(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】深層水培養水耕栽培システム
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20230426BHJP
A01G 31/02 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
A01G31/00 601B
A01G31/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556634
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 US2021015671
(87)【国際公開番号】W WO2021211187
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522369706
【氏名又は名称】ハイドラ アンリミティド,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エヌ.キャンポー
(72)【発明者】
【氏名】スコット ティー.クルート
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314ND10
2B314ND27
2B314PA03
2B314PA06
2B314PB02
2B314PB27
2B314PB41
2B314PB44
2B314PB47
2B314PB64
(57)【要約】
本明細書は、複数の栽培タンクと、循環ポンプと、循環ポンプの出口を栽培タンクに流体的に接続する養分供給ラインと、栽培タンクに流体的に接続されたタンク排水ラインとを含む、DWC水耕栽培システムを開示する。各栽培タンクは、養分供給ラインとタンク排水ラインとの間に流体的に並列に接続されている。システムは、循環ポンプの入口に流体的に接続されたポンプ吸引ラインと、規定されたパターンに従ってタンク排水ラインをポンプ吸引ラインに流体的に接続する複数のブリッジコネクタとを更に含む。DWCシステムは、バルブ装置を介して循環ポンプ吸入口に流体的に接続された養分供給源を更に含んでもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対に配置された複数の栽培タンクと、
入口及び出口を有する循環ポンプと、
前記循環ポンプの前記出口に流体的に接続された養分供給ラインと、
各々が前記養分供給ラインを前記栽培タンクの一つに流体的に接続する複数のタンク供給ラインと、
タンク排水ラインと、
各々が前記栽培タンクの一つを前記タンク排水ラインに流体的に接続する複数のタンク排水接続ラインであって、前記栽培タンクの各々は、前記養分供給ラインと前記タンク排水ラインとの間で流体的に並列に接続されている、複数のタンク排水接続ラインと、
前記循環ポンプの前記入口に流体的に接続されたポンプ吸引ラインと、
前記タンク排水ラインと前記ポンプ吸引ラインとを流体的に接続する複数のブリッジコネクタと、を備える、
水耕栽培システム。
【請求項2】
前記栽培タンク対が二等分に配置され、栽培タンク対の前半が循環ポンプに相対的に近く、栽培タンク対の後半が循環ポンプから相対的に離れており、前記前半が第1の数のブリッジコネクタを有し、前記後半が第2の数のブリッジコネクタを有する、請求項1に記載の水耕栽培システム。
【請求項3】
前記前半及び前記後半の中の栽培タンク対の数はNであり、
前記第1の数は、Nの第1関数であり、
前記第2の数Nの第2関数である、
請求項2に記載の水耕栽培システム。
【請求項4】
前記第1の数が、
Nが4以上である場合には1であり、
Nが3以下である場合にはゼロである、
請求項3に記載の水耕栽培システム。
【請求項5】
前記第2の数が、
Nが偶数である場合には(N/2)+1であり、
Nが奇数である場合には(N/2)+0.5である、
請求項4に記載の水耕栽培システム。
【請求項6】
前記第2の数が、
Nが偶数である場合には(N/2)+1であり、
Nが奇数である場合には(N/2)+0.5である、
請求項3に記載の水耕栽培システム。
【請求項7】
レベル制御タンクと、
前記養分供給ラインを前記レベル制御タンクに流体的に接続する付加的タンク供給ホースと、
前記レベル制御タンクと前記タンク排水ラインとを流体的に接続する付加的タンク排水接続ラインと、を更に備える、
請求項1に記載の水耕栽培システム。
【請求項8】
各タンク排水が前記タンク排水ラインに取り外し可能に接続されている、請求項1に記載の水耕栽培システム。
【請求項9】
各タンクは、前記ポンプ吸引ライン、前記タンク排水ライン、前記養分供給ライン、及び前記ブリッジコネクタの上側で脚に支持されている、請求項1に記載の水耕栽培システム。
【請求項10】
各ブリッジは、任意の隣接する栽培タンク対の前記タンク排水接続ラインの流体接続の共通側から前記タンク排水ラインに配置される、請求項1に記載の水耕栽培システム。
【請求項11】
複数の栽培タンクと、
入口及び出口を有する循環ポンプと、
前記循環ポンプの前記出口に流体的に接続された養分供給ラインと、
各々が前記養分供給ラインを前記栽培タンクの一つに流体的に接続する複数のタンク供給ラインと、
タンク排水ラインと、
各々が前記栽培タンクの一つを前記タンク排水ラインに流体的に接続する複数のタンク排水接続ラインであって、前記栽培タンクの各々は、前記養分供給ラインと前記タンク排水ラインとの間で流体的に並列に接続されている、複数のタンク排水接続ラインと、
前記循環ポンプの前記入口に流体的に接続されたポンプ吸引ラインと、
前記タンク排水ラインと前記ポンプ吸引ラインとを流体的に接続する複数のブリッジコネクタと、を備える、
水耕栽培システム。
【請求項12】
前記栽培タンクが二等分に配置され、栽培タンクの前半が循環ポンプに相対的に近く、前記栽培タンクの後半が循環ポンプから相対的に離れており、前記前半が第1の数のブリッジコネクタを有し、前記後半が第2の数のブリッジコネクタを有する、請求項11に記載の水耕栽培システム。
【請求項13】
前記前半及び前記後半の中の栽培タンクの数はNであり、
前記第1の数は、Nの第1関数であり、
前記第2の数Nの第2関数である、
請求項12に記載の水耕栽培システム。
【請求項14】
前記第1の数が、
Nが4以上である場合には1であり、
Nが3以下である場合にはゼロである、
請求項13に記載の水耕栽培システム。
【請求項15】
前記第2の数が、
Nが偶数である場合には(N/2)+1であり、
Nが奇数である場合には(N/2)+0.5である、
請求項14に記載の水耕栽培システム。
【請求項16】
前記第2の数が:
Nが偶数である場合には(N/2)+1であり、
Nが奇数である場合には(N/2)+0.5である、
請求項13に記載の水耕栽培システム。
【請求項17】
レベル制御タンクと、
前記養分供給ラインを前記レベル制御タンクに流体的に接続する付加的タンク供給ラインと、
前記レベル制御タンクと前記タンク排水ラインとを流体的に接続する付加的タンク排水接続ラインと、を更に備える、
請求項11に記載の水耕栽培システム。
【請求項18】
各タンク排水が前記タンク排水ラインに取り外し可能に接続されている、請求項11に記載の水耕栽培システム。
【請求項19】
各タンクは、前記ポンプ吸引ライン、前記タンク排水ライン、前記養分供給ライン、及び前記ブリッジコネクタの上側で脚に支持されている、請求項11に記載の水耕栽培システム。
【請求項20】
複数の栽培タンクと、
入口及び出口を有する循環ポンプと、
前記循環ポンプの前記出口に流体的に接続された養分供給ラインと、
前記養分供給ラインを前記栽培タンクの一つに流体的に接続する複数のタンク供給ラインと、
前記循環ポンプの前記入口に流体的に接続されたタンク排水ラインと、
各々が前記栽培タンクの一つを前記タンク排水ラインに流体的に接続する複数のタンク排水接続ラインと、
前記循環ポンプの前記入口に接続された養分供給源と、を備える、
水耕栽培システム。
【請求項21】
前記養分供給源が養分供給タンクを備える、請求項20に記載の水耕栽培システム。
【請求項22】
前記養分供給タンクと前記循環ポンプの前記入口との間の制御弁配置であって、前記養分供給タンクを前記循環ポンプの前記入口から遮断することを可能にする遮断弁を含む、制御弁配置と、を更に備える、請求項21に記載の水耕栽培システム。
【請求項23】
前記制御弁配置は、フットバルブを含む、請求項22に記載の水耕栽培システム。
【請求項24】
前記養分供給源がシリンジを含む、請求項20に記載の水耕栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深層水培養水耕栽培システムに関し、より詳細には、このようなシステムのための養液循環装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
深層水培養(DWC)水耕栽培システムが広く使用されている。このようなシステムは、一般に、(a)バケットに養液を循環させるため、及び(b)バケット内の共通液面を維持するため、共通のパイプラインによって相互接続された個々の栽培バケットを含む。システム内のバケットの数に応じて、種々の設計が使用される。
【0003】
最も一般的に使用されている設計は、特に、UNDER CURRENT(登録商標)の商標の下で、現在のH2O培養によって製造されたものなどのボトムシステムである。これらのシステムは、「中央」タンク又は貯蔵タンクを特色とし、これは通常、養分混合タンクとして機能し、かつ予め設定された液面を維持するためのフロート弁を備えている。中央タンクは、タンク底部の近くにある共通のパイプラインによって、養分タンクに接続された一列又は複数列の栽培バケットに養液を供給する。各列の端部において、ポンプは、パイプラインから養液を吸引し、それを中央タンクに戻すために設けられている。この設計は、養分タンクからの養分が流入する循環を生成し、一つのタンクから次のタンクへ逐次的又は連続的な順序で進行した後、中央タンクに戻る。この設計は、大抵、養液を酸素化するために、各栽培タンク内にシステムエアポンプ及びバブラーを含む。
【0004】
残念ながら、既存のボトムシステムは、それらの設計及び性能にいくつかの欠点を有する。
【0005】
第1に、既存のボトムシステムは、一般に、養液の循環を可能にし、かつ重力によってタンク内の共通の養液レベルを維持するために、大きな直径(2.5”以上)のパイプラインを必要とする。従って、労力及び材料コストは比較的高い。設置及び組み立てには、適切な漏れのない稼働を確実にするために、熟練度及び精度を必要とする。タンクは互いに強固に拘束される。
【0006】
第2に、既存のボトムシステムは順次循環又は逐次循環を使用するが、このことは各バケットに供給される養液品質にばらつきを生じさせる。循環速度は、タンクレベルが重力で均等化されるのを保証するために制限される。結果として、植物は、均等な養分環境に一貫して維持されているわけではない。このことは、栄養を求め、タンク間の循環配管内で成長し、潜在的に養分循環を部分的に阻止する、根に現れる。
【0007】
第3に、既存のボトムシステムでは、養分濃度及びpHレベルは、植物が成長するにつれて調節されなければならない。これらの調節は、ボトムシステムでは時間がかかる。植物、特に中央タンクの下流の第1バケット内の植物に刺激を与えることを回避するために、薬剤を中央タンクにゆっくりと添加しなければならない。この手順は、システムオペレータが他のタスクに必要な時間を短縮させる。
【発明の概要】
【0008】
上述の問題は、本発明によって克服される。
【0009】
本発明の第1実施形態では、DWC養分循環システムは、栽培タンクを並列に供給し、タンクが充填されるのと基本的に同じ割合で栽培タンクを空にする。従って、各栽培タンクは、同じ量及び同じ品質の養液を受け取り、かつ栽培タンクを横断する溶液のレベルは等しい。
【0010】
第1実施形態の水耕栽培システムは、対に配置された複数の栽培タンクと、入口及び出口を有する循環ポンプと、循環ポンプの出口を栽培タンクに流体的に接続する養分供給ラインと、栽培タンクに流体的に接続されたタンク排水ラインと、を含む。各栽培タンクは、養分供給ラインとタンク排水ラインとの間で流体的に並列に接続されている。システムは、(a)循環ポンプの入口に流体的に接続されたポンプ吸引ラインと、(b)タンク排水ラインとポンプ吸引ラインとを流体的に接続する複数のブリッジコネクタと、を更に含む。
【0011】
DWC配管システムのこの第1実施形態は、既知のシステムよりも多くの利点を提供する。DWCシステムは、栽培タンクを横断して均等化されたタンク溶液レベルを維持し、かつシステムは、基本的に等しい量にて基本的に同時に新鮮な養分を栽培タンクに供給する。DWCシステムは、比較的小さい直径のパイプ、より少なくてより簡素なタンク接続、及び、一緒に稼働する、2つから事実上任意の数のタンクによるシステムサイズをスケーリングするための一貫した方法、を使用することを可能にする。DWCシステムは、栽培タンクの直列接続を必要としない。DWCシステムは、可撓性の栽培タンク構成及び接続を可能にし、これにより、セットアップ、運用、及びメンテナンスが簡素化され、すべて比較的に低熟練労力が使用される。DWCシステムは、栽培タンクを洗浄のために個別に移動又は除去することを可能にする。
【0012】
発明の第2実施形態では、DWCシステムは、弁配置を介して循環ポンプ吸入口に流体的に接続された養分供給タンクを含む。これは、新鮮な養分及び/又はpH変化化学物質を、養分供給タンクを介してシステムに添加することを可能にする。養分供給タンクの内容物は、ポンプ吸引ラインに引き込まれ、栽培タンクからの再循環溶液と混合される。混合物又はブレンドは、配管を介してポンプで送り込まれ、比較的短時間で、基本的に同時に、かつ基本的に等しい量で、各栽培タンクに注入される。
【0013】
DWC配管システムのこの第2実施形態は、既知のシステムよりも多くの利点を提供する。例えば、DWCシステムは、養分及び養液のpHレベルの比較的単純で安全かつ迅速な調節を可能にし、それによって植物に刺激を与える危険性を減少させる。
【0014】
本発明のこれら及び他の利点及び特徴は、現実施形態及び図面の説明を参照することにより、より完全に理解され、認識されるであろう
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】DWCシステムの第1実施形態の平面図である。
【
図4】DWCシステムの第2実施形態の一部の斜視図である。
【
図5】第2実施形態における配管の上方に持ち上げられたタンクの斜視図である。
【
図7】DWCシステムの様々な構成の計算流体力学(CFD)モデルの結果である。
【
図8】DWCシステムの様々な構成の計算流体力学(CFD)モデルの結果である。
【
図9】DWCシステムの様々な構成の計算流体力学(CFD)モデルの結果である。
【
図10】DWCシステムの様々な構成の計算流体力学(CFD)モデルの結果である。
【
図11】DWCシステムの様々な構成の計算流体力学(CFD)モデルの結果である。
【
図12】DWCシステムの様々な構成の計算流体力学(CFD)モデルの結果である。
【
図13】DWCシステムの様々な構成の計算流体力学(CFD)モデルの結果である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(1.導入)
本発明の実施形態を説明する前に、本発明は、(a)動作若しくは構成の詳細、又は(b)以下の説明に記載されている、若しくは図面に示されている構成要素の配置に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、種々の他の実施形態で実施することができ、本明細書に明示的に開示されていない別の方法で実施又は実行することができる
【0017】
更に、本明細書で使用される表現及び用語は説明の目的のためのものであり、限定とみなされるべきではないことが理解されるべきである。「含む(including)」、「備える(comprising)」及びその変形の使用は、その後に列挙された項目及びその等価物並びに追加項目及びその等価物を包含する。また、列挙は、様々な実施形態の説明に使用されてもよい。特に断らない限り、列挙の使用は、本発明を任意の特定の順序又は数の成分に限定するものと解釈されるべきではない。また、列挙の使用は、列挙されたステップ又は構成要素と組み合わされてもよい又は組み込まれてもよい追加のステップ又は構成要素を、本発明の範囲から除外するものと解釈されるべきではない。「X、Y及びZの少なくとも一つ(at least one of X, Y and Z)」としての請求項要素への言及は、(a)X、Y又はZのいずれか一つ以上を個別に、又は(b)X、Y及びZのいずれか一つ以上の任意の組み合わせ、例えば、X、Y、Zと、X、Yと、X、Zと、Y、Zと、を含むことを意味する。
【0018】
「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「頂部(top)」、「底部(bottom)」、「上部(upper)」、「下部(lower)」、「内側(inner)」、「内部に(inwardly)」、「外側(outer)」、及び「外部に(outwardly)」のような方向性の用語は、図面に示された実施形態の向きに基づいて、本発明の説明に役立つために使用される。方向用語の使用は、いかなる特定の向きにも本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0019】
(2.深層水耕栽培(DWC)システム)
本発明の第1実施形態に従って構成された深層水培養(DWC)水耕栽培システムは、図面に示されており、一般には10で示される。システム10は、複数のバケット又は栽培タンク12と養分供給システム14とを含む。
【0020】
開示された実施形態は、24個のバケット又は栽培タンク12を含む。しかしながら、事実上任意の数のバケットを含めることができる。バケット12は、バケット12a及びバケット12bを含むバケット対16のように、対に配置される。
図1に見られるように、バケット12は、それぞれ12個のバケット(したがって6対)からなる2つのバンク18a及びバンク18bに配置されている。
【0021】
養分供給システム14は、ポンプ吸引ライン20と、タンク排水ライン22と、養分供給ライン24と、複数のブリッジコネクタ26と、養分タンク28と、レベル制御タンク30と、複数の循環器32と、複数のタンク排水ホース又はタンク排水接続ライン34と、複数の循環供給ホース36と、チラー38と、真水供給ライン40と、循環ポンプ42と、各種バルブ44と、を含む。
【0022】
ポンプ吸引ライン20、タンク排水ライン22及び養分供給ライン24は、好ましくは、栽培タンク12の各バンク18内で互いに平行である。ポンプ吸引ライン20は、循環ポンプ42の入口又は吸引46に流体的に接続される。タンク排水ライン22は、レベル制御タンク30に流体的に接続される。養分供給ライン24は、チラー38の出力に流体的に接続されている。
【0023】
循環ポンプ42の出力48は、ライン50によってチラー38に流体的に接続される。チラー38の出力は、ホース52によって養分供給ライン24に流体的に接続される。チラー38の包含は任意である。チラー38が含まれていない場合、養分供給ライン24は、循環ポンプ42の出力48に直接接続される。典型的には、一つ又は二つのバンク18のラインは、一つの循環ポンプ42によって供給される。
【0024】
各栽培タンク12は、排水ホース10によって排水ライン22に流体的に接続されている。各栽培タンク12は、タンクに及び/又はタンク内に取り付けられた循環器32を含む。各循環器32は、養分供給ライン24に接続された循環供給ホース36によって流体的に接続されている。新鮮な養分が循環器32を介して各タンク12に導入される一方、古い養分は、各タンクから排水ホース10を介して出てくる。循環器32は、当業者に公知の任意の適当なタイプのものであってもよい。実施例の循環器は、(a)2018年8月7日に出願された「Hydroponic Nutrient Aeration and Flow Control Device and System」と題する米国特許出願第16/057、116号、及び(b)2019年12月18日に出願された「Hydroponic Nutrient Solution Aeration Device」と題された米国特許出願第16/719、420号に開示されている。両方の適用の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
ブリッジコネクタ26は、選択された位置で排水ライン22をポンプ吸引ライン20に流体的に接続する。循環ポンプ42は、ブリッジコネクタ26を介して排水ライン22から古い養分を吸引ライン20に引き込む。ブリッジコネクタ26の数及び位置は、好ましくは、バンク18に沿って配置されたタンク対16の数に応じたパターンに従う。
【0026】
図2は、タンク12のバンク18aを示している。前述したように、タンク12は、タンク12a及びタンク12bを含む対となるよう、対16で配置される。現実施形態では、各バンク18は、バンク内の合計12個のタンクに対してタンク12の対16を6つ含む。バンク18a内の対の前半60(すなわち、3つの対)は、循環ポンプ42に相対的に近く、対の後半62(すなわち、3つの対)は、循環ポンプから相対的に離れている。バンク18が偶数の対16を含む場合(図示のように)、各半分60、62は等しい数のタンク12を含む。バンクが奇数の対16を含む場合、半分60、62の一つは他の半分よりももう一組の対を含む。
【0027】
ブリッジコネクタ26の数及びパターンは、バンク18内のタンク対16の数の関数である。タンク対の数はNと指定されている。開示されたシステムでは、Nはバンク18a、18bの各々に対して6である。
【0028】
タンク対の前半60の場合、半分内のブリッジコネクタの数は以下の通りである。
N≧4の場合には一つのブリッジ。
N≦3の場合にはブリッジはない。
【0029】
Nは、開示された実施形態においては6であり、6は4以上であるので、一つのブリッジコネクタは、前半60の領域に含まれている。この一つのブリッジコネクタは、
図2の26aに示されている。ブリッジコネクタ26aは、前半60内の任意の場所に配置されてもよいが、好ましくは、幾分中央に配置されている。
【0030】
タンク対の後半62の場合、半分内のブリッジコネクタの数は以下の通りである。
Nが偶数である場合には(N/2)+1である。
Nが奇数である場合には(N/2)+0.5である。
【0031】
上記の式は、偶数N、及び同じ数のブリッジコネクタを持つ次に大きい奇数N+1という結果になる。
【0032】
開示された実施例では、Nは6であるので、4つ(すなわち、6/2+1)のブリッジコネクタが後半60に含まれている。これらのブリッジコネクタは26b、26c、26d、26eで示される。好ましくは、ブリッジコネクタは、後半62内に幾分規則的な間隔で配置される。
【0033】
パターンに従ったブリッジコネクタ26の数及び配置により、ブリッジコネクタは、排水ライン22内に実質的に均等な吸引ライン真空圧を提供するのを助ける。その結果、各栽培タンク12は、タンクが循環器32によって充填されると本質的に同じ割合で空になる。この論点は、「DWCシステムの計算流体動的検証」と題するセクションでより詳細に説明され、
図7-
図13に示される。
【0034】
現在、排水ホース34及び循環供給ライン36は、タンクをある程度移動できるようにする可撓性ホースである。更に、ホースにはクイックディスコネクトを取り付けてもよいため、例えば洗浄のために、個々の栽培タンク12を取り外すことができる。
【0035】
現在、ライン20、ライン22及びライン24は、組み立て及び取り扱いを容易にするための押し込み式フィッティングを備えた1インチのIDポリエチレンパイプであってもよく、大型のタンクバルクヘッドフィッティング及びPVCパイプを使用する必要性を排除している。可撓性ホースを含む他の材料をライン20、ライン22及びライン24に使用してもよい。より長いラインでは、ポンプの圧力降下を減少させるために、より大きな直径を使用してもよい。
【0036】
上述したように、養分循環システム14を含むシステム10は、新鮮な酸素化養分が各タンクに均等に同時に導入されることから、各栽培タンク内に実質的に等しい液面を維持する。
【0037】
(3.DWC栄養素混合及び供給システム)
システム10内の養分供給タンク28及びその接続は、養分及びpH調整に要する時間を1時間から数分程度に短縮する。システム10内の養分供給タンク28及びその接続はまた、高濃度の化学物質で植物に刺激を与える可能性を実質的に排除する。
【0038】
養分レベル及び/又はpHを調節する場合には以下の工程による。
【0039】
DWCシステム10には、真水が充填され、並びに/又はそれ以外では養分及び/若しくはPHの調整のために準備される。
【0040】
循環ポンプ42をオフし、遮断弁54が開くことで、養分タンク28内の水面を栽培タンク12内の水面と同じレベルまで上昇させることができる。
【0041】
全ての栽培タンクを合わせた必要な量の養分化学物質は、養分タンク28内に導入され、好ましくは混合されるまで攪拌される。
【0042】
次に、循環ポンプ42をオンにする。養分タンクの内容物は、ポンプ吸引ライン20に引き込まれ、栽培タンク12からの戻り溶液と混合され、養分タンクの内容物を安全なレベルに希釈する。一般的に言えば、養分タンク28を空にするには約2分かかる。養分タンク28の底部のフットバルブ56は、タンクが空になると閉じ、空気がポンプ吸引ライン20に入ることを防止する。
【0043】
循環ポンプ42は、溶液を養分供給ライン24に供給し、そこから各栽培タンク12に実質的に等しくかつ実質的に同時に溶液が供給される。
【0044】
(4.DWCシステムの計算流体動的検証)
本発明のブリッジシステム設計方法論を組み込んだDWCシステム10の種々の構成のコンピュータ支援設計(CAD)モデルは、SOLIDWORKS(登録商標)フローシミュレーションプログラムを用いてモデル化されている。モデルは、他の因子の中で、システムの個々のタンク12内の溶液レベルの均等性を示す。4個、6個、7個、8個、9個、12個及び24個のタンクを有するシステムの構成の計算流体力学(CFD)モデルの結果をそれぞれ
図7-
図13に示す。
【0045】
CFDモデルを実際の実験結果と比較した。全ての場合において、CFDモデルは実験結果に適合し、モデルは個々のタンク内の溶液レベルの間で0.5インチ未満の変動の設計目標を満たした。CFDモデルは、システム性能を正確に予測する。また、CFDモデルを使用して、最適な溶液レベルの均等化のためにブリッジコネクタ26の適切な内径を決定してもよい。
【0046】
(5.液体のシリンジ注入)
システムに液体養分を加えるために養分タンク28を使用する変形例は、
図4に示されている。この変形は、ポンプ吸引ライン20に解放可能に流体接続され得るシリンジ64を含み、このシリンジ64は、ポンプ42の吸入口46に接続されている。シリンジ64は実質的に養分供給タンクにとって代わる。シリンジ64には、ポンプ入口46に近接するポンプ吸引ライン20に取り付けられた嵌合カプラ68を閉じることができるクイックカップリング66が取り付けられている。
【0047】
液体養分を加えるために、シリンジ64は、(まだ取り外されていない場合)クイックカップリング66をカプラ68から切り離すことによって取り外される。次に、液体養分供給のクイックカップリング(図示せず)の配置により、及び養分をシリンジに吸い込むことにより、シリンジ64が充填される。次いで、クイックカップリング66はカップリング68に再接続され、戻り養分と混合されるために、シリンジ64内の液体養分はポンプ吸引ライン20内に押し込まれてもよい。この変形例は、迅速かつ便利である。
【0048】
(6.アンダータンク配管とプラグインタンク)
第2実施形態110は、
図4-
図6に示されている。第1実施形態の要素に対応する第2実施形態の要素は、同じ番号にプラス100をした符号を有する。例えば、第2実施形態のタンク112は、第1実施形態のタンク12に対応している。
【0049】
図示のタンク112は、単一の列に配置されている。システム110には複数の列が含まれていてもよい。タンク112は脚部113によって支持されており、この脚部113は、配管ラインをタンクの下に通すことを可能にし、これによってタンク間の床空間を解放することを可能にする。各タンク112は、円筒状のボス115(
図5参照)を含み、これにより、タンク排水ライン22にタンクを差し込むことができる。この接続配置により、各タンク112を、例えばサービスのために比較的容易に取り付け及び取り外しすることが可能になる。
【0050】
好ましくは、配管は、かみ合い設置を可能にするモジュール設計を含む。各モジュール部分は、ブリッジ接続部126を含む。しかしながら、溶液レベルの均等化に必要な接続ブリッジ126のみが、流路を含む。
【0051】
(4.結論)
以上の説明は、本発明の現実施形態のものである。添付の特許請求の範囲に規定されている本発明の意図及びより広い態様から逸脱することなく、種々の修正及び変更を行うことができ、特許請求の範囲は均等論を含む特許法の原理に従って解釈されるべきである。
【0052】
この開示は説明のためのものであり、本発明の全ての実施形態の網羅的な説明として解釈されるべきではなく、又はこれらの実施形態に関連して図示又は説明された特定の要素に特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。例えば、限定することなく、本発明の任意の個々の要素は、実質的に同様の機能を提供する又は他の方法で適切な工程を提供する別の要素によって置換されてもよい。これには、例えば、当業者に現在知られているような現在知られている代替要素、及び将来開発され得る代替要素、例えば当業者が開発の際に代替として認識することができる代替要素が含まれる。
【0053】
更に、開示された実施形態は、一緒に説明され、共同で利益の集まりを提供する複数の特徴を含む。本発明は、これらの特徴の全てを含むか、又は特許請求の範囲に明示的に記載されている範囲を除いて、記載された利点の全てを提供する実施形態のみに限定されるものではない。例えば、「一つ(a)」「一つの(an)」「前記(the)」又は「前記(said)」を使用している、単数形の請求項要素への言及は、要素を単数に限定するものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】