(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】微生物ヘム風味材料を有する構造化高タンパク質代用肉組成物
(51)【国際特許分類】
C12P 1/04 20060101AFI20230426BHJP
A23L 31/00 20160101ALI20230426BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20230426BHJP
A23J 3/20 20060101ALI20230426BHJP
A23J 3/00 20060101ALI20230426BHJP
C12P 21/00 20060101ALI20230426BHJP
A23J 1/00 20060101ALI20230426BHJP
C07K 4/04 20060101ALI20230426BHJP
C07K 14/195 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
C12P1/04
A23L31/00
A23L33/18
A23J3/20
A23J3/00 502
C12P21/00 Z
A23J1/00 A
C07K4/04
C07K14/195
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556690
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-09-20
(86)【国際出願番号】 US2021023949
(87)【国際公開番号】W WO2021195259
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522258569
【氏名又は名称】エア プロテイン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ロバートソン,ダン,イー.
(72)【発明者】
【氏名】リード,ジョン,エス.
【テーマコード(参考)】
4B018
4B064
4H045
【Fターム(参考)】
4B018LB06
4B018MA08
4B018MD20
4B018ME14
4B018MF13
4B064AG01
4B064CA02
4B064CC15
4B064DA10
4H045AA10
4H045BA63
4H045CA11
4H045EA01
4H045FA73
(57)【要約】
微生物由来タンパク質加水分解物などの微生物由来のタンパク質生成物を含む代用肉組成物などの構造化食品組成物が説明される。そのような生成物を製造する方法も、説明される。微生物由来のフラボヘモグロビンなどのヘム含有ポリペプチドを含む風味増強剤組成物、およびヘム含有風味増強剤組成物を含む代用肉組成物などの食品組成物も、説明される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物由来のヘム含有ポリペプチドを含む、風味増強剤。
【請求項2】
加熱される場合に前記ポリペプチドがヘムを放出し、それによって肉様の風味および/または芳香を付与する、請求項1に記載の風味増強剤。
【請求項3】
前記ヘム含有ポリペプチドが、単細胞タンパク質、タンパク質加水分解物、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、ペプチド、および/もしくはオリゴペプチドとして微生物から処理される、ならびに/または微生物から単離もしくは精製される、請求項1に記載の風味増強剤。
【請求項4】
前記ヘム含有ポリペプチドが、ヘム含有酵素のヘム含有ドメインである、請求項1に記載の風味増強剤。
【請求項5】
前記微生物が、水素酸化微生物である、請求項1に記載の風味増強剤。
【請求項6】
前記水素酸化微生物が、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物である、請求項1に記載の風味増強剤。
【請求項7】
前記カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物が、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)である、請求項6に記載の風味増強剤。
【請求項8】
前記水素酸化微生物が、微好気的条件下で増殖する、請求項6に記載の風味増強剤。
【請求項9】
前記微生物が、前記ヘム含有ポリペプチドの過剰発現のために設計される、請求項1に記載の風味増強剤。
【請求項10】
請求項1に記載の風味増強剤、および微生物由来のタンパク質生成物を含む構造化食品であって、前記風味増強剤および前記タンパク質生成物が、同じまたは異なる微生物に由来する可能性がある、構造化食品。
【請求項11】
前記風味増強剤および/または前記タンパク質生成物が由来する前記微生物が、化学独立栄養的に増殖した微生物を含む、請求項10に記載の構造化食品。
【請求項12】
前記化学独立栄養的に増殖した微生物は、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物を含む、請求項11に記載の構造化食品。
【請求項13】
前記風味増強剤および/または前記タンパク質生成物が由来する前記微生物が、第2の微生物由来のタンパク質生成物を含む栄養源で増殖させた第1の微生物である、請求項10に記載の構造化食品。
【請求項14】
前記第2の微生物が、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物を含む、請求項13に記載の構造化食品。
【請求項15】
前記第1の微生物が、一般に安全と認められている(GRAS)微生物である、請求項13に記載の構造化食品。
【請求項16】
前記風味増強剤および/または前記タンパク質生成物が由来する前記微生物が、非遺伝子組換え生物(non-GMO)である、請求項10に記載の構造化食品。
【請求項17】
前記食品が、動物由来生体分子を含まない、請求項10に記載の構造化食品。
【請求項18】
前記タンパク質生成物が、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、およびそれらの組み合わせの1つまたは複数を含む、請求項10に記載の構造化食品。
【請求項19】
前記微生物タンパク質生成物から重量で約5%から約50%のタンパク質を含む、請求項10に記載の構造化食品。
【請求項20】
前記食品が、構造化代用肉製品である、請求項10に記載の構造化食品。
【請求項21】
前記構造化代用肉製品が、構造化牛肉、家禽類肉、豚肉、魚肉、または魚介類の代用製品である、請求項20に記載の構造化食品。
【請求項22】
前記構造化代用肉製品が、天然肉の食感および/または官能特性を再現する、請求項20に記載の構造化食品。
【請求項23】
前記代用肉製品が、ひき肉または筋肉の肉の構造を模倣している、請求項20に記載の構造化食品。
【請求項24】
ビタミンおよび/または栄養素が追加されている、請求項10に記載の構造化食品。
【請求項25】
前記追加されたビタミンおよび/または栄養素が、アミノ酸、脂質、油、脂肪酸、ビタミンB12、ビオチン、抗酸化剤、ミネラル、界面活性剤、および乳化剤の少なくとも1つを含む、請求項24に記載の構造化食品。
【請求項26】
構造化代用肉製品である、請求項24に記載の構造化食品。
【請求項27】
請求項1に記載の風味増強剤、および微生物由来のタンパク質生成物を含む構造化食品の生産のための生地組成物であって、前記風味増強剤および前記タンパク質生成物が、同じまたは異なる微生物に由来する可能性がある、生地組成物。
【請求項28】
前記風味増強剤および/または前記タンパク質生成物が由来する前記微生物が、化学独立栄養的に増殖した微生物を含む、請求項27に記載の生地組成物。
【請求項29】
前記化学独立栄養的に増殖した微生物が、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物を含む、請求項28に記載の生地組成物。
【請求項30】
前記タンパク質生成物が、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、およびそれらの組み合わせの1つまたは複数を含む、請求項27に記載の生地組成物。
【請求項31】
前記タンパク質生成物が、タンパク質加水分解物を含む、請求項30に記載の生地組成物。
【請求項32】
前記加水分解物中のタンパク質の平均分子量が、約5kDから約10kDである、請求項31に記載の生地組成物。
【請求項33】
前記タンパク質加水分解物が、未変性の球状タンパク質を保持する条件下で生産される、請求項31に記載の生地組成物。
【請求項34】
未変性の球状タンパク質を保持する前記条件が、穏やかな細胞溶解および細胞片からの可溶性成分の物理的分離を含む、請求項33に記載の生地組成物。
【請求項35】
部分または完全加水分解タンパク質生成物が、構造化および/または繊維形成を促進するために第2のタンパク質生成物に添加される、請求項33に記載の生地組成物。
【請求項36】
前記第2のタンパク質生成物が、小麦グルテン、大豆、マメ、小麦、乳、藻類、および他の非動物タンパク質の1つまたは複数を含む、請求項35に記載の生地組成物。
【請求項37】
前記生地の水分含量が、約40%(w/w)から約80%(w/w)である、請求項27に記載の生地組成物。
【請求項38】
前記生地のせん断強度が、約1000psigより高い、請求項27に記載の生地組成物。
【請求項39】
(a)炭素源の存在下で微生物を培養し、それによって、タンパク質を含むバイオマスであって少なくとも1つのヘム含有ポリペプチドを含むバイオマスを生産すること;
(b)前記バイオマスをタンパク質生成物に変換すること;および
(c)前記タンパク質生成物を構造化食品組成物に加工すること
を含む、構造化食品を生産する方法。
【請求項40】
(a)炭素源の存在下で微生物を培養し、それによって、タンパク質を含むバイオマスを生産すること;
(b)前記バイオマスをタンパク質生成物に変換すること;および
(c)前記タンパク質生成物を構造化食品組成物に加工すること
を含む、構造化食品を生産する方法であって、
ステップ(b)またはステップ(c)が、風味増強剤の添加を含み、前記風味増強剤が、微生物由来のヘム含有ポリペプチドを含み、前記風味増強剤および前記タンパク質生成物が、同じまたは異なる微生物に由来する可能性がある、方法。
【請求項41】
ステップ(a)が、化学独立栄養培養条件を含む、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
前記化学独立栄養培養条件が、微好気培養条件を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記炭素源が、ガス状のC1分子を含む、請求項39または40に記載の方法。
【請求項44】
前記ガス状のC1分子が、二酸化炭素を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記微生物が、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記タンパク質生成物が、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、およびそれらの組み合わせの1つまたは複数を含む、請求項39または40に記載の方法。
【請求項47】
ステップ(c)が、前記タンパク質生成物を生地組成物に加工することを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記生地の熱化学的プロセッシングをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記熱化学的プロセッシングが、押出成形を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
ステップ(c)が、スピニングプロセスを含み、それによって繊維を生産する、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
ステップ(c)が、構造化ハイドロコロイド形成のためのプロセスを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記構造化食品が、構造化代用肉製品である、請求項39または40に記載の方法。
【請求項53】
前記構造化代用肉製品が、構造化牛肉、家禽類肉、豚肉、魚肉、または魚介類の代用製品である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記構造化代用肉製品が、天然肉の食感および/または官能特性を再現する、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記代用肉製品が、ひき肉または筋肉の肉の構造を模倣している、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
請求項27に記載の生地組成物を構造化代用肉組成物に加工するための熱化学的プロセスであって、前記生地組成物を押出成形して整列した繊維を生産することを含む、熱化学的プロセス。
【請求項57】
前記タンパク質生成物が、タンパク質加水分解物を含む、請求項56に記載の熱化学的プロセス。
【請求項58】
前記微生物が、化学独立栄養的に増殖した微生物を含む、請求項57に記載の熱化学的プロセス。
【請求項59】
前記化学独立栄養的に増殖した微生物が、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物を含む、請求項58に記載の熱化学的プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年3月27日付けで出願された米国仮出願第63/001,215号の利益を請求する。
【0002】
本発明は、ヒトまたは動物の消費に適しており、肉の特性を忠実に模倣し、代用肉製品として機能する構造化代用肉組成物、特に、加熱すると、肉様の風味または芳香の生成を触媒する、微生物により産生されるヘム含有ポリペプチドを含む構造化代用肉組成物などの微生物由来のタンパク質生成物を含む構造化食品組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
動物源に由来する肉を食することは、多くの人々にとって日常生活の一部である。ヒトの健康および環境に対する肉ベースの食事の悪影響は、充分に記述されている。動物に由来しないが、飽和脂肪酸およびコレステロールなどの肉に関する不健康な成分がなく、畜産の有害な環境的影響がない、動物の肉と類似の食感および風味特徴、ならびに動物の肉と類似の機能特性を提供する、代替のタンパク質を豊富に含む食品について消費者の要求が高まっている。
【発明の概要】
【0004】
構造化肉製品、例えば構造化代用肉製品などの構造化食品、およびそのような製品を生産する方法が本明細書で開示される。
【0005】
一態様において、微生物由来のヘム含有タンパク質生成物(例えば、単細胞タンパク質、タンパク質加水分解物、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、ペプチド、オリゴペプチド、または単離ヘム含有タンパク質)が提供される。加熱する場合、微生物由来ヘム含有タンパク質生成物は、例えば構造化肉製品中で、糖類および/またはアミノ酸などの有機化合物と反応するヘムを放出し、肉の風味および/または芳香を模倣する風味および/または芳香などの所望の風味および/または芳香を生じる。いくらかの実施形態において、ヘム含有タンパク質生成物は、限定されないが、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物などの水素酸化微生物に由来する可能性がある。いくらかの実施形態において、水素酸化微生物は、O2制限条件下で増殖する。
【0006】
一態様において、ヘム含有タンパク質生成物内のヘム含量が、すなわち、重量ベースで約1%(w/w)から約15%(w/w)、約1%(w/w)から約10%(w/w)、約1%(w/w)から約9%(w/w)、約1%(w/w)から約8%(w/w)、約1%(w/w)から約7%(w/w)、約1%(w/w)から約6%(w/w)、約1%(w/w)から約5%(w/w)、約2%(w/w)から約10%(w/w)、約3%(w/w)から約10%(w/w)、約4%(w/w)から約10%(w/w)、または約5%(w/w)から約10%(w/w)であるヘム含有タンパク質生成物が提供される。いくらかの実施形態において、ヘム含有タンパク質生成物内のヘム含量は、少なくとも約0.5%(w/w)、少なくとも約1.0%(w/w)、少なくとも約2.0%(w/w)、少なくとも約3%(w/w)、少なくとも約4%(w/w)、少なくとも約5%(w/w)、少なくとも約6%(w/w)、少なくとも約7%(w/w)、少なくとも約8%(w/w)、少なくとも約9%(w/w)、少なくとも約10%(w/w)、または少なくとも約15%(w/w)である。いくらかの実施形態において、そのようなヘム含有タンパク質生成物は、本明細書に記載の方法および組成物による構造化食品を形成するための原料として使用される。いくらかの実施形態において、得られる構造化食品は、約0.1%(w/w)から約3%(w/w)、約0.1%(w/w)から約2%(w/w)、約0.1%(w/w)から約1.5%(w/w)、約0.1%(w/w)から約1%(w/w)、約0.1%(w/w)から約0.9%(w/w)、約0.1%(w/w)から約0.8%(w/w)、約0.1%(w/w)から約0.7%(w/w)、約0.1%(w/w)から約0.6%(w/w)、約0.1%(w/w)から約0.5%(w/w)、約0.2%(w/w)から約1.5%(w/w)、約0.3%(w/w)から約1.5%(w/w)、約0.4%(w/w)から約1.5%(w/w)、約0.5%(w/w)から約1.5%(w/w)、約0.5%(w/w)から約3%(w/w)、約1%(w/w)から約2%(w/w)、または約2%(w/w)から約3%(w/w)であるヘム含量を有する。
【0007】
一態様において、微生物由来のタンパク質生成物を含む構造化食品が提供される。いくらかの実施形態において、微生物は、1つまたは複数の化学独立栄養的に増殖した微生物を含むか、それらからなる。一実施形態において、微生物、例えば化学独立栄養的に増殖した微生物は、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物を含むか、それらからなる。
【0008】
いくらかの実施形態において、構造化食品は、第2の微生物由来のタンパク質生成物を含む栄養源で増殖させた第1の微生物に由来するタンパク質生成物を含む。一実施形態において、第2の微生物は、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物を含むか、それらからなる。例えば、第1の微生物は、一般に安全と認められている(GRAS)微生物である可能性があり、場合によっては、第2の微生物は、GRASではない微生物である可能性がある。
【0009】
いくらかの実施形態において、構造化食品は、非遺伝子組換え生物(non-GMO)である微生物由来のタンパク質生成物を含む。いくらかの実施形態において、構造化食品は、動物由来タンパク質、脂質、および/または炭水化物などの動物由来生体分子を含まない。
【0010】
いくらかの実施形態において、構造化食品は、1つまたは複数の微生物由来の単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数を含むタンパク質生成物を含む。一実施形態において、タンパク質生成物は、1つまたは複数の微生物由来のタンパク質加水分解物を含むか、それからなる。いくらかの実施形態において、構造化食品は、微生物タンパク質生成物から重量で少なくとも約5%から約50%、または約10%から約50%、または約20%から約50%、または約30%から約50%のタンパク質を含む。いくらかの実施形態において、タンパク質生成物は、1つまたは複数のヘム含有タンパク質を含む。
【0011】
いくらかの実施形態において、構造化食品は、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせを含むか、それらからなる非動物タンパク質原料を含み、そのようなタンパク質原料は、1つまたは複数の有益な機能特性を構造化食品に与える。
【0012】
いくらかの実施形態において、構造化食品は、限定されないが、構造化牛肉、家禽類肉、豚肉、魚肉、羊肉または魚介類(例えば、カニ、エビ、ロブスター)の代用製品などの構造化代用肉製品である。例えば、構造化代用肉製品は、天然肉の食感および/または官能特性を再現することができる。いくらかの実施形態において、代用肉製品は、ひき肉または筋肉の肉の構造を模倣している。ある特定の実施形態において、構造化代用肉製品は、フラボヘモタンパク質風味材料などの1つまたは複数の風味材料を含む。一実施形態において、構造化代用肉は、微生物により産生されるフラボヘモタンパク質風味材料を含む。いくらかの実施形態において、構造化代用肉製品は、化学独立栄養的に増殖した微生物に由来する、または化学独立栄養的に増殖した微生物に由来するタンパク質生成物を含む培地中で増殖した微生物に由来するタンパク質生成物を含む。一実施形態において、化学独立栄養的に増殖した微生物は、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物を含むか、それからなる。
【0013】
いくらかの実施形態において、限定されないが、構造化代用肉製品などの構造化食品は、ビタミン、栄養素、または有益な機能特性を有する物質などの1つまたは複数の物質が追加されている。例えば、追加された物質(複数を含む)は、アミノ酸、脂質、油、脂肪酸、ビタミンB12または他のビタミン、ビオチン、抗酸化剤、ミネラル、界面活性剤、および乳化剤の1つまたは複数を含む可能性がある。
【0014】
別の態様において、本明細書で記載されるような構造化食品、例えば微生物由来のタンパク質生成物を含む構造化食品の生産のための生地組成物が提供される。いくらかの実施形態において、微生物は、1つまたは複数の化学独立栄養的に増殖した微生物を含むか、それらからなる。一実施形態において、微生物、例えば化学独立栄養的に増殖した微生物は、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物を含むか、それからなる。
【0015】
いくらかの実施形態において、生地組成物は、第2の微生物由来のタンパク質生成物を含む栄養源で増殖させた第1の微生物に由来するタンパク質生成物を含む。一実施形態において、第2の微生物は、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物を含むか、それからなる。例えば、第1の微生物は、一般に安全と認められている(GRAS)微生物である可能性があり、場合によっては、第2の微生物は、GRASではない微生物である可能性がある。
【0016】
いくらかの実施形態において、生地組成物は、非遺伝子組換え生物(non-GMO)である微生物由来のタンパク質生成物を含む。いくらかの実施形態において、生地組成物は、動物由来タンパク質、脂質、および/または炭水化物などの動物由来生体分子を含まない。
【0017】
いくらかの実施形態において、生地組成物は、1つまたは複数の微生物由来の単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数を含むタンパク質生成物を含む。一実施形態において、タンパク質生成物は、1つまたは複数の微生物由来のタンパク質加水分解物を含むか、それからなる。例えば、加水分解物中のタンパク質の平均分子量は、約5kDから約10kDである可能性がある。ある特定の実施形態において、生地組成物は、例えば穏やかな細胞溶解および固体物質(例えば細胞片)からの可溶性物質(例えばタンパク質)の物理的分離などの未変性の球状タンパク質を保持する条件下で生産されるタンパク質加水分解物を含む。
【0018】
いくらかの実施形態において、例えば1つまたは複数の微生物に由来する部分または完全加水分解タンパク質生成物を含む生地組成物は、構造化および/または繊維形成を促進するために第2のタンパク質生成物に添加される。第2のタンパク質生成物の非限定例には、小麦グルテン、大豆、マメ、小麦、乳、藻類、および他の非動物タンパク質の1つまたは複数が含まれる。
【0019】
いくらかの実施形態において、生地組成物の水分含量は、約40%(w/w)から約80%(w/w)である。いくらかの実施形態において、生地のせん断強度は、少なくとも約1000psigである。
【0020】
別の態様において、構造化食品、例えば構造化代用肉製品を生産するための方法が提供される。方法は:(a)炭素源の存在下で微生物を培養し、それによって、タンパク質含有バイオマスを生産すること;(b)バイオマスをタンパク質生成物に変換すること;および(c)タンパク質生成物を構造化食品組成物に加工することを含む。
【0021】
いくらかの実施形態において、ステップ(a)は、化学独立栄養培養条件を含む。例えば化学独立栄養培養条件は、炭素源としてCO2などのガス状のC1分子を含む可能性がある。いくらかの実施形態において、化学独立栄養培養条件下で増殖した微生物は、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物を含むか、それからなる。
【0022】
いくらかの実施形態において、ステップ(b)において生産されたタンパク質生成物は、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数を含む。
【0023】
いくらかの実施形態において、ステップ(c)は、タンパク質生成物を生地組成物に加工することを含む。例えば、押出成形などの熱化学的プロセスを展開することができる。いくらかの実施形態において、ステップ(c)は、スピニングプロセスを含む可能性があり、結果として繊維の生産となる可能性がある。いくらかの実施形態において、ステップ(c)は、構造化ハイドロコロイドの形成を含む可能性がある。
【0024】
いくらかの実施形態において、ステップ(c)において生産された構造化食品は、構造化牛肉、家禽類肉、豚肉、魚肉、または魚介類(例えば、カニ、エビ、ロブスター)の代用製品などの構造化代用肉製品である。例えば、構造化代用肉製品は、天然肉の食感および/または官能特性を再現する可能性がある。いくらかの実施形態において、代用肉製品は、ひき肉または筋肉の肉の構造を模倣している。ある特定の実施形態において、構造化代用肉製品は、フラボヘモタンパク質風味材料などの1つまたは複数の風味材料を含む。一実施形態において、構造化代用肉は、微生物により産生されるフラボヘモタンパク質風味材料を含む。いくらかの実施形態において、構造化代用肉製品は、化学独立栄養的に増殖した微生物に由来する、または化学独立栄養的に増殖した微生物に由来するタンパク質生成物を含む培地中で増殖した微生物に由来するタンパク質生成物を含む。一実施形態において、化学独立栄養的に増殖した微生物は、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物を含むか、それからなる。
【0025】
別の態様において、本明細書に記載されるような生地組成物を構造化代用肉組成物に加工するための熱化学的プロセスが提供される。熱化学的プロセスは、本明細書に記載されるように、1つまたは複数の微生物に由来するタンパク質生成物を含む生地組成物を押出成形して整列した繊維を生成することを含む。いくらかの実施形態において、タンパク質生成物は、タンパク質加水分解物を含むか、それからなる。いくらかの実施形態において、タンパク質生成物が由来する微生物は、化学独立栄養的に増殖した微生物であるか、または化学独立栄養的に増殖した微生物に由来するタンパク質生成物を含む培地中で増殖した微生物である。例えば、化学独立栄養的に増殖した微生物は、カプリアビダス属(Cupriavidus)微生物を含むか、それからなる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本明細書に記載されるような構造化食品の生産の一実施形態の代表的な非限定のワークフローを示す。WCB=全細胞バイオマス
【
図2】
図2は、実施例2に記載されるような、ホエータンパク質分離物についての乳濁液容量を示す。
【
図3】
図3は、実施例2に記載されるような、全細胞バイオマス(WCB)についての乳濁液容量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書において、構造化食品組成物およびそれを製造する方法が提供される。構造化代用肉組成物を含む本明細書に記載の構造化食品組成物は、微生物により産生されるタンパク質生成物(例えばタンパク質加水分解物を含むか、それからなるタンパク質生成物)を含む。例えば、タンパク質生成物が由来する微生物は、例えば炭素源としてガス状のC1基質上で化学独立栄養的に増殖する可能性がある。
【0028】
定義
本明細書で別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的な用語は、本発明が属している当業者により一般的に理解されているものと同じ意味を有する。Singleton,et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,第2版,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ、ニューヨーク(1994)、およびHale&Markham,The Harper Collins Dictionary of Biology,Harper Perennial,NY(1991)は、本発明で使用される多くの用語の一般的な辞書を当業者に提供する。本明細書に記載のものと類似または等価の任意の方法および材料は、本明細書に記載の方法、システム、および組成物の実行または試験に使用することができる。
【0029】
本発明の実行は、別段の指示がない限り、当業者の範囲内である分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、および生化学の従来の技術を使用する。そのような技術は、文献、例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版(Sambrook et al.,1989);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984;Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1994);PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullis et al.,eds.,1994);およびGene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(Kriegler,1990)において完全に説明される。
【0030】
本明細書で提供される数値範囲には、範囲を定義する数値が包含される。
【0031】
別段の指示がない限り、それぞれ、核酸は、左から右に、5’から3’の方向で記載される;アミノ酸配列は、左から右に、アミノからカルボキシの方向で記載される。
【0032】
「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに示さない限り複数の参照を含み、したがって、本明細書および特許請求の範囲において使用されるような不定冠詞「a」、「an」および「the」は、反対に明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるものとする。
【0033】
本明細書で使用されるような用語「約」は、量、時間的持続時間などの測定可能な値に言及する場合、指定された値からの±5%、±1%、または±0.1%の変動を包含することを意味し、そのような変動は、開示された方法を実行するために、または開示された組成物に関連して適切である。
【0034】
「アセトゲン」は、嫌気呼吸の産物として酢酸塩および/または最大C4の鎖長の他の短鎖有機酸を生成する微生物を指す。
【0035】
「好酸性微生物」は、強酸性条件下(通常pH2.0以下)で繁殖する極限環境微生物の一種を指す。
【0036】
用語「アミノ酸」は、アルファ炭素と呼ばれる炭素に結合しているアミン基およびカルボキシル基の両方を含む分子を指す。適切なアミノ酸には、限定されないが、天然アミノ酸および有機合成または他の代謝経路により調製された非天然アミノ酸のD-およびL-異性体の両方が含まれる。いくらかの実施形態において、単一の「アミノ酸」は、拡張された脂肪族または芳香族骨格ごとに利用可能なように、複数の側鎖部分を有する可能性がある。文脈が特に別段の指示をしない限り、本明細書で使用されるように、用語アミノ酸は、アミノ酸類縁体を含むことを意図する。
【0037】
本明細書および特許請求の範囲において使用されるように、成句「および/または」は、そのように結合された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、いくらかの場合には共同して存在し、他の場合には分離的に存在する要素を意味すると理解されるものとする。場合によっては、「および/または」の句により具体的に同定された要素以外の他の要素は、明確に反対のことが指示されない限り、具体的に同定されるそれらの要素に関連するか関連していないかに関係なく存在する可能性がある。したがって、非限定例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などのオープンエンドの言語と組み合わせて使用される場合、一実施形態において、BなしのA(場合によっては、B以外の要素を含む);別の実施形態において、AなしのB(場合によっては、A以外の要素を含む);さらに別の実施形態において、AおよびBの両方(場合によっては、他の要素を含む);などを指すことができる。
【0038】
用語「バイオマス」は、微生物細胞などの細胞の増殖および/または繁殖により産生される物質を指す。バイオマスは、細胞および/または細胞内内容物ならびに細胞により分泌される化合物を含むがこれらに限定されない細胞外物質を含む可能性がある。
【0039】
用語「バイオリアクタ」または「発酵槽」は、微生物細胞などの細胞が増殖し維持される密封または部分密封容器を指す。細胞は、液体懸濁液中に保持される可能性があるが、必ずしもその必要はない。いくらかの実施形態において、液体懸濁液中に保持されるよりも、代わりに、細胞は、固体増殖支持材料を含むがこれに限定されない別の非液体基質と接触して、その上で、またはその中で増殖および/または維持される可能性がある。
【0040】
用語「炭素固定」プロセス、反応または経路は、CO2、CO、およびCH4を含むがこれらに限定されない周囲条件下でガス状である炭素の形態を、周囲条件下で液体または固体であるか、水溶液に溶解しているか、水溶液中の懸濁液に保持される炭素系生化学物質に変換する、酵素反応または代謝経路を指す。
【0041】
「炭素源」は、微生物が有機生合成に必要な炭素を得る分子のタイプを指す。
【0042】
「カルボキシド栄養生物」は、一酸化炭素を許容または酸化することができる微生物を指す。好ましい実施形態において、カルボキシド栄養性微生物は、COを炭素源としてならびに/または生合成および/もしくは呼吸のための還元電子源として利用することができる。
【0043】
「化学独立栄養生物」は、化学電子受容体による化学電子供与体の酸化によりエネルギーを得、二酸化炭素から生物が生存し増殖するのに必要な有機化合物すべてを合成する生物を指す。
【0044】
「化学合成無機独立栄養生物」は、無機化合物の酸化からエネルギーを得、増殖のためのその唯一の炭素源として二酸化炭素を使用する生物を指す。
【0045】
特許請求の範囲および明細書において、「包括すること」、「含むこと」、「保有すること」、「有すること」、「含有すること」、「関与すること」、「保持すること」などのすべての移行句は、オープンエンドである、すなわち、含むがこれに限定されないことを意味すると理解されるものとする。移行句「からなる」および「本質的にからなる」のみが、それぞれクローズドまたはセミクローズドの移行句であるものとする。
【0046】
本明細書において「コンソーシアム」は、一緒に増殖する、例えば同じ増殖培地中の同時培養において増殖する、2つまたはそれ以上の異なる種または株の微生物および/または多細胞生物を指す。
【0047】
用語「培養する」は、細胞、例えば微生物細胞の集団を、液体または固体培地中、増殖に適した条件下で増殖させることを指す。
【0048】
用語「由来する」は、用語「に起源を有する」、「から得られる」、「から得ることができる」、「から単離される」、および「から作成される」を包含し、一般に、ある特定の物質が別の特定の物質に起源を有するか、別の特定の物質を参照して説明することができる特徴を有することを示す。
【0049】
本明細書で使用されるような用語「生地」は、乾燥原料(「ドライミクス」;例えばタンパク質、炭水化物、および液体油を含む脂質)および液体原料(「液体ミクス」;例えば植物または植物の任意の部分などの非動物源からの液体ベースの抽出物などの水または果汁)のブレンドを指す。生地はまた、例えばせん断プロセスにおいて、生地の構造化品質を付与または強化する、構造的および/または機能特性を有する1つまたは複数の追加のタンパク質生成物を含む可能性がある。
【0050】
「エネルギー源」は、好気呼吸で酸素により酸化される電子供与体または嫌気呼吸で酸化される電子供与体と還元される電子受容体との組み合わせのいずれかを指す。
【0051】
「極限環境微生物」は、地球の表面またはその近くに見られるほとんどの生命体により典型的に許容されている地球表面または海洋の条件と比較して物理的または地球化学的極限状態(例えば、高温または低温、高pHまたは低pH、または高塩分)で繁殖する微生物を指す。
【0052】
用語「機能特性」、「機能的特徴」、または「機能性」または類似の記述語は、調製中および調理中に食品原料がどのように作用するか、ならびにそれらが完成した食品に、外観、味、食感、および取り扱いの点でどのように影響するかを指す。機能特性には、吸水性、水溶性、吸油指数、膨張指数、かさ密度、粘度、結合、通気、増粘、凝結、着色、デキストリン化、カラメル化、ゼリー化、変性、凝固、乳濁液容量または乳濁液安定性が含まれ得る。
【0053】
用語「ガス化」は、炭素系材料を、合成ガス、シンガスまたは発生炉ガスと呼ばれる水素、一酸化炭素、および二酸化炭素を含むガスの混合物に変換する一般的な高温プロセスを指す。プロセスは、不十分な酸素が炭素系材料の完全燃焼のために存在するように、制御された酸素および/または蒸気の添加とともに、一般に部分燃焼および/または外部発生熱の適用を伴う。
【0054】
「好塩菌」は、非常に高い濃度の塩を有する環境内で繁殖する一種の極限環境微生物を指す。
【0055】
「従属栄養生物」は、二酸化炭素から生物が生存し増殖するのに必要な有機化合物すべてを合成することができず、増殖のために有機化合物を利用する必要がある生物を指す。従属栄養生物は、それ自身では食物を生産することができず、すなわち、二酸化炭素などの無機源から炭素を固定するよりも、代わりに植物または動物などの有機物質を摂取して代謝することにより食物およびエネルギーを得ることができる。
【0056】
「水素酸化細菌」は、細胞内還元当量の生産のためおよび/または呼吸における電子供与体として還元H2を利用する微生物を指す。
【0057】
「超好熱菌」は、生活のための極めて高温の環境、典型的に約60℃(140°F)以上で繁殖する一種の極限環境微生物を指す。
【0058】
用語「爆鳴ガス」は、分子状水素および酸素ガスの混合物を指す。「水素酸化微生物」は、アデノシン-5’-三リン酸(ATP)などの細胞内エネルギー担体の生成のための呼吸において、電子供与体として水素を、電子受容体として酸素を使用することができる微生物である。用語「酸水素」および「酸水素微生物」は、それぞれ「爆鳴ガス」および「水素酸化微生物」と同義的に使用することができる。水素酸化微生物は一般に、ヒドロゲナーゼにより分子状水素を使用し、H2から供与された電子の一部は、NAD+(および/または他の細胞内還元当量)の還元に利用され、H2からの電子の一部は、好気呼吸に使用される。水素酸化微生物は一般に、カルビン回路または逆クエン酸回路を含むがこれらに限定されない経路を通じて、CO2を独立栄養的に固定する[「Thermophilic bacteria」,Jakob Kristjansson,第5章,セクションIII,CRCプレス,(1992)]。
【0059】
用語「溶解物」は、微生物細胞溶解などの細胞溶解から得られる混合物を含む液体および/または細胞内容物の溶液を指す。いくらかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、細胞溶解物中の化学物質または化学物質の混合物の精製を含む。いくらかの実施形態において、方法は、細胞溶解物中のアミノ酸および/またはタンパク質の精製を含む。
【0060】
用語「溶解」は、有意な量の細胞内物質が細胞外空間に逃れるように、微生物細胞などの細胞の原形質膜、および存在する場合には細胞の細胞壁の破壊を指す。溶解は、電気化学的、機械的、浸透性、熱的、またはウイルス性の手段を使用して実行することができる。いくらかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、バイオリアクタの内容物から化学物質または化学物質の混合物を分離するために、本明細書に記載されるような細胞または微生物の溶解を実行することを含む。いくらかの実施形態において、方法は、バイオリアクタの内容物または細胞増殖培地からアミノ酸またはアミノ酸および/もしくはタンパク質の混合物を分離するために、本明細書に記載の細胞または微生物の溶解を実行することを含む。
【0061】
本明細書で使用されるような用語「代用肉」または「肉代用品」または「偽肉」または「代用肉」は、動物に由来しないか、かなりの量の非動物性タンパク質源が含まれているが、動物の肉に匹敵するか類似の構造、食感、美的品質、および/または他の特性を有する食品を指す。その用語は、未調理、調理中および調理済みの肉様食品を指す。
【0062】
「メタン生成菌」は、嫌気呼吸の産物としてメタンを生成する微生物を指す。
【0063】
「メチル栄養細菌」は、炭素源として、および/またはそれらの増殖のための電子供与体として、限定されないがメタノールまたはメタンなどの還元された一炭素化合物を使用することができる微生物を指す。
【0064】
用語「微生物(microorganism)」および「微生物(microbe)」は、細菌性微生物および真菌性微生物などの微視的な単細胞生命体を意味する。
【0065】
用語「分子」は、1つまたは複数の原子を含む物質の任意の別個のまたは識別可能な物質の構造単位を意味し、例えば、炭化水素、脂質、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドを含む。
【0066】
「オリゴペプチド」は、比較的少数のアミノ酸残基、例えば約2個から約20個のアミノ酸を含むペプチドを指す。
【0067】
本明細書および特許請求の範囲において使用されるように、「または」は、上記で定義されたような「および/または」と同じ意味を有すると理解されるものとする。例えば、リスト内の項目を分離する場合、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、要素の数またはリストの少なくとも1つの包含だけでなく1つより多くを含むものであり、場合によってはリストされていない項目をさらに含むと解釈されるものとする。逆に、「それの1つのみ」または「それの正確に1つ」、または特許請求の範囲において使用される場合の「からなる」などの明確に示されている用語のみが、要素の数またはリストの要素を正確に1つ包含することを指す。一般に、本明細書で使用されるような用語「または」は、「いずれか」、「それの1つ」、「それの1つのみ」、または「それの正確に1つ」などの排他的な用語が前にある場合、排他的な選択肢(すなわち、「どちらか1つであり両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。「本質的にそれからなる」は、特許請求の範囲において使用される場合、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0068】
用語「有機化合物」は、無機物とみなされる以下の例外:炭化物、炭酸塩、炭素の単純な酸化物、シアン化物、ならびにダイアモンドおよびグラファイトなどの純炭素の同素体を除いて、炭素原子を含む、任意でガス状、液体、または固体の化合物を指す。
【0069】
「ペプチド」は、各酸のカルボキシル基が、次のアミノ基と、R-OC-NH-R’の種類の結合により連結されている鎖状に結合した2つまたはそれ以上のアミノ酸、例えば、約2個のアミノ酸から約50個のアミノ酸、または21個のアミノ酸から約50個のアミノ酸からなる化合物(ポリペプチド)を指す。
【0070】
本明細書で使用されるように、用語「ポリヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/または修飾ヌクレオチドもしくは塩基もしくはそれらの類縁体を含むデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドの類縁体または修飾形態を含む、任意の長さおよび任意の三次元構造で一本鎖または複数鎖(例えば、一本鎖、二本鎖、三重螺旋など)のヌクレオチドのポリマー形態を指す。遺伝暗号が変性しているので、1つより多いコドンは、特定のアミノ酸をコードするために使用される可能性があり、本発明は、特定のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを包含する。ヌクレアーゼ耐性を増加させる修飾(例えば、デオキシ、2’-O-Me、ホスホロチオエートなど)を含む、ポリヌクレオチドが使用条件下で所望の機能を保持する限り、任意のタイプの修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチド類縁体を使用することができる。標識、例えば放射性または非放射性標識またはアンカー、例えばビオチンはまた、検出または捕捉の目的のために組み込まれる可能性がある。用語ポリヌクレオチドには、ペプチド核酸(PNA)も含まれる。ポリヌクレオチドは、天然または非天然であり得る。用語「ポリヌクレオチド」、「核酸」、および「オリゴヌクレオチド」は、本明細書において交換可能に使用される。ポリヌクレオチドは、RNA、DNA、またはその両方、および/またはその修飾形態および/または類縁体を含む可能性がある。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分により中断される可能性がある。1つまたは複数のホスホジエステル結合は、別の結合基により置換される可能性がある。これらの代替の結合基には、リン酸がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(「ホルムアセタール」)により置換されている実施形態が含まれるがこれらに限定されず、式中、各RまたはR’は、独立してHまたは場合によってはエーテル(-O-)結合を含む置換もしくは非置換アルキル(1~20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはアラルジルである。ポリヌクレオチド内のすべての結合が同一である必要はない。ポリヌクレオチドは、直鎖または環状であり得るか、直鎖と環状部分との組み合わせを含む。
【0071】
本明細書で使用されるように、「ポリペプチド」は、アミノ酸で構成され、当業者にタンパク質として認識される組成物を指す。アミノ酸残基の従来の一文字または三文字コードが本明細書で使用される。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書では交換可能に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、直鎖であっても分岐であってもよく、修飾アミノ酸を含む可能性があり、非アミノ酸により中断される可能性がある。その用語はまた、自然に、または介入;例えばジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分との共役などの任意の他の操作もしくは修飾により変更されているアミノ酸ポリマーも包含する。また、例えば、1つまたは複数のアミノ酸の類縁体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)を含むポリペプチドならびに当技術分野において既知の他の修飾も定義内に含まれる。
【0072】
用語「への前駆体」または「の前駆体」は、最終生成物の1つまたは複数の成分の生産に向けた中間体である。
【0073】
「発生炉ガス」は、種々の割合のH2、CO、およびCO2を含み、通常、標準条件下での単位体積あたりの天然ガスの2分の1から10分の1の範囲の発熱量を有するガス混合物を指す。発生炉ガスは、ガス化、水蒸気改質、または炭素系供給原料の自動改質を含む、多種多様の供給原料から種々の方法で生成することができる。H2、CO、およびCO2に加えて、発生炉ガスは、生成プロセスおよび供給原料に応じて、メタン、硫化水素、液化ガス、タール、および灰分を含むがこれらに限定されない他の構成要素を含むことができる。混合物中のN2の割合は、反応器内で空気が酸化剤として使用されているかいないか、および反応のための熱が直接燃焼により、または間接熱交換を通じて提供されるかどうかに応じて上下する可能性がある。
【0074】
用語「産生すること」は、細胞からの化合物の分泌を含む、細胞内および細胞外での化合物の産生の両方を含む。
【0075】
「好冷生物」は、典型的には約10℃以下の低温で増殖および繁殖することができる一種の極限環境微生物を指す。
【0076】
本明細書で使用されるような用語「回収された」、「単離された」、「精製された」、および「分離された」は、本来関連している少なくとも1つの成分から除去される材料(例えば、タンパク質、核酸、または細胞)を指す。例えば、これらの用語は、例えば完全な生物システムなどのその本来の状態で認められるような通常それに付随する成分が実質的または本質的にない材料を指す可能性がある。
【0077】
本明細書で使用されるような用語「構造化肉製品」または「構造化代用肉製品」または「肉構造化タンパク質製品」は、タンパク質繊維ネットワークおよび/または肉様の食感を生じる整列したタンパク質繊維を含み、繊維および/または整列した構造が生成され固定された(例えば、水和、浸漬、乾燥、着色)後、オプションの後処理を伴う製品を指す。タンパク質繊維ネットワーク形成および/またはタンパク質繊維整列の度合いを測定するための方法は、当技術分野において既知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2015/029683号において例示されているような、写真および顕微鏡画像に基づく視覚的な判断を含む。
【0078】
任意の所与の成分に関して、成句「実質的にない」または「本質的にない」は、そのような成分が存在するとしても機能的に有意でない量でのみ存在すること、すなわち、任意のプロセスまたは製品の意図された性能または機能に有意な負の影響がないことを意味する。典型的に、実質的にないは、そのような成分を重量で約0.5%未満を含む、約0.1%未満を含む、またゼロパーセントも含む、約1%未満を意味する。用語「実質的にない」または「本質的にない」は、成分の1%未満とする。
【0079】
「硫黄酸化細菌」は、細胞内還元当量の生産のためおよび/または呼吸における電子供与体としてH2Sを含むがこれに限定されない還元硫黄含有化合物を利用する微生物を指す。
【0080】
「シンガス」または「合成ガス」は、発生炉ガスと同様に、H2およびCOを含むが、限定されないがメタノールまたはフィッシャー・トロプシュディーゼルなどの特定のタイプの化学製品の合成のためのH2およびCO含量および比率および不純物のレベルの点でより具体的に調整されている一種のガス混合物を指す。シンガスは一般に、H2、CO、およびCO2を主成分として含み、メタンの水蒸気改質を含む確立された方法を通じて;またはバイオマス、有機物、または泥炭を含むがこれらに限定されない任意の有機燃焼性炭素系材料のガス化を通じて生成され得る。シンガスの水素成分は、シンガス混合物中のCO2の同時増加を伴う、水性ガスシフト反応において、COの蒸気との反応を通じて増加させることができる。
【0081】
「好熱菌」は、生活のための比較的高い温度、典型的には約45℃から約122℃で繁殖する一種の極限環境微生物を指す。
【0082】
「野生型」は、自然界に存在するような微生物を指す。
【0083】
「収率」は、供給物質のすべてが製品に変換された場合に生産される物質の総量に対する供給物質から生産された製品の量を指す。例えば、製品の収率は、供給物質の100%が製品に変換された場合の理論収率に対して生産された製品の%として表すことができる。
【0084】
ヘム風味材料
本明細書において、ヘムを多く含む食品風味増強剤が提供される。いくらかの実施形態において、風味増強剤は、加熱する場合に肉の風味および/または芳香を模倣する風味および/または芳香を提供する。例えば、調理中またはペレット化中に変性すると、ヘム含有ポリペプチドは変性し、糖、アミノ酸、脂質などの他の有機分子(例えば、微生物由来タンパク質生成物中の有機分子)と反応する鉄含有ヘムを放出して、風味および/または芳香を付与する分子を生じる。
【0085】
食品風味増強剤は、フラボヘモグロビン(FHb)などのヘモグロビン含量が多い微生物由来のタンパク質生成物(例えば、単細胞タンパク質、タンパク質加水分解物、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、ペプチド、オリゴペプチド、または単離もしくは精製ヘム含有タンパク質、またはそれらの組み合わせ)の形状であり得る。
【0086】
いくらかの実施形態において、風味増強剤は、化学独立栄養微生物、例えば、CO2およびH2で増殖する微生物に由来する。いくらかの実施形態において、風味増強剤は、限定されないが、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)などのカプリアビダス属(Cupriavidus)の微生物、または本明細書に記載の任意の水素酸化微生物などの水素酸化微生物に由来する。いくらかの実施形態において、微生物は、増殖される培養条件下でFHbを発現または過剰発現する、および/またはFHbもしくは別のヘモグロビンタイプのタンパク質を産生または過剰産生するように設計されている。例えば、FHbの産生を強化するための強力なプロモータまたはO2調節プロモータをFHbの発現に使用することができる。いくらかの実施形態において、異種プロモータ配列、例えば、FHbの産生を強化するための強力なプロモータまたはO2調節プロモータなどの異種ポリヌクレオチドを微生物に導入し、本来のFHb配列の産生を強化する。他の実施形態において、微生物は、異種FHb(例えば、異なる微生物などの異なる種から)を発現するように設計されている。他の実施形態において、微生物の同じ種からのプロモータ、例えば、FHbの産生を強化するための強力なプロモータまたはO2調節プロモータを、本来のFHb配列の発現を強化するために導入する。
【0087】
カプリアビダス属(Cupriavidus)は、好気性、微好気性、および/または嫌気性の発酵条件下で発現されるヘム補因子を含む可溶性の膜関連タンパク質を産生する。カプリアビダス属(Cupriavidus)により産生されるヘムの種類には:a-、b-、c-、およびd-タイプのヘムが含まれ、鉄イオンが四座配位子として作用するポルフィリン、およびタンパク質により寄与される1つまたは2つの軸配位子に配位している。
【0088】
フラボヘモグロビンは、微好気条件下で水素酸化細菌により自然に発現され、低O2濃度でO2捕捉またはO2緩衝機能を実行する。発現レベルは、高FHb発現のための低O2分圧などの細菌培養のための動作パラメータを使用して制御することができる。いくらかの実施形態において、微好気培養条件は破壊される。例えば、溶存酸素は、標準的な溶存酸素プローブの検出限界未満、例えば1ppm未満など、空気または空気飽和溶液に見られるレベルよりも低いレベルで存在する可能性がある。
【0089】
カプリアビダス属(Cupriavidus)の可溶性FHbは、細菌ゲノムによりコードされる三ドメインモノマータンパク質である。インビボで、FHbは、NADHのフラビン媒介酸化を触媒し、順にO2を結合するb-型ヘムを還元する。酵素は、NAD(H)結合ドメイン、フラボドキシンリダクターゼ型ドメイン、およびb-型ヘムを有するグロビンドメインを含む。ヘムドメインは、別個に発現することができる。例えば、ヘムを含む酵素の切断型、すなわちヘムドメインは、微生物で発現させて回収することが可能である。
【0090】
本明細書に記載されるようなヘム含有食品風味増強剤は、本明細書に記載の代用肉組成物などの任意の食品組成物に含まれる可能性がある。風味増強剤は、調理中(すなわち、加熱される場合)肉様の風味および/または芳香を生成する。
【0091】
本明細書に記載されるようなヘム含有食品風味増強剤(例えばヘム含有ポリペプチド)は、微生物に由来する単細胞タンパク質、タンパク質加水分解物、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、ペプチド、またはオリゴペプチド、またはそれらの組み合わせとして微生物から処理される可能性がある、および/または微生物から単離もしくは精製され、精製された形態で食品組成物に提供される可能性がある。一実施形態において、ヘムドメインポリペプチドは、微生物に由来する単細胞タンパク質、タンパク質加水分解物、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、ペプチド、またはオリゴペプチド、またはそれらの組み合わせとして微生物から処理される、および/または微生物から単離もしくは精製され、精製された形態で食品組成物に提供される。
【0092】
構造化食品
本明細書において、構造化食品が提供される。構造化食品には、微生物由来タンパク質生成物が含まれる。タンパク質生成物は、細菌性微生物または真菌性微生物などの微生物に由来する。構造化食品は、食品原料が一緒に混合され、食品、すなわちヒトまたは動物の消費のための食用製品を製造するように処理される場合に形成される食品構造を包含する。
【0093】
いくらかの実施形態において、微生物は、CO2、CO、またはCH4などのガス状のC1炭素源で増殖した微生物などの化学独立栄養的に増殖した微生物であるか、化学独立栄養的に増殖した微生物に由来するタンパク質生成物を含む培地で増殖した微生物である。化学独立栄養微生物は、本明細書に後で記載される任意の化学独立栄養微生物であり得る。ある特定の非限定実施形態において、化学独立栄養微生物は、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)またはカプリアビダス・メタッリデュランス(Cupriavidus metallidurans)などのカプリアビダス属(Cupriavidus)微生物である。
【0094】
いくらかの実施形態において、微生物は、乳酸菌(LAB)などの、本明細書に後で記載される任意のGRAS微生物などのGRAS微生物である。ある特定の実施形態において、GRAS微生物は、非GRAS微生物に由来するタンパク質生成物を含む培地中で増殖する。非GRAS微生物は、例えば、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)またはカプリアビダス・メタッリデュランス(Cupriavidus metallidurans)などのカプリアビダス属(Cupriavidus)微生物などの、例えば化学独立栄養的に増殖した微生物であり得る。
【0095】
構造化食品中の微生物由来タンパク質生成物は、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、およびオリゴペプチドの1つまたは複数を含む可能性がある。タンパク質生成物、例えば、本明細書に記載の任意のタンパク質生成物は、構造化食品組成物中に、少なくとも5%(w/w)、10%(w/w)、15%(w/w)、20%(w/w)、25%(w/w)、30%(w/w)、35%(w/w)、40%(w/w)、45%(w/w)、50%(w/w)、55%(w/w)、60%(w/w)、65%(w/w)、または70%(w/w)のいずれかの量で含まれる可能性がある。いくらかの実施形態において、構造化食品の微生物由来タンパク質内容物の含量は、約5%(w/w)から約50%(w/w)、約5%(w/w)から約10%(w/w)、約10%(w/w)から約15%(w/w)、約15%(w/w)から約20%(w/w)、約20%(w/w)から約25%(w/w)、約25%(w/w)から約30%(w/w)、約30%(w/w)から約35%(w/w)、約35%(w/w)から約40%(w/w)、約40%(w/w)から約45%(w/w)、約45%(w/w)から約50%(w/w)、約5%(w/w)から約15%(w/w)、約10%(w/w)から約20%(w/w)、15%(w/w)から約25%(w/w)、約20%(w/w)から約30%(w/w)、約25%(w/w)から約35%(w/w)、約30%(w/w)から約40%(w/w)、約35%(w/w)から約40%(w/w)、約40(w/w)から約50%(w/(w/w)w)、約5%(w/w)から約25%(w/w)、約20%(w/w)から約40%(w/w)、または約25%から約50%(w/w)のいずれかである。タンパク質生成物は、少なくとも約5%(w/w)から約50%(w/w)の単細胞タンパク質、少なくとも約5%(w/w)から約50%(w/w)の細胞溶解物、少なくとも約5%(w/w)から約50%(w/w)のタンパク質抽出物、少なくとも約5%(w/w)から約50%(w/w)のタンパク質分離物、少なくとも約5%(w/w)から約50%(w/w)のタンパク質加水分解物、少なくとも約5%(w/w)から約50%(w/w)の遊離アミノ酸、少なくとも約5%(w/w)から約50%(w/w)のペプチド、少なくとも約5%(w/w)から約50%(w/w)のオリゴペプチド、少なくとも約25%(w/w)から約80%(w/w)の単細胞タンパク質、少なくとも約25%(w/w)から約80%(w/w)の細胞溶解物、少なくとも約25%(w/w)から約80%(w/w)のタンパク質抽出物、少なくとも約25%(w/w)から約80%(w/w)のタンパク質分離物、少なくとも約25%(w/w)から約80%(w/w)のタンパク質加水分解物、少なくとも約25%(w/w)から約80%(w/w)の遊離アミノ酸、少なくとも約25%(w/w)から約80%(w/w)のペプチド、少なくとも約25%(w/w)から約80%(w/w)のオリゴペプチド、少なくとも約75%(w/w)から約100%(w/w)の単細胞タンパク質、少なくとも約75%(w/w)から約100%(w/w)の細胞溶解物、少なくとも約75%(w/w)から約100%(w/w)のタンパク質抽出物、少なくとも約75%(w/w)から約100%(w/w)のタンパク質分離物、少なくとも約75%(w/w)から約100%(w/w)のタンパク質加水分解物、少なくとも約75%(w/w)から約100%(w/w)の遊離アミノ酸、少なくとも約75%(w/w)から約100%(w/w)のペプチドおよび/または、少なくとも約75%(w/w)から約100%(w/w)のオリゴペプチドを含む可能性がある。
【0096】
本明細書に記載されるような構造化食品は、天然食品の類縁体である可能性があり、機械的、触覚的および/または視覚的受容体により知覚可能な属性など、食品のレオロジー的および構造的(幾何学的および表面的)属性を含む可能性がある。食品構造属性には、例えば:粘着性、弾力性、脆弱性、歯ごたえ、咀嚼性、密着性、コーティング、凝集性、クリーム状、歯切れ、ぱらぱら感、堅さ、濃密さ、生地っぽさ、乾燥、弾力性、油っこさ、硬さ、剥がれやすさ、肉質、毛羽立ち、泡状、壊れやすさ、濃厚さ、べたつき、粒感、粗粒感、グミ様、硬質性、重質感、異質性、ジューシーさ、脂肪の少なさ、明るさ、しなやかさ、粒々感、水分、マウスコーティング性、ドロドロ感、脂性、ペースト状、可塑性、多孔性、粉っぽさ、膨張性、果肉感、リッチ感、粗さ、ゴム感、流動性、砂質、ざらつき感などが含まれる。
【0097】
いくらかの実施形態において、構造化食品は、代用肉製品、例えば動物に由来する天然の肉製品と質感または外観が似ている構造である。例えば、代用肉製品は、牛肉、家禽類肉(例えば鶏、七面鳥、鴨)、豚肉、魚肉、または魚介類の代用製品のいずれかであり得る。代用肉製品は、バーガー、ナゲットなどの天然の肉製品の形態であってもよく、天然の肉製品の食感および/または官能(すなわち、1つまたは複数の感覚器官を含む)特徴を再現することができる。
【0098】
代用肉製品は、天然のひき肉または筋肉の肉の構造を模倣することができる。筋肉の肉は、異方性繊維に組み立てられた個別の筋繊維により自然に構造化される。本明細書に記載されるような微生物タンパク質生成物を使用する繊維材料プロセスは、結果として天然の肉構造の三次元模倣となり得る。構造化方法には、自己組織化、強制的組織化、または組み合わせ、および誘導自己組織化が含まれるがこれらに限定されない。
【0099】
いくらかの実施形態において、タンパク質繊維は、実質的に整列される。タンパク質繊維ネットワークおよび/またはタンパク質繊維配列は、凝集性および硬さを付与する可能性があるが、タンパク質繊維ネットワークおよび/またはタンパク質繊維配列における開放空間は、肉構造化タンパク質生成物を柔らかくすることができ、水、炭水化物、塩、脂質、香料、および咀嚼中に徐々に放出される他の材料を捕捉するためのポケットを与え、せん断プロセスを円滑にし、他の肉様の感覚的特徴を付与することができる。
【0100】
構造化食品、例えば構造化代用肉製品は、1つまたは複数の風味材料を含む可能性がある。ある特定の実施形態において、構造化食品、例えば、構造化肉製品は、フラボヘモタンパク質風味材料を含む可能性がある。一実施形態において、フラボヘモタンパク質は、タンパク質生成物が由来する微生物により産生される。一実施形態において、フラボヘモタンパク質およびタンパク質生成物は、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)またはカプリアビダス・メタッリデュランス(Cupriavidus metallidurans)などのカプリアビダス属(Cupriavidus)微生物により産生される。
【0101】
いくらかの実施形態において、構造化食品、例えば、構造化代用肉製品は、1つまたは複数の追加のビタミン、栄養素、または機能性物質を含む(すなわち、構造化食品の生産のために配合物(例えば生地)に、またはタンパク質生成物が由来する微生物のための増殖培地に追加されるか、タンパク質生成物が由来する微生物により産生することができる。そのような追加物質の非限定例には、アミノ酸(例えば必須アミノ酸)、脂質、油、脂肪酸、ビタミン(例えばビタミンB12、ビオチン、他の必須ビタミン)、抗酸化剤、ミネラル、界面活性剤、および乳化剤が含まれる。
【0102】
いくらかの実施形態において、構造化食品組成物、例えば構造化代用肉組成物に組み込まれるタンパク質生成物由来の微生物はnon-GMOである。
【0103】
いくらかの実施形態において、構造化食品組成物、例えば構造化代用肉組成物は、動物由来生体分子または生化学物質などの動物由来材料または物質を含まない。いくらかの実施形態において、例えば肉代用品または代用肉製品において、ハイドロゲル、リポゲル、および/または乳濁液は、例えば薬剤放出システム(例えば、着色剤、風味剤、脂肪酸、膨張剤、および/またはゲル化剤(例えば重炭酸塩(例えば重炭酸カリウム)、水酸化カルシウム、および/またはアルギン酸塩(例えばアルギン酸ナトリウムまたはカリウム)の放出のため、ここで、薬剤(複数を含む)は、動物の肉を模倣するために食品の調理中に放出され得る)として組成物に含まれる。
【0104】
いくらかの実施形態において、構造化食品は、限定されないが、マメ、コメ、モチゴメ、小麦、グルテン、大豆、麻、キャノーラ、昆虫、藻類、および/またはソバなどの1つまたは複数の植物タンパク質源を、本明細書に記載されるような微生物により産生されたタンパク質生成物(例えば、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数)と組み合わせて含み、タンパク質生成物は、例えば肉様の風味など、食品組成物に風味を付与する。
【0105】
いくらかの実施形態において、食品、例えば肉代用品または代用肉製品には、ヘム含有ポリペプチドなどのヘム化合物が含まれる。一実施形態において、食品には、タンパク質生成物が由来する微生物由来のヘム(例えばヘム含有ポリペプチド)が含まれる。いくらかの実施形態において、ヘム含有ポリペプチドは、例えばカプリアビダス属(Cupriavidus)、または本明細書に記載の任意の他の水素酸化微生物などの水素酸化微生物に由来するタンパク質生成物(例えば、単細胞タンパク質、タンパク質加水分解物、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、ペプチド、オリゴペプチド、および単離ヘム含有タンパク質の1つまたは複数)の形態である。いくらかの実施形態において、水素酸化微生物は、低O2分圧条件、例えば微好気性条件などのO2制限条件下で増殖する。
【0106】
いくらかの実施形態において、構造化代用肉製品(例えば、牛肉、家禽類肉、豚肉、魚肉、または魚介類の代用製品)には、本明細書に記載されるような微生物により産生されたタンパク質生成物(例えば、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数)が含まれる。いくらかの実施形態において、代用肉製品は、動物源由来の成分を一切含まないビーガン製品である。いくらかの実施形態において、動物タンパク質を含む強化肉製品(例えば、牛肉、家禽類肉、豚肉、魚肉、魚介類、または卵製品、その製品の一部は、本明細書に記載されるような微生物により産生されたタンパク質生成物原料(例えば、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数)である)が提供される。例えば、タンパク質生成物は、強化肉製品または代用肉製品に増量剤として含まれる可能性があり、例えば、タンパク質生成物は、肉原料または人工もしくは偽肉原料(例えば、植物系の人工または偽代用肉原料)の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、または70%を置き換え、強化肉製品または代用肉/偽肉製品をそれぞれ生産する。いくらかの実施形態において、微生物は、CO2増殖または空気増殖微生物、例えば酸水素微生物である。代用肉製品の非限定例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第10,327,464号、第10,314,325号、第10,287,568号、第10,273,492号、第10,172,380号、第10,172,381号、第10,093,913号、第10,087,434号、第10,039,306号、第9,943,096号、第9,938,327号、第9,833,768号、第9,826,772号、第9,808,029号、第9,737,875号、第9,700,067号、および第9,011,949号に提供される。
【0107】
いくらかの実施形態において、代用肉製品を含むがこれに限定されない本明細書に記載の構造化食品中のタンパク質生成物の少なくとも一部または全部は、限定されないが、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)、例えばDSM531またはDSM541などのカプリアビダス属(Cupriavidus)に由来するタンパク質生成物(例えば、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数)を含む。
【0108】
いくらかの実施形態において、代用肉製品を含むがこれに限定されない本明細書に記載の食品中のタンパク質生成物の少なくとも一部または全部は、限定されないが、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、またはペディオコッカス属(Pediococcus)の細菌などの乳酸菌に由来するタンパク質生成物(例えば、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数)を含む。いくらかの実施形態において、乳酸菌は、GRAS細菌である。
【0109】
いくらかの実施形態において、代用肉製品を含むがこれに限定されない本明細書に記載の食品中のタンパク質生成物の少なくとも一部または全部は、限定されないが、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)、またはリゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)などのフザリウム属(Fusarium)またはリゾプス属(Rhizopus)の真菌性微生物に由来するタンパク質生成物(例えば、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数)を含む。いくらかの実施形態において、真菌性微生物は、GRAS微生物である。
【0110】
代用肉製品
動物の肉に似た代用肉製品が提供される。代用肉製品は、本明細書に記載されるような1つまたは複数の微生物に由来するタンパク質生成物(例えば、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数)を含み、例えば、風味、芳香、食感、外観などの動物の肉の食感および/または物理的特徴を模倣する。
【0111】
いくらかの実施形態において、代用肉製品は、重量で少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、または約70%の本明細書に記載されるような微生物タンパク質生成物を含み、場合によっては、1つまたは複数の結合剤により一緒に結合され、動物の肉と比較して1つまたは複数の同様の食感および/または機能的特徴を有する食品を生産する。いくらかの実施形態において、代用肉製品は、動物の肉、例えば動物のひき肉(例えば牛ひき肉、豚ひき肉、七面鳥ひき肉)に似ている。いくらかの実施形態において、代用肉製品は、主に、実質的に、または完全に非動物源に由来する原料で構成される。代替の実施形態において、代用肉製品は、部分的に動物源に由来する原料で構成されているが、非動物源に由来する原料が追加されている。いくらかの実施形態において、代用肉製品は、1つまたは複数の薬剤放出システムおよび/または他の原料をさらに含む。種々の実施形態において、代用肉製品は、本明細書では、スライス、切断、細砕、細断、すりおろし、またはその他の方法で加工されるか、未加工のままである可能性がある。スライスされた形態の例には、乾燥肉、塩漬け肉、およびスライスされたランチミートが含まれるがこれらに限定されない。いくらかの実施形態において、本明細書で提供される代用肉食品は、細断され、その後一緒に結合され、チャンクされて形成され、粉砕されて形成され、または細断されて形成され、したがって、例えば、動物ジャーキーに外観および食感が類似する製品を生産する。
【0112】
いくらかの実施形態において、代用肉製品はビーガンである。いくらかの実施形態において、代用肉製品は、GMO原料を含まない。いくらかの実施形態において、代用肉製品は、ナッツに由来する原料を含まない。いくらかの実施形態において、代用肉製品は、重量で約0.6%未満または約0.5%未満のナトリウムを含む。いくらかの実施形態において、肉様の食品は、グルテンを含まない。いくらかの実施形態において、肉様の食品は、大豆を含まない。
【0113】
いくらかの実施形態において、本明細書で提供される代用肉食品は、重量で約5%から約30%の脂質を含む。いくらかの実施形態において、代用肉製品は、重量で約0.5%から約10%の総炭水化物を含む。いくらかの実施形態において、代用肉製品は、重量で約0.5%から約5%の食用繊維を含む。
【0114】
本明細書で提供される代用肉製品は、水分含量(MC)が重量で少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%である。いくらかの実施形態において、代用肉製品は、動物の肉と類似のMCを含む。
【0115】
いくらかの実施形態において、代用肉製品は、1つまたは複数の着色剤を含む。いくらかの実施形態において、代用肉製品は、1つまたは複数の着色増強剤を含む。いくらかの実施形態において、肉様の食品は、着色剤、色安定剤、および/または着色増強剤の2つまたはそれ以上の混合物を含む。そのような混合物の非限定例には、ビートエキスおよびアナトー、ビートエキスおよびターメリック、ビートエキスおよびサフラン、ビートエキスおよびパープルキャロット、ビートエキスおよびグレープシードエキス、ビートエキスおよびトマトエキス、ビートエキスおよびリコピン、ビートエキスおよびベータカロテン、ビートエキスおよびアントシアニン、ビートエキスおよびアントシアニンおよびアナトー、ビートエキスおよびアナトーおよびリコピン、ビートエキスおよびアスコルビン酸、アントシアニンおよびアナトー、ビートエキスおよびアナトーおよびアスコルビン酸、ビートエキスおよびアナトーおよびベータカロテン、ビートエキスおよびターメリックおよびアスコルビン酸、ならびにアントシアニンおよびリコピンおよびアナトーが含まれる。いくらかのそのような実施形態において、着色剤、色安定剤、および/または着色増強剤は、等重量比で存在する。別のそのような実施形態において、着色剤、色安定剤、および/または着色増強剤は、等しくない重量比(例えば、55:45、60:40、65:35、2:1、70:30、75:25、80:20、5:1、85:15、90:10、20:1、95:5、99:1)で存在する。いくらかの実施形態において、代用肉製品は、限定されないが、ペントース(例えば、リボース、アラビノース、キシロース)、ヘキソース(例えば、グルコース、フラクトース、マンノース、ガラクトース)、デキストリン、および市販の褐変剤(例えば、レッドアローデキストロース、木材由来薬剤)などの褐変剤を含む。
【0116】
いくらかの実施形態において、代用肉製品は、本明細書では、限定されないが、マメ、コメ、モチゴメ、小麦、グルテン、大豆、麻、キャノーラ、昆虫、藻類、および/またはソバなどの1つまたは複数の植物タンパク質源を、本明細書に記載されるような微生物により産生されたタンパク質生成物と組み合わせて含み、タンパク質生成物は、組成物に肉様の風味を付与する。
【0117】
いくらかの実施形態において、代用肉製品は、本明細書では、ヘム含有ポリペプチドなどのヘム化合物を含む。例えば、ヘム化合物(例えば、ヘム含有ポリペプチド)は、タンパク質生成物が由来する微生物由来であり得る。いくらかの実施形態において、ヘム含有ポリペプチドは、例えば、カプリアビダス属(Cupriavidus)などの水素酸化微生物、または本明細書に記載の任意の他の水素酸化微生物に由来するタンパク質生成物(例えば、単細胞タンパク質、タンパク質加水分解物、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、ペプチド、オリゴペプチド、および単離ヘム含有タンパク質の1つまたは複数)の形態である。いくらかの実施形態において、水素酸化微生物は、低O2分圧条件、例えば微好気性条件などのO2制限条件下で増殖する。
【0118】
生地組成物
本明細書に記載されるように、構造化食品、例えば構造化代用肉製品の生産のための生地組成物が提供される。生地混合物の組成物は、本明細書に記載されるような1つまたは複数の微生物に由来する1つまたは複数のタンパク質生成物(例えば、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、および/またはオリゴペプチド)を含み、例えば、バインダ、塩、テクスチャリング剤などを含む可能性がある。混合物はまた、本明細書の上記に記載されるように、例えば、フラボヘモグロブリン、1つもしくは複数のビタミン、および/または1つもしくは複数の栄養添加物などの1つまたは複数の風味材料および/または風味増強剤が追加されている可能性がある。生地組成物の非限定例は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第9,526,267号に記載されている。
【0119】
いくらかの実施形態において、生地は、微生物由来の1つまたは複数のヘム含有ポリペプチドを含む。例えば、含まれるポリペプチドは、例えば、カプリアビダス属(Cupriavidus)などの水素酸化微生物、または本明細書に記載の任意の他の水素酸化微生物に由来するタンパク質生成物(例えば、単細胞タンパク質、タンパク質加水分解物、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、ペプチド、オリゴペプチド、および単離ヘム含有タンパク質の1つまたは複数)の形態であり得る。いくらかの実施形態において、水素酸化微生物は、低O2分圧条件、例えば微好気性条件などのO2制限条件下で増殖する。
【0120】
いくらかの実施形態において、生地組成物は、タンパク質加水分解物を含み、加水分解物中のタンパク質の平均分子量は、約5kDから約10kD、または約5kD、6kD、7kD、8kD、9kD、または10kDのいずれか、または約5kDから約7kD、約6kDから約8kD、約7kDから約9kD、8kDから約10kD、約5kDから約8kDまたは約7kDから約10kDのいずれかである。
【0121】
いくらかの実施形態において、生地組成物中のタンパク質生成物は、球状の未変性タンパク質が保持される条件下で生産される。例えば、そのような条件には、穏やかな細胞溶解、それに続く不溶性成分(例えば細胞片)からの可溶性成分(例えばタンパク質)の分離が含まれる可能性がある。
【0122】
いくらかの実施形態において、生地は、本明細書に記載されるような微生物タンパク質生成物に加えて、1つまたは複数の追加の源に由来のタンパク質を含む。追加のタンパク質の源の非限定例には、植物源(例えば、小麦グルテン、大豆、マメ、小麦)、藻類、他の非動物タンパク質、または乳が含まれる。
【0123】
いくらかの実施形態において、生地は、約40%(w/w)、約45%(w/w)、約50%(w/w)、約55%(w/w)、約60%(w/w)、約65%(w/w)、約70%(w/w)、約75%(w/w)、約80%(w/w)、約40%(w/w)から約80%(w/w)、約40%(w/w)から約50%(w/w)、約45%(w/w)から約55%(w/w)、約50%(w/w)から約60%(w/w)、約55%(w/w)から約65%(w/w)、約60%(w/w)から約70%(w/w)、約65%(w/w)から約75%(w/w)、約70%(w/w)から約80%(w/w)、約40%(w/w)から約60%(w/w)、約50%(w/w)から約70%(w/w)、または約60%(w/w)から約80%(w/w)のいずれかの水分含量を含む。
【0124】
いくらかの実施形態において、生地組成物のせん断強度は、約1000psigより高い。
【0125】
いくらかの実施形態において、生地は、乳濁液、例えば、本明細書に記載されるような1つまたは複数のタンパク質および1つまたは複数の油の乳濁液である。
【0126】
構造化食品組成物を製造する方法
本明細書において、構造化代用肉組成物などの構造化食品組成物を製造する方法が説明される。微生物に由来するタンパク質生成物(例えば、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質抽出物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、および/またはオリゴペプチド)は、構造化食品組成物に加工される。構造化食品を生産するためのワークフローの1つの非限定実施形態を
図1に示す。
【0127】
せん断、混合、および/またはスピニングの物理的プロセスは、タンパク質加水分解物生成物などのタンパク質生成物から変形および繊維配列を作成するために使用することができる。繊維の作成は、材料の相分離、それに続く内部構造の整列、それに続く固化を必要とする。繊維配列の種類および得られる構造化材料の特性は、前処理された生地の材料の組成およびレオロジー特性、保水能力、ならびに吸水性、水溶性、吸油指数、膨張指数、かさ密度および粘度を含む構造および食品の機能性を付与する他の因子に依存する。
【0128】
本明細書の上記に記載されるように、生地組成物は、構造化食品組成物に変換され得る。タンパク質を構造化する方法として、熱化学的プロセス、例えば押出成形を展開することができる。例えば、押出成形は:(i)エクストルーダの外側での材料の前処理;(ii)エクストルーダバレル内部での混合/調理;および(iii)ダイ中での冷却を含む可能性がある。押出成形による構造形成に影響を与える物理的因子には、例えば、温度、スクリュ速度、およびエクストルーダ設計が含まれる。構造および食品の機能性を付与する因子には、生地の吸水性、水溶性、吸油指数、膨張指数、かさ密度および粘度が含まれる。いくらかの実施形態において、本明細書に記載されるような生地組成物の押出成形は、整列した繊維、すなわち肉様の食感を有する製品などの構造化食品を生産するタンパク質繊維ネットワークおよび/または整列したタンパク質繊維を生産する。例えば、生地組成物は、等方的に混合された生地組成物にコーンインコーン形状で機械的せん断を加えて、実質的に整列した繊維構造を有する巨視的な異方性混合物を形成するように設計された温度制御エクストルーダで加工される。この非限定例は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第9,526,267号に記載されている。
【0129】
高水分押出成形は、結果としてタンパク質の変性および架橋の形成となる可能性があり、押出成形された材料の溶解性を低下させる。いくらかの実施形態において、押出成形の条件は、以前に変性したタンパク質分子のサブユニットへの破裂を引き起こす可能性がある。サブユニットはその後、組織化タンパク質の特徴的食感および微細構造を示す製品に再集合する可能性がある。この再集合は、主に分子間ペプチド結合により生じる可能性があるが、程度は低いが、疎水性相互作用プラス水素およびジスルフィド結合も同様に役割を果たす可能性がある。
【0130】
いくらかの実施形態において、微生物タンパク質生成物を構造化食品組成物に加工するためにスピニングプロセスが展開される。例えば、タンパク質生成物を含む溶液は、紡糸口金を通って押出成形され、続いてタンパク質生成物の非溶媒を含む浴に浸漬される可能性がある。溶媒および非溶媒の交換は、結果として、押出成形されたタンパク質相の沈殿および固化となり、伸長したフィラメント(例えば約20μmの厚みを有するフィラメント)を形成することになる可能性がある。(Dekkers,et al.(2018)Trends Food Sci Technol 81:25-36)
【0131】
いくらかの実施形態において、タンパク質生成物の構造化食品への変換は、構造化ハイドロコロイドの形成を含む。構造化ハイドロコロイドは、本明細書に記載されるような微生物由来タンパク質生成物、例えばタンパク質加水分解物、およびハイドロコロイドの混合物から形成され得、これは例えば高温で金属カチオンと沈殿し、繊維状生成物を形成する。ハイドロコロイドの非限定例には、例えばアルギン酸塩またはガムの形態でペクチンが含まれる。
【0132】
本明細書に記載されるような方法により生産された構造化食品組成物の固化には、加熱、冷却、乾燥、および/または凝固が含まれる可能性がある。
【0133】
タンパク質加水分解物
いくらかの実施形態において、タンパク質生成物の少なくとも一部または全部は、本明細書に記載の少なくとも1つの微生物由来のタンパク質(例えば、単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、および/またはタンパク質抽出物)を加水分解することにより生産される。例えば、細胞タンパク質の加水分解により、ペプチド、オリゴペプチド、および/または遊離アミノ酸を生産することができる。
【0134】
微生物タンパク質の加水分解は、酸、塩基、および/または酵素的処理により実行することができる。タンパク質を加水分解する方法は、当技術分野において周知である。微生物タンパク質加水分解法および加水分解組成物の非限定例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年9月15日付けで出願されたPCT出願第US20/50902号に認めることができる。
【0135】
いくらかの実施形態において、加水分解法は、タンパク質性懸濁液、例えば微生物バイオマスの懸濁液のpHを上昇または低下させ、それによってアルカリ性または酸性懸濁液をそれぞれ生産することを含む可能性がある。出発バイオマス懸濁液は、適切な量のバイオマスを液体中に、例えば微生物バイオマスを増殖培地中に含む可能性がある。いくらかの実施形態において、バイオマスの量、乾燥重量/反応体積は、少なくとも約.01%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、または少なくとも約3%、または約0.1%から約8%、例えば約3%から約5%を含む、約0.2%から約8%、約0.5%から約6%、約1%から約6%、約2%から約6%である。
【0136】
いくらかの実施形態において、バイオマス内の細胞は、プロセスの最初、例えば、pHを上昇または低下させる前に溶解に供され、バイオマスから懸濁組成物へのタンパク質の回収を容易にする。
【0137】
ある特定の実施形態において、アルカリ性または酸性懸濁液を適切な時間加熱に供してタンパク質加水分解組成物を生成することができる。懸濁液は、濃縮、乾燥(例えば凍結乾燥)されるか、液体懸濁液として直接利用される可能性がある。ある特定の実施形態において、例えばアルカリ性または酸性懸濁液をオートクレーブすることによりアルカリ性または酸性懸濁液を、加熱および高圧に供してタンパク質加水分解組成物を生成する。いくらかの実施形態において、懸濁液は、緩衝液で中和され、加熱または加熱/加圧処理の後のpHを低下または上昇させる。ある特定の実施形態において、pHは、プロテアーゼ(例えばアルカリプロテアーゼ、酸プロテアーゼ、またはメタロプロテアーゼ)などの加水分解酵素での懸濁液の、後に続く酵素的処理を可能にするのに十分に低下(アルカリ性懸濁液の場合)または上昇(酸性懸濁液の場合)される。酵素的加水分解の後、タンパク質加水分解組成物が生産される。他の実施形態において、バイオマス懸濁液は、事前のアルカリまたは酸の処理なしで、プロテアーゼ(例えばアルカリプロテアーゼ、酸プロテアーゼ、またはメタロプロテアーゼ)などのタンパク質分解酵素で加水分解される。
【0138】
ある特定の実施形態において、タンパク質加水分解物中の加水分解されたタンパク質は、主に懸濁液の可溶性画分にある。得られる懸濁液は、例えば遠心分離により清澄化され、加水分解されたタンパク質を含む上清画分を得ることができる。いくらかの実施形態において、加水分解処理(例えばアルカリまたは酸加水分解、場合によっては酵素的(例えばプロテアーゼ)処理を含むか、酵素的加水分解単独)に続いて、懸濁液(加水分解物)の清澄化を行い、懸濁液中の未溶解物質を除去、例えば可溶性および不溶性画分を分離する。懸濁液は、遠心分離、濾過などの任意の適切な方法を使用して清澄化することができる。いくらかの実施形態において、懸濁液を清澄化、例えば遠心分離した後、上清をペレットから分離することができる。
【0139】
いくらかの実施形態において、加水分解されたタンパク質を含む清澄化された液体組成物(例えば分離された懸濁液の上清などの可溶性画分)を、乾燥、例えば凍結乾燥して、乾燥または実質的に乾燥した組成物を生産する。いくらかの実施形態において、凍結乾燥した組成物は、水分含量が約10%以下、例えば約3%以下を含む、約8%以下、約6%以下、約5%以下である。いくらかの実施形態において、凍結乾燥したタンパク質加水分解組成物は、水分含量が約1%から約10%、例えば、約2%から約5%を含む、約1%から約8%、約1%から約6%である。
【0140】
いくらかの実施形態において、清澄化された液体組成物(例えば分離された懸濁液の上清などの可溶性画分)を脱水または濃縮して、水分含量を低下させる。いくらかの実施形態において、濃縮組成物は、水分含量が約80%以下、例えば、約30%以下を含む、約75%以下、約50%以下、約40%以下である;そしていくらかの実施形態において、上記水分含量範囲のそれぞれは、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%(そのような前述の範囲の程度がそのような下限を超える範囲まで)であり得る。いくらかの実施形態において、脱水された生成物を、例えば、限定されないが、噴霧乾燥;ドラム乾燥;オーブン乾燥;真空乾燥;真空オーブン乾燥;N2などの不活性ガス下での乾燥;および天日蒸発の1つまたは複数などの方法を使用する、加熱および/または蒸発を使用して乾燥する。いくらかの実施形態において、最初にロータリーエバポレータを用いて清澄化された生成物を、例えば約50%から約65%の水分が除去されるように脱水する。いくらかの実施形態において、さらなる脱水は、例えば凍結乾燥したタンパク質加水分解組成物が、約1%から約10%、例えば、約2%から約5%を含む、約1%から約8%、約1%から約6%の水分含量になるように凍結乾燥により達成される。
【0141】
いくらかの実施形態において、タンパク質加水分解物が生産されるタンパク質の少なくとも一部または全部(例えば単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、および/またはタンパク質抽出物)は、限定されないが、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)、例えばDSM531またはDSM541などのカプリアビダス属(Cupriavidus)微生物由来である。いくらかの実施形態において、タンパク質加水分解組成物(例えばペプチド、オリゴペプチド、および/または遊離アミノ酸を含む)は、限定されないが、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)、例えばDSM531またはDSM541などのカプリアビダス属(Cupriavidus)微生物由来のタンパク質に由来する。
【0142】
いくらかの実施形態において、タンパク質加水分解物が生産されるタンパク質の少なくとも一部または全部(例えば単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、および/またはタンパク質抽出物)は、限定されないが、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、またはペディオコッカス属(Pediococcus)の細菌などの乳酸菌由来である。いくらかの実施形態において、タンパク質加水分解組成物(例えばペプチド、オリゴペプチド、および/または遊離アミノ酸を含む)は、限定されないが、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、またはペディオコッカス属(Pediococcus)の細菌などの乳酸菌由来のタンパク質に由来する。いくらかの実施形態において、乳酸菌は、GRAS細菌である。
【0143】
いくらかの実施形態において、タンパク質加水分解物が生産されるタンパク質の少なくとも一部または全部(例えば単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、および/またはタンパク質抽出物)は、限定されないが、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)、またはリゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)などのフザリウム属(Fusarium)またはリゾプス属(Rhizopus)の真菌性微生物由来である。いくらかの実施形態において、タンパク質加水分解組成物(例えばペプチド、オリゴペプチド、および/または遊離アミノ酸を含む)は、限定されないが、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)、またはリゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)などのフザリウム属(Fusarium)またはリゾプス属(Rhizopus)の真菌性微生物由来のタンパク質に由来する。
【0144】
いくらかの実施形態において、タンパク質加水分解物は、本明細書では、典型的には非アレルギー性である、例えばヒトに対して非アレルギー性であるサイズ範囲のペプチドを含むか、それらからなるペプチドを含む。いくらかの実施形態において、本明細書に記載されるような食品組成物に組み込まれるタンパク質加水分解物は、ペプチドおよび遊離アミノ酸を含み、ペプチドは、典型的には非アレルギー性であるサイズ範囲のものである。いくらかの実施形態において、非アレルギー性ペプチドは、約800から約1500Daの平均分子量分布であるサイズ範囲のものである。例えば、本明細書に記載されるようなタンパク質加水分解により得られたペプチドは、約1500、1400、1300、1200、1100、1000、900、または800Daの平均分子量のいずれよりも小さい可能性がある。
【0145】
いくらかの実施形態において、塩(例えば、酸またはアルカリ塩が加水分解のために使用される)は、加水分解物を本明細書に記載されるような食品組成物に組み込む前に、タンパク質加水分解物から除去される。例えば、タンパク質加水分解物は、濾過(例えば限外濾過)または透析により精製し、塩および/または他の不純物を除去することができる。
【0146】
微生物
方法において使用され、本明細書に記載の組成物に組み込まれるタンパク質性物質(タンパク質生成物)は、1つまたは複数の微生物に由来する。単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質分離物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせが由来する微生物は、光合成独立栄養、従属栄養、メタン資化性、メチル栄養、カルボキシド栄養、または化学独立栄養生物であり得る。いくらかの実施形態において、微生物は、酸水素微生物を含む。微生物は野生型であり得るか、遺伝子組換えされたもの(例えば組換え体)であり得るか、それらの組み合わせであり得る。
【0147】
微生物バイオマスは、例えば、発酵槽またはバイオリアクタにおいて、1つまたは複数の適切な微生物の培養物から回収することができる。バイオマスは、培養培地から細胞塊を分離するために、遠心分離などの任意の適切な方法を使用して回収することができる。いくらかの実施形態において、回収されたバイオマスを使用して、タンパク質加水分解組成物を生産することができる。いくらかの実施形態において、回収されたバイオマスを、噴霧乾燥または凍結乾燥して、乾燥バイオマスを生成し、その後、本明細書に記載されるような食品組成物の生産のための原料として、またはタンパク質加水分解組成物を生産するために使用することができる。いくらかの実施形態において、タンパク質生成物(例えば単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質抽出物、タンパク質含有抽出物、タンパク質分離物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、またはそれらの組み合わせ)は、回収されたバイオマスから生産される。
【0148】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、カプリアビダス属(Cupriavidus)またはラルストニア属(Ralstonia)またはハイドロゲノバクター属(Hydrogenobacter)の中の株が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、種カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)またはカプリアビダス・メタッリデュランス(Cupriavidus metallidurans)が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、種カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)DSM531またはDSM541の株が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、種カプリアビダス・メタッリデュランス(Cupriavidus metallidurans)が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、種カプリアビダス・メタッリデュランス(Cupriavidus metallidurans)DSM2839の株が含まれる。
【0149】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、キサントバクター属(Xanthobacter)の中の株が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、種キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、種キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)DSM432の株が含まれる。
【0150】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、ロドコッカス属(Rhodococcus)またはゴルドニア属(Gordonia)の微生物が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)(DSM43205)またはロドコッカス(Rhodococcus)種(DSM3346)が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus);ハイドロゲノビブリオ・マリナス(Hydrogenovibrio marinus);ロドシュードモナス・カプシュラータ(Rhodopseudomonas capsulata);ハイドロゲノバクター・サーモフィラス(Hydrogenobacter thermophilus);またはロドバクター・スファエロイデス(Rhodobacter sphaeroides)が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、バークホルデリア科(Burkholderiaceae)の中の株が含まれる。
【0151】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、限定されないが、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、またはペディオコッカス属(Pediococcus)の細菌などの乳酸菌が含まれる。いくらかの実施形態において、乳酸菌は、GRAS細菌である。
【0152】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、限定されないが、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)、またはリゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)などのフザリウム属(Fusarium)またはリゾプス属(Rhizopus)の真菌性微生物が含まれる。いくらかの実施形態において、真菌性微生物は、GRAS微生物である。
【0153】
いくらかの実施形態において、微生物のコンソーシアム(すなわち、一緒に増殖する2つまたはそれ以上の微生物)は、本明細書に記載の方法および組成物におけるタンパク質生成物源として使用される。コンソーシアムは、本明細書に記載の任意の微生物種もしくは株の1つまたは複数、または本明細書に記載の1つもしくは複数の微生物形質を有する1つまたは複数の微生物を含む可能性がある。いくらかの実施形態において、コンソーシアムは、本明細書に記載の任意の微生物種もしくは株または微生物の2つまたはそれ以上、または本明細書に記載の1つまたは複数の微生物形質を有する2つまたはそれ以上の微生物を含む。
【0154】
いくらかの実施形態において、本明細書に記載されるような微生物は、重量で総細胞塊の約50%以上までタンパク質を蓄積させることができる。いくらかの実施形態において、本明細書に記載されるような微生物は、重量で総細胞塊の約60%以上までタンパク質を蓄積させることができる。いくらかの実施形態において、微生物は、重量で総細胞塊の約70%以上までタンパク質を蓄積させることができる。いくらかの実施形態において、微生物は、重量で総細胞塊の約80%以上までタンパク質を蓄積させることができる。いくらかの非限定実施形態において、これらの形質を示す微生物は、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)、例えばカプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)DSM531またはDSM541である。
【0155】
いくらかの実施形態において、本明細書に記載されるような微生物は、H2/CO2および/またはシンガスおよび/または発生炉ガスで自然に増殖することができる。いくらかの実施形態において、微生物は、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)(例えばポリヒドロキシ酪酸(PHB))を、重量で細胞バイオマスの約50%以上まで自然に蓄積することができる。いくらかの実施形態において、微生物は、アセチルCoA代謝中間体を介して高フラックスの炭素を導く本来の能力を有し、多くの他の合成経路、例えばPHBなどのPHA合成、および/またはアミノ酸生合成とともに脂肪酸生合成に導くことができる。いくらかの実施形態において、これらの形質を示す微生物は、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)、例えばカプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)DSM531またはDSM541)である。いくらかの実施形態において、微生物は、PHA(例えばPHB)を生産および/または蓄積しない。
【0156】
いくらかの非限定実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、コリネバクテリウム・オートトロフィカム(Corynebacterium autotrophicum)が含まれる。いくらかの非限定実施形態において、微生物には、コリネバクテリウム・オートトロフィカム(Corynebacterium autotrophicum)および/またはコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、ハイドロゲノビブリオ・マリナス(Hydrogenovibrio marinus)が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、ロドシュードモナス・カプシュラータ(Rhodopseudomonas capsulata)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、またはロドバクター・スファエロイデス(Rhodobacter sphaeroides)が含まれる。
【0157】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、以下の属:カプリアビダス属(Cupriavidus)、ロドコッカス属(Rhodococcus)、ハイドロゲノビブリオ属(Hydrogenovibrio)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、ハイドロゲノバクター属(Hydrogenobacter)、ゴルドニア属(Gordonia)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、ストレプトマイセス属(Streptomycetes)、ロドバクター属(Rhodobacter)、および/またはキサントバクター属(Xanthobacter)の1つまたは複数が含まれる。
【0158】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物は、アクチノバクテリア綱(Actinobacteria)の微生物を含む。いくらかの実施形態において、微生物には、コリネバクテリウム(corynebacterineae)亜目(コリネバクテリウム科(corynebacterium)、ゴルドニア科(gordoniaceae)、マイコバクテリウム科(mycobacteriaceae)およびノカルディア科(nocardiaceae))の微生物が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、ノカルディア科(Nocardiaceae)の微生物が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、以下の分類:コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、ゴルドニア属(Gordonia)、ロドコッカス属(Rhodococcus)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)およびツカムレラ属(Tsukamurella)の1つまたは複数から抽出された微生物が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)、ロドコッカス・アウランチアカス(Rhodococcus aurantiacus);ロドコッカス・バイコヌレンシス(Rhodococcus baikonurensis);ロドコッカス・ボリトレランス(Rhodococcus boritolerans);ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi);ロドコッカス・コプロフィルス(Rhodococcus coprophilus);ロドコッカス・コリネバクテリオイデス(Rhodococcus corynebacterioides);ノカルディア・コリネバクテリオイデス(Nocardia corynebacterioides)(異名:ノカルディア・コリネバクテリオイデス(Nocardia corynebacterioides));ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis);ロドコッカス・ファスシアンス(Rhodococcus fascians);ロドコッカス・グロベルルス(Rhodococcus globerulus);ロドコッカス・ゴルドニアエ(Rhodococcus gordoniae);ロドコッカス・ジョスティイ(Rhodococcus jostii);ロドコッカス・コレエンシス(Rhodococcus koreensis);ロドコッカス・クロッペンステディティ(Rhodococcus kroppenstedtii);ロドコッカス・マアンシャネンシス(Rhodococcus maanshanensis);ロドコッカス・マリノナッセンス(Rhodococcus marinonascens);ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus);ロドコッカス・ペルコラータス(Rhodococcus percolatus);ロドコッカス・フェノーリカス(Rhodococcus phenolicus);ロドコッカス・ポリボルム(Rhodococcus polyvorum);ロドコッカス・ピリジニボランス(Rhodococcus pyridinivorans);ロドコッカス・ロドコロウス(Rhodococcus rhodochrous);ロドコッカス・ロドニイ(Rhodococcus rhodnii);(異名:ノカルディア・ロドニイ(Nocardia rhodnii));ロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)(異名:ストレプトスリックス・ルブラ(Streptothrix rubra));ロドコッカス(Rhodococcus)種RHA1;ロドコッカス・トリアトマエ(Rhodococcus triatomae);ロドコッカス・ツキサムエンシス(Rhodococcus tukisamuensis);ロドコッカス・ラティスラビエンシス(Rhodococcus wratislaviensis)(異名:ツカムレラ・ラティスラビエンシス(Tsukamurella wratislaviensis));ロドコッカス・ユンナネンシス(Rhodococcus yunnanensis);またはロドコッカス・ゾフィー(Rhodococcus zopfii)などのロドコッカス属(Rhodococcus)の微生物が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)株DSM43205またはDSM43206が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、ロドコッカス(Rhodococcus)種DSM3346株が含まれる。
【0159】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、H2/CO2および/またはシンガスおよび/または発生炉ガスで自然に増殖することができ、重量で細胞バイオマスの少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはそれ以上まで脂質を自然に蓄積することができる微生物(例えば、本明細書に記載の任意の微生物の属または種の微生物)が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、脂肪酸生合成経路に高フラックスの炭素を送る本来の能力を有している微生物(例えば、本明細書に記載の任意の微生物の属または種の微生物)が含まれる。いくらかの実施形態において、これらの形質を示す微生物は、ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)(例えば、ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)DSM43205またはDSM43206またはDSM44193)またはカプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)(例えば、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)DSM531またはDSM541)である。
【0160】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、酸水素または水素酸化株が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物には、以下の水素酸化微生物:アクイフェックス・ピロフィルス(Aquifex pyrophilus)、アクイフェックス・エオリカス(Aquifex aeolicus)、または他のアクイフェックス(Aquifex)種;カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)またはカプリアビダス・メタッリデュランス(Cupriavidus metallidurans)または他のカプリアビダス(Cupriavidus)種;コリネバクテリウム・オートトロフィカム(Corynebacterium autotrophicum)または他のコリネバクテリウム(Corynebacterium)種;ゴルドニア・デスルフリカンス(Gordonia desulfuricans)、ゴルドニア・ポリイソプレニボランス(Gordonia polyisoprenivorans)、ゴルドニア・ルブリペルティンクタ(Gordonia rubripertincta)、ゴルドニア・ヒドロフォビカ(Gordonia hydrophobica)、ゴルドニア・ウェストファリカ(Gordonia westfalica)、または他のゴルドニア(Gordonia)種;ノカルディア・オートトロフィカ(Nocardia autotrophica)、ノカルディア・オパカ(Nocardia opaca)、または他のノカルディア(Nocardia)種;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、ロドシュードモナス・カプシュラータ(Rhodopseudomonas capsulata)、ロドシュードモナス・ビリディス(Rhodopseudomonas viridis)、ロドシュードモナス・スルホビリディス(Rhodopseudomonas sulfoviridis)、ロドシュードモナス・ブラスティカ(Rhodopseudomonas blastica)、ロドシュードモナス・スフェロイデス(Rhodopseudomonas spheroides)、ロドシュードモナス・アシドフィラ(Rhodopseudomonas acidophila)、または他のロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)種を含むがこれらに限定されない紅色非硫黄光合成細菌;ロドバクター(Rhodobacter)種、ロドスピリラム・ラブラム(Rhodospirillum rubrum)、または他のロドスピリラム(Rhodospirillum)種;ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)または他のロドコッカス(Rhodococcus)種;リゾビウム・ジャポニカム(Rhizobium japonicum)または他のリゾビウム(Rhizobium)種;チオカプサ・ロゼオペルシシナ(Thiocapsa roseopersicina)または他のチオカプサ(Thiocapsa)種;シュードモナス・ファシリス(Pseudomonas facilis)、シュードモナス・フラバ(Pseudomonas flava)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・ヒドロゲノボラ(Pseudomonas hydrogenovora)、シュードモナス・ヒドロゲノテルモフィラ(Pseudomonas hydrogenothermophila)、シュードモナス・パレロニ(Pseudomonas palleronii)、シュードモナス・シュードフラバ(Pseudomonas pseudoflava)、シュードモナス・サッカロフィラ(Pseudomonas saccharophila)、シュードモナス・サーモフィル(Pseudomonas thermophile)、または他のシュードモナス(Pseudomonas)種;ヒドロゲノモナス・パントトロファ(Hydrogenomonas pantotropha)、ヒドロゲノモナス・ユートロファ(Hydrogenomonas eutropha)、ヒドロゲノモナス・ファシリス(Hydrogenomonas facilis)、または他のヒドロゲノモナス(Hydrogenomonas)種;ハイドロゲノバクター・サーモフィラス(Hydrogenobacter thermophiles)、ハイドロゲノバクター・ハロフィルス(Hydrogenobacter halophilus)、ハイドロゲノバクター・ヒドロゲノフィルス(Hydrogenobacter hydrogenophilus)、または他のハイドロゲノバクター(Hydrogenobacter)種;ハイドロゲノフィラス・イスランディカス(Hydrogenophilus islandicus)または他のハイドロゲノフィラス(Hydrogenophilus)種;ハイドロゲノビブリオ・マリナス(Hydrogenovibrio marinus)または他のハイドロゲノビブリオ(Hydrogenovibrio)種;ハイドロゲノサーマス・マリナス(Hydrogenothermus marinus)または他のハイドロゲノサーマス(Hydrogenothermus)種;ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)または他のヘリコバクター(Helicobacter)種;キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)、キサントバクター・フラバス(Xanthobacter flavus)、または他のキサントバクター(Xanthobacter)種;ハイドロゲノファーガ・フラバ(Hydrogenophaga flava)、ハイドロゲノファーガ・パレロニイ(Hydrogenophaga palleronii)、ハイドロゲノファーガ・シュードフラバ(Hydrogenophaga pseudoflava)、または他のハイドロゲノファーガ(Hydrogenophaga)種;ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)または他のブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)種;ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)または他のラルストニア(Ralstonia)種;アルカリジェネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)、アルカリジェネス・ファシリス(Alcaligenes facilis)、アルカリジェネス・ヒドロゲノフィルス(Alcaligenes hydrogenophilus)、アルカリジェネス・ラツス(Alcaligenes latus)、アルカリジェネス・パラドクサス(Alcaligenes paradoxus)、アルカリジェネス・ルーランディイ(Alcaligenes ruhlandii)、または他のアルカリジェネス(Alcaligenes)種;アミコラータ(Amycolata)種;アクアスピリルム・オートトロフィカム(Aquaspirillum autotrophicum)または他のアクアスピリルム(Aquaspirillum)種;アルスロバクター(Arthrobacter)株11/X、アルスロバクター・メチロトロフス(Arthrobacter methylotrophus)、または他のアルスロバクター(Arthrobacter)種;アゾスピリルム・リポフェルム(Azospirillum lipoferum)または他のアゾスピリルム(Azospirillum)種;バリオボラックス・パラドクサス(Variovorax paradoxus)または他のバリオボラックス(Variovorax)種;アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)、または他のアシドボラックス(Acidovorax)種;バチルス・シュレゲリイ(Bacillus schlegelii)、バチルス・チュスシアエ(Bacillus tusciae)、他のバチルス(Bacillus)種;カルデロバクテリウム・ヒドロゲノフィルム(Calderobacterium hydrogenophilum)または他のカルデロバクテリウム(Calderobacterium)種;デルキア・グモーサ(Derxia gummosa)または他のデルキア(Derxia)種;フラボバクテリウム・オートテルモフィルム(Flavobacterium autothermophilum)または他のフラボバクテリウム(Flavobacterium)種;ミクロシクラス・アクアティカス(Microcyclus aquaticus)または他のミクロシクラス(Microcyclus)種;マイコバクテリウム・ゴルドナエ(Mycobacterium gordoniae)または他のマイコバクテリウム(Mycobacterium)種;パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)または他のパラコッカス(Paracoccus)種;パーセフォネラ・マリナ(Persephonella marina)、パーセフォネラ・グアイマセンシス(Persephonella guaymasensis)、または他のパーセフォネラ(Persephonella)種;レノバクター・バキュオラツム(Renobacter vacuolatum)または他のレノバクター(Renobacter)種;セリベリア・カーボキシドハイドロゲナ(Seliberia carboxydohydrogena)または他のセリベリア(Seliberia)種、ストレプトマイセス・セリコフラバス(Streptomycetes coelicoflavus)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomycetes griseus)、ストレプトマイセス・キサントクロモジェネス(Streptomycetes xanthochromogenes)、ストレプトマイセス・サーモカルボキシダス(Streptomycetes thermocarboxydus)、および他のストレプトマイセス(Streptomycetes)種;サーモクリニス・ルバー(Thermocrinis ruber)または他のサーモクリニス(Thermocrinis)種;ワウテルシア(Wautersia)種;アナベナ・オスシラリオイデス(Anabaena oscillarioides)、アナベナ・スピロイデス(Anabaena spiroides)、アナベナ・シリンドリカ(Anabaena cylindrica)、または他のアナベナ(Anabaena)種、およびアルスロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)、アルスロスピラ・マキシマ(Arthrospira maxima)、または他のアルスロスピラ(Arthrospira)種を含むがこれらに限定されないシアノバクテリア;セネデスムス・オブリクース(Scenedesmus obliquus)または他のセネデスムス(Scenedesmus)種、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardii)または他のクラミドモナス(Chlamydomonas)種、アンキストロデスムス(Ankistrodesmus)種、およびラフィジウム・ポリモルフィウム(Rhaphidium polymorphium)または他のラフィジウム(Rhaphidium)種を含むがこれらに限定されない緑藻類の1つまたは複数が含まれる。いくらかの実施形態において、任意の上記酸水素微生物などの酸水素微生物を含む微生物のコンソーシアムは、本明細書に記載されるようなタンパク質生成物の産生に使用される。
【0161】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、以下の属:キュープリアビダス属(Cupriavidus);キサントバクター属(Xanthobacter);ディエジア属(Dietzia);ゴルドニア属(Gordonia); マイコバクテリウム属(Mycobacterium);ノカルディア(Nocardia);シュードノカルディア属(Pseudonocardia);アルスロバクター(Arthrobacter);アルカニボラックス属(Alcanivorax);ロドコッカス属(Rhodococcus);ストレプトマイセス属(Streptomyces);ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas);ロドバクター属(Rhodobacter);およびアシネトバクター属(Acinetobacter);またはこれらの微生物の属の1つまたは複数を含む微生物のコンソーシアムの1つまたは複数が含まれる。
【0162】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、以下:アルスロバクター・メチロトロフス(Arthrobacter methylotrophus)DSM14008;ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)DSM44304;ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)DSM44311;キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)DSM431;ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)DSM44236;ロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)DSM43338;ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)DSM44315;カプリアビダス・メタッリデュランス(Cupriavidus metallidurans)DSM2839;カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)DSM531;カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)DSM541;ロドコッカス・アエセリボランス(Rhodococcus aetherivorans)DSM44752;ゴルドニア・デスルフリカンス(Gordonia desulfuricans)DSM44462;ゴルドニア・ポリイソプレニボランス(Gordonia polyisoprenivorans)DSM44266;ゴルドニア・ポリイソプレニボランス(Gordonia polyisoprenivorans)DSM44439;ゴルドニア・ルブリペルティンクタ(Gordonia rubripertincta)DSM46039;ロドコッカス・ペルコラータス(Rhodococcus percolatus)DSM44240;ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)DSM43206;ゴルドニア・ヒドロフォビカ(Gordonia hydrophobica)DSM44015;ロドコッカス・ゾフィー(Rhodococcus zopfii)DSM44189;ゴルドニア・ウェストファリカ(Gordonia westfalica)DSM44215、キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)DSM1618;キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)DSM2267;キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)DSM3874;ストレプトマイセス・セリコフラバス(Streptomycetes coelicoflavus)DSM41471;ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomycetes griseus)DSM40236;ストレプトマイセス(Streptomycetes)種DSM40434;ストレプトマイセス・キサントクロモジェネス(Streptomycetes xanthochromogenes)DSM40111;ストレプトマイセス・サーモカルボキシダス(Streptomycetes thermocarboxydus)DSM44293;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)DSM158の1つまたは複数が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、これらの微生物株の1つもしくは複数、または本明細書で開示される任意の微生物の属もしくは種の1つもしくは複数を含む微生物のコンソーシアムが含まれる。
【0163】
一酸化炭素を電子供与体および/または炭素源として増殖することができる多数の異なる微生物(すなわち、カルボキシド栄養微生物)が特徴づけられている。いくらかの場合において、カルボキシド栄養微生物はまた、電子供与体としてH2を使用することもできる、および/または混合栄養的に増殖することもできる。いくらかの場合において、カルボキシド栄養微生物は、通性化学無機独立栄養生物である[参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Biology of the Prokaryotes,J Lengeler,G.Drews,H.Schlegelにより編集、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ、2009年7月10日]。いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、以下のカルボキシド栄養微生物:アシネトバクター(Acinetobacter)種;アルカリゲネス・カルボキシダス(Alcaligenes carboxydus)または他のアルカリゲネス(Alcaligenes)種:アルスロバクター(Arthrobacter)種:アゾモナス(Azomonas)種;アゾトバクター(Azotobacter)種;バチルス・シュレゲリイ(Bacillus schlegelii)または他のバチルス(Bacillus)種;ハイドロゲノファーガ・シュードフラバ(Hydrogenophaga pseudoflava)または他のハイドロゲノファーガ(Hydrogenophaga)種;シュードモナス・カーボキシドハイドロゲナ(Pseudomonas carboxydohydrogena)、シュードモナス・カルボキシドボランス(Pseudomonas carboxydovorans)、シュードモナス・コンプランソリス(Pseudomonas compransoris)、シュードモナス・ガゾトロファ(Pseudomonas gazotropha)、シュードモナス・サーモカルボキシドボランス(Pseudomonas thermocarboxydovorans)、または他のシュードモナス(Pseudomonas)種;リゾビウム・ジャポニカム(Rhizobium japonicum)または他のリゾビウム(Rhizobium)種;およびストレプトマイセス(Streptomyces)G26、ストレプトマイセス・サーモオートトロフィカス(Streptomyces thermoautotrophicus)、または他のストレプトマイセス(Streptomyces)種の1つまたは複数が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、上記カルボキシド栄養微生物の1つまたは複数などのカルボキシド栄養微生物を含む微生物のコンソーシアムが含まれる。ある特定の実施形態において、化学独立栄養が可能であるカルボキシド栄養微生物が使用される。ある特定の実施形態において、呼吸および/または生合成において電子供与体としてH2を利用することができるカルボキシド栄養微生物が使用される。
【0164】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、以下:アセトアナエロビウム(Acetoanaerobium)種;アセトバクテリウム(Acetobacterium)種;アセトゲニウム(Acetogenium)種;アクロモバクター(Achromobacter)種;アシディアヌス(Acidianus)種:アシネトバクター(Acinetobacter)種;アクチノマジュラ(Actinomadura)種;アエロモナス(Aeromonas)種;アルカリゲネス(Alcaligenes)種;アルカリケネス(Alcaliqenes)種;アクアスピリルム(Aquaspirillum)種;アルコバクター(Arcobacter)種;オーレオバクテリウム(Aureobacterium)種;バチルス(Bacillus)種;ベギアトア(Beggiatoa)種;ブチリバクテリウム(Butyribacterium)種;カーボキシドサーマス(Carboxydothermus)種;クロストリジウム(Clostridium)種;コマモナス(Comamonas)種;キュープリアビダス(Cupriavidus)種;デハロバクター(Dehalobacter)種;デハロコッコイデス(Dehalococcoide)種;デハロスピリルム(Dehalospirillum)種;デスルフォバクテリウム(Desulfobacterium)種;デスルホモニール(Desulfomonile)種;デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)種;デスルホビブリオ(Desulfovibrio)種;デスルフォサルシナ(Desulfurosarcina)種;エクトチオロドスピラ(Ectothiorhodospira)種;エンテロバクター(Enterobacter)種;ユウバクテリウム(Eubacterium)種;フェロプラズマ(Ferroplasma)種;ハロチバチルス(Halothibacillus)種;ハイドロゲノバクター(Hydrogenobacter)種;ハイドロゲノモナス(Hydrogenomonas)種;レプトスピリラム(Leptospirillum)種;メタロスファエラ(Metallosphaera)種;メタノバクテリウム(Methanobacterium)種;メタノブレビバクター(Methanobrevibacter)種;メタノコッカス(Methanococcus)種:メタノコッコイデス(Methanococcoides)種;メタノゲニウム(Methanogenium)種;メタノロブス(Methanolobus)種;メタノミクロビウム(Methanomicrobium)種;メタノプラナス(Methanoplanus)種;メタノサルシナ(Methanosarcina)種;メタノスピリラム(Methanospirillum)種:メタノサーマス(Methanothermus)種;メタノトリックス(Methanothrix)種;ミクロコッカス(Micrococcus)種;ニトロバクター(Nitrobacter)種;ニトロバクテラセエ(Nitrobacteraceae)種、ニトロコッカス(Nitrococcus)種、ニトロソコッカス(Nitrosococcus)種;ニトロスピナ(Nitrospina)種、ニトロスピラ(Nitrospira)種、ニトロソロバス(Nitrosolobus)種;ニトロソモナス(Nitrosomonas)種;ニトロソスピラ(Nitrosospira)種;ニトロソビブリオ(Nitrosovibrio)種;ニトロソスピナ(Nitrospina)種;オレオモナス(Oleomonas)種;パラコッカス(Paracoccus)種;ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)種;プランクトミケス(Planctomycetes)種;シュードモナス(Pseudomonas)種;ラルストニア(Ralstonia)種;ロドバクター(Rhodobacter)種;ロドコッカス(Rhodococcus)種;ロドシクラス(Rhodocyclus)種;ロドミクロビウム(Rhodomicrobium)種;ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)種;ロドスピリラム(Rhodospirillum)種;シューワネラ(Shewanella)種;シデロコッカス(Siderococcus)種;ストレプトマイセス(Streptomyces)種;スルホバチルス(Sulfobacillus)種;スルホロブス(Sulfolobus)種;サーモトリックス(Thermothrix)種、チオバチルス(Thiobacillus)種;チオミクロスピラ(Thiomicrospira)種;チオプロカ(Thioploca)種;チオスフェラ(Thiosphaera)種;チオスリックス(Thiothrix)種;チオバラム(Thiovulum)種;硫黄酸化細菌;水素酸化細菌;鉄酸化剤;アセトゲン;およびメタン生成菌;化学独立栄養生物を含む微生物のコンソーシアム;熱水噴出孔、地熱噴出孔、温泉、冷泉、地下帯水層、塩湖、塩類層、および土壌の少なくとも1つに固有の化学独立栄養生物;ならびに好熱菌、超好熱菌、好酸性菌、好塩菌、および好冷菌の1つまたは複数から選択される極限環境微生物の1つまたは複数などの絶対的および/または通性化学独立栄養微生物が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物、またはそのタンパク質生成物には、上記化学独立栄養微生物の1つまたは複数などの化学独立栄養微生物を含む微生物のコンソーシアムが含まれる。
【0165】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、温度、放射線、圧力、重力、真空、乾燥、塩分、pH、酸素分圧、および/または化学物質などの種々の環境パラメータの極限に耐えることができる極限環境微生物が含まれる。そのような微生物には、ピロロブス・フマリイ(Pyrolobus fumarii)などの超好熱菌;シネココッカス・リビディス(Synechococcus lividis)などの好熱菌;サイクロバクター(Psychrobacter)などの中温菌および好冷菌、および/またはサーモプロテウス(Thermoproteus)種、ピロディクティウム(Pyrodictium)種、スルホロブス(Sulfolobus)種、およびアシディアヌス(Acidianus)種などの極めて好熱性の硫黄代謝菌;デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)などの放射線耐性生物;ピエゾフィルまたは好圧菌を含む圧力耐性微生物;アルテミア・サリナ(Artemia salina)などの乾生動物を含む乾燥耐性および無水微生物;微生物および真菌;ハロバクテリアセエ(Halobacteriacea)およびドナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)などの好塩菌を含む塩分耐性微生物;ナトロノバクテリウム(Natronobacterium)、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)OF4、スピルリナ(Spirulina)菌種などの好アルカリ菌、およびシアニジウム・カルダリウム(Cyanidium caldarium)およびフェロプラズマ(Ferroplasma)種などの好酸菌を含むpH耐性微生物;シアニジウム・カルダリウム(Cyanidium caldarium)を含む、例えば純CO2に耐性があるガス耐性微生物;ならびにフェロプラズマ・アシダルマヌス(Ferroplasma acidarmanus)およびラルストニア(Ralstonia)種などの金属耐性微生物(金属耐性菌)が含まれる。
【0166】
ある特定の実施形態において、微生物、またはそのタンパク質生成物には、真核植物、藻類、シアノバクテリア、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌、紅色硫黄細菌、紅色非硫黄細菌、極限環境微生物、酵母、真菌、プロテオバクテリア、その組換え生物、および合成生物から選択される細胞株が含まれる。ある特定の実施形態において、スピルリナ属(Spirulina)が利用される。
【0167】
ある特定の実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、以下の属:クロロフレクサス属(Chloroflexus)、クロロネマ属(Chloronema)、オシロクロリス属(Oscillochloris)、ヘリオトリックス属(Heliothrix)、ヘルペトシフォン属(Herpetosiphon)、ロゼイフレクサス属(Roseiflexus)、およびサーモミクロビウム属(Thermomicrobium)を含むがこれらに限定されない緑色非硫黄細菌が含まれる。
【0168】
ある特定の実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、以下の属:クロロビウム属(Chlorobium)、クラスロクロリス属(Clathrochloris)、およびプロステコクロリス属(Prosthecochloris)を含むがこれらに限定されない緑色硫黄細菌が含まれる。
【0169】
ある特定の実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、以下の属:アロクロマチウム属(Allochromatium)、クロマチウム属(Chromatium)、ハロクロマチウム属(Halochromatium)、イソクロマチウム属(Isochromatium)、マリクロマチウム属(Marichromatium)、ロドブラム属(Rhodovulum)、サーモクロマチウム属(Thermochromatium)、チオキャプサ属(Thiocapsa)、チオロドコッカス属(Thiorhodococcus)、およびチオシスティス属(Thiocystis)を含むがこれらに限定されない紅色硫黄細菌が含まれる。
【0170】
ある特定の実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、以下の属:ファエオスピリルム属(Phaeospirillum)、ロドバカ属(Rhodobaca)、ロドバクター属(Rhodobacter)、ロドミクロビウム属(Rhodomicrobium)、ロドピラ属(Rhodopila)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、ロドタラシウム属(Rhodothalassium)、ロドスピリラム属(Rhodospirillum)、ロドビブリオ属(Rodovibrio)、およびロゼオスピラ属(Roseospira)を含むがこれらに限定されない紅色非硫黄細菌が含まれる。
【0171】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、メタン資化性菌および/またはメチル栄養細菌が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物は、メチロコッカス属(Methylococcus)のものである。いくらかの実施形態において、微生物は、メチロコッカス・カプスラータス(Methylococcus capsulatus)である。いくらかの実施形態において、微生物は、メチル栄養細菌である。いくらかの実施形態において、微生物は、メチロバクテリウム属(Methylobacterium)のものである。いくらかの実施形態において、微生物には、以下の種:メチロバクテリウム・ザトマニイ(Methylobacterium zatmanii):メチロバクテリウム・エクストルケンス(Methylobacterium extorquens);メチロバクテリウム・クロロメタニカム(Methylobacterium chloromethanicum)の1つまたは複数が含まれる。
【0172】
いくらかの実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、水素酸化化学独立栄養微生物および/またはカルボキシド栄養細菌および/またはメチル栄養細菌および/またはメタン資化性菌が含まれる。
【0173】
ある特定の実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、限定されないが糖、例えば限定されないがグルコースおよび/またはフラクトースなどの炭素源として多炭素有機分子を利用して、従属栄養的に増殖することができる微生物が含まれる。いくらかの実施形態において、微生物は、唯一の電子供与体(複数を含む)および炭素源(複数を含む)として、未処理の粗製グリセロールおよび/またはグルコースおよび/またはメタノールおよび/または酢酸塩で増殖することができる。いくらかの実施形態において、微生物は、混合栄養的に増殖することができる、例えば有機炭素源および無機エネルギー源(例えば無機電子供与体)で混合栄養増殖することができる。
【0174】
ある特定の実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、真核植物、藻類、シアノバクテリア、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌、紅色硫黄細菌、紅色非硫黄細菌、極限環境微生物、古細菌、酵母、真菌、プロテオバクテリア、その組換え生物、および合成生物の1つまたは複数が含まれる。
【0175】
いくらかの実施形態において、微生物は、グラム陽性細菌を含むか、それからなる。他の実施形態において、微生物は、グラム陰性細菌を含むか、それからなる。
【0176】
ある特定の実施形態において、微生物またはそのタンパク質生成物には、自然発生および/または非遺伝子組換え(non-GMO)微生物および/または非病原性のもの、および/または自然周囲環境には存在しない生物プロセスにより提供される特定の環境条件で増殖するものが含まれる。
【0177】
ある特定の実施形態において、微生物または微生物のコンソーシアムは、環境試料から単離され、微生物学の分野において既知の方法を使用して所望の微生物を濃縮する、例えば、H2、CO、シンガスおよび/またはメタンの1つまたは複数を含むがこれらに限定されない標的電子供与体、ならびに/またはO2、硝酸塩、第二鉄、および/またはCO2の1つまたは複数を含むがこれらに限定されない電子受容体の存在下、ならびに/または環境条件(例えば、温度、pH、圧力、溶存酸素(DO)、塩分、種々の不純物および汚染物質の存在など)で増殖する。
【0178】
ある特定の実施形態において、微生物または微生物のコンソーシアムには、プロバイオティクス微生物が含まれる。ある特定の実施形態において、微生物または微生物のコンソーシアムには、「一般に安全と認められている」(GRAS)微生物、例えば細菌性および/または真菌性GRAS微生物が含まれる。ある特定の実施形態において、微生物または微生物のコンソーシアムには、限定されないが、以下:カンジダ・フミリス(Candida humilis);カンジダ・ミレリ(Candida milleri);デバリオミセス・ハンゼニ(Debaryomyces hansenii);カザフスタニア・エグジグア(Kazachstania exigua)(サッカロミセス・イグジグース(Saccharomyces exiguous));サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae);サッカロミセス・フロレンチヌス(Saccharomyces florentinus);トルラスポラ・デルブルツキ(Torulaspora delbrueckii);トリコスポロン・ベイゲリー(Trichosporon beigelli)の1つまたは複数などの酵母が含まれる;ならびに/または限定されないが、以下:アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae);アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae);フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)A3/5;ニューロスポラ・インターメディア変種オンコメンシス(Neurospora intermedia var. oncomensis);リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus);リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae);アスペルギルス・リューチューエンシス(Aspergillus luchuensis)の1つまたは複数などの真菌が含まれる;ならびに/または限定されないが、以下:バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens);バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis);ビフィドバクテリウム・アニマルス(Bifidobacterium animalis)(ラクティス(lactis));ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum);ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve);ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum);ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus);ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis);ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei);ラクトバチルス・デルブレッキイ(Lactobacillus delbrueckii)亜種ブルガリカス(Bulgaricus);ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum);ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus);ラクトバチルス・ケフィラノファシエンス(Lactobacillus kefiranofaciens);ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis);ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum);ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus);ラクトバチルス・ロイテリー(Lactobacillus reuteri);ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei);ラクトバチルス・サンフランシセンシス(Lactobacillus sanfranciscensis);ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)(ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)亜種ダイアセチラクティス(Diacetylactis));ロイコノストック属(Leuconostoc);ロイコノストック・カーノサム(Leuconostoc carnosum);ロイコノストック・クレモリス(Leuconostoc cremoris);ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides);ペディオコッカス属(Pediococcus);プロピオニバクテリウム・フリューデンレイッヒイ(Propionibacterium freudenreichii);アルトロスピラ属(Arthrospira)(スピルリナ(Spirulina))・プラテンシス(platensis);ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis);ストレブトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の1つまたは複数などの細菌が含まれる。
【0179】
タンパク質生成物が由来するタンパク質含有バイオマスは、異なる種の微生物のコンソーシアムにより産生される可能性がある。コンソーシアムには、場合によっては、多細胞生物が含まれ得る。いくらかの実施形態において、コンソーシアムには、酸水素微生物;カルボキシド栄養生物;メタン資化性菌;メチル栄養生物;化学独立栄養生物;光合成独立栄養生物;および従属栄養生物の1つまたは複数が含まれる。
【0180】
いくらかの実施形態において、タンパク質生成物にはまた、タンパク質生成物が由来する微生物により産生されたビタミンの1つまたは複数が含まれる。いくらかの非限定実施形態において、微生物には、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)(例えばカプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)DSM531またはカプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)DSM541)が含まれる。いくらかの非限定実施形態において、ビタミンは、ビタミンB1、B2、および/またはB12を含むがこれらに限定されないビタミンBである。非限定例において、ビタミンB(例えばB1、B2、および/またはB12)は、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)(例えばカプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)DSM531またはカプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)DSM541)により産生され得る。
【0181】
微生物培養物
任意の適切な方法を使用して、微生物を培養することができる。微生物は、任意の適切な条件下、増殖およびバイオマスの産生に適している環境中で増殖することができる。いくらかの実施形態において、微生物は、独立栄養培養条件、従属栄養培養条件、または独立栄養および従属栄養培養条件の組み合わせで増殖することができる。従属栄養培養には、1つまたは複数の糖(例えばグルコース、フラクトースなど)などの適切な炭素源およびエネルギー源が含まれ得る。独立栄養培養には、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、メタノール、蟻酸塩、および/もしくは蟻酸などのC1化学物質、ならびに/または、限定されないがリグノセルロース系エネルギー作物、作物残渣、バガス、おがくず、林業廃棄物、または食品などの低価値の炭素源およびエネルギー源から、前記低価値の炭素源のガス化、部分酸化、熱分解、または水蒸気改質を通じて生成され、酸水素微生物または水素酸化微生物または一酸化炭素酸化微生物を炭素源およびエネルギー源として使用することができる種々のシンガス組成物もしくは種々の発生炉ガス組成物が含まれるがこれらに限定されないC1化学物質を含む混合物が含まれる可能性がある。本方法において使用するために微生物を培養およびバイオマスを生成する適切な方法は、例えば、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、PCT出願番号PCT/US2010/001402号、PCT/US2011/034218号、PCT/US2013/032362号、PCT/US2014/029916号、PCT/US2017/023110号、PCT/US2018/016779号、および米国特許第9,157,058号において説明される。いくらかの実施形態において、生物は、バイオリアクタ、水耕栽培システム、温室、または耕作地で、光合成的に増殖することができるか、廃棄物または天然源から回収することができる。
【0182】
本明細書に記載の微生物細胞を増殖させるために使用される液体培養物は、当技術分野において既知であり、使用されている培養容器に収容することができる。いくらかの実施形態において、バイオリアクタ容器内での大規模生産は、大量の所望の分子および/またはバイオマスを生産するために使用することができる。
【0183】
ある特定の実施形態において、バイオリアクタ容器は、培養環境を収容、単離、および/または保護するために使用される。培養容器は大規模微生物培養の当業者が既知のものを含む。そのような培養容器には、以下:エアリフト反応器;生物学的スクラバカラム;気泡塔;撹拌槽型反応器;連続撹拌槽型反応器;対向流、上向流、拡張床反応器;消化装置および特に消化装置システム、例えばバイオレメディエーションの技術分野において既知であるもの;散水ろ床、回転式生物学的接触器フィルタ、回転ディスク、土壌フィルタ、を含むがこれらに限定されないフィルタ;流動床反応器;ガスリフト発酵装置;固定化細胞反応器;ループ反応器;膜バイオフィルム反応器;パチュカ槽;充填層反応器;プラグフロー反応器;スタティックミキサ;トリクルベッド反応器;および/または垂直軸バイオリアクタの1つまたは複数が含まれるがこれらに限定されない。
【0184】
バイオマスおよび/または有機化合物、例えば本明細書に記載されるようなタンパク質生成物、特に単細胞タンパク質、細胞溶解物、タンパク質抽出物、タンパク質含有抽出物、タンパク質分離物、タンパク質加水分解物、遊離アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、もしくはそれらの組み合わせ、および/または限定されないがビタミン(例えばビタミンB、例えばB1、B2、および/またはB12)などの他の栄養素の商業的生産を目的とする微生物培養は、バイオリアクタ内で大規模(例えば500L、1,000L、5,000L、10,000L、50,000L、100,000L、1,000,000Lのバイオリアクタ容積以上)に実行することができる。
【0185】
ある特定の実施形態において、化学独立栄養および/または従属栄養および/またはカルボキシド栄養および/またはメタン資化性および/またはメチル栄養微生物は、本明細書に記載の方法を使用してバイオリアクタ内部の液体培地中で増殖する。
【0186】
いくらかの実施形態において、微生物を含むバイオリアクタは、培養物をほぼまたは完全に暗所で維持する不透明材料で構成される。鋼および/または他の金属合金および/または鉄筋コンクリートおよび/またはガラス繊維および/または種々の高強度プラスチック材料などの不透明材料から構築されたバイオリアクタは、大きな作業容積を有するように設計することができる。いくらかの実施形態において、容積が50,000リットル以上の鋼または他の金属合金で構築された発酵槽が利用される。いくらかの実施形態において、周囲圧力を超える正のヘッドスペース圧力を含むことができるバイオリアクタが利用される。いくらかの実施形態において、容積が3,000,000リットル以上の卵型または円筒形の消化装置または垂直軸バイオリアクタが利用される。いくらかの実施形態において、微生物を含むバイオリアクタは、含まれる液体の容積の一部または大部分またはすべてに光が浸透することが可能ではない。ある特定の非限定実施形態において、CO2固定ステップに使用される微生物は、光合成しない。ある特定の非限定実施形態において、バイオリアクタ設計は、光合成で一般的に必要とされるようには、培養物を薄い層に閉じ込めることをしないか、すべての部分で光を利用可能にするように透明な壁を有するようにしない。いくらかの実施形態において、微生物は、光にほとんどまたはまったく曝露されずに培養される。ある特定のそのような実施形態において、正味のCO2消費は、光がなくても化学独立栄養代謝および条件の結果、依然として発生する。ある特定の実施形態において、電気を人工光に変換することは、CO2捕捉および変換のための生物学的システムにおいて必要ではない。
【0187】
ある特定の実施形態において、光の依存性がないと、人工照明を必要とせずに、昼夜、一年中、すべての気象条件下で連続的なCO2捕捉操作が容易になる。
【0188】
いくらかの実施形態において、微生物は、光がない条件で、限定されないが、シンガス、発生炉ガス、またはH2およびCO2ガス混合物などのガス状炭素源を含む培地中で増殖および維持される;そのような増殖は、化学独立栄養増殖として既知である。
【0189】
いくらかの実施形態において、例えば、有機物のガス化から生成されたシンガスは、化学独立栄養増殖のために微生物により利用される。有機物は、例えば、農業源(例えばトウモロコシ茎葉、バガス)由来であり得る。
【0190】
いくらかの実施形態において、直接空気捕獲ユニットを通過する食品グレードのCO2および/または空気は、化学独立栄養増殖のために微生物により利用される。直接空気捕捉の非限定例は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0106330号およびKeith,D.,et al.(2018)Joule 2(8):1573-1594に認めることができる。いくらかの実施形態において、CO2は、工業供給源から提供され、場合によってはガス分離手順を介して濃縮することができ、それによって高濃度の食品グレードのCO2となる。
【0191】
ある特定の実施形態において、システム容量における増加は、水平方向のスケーリングだけでなく、垂直スケーリングによって満たされる。これは、藻類、シアノバクテリア、または高等植物をCO2捕捉に使用する光栄養的アプローチとは対照的である。光合成システムのために種々の垂直栽培スキームが提案されているが、実際的および経済的に言えば、光栄養システムは、例えば、藻類の場合、浅い池または光バイオリアクタで、水平方向に拡張する必要がある。これにより、地理的フットプリントが大きくなり、多くの環境的悪影響となる可能性がある。
【0192】
人工照明で栽培された藻類または高等植物系は、光エネルギーの非効率的な利用、および電気エネルギーの光エネルギーへの非効率的な変換により課題がある。ある特定の実施形態において、人工照明下で栽培された同等の藻類または高等植物の培養物は、CO2捕捉および/またはバイオマス生産に関して、本明細書に記載のCO2捕捉および/またはバイオマス生産システムよりも多くの電力を必要とする。ある特定の実施形態において、人工照明下で栽培された同等の藻類または高等植物の培養物は、単位CO2捕捉および/またはバイオマス生産あたりの電力に関して本明細書に記載のCO2捕捉および/またはバイオマス生産システムの少なくとも10倍の電力を必要とする。人工照明で栽培された藻類または高等植物について、熱遮断要件は、電気入力にほぼ正比例する。本明細書に記載の方法のある特定の実施形態において、熱遮断要件は、人工照明で栽培された場合のCO2捕捉および/またはバイオマス生産に関して、同等の藻類または高等植物系よりも低くなる。ある特定の実施形態において、熱遮断要件は、人工照明で栽培された場合のCO2捕捉および/またはバイオマス生産に関して、同等の藻類または高等植物系の少なくとも10分の1となる。
【0193】
代表的ではあるが非限定の実施形態において、栄養培地を含むバイオリアクタに生産細胞を接種する。一般に、誘導期に続いて細胞が倍加し始める。誘導期の後、細胞倍加時間は短くなり、培養は対数期に入る。対数期に続いて、最終的に倍加時間の延長があり、理論に縛られることを意図しないが、これは、物質移動の制限、窒素もしくはミネラル源を含む栄養素の枯渇、または阻害化学物質の濃度の上昇、または微生物によるクオラムセンシングのいずれかの結果と考えられる。増殖は遅くなり、その後、培養が定常期に入ると停止する。ある特定の実施形態において、定常期の前に算術増殖期がある。細胞塊を回収するため、ある特定の実施形態において培養物を対数期および/または算術期および/または定常期に回収する。
【0194】
バイオリアクタまたは発酵槽は、生理学的サイクルの種々の期を通じて細胞を培養するために使用される。バイオリアクタは、細胞の培養に利用され、それらの増殖曲線の特定の期で維持することができる。バイオリアクタの使用は、化学独立栄養的増殖を培養するための多くの方法において有利である。ある特定の実施形態について、タンパク質またはタンパク質加水分解物を産生するために使用されるタンパク質を多く含む細胞塊は、液体懸濁液中、高密度で増殖する。一般に、溶存二酸化炭素、酸素および水素などの他のガス、ならびに他の溶存栄養素、微量元素、温度およびpHの制御を含む、増殖条件の制御は、バイオリアクタで容易になる。ある特定の実施形態について、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、加水分解物、抽出物、または全細胞生成物を産生するために使用されるタンパク質を多く含む細胞塊は、バイオリアクタ内の液体懸濁液中、高密度で増殖する、および/または高生産性で増殖する。
【0195】
栄養培地およびガスは、バッチ添加、または定期的に、または検出された枯渇もしくはプログラムされた設定値に応答して、または培養物が増殖および/または維持される期間にわたって連続的にバイオリアクタに添加することができる。ある特定の実施形態について、接種時のバイオリアクタは、増殖の開始時に栄養培地および/または1つもしくは複数のガスの開始バッチで充填され、追加の栄養培地および/または1つもしくは複数のガスは、接種後に添加されない。ある特定の実施形態について、栄養培地および/または1つもしくは複数のガスは、接種後、定期的に添加される。ある特定の実施形態について、栄養培地および/または1つもしくは複数のガスは、栄養素および/またはガスの検出された枯渇に応答して接種後に添加される。ある特定の実施形態について、栄養培地および/または1つもしくは複数のガスは、接種後、連続して添加される。
【0196】
ある特定の実施形態について、添加された栄養培地は、任意の有機化合物を含まない。
【0197】
ある特定の実施形態において、少量の微生物細胞(すなわち接種物)は、一定量の培養培地に添加される;培養物をその後インキュベートする;そして細胞塊は、増殖の誘導期、対数期、減速期、および定常期を通過する。
【0198】
バッチ培養系において、微生物が培養される条件(例えば栄養素濃度、pHなど)は、一般に増殖期間を通じて連続的に変化する。ある特定の非限定実施形態において、バッチ培養に固有の変動条件を回避し、培養系の全体的な生産性を向上させるために、タンパク質および/またはビタミンおよび/または他の栄養素の生産のために使用される微生物は、ケモスタットと呼ばれる連続培養系で増殖する。そのような系において、一定速度[F]で新鮮な培地を供給し、その間、同時に培養の体積[V]を一定に維持することにより、培養物は増殖の永続的な対数期に維持することができる。ある特定の実施形態において、連続培養系は、ほぼ一定のままである環境条件下で細胞を培養することを確実にする。ある特定の実施形態において、細胞は、ケモスタット系の使用を通じて永続的な対数期に維持される。そのような場合、培養の希釈速度(D)は、微生物の増殖速度と等しく、D=F/Vにより与えられる。連続培養における微生物の増殖速度は、希釈速度を変更することにより変化する可能性がある。ある特定の実施形態において、微生物の増殖速度は、希釈速度を変更することにより変化する。ある特定の非限定実施形態において、細胞は、ケモスタット中、約0.2h-1の希釈速度で増殖する。
【0199】
ある特定の実施形態において、バイオリアクタへの培養物の接種は、別のバイオリアクタに生息する既存の培養物から培養物を移すこと、またはインキュベータで育てたシードストックからのインキュベーションを含むがこれらに限定されない方法により実行される。ある特定の実施形態において、株のシードストックは、粉末、液体、凍結、または凍結乾燥の形態および当業者により容易に認識され得る任意の他の適切な形態を含むがこれらに限定されない形態で輸送および貯蔵することができる。ある特定の非限定実施形態において、予備の細菌培養物は、代謝的に不活性な凍結乾燥状態で、再開が必要となるまで維持される。ある特定の実施形態において、非常に大きいリアクタ内で培養物を確立する場合、培養物は、フルスケールの容器の接種前に徐々に大きくなる中間のスケールの容器内で増殖し、確立される。
【0200】
ある特定の実施形態について、バイオリアクタは、以下:スピニング撹拌バー、ブレード、羽根、またはタービン;スピニング、ロッキング、またはターニング容器;ガスリフト、スパージング;再循環導管を介した容器の底から上部へのブロスの再循環、ループおよび/またはスタティックミキサにブロスを流すことの1つまたは複数を含むがこれらに限定されない、栄養培地の混合を可能にする機構を有する。培養培地は、連続的または断続的に混合することができる。
【0201】
ある特定の実施形態において、微生物含有栄養培地は、バイオリアクタから部分的にまたは完全に、周期的にまたは連続して除去することができ、ある特定の実施形態において、細胞培養物を指数増殖期に維持するように、および/または増殖培地中の枯渇した栄養素を補充するように、および/または阻害性廃棄物を除去するように、新鮮な細胞を含まない培地で交換される。
【0202】
バイオリアクタにおいて標準的であるポートは、気体、液体、固体、および/またはスラリーを、微生物を封入したバイオリアクタ容器におよび/または容器から送達または回収するために利用することができる。多くのバイオリアクタは、異なる目的の複数のポート(例えば、培地添加、ガス添加、pHおよびDO(溶存酸素)のためのプローブ、およびサンプリングのためのポート)を有しており、所与のポートは、発酵の実行の過程中に種々の目的で使用することができる。一例として、ポートは、ある時点で栄養培地をバイオリアクタに添加するために使用される場合があり、別の時点でサンプリングに使用される場合がある。好ましくは、サンプリングポートの複数回の使用は、増殖環境への汚染物質または侵入種の導入なしで実行することができる。試料の流れの制御または連続サンプリングを可能にするバルブまたは他のアクチュエータは、サンプリングポートに設けることができる。ある特定の実施形態について、バイオリアクタは、培養物の接種に適した少なくとも1つのポートを備えており、培地またはガスの添加を含む他の使用にも追加で役立つ可能性がある。バイオリアクタポートは、培養環境へのガス組成および流速の制御を可能にする。例えば、ポートは、ガスがポンプで送られるバイオリアクタへのガス入口として使用することができる。
【0203】
いくらかの実施形態について、バイオリアクタにポンプで送ることができるガスには、以下:シンガス、発生炉ガス、水素ガス、CO、CO2、O2、空気、空気/CO2混合物、天然ガス、メタン、アンモニア、窒素、アルゴンなどの希ガス、および他のガスの1つまたは複数が含まれるがこれらに限定されない。いくらかの実施形態において、系にポンプで送られるCO2は、有機物のガス化からのCO2;生石灰、CaOを生産するための石灰岩、CaCO3の焼結からのCO2;アンモニア、メタノール、または水素生産からのCO2副産物などのメタン水蒸気改質からのCO2;燃焼、焼却、またはフレアーリングからのCO2;糖の嫌気性または好気性発酵のCO2副産物;メタン資化性の生物プロセスのCO2副産物;地質学的もしくは地熱的に生産または放出されたCO2;酸ガスまたは天然ガスから除去されるCO2を含むがこれらに限定されない源に由来する可能性がある。ある特定の非限定実施形態において、CO2は、工業用煙道ガスから除去されたか、そうでなければ自然に大気中に放出される地質学的源から遮られる。ある特定の実施形態において、炭素源は、海水または他の地表水または地下水に溶解したCO2および/または重炭酸塩および/または炭酸塩である。ある特定のそのような実施形態において、無機炭素は、液体水に溶解しておよび/または固体としてバイオリアクタに導入することができる。ある特定の実施形態において、炭素源は、大気から捕捉されたCO2である。ある特定の非限定実施形態において、CO2は、例えば、限定されないが国際宇宙ステーション(ISS)で利用されるCO2除去アセンブリ(CDRA)などの装置を使用して閉回路の生命維持システムの一部として閉鎖キャビンから捕捉されている。
【0204】
ある特定の非限定実施形態において、限定されないが高濃度のエネルギー源(例えばH2、H2S、COガス)および/または炭素源(例えばCO2、HCO3
-、CO3
2-)および/または他の溶解したミネラルを放出する地熱および/または熱水噴出口などの地質学的特徴は、本明細書において微生物の栄養源として利用することができる。
【0205】
ある特定の実施形態において、二酸化炭素に加えて、または代替の炭素源として二酸化炭素の代わりに、ガス状電子供与体および/または炭素源(例えば水素および/またはCOおよび/またはメタンガス)を含むがこれらに限定されない1つまたは複数のガスは、溶液に溶解されて培養ブロスに供給される、および/または培養ブロスに直接溶解される。ある特定の実施形態において、入力ガスには、限定されないが、シンガス(例えば炭化水素)の他のガス成分および不純物;アンモニア;硫化水素;および/または他の酸性ガス;および/またはO2;および/またはミネラル含有粒子および灰分などの他の電子供与体および/または電子受容体および/または炭素源および/またはミネラル栄養素が含まれ得る。
【0206】
ある特定の実施形態において、限定されないが、以下:水素、一酸化炭素、メタン、硫化水素または他の酸性ガスの1つまたは複数などのガス状の電子供与体;限定されないが、以下:CO2、CO、CH4の1つまたは複数などのガス状の炭素源;限定されないが、空気(例えば20.9%の酸素)内または純O2としてまたはO2を多く含むガスとしての酸素などの電子受容体が含まれるがこれらに限定されない1つまたは複数のガスは、培養ブロスに溶解される。いくらかの実施形態において、これらおよび他のガスの溶液への溶解は、発酵工学の当業者に既知の圧縮機、流量計、およびフローバルブのシステムを使用して達成され、ガスを溶液に分配させるための以下の幅広く使用されているシステム:スパージング装置;ドーム、管状、ディスク、またはドーナツ形状を含むがこれらに限定されない散布器;粗または微細気泡エアレータ;ベンチュリ装置の1つまたは複数に供給される。ある特定の実施形態において、表面エアレーションおよび/またはガス物質移動はまた、パドルエアレータなどを使用して実行することもできる。ある特定の実施形態において、ガスの溶解は、インペラまたはタービンでの機械的混合、および気泡のサイズを小さくするための油圧せん断装置により強化される。ガスを取り込む微生物を保持するリアクタシステムを通過した後、ある特定の実施形態において、残留ガスは、バイオリアクタに再循環されるか、プロセス熱のために燃焼されるか、フレアーされるか、地下に注入されるか、または大気中に放出されるかのいずれかであり得る。本明細書においてH2を電子供与体として利用する、ある特定の実施形態において、H2を培養培地に通してバブリングすることにより、または液体培養培地と接触する当技術分野において既知である水素透過性-水不浸透性の膜に通して拡散させることにより、培養容器に供給することができる。
【0207】
ある特定の実施形態において、微生物は、微好気的条件下で、H2およびCO2および他の溶存栄養素で増殖し、増加する。ある特定の実施形態において、限定されないが、一酸化炭素、メタン、メタノール、蟻酸塩、もしくは蟻酸などのC1化学物質、および/または種々のガス化、熱分解、または水蒸気改質固定炭素供給原料から生成される種々のシンガス組成物を含むがこれらに限定されないC1化学物質を含む混合物は、1つまたは複数の以下の条件下:好気性、微好気性、無酸素性、嫌気性、および/または通性条件下で、長鎖有機化学物質(すなわち、C2またはそれ以上、いくらかの実施形態において、C5またはそれ以上の炭素鎖分子)に生化学的に変換される。
【0208】
制御された量の酸素はまた、いくらかの実施形態の培養ブロス中で維持することもでき、ある特定の実施形態において、酸素は、培養ブロスに供給される溶液に積極的に溶解し、および/または培養ブロスに直接溶解する。標的DOレベルを維持するために培養ブロスへの空気または酸素のポンピングを必要とする、ある特定の好気性または微好気性の実施形態において、混合および酸素移動に最適な直径で酸素気泡をブロスに注入することができる。
【0209】
いくらかの実施形態において、培養物は、高FHb発現の促進のために、低O2分圧下で維持される。いくらかの実施形態において、微好気性培養条件は展開される。例えば、溶存酸素は、標準的な溶存酸素プローブの検出限界未満、例えば1ppm未満など、空気または空気飽和溶液で認められるレベルより低いレベルで存在する可能性がある。
【0210】
いくらかの実施形態において、微生物は、シンガス、発生炉ガス、CO、CO2、H2、天然ガス、メタン、およびそれらの混合物を含むがこれらに限定されない燃料ガスを変換する。いくらかの実施形態において、燃料ガスの熱容量は、標準立方フィート(scf)あたり少なくとも100BTUである。いくらかの実施形態において、微生物を含んで増殖させるのに使用されるバイオリアクタは、ガス送達のための微細気泡散布器および/または高せん断インペラを備える。
【0211】
バイオリアクタへのガス流速の導入および/または上昇により、培養物の混合を強化し、ガス入口が液体培地の表面の下に位置する場合に乱流を発生し、そのためガスが泡立つか、培地を通して散布される。ある特定の実施形態において、混合は、液体培地に通した気泡および/または散布および/またはガス詰まりにより提供される乱流を通じて強化される。いくらかの実施形態において、バイオリアクタは、ガスを逃がし、圧力を解放するためのガス出口ポートを含む。いくらかの実施形態において、ガス入口および出口は、ガスの逆流を防止するための逆止弁を備えていることが好ましい。
【0212】
バイオリアクタ内で化学合成反応が生じる、ある特定の実施形態において、1つまたは複数のタイプの電子供与体および1つまたは複数のタイプの電子受容体は、反応容器内の化学独立栄養生物を含む栄養培地に、ボーラス添加で、または周期的もしくは連続的にポンプで送られるか、そうでなければ添加される。細胞呼吸における電子供与体から電子受容体への電子の移動により駆動される化学合成反応は、無機二酸化炭素および/または他の溶存炭酸塩および/または他の炭素酸化物を有機化合物およびバイオマスに固定する。
【0213】
ある特定の実施形態において、適切なミネラル、塩、ビタミン、補因子、緩衝液、および当業者に既知である、微生物の増殖に必要な他の成分を含む水性溶液を含む培養増殖および生産のための栄養培地が使用される[BaileyおよびOllis,Biochemical Engineering Fundamentals,第2版;pp383-384および620-622;McGraw-Hill:ニューヨーク(1986)]。
【0214】
ある特定の実施形態において、当技術分野において既知であるような微生物培養物の維持および増殖に使用される化学物質は、栄養培地に含められる。ある特定の実施形態において、これらの化学物質には、以下:アンモニア、アンモニウム(例えば、塩化アンモニウム(NH4Cl)、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4))、硝酸塩(例えば硝酸カリウム(KNO3))、尿素または有機窒素源などの窒素源;リン酸塩(例えばリン酸二ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸カリウム(KH2PO4)、リン酸(H3PO4)、ジチオリン酸カリウム(K3PS2O2)、オルトリン酸カリウム(K3PO4)、リン酸二カリウム(K2HPO4));硫酸塩;酵母エキス;キレート鉄;カリウム(例えばリン酸カリウム(KH2PO4)、硝酸カリウム(KNO3)、ヨウ化カリウム(KI)、臭化カリウム(KBr));ならびに他の無機塩、ミネラル、および微量栄養素(例えば塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸マグネシウム(MgSO4 7H2O)または塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化カルシウム(CaCl2)または炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸マンガン(MnSO4 7H2O)または塩化マンガン(MnCl2)、塩化鉄(FeCl3)、硫酸鉄(FeSO4 7H2O)または塩化鉄(FeCl2 4H2O)、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)または炭酸ナトリウム(Na2CO3)、硫酸亜鉛(ZnSO4)または塩化亜鉛(ZnCl2)、モリブデン酸アンモニウム(NH4MoO4)またはモリブデン酸ナトリウム(Na2MoO4 2H2O)、硫酸銅(CuSO4)または塩化銅(CuCl2 2H2O)、塩化コバルト(CoCl2 6H2O)、塩化アルミニウム(AlCl3・6H2O)、塩化リチウム(LiCl)、ホウ酸(H3BO3)、塩化ニッケルNiCl2 6H2O)、塩化スズ(SnCl2 H2O)、塩化バリウム(BaCl2 2H2O)、セレン酸銅(CuSeO4 5H2O)またはセレン酸ナトリウム(Na2SeO3)、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO3)、クロミウム塩)の1つまたは複数が含まれ得るがこれらに限定されない。ある特定の実施形態において、Schlegelらにより処方されたミネラル塩培地(MSM)を使用することができる[「Thermophilic bacteria」,Jakob Kristjansson,第5章,セクションIII,CRCプレス,(1992)]。
【0215】
本明細書に記載の微生物は、いくらかの実施形態において、発酵培地および任意の組成物を含む、任意のタイプ(リッチまたは最小)の培地で培養することができる。当業者に理解されるように、定期的な最適化は、多種多様のタイプの培地を使用することが可能になる。選択された培地は、種々の追加の成分を追加することができる。追加の成分のいくらかの非限定例には、グルコース、抗生物質、遺伝子誘導のためのイソプロピル-β-d-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)、およびアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)微量ミネラルサプリメントが含まれる。同様に、本明細書に記載の微生物の培地および増殖条件の他の態様は、定期的な実験により最適化される可能性がある。例えば、pHおよび温度は、最適化することができる因子の非限定例である。いくらかの実施形態において、培地の選択、培地添加物、および温度などの因子は、所望の分子の生産レベルに影響する可能性がある。いくらかの実施形態において、追加の成分の濃度および量は、最適化することができる。いくらかの実施形態において、培地に1つまたは複数の追加の成分が添加される頻度および培地が所望の分子を回収する前に培養される量的時間を最適化する。
【0216】
ある特定の実施形態において、栄養素化学物質(例えば、電子供与体、電子受容体、炭素源、および/または種々のミネラル栄養素)の濃度は、バイオリアクタ内で、最適な炭素の取り込みおよび/もしくは固定ならびに/またはバイオマスおよび/もしくは有機化合物の変換および/もしくは生産のために、それぞれの最適化レベルに近いか、そのレベルで維持され、それは、利用される微生物に応じて変化するが、微生物培養の当業者により定期的に決定および/または最適化することができる。
【0217】
ある特定の実施形態において、バイオリアクタ内で以下のパラメータ:廃棄物レベル;pH;温度;塩分;溶存酸素;溶存二酸化炭素ガス;液体流速;撹拌速度;ガス圧の1つまたは複数を監視および/または制御する。ある特定の実施形態において、化学独立栄養的増殖に影響する動作パラメータは、センサ(例えば、電子供与体/受容体濃度を測定するための溶存酸素プローブまたは酸化還元プローブ)で監視される、および/または作動バルブ、ポンプ、および撹拌機を含むがこれらに限定されない装置の使用を通じたセンサからのフィードバックに基づいて手動または自動のいずれかで制御される。ある特定の実施形態において、入ってくるブロスおよび入ってくるガスの温度は、限定されないがクーラー、ヒータ、および/または熱交換器などのシステムにより調節される。
【0218】
ある特定の実施形態において、微生物培養および生物反応は、細胞集団および環境的パラメータ(例えば細胞密度、pH、DO、化学物質濃度)が経時的に一定レベルを標的とする定常状態で、栄養培地および/またはバイオマスの連続的な流入および除去を使用して維持される。ある特定の実施形態において、一定レベルは、供給原料の変換および/または標的の有機化合物の生産のための最適レベルである。ある特定の実施形態において、細胞密度は、直接サンプリングにより、光学密度の細胞密度との相関により、および/または粒子サイズアナライザを用いて監視することができる。ある特定の実施形態において、水保持時間およびバイオマス保持時間は、分離することができ、ブロスの化学的性質および細胞密度の両方を独立して制御することが可能になる。ある特定の実施形態において、希釈速度は、水保持時間がバイオマス保持時間と比較して、比較的短く、細胞増殖および/または供給原料変換および/または有機化合物の生産のためのブロスが高度に補充されるように十分に高く維持することができる。ある特定の実施形態において、希釈速度は、培養ブロスと栄養素補充および/または廃棄物の除去との間の最適な技術経済的トレードオフ、およびポンピングからのプロセス費用の増加、投入量の増加、および希釈速度とともに上昇する他の要求で設定される。
【0219】
ある特定の実施形態において、微生物培養物のpHが制御される。ある特定の実施形態において、pHは、微生物の維持および/または増殖および/または供給原料の変換および/または有機化合物の生産および/または生存のための最適範囲内で制御される。pHの低下に対処するため、ある特定の実施形態において、中和ステップは、バイオリアクタ環境内で直接または再循環ループに通して培養容器内に培地を戻してリサイクルする前に実行することができる。ある特定の実施形態のブロスにおける酸の中和は、以下:石灰岩、石灰、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化アンモニウム、苛性カリ、酸化マグネシウム、酸化鉄、アルカリ灰の1つまたは複数を含むがこれらに限定されない塩基の添加により達成することができる。
【0220】
ある特定の実施形態において、化学独立栄養微生物の水性懸濁液は、1つまたは複数の電子供与体およびCO2を原形質に変換する。ある特定の実施形態において、水素酸化微生物の水性懸濁液は、水素および二酸化炭素を微生物原形質に変換するために使用することができる。ある特定の実施形態において、一酸化炭素酸化微生物の水性懸濁液は、一酸化炭素および水素および/または水を原形質に変換するために使用することができる。ある特定の実施形態において、メタン酸化微生物の水性懸濁液は、メタンを原形質に変換するために使用することができる。ある特定の実施形態において、懸濁液中の微生物は、細菌または古細菌である。ある特定の非限定実施形態において、H2酸化化学独立栄養微生物の水性懸濁液またはバイオフィルムは、H2およびCO2をいくらかの他の溶解したミネラル栄養素とともに生化学物質および原形質に変換する。ある特定の実施形態において、他の溶解したミネラル栄養素には、窒素源、リン源、およびカリウム源が含まれるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態において、産生された原形質は、ヒトおよび/または他の動物および/または他の従属栄養生物にとって食物価値がある。ある特定の実施形態において、ある特定の生化学物質は、原形質および/または細胞外ブロスから抽出される可能性があり、栄養価、および/または多種多様の有機化学または燃料用途における価値がある。ある特定の実施形態において、原形質のこの産生を駆動する細胞内エネルギーは、電子受容体による電子供与体の酸化に由来する。ある特定の非限定実施形態において、電子供与体には、以下:H2;CO;CH4の1つまたは複数が含まれるがこれらに限定されない。ある特定の非限定実施形態において、電子受容体には、O2および/またはCO2が含まれるがこれらに限定されない。ある特定の非限定実施形態において、エネルギー生成反応、または呼吸の生成物には、水が含まれるがこれに限定されない。ある特定の実施形態において、CO2からの生化学物質および原形質のこの合成を駆動するために使用される呼吸に由来する細胞内エネルギーは、ATPを含むがこれに限定されない生化学分子に保存され運搬される。本明細書におけるある特定の実施形態において使用される水素酸化微生物について、電子受容体はO2であり、呼吸の生成物は水である。
【0221】
いくらかの実施形態において、タンパク質産生および/または産生されたアミノ酸分子の分布は、以下:バイオリアクタ条件の制御、栄養素レベルの制御、および/または細胞の遺伝子修飾の1つまたは複数を通じて最適化される。ある特定の実施形態において、アミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素、または全細胞生成物への経路は、特定の増殖条件(例えば、窒素、酸素、リン、硫黄、無機イオンなどの微量の微量栄養素のレベル、および存在する場合には一般に栄養素またはエネルギー源とは見なされない可能性のある任意の調節分子)を維持することにより、化学製品の生産のために制御され、最適化される。ある特定の実施形態において、溶存酸素(DO)は、微生物の要件に応じて、好気性、微好気性、無酸素性、嫌気性、または通性条件でブロスを維持することにより最適化することができる。通性環境は、水柱の層化により引き起こされる好気性上層および嫌気性下層を有する環境と考えられる。本明細書で開示された微生物によるアミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素、または全細胞生成物の生合成は、炭素およびエネルギーおよび他の栄養素源の十分な供給がある場合、対数期中またはその後の細胞の倍加が停止した定常期中に生じる可能性がある。
【0222】
いくらかの実施形態において、本明細書に記載の微生物のための増殖培地には、別の微生物由来のタンパク質および/または栄養素源(例えば、異なる微生物由来の細胞溶解物、タンパク質加水分解物、ペプチド、オリゴペプチド、および/またはアミノ酸、および/または有機分子および/または他の栄養素)が含まれる。いくらかの実施形態において、増殖培地中の微生物は、GRAS微生物である。一実施形態において、限定されないが、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、またはペディオコッカス属(Pediococcus)の細菌(例えば、GRASラクトコッカス属(Lactococcus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、またはペディオコッカス属(Pediococcus)の細菌などのGRAS乳酸菌)などの乳酸菌のための培養培地には、限定されないが、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)、例えばカプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)DSM531またはDSM541などのカプリアビダス属(Cupriavidus)微生物を含むがこれらに限定されない本明細書に記載の任意の微生物などの異なる微生物由来の細胞溶解物、タンパク質加水分解物、ペプチド、オリゴペプチド、および/またはアミノ酸、および/または有機分子および/または他の栄養素が含まれる。別の実施形態において、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)、またはリゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)を含むがこれらに限定されない、本明細書に記載の任意の微生物などのフザリウム属(Fusarium)またはリゾプス属(Rhizopus)真菌性微生物(例えば、GRASフザリウム属(Fusarium)またはリゾプス属(Rhizopus)真菌性微生物などのGRAS真菌性微生物)などの真菌性微生物のための増殖培地には、限定されないが、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)、例えばカプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)DSM531またはDSM541などの、限定されないがカプリアビダス属(Cupriavidus)微生物などの異なる微生物由来の細胞溶解物、タンパク質加水分解物、ペプチド、オリゴペプチド、および/またはアミノ酸、および/または有機分子および/または他の栄養素が含まれる。
【0223】
いくらかの実施形態において、細菌細胞を溶解することができる、および/または細菌タンパク質を加水分解することができる真菌性微生物は、そのような細菌細胞の存在下で培養される。例えば、細菌バイオマスは、単離および場合によっては脱水することができ、その後、真菌性微生物を細菌バイオマスに接種するか、または真菌性微生物を本明細書に記載されるような培養培地中、細菌バイオマスの存在下で培養することができる。ある特定の非限定実施形態において、真菌性微生物には、限定されないが、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、リゾプス・オリゴスポラス(Rhizopus oligosporus)、またはリゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)などのフザリウム属(Fusarium)またはリゾプス属(Rhizopus)微生物が含まれる。
【0224】
本明細書に記載のバイオリアクタ、培養条件、従属栄養および化学栄養的増殖、維持、ならびにアミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素、または全細胞生成物の生産方法の具体例は、微生物の増殖およびアミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素、または全細胞生成物の効率を改善するために任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0225】
電子供与体および受容体
ある特定の非限定実施形態において、本明細書に記載の微生物は、化学独立栄養的に増殖する。例えば、増殖した微生物は、O2電子受容体および/またはH2電子供与体を利用する、CO2の生合成的還元を利用することができる。ある特定の実施形態において、O2およびH2は、水の電気分解により生成される。ある特定の非限定実施形態において、水の電気分解により生成されるO2の一部、およびH2のすべては、本明細書に記載されるような微生物の水性懸濁液に供給される。ある特定の非限定実施形態において、微生物の水性懸濁液に供給されるH2の、O2のモルに対するモル比は、2:1より大きい。O2電子受容体およびH2電子供与体が水の電気分解により生成される、ある特定の非限定実施形態において、H2およびO2についての微生物の代謝要件がすべて満たされた後、余剰のO2が残る。ある特定のそのような実施形態において、余剰のO2は、ヒトおよび/または他の好気性生物および/または根のエアレーションのための水耕栽培システムに供給され得る、および/またはガス化または部分酸化または燃焼プロセスにおいて使用される、および/または化学的副産物として貯蔵および販売される。
【0226】
電子供与体として分子状水素を利用する、ある特定の実施形態において、再生可能および/またはCO2排出のないエネルギー入力を使用して分子状水素の生成において形成される化学的副産物が存在する可能性がある。ある特定の実施形態において、呼吸において使用される酸水素反応は、酸化的リン酸化に酵素的に関連している。ある特定の実施形態において、このように形成されたATPおよび/または他の細胞内エネルギー担体は、アミノ酸および/またはタンパク質の同化合成において利用される。ある特定の実施形態において、水素酸化微生物による炭素固定および有機化合物生産に最適な条件を維持するために、呼吸に必要な水分解により過剰に生産された酸素は、当技術分野において既知であるプロセスステップおよび商用酸素ガス生産の科学を通じて販売に適した形態に加工することができる。
【0227】
ある特定の実施形態は、限定されないが、O2などの、ATP産生(例えば呼吸)のためのエネルギー保存反応におけるCO2よりもより電気陰性度が高い電子受容体を使用する、水素酸化および/またはCO酸化および/またはCH4酸化微生物を適用する。例えば、酸水素反応、2H2+O2→2H2OをATP産生に結びつける水素化栄養性酸水素または水素酸化微生物は、呼吸における電子受容体としてCO2を使用するアセトゲンまたはメタン生成菌よりも、呼吸のために消費されるH2および/または他の電子供与体あたり、より多くのATPを産生することができる。例えば、水素酸化微生物は、呼吸において消費されるH2あたり少なくとも2つのATPを産生することができ[参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、L.Bongers(1970)「Energy generation and utilization in hydrogen bacteria」Journal of bacteriology 104(1):145-151(http://jb.asm.org/content/104/1/145.abstract)]、呼吸における電子供与体としてH2および電子受容体としてCO2を使用するメタン生成および酢酸生成を実行する微生物において生産することができるよりも、呼吸において消費されるH2あたり産生されるATPは8倍多い。この理由のため、限定されないがシンガスまたはH2からのアミノ酸またはタンパク質または脂肪酸の生合成などの同化生合成のための、限定されないが水素酸化微生物などの、呼吸およびATPの産生においてより電気陰性度が高い電子受容体を利用することができる微生物を使用することは、現在、短鎖の酸またはアルコール(例えば酢酸またはエタノール)の産生のための生物学的GTC技術を使用するものなどのアセトゲンまたはメタン生成菌を使用するよりも、より効率的である可能性がある。ある特定の実施形態において、呼吸において使用される酸水素反応は、酵素的に酸化的リン酸化に関連している。ある特定の実施形態において、好気呼吸は、本明細書に記載の微生物によりATPの産生のために利用される。ある特定の実施形態において、このように形成されたATPおよび/または他の細胞内エネルギー担体は、アミノ酸および/またはタンパク質の同化生合成に利用される。いくらかの実施形態において、水素酸化および/もしくはカルボキシド栄養および/もしくはメタン資化性および/もしくは従属栄養微生物またはこれらの微生物を含む組成物が利用され、微生物は、再生可能なH2またはCOまたはメタン含有ガスと組み合わせたシンガスまたは発生炉ガスまたは天然ガスまたはバイオガスまたはCO2を含むがこれらに限定されない炭素含有ガス供給原料由来の化学物質、モノマー、ポリマー、タンパク質、多糖類、ビタミン、栄養補助食品、抗生物質、または医薬品もしくはその中間体を含むがこれらに限定されない目的の有用な炭素系生成物の生合成が可能である、1つまたは複数の酵素を発現する。いくらかの実施形態において、これらの目的の前記炭素系生成物は、限定されないがグルコース、フラクトース、および他の糖類などの有機多炭素供給原料から従属栄養的に生合成することができる。いくらかの非限定実施形態において、微生物、または微生物を含む組成物が利用され、微生物は、呼吸を通じて1つのATPを産生するために4つ未満のH2またはNADHを必要とする。他の非限定実施形態において、呼吸を通じて消費されるH2またはNADHあたり1つ以上のATPを産生する微生物が利用される。他の非限定実施形態において、呼吸を通じて消費されるH2またはNADHあたり少なくとも2つのATP、または呼吸を通じて消費されるH2またはNADHあたり少なくとも2.5のATPを産生する微生物が利用される。
【0228】
ある特定の非限定実施形態の追加の特徴は、二酸化炭素および/または他のC1供給原料を有機化合物に固定する化学独立栄養微生物により使用される電子供与体の源、生産、またはリサイクルに関する。二酸化炭素捕捉および炭素固定のために使用される電子供与体は、ある特定の実施形態において、光起電技術、太陽熱、風力、水力発電、核、地熱、強化地熱、海洋温度差、海洋波力、潮力を含むがこれらに限定されない多くの異なる再生可能および/または低炭素排出エネルギー技術からの電力を使用して電気化学的または熱化学的に生産またはリサイクルすることができる。化学独立栄養生物が増殖することができる多くの還元型無機化学物質(例えば、H2、CO、H2S、二価鉄イオン、アンモニウム、Mn2+)は、当技術分野において周知の電気化学的および/または熱化学的プロセスならびに光起電技術、太陽熱、風力、水力発電、核、地熱、強化地熱、海洋温度差、海洋波力、または潮力を含むがこれらに限定されない種々の二酸化炭素排出がないか低炭素排出および/または再生可能な電力源により電力供給することができる化学工学を使用して容易に生産することができる。
【0229】
再生可能なエネルギー源由来の水素の生産は、化石燃料システムからの生成から徐々に置き換わっており、エネルギー部門における技術的進歩は、近い将来、グリーン水素生産の価格が低下すると予測される。例えば、最大73%の電気エネルギー効率は、商業用および産業用グレードの電解槽によりすでに達成されており、新規材料および電解槽構成に対する研究は、96%と高い効率が可能であると示されている。ある特定の実施形態は、H2電子供与体および/またはO2電子受容体の生成のために、70%を超える電気エネルギー効率を有する市販の電気分解技術を利用する。ある特定の実施形態は、73%以上のエネルギー効率、および/または最大96%以上のエネルギー効率を有する電気分解技術を使用する。
【0230】
分子状水素を電子供与体として使用する、ある特定の実施形態において、H2は、以下:プロトン交換膜(PEM)、KOHなどの液体電解質を使用するアプローチ、アルカリ電気分解、固体ポリマー電解質電気分解、高圧電解、高温水蒸気電解(HTES)を含むがこれに限定されない水の電気分解を通じた;ならびに/または酸化鉄サイクル、酸化セリウム(IV)-酸化セリウム(III)サイクル、亜鉛亜鉛-酸化サイクル、硫黄-ヨウ素サイクル、銅-塩素サイクル、カルシウム-臭素-鉄サイクル、ハイブリッド硫黄サイクルを含むがこれらに限定されない方法を通じた水の熱化学的分解を通じた1つまたは複数を含むがこれらに限定されない当技術分野ならびに化学工学およびプロセス工学で周知の方法;ならびに/または硫化水素の電気分解;ならびに/または硫化水素の熱化学分解;ならびに/またはメタン改質を可能にする炭素回収・貯留(CCS)を含むがこれらに限定されない二酸化炭素の排出が低いまたは全くない水素を生産するために既知の他の電気化学的または熱化学的プロセスにより生成される。ある特定の実施形態において、H2を生成するアプローチには、再生可能な電気エネルギーおよび/または低温室効果ガス(GHG)源からの電気により電力供給される電気分解が含まれるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態において、電気分解は、以下:光起電技術および/または太陽熱を含むがこれらに限定されない太陽光;風力、水力発電;核;地熱;強化地熱;海洋温度差;海洋波力;潮力の1つまたは複数により電力供給される。
【0231】
世界中には莫大な風力エネルギー資源があり、そのうちわずかな割合しか利用されていない。現在の利用の低さは、主に、風力資源の断続的な性質に起因し、結果として、経時的に発電量が変化することになり、ほとんどの時間でエネルギー需要を満たすための容量が未活用である。風力発電の供給と送電網の需要との間の一般的なミスマッチは、世界中の例において明白であり、例えばスコットランドでは、風力発電所が、供給過剰のためにタービンを停止するために支払っており[http://www.mnn.com/earth-matters/energy/blogs/blown-away-wind-turbines-generate-enough-energy-to-power-every-home-in]、テキサス州の一部では、風力発電が多く、電力網の需要が低い夜間に無料で電力が提供される[http://www.nytimes.com/2015/11/09/business/energy-environment/a-texas-utility-offers-a-nighttime-special-free-electricity.html?_r=2]。この課題は、本明細書での、ある特定の実施形態におけるプロセスのためのH2供給原料を生産するためにオフピーク需要時間中に生産された風力を利用することにより、解決可能であり得る。
【0232】
現在、水素は、いわゆる「パワー・ツー・ガス」アプローチにおける可能なエネルギー貯蔵システムとして注目が高まっている。再生可能エネルギー生産(特に太陽光および風力エネルギー)の固有の不安定性、および過剰な送電網電気(オフピークエネルギー)は、水の電気分解を通じた水素の生産により軽減することが可能である。現在のほとんどのスキームによれば、生産された水素ガスは、その後、需要のピークの期間中に燃料電池および/またはガスタービンにより電気に変換される。あるいは、H2は、ガス配管網に供給される可能性があるか、メタン化を介してメタンに変換される可能性がある。さらに、水素は、化学、石油化学、冶金および食品産業の原料として使用することができる。ある特定の実施形態は、生化学物質、特にタンパク質、アミノ酸、肥料、および生物刺激剤を含む、より広い範囲の生成物でH2を使用することができるようにすることにより、パワー・ツー・ガスの枠組み内で新規選択肢を提供する。ある特定の実施形態において、過剰な配電網電気および/またはオフピークエネルギーを使用して生産された水素は、水素利用微生物で発生する1つまたは複数の代謝経路の電子供与体として使用される。ある特定の実施形態において、水素酸化細菌および/または好気性細菌による微生物生合成に必要な水素および/または酸素は、再生可能エネルギー、特にオフピーク電力、すなわち現在の状況においては、廃棄される場合が多い、エネルギー供給が需要を上回った場合に利用可能な電力を使用して水の電気分解により生成される。
【0233】
ある特定の実施形態において、H2ガスおよびCO2ガスのオンサイト貯蔵は、再生可能な発電が電気需要を上回る場合の期間中のみ、送電網からの電力の迂回を可能にする。ある特定の実施形態において、電力は、需要が高い期間中も通常どおり送電網に流れ込むことができる。ある特定の実施形態において、プロセスは、再生可能な電力供給を中断せず、むしろ、限定されないが風力および太陽光などの再生可能な発電容量のより完全な利用を可能にする。ある特定の実施形態は、発電が送電網の需要を超える場合(例えば、オフピーク風力または太陽光発電)の期間中であっても、連続的な再生可能な動作および発電を可能にする。
【0234】
ある特定の実施形態において、水素電子供与体は、二酸化炭素の排出が低いまたは全くない状態で必ずしも生成される訳ではない。しかし、ある特定のそのような実施形態において、水素は、化学工学およびプロセス工学の分野において既知である方法を使用して、持続可能または価値の低いエネルギー源および/または炭素源から生成される。そのような方法には、限定されないが一般に以下:農業材料、木材、メタンハイドレート、藁、海藻および昆布、ならびに低価値で高リグノセルロースのバイオマスの1つまたは複数などの供給原料のガス化、熱分解、水蒸気改質、または自己熱改質が含まれるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態において、H2および/またはCOおよび/またはCO2を含む合成ガスまたは発生炉ガスは、電子供与体および/または炭素源として利用される。ある特定の実施形態において、シンガスまたは発生炉ガスに含まれるH2および/またはCOおよび/またはCO2は、再生可能および/または低GHGエネルギー源および本明細書に記載されたものの1つまたは複数などの変換プロセスを使用して生成されるH2により追加される。
【0235】
ある特定の非限定実施形態において、CO2の還元、および/または食品もしくは栄養源として利用することができる細胞物質の合成が生じる。ある特定の実施形態において、シンガスまたは発生炉ガス中の水素の一酸化炭素に対する比率は、ガスが微生物培養物に送達される前に水性ガスシフト反応および/または炭素捕捉を通じて調節することができる。ある特定の実施形態において、C1化合物は、メタンまたは天然ガス、特にストランデッド天然ガス、またはそうでなければフレアーされるか、大気中に放出される天然ガス、またはバイオガス、または埋立地ガスのメタン水蒸気改質により生成され、シンガスおよび/または発生炉ガスまたはC1化合物のガスまたは液体の流れとして微生物の培養物に提供され、ある特定の実施形態において、シンガスまたは発生炉ガス中の水素の一酸化炭素に対する比率は、ガスが微生物培養物に送達される前に水性ガスシフト反応および/または炭素捕捉を通じて調節することができる。
【0236】
以下の実施例は、本発明を説明するために意図されるが限定されるものではない。
【0237】
実施例
実施例1.乳濁液安定性
経時的にその特性における変化に抵抗する乳濁液の能力を調べた。
【0238】
研究試料:
・ホエータンパク質分離物(PI)(50%タンパク質)
・糖で増殖した全細胞バイオマス(WCB)(12.86%のN;5.5ジョーンズ因子を使用した70.9%のタンパク質)
【0239】
手順:5gのタンパク質溶液および5gの油の混合物を十分にホモジェナイザで混合した。混合物を室温でインキュベートした。水相の体積を測定した。エマルジョン安定性の割合を以下の式:
【0240】
【0241】
にしたがって算出した。
【0242】
ホエーPIおよびWCBの乳濁液安定性
タンパク質溶液を蒸留水中で調製した:4.58%のホエーPI、pH6.50;4.33%のWCB、pH6.26。タンパク質溶液5gをとうもろこし油5gと混合し、IKA Turrax T25デジタルホモジナイザで5分間均質化した。乳濁溶液をメスシリンダーに移し、水相の体積を測定した。結果を表1に示す。
【0243】
【0244】
実施例2.乳濁液容量
油を乳化するためのタンパク質溶液の能力を調べた。
【0245】
研究試料:
・ホエータンパク質分離物(PI)(50%タンパク質)
・糖で増殖した全細胞バイオマス(WCB)(12.86%のN;5.5ジョーンズ因子を使用した70.9%のタンパク質)
【0246】
手順:一定重量のタンパク質溶液および異なる重量の油を用いて、異なる混合物を調製した。ホモジナイザを使用して乳濁液を形成した。各乳化試料の導電率を測定した。乳濁液容量を、油-水(水中の油滴)から水-油(油中の水滴)の反転点で以下の式:
【0247】
【0248】
にしたがって算出した。
【0249】
ホエーPIについて、反転点は、2gのタンパク質溶液(4.583%の固形分)ならびに4gおよび5gの油で生じた。乳濁液容量はタンパク質1gあたり98.19gの油であった。結果を
図2に示す。
【0250】
WCBについて、反転点は、3gのタンパク質溶液(4.327%の固形分)ならびに4gおよび5gの油で生じた。乳濁液容量は、タンパク質1gあたり46.26gの油であった。結果を
図3に示す。
【0251】
前述の発明が理解を明確にする目的で図および実施例によりいくらか詳細に説明されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、ある特定の変更および修飾が実行され得ることは、当業者に明らかである。そのため、明細書は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0252】
本明細書に引用されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願のそれぞれが、すべての目的について、そのように参照により組み込まれることが具体的で個別に示されているのと同程度に参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれている。
【国際調査報告】