に対する近接度が増すに従って広くなる。例示的な構成では、複数の濃縮液チャネルについては、テーパー部分468において、濃縮液流れの方向に対して直角な横断面積が、テーパー部分のチャネルの高さが変動する結果として、連続的に漸増するように構成する。各チャネルの高さは、回転軸に対する近接度が高くなるに従って高くなる。無論、この構成は例示であり、他の構成では他のアプローチを取ることができる。
【0195】
例示的な構成では、横断面積配置が連続的に漸増する各チャネル部分はそれぞれの濃縮液チャネル入り口462で始まり、上向きかつラジアル方向内向きに延在するテーパー部分468を介して連続する。各テーパー部分468はそれぞれの濃縮液チャネル454の水平かつラジアル方向に延在する部分470に流体接続する。例示的な構成では、それぞれの濃縮液チャネルのそれぞれ水平かつラジアル方向に延在する部分は、テーパー部分468から濃縮液求心ポンプ室450まで延在する。例示的な構成では、濃縮液チャネルの水平かつラジアル方向に延在する部分は、濃縮液流れに対して直角な方向においてテーパー部分からラジアル方向内向きに濃縮液求心ポンプ室まで横断面積が一定である。なお、この構成は例示であり、他の構成では他のアプローチを適用することができる。
【0196】
例示的な使い捨て構造414の稼働時、上部ディスク状部分416、壁部418およびコアは回動し、遠心分離ボウルに接続する。供給配管430、分離液排出配管436および濃縮液排出配管448は濃縮液求心ポンプ450および分離液求心ポンプ438とともに静止状態にある。例示的な構成では、細胞培養物は回転誘導遠心力によって分離室442において細胞分離液および細胞濃縮液に分離する。細胞濃縮液は分離室442の上部かつラジアル方向外側領域に溜まる一方、細胞を実質的に含有しない分離液はコアの円筒形外壁に近接する分離室領域に溜まる。
【0197】
分離液は複数の分離液チャネル入り口444を介して分離液求心ポンプ室に流入し、分離液求心ポンプ438および分離液排出配管を介して求心ポンプ室から外に出る。既に説明してきた濃縮液ポンプなどの外部濃縮液ポンプが濃縮液排出配管に稼働時に接続しているため、濃縮液が使い捨て構造の分離室から流れ出る。この濃縮液流れによって細胞の濃縮液が垂直な各開口464を介して、また濃縮液チャネル入り口の比較的小さな横断面積により細胞濃縮液が高速になる各濃縮液入り口462を介して上方に移動する。細胞濃縮液の液体および細胞の流速が高いため、細胞濃縮液に含まれる細胞に力が加わり、従来構成に関連して説明したように、細胞に作用するラジアル方向外向きの力を凌駕することによって細胞が上向きかつラジアル方向内向きのテーパー部分468内に入り込む。
【0198】
上向きかつラジアル方向内向きに延在するテーパー部分は、濃縮液流れの方向に対して直角をなす横断面積が連続的に漸増する。この連続的に漸増する横断面積によって、チャネル部分全体を通して各ラジアル方向位置で濃縮液の流速を十分高く維持できるため、チャネル部分の各位置にラジアル方向外向きに作用する力にもかかわらず、細胞濃縮液が濃縮液室に好ましい高速で流れ込むことになる。例示的な構成では、細胞濃縮液が濃縮液チャネルのテーパー部分を流れ出、各チャネルの水平かつラジアル方向に延在する部分を介して、細胞濃縮液が好適な高速を維持する濃縮液求心ポンプ室452に達する。この結果として、例示的な構成では、細胞濃縮液に、使い捨て構造内の細胞濃縮液流れを促進する流れ特性を得ることができ、また細胞分離プロセスが容易になる。無論、使い捨て構造414の構成配置は例示であり、他の構成では他の構成配置を利用することができる。
【0199】
一部の例示的構成では、上部ディスク状部分416の上部ピース、下部ピースおよび底部ピースは解除自在に係合することが可能である。これは製造を容易にし、検査、洗浄などを可能にするものである。他の例示構成では、これらピースは永久係合させておくことが可能である。さらに別な例示的構成では、以上説明してきたものと同様な構造については、本明細書で説明してきた構造と同様な構造については、本明細書で説明した有用な特性および性能を与える他の構成成分から形成することができる。さらに、使い捨て構造414の構成配置は例示であり、本明細書に記載した有用な原則および構造は他の分離機構造構成にも使用可能である。
【0200】
このように、例示的に開示してきた構成の新規遠心分離機システムおよび方法によれば、上記目的の少なくとも一部を達成でき、従来装置およびシステムを使用するさいに発生する問題を解決でき、課題を解決でき、また以上説明してきた目的の結果を得ることができる。
【0201】
簡潔、明確を期すために、そして理解を深めるために、以上の説明でいくつかの用語を使用してきたが、不必要な制限を意味するものではない。これら用語は説明を意図し、広い解釈を意図するものである。さらに、本明細書の記載および説明は例示であり、本発明は図示し、かつ記載してきた厳密な細部に限定されるものではない。
【0202】
なお、一つの例示的な構成に関連する特徴および/または関係については、別な例示構成における特徴および/または関係と組み合わせることが可能である。即ち、各種特徴および/または関係はさらに別な構成においても組み合わせることができる。本開示の発明性に関する範囲は、本明細書に示し、図面に示した例示的な構成のみに限定されるものではない。
【0203】
特許請求の範囲において、機能を実行する手段として記載した特徴については、当業者がこの機能を発揮できるものとして当業者に知られている手段を包摂するものと解釈すべきで、本明細書に示す構造、あるいはこれの単なる等価物に制限するものではない。
【0204】
新規かつ有用な特徴の発見および原理を記載してきたが、これらを構成し、利用しかつ操作する方法、および得られる作用効果、新規かつ有用な構造、装置、要素、配置、部分、組み合わせ、システム、動作、方法および関係に関しては特許請求の範囲に記載する通りである。
【符号の説明】
【0205】
10 コア部
12 軸線
14 静置装置
16 装置
18 供給配管
20 開口
22 キャビティ
24 分離液求心ポンプ
26 入口開口
28 出口開口
30 分離液配管
32 分離液ポンプ室
34 濃縮液求心ポンプ
36 入口開口
38 出口開口
40 濃縮液出口配管
42 濃縮液ポンプ室
44 上部
46 流体シール
48 加速器羽根
50 テーパー壁
52 濃縮液スロット
54 環状壁
56 分離液孔
58 第1プレート
60 第2プレート
62 ネジ
64 渦巻き式流路
66 外周
67 外壁
68 入口開口
70 環状回収室
74 壁部
76 壁部
78 壁部
80 円形面
82 ボウル
84 軸線
86 モーター
88 コア部
90 キャビティ/分離室
92 懸濁液入り口供給配管
94 入り口開口
96 求心ポンプ
98 入り口
100 ポンプ出口
102 分離液出口配管
104 上部
106 シール
108 ポンプ
110 入り口ライン
112 濃縮液ライン
114、116 弁
118 分離液排出ライン
120 分離液排出ポンプ
122 圧力ダンピングリザーバー
124 底部ポート
126 上部ポート
128 上部ポート
130 殺菌フィルター
132 調節器
134、136および138 液面センサー
140 弁
142 制御回路
143 空気ライン
144 プロセッサー
145 開口
146 データ保存装置
147 液面
148 サブルーチン工程
150 工程
152 工程
154 工程
156 工程
158 工程
160 工程
162 工程
170 遠心分離機システム
172 遠心分離機ボウル
174 軸線
176 キャビティ
178 使い捨て構造
180 上部開口
182 固定構造
184 供給配管
186 内部領域
188 第1軸端
190 開口
192 第2軸端
194 ディスク状部分
196 環状外周
198 環状境界壁
200 コア部
202 上開口
204 下開口
206 分離液求心ポンプ室
208 分離液求心ポンプ
210 分離液開口
212 分離液排出配管
214 濃縮液求心ポンプ室
216 濃縮液求心ポンプ
218 濃縮液開口
220 濃縮液排出配管
222 外壁
224 分離室
226 織り目の出た外面
228 凹み
230 下部開口
232 ディスク状部分
234 流路
236 シール
238 遠心分離機システム
240 使い捨て構造
242 下部ディスク状部分
244 流路
246 羽根
248 遠心分離機システム
250 使い捨て構造
252 下部ディスク状部分
254 加速器羽根
256 モーター
258 細胞培養供給ライン
260 供給ポンプ
262 分離液排出ライン
264 分離液光学密度センサー
266 分離液ポンプ
268 濃縮液排出ライン
270 濃縮液光学密度センサー
272 濃縮液ポンプ
274 制御回路
276 プロセッサー
280 工程
284 工程
286 工程
288 工程
290 工程
292 工程
294 工程
296 工程
298 工程
300 工程
302 工程
304 使い捨て構造
306 環状濃縮液ダム
308 テーパー状外面
310 分離液ダム
312 環状凹部
314 使い捨て式遠心分離機構造
316 分離液ポンプ室
318 下部分離液求心ポンプ室面
320 上部分離液求心ポンプ室面
322 下部分離液求心ポンプ室開口
324 上部分離液求心ポンプ室開口
326 下部分離液室羽根
328 上部分離液室羽根
330 分離液求心ポンプ開口
332 濃縮液ポンプ室
334 下部濃縮液求心ポンプ室面
336 上部分離液求心ポンプ室面
338 下部濃縮液求心ポンプ室開口
340 下部濃縮液室羽根
342 上部濃縮液求心ポンプ室開口
344 上部濃縮液室羽根
346 濃縮液ポンプ開口
348 空気/液体界面
350 空気/液体界面
352 使い捨て構造
354 空気配管
356 開口
358 システム
360 背圧調節器
362 加圧空気源
364 圧力制御パイロット弁
366 パイロットライン
368 圧力制御弁
370 使い捨て構造
372 上部ディスク状部分
374 分離液求心ポンプ室
376 濃縮液求心ポンプ室
377 環状エッジ
378 円形仕切り壁
379 表面
380 細胞濃縮液チャネル
381 漏斗チャネル
382 細胞濃縮液チャネル入り口
383 細胞濃縮液案内面
384 細胞濃縮液
386 細胞濃縮液出口
388 濃縮液求心ポンプ入り口
390 テーパー部分
392 ラジアル方向に延在する部分
394 上部ピース
396 下部ピース
398 上部の環状境界面
400 下部の環状境界面
402 円錐形環状上面部分
404 上面部分
406 円錐形環状下面部分
408 下面部分
410 分離液チャネル
412 入り口
414 使い捨て構造
416 上部ディスク状部分
418 外壁
420 下部分
422 円筒形コア
424 外部仕切り壁
426 羽根
428 軸線
430 供給配管
432 配管開口
434 円筒形開口
436 分離液排出配管
438 分離液求心ポンプ
440 分離液求心ポンプ室
442 分離室
444 分離液チャネル入り口
446 分離液チャネル
448 縮液排出配管
450 濃縮液求心ポンプ
452 濃縮液求心ポンプ室
454 濃縮液チャネル
456 上部ピース
458 下部ピース
460 底部ピース
462 濃縮液チャネル入り口
464 垂直開口
468 テーパー部分
470 部分
1000 遠心分離機構造
1100 可撓性ライナー
1110 熱接着部
1200 下フランジ
1210 上面
1300 上フランジ
1310 下面
1400 求心ポンプ
1410 ペアリングディスク
1415 ギャップ
1420 回転ポンプ室
1420 孔
1500 コア構造
1505 上面
1510 コア部
1515 外面
1520 中心キャビティ
1525 回転軸
1530 スリット/孔
1540 孔
1550 分離室
1555 分離液溜め
1560 加速器羽根
1580 プレート
1590 加速器ボウル
1600 遠心分離機カバー
1605、1620 内面
1610 係合キャップ部
1630 ラジアルフィン
1640 壁部
1700 回転機械式シール
2000 供給/排出装置
2100 供給配管
2110 ノズル
2200 分離液の排出
2300 供給配管キャリヤ
2400 分離液出口
2500 濃縮液の排出
2500 細胞排出管
2510 蠕動ポンプ
3000 多用途構造体
3100 ボウル
3200 多用途ボウルカバー
3210 ナビン
4400 求心ポンプ
4410 ペアリングディスク
4415 ギャップ
4420 ポンプ室
4430 濃度センサー
4540 スリット/孔
4630 加速器フィン
5000 希釈液の供給
5100 ディスク状流路
5150 希釈液ポンプ
6000 距離
6010 深さ
6100 スロットルチューブ
R 矢印
V 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
【国際調査報告】