(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】サーモウェルの振動センシング
(51)【国際特許分類】
G01K 13/02 20210101AFI20230426BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
G01K13/02
G01H17/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557085
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(85)【翻訳文提出日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 US2021021298
(87)【国際公開番号】W WO2021194729
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ルッド,ジェイソン・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】クロンフォルスト,カイル・ジェイ
【テーマコード(参考)】
2F056
2G064
【Fターム(参考)】
2F056WF01
2G064AA01
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
(57)【要約】
プロセス流体温度測定システム(100)が提供される。前記プロセス流体温度測定システム(100)は、プロセス流体導管(104)に結合し、前記プロセス流体導管(104)の壁(106)を貫通して延伸される、ように構成されたサーモウェル(102)を含む。前記プロセス流体温度測定システム(100)は、また、前記サーモウェル(102)内に配置された温度センサーアセンブリ(110)を含み、前記温度センサーアセンブリ(110)は、その中に配置された少なくとも一つの感温素子を有するセンサーカプセル(112)を含む。前記温度センサーアセンブリ(110)は、また、前記センサーカプセル(112)に結合された振動センサー(120)を含み、前記振動センサー(120)は、検出された振動に応じた振動信号を生成する、ように構成される。前記プロセス流体温度測定システム(100)は、更に、前記振動センサー(120)に結合され、前記振動信号を受信し、前記受信した振動信号に基づいて出力を生成する、ように構成された送信回路を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス流体温度測定システムであって、
プロセス流体導管に結合され、前記プロセス流体導管の壁を貫通して延伸されるように構成されたサーモウェル、
前記サーモウェル内に配置された温度センサーアセンブリであって、
少なくとも一つの感温素子がその中に配置されて有するセンサーカプセルと、
前記センサーカプセルに結合された振動センサーであって、検出された振動に応じて振動信号を生成するように構成された前記振動センサーと、
を含む前記温度センサーアセンブリ、及び、
前記振動センサーに結合され、前記振動信号を受信し、該受信した振動信号に基づいて出力を生成する、ように構成された送信回路、
を含むプロセス流体温度測定システム。
【請求項2】
前記振動センサーは、圧電フィルムを含む、請求項1に記載のプロセス流体温度測定システム。
【請求項3】
前記出力は、プロセス流体によって生成される渦放出周波数によるサーモウェルの応力を示す、請求項1に記載のプロセス流体温度測定システム。
【請求項4】
前記送信回路は、前記渦放出周波数が周波数閾値を満足したときに、前記出力を生成するように構成される、請求項3に記載のプロセス流体温度測定システム。
【請求項5】
前記振動信号は、前記振動の周波数を示す示度を含む、請求項1に記載のプロセス流体温度測定システム。
【請求項6】
前記振動信号は、前記振動の大きさを示す示度を含む、請求項1に記載のプロセス流体温度測定システム。
【請求項7】
前記送信回路は、測定用配線を介して前記振動センサーに結合される、請求項1に記載のプロセス流体温度測定システム。
【請求項8】
前記センサーカプセルは、前記測定用配線を介して前記送信回路にも結合される、請求項7に記載のプロセス流体温度測定システム。
【請求項9】
前記センサーカプセルは、前記振動センサーとは別の測定用配線を介して前記送信回路に結合される、請求項7に記載のプロセス流体温度測定システム。
【請求項10】
前記振動センサーは、前記サーモウェルの基部の前記センサーカプセル内に配置される、請求項1に記載のプロセス流体温度測定システム。
【請求項11】
前記振動センサーは、摩擦電気ワイヤを含む、請求項1記載のプロセス流体温度測定システム。
【請求項12】
導管内のサーモウェルの振動を示す方法であって、
サーモウェルをプロセス流体導管に結合するステップであって、前記サーモウェルは 振動センサーを含むステップ、
第一の周波数での振動を検出し、前記サーモウェルの振動に対応する高次の高調波の周波数での振動を検出するステップであって、前記高次の高調波での周波数は異なる振動状態を示すステップ、
前記検出された高次の高調波の周波数に応じて振動信号を生成するステップ、
前記振動センサーから前記振動信号を取得し、前記取得された振動信号に基づいて前記サーモウェルの振動を測定するステップ、及び、
前記異なる振動状態に応じて前記サーモウェルの前記振動を示す出力を生成するステップ、
を含む方法。
【請求項13】
前記異なる振動状態は、横方向への振動である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記サーモウェルの前記振動を測定するステップは、前記サーモウェルの前記振動の前記周波数を測定するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記サーモウェルの前記振動を測定するステップは、前記サーモウェルの前記振動の大きさを測定するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記振動センサーは、圧電フィルムを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記振動センサーは、摩擦電気ワイヤを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記振動信号を生成するステップは、前記圧電フィルムに前記サーモウェルが応力を加えるステップ、及び、前記サーモウェルの前記振動の前記周波数での前記振動信号を生成するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記出力は、前記プロセス流体によって生成される渦放出周波数に応じたサーモウェルの応力を示す、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
プロセス流体温度測定システムであって、
プロセス流体導管に接続され、前記プロセス流体導管の壁を貫通して延伸されるように構成されたサーモウェル、
前記サーモウェル内に配置された温度センサーアセンブリであって、
少なくとも一つの感温素子がその中に配置されて有するセンサーカプセルと、
前記センサーカプセル内であって前記サーモウェルの底部に配置された圧電フィルムであり、検出された振動に応じた振動信号を生成するために、前記サーモウェルで応力を加えるように構成された前記圧電フィルムと、
を含む温度センサーアセンブリ、及び、
前記圧電フィルムに結合され、前記振動信号を受信し、前記振動を示す出力を生成する、ように構成された送信回路、
を含むプロセス流体温度測定システム。
【請求項21】
サーモウェル内で使用するように構成された温度センサーアセンブリであって、
少なくとも一つの感温素子を有するセンサーカプセル、及び、
前記センサーカプセルに結合された振動センサーであって、検出された振動に応じた振動信号を生成するように構成された振動センサー、
を含む温度センサーアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本発明は、一般的にプロセスセンサーのシステムに関し、より詳細には、工業プロセス監視システムにおける流体センサー用のサーモウェルのセンサーハウジングに関する。
【0002】
多くの工業プロセスでは、パイプ又は他の導管を通してプロセス流体を搬送する。そのようなプロセス流体は、液体、気体、及び、場合によっては巻き込まれた固体を含むことができる。これらのプロセス流体は、衛生的な食品及び飲料の製造、水処理、高純度の医薬品の製造、化学処理、炭化水素の抽出及び処理並びに研磨性及び腐食性のスラリーを利用する水圧破砕技術を含む炭化水素燃料工業、などを含むが、これらに限定されない様々な工業のいずれかにおいて見出されることがある。
【0003】
工業用プロセス送信機及びセンサーアセンブリは、導管を流れるか、又は、容器内に含まれるプロセス流体の様々な特性を感知し、それらのプロセス特性に関する情報を、プロセス測定場所から離れた場所にある制御、監視、及び/又は、安全システムに送信するために使用される。センサーアセンブリは、圧力、温度、pH、又は、流速、を含む様々なプロセスパラメーターを感知することができる。プロセス送信機は、通常、少なくとも1つのそのようなプロセスパラメーターを反映した電流又は電圧ベースのアナログセンサーの出力信号を送信するために使用されるセンサーワイヤを介して、電気的に接続されたセンサーアセンブリである。各送信機は、これらのセンサーの出力信号を読み取り、プロセスパラメーターの測定値に変換する。最後に、送信機はその情報を制御システムに送信する。
【0004】
温度センサーをサーモウェル内に設置することは一般的であり、その後、サーモウェルは導管の開口部を通してプロセス流体の流れの中に挿入される。サーモウェルは、プロセス流体中に挿入されるとき、プロセス流体の流れの様々な条件によって生じる動的応力を受けることがある。設計を支援するため、通常、サーモウェルを設置する際に、サーモウェルが最終的に振動による疲労につながるようなプロセス条件にさらされないように、後流周波数の計算が行われる。しかし、この方法は、プロセス特性やサーモウェルの構造が時間とともに変化し、早期故障を引き起こす可能性があるため、必ずしも実用的ではない場合がある。したがって、サーモウェルは、温度センサーのプロセスシールを提供するのに有用であるが、多くの制約がある。
【発明の概要】
【0005】
プロセス流体温度測定システムが提供される。プロセス流体温度測定システムは、プロセス流体導管に結合し、プロセス流体導管の壁を貫通して延伸されるように構成されたサーモウェルを含む。プロセス流体温度測定システムは、また、サーモウェル内に配置された温度センサーアセンブリを含み、温度センサーアセンブリは、その中に配置された少なくとも一つの感温素子を有するセンサーカプセルを含む。温度センサーアセンブリは、また、センサーカプセルに結合された振動センサーを含み、振動センサーは、検出された振動に応じて振動信号を生成するように構成される。プロセス流体温度測定システムは、更に、振動センサーに結合され、振動信号を受信し、受信した振動信号に基づいて出力を生成するように構成された送信回路を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態が特に適用可能なプロセス流体温度測定システムの概略図である。
【
図2】本発明の実施形態が特に適用可能なプロセス流体温度測定システムのハウジング内の回路のブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態による温度センサーアセンブリの概略図である。
【
図4A】本発明の一実施形態による
図1のプロセス流体温度測定システムの振動センサーの概略図である。
【
図4B】本発明の一実施形態による
図1のプロセス流体温度測定システムの振動センサーの概略図である。
【
図5】プロセス流体の流速が変化したときのサーモウェルの先端変位を示すチャートである。
【
図6A】本発明の一実施形態と一致する振動センサーの信号出力のための、様々なプロセス流体の流速における一連の周波数の領域のプロットを示す図である。
【
図6B】本発明の一実施形態と一致する振動センサーの信号出力のための、様々なプロセス流体の流速における一連の周波数の領域のプロットを示す図である。
【
図6C】本発明の一実施形態と一致する振動センサーの信号出力のための、様々なプロセス流体の流速における一連の周波数の領域のプロットを示す図である。
【
図6D】本発明の一実施形態と一致する振動センサーの信号出力のための、様々なプロセス流体の流速における一連の周波数の領域のプロットを示す図である。
【
図6E】本発明の一実施形態と一致する振動センサーの信号出力のための、様々なプロセス流体の流速における一連の周波数の領域のプロットを示す図である。
【
図6F】本発明の一実施形態と一致する振動センサーの信号出力のための、様々なプロセス流体の流速における一連の周波数の領域のプロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上記のように、サーモウェルの設計を支援するために、サーモウェルを設置することに対して後流周波数の計算を実施することがある。これらの計算は、一般的に、サーモウェルが、振動による疲労につながるようなプロセス条件に最終的にさらさないようにするために実施される。このようなシステムでは、一般的に、プロセス条件基準を利用し、プロセス流体の流れの変化から後流周波数を計算する際に、典型的なプロセス条件が計算にロードされる。
【0008】
上記の後流周波数の計算は、一般的に、サーモウェルを設置する場所のプロセス条件が時間の経過とともに変化しない、という仮定に基づいている。しかし、時間の経過とともに、プロセス特性やサーモウェルの構造に変化が生じ、計算エラーや早期故障が発生する可能性がある。更に、プロセス条件が変化すると、プロセス流体中に渦が発生することがある。プロセス流体中に発生する渦は、顕著な場合、サーモウェルの設置の部品を、疲労、及び/又は、破壊させる可能性がある。例えば、発生した渦が渦放出周波数(vortex-shedding frequency)、すなわちサーモウェルに潜在的な損傷を与えることができる周波数レベルに達すると、サーモウェルは疲労し、永久的な損傷をもたらす可能性がある。更に、渦がサーモウェルの固有周波数に達した場合、サーモウェルは破壊が起こる可能性があるほど著しく疲労する可能性がある。固有周波数は、採用されている特定のタイプのサーモウェルに固有のものである可能性があり、したがって、広い範囲の異なる振動周波数であることができる。更に、場合によっては、渦の大きさは、サーモウェルを設置するための部品に損傷を引き起こすのに十分なレベルである。
【0009】
サーモウェル内に振動を感知するためのセンサーを実装することは、導管内に存在する高温状態のために困難である。理想的には、より適した測定を可能にするために、振動センサーは、サーモウェルに取り付けられる送信機ハウジングに取り付けられるであろう。しかし、多くの適用事例では、送信機はサーモウェルから離れた場所に取り付けられている。
【0010】
図1は、本発明の実施形態が特に適用可能であるプロセス流体温度測定システムの概略図である。図に示されているように、システム100は、一般に、プロセス流体導管104に結合し、プロセス流体導管の壁106を貫通して延伸されるように構成されたサーモウェル102を含む。サーモウェル102は、更に、温度などのプロセス流体の測定値を得るために、プロセス流体導管104内のプロセス流体108に接触するように構成される。サーモウェル102は、一般的に、その中に配置された温度センサーアセンブリ110を有する。温度センサーアセンブリ110は、センサーカプセル112を含む。「カプセル」という用語は、特定の構造、又は、形状を意味するものではなく、したがって、様々な形状、サイズ、及び、構成で形成することができる。センサーカプセル112は、一般的に、抵抗温度デバイス(RTD)、又は、熱電対などの1つ以上の感温素子(図には示されていない)を含む。センサーカプセル112内のセンサーは、センサーカプセル112から1つ以上の温度測定値を得るように構成され、ハウジング116内の送信回路114に電気的に接続される。図に示されているように、一実施形態としては、センサーカプセル112は、二つ以上の導体ケーブルを含むことができる測定配線130を介して送信回路114に電気的に接続される。また、図に示されているように、送信回路114は、ワイヤケーブルとして図に示されている伝送ループ118を介して、制御室124内のホストシステムに電気的に接続されている。代替的に、伝送ループ118は、2本以上のワイヤケーブル、光ファイバーケーブル、又は、無線リンクであることができる。
【0011】
温度センサーアセンブリ110は、また、センサーカプセル112に結合された振動センサー120を含む。振動センサー120は、一般的に、プロセス流体の状態に応じてサーモウェル102の振動を感知し、検出された振動に応じて振動信号を生成するように構成されている。例えば、プロセス流体内に渦が発生され、サーモウェルに振動が引き起こされる場合、振動センサー120は、振動を感知し、サーモウェルの振動を示す振動信号を生成するように構成されている。
図1に示されているように、一実施形態としては、振動センサー120は、センサーカプセル112上に配置され、サーモウェル102の基部に配置される。振動センサー120をサーモウェル102の基部に配置することにより、サーモウェル102の振動を、その振動の結果として破壊が生じやすい箇所で、感知することができる。あるいは、振動センサー120は、振動が検知されるように、サーモウェルの他の位置に配置されてもよい。更に、
図1では、振動センサー120がセンサーカプセル112内に配置されていることが示されているが、振動センサー120は、他の実施形態では、サーモウェル内に埋め込まれ、センサーカプセルの近傍に配置されてもよい。
【0012】
図2は、本発明の実施形態が特に適用可能である、プロセス流体温度測定システム200のハウジング216内の回路のブロック図である。システム200は、システム100(
図1に示されている)といくつかの類似点を有し、同様の構成要素には同様の番号が付けられている。システム200は、ブロック236によって示されるように、その他の項目も同様に含むことができる。システム200は、コントローラ224に結合された通信回路222を含む。通信回路222は、サーモウェル102(
図1に示されている)のように、プロセス流体の温度、及び/又は、サーモウェルの振動、に関する情報を伝達することができる任意の適切な回路であることができる。通信回路222は、プロセス流体温度測定システム200が、伝送ループ118(
図1に示されている)のようなプロセス通信ループ、又は、セグメントを介して、プロセス流体の温度出力を通信することを可能にする。プロセス通信ループプロトコルの好適な例には、4-20ミリアンペアプロトコル、Highway Addressable Remote Transducer(HART(登録商標))プロトコル、FOUNDATION(商標) Fieldbusプロトコル、及び、WirelessHARTプロトコル(IEC 62591)が含まれる。通信回路222は、また、温度センサーアセンブリ210内の振動センサー220が、伝送ループ118及び/又は測定配線130などのプロセス通信ループ又はセグメントを介して、サーモウェルの振動に応じて、振動信号を通信することを可能にする。
【0013】
システム200は、また、矢印228で示されているように、システム200のすべての構成要素に電力を供給する電源モジュール226を含む。システム200が、HART(登録商標)ループ又はFOUNDATION(商標) Fieldbusセグメントなどの有線プロセス通信ループに結合される実施形態では、電源モジュール226は、システム200の様々な構成要素を動作させるために、ループ又はセグメントから受け取った電力を調整する適切な回路を含むことができる。したがって、そのような有線プロセス通信ループの実施形態では、電源モジュール226は、それが結合されるループによってデバイス全体に電力を供給できるように、適切な電力調整を提供することができる。他の実施形態で、無線プロセス通信が使用される場合には、電源モジュール226は、バッテリーなどの電力源と、適切な調整回路と、を含むことができる。
【0014】
コントローラ224は、通信回路222に通信可能に結合され、センサーカプセル212内のセンサー(複数可)からの測定値を使用して温度出力を生成することができる、任意の適切な配置を含む。一例では、コントローラ224は、マイクロプロセッサである。更に、コントローラ224は、サーモウェルの固有周波数を満足する振動などの、振動センサー220から検出され測定されたサーモウェルの振動を示す振動出力を生成することができる任意の適切な配置を含む。出力は、制御室124(
図1に示されている)のような制御室に提供されてもよい。代替的に、又は、追加的に、出力は、オペレータ、機械、又は、他のデバイスに提供されてもよい。一実施形態では、出力は、サーモウェルの振動を示す視覚的な出力である。しかしながら、他の実施形態では、出力は聴覚的な出力であることができる。
【0015】
測定回路230は、コントローラ224に結合され、センサー232、及び、振動センサー220から得られた測定値に関するデジタル表示を提供する。測定回路230は、一つ以上のアナログ-デジタル変換器、及び/又は、一つ以上のアナログ-デジタル変換器を振動センサー220にインターフェースするのに適切なマルチプレキシング回路、を含むことができる。更に、測定回路230は、採用される様々なタイプの振動センサー、及び、他のセンサー、に適切であり得るような、適切な増幅、及び/又は、線形化回路、を含むことができる。
【0016】
温度センサーアセンブリ210は、例示的に、センサーカプセル212、振動センサー220、を含み、ブロック234により示されるように、他のアイテムも同様に含めることができる。振動センサー220は、システム200の電子回路に結合され、プロセス流体内のプロセス条件に応じてサーモウェルの振動を感知し、サーモウェルの検出された振動に応じて振動信号を生成するために使用される。例えば、導管内のプロセス流体によって生じる渦が、特定の周波数、又は、大きさ、を満足する場合、振動信号が生成され、システム200の電子回路に伝達されて、振動を示す振動信号に基づく出力が生成される。一実施形態では、振動信号は、サーモウェルの振動によって周波数閾値が満足される場合にのみ生成される。周波数閾値は、サーモウェルの振動を示す広範な周波数信号を含むことができる。例えば、周波数閾値は、渦放出周波数、すなわち、サーモウェルに潜在的な損傷を引き起こす可能性のある周波数のレベルであることができる。代替的に、又は、追加的に、周波数閾値は、振動中のサーモウェルの固有周波数であることができ、又は、振動センサー220によって検出可能な、代替的な振動の周波数であることができる。
【0017】
図3は、本発明の一実施形態による温度センサーアセンブリの概略図である。アセンブリ310は、温度センサーアセンブリ110(
図1に示されている)といくつかの類似点を有し、同様の構成要素には同様の番号が付けられている。特に、温度センサーアセンブリ310は、アダプタ322を介して、プロセス流体温度測定システムの外面に接して押し込まれるセンサーカプセル312を含む。
図3に示されているように、アダプタ322は、ネジ込み式アダプタである。しかしながら、代替の実施形態では、アダプタ322は、バネ式アダプタ又は他の適切な機械的要素であることができる。更に、センサーカプセル312は、プロセス流体温度、及び/又は、検出された振動、を示す出力を生成するために、プロセス流体温度測定システムの電子回路に電気的に結合される。センサーカプセル312は、測定配線330を介して、電子回路に電気的に結合される。
【0018】
センサーアセンブリ310は、一つ以上の抵抗温度デバイス(RTD)などの、一つ以上の温度センサー素子324を含む。温度センサー素子324は、プロセス流体導管内の一つ以上の温度測定値を得るように構成されたセンサーカプセル312に結合される。一つ以上の温度測定値は、温度測定出力として生成されるように、プロセス流体温度測定システム(図には示されていない)の電子回路に信号として応答的に送信される。
【0019】
また、温度センサーアセンブリ310には、振動センサー320も含まれる。振動センサー320は、センサーカプセル312に結合され、サーモウェルの検出された振動に応じて振動信号を生成するように構成される。
図3に示されているように、振動センサー320は、センサーカプセル312上で、センサーカプセルの基部付近、したがって、サーモウェルの基部付近、に配置される。しかしながら、他の実施形態では、振動センサーは、センサーカプセル312の異なる領域上に配置されるか、又は、センサーカプセル312に近接してサーモウェル内に配置されてもよい。振動センサー320は、代替的に、サーモウェルの振動が検出され得る他の位置に埋め込んでもよい。例えば、振動センサー320は、アダプタ322に電子回路が結合される設置では、ハウジング(図には示されていない)内に配置されてもよい。
【0020】
振動センサー320を、振動応力の大部分が位置し、破壊が起こりやすい、サーモウェルの基部に配置することによって、振動センサー320は、例えば、導管内のプロセス流体によって生じる渦放出周波数などの、サーモウェルに損傷を与える可能性がある特定の振動の周波数及び大きさを感知することができる。検出された振動に応じて、振動センサー320は、出力を提供するために使用される振動信号を提供することができる。更に、本明細書に記載される実施形態は、振動がサーモウェルの固有周波数、又は、代替周波数、に等しい場合などの、サーモウェルの異なる振動周波数を感知することもできる。一実施形態では、振動信号は、検出された振動が振動周波数閾値を満足した場合にのみ生成される。
【0021】
振動センサー320は、更に、通常のプロセス流体の流れに対応する初期周波数での振動を感知するように構成される。プロセス条件が変化し、サーモウェルに著しい振動が発生されると、振動センサー320は、振動を示す、より高い高調波周波数の振動を検出する。このようにして、振動センサー320は、第1の振動周波数で振動を感知し、サーモウェルの振動に対応するより高い高調波周波数で振動を感知することができ、より高い高調波周波数は、異なる振動状態を示す。例えば、一実施形態では、検出されたより高い高調波周波数は、縦方向(インライン)から横方向への振動状態の変化に対応することができる。振動状態がサーモウェルの振動を示すこの変化を受けると、振動センサー320は、横方向への変化を検出し、それに応じて振動信号を生成することができる。
【0022】
振動センサー320は、検出された振動を示す振動信号を、測定配線330上に生成するように構成される。一実施形態では、振動センサー320は、圧電材料、例えば、圧電フィルムを含む。プロセス流体温度測定システム内でサーモウェルの振動が発生すると、圧電材料は、振動中のサーモウェルに応じた応力を与え、それを検出された振動の周波数で励起させ、測定配線330に沿ってノイズを結合させる。検出された振動の周波数に対応する信号は、次に、電子回路(図には示されていない)によって受信され、振動を示す出力が生成される。
【0023】
別の実施形態では、振動センサー320は、例えば、摩擦電気ワイヤのような摩擦電気機構を含む。プロセス流体温度測定システム内でサーモウェルの振動が発生すると、それに応じて、摩擦電気機構内に含まれる二つの絶縁体が互いに摩擦され、電荷を発生させる。サーモウェルの振動の大きさ、及び/又は、周波数が増加すると、二つの絶縁体の移動速度が増加し、それにより検出された振動を示す信号を生成するのに十分な、より高い電荷量が発生される。
【0024】
図4A~
図4Bは、本発明の一実施形態による、
図1のプロセス流体温度測定システム用の振動センサーの概略図を示す。
図4A~
図4Bに示されているように、振動センサー420は、例示的に、圧電材料を含む。しかしながら、別の実施形態では、振動センサー420は、摩擦電気機構、又は、プロセス流体温度測定システム内のサーモウェルの振動を検出することができる他のセンサーを含むことができる。
【0025】
図4Aは、特に、プロセス流体温度測定システム(図には示されていない)の既存の測定配線に結合された振動センサー420、及び、抵抗器422を示している。抵抗器422は、例えば、抵抗温度デバイス(RTD)であることができる。
図4Aに示されているように、4線式RTDが利用される。しかしながら、他の実施形態では、抵抗器422は、3線式RTDであることができる。プロセス流体導管においては、温度が時間の経過とともにゆっくりと変化するので、センサーカプセル内のセンサーによって取得された温度信号は、ほぼ直流(DC)信号となる。対照的に、プロセス流体温度測定システム内のサーモウェルによって検出される振動、及び、振動センサー420によって生成される振動信号は、交流(AC)信号として示される。振動センサー420とセンサーカプセル内のセンサーとの間の信号生成の相違は、温度測定システム内の電子回路が、一つ以上の温度センサー素子と振動センサー420との両方についての、測定値、及び、信号出力、を区別することを可能にする。このようにして、振動センサー420は、一つ以上の温度センサー素子に通常使用される既存の測定配線に沿って、振動信号を発生させることができる。
【0026】
図4Bは、特に、プロセス流体温度測定システムの別個の測定配線に結合された振動センサー420、及び、抵抗器422を示している。抵抗器422は、例えば、抵抗温度デバイス(RTD)であることができる。この例では、3線式RTDが利用される。図に示されているように、別個のワイヤで、振動センサー420を温度測定システム内の電子回路(図には示されていない)に結合することができる。追加の配線の使用は、一般的に、振動センサー420によって生成される振動信号は大きさが小さいことから、振動信号がセンサーカプセル内のセンサーによって生成される信号から低インピーダンスにより影響を受ける可能性を排除するために、利用されることができる。このようにして、振動センサー420は、一つ以上の温度センサー素子に使用される測定配線とは別の測定配線に結合することができる。
【0027】
図5は、プロセス流体の流速が変化したときのサーモウェルの先端変位を示すチャートである。
図5に示されているデータは、プロセス流体が流れているときの状態を示すものである。このデータは、プロセス流体速度に関して、参照番号502で示されるような第一の振動状態と、参照番号504で示されるような第二の振動状態と、の間の差異を示す。図に示されているように、流体速度が増加すると、一般的にサーモウェルの先端変位が増加し、振動状態が変化していることが示される。例えば、プロセス流体の流速が15フィート/秒に達すると、振動状態の縦(インライン)方向から横方向への変換が示される。振動状態が急激に変化することは、サーモウェルの先端変位を著しく増大させ、それによりサーモウェルの振動を増大させ、より高い高調波周波数の振動を発生させることができる。したがって、異なる振動状態に対応するサーモウェルの振動の変化は、
図3に関して上述した振動センサー320のような振動センサーによって検出可能である。更に、振動状態の変化は、例示的に15フィート/秒で示されているが、振動状態の変化は、プロセス流体速度が変化することで発生し得ると明確に考えられており、そのような変換は、振動センサー320によって検出されることができる。
【0028】
図6A~
図6Fは、本発明の一実施形態と一致する振動センサーの信号出力のための、様々なプロセス流体の流速における、一連の周波数領域プロットを示す。
図6A~
図6Fに示されているデータは、プロセス流体の流れが様々な流速で流れている場合の状態を例示するものである。図に示されているように、流速が増加すると、サーモウェルの固有周波数における振動の大きさが増加する。例えば、
図6Aに示されているように、5フィート/秒(ft/sec)の流速における信号出力は、概して参照番号602に示される。例えば、
図6Bに示されているように、7フィート/秒まで流速が増加すると、振動センサーの振動の大きさ、及び、出力信号が増加し、概して参照番号604に示される。流速が増加し続けると、固有周波数における振動の大きさが増加し、それにより、振動センサーによって出力される信号も応じて増加する。
図6C~
図6Fに概して参照番号606~616で示されているように、固有周波数におけるより高い振動の大きさに対応する振動センサーの出力信号は、例えば、10フィート/秒、15フィート/秒、及び、17フィート/秒まで、流速が増加するにつれて増加する。最後に、
図6Fに示されているように、検出された振動の大きさ及び出力信号は、参照番号614及び616で示されているように、最も大きく、20ft/secの流速において、それぞれ、1mV及び5mVに相当する。更に、この例では、5フィート/秒、7フィート/秒、10フィート/秒、15フィート/秒、及び、20フィート/秒、の変化する流速が用いられているが、サーモウェルの振動の検出、及び、振動の信号出力の生成は、プロセス流体の異なる流速で発生し得ると明確に考えられている。
【0029】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、実施形態及び詳細において、変更を加えることができることを認識するであろう。
【国際調査報告】