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特表2023-518799圧力および他の生理学的パラメータの撮像および測定のためのガイドワイア
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】圧力および他の生理学的パラメータの撮像および測定のためのガイドワイア
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0215 20060101AFI20230426BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
A61B5/0215 C
A61B5/02 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556649
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 US2021023135
(87)【国際公開番号】W WO2021188884
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/992,695
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/044,960
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/205,964
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522369887
【氏名又は名称】ゼンター,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】リンダー,リチャード・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】メイナード,エドウィン・ミード
(72)【発明者】
【氏名】マーランド,スコット・ケネス
(72)【発明者】
【氏名】エステス,コリー・レックス
(72)【発明者】
【氏名】クイスト,スティーブン・マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ナイトン,ネイサン・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA01
4C017AB04
4C017AC03
4C017FF08
(57)【要約】
ガイドワイアシステムは、体の血管構造など、体の内腔空間へ挿入されるように構成された細長いワイアを含む。ワイアは導電性を有し、電気信号を伝えるように構成される。1つまたは複数のセンサがワイアの遠位区分に結合され、ワイアを介して電気信号を送信および受信するように構成される。1つまたは複数のセンサが結合されたワイアは、1つまたは複数のセンサが電気信号を送信および受信するのを通す唯一のワイアである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に挿入されるように構成された細長いワイアであって、近位端および遠位端を有し、電気信号を伝えるように構成されたワイアと、
前記ワイアの遠位区分(section)に結合された1つまたは複数のセンサタイプの1つまたは複数のセンサであって、前記ワイアを介して前記電気信号を送信および受信するように構成された1つまたは複数のセンサと
を備える医療デバイス。
【請求項2】
前記1つまたは複数のセンサが結合された前記ワイアが、前記1つまたは複数のセンサが前記電気信号を送信および受信するのを通す唯一のワイアである、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記ワイアの少なくとも一部分の上に配置された1つまたは複数の外側部材をさらに備える、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記1つまたは複数のセンサタイプが、2つ以上の異なるセンサタイプを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
複数のセンサが、1つまたは複数の生理学的パラメータの同時測定を提供するように構成されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記1つまたは複数のセンサの活動時のサンプリング速度が5秒以下である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記1つまたは複数のセンサが、1つまたは複数の圧力センサを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記1つまたは複数の圧力センサが、抵抗、容量、光、音響、光音響センサ、またはこれらの組合せを含む、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
複数の圧力センサが、前記ワイアの遠位区分の長さに沿って長手方向に隔置されている、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記複数の圧力センサが、連続する各圧力センサまたは2つ以上の圧力センサの連続する各組で円周オフセットが加えられるように、前記ワイアの上に配置されている、請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記1つまたは複数のセンサが、1つまたは複数の超音波センサを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記電気信号が、前記1つまたは複数のセンサに電力供給するために前記ワイアを通って前記1つまたは複数のセンサへ送達される電力信号を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記電気信号が、前記1つまたは複数のセンサの動作の結果として前記ワイアを通って前記1つまたは複数のセンサによって送信されるデータ信号を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記ワイアの近位区分に付随する近位デバイスをさらに備え、前記近位デバイスが、前記ワイアに通された前記電気信号を介して、前記ワイアの遠位区分に位置決めされた前記1つまたは複数のセンサと通信するように構成されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記近位デバイスが、前記ワイアを通って前記1つまたは複数のセンサへ電力を送信し、前記ワイアを通って前記1つまたは複数のセンサからデータ信号を受信するように構成されている、請求項14に記載の医療デバイス。
【請求項16】
前記ワイアが、前記ワイアを形成するように互いに結合された2つ以上の撚線を有する撚線部材を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項17】
前記ワイアが、互いに取外し可能に取り付けられた複数の延長部を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項18】
前記ワイアが、少なくとも約0.127mm(0.005インチ)の平均外径を有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項19】
前記1つまたは複数のセンサが基板に結合され、前記基板が前記ワイアの遠位区分に結合されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項20】
前記基板が、前記ワイアの前記遠位区分に螺旋形に巻き付けられている、請求項19に記載の医療デバイス。
【請求項21】
前記基板が細長いチューブである、請求項19に記載の医療デバイス。
【請求項22】
前記チューブが、前記チューブの径方向の膨張を可能にする切断パターンを含む、請求項21に記載の医療デバイス。
【請求項23】
前記ワイアが導電ポリマーを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項24】
前記ワイアが、体の血管構造を通って経路指定されるように構成されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項25】
前記1つまたは複数のセンサおよび前記1つまたは複数のセンサに対応する支持電子機器が、前記ワイアの遠位区分に配置されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項26】
体の腔内空間内で使用するためのガイドワイアデバイスであって、
近位端および遠位端を有し、電気信号を伝えるように構成された細長いワイアと、
前記ワイアの遠位区分に結合された1つまたは複数のセンサタイプの1つまたは複数のセンサと、
前記ワイアの近位区分に付随する近位デバイスとを備え、
前記近位デバイスが、前記ワイアを通って前記1つまたは複数のセンサへ電力を送信するように構成され、
前記近位デバイスが、前記ワイアを通って1つまたは複数のセンサタイプの前記1つまたは複数のセンサからデータ信号を受信するように構成されている、ガイドワイアデバイス。
【請求項27】
医療デバイスを使用する方法であって、
第1の部材を体の内腔空間内に位置決めすることであり、前記第1の部材が細長いワイアを含む、位置決めすることと、
電気信号を前記ワイアに結合することであり、前記ワイアが近位部分および遠位部分を有し、前記ワイアが電気信号を伝えるように構成されている、結合することと、
前記ワイアを介して、前記ワイアの前記遠位部分に結合された1つまたは複数のセンサタイプの1つまたは複数のセンサから前記電気信号を送信および受信することと
を含む方法。
【請求項28】
前記ワイアの上にまたは前記ワイアに隣接して第2の部材を配置することと、
前記第2の部材が体内へ動かされるように、前記第2の部材を前記ワイアに対して平行移動させることと、
1つまたは複数のセンサタイプの前記1つまたは複数のセンサの上で前記第2の部材を平行移動させることと、
前記1つまたは複数のセンサに対する体内の前記第2の部材の相対位置を示すデータ信号を前記1つまたは複数のセンサから受信することと
をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
センサが、前記ワイアの前記遠位部分に沿って複数の長手方向位置に位置決めされる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ワイアを体内に位置決めすることによって、前記1つまたは複数のセンサが、局所化された基準枠を確立し、それによって前記局所化された基準枠内の前記第2の部材の局所化を可能にする、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2020年3月20日に出願された「CATHETER SYSTEM,DEVICE,AND METHOD THEREOF」という名称の米国特許仮出願第62/992,695号、2020年6月26日に出願された「CATHETER AND GUIDEWIRE SYSTEMS WITH ENHANCED LOCATION AND CHARACTERIZATION FEATURES」という名称の米国特許仮出願第63/044,960号、および2021年3月18日に出願された「GUIDEWIRE FOR IMAGING AND MEASUREMENT OF PRESSURE AND OTHER PHYSIOLOGICAL PARAMETERS」という名称の米国特許出願第17/205,964号に対する優先権を主張する。上記の出願の各々の全内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]追加として、本出願は、2021年3月18日に出願された「SIGNAL CONDUCTING DEVICE FOR CONCURRENT POWER AND DATA TRANSFER TO AND FROM UN-WIRED SENSORS ATTACHED TO A MEDICAL DEVICE」という名称の米国特許出願第17/205,614号、2021年3月18日に出願された「OPERATIVELY COUPLED DATA AND POWER TRANSFER DEVICE FOR MEDICAL GUIDEWIRES AND CATHETERS WITH SENSORS」という名称の米国特許出願第17/205,754号、および2021年3月18日に出願された「CATHETER FOR IMAGING AND MEASUREMENT OF PHYSIOLOGICAL PARAMETERS」という名称の米国特許出願第17/205,854号に関係する。上記の出願の各々の全内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[0003]本発明は、一般に、1つまたは複数の生理学的パラメータの同時および/または連続測定のための様々なセンサを含むガイドワイアおよびカテーテルなどの腔内デバイスを含む医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
[0004]多くの場合、患者の体内の標的とされる解剖学的箇所へカテーテルまたは他の介入性デバイスを誘導または案内するために、ガイドワイアデバイスが使用される。典型的に、ガイドワイアは患者の血管構造に通されて、たとえば患者の心臓または脳またはその付近に位置し得る標的箇所に到達する。典型的に、ガイドワイアを標的とされる箇所へ誘導するのを支援するために、放射線撮像が利用される。様々な外径サイズを有するガイドワイアが利用可能である。広く利用されているサイズには、たとえば直径0.254mm(0.010インチ)、0.3556mm(0.014インチ)、0.4064mm(0.016インチ)、0.4572mm(0.018インチ)、0.6096mm(0.024インチ)、および0.889mm(0.035インチ)が含まれるが、これらはより小さい直径またはより大きい直径でもよい。
【0005】
[0005]多くの事例では、ガイドワイアは介入性処置中に体内に配置され、このガイドワイアを使用して、複数のカテーテルまたは他の介入性デバイスを標的とされる解剖学的箇所へ案内することができる。定位置についた後、カテーテルを使用して、凝血塊もしくは他の閉塞物を吸引することができ、あるいは薬物、ステント、塞栓用デバイス、放射線不透過性染料、または患者を治療するための他のデバイスもしくは物質を送達することができる。
【0006】
[0006]これらのタイプの介入性デバイスは、デバイスに追加の機能を提供するために、遠位端に位置するセンサを含むことができる。たとえば、血管内超音波(IVUS)は、遠位端に超音波撮像センサが取り付けられたカテーテルを利用する撮像技法である。超音波を利用して、標的とされる血管構造(典型的に、冠状動脈)内を撮像する。
【0007】
[0007]そのようなセンサの使用には、いくつかの難題が伴う。特に、関連する介入性デバイスは、関連する厳しい寸法制約を考慮すると、作業するための空間が非常に制限される。さらに、効果的な機能を維持するように介入性デバイスにセンサを一体化するのは難しいことがある。
【0008】
[0008]この分野に共通する別の問題は、デバイスの遠位端を標的箇所に適切に局所化および位置決めすることである。挿入中にデバイス先端が不適切に位置決めされた場合、または挿入後に先端が所望の位置から移動した場合、様々なリスクが生じる可能性がある。たとえばカテーテルの実装例では、不適切な位置決めは流体の浸出を招く可能性があり、それにより患者の痛みまたは負傷、血栓症率の増大、治療の遅れ、デバイスの破損または動作不良、デバイス交換による遅れおよびデバイス交換に付随する追加のコスト、ならびに主治医および医療センターによって必要とされる追加の時間が生じる可能性がある。
【0009】
[0009]さらに、内部撮像およびカテーテルの局所化のための従来の手法では、染料の注入および/またはX線の使用が必要とされる。これらの各々は患者にとって有害となり得る。その上、そのような撮像放射は、放射にさらされる医師および職員にとっても有害となり得る。
【0010】
[0010]そのような介入性デバイスの使用はまた、ガイドワイア、電力ケーブル、データワイアなどを含むいくつかの長い長さのワイアおよび他の構成要素を管理する必要があるために困難である。滅菌野で何が許可されているか、およびいつそれを除去することができるかに関して、注意を払わなければならない。多くの場合、単にそのようなワイアおよびケーブルを管理するためだけに、追加の職員が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
[0011]したがって、センサを効果的に一体化し、センサとの電力およびデータ通信を効果的に管理し、デバイスからのデータを追加の処理のために効果的に通信し、血管構造または他の標的とされる解剖学的構造内の所望の標的位置における医療デバイスのより効果的な位置決めを可能にする、改善された介入性デバイスが現在必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[0012]一実施形態では、ガイドワイアシステムは、血管構造など、体の内腔空間へ挿入されるように構成された細長いワイアを含む。ワイアは導電性を有し、電気信号を伝えるように構成される。1つまたは複数のセンサがワイアの遠位区分に結合され、ワイアを介して電気信号を送信および受信するように構成される。1つまたは複数のセンサが結合されたワイアは、1つまたは複数のセンサが電気信号を送信および受信するのを通す唯一のワイアである。
【0013】
[0013]1つまたは複数のセンサは、圧力センサおよび超音波センサなど、2つ以上の異なるセンサタイプを含むことができる。複数のセンサが利用されるとき、ガイドワイアシステムは、1つまたは複数の生理学的パラメータの同時測定を提供するように構成される。すなわち、複数の位置に位置決めされた複数のセンサ(2つ以上のタイプのものとすることができる)が、ワイアを通ってセンサデータを同時に送信することができる。
【0014】
[0014]ガイドワイアシステムは、ワイアの近位区分でワイアに動作可能に結合された近位デバイスを含むことができ、近位デバイスは、ワイアに通された電気信号を介して、ワイアの遠位区分に位置決めされた1つまたは複数のセンサと通信するように構成される。たとえば、近位デバイスは、ワイアを通って1つまたは複数のセンサへ電力を送信し、ワイアを通って1つまたは複数のセンサからデータ信号を受信するように構成することができる。
【0015】
[0015]いくつかの実施形態では、1つまたは複数のセンサは基板に結合され、基板はワイアの遠位区分に結合される。たとえば、基板は、コアの遠位区分に巻き付けることができる。いくつかの実施形態では、基板は、コアの遠位区分に螺旋形に巻き付けられる。いくつかの実施形態では、基板は細長いチューブを含み、チューブは、チューブの径方向の膨張を可能にし、チューブがより小さい直径のデフォルト形状に戻る前にワイアの所望の区分の上にチューブを位置決めすることを可能にする切断パターンを有する。
【0016】
[0016]一実施形態では、ガイドワイアシステムを使用する方法が、第1の部材を体の内腔空間内に位置決めすることであり、第1の部材が細長いワイアを含み、ワイアが近位部分および遠位部分を有し、ワイアが電気信号を伝えるように構成されている、位置決めすることと、電気信号をワイアに結合することと、ワイアの遠位部分に結合された1つまたは複数のセンサタイプの1つまたは複数のセンサからワイアを介して電気信号を送信および受信することとを含む。
【0017】
[0017]この方法はまた、ワイアの上にまたはワイアに隣接して第2の部材(たとえば、カテーテル)を配置することと、第2の部材が体内に入るように第2の部材をワイアに対して平行移動させることと、1つまたは複数のセンサタイプの1つまたは複数のセンサの上で第2の部材を平行移動させることと、1つまたは複数のセンサに対する体内の第2の部材の相対位置を示すデータ信号を1つまたは複数のセンサから受信することとを含むことができる。1つまたは複数のセンサは、たとえば、ワイアの遠位部分に沿って複数の異なる長手方向位置に位置合わせされた複数の圧力センサを含むことができる。
【0018】
[0018]この発明の概要は、以下の発明を実施するための形態でさらに説明する一連の概念を簡略化された形で導入するために提供されたものである。この発明の概要は、特許請求する主題の主要な特徴または本質的な特徴を識別することを意図したものでも、特許請求する主題の範囲を決定する際の支援として使用されることを意図したものでもない。
【0019】
[0019]追加の特徴および利点は、以下の説明に記載されており、一部はこの説明から明らかであり、または本明細書の内容を実施することによって知ることができる。本発明の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘する機器および組合せによって実現および取得することができる。本発明の特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより十分に明らかになり、または以下に述べる本発明の実施によって知ることができる。
【0020】
[0020]本発明の様々な目的、特徴、特性、および利点は、そのすべてが本明細書の一部を形成する添付の図面および添付の特許請求の範囲と併せて、実施形態の以下の説明から明らかになり、より容易に理解されよう。図面では、同じ参照番号を利用して、様々な図で対応または類似している部分を指定することができ、示されている様々な要素は、必ずしも原寸に比例して描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】[0021]本明細書に記載する特徴のうちの1つまたは複数を提供するように構成されたガイドワイアシステムの概略図である。
図2】[0022]電力およびデータ結合デバイスの構成要素を示し、結合デバイスを外部デバイスに通信可能に結合することができることを示す、本明細書に記載する特徴のうちの1つまたは複数を提供するように構成されたカテーテルシステムを示す図である。
図3A】[0023]電力およびデータ結合デバイスの構成要素を示し、結合デバイスを外部デバイスに通信可能に結合することができることを示す、図1のガイドワイアシステムのより詳細な図である。
図3B】[0024]ガイドワイア上の例示的なセンサ配置をより良好に示すためのガイドワイアの遠位区分の拡大図である。
図3C】[0025]デバイスの追加の遠位構成要素および特徴を示すためのガイドワイアの遠位区分の拡大図である。
図4A】[0026]標的とされる狭窄におけるステントの位置決めおよび配置を効果的に案内するためのガイドワイアシステムの例示的な使用を示す図である。
図4B】標的とされる狭窄におけるステントの位置決めおよび配置を効果的に案内するためのガイドワイアシステムの例示的な使用を示す図である。
図4C】標的とされる狭窄におけるステントの位置決めおよび配置を効果的に案内するためのガイドワイアシステムの例示的な使用を示す図である。
図4D】標的とされる狭窄におけるステントの位置決めおよび配置を効果的に案内するためのガイドワイアシステムの例示的な使用を示す図である。
図5A】[0027]例示的なセンサ基板およびそのような基板を使用してセンサをガイドワイア上に位置決めすることができる配置を示す図である。
図5B】例示的なセンサ基板およびそのような基板を使用してセンサをガイドワイア上に位置決めすることができる配置を示す図である。
図5C】例示的なセンサ基板およびそのような基板を使用してセンサをガイドワイア上に位置決めすることができる配置を示す図である。
図5D】例示的なセンサ基板およびそのような基板を使用してセンサをガイドワイア上に位置決めすることができる配置を示す図である。
図5E】例示的なセンサ基板およびそのような基板を使用してセンサをガイドワイア上に位置決めすることができる配置を示す図である。
図6】[0028]図6Aは、ガイドワイアの遠位区分にセンサ基板を適用するためのプロセスを示す図である。 図6Bは、ガイドワイアの遠位区分にセンサ基板を適用するためのプロセスを示す図である。 図6Cは、ガイドワイアの遠位区分にセンサ基板を適用するためのプロセスを示す図である。 図6Dは、ガイドワイアの遠位区分にセンサ基板を適用するためのプロセスを示す図である。
図7】[0029]ガイドワイア内で利用することができる例示的な超音波アレイの詳細図である。
図8】[0030]例示的な電力およびデータ結合デバイスの詳細図である。
図9】[0031]図9Aは、本明細書に記載するガイドワイアシステム内で利用することができる代替のワイア実施形態を示す図である。 図9Bは、本明細書に記載するガイドワイアシステム内で利用することができる代替のワイア実施形態を示す図である。
図10】[0032]体内のガイドワイアシステムの局所化を提供するシステムおよび方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
腔内システムの概要
[0033]図1は、本明細書に記載する特徴のうちの1つまたは複数を組み込むことができるガイドワイアシステム100の概略図を示す。ガイドワイアシステム100は、近位デバイス104を通って経路指定可能な細長いワイア102を含む。別法として、本明細書では、ガイドワイアシステム100を「ガイドワイアデバイス」または単に「デバイス」と呼ぶこともある。本明細書では、ワイア102を一種の細長い導電部材と呼ぶこともある。
【0023】
[0034]本明細書では、細長い導電部材は、幅より長さが大きい任意の導電構成要素を含む。たとえば、細長い導電部材は、ワイア102を含む。例および説明のために、細長い導電部材をワイア102と呼ぶこともあるが、ワイア102は可能な細長い導電部材のサブセットであることが理解されよう。たとえば、細長い部材はまた、カテーテル202を含むことができる。
【0024】
[0035]ガイドワイアシステム100の「ワイア」とは、ガイドワイアシステム100の根幹を形成する中実のワイア要素を指す。したがって、「ワイア」という用語は、ガイドワイアシステム100の文脈で使用されるとき、体内を誘導可能(たとえば、血管構造など、内腔空間を通って経路指定し、そのような内腔空間内に位置決めすることができる)になるように十分なトルク性、押込み性、および剛性/可撓性を有する構造を指すことが意図される。そのような「ワイア」要素は、当技術分野で「コア」、「コアワイア」などと呼ばれることがある。したがって、このタイプの「ワイア」は、トレースまたはリードなど、より小さくあまり構造化されていない要素とは区別されることが意図されており、そのような要素は、電気信号を搬送することが可能であるが、標的とされる解剖学的構造に到達するように体内を効果的に誘導および位置決めするには十分な構造を欠く。一例として、ガイドワイアシステム100の一部としての使用に好適な「ワイア」は、少なくとも約0.0762mm(0.003インチ)、または約0.127mm(0.005インチ)、または約0.2032mm(0.008インチ)、または約0.254mm(0.010インチ)の平均外径を有することができる。
【0025】
[0036]別の例では、ガイドワイアシステム100の一部としての使用に好適な「ワイア」は、68.95MPa(10ksi)を上回る、またはより好ましくは206.84MPa(30ksi)を上回る、またはより好ましくは344.74MPa(50ksi)を上回る、またはより好ましくは689.48MPa(100ksi)を上回る、またはより好ましくは1,034.21MPa(150ksi)を上回る、またはより好ましくは1,378.95MPa(200ksi)を上回る、またはより好ましくは1,723.69MPa(250ksi)を上回る、たとえば約2,068.43MPa(300ksi)の降伏強度を有することができる。追加または別法として、ガイドワイアシステム100の一部としての使用に好適な「ワイア」は、46,194.89MPa(6.7msi)を上回る、またはより好ましくは55,158.07MPa(8msi)を上回る、またはより好ましくは68,947.59MPa(10msi)を上回る、たとえば約82,737.11MPa(12msi)のせん断弾性係数を有することができる。追加または別法として、ガイドワイアシステム100の一部としての使用に好適な「ワイア」は、110,316.15MPa(16msi)を上回る、またはより好ましくは137,895.18MPa(20msi)を上回る、またはより好ましくは172,368.98MPa(25msi)を上回る、たとえば約206,842.77MPa(30msi)の弾性率を有することができる。
【0026】
[0037]ガイドワイアシステム100のワイア102は、患者の体内へ挿入されるように構成される。患者は典型的にヒトであるが、他の実装例では、ヒト以外の哺乳動物、またはさらには哺乳動物以外の動物であってもよい。特定の好みおよび/または応用例の必要に応じて、任意の好適な投与経路を利用することができる。一般的な経路には、大腿部、橈骨、および頸静脈が含まれるが、ガイドワイアシステム100は、必要に応じて他のアクセス経路を利用することもできる。
【0027】
[0038]本明細書に記載する例の多くは、血管内処置(たとえば、心臓血管または神経血管)に関連するガイドワイアシステム100またはカテーテルシステム200(図2参照)の使用に関するが、記載するシステムは、他の医療用途でも同様に利用することができることが理解されよう。本明細書に記載するシステムを利用することができる他の医療応用例には、たとえば、リンパ系、泌尿器系/腎臓系、胃腸系、生殖器系、肝臓系、または呼吸器系へのアクセスを伴う応用例が含まれる。
【0028】
[0039]ここでは、近位デバイス104は止血バルブとして示されているが、他の実施形態では、近位デバイス104は、追加または代替の形態を含むことができる。本明細書では、近位デバイス104を「電力およびデータ結合デバイス104」または単に「結合デバイス104」と呼ぶこともある。
【0029】
[0040]ワイア102は、近位端106および遠位端108を有する。ワイア102の長さは、特定の応用例の必要および標的とされる解剖学的面積に応じて変動し得る。一例として、ワイア102は、特定の応用例の必要および/または特定の解剖学的標的に応じて、約50cm~約350cm、より一般には約200cmの近位端106から遠位端108までの全長を有し得る。ワイア102は、外径(たとえば、他の外側部材の適用後)が約0.2032mm(0.008インチ)から約1.016mm(0.040インチ)になるようなサイズを有することができるが、特定の応用例の必要に応じて、より大きいまたは小さいサイズを利用することもできる。たとえば、特定の実施形態は、0.254mm(0.010インチ)、0.3556mm(0.014インチ)、0.4064mm(0.016インチ)、0.4572mm(0.018インチ)、0.6096mm(0.024インチ)、0.889mm(0.035インチ)、0.9652mm(0.038インチ)、またはガイドワイアデバイスに一般的な他のそのようなサイズなど、標準的なガイドワイアサイズに対応する外径サイズを有することができる。ワイア102は、類似の適当な特性を有するステンレス鋼または他の金属もしくは合金から形成することができる。いくつかの実施形態では、ワイア102は、適当な機械特性の導電性材料から形成することができ、またはそのような導電性材料を含むことができる。
【0030】
[0041]結合デバイスはまた、ガイドワイアシステム100と外部デバイス110(または複数のそのような外部デバイス)との間のワイアレス通信を可能にするために、送信器を含むことができ、または送信器に付随することができる。代替実施形態では、ガイドワイアシステム100および外部デバイス110は、有線接続を介して接続することができる。
【0031】
[0042]外部デバイス110は、移動電話、タブレット、またはラップトップコンピュータなど、手持ち式のデバイスとすることができる。外部デバイス110として手持ち式または移動デバイスを使用する例示的な実施形態を本明細書に記載するが、この必要はなく、他の実施形態は、デスクトップコンピュータ、モニタ、プロジェクタなど、他の「非移動」デバイスを含むこともできることが理解されよう。いくつかの実施形態では、外部デバイス110は、移動/手持ち式のデバイスを含み、追加としてデスクトップデバイスまたは他の非移動デバイスを含む。たとえば、移動デバイスは、送信器から伝送されたデータを受信し、そのデータを非移動コンピュータシステムへさらに送信することによってブリッジとして機能するように構成することができる。これは、医師が移動デバイス上でデータを見る選択肢を好むが、両手がふさがっているとき(たとえば、ガイドワイアシステム100を取り扱っているとき)などは、追加または別法としてデータをより大きいモニタに渡すかまたはミラーリングさせる必要がある状況で有用となり得る。
【0032】
[0043]ガイドワイアシステム100の外部デバイス110は、人体の血管または他の標的とされる解剖学的構造内のワイア102の遠位先端の位置を判定する際に医師を支援することができる。このようにして、医師は、ワイア102を適当に位置決めしながら、標的とされる解剖学的構造で様々なパラメータのデータを取得することもでき、したがって医師は、関連する環境をより良好に理解することができ、患者を治療しながら適当な決定を下すことができる。
【0033】
[0044]無線システムは、たとえばパーソナルエリアネットワーク(PAN)(たとえば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、BLE、NFCなど、極超短波電波通信)、ローカルエリアネットワーク(LAN)(たとえば、WiFi)、またはワイドエリアネットワーク(WAN)(たとえば、3G、LTE、5Gなど、セルラーネットワーク)を含むことができる。ワイアレスデータ伝送は、追加または別法として、無線周波(RF)センサ、赤外信号、または他のワイアレスデータ伝送手段など、光信号(光ファイバ線の使用の有無にかかわらず、赤外、可視無線)の使用を含むことができる。
【0034】
[0045]本明細書では、「電気信号」および「信号」はどちらも全体として、開示するシステム、デバイス、または方法の範囲内で任意の信号を指す。一方、「センサデータ信号」、「センサ信号」、または「データ信号」は、医療センサなどの医療デバイスによって生成されたコマンドまたは情報を搬送する任意の信号を指す。対照的に、「電力信号」または「エネルギー信号」は、センサなどの医療デバイスに電力を提供する任意の信号を指す。いくつかの場合、「信号」は、データ信号および電力信号の両方を含むことができる。
【0035】
[0046]センサデータ信号の処理は、全体をもしくは主に外部デバイス110で実施することができ、または別法として、遠隔サーバもしくは分散ネットワークなど、外部デバイス110に通信可能に接続された1つもしくは複数の他の外部デバイスで、少なくとも部分的に実施することができる。追加または別法として、センサデータ信号は、結合デバイス104、ワイア102、またはガイドワイアシステム100内のデバイスの何らかの組合せで処理することができる。センサデータ信号は、たとえば画像データ、位置データ、および/または様々なタイプのセンサデータ(流体の流れ、流体圧力、様々なガスまたは生物学的構成要素の存在/レベル、温度、他の物理パラメータなどに関係する)を含むことができる。
【0036】
[0047]以下でより詳細に説明するように、1つまたは複数のセンサは、ワイア102に結合することができ、1つまたは複数のセンサは、ワイア102を通って結合デバイス104へデータ信号を送信するように動作することができる。追加または別法として、結合デバイス104は、1つまたは複数のセンサへ電力または信号を送信するように動作することができる。
【0037】
[0048]図2は、本明細書に記載する特徴のうちの1つまたは複数を組み込むことができるカテーテルシステム200の概要である。カテーテルシステム200は、多くの点でガイドワイアシステム100に類似したものとすることができ、ガイドワイアシステム100に関係する上記の説明は、違いが明記されている場合を除いて、ここでも適用可能である。
【0038】
[0049]カテーテルシステム200は、カテーテル202および近位デバイス204(本明細書では「電力およびデータ結合デバイス204」または単に「結合デバイス204」と呼ぶこともできる)を含む。結合デバイス204は、制御ユニット212(拡大して概略的な形態で示す)を含み、制御ユニット212は、電源214、データ信号プロセッサ216、および任意選択で送信器218を含む。送信器218は、図1に関して上述したように、外部デバイス110(または複数のそのようなデバイス)へのワイアレス通信を可能にする。本明細書では、カテーテル202を一種の細長い導電部材と呼ぶことがある。
【0039】
[0050]データ信号プロセッサ216は、カテーテル202に付随する1つまたは複数のセンサ221からカテーテル202を通って送信されたセンサデータ信号を受信するように構成される。電源214は、カテーテル202を通って電力を伝送し、1つまたは複数のセンサ221および/またはカテーテル202の他の構成要素に電力供給するように構成される。電源214は、電池もしくは電池パックなど、内蔵電源を含むことができ、かつ/または外部電源への有線接続を含むことができる。1つまたは複数のセンサ221は、カテーテル202上の任意の好適な位置に配置することができるが、典型的には、標的とされる解剖学的構造に到達することが予期されるカテーテル202の遠位区分に配置される。センサ221は、たとえば接合、成形、共押出し、溶接、および/または接着の技法を用いることによって、カテーテル202に結合することができる。
【0040】
[0051]電力ワイアおよび/またはデータ線201が、カテーテル202の長さに沿って1つまたは複数のセンサ221まで延びる。本明細書では、「電力線」および/または「データ線」は、医療デバイス内の任意の導電経路(たとえば、トレース)を指す。複数の電力および/またはデータ線201を利用することができるが、好ましい実施形態は、電力およびデータの両方を単一の線で送信し、かつ/または複数のセンサからのセンサデータ信号を単一の線で管理するように構成される。これにより、カテーテル202の構造を通って経路指定しなければならない線の数が低減され、デバイスの制限された空間がより効果的に利用され、ならびにデバイスの複雑さおよび関連するデバイス障害のリスクが低減される。
【0041】
[0052]近位デバイス204は、カテーテル202への流体(たとえば、薬剤、栄養物)の導入を容易にするために、1つまたは複数のポートを含むことができる。カテーテル202は、体内に一時的に挿入されるようにサイズ設定および構成することができ、体内に恒久的に移植されるようにサイズ設定および構成することができ、または体内にインプラントを送達するように構成することができる。一実施形態では、カテーテル202は、末梢挿入式中心カテーテル(PICC)線であり、典型的には、体の血管系へアクセスするように体の腕または脚に配置される。カテーテル202はまた、中心静脈カテーテル、IVカテーテル、冠状動脈カテーテル、ステント送達カテーテル、バルーンカテーテル、アテレクトミー型カテーテル、もしくはIVUSカテーテル、または他の撮像カテーテルとすることができる。カテーテル202は、シングルまたはマルチルーメンカテーテルとすることができる。
【0042】
[0053]図3Aは、図1のガイドワイアシステム100の別の図を提供する。ガイドワイアシステム100は、カテーテルシステム200と特定の特徴を共有しており、したがって共通部分の説明は、ガイドワイアシステム100にも同様に適用可能である。示されているように、ガイドワイアシステム100は、制御ユニット112(拡大して概略的な形態で示す)を含み、制御ユニット112は、電源114、データ信号プロセッサ116、および任意選択で送信器118を含む。送信器118は、上述したように、外部デバイス110(または複数のそのようなデバイス)へのワイアレス通信を可能にする。
【0043】
[0054]データ信号プロセッサ116は、ワイア102に付随する1つまたは複数のセンサ121からワイア102を通って送信されたセンサデータ信号を受信するように構成される。電源114は、ワイア102を通って電力を伝送し、1つまたは複数のセンサ121および/またはワイア102の他の構成要素に電力供給するように構成される。電源114は、電池もしくは電池パックなど、内蔵電源を含むことができ、かつ/または外部電源への有線接続を含むことができる。1つまたは複数のセンサ121は、ワイア102上の任意の好適な位置に配置することができるが、典型的には、標的とされる解剖学的構造に到達することが予期される遠位区分に配置される。本明細書では、「遠位区分」または「遠位部分」とは、デバイスの最も遠位の30cm、デバイスの最も遠位の20cm、デバイスの最も遠位の15cm、デバイスの最も遠位の10cm、または上記の値のうちのいずれか2つを終点として使用する範囲を指す。いくつかの実施形態では、「中間区分」とは、デバイスの中央約3分の1であると見なすことができ、「近位区分」または「近位部分」とは、デバイスの近位約3分の1であると見なすことができる。
【0044】
[0055]カテーテルシステム200とは異なり、ガイドワイアシステム100は、実際のワイア102自体を通ってこれらの電力およびデータ信号を送信するように構成される。いくつかの実施形態では、ワイア102を通って、複数の電力および/またはデータ信号(たとえば、複数のセンサ121からのデータ信号)を同時に送信することができる。電力および/またはデータ信号はまた、「連続」して送信することもできる。すなわち、電力および/またはデータ信号は、実際的に「実時間」となる時間枠内に情報がユーザへ提供されるように、十分に高いサンプリング速度を有することができる。ほとんどの応用例では、これは、約5秒以下、3秒以下、1秒以下のサンプリング速度(たとえば、活動時)、または1秒未満のサンプリング速度を含む。
【0045】
[0056]ワイア102自体を使用して、デバイスを通って電力および/またはデータ信号を送信することで、いくつかの利益が提供される。たとえば、ワイア102を使用してこれらの信号を伝送することで、センサ121を近位端に接続するために、かつ/またはセンサへ電力を送達するために、ワイア102に沿って他の接続線を走らせる必要が低減またはなくされる。ガイドワイアが本質的に厳格な寸法および性能(たとえば、トルク性、屈曲、押込み性、剛性など)の制限を伴い、作業するための空間が制限されることを考慮すると、余分な構成要素を低減またはなくす能力により、制限された空間が自由になり、さらなる設計上の柔軟性が可能になる。また、追加の接続線の使用を低減またはなくすことで、デバイスの全体的な複雑さが低減され、それによって構成要素の障害のリスクが低減され、より頑強に機能するデバイスが得られる。
追加のセンサの詳細
[0057]ガイドワイアシステム100の1つもしくは複数のセンサ121、および/またはカテーテルシステム200の1つもしくは複数のセンサ221は、たとえば圧力センサ、流れセンサ、撮像センサ、または構成要素検出センサを含むことができる。圧力センサ(1つまたは複数)は、環境内の圧力の変化を感知するようにサイズ設定および構成することができる。流れセンサ(1つまたは複数)は、速度または他の流れ特性など、流体の流れを感知するようにサイズ設定および構成することができる。検出センサ(1つまたは複数)は、体の外部に位置決めされた1つまたは複数の検出ノードへの近接または距離を検出することができる。撮像センサは、様々な形態の撮像データを集めることができる。
【0046】
[0058]1つまたは複数のセンサは、追加または別法として、生物学的構成要素の存在を感知するように、または標的とされる解剖学的箇所(たとえば、血液)内の生理学的パラメータを測定するように構成することができる。検出/測定することができる生物学的構成要素の例には、血糖レベル、pHレベル、COレベル(CO分圧、重炭酸塩レベル)、酸素レベル(酸素分圧、酸素飽和度)、温度、ならびに他のそのような基質および生理学的パラメータが含まれる。1つまたは複数のセンサは、たとえば免疫系関連分子(たとえば、マクロファージ、リンパ球、T細胞、ナチュラルキラー細胞、単球、他の白血球など)、炎症マーカ(たとえば、C反応性蛋白、プロカルシトニン、アミロイドA、サイトカイン、α1-酸性糖蛋白、セルロプラスミン、ヘプシジン、ハプトグロビンなど)、血小板、ヘモグロビン、アンモニア、クレアチニン、ビリルビン、ホモシステイン、アルブミン、ラクテート、ピルベート、ケトン体、イオンおよび/もしくは栄養レベル(たとえば、グルコース、尿素、塩化物、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄/フェリチン、銅、亜鉛、マグネシウム、ビタミンなど)、ホルモン(たとえば、エストラジオール、卵胞刺激ホルモン、アルドステロン、プロゲステロン、黄体形成ホルモン、テストステロン、チロキシン、チロトロピン、副甲状腺ホルモン、インスリン、グルカゴン、コルチゾール、プロラクチンなど)、酵素(たとえば、アミラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、リパーゼ、クレアチンキナーゼ)、脂質(たとえば、トリグリセリド、HDLコレステロール、LDLコレステロール)、腫瘍マーカ(たとえば、α-フェトプロテイン、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、癌胎児性抗原、前立腺特異抗原、カルシトニン)、ならびに/または毒素(たとえば、鉛、エタノール)など、生物学的構成要素の存在、不在、またはレベルを感知するように構成することができる。
ガイドワイアセンサ配置および遠位特徴
[0059]図3Bは、ガイドワイアシステム100の遠位区分の拡大図を示し、遠位区分に配置された様々なセンサを示す。この実施形態では、センサは、複数の圧力センサ120および超音波センサ122を含む。これらのセンサは基板124に位置決めされ、基板124は、センサをそれぞれの所望の位置に配置するようにワイア102に位置決めされる。基板124は、基板124でワイア102を包むこと、基板124をワイア102に巻き付けること、または他の方法で基板124をワイア102に位置決めすることを可能にする、ある程度可撓性がある材料(たとえば、好適な医療グレードポリマー)から作ることができる。基板124はまた、下にあるワイア102にセンサを導電結合するために、トレース線および/または1つもしくは複数の導電コンタクトなど、フレキシブル回路を含む。基板124は、ワイア102との摩擦嵌めを形成することができ、追加または別法として、ワイア102に機械的に接合することができる。
【0047】
[0060]センサを基板124に結合し、次いで基板124をワイア102上に配置することで、いくつかの利益が提供される。たとえば、基板124は、本質的に2次元のレイアウトに広げることができ、これによりセンサを適当に位置決めすることがはるかに容易になる。次いで、センサが結合された2次元の基板124は、各センサを別個にワイア102上に配置した場合より容易に、3次元の円筒形のワイア102上に配置することができる。特に、様々なセンサが基板124上で互いに対して適当に位置決めされることを確実にし、次いで基板124をワイア102上に位置決めすることは、3次元の円筒形のワイア102上で各センサの相対的な間隔を制御しようとするより容易である。しかし、少なくとも1つの実施形態では、2次元の基板124の利益は得られないが、様々なセンサを3次元のワイア102上に直接配置することもできることが理解されよう。別法として、基板が3次元のワイア102に適用された後、様々なセンサを基板に配置することもできる。
【0048】
[0061]示されている実施形態はまた、ワイア102のセンサ収容部分の上に位置決めすることができる外側部材126(ここでは隠れ線で示す)を含む。外側部材126は、好適な医療グレードポリマー(たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエーテルブロックアミド(PEBAX))から形成することができる。外側部材126は、センサの位置をさらに拘束および維持するように、かつ/またはより均一な外径のために外面を平滑にするように機能することができる。外側部材126は、チューブの定位置での締まり嵌め、浸漬コーティング、および/または当技術分野で知られている他の製造方法によって適用することができる。デバイスの外面に親水性コーティングを追加することもできる。
【0049】
[0062]図3Cは、ガイドワイアシステム100の遠位区分の別の概略図を示し、ワイア102に位置決めされた基板124に配置された複数の圧力センサ120および複数の超音波センサ122を示す。示されているように、デバイスの最も遠位の区分はまた、コイル128および/または非外傷性の先端130を含むことができる。コイル128は、単一のコイル、または複数の接続もしくは織り合わされたコイルとすることができる。追加または別法として、ワイア102の遠位区分にポリマー材料を位置決めまたは適用することができる。非侵襲性の先端130は、場合によりワイア102の遠位端によって引き起こされる外傷から保護するために、球または他の湾曲した形状を形成する。非侵襲性の先端130は、たとえばポリマー接着材料および/またははんだから形成することができる。
【0050】
[0063]示されているように、ワイア102は、ワイア102のより遠位の区分がより小さい直径になる研摩プロファイルを含むことができる。典型的なガイドワイアのサイズ(たとえば、0.3556mm(0.014インチ)、0.4572mm(0.018インチ)、0.6096mm(0.024インチ))の場合、ワイア102は、遠位端で約0.0508mm(0.002インチ)の直径になることができる。ワイア102の遠位端はまた、標準的な「リボン」形状を形成するように平坦にすることができる。
【0051】
[0064]示されている実施形態はまた、エネルギーハーベスタ132を含む。エネルギーハーベスタは、注入電力を、センサに好適な調整されたDC電圧に変換するように構成される。エネルギーハーベスタ132はまた、たとえば障害または節電中のセンサへの電力の切断など、他の電気調整機能を提供することができる。追加として、本明細書では、別途指定されない限り、エネルギーハーベスタ132は、1つまたは複数のセンサ121の下位構成要素であると見なされる。したがって、別途記載されない限り、1つまたは複数のセンサ121の参照は、エネルギーハーベスタ132など、関連する回路も指す。
【0052】
[0065]追加として、少なくとも1つの実施形態では、エネルギーハーベスタは、1つまたは複数のセンサ121に対する制御機能を提供するように構成される。たとえば、特定の信号を電力およびデータ結合デバイス104からエネルギーハーベスタに通信することができる。特定の信号は、チャープ、インパルス機能、または特定の周波数チャネルの何らかの信号を含むことができる。エネルギーハーベスタは、特定の信号を所定のコマンドにマッピングし、次いでその所定のコマンドに作用する。たとえば、1つまたは複数のセンサに電力供給している1つまたは複数のレールへのDC電力を切断するように、特定の信号をコマンドにマッピングすることができる。したがって、特定の信号を受信したとき、エネルギーハーベスタは、1つまたは複数のセンサへの電力の提供を停止し、それにより1つまたは複数のセンサをオフにする。任意の数の異なる信号を、任意の数の異なるコマンドにマッピングすることができる。追加として、少なくとも1つの実施形態では、エネルギーハーベスタ以外の回路が、信号を受信し、信号を解釈し、かつ/または信号に作用する。
【0053】
[0066]別途記載されない限り、センサ(総称として、または特有のタイプのセンサ)を参照するとき、支持電子機器も同様に含むことを理解されたい。支持電子機器は、たとえば、電力調整器、変換器、信号増幅器、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの処理構成要素などを含むことができる。1つまたは複数のセンサ121の支持電子機器は、1つまたは複数のセンサ121自体の近く(たとえば、基板124上の遠位区分)に位置決めされることが好ましい。これは、支持電子機器をデバイスの近位区分に配置した場合と比較して、有益なことに、信号ドリフトを低減させることが分かっている。支持電子機器(たとえば、ASIC)をセンサ121付近の遠位区分に配置し、ワイア102自体をデータ信号を近位端へ伝送する手段として使用することで、他の手法で顕著なドリフト問題をもたらすことなく、効果的な信号伝送が提供される。
【0054】
[0067]基板124を含む(したがって、センサを含む)ワイア102の長さは、約3cmから約30cm、またはより典型的には約5cmから約15cmとすることができるが、これらの長さは、特定の応用例の必要に応じて変更することができる。図4Aから図4Dの例に関して以下で説明するように、好ましい実施形態では、センサ配置の長さは実質的に、病変/狭窄または他の標的解剖学的構造の予期される長さに及ぶ。圧力センサ120の線形の配置を利用することで、ワイア102を動かす必要なしに、標的とされる解剖学的構造に圧力マッピングを提供することができる。複数のセンサからの複数の測定を、同時にかつ/または連続して行うことができる。また、圧力センサ120の配置を利用することで、脈波伝播速度(PWV)を測定することができ(たとえば、一連の波のピークを判定し、ピーク間の時間を測定することによる)、かつ/またはパルス波形の空間追跡を提供することができる。
標的解剖学的構造内の局所化の方法
[0068]図4Aから図4Dは、標的とされる解剖学的箇所における医療デバイスの位置決めおよび配置を効果的に案内するためのガイドワイアシステム100の使用を示すシーケンスを示す。この特定の例では、ガイドワイアシステム100は、標的とされる狭窄404にステント406を適切に位置決めするために使用される。
【0055】
[0069]図4Aは、血管402内に、位置決めされた圧力センサ120を有するワイア102を示す(より見やすいように他の構成要素は除去されている)。ワイア102は、圧力センサ120の配置が狭窄404に及ぶ、または少なくとも実質的に狭窄404に一致する位置まで、血管402を通って経路指定される。狭窄404が血管402のその部分に圧力差を引き起こすため、圧力センサ120の線形の配置によって狭窄404に一致するようにワイア102を効果的に位置決めすることが可能になり、ユーザは、それらの圧力差がセンサ120によって読み取られるまで、ワイア102を前進させることができる。たとえば、血管402が冠状動脈である場合、狭窄404の遠位の圧力は、狭窄404の近位の圧力よりやや低い。最も遠位の圧力センサのうちの1つまたは複数が異なる圧力(たとえば、冠状血管狭窄内のやや低い圧力)の領域に到達するまで、ワイア102を前進させることができる。
【0056】
[0070]次いでステント406が、ワイア102を介して狭窄404の方へ送達される。ワイア102に対するステント406の位置は、圧力センサ120からの読取りに基づいて判定することができる。たとえば、ステント406が遠位に動かされるにつれて、ステント406は圧力センサ120を順次通過し始め、センサの圧力読取りの変化を引き起こし、それによってユーザがワイア102に対するステント406の位置を判定することが可能になる。
【0057】
[0071]図4Bは、血管402内でその標的箇所に向かってより遠くに位置決めされたステント406を示す。送達カテーテル408も示されている。ここに示すようなステント送達の応用例では、送達カテーテル408をバルーンカテーテルとすることができ、またはステント406を自己展開式のステントとすることができる。当技術分野で知られている他のステントタイプおよびステント送達手段を利用することもできる。ステント406の適切な位置決めは、狭窄404に対するワイア102の位置が分かることから可能になり、したがって、ステント406がワイア102に対してどこに位置決めされたかを判定することで、狭窄404に対するステント406の位置の判定が可能になる。
【0058】
[0072]ステント406が標的狭窄404に対して適切な位置にあることが判定された後、図4Cに示すように、ステント406を展開することができる。展開後、ステント後の評価中、ワイア102はしばらく定位置に留まることができる。次いで、ワイア102を血管402から後退させ、図4Dに示すようにステント406を定位置に残すことができる。
【0059】
[0073]したがって、ガイドワイアシステム100は、医療デバイスの位置決めを案内するために、局所化された基準枠(すなわち、標的の局所化された解剖学的構造内の基準枠)を提供することができる。これは、標的解剖学的構造が常に静止しているわけではないことから有益である。たとえば血管構造の応用例では、心拍により血管は常に動く。ガイドワイアシステム100の遠位区分によって画定される局所化された基準枠は、基準枠が配置された標的解剖学的構造とともに実質的に動き、位置決めに関する多くの複雑さが除去され、それによってステントおよび/または他の医療デバイスを位置決めする能力が改善される。
【0060】
[0074]この局所化された基準枠はまた、順次測定を行うためにワイア102を動かす必要がないことから、比較的安定している。すなわち、センサ120の線形の配置により、他の位置で測定を行うためにワイア102を「後退」させる必要なしに、複数の測定が可能になる。さらに、上述したように、システムは、複数のセンサからの複数の測定を同時に提供するように構成され、それによりセンサの長さに沿って順次測定の「仮想後退」を行う必要さえもなくすことができる。
【0061】
[0075]図4Aから図4Dに示す処置は、標的解剖学的構造内の局所化のためにガイドワイアシステム100を使用する一例である。ガイドワイアシステム100および/またはカテーテルシステム200は、システムの局所化特徴が有益になる他の応用例でも利用することができる。たとえば、本明細書に記載する局所化特徴を利用することで、大静脈心房接合部など、標的とされる部位における、PICCカテーテルまたは中心静脈カテーテルの適切な配置を支援することができる。
センサ基板およびガイドワイアへの適用
[0076]図5A図5Eは、基板124の追加の例示的な構成を示す。図5Aは、図3Bおよび図3Cに示したものと類似して、ワイア102を螺旋形に包むことを可能にする構造を有する基板124の一例を提供する。図5Bは、構造内に切断部または分割部を有する基板124の一例を示す。図5Bの基板124はまた、縁部が切断部/分割部で接触または重複するまで、ワイア102の周りに位置決めすることができる。別法として、図5Bの基板124は、2つの半体がワイア102の上に配置され、次いで上にある外側部材によってつなぎ合わされかつ/または定位置に保持された、「クラムシェル」構造を形成することができる。示されている切断部/分割部は長手方向であるが、他の実施形態では、横方向、湾曲形、螺旋形などを含む他の形状の他の切断部/分割部を含むこともできる。いくつかの実施形態では、切断部/分割部により、つなぎ合わされると互いに係合するように構成された整合する連結および/または1組の縁部が可能になる。
【0062】
[0077]図5Cは、ワイア102の上に配置するためにチューブを操作することを可能にする切断パターン538を有する、チューブ構造を有する基板124の一例を示す。図5Cは、螺旋形の切断パターンを示す。他の実施形態は、追加または別法として、ワイア102の上に配置することを可能にするようにチューブを操作することを可能にする他の切断パターン(たとえば、一連の長手方向および/または横方向の切断部)を含むことができる。しかし、切断パターン538は、好ましい屈曲平面のチューブ内での形成を回避するために、チューブの周りに円周方向に分散させられることが好ましい。
【0063】
[0078]図5Dおよび図5Eは、ワイア102上への配置中に基板124をどのように操作することができるかの一例を提供する。図5Dは、基板124のチューブ構造をそのデフォルト状態で示す。図5Eに示すように、チューブの端部を適当にねじることによって、チューブは長手方向に短くなりかつ径方向に拡大する。径方向に拡大した位置で、チューブはワイア102の上に嵌ることができ、所望の箇所に位置決めすることができる。ねじれ力を除去すると、次いでチューブは図5Dのデフォルト位置に戻り、それによってワイア102の周りに締まる。いくつかの実施形態では、チューブは、ワイア102の周りに摩擦嵌めを形成するように十分に締まることができる。上述したように、外側部材の接着接合および/または配置は、追加または別法として、基板124を定位置に保持するように機能することができる。
【0064】
[0079]図6A図6Dは、センサ基板124をワイア102に適用するための一連のステップを示す。この例では、基板124は、ワイア102の周りに螺旋形に巻き付けられるように構成されたストリップの形態を有する(図5Aに示す実施形態と同様)。図6Aは、平坦位置に配置された基板124を示す。基板124は、ベース材料636(たとえば、好適な医療グレードポリマー)および1対の導電トレース634を含む。導電トレース634は、たとえば、ベース材料636に埋め込まれた、または他の方法でベース材料636に取り付けられた、標準的な導電性の銅トレースおよび/または他の導電性材料を含むことができる。
【0065】
[0080]いくつかの実施形態では、導電トレース634を形成するために、導電ポリマーを利用することができる。たとえば、導電ポリマーを所望の箇所に受け取るように、ベース材料636を切断し、溝を形成し、または他の方法で準備することができ、次いで導電ポリマーを適用し、(必要に応じて)硬化させて、導電トレース634を形成することができる。
【0066】
[0081]導電トレース634は、センサ(たとえば、示されている圧力センサ120であるが、追加または別法として本明細書に記載する他のセンサタイプを使用することもできる)のための導電コンタクトを提供しており、したがってセンサ120は、基板124がワイア102に適用された後、下にあるワイア102と導電通信するように配置することができる。たとえば、導電トレース634は、下にあるワイア102との導電コンタクトを形成するように、基板124の外面から内面(少なくとも1つの位置)まで延びることができる。別法または追加として、1つまたは複数の専用のワイアコンタクト(たとえば、基板124の一方または両方の端部)を利用して、下にあるワイア102との導電コンタクトを形成することもできる。
【0067】
[0082]導電トレース634は、示されているように、1つまたは複数の継続的および連続的な線として形成することができる。別法として、センサの対応する配置のために、導電性材料の1つまたは複数の個別区分の各々が下にあるワイア102と導電通信するように配置される限り、それら1つまたは複数の個別区分を基板124内に含むことができる。
【0068】
[0083]図6Bに示すように、センサ120は、平坦な基板124の長手方向軸からオフセットされるように位置決めされる。これにより、図6Cに示すように、基板124がワイア102に螺旋形に巻き付けられたとき、センサをワイア102の長手方向軸と位置合わせすることが可能になる。このタイプのオフセットは、特定のセンサタイプ(たとえば、径方向に対称のセンサ)にとって必要ではないことがあるが、ワイア102に対するセンサの向きが重要な場合に利用することができる。オフセット角は、たとえば長手方向軸から約10~35度とすることができるが、ワイア102に適用されるときの基板124の巻付け角度、センサ120の所望の最終的な向きなどの要因に応じて、他のオフセット角を利用することもできる。
【0069】
[0084]基板124上のセンサ120の間隔および/または基板124をワイア102に適用するときの巻付け角度はまた、下にあるワイア102に対するセンサ120の、その結果得られる位置および間隔を調整するように修正することができる。たとえば、示されている実施形態は、連続する各センサ120が隣接するセンサから約120度だけ円周方向にオフセットされることを示す。設計の好みおよび/または特定の応用例の必要に従って、他の円周オフセット角を利用することもできる。好ましい実施形態は、デバイスの円周にセンサ120をより良好に隔置し、したがって全体的なセンサ読取りにおける変数としての円周位置をより良好に取り除くために、何らかの形態の円周オフセットを含む。
【0070】
[0085]図6Dは、基板124の上への外側部材126の適用を示す。上述したように、外側部材126は、収縮チューブ、浸漬コーティング、および/または当技術分野で知られているポリマーコーティングをガイドワイアに適用する他の手段を使用して適用することができる。例示の目的で、センサ120は、外側部材126の外面のやや上に示されている。ほとんどの実施形態では、センサ120は、外側部材126の外面と同一平面である。
撮像機能
[0086]ガイドワイアシステム100は、撮像を提供するための1つまたは複数のセンサを含むことができる。図7は、超音波センサ122の一例を示す。本明細書に記載する他のセンサと同様に、超音波センサ122は、基板124上に配置することができ、次いで基板124がワイア102上に位置決めされる。示されている超音波センサ122は、1つまたは複数(好ましくは複数)の微細機械加工された容量性超音波トランスデューサ(CMUT)742と、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)チップ740の形態の対応する支持電子機器とを含む。示されている実施形態では、各CMUT742に独自のCMOSチップ740が、対の1:1の関係で付随する。各CMUT742およびCMOSチップ740の対は、ワイア102を通ってデータ信号を送信するように独立して機能し、CMOSチップ740のいずれも別個のCMUT742からの複数の信号を多重化する必要はない。
【0071】
[0087]ガイドワイアシステム100の超音波センサ122は、任意の適当な1組の周波数で動作するように構成することができる。いくつかの実施形態では、超音波センサ122は、約5~約25MHz、約8~約20MHz、約10~約15MHz、または上記の値のうちのいずれか2つを終点として使用する他の範囲の中心周波数で動作可能である。対照的に、典型的なIVUSの応用例では、20~40MHz、またはさらには50MHzを上回る中心周波数を利用する。これらの従来のIVUSの応用例では、高い相対分解能が提供されるが、撮像深さが約5~10mmに制限される。
【0072】
[0088]本明細書に記載するガイドワイアシステム100でこれらのより低い周波数を使用することで、分解能を過度に犠牲にすることなく、より良好な撮像深さが提供される。典型的なIVUSカテーテルよりガイドワイアが小さいため、超音波センサ122は、標的とされる解剖学的構造(たとえば、血管壁)からより遠くなる可能性があり、したがって追加の撮像深さが有益になる。そのような周波数に関連する分解能は、標的(たとえば、狭窄)の位置を特定しかつ/または医療デバイス(たとえば、ステント)を配置のために適当にサイズ設定するのに十分であることが分かっている。
【0073】
[0089]ガイドワイアシステム100のいくつかの実施形態は、追加または別法として、他の撮像センサを含むことができる。たとえば、ガイドワイアシステム100は、画素アレイ、画像、ビデオ、または他のタイプの撮像データを含む様々なタイプの撮像データをキャプチャするように構成されたカメラデバイスを含むことができる。ガイドワイアシステム100は、光ファイバカメラ、LIDARシステム、ラマン散乱システム、mm波カメラ、赤外撮像システム、当技術分野で知られている他の撮像デバイス/システム、またはこれらの組合せを含む、システムの遠位部分での位置決めまたはシステムの遠位部分との一体化に好適な、当技術分野で知られている任意の撮像デバイスを含むことができる。そのような撮像デバイスによって集められた画像データは、当技術分野で知られている1つまたは複数の画像強調アルゴリズムを使用して修正することができる。
電力およびデータ結合デバイス
[0090]図8は、例示的な電力およびデータ結合デバイス104の詳細図を提供する。結合デバイス104は、ここでは止血バルブとして示されているが、本明細書に記載する結合デバイス104の構成要素および関連する機能は、必ずしもバルブ機能を提供する必要のない他の構造によって提供することもできる。しかし、止血バルブはガイドワイアの応用例で広く普及しているため、結合デバイス104の構成要素を止血バルブに一体化することは有益な実装例である。
【0074】
[0091]示されている結合デバイス104は、電池846の形態の電源(図3Aの電源114に対応)と送信器118とを収容する本体844を含む。結合デバイス104は、追加または別法として、有線電力接続847を含むことができるが、好ましい実施形態では、追加の配線の使用が最小にされる。結合デバイス104はまた、結合デバイス104を通って挿入されて平行移動させられるときにワイア102が通過するように位置決めされた第1の導電面850(この例では、導電チューブの形態で示す)を含む。
【0075】
[0092]示されている結合デバイス104は、ワイア102との直接接触を必要とすることなく、ワイア102への電力および/またはデータの伝達の接続および切断を可能にする容量結合器として機能するように構成される。特に、第1の導電面850は、第2の導電面(すなわち、ワイア102)に結合するように構成された第1の導電面として機能する。動作の際、第1の導電面850は、時間変化する電界を放射してワイア102へ電力を運び、ワイア102からデータ信号を受信するように構成されたピックアップを含む(またはそのようなピックアップに接続される)。ワイア102の外面と第1の導電面850の内面との間の空間が、典型的に比較的大きい導電率を有する血液で充填されるため、特に高い電圧を必要とすることなく(たとえば、5から12ボルトで典型的に十分である)、容量結合を確立することができる。第1の導電面850は、結合デバイス104から1つまたは複数の外部デバイス110(図1および図3A参照)へデータ信号を伝送することができるように、送信器118に通信可能に接続される。
【0076】
[0093]有益なことに、結合デバイス104は、処置中ずっとワイア102が1つまたは複数の外部デバイス110に通信可能に結合されたままであることを可能にする。たとえば、第1の導電面850とワイア102との間の電気結合を妨害することなく、ワイア102の上に結合デバイスを通ってカテーテルを進めることができる。カテーテルはワイア102の外面と第1の導電面850の内面との間を通るが、容量接触は、電力およびデータ信号の継続伝送を可能にするレベルで維持される。したがって、示されている結合デバイス104により、ユーザは、追加の切断/再接続ステップを必要とすることなく、ワイア102の遠位区分でセンサとの一定の通信を維持しながら、ワイア102の上にカテーテル(または他の外側部材)を通すことが可能になる。対照的に、電力および/またはデータを通すためにワイアに対する何らかのタイプの有線接続を必要とするシステムは、カテーテルがワイアの上を経路指定されるとき、一時的に切断されなければならない。ワイアの接続および切断に付随する複雑さに加えて、これは、視覚化および/またはワイアからの他のデータ信号が停止される瞬間が存在することを意味する。
【0077】
[0094]示されている実施形態は、チューブの形態の第1の導電面850を含むが、他の実施形態は、ワイア102との十分な電気接触を形成することが可能な1つまたは複数の板、他の同心円状もしくは部分的に同心円状の形状、または他の形状の形態の第1の導電面を含むことができる。結合デバイス104は、信号の増幅のための増幅器など、1つまたは複数の追加の支持電子構成要素を含むことができる。
【0078】
[0095]結合デバイス104は、ワイア102からデータ信号を受信しながら、同時にワイア102へ電力を提供するように構成することができる。いくつかの実装例では、結合デバイス104は、ワイア102へ複数の異なる電力信号(たとえば、異なるセンサまたは異なる組のセンサに電力供給するように構成された各電力信号)を提供し、かつ/またはワイア102から複数の異なるデータ信号(たとえば、異なるセンサまたは異なる組のセンサからの各データ信号)を受信することができる。
【0079】
[0096]少なくとも1つの実施形態では、電力およびデータ結合デバイス104は、電力およびデータ結合デバイス104またはガイドワイアシステム100の動作に関する情報を示すためのインジケータを備える。インジケータは、音声アラート、視覚アラート(たとえば、光)、アラート機能を実行する外部デバイス(たとえば、外部デバイス110)への通信、および/または任意の他のタイプのアラートを含むことができる。たとえば、送信器118は、電力およびデータ結合デバイス104を通って進む電力の遮断、および/または電力およびデータ結合デバイス104によって受信されるデータ信号の低品質を検出することができる何らかの処理能力を含むことができる。そのような場合、ユーザに問題を通知するために、電力およびデータ結合デバイス104によりアラートの指示を発行することができる。
追加のワイア変形例
[0097]図9Aは、ワイア102に延長部が接続されたときなど、ワイア102が複数のセグメント952を含む一例を示す。様々な使用事例では、ワイア102を患者の体内でより良好に位置決めおよび/または操作するために、ワイア102を延ばすことが必要になることがある。示されているセグメント952は、それだけに限定されるものではないが、ねじ接続、磁気接続、圧入接続、スナップ接続、接着接続、またはこれらの組合せを含む任意の数の異なる物理結合を介して、ワイア102全体を形成するようにともに結合することができる。
【0080】
[0098]少なくとも1つの実施形態では、その結果得られる物理結合により、1つのセグメント952から次のセグメントへの継続導電経路が得られる。したがって、少なくとも物理結合および電気結合によって、ともに組み立てられた複数のセグメント952を合わせて考慮し、「ワイア102」と呼ぶことができる。より具体的には、第1のセグメント952に印加される電気信号が、ワイア102の他のセグメント952へ伝播することができる。それに応じて、別途記載されない限り、本明細書に提供するワイア102についてのすべての説明が、ワイア102が1つまたは複数の延長ワイアを含む実施形態を含む。
【0081】
[0099]図9Bは、ワイア102が単一の単体構造を形成するように配置された複数の撚線954を含む別の例を示す。撚線954の数は、特定の応用例の必要に応じて変更することができる。示されているように、撚線954は、ワイア102として機能する全体的な構造を形成するように、ねじられ、織り合わされ、または他の形でともに配置されている。典型的に、別個の撚線954は互いに導電接触しており、したがって1つの撚線954へ進む電力またはデータ信号はすべての撚線954を通って伝播し、撚線954は単一のワイア102としてともに機能する。
ガイドワイア先端の局所化
[0100]ガイドワイアシステム100は、体内のワイア102の位置を判定することを支援するために、1つまたは複数の検出ノード1056、1058とともに利用することができる。図10は、患者の標的とされる冠状動脈へ(たとえば、冠動脈形成処置の一部として)ワイア102を経路指定する一例を示す。この例は、大腿部アクセスを使用する、標的として冠状動脈を含む処置を示すが、検出ノード1056、1058は、他の標的解剖学的構造および/または他のアクセス部位を含む他の処置でも同様に使用することができる。
【0082】
[0101]示されている例では、ワイア102が体内に挿入され、遠位端108が大動脈弓に入って標的冠状動脈の方へ下方へ進むように経路指定される。検出ノード1056、1058は、医師がワイア102の遠位端108の位置を識別するのを支援するように、患者の1つまたは複数の所定の箇所に位置決めされる。血管構造を通って検出ノード1056または1058の近傍へワイア102を前進させると、検出ノード1056または1058は、当技術分野で知られている任意の周知の検出感知機構を介して、ワイア102の近接を検出する。
【0083】
[0102]たとえば、ノード1056、1058は、超音波伝送を提供し、超音波反射を検出するように構成することができる。ガイドワイアシステム100のコイル128がノード1056または1058の範囲内を進むとき、ノード1056または1058は、コイル128(典型的に、白金イリジウム合金など、高放射線不透過性の材料を含む)を検出し、音声信号、視覚インジケータを提供することによって、かつ/または有線もしくはワイアレス接続を介して1つもしくは複数の外部デバイス110(図1および図3A参照)へ信号を送信することによって、応答するように構成することができる。
【0084】
[0103]追加または別法として、検出ノード1056、1058は、ガイドワイアシステム100によって送信された超音波信号を検出するように構成することができる。上述したように、ガイドワイアシステム100は、標準的なIVUSの応用例より低い周波数の超音波を伝えるように構成することができる。したがって、より低い周波数は、周辺組織をより遠くまで進み、ノード1056、1058によって検出することができる。追加または別法として、他の検出方法(たとえば、ワイア102上の磁石の検出、無線周波信号の使用)を利用することもできるが、さらなる構成要素をワイア102に追加することを必要としない方法を使用することが好ましい。
【0085】
[0104]ノード1056、1058は、ワイア102を適当な標的箇所へ案内することを支援するために、所定の箇所に配置することができる。示されている例では、ノード1056は、血管構造のうちワイア102が通過することを意図しない領域に対応する位置に配置され、ノード1058は、標的冠状動脈への意図される経路に沿って位置決めされる。したがって、ノード1056は、ワイア102が血管構造の意図しない区域へ入ったことを医師に警告することができる警告ノード1056として構成することができる。示されている処置では、警告ノード1056は、たとえば頸動脈付近および鎖骨下動脈付近に配置することができる。対照的に、ノード1058は、ワイアが意図される経路を通過していることを示す確認ノード1058として構成することができる。
【0086】
[0105]警告ノード1056および/または確認ノード1058の数は、特定の好みまたは応用例の必要に従って変更することができる。したがって、そのようなノードを利用する実施形態は、いずれかまたは両方のタイプのノードのうちの1つまたは複数を含むことができる。
追加のコンピュータシステムの詳細
[0106]本明細書に記載する特定の方法は、1つまたは複数のプロセッサ、およびコンピュータメモリなど、コンピュータ可読媒体を含む、コンピュータシステムによって実施することができる。特に、コンピュータメモリは、コンピュータ実行可能命令を記憶することができ、コンピュータ実行可能命令は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、実施形態に記載の動作など、様々な機能を実行させる。
【0087】
[0107]コンピューティングシステムの機能は、ネットワーク接続を介して他のコンピューティングシステムに相互接続されるコンピューティングシステムの能力によって強化することができる。ネットワーク接続は、それだけに限定されるものではないが、有線もしくはワイアレスイーサネットを介した接続、セルラー接続、またはさらには直列、並列、USB、もしくは他の接続によるコンピュータとコンピュータの接続を含むことができる。これらの接続により、コンピューティングシステムが他のコンピューティングシステムのサービスにアクセスし、他のコンピューティングシステムからアプリケーションデータを迅速かつ効率的に受信することが可能になる。
【0088】
[0108]コンピューティングシステムの相互接続は、いわゆる「クラウド」コンピューティングシステムなど、分散コンピューティングシステムを容易にした。本説明では、「クラウドコンピューティング」は、低減された管理労力またはサービス提供者の相互作用で供給および公開することができる構成可能なコンピューティング資源(たとえば、ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、サービスなど)の共有プールへのユビキタスで好都合なオンデマンドネットワークアクセスを可能にするシステムまたは資源とすることができる。クラウドモデルは、様々な特性(たとえば、オンデマンドセルフサービス、幅広いネットワークアクセス、リソースプール、迅速な拡張性、測定可能なサービスなど)、サービスモデル(たとえば、Software as a Service(「SaaS」)、Platform as a Service(「PaaS」)、Infrastructure as a Service(「IaaS」)、および実装モデル(たとえば、プライベートクラウド、コミュニティクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドなど)から構成することができる。
【0089】
[0109]クラウドおよびリモートに基づくサービスアプリケーションも普及している。そのようなアプリケーションは、クラウドなど、パブリックおよびプライベートの遠隔システムでホストされており、通常はクライアントと双方向に通信するために1組のウェブベースのサービスを提供する。
【0090】
[0110]多くのコンピュータは、コンピュータとの直接ユーザ対話によって使用されることが意図される。したがって、コンピュータは、ユーザ対話を容易にするために、入力ハードウェアおよびソフトウェアユーザインターフェースを有する。たとえば、現代の汎用コンピュータは、ユーザがコンピュータにデータを入力することを可能にするためのキーボード、マウス、タッチパッド、カメラなどを含むことができる。その上、様々なソフトウェアユーザインターフェースも利用可能である。
【0091】
[0111]ソフトウェアユーザインターフェースの例には、グラフィカルユーザインターフェース、テキストコマンドラインに基づくユーザインターフェース、ファンクションキーまたはホットキーユーザインターフェースなどが含まれる。
【0092】
[0112]開示する実施形態は、以下でより詳細に論じるように、コンピュータハードウェアを含む専用または汎用コンピュータを備えまたは利用することができる。開示する実施形態はまた、コンピュータ実行可能命令および/またはデータ構造を搬送または記憶するための物理コンピュータ可読媒体および他のコンピュータ可読媒体を含む。そのようなコンピュータ可読媒体は、汎用または専用コンピュータシステムによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体とすることができる。コンピュータ実行可能命令を記憶するコンピュータ可読媒体は、物理記憶媒体である。コンピュータ実行可能命令を搬送するコンピュータ可読媒体は、伝送媒体である。したがって、限定ではないが例として、本発明の実施形態は、明白に異なる少なくとも2種類のコンピュータ可読媒体、すなわち物理コンピュータ可読記憶媒体および伝送コンピュータ可読媒体を含むことができる。
【0093】
[0113]物理コンピュータ可読記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、もしくは他の光ディスクストレージ(CD、DVDなど)、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気記憶デバイス、またはコンピュータ実行可能命令もしくはデータ構造の形態の所望のプログラムコード手段を記憶するために使用することができ、汎用もしくは専用コンピュータによってアクセスすることができる、任意の他の媒体が含まれる。
【0094】
[0114]「ネットワーク」は、コンピュータシステムおよび/またはモジュールおよび/または他の電子デバイス間の電子データの輸送を可能にする1つまたは複数のデータリンクとして定義される。ネットワークまたは別の通信接続(ハードワイアード、ワイアレス、またはハードワイアードもしくはワイアレスの組合せ)を介してコンピュータへ情報が伝達または提供されるとき、コンピュータは、その接続を伝送媒体として適切に認識する。伝送媒体は、コンピュータ実行可能命令またはデータ構造の形態のプログラムコードを搬送するために使用することができ、汎用または専用コンピュータによってアクセスすることができる、ネットワークおよび/またはデータリンクを含むことができる。上記の組合せもまた、コンピュータ可読媒体の範囲に包含される。
【0095】
[0115]さらに、様々なコンピュータシステム構成要素に到達したとき、コンピュータ実行可能命令またはデータ構造の形態のプログラムコード手段は、伝送コンピュータ可読媒体から物理コンピュータ可読記憶媒体へ自動的に伝達することができる(または逆も同様である)。たとえば、ネットワークまたはデータリンクを介して受信されるコンピュータ実行可能命令またはデータ構造は、ネットワークインターフェースモジュール(たとえば、「NIC」)内のRAMにバッファリングすることができ、次いで最終的には、コンピュータシステムのRAMおよび/またはコンピュータシステムの低揮発性のコンピュータ可読物理記憶媒体へ伝達することができる。したがって、伝送媒体も利用する(またはさらには主に利用する)コンピュータシステム構成要素内に、コンピュータ可読物理記憶媒体を含むことができる。
【0096】
[0116]コンピュータ実行可能命令は、たとえば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または専用処理デバイスに、特定の機能または機能群を実行させる命令およびデータを含む。コンピュータ実行可能命令は、たとえば、バイナリ、アセンブリ言語など、中間形式命令、またはさらにはソースコードとすることができる。主題について構造的特徴および/または方法論的動作に特有の言語で説明したが、添付の特許請求の範囲に定義される主題は、必ずしも上述した記載の特徴または動作に限定されるものではないことを理解されたい。逆に、記載の特徴および動作は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。
【0097】
[0117]本発明は、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、メッセージプロセッサ、手持ち式のデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラマブル家電製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、移動電話、PDA、ページャ、ルータ、スイッチなどを含む、多くのタイプのコンピュータシステム構成を有するネットワークコンピューティング環境で実施することができることが、当業者には理解されよう。本発明はまた、ネットワークを介して(ハードワイアードデータリンク、ワイアレスデータリンク、またはハードワイアードおよびワイアレスデータリンクの組合せによって)リンクされたローカルおよびリモートのコンピュータシステムがどちらもタスクを実行する分散システム環境で実施することができる。分散システム環境では、プログラムモジュールが、ローカルおよびリモート両方のメモリ記憶デバイスに位置することができる。
【0098】
[0118]別法または追加として、本明細書に記載した機能は、少なくとも部分的に1つまたは複数のハードウェア論理構成要素によって実行することができる。たとえば、限定されるものではないが、使用することができるハードウェア論理構成要素のタイプの例には、Field-programmable Gate Array(FPGA)、Program-specific Integrated Circuit(ASIC)、Program-specific Standard Product(ASSP)、System-on-a-chip system(SOC)、Complex Programmable Logic Device(CPLD)などが含まれる。
追加の例示的な態様
[0119]本開示の実施形態は、必ずしもそれだけに限定されるものではないが、以下の条項に記載の特徴を含むことができる。
【0099】
[0120]条項1:体内に挿入されるように構成された細長いワイアであって、近位端および遠位端を有し、電気信号を伝えるように構成されたワイアと、ワイアの遠位区分に結合された1つまたは複数のセンサタイプの1つまたは複数のセンサであって、ワイアを介して電気信号を送信および受信するように構成された1つまたは複数のセンサとを備える医療デバイス。
【0100】
[0121]条項2:1つまたは複数のセンサが結合されたワイアが、1つまたは複数のセンサが電気信号を送信および受信するのを通す唯一のワイアである、条項1に記載の医療デバイス。
【0101】
[0122]条項3:ワイアの少なくとも一部分の上に配置された1つまたは複数の外側部材をさらに備える、条項1または2に記載の医療デバイス。
[0123]条項4:1つまたは複数のセンサタイプが、2つ以上の異なるセンサタイプを含む、条項1~3のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【0102】
[0124]条項5:複数のセンサが、1つまたは複数の生理学的パラメータの同時測定を提供するように構成されている、条項1~4のいずれか一項に記載の医療デバイス。
[0125]条項6:1つまたは複数のセンサの活動時のサンプリング速度が5秒以下である、条項1~5のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【0103】
[0126]条項7:1つまたは複数のセンサが、1つまたは複数の圧力センサを含む、条項1~6のいずれか一項に記載の医療デバイス。
[0127]条項8:1つまたは複数の圧力センサが、抵抗、容量、光、音響、光音響センサ、またはこれらの組合せを含む、条項7に記載の医療デバイス。
【0104】
[0128]条項9:複数の圧力センサが、ワイアの遠位区分の長さに沿って長手方向に隔置されている、条項7または8に記載の医療デバイス。
[0129]条項10:複数の圧力センサが、連続する各圧力センサまたは2つ以上の圧力センサの連続する各組で円周オフセットが加えられるように、ワイアの上に配置されている、条項9に記載の医療デバイス。
【0105】
[0130]条項11:1つまたは複数のセンサが、1つまたは複数の超音波センサを含む、条項1~10のいずれか一項に記載の医療デバイス。
[0131]条項12:電気信号が、1つまたは複数のセンサに電力供給するためにワイアを通って1つまたは複数のセンサへ送達される電力信号を含む、条項1~11のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【0106】
[0132]条項13:電気信号が、1つまたは複数のセンサの動作の結果としてワイアを通って1つまたは複数のセンサによって送信されるデータ信号を含む、条項1~12のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【0107】
[0133]条項14:ワイアの近位区分に付随する近位デバイスをさらに備え、近位デバイスが、ワイアに通された電気信号を介して、ワイアの遠位区分に位置決めされた1つまたは複数のセンサと通信するように構成されている、条項1~13のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【0108】
[0134]条項15:近位デバイスが、ワイアを通って1つまたは複数のセンサへ電力を送信し、ワイアを通って1つまたは複数のセンサからデータ信号を受信するように構成されている、条項14に記載の医療デバイス。
【0109】
[0135]条項16:ワイアが、ワイアを形成するように互いに結合された2つ以上の撚線を有する撚線部材を含む、条項1~15のいずれか一項に記載の医療デバイス。
[0136]条項17:ワイアが、互いに取外し可能に取り付けられた複数の延長部を含む、条項1~16のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【0110】
[0137]条項18:ワイアが、少なくとも約0.0762mm(0.003インチ)、または少なくとも約0.127mm(0.005インチ)、または少なくとも約0.2032mm(0.008インチ)、または少なくとも約0.254mm(0.010インチ)の平均外径を有する、条項1~17のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【0111】
[0138]条項19:1つまたは複数のセンサが基板に結合され、基板がワイアの遠位区分に結合されている、条項1~18のいずれか一項に記載の医療デバイス。
[0139]条項20:基板が、ワイアの遠位区分に螺旋形に巻き付けられている、条項19に記載の医療デバイス。
【0112】
[0140]条項21:基板が細長いチューブである、条項19に記載の医療デバイス。
[0141]条項22:チューブが、チューブの径方向の膨張を可能にする切断パターンを含む、条項21に記載の医療デバイス。
【0113】
[0142]条項23:ワイアが導電ポリマーを含む、条項1~22のいずれか一項に記載の医療デバイス。
[0143]条項24:ワイアが、体の血管構造を通って経路指定されるように構成されている、条項1~23のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【0114】
[0144]条項25:1つまたは複数のセンサおよび1つまたは複数のセンサに対応する支持電子機器が、ワイアの遠位区分に配置されている、条項1~24のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【0115】
[0145]条項26:体の腔内空間内で使用するためのガイドワイアデバイスであって、近位端および遠位端を有し、電気信号を伝えるように構成された細長いワイアと、ワイアの遠位区分に結合された1つまたは複数のセンサタイプの1つまたは複数のセンサと、ワイアの近位区分に付随する近位デバイスとを備え、近位デバイスが、ワイアを通って1つまたは複数のセンサへ電力を送信するように構成され、近位デバイスが、ワイアを通って1つまたは複数のセンサタイプの1つまたは複数のセンサからデータ信号を受信するように構成されている、ガイドワイアデバイス。
【0116】
[0146]条項27:医療デバイスを使用する方法であって、第1の部材を体の内腔空間内に位置決めすることであり、第1の部材は細長いワイアを含む、位置決めすることと、電気信号をワイアに結合することであり、ワイアが近位部分および遠位部分を有し、ワイアが電気信号を伝えるように構成されている、結合することと、ワイアを介して、ワイアの遠位部分に結合された1つまたは複数のセンサタイプの1つまたは複数のセンサから電気信号を送信および受信することとを含む方法。
【0117】
[0147]条項28:ワイアの上にまたはワイアに隣接して第2の部材を配置することと、第2の部材が体内へ動かされるように、第2の部材をワイアに対して平行移動させることと、1つまたは複数のセンサの上で第2の部材を平行移動させることと、1つまたは複数のセンサに対する体内の第2の部材の相対位置を示すデータ信号を1つまたは複数のセンサから受信することとをさらに含む、条項27に記載の方法。
【0118】
[0148]条項29:センサが、ワイアの遠位部分に沿って複数の長手方向位置に位置決めされる、条項28に記載の方法。
[0149]条項30:ワイアを体内に位置決めすることによって、1つまたは複数のセンサが、局所化された基準枠を確立し、それによって局所化された基準枠内の第2の部材の局所化を可能にする、条項27~29のいずれか一項に記載の方法。
結論
[0150]本開示の特定の実施形態について、特有の構成、パラメータ、構成要素、要素などを参照して詳細に説明したが、これらの説明は例示であり、特許請求される発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0119】
[0151]さらに、別途暗示または明示されない限り、記載する実施形態の構成要素の任意の所与の要素に対して、その要素または構成要素に関して挙げる可能な代替のいずれかを、概して個々に使用しても、互いに組み合わせて使用してもよいことを理解されたい。
【0120】
[0152]その上、別途指示されない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される数量、構成、距離、または他の尺度を表す数は、任意選択で「約」という用語またはその類義語によって修飾されると理解されたい。「約(about)」、「約(approximately)」、「実質的に」などの用語が、記載の量、値、または条件とともに使用されるとき、これは、記載の量、値、または条件から20%未満、10%未満、5%未満、または1%未満だけ逸脱する量、値、または条件を意味すると解釈することができる。少なくとも、特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を限定しようとすることなく、各数値パラメータは、報告される有効桁の数に照らして、通常の丸め技法を適用することによって解釈されたい。
【0121】
[0153]本明細書に使用されるあらゆる見出しおよび小見出しは、編成のみを目的とし、本説明または特許請求の範囲の範囲を限定するために使用されることを意味したものではない。
【0122】
[0154]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形の「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、文脈上別途明白に指示しない限り、複数の対象物を除外しないことにも留意されたい。したがって、たとえば単数の対象物(たとえば、「ウィジェット」)を参照する実施形態は、2つ以上のそのような対象物も含むことができる。
【0123】
[0155]本明細書に記載した実施形態は、本明細書に記載した他の実施形態に記載する特性、特徴(たとえば、成分、構成要素、部材、要素、部品、および/または部分)を含むことができることも理解されよう。それに応じて、所与の実施形態の様々な特徴を、本開示の他の実施形態と組み合わせることができ、かつ/または本開示の他の実施形態に組み込むことができる。したがって、本開示の特有の実施形態に関する特定の特徴の開示は、前記特徴の適用または包含を特有の実施形態に限定すると解釈されるべきではない。逆に、他の実施形態もまた、そのような特徴を含むことができることが理解されよう。
【0124】
[0156]本発明は、その精神または特性から逸脱することなく、他の特有の形態でも実施することができる。記載する実施形態は、あらゆる点で、制限ではなく例示としてのみ考慮されるべきである。したがって、本発明の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲に記載される。特許請求の範囲に均等の意味および範囲内のあらゆる変更は、特許請求の範囲内に包含されるものとする。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9A
図9B
図10
【国際調査報告】