(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】マルチポート押出管への接続に適したコネクタ
(51)【国際特許分類】
F16L 37/088 20060101AFI20230426BHJP
F16L 21/00 20060101ALI20230426BHJP
F16L 37/113 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
F16L37/088
F16L21/00 C
F16L37/113
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556065
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2021055798
(87)【国際公開番号】W WO2021190913
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514226693
【氏名又は名称】ア・レイモン・エ・シエ
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニコ メンナー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル トレーデ
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ヘルベルス
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ラット
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106AA01
3J106AB06
3J106BA01
3J106BB07
3J106BC04
3J106BD01
3J106BE13
3J106BE22
3J106CA17
3J106EA03
3J106EB02
3J106EC01
3J106EC07
3J106ED12
3J106EE02
3J106EF04
(57)【要約】
本発明は、マルチポート押出管への接続に適したコネクタであって、コネクタは、ソケットであって、ソケット内に線形の挿入方向に沿って挿入されるマルチポート押出管の端区分に適したソケットを備え、ソケットは、マルチポート押出管の端区分の収容に適した端区分収容空間を含み、端区分収容空間は、第1の開口であって、第1の開口を通ってマルチポート押出管が延在するのに適した第1の開口に隣接しており、第1の開口に近い前方位置から、第1の開口から遠い後方位置までスライドすることができるように、ソケット内に配置されたキャップを備え、キャップは外周面を有し、ソケットの内側に、キャップの前方位置でキャップの外周面に接触する封止部材が設けられており、封止部材は、キャップが前方位置にあるときに圧縮状態にあり、封止部材の少なくとも一部は、キャップが前方位置にあるときにキャップの一部によって占められる空間であって、キャップが前方位置から後方位置にスライドするときに解放される空間内に膨張する、コネクタに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチポート押出管(1)への接続に適したコネクタ(20)であって、該コネクタ(20)は、ソケット(21)であって、該ソケット(21)内に線形の挿入方向(B)に沿って挿入されるマルチポート押出管(1)の端区分(5)に適したソケット(21)を備え、
・前記ソケット(21)は、マルチポート押出管(1)の前記端区分(5)の収容に適した端区分収容空間(22)を含み、
・前記端区分収容空間(22)は、第1の開口(23)であって、該第1の開口(23)を通ってマルチポート押出管(1)が延在するのに適した第1の開口(23)に隣接している、
コネクタ(20)において、
・前記第1の開口(23)に近い前方位置から、前記第1の開口(23)から遠い後方位置までスライドすることができるように、前記ソケット(21)の内側に配置されたキャップ(24)を備え、
・前記キャップ(24)は外周面(26)を有し、
前記ソケット(21)の内側に、前記キャップ(24)の前記前方位置で前記キャップ(24)の前記外周面(26)に接触する封止部材(33)が設けられており、該封止部材(33)は、前記キャップ(24)が前記前方位置にあるときに圧縮状態にあり、
前記封止部材(33)の少なくとも一部は、前記キャップ(24)が前記前方位置にあるときに前記キャップ(24)の一部によって占められる空間であって、前記キャップ(24)が前記前方位置から前記後方位置にスライドするときに解放される空間内に膨張する
ことを特徴とする、コネクタ(20)。
【請求項2】
前記キャップ(24)は、前記端区分収容空間(22)内に挿入されるマルチポート押出管(1)の前記端区分(5)の一部の収容に適した内部空間(25)を有することを特徴とする、請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記キャップ(24)はプレートであることを特徴とする、請求項1記載のコネクタ。
【請求項4】
前記キャップ(24)は、流体が通過することができる少なくとも1つの流体開口(36)を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のコネクタ。
【請求項5】
前記封止部材(33)はOリングではないことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ソケット(21)は凹部(37)を有し、前記封止部材(33)の少なくとも一部は、前記キャップ(24)が前記前方位置にあるときに前記凹部(37)の内側に配置されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ソケット(21)はキャップ当接面(41)を有し、前記キャップ(24)は、前記後方位置で前記キャップ当接面(41)に当接することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のコネクタ。
【請求項8】
前記ソケット(21)に少なくとも部分的に配置された案内スリーブ(40)を備え、該案内スリーブ(40)は、前記端区分収容空間(22)を部分的に画定する案内面(42)を有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のコネクタ。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載のコネクタとマルチポート押出管(1)とのアセンブリであって、前記マルチポート押出管(1)の端区分(5)は、前記ソケット(21)内に配置されている、アセンブリ。
【請求項10】
前記キャップ(24)の前記内部空間(25)は、端区分当接面(54)を有し、前記マルチポート押出管(1)の前記端区分(5)は、前記端区分当接面(54)に当接していることを特徴とする、請求項9記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記マルチポート押出管(1)は外周面(6)を有し、前記封止部材(33)は、前記キャップ(24)が前記後方位置にあるときに前記外周面(6)に対して封止していることを特徴とする、請求項9または10記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記マルチポート押出管(1)に外嵌され、前記案内スリーブ(40)内に少なくとも部分的に配置されたスリーブ(31)を備えることを特徴とする、請求項9から11までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記マルチポート押出管(1)は、前記挿入方向(B)に対して垂直な平面内に断面を有し、該断面における一方向の前記マルチポート押出管(1)の延在長さは、前記一方向に対して垂直な方向よりも大きいことを特徴とする、請求項9から12までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項14】
請求項9から13までのいずれか1項記載のアセンブリを製造するための方法であって、
・前記キャップ(24)が前記ソケット(21)の内側にかつ前記前方位置に配置された、請求項1から6までのいずれか1項記載のコネクタ(20)を提供することと、
・マルチポート押出管(1)を提供することと、
・前記キャップ(24)の前記内部空間(25)がマルチポート押出管(1)の端区分(5)の一部を収容するように、前記マルチポート押出管(1)の前記端区分(5)を前記ソケット(21)内に挿入することと、
・前記マルチポート押出管(1)の前記端区分(5)を前記ソケット(21)内にさらに挿入して、前記マルチポート押出管(1)によって前記キャップ(24)を前記前方位置から前記後方位置に向かって押圧することと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項15】
請求項9から13までのいずれか1項記載のアセンブリを製造するための方法であって、
・前記キャップ(24)は前記ソケット(21)内に挿入されていないが、前記封止部材(33)は前記ソケット(21)内に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のコネクタ(20)を提供することと、
・マルチポート押出管(1)を提供することと、
・前記マルチポート押出管(1)の前記端区分(5)の一部を前記キャップ(24)の前記内部空間(25)内に挿入することと、
・前記マルチポート押出管(1)の前記端区分(5)と、前記キャップ(24)の前記内部空間(25)内に導入された前記端区分(5)の一部に装着された前記キャップ(24)とを前記ソケット(21)内に挿入することと、
・前記マルチポート押出管(1)の前記端区分(5)と、前記キャップ(24)の前記内部空間(25)内に導入された前記端区分(5)の一部に装着された前記キャップ(24)とを、該キャップ(24)が前記前方位置を通過して、該前方位置から前記後方位置に向かって移動するように前記ソケット(21)内にさらに挿入することと
を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチポート押出管への接続に適したコネクタに関する。本発明はまた、そのようなコネクタとマルチポート管とのアセンブリにも関する。本発明はまた、そのようなアセンブリを製造するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
マルチポート押出管が知られている。マルチポート押出管は、特に、冷却システム、例えば車両の冷却システムで使用されることが知られている。この特定の使用分野だけでなく、マルチポート押出管の他の使用分野でも、マルチポート押出管を他の部品、例えばホースに接続する需要がある。米国特許第10208879号明細書は、そのようなコネクタを示している。
【0003】
米国特許第10208879号明細書から知られている設計では、マルチポート押出管(または米国特許第10208879号明細書では「フラットチューブ(flat tube)」と呼ばれている)がスライド式にコネクタ内に挿入される。コネクタ内にスライドさせると、米国特許第10208879号明細書の
図3に示されるように、マルチポート押出管がシール56を通過する。米国特許第10208879号明細書で使用される種類のマルチポート押出管は、一般的に、より長い押出部品から切り取られる。一般的に、マルチポート押出管が長い押出管から切り取られる場合、これは、長い押出管に切り込みを入れて切り込み線で管を単純に破断するか、または切断後に切断縁部の平滑化を実施しない単純な切断動作によって実施される。これは、米国特許第10208879号明細書から知られているように、マルチポート押出管がシール56を通って押圧される際に、コネクタ内に挿入されるマルチポート押出管が、シール56を損傷させる可能性があるという課題につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような背景を前提として、本発明により解決すべき課題は、マルチポート押出管への接続に適したコネクタであって、コネクタの内側に良好かつ確実な封止を提供するコネクタを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1記載のコネクタ、請求項9記載のアセンブリ、請求項14および請求項15記載の方法によって解決される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項および以下の説明に開示されている。
【0006】
本発明によるコネクタは、マルチポート押出管への接続に適している。この目的のために、コネクタは、ソケットであって、ソケット内に線形の挿入方向に沿って挿入されるマルチポート押出管の端区分に適したソケットを備える。
【0007】
ソケットは、マルチポート押出管の端区分の収容に適した端区分収容空間を含む。端区分収容空間は、第1の開口であって、第1の開口を通ってマルチポート押出管が延在するのに適した第1の開口を有する。
【0008】
本発明によれば、キャップが、第1の開口に近い前方位置から、第1の開口から遠い後方位置までスライドすることができるように、ソケットの内側に配置されている。
【0009】
好ましい実施形態では、コネクタは1つのキャップ案内面を有するか、または好ましい実施形態では少なくとも1つのキャップ案内面を有し、さらに好ましい実施形態では幾つかのキャップ案内面を有する。好ましい実施形態では、キャップは、キャップが前方位置から後方位置まで移動する途中の少なくとも一部でキャップ案内面に沿ってスライドする。一連のキャップ案内面が存在してよい。キャップが前方位置から後方位置に移動するとき、キャップは、最初に前方位置により近く配置されたキャップ案内面によって案内され、その後、後方位置により近く配置された更なるキャップ案内面によって案内されてよい。好ましい実施形態では、キャップは、前方位置から後方位置に向かって移動するときに、直線に沿って移動する。
【0010】
好ましい実施形態では、キャップはキャップ案内面によって案内される(実施形態では、キャップ案内面は1つのみ存在している)か、またはキャップは、(複数のキャップ案内面が存在している実施形態の場合)前方位置から後方位置に向かって直線に沿って移動するように、複数のキャップ案内面によって案内される。
【0011】
好ましい実施形態では、キャップは矩形のキャップである。好ましい実施形態では、キャップは、第2の方向の範囲よりも大きい第1の方向の延在長さを有し、第2の方向は第1の方向に対して垂直である。好ましい実施形態では、キャップは、特にキャップがプレートである場合、第1の方向に対して垂直かつ第2の方向に対して垂直な第3の方向の延在長さを有しており、これは第1の方向の延在長さよりも小さいが、第2の方向の範囲より小さくするか、または第2の方向と同一の範囲にすることができる。好ましい実施形態では、キャップの第1の方向の範囲は、第2の方向の範囲の少なくとも2倍であり、より好ましくは第2の方向の範囲の5倍を超え、より好ましくは第2の方向の範囲の10倍を超える。好ましい実施形態では、キャップの断面は、マルチポート押出管の断面の形状と同一の形状の断面を有している。好ましい実施形態では、キャップの断面積は、マルチポート押出管の断面積よりわずかに大きい。
【0012】
好ましい実施形態では、キャップは、端区分収容空間内に挿入されるマルチポート押出管の端区分の一部の収容に適した内部空間を有する。しかしながら、キャップがマルチポート押出管の端区分の一部を包囲/収容するように設計されず、マルチポート押出管の端区分の前に位置することができるプレートとして設計されている実施形態も実現可能である。マルチポート押出管の製造時に、マルチポート押出管の外周面がマルチポート押出管の前面に対して鋭利な90°の角度になるように明確な切断を行うことができることが見出された。マルチポート押出管をソケットに押圧する際に、マルチポート押出管のこの鋭利な縁部が封止部材に接触すると、この鋭利な90°の角度が封止部材の損傷につながる可能性があることが見出された。本発明者らは、マルチポート押出管の前面の前に位置するプレートとして設計されたキャップを配置する実施形態が、そのような鋭利な縁部がシールを損傷することを防止することを既に見出した。そのような設計で、プレートとして設計されたキャップは、プレートからマルチポート押出管に向かって突出し、マルチポート押出管のポートの少なくとも幾つかに挿入されて、プレートの形状のキャップをマルチポート押出管と整列させることができるピンまたは突出部を有することができる。
【0013】
本発明によれば、キャップは外周面を有する。好ましい実施形態では、外周面の一部が平面で構成されている。好ましい実施形態では、外周面の一部は、一連の部分面によって構成することができ、一連の部分面のそれぞれが一連の更なる部分面によって仕切られており、その結果、一連の部分面はリングを構成する。好ましい実施形態では、特定の実施形態では、そのような内部空間が存在するか、または内部空間がキャップ全体を通る貫通孔として設計されたキャップの流体開口を取り囲む場合、リングは内部空間を取り囲む。好ましい実施形態では、一連の部分面のうちの少なくとも2つの部分面がそれぞれ平面によって構成されている。矩形のキャップは、一連の4つの部分面で構成することができ、一連の4つの部分面は、互いに平行に延在する2つの長い矩形の面を有する。長い矩形の部分面のそれぞれは、方形または矩形のより小さい部分面によって接合されており、これらのより小さい部分面は、より長い矩形の表面に対して90°をなして配置される。好ましい実施形態でも、キャップを準矩形にするために、より長い矩形の部分面は維持されるが、より小さい部分面は、円筒の一部を形成する部分面から構成される。これらの部分的に円筒形のより小さい部分面は、丸形の端部を備えたキャップを提供する。例えば、米国特許第10208879号明細書の
図1に示されているように、多くの場合、マルチポート押出管は丸形の端部を有することが見出された。好ましい実施形態では、キャップの外周面の断面の形状は、マルチポート押出管の断面の形状に似ているが、サイズをより大きくすることができる。
【0014】
本発明によれば、ソケットの内側に、キャップの前方位置でキャップの外周面に接触する封止部材が設けられており、封止部材は、キャップが前方位置にあるときに圧縮状態にある。封止部材は、端区分収容空間内に配置されたマルチポート押出管の端区分の端部から流出する流体が、マルチポート押出管に沿って逆流して第1の開口から流出することを防止するために設けられている(第1の開口は、マルチパート押出管が第1の開口を通って延在するように設けられている)。封止部材の「圧縮状態」とは、封止部材の表面が封止部材の通常の状態でとる位置から変位した状態であると理解される。封止部材の通常の状態とは、封止部材がそのままにされて、外部からの影響によって触れられたり、特に引き伸ばされたりしていない場合に封止部材がとる封止部材の状態であると理解される。封止部材は、例えば、封止部材がOリングとして構成されていて、Oリングが半径方向外向きに膨張した場合、圧縮状態であってよい。封止部材の圧縮状態は、本体と、本体から延在したリップとを有する封止部材にも見られる場合があり、圧縮状態では、リップは、このシールの通常の状態でリップが通常とる位置から離れて、基体に対して旋回する。
【0015】
本発明によれば、封止部材の少なくとも一部は、キャップが前方位置にあるときにキャップの一部によって占められる空間であって、キャップが前方位置から後方位置にスライドするときに解放される空間内に膨張する。したがって、第1の位置では、キャップの一部が封止部材の一部を空間から移動させ、前方位置では空間はキャップの一部によって占められている。キャップが前方位置を離れ、ひいては、キャップが前方位置にあったときにキャップの一部によって占められていた空間を解放すると、封止部材がこの空間内に膨張する。
【0016】
好ましい実施形態では、封止部材は、キャップが前方位置にあるときにキャップの一部によって占められる空間であって、キャップが前方位置から後方位置にスライドするときに解放される空間内に膨張した後でも、依然として部分的に圧縮されている。封止部材は、例えば、以前に圧縮された範囲よりも小さい範囲まで依然として圧縮されている。封止部材は、依然として表面に押し付けられて、この表面に封止を提供する能力を有する。好ましい実施形態では、依然として部分的に圧縮された封止部材が押圧しているこの表面は、マルチポート押出管の外周面である。したがって、キャップが前方位置にあるときにキャップの一部によって占められる空間に封止部材が膨張した状態であっても、封止部材は依然として封止機能を実施し、端区分の端部でマルチパート押出管を出る流体がマルチポート押出管に沿って逆流して第1の開口から流出することを防止することができる。
【0017】
好ましい実施形態では、キャップが、端区分収容空間内に挿入されるマルチポート押出管の端区分の一部の収容に適した内部空間を有している場合、キャップは、粗く切断された可能性および/または鋭利に切断された可能性のあるマルチポート押出管の端区分の端部によってシールが損傷することを防止することができる。前方位置にあるキャップは封止部材を圧縮し、そうすることで、封止部材をマルチポート押出管の端区分の邪魔にならないように保持する。同時に内部空間を提供することで、キャップは、マルチポート押出管の端区分の粗く切断された可能性および/または鋭利に切断された可能性のある端部を塞ぎ、ひいては、マルチポート押出管の端区分の粗く切断された可能性および/または鋭利に切断された可能性のある端部が封止部材に接触することを防止し、ひいては、マルチポート押出管の端区分の粗く切断された可能性のある端部によって与えられる封止部材への損傷を防止する。キャップがプレートである実施形態では、粗く切断された端部および/または鋭利に切断された端部の前にプレートを配置することで、この端部が封止部材に接触することも防止される。
【0018】
同時に、本発明によって提供される特定の設計によって、すなわち、キャップが前方位置から後方位置にスライドするときに、キャップが前方位置にあるときにキャップの一部によって以前に占められていた空間を解放するキャップによって、本発明による設計は、封止部材がマルチポート押出管の外周面に対して直接的に封止することを可能にする。これにより、封止面の数が減少して、流体がマルチポート押出管の端区分の端部から第1の開口に向かって逆流する可能性のある経路の数が減少する。
【0019】
キャップが、マルチポート押出管の端区分の一部を収容する内部空間を有する実施形態では、この設計により、内部空間の内側に配置されたマルチポート押出管の端区分側の部分の外周面を、この内部空間に隣接するキャップの壁に対して封止しなければならない労力が軽減される。キャップが前方位置にあり、封止部材を圧縮するとき、流体のバイパスは、マルチポート押出管の端区分の端部から流出するが、内部空間とマルチポート押出管の外周面とに隣接するキャップの表面同士の間に流入することで観察することができる。本発明の設計により、キャップが後方位置に移動されたときに、封止部材がマルチポート押出管の外周面に対して直接的に封止することが可能になり、内部空間とマルチポート押出管の外周面とに隣接するキャップの表面同士の間のこの流路が依然として存在している可能性があるが、キャップの後方位置に到達したキャップからさらに下方の位置で、封止部材がマルチポート押出管の外周面に対して直接的に封止するため、この流路を通って流れる流体はいずれも第1の開口に到達しない。
【0020】
好ましい実施形態では、キャップは初期位置を有している。初期位置は前方位置と同一の位置であってよい。それは、つまり、キャップが前方位置にある状態でコネクタが販売されていてよいことを意味する。しかしながら、そのような設計では、キャップは、相当の期間、すなわち、コネクタが顧客に出荷され、顧客の所に置かれるまで、封止部材を封止部材の圧縮状態に保持する。例えば、封止部材の通常の位置へ向かう封止部材の復元力が弱まることを防止するために、封止部材をこの圧縮状態に長期間保持しないことが好ましい場合がある。好ましい実施形態では、キャップの初期位置は、キャップの前方位置とは異なる。好ましい実施形態では、初期位置は前方位置よりも第1の開口に近い。好ましい実施形態では、コネクタは、コネクタがマルチポート押出管に接続される前に顧客に出荷される状態である、出荷状態を有している。封止部材の出荷状態では、キャップは初期位置にある。コネクタは、キャップを特定の初期位置に保持するための手段を有してよい。このような手段は、キャップが初期位置にあるときにキャップのいずれかの側に配置され、ソケット内に内向きに向けられる内向きのリムまたは内向きのボールであってよい。この内向きのリムまたは内向きのボールの高さは低く、その結果、コネクタの出荷状態でキャップを初期位置に維持することができる一方、キャップが初期位置から前方位置に向かって移動するとき、例えば、マルチポート押出管の端区分が第1の開口を通してソケット内に挿入され、さらにソケット内に圧入され、それによって、キャップが初期位置から前方位置に向かって押圧される場合、キャップがリムまたはボールを容易に通過することを可能にする。代替的な実施形態では、コネクタは、キャップが第1の開口を通って通過することができないように第1の開口が設計されるように配置されてもよい。したがって、第1の開口の周囲は、キャップがソケットから離れることを防止する。そのような実施形態では、キャップの初期位置は、第1の開口と前方位置との間のどこかの自由浮動位置であってよい。
【0021】
このような実施形態の出荷状態では、キャップは、コネクタから離れることを止められる第1の開口と前方位置との間を自由に滑動することができる。
【0022】
更なる代替的な実施形態では、キャップの初期位置はコネクタのハウジングの外側である。このような設計では、コネクタの出荷状態は、一方では、コネクタの残りの部品のシステムであり、他方では、まだソケット内に挿入されていないキャップである。このような設計では、マルチポート押出管の端区分の一部をキャップの内部空間内に挿入することができるが、キャップは依然としてコネクタのソケットの外側にある。次に、マルチポート押出管の端区分上をスライドするキャップを備えたマルチポート押出管を、第1の開口を通してソケット内に共に挿入し、前方位置に向かって移動させ、前方位置を通って後方位置へ移動させる。キャップがプレートとして設計されている場合、プレートは、コネクタハウジングの外側でマルチポート押出管の端部に配置され、マルチポート押出管と共に第1の開口を通して挿入することができる。マルチポート押出管の端部でキャップを保持するプレートである手段、例えば、マルチポート押出管のポートの幾つかに突出する突出部をキャップに設けることができる。
【0023】
好ましい実施形態では、キャップは、流体が通過することができる少なくとも1つの流体開口を有する。好ましい実施形態では、キャップは、キャップの側面に設けられた内部空間開口を有しており、内部空間開口からマルチポート押出管の端区分が端区分収容空間に挿入される。好ましい実施形態では、キャップの流体開口は、内部空間開口が設けられる側面に対してキャップの反対側に配置される。好ましい実施形態では、流体開口は、内部空間開口の反対側の端部で内部空間をキャップの外側に接続する。
【0024】
好ましい実施形態では、特にキャップがプレートである場合、流体開口は、プレートの一方の側をプレートの反対側に接続する貫通孔である。
【0025】
好ましい実施形態では、キャップの流体開口は、内部空間開口よりも小さい。好ましい実施形態では、キャップの流体開口は、長手方向の形状を有している。好ましい実施形態では、キャップの流体開口の断面積は、マルチポート押出管のポートの結合部の断面積と少なくとも同一の大きさ、好ましくは少なくとも同一のサイズである。マルチポート押出管は、典型的に、多数の通路を有している。端区分の端部に、マルチポート押出管の通路はそれぞれ、端部開口(ポート)を有している。結合部の断面積は、マルチポート押出管の端区分の端部にあるポートの個々の断面積の合計である。キャップの流体開口での圧力低下を防止するために、キャップの流体開口の断面積は、流体がマルチポート押出管の端部でマルチポート押出管を出るときに流体が通過する断面積と同一の大きさであることが好ましい。好ましい実施形態では、キャップの流体開口の断面積は、流体開口での圧力損失を防止するために、結合部の断面積よりもさらに大きい。キャップに安定性を提供し、大きな流体開口の弱化効果を低減するために、流体開口を横断し、流体開口に隣接するキャップの壁を安定化させるバーを設けることができる。
【0026】
好ましい実施形態では、封止部材は、断面が矩形、楕円形、または丸形であってよい基体を有しており、この基体から延在するリップを有している。リップは、リップが基体に結合する結合部の周りで基体に対して旋回するように設計することができる。付加的にまたは代替的に、力を加えたときにリップの先端を通常の位置から曲げることができるように、リップの断面を細くすることができる。好ましい実施形態では、この種類の封止部材は、環形状である基体ひいては中央開口を取り囲む基体を有している。リップは、好ましくは、内側を向くかまたは内側に角度をなして延在しており、ひいては、基体の中央開口を縮小するように配置されている。リップは、好ましくは、半径方向外向きの力を加えることによって、リップが半径方向外向きに変位することができるように設計される。リップが半径方向外向きに変位した場合、リップを変位していない位置に復元しようとする復元力が発生する。
【0027】
封止部材がOリングである設計は実施可能である。しかしながら、封止部材はOリングではないことが好ましい。マルチポート押出管は、多くの場合、断面が矩形または準矩形の長手方向の断面を有しており、小さな側方は丸み付けられている。経験上、このような断面の本体を、Oリングで封止するのは困難であることが分かっている。多くの場合、Oリングをそのような本体の外形、特にそのような本体の角隅に追従させることは困難である。したがって、封止部材は、基体と、基体から延在するリップとを有することが好ましい。経験上、そのような封止部材は、矩形または準矩形の中央開口を有するように、より容易に製造することができ、リップは、矩形の要素、例えば、マルチポート押出管が挿入される、そのような基体の矩形の開口および封止部材のリップに対しても依然として良好に封止することができることが示されている。
【0028】
好ましい実施形態では、ソケットは凹部を有している。好ましい実施形態では、封止部材の少なくとも一部は、キャップが前方位置にあるときに凹部の内側に配置されている。好ましい実施形態では、キャップが後方位置にあるとき、封止部材の少なくとも一部はまた、凹部の内側に配置されている。キャップが前方位置にあるときに凹部の内側に配置される封止部材の部分は、キャップが後方位置にあるときに凹部の内側に配置される封止部材の部分よりも大きくてもよい。したがって、キャップが前方位置を離れた後、封止部材は凹部からわずかに移動する可能性がある。例えば、キャップが前方位置にあるとき、封止部材がキャップによって凹部内に膨張したOリングである場合、キャップが前方位置から離れるように移動すると、Oリングが部分的に凹部から離れ、キャップが前方位置にあったときに占めていた空間が解放される可能性がある。封止部材が基体と基体から延在したリップとを有する設計では、コネクタは、キャップの位置に関係なく、基体が完全に凹部内に配置されて、凹部内に留まり、リップがキャップの位置に応じてリップの位置を変えるように設計することができる。そのような設計では、凹部は、基体を配置することができるポケットを有することができる。ポケットは、凹部の一部を端区分収容空間に向かって閉じる内側壁を有しており、それによって、凹部内にポケットを形成することができる。
【0029】
好ましい実施形態では、ソケットはキャップ当接面を有する。好ましい実施形態では、キャップは、後方位置でキャップ当接面に当接する。キャップ当接面を使用して、キャップの最終位置ひいてはソケット内のマルチポート押出管の最終位置を規定することができる。キャップ当接面を使用して、コネクタをマルチポート押出管に接続する作業者に、マルチポート押出管をコネクタの設計者が意図したとおりにソケット内に挿入した感覚を与えることができる。マルチポート押出管の端区分をソケット内に挿入する作業者は、単純に、マルチポート押出管が進むところまでマルチポート押出管をソケットに圧入するだけである。マルチポート押出管の端区分がソケット内に入る量は、キャップの当接面を適切に配置することで設計することができる。
【0030】
好ましい実施形態では、ソケットは、ソケットに少なくとも部分的に配置された案内スリーブを有する。好ましい実施形態では、案内スリーブは、端区分収容空間を部分的に画定する案内面を有する。案内スリーブは、コネクタの常設の部分であってよい。案内スリーブは、コネクタの更なる要素と一体に製造することができる。しかしながら、案内スリーブは、コネクタの別個の部分であってもよいが、コネクタの他の部分に固定して取り付けられるコネクタの別個の部分である。コネクタの他の部分への案内スリーブの取付けは、案内スリーブと、案内スリーブが接続されるコネクタの更なる部分との間で、接着、溶接、または摩擦係合もしくは均一な締まり嵌め、またはクリップと凹部との構成を提供することで行うことができる。案内スリーブは、スリーブがソケット内に挿入されると、コネクタの更なる部分の凹部に係合する突出クリップを有することができる。
【0031】
案内スリーブは前端部を有することができ、凹部画定面が案内スリーブの前端部に配置される。案内スリーブの前端部は、好ましくは、ソケットの内側で最も深く配置された案内スリーブの端部である。この前端部を使用して、封止部材の少なくとも一部が配置される凹部を画定することができる。この設計により、コネクタの組立ても容易になる。コネクタハウジングを設けることができ、ソケットはコネクタハウジングの一部として構成される。コネクタハウジングの内側のソケットは、ソケットを画定する壁に段部を有することができる。封止部材は、段部の領域に配置されてよい。次いで、案内スリーブをソケット内に挿入することができ、案内スリーブの前端部の表面を使用して、コネクタハウジングに既に設けられた段部から凹部を構成する。案内スリーブの前端部はまた、凹部にポケットを作る内側壁を設けることができる。
【0032】
代替的な実施形態では、コネクタの出荷状態の案内スリーブは、コネクタハウスに取り付けられておらず、遊離する部分として取り付けられている。コネクタを組み立てるとき、案内スリーブはマルチポート押出管の端区分に押圧される場合がある。その後、キャップはマルチポート押出管の端区分の端部の上に配置されてもよいが、代替的な実施形態では、キャップはコネクタのソケットの内側に配置される。この実施形態では、コネクタを組み立てるとき、マルチポート押出管の端区分に配置された案内スリーブを備えたマルチポート押出管は、コネクタのソケット内に挿入される。好ましい実施形態では、案内スリーブは、案内スリーブ自体をコネクタの残りの部分に固定して接続する手段、例えばクリップと凹部との構成を有している。代替的に、案内スリーブは、コネクタの残りの部分に、接着、溶接、または摩擦係合もしくは均一な締まり嵌めで配置することができる。本発明の特定の実施形態では、案内スリーブはまた、マルチポート押出管に固定して取り付けられてもよく、例えば、マルチポート押出管に接着されてもよく、または摩擦係合によってマルチポート押出管に取り付けられてもよい。例えば、米国特許第10208879号明細書で公知の設計における固定タップ66のように、接続要素がマルチポート押出管に取り付けられ、これらの接続手段を使用してマルチポート押出管を案内スリーブに接続する設計も実現可能である。
【0033】
案内スリーブが案内面を有する実施形態では、案内面を使用して、マルチポート押出管がソケットに圧入される際に、マルチポート押出管の端区分を案内することができる。案内面を使用して、内部空間を有する実施形態のキャップの内部空間に向かってマルチポート押出管の端区分を案内することができる。
【0034】
好ましい実施形態では、案内スリーブはキャップ当接面を有している。好ましい実施形態では、案内スリーブ上のキャップ当接面は、キャップが第1の開口に対してとることができる最も近い位置を規定する。案内スリーブのキャップ当接面を使用して、キャップの初期位置を規定することができる。
【0035】
好ましい実施形態では、コネクタはプラスチック部品から構成される。
【0036】
好ましい実施形態におけるコネクタは、コネクタハウジングを有している。好ましい実施形態では、コネクタハウジングは流体通路を有している。好ましい実施形態では、コネクタハウジングは、入口開口を有し、出口開口を有している。好ましい実施形態では、コネクタのハウジングの内側の通路は、入口開口から出口開口に通じている。代替的な実施形態では、通路は、ハウジング内に通路開口を1つだけ有している。好ましい実施形態では、ソケットは、通路に向かって開放する端部開口を有している。好ましい実施形態では、端部開口は、第1の開口の反対側に配置される。端部開口は、マルチポート押出管の端区分の端部から流出する流体が通路に流入することを可能にする。この流体は、好ましくは、キャップの流体開口を通過する。したがって、マルチポート押出管の端区分の端部を出る流体は、好ましくは、マルチポート押出管の端部から流出し、キャップの流体開口を通り、ソケットの端部開口を通ってコネクタハウジングの通路に流入する。
【0037】
流体がコネクタハウジングの入口開口からコネクタハウジングの出口開口まで通路を通って流れ、マルチポート押出管からの流体がマルチポート押出管から流出して通路に流入し、それによって、入口開口から出口開口まで通路を通って流れている流体に合流するような、米国特許第10208879号明細書に示される設計のような設計が実施可能である。または、コネクタハウジングの入口開口から通路を通ってコネクタハウジングの出口開口に流れる流体の一部は、通路から分岐し、端部を通ってマルチポート押出管に流入する。コネクタハウジングが通路開口を1つだけ有する設計では、流体は、マルチポート押出管から端部開口を通って通路に流入してコネクタハウジングの通路開口から流出するか、またはコネクタハウジングの通路開口から通路と端部開口とを通ってマルチポート押出管に流入する。
【0038】
好ましい実施形態では、コネクタハウジング内の通路は長手方向の範囲を有している。好ましい実施形態では、線形の挿入方向に沿ってマルチポート押出管をソケット内に挿入することができる線形の挿入方向は、通路内の流れ方向に対して90°の角度である。
【0039】
本発明によるアセンブリは、本発明によるコネクタを有しており、マルチポート押出管を有し、マルチポート押出管の端区分がソケット内に配置される。
【0040】
好ましい実施形態では、マルチポート押出管は、長手方向の範囲を有している。好ましい実施形態では、マルチポート押出管は、マルチポート押出管の端部のポートまでマルチポート押出管の内側に延在している通路を有している。好ましい実施形態では、通路は、互いに平行に延在し、好ましい実施形態では、通路は、マルチポート押出管の長手方向の範囲に対して平行に延在する。好ましい実施形態では、マルチポート押出管がソケット内に挿入される方向である線形の挿入方向は、マルチポート押出管の通路に対して平行に延在し、かつ/またはマルチポート押出管の長手方向に対して平行に(または同一の方向に)延在している。
【0041】
好ましい実施形態では、マルチポート押出管は、1mm~15mmの範囲、より好ましくは2mm~10mmの範囲の高さを有している。好ましい実施形態では、マルチポート押出管は、50mm~300mmの範囲、より好ましくは75mm~200mmの範囲の幅を有している。好ましい実施形態では、マルチポート押出管は、100mm~2000mmの範囲、より好ましくは100mm~1500mmの範囲の長さを有している。
【0042】
好ましい実施形態では、ソケットは、端区分収容空間よりも大きい。案内スリーブが使用され、案内スリーブが、コネクタの他の部分とは別の要素である、例えばコネクタハウジングとは別の要素である実施形態では、コネクタハウジングは、さらに案内スリーブを収容するのに十分な大きさのソケットを有してもよい。その場合、端区分収容空間は、ソケットよりも小さい空間であり、すなわち、好ましい実施形態では、ソケット内に配置された案内スリーブ上に配置された案内面によって部分的に画定される空間である。しかしながら、例えば、案内スリーブが存在せず、端区分収容空間を部分的に画定する案内面がコネクタハウスに直接的に設けられるような、ソケットが端区分収容空間と同一の形状を有する実施形態も実現可能である。
【0043】
好ましい実施形態では、第1の開口は長手方向の開口である。長手方向の開口は、第2の方向の範囲よりも大きい第1の方向の延在長さを有する開口であり、第2の方向は第1の方向に対して垂直である。好ましい実施形態では、第1の方向における第1の開口の範囲は、第2の方向の範囲の少なくとも2倍であり、より好ましくは第2の方向の範囲の5倍を超え、より好ましくは第2の方向の範囲の10倍を超える。好ましい実施形態では、第1の開口は、マルチポート押出管の断面の形状と同一の形状の断面を有している。好ましい実施形態では、第1の開口内へのマルチポート押出管の挿入を容易にするために、第1の開口の断面積は、マルチポート押出管の断面積よりわずかに大きい。案内スリーブが設けられる好ましい実施形態では、第1の開口は、案内スリーブの一部として設けられてもよい。
【0044】
好ましい実施形態では、キャップの内部空間は、端区分当接面を有する。好ましい実施形態では、マルチポート押出管の端区分は、端区分当接面に当接している。
【0045】
好ましい実施形態では、マルチポート押出管は外周面を有する。好ましい実施形態では、封止部材は、キャップが後方位置にあるときに外周面に対して封止している。好ましい実施形態では、封止部材は、流体が周面の外側を回って第1の開口に向かって流れることを防止する。
【0046】
好ましい実施形態では、マルチポート押出管は外周面を有しており、キャップは外周領域を有している。好ましい実施形態では、マルチポート押出管の外周領域は、キャップの外周領域に対して平行に延在する。
【0047】
好ましい実施形態では、マルチポート押出管に外嵌されたスリーブが設けられており、スリーブは、案内スリーブ内に少なくとも部分的に、好ましくは完全に配置されている。好ましい実施形態では、スリーブは、好ましい実施形態におけるマルチポート押出管の周面から離れるように延在する当接壁を有している。コネクタは、スリーブの当接壁を収容する凹部を有している。好ましい実施形態では、コネクタの凹部内の当接壁の配置は、マルチポート押出管が完全にコネクタ内に挿入されたことを作業者に示すものである。
【0048】
好ましい実施形態では、マルチポート押出管は、挿入方向に対して垂直な平面内に断面を有し、この断面における一方向のマルチポート押出管の範囲は、一方向に対して垂直な方向よりも大きい。好ましい実施形態では、マルチポート押出管は、第2の方向の範囲よりも大きい第1の方向の延在長さを有しており、第2の方向は第1の方向に対して垂直であり、第1の方向および第2の方向は、マルチポート押出管の長手方向の範囲に対して垂直である。好ましい実施形態では、マルチポート押出管の第1の方向の範囲は、第2の方向の範囲の少なくとも2倍、より好ましくは第2の方向の範囲の5倍を超え、より好ましくは第2の方向の範囲の10倍を超える。
【0049】
本発明によるアセンブリを製造するための本発明による方法では、
・キャップがソケットの内側にかつ前方位置に配置された本発明によるコネクタが提供され、
・マルチポート押出管が提供され、
・キャップの内部空間がマルチポート押出管の端区分の一部を収容するように、マルチポート押出管の端区分がソケット内に挿入され、
・マルチポート押出管の端区分がソケット内にさらに延在して、マルチポート押出管によってキャップが前方位置から後方位置に向かって押圧される。
【0050】
本発明によるアセンブリを製造するための本発明による代替的な方法では、
・プレートであるキャップがソケットの内側にかつ前方位置に配置された本発明によるコネクタが提供され、
・マルチポート押出管が提供され、
・マルチポート押出管の端区分の端部が、プレートであるキャップに接触するように、マルチポート押出管の端区分がソケット内に挿入され、
・マルチポート押出管の端区分がソケット内にさらに延在して、マルチポート押出管によってキャップが前方位置から後方位置に向かって押圧される。
【0051】
本発明によるアセンブリを製造するための本発明による代替的な方法では、
・キャップはソケット内に挿入されていないが、封止部材はソケット内に配置されている本発明によるコネクタが提供され、
・マルチポート押出管が提供され、
・マルチポート押出管の端区分の一部が、キャップの内部空間内にあり、
・マルチポートの端区分と、キャップの内部空間内に導入された端区分の一部に装着されたキャップとが、ソケット内に挿入され、
・マルチポートの端区分と、キャップの内部空間内に導入された端区分の一部に装着されたキャップとが、キャップが前方位置を通過して、前方位置から後方位置に向かって移動するようにソケット内にさらに挿入される。
【0052】
本発明によるアセンブリを製造するための本発明による代替的な方法では、
・キャップはソケット内に挿入されていないが、封止部材はソケット内に配置されている本発明によるコネクタが提供され、
・マルチポート押出管が提供され、
・マルチポート押出管の端区分の端部が、プレートであるキャップに配置され、
・マルチポートの端区分と、マルチポート押出管の端区分の端部のキャップとが、ソケット内に挿入され、
・マルチポートの端区分と、マルチポート押出管の端区分の端部のキャップとが、キャップが前方位置を通過して、前方位置から後方位置に向かって移動するようにソケット内にさらに挿入される。
【0053】
好ましい実施形態では、コネクタは車両で使用される。コネクタは、バッテリの熱管理システムの一部として使用することができる。
【0054】
以下では、本発明は、図面に示される例示的な実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】マルチポート押出管の概略的な斜視図である。
【
図2】コネクタが出荷状態にあり、マルチポート押出管がまだコネクタ内に挿入されていない状態の、本発明によるコネクタとマルチポート押出管との第1のアセンブリの切断された概略的な斜視図である。
【
図3】マルチポート押出管の端区分の一部がキャップの内部空間内に挿入されるまで、マルチポート押出管がコネクタに部分的に挿入されており、キャップがキャップの初期位置にある状態の、
図2によるアセンブリの切断された概略的な斜視図である。
【
図4】マルチポート押出管が
図2に示される位置よりもさらにコネクタ内に挿入され、キャップが前方位置に到達した状態の、
図2および
図3によるアセンブリの切断された概略的な斜視図である。
【
図5】マルチポート押出管が完全にコネクタ内に挿入され、キャップが後方位置にある状態の、
図2、
図3、および
図4によるアセンブリの切断された概略的な斜視図である。
【
図6】マルチポート押出管に外嵌されたスリーブと、マルチポート押出管の端区分の端部に設けられたキャップとを備えたマルチポート押出管の概略的な斜視図である。
【
図7】キャップがコネクタハウジングの外側に配置され、マルチポート押出管がまだコネクタ内に挿入されていない状態の、本発明によるコネクタと
図6のマルチポート押出管との第2のアセンブリの概略的な斜視図である。
【
図8】マルチポート押出管がコネクタ内に部分的に挿入されている状態の、
図7によるアセンブリの切断された概略的な斜視図である。
【
図9】マルチポート押出管がさらにコネクタ内に挿入された状態の、
図8によるアセンブリの切断された概略的な斜視図である。
【
図10】マルチポート押出管が
図9に示される位置よりもさらにコネクタ内に挿入され、キャップが前方位置に到達した状態の、
図7、
図8、および
図9によるアセンブリの切断された概略的な斜視図である。
【
図11】マルチポート押出管が完全にコネクタ内に挿入され、キャップが後方位置にある状態の、
図7、
図8、
図9、および
図10によるアセンブリの切断された概略的な斜視図である。
【
図12】マルチポート押出管の端部上に配置されたプレートとして設計されたキャップを備えたマルチポート押出管の更なる実施形態の概略側面図である。
【
図13】プレートとして設計されたキャップがマルチポート押出管からわずかに外れて配置されている状態の、
図12のマルチポート押出管の概略的な斜視図である。
【
図14】アセンブリの一部として使用することができる封止部材の概略的な斜視図である。
【
図15】マルチポート押出管上に配置された
図14の封止部材の概略図である。
【
図16】コネクタが出荷状態にあり、マルチポート押出管がまだコネクタ内に挿入されていない状態の、本発明によるコネクタとマルチポート押出管との第3のアセンブリの切断された概略的な斜視図である。
【
図17】マルチポート押出管の端面がキャップの後部面に接触するまで、マルチポート押出管がコネクタに部分的に挿入されており、キャップがキャップの初期位置にある状態の、
図16によるアセンブリの切断された概略的な斜視図である。
【
図18】マルチポート押出管が
図17に示される位置よりもさらにコネクタ内に挿入され、キャップが前方位置に到達した状態の、
図16および17によるアセンブリの一部の切断された概略的な斜視図である。
【
図19】マルチポート押出管が完全にコネクタ内に挿入され、キャップが後方位置にある状態の、
図16、
図17、および
図18によるアセンブリの切断された概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1、
図6、
図12、
図13は、マルチポート押出管1を示している。本発明によるコネクタ20は、そのようなマルチポート押出管1に接続するために使用される。そのようなマルチポート押出管1は、本発明によるアセンブリの一部を形成する。
【0057】
マルチポート押出管1は、多数の通路2を有している。通路2は、長手方向の範囲を有している。通路2は互いに平行に延在する。各通路の長手方向の範囲は、マルチポート押出管1の長手方向の範囲Aに対して平行である。各通路2は、マルチポート押出管1の端部のポート3で終端する。端部4で終端するマルチポート押出管1の区分は、マルチポート押出管1の端区分5と呼ばれる。マルチポート押出管1の長手方向Aにおける端区分5の範囲は、コネクタの設計に依存する。端区分5は、コネクタによって完全に収容されるマルチポート押出管1の部分である。
【0058】
本発明によるアセンブリの一部として使用することができるマルチポート押出管1は、
図1に示される長手方向Aの長さに限定されない。本発明によるアセンブリの一部として使用することができるマルチポート押出管1は、
図1に示されているよりも実質的に長くすることができる。
【0059】
本発明によるマルチポート押出管1は、長い押出形材から定尺切断することによって製造することができる。切断面は、ポート3を囲む表面になる。切断工程により、マルチポート押出管の端面が粗い形状および/または鋭利な形状になることで、マルチポート押出管1の端部4が封止部材33に接触する場合、封止部材33を損傷させる可能性があることが既知である。切断工程はまた、多くの場合、材料のチップまたは裂片が、長手方向Aに対して角度をなす方向に端面から離れるように延在するようになる可能性がある。
【0060】
マルチポート押出管1は、外周面6を有している。外周面6は、幾つかの部分面から構成されている。
図1に示される実施形態では、外周面6は、第1の平面矩形部分面7と、部分面7に対して平行に配置された第2の平面矩形部分面8とから構成される。マルチポート押出管1の外周面6を完成させるために、円筒の外周面の一部の形状を有する屈曲部分面9,10が設けられる。これらの部分面9および10は、対向する端部同士で部分サービス7および8に接合する。
【0061】
図2~
図5および
図7~
図11に示す本発明によるアセンブリの実施形態では、本発明によるコネクタ20は、線形の挿入方向Bに沿ってソケット21内に挿入されるマルチポート押出管1の端区分5に適したソケット21を有している。ソケット21は、マルチポート押出管1の端区分5の収容に適した端区分収容空間22を含む。端区分収容空間22は、第1の開口23を通って延在するマルチポート押出管1に適した第1の開口23に隣接している。
【0062】
図2~
図5に示す本発明の実施の形態では、コネクタ20の出荷状態(キャップ24が初期位置にある(
図2参照))において、キャップ24が第1の開口23に近い前方位置(
図4に示す)から、第1の開口23から遠い後方位置(
図5に示す)までスライドすることができるように、キャップ24はソケット21の内側に既に配置されている。キャップ24は、端区分収容空間22内に挿入されるマルチポート押出管1(
図3、
図4、
図5参照)の端区分5の一部の収容に適した内部空間25を有している。
図7~
図11に示される本発明の実施形態では、キャップ24は、コネクタ20の出荷状態(
図7参照、キャップ24は初期位置にある)において、ソケット21の外側に配置される。キャップ24はソケット21の外側のマルチポート押出管1の端部4上に配置され(
図7参照)、マルチポート押出管の端部4がソケット21内に挿入されると、キャップ24はソケット21内に導入される。次に、キャップ24は、案内スリーブ40の案内面42に沿ってスライドし(
図8を参照)、その後、キャップ24は、第1の開口23に近い前方位置(
図10に示す)から、第1の開口23から遠い後方位置(
図11に示す)に到達する。キャップ24は、端区分収容空間22内に挿入されるマルチポート押出管1(
図3、
図4、
図5、
図8、
図9、
図10、
図11を参照)の端区分5の一部の収容に適した内部空間25を有している。
【0063】
キャップ24は、外周面26を有している。キャップの外周面26は、
図6、
図13で最もよく見ることができる。
図6は、本発明によるアセンブリの第2の実施形態を示しており、
図13は、本発明によるアセンブリの第3の実施形態を示している。しかしながら、
図6、
図13に示されるキャップ24はまた、
図2~
図5に示される実施形態のキャップ24として使用することができる(
図13に示されるキャップに関しては、
図16~
図19も参照)。キャップ24の外周面26は、幾つかの部分面から構成されている。
図6に示される実施形態では、外周面26は、第1の平面矩形部分面27と、部分面27に対して平行に配置された第2の平面矩形部分面28とから構成される。キャップ24の外周面26を完成させるために、円筒の外周面の一部の形状を有する屈曲部分面29,30が設けられる。これらの部分面29および30は、対向する端部同士で部分面27および28に接合する。
図6、
図13から分かるように、マルチポート押出管1の外周面6は、キャップ24の外周面26に対して平行である。長手方向の範囲A/線形の挿入方向Bに対して垂直な平面における外周面26によって規定されるキャップ24の断面の形状は、長手方向の範囲Aに対して垂直な平面における外周面6によって規定されるマルチポート押出管1の断面と同一の形状である。
【0064】
図6は、キャップ24が大きな流体開口36を有することを示している。流体開口36は、内部空間25をキャップ24の外側に接続する。キャップ24は、流体開口36を横断するバー32であって、部分面28を有するキャップ24の一部に対して部分面27を有するキャップ24の一部を安定化させるバー32によって安定化される。
【0065】
図13に示すキャップ24は、プレートとして設計されたキャップ24をマルチポート管に保持するために、ポート3を通して通路2内に挿入することができる突出部60を有している。更なる実施形態では、
図13に示されるキャップ24は、プレートとして設計されたキャップ24をマルチポート管に保持するために、3つ以上の突出部60を有することができる。
図13に示される実施形態では、キャップ24は、プレートとして設計されており、マルチポート押出管の端面に面する後部面を有している。
図12に示す図では、キャップ24のこの後部面は、マルチポート押出管の端面に接触している。
【0066】
本発明によれば、封止部材33が設けられる(
図14、
図15を参照)。封止部材33は、矩形の断面を有する基体34と、基体34から離れるように延在するリップ35とから構成される。封止部材33は、ソケット21の内側に配置される。封止部材33のリップ35は、キャップ24が前方位置にあるとき(
図4、
図10、
図18を参照)、キャップ24の外周面26に接触する。キャップ24が前方位置にあるとき(
図4、
図10、
図18を参照)、封止部材33は圧縮状態にある。封止部材33は、リップ35がキャップ24によって半径方向外向きに変位させられているので圧縮状態にある(
図3と
図4とを比較し、
図9と
図10とを比較し、
図16と
図18とを比較されたい)。リップ35の先端ひいては封止部材33の一部は、キャップ24が前方位置にあるとき(
図4、
図10、
図18参照)にキャップ24の一部によって占められる空間であって、キャップ24が前方位置(
図4、
図10、
図18参照)から後方位置(
図5、
図11、
図19参照)にスライドするときに解放される空間内に膨張する。リップ33の先端は、依然として
図3に示すリップ33の先端の通常の状態には戻らない。なぜならば、リップ33の先端は、マルチポート押出管1の外周面6に接触しているからである(
図15参照)。リップ33がリップ33の通常な状態(
図3、
図9、
図17参照)に戻ることができずにマルチポート押出管1の外周面6に接触しているため、
図5に示す状態でも依然として存在する、リップ33を通常な状態(
図3、
図9、
図17参照)に押し戻そうとする復元力が、リップ33をマルチポート押出管1の外周面6に押圧する封止力を提供する。
図15の図は、封止部材33のリップ35がマルチポート押出管1の外周面6に接触しているときに、封止部材33のリップ35が依然としてどう変位しているかを単に示すために提供されている。
図14および
図15から分かるように、封止部材33の特定の形状は、Oリングの場合よりも、マルチポート押出管の特定の形状に適応するのにはるかに適している。
【0067】
連続した
図2、
図3、
図4、
図5、および連続した
図7、
図8、
図9、
図10、
図11から分かるように、キャップは、マルチポート押出管1の端区分5の一部、すなわちマルチポート押出管1の端部4に最も近い端区分5の一部を収容する内部空間25を有するので、キャップ24はマルチポート押出管1の端部4が有する可能性のある粗い縁部および/または鋭利な縁部を拡散させる。これらの粗い縁部および/または鋭利な縁部は、キャップ24によって単純に塞がれる。封止部材33に当接するのはキャップ24であり、マルチポート押出管1の粗い可能性および/または鋭利な可能性のある端部4ではない。したがって、マルチポート押出管1の粗い可能性および/または鋭利な可能性のある端部4が封止部材33に当接することなく、かつマルチポート押出管1の粗い可能性および/または鋭利な可能性のある端部4が封止部材33を損傷することなく、キャップ24は、封止部材33を通過したマルチポート押出管1の端部4を案内する。
【0068】
図2および
図6から最もよく分かるように、キャップ24は、1つの長手方向の流体開口36を有している。長手方向の流体開口36は、バー32によって遮られる。これらのバー32は、キャップ24に安定性を付加し、部分面27が部分面28に押圧されることを防止する。バー32はまた、マルチポート押出管1の通路2の側壁に似せて配置することもできる(
図1参照)が、マルチポート押出管1の有する通路2の側壁よりもバー32を少なくすることも実現可能である。
【0069】
図16~
図19は、キャップ24がプレート状に設計され、キャップ24の後部面がマルチポート押出管1の端面に接触するように設計されたアセンブリの実施形態を示す。
図16は、
図2と同様の組立て段階を示し、
図17は、
図3と同様の組立て段階を示し、
図18は、
図4と同様の組立て段階を示し、
図19は、
図5と同様の組立て段階を示している。したがって、詳細な説明については、
図2~
図5の詳細な説明を参照されたい。
図2~
図5の実施形態と
図16~
図19に示される実施形態との違いは、単純にキャップ24の設計にある。
図2~
図5の設計では、キャップ24は、マルチポート押出管1の端区分5の一部、すなわちマルチポート押出管1の端部4に最も近い端区分5の一部を収容する内部空間25を有するように設計されている。
図16~
図19の設計では、キャップ24は、マルチポート押出管1の端区分5の一部、すなわちマルチポート押出管1の端部4に最も近い端区分5の一部を収容するために設けられた内部空間を有していない。
図16~
図19の設計では、キャップ24は、キャップ24の後部面がマルチポート押出管1の端面に単純に接触する。プレート状のキャップ24を鋭利な可能性または粗い可能性のある端面に配置することで、封止部材33への損傷が著しく減少することが既に予想される。
【0070】
マルチポート押出管1の通路2に沿って流れる流体は、ポート3から流出し、キャップ24の流体開口36に流入する。外周面6とキャップ24の内部空間25を画定する壁との設計に応じて、かつ流体の圧力に応じて、流体の一部は、マルチポート押出管1の外周領域6と、キャップ24の内部空間25を画定する表面との間を通過し、開口23に向かって逆流しようとする可能性がある。しかしながら、
図5および
図11に示されるように、封止部材33の配置は、そのような流体が開口23に到達することを防止する。
【0071】
ソケット21は凹部37を有している。凹部37は、ソケット21の段部38と、ソケット21の内側に配置された案内スリーブ40の端面39とによって構成される。封止部材33の一部、すなわち封止部材33の基体34は、凹部37の内側に配置される。図に示される設計では、これはキャップ24のすべての位置で当てはまる。しかしながら、例えばOリングが封止部材33として使用される場合、キャップ24が前方位置にあるときに、キャップ24が前方位置ではない位置にあるよりも、封止部材33が凹部37のより内側にあるような設計は実現可能である。このような設計では、封止部材33は、キャップ24が前方位置から後方位置にスライドするときに解放された空間内に膨張する。しかしながら、図に示される設計では、キャップ24が前方位置にあるとき(
図4、
図10)、キャップ24によって変位させられるのはリップ35だけである。次に、キャップ24の一部によって以前に占められていた空間内に膨張するのはリップ35である。
【0072】
ソケット21は、キャップ当接面41を有している。キャップ24は、後方位置でキャップ当接面24に当接する(
図5、
図11参照)。
【0073】
案内スリーブ40は、ソケット21に少なくとも部分的に配置される。案内スリーブ40は、端区分収容空間22を部分的に画定する案内面42を有している。案内スリーブ40は、コネクタハウジング43に対して別個の要素として構成される。スリーブ40は、コネクタハウジング43の凹部44に係合するクリップ(図示せず)を有している。コネクタハウジング43の凹部44への案内スリーブ40のクリップの係合は、案内スリーブ40をコネクタハウジング43にしっかりと取り付け、案内スリーブ40をソケット21の内側の所定の位置に保持する。案内スリーブ40は、凹部37を部分的に画定するために使用される端部壁39を有している。付加的に、案内スリーブ40の端部は、内側壁45を有している。内側壁45を使用して、凹部37の内側にポケットを作製することができる。ポケットを使用して、封止部材33の基部部分34を収容することができる。コネクタハウジング43とは別個の要素である案内スリーブ40は、コネクタ20の組立てをより容易にする。コネクタ20を組み立てるとき、封止部材33を内側壁45上に配置することができ、キャップを案内スリーブ40の内側に配置して、案内スリーブ40のキャップ当接面47に当接させることができる。このように予め組み立てられた3つの部品(案内スリーブ40、封止部材33、キャップ24)は、コネクタハウジング43のソケット21内に共に挿入することができる。案内スリーブ40がソケット21に圧入され、その後、クリップ(図示せず)が凹部44に入る。
【0074】
コネクタハウジング43は通路47を有している。ソケット21の端部開口48は、端区分収容空間22から(ほぼキャップ当接面41から)通路43に通じている。通路開口49は、ハウジング43の一部として設けられる。
【0075】
図6に示すマルチポート押出管1には、スリーブ31が設けられている。このスリーブ31は、更なる案内機能を担う。
図7から分かるように、
図7~
図11に示される設計の案内スリーブ40の案内面42は、支持壁51の小さな端面50である。スリーブ31は、スリーブ31の外周面56が端面50に当接し、外周面56が端面50によって支持されて案内されるように設計されている。この案内により、スリーブ31は、マルチポート押出管1のコネクタ20のソケット21内への挿入も案内することができる。
【0076】
スリーブ31は、当接壁52を有している。当接壁は、支持壁51の前方を向く表面53に係合する(
図9、
図10、
図11を参照)。スリーブ31はこの位置に留まり(
図9、
図10、
図11)、マルチポート押出管1はスリーブ31に対して移動する(
図6、
図7、
図8、
図9を
図10および
図11と比較されたい)。したがって、スリーブ31は、第1の開口23の領域でマルチポート押出管1を安定化させることができる。
【0077】
キャップ24の内部空間25は、端区分当接面54を有している。マルチポート押出管1の端区分5は、端区分当接面54に当接する。
【国際調査報告】