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特表2023-518711κオピオイド受容体作動薬のオリゴ糖製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】κオピオイド受容体作動薬のオリゴ糖製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/07 20060101AFI20230426BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 31/485 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230426BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230426BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 29/02 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
A61K38/07
A61P43/00 111
A61K31/40
A61K31/485
A61K9/14
A61K47/26
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/34
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/06
A61K9/10
A61P29/00
A61P25/04
A61P29/02
A61P9/04
A61P9/12
A61P1/16
A61P11/00
A61P27/06
A61P29/00 101
A61P1/04
A61P27/16
A61P37/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554618
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(85)【翻訳文提出日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 US2021022878
(87)【国際公開番号】W WO2021188753
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/991,560
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506041833
【氏名又は名称】カラ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,ブライアン,アール.
(72)【発明者】
【氏名】オコナー,スティーブン,ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA16
4C076AA29
4C076AA53
4C076AA95
4C076BB01
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC10
4C076CC11
4C076DD09N
4C076DD41N
4C076DD51N
4C076DD67
4C076EE23N
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA09
4C084BA23
4C084MA02
4C084ZA08
4C084ZA33
4C084ZA34
4C084ZA36
4C084ZB11
4C084ZC41
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC07
4C086CB23
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086NA13
4C086ZA08
4C086ZA33
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZB11
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、治療薬の経口送達のための製剤であって、κオピオイド受容体作動薬、オリゴ糖安定化剤及び任意選択的な吸収促進剤を含む製剤を提供する。κオピオイド受容体作動薬は、トレハロースなどのオリゴ糖でコーティングされるか、それに包埋されるか又はそれと混合され得る。本発明のκオピオイド受容体作動薬、オリゴ糖及び吸収促進剤の経口製剤を含有するカプセルも提供される。本発明は、製剤の製造の方法並びに疼痛、掻痒及び炎症などの様々なκオピオイド受容体関連疾患及び状態の予防、阻害及び治療のためのそれらの使用の方法をさらに提供する。使用の方法は、κオピオイド受容体作動薬、オリゴ糖及び任意選択的な吸収促進剤の製剤を哺乳動物に投与することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
κオピオイド受容体作動薬の経口送達のための製剤であって、κオピオイド受容体作動薬及びオリゴ糖を含む粒子を含み、
κオピオイド受容体作動薬は、
(i)式:
【化1】
D-Phe-D-Phe-D-Leu-D-Lys-[ω(4-アミノピペリジン-4-カルボン酸)]-OH
を有するCR845又はその水和物、塩、酸性塩若しくは酸性塩水和物;
(ii)アシマドリン(N-[(1S)-2-[(3S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル]-1-フェニルエチル]-N-メチル-2,2-ジフェニルアセトアミド)、及び
(iii)ナルフラフィン((2E)-N-[(5α,6β)-17-(シクロプロピルメチル)-3,14-ジヒドロキシ-4,5-エポキシモルフィナン-6-イル]-3-(3-フリル)-N-メチルアクリルアミド)
からなる群から選択され;
前記オリゴ糖は、トレハロース、スクロース、マルトース、マンノース、ラクトース及びイヌリンからなる群から選択される、製剤。
【請求項2】
前記κオピオイド受容体作動薬は、前記粒子中に含まれる前記オリゴ糖に包埋される、請求項1に記載のκオピオイド受容体作動薬の経口送達のための製剤。
【請求項3】
前記粒子中に含まれる前記オリゴ糖に包埋される前記κオピオイド受容体作動薬は、ビーズ又はマイクロビーズ上に形成される、請求項2に記載のκオピオイド受容体作動薬の経口送達のための製剤。
【請求項4】
前記κオピオイド受容体作動薬は、CR845であり、及び前記オリゴ糖は、トレハロースである、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
カプリン酸ナトリウム、ラウロイルL-カルニチン、Tween(登録商標)80、Tween(登録商標)60、Labrasol(登録商標)ALF、Kolliphor(登録商標)EL、Kolliphor(登録商標)HS15、Gelucare(登録商標)44/14及び四級アンモニウム塩からなる群から選択される1つ以上の吸収促進剤をさらに含む、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤又は担体をさらに含む、請求項4に記載の製剤。
【請求項7】
カルボン酸の塩、吸収促進剤、結合剤、キレート剤及び薬学的に許容できる担体又は賦形剤の1つ以上をさらに含む、請求項4に記載の製剤。
【請求項8】
前記カルボン酸の前記塩は、クエン酸塩を含み、前記吸収促進剤は、ラウロイルL-カルニチンを含み、及び前記キレート剤は、EDTAを含む、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
請求項4に記載の製剤を含む、薬学的に許容できる錠剤、カプレット、カプセル、散剤、スラリー、懸濁液又はゲル。
【請求項10】
腸溶コーティングされた錠剤、カプレット、カプセル若しくは散剤;又は
固有の腸溶特性を有するコーティングを有する錠剤、カプレット、カプセル又は散剤
である、請求項9に記載の薬学的に許容できる錠剤、カプレット、カプセル又は散剤。
【請求項11】
κオピオイド受容体作動薬の経口送達のための製剤の製造の方法であって、
(i)κオピオイド受容体作動薬及びオリゴ糖を含む混合物をスプレー乾燥して、前記オリゴ糖に包埋されたκオピオイド受容体作動薬の粒子を形成すること;又は
(ii)κオピオイド受容体作動薬及びオリゴ糖を含む混合物を1つ以上のビーズ又はマイクロビーズ上にコーティングし、前記オリゴ糖に包埋された前記κオピオイド受容体作動薬でコーティングされた1つ以上のビーズ又はマイクロビーズを形成すること
を含み、前記オリゴ糖は、トレハロース、スクロース、マルトース、マンノース、ラクトース及びイヌリンからなる群から選択される、方法。
【請求項12】
前記オリゴ糖は、トレハロースである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記オリゴ糖に包埋された前記κオピオイド受容体作動薬でコーティングされた前記1つ以上のビーズ又はマイクロビーズをカプセルに封入し、及び腸溶コーティングで前記カプセルをコーティングすること;又は
前記オリゴ糖に包埋された前記κオピオイド受容体作動薬でコーティングされた前記1つ以上のビーズ又はマイクロビーズを、固有の腸溶特性を有するカプセルに封入すること
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記オリゴ糖に包埋された前記κオピオイド受容体作動薬でコーティングされた前記1つ以上のビーズ又はマイクロビーズを腸溶コーティングでコーティングし、前記オリゴ糖に包埋された前記κオピオイド受容体作動薬でコーティングされた1つ以上の腸溶コーティングビーズ又はマイクロビーズを形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記オリゴ糖に包埋された前記κオピオイド受容体作動薬でコーティングされた前記1つ以上の腸溶コーティングビーズ又はマイクロビーズをカプセルに入れることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、治療薬の経口送達のための製剤に関する。本製剤は、活性医薬成分(API)の形態の治療薬及びオリゴ糖などの安定化剤を含む。適切な活性医薬成分は、κオピオイド受容体作動薬、例えばD-アミノ酸ペプチドアミドを含む。
【0002】
本発明は、κオピオイド受容体作動薬の経口送達のための製剤の製造の方法であって、ビーズの固体表面上において、放出可能に結合されたκオピオイド受容体作動薬を作製するために、κオピオイド受容体作動薬又はκオピオイド受容体作動薬及びトレハロースなどのオリゴ糖の混合物を固体ビーズの表面などの固体表面上にコーティングすることを含む方法も提供する。ビーズは、1つ以上の薬学的に許容できる吸収促進剤、結合剤、希釈剤又は賦形剤でさらにコーティングされ得、及び酸性状態での製剤の保護及び腸の生理的条件下での製剤の溶解を提供するための腸溶コーティングも含み得る。
【0003】
代わりに、κオピオイド受容体作動薬の経口送達のための製剤は、トレハロースなどのオリゴ糖とκオピオイド受容体作動薬との混合物から形成されるスプレー乾燥粒子から作製され得る。一実施形態では、κオピオイド受容体作動薬は、オリゴ糖の粒子に包埋される。粒子は、1つ以上の薬学的に許容できる吸収促進剤、結合剤、希釈剤又は賦形剤も含み得るか又はそれでコーティングされ得、及び腸溶コーティングも含み得る。
【0004】
本発明は、ヒト患者又は他の哺乳動物におけるκオピオイド受容体関連疾患及び病態を予防、阻害又は治療する方法であって、本発明の経口製剤を患者又は哺乳動物に投与することを含む方法にさらに関する。
【背景技術】
【0005】
背景
κオピオイド受容体作動薬は、κオピオイド受容体関連疾患及び病態の予防、阻害又は治療を有効にするための効率的送達及び十分な生物学的利用率を意図した新規製剤への需要に至る、固有の物理化学的特性を有する治療薬の新規クラスである。κオピオイド受容体作動薬の新規クラスは、米国特許第7,402,564号、米国特許第7,713,937号、米国特許第7,842,662号及び米国特許第10,550,150号に開示されている合成ペプチドアミドを含む。他のκオピオイド受容体作動薬としては、アシマドリン(N-[(1S)-2-[(3S)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]-1-フェニルエチル]-N-メチル-2,2-ジフェニルアセトアミド)及びナルフラフィン((2E)-N-[(5α,6β)-17-(シクロプロピルメチル)-3,14-ジヒドロキシ-4,5-エポキシモルフィナン-6-イル]-3-(3-フリル)-N-メチルアクリルアミド)が挙げられる。
【0006】
医薬製剤は、異なる送達経路、例えば静脈内又は筋肉内注射、局所適用、吸入又は経口投与のために調整可能である。これらの製剤の各々は、製造後及び患者への投与前に、一定期間の貯蔵を可能にする特定の安定性要件を満たさなければならない。特定の環境では、製剤の異なる成分は、経時的に相互作用し、長期安定性における低下をもたらすことがある。特定のκオピオイド受容体作動薬の生物学的利用率を最大化するのに適した製剤及び添加剤については、予測できない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は、活性医薬成分(API)としてのκオピオイド受容体作動薬及びオリゴ糖などの安定化剤を含む治療薬の経口送達のための製剤を提供する。一実施形態では、安定化剤は、1年にわたるなどの長期にわたる周囲温度での保管に対して製剤中のAPIを安定にし;代わりに、安定化剤は、数カ月にわたる40℃などの高温での保管に対して製剤中のκオピオイド受容体作動薬を安定にする。別の実施形態では、本発明の製剤は、κオピオイド受容体作動薬及びオリゴ糖などの安定化剤並びに吸収促進剤を含む。
【0008】
本発明は、安定化された生物活性ペプチドを含む粒子を形成するオリゴマー糖に包埋された生物活性ペプチドを含む生理活性組成物である製剤をさらに提供する。代わりに、生物活性ペプチドを含む生理活性組成物は、オリゴ糖と混合され、及び固体粒子又はビーズ上にコーティングされ得る。コーティングされた粒子又はビーズは、腸溶コーティングされ得る。
【0009】
生物活性ペプチドは、任意の好適な生物活性ペプチド、例えば1つ以上のD-アミノ酸を含む生物活性ペプチドであり得る。一実施形態では、1つ以上のD-アミノ酸を含む生物活性ペプチドは、κオピオイド受容体作動薬である。1つ以上のD-アミノ酸を含む生物活性ペプチドのκオピオイド受容体作動薬は、1つ以上のD-アミノ酸を含む任意の好適な生物活性ペプチドのκオピオイド受容体作動薬、例えば、限定されないが、米国特許第7,402,564号に開示されたκオピオイド受容体作動薬ペプチドの何れかなどであり得る。一実施形態では、1つ以上のD-アミノ酸を含む生物活性ペプチドのκオピオイド受容体作動薬は、米国特許第7,402,564号で化合物2として開示及び同定された、CR845としても既知の(D-Phe-D-Phe-D-Leu-D-Lys-[ω(4-アミノピペリジン-4カルボン酸)]-OHである。
【0010】
一実施形態では、本発明は、κオピオイド受容体作動薬の経口送達のための製剤であって、κオピオイド受容体作動薬及びオリゴ糖を含む粒子を含む製剤を提供する。κオピオイド受容体作動薬は、
(i)式:
【化1】
D-Phe-D-Phe-D-Leu-D-Lys-[ω(4-アミノピペリジン-4-カルボン酸)]-OH
を有するCR845又はCR845の水和物、塩、酸性塩若しくは酸性塩水和物;
(ii)アシマドリン(N-[(1S)-2-[(3S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル]-1-フェニルエチル]-N-メチル-2,2-ジフェニルアセトアミド)、又は
(iii)ナルフラフィン((2E)-N-[(5α,6β)-17-(シクロプロピルメチル)-3,14-ジヒドロキシ-4,5-エポキシモルフィナン-6-イル]-3-(3-フリル)-N-メチルアクリルアミド)
であり得、オリゴ糖は、任意の適切なオリゴ糖、例えばトレハロース、スクロース、マルトース、マンノース、ラクトース及びイヌリンなどであり得る。
【0011】
本発明の別の実施形態では、本明細書で本発明の経口製剤と互換的に参照される、治療薬の経口送達のための製剤は、1つ以上のD-アミノ酸を含有するκオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドと、オリゴ糖などの安定化剤と、1つ以上の吸収促進剤とを含む。1つ以上のD-アミノ酸を含有するペプチドアミドのκオピオイド受容体作動薬は、例えば、限定されないが、Schteingart et al.に交付された米国特許第7,402,564号、米国特許第7,713,937号及び米国特許第7,842,662号(これらの開示内容全体は、参照により本明細書に援用される)に開示された合成ペプチドアミドの何れかなど、少なくとも1つのD-アミノ酸を含有する任意の好適なペプチドアミドであり得る。
【0012】
別の実施形態では、生理活性組成物は、安定化された生物活性ペプチドを含む粒子を形成する、オリゴマー糖に包埋された生物活性ペプチドを含み、オリゴマー糖は、二糖を含む。二糖は、任意の好適な二糖、例えば1つ以上のグルコース単量体を含む二糖などであり得る。一実施形態では、二糖は、トレハロース、1,1-α-グリコシド結合グルコース二量体を含む。特定の実施形態では、二糖は、全体的にトレハロースからなり得る。
【0013】
一実施形態では、生理活性組成物は、安定化された生物活性ペプチドを含む粒子を形成するための、オリゴマー糖に包埋された生物活性ペプチドを含み、オリゴマー糖は、25℃で少なくとも1年にわたり生物活性ペプチドの安定性を増強する。
【0014】
本発明の経口製剤の別の実施形態では、経口製剤は、ペプチドアミドκオピオイド受容体作動薬、オリゴ糖及び1つ以上の吸収促進剤を含み、このペプチドアミドκオピオイド受容体作動薬は、以下の式:
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-(G) 式I
の構造を有し、式中、Gは、米国特許第7,402,564号、米国特許第7,713,937号及び米国特許第7,842,662号の何れかにおいて記載されるようなアミド基である。
【0015】
別の実施形態では、本発明の経口製剤は、ペプチドアミドκオピオイド受容体作動薬及び1つ以上の吸収促進剤を含み、このペプチドアミドκオピオイド受容体作動薬は、以下の式:
【化2】
D-Phe-D-Phe-D-Leu-D-Lys-[ω(4-アミノピペリジン-4-カルボン酸)]-OH
の構造を有するCR845又はその水和物、塩若しくは酸性塩水和物である。
【0016】
さらに別の実施形態では、本発明の経口製剤は、1つ以上の吸収促進剤、結合剤、界面活性剤、キレート剤及び薬学的に許容できる賦形剤又は希釈剤をさらに含み得る。
【0017】
一実施形態では、本発明は、κオピオイド受容体作動薬の経口送達のための製剤の製造の方法であって、κオピオイド受容体作動薬及びオリゴ糖の混合物をスプレー乾燥して、オリゴ糖に包埋されたκオピオイド受容体作動薬から形成された粒子を形成することを含む方法を提供する。この粒子は、錠剤、カプレット、カプセル、散剤、スラリー、懸濁液又はゲルにおいて製剤化され得る。
【0018】
本発明は、κオピオイド受容体作動薬の経口送達のための製剤の製造の方法であって、ビーズ又はマイクロビーズの固体表面上において、放出可能に結合されたκオピオイド受容体作動薬を作製するために、κオピオイド受容体作動薬又はκオピオイド受容体作動薬及びトレハロースなどのオリゴ糖の混合物を固形ビーズ又はマイクロビーズの表面などの固体表面上にコーティングすることを含む方法も提供する。
【0019】
本発明によるκオピオイド受容体作動薬でコーティングされたビーズ又はマイクロビーズは、例えば、限定されないが、微結晶性セルロース;スクロース粒子組成物(例えば、低脆弱性、一貫した真球度、緊密な粒径制御及び高いバッチ間均一性を有する、即時放出、遅延放出、持続放出又は延長放出剤形のための、スクロース及びデンプンから作られる、均一な薬物が層状になったペレットである、Suglets(登録商標)、Colorcon、Chalfont, PA;Pharm-a-Spheres(商標)Tornesch, Germany:持続放出製剤に対する適切な担体を提供するさらなる処理に対する顕著な機械的安定性を特徴とする糖球)など、任意の薬学的に適切な材料から形成され得る。κオピオイド受容体作動薬組成物でのコーティングのための他の適切な粒子は、マンニトールペレット及び酒石酸ペレットを含む(Pharmatrans SANAQ AG, Basel-Allschwil, Switzerland)。
【0020】
オリゴ糖に包埋されたκオピオイド受容体作動薬でコーティングされたビーズ又はマイクロビーズの1つ以上は、1つ以上の薬学的に許容できる吸収促進剤、結合剤、キレート剤、希釈剤又は賦形剤でもコーティングされ得、酸性条件での製剤の保護及び例えばpH5.5~6.0の腸の生理的条件での製剤の溶解を提供するための腸溶コーティングも含み得る。代わりに、オリゴ糖に包埋されたκオピオイド受容体作動薬でコーティングされたビーズ又はマイクロビーズの1つ以上は、経口送達のために腸溶コーティングされたカプセルに封入され得る。
【0021】
本発明は、ヒト患者又は他の哺乳動物におけるκオピオイド受容体関連疾患及び状態の予防、阻害又は治療のための、κオピオイド受容体作動薬及び吸収促進剤を含む治療薬の経口送達のための製剤の使用の方法であって、本発明の製剤を患者又は哺乳動物に投与することを含む方法をさらに提供する。一実施形態では、本発明の製剤は、オリゴ糖、例えばトレハロースなどを含む。投与される製剤は、1つ以上の結合剤、界面活性剤、キレート剤及び薬学的に許容できる賦形剤又は希釈剤並びに胃腸系からのκオピオイド受容体作動薬の取り込みを最適化し、それによりその生物学的活性を増強するために適切な1つ以上の吸収促進剤をさらに含み得る。投与される製剤は、1つ以上の結合剤、界面活性剤、キレート剤及び薬学的に許容できる賦形剤又は希釈剤並びに胃腸系からのκオピオイド受容体作動薬の取り込みを最適化し、それによりその生物学的活性を増強するために適切な1つ以上の吸収促進剤をさらに含み得る。
【0022】
本発明は、κオピオイド受容体作動薬関連疾患又は状態の予防、阻害又は治療の方法であって、κオピオイド受容体作動薬及びオリゴ糖などの安定化剤を含む経口製剤を、κオピオイド受容体作動薬関連疾患又は状態に罹患している患者又は他の哺乳動物に投与することを含む方法も提供する。別の実施形態では、本方法は、κオピオイド受容体作動薬及びオリゴ糖などの安定化剤及び吸収促進剤を含む経口製剤を投与することを含む。投与される経口製剤は、1つ以上の結合剤、界面活性剤、キレート剤及び薬学的に許容できる賦形剤又は希釈剤並びに胃腸系からのκオピオイド受容体作動薬の取り込みを最適化し、それによりその生物学的活性を増強するために適切な1つ以上の吸収促進剤をさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図の簡単な説明
図1】腸溶コーティングされたCR845 Sugletペレット及び腸溶コーティングされたカプリン酸ナトリウムSugletペレットの経時的な溶解プロファイルを示す。
図2】各複合物に対する、8匹のイヌ対象への投与後の、実施例3からの、それぞれ複合粒子A~E上にコーティングされたトレハロースに包埋されたCR845の生理活性プロファイルを示す。
図3】各複合物に対する、8匹のイヌ対象への投与後の、実施例3からの、それぞれ複合粒子A~E上にコーティングされたトレハロースに包埋されたCR845の生理活性プロファイルを示す。
図4】各複合物に対する、8匹のイヌ対象への投与後の、実施例3からの、それぞれ複合粒子A~E上にコーティングされたトレハロースに包埋されたCR845の生理活性プロファイルを示す。
図5】各複合物に対する、8匹のイヌ対象への投与後の、実施例3からの、それぞれ複合粒子A~E上にコーティングされたトレハロースに包埋されたCR845の生理活性プロファイルを示す。
図6】各複合物に対する、8匹のイヌ対象への投与後の、実施例3からの、それぞれ複合粒子A~E上にコーティングされたトレハロースに包埋されたCR845の生理活性プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の詳細な説明
一実施形態では、本発明の経口製剤は、κオピオイド受容体作動薬ペプチドを含む治療薬及びオリゴ糖安定化剤を含む。オリゴ糖安定化剤は、例えば、マルトース、スクロース、ラクトース及びトレハロースなどであるが、これらに限定されない任意の適切なオリゴ糖安定化剤であり得る。一実施形態では、κオピオイド受容体作動薬は、任意選択的に、例えば1,1α-グルコース二量体、トレハロース(α-D-グルコピラノシル-(1→1)-α-D-グルコピラノシドなどのオリゴマー糖の粒子マトリックスに包埋され得る。一実施形態では、κオピオイド受容体作動薬は、任意選択的に、オリゴマー糖と混合され得るか、又はオリゴマー糖から形成される粒子マトリックスに包埋され得るか、又はビーズ若しくはマイクロビーズなどの固体マトリックスをコーティングする製剤層を形成し得る。κオピオイド作動薬及びオリゴマー糖のコーティングは、固体粒子を形成するために揮発性溶媒中のκオピオイド作動薬及びオリゴマー糖の両方を含有する溶液をスプレー乾燥することによって達成され得るか、又は固体表面上でκオピオイド作動薬及びオリゴマー糖のコーティングを形成するために溶液を任意の所望の固体上に噴霧し得る。一例において、固体表面は、ビーズ又はマイクロビーズの表面などの任意の適切な固体表面であり得、オリゴマー糖は、トレハロースである。
【0025】
一実施形態では、本発明は、κオピオイド受容体作動薬CR845及び二糖、トレハロースを含む製剤を提供する。製剤は、カルボン酸又はカルボン酸の塩などのpH調整剤、吸収促進剤、結合剤、キレート剤の1つ以上及び薬学的に許容できる担体又は賦形剤をさらに含み得る。
【0026】
別の実施形態では、製剤は、CR845及びトレハロースを含み、クエン酸又はクエン酸ナトリウム、キレート剤、例えばEDTAなど、及び吸収促進剤、例えばラウロイルL-カルニチン又はカプリン酸ナトリウムなどをさらに含む。一実施形態では、クエン酸は、コーティングされたクエン酸、例えばDCF20散剤でコーティングされたクエン酸などであり得る。
【0027】
本発明の製剤は、薬学的に許容できる錠剤、カプレット、カプセル、散剤、スラリー又は懸濁液の形態であり得、風味付けされ得るか、又は例えば小児用の場合にはアップルソース若しくは果汁中に含まれ得る。
【0028】
別の実施形態では、本発明は、κオピオイド受容体作動薬の経口送達のための製剤の製造の方法であって、κオピオイド受容体作動薬/トレハロースでコーティングされた固体粒子を形成するために、κオピオイド受容体作動薬及びオリゴ糖の微粒化混合物を1つ以上の固体粒子上でスプレー乾燥又はスプレーコーティングすることと;腸溶コーティングを有する1つ以上のκオピオイド受容体作動薬/トレハロースでコーティングされた固体粒子を含む製剤を作製するために、κオピオイド受容体作動薬/トレハロースでコーティングされた固体粒子上で腸溶コーティングを形成することとを含む方法を提供する。
【0029】
別の実施形態では、本発明は、治療薬の経口送達のための製剤の剤形であって、この製剤は、カプセル、カプレット、錠剤、散剤又はゲル中にκオピオイド受容体作動薬、オリゴ糖及び1つ以上の吸収促進剤を含む、剤形を提供する。腸溶コーティングされたカプセルは、腸溶コーティングがあるカプセル又は固有の腸溶特性を有する組成物のカプセルであり得る。固有の腸溶特性を有する組成物の例は、ポリマー、HPMC、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0030】
別の実施形態では、本発明の経口製剤は、κオピオイド受容体作動薬ペプチド、オリゴ糖安定化剤及び少なくとも1つの吸収促進剤を含む。吸収促進剤は、任意の適切な吸収促進剤であり得る。添加され得る適切な吸収促進剤の例としては、親水性界面活性剤、例えばTween(登録商標)80(モノオレイン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン)、Tween(登録商標)60(モノステアリン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン)、Labrasol(登録商標)ALF(PEG-8-カプリル/カプリングリセリド)、Kolliphor(登録商標)EL(PEG-35リシノール酸グリセリル)、Kolliphor(登録商標)HS15(PEH-15ヒドロキシステアリン酸)及びGelucare(登録商標)44/14(ラウロイルPEG-32モノ/ジ/トリ-グリセリド)が挙げられる。添加され得る適切な吸収促進剤の他の例としては、疎水性吸収促進剤、例えばCapmul MCM、Captex 100、Captex 200及びCapryol PGMC及びトリプトファンなど;及び両親媒性吸収促進剤、例えば脂肪酸グリコール及びキトサンの四級アンモニウム塩、例えば四級アンモニウムパルミトイルグリコールキトサンが挙げられる。
【0031】
一実施形態では、本発明の製剤は、1つ以上のD-アミノ酸、オリゴ糖安定化剤及び少なくとも1つの吸収促進剤を含むκオピオイド受容体作動薬を含み、この製剤は、ゲル、カプセル又は錠剤の形態であり得、この製剤は、薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤又は担体をさらに含む。一実施形態では、このカプセルは、腸溶コーティングされたカプセル又は固有の腸溶特性を有するカプセルである。
【0032】
一実施形態では、本発明の製剤は、アシマドリン(N-[(1S)-2-[(3S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル]-1-フェニルエチル]-N-メチル-2,2-ジフェニルアセトアミド)若しくはナルフラフィン((2E)-N-[(5α,6β)-17-(シクロプロピルメチル)-3,14-ジヒドロキシ-4,5-エポキシモルフィナン-6-イル]-3-(3-フリル)-N-メチルアクリルアミド)又は米国特許第10,550,150号に開示されているテトラペプチドアミドκオピオイド受容体作動薬の何れかなどであるが、これらに限定されないκオピオイド受容体作動薬及び任意選択的に1つ以上の吸収促進剤を含む。任意選択的な吸収促進剤は、多くの適切な吸収促進剤の1つ以上、例えば上記の親水性界面活性剤、疎水性吸収促進剤及び両親媒性吸収促進剤の何れか1つ以上などであり得る。
【0033】
本発明の一実施形態では、κオピオイド受容体作動薬及び吸収促進剤を含む製剤は、オリゴ糖、例えばトレハロースなども含む。オリゴ糖は、コーティングであり得るか、又はκオピオイド受容体作動薬と混合され得、いくつかの実施形態では、κオピオイド受容体作動薬がオリゴ糖に包埋されるか又は実質的に包埋されるような十分な量で提供され得る。一実施形態では、約1~50%(w/w)のκオピオイド受容体作動薬が50~99%(w/w)トレハロースに包埋される。代わりに、約2~25%(w/w)のκオピオイド受容体作動薬が75~98%(w/w)トレハロースに包埋される。別の実施形態では、約5~15%(w/w)のκオピオイド受容体作動薬が85~95%(w/w)トレハロースに包埋される。さらに別の実施形態では、約10%(w/w)のκオピオイド受容体作動薬が90%(w/w)トレハロースに包埋される。
【0034】
本発明の別の実施形態では、κオピオイド受容体作動薬及び吸収促進剤を含む製剤は、中鎖脂肪酸又は中鎖脂肪酸の塩及び中鎖脂肪酸グリセリドも含む。
【0035】
別の実施形態では、本発明の経口製剤は、ペプチド及び少なくとも1つの吸収促進剤を含む治療薬を含み、吸収促進剤は、中鎖脂肪酸又は中鎖脂肪酸の塩及び中鎖脂肪酸グリセリドを含み、中鎖脂肪酸又は中鎖脂肪酸の塩は、カプリン酸又はカプリン酸の塩を含み、製剤は、安定剤、例えばポリビニルピロリジン(PVP)を含まない。意外にも、本発明の製剤は、PVP又は他のかかる安定剤を使用しなくても有効であることが見出されている。
【0036】
哺乳動物におけるκオピオイド受容体関連疾患又は病態を治療又は予防する方法も提供される。本方法は、有効量の本発明の上記製剤を含む組成物を哺乳動物に投与することを含む。
【0037】
本発明の製剤のペプチド及びD-アミノ酸ペプチドを定義するために用いられる命名法は、Schroder & Lubke, The Peptides, Academic Press, 1965によって明記されており、ここで、従来の表現に従うと、N末端は、左側、C末端は、右側に表示される。アミノ酸残基が異性体型を有する場合、アミノ酸のL-異性体型及びD-異性体型は、別段の指示がない限り、包含されることが意図される。アミノ酸は、一般に本明細書で標準の3文字コードによって同定される。アミノ酸のD-異性体は、フェニルアラニンのD-異性体であるD-フェニルアラニンを表す「D-Phe」など、接頭辞「D-」によって特定される。同様に、L-異性体は、「L-Phe」など、接頭辞「L-」によって特定される。
【0038】
本明細書で用いられるとき、κオピオイド受容体関連疾患、病態又は障害は、κオピオイド受容体の活性化によって予防可能又は治療可能である任意の疾患、病態又は障害である。いくつかの実施形態では、κオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドを含む本発明の製剤の特定の経口用量は、疾患、病態又は障害を完全に予防又は治療するために臨床医によって選択され得る。他の実施形態では、臨床医によって選択される、κオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドを含む本発明の製剤の特定の経口用量は、疾患、病態又は障害の1つ以上の症状を寛解又は低減させる。
【0039】
本明細書で用いられるとき、本発明の製剤中に含まれる、κオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドを含む本発明の製剤の「有効量」又は「十分量」は、特定の疾患、障害、病態又は副作用の症状を阻害、予防又は治療するために治療的に有効な場合がある、本明細書に記載のような製剤の量を指す。
【0040】
本明細書で用いられるとき、「薬学的に許容できる」は、健全な医学的判断の範囲内において、治療中の医学的状態にとって合理的であるリスク対効果比に見合う、重度の毒性、刺激作用、アレルギー反応又は他の合併症を伴うことのない、ヒト及び動物の組織との接触に適した化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指す。
【0041】
本明細書で用いられるとき、「用量単位」は、治療対象の特定の個体又は状態に対する単位用量として適する物理的に分離された単位を指す。各単位は、任意選択的に薬学的担体と関連した、所望される治療効果をもたらすように算出された活性κオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドを含む、所定量の本発明の製剤を含有し得る。用量単位形態についての仕様は、(a)活性κオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドの固有の特徴及び達成されるべき特定の治療効果、並びに(b)かかる活性κオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドを配合する上での当技術分野に固有の制限により指示され得る。用量単位は、単位体重あたりの化合物の重量として、例えば対象又は患者の体重の1キログラムあたりの化合物のミリグラム(mg/kg)で表されることが多い。代わりに、用量は、特定の投与計画における単位時間あたりの単位体重あたりの化合物の量(mg/kg/日)として表すことができる。さらなる代替例では、用量は、単位体表面積あたりの化合物の量(mg/m)又は単位期間あたりの単位体表面積あたりの化合物の量(mg/m/日)として表すことができる。
【0042】
本明細書で用いられるとき、「薬学的に許容できる塩」は、親化合物がその酸塩又は塩基塩を作ることによって修飾される、化合物の誘導体を指す。薬学的に許容できる塩の例として、限定されないが、アミンなどの塩基性残基のミネラル又は有機酸性塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ又は有機塩などが挙げられる。薬学的に許容できる塩は、例えば、非毒性無機酸又は有機酸から形成される親化合物の通常の非毒性塩又は四級アンモニウム塩を含む。例えば、かかる通常の非毒性塩は、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導される塩;及び酢酸、プロピオン酸、琥珀酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などの有機酸から調製される塩を含む。これらの生理学的に許容できる塩は、当技術分野で公知の方法により、例えば遊離アミン塩基を過剰な酸とともに水性アルコールに溶解させるか、又は遊離カルボン酸を水酸化物などのアルカリ金属塩基若しくはアミンで中和することにより調製される。したがって、合成ペプチドアミドの薬学的に許容できる塩は、酸性、塩基性又は両方の官能基の何れかを有する任意のかかるペプチドアミドから形成され得る。例えば、カルボン酸基を有するペプチドアミドは、薬学的に好適な塩基の存在下において、ナトリウム又はカリウムカチオンなどのカチオンと対になったカルボン酸塩アニオンを形成し得る。同様に、アミン官能基を有するペプチドアミドは、HClなどの薬学的に好適な酸の存在下で塩を形成し得る。
【0043】
κオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドの薬学的に許容できる溶媒和化合物の例は、ペプチドアミドと溶媒分子との組み合わせであり、かかる溶媒分子がペプチドアミドと会合した複合体が生成される。医薬品溶媒和化合物を形成するため、薬剤とプロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)との組み合わせが使用されている。例えば、米国特許第3,970,651号を参照されたい。他の好適な溶媒和化合物は、薬剤化合物の水和物である。かかる水和物は、同等の活性を有する水和物又は投与後に活性化合物に戻し変換される水和物の何れかを含む。合成ペプチドアミドの薬学的に許容できるN-オキシドは、アミンの窒素が酸素原子に結合されたアミン基を有するような化合物である。
【0044】
本発明の製剤において有用なκオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドの薬学的に許容できる結晶、同形結晶又は非結晶形態は、本発明に従うκオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドの薬学的に許容できる酸性、塩基性、双性イオン性、塩、水和物又は任意の他の適宜安定した、生理学的に相溶な形態の任意の結晶又は非結晶形態であり得る。
【0045】
本発明の製剤中のκオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドは、医薬組成物に組み込むことができる。組成物は、有効量の、κオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドを薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤又は担体中に含み得る。医薬組成物中での使用を意図した通常の賦形剤、担体及び/又は希釈剤は、一般に不活性であり、製剤のバルクを形成する。医薬賦形剤又は担体は、本発明の合成ペプチドアミドの送達用媒体として好適である任意の適合性の非毒性物質であり得る。好適な賦形剤又は担体として、限定されないが、滅菌水(好ましくはパイロジェンフリー)、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水(PBS)、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、ラクトース、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、クエン酸、酒石酸、油、脂肪性物質、ワックス又は前述の何れかの好適な混合物が挙げられる。
【0046】
本発明に従う医薬組成物は、液体、半液体又は固体剤形として製剤化され得る。例えば、製剤は、溶液、ドロップ、シロップ、スプレー、懸濁液、ゲル、エマルジョンの形態又は任意選択的に錠剤若しくはロゼンジ剤に圧縮され、カプセルにパッケージングされるか若しくは液体に懸濁された、ペレット若しくは顆粒剤などの微粒子形態であり得る。錠剤は、結合剤、潤滑剤、希釈剤、着色剤、香味剤、浸潤剤を含有し得、胃の酸性環境で残存し、腸管腔のよりアルカリ性の条件下で溶解するように腸溶コーティングされ得る。代わりに、錠剤は、糖コーティング又は水溶性フィルムでフィルムコーティングされ得る。薬学的に許容できる補助剤、緩衝剤、分散剤なども医薬組成物に組み込まれ得る。
【0047】
結合剤は、例えば、デンプン、粘液、ゼラチン及びスクロースを含む。潤滑剤は、タルク、ヒカゲノカズラ、マグネシウム及びステアリン酸カルシウム/ステアリン酸を含む。希釈剤は、ラクトース、スクロース、マンニトール、塩、デンプン及びカオリンを含む。浸潤剤は、プロピレングリコール及びソルビタンモノステアレートを含む。
【0048】
経口投与の場合、活性成分は、固体剤形、例えばカプセル、錠剤及び散剤又は液体剤形、例えばエリキシル剤、シロップ剤及び懸濁剤で投与され得る。活性成分は、グルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、デンプン、セルロース又はセルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、サッカリンナトリウム、タルカム、炭酸マグネシウムなどの不活性成分及び粉末担体と一緒にゼラチンカプセルに封入され得る。望ましい色、味、安定性、緩衝能力、分散性又は他の既知の望ましい特徴を提供するために添加され得る追加的な不活性成分の例として、赤色酸化鉄、シリカゲル、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン、食用白インクなどが挙げられる。圧縮錠剤を作製するため、類似の希釈剤が使用可能である。数時間にわたる薬物の連続的放出をもたらすため、錠剤とカプセルとの両方が徐放製剤として製造され得る。圧縮錠剤は、任意の不快な味をマスクし、錠剤を大気から保護するため、糖コーティング若しくはフィルムコーティングされ得るか、又は胃腸管における選択的崩壊のために腸溶コーティングされ得る。経口投与のための液体剤形は、患者の許容度を高めるため、着色剤及び香味剤を含有し得る。薬剤の安定性及び吸収性を促進するため、本発明のペプチドは、胃の厳しいタンパク質分解環境を通過した後、カプセルから放出され得る。
【0049】
活性成分は、一度に投与され得るか、又は時間間隔をあけて若しくは放出制御製剤として投与されるべきいくつかのより少ない用量で分割され得る。用語「放出制御製剤」は、長期、例えば数日から数週間にわたる、対象への本発明の合成ペプチドアミドの連続的送達を可能にする製剤を包含する。かかる製剤は、皮下又は筋肉内に投与され得、対象における所定量の化合物の経時的な連続的定常状態放出を可能にする。κオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドの放出制御製剤は、例えば、高分子マイクロカプセル、例えば米国特許第4,677,191号及び米国特許第4,728,721号(参照により本明細書に援用される)に記載のものを含有する製剤であり得る。薬学的活性化合物の濃度は、投与が所望される効果をもたらすのに有効な量を提供するように調節される。正確な用量は、当技術分野で公知の通り、年齢、体重及び患者又は動物の状態に左右される。任意の特定の対象では、具体的な投与計画は、個体のニーズ及び投与するか又は製剤の投与を監督する人の専門的判断に従い、経時的に調節され得る。したがって、本明細書に示される濃度範囲は、あくまで例示的なものであり、請求項に係る発明の範囲及び実施を限定することを意図されない。
【0050】
組成物は、疾患又は障害を患っているか又はそのリスクがある個体の予防又は治療を意図して投与され得る。予防は、個体の健康を保つように設計された尺度と定義される。治療適用では、医薬組成物は、典型的には、疾患又は障害を患っている対象に、疾患又は障害を阻害するか、予防するか又は寛解させるのに十分な量で投与される。これを達成するのに十分な量は、「治療有効量」と定義される。
【0051】
本発明の医薬製剤は、予防又は治療を目的として哺乳動物に投与され得る。哺乳動物は、任意の哺乳動物、例えば家畜化若しくは野生化した哺乳動物又はさらに野生哺乳動物であり得る。哺乳動物は、任意の霊長類、有蹄動物、イヌ又はネコであり得る。例えば、限定されないが、哺乳動物は、ペット又はコンパニオン動物、例えばイヌ若しくはネコ;サラブレッド若しくはショー用動物などの高価な哺乳動物;家畜、例えば雌ウシ、ヤギ、ヒツジ若しくはブタ;又は類人猿、ゴリラ、オランウータン、キツネザル、サル若しくはチンパンジーなどの霊長類であり得る。本発明の医薬製剤を使用した予防又は治療に適した哺乳動物は、ヒトである。
【0052】
本発明の医薬製剤は、κオピオイド受容体の活性化によって治療可能な疾患又は病態を有する哺乳動物に投与され得る。代わりに、医薬組成物は、κオピオイド受容体の活性化によって予防可能な疾患又は病態を罹患又は発現させるリスクを有する哺乳動物に予防薬として投与可能である。本発明の医薬組成物の投与によって治療又は予防可能な疾患又は病態として、限定されないが、κオピオイド受容体の活性化によって寛解可能な任意の病態、例えば疼痛、炎症、掻痒、低ナトリウム血症、低カリウム血症、うっ血性心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群、高血圧、浮腫、イレウス、咳及び緑内障などの病態が挙げられる。
【0053】
本発明は、哺乳動物におけるκオピオイド受容体関連疾患又は病態を治療又は予防する方法であって、有効量の、本発明の製剤中のκオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドを含有する組成物を哺乳動物に投与することを含む方法をさらに提供する。哺乳動物は、任意の哺乳動物、例えば家畜化若しくは野生化哺乳動物又はさらに野生哺乳動物であり得る。代わりに、哺乳動物は、霊長類、有蹄動物、イヌ又はネコであり得る。例えば、限定されないが、哺乳動物は、ペット又はコンパニオン動物、例えばサラブレッド若しくはショー用動物などの高価な哺乳動物;家畜、例えば雌ウシ、ヤギ、ヒツジ若しくはブタ;又は類人猿若しくはサルなどの霊長類であり得る。特定の一態様では、哺乳動物は、ヒトである。
【0054】
本発明の製剤中のκオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドで予防可能又は治療可能なκオピオイド受容体関連疾患、障害又は病態は、限定されないが、急性若しくは慢性疼痛、炎症、掻痒、低ナトリウム血症、浮腫、イレウス、咳及び緑内障を含む、任意のκオピオイド受容体関連症状であり得る。例えば、κオピオイド受容体関連疼痛は、神経障害性疼痛、体性疼痛、内臓痛又は皮膚痛であり得る。一部の疾患、障害又は病態は、疼痛の2つ以上の形態を伴い、例えば、術後疼痛は、利用される外科手技のタイプ及び範囲に応じて、神経障害性疼痛、体性疼痛、内臓痛及び皮膚痛成分の何れか又は全てを有し得る。
【0055】
κオピオイド受容体関連炎症は、限定されないが、副鼻腔炎、関節リウマチの腱鞘炎、滑液包炎、腱炎、外側上顆炎、癒着性関節包炎、骨髄炎、骨関節炎の炎症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)、眼炎症、耳性炎症又は自己免疫性炎症を含む、任意の炎症性疾患又は病態であり得る。
【0056】
κオピオイド受容体関連掻痒は、任意の掻痒性疾患又は病態、例えば、例えば結膜炎に関連した眼掻痒(掻痒症という用語と互換可能に用いられる)、耳掻痒、尿毒症性掻痒としても知られる末期腎疾患に関連した掻痒(多数の患者が腎透析を受けている場合)及び胆汁うっ滞の他の形態、例えば一次胆汁性肝硬変、妊娠の肝内胆汁うっ滞、慢性胆汁うっ滞性肝疾患、尿毒症、悪性胆汁うっ滞、黄疸並びに湿疹(皮膚炎)などの皮膚病変、例えばアトピー性若しくは接触性皮膚炎、乾癬、真性多血症、扁平苔癬、慢性単純性苔癬、シラミ寄生症(シラミ)、甲状腺中毒症、足白癬、蕁麻疹、疥癬、腟炎、痔核に関連した肛門掻痒並びに虫刺されによる掻痒、化学療法誘導掻痒及び薬剤誘発性掻痒、例えばμオピオイド誘導掻痒であり得る。
【0057】
κオピオイド受容体関連の掻痒は、任意の神経障害性掻痒、例えば背部感覚異常、接触性皮膚炎及びアトピー性皮膚炎などであり得るが、これらに限定されない。
【0058】
κオピオイド受容体関連浮腫は、例えば、鬱血性心疾患に起因するか又は抗利尿ホルモン(ADH)分泌異常症候群に起因する浮腫などの任意の浮腫性疾患又は病態であり得る。κオピオイド受容体関連イレウスは、限定されないが、術後イレウス及びオピオイド誘導性腸機能障害を含む任意のイレウス疾患又は病態であり得る。κオピオイド受容体関連神経障害性疼痛は、任意の神経障害性疼痛、例えば三叉神経痛、糖尿病性疼痛、ウイルス性疼痛、例えば帯状疱疹関連疼痛、化学療法誘導疼痛、神経侵害性転移がん疼痛、外傷及び外科手技に関連した神経障害性疼痛並びに神経障害性成分を有すると考えられる頭痛の変形型、例えば片頭痛などであり得る。
【0059】
κオピオイド関連疼痛は、眼痛、例えば光屈折角膜切除術(PRK)、眼裂傷、眼窩底骨折、化学熱傷、角膜擦過傷若しくは刺激に続く眼痛又は結膜炎、角膜潰瘍、強膜炎、上強膜炎、強角膜炎、眼部帯状疱疹、角膜実質炎、急性虹彩炎、乾性角結膜炎、眼窩蜂巣炎、眼窩偽腫瘍、天疱瘡、トラコーマ若しくはぶどう膜炎に関連する疼痛も含む。
【0060】
κオピオイド関連疼痛は、特に、炎症性状態、例えばアレルギー性鼻炎、急性気管支炎、流行性感冒、接触潰瘍、単純ヘルペスウイルス病変、感染性単核球症、インフルエンザ、喉頭がん、急性喉頭炎、急性壊死性潰瘍性歯肉炎、扁桃周囲膿瘍、咽頭熱傷、咽頭炎、逆流性咽喉頭炎、急性副鼻腔炎及び扁桃炎に関連する咽頭疼痛も含む。
【0061】
本発明は、哺乳動物、例えばヒトにおけるκオピオイド受容体関連疾患又は病態を治療又は予防する方法であって、有効量の、κオピオイド受容体作動薬ペプチドアミド及び本発明の吸収促進剤を含む本発明の製剤を哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。別の実施形態では、κオピオイド受容体関連症状は、疼痛である。
【0062】
別の実施形態では、本発明の製剤で治療可能なκオピオイド受容体関連状態は、例えば、関節リウマチ炎、骨関節炎、IBD炎症、IBS炎症、眼炎症、耳性炎症、自己免疫性炎症又はウイルス感染による炎症、例えばヒトインフルエンザウイルス又はブタインフルエンザを引き起こすH1N1ウイルスなどの動物由来インフルエンザウイルスによる炎症などの炎症である。本発明のκオピオイド受容体作動薬製剤で治療され得る炎症を引き起こす他のウイルス感染は、コロナウイルス:SARS関連コロナウイルス(重症急性呼吸器症候群関連ウイルス、SARS CoV)での感染により引き起こされる炎症及びコロナウイルス、CoVID19パンデミックの原因である新規のコロナウイルス、nCov2による炎症を含む。
【0063】
さらに別の実施形態では、本発明の製剤で治療可能なκオピオイド受容体関連状態は、掻痒(アトピー性皮膚炎、腎透析に伴う掻痒、眼掻痒、耳掻痒、虫刺されによる掻痒又はオピオイド誘導掻痒など)、浮腫、イレウス、咳又は緑内障である。
【0064】
一態様では、疼痛は、神経障害性疼痛(三叉神経痛、片頭痛、糖尿病性疼痛、ウイルス性疼痛、化学療法誘導疼痛又は転移がん疼痛など)、体性疼痛、内臓痛又は皮膚痛である。別の態様では、疼痛は、関節痛、腎結石痛、子宮痙攣、月経困難、子宮内膜症、胃腸障害、手術後疼痛、医療手技後の疼痛、眼痛、耳性疼痛、がん突出痛又は炎症性腸疾患若しくは過敏性腸症候群などの胃腸障害に関連する疼痛である。別の態様では、疼痛は、手術に関連する疼痛であり、ここで、手術は、骨盤腹腔鏡検査、卵管結紮、子宮摘出術及び胆嚢摘出術である。代わりに、疼痛は、医療処置、例えば大腸内視鏡検査、膀胱鏡検査、子宮鏡検査又は子宮内膜生検などに関連する疼痛であり得る。具体的な態様では、アトピー性皮膚炎は、乾癬、湿疹又は接触性皮膚炎であり得る。別の具体的な態様では、イレウスは、術後イレウス又はオピオイド誘導性腸機能障害である。
【0065】
本発明の合成ペプチドアミドで治療可能又は予防可能なκオピオイド受容体関連疼痛の別の形態は、痛覚過敏である。一実施形態では、方法は、痛覚過敏を予防するか、寛解させるか又は完全に軽減するために、有効量の本発明の合成ペプチドアミドを、痛覚過敏を患うか又はそれを発現するリスクがある哺乳動物に投与することを含む。
【0066】
κオピオイド受容体関連疼痛は、局所組織損傷に続発する末梢感覚神経末端の環境における変化によって引き起こされると考えられる痛覚過敏を含む。組織損傷(例えば、擦過傷、熱傷)及び炎症は、ポリモーダルな侵害受容器(C線維)及び高閾値機械受容器の興奮性における有意な増強をもたらし得る。この増強された興奮性及び感覚求心路の過剰な応答は、痛覚過敏の根底にあると考えられ、ここで、疼痛応答は、刺激に対する過剰な応答の結果である。損傷後疼痛状態における痛覚過敏状態の重要性は、繰り返し実証されており、損傷後/炎症性疼痛状態の大きい割合を占めるように思われる。
【0067】
別の実施形態では、κオピオイド受容体関連症状は、疼痛、炎症(関節リウマチ炎、骨関節炎、炎症性腸疾患の炎症、過敏性腸症候群の炎症、眼炎症、耳性炎症又は自己免疫性炎症など)、掻痒(アトピー性皮膚炎、腎透析に伴う掻痒、眼掻痒、耳掻痒、虫刺されによる掻痒又はオピオイド誘導掻痒など)、浮腫、イレウス、咳又は緑内障である。一態様では、疼痛は、神経障害性疼痛(三叉神経痛、片頭痛、糖尿病性疼痛、ウイルス性疼痛、化学療法誘導疼痛又は転移がん疼痛など)、体性疼痛、内臓痛又は皮膚痛である。別の態様では、疼痛は、関節痛、腎結石痛、子宮痙攣、月経困難、子宮内膜症、胃腸障害、手術後疼痛、医療手技後の疼痛、眼痛、耳性疼痛、がん突出痛又は炎症性腸疾患若しくは過敏性腸症候群などの胃腸障害に関連する疼痛である。別の態様では、疼痛は、手術に関連する疼痛であり、ここで、手術は、骨盤腹腔鏡検査、卵管結紮、子宮摘出術及び胆嚢摘出術である。代わりに、疼痛は、医療処置、例えば大腸内視鏡検査、膀胱鏡検査、子宮鏡検査又は子宮内膜生検などに関連する疼痛であり得る。具体的な態様では、アトピー性皮膚炎は、乾癬、湿疹又は接触性皮膚炎であり得る。別の具体的な態様では、イレウスは、術後イレウス又はオピオイド誘導性腸機能障害である。
【0068】
別の実施形態では、κオピオイド受容体関連症状は、水利尿としても知られる、ナトリウム及びカリウム保持性利尿によって予防可能又は治療可能なκオピオイド受容体関連症状である。本発明の製剤中のκオピオイド受容体作動薬ペプチドアミドを投与することにより予防可能又は治療可能なかかるκオピオイド受容体関連症状の例として、浮腫が挙げられる。浮腫は、種々の疾患又は病態、例えば鬱血性心疾患又はADH分泌異常症候群の何れかに起因することがある。
【0069】
別の実施形態では、κオピオイド受容体関連症状は、低ナトリウム血症又は他の浮腫性疾患である。κオピオイド受容体関連低ナトリウム血症又は浮腫は、任意のナトリウム欠乏性又は浮腫性の疾患又は病態、例えばうっ血性心不全に関連した低ナトリウム血症若しくは浮腫、又は抗利尿ホルモン(ADH)分泌異常症候群、又はチアジド系利尿薬及び/又はループ利尿薬を用いる集中利尿薬療法に関連した低ナトリウム血症などであり得る。本発明の合成ペプチドアミドは、有意なナトリウム保持性及びカリウム保持性水利尿効果を呈し、それは、低ナトリウム血症及び/又は低カリウム血症に関連した浮腫形成の病態の治療において有利である。したがって、本発明の合成ペプチドアミドは、低ナトリウム血症関連症状を治療又は予防する方法における有用性も有し、その例が以下に提供される。低ナトリウム血症関連症状は、循環血液量過多、正常血液量又は血液量減少のような血液量状態に応じて分類可能である。
【0070】
κオピオイド受容体関連低ナトリウム血症は、低ナトリウム血症(低ナトリウム状態)が認められる場合、例えばヒトにおいて、単独で、又はより多くには他の医学的状態の合併症として、又はナトリウム枯渇の原因となり得る薬物使用の結果として生じ得る異常として、血漿中のナトリウム濃度が135ミリモル/L未満に低下するときの任意の疾患又は病態であり得る。
【0071】
これらの病態に加えて、極めて多数の他の病態は、限定されないが、肺、十二指腸、膵臓、卵巣、膀胱及び尿管のがん、胸腺腫、中皮腫、気管支腺腫、カルチノイド、神経節細胞腫及びユーイング肉腫を含む、過剰なADH分泌の腫瘍性原因;肺炎(細菌又はウイルス)、膿瘍(肺又は脳)、空洞化(アスペルギルス症)、結核(肺又は脳)、髄膜炎(細菌又はウイルス)、脳炎及びエイズなどの感染;脳血管閉塞又は出血及び海綿静脈洞血栓症などの血管原因;ギラン・バレー症候群、多発性硬化症、振戦せん妄、筋萎縮性側索硬化症、水頭症、精神病、末梢神経障害、頭部外傷(閉鎖性及び貫通性)、中枢神経系腫瘍又は感染及び視床下部浸透圧受容体に影響する中枢神経系外傷などの神経性原因;脳梁欠損症、口唇裂口蓋裂及びその他の正中線欠損を含む先天性奇形;急性間欠性ポルフィリン症、喘息、気胸及び陽圧換気などの代謝性原因;チアジド系利尿薬、アセトアミノフェン、バルビツール酸、コリン作動性薬剤、エストロゲン、経口血糖降下薬、バソプレシン又はデスモプレシン、高用量オキシトシン、クロルプロパミド、ビンクリスチン、カルバメゼピン、ニコチン、フェノチアジン、シクロホスファミド、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害剤及びセロトニン再取り込み阻害薬などの薬剤;例えば、入院中、手術中又はアスレチック事象中又は後(即ち運動関連低ナトリウム血症)の余分な低張体液の投与並びに高齢者における低ナトリウム栄養補助食品の使用を含む低ナトリウム血症に関連する。
【0072】
低ナトリウム血症に関連する他の病態は、腎不全、ネフローゼ症候群(膜性腎症及び微小変化群)、悪液質、栄養失調、横紋筋融解症、外科手技、待機的心臓カテーテル検査、失血並びに高カルシウム血症、低カリウム血症及び浸透圧利尿をもたらす結果的な糖尿を伴う高血糖を含む。
【0073】
本発明は、安定化された生物活性ペプチドを含む粒子を形成する、オリゴマー糖に包埋された生物活性ペプチドを含む生理活性組成物も提供する。一実施形態では、安定化された生物活性ペプチドを含む粒子を形成する、オリゴマー糖に包埋された生物活性ペプチドを含む生理活性組成物は、カルボン酸の塩、吸収促進剤、結合剤、キレート剤及び薬学的に許容できる担体又は賦形剤の1つ以上も含む。カルボン酸の塩は、カルボン酸の任意の好適な塩、例えば、限定されないが、クエン酸ナトリウムであり得る。吸収促進剤は、任意の好適な吸収促進剤、例えばカプリン酸ナトリウム又はラウロイルL-カルニチンなどであり得る。結合剤は、接着性を促進するための任意の好適な結合剤、例えばセルロース、メチル又はエチルセルロース、デンプン、ゼラチン、PVP、PEG、ポリビニルアルコール及びポリメタクリル酸であり得る。キレート剤は、任意の好適なキレート剤、例えば、限定されないが、コハク酸又はEDTAであり得る。一般に使用される薬学的に許容できる担体又は賦形剤は、わずかであるが、当技術分野で周知のものを挙げると、カルシウム塩、例えば塩化カルシウム、リン酸カルシウム及び硫酸カルシウム;金属酸化物、糖、糖アルコール及び甘味料を含む。
【0074】
生物活性ペプチドは、任意の好適な生物活性ペプチド、限定されないが、κオピオイド受容体作動薬ペプチドなどであり得る。一実施形態では、κオピオイド受容体作動薬ペプチドは、米国特許第7,402,564号、米国特許第7,713,937号及び米国特許第7,842,662号に記載のようなD-アミノ酸テトラペプチドアミドであり得る。一実施形態では、D-アミノ酸テトラペプチドアミドは、κオピオイド受容体作動薬化合物:CR845のような文献でも参照されるD-Phe-D-Phe-D-Leu-D-Lys-[ω(4-アミノピペリジン-4-カルボン酸)]-OH(ジフェリケファリン)であり得る。
【0075】
生物活性ペプチドをコーティングするか又は生物活性ペプチドが包埋されるオリゴマー糖は、任意の好適なオリゴマー糖、例えばオリゴマー糖など、例えば二糖であり得る。一実施形態では、二糖は、ブドウ糖などのグルコース単量体を含み得る。別の実施形態では、二糖は、トレハロースなどのグルコース二量体であり得る。
【0076】
一実施形態では、生物活性ペプチドは、安定化された生物活性ペプチドを含む粒子を形成するための、トレハロースを含む組成物に包埋されたテトラペプチドアミドのκオピオイド受容体作動薬であり、ここで、粒子は、約2ミクロン~約1000ミクロンの平均直径を有する。別の実施形態では、粒子は、約5ミクロン~約750ミクロンの平均直径を有する。
【0077】
別の実施形態では、本発明は、生物活性ペプチド、例えばκオピオイド受容体作動薬、安定化された生物活性ペプチドを含む粒子を形成する、オリゴマー糖に包埋されたCR845を含む生理活性組成物を提供し、ここで、オリゴマー糖は、二糖、例えばトレハロース、1,1-α-グリコシド結合グルコース二量体を含む。かかるトレハロース/CR845粒子は、医薬乾燥粉末の混合物中に組み込まれたか、又は中鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸の塩若しくは中鎖脂肪酸グリセリドを使用せずに、固体吸収促進剤、例えばラウロイルL-カルニチン及び/又は多数の他の周知の吸収促進剤の中でもクエン酸とともに錠剤に圧縮された医薬乾燥粉末として有用である。
【0078】
本発明は、安定化された生物活性ペプチド粒子を形成するための、オリゴマー糖粒子に包埋された生物活性ペプチドを含む生理活性組成物をさらに提供し、ここで、オリゴマー糖は、生物活性ペプチドの安定性を25℃で少なくとも1年にわたり増強する。一実施形態では、生物活性ペプチドは、1つ以上のD-アミノ酸を含むκオピオイド受容体作動薬であり、オリゴマー二糖は、グルコースを含む。1つ以上のD-アミノ酸を含むκオピオイド受容体作動薬は、任意の適切なκオピオイド受容体作動薬、例えばテトラペプチドアミドκオピオイド受容体作動薬など、例えばCR845などであり得、オリゴ糖は、グルコースを含む二糖であり得、例えば1-1,α-結合グルコピラノシド二量体、トレハロースであるが、これらに限定されない。
【0079】
オリゴマー糖粒子に包埋された生物活性ペプチドを含む本発明の生理活性組成物は、薬剤としての投与を意図した薬学的に許容できる錠剤、カプレット、カプセル、散剤又は懸濁液中に含まれ得る。薬学的に許容できる錠剤、カプレット、カプセル、散剤、スラリー又は懸濁液は、カルボン酸の塩、吸収促進剤、結合剤及び薬学的に許容できる担体又は賦形剤の1つ以上をさらに含み得る。一実施形態では、薬学的に許容できる錠剤、カプレット、カプセル、散剤、スラリー又は懸濁液は、カルボン酸としてクエン酸ナトリウムを含み得る。別の実施形態では、薬学的に許容できる錠剤、カプレット、カプセル、散剤、スラリー又は懸濁液は、吸収促進剤としてラウロイルL-カルニチンを含み得る。
【0080】
さらなる実施形態では、薬学的に許容できる錠剤、カプレット、カプセル、散剤、スラリー又は懸濁液は、約5~約10ミクロン又は約5~約50ミクロンの直径を有する安定化粒子の形態でオリゴマー糖に包埋されたκオピオイド受容体作動薬の生物活性ペプチドとしてCR845を含み得る。いくつかの実施形態では、オリゴマー糖は、グルコース含有オリゴマー糖、例えばトレハロースである。
【0081】
本発明のκオピオイド受容体作動薬ペプチドアミド及び吸収促進剤を含む製剤は、任意の痛覚過敏状態、例えば、限定されないが、アレルギー性皮膚炎、接触性皮膚炎、皮膚潰瘍、炎症、発疹、真菌刺激に関連した痛覚過敏状態及び感染病原体、熱傷、擦過傷、打撲、挫傷、凍傷、発疹、座瘡、昆虫刺咬、皮膚潰瘍、粘膜炎、歯肉炎、気管支炎、喉頭炎、咽頭炎、帯状疱疹、真菌刺激、急性水泡瘡、腫物、足底疣贅、外科手技又は腟病変に関連した痛覚過敏状態の治療又は予防を意図して、本明細書で開示される方法により投与され得る。
【0082】
さらに、本発明のκオピオイド受容体作動薬ペプチドアミド及び吸収促進剤を含む製剤は、熱傷、擦過傷、打撲、擦過傷(角膜擦過傷など)、挫傷、凍傷、発疹、座瘡、昆虫刺咬、皮膚潰瘍(例えば、糖尿病性潰瘍又は褥瘡性潰瘍)、粘膜炎、炎症、歯肉炎、気管支炎、喉頭炎、咽頭炎、帯状疱疹、真菌刺激(アスリートの脚又はジョックの痒みなど)、急性水泡瘡、腫物、足底疣贅又は腟病変(糸状菌病又は性行為感染症に関連した腟病変など)に関連した任意の痛覚過敏状態の治療又は予防を意図して、本明細書で開示される方法により投与され得る。
【0083】
手術後回復に関連した痛覚過敏状態も、本発明のκオピオイド受容体作動薬ペプチドアミド及び吸収促進剤を含む製剤の投与により対処可能である。手術後回復に関連した痛覚過敏状態は、例えば、放射状角膜切除術、抜歯、乳腺腫瘍摘出術、会陰切開術、腹腔鏡検査及び関節鏡検査などの手術後回復に関連した任意の痛覚過敏状態であり得る。炎症に関連した痛覚過敏状態も、本発明のκオピオイド受容体作動薬ペプチドアミド及び吸収促進剤を含む製剤の投与により対処可能である。
【実施例
【0084】
実施例
実施例1:イヌに製剤を投与した経口投与
カプセル内において、試験製剤を単回用量で経口送達した。投与直前にカプセルを逆浸透精製水で潤滑した。投与後の嚥下反射を刺激するため、動物を首沿いに軽くたたいた。投与直後、5~10mLの精製水を動物に与えた。カプセルが嚥下されたことを確認するため、水を流した後、口腔を検査した。
【0085】
本明細書で使用される、示されるようなCR845の生物学的利用率は、以下のように計算される。
【数1】
【0086】
実施例2:トレハロースに包埋されたCR845塩プロトタイプ製剤の生物活性
CR845酢酸塩/トレハロース/クエン酸(9.8/88.2/2.2%w/w)及びCR845.HCl/トレハロース(23/77%w/w)のスプレー乾燥粒子を本質的に腸溶性(耐酸性)のHPMCカプセル(平均粒径約5μm;粒径分布D(v0.1)=1.5μm、D(v0.9)=12.1μm)に充填し、8匹のイヌのコホートに投与した。酢酸塩に添加したクエン酸は、pHを平衡させるためのものであった。各製剤についての平均生物学的利用率(%f)及び平均に対する標準誤差(SEM)を上記のように決定し、下の表1に示した。
【0087】
【表1】
【0088】
以下では、記載される製剤中で使用した全てのCR845は、塩酸塩、CR845.HClを指す。
【0089】
実施例3:スプレー乾燥によるトレハロース粒子中でのCR845の包埋
以下の表2に示されるパーセンテージを提供するために、適切な量の構成成分を含有する水溶液を調製することにより、CR845/トレハロース複合粒子を作製した。8グラム/分で35kg/時の乾燥気体容量の実験室スケールのスプレー乾燥機に5%の固形物を含有する溶液を送り込んだ。123℃~131℃の範囲の入口温度でこの溶液を乾燥ガスに10psigで微粒化した。サイクロン分離器を使用して、乾燥ガス流から粒子を分離した。
【0090】
【表2】
【0091】
複合CR845/トレハロース粒子の製剤バッチのそれぞれは、以下の表3に示されるような一貫した粒径分布、HPLCによる純度及びKarl Fisher分析による水含量を有した。
【0092】
【表3】
【0093】
5mg CR845/用量の目標充填重量で製剤をサイズ3 Vcaps(登録商標)腸溶カプセル(22カプセル/製剤)に充填した。酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースのエタノール溶液を使用して、ボディー及びヘッドの連結部にわたってカプセルを密封した。
【0094】
【表4】
【0095】
実施例4:微結晶性セルロース粒子上へのCR845/HPMCのスプレーコーティング
経口固体投与製剤を調製するために、API、CR845+ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の混合物の層で均一な球状微結晶性セルロースコア(Cellet(登録商標)500、500~710μm)をスプレーコーティングし、続いて放出を改変するために腸溶コーティングの層を付加した。
【0096】
一例として、6”ワースターインサートを備えるGlatt GPCG-1.1流動床を使用してバッチ2を製造した。40キュービックフィート/分のプロセス気流を入口で50℃に設定した。この系に756グラムのCellet 500粒子を加えた。薬物コーティング溶液は、800グラムの精製水中、4グラムのCR845及び40グラムのHPMCを含有した。開口部が1.5mmであるノズルを使用して、流動化されたCellet粒子上に薬物コーティング溶液を微粒化液滴として噴霧した。薬物コーティング溶液の全量を噴霧した後、入口の気体温度を25℃に設定し、冷却されたら、コーティングされた粒子を回収した。
【0097】
本製剤は、薬物負荷の増加及び活性医薬成分(API)回収の改善をもたらした。以下の表5を参照されたい。
【0098】
【表5】
【0099】
コーティング工程の完了後、回収されたCR845コーティング粒子に基づいて収率(%)を計算した。調整(%)は、装置の掃除後に回収された容器壁などでの材料損失を含んだ。
【0100】
実施例5:微結晶性セルロース又はスクラロースペレット上でのCR845/トレハロースの腸溶コーティング
第1の混合容器に1923グラムのEudragit(登録商標)L30 D55ポリマー分散物を添加した。ホモジナイザーミキサーを使用して懸濁液を撹拌した。
【0101】
同様にホモジナイザーミキサーとともにセットアップされた第2の混合容器に2146.3グラムの精製水を添加した。57.7グラムのクエン酸トリエチル及び288.5グラムのタルクを混合しながらゆっくりと添加した。最短で10分間にわたって混合を継続することにより、均一な分散物を作製した。
【0102】
混合を継続しながら、第2の混合容器から第1の混合容器中のEudragit懸濁液にクエン酸トリエチル/タルク分散物をゆっくりと添加することにより、混合容器の内容物を合わせた。次いで、第2の容器及びミキサーを100グラムの精製水ですすぎ、すすいだ物質を第1の容器中の混合物に添加した。60分間以上にわたって分散物の混合を継続し、その後、分散物をU.S. Standard #35メッシュスクリーン(0.5mmスクリーン)に通して第3の容器に入れた。次に、100グラムの精製水をメッシュスクリーンに通して第3の容器に入れ、低速度でプロペラミキサーを使用して、Eudragit/クエン酸トリエチル/タルク分散物を混合した。
【0103】
【表6】
【0104】
次に、6”ワースターインサートを備える流動床乾燥機GPCG-1.1にCR845薬物負荷ペレットを入れた(表6を参照されたい)。35℃~40℃において35~65m/時の速度で薬物負荷ペレット全体にわたり空気を通した。8~15g/分のスプレー速度で微粒化Eudragit/クエン酸トリエチル/タルク分散物をペレットに適用した。
【0105】
実施例6:腸溶コーティングされたペレットの溶解
CR845でコーティングされたか又はカプリン酸ナトリウムでコーティングされたSuglet(登録商標)ペレットを腸溶コーティングし、経時的なpH6.8でのパーセント溶解を、図1に示されるように監視した。50%又は100%の腸溶重量増加は、腸溶コーティングによる粒子重量の増加である。目標とする腸の吸収部位に対する溶解プロファイルを評価するために、これらの2つの腸溶コーティングを使用した。
【0106】
実施例7:イヌへの投与
トレハロースに包埋され、実施例3からの複合粒子A~E上にコーティングされたCR845を標準的な試験環境下でイヌに投与し、CR845の生物学的利用率を上記のように決定した。8匹の動物のそれぞれに対する製剤A~Eの投与後の結果は、図2~6のDMPKグラフにおいてそれぞれ示される。
【0107】
米国特許及び特許出願公開の各々の明細書並びに本明細書に引用される参考文献の本文は、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。これらの参考文献の1つ以上に含まれ、見出される任意の定義又は説明が本明細書の対応する定義又は説明に一致しないことが生じる場合、本明細書で開示される定義又は説明が意図される。
【0108】
本明細書に提供される例は、あくまで例示を目的とし、本発明の範囲を限定することを意図されず、それらの全範囲は、当業者によって容易に理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】