(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】受動型および動力付き外骨格における自己整列機構
(51)【国際特許分類】
A61H 3/00 20060101AFI20230426BHJP
B25J 11/00 20060101ALI20230426BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
A61H3/00 B
B25J11/00 Z
A61H1/02 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022556520
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 US2021023231
(87)【国際公開番号】W WO2021188947
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399047002
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】サーキシアン,セルゲイ・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】レンジ,トマソ
(72)【発明者】
【氏名】アルチャンゲリ,ダンテ・アミコ・ベネット
【テーマコード(参考)】
3C707
4C046
【Fターム(参考)】
3C707AS38
3C707LU07
3C707MS27
3C707MT08
3C707XK06
3C707XK12
3C707XK74
4C046AA09
4C046AA25
4C046AA42
4C046BB07
4C046DD01
4C046DD12
4C046DD38
4C046DD39
4C046DD41
4C046FF02
4C046FF12
(57)【要約】
人工関節と、人工関節から延びるフレーム部材とを含む外骨格デバイス。フレーム部材は、ユーザの四肢の上への延長のために構成される。外骨格デバイスは、フレーム部材に接続される自己整列機構も含む。自己整列機構は、直動-回転-回転(PRR)構成で提供される3つの受動自由度(pDOF)を含む。自己整列機構は、ユーザの四肢の一部分への機械的結合のために構成される四肢装着部材も含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工関節と、
ユーザの四肢の上への延長のために構成される、前記人工関節から延びるフレーム部材と、
前記フレーム部材に接続される自己整列機構であって、前記自己整列機構は、直動-回転-回転(PRR:prismatic-revolute-revolute)構成で提供される3つの受動自由度(pDOF)を備え、前記自己整列機構は、前記ユーザの前記四肢の一部分に機械的に結合するために構成される四肢装着部材を備える、自己整列機構と
を備える、外骨格デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の外骨格デバイスにおいて、前記人工関節は、第1の構成要素および第2の構成要素を備え、前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、前記ユーザの前記四肢の関節の対向する横側面に位置付けるために構成される、外骨格デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の外骨格デバイスにおいて、前記フレーム部材は、橋渡し要素を備え、前記橋渡し要素は、前記橋渡し要素の対向端において前記第1の構成要素および前記第2の構成要素の両方に接続され、前記フレーム部材は、前記橋渡し要素の中央部分から延びる下部リンクを含み、前記下部リンクは、前記ユーザの前記四肢に沿って延びるように構成される、外骨格デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載の外骨格デバイスにおいて、前記自己整列機構の直動pDOFは、前記下部リンクに接続されるリニアガイドから形成される、外骨格デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の外骨格デバイスにおいて、前記自己整列機構の第1の回転pDOFは、前記下部リンクに摺動可能に接続される前記リニアガイドに接続される回転関節によって形成される、外骨格デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の外骨格デバイスにおいて、前記自己整列機構の第2の回転pDOFは、前記回転関節に接続される回転要素によって形成され、前記回転要素は、前記回転関節と関連付けられた第1の回転軸に対して垂直である第2の回転軸の周りを回転するように構成される、外骨格デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の外骨格デバイスにおいて、前記四肢装着部材は、前記回転要素に接続される、外骨格デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の外骨格デバイスにおいて、前記自己整列機構は、重さが200g未満である、外骨格デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の外骨格デバイスにおいて、前記自己整列機構は、前記外骨格デバイスの総重量の6%未満を形成する、外骨格デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載の外骨格デバイスにおいて、前記人工関節は、スライダ-クランク機構に接続され、前記スライダ-クランク機構は、リニアアクチュエータによって動力供給される、外骨格デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の外骨格デバイスにおいて、前記人工関節は、前記ユーザの前記四肢の関節の対向する横側面に位置付けるために構成される第1の構成要素および第2の構成要素を備え、前記スライダ-クランク機構は、四節機構を備え、前記四節機構は、
前記リニアアクチュエータと前記人工関節の前記第1の構成要素との間に接続される第1のスライダ-クランク構造体と、
前記リニアアクチュエータと前記人工関節の前記第2の構成要素との間に接続される第2のスライダ-クランク構造体と
を備える、外骨格デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載の外骨格デバイスにおいて、前記リニアアクチュエータは、前記ユーザの前記四肢の第2の部分の上での固定のために構成され、前記第2の部分は、前記ユーザの前記四肢の前記一部分に対して前記四肢の前記関節の対向する縦側面にある、外骨格デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の外骨格デバイスにおいて、前記リニアアクチュエータに接続されるシェルをさらに備え、前記シェルは、前記ユーザの前記四肢の前記第2の部分の周りに形成するように構成される、外骨格デバイス。
【請求項14】
請求項13に記載の外骨格デバイスにおいて、前記シェルに接続され、前記シェルを前記ユーザの前記四肢の前記第2の部分に固定するように構成されるストラップをさらに備える、外骨格デバイス。
【請求項15】
請求項12に記載の外骨格デバイスにおいて、前記リニアアクチュエータは、前記ユーザの前記四肢の前記関節との傍矢状の整列状態での前記四肢の前記第2の部分の上での固定のために構成される、外骨格デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載の外骨格デバイスにおいて、前記人工関節の前記第1の構成要素および前記第2の構成要素は、前記ユーザの前記四肢の前記関節から傍矢状にオフセットして位置付けるために構成される、外骨格デバイス。
【請求項17】
請求項12に記載の外骨格デバイスにおいて、前記四肢は、前記ユーザの脚であり、前記四肢の前記一部分は、前記脚の脛であり、前記四肢の前記第2の部分は、前記脚の大腿であり、前記ユーザの前記関節は、前記脚の膝である、外骨格デバイス。
【請求項18】
請求項17に記載の外骨格デバイスにおいて、前記外骨格デバイスは、前記ユーザの右脚への固定のために構成され、前記外骨格デバイスは、前記ユーザの左脚への固定のために構成される、外骨格デバイス。
【請求項19】
外骨格支援運動を促進するための方法であって、
外骨格デバイスの人工関節がユーザ四肢の関節の周りに位置付けられた状態で、前記外骨格デバイスをユーザ四肢に配置するステップと、
前記外骨格デバイスにより前記ユーザ四肢の第1の部分および第2の部分に力を印加するステップであって、前記ユーザ四肢の前記第1の部分および前記第2の部分は、前記ユーザ四肢の前記関節の対向する縦側面にある、ステップと、
前記外骨格デバイスの自己整列機構により前記人工関節と前記ユーザ四肢の前記関節との誤整列を補償するステップであって、前記自己整列機構は、前記ユーザ四肢の前記第1の部分の周りに位置付けられ、前記自己整列機構は、直動-回転-回転(PRR)構成で提供される3つの受動自由度(pDOF)を備える、ステップと、を含み、
前記補償は、前記外骨格デバイスによって前記ユーザ四肢の前記第1の部分に加えられる誤った力および/またはトルクの低減に貢献する、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記外骨格デバイスによって前記ユーザ四肢に印加される約50Nmの支援トルクでは、前記外骨格デバイスによって前記ユーザ四肢の前記第1の部分に加えられるピークの誤った力は、10N未満であり、前記外骨格デバイスによって前記ユーザ四肢の前記第1の部分に加えられるピークの誤ったトルクは、1Nm未満である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001]本出願は、2020年3月20日に出願された、「SELF-ALIGNING MECHANISMS IN PASSIVE AND POWERED ORTHOSES」という表題の米国仮特許出願第62/992,631号の利益およびこれに対する優先権を主張するものであり、その全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]動力付き外骨格などの外骨格は、リハビリテーション、支援、強度増幅、生産性向上、および/またはその他など、様々な目的のために使用される。動力付き外骨格は、制御された量のトルクを着用者の身体へ伝達することによって動作する。しかしながら、安全な、快適な、および/または効果的な様式で着用者の身体へトルクを伝達することは、多くの課題と関連する。例えば、異なる人間同士の解剖学的測定値および比率には高い変動性が存在する。さらには、人間の四肢の形状および/または体積は、筋活性および外骨格との物理的相互作用により変化する。外骨格の効果的な実装における特定の課題は、外骨格の回転軸および/または並進軸(例えば、人工関節)を人間のユーザの解剖学的な回転軸および/または並進軸(例えば、解剖学的な関節)と整列させることと関連する。
【0003】
[0003]人工関節と解剖学的な関節との誤整列は、誤った力および/またはトルクがユーザに印加されることを結果として生じ得る。そして、誤った力および/またはトルクは、解剖学的な関節に対する望ましくない荷重および/またはユーザの皮膚に対するせん断応力をもたらし得る。そのような望ましくない荷重および/またはせん断応力は、外骨格を動作させるときのユーザ快適性および/またはユーザ安全性を低減し得る。
【0004】
[0004]したがって、外骨格を改善することができる機構が現在必要とされている。特に、解剖学的な関節を外骨格の人工関節と効果的に整列させることができる機構が現在必要とされている。
本明細書において特許請求される主題は、任意の欠点を解決する実施形態、または上に説明されるものなどの環境においてのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景は、本明細書に説明されるいくつかの実施形態が実践され得る1つの例示的な技術分野を例証するために提供されるにすぎない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本明細書に開示されるのは、解剖学的関節および外骨格関節を動的に整列させるために外骨格(動力付きまたは動力なし)において利用され得る自己整列機構である。自己整列機構を含む外骨格は、ユーザに対する不快または有害な誤った力および/またはトルクを回避または低減するために、個々のユーザの固有の運動学および動きを調節するように構成され得る。
【0006】
[0006]自己整列機構は、解剖学的関節および人工関節を動的に整列させるために、直動および回転の受動自由度の組み合わせならびに/または弾性要素を使用する。自己整列機構は、人間-ロボット運動学的チェーン内に直列に追加される。これらの自己整列機構は、動力付き臀部外骨格または動力付き膝外骨格などの受動型または動力付き外骨格(または整形器具)において利用され得る。
【0007】
[0007]自己整列機構は、ユーザの関節および軟組織に対する応力を有利に最小限にしながらも、ユーザ人体測定学における変動を考慮する様式で作動軸と解剖軸との動的な整列を提供するように有利に機能する。自己整列機構は、四肢への望ましくない荷重を低減しながら、意図した関節にトルクを伝達するように構成される。
【0008】
[0008]本明細書に説明される自己整列機構は、様々なタイプのユーザ解剖学的構造のために作動軸と解剖軸との動的整列を可能にする。これにより、カスタマイゼーションの必要性が低減された、および個々のカスタマイゼーション特徴の必要性が減少したことに起因するおそらくはより軽量の、外骨格が可能になる。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態は、人工関節と、人工関節から延びるフレーム部材とを含む外骨格デバイスを提供する。フレーム部材は、ユーザの四肢の上への延長のために構成される。外骨格デバイスは、フレーム部材に接続される自己整列機構も含む。自己整列機構は、直動-回転-回転(PRR)構成で提供される3つの受動自由度(pDOF)を含む。自己整列機構は、ユーザの四肢の一部分に機械的に結合するために構成される四肢装着部材も含む。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態は、外骨格支援運動を促進するための方法を提供する。本方法は、外骨格デバイスの人工関節がユーザ四肢の関節の周りに位置付けられた状態で、外骨格デバイスをユーザ四肢に配置するステップを含む。本方法はまた、外骨格デバイスによりユーザ四肢の第1の部分および第2の部分に力を印加するステップも含む。ユーザ四肢の第1の部分および第2の部分は、ユーザ四肢の関節の対向する縦側面にある。さらには、本方法は、外骨格デバイスの自己整列機構により人工関節とユーザ四肢の関節との誤整列を補償するステップを含む。自己整列機構は、ユーザ四肢の第1の部分の周りに位置付けられ、また自己整列機構は、直動-回転-回転(PRR)構成で提供される3つの受動自由度(pDOF)を含む。補償は、外骨格デバイスによってユーザ四肢の第1の部分に加えられる誤った力および/またはトルクの低減に貢献する。
【0011】
[0011]この発明の概要は、発明を実施するための形態において以下にさらに説明される概念を集めたものを簡略化した形式で紹介するために提供される。この発明の概要は、特許請求された主題の重要な特徴または本質的な特徴を識別することは意図されず、また特許請求された主題の範囲を示すものとして使用されることも意図されない。
【0012】
[0012]上に列挙された利点および特徴ならびに他の利点および特徴が獲得され得る様式で説明するため、上に簡単に説明される主題のより具体的な説明が、添付の図面に例証される特定の実施形態を参照してもたらされる。これらの図面が典型的な実施形態を描写するにすぎず、したがって範囲を限定するものと見なされるべきではないという理解の下、実施形態は、添付の図面の使用を通じてさらに具体的および詳細に説明および解説されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013]部分的に伸張された構成にある外骨格デバイスの例示的な構成要素の斜視図である。
【
図2】[0014]屈曲された構成にあるユーザの四肢に固定される例示的な外骨格デバイスの斜視図である。
【
図3】[0015]外骨格デバイスの例示的な自己整列機構の側面図である。
【
図4】[0016]
図4Aは、外骨格デバイスをユーザ四肢に装着するやり方の概略図である。
図4Bは、外骨格デバイスをユーザ四肢に装着するやり方の概略図である。
図4Cは、外骨格デバイスをユーザ四肢に装着するやり方の概略図である。
【
図5】[0017]外骨格デバイスと関連付けられた制御システムおよび信号処理システムのブロック図である。
【
図6A】[0018]自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図6B】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図6C】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図6D】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図6E】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図6F】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図7】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図8A】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図8B】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図8C】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図8D】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図8E】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図8F】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図9】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図10】[0019]本開示による、臀部外骨格の例示的な構成要素の斜視図である。
【
図11】[0020]臀部外骨格の下方界面の拡大斜視図である。
【
図12】[0021]臀部外骨格の上方界面の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概要
[0022]開示された実施形態は、受動型および動力付き外骨格における自己整列機構を対象とする。当業者は、本開示の観点において、本明細書に開示される実施形態の少なくとも一部は、従来の外骨格と関連した様々な短所に対処し得るということを理解するものとする。
【0015】
[0023]例えば、本開示の自己整列機構は、解剖学的関節および人工関節を動的に整列させるために、直動および回転の受動自由度(pDOF)の組み合わせならびに/または弾性要素を使用する。自己整列機構は、四肢への望ましくない荷重を低減しながら、意図した関節にトルクを伝達するように構成される。場合によっては、本開示の自己整列機構のpDOFの動きの範囲は、実質的には、印加される支援トルクの違いによって、または人工関節と解剖学的な関節との誤整列によって影響を受けない(例えば、pDOFにおける取るに足りない摩擦を示す)。
【0016】
[0024]本明細書において説明されるような外骨格デバイスは、ユーザ四肢の外骨格支援運動を促進するために使用され得る。例えば、本開示による、外骨格支援運動を促進するための方法は、外骨格デバイスの人工関節がユーザ四肢の関節の周りに位置付けられた状態で、外骨格デバイスをユーザ四肢に配置するステップなどの様々な行為を含み得る。力は、外骨格デバイスによってユーザ四肢の第1および第2の部分に印加され得る(ユーザ四肢の第1および第2の部分は、ユーザ四肢の関節の対向する縦側面にある)。ユーザ四肢の第1の部分の周りに位置付けられる、外骨格デバイスの自己整列機構は、有利には、人工関節とユーザ四肢の関節との誤整列を補償し得る。そのような補償は、外骨格デバイスによってユーザ四肢の第1の部分に加えられる誤った力および/またはトルクの低減に貢献する。
【0017】
[0025]例えば、本開示による自己整列機構を含む膝外骨格の1つの例示的な実装形態において、膝外骨格によって印加される約50Nmの支援トルクでは、ユーザの脛に印加されるピークの誤った力は、10N未満(例えば、約5N)であり、ユーザの脛に印加されるピークの誤ったトルクは、1Nm未満(例えば、約0.5Nm)である(座位から立位への実験において)。対照的に、自己整列機構なしの膝外骨格では、ピークの誤った力およびトルクは、典型的には、それぞれ50Nおよび10Nmの範囲内である。
【0018】
[0026]本明細書に説明される自己整列機構は、様々なタイプのユーザ解剖学的構造のために作動軸と解剖軸との動的整列を可能にする。これにより、カスタマイゼーションの必要性が低減された、および個々のカスタマイゼーション特徴の必要性が減少したことに起因するおそらくはより軽量の、外骨格が可能になる。さらには、本開示の少なくともいくつかの外骨格は、実質的に対称な人工関節および/またはフレーム構造体を備え、有利には、外骨格がハードウェア修正なしに右肢および左肢の両方において(例えば、ユーザの右脚またはユーザの左脚において)交互に使用されることを可能にする。
【0019】
[0027]加えて、本開示の自己整列機構は、外骨格の総重量のわずかな比率のみを形成するように、有利には軽量様式で構築され得る。例えば、いくつかの実装形態において、自己整列機構は、外骨格の総重量(例えば、約3.6kg)の約6%未満(例えば、5.3%、すなわち190g)を占めるにすぎない。
【0020】
[0028]開示された実施形態の様々な高レベル特徴および利益のうちの一部を説明してきたが、これより
図1~
図12に注意を向ける。これらの図は、開示された実施形態に関する様々な補助事例を例証する。
【0021】
例示的な外骨格デバイス
[0029]
図1は、外骨格デバイス100の例示的な構成要素の斜視図を例証する。
図1に描写される外骨格デバイス100は、動力および/またはトルクをユーザの膝関節に選択的に印加するため(例えば、下肢機能障害を有する個人を支援するため)に適合される。
図1の外骨格デバイス100は、膝外骨格と見なされ得るが、本明細書に説明される原則および技術は、他の身体構造に支援を提供するために適合される外骨格(例えば、腰、肘、手首、足首、および/または他の外骨格)に当てはまり得る。
【0022】
[0030]
図1に示される実施形態において、外骨格デバイス100は、第1の構成要素102Aおよび第2の構成要素102Bから形成される人工関節102を含む。第1の構成要素102Aは、人間の関節(例えば、人間の膝)の第1の横側面に位置付けるために外骨格デバイス100上に配置される一方、第2の構成要素102Bは、人間の関節の第2の対向する横側面に位置付けるために外骨格デバイス100上に配置される(
図2を参照)。
【0023】
[0031]
図1に例証されるように、外骨格デバイス100の人工関節102は、外骨格デバイス100の大腿区域104と外骨格デバイス100の脛区域106との間に回転点を備える。人工関節102は、場合によっては、鋼シャフトおよび低摩擦プラスチックブッシング、ならびに/または他の回転機構を使用して形成され得る。外骨格デバイス100は、人工関節102の周りで大腿区域104に対して脛区域106を回転させるために支援トルクを印加し得る。このやり方では、外骨格デバイス100がユーザの脚に着用されると、支援トルクは、ユーザの脚の大腿および脛に力を印加して、ユーザの膝関節の周りでのユーザの膝の支援付き回転をもたらす。
【0024】
[0032]そのような機能性を促進するため、
図1に描写される例示的な外骨格デバイス100は、人工関節102に接続され、リニアアクチュエータ110によって動力供給される、スライダ-クランク機構108を含む。
図1のスライダ-クランク機構108は、四節機構を形成する別個のスライダ-クランク構造体を含む。例えば、
図1に示されるように、別個のスライダ-クランク構造体は、人工関節構成要素102Aおよび102Bにも接続されるフレーム部材114に接続されるそれぞれのクランク112A、112Bを含む。それぞれのクランク112Aおよび112Bは、それぞれの結合器116A、116Bを介してそれぞれのスライダ118A、118Bに接続し、それぞれのスライダ118A、118Bは、それぞれのスライダ関節120Aおよび120Bにおいて接続される。それぞれのスライダ関節120Aおよび120Bは、リニアアクチュエータ110によって駆動されるように、および大腿区域104に沿って(例えば、ユーザの大腿の上部に沿って)延びるレール126に沿って進むように構成される。
【0025】
[0033]リニアアクチュエータ110は、反力感知弾性アクチュエータ(RFSEA)など、スライダ関節120Aおよび120Bを作動させるための任意の好適な形態を取り得る。いくつかの実装形態において、アクチュエータは、ナットがタイミングベルトによって駆動され、2つのアンギュラコンタクト軸受によって支持されるボールねじシステム(例えば、8×2mm)を使用する。ベルトプーリシステムは、場合によっては、2.5:1伝達比を有し得、ブラシレスDCモータに接続され得る。アクチュエータは、作動システムと接地との間の橋として作用する摺動要素を特徴とし得る。この摺動要素は、外骨格大腿フレームに直接係留し、2つの予圧縮されたコイルスプリングを通じて作動部へ接続され得る。ボールねじは、ボールねじに対するラジアル荷重を防ぐ低摩擦リニアガイドによって支持され得る。
【0026】
[0034]それぞれのスライダ118A、118Bの場所は、四節機構のオフセット(例えば、人工関節構成要素102A、102Bとフレーム部材114へのクランク112A、112Bの接続点との間の距離)に対して制約を課し得る。四節機構のオフセットは、予期されるユーザおよび/またはユーザ群の大腿寸法(例えば、50パーセンタイルの男性大腿の場合は103mm)に合わせるように修正され得る。
【0027】
[0035]
図1は、部分的に伸張された構成にある外骨格デバイス100を例証する。外骨格デバイス100の脛区域106は、(例えば、リニアアクチュエータ110の作動により)完全屈曲位置もしくは完全伸張位置まで、またはそれらの間の任意の位置まで人工関節102の周りで外骨格デバイスの大腿区域104に対して回転され得る。
【0028】
[0036]さらに、いくつかの実装形態において、外骨格デバイス100は、リニアアクチュエータ110の動きの範囲を制限する(例えば、100度の最大屈曲膝角度、または他の最大屈曲角度を結果として生じる)ために、大腿区域104内に統合される屈曲端止め122を含む。またさらに、いくつかの実装形態において、外骨格デバイス100は、人工関節102(および任意の装着された解剖学的な関節)が過伸張することを防ぐために、大腿区域104および脛区域106のフレーム上に統合される伸張端止め124A、124Bを含む。
【0029】
[0037]
図1は、外骨格デバイス100が電子装置128を含み得ることも例証する(その機能および構造は、これ以降に説明される)。
【0030】
[0038]
図2は、ユーザの四肢に固定される外骨格デバイス100の斜視図を例証する(部分的に屈曲された構成にある)。
図2に表されるユーザの四肢は、ユーザの右脚202を含む。
図2から明らかであるように、リニアアクチュエータ110は、ユーザの右脚202の大腿204の上に固定されるように構成される。
【0031】
[0039]例えば、
図2は、外骨格デバイス100のシェル206に固着されるリニアアクチュエータ110を示す。シェル206は、異なる大腿サイズおよび/または形状を有するユーザが快適な様式で外骨格デバイス100を使用することを可能にするために十分に可撓性であり得る可撓性プラスチック成型大腿シェルを備え得る。いくつかの実装形態において、シェル206の内表面は、シェル206が臀部ストラップ208に接続することを可能にする面ファスナー(例えば、ベルクロ(登録商標))または他の締付具で裏打ちされる。
図2の臀部ストラップ208は、外骨格デバイス100とユーザとの物理的接続を改善するために、ユーザの腰および大腿(例えば、シェル206の下)に巻き付き、シェル206に固着することができる。
【0032】
[0040]いくつかの実装形態において、シェル206は、外骨格デバイス100の迅速な着用を促進するために1つまたは複数の追加または代替のストラップ210を備える。例えば、シェル206は、ユーザの大腿204へのシェル206の迅速な固着を促進するためにスピンバックルシステムおよび/または磁気バックルを有するストラップ210を含み得る。
【0033】
[0041]
図2は、外骨格デバイス100が様々なフレーム部材から構築され得ることも示す。例えば、
図2は、スライダ関節120Aおよび120Bを誘導するレール126の終末部から延びる大腿フレーム212を例証する。大腿フレーム212は、人工関節構成要素102Aに向かって延びる。
図2は、ユーザの右脚202の右部分の上にユーザの膝に向かって延びる大腿フレーム212の単一の部分のみを例証するが、大腿フレーム212は、ユーザの右脚202の左部分の上に延びる反対部分を含み得る(
図1を参照)。
【0034】
[0042]
図2は、さらに、外骨格デバイス100のフレーム部材114を描写する。特に、
図2は、ユーザの右脚202の脛214の上に人工関節102から(または人工関節構成要素102Aおよび102Bから)延びるフレーム部材114を示す。これに関して、人工関節102は、場合によっては、フレーム部材114と大腿フレーム212との間の界面と見なされ得る。
【0035】
[0043]
図2に描写される例示的な実装形態において、フレーム部材114は、橋渡し要素216を含み、この橋渡し要素216は、橋渡し要素216の異なる端において人工関節構成要素102Aおよび102Bの両方に接続される(それぞれのクランク112Aおよび112Bに接続されることに加えて)。橋渡し要素216は、橋渡し要素216の中央部分218に向かってユーザの脚202の周りに異なる人工関節構成要素102Aおよび102Bから延びる(例えば、C形状にある)。
図2は、さらに、ユーザの右脚202の脛214の上に、およびこれに沿って延びるように、橋渡し要素216の中央部分218から延びる下部リンク220を例証する。
【0036】
[0044]
図2は、下部リンク220に装着される自己整列機構222を例証する。自己整列機構222は、ユーザの右脚202の脛214に機械的に結合するために構成される四肢装着部材224を含み、これは、リニアアクチュエータが右脚202に固着する場所である右脚202の大腿に対して右脚202の膝関節の反対の縦側面にある。
【0037】
[0045]自己整列機構222のさらなる詳細は、これより、外骨格デバイス100の例示的な自己整列機構222の側面図を例証する
図3を参照して提供される。上に記されるように、自己整列機構222は、フレーム部材114の橋渡し要素216から延びる下部リンク220に接続される。
【0038】
[0046]
図3は、いくつかの実装形態において、自己整列機構222が直動-回転-回転(PRR)構成で提供され得る3つの受動自由度(pDOF)を含むことを例証する。自己整列機構222の3つのpDOFは、場合によっては、上に説明されるような人工関節102によって促進される膝屈曲/伸張の1つの能動回転DOFと直列に統合される。
【0039】
[0047]1つの例において、自己整列機構222の直動pDOFは、下部リンク220に接続されるリニアガイド302から形成される。リニアガイド302は、様々な仕様(例えば、約150gの重量、約750mm可動域(ROM)など)の低摩擦リニアガイドを備え得る。直動pDOFと関連付けられた方向性は、
図3において矢印304Aおよび304Bによって例証され、リニアガイド302が、
図3に表されるように、下部リンク220に沿って摺動することができることを示す。
【0040】
[0048]
図3に例証される例において、自己整列機構222の第1の回転pDOFは、(下部リンク220に摺動可能に接続される)リニアガイドに接続される回転関節306によって形成される。回転関節306は、任意の好適な様式で形成され得、場合によっては、機械的止め部のない(しかしながら、機械的止め部は、いくつかの実施形態においては実装され得る)マルチターン関節を備え得る。第1の回転pDOFと関連付けられた回転方向は、
図3において矢印308および回転軸310によって表され、これは、外骨格デバイス100がユーザの脚に着用されるときのユーザの傍矢状平面の周りの回転を示す。
【0041】
[0049]さらに、
図3は、場合によっては、自己整列機構222の第2の回転pDOFが、回転関節306に接続される回転要素312(第1の構成要素312Aおよび第2の構成要素312Bを備える)から形成されることを示す。例えば、
図3は、脛カフ314を例証し、この脛カフ314は、脛カフ314の中央部分において回転関節306に接続する。脛カフ314はまた、脛カフ314の対向端において回転要素312の構成要素312Aおよび312Bに接続し、回転要素312の構成要素312Aおよび312Bの両方が共通回転軸316(矢印318によって示される回転を伴う)を共有する。このやり方では、回転要素312は、
図3に示されるように、回転関節306と関連付けられた回転軸310に対して垂直である回転軸316の周りを回転するように構成される。例えば、回転関節306の回転軸310が傍矢状平面にある一方、回転要素312の回転軸316は、前頭面にある。
【0042】
[0050]
図3は、回転要素312に固着される自己整列機構222の四肢装着部材224を例証する。このやり方では、回転要素312は、四肢装着部材224を回転関節306に接続するものと見なされ得る。四肢装着部材224は、異なるユーザの異なる四肢解剖学的構造への適合を可能にする調節可能ストラップとして実装され得る。
【0043】
[0051]いくつかの実装形態において、自己整列機構222は、重さが200g未満(例えば、190g)であるか、または重さが外骨格デバイス100の総重量の6%未満(例えば、5.3%)である。本明細書に説明される外骨格デバイス100の少なくともいくつかの態様は、既存の外骨格システムに勝る著しい利益に貢献する。
【0044】
[0052]例えば、
図4A~
図4Cは、外骨格システムをユーザ四肢(例えば、ユーザ脚)に装着する異なるやり方の概略図である。
図4A~
図4Cに描写されるように、F
exoは、外骨格によって印加される力であり、F
hは、人間の四肢の反力である。
図4Aは、従来の外骨格システムを例証し、従来の外骨格システムは、支援トルク要素がユーザ四肢の横に配置された状態でユーザ四肢に取り付けられ、これによりF
exoおよびF
h結合によってねじりモーメントMを作成させる。
【0045】
[0053]
図4Aに示される手法と対照的に、本開示の少なくともいくつかの実装形態は、(i)脛において
図4Bに示される装着構成を使用し、この場合、力は、両側のフレームに装着される柔軟な可撓性ストラップを通じて四肢に伝達され、また本開示の少なくともいくつかの実装形態は、(ii)大腿において
図4Cに示される装着構成を使用し、この場合、力は、四肢の前のフレームに装着される柔軟な可撓性ストラップを通じて伝達される。
図4Bに例証される構成は、ユーザの四肢の関節から傍矢状にオフセットした人工関節の第1の構成要素102Aおよび第2の構成要素102Bの配置によって少なくとも部分的に促進されるが、
図4Cに例証される構成は、同時に、ユーザの四肢の関節と傍矢状に整列したリニアアクチュエータ110の配置によって少なくとも部分的に促進される。
【0046】
[0054]
図4Bおよび
図4Cに描写されるこの対称設計構成において、支援的な外骨格力(F
exo)は、四肢中心軸と交差する。故に、それは、ねじりモーメント(M)を発生させず、以て、従来の外骨格システムに勝る重要な利点を提供する。故に、不快感および痛みさえも生じ得るユーザの皮膚に対するせん断応力は、回避され得る。加えて、ユーザとの接触点における外骨格フレームに対するねじれは、
図4Bおよび
図4Cに描写される設計構成によって回避され得る。故に、本明細書に開示される構成は、自己整列機構222が、ねじれ(例えば、機構の結合を結果として生じ得る、および一般的には、より重くよりかさばる構造および/または増大した設計複雑性を必要とし得る)を回避するのを助けることができる。
【0047】
[0055]いくつかの実装形態において、外骨格デバイス100の対称設計は、ユーザの四肢に巻き付けるための2つの対称な半体から外骨格フレームの各セグメントを構造化することによって促進される。対称設計は、著しいハードウェア修正なしでユーザの右脚またはユーザの左脚への固定のために外骨格デバイス100を構成することができる(例えば、外骨格デバイス100は、ユーザの右脚またはユーザの左脚に可逆的に着用され得る)。外骨格フレームは、7075アルミニウム合金などの任意の好適な材料から機械加工され得る。これらの半体は、ユーザの任意のサイズ範囲(例えば、大腿区域104および脛区域106の直径においてそれぞれ160mmおよび115mmを結果として生じる、50パーセンタイルの成人男性)にフィットするように設計され得、および/または選択的にサイズ変更可能であり得る(例えば、スペーサの使用により)。
【0048】
センサおよび埋め込み型電子装置
[0056]
図5は、外骨格デバイス100と関連付けられた制御および信号処理システムならびに/または技術の例示的なブロック図である。本開示の外骨格デバイスは、人間-ロボット相互作用を正確に制御するためにセンサのアレイ(例えば、電子装置128)を備え得る。例えば、外骨格デバイスは、絶対膝関節位置を推定するための、外骨格の人工/作動式関節に置かれる絶対磁気式ロータリエンコーダを含み得る。モータシャフトに位置付けられるインクリメンタル磁気式ロータリエンコーダは、膝関節の位置を測定し得、モータ角速度を推定するために使用され得る。加えて、リニアアクチュエータ(例えば、RFSEA)は、キャプスタン結合を使用して線形ばねの偏向を測定する高分解能ロータリ絶対エンコーダを装備し得る。キャプスタン結合は、ばねの偏向に起因する線形変位を、ケーブル(例えば、鋼ケーブル)によって駆動され得るエンコーダシャフトの比例的な角変位へと変換する。
【0049】
[0057]試験の目的で、6軸ロードセルが、自己整列機構の機能を査定するために必要に応じてユーザとロボットとの間の物理的な相互作用を正確に測定するために、外骨格脛区域内へ統合され得る。6軸ロードセルは、既製の信号増幅器およびカスタム取得ボードを使用し得る。6軸ロードセルからの力およびトルク記録は、デジタル信号を使用して外骨格制御装置と同期され得る。
【0050】
[0058]外骨格デバイスは、場合によっては、制御ルーチン、ならびにデータロギングおよびWi-Fi通信などの二次機能を実行する2つの異なる処理ユニットを含むカスタム埋め込み型システムを使用して制御され得る。センサ読み出し、フィルタリング、関節位置、およびトルク制御ループなど、すべてのタイムクリティカルなルーチンは、32ビットマイクロプロセッサ上で2kHzで実行し得る。マイクロプロセッサは、PWMを使用してモータ電流サーボ制御装置と通信し得る。高レベル制御ループ、データロギング、およびユーザ通信は、単一ボードコンピュータ上で(例えば、500Hzで)実行し得る。
【0051】
[0059]単一ボードコンピュータは、SPIを使用してマイクロプロセッサと通信し得る。外部デバイスは、データモニタリングおよびパラメータ選択目的のためにカスタムGUIを実行し得、Wi-Fiを使用することにより単一ボードコンピュータと通信し得る。GUIは、制御パラメータを変更するため、およびデータ保存を開始/停止するために使用され得る。加えて、制御システムは、処理ユニット、埋め込み型センサ、および電流サーボ制御装置に動力供給するために、1050mAh 6セルリチウムポリマー電池、および/または5Vレギュレータを使用し得る。いくつかの実装形態において、電力消費は、Wi-Fiがオンおよびオフの場合にそれぞれ3.8Wおよび3.1Wである。さらに、いくつかの実装形態において、バッテリおよび保護カバーを含む埋め込み型電気システムの重量は、1.1kgである。
【0052】
[0060]
図5は、例証された外骨格デバイスと、または自己整列機構を統合する他のそのような外骨格デバイスと併せて使用され得る例示的な制御システムを例証する。高レベルでは、有限状態マシンに基づいた制御装置が、所望の膝トルクを規定する。高レベルでは、外乱オブザーバを有する閉ループトルク制御装置が、電流ドライバを使用して後に課される所望のモータ電流を規定する。生の信号は、膝関節における角度位置およびトルクを推定するために埋め込み型電子装置において処理される。
【0053】
[0061]センサ処理のブロック図が
図5に示される。起動時、絶対エンコーダ(θ
joint)は、逆転した四節運動学
【数1】
を使用してスライダの絶対位置(x
0)を推定する。スライダの絶対位置は、次いで、モータエンコーダ(θ
motor)から推定される相対スライダ位置(x
spindle)と組み合わせて使用されて、スライダ位置
【数2】
の正確な(例えば、+/-0.011mm)測定値を得る。スライダ位置は、四節運動学
【数3】
の位置依存伝達率を計算するために使用される。同様に、膝関節トルク
【数4】
は、伝達率
【数5】
と組み合わせたばね力(F
spring)を使用して推定される。ばね力(F
spring)は、ばねの剛性(K
s)および伝達率
【数6】
と組み合わせてばね撓み(θ
spring)を測定することによって推定される。
【0054】
[0062]低レベルでは、閉ループ制御装置が、所望の膝空間トルク
【数7】
を正確に追跡するために使用される。まず、所望の膝空間トルク
【数8】
が、四節伝達率
【数9】
および組み合わせたタイミングベルト/ボールねじ伝達率(RR)を使用して、等価の所望のモータ空間トルク
【数10】
へと変換される。所望のモータトルクは、次いで、外乱オブザーバ(DOB)を有する閉ループ比例積分偏差(PID)レギュレータに供給される。RFSEAは、以下のように二次システム(P
c)としてモデル化される。
【数11】
【0055】
[0063] 外的な力およびトルクは、外乱として扱われ、フィードフォワードフィルタ(Q
FF)およびフィードバックフィルタ(Q)を使用して、モデル化システムから生じない観察したトルクを補償するためにシステムに入力として供給される。最後に、所望のモータトルク
【数12】
は、膝外骨格上の既製の電流ドライバへ伝達される。
【0056】
[0064]ハイレベルでは、健全な生物力学に基づいたトルク-角度関係が、単に膝関節位置(θ
joint)の関数として座位から立位への遷移の間の所望の膝トルク
【数13】
を規定する。
図5を見て分かるように、所望の膝トルクは、被検者が座っており、膝関節が屈曲されるとき、ゼロで開始する。ユーザが立ち上がる際、外骨格膝関節は、その静止位置から伸張を始める。その結果、所望の外骨格トルクは、ゼロから最大値(T
max)へ増大する。その最大値から、トルクは、膝関節位置と共に減少し、最終的には、膝関節が完全に伸張されるときにゼロに達する。とりわけ、座位から立位への遷移の開始時のユーザの膝角度は、ユーザの人体測定学、椅子の高さ、および姿勢に依存する。この可変性を受け入れるため、外骨格がトルク(θ
start)を提供し始める膝角度は、座位から立位への制御装置が活性化されるときの測定された膝角度に等しい。さらには、所望のピークトルク(T
max)は、GUIを通じて実験者によって調節され得る。ピークトルク(θ
max)が達成される膝角度は、場合によっては、開始角度と終了角度の間の30%で達成される。トルク-角度関係性は、パラメトリックのルックアップテーブル(LUT)により実装され得る。
【0057】
例示的な結果
[0065]
図6A~
図9は、自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。特に、
図6A~
図9によって表されるグラフは、本明細書に説明されるような外骨格デバイス100を使用した実験プロトコルに従って得た。実験プロトコルは、以下の2つのタスク:(i)外骨格によって支援されながら起立すること、および(ii)動力付き外骨格によって生成される仮想インピーダンス磁場に対する所望の位置を追跡することを含んでいた。両方のタスクは、「係止」構成にある自己整列機構を用いて(自己整列機構のpDOFの並進/回転が制限された状態で)および「非係止」構成にある自己整列機構を用いて(pDOFの並進/回転が制限されていない状態で)被検者によって実施された。
【0058】
[0066]結果は、自己整列機構(例えば、上で論じられるような自己整列機構222)が、両方のタスクについてユーザに対する誤った力およびトルクを著しく低減することを示す。実験プロトコルの結果はまた、誤った力およびトルクの低減により促進される増大したレベルのユーザ快適性を実証した。これらの結果は、動力付き膝外骨格を用いた座位から立位へのタスクおよび位置追跡タスクの間の快適性および性能を改善することにおける自己整列機構の効率性を実証する。
【0059】
[0067]理論モデルでは検討されない自己整列機構の質量は、その機能に重要な負の影響を及ぼす。例えば、重力は、自己整列機構の直動pDOFを摺動させ、その機械的終点に到達させ得、実質的に自己整列機能を損なう。同様に、自己整列機構の質量に起因する内的な力およびトルクは、その受動型関節を活動の間動かし得る。これらのモデル化されていない、および制御されていない運動は、誤った力およびトルクの潜在的な低減を制限する可能性があり、ユーザに不快感を引き起こし得る。故に、本明細書に説明されるような自己整列機構に対して比較的小さい質量(例えば、約190g、全体的な外骨格質量の約5.3%など)を利用することが、快適性および性能における観察された改善に貢献する。
【0060】
[0068]自己整列機構の質量を、荷重時にその機能を損なうことなく低減することは、特に、自己整列機構の受動的関節が支援トルクを転送しながら自由に動くことができなければならないことから、多くの課題と関連する。例えば、直動関節/pDOFは、動力付き外骨格がユーザの膝関節において支援的および制限的トルクと提供することができるように、力F
zを転送しながら自由に摺動できなければならない(
図6Cを参照)。いくつかの実装形態において、比較的大きいリニアガイド302が使用される(150g、3.5kN最大荷重)。より小さくより軽量のリニアガイドは全体的な質量を低減するが、それは、摩擦を増大させ得、これにより、荷重時の受動的関節の運動を損ない得る。
【0061】
[0069]とりわけ、上で論じられるような動力付き外骨格の対称設計は、自己整列機構の機能に対して有益な効果を有する。対称設計は、リニアガイドに対するトルクを最小限にし、自己整列機構の質量および摩擦の両方が最小限にされることを可能にする。同様に、対称設計は、自己整列機構のリンク機構が耐えなければならない荷重を低減する。この荷重低減は、自己整列機構のリンク機構における変形が、その受動的関節が荷重時に自由に動く能力を損ない得ることから、有益である。
【0062】
[0070]各実験条件の間の快適性および成果は、各試験(すなわち、外骨格デバイスが係止構成および非係止構成にある状態での、起立タスクおよび追跡タスク)の終わりに被検者によって記入される質問票を使用して査定された。結果は、自己整列機構の存在が、起立タスクおよび追跡タスクの両方の間、快適性を著しく改善することを示す。興味深いことに、追跡タスクは、起立タスクよりも著しく快適であることが報告された。この結果は、誤った力およびトルクが追跡タスクよりも起立タスクの間に大きかったということによって説明され得る。故に、これらの結果は、誤った力およびトルクとユーザの快適性との間に相関が存在することを示唆する。結果は、これらの相互作用力およびトルクが、非係止構成を使用するときよりも係止構成を使用すると、被検者がより低い快適性を感じるのに十分に大きかったことを示唆する。
【0063】
[0071]起立タスクの間の性能は、圧力中心(CoP)と自己整列機構上のフォースプレートの正中線との間の平均二乗誤差の平方根および正中線からのCoPの最大偏差を使用して査定された。結果は、両方の性能測定基準が、自己整列機構の存在下で(すなわち、非係止構成において)著しくより良好であった(最大32%)ことを示す。追跡タスクの間の性能は、ターゲット波と測定された膝角度との間のRMS誤差を使用して査定された。RMS誤差は、係止構成よりも非構成構成において著しく低かった(38%)。
【0064】
[0072]
図6A~
図6Fは、外骨格デバイスが係止構成および非係止構成にある状態での座位から立位への(STS)タスクの間の被検者の脛と外骨格デバイスとの間での相互作用力およびトルクの平均値を例証する。
図7は、係止構成および非係止構成の両方の場合のSTSタスクについての平均力およびトルクの絶対値のバープロットを提供し、誤差バーは、標準誤差を示す。同様に、
図8A~
図8Fは、外骨格デバイスが係止構成および非係止構成にある状態での追跡(TRK)タスクの間の被検者の脛と外骨格デバイスとの間での相互作用力およびトルクの平均値を例証する。
図9は、係止構成および非係止構成の両方の場合のTRLタスクについての平均力およびトルクの絶対値のバープロットを提供し、誤差バーは、標準誤差を示す。
【0065】
[0073]
図6A~
図9から明らかであるように、F
yおよびF
zの平均は、起立タスクの間は係止構成および非係止構成について同様であるが、追跡タスクではそうではない。さらに、
図6A~
図9は、追跡タスクの間、F
yおよびF
zは、同様の軌道をたどるように見えるが、非係止構成では、データは、係止構成と比較してオフセットされる。条件間でのF
yおよびF
zにおけるこのような変動は、動力付き外骨格の能動的関節に対するロードセルの位置によって引き起こされた場合があり、これは、ロードセルが外骨格のフレームに沿って摺動し得ることから、自己整列機構が非係止条件にあるときに変化し得る。興味深いことに、起立タスクの間、F
zの平均値は、係止構成にあるときよりも非係止構成にあるときにわずかに高い。非係止構成では、F
zのみが、ユーザの膝に対して所望の屈曲/伸張トルクを発生させることに貢献する。対照的に、係止構成では、F
zおよびT
yの両方が、膝屈曲/伸張トルクをユーザの膝に転送することに貢献し、非係止構成の間の外骨格と人間の四肢との間のトルクのより純粋な移動の可能性を示す。
【0066】
[0074]
図6A~
図9に示される結果は、自己整列機構の存在(すなわち、非係止構成)が、起立タスクおよび追跡タスクの両方の間、F
x、T
y、およびT
zの平均値において著しい減少をもたらし得ることを示す。この低減は、第1の軸に沿った並進運動および互いに対して垂直である2つのさらなる軸の周りの回転運動を可能にする3つのpDOFを備える、外骨格デバイスに実装される自己整列機構によって少なくとも部分的に促進される。これらの結果は、提案された自己整列機構が、誤った力およびトルクに対して著しい効果を有することを示す。異なる特定の運動学または機械的実装形態では、自己整列機構は、それが誤った力およびトルクにおける同様の低減を示すことができることを前提に、同様の快適性および性能改善を達成するために使用され得る。
【0067】
追加の実施形態
[0075]本明細書内で上に示されるように、自己整列機構は、様々なタイプの外骨格デバイスに実装され得、膝外骨格に限定されない。例えば、
図10は、ユーザの大腿に接続するための下方界面1002ならびにユーザの臀部に接続するための上方界面1004を含む臀部外骨格1000を例証する。下方界面1002は、大腿カフ1006(例えば、剛性プラスチックおよびナイロンストラップから形成される)ならびにユーザの大腿に固定する(例えば、大腿整形器具を形成する)ための弾性要素1008(例えば、厚い外科用ゴム)を含む。大腿整形器具は、合力を遠位大腿の大部分に分散させ、荷重分散棒1016を含み得る。
【0068】
[0076]上方界面1004は、ユーザの臀部に巻き付く(例えば、骨盤整形器具を形成する)骨盤パッド(図示されない)に接続するように構成される装着部材1010を含む。骨盤整形器具は、ユーザの骨盤の両側への装着のための別個の要素を含み得る。別個の要素は、ストラップ(例えば、スピンバックルストラップ)によって接続され得る。骨盤整形器具は、骨盤整形器具の独立運動に抵抗し、矢状面モーメントを腰背部の仙骨部分および腰椎部分に転送する耐ねじれ性の棒を含み得る。耐ねじれ性の棒はまた、臀部外骨格1000のための電子装置および/またはバッテリを格納し得る。
【0069】
[0077]臀部外骨格1000は、ユーザの臀部への支援トルクの印加を促進するための能動的DOFを提供するために、ユーザの臀部の周りに位置付けるために構成される人工関節1012を含む。
【0070】
[0078]
図10の臀部外骨格1000は、支援トルクを促進するためにオフセットスライダ-クランク機構1014を利用する。いくつかの実装形態において、オフセットスライダ-クランク機構1014は、高効率ボールねじと結合されるリニアアクチュエータ(例えば、ブラシレスDCモータおよび一次はすば歯車伝動装置を含む)によって動力供給され得る。リニアガイドは、ボールねじナットに対する垂直荷重を支持し得る。アンギュラコンタクト玉軸受は、はすば歯車に対するラジアル荷重および軸荷重を支持し得、レールに沿ったねじナットおよびリニアガイドブロックの並進移動は、複合準拠棒を通じて作動式人工関節1012の回転に変換され得、直列弾性アクチュエータを作成する。軽量、低摩擦の乾燥ブッシングは、作動式人工関節1012の荷重を支持し得る。
【0071】
[0079]
図11は、臀部外骨格1000の下方界面1002の拡大図を例証する。
図11に例証されるように、下方界面1002は、ユーザの臀部に印加されることになる誤った力およびトルクにおける低減を促進するために自己整列機構1102を含む。特に、自己整列機構1102は、1つまたは複数のレール1104を備え、そこに1つまたは複数のリニアガイド1106が装着されており(例えば、臀部外骨格1000のシャフト1110の複数の側面における対応するレールおよびリニアガイド)、直動pDOF(矢印1108Aおよび1108Bによって示される方向性を伴う)を提供する。
【0072】
[0080]自己整列機構1102はまた、1つまたは複数のリニアガイド1106に結合され、直動pDOFと関連付けられた並進軸に対して垂直である軸の周りでの大腿カフ1006の受動的回転を促進するために大腿カフ1006に接続される回転関節1112によって提供される回転pDOFを含む(
図11において軸1114および矢印1116によって示される)。自己整列機構1102は、臀部外骨格1000によってユーザの身体に印加される誤った力およびトルクにおける低減に貢献する。
【0073】
[0081]
図12は、臀部外骨格1000の上方界面1004の拡大図を例証する。特に、
図12は、上方界面1004が、別個の回転関節1204Aおよび1204Bによって形成される一対の回転pDOFを含む、ならびに人工関節1012の能動的DOFと直列に構成される、別個の自己整列機構1202を備え得ることを例証する。自己整列機構1202のpDOFは、制約のない臀部外転および/または内転を可能にし得る。一対の回転pDOFは、平行回転軸1206Aおよび1206B(矢印1208Aおよび1208Bによって示される)の周りで回転する。自己整列機構1202は、特に自己整列機構1102と組み合わせて臀部外骨格1000の動力付き屈曲/伸張軸とユーザの解剖学的屈曲/伸張軸との任意の誤整列から生じる、誤った力およびトルクにおける低減に貢献する。
【0074】
[0082]以下は、臀部外骨格1000と共に実装され得る例示的なセンシングおよびパワーエレクトロニクスの概要を提供する。臀部外骨格1000は、1200mAh、6セルリチウムイオン(LiIon)バッテリなどの電源を含み得る。5Vレギュレータは、埋め込み型コンピュータおよびアナログセンサに動力供給するために必要に応じて供給電圧をスケーリングするために実装され得る。3.3Vレギュレータは、マイクロコントローラに動力供給し、デジタルセンサのための論理電圧として動作し得る。2つの別個の処理ユニットが、制御ルーチンならびにデータ保存およびWi-Fi通信などの二次機能を実行するためにマザーボードに実装され得る。センサ読み出し、フィルタリング、関節位置、トルク制御ループなどのすべてのタイムクリティカルなルーチンは、マイクロコントローラ(例えば、32ビットマイクロコントローラ)上で1Khzで実行し得る。マイクロコントローラは、50kHzで閉ループモータ電流制御を実行する2つのモータサーボドライブに通信するためにパルス幅変調(PWM)を使用し得る。
【0075】
[0083]マイクロコントローラは、埋め込み型センサ、ならびに高レベル制御ループ、データ保存、およびユーザ通信を実行し得る(例えば、500Hzで)埋め込み型単一ボードコンピュータと通信するために、専用シリアル周辺機器インターフェース(SPI)バスを使用し得る。埋め込み型単一ボードコンピュータは、Wi-Fiを使用して遠隔デバイスと通信し得る。遠隔デバイスは、データモニタリングおよびパラメータ選択目的のためのカスタムグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を実行し得る。GUIを使用して、ユーザは、デバイスが動作している間、高レベル制御パラメータを修正することができる。埋め込み型コンピュータのための動作システムは、データストレージのためにも使用され得る単一のSDカードに記憶され得る。マイクロプロセッサ、埋め込み型単一ボードコンピュータ、モータサーボドライブ、および電圧レギュレータは、カスタムマザーボード上で統合され得る。電源を含む電気システムは、骨盤界面の裏に接続し得るカスタム保護カバー内に完全に囲まれ得る。いくつかの実装形態において、電力消費は、Wi-Fiがオンおよびオフの場合にそれぞれ3.6Wおよび3.1Wである。
【0076】
[0084]センサ回路基板は、臀部外骨格フレーム内に収容され得る。14ビット磁気式絶対エンコーダ基板は、臀部屈曲/伸張角度を測定し得、炭素繊維フレームの近位端に位置し得る。慣性測定装置(IMU)基板は、加速度および回転速度を測定し得、炭素繊維フレームの遠位端に位置し得る。両方のカスタム回路基板は、SPIを使用してマイクロコントローラと通信し得る。専用の遮蔽線が、センサからマザーボードへデジタルデータを伝送するために使用され得る。インクリメンタルエンコーダは、トルク制御目的のためにモータシャフトの位置を測定するために使用され得る。モータに埋め込まれるホールセンサは、サーボドライブによる整流のために使用され得る。インクリメンタルエンコーダおよびホールセンサからの信号は、専用の遮蔽線を使用してマザーボードに伝送され得る。モータ電力段電流を流す別のケーブルが、外骨格をマザーボードに接続し得る。
【0077】
[0085]階層制御装置は、歩行運動の間、同時支援を提供し得る。高レベルでは、適応周波数発振器(AdOsc)は、結合された人間-外骨格システムの歩行リズムを推定し得る。リズムの推定は、歩行サイクル発展(例えば、0~100%ストライド完了)の連続推定を提供するために、歩行サイクルの始まりに関する情報と組み合わされ得る。臀部伸張角度のピークは、歩行サイクルの始まりとして使用される。
【0078】
[0086]有限状態マシンが、歩行サイクルの始まりを示す臀部屈曲角度のピークを検出し得る。有限状態マシンは、ピーク屈曲および振れ準備/開始という2つの状態を含み得、状態マシンは、矢状面における大腿の角度配向および速度を入力として取り得る。これらの入力変数は、IMUからの加速度計およびジャイロスコープデータを組み合わせる相補フィルタによって推定され得る。低域フィルタは、ノイズを低減し、ロバスト性を増大させるために、大腿配向に適用され得る。とりわけ、フィルタによってもたらされる遅延は、支援のタイミングを調整するときを説明するものであり得る。大腿配向が既定のしきい値よりも高く(例えば、臀部関節が屈曲される)、大腿速度が既定の負のしきい値よりも低い(例えば、大腿が伸張している)とき、有限状態マシンは、ピーク屈曲状態と振れ準備/開始状態との間で遷移し得る。この遷移は、臀部屈曲の好適なピークが検出されていることを示し、歩行サイクルの始まりをトリガする。振れ準備/開始状態から、有限状態マシンは、大腿配向が既定のしきい値よりも低い(すなわち、臀部関節が伸張される)とき、ピーク屈曲状態へ遷移して戻り得る。
【0079】
[0087]動力付き臀部外骨格1000は、両側または片側構成で使用され得、2つの作動モジュールは、交換可能であり得る。各作動モジュールは、専用の有限状態マシンおよび適応発振器を有し得る。外骨格が両側に使用されるとき、ユーザは、各作動モジュールに専用の有限状態マシンおよび適応発振器を使用するという選択肢を有し得る。この場合、モジュールは、支援を生成するために独自のパーセントストライド推定を使用して、互いと独立して制御される。代替的に、ユーザは、両方の作動モジュールを制御するために1つの作動モジュールの有限状態マシンおよび適応発振器を選択するという選択肢を有し得る。ユーザが1つの作動モジュールのみからの有限状態マシンおよび適応発振器を使用することを選択する場合、対側部位の所望のトルクは、ストライドの50%だけ遅延され得る。後者の選択肢は、例えば、半身まひ被検者が患側の運動を制御するために健側を使用する場合に使用され得る。
【0080】
[0088]中レベル制御装置は、高レベル制御装置から受信される歩行相推定(例えば、パーセントストライド)に基づいて所望の支援トルクを規定する。所望の支援トルクは、屈曲のために1つ、および伸張のために1つと、2つのガウス関数を使用して規定される。各ガウス関数は、グラフィカルユーザインターフェースを通じてユーザによって調節され得る3つのパラメータを含み得る。
【数14】
【0081】
[0089]第1のパラメータは、トルクのピークである(すなわち、Tflx、Text)。第2のパラメータは、トルクのピークが発生するトルクのピーク(すなわち、tflx、text)タイミング、またはパーセントストライドである。第3のパラメータは、ガウス関数の幅(すなわち、wflx、wext)を変化させることによって調節される支援の持続時間である。ガウス関数によって得られる所望のトルクは、次いで、ユーザの体格指数によってスケーリングされ得る。ユーザは、動力付き臀部外骨格の左側および右側に異なるパラメータを使用するか、同じパラメータを使用する選択肢を有する。
【0082】
[0090]低レベル制御装置は、所望の支援トルクをサーボモータのための所望のモータトルクへ変換する。トルク制御装置は、位置依存の伝達率に基づいたフィードフォワードコマンドを含み得る。このフィードフォワードコマンドは、作動システムの効率を補償する定数係数(η)を含み得る。加えて、2つの補償器が、出力関節において忠実度を増大させ皮相インピーダンスを低減する出力トルクに対する伝達システムの動的効果を修正するために実装され得る。両方の補償器は、インクリメンタルエンコーダによって測定されるモータ位置を入力として取り得る。第1の補償器は、リニアアクチュエータ速度に起因する粘性トルクのオンライン推定値を生成し得る。第2の補償器は、伝達イナーシャの、スケーリングされローパスフィルタリングされた推定値を演算し得る。所望の電流は、まずフィードフォワード項を補償器推定値に加算し、次いでモータのトルク定数で除算することによって計算され得る。
【0083】
[0091]歩くこと、走ること、および階段を上ることは、周期活動であるが、運動学的プロファイルは異なる。各活動の周期性は、AdOscが各タスクの周波数を学習することを可能にし得、状態マシンパラメータは、運動学にフィットするようにさらに調整され得る。さらに、ピーク支援およびタイミングは、歩くこと、走ること、および階段で異なる。しかしながら、高レベル制御アルゴリズムは、場合によっては、ユーザ活動間で根本的に変わらない。したがって、一連のパラメータは、所望の支援プロファイルが確実に生成され得るように、タスクの各々について調整され得る。
【0084】
さらなる例示的な態様
[0092]本開示の実施形態は、以下の条項に列挙される特徴を含み得るが、必ずしもこれらに限定されない。
【0085】
[0093]条項1:人工関節と、ユーザの四肢の上への伸張のために構成される、人工関節から延びるフレーム部材と、フレーム部材に接続される自己整列機構と、を備える外骨格デバイスであって、自己整列機構は、直動-回転-回転(PRR)構成で提供される3つの受動自由度(pDOF)を備え、自己整列機構は、ユーザの四肢の一部分に機械的に結合するために構成される四肢装着部材を備える、外骨格デバイス。
【0086】
[0094]条項2:条項1に記載の外骨格デバイスにおいて、人工関節は、第1の構成要素および第2の構成要素を備え、第1の構成要素および第2の構成要素は、ユーザの四肢の関節の対向する横側面に位置付けるために構成される、外骨格デバイス。
【0087】
[0095]条項3:条項2に記載の外骨格デバイスにおいて、フレーム部材は、橋渡し要素を備え、橋渡し要素は、橋渡し要素の対向端において第1の構成要素および第2の構成要素の両方に接続され、フレーム部材は、橋渡し要素の中央部分から延びる下部リンクを含み、下部リンクは、ユーザの四肢に沿って延びるように構成される、外骨格デバイス。
【0088】
[0096]条項4:条項3に記載の外骨格デバイスにおいて、自己整列機構の直動pDOFは、下部リンクに接続されるリニアガイドから形成される、外骨格デバイス。
【0089】
[0097]条項5:条項4に記載の外骨格デバイスにおいて、自己整列機構の第1の回転pDOFは、下部リンクに摺動可能に接続されるリニアガイドに接続される回転関節によって形成される、外骨格デバイス。
【0090】
[0098]条項6:条項5に記載の外骨格デバイスにおいて、自己整列機構の第2の回転pDOFは、回転関節に接続される回転要素によって形成され、回転要素は、回転関節と関連付けられた第1の回転軸に対して垂直である第2の回転軸の周りを回転するように構成される、外骨格デバイス。
【0091】
[0099]条項7:条項6に記載の外骨格デバイスにおいて、四肢装着部材は、回転要素に接続される、外骨格デバイス。
【0092】
[0100]条項8:条項1~7のいずれか一項に記載の外骨格デバイスにおいて、自己整列機構は、重さが200g未満である、外骨格デバイス。
【0093】
[0101]条項9:条項1~8のいずれか一項に記載の外骨格デバイスにおいて、自己整列機構は、外骨格デバイスの総重量の6%未満を形成する、外骨格デバイス。
【0094】
[0102]条項10:条項1~9のいずれか一項に記載の外骨格デバイスにおいて、人工関節は、スライダ-クランク機構に接続され、スライダ-クランク機構は、リニアアクチュエータによって動力供給される、外骨格デバイス。
【0095】
[0103]条項11:条項10に記載の外骨格デバイスにおいて、人工関節は、ユーザの四肢の関節の対向する横側面に位置付けるために構成される第1の構成要素および第2の構成要素を備え、スライダ-クランク機構は、四節機構を備え、四節機構は、リニアアクチュエータと人工関節の第1の構成要素との間に接続される第1のスライダ-クランク構造体と、リニアアクチュエータと人工関節の第2の構成要素との間に接続される第2のスライダ-クランク構造体と、を備える、外骨格デバイス。
【0096】
[0104]条項12:条項11に記載の外骨格デバイスにおいて、リニアアクチュエータは、ユーザの四肢の第2の部分の上での固定のために構成され、第2の部分は、ユーザの四肢の一部分に対して四肢の関節の対向する縦側面にある、外骨格デバイス。
【0097】
[0105]条項13:条項12に記載の外骨格デバイスにおいて、リニアアクチュエータに接続されるシェルをさらに備え、シェルは、ユーザの四肢の第2の部分の周りに形成するように構成される、外骨格デバイス。
【0098】
[0106]条項14:条項13に記載の外骨格デバイスにおいて、シェルに接続され、シェルをユーザの四肢の第2の部分に固定するように構成されるストラップをさらに備える、外骨格デバイス。
【0099】
[0107]条項15:条項12~14のいずれか一項に記載の外骨格デバイスにおいて、リニアアクチュエータは、ユーザの四肢の関節との傍矢状の整列状態での四肢の第2の部分の上での固定のために構成される、外骨格デバイス。
【0100】
[0108]条項16:条項15に記載の外骨格デバイスにおいて、人工関節の第1の構成要素および第2の構成要素は、ユーザの四肢の関節から傍矢状にオフセットして位置付けるために構成される、外骨格デバイス。
【0101】
[0109]条項17:条項12~16のいずれか一項に記載の外骨格デバイスにおいて、四肢は、ユーザの脚であり、四肢の一部分は、脚の脛であり、四肢の第2の部分は、脚の大腿であり、ユーザの関節は、脚の膝である、外骨格デバイス。
【0102】
[0110]条項18:条項17に記載の外骨格デバイスにおいて、外骨格デバイスは、ユーザの右脚への固定のために構成され、外骨格デバイスは、ユーザの左脚への固定のために構成される、外骨格デバイス。
【0103】
[0111]条項19:外骨格支援運動を促進するための方法であって、外骨格デバイスの人工関節がユーザ四肢の関節の周りに位置付けられた状態で、外骨格デバイスをユーザ四肢に配置するステップと、外骨格デバイスによりユーザ四肢の第1の部分および第2の部分に力を印加するステップであって、ユーザ四肢の第1の部分および第2の部分は、ユーザ四肢の関節の対向する縦側面にある、ステップと、外骨格デバイスの自己整列機構により人工関節とユーザ四肢の関節との誤整列を補償するステップであって、自己整列機構は、ユーザ四肢の第1の部分の周りに位置付けられ、自己整列機構は、直動-回転-回転(PRR)構成で提供される3つの受動自由度(pDOF)を備える、ステップと、を含み、補償は、外骨格デバイスによってユーザ四肢の第1の部分に加えられる誤った力および/またはトルクの低減に貢献する、方法。
【0104】
[0112]条項20:条項19に記載の方法において、外骨格デバイスによってユーザ四肢に印加される約50Nmの支援トルクでは、外骨格デバイスによってユーザ四肢の第1の部分に加えられるピークの誤った力は、10N未満であり、外骨格デバイスによってユーザ四肢の第1の部分に加えられるピークの誤ったトルクは、1Nm未満である、方法。
【0105】
結び
[0113]本開示の特定の実施形態は、特定の構成、パラメータ、構成要素、要素などを参照して詳細に説明されているが、本説明は、例証的であり、特許請求された発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0106】
[0114]さらに、説明された実施形態の構成要素の任意の所与の要素について、その要素または構成要素について列挙される可能な代替案のいずれかは、別途暗示的または明示的に記載のない限り、全体的に、個々にまたは互いと組み合わせて使用され得るということを理解されたい。
【0107】
[0115]加えて、別途示されない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される量、成分、距離、または他の測定値を表現する数字は、用語「約」またはその同義語によって任意選択的に修正されるものと理解されるべきである。用語「約」、「およそ」、「実質的に」、または同様のものが、述べられた量、値、または状態と併せて使用されるとき、それは、述べられた量、値、または状態の20%未満、10%未満、5%未満、または1%未満だけ逸脱する量、値、または状態を意味すると取られ得る。最低限、また特許請求の範囲への均等論の適用を制限する狙いとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効桁数を考慮して、および通常の四捨五入技術を適用することによって、解釈されるべきである。
【0108】
[0116]本明細書で使用される任意の見出しおよび小見出しは、整理の目的にすぎず、本説明または特許請求の範囲を制限するために使用されることは意図されない。
【0109】
[0117]本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、別途文脈が明確に示さない限り、複数指示対象を除外しないということにも留意されたい。故に、例えば、単数指示対象(例えば、「widget(ウィジェット)」)を参照する実施形態は、2つ以上のそのような指示対象も含み得る。
【0110】
[0118]本明細書に説明される実施形態は、本明細書に説明される他の実施形態において説明される性質、特徴(例えば、構成成分、構成要素、部材、要素、部品、および/または部分)を含み得るということも理解されたい。したがって、所与の実施形態の様々な特徴は、本開示の他の実施形態と組み合わされ得、および/またはこれに組み込まれ得る。故に、本開示の特定の実施形態に関連する特定の特徴の開示は、上記特徴の適用または包含をその特定の実施形態に制限するものと解釈されるべきではない。むしろ、他の実施形態もそのような特徴を含み得るということが理解されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利
本発明は、国防総省/DARPAにより与えられた認可番号W81XWH-16-1-0701の下、政府支援を得て行われた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
関連出願への相互参照
[0001]本出願は、2020年3月20日に出願された、「SELF-ALIGNING MECHANISMS IN PASSIVE AND POWERED ORTHOSES」という表題の米国仮特許出願第62/992,631号の利益およびこれに対する優先権を主張するものであり、その全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]動力付き外骨格などの外骨格は、リハビリテーション、支援、強度増幅、生産性向上、および/またはその他など、様々な目的のために使用される。動力付き外骨格は、制御された量のトルクを着用者の身体へ伝達することによって動作する。しかしながら、安全な、快適な、および/または効果的な様式で着用者の身体へトルクを伝達することは、多くの課題と関連する。例えば、異なる人間同士の解剖学的測定値および比率には高い変動性が存在する。さらには、人間の四肢の形状および/または体積は、筋活性および外骨格との物理的相互作用により変化する。外骨格の効果的な実装における特定の課題は、外骨格の回転軸および/または並進軸(例えば、人工関節)を人間のユーザの解剖学的な回転軸および/または並進軸(例えば、解剖学的な関節)と整列させることと関連する。
【0003】
[0003]人工関節と解剖学的な関節との誤整列は、誤った力および/またはトルクがユーザに印加されることを結果として生じ得る。そして、誤った力および/またはトルクは、解剖学的な関節に対する望ましくない荷重および/またはユーザの皮膚に対するせん断応力をもたらし得る。そのような望ましくない荷重および/またはせん断応力は、外骨格を動作させるときのユーザ快適性および/またはユーザ安全性を低減し得る。
【0004】
[0004]したがって、外骨格を改善することができる機構が現在必要とされている。特に、解剖学的な関節を外骨格の人工関節と効果的に整列させることができる機構が現在必要とされている。
本明細書において特許請求される主題は、任意の欠点を解決する実施形態、または上に説明されるものなどの環境においてのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景は、本明細書に説明されるいくつかの実施形態が実践され得る1つの例示的な技術分野を例証するために提供されるにすぎない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本明細書に開示されるのは、解剖学的関節および外骨格関節を動的に整列させるために外骨格(動力付きまたは動力なし)において利用され得る自己整列機構である。自己整列機構を含む外骨格は、ユーザに対する不快または有害な誤った力および/またはトルクを回避または低減するために、個々のユーザの固有の運動学および動きを調節するように構成され得る。
【0006】
[0006]自己整列機構は、解剖学的関節および人工関節を動的に整列させるために、直動および回転の受動自由度の組み合わせならびに/または弾性要素を使用する。自己整列機構は、人間-ロボット運動学的チェーン内に直列に追加される。これらの自己整列機構は、動力付き臀部外骨格または動力付き膝外骨格などの受動型または動力付き外骨格(または整形器具)において利用され得る。
【0007】
[0007]自己整列機構は、ユーザの関節および軟組織に対する応力を有利に最小限にしながらも、ユーザ人体測定学における変動を考慮する様式で作動軸と解剖軸との動的な整列を提供するように有利に機能する。自己整列機構は、四肢への望ましくない荷重を低減しながら、意図した関節にトルクを伝達するように構成される。
【0008】
[0008]本明細書に説明される自己整列機構は、様々なタイプのユーザ解剖学的構造のために作動軸と解剖軸との動的整列を可能にする。これにより、カスタマイゼーションの必要性が低減された、および個々のカスタマイゼーション特徴の必要性が減少したことに起因するおそらくはより軽量の、外骨格が可能になる。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態は、人工関節と、人工関節から延びるフレーム部材とを含む外骨格デバイスを提供する。フレーム部材は、ユーザの四肢の上への延長のために構成される。外骨格デバイスは、フレーム部材に接続される自己整列機構も含む。自己整列機構は、直動-回転-回転(PRR)構成で提供される3つの受動自由度(pDOF)を含む。自己整列機構は、ユーザの四肢の一部分に機械的に結合するために構成される四肢装着部材も含む。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態は、外骨格支援運動を促進するための方法を提供する。本方法は、外骨格デバイスの人工関節がユーザ四肢の関節の周りに位置付けられた状態で、外骨格デバイスをユーザ四肢に配置するステップを含む。本方法はまた、外骨格デバイスによりユーザ四肢の第1の部分および第2の部分に力を印加するステップも含む。ユーザ四肢の第1の部分および第2の部分は、ユーザ四肢の関節の対向する縦側面にある。さらには、本方法は、外骨格デバイスの自己整列機構により人工関節とユーザ四肢の関節との誤整列を補償するステップを含む。自己整列機構は、ユーザ四肢の第1の部分の周りに位置付けられ、また自己整列機構は、直動-回転-回転(PRR)構成で提供される3つの受動自由度(pDOF)を含む。補償は、外骨格デバイスによってユーザ四肢の第1の部分に加えられる誤った力および/またはトルクの低減に貢献する。
【0011】
[0011]この発明の概要は、発明を実施するための形態において以下にさらに説明される概念を集めたものを簡略化した形式で紹介するために提供される。この発明の概要は、特許請求された主題の重要な特徴または本質的な特徴を識別することは意図されず、また特許請求された主題の範囲を示すものとして使用されることも意図されない。
【0012】
[0012]上に列挙された利点および特徴ならびに他の利点および特徴が獲得され得る様式で説明するため、上に簡単に説明される主題のより具体的な説明が、添付の図面に例証される特定の実施形態を参照してもたらされる。これらの図面が典型的な実施形態を描写するにすぎず、したがって範囲を限定するものと見なされるべきではないという理解の下、実施形態は、添付の図面の使用を通じてさらに具体的および詳細に説明および解説されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013]部分的に伸張された構成にある外骨格デバイスの例示的な構成要素の斜視図である。
【
図2】[0014]屈曲された構成にあるユーザの四肢に固定される例示的な外骨格デバイスの斜視図である。
【
図3】[0015]外骨格デバイスの例示的な自己整列機構の側面図である。
【
図4】[0016]
図4Aは、外骨格デバイスをユーザ四肢に装着するやり方の概略図である。
図4Bは、外骨格デバイスをユーザ四肢に装着するやり方の概略図である。
図4Cは、外骨格デバイスをユーザ四肢に装着するやり方の概略図である。
【
図5】[0017]外骨格デバイスと関連付けられた制御システムおよび信号処理システムのブロック図である。
【
図6A】[0018]自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図6B】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図6C】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図6D】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図6E】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図6F】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図7】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図8A】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図8B】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図8C】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図8D】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図8E】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図8F】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図9】自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。
【
図10】[0019]本開示による、臀部外骨格の例示的な構成要素の斜視図である。
【
図11】[0020]臀部外骨格の下方界面の拡大斜視図である。
【
図12】[0021]臀部外骨格の上方界面の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概要
[0022]開示された実施形態は、受動型および動力付き外骨格における自己整列機構を対象とする。当業者は、本開示の観点において、本明細書に開示される実施形態の少なくとも一部は、従来の外骨格と関連した様々な短所に対処し得るということを理解するものとする。
【0015】
[0023]例えば、本開示の自己整列機構は、解剖学的関節および人工関節を動的に整列させるために、直動および回転の受動自由度(pDOF)の組み合わせならびに/または弾性要素を使用する。自己整列機構は、四肢への望ましくない荷重を低減しながら、意図した関節にトルクを伝達するように構成される。場合によっては、本開示の自己整列機構のpDOFの動きの範囲は、実質的には、印加される支援トルクの違いによって、または人工関節と解剖学的な関節との誤整列によって影響を受けない(例えば、pDOFにおける取るに足りない摩擦を示す)。
【0016】
[0024]本明細書において説明されるような外骨格デバイスは、ユーザ四肢の外骨格支援運動を促進するために使用され得る。例えば、本開示による、外骨格支援運動を促進するための方法は、外骨格デバイスの人工関節がユーザ四肢の関節の周りに位置付けられた状態で、外骨格デバイスをユーザ四肢に配置するステップなどの様々な行為を含み得る。力は、外骨格デバイスによってユーザ四肢の第1および第2の部分に印加され得る(ユーザ四肢の第1および第2の部分は、ユーザ四肢の関節の対向する縦側面にある)。ユーザ四肢の第1の部分の周りに位置付けられる、外骨格デバイスの自己整列機構は、有利には、人工関節とユーザ四肢の関節との誤整列を補償し得る。そのような補償は、外骨格デバイスによってユーザ四肢の第1の部分に加えられる誤った力および/またはトルクの低減に貢献する。
【0017】
[0025]例えば、本開示による自己整列機構を含む膝外骨格の1つの例示的な実装形態において、膝外骨格によって印加される約50Nmの支援トルクでは、ユーザの脛に印加されるピークの誤った力は、10N未満(例えば、約5N)であり、ユーザの脛に印加されるピークの誤ったトルクは、1Nm未満(例えば、約0.5Nm)である(座位から立位への実験において)。対照的に、自己整列機構なしの膝外骨格では、ピークの誤った力およびトルクは、典型的には、それぞれ50Nおよび10Nmの範囲内である。
【0018】
[0026]本明細書に説明される自己整列機構は、様々なタイプのユーザ解剖学的構造のために作動軸と解剖軸との動的整列を可能にする。これにより、カスタマイゼーションの必要性が低減された、および個々のカスタマイゼーション特徴の必要性が減少したことに起因するおそらくはより軽量の、外骨格が可能になる。さらには、本開示の少なくともいくつかの外骨格は、実質的に対称な人工関節および/またはフレーム構造体を備え、有利には、外骨格がハードウェア修正なしに右肢および左肢の両方において(例えば、ユーザの右脚またはユーザの左脚において)交互に使用されることを可能にする。
【0019】
[0027]加えて、本開示の自己整列機構は、外骨格の総重量のわずかな比率のみを形成するように、有利には軽量様式で構築され得る。例えば、いくつかの実装形態において、自己整列機構は、外骨格の総重量(例えば、約3.6kg)の約6%未満(例えば、5.3%、すなわち190g)を占めるにすぎない。
【0020】
[0028]開示された実施形態の様々な高レベル特徴および利益のうちの一部を説明してきたが、これより
図1~
図12に注意を向ける。これらの図は、開示された実施形態に関する様々な補助事例を例証する。
【0021】
例示的な外骨格デバイス
[0029]
図1は、外骨格デバイス100の例示的な構成要素の斜視図を例証する。
図1に描写される外骨格デバイス100は、動力および/またはトルクをユーザの膝関節に選択的に印加するため(例えば、下肢機能障害を有する個人を支援するため)に適合される。
図1の外骨格デバイス100は、膝外骨格と見なされ得るが、本明細書に説明される原則および技術は、他の身体構造に支援を提供するために適合される外骨格(例えば、腰、肘、手首、足首、および/または他の外骨格)に当てはまり得る。
【0022】
[0030]
図1に示される実施形態において、外骨格デバイス100は、第1の構成要素102Aおよび第2の構成要素102Bから形成される人工関節102を含む。第1の構成要素102Aは、人間の関節(例えば、人間の膝)の第1の横側面に位置付けるために外骨格デバイス100上に配置される一方、第2の構成要素102Bは、人間の関節の第2の対向する横側面に位置付けるために外骨格デバイス100上に配置される(
図2を参照)。
【0023】
[0031]
図1に例証されるように、外骨格デバイス100の人工関節102は、外骨格デバイス100の大腿区域104と外骨格デバイス100の脛区域106との間に回転点を備える。人工関節102は、場合によっては、鋼シャフトおよび低摩擦プラスチックブッシング、ならびに/または他の回転機構を使用して形成され得る。外骨格デバイス100は、人工関節102の周りで大腿区域104に対して脛区域106を回転させるために支援トルクを印加し得る。このやり方では、外骨格デバイス100がユーザの脚に着用されると、支援トルクは、ユーザの脚の大腿および脛に力を印加して、ユーザの膝関節の周りでのユーザの膝の支援付き回転をもたらす。
【0024】
[0032]そのような機能性を促進するため、
図1に描写される例示的な外骨格デバイス100は、人工関節102に接続され、リニアアクチュエータ110によって動力供給される、スライダ-クランク機構108を含む。
図1のスライダ-クランク機構108は、四節機構を形成する別個のスライダ-クランク構造体を含む。例えば、
図1に示されるように、別個のスライダ-クランク構造体は、人工関節構成要素102Aおよび102Bにも接続されるフレーム部材114に接続されるそれぞれのクランク112A、112Bを含む。それぞれのクランク112Aおよび112Bは、それぞれの結合器116A、116Bを介してそれぞれのスライダ118A、118Bに接続し、それぞれのスライダ118A、118Bは、それぞれのスライダ関節120Aおよび120Bにおいて接続される。それぞれのスライダ関節120Aおよび120Bは、リニアアクチュエータ110によって駆動されるように、および大腿区域104に沿って(例えば、ユーザの大腿の上部に沿って)延びるレール126に沿って進むように構成される。
【0025】
[0033]リニアアクチュエータ110は、反力感知弾性アクチュエータ(RFSEA)など、スライダ関節120Aおよび120Bを作動させるための任意の好適な形態を取り得る。いくつかの実装形態において、アクチュエータは、ナットがタイミングベルトによって駆動され、2つのアンギュラコンタクト軸受によって支持されるボールねじシステム(例えば、8×2mm)を使用する。ベルトプーリシステムは、場合によっては、2.5:1伝達比を有し得、ブラシレスDCモータに接続され得る。アクチュエータは、作動システムと接地との間の橋として作用する摺動要素を特徴とし得る。この摺動要素は、外骨格大腿フレームに直接係留し、2つの予圧縮されたコイルスプリングを通じて作動部へ接続され得る。ボールねじは、ボールねじに対するラジアル荷重を防ぐ低摩擦リニアガイドによって支持され得る。
【0026】
[0034]それぞれのスライダ118A、118Bの場所は、四節機構のオフセット(例えば、人工関節構成要素102A、102Bとフレーム部材114へのクランク112A、112Bの接続点との間の距離)に対して制約を課し得る。四節機構のオフセットは、予期されるユーザおよび/またはユーザ群の大腿寸法(例えば、50パーセンタイルの男性大腿の場合は103mm)に合わせるように修正され得る。
【0027】
[0035]
図1は、部分的に伸張された構成にある外骨格デバイス100を例証する。外骨格デバイス100の脛区域106は、(例えば、リニアアクチュエータ110の作動により)完全屈曲位置もしくは完全伸張位置まで、またはそれらの間の任意の位置まで人工関節102の周りで外骨格デバイスの大腿区域104に対して回転され得る。
【0028】
[0036]さらに、いくつかの実装形態において、外骨格デバイス100は、リニアアクチュエータ110の動きの範囲を制限する(例えば、100度の最大屈曲膝角度、または他の最大屈曲角度を結果として生じる)ために、大腿区域104内に統合される屈曲端止め122を含む。またさらに、いくつかの実装形態において、外骨格デバイス100は、人工関節102(および任意の装着された解剖学的な関節)が過伸張することを防ぐために、大腿区域104および脛区域106のフレーム上に統合される伸張端止め124A、124Bを含む。
【0029】
[0037]
図1は、外骨格デバイス100が電子装置128を含み得ることも例証する(その機能および構造は、これ以降に説明される)。
【0030】
[0038]
図2は、ユーザの四肢に固定される外骨格デバイス100の斜視図を例証する(部分的に屈曲された構成にある)。
図2に表されるユーザの四肢は、ユーザの右脚202を含む。
図2から明らかであるように、リニアアクチュエータ110は、ユーザの右脚202の大腿204の上に固定されるように構成される。
【0031】
[0039]例えば、
図2は、外骨格デバイス100のシェル206に固着されるリニアアクチュエータ110を示す。シェル206は、異なる大腿サイズおよび/または形状を有するユーザが快適な様式で外骨格デバイス100を使用することを可能にするために十分に可撓性であり得る可撓性プラスチック成型大腿シェルを備え得る。いくつかの実装形態において、シェル206の内表面は、シェル206が臀部ストラップ208に接続することを可能にする面ファスナー(例えば、ベルクロ(登録商標))または他の締付具で裏打ちされる。
図2の臀部ストラップ208は、外骨格デバイス100とユーザとの物理的接続を改善するために、ユーザの腰および大腿(例えば、シェル206の下)に巻き付き、シェル206に固着することができる。
【0032】
[0040]いくつかの実装形態において、シェル206は、外骨格デバイス100の迅速な着用を促進するために1つまたは複数の追加または代替のストラップ210を備える。例えば、シェル206は、ユーザの大腿204へのシェル206の迅速な固着を促進するためにスピンバックルシステムおよび/または磁気バックルを有するストラップ210を含み得る。
【0033】
[0041]
図2は、外骨格デバイス100が様々なフレーム部材から構築され得ることも示す。例えば、
図2は、スライダ関節120Aおよび120Bを誘導するレール126の終末部から延びる大腿フレーム212を例証する。大腿フレーム212は、人工関節構成要素102Aに向かって延びる。
図2は、ユーザの右脚202の右部分の上にユーザの膝に向かって延びる大腿フレーム212の単一の部分のみを例証するが、大腿フレーム212は、ユーザの右脚202の左部分の上に延びる反対部分を含み得る(
図1を参照)。
【0034】
[0042]
図2は、さらに、外骨格デバイス100のフレーム部材114を描写する。特に、
図2は、ユーザの右脚202の脛214の上に人工関節102から(または人工関節構成要素102Aおよび102Bから)延びるフレーム部材114を示す。これに関して、人工関節102は、場合によっては、フレーム部材114と大腿フレーム212との間の界面と見なされ得る。
【0035】
[0043]
図2に描写される例示的な実装形態において、フレーム部材114は、橋渡し要素216を含み、この橋渡し要素216は、橋渡し要素216の異なる端において人工関節構成要素102Aおよび102Bの両方に接続される(それぞれのクランク112Aおよび112Bに接続されることに加えて)。橋渡し要素216は、橋渡し要素216の中央部分218に向かってユーザの脚202の周りに異なる人工関節構成要素102Aおよび102Bから延びる(例えば、C形状にある)。
図2は、さらに、ユーザの右脚202の脛214の上に、およびこれに沿って延びるように、橋渡し要素216の中央部分218から延びる下部リンク220を例証する。
【0036】
[0044]
図2は、下部リンク220に装着される自己整列機構222を例証する。自己整列機構222は、ユーザの右脚202の脛214に機械的に結合するために構成される四肢装着部材224を含み、これは、リニアアクチュエータが右脚202に固着する場所である右脚202の大腿に対して右脚202の膝関節の反対の縦側面にある。
【0037】
[0045]自己整列機構222のさらなる詳細は、これより、外骨格デバイス100の例示的な自己整列機構222の側面図を例証する
図3を参照して提供される。上に記されるように、自己整列機構222は、フレーム部材114の橋渡し要素216から延びる下部リンク220に接続される。
【0038】
[0046]
図3は、いくつかの実装形態において、自己整列機構222が直動-回転-回転(PRR)構成で提供され得る3つの受動自由度(pDOF)を含むことを例証する。自己整列機構222の3つのpDOFは、場合によっては、上に説明されるような人工関節102によって促進される膝屈曲/伸張の1つの能動回転DOFと直列に統合される。
【0039】
[0047]1つの例において、自己整列機構222の直動pDOFは、下部リンク220に接続されるリニアガイド302から形成される。リニアガイド302は、様々な仕様(例えば、約150gの重量、約750mm可動域(ROM)など)の低摩擦リニアガイドを備え得る。直動pDOFと関連付けられた方向性は、
図3において矢印304Aおよび304Bによって例証され、リニアガイド302が、
図3に表されるように、下部リンク220に沿って摺動することができることを示す。
【0040】
[0048]
図3に例証される例において、自己整列機構222の第1の回転pDOFは、(下部リンク220に摺動可能に接続される)リニアガイドに接続される回転関節306によって形成される。回転関節306は、任意の好適な様式で形成され得、場合によっては、機械的止め部のない(しかしながら、機械的止め部は、いくつかの実施形態においては実装され得る)マルチターン関節を備え得る。第1の回転pDOFと関連付けられた回転方向は、
図3において矢印308および回転軸310によって表され、これは、外骨格デバイス100がユーザの脚に着用されるときのユーザの傍矢状平面の周りの回転を示す。
【0041】
[0049]さらに、
図3は、場合によっては、自己整列機構222の第2の回転pDOFが、回転関節306に接続される回転要素312(第1の構成要素312Aおよび第2の構成要素312Bを備える)から形成されることを示す。例えば、
図3は、脛カフ314を例証し、この脛カフ314は、脛カフ314の中央部分において回転関節306に接続する。脛カフ314はまた、脛カフ314の対向端において回転要素312の構成要素312Aおよび312Bに接続し、回転要素312の構成要素312Aおよび312Bの両方が共通回転軸316(矢印318によって示される回転を伴う)を共有する。このやり方では、回転要素312は、
図3に示されるように、回転関節306と関連付けられた回転軸310に対して垂直である回転軸316の周りを回転するように構成される。例えば、回転関節306の回転軸310が傍矢状平面にある一方、回転要素312の回転軸316は、前頭面にある。
【0042】
[0050]
図3は、回転要素312に固着される自己整列機構222の四肢装着部材224を例証する。このやり方では、回転要素312は、四肢装着部材224を回転関節306に接続するものと見なされ得る。四肢装着部材224は、異なるユーザの異なる四肢解剖学的構造への適合を可能にする調節可能ストラップとして実装され得る。
【0043】
[0051]いくつかの実装形態において、自己整列機構222は、重さが200g未満(例えば、190g)であるか、または重さが外骨格デバイス100の総重量の6%未満(例えば、5.3%)である。本明細書に説明される外骨格デバイス100の少なくともいくつかの態様は、既存の外骨格システムに勝る著しい利益に貢献する。
【0044】
[0052]例えば、
図4A~
図4Cは、外骨格システムをユーザ四肢(例えば、ユーザ脚)に装着する異なるやり方の概略図である。
図4A~
図4Cに描写されるように、F
exoは、外骨格によって印加される力であり、F
hは、人間の四肢の反力である。
図4Aは、従来の外骨格システムを例証し、従来の外骨格システムは、支援トルク要素がユーザ四肢の横に配置された状態でユーザ四肢に取り付けられ、これによりF
exoおよびF
h結合によってねじりモーメントMを作成させる。
【0045】
[0053]
図4Aに示される手法と対照的に、本開示の少なくともいくつかの実装形態は、(i)脛において
図4Bに示される装着構成を使用し、この場合、力は、両側のフレームに装着される柔軟な可撓性ストラップを通じて四肢に伝達され、また本開示の少なくともいくつかの実装形態は、(ii)大腿において
図4Cに示される装着構成を使用し、この場合、力は、四肢の前のフレームに装着される柔軟な可撓性ストラップを通じて伝達される。
図4Bに例証される構成は、ユーザの四肢の関節から傍矢状にオフセットした人工関節の第1の構成要素102Aおよび第2の構成要素102Bの配置によって少なくとも部分的に促進されるが、
図4Cに例証される構成は、同時に、ユーザの四肢の関節と傍矢状に整列したリニアアクチュエータ110の配置によって少なくとも部分的に促進される。
【0046】
[0054]
図4Bおよび
図4Cに描写されるこの対称設計構成において、支援的な外骨格力(F
exo)は、四肢中心軸と交差する。故に、それは、ねじりモーメント(M)を発生させず、以て、従来の外骨格システムに勝る重要な利点を提供する。故に、不快感および痛みさえも生じ得るユーザの皮膚に対するせん断応力は、回避され得る。加えて、ユーザとの接触点における外骨格フレームに対するねじれは、
図4Bおよび
図4Cに描写される設計構成によって回避され得る。故に、本明細書に開示される構成は、自己整列機構222が、ねじれ(例えば、機構の結合を結果として生じ得る、および一般的には、より重くよりかさばる構造および/または増大した設計複雑性を必要とし得る)を回避するのを助けることができる。
【0047】
[0055]いくつかの実装形態において、外骨格デバイス100の対称設計は、ユーザの四肢に巻き付けるための2つの対称な半体から外骨格フレームの各セグメントを構造化することによって促進される。対称設計は、著しいハードウェア修正なしでユーザの右脚またはユーザの左脚への固定のために外骨格デバイス100を構成することができる(例えば、外骨格デバイス100は、ユーザの右脚またはユーザの左脚に可逆的に着用され得る)。外骨格フレームは、7075アルミニウム合金などの任意の好適な材料から機械加工され得る。これらの半体は、ユーザの任意のサイズ範囲(例えば、大腿区域104および脛区域106の直径においてそれぞれ160mmおよび115mmを結果として生じる、50パーセンタイルの成人男性)にフィットするように設計され得、および/または選択的にサイズ変更可能であり得る(例えば、スペーサの使用により)。
【0048】
センサおよび埋め込み型電子装置
[0056]
図5は、外骨格デバイス100と関連付けられた制御および信号処理システムならびに/または技術の例示的なブロック図である。本開示の外骨格デバイスは、人間-ロボット相互作用を正確に制御するためにセンサのアレイ(例えば、電子装置128)を備え得る。例えば、外骨格デバイスは、絶対膝関節位置を推定するための、外骨格の人工/作動式関節に置かれる絶対磁気式ロータリエンコーダを含み得る。モータシャフトに位置付けられるインクリメンタル磁気式ロータリエンコーダは、膝関節の位置を測定し得、モータ角速度を推定するために使用され得る。加えて、リニアアクチュエータ(例えば、RFSEA)は、キャプスタン結合を使用して線形ばねの偏向を測定する高分解能ロータリ絶対エンコーダを装備し得る。キャプスタン結合は、ばねの偏向に起因する線形変位を、ケーブル(例えば、鋼ケーブル)によって駆動され得るエンコーダシャフトの比例的な角変位へと変換する。
【0049】
[0057]試験の目的で、6軸ロードセルが、自己整列機構の機能を査定するために必要に応じてユーザとロボットとの間の物理的な相互作用を正確に測定するために、外骨格脛区域内へ統合され得る。6軸ロードセルは、既製の信号増幅器およびカスタム取得ボードを使用し得る。6軸ロードセルからの力およびトルク記録は、デジタル信号を使用して外骨格制御装置と同期され得る。
【0050】
[0058]外骨格デバイスは、場合によっては、制御ルーチン、ならびにデータロギングおよびWi-Fi通信などの二次機能を実行する2つの異なる処理ユニットを含むカスタム埋め込み型システムを使用して制御され得る。センサ読み出し、フィルタリング、関節位置、およびトルク制御ループなど、すべてのタイムクリティカルなルーチンは、32ビットマイクロプロセッサ上で2kHzで実行し得る。マイクロプロセッサは、PWMを使用してモータ電流サーボ制御装置と通信し得る。高レベル制御ループ、データロギング、およびユーザ通信は、単一ボードコンピュータ上で(例えば、500Hzで)実行し得る。
【0051】
[0059]単一ボードコンピュータは、SPIを使用してマイクロプロセッサと通信し得る。外部デバイスは、データモニタリングおよびパラメータ選択目的のためにカスタムGUIを実行し得、Wi-Fiを使用することにより単一ボードコンピュータと通信し得る。GUIは、制御パラメータを変更するため、およびデータ保存を開始/停止するために使用され得る。加えて、制御システムは、処理ユニット、埋め込み型センサ、および電流サーボ制御装置に動力供給するために、1050mAh 6セルリチウムポリマー電池、および/または5Vレギュレータを使用し得る。いくつかの実装形態において、電力消費は、Wi-Fiがオンおよびオフの場合にそれぞれ3.8Wおよび3.1Wである。さらに、いくつかの実装形態において、バッテリおよび保護カバーを含む埋め込み型電気システムの重量は、1.1kgである。
【0052】
[0060]
図5は、例証された外骨格デバイスと、または自己整列機構を統合する他のそのような外骨格デバイスと併せて使用され得る例示的な制御システムを例証する。高レベルでは、有限状態マシンに基づいた制御装置が、所望の膝トルクを規定する。高レベルでは、外乱オブザーバを有する閉ループトルク制御装置が、電流ドライバを使用して後に課される所望のモータ電流を規定する。生の信号は、膝関節における角度位置およびトルクを推定するために埋め込み型電子装置において処理される。
【0053】
[0061]センサ処理のブロック図が
図5に示される。起動時、絶対エンコーダ(θ
joint)は、逆転した四節運動学
【数1】
を使用してスライダの絶対位置(x
0)を推定する。スライダの絶対位置は、次いで、モータエンコーダ(θ
motor)から推定される相対スライダ位置(x
spindle)と組み合わせて使用されて、スライダ位置
【数2】
の正確な(例えば、+/-0.011mm)測定値を得る。スライダ位置は、四節運動学
【数3】
の位置依存伝達率を計算するために使用される。同様に、膝関節トルク
【数4】
は、伝達率
【数5】
と組み合わせたばね力(F
spring)を使用して推定される。ばね力(F
spring)は、ばねの剛性(K
s)および伝達率
【数6】
と組み合わせてばね撓み(θ
spring)を測定することによって推定される。
【0054】
[0062]低レベルでは、閉ループ制御装置が、所望の膝空間トルク
【数7】
を正確に追跡するために使用される。まず、所望の膝空間トルク
【数8】
が、四節伝達率
【数9】
および組み合わせたタイミングベルト/ボールねじ伝達率(RR)を使用して、等価の所望のモータ空間トルク
【数10】
へと変換される。所望のモータトルクは、次いで、外乱オブザーバ(DOB)を有する閉ループ比例積分偏差(PID)レギュレータに供給される。RFSEAは、以下のように二次システム(P
c)としてモデル化される。
【数11】
【0055】
[0063] 外的な力およびトルクは、外乱として扱われ、フィードフォワードフィルタ(Q
FF)およびフィードバックフィルタ(Q)を使用して、モデル化システムから生じない観察したトルクを補償するためにシステムに入力として供給される。最後に、所望のモータトルク
【数12】
は、膝外骨格上の既製の電流ドライバへ伝達される。
【0056】
[0064]ハイレベルでは、健全な生物力学に基づいたトルク-角度関係が、単に膝関節位置(θ
joint)の関数として座位から立位への遷移の間の所望の膝トルク
【数13】
を規定する。
図5を見て分かるように、所望の膝トルクは、被検者が座っており、膝関節が屈曲されるとき、ゼロで開始する。ユーザが立ち上がる際、外骨格膝関節は、その静止位置から伸張を始める。その結果、所望の外骨格トルクは、ゼロから最大値(T
max)へ増大する。その最大値から、トルクは、膝関節位置と共に減少し、最終的には、膝関節が完全に伸張されるときにゼロに達する。とりわけ、座位から立位への遷移の開始時のユーザの膝角度は、ユーザの人体測定学、椅子の高さ、および姿勢に依存する。この可変性を受け入れるため、外骨格がトルク(θ
start)を提供し始める膝角度は、座位から立位への制御装置が活性化されるときの測定された膝角度に等しい。さらには、所望のピークトルク(T
max)は、GUIを通じて実験者によって調節され得る。ピークトルク(θ
max)が達成される膝角度は、場合によっては、開始角度と終了角度の間の30%で達成される。トルク-角度関係性は、パラメトリックのルックアップテーブル(LUT)により実装され得る。
【0057】
例示的な結果
[0065]
図6A~
図9は、自己整列機構を使用するときおよび自己整列機構を使用しないときの、外骨格デバイスによるユーザの四肢の一部分に印加される力およびトルクのグラフである。特に、
図6A~
図9によって表されるグラフは、本明細書に説明されるような外骨格デバイス100を使用した実験プロトコルに従って得た。実験プロトコルは、以下の2つのタスク:(i)外骨格によって支援されながら起立すること、および(ii)動力付き外骨格によって生成される仮想インピーダンス磁場に対する所望の位置を追跡することを含んでいた。両方のタスクは、「係止」構成にある自己整列機構を用いて(自己整列機構のpDOFの並進/回転が制限された状態で)および「非係止」構成にある自己整列機構を用いて(pDOFの並進/回転が制限されていない状態で)被検者によって実施された。
【0058】
[0066]結果は、自己整列機構(例えば、上で論じられるような自己整列機構222)が、両方のタスクについてユーザに対する誤った力およびトルクを著しく低減することを示す。実験プロトコルの結果はまた、誤った力およびトルクの低減により促進される増大したレベルのユーザ快適性を実証した。これらの結果は、動力付き膝外骨格を用いた座位から立位へのタスクおよび位置追跡タスクの間の快適性および性能を改善することにおける自己整列機構の効率性を実証する。
【0059】
[0067]理論モデルでは検討されない自己整列機構の質量は、その機能に重要な負の影響を及ぼす。例えば、重力は、自己整列機構の直動pDOFを摺動させ、その機械的終点に到達させ得、実質的に自己整列機能を損なう。同様に、自己整列機構の質量に起因する内的な力およびトルクは、その受動型関節を活動の間動かし得る。これらのモデル化されていない、および制御されていない運動は、誤った力およびトルクの潜在的な低減を制限する可能性があり、ユーザに不快感を引き起こし得る。故に、本明細書に説明されるような自己整列機構に対して比較的小さい質量(例えば、約190g、全体的な外骨格質量の約5.3%など)を利用することが、快適性および性能における観察された改善に貢献する。
【0060】
[0068]自己整列機構の質量を、荷重時にその機能を損なうことなく低減することは、特に、自己整列機構の受動的関節が支援トルクを転送しながら自由に動くことができなければならないことから、多くの課題と関連する。例えば、直動関節/pDOFは、動力付き外骨格がユーザの膝関節において支援的および制限的トルクと提供することができるように、力F
zを転送しながら自由に摺動できなければならない(
図6Cを参照)。いくつかの実装形態において、比較的大きいリニアガイド302が使用される(150g、3.5kN最大荷重)。より小さくより軽量のリニアガイドは全体的な質量を低減するが、それは、摩擦を増大させ得、これにより、荷重時の受動的関節の運動を損ない得る。
【0061】
[0069]とりわけ、上で論じられるような動力付き外骨格の対称設計は、自己整列機構の機能に対して有益な効果を有する。対称設計は、リニアガイドに対するトルクを最小限にし、自己整列機構の質量および摩擦の両方が最小限にされることを可能にする。同様に、対称設計は、自己整列機構のリンク機構が耐えなければならない荷重を低減する。この荷重低減は、自己整列機構のリンク機構における変形が、その受動的関節が荷重時に自由に動く能力を損ない得ることから、有益である。
【0062】
[0070]各実験条件の間の快適性および成果は、各試験(すなわち、外骨格デバイスが係止構成および非係止構成にある状態での、起立タスクおよび追跡タスク)の終わりに被検者によって記入される質問票を使用して査定された。結果は、自己整列機構の存在が、起立タスクおよび追跡タスクの両方の間、快適性を著しく改善することを示す。興味深いことに、追跡タスクは、起立タスクよりも著しく快適であることが報告された。この結果は、誤った力およびトルクが追跡タスクよりも起立タスクの間に大きかったということによって説明され得る。故に、これらの結果は、誤った力およびトルクとユーザの快適性との間に相関が存在することを示唆する。結果は、これらの相互作用力およびトルクが、非係止構成を使用するときよりも係止構成を使用すると、被検者がより低い快適性を感じるのに十分に大きかったことを示唆する。
【0063】
[0071]起立タスクの間の性能は、圧力中心(CoP)と自己整列機構上のフォースプレートの正中線との間の平均二乗誤差の平方根および正中線からのCoPの最大偏差を使用して査定された。結果は、両方の性能測定基準が、自己整列機構の存在下で(すなわち、非係止構成において)著しくより良好であった(最大32%)ことを示す。追跡タスクの間の性能は、ターゲット波と測定された膝角度との間のRMS誤差を使用して査定された。RMS誤差は、係止構成よりも非構成構成において著しく低かった(38%)。
【0064】
[0072]
図6A~
図6Fは、外骨格デバイスが係止構成および非係止構成にある状態での座位から立位への(STS)タスクの間の被検者の脛と外骨格デバイスとの間での相互作用力およびトルクの平均値を例証する。
図7は、係止構成および非係止構成の両方の場合のSTSタスクについての平均力およびトルクの絶対値のバープロットを提供し、誤差バーは、標準誤差を示す。同様に、
図8A~
図8Fは、外骨格デバイスが係止構成および非係止構成にある状態での追跡(TRK)タスクの間の被検者の脛と外骨格デバイスとの間での相互作用力およびトルクの平均値を例証する。
図9は、係止構成および非係止構成の両方の場合のTRLタスクについての平均力およびトルクの絶対値のバープロットを提供し、誤差バーは、標準誤差を示す。
【0065】
[0073]
図6A~
図9から明らかであるように、F
yおよびF
zの平均は、起立タスクの間は係止構成および非係止構成について同様であるが、追跡タスクではそうではない。さらに、
図6A~
図9は、追跡タスクの間、F
yおよびF
zは、同様の軌道をたどるように見えるが、非係止構成では、データは、係止構成と比較してオフセットされる。条件間でのF
yおよびF
zにおけるこのような変動は、動力付き外骨格の能動的関節に対するロードセルの位置によって引き起こされた場合があり、これは、ロードセルが外骨格のフレームに沿って摺動し得ることから、自己整列機構が非係止条件にあるときに変化し得る。興味深いことに、起立タスクの間、F
zの平均値は、係止構成にあるときよりも非係止構成にあるときにわずかに高い。非係止構成では、F
zのみが、ユーザの膝に対して所望の屈曲/伸張トルクを発生させることに貢献する。対照的に、係止構成では、F
zおよびT
yの両方が、膝屈曲/伸張トルクをユーザの膝に転送することに貢献し、非係止構成の間の外骨格と人間の四肢との間のトルクのより純粋な移動の可能性を示す。
【0066】
[0074]
図6A~
図9に示される結果は、自己整列機構の存在(すなわち、非係止構成)が、起立タスクおよび追跡タスクの両方の間、F
x、T
y、およびT
zの平均値において著しい減少をもたらし得ることを示す。この低減は、第1の軸に沿った並進運動および互いに対して垂直である2つのさらなる軸の周りの回転運動を可能にする3つのpDOFを備える、外骨格デバイスに実装される自己整列機構によって少なくとも部分的に促進される。これらの結果は、提案された自己整列機構が、誤った力およびトルクに対して著しい効果を有することを示す。異なる特定の運動学または機械的実装形態では、自己整列機構は、それが誤った力およびトルクにおける同様の低減を示すことができることを前提に、同様の快適性および性能改善を達成するために使用され得る。
【0067】
追加の実施形態
[0075]本明細書内で上に示されるように、自己整列機構は、様々なタイプの外骨格デバイスに実装され得、膝外骨格に限定されない。例えば、
図10は、ユーザの大腿に接続するための下方界面1002ならびにユーザの臀部に接続するための上方界面1004を含む臀部外骨格1000を例証する。下方界面1002は、大腿カフ1006(例えば、剛性プラスチックおよびナイロンストラップから形成される)ならびにユーザの大腿に固定する(例えば、大腿整形器具を形成する)ための弾性要素1008(例えば、厚い外科用ゴム)を含む。大腿整形器具は、合力を遠位大腿の大部分に分散させ、荷重分散棒1016を含み得る。
【0068】
[0076]上方界面1004は、ユーザの臀部に巻き付く(例えば、骨盤整形器具を形成する)骨盤パッド(図示されない)に接続するように構成される装着部材1010を含む。骨盤整形器具は、ユーザの骨盤の両側への装着のための別個の要素を含み得る。別個の要素は、ストラップ(例えば、スピンバックルストラップ)によって接続され得る。骨盤整形器具は、骨盤整形器具の独立運動に抵抗し、矢状面モーメントを腰背部の仙骨部分および腰椎部分に転送する耐ねじれ性の棒を含み得る。耐ねじれ性の棒はまた、臀部外骨格1000のための電子装置および/またはバッテリを格納し得る。
【0069】
[0077]臀部外骨格1000は、ユーザの臀部への支援トルクの印加を促進するための能動的DOFを提供するために、ユーザの臀部の周りに位置付けるために構成される人工関節1012を含む。
【0070】
[0078]
図10の臀部外骨格1000は、支援トルクを促進するためにオフセットスライダ-クランク機構1014を利用する。いくつかの実装形態において、オフセットスライダ-クランク機構1014は、高効率ボールねじと結合されるリニアアクチュエータ(例えば、ブラシレスDCモータおよび一次はすば歯車伝動装置を含む)によって動力供給され得る。リニアガイドは、ボールねじナットに対する垂直荷重を支持し得る。アンギュラコンタクト玉軸受は、はすば歯車に対するラジアル荷重および軸荷重を支持し得、レールに沿ったねじナットおよびリニアガイドブロックの並進移動は、複合準拠棒を通じて作動式人工関節1012の回転に変換され得、直列弾性アクチュエータを作成する。軽量、低摩擦の乾燥ブッシングは、作動式人工関節1012の荷重を支持し得る。
【0071】
[0079]
図11は、臀部外骨格1000の下方界面1002の拡大図を例証する。
図11に例証されるように、下方界面1002は、ユーザの臀部に印加されることになる誤った力およびトルクにおける低減を促進するために自己整列機構1102を含む。特に、自己整列機構1102は、1つまたは複数のレール1104を備え、そこに1つまたは複数のリニアガイド1106が装着されており(例えば、臀部外骨格1000のシャフト1110の複数の側面における対応するレールおよびリニアガイド)、直動pDOF(矢印1108Aおよび1108Bによって示される方向性を伴う)を提供する。
【0072】
[0080]自己整列機構1102はまた、1つまたは複数のリニアガイド1106に結合され、直動pDOFと関連付けられた並進軸に対して垂直である軸の周りでの大腿カフ1006の受動的回転を促進するために大腿カフ1006に接続される回転関節1112によって提供される回転pDOFを含む(
図11において軸1114および矢印1116によって示される)。自己整列機構1102は、臀部外骨格1000によってユーザの身体に印加される誤った力およびトルクにおける低減に貢献する。
【0073】
[0081]
図12は、臀部外骨格1000の上方界面1004の拡大図を例証する。特に、
図12は、上方界面1004が、別個の回転関節1204Aおよび1204Bによって形成される一対の回転pDOFを含む、ならびに人工関節1012の能動的DOFと直列に構成される、別個の自己整列機構1202を備え得ることを例証する。自己整列機構1202のpDOFは、制約のない臀部外転および/または内転を可能にし得る。一対の回転pDOFは、平行回転軸1206Aおよび1206B(矢印1208Aおよび1208Bによって示される)の周りで回転する。自己整列機構1202は、特に自己整列機構1102と組み合わせて臀部外骨格1000の動力付き屈曲/伸張軸とユーザの解剖学的屈曲/伸張軸との任意の誤整列から生じる、誤った力およびトルクにおける低減に貢献する。
【0074】
[0082]以下は、臀部外骨格1000と共に実装され得る例示的なセンシングおよびパワーエレクトロニクスの概要を提供する。臀部外骨格1000は、1200mAh、6セルリチウムイオン(LiIon)バッテリなどの電源を含み得る。5Vレギュレータは、埋め込み型コンピュータおよびアナログセンサに動力供給するために必要に応じて供給電圧をスケーリングするために実装され得る。3.3Vレギュレータは、マイクロコントローラに動力供給し、デジタルセンサのための論理電圧として動作し得る。2つの別個の処理ユニットが、制御ルーチンならびにデータ保存およびWi-Fi通信などの二次機能を実行するためにマザーボードに実装され得る。センサ読み出し、フィルタリング、関節位置、トルク制御ループなどのすべてのタイムクリティカルなルーチンは、マイクロコントローラ(例えば、32ビットマイクロコントローラ)上で1Khzで実行し得る。マイクロコントローラは、50kHzで閉ループモータ電流制御を実行する2つのモータサーボドライブに通信するためにパルス幅変調(PWM)を使用し得る。
【0075】
[0083]マイクロコントローラは、埋め込み型センサ、ならびに高レベル制御ループ、データ保存、およびユーザ通信を実行し得る(例えば、500Hzで)埋め込み型単一ボードコンピュータと通信するために、専用シリアル周辺機器インターフェース(SPI)バスを使用し得る。埋め込み型単一ボードコンピュータは、Wi-Fiを使用して遠隔デバイスと通信し得る。遠隔デバイスは、データモニタリングおよびパラメータ選択目的のためのカスタムグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を実行し得る。GUIを使用して、ユーザは、デバイスが動作している間、高レベル制御パラメータを修正することができる。埋め込み型コンピュータのための動作システムは、データストレージのためにも使用され得る単一のSDカードに記憶され得る。マイクロプロセッサ、埋め込み型単一ボードコンピュータ、モータサーボドライブ、および電圧レギュレータは、カスタムマザーボード上で統合され得る。電源を含む電気システムは、骨盤界面の裏に接続し得るカスタム保護カバー内に完全に囲まれ得る。いくつかの実装形態において、電力消費は、Wi-Fiがオンおよびオフの場合にそれぞれ3.6Wおよび3.1Wである。
【0076】
[0084]センサ回路基板は、臀部外骨格フレーム内に収容され得る。14ビット磁気式絶対エンコーダ基板は、臀部屈曲/伸張角度を測定し得、炭素繊維フレームの近位端に位置し得る。慣性測定装置(IMU)基板は、加速度および回転速度を測定し得、炭素繊維フレームの遠位端に位置し得る。両方のカスタム回路基板は、SPIを使用してマイクロコントローラと通信し得る。専用の遮蔽線が、センサからマザーボードへデジタルデータを伝送するために使用され得る。インクリメンタルエンコーダは、トルク制御目的のためにモータシャフトの位置を測定するために使用され得る。モータに埋め込まれるホールセンサは、サーボドライブによる整流のために使用され得る。インクリメンタルエンコーダおよびホールセンサからの信号は、専用の遮蔽線を使用してマザーボードに伝送され得る。モータ電力段電流を流す別のケーブルが、外骨格をマザーボードに接続し得る。
【0077】
[0085]階層制御装置は、歩行運動の間、同時支援を提供し得る。高レベルでは、適応周波数発振器(AdOsc)は、結合された人間-外骨格システムの歩行リズムを推定し得る。リズムの推定は、歩行サイクル発展(例えば、0~100%ストライド完了)の連続推定を提供するために、歩行サイクルの始まりに関する情報と組み合わされ得る。臀部伸張角度のピークは、歩行サイクルの始まりとして使用される。
【0078】
[0086]有限状態マシンが、歩行サイクルの始まりを示す臀部屈曲角度のピークを検出し得る。有限状態マシンは、ピーク屈曲および振れ準備/開始という2つの状態を含み得、状態マシンは、矢状面における大腿の角度配向および速度を入力として取り得る。これらの入力変数は、IMUからの加速度計およびジャイロスコープデータを組み合わせる相補フィルタによって推定され得る。低域フィルタは、ノイズを低減し、ロバスト性を増大させるために、大腿配向に適用され得る。とりわけ、フィルタによってもたらされる遅延は、支援のタイミングを調整するときを説明するものであり得る。大腿配向が既定のしきい値よりも高く(例えば、臀部関節が屈曲される)、大腿速度が既定の負のしきい値よりも低い(例えば、大腿が伸張している)とき、有限状態マシンは、ピーク屈曲状態と振れ準備/開始状態との間で遷移し得る。この遷移は、臀部屈曲の好適なピークが検出されていることを示し、歩行サイクルの始まりをトリガする。振れ準備/開始状態から、有限状態マシンは、大腿配向が既定のしきい値よりも低い(すなわち、臀部関節が伸張される)とき、ピーク屈曲状態へ遷移して戻り得る。
【0079】
[0087]動力付き臀部外骨格1000は、両側または片側構成で使用され得、2つの作動モジュールは、交換可能であり得る。各作動モジュールは、専用の有限状態マシンおよび適応発振器を有し得る。外骨格が両側に使用されるとき、ユーザは、各作動モジュールに専用の有限状態マシンおよび適応発振器を使用するという選択肢を有し得る。この場合、モジュールは、支援を生成するために独自のパーセントストライド推定を使用して、互いと独立して制御される。代替的に、ユーザは、両方の作動モジュールを制御するために1つの作動モジュールの有限状態マシンおよび適応発振器を選択するという選択肢を有し得る。ユーザが1つの作動モジュールのみからの有限状態マシンおよび適応発振器を使用することを選択する場合、対側部位の所望のトルクは、ストライドの50%だけ遅延され得る。後者の選択肢は、例えば、半身まひ被検者が患側の運動を制御するために健側を使用する場合に使用され得る。
【0080】
[0088]中レベル制御装置は、高レベル制御装置から受信される歩行相推定(例えば、パーセントストライド)に基づいて所望の支援トルクを規定する。所望の支援トルクは、屈曲のために1つ、および伸張のために1つと、2つのガウス関数を使用して規定される。各ガウス関数は、グラフィカルユーザインターフェースを通じてユーザによって調節され得る3つのパラメータを含み得る。
【数14】
【0081】
[0089]第1のパラメータは、トルクのピークである(すなわち、Tflx、Text)。第2のパラメータは、トルクのピークが発生するトルクのピーク(すなわち、tflx、text)タイミング、またはパーセントストライドである。第3のパラメータは、ガウス関数の幅(すなわち、wflx、wext)を変化させることによって調節される支援の持続時間である。ガウス関数によって得られる所望のトルクは、次いで、ユーザの体格指数によってスケーリングされ得る。ユーザは、動力付き臀部外骨格の左側および右側に異なるパラメータを使用するか、同じパラメータを使用する選択肢を有する。
【0082】
[0090]低レベル制御装置は、所望の支援トルクをサーボモータのための所望のモータトルクへ変換する。トルク制御装置は、位置依存の伝達率に基づいたフィードフォワードコマンドを含み得る。このフィードフォワードコマンドは、作動システムの効率を補償する定数係数(η)を含み得る。加えて、2つの補償器が、出力関節において忠実度を増大させ皮相インピーダンスを低減する出力トルクに対する伝達システムの動的効果を修正するために実装され得る。両方の補償器は、インクリメンタルエンコーダによって測定されるモータ位置を入力として取り得る。第1の補償器は、リニアアクチュエータ速度に起因する粘性トルクのオンライン推定値を生成し得る。第2の補償器は、伝達イナーシャの、スケーリングされローパスフィルタリングされた推定値を演算し得る。所望の電流は、まずフィードフォワード項を補償器推定値に加算し、次いでモータのトルク定数で除算することによって計算され得る。
【0083】
[0091]歩くこと、走ること、および階段を上ることは、周期活動であるが、運動学的プロファイルは異なる。各活動の周期性は、AdOscが各タスクの周波数を学習することを可能にし得、状態マシンパラメータは、運動学にフィットするようにさらに調整され得る。さらに、ピーク支援およびタイミングは、歩くこと、走ること、および階段で異なる。しかしながら、高レベル制御アルゴリズムは、場合によっては、ユーザ活動間で根本的に変わらない。したがって、一連のパラメータは、所望の支援プロファイルが確実に生成され得るように、タスクの各々について調整され得る。
【0084】
さらなる例示的な態様
[0092]本開示の実施形態は、以下の条項に列挙される特徴を含み得るが、必ずしもこれらに限定されない。
【0085】
[0093]条項1:人工関節と、ユーザの四肢の上への伸張のために構成される、人工関節から延びるフレーム部材と、フレーム部材に接続される自己整列機構と、を備える外骨格デバイスであって、自己整列機構は、直動-回転-回転(PRR)構成で提供される3つの受動自由度(pDOF)を備え、自己整列機構は、ユーザの四肢の一部分に機械的に結合するために構成される四肢装着部材を備える、外骨格デバイス。
【0086】
[0094]条項2:条項1に記載の外骨格デバイスにおいて、人工関節は、第1の構成要素および第2の構成要素を備え、第1の構成要素および第2の構成要素は、ユーザの四肢の関節の対向する横側面に位置付けるために構成される、外骨格デバイス。
【0087】
[0095]条項3:条項2に記載の外骨格デバイスにおいて、フレーム部材は、橋渡し要素を備え、橋渡し要素は、橋渡し要素の対向端において第1の構成要素および第2の構成要素の両方に接続され、フレーム部材は、橋渡し要素の中央部分から延びる下部リンクを含み、下部リンクは、ユーザの四肢に沿って延びるように構成される、外骨格デバイス。
【0088】
[0096]条項4:条項3に記載の外骨格デバイスにおいて、自己整列機構の直動pDOFは、下部リンクに接続されるリニアガイドから形成される、外骨格デバイス。
【0089】
[0097]条項5:条項4に記載の外骨格デバイスにおいて、自己整列機構の第1の回転pDOFは、下部リンクに摺動可能に接続されるリニアガイドに接続される回転関節によって形成される、外骨格デバイス。
【0090】
[0098]条項6:条項5に記載の外骨格デバイスにおいて、自己整列機構の第2の回転pDOFは、回転関節に接続される回転要素によって形成され、回転要素は、回転関節と関連付けられた第1の回転軸に対して垂直である第2の回転軸の周りを回転するように構成される、外骨格デバイス。
【0091】
[0099]条項7:条項6に記載の外骨格デバイスにおいて、四肢装着部材は、回転要素に接続される、外骨格デバイス。
【0092】
[0100]条項8:条項1~7のいずれか一項に記載の外骨格デバイスにおいて、自己整列機構は、重さが200g未満である、外骨格デバイス。
【0093】
[0101]条項9:条項1~8のいずれか一項に記載の外骨格デバイスにおいて、自己整列機構は、外骨格デバイスの総重量の6%未満を形成する、外骨格デバイス。
【0094】
[0102]条項10:条項1~9のいずれか一項に記載の外骨格デバイスにおいて、人工関節は、スライダ-クランク機構に接続され、スライダ-クランク機構は、リニアアクチュエータによって動力供給される、外骨格デバイス。
【0095】
[0103]条項11:条項10に記載の外骨格デバイスにおいて、人工関節は、ユーザの四肢の関節の対向する横側面に位置付けるために構成される第1の構成要素および第2の構成要素を備え、スライダ-クランク機構は、四節機構を備え、四節機構は、リニアアクチュエータと人工関節の第1の構成要素との間に接続される第1のスライダ-クランク構造体と、リニアアクチュエータと人工関節の第2の構成要素との間に接続される第2のスライダ-クランク構造体と、を備える、外骨格デバイス。
【0096】
[0104]条項12:条項11に記載の外骨格デバイスにおいて、リニアアクチュエータは、ユーザの四肢の第2の部分の上での固定のために構成され、第2の部分は、ユーザの四肢の一部分に対して四肢の関節の対向する縦側面にある、外骨格デバイス。
【0097】
[0105]条項13:条項12に記載の外骨格デバイスにおいて、リニアアクチュエータに接続されるシェルをさらに備え、シェルは、ユーザの四肢の第2の部分の周りに形成するように構成される、外骨格デバイス。
【0098】
[0106]条項14:条項13に記載の外骨格デバイスにおいて、シェルに接続され、シェルをユーザの四肢の第2の部分に固定するように構成されるストラップをさらに備える、外骨格デバイス。
【0099】
[0107]条項15:条項12~14のいずれか一項に記載の外骨格デバイスにおいて、リニアアクチュエータは、ユーザの四肢の関節との傍矢状の整列状態での四肢の第2の部分の上での固定のために構成される、外骨格デバイス。
【0100】
[0108]条項16:条項15に記載の外骨格デバイスにおいて、人工関節の第1の構成要素および第2の構成要素は、ユーザの四肢の関節から傍矢状にオフセットして位置付けるために構成される、外骨格デバイス。
【0101】
[0109]条項17:条項12~16のいずれか一項に記載の外骨格デバイスにおいて、四肢は、ユーザの脚であり、四肢の一部分は、脚の脛であり、四肢の第2の部分は、脚の大腿であり、ユーザの関節は、脚の膝である、外骨格デバイス。
【0102】
[0110]条項18:条項17に記載の外骨格デバイスにおいて、外骨格デバイスは、ユーザの右脚への固定のために構成され、外骨格デバイスは、ユーザの左脚への固定のために構成される、外骨格デバイス。
【0103】
[0111]条項19:外骨格支援運動を促進するための方法であって、外骨格デバイスの人工関節がユーザ四肢の関節の周りに位置付けられた状態で、外骨格デバイスをユーザ四肢に配置するステップと、外骨格デバイスによりユーザ四肢の第1の部分および第2の部分に力を印加するステップであって、ユーザ四肢の第1の部分および第2の部分は、ユーザ四肢の関節の対向する縦側面にある、ステップと、外骨格デバイスの自己整列機構により人工関節とユーザ四肢の関節との誤整列を補償するステップであって、自己整列機構は、ユーザ四肢の第1の部分の周りに位置付けられ、自己整列機構は、直動-回転-回転(PRR)構成で提供される3つの受動自由度(pDOF)を備える、ステップと、を含み、補償は、外骨格デバイスによってユーザ四肢の第1の部分に加えられる誤った力および/またはトルクの低減に貢献する、方法。
【0104】
[0112]条項20:条項19に記載の方法において、外骨格デバイスによってユーザ四肢に印加される約50Nmの支援トルクでは、外骨格デバイスによってユーザ四肢の第1の部分に加えられるピークの誤った力は、10N未満であり、外骨格デバイスによってユーザ四肢の第1の部分に加えられるピークの誤ったトルクは、1Nm未満である、方法。
【0105】
結び
[0113]本開示の特定の実施形態は、特定の構成、パラメータ、構成要素、要素などを参照して詳細に説明されているが、本説明は、例証的であり、特許請求された発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0106】
[0114]さらに、説明された実施形態の構成要素の任意の所与の要素について、その要素または構成要素について列挙される可能な代替案のいずれかは、別途暗示的または明示的に記載のない限り、全体的に、個々にまたは互いと組み合わせて使用され得るということを理解されたい。
【0107】
[0115]加えて、別途示されない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される量、成分、距離、または他の測定値を表現する数字は、用語「約」またはその同義語によって任意選択的に修正されるものと理解されるべきである。用語「約」、「およそ」、「実質的に」、または同様のものが、述べられた量、値、または状態と併せて使用されるとき、それは、述べられた量、値、または状態の20%未満、10%未満、5%未満、または1%未満だけ逸脱する量、値、または状態を意味すると取られ得る。最低限、また特許請求の範囲への均等論の適用を制限する狙いとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効桁数を考慮して、および通常の四捨五入技術を適用することによって、解釈されるべきである。
【0108】
[0116]本明細書で使用される任意の見出しおよび小見出しは、整理の目的にすぎず、本説明または特許請求の範囲を制限するために使用されることは意図されない。
【0109】
[0117]本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、別途文脈が明確に示さない限り、複数指示対象を除外しないということにも留意されたい。故に、例えば、単数指示対象(例えば、「widget(ウィジェット)」)を参照する実施形態は、2つ以上のそのような指示対象も含み得る。
【0110】
[0118]本明細書に説明される実施形態は、本明細書に説明される他の実施形態において説明される性質、特徴(例えば、構成成分、構成要素、部材、要素、部品、および/または部分)を含み得るということも理解されたい。したがって、所与の実施形態の様々な特徴は、本開示の他の実施形態と組み合わされ得、および/またはこれに組み込まれ得る。故に、本開示の特定の実施形態に関連する特定の特徴の開示は、上記特徴の適用または包含をその特定の実施形態に制限するものと解釈されるべきではない。むしろ、他の実施形態もそのような特徴を含み得るということが理解されるものとする。
【国際調査報告】