(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】FGFR3に標的化されたラジオイムノコンジュゲートおよびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/555 20060101AFI20230426BHJP
C07D 257/08 20060101ALI20230426BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20230426BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230426BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230426BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230426BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230426BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
A61K31/555
C07D257/08 CSP
A61K47/60
A61K47/68
A61P35/00
A61P35/02
A61K9/08
C07K16/28 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557117
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 US2021023755
(87)【国際公開番号】W WO2021195131
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519210572
【氏名又は名称】フュージョン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Fusion Pharmaceuticals Inc.
【住所又は居所原語表記】270 Longwood Road South Hamilton,Ontario L8P 0A6,Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シュワビッシュ, マーク
(72)【発明者】
【氏名】グリンシュタイン, ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ブラク, エリック スティーブン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB14
4C076BB16
4C076CC41
4C076EE23
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF11
4C076FF34
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086DA31
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA55
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA50
4H045BA52
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA21
(57)【要約】
キレート部分またはその金属錯体、リンカー、およびFGFR3標的化部分を含むラジオイムノコンジュゲート。そのようなラジオイムノコンジュゲートの医薬組成物およびそのような医薬組成物を使用して状態、例えばがんを処置する方法。本開示は、FGFR3(例えば、野生型および/または変異体FGFR3を含むヒトFGFR3)を標的化するラジオイムノコンジュゲート、その医薬組成物、およびそのような医薬組成物を使用してがんを処置する方法に関する。ある特定の実施形態では、提供されるラジオイムノコンジュゲートは、一部の現在公知の放射線治療薬と比較して増加した排泄速度(例えば、哺乳動物に投与後)を示すが、なおも治療有効性を維持している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
A-L-B
式I-a
を含むラジオイムノコンジュゲートであって、
式中、Aが、キレート部分またはその金属錯体であり、
式中、Bが、FGFR3標的化部分であり、および
式中、Lが、リンカーである、
ラジオイムノコンジュゲート。
【請求項2】
Aが、キレート部分の金属錯体である、請求項1に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項3】
前記金属錯体が、放射性核種を含む、請求項2に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項4】
前記放射性核種が、アルファ放射体である、請求項3に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項5】
前記放射性核種が、アスタチン-211(
211At)、ビスマス-212(
212Bi)、ビスマス-213(
213Bi)、アクチニウム-225(
225Ac)、ラジウム-223(
223Ra)、鉛-212(
212Pb)、トリウム-227(
227Th)、およびテルビウム-149(
149Tb)、またはその子孫核種からなる群より選択されるアルファ放射体である、請求項4に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項6】
前記放射性核種が、
225Acまたはその子孫核種である、請求項5に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項7】
Lが、式I-b:
A-L
1-(L
2)
n-B
式I-b
内に示される構造-L
1-(L
2)
n-を有し、
式中、
Aが、キレート部分またはその金属錯体であり;
Bが、FGFR3標的化部分であり;
L
1が、必要に応じて置換されたC
1~C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
1~C
6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり;
nが、1~5の間(両端を含む)であり;および
各L
2が、独立して以下の構造:
(-X
1-L
3-Z
1-)
式III
を有し、式中、
X
1が、C=O(NR
1)、C=S(NR
1)、OC=O(NR
1)、NR
1C=O(O)、NR
1C=O(NR
1)、-CH
2PhC=O(NR
1)、-CH
2Ph(NH)C=S(NR
1)、O、またはNR
1であり;および各R
1が、独立してH、必要に応じて置換されたC
1~C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
1~C
6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり、C
1~C
6アルキルが、オキソ(=O)、ヘテロアリール、またはその組合せによって置換されていてもよく;
L
3が、必要に応じて置換されたC
1~C
50アルキルまたは必要に応じて置換されたC
1~C
50ヘテロアルキルであり;ならびに
Z
1が、CH
2、C=O、C=S、OC=O、NR
1C=O、またはNR
1であり、式中R
1が、水素または必要に応じて置換されたC
1~C
6アルキルもしくはピロリジン-2,5-ジオンである、
請求項1に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項8】
L
3が、C
5~C
20ポリエチレングリコールである、請求項7に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項9】
以下の構造:
【化12】
を含み、
式中、BがFGFR3標的化部分である、
請求項7に記載のラジオイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも100kDaのサイズである、請求項1~9のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項11】
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも150kDaのサイズである、請求項10に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項12】
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも200kDaのサイズである、請求項11に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項13】
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも250kDaのサイズである、請求項12に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項14】
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも300kDaのサイズである、請求項13に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項15】
前記FGFR3標的化部分が、ヒトFGFR3に結合することが可能である、請求項1~14のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項16】
前記FGFR3標的化部分が、野生型FGFR3に結合することが可能である、請求項1~15のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項17】
前記FGFR3標的化部分が、変異体FGFR3に結合することが可能である、請求項1~15のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項18】
前記FGFR3標的化部分が、野生型および変異体FGFR3の両方に結合することが可能である、請求項17のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項19】
前記変異体FGFR3が点変異を含む、請求項17または18に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項20】
前記点変異が、がんに関連する、請求項19に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項21】
前記点変異体が、FGFR3
Y375C、FGFR3
R248C、FGFR3
S249C、FGFR3
G372C、FGFR3
K652E、FGFR3
K652Q、FGFR3
K652M、およびその組合せからなる群より選択される、請求項20に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項22】
前記変異体FGFR3が、FGFR3融合を含む、請求項16~21のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項23】
前記FGFR3融合が、FGFR3-TACC3、FGFR3-CAMK2A、FGFR3-JAKMOP1、FGFR3-TNIP2、FGFR3-WHSC1、FGFR3-BAIAP2L1、およびその組合せからなる群より選択される、請求項22に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項24】
前記FGFR3標的化部分が、抗体またはその抗原結合性断片を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項25】
前記抗体またはその抗原結合性断片がヒト化されている、請求項24に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項26】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む、請求項24または25のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項27】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む、請求項26に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項28】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも3つのCDRを含む、請求項27に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項29】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも4つのCDRを含む、請求項28に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項30】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも5つのCDRを含む、請求項29に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項31】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
を含む、請求項30に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項32】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項24または25に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項33】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項32に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項34】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項32または33に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項35】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項34に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項36】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
を含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項35に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項37】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項36に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項38】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項27~37のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項39】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項38に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項40】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項39に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項41】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項40に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項42】
前記抗体がMFGR1877S(ボファタマブ)である、請求項41に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項43】
前記ラジオイムノコンジュゲートまたはその組成物の哺乳動物への投与後、腸経路、腎経路、または両方の経路により排泄された放射線の割合が、参照ラジオイムノコンジュゲートを投与されている同等な哺乳動物によって同じ経路(複数可)により排泄された放射線の割合より少なくとも2倍高い、請求項1~42のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項44】
前記ラジオイムノコンジュゲートまたはその組成物の哺乳動物への投与後、腸経路、腎経路、または両方の経路により排泄された放射線の割合が、参照ラジオイムノコンジュゲートを投与されている同等な哺乳動物によって同じ経路(複数可)により排泄された放射線の割合より少なくとも3倍高い、請求項43に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項45】
A-L-が、以下:
【化13-1】
【化13-2】
からなる群より選択される化合物の金属錯体である、請求項1に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項46】
A-L-が、以下:
【化14】
の金属錯体である、請求項45に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項47】
前記金属錯体が放射性核種を含む、請求項46に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項48】
前記放射性核種がアルファ放射体である、請求項47に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項49】
前記放射性核種が、アスタチン-211(
211At)、ビスマス-212(
212Bi)、ビスマス-213(
213Bi)、アクチニウム-225(
225Ac)、ラジウム-223(
223Ra)、鉛-212(
212Pb)、トリウム-227(
227Th)、およびテルビウム-149(
149Tb)、またはその子孫核種からなる群より選択されるアルファ放射体である、請求項48に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項50】
前記放射性核種が、
225Acまたはその子孫核種である、請求項49に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項51】
前記FGFR3標的化部分が、抗体またはその抗原結合性断片を含む、請求項50に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項52】
前記抗体またはその抗原結合性断片がヒト化されている、請求項51に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項53】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項52に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項54】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項52に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項55】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項54に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項56】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、MFGR1877S(ボファタマブ)またはその抗原結合性断片である、請求項55に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項57】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、MFGR1877S(ボファタマブ)である、請求項56に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項58】
以下の構造:
【化15】
を含み、式中
【化16】
がMFGR1877S(ボファタマブ)であり、式中、上記で示される抗体に結合したアミン基NH-が、前記抗体の一部であるリシン単位に由来する、請求項46に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項59】
請求項1~58のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項60】
がんを処置する方法であって、それを必要とする対象に、有効量の請求項1~58のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲートを含む医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項61】
前記対象が哺乳動物である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記哺乳動物がヒトである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記がんが固形腫瘍がんである、請求項60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記固形腫瘍がんが、副腎皮質癌、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、子宮内膜腺癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、神経膠腫、頭頸部がん、肝臓がん、肺がん、神経芽腫、神経内分泌がん、膵臓がん、前立腺がん、腎細胞癌、唾液腺腺様嚢胞がん、または精母細胞性セミノーマである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記固形腫瘍がんが膀胱がんである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記固形腫瘍がんが神経膠腫である、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記固形腫瘍がんが神経芽腫である、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記固形腫瘍がんが膵臓がんである、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記固形腫瘍がんが乳がんである、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
前記固形腫瘍がんが頭頸部がんである、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
前記固形腫瘍がんが肝臓がんである、請求項64に記載の方法。
【請求項72】
前記固形腫瘍がんが肺がんである、請求項64に記載の方法。
【請求項73】
前記がんが非固形腫瘍がんである、請求項60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記がんが、液性がんまたは血液がんである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記がんが骨髄腫である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記骨髄腫が多発性骨髄腫である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記がんが白血病である、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記がんがリンパ腫である、請求項74に記載の方法。
【請求項79】
前記医薬組成物が全身投与される、請求項60~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記医薬組成物が非経口投与される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記医薬組成物が静脈内投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記医薬組成物が動脈内投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記医薬組成物が腹腔内投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記医薬組成物が皮下投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
前記医薬組成物が皮内投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
前記医薬組成物が腸投与される、請求項79に記載の方法。
【請求項87】
前記医薬組成物が経消化管投与される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記医薬組成物が経口投与される、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記医薬組成物が局所投与される、請求項60~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記医薬組成物が、腫瘍周囲注射によって投与される、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記医薬組成物が、腫瘍内注射によって投与される、請求項89に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容全体が全ての目的に関して参照により本明細書に組み込まれる、2020年3月23日に出願された米国特許仮出願第62/993,622号の優先権を主張する。
【0002】
配列表
本明細書は、配列表(2021年3月23日に「FPI_012_Sequence_Listing.txt」という名称のテキストファイル(.txt file)として電子提出されている)を参照する。テキストファイルは、2021年3月22日に作成され、サイズは8kbである。配列表の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
背景
線維芽細胞増殖因子(FGF)およびその受容体(FGFR)は、胚発生、組織の恒常性、および代謝において重要な役割を果たす。ヒトでは、22種のFGF(FGF1~14、FGF16~23)、およびチロシンキナーゼドメインを有する4種のFGF受容体(FGFR1~4)が存在する。FGFRは、2個または3個の免疫グロブリン様ドメイン(IgDl~3)を有する細胞外リガンド結合領域、1回膜貫通領域、および細胞質スプリットチロシンキナーゼドメインからなる。FGFおよびそのコグネート受容体は、増殖、分化、遊走、および生存を含む広範囲の細胞プロセスを状況依存的に調節する。FGFRは、しばしば構成的活性化を付与する変異により、多くのがんの型において過剰発現されている。
【0004】
異常に活性化されたFGFRは、特定のヒト悪性疾患に関係している。例えば、t(4;14)(pl6.3;q32)染色体転座は、多発性骨髄腫患者の約15~20%に起こり、FGFR3の過剰発現をもたらし、より短い全生存に相関する。FGFR3は、培養下の骨髄腫細胞系への化学療法抵抗性の付与に関係しており、t(4;14)+患者の従来の化学療法に対する不良な臨床応答と一貫する。変異によって活性化されたFGFR3の過剰発現は、造血細胞および線維芽細胞、トランスジェニックマウスモデル、ならびにマウス骨髄移植モデルにおいて発癌性形質転換を誘導するために十分である。FGFR3-TACC3(トランスフォーミング酸性コイルドコイル(transforming acidic coiled-coil)3)発癌性融合もまた、神経膠芽腫のサブセットおよび他のがんにおいて観察されており、初期のデータは、そのような腫瘍が、FGFR阻害に対して感受性であり得ることを示唆している。加えて、FGFR3を活性化するゲノム変更は、転移性膀胱尿路上皮癌を含む膀胱がんにおいて頻繁に起こる。
【0005】
このように、FGFR3は、がんの潜在的治療標的であると提唱されている。FGFRを標的化するいくつかの低分子阻害剤は、培養およびマウスモデルにおいてFGFR3陽性骨髄腫細胞に対する細胞傷害を実証している。しかし、これらの低分子は、FGFR3に関して選択的ではなく、ある特定の他のキナーゼに対しても阻害活性を示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
このように、FGFR3を標的化することができる改善された治療薬(例えば、がん治療薬)がなおも必要である。
【0007】
概要
本開示は、FGFR3(例えば、野生型および/または変異体FGFR3を含むヒトFGFR3)を標的化するラジオイムノコンジュゲート、その医薬組成物、およびそのような医薬組成物を使用してがんを処置する方法に関する。ある特定の実施形態では、提供されるラジオイムノコンジュゲートは、一部の現在公知の放射線治療薬と比較して増加した排泄速度(例えば、哺乳動物に投与後)を示すが、なおも治療有効性を維持している。一部の実施形態では、より速い排泄は、ラジオイムノコンジュゲートが対象に留まる期間を制限することによって、オフターゲット毒性を制限し得る。このように、一部の実施形態では、提供されるイムノコンジュゲートは、低減されたオフターゲット毒性を示す。
【0008】
ある特定の実施形態では、以下の構造:
A-L-B
(式I-a)
を含み、
式中、Aが、キレート部分またはその金属錯体であり、Bが、FGFR3標的化部分であり、およびLがリンカーである、
ラジオイムノコンジュゲートが提供される。
【0009】
一部の実施形態では、Aは、キレート部分の金属錯体である。一部のそのような実施形態では、金属錯体は放射性核種を含む。一部の実施形態では、放射性核種は、アルファ放射体、例えばアスタチン-211(211At)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、アクチニウム-225(225Ac)、ラジウム-223(223Ra)、鉛-212(212Pb)、トリウム-227(227Th)、およびテルビウム-149(149Tb)、またはその子孫核種(progeny)からなる群より選択されるアルファ放射体である。一部の実施形態では、放射性核種は、225Acまたはその子孫核種である。
【0010】
一部の実施形態では、Lは、式I-b:
A-L1-(L2)n-B
式I-b
内に示される構造-L1-(L2)n-を有し、
式中:
Aは、キレート部分またはその金属錯体であり;
Bは、FGFR3標的化部分であり;
L1は、必要に応じて置換されたC1~C6アルキル、必要に応じて置換されたC1~C6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり;
nは、1~5の間(両端を含む)であり;および
各L2は、独立して以下の構造:
(-X1-L3-Z1-)
式III
を有し、式中:
X1は、C=O(NR1)、C=S(NR1)、OC=O(NR1)、NR1C=O(O)、NR1C=O(NR1)、-CH2PhC=O(NR1)、-CH2Ph(NH)C=S(NR1)、O、またはNR1であり;および各R1は、独立してH、必要に応じて置換されたC1~C6アルキル、必要に応じて置換されたC1~C6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり、C1~C6アルキルが、オキソ(=O)、ヘテロアリール、またはその組合せによって置換されていてもよく;
L3は、必要に応じて置換されたC1~C50アルキルまたは必要に応じて置換されたC1~C50ヘテロアルキルであり;ならびに
Z1は、CH2、C=O、C=S、OC=O、NR1C=O、またはNR1であり、式中R1は、水素、または必要に応じて置換されたC1~C6アルキル、またはピロリジン-2,5-ジオンである。
【0011】
一部の実施形態では、L3は、C5~C20ポリエチレングリコールである。
【0012】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩は、以下の構造:
【化1】
を含み、
式中、BはFGFR3標的化部分である。
【0013】
一部の実施形態では、FGFR3標的化部分は、少なくとも100kDaのサイズ、例えば、少なくとも150kDaのサイズ、少なくとも200kDaのサイズ、少なくとも250kDaのサイズ、または少なくとも300kDaのサイズである。
【0014】
一部の実施形態では、FGFR3標的化部分は、ヒトFGFR3に結合することが可能である。一部の実施形態では、FGFR3標的化部分は、野生型FGFR3に結合することが可能である。一部の実施形態では、FGFR3標的化部分は、変異体FGFR3に結合することが可能である。一部の実施形態では、FGFR3標的化部分は、野生型および変異体FGFR3の両方に結合することが可能である。
【0015】
一部の実施形態では、変異体FGFR3は、点変異を含み、例えば点変異はがんに関連する。一部の実施形態では、点変異体は、FGFR3Y375C、FGFR3R248C、FGFR3S249C、FGFR3G372C、FGFR3K652E、FGFR3K652Q、FGFR3K652M、およびその組合せからなる群より選択される。
【0016】
一部の実施形態では、変異体FGFR3は、FGFR3融合を含む。一部の実施形態では、FGFR3融合は、FGFR3-TACC3、FGFR3-CAMK2A、FGFR3-JAKMOP1、FGFR3-TNIP2、FGFR3-WHSC1、FGFR3-BAIAP2L1、およびその組合せからなる群より選択される。
【0017】
一部の実施形態では、FGFR3標的化部分は、抗体またはその抗原結合性断片、例えばヒト化抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0018】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む。
【0019】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む。
【0020】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも3つのCDRを含む。
【0021】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも4つのCDRを含む。
【0022】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも5つのCDRを含む。
【0023】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
を含む。
【0024】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;および
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0025】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0026】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0027】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0028】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
を含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
を含む軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0029】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変ドメイン
を含む。
【0030】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、(i)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および(ii)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。
【0031】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、(i)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および(ii)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。
【0032】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、(i)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および(ii)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。
【0033】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、(i)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン;および(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0034】
一部の実施形態では、抗体は、MFGR1877S(ボファタマブ(vofatamab))である。
【0035】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートまたはその組成物を哺乳動物に投与後、腸経路、腎経路、または両方の経路により排泄された放射線の割合は、参照ラジオイムノコンジュゲートを投与されている同等な哺乳動物によって同じ経路(複数可)により排泄された放射線の割合より少なくとも2倍高い。
【0036】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートまたはその組成物を哺乳動物に投与後、腸経路、腎経路、または両方の経路により排泄された放射線の割合は、参照ラジオイムノコンジュゲートを投与されている同等な哺乳動物によって同じ経路(複数可)により排泄された放射線の割合より少なくとも3倍高い。
【0037】
一部の実施形態では、A-L-は、以下:
【化2-1】
【化2-2】
からなる群より選択される化合物の金属錯体である。
【0038】
一部の実施形態では、A-L-は、以下:
【化3】
の金属錯体である。
【0039】
一部の実施形態では、A-L-は、以下:
【化4】
の金属錯体であり、金属錯体は、放射性核種、例えばアルファ放射体(例えば、アスタチン-211(
211At)、ビスマス-212(
212Bi)、ビスマス-213(
213Bi)、アクチニウム-225(
225Ac)、ラジウム-223(
223Ra)、鉛-212(
212Pb)、トリウム-227(
227Th)、およびテルビウム-149(
149Tb)、またはその子孫核種)を含む。一部の実施形態では、FGFR3標的化部分は、抗体またはその抗原結合性断片(例えば、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片)である。
【0040】
一部の実施形態では、A-L-は、以下:
【化5】
の金属錯体であり、金属錯体は、
225Acまたはその子孫核種を含み、FGFR3標的化部分は、MFGR1877S(ボファタマブ)またはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、FGFR3標的化部分は、MFGR1877S(ボファタマブ)である。
【0041】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートは以下の構造:
【化6】
を含み、
式中、
【化7】
は、MFGR1877S(ボファタマブ)であり、上記で示される抗体に結合したアミン基NH-は、抗体の一部であるリシン単位に由来する。
【0042】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるラジオイムノコンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
【0043】
ある特定の実施形態では、がんを処置する方法であって、それを必要とする対象に、有効量の本明細書に記載されるラジオイムノコンジュゲートを含む医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。
【0044】
一部の実施形態では、対象は哺乳動物、例えばヒトである。
【0045】
一部の実施形態では、がんは、固形腫瘍がんである。一部の実施形態では、固形腫瘍がんは、副腎皮質癌、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん(cervical cancer)、結腸直腸がん、子宮内膜腺癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、神経膠腫、頭頸部がん、肝臓がん、肺がん、神経芽腫、神経内分泌がん、膵臓がん、前立腺がん、腎細胞癌、唾液腺腺様嚢胞がん、または精母細胞性セミノーマ(spermatocytic seminoma)である。一部の実施形態では、固形腫瘍がんは膀胱がんである。一部の実施形態では、固形腫瘍がんは神経膠腫である。一部の実施形態では、固形腫瘍がんは神経芽腫である。一部の実施形態では、固形腫瘍がんは膵臓がんである。一部の実施形態では、固形腫瘍がんは乳がんである。一部の実施形態では、固形腫瘍がんは頭頸部がんである。一部の実施形態では、固形腫瘍がんは肝臓がん(live cancer)である。一部の実施形態では、固形腫瘍がんは肺がんである。
【0046】
一部の実施形態では、がんは、非固形腫瘍がんである。一部の実施形態では、がんは、液性がんまたは血液がん、例えば、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)、白血病、またはリンパ腫である。
【0047】
一部の実施形態では、医薬組成物は、全身投与される。例えば、一部の実施形態では、医薬組成物は、非経口投与、例えば静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、または皮内投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は、腸投与、例えば経消化管(trans-gastrointestinally)または経口投与される。
【0048】
一部の実施形態では、医薬組成物は、局所に、例えば腫瘍周囲注射または腫瘍内注射によって投与される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1A】
図1Aは、キレート、リンカー、および標的化部分を含むコンジュゲートの一般的構造を表す概略図である。
【0050】
【
図1B】
図1Bは、本明細書に開示される例示的なラジオイムノコンジュゲートである[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3の構造を表す概略図である。
【0051】
【
図2】
図2は、二官能性キレートである4-{[11-オキソ-11-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)ウンデシル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物B)の合成を表す概略図である。化合物Bの合成を実施例2に記載する。
【0052】
【
図3】
図3は、二官能性キレートである4-{[2-(2-{2-[3-オキソ-3-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)プロポキシ]エトキシ}エトキシ)エチル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物C)の合成を表す概略図である。化合物Cの合成を実施例4に記載する。
【0053】
【
図4】
図4A~4Cは、RT4(
図4A)、RT112(
図4B)、およびHepG2(
図4C)FGFR3陽性腫瘍細胞に対する標識されていないDOTA-抗FGFR3結合の結合曲線である。実施例16を参照されたい。
【0054】
【
図5】
図5は、RT4(膀胱がん)異種移植片腫瘍を有し、[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3を注射されたマウスにおける生体分布試験の結果を表すプロットを示す。組織1グラムあたりのパーセンテージ注射用量(%ID/g)を、x軸にプロットし、血液、腎臓、肝臓、肺、脾臓、皮膚、腫瘍、および尾に関して、4、24、48、96、および168時間で示す。実施例17を参照されたい。
【0055】
【
図6A】
図6Aは、RT112(膀胱がん)異種移植片腫瘍を有し、[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3を注射されたマウスにおける生体分布試験の結果を表すプロットを示す。%ID/gをx軸にプロットし、血液、腸、腎臓および副腎、肝臓および胆嚢、肺、脾臓、皮膚、膀胱、尿、および腫瘍に関して4、24、48、および96時間で示す。実施例18を参照されたい。
【0056】
【
図6B】
図6Bは、RT112(膀胱がん)異種移植片腫瘍を有し、コールド抗FGFR3の前用量の後に[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3を注射されたマウスにおける生体分布試験の結果を表すプロットを示す。%ID/gをx軸にプロットし、血液、腸、腎臓および副腎、肝臓および胆嚢、肺、脾臓、皮膚、膀胱、尿、および腫瘍に関して4、24、48、および96時間で示す。マウスに、100μgのコールド(非放射性、コンジュゲートされていない)抗FGFR3抗体の前用量を、[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3を投与する3時間前に投与した。実施例18を参照されたい。
【0057】
【
図7】
図7A~7Cは、RT112(膀胱がん)異種移植片腫瘍を有し、コールド抗FGFR3および[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3を同時投与されたマウスにおける生体分布試験の結果を表すプロットを示す。%ID/gをx軸にプロットし、血液、腸、腎臓、肝臓、肺、脾臓、皮膚、膀胱、尿、および腫瘍に関して24および96時間で示す。マウスに、50μg(
図7A)、100μg(
図7B)、または200μg(
図7C)のコールド抗FGFR3を同時投与した;コールド抗FGFR3を、[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3と同時に投与した。実施例19を参照されたい。
【0058】
【
図8】
図8A~8Bは、RT112(膀胱がん)異種移植片腫瘍を有し、コールド抗FGFR3および[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3(
図8A)または[
111In]-DOTA-抗FGFR3(
図8B)のいずれかを同時投与されたマウスにおける生体分布試験の結果を表すプロットを示す。%ID/gをx軸にプロットし、血液、腸、腎臓、肝臓、肺、脾臓、皮膚、膀胱、および腫瘍に関して4、24、48、96、および168時間で示す。マウスに、100μgのコールド抗FGFR3を、[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3と同時投与した。実施例19を参照されたい。
【0059】
【
図9A】
図9Aおよび9Bは、実験の開始時にRT112異種移植片腫瘍を有したマウスにおける相対的腫瘍体積(
図9A)および相対的体重(
図9B)を示すプロットである。相対的腫瘍体積(
図9A)および相対的体重(
図9B)を、[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3による処置後の様々な時点で示す。マウスに、100μgのコールド抗FGFR3の前用量を、[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3を投与する3時間前に投与した。実施例20を参照されたい。
【
図9B】
図9Aおよび9Bは、実験の開始時にRT112異種移植片腫瘍を有したマウスにおける相対的腫瘍体積(
図9A)および相対的体重(
図9B)を示すプロットである。相対的腫瘍体積(
図9A)および相対的体重(
図9B)を、[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3による処置後の様々な時点で示す。マウスに、100μgのコールド抗FGFR3の前用量を、[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3を投与する3時間前に投与した。実施例20を参照されたい。
【0060】
【
図10A】
図10Aおよび10Bは、実験の開始時にRT112異種移植片腫瘍を有したマウスにおける相対的腫瘍体積(
図10A)および相対的体重(
図10B)を示すプロットである。相対的腫瘍体積(
図10A)および相対的体重(
図10B)を、[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3による処置後の様々な時点で示す。マウスに、100μgのコールド抗FGFR3を同時投与した。実施例21を参照されたい。
【
図10B】
図10Aおよび10Bは、実験の開始時にRT112異種移植片腫瘍を有したマウスにおける相対的腫瘍体積(
図10A)および相対的体重(
図10B)を示すプロットである。相対的腫瘍体積(
図10A)および相対的体重(
図10B)を、[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3による処置後の様々な時点で示す。マウスに、100μgのコールド抗FGFR3を同時投与した。実施例21を参照されたい。
【発明を実施するための形態】
【0061】
詳細な説明
ラジオイムノコンジュゲートを、目的の細胞を傷害および殺滅するための放射性ペイロードを送達するために、疾患状態において上方調節されているタンパク質または受容体を標的化するように設計する(放射免疫療法)。そのようなペイロードを、放射性崩壊を介して送達するプロセスは、アルファ、ベータ、またはガンマ粒子、またはオージェ電子を産生し、これらは、DNAに対して直接的な効果(例えば、一本鎖または二本鎖DNA切断など)またはバイスタンダー効果もしくはクロスファイア効果などの間接的効果を引き起こし得る。
【0062】
ラジオイムノコンジュゲートは典型的に、生物学的標的化部分(例えば、ヒトFGFR3に特異的に結合することが可能な抗体またはその抗原結合性断片)、放射性同位体、および両者を連結する分子を含有する。二官能性キレートを、標的親和性を維持しながら構造の変更が最小限となるように生物学的標的化分子に追加すると、コンジュゲートが形成される。放射標識された後、最終的なラジオイムノコンジュゲートが形成される。
【0063】
二官能性キレートは、構造的にキレート、リンカー、および標的化部分、例えば抗体またはその抗原結合性断片を含有する(
図1)。新規二官能性キレートを開発する場合、ほとんどの努力は、分子のキレート部分周辺に集中している。標的化された部分にコンジュゲートされた様々な環状および非環状構造を有する二官能性キレートのいくつかの例が記載されている[Bioconjugate Chem. 2000, 11, 510-519;Bioconjugate Chem. 2012, 23, 1029-1039;Mol Imaging Biol. 2011, 13, 215-221, Bioconjugate Chem. 2002, 13, 110-115]。
【0064】
安全かつ有効なラジオイムノコンジュゲートの開発における重要な要因の1つは、正常な組織におけるオフターゲット毒性を最小限にしながら有効性を最大にすることである。ここに述べたことは、新薬開発の中心教義の1つであるが、これを放射免疫療法に適用することは新たな課題となる。ラジオイムノコンジュゲートは、治療有効性を有するために、治療抗体の場合に必要とされるように受容体を遮断する必要はなく、または抗体薬物コンジュゲートの場合に必要とされるように細胞傷害性ペイロードを細胞内に放出する必要はない。しかし、毒性粒子の放出は、一次(放射性)崩壊の結果として起こる事象であり、投与後の体の内部のどこでも無作為に起こり得る。放出が起こると、放出の範囲内で周囲の細胞に傷害が起こり、オフターゲット毒性の可能性をもたらし得る。したがって、正常組織に対するこれらの放出の曝露を制限することは、新薬を開発するために重要である。
【0065】
オフターゲット曝露を低減させる1つの可能性がある方法は、体から(例えば、体における正常な組織から)放射能をより有効に除去することである。1つのメカニズムは、生物学的標的化剤のクリアランス速度を増加させることである。このアプローチは、おそらく生物学的標的化剤の半減期を短縮する方法を同定することを必要とするが、この方法は生物学的標的化剤に関して十分に記載されていない。メカニズムによらず、薬物クリアランスを増加させることはまた、薬物の体からのより急速な除去が作用部位での有効濃度を低下させ、そのためより高い総線量を必要とし、正常組織への総放射能線量を低減させる所望の結果を達成しないという点で、薬力学/有効性に負の影響を及ぼす。
【0066】
他の努力は、放射性部分を含有する分子の部分の代謝を加速させることに集中している。この目的のため、「切断可能リンカー」と称するものを使用して、生物学的標的化剤からの放射能の切断速度を増加させるいくらかの努力が行われている。しかし、切断可能リンカーは、それがラジオイムノコンジュゲートに関する場合は、異なる意味で捉えられている。Cornelissenらは、切断可能リンカーを、それによって二官能性コンジュゲートが、還元されたシステインを通して生物学的標的化剤に結合するものとして記載しているが、他の研究者らは、放出させるためにラジオイムノコンジュゲートと切断剤/酵素との同時投与を必要とする酵素切断可能系の使用を記載している[Mol Cancer Ther. 2013, 12(11), 2472-2482;Methods Mol Biol. 2009, 539, 191-211;Bioconjug Chem. 2003, 14(5), 927-33]。これらの方法は、システイン連結の場合には生物学的標的化部分の性質を変化させ、または提供される引用の場合では2つの作用物質の投与を必要とすることから、薬物開発の視点(酵素切断可能系)から実際的ではない。
【0067】
本開示は、中でも異化および/または代謝後に体からより有効に排除されるが、治療有効性を維持しているラジオイムノコンジュゲートを提供する。本開示のイムノコンジュゲートは、一部の実施形態では、公知の二官能性キレートと比較した場合に、例えば無傷分子の薬物動態を維持しながら、異化/代謝産物の排泄の程度を増加させることによって全身放射能の低減を達成し得る。一部の実施形態では、放射能のこの低減は、他のin vitroおよびin vivo特性、例えば結合特異性(in vitro結合)、細胞保持、およびin vivoでの腫瘍取り込みに影響を及ぼすことなく、異化/代謝副産物のクリアランスに起因する。このように、一部の実施形態では、提供されるラジオイムノコンジュゲートは、オンターゲット活性を維持しながらヒトの体における放射能の低減を達成する。
【0068】
定義
本明細書で使用される場合、「抗体」は、そのアミノ酸配列が、指定された抗原またはその断片に特異的に結合する免疫グロブリンおよびその断片を含むポリペプチドを指す。本発明に従う抗体は、任意のタイプ(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgM)またはサブタイプ(例えば、IgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)の抗体であり得る。当業者は、抗体の特徴的な配列または部分が、抗体の1つまたは複数の領域(例えば、可変領域、超可変領域、定常領域、重鎖、軽鎖、およびその組合せ)に見出されるアミノ酸を含み得ることを認識するであろう。その上、当業者は、抗体の特徴的な配列または部分が1つまたは複数のポリペプチド鎖を含み得ること、および同じポリペプチド鎖または異なるポリペプチド鎖に見出される配列エレメントを含み得ることを認識するであろう。
【0069】
本明細書で使用される場合、「抗原結合性断片」は、親抗体の結合特徴を保持する抗体の部分を指す。
【0070】
本明細書で使用される場合、標的化部分の「結合する」または「結合すること」という用語は、標的分子、例えば本明細書に記載される、例えばヒトFGFR3および/または変異体FGFR3との、またはそれらへの少なくとも一時的な相互作用または会合を意味する。
【0071】
「二官能性キレート」または「二官能性コンジュゲート」という用語は、本明細書で互換的に使用され、キレートまたはその金属錯体、リンカー、および標的化部分、例えば抗体またはその抗原結合性断片を含む化合物を指す。例えば、式I-aまたは
図1を参照されたい。
【0072】
「がん」という用語は、悪性新生物細胞の増殖によって引き起こされる任意のがん、例えば腫瘍、新生物、癌腫、肉腫、白血病、およびリンパ腫を指す。「固形腫瘍がん」は、組織の異常な塊を含むがん、例えば肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。「血液がん」または「液性がん」は、本明細書で互換的に使用され、体液中に存在するがん、例えば、リンパ腫および白血病である。
【0073】
「キレート」という用語は、本明細書で使用される場合、2つまたはそれより多くの点で中心の金属または放射性金属原子に結合することができる有機化合物またはその一部を指す。
【0074】
「コンジュゲート」という用語は、本明細書で使用される場合、キレート基またはその金属錯体、リンカー基を含有し、必要に応じて標的化部分、例えば抗体またはその抗原結合性断片を含有する分子を指す。
【0075】
本明細書で使用される場合、「化合物」という用語は、表される構造の全ての立体異性体、幾何異性体、および互変異性体を含むことを意味する。
【0076】
本明細書で列挙または記載される化合物は、非対称(例えば、1つまたは複数の立体中心を有する)であり得る。他のことが示されていない限り、全ての立体異性体、例えばエナンチオマーおよびジアステレオマーが意図される。非対称に置換された炭素原子を含有する本開示で考察される化合物は、光学活性型またはラセミ型で単離することができる。光学活性な出発材料から光学活性型を調製する方法は、当技術分野で公知であり、例えばラセミ混合物の分割または立体選択的合成による。
【0077】
本明細書で使用される場合、「検出剤」は、抗原を含有する細胞の位置を特定することにより、疾患を診断するために有用である分子または原子を指す。検出剤によりポリペプチドを標識する様々な方法が当技術分野で公知である。検出剤の例としては、放射性同位体および放射性核種、色素(例えば、ビオチン-ストレプトアビジン複合体など)、造影剤、発光剤(例えば、フルオレセインイソチオシアネートまたはFITC、ローダミン、ランタニド蛍光体、シアニン、および近IR色素)、および磁性作用物質、例えばガドリニウムキレートが挙げられるがこれらに限定されない。
【0078】
本明細書で使用される場合、「放射性核種」という用語は、放射性崩壊を受けることが可能な原子(例えば、3H、14C、15N、18F、35S、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、75Br、76Br、77Br、89Zr、86Y、87Y、90Y、97Ru、99Tc、99mTc、105Rh、109Pd、111In、123I、124I、125I、131I、149Pm、149Tb、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、198Au、199Au、203Pb、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、227Th、229Th、66Ga、67Ga、68Ga、82Rb、117mSn、201Tl)を指す。放射性核種(radioactive nuclide)、放射性同位体(radioisotope)、または放射性同位体(radioactive isotope)という用語もまた、放射性核種を記載するために使用され得る。放射性核種は、本明細書に記載される検出剤として使用され得る。一部の実施形態では、放射性核種は、アルファ放出性の放射性核種であり得る。
【0079】
薬剤(例えば、前述のコンジュゲートのいずれか)の「有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、有益なまたは所望の結果、例えば臨床結果をもたらすために十分なその量であり、そのため「有効量」は、それが適用される文脈に依存する。例えば、治療適用では、「有効量」は、障害およびその合併症の症状を治癒するまたはその症状を少なくとも部分的に停止させるために、および/または疾患もしくは医学的状態に関連する少なくとも1つの症状を実質的に改善するために十分な量であり得る。例えば、がんの処置では、疾患または状態の任意の症状を減少させる、防止する、遅らせる、抑制する、または停止させる薬剤または化合物は、治療的に有効であろう。薬剤または化合物の治療有効量は、疾患または状態を治癒する必要はないが、例えば疾患もしくは状態の開始が遅延される、妨害される、もしくは防止されるように、疾患もしくは状態の症状が改善されるように、または疾患もしくは状態の期間が変化するように、疾患または状態の処置を提供し得る。例えば、疾患または状態は、個体においてより重度でなくなるか、および/または回復が加速する。有効量は、1回用量または複数回(例えば、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、または少なくとも6回)用量を投与することによって投与され得る。
【0080】
「イムノコンジュゲート」という用語は、本明細書で使用される場合、標的化部分、例えば抗体(またはその抗原結合性断片)、ナノボディ(nanobody)、アフィボディ(affibody)、またはフィブロネクチンIII型ドメインからのコンセンサス配列を含むコンジュゲートを指す。一部の実施形態では、イムノコンジュゲートは、標的化部分あたり少なくとも0.10コンジュゲートの平均値(例えば、標的化部分あたり少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、4、5、または8コンジュゲートの平均値)を含む。
【0081】
「ラジオコンジュゲート」という用語は、本明細書で使用される場合、放射性同位体または放射性核種、例えば本明細書に記載される任意の放射性同位体または放射性核種を含む任意のコンジュゲートを指す。
【0082】
「ラジオイムノコンジュゲート」という用語は、本明細書で使用される場合、放射性同位体または放射性核種、例えば本明細書に記載される任意の放射性同位体または放射性核種を含む任意のイムノコンジュゲートを指す。
「放射免疫療法」という用語は、本明細書で使用される場合、治療効果を生じるためにラジオイムノコンジュゲートを使用する方法を指す。一部の実施形態では、放射免疫療法は、それを必要とする対象にラジオイムノコンジュゲートを投与することを含み得、ラジオイムノコンジュゲートの投与は、対象において治療効果を生じる。一部の実施形態では、放射免疫療法は、細胞にラジオイムノコンジュゲートを投与することを含み得、ラジオイムノコンジュゲートの投与は細胞を殺滅する。放射免疫療法が、細胞の選択的殺滅を伴う場合、一部の実施形態では、細胞は、がんを有する対象におけるがん細胞である。
【0083】
「医薬組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、薬学的に許容される賦形剤と共に製剤化された、本明細書に記載されるラジオイムノコンジュゲートを含有する組成物を表す。一部の実施形態では、医薬組成物は、政府の規制当局の承認を得、哺乳動物における疾患の処置のための治療レジメンの一部として製造または販売される。医薬組成物は、例えば、単位剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット(caplet)、ジェルキャップ(gelcap)、またはシロップ剤)で経口投与するために;局所投与するために(例えば、クリーム、ゲル、ローション、または軟膏として);静脈内投与するために(例えば、微粒子塞栓を含まない滅菌溶液として、および静脈内での使用に適した溶媒系で);または本明細書に記載される任意の他の製剤中で製剤化することができる。
【0084】
「薬学的に許容される賦形剤」は、本明細書で使用される場合、患者において非毒性および非炎症性であるという特性を有する、本明細書に記載される化合物以外の任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁または溶解することが可能なビヒクル)を指す。賦形剤は、例えば付着防止剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング、圧縮補助剤、崩壊剤、色素(染料)、皮膚軟化剤、乳化剤、増量剤(希釈剤)、被膜形成剤またはコーティング、矯味矯臭剤、芳香剤、流動促進剤(glidant)(流動増強剤)、滑沢剤、保存剤、印刷インク、放射線保護剤、吸着剤、懸濁化剤または分散剤、甘味料、または湿潤化(hydration)のための水を含み得る。例示的な賦形剤としては、アスコルビン酸、ヒスチジン、リン酸緩衝液、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋型ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化シリコン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(コーン)、ステアリン酸、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、およびキシリトールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0085】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書で使用される場合、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、またはアレルギー応答を起こすことなく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するために適した本明細書に記載される化合物の塩を表す。薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知である。例えば、薬学的に許容される塩は:Berge et al., J. Pharmaceutical Sciences 66:1-19, 1977およびPharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, (Eds. P.H. Stahl and C.G. Wermuth), Wiley-VCH, 2008に記載されている。塩は、本明細書に記載される化合物の最終的な単離および精製の間にin situで、または遊離の塩基の基を適した有機酸と反応させることによって別個に調製することができる。
【0086】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩として調製することが可能であるようにイオン化可能な基を有し得る。これらの塩は、無機酸もしくは有機酸を含む酸付加塩であってもよく、または塩は、本発明の化合物の酸性形態の場合、無機塩基もしくは有機塩基から調製されてもよい。しばしば化合物は、薬学的に許容される酸または塩基の付加産物として調製される薬学的に許容される塩として調製または使用される。適した薬学的に許容される酸および塩基は当技術分野で周知であり、例えば酸付加塩を形成するための塩酸、硫酸、臭化水素酸、酢酸、乳酸、クエン酸、または酒石酸、ならびに塩基性の塩を形成するための水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、カフェイン、様々なアミンである。適切な塩を調製する方法は当技術分野で十分に確立されている。
【0087】
代表的な酸付加塩としては、中でも酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩が挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウム、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、およびエチルアミンを含むがこれらに限定されない非毒性のアンモニウム、4級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられる。
【0088】
「ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、ペプチド結合によって互いに結合した一続きの少なくとも2つのアミノ酸を指す。一部の実施形態では、ポリペプチドは、その各々が少なくとも1つのペプチド結合によって他に結合している少なくとも3~5個のアミノ酸を含み得る。当業者は、ポリペプチドが、それでもポリペプチド鎖に組み込むことが可能な1つまたは複数の「非天然」のアミノ酸または他の実体を含み得ることを認識するであろう。一部の実施形態では、ポリペプチドをグリコシル化してもよく、例えばポリペプチドは、1つまたは複数の共有結合により連結された糖部分を含有し得る。一部の実施形態では、単一の「ポリペプチド」(例えば、抗体ポリペプチド)は、2つまたはそれより多くの個々のポリペプチド鎖を含んでもよく、これらは一部の場合では、例えば1つまたは複数のジスルフィド結合または他の手段によって互いに連結されてもよい。
【0089】
「対象」は、ヒトまたは非ヒト動物(例えば、哺乳動物)を意味する。
【0090】
「実質的な同一性」または「実質的に同一な」は、2つの配列を最適に整列させた場合に、それぞれ参照配列と同じポリペプチド配列を有する、またはそれぞれ参照配列内の対応する位置で同じであるアミノ酸残基の指定されたパーセンテージを有するポリペプチド配列を意味する。例えば、参照配列と「実質的に同一である」アミノ酸配列は、参照アミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する。ポリペプチドの場合、比較配列の長さは、一般的に少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、50、75、90、100、150、200、250、300、または350連続アミノ酸(例えば、全長の配列)であろう。配列同一性は、配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center、1710 University Avenue、Madison、WI53705)をデフォルト設定で使用して測定され得る。そのようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、および他の改変に対して相同性の程度を割り当てることによって類似の配列を一致させ得る。
【0091】
本明細書で使用される場合、「標的化部分」という用語は、所定の標的に結合することが可能な任意の分子または分子の任意の部分を指す。「FGFR3標的化部分」という用語は、FGFR3分子、例えば、ヒトFGFR3、例えば野生型または変異体FGFR3に結合することが可能な標的化部分を指す。
【0092】
本明細書で使用される場合、および当技術分野で十分に理解されているように、状態(例えば、がんなどの本明細書に記載される状態)を「処置する」または状態の「処置」は、有益なまたは所望の結果、例えば臨床結果を得るためのアプローチである。有益なまたは所望の結果は、検出可能であるか検出不能であるかによらず、1つまたは複数の症状または状態の軽減または改善;疾患、障害、または状態の程度の減少;疾患、障害、または状態の安定化した(すなわち、悪化しない)状況;疾患、障害、または状態の広がりの防止;疾患、障害、または状態の進行の遅延または減速;疾患、障害、または状態の改善または緩和;および寛解(部分寛解であるか完全寛解であるかによらず)を含み得るが、これらに限定されない。疾患、障害、または状態を「緩和する」ことは、処置の非存在下での程度または時間経過と比較して、疾患、障害、または状態の程度および/もしくは望ましくない臨床症状発現が弱められるか、ならびに/または進行の時間経過が減速されるもしくは長くなることを意味する。
【0093】
本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」という用語は、定量的値を参照して使用される場合、それ以外であることを具体的に述べていない限り、列挙された定量的値そのものを含む。本明細書で使用される場合、「約」、または「およそ」という用語は、本文がそれ以外であることを示していない限り、または本文から推論されない限り、列挙された定量的値から±10%の変動を指す。
【0094】
ラジオイムノコンジュゲート
一態様では、本開示は、式I-aの構造:
A-L-B
式I-a
を有し、
式中、Aが、キレート部分またはその金属錯体であり、
式中、Bが、FGFR3標的化部分であり、および
式中、Lが、リンカーである
ラジオイムノコンジュゲートを提供する。
【0095】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートは、式IIに示される構造:
【化8】
を有するかまたは含み、
式中、BはFGFR3標的化部分である。
【0096】
一部の実施形態では、A-L-は、以下:
【化9-1】
【化9-2】
【化9-3】
からなる群より選択される化合物の金属錯体である。
【0097】
一部の実施形態では、本明細書にさらに記載されるように、ラジオイムノコンジュゲートは、キレート部分またはその金属錯体を含み、金属錯体は放射性核種を含み得る。一部のそのようなラジオイムノコンジュゲートにおいて、キレート部分のFGFR3標的化部分に対する比の平均値または比の中央値は、8もしくはそれ未満、7もしくはそれ未満、6もしくはそれ未満、5もしくはそれ未満、4もしくはそれ未満、3もしくはそれ未満、2もしくはそれ未満、または約1である。一部のラジオイムノコンジュゲートでは、キレート部分のFGFR3標的化部分に対する比の平均値または比の中央値は約1である。
【0098】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートを哺乳動物に投与後、腸経路、腎経路、または両方により排泄される放射線の割合(投与される放射線の全量の割合)は、参照ラジオイムノコンジュゲートを投与されている同等な哺乳動物によって排泄される放射線の割合より高い。「参照イムノコンジュゲート」とは、本明細書に記載されるラジオイムノコンジュゲートと、少なくとも(1)異なるリンカーを有すること;(2)異なるサイズの標的化部分を有すること、および/または(3)標的化部分を欠如すること、によって異なる公知のラジオイムノコンジュゲートを意味する。一部の実施形態では、参照ラジオイムノコンジュゲートは、[90Y]-イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(90Y))および[111In]-イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(111In))からなる群より選択される。
【0099】
一部の実施形態では、所定の経路または経路の組により排泄される放射線の割合は、参照ラジオイムノコンジュゲートを投与されている同等な哺乳動物によって、同じ経路により排泄される放射線の割合より少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%高い。一部の実施形態では、排泄される放射線の割合は、参照ラジオイムノコンジュゲートを投与されている同等な哺乳動物によって排泄される放射線の割合より少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍高い。排泄の程度は、当技術分野で公知の方法によって、例えば尿および/もしくは便中の放射能を測定することによって、ならびに/または一定期間での全身放射能を測定することによって測定することができる。例えば、国際特許公開WO2018/024869号も参照されたい。
【0100】
一部の実施形態では、排泄の程度は、投与後少なくとももしくは約12時間、投与後少なくとももしくは約24時間、投与後少なくとももしくは約2日、投与後少なくとももしくは約3日、投与後少なくとももしくは約4日、投与後少なくとももしくは約5日、投与後少なくとももしくは約6日、または投与後少なくとももしくは約7日の期間で測定される。
【0101】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートを哺乳動物に投与後、ラジオイムノコンジュゲートは、参照コンジュゲート(例えば、参照ラジオイムノコンジュゲートなどの参照イムノコンジュゲート)と比較して、減少したオフターゲット結合効果(例えば、毒性)を示す。一部の実施形態では、この減少したオフターゲット結合効果は、本明細書に記載されるより大きい排泄速度も示すラジオイムノコンジュゲートの特色である。
【0102】
標的化部分
標的化部分は、所定の標的、例えばFGFR3に結合することが可能である任意の分子または分子の任意の部分を含む。一部の実施形態では、標的化部分は、タンパク質またはポリペプチドを含む。一部の実施形態では、標的化部分は、抗体またはその抗原結合性断片、ナノボディ、アフィボディ、およびフィブロネクチンIII型ドメインからのコンセンサス配列(例えば、センチリンまたはアドネクチン)からなる群より選択される。一部の実施形態では、部分は、標的化部分と治療部分の両方であり、すなわち、部分は、所定の標的に結合することが可能で、なおかつ治療利益も付与する。一部の実施形態では、標的化部分は低分子を含む。
【0103】
一部の実施形態では、標的化部分は、少なくとも50kDa、少なくとも75kDa、少なくとも100kDa、少なくとも125kDa、少なくとも150kDa、少なくとも175kDa、少なくとも200kDa、少なくとも225kDa、少なくとも250kDa、少なくとも275kDa、または少なくとも300kDaの分子量を有する。
【0104】
典型的に、標的化部分は、FGFR3、例えば、野生型および/または変異体FGFR3に結合することが可能である。一部の実施形態では、標的化部分は、ヒトFGFR3、例えば野生型および/または変異体ヒトFGFR3に結合することが可能である。
【0105】
一部の実施形態では、標的化部分は、FGFR3に特異的に結合することが可能である(例えば、他のFGFRタンパク質などの他のキナーゼに対して比較的ほとんどまたは全く結合を示すことなく、FGFR3に結合することが可能である)。
【0106】
一部の実施形態では、標的化部分は、FGFR3の細胞外領域、例えばIgD1領域、IgD2領域、IgD3領域、IgD1とIgD2の間のリンカー領域、IgD2とIgD3の間のリンカー領域、または細胞外膜近傍ドメインに結合することが可能である。一部の実施形態では、標的化部分は、IgD2とIgD3の間のリンカー領域に結合することが可能である。一部の実施形態では、標的化部分は、細胞外膜近傍ドメインに結合することが可能である。
【0107】
一部の実施形態では、標的化部分は、FGFR3のIIIbアイソフォームに結合することが可能である。一部の実施形態では、標的化部分は、FGFR3のIIIcアイソフォームに結合することが可能である。一部の実施形態では、標的化部分は、FGFR3のIIIbおよびIIIcアイソフォームの両方に結合することが可能である。
【0108】
一部の実施形態では、標的化部分は、変異体FGFR3、例えば変異体ヒトFGFR3に結合することが可能である。一部のFGFR3変異は、不対システインを生じ、これはリガンド非依存的な受容体の二量体形成および/または構成的活性化をもたらし得る。一部の実施形態では、変異体FGFR3は、活性化変異体であり、および/またはがんに関連する。
【0109】
一部の実施形態では、標的化部分は、野生型FGFR3、およびがんに関連する少なくとも1つの変異体FGFR3に結合することが可能である。
【0110】
一部の実施形態では、変異体FGFR3は、FGFR3の細胞外領域に変異を含む。例えば、一部の実施形態では、変異体FGFR3は、IgD2とIgD3の間のリンカー領域および/またはFGFR3の細胞外膜近傍領域に変異を含む。
【0111】
一部の実施形態では、変異体FGFR3は、FGFR3の細胞内領域、例えばFGFR3のキナーゼドメインに変異を含む。
【0112】
一部の実施形態では、変異体FGFR3は、点変異を含む。がんに関連するFGFR3点変異の非制限的な例としては、FGFR3Y375C、FGFR3R248C、FGFR3S249C、FGFR3G372C、FGFR3K652E、FGFR3K652Q、FGFR3K652M、およびその組合せが挙げられる。
【0113】
一部の実施形態では、変異体FGFR3は、リガンド依存的(例えば、FGFR3G372CまたはFGFR3Y375C)である。一部の実施形態では、変異体FGFR3は、構成的に活性である(例えば、FGFR3R248CまたはFGFR3S249C)。一部の実施形態では、変異体FGFR3は、リガンド依存的および構成的に活性の両方である(例えば、FGFR3K652E)。
【0114】
一部の実施形態では、変異体FGFR3は、FGFR3融合、例えば構成的に活性化されたおよび/または発癌性融合、例えば転座から生じる融合を含む。例えば、FGFR3-TACC3、FGFR3-CAMK2A、FGFR3-JAKMOP1、FGFR3-TNIP2、FGFR3-WHSC1、およびFGFR3-BAIAP2L1(FGFR3-IRTKSとしても公知である)融合は、がんに関連している。
【0115】
一部の実施形態では、変異体FGFR3は、例えば野生型FGFR3と比較して増加したコピー数を含む、および/または高い発現をもたらす増幅性変異である。
【0116】
一部の実施形態では、標的化部分はFGFR3を阻害する。「阻害する」とは、標的化部分が、FGFR3(例えば、ヒトFGFR3)の1つまたは複数の機能を少なくとも部分的に阻害することを意味する。一部の実施形態では、標的化部分は、野生型FGFR3、例えば野生型ヒトFGFR3の1つまたは複数の機能を少なくとも部分的に阻害する。一部の実施形態では、標的化部分は、変異体FGFR3、例えば変異体ヒトFGFR3の1つまたは複数の機能を少なくとも部分的に阻害する。
【0117】
一部の実施形態では、標的化部分は、FGFR3に対するリガンド結合および/またはFGFR3の受容体二量体形成を遮断する。例えば、一部の実施形態では、リガンド結合を遮断する標的化部分は、FGFR3のIIIbおよび/またはIIIcアイソフォームとの相互作用に関してFGFリガンドと競合する。
【0118】
一部の実施形態では、標的化部分は、FGFR3受容体の下流のシグナル伝達を障害し、例えばFGFR3の1つまたは複数の下流のメディエーター、例えばFRS2α、AKT、およびp44/42 MAPKのリン酸化および/またはタンパク質もしくは転写物レベルの減少をもたらす。
【0119】
抗体
抗体は、典型的に、ジスルフィド結合によって共に連結された2つの同一の軽鎖ポリペプチド鎖および2つの同一の重鎖ポリペプチド鎖を含む。各鎖のアミノ末端に位置する第1のドメインは、アミノ酸配列が可変であり、各個々の抗体の抗体結合特異性を提供する。これらは、重鎖可変(VH)および軽鎖可変(VL)領域として公知である。各鎖の他のドメインは、アミノ酸配列が相対的に不変であり、重鎖定常(CH)および軽鎖定常(CL)領域として公知である。軽鎖は典型的に、1つの可変領域(VL)および1つの定常領域(CL)を含む。IgG重鎖は、可変領域(VH)、第1の定常領域(CH1)、ヒンジ領域、第2の定常領域(CH2)、および第3の定常領域(CH3)を含む。IgEおよびIgM抗体では、重鎖は、追加の定常領域(CH4)を含む。
【0120】
本開示において使用するために適した抗体は、例えばモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ科(camelid)抗体、キメラ抗体、一本鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体、および上記のいずれかの抗原結合性断片を含み得る。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、キメラである。抗体は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはサブクラスの抗体であり得る。
【0121】
抗体の「抗原結合性断片」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に特異的に結合する能力を保持している抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の「抗原結合性断片」という用語内に包含される結合性断片の例としては、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv断片、dAb断片(Ward et al.,(1989) Nature 341:544-546)、および単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。一部の実施形態では、「抗原結合性断片」は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。これらの抗体断片は、当業者に公知の通常の技術を使用して得ることができ、断片を、無傷抗体と同じように有用性に関してスクリーニングすることができる。
【0122】
本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、抗体の合成に関して当技術分野で公知の任意の方法によって産生することができる(例えば、Harlow et al., Antibodies : A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988); Brinkman et al., 1995, J. Immunol. Methods 182:41-50;WO92/22324号;WO98/46645号を参照されたい)。キメラ抗体は、例えば、Morrison, 1985, Science 229:1202に記載される方法を使用して産生することができ、ヒト化抗体は、例えば米国特許第6,180,370号に記載される方法によって産生することができる。
【0123】
本明細書に記載される追加の抗体は、例えばSegal et al., J. Immunol. Methods 248:1-6(2001);およびTutt et al., J. Immunol. 147: 60(1991)に記載される二特異性抗体および多価抗体、または本明細書に記載される分子のいずれかである。
【0124】
「アビマー(avimer)」は、例えばin vitroエクソンシャッフリングおよびファージディスプレイを使用して操作された多量体結合タンパク質またはペプチドに関する。複数の結合ドメインが連結され、単一エピトープの免疫グロブリンドメインと比較してより高い親和性および特異性をもたらす。
【0125】
「ナノボディ」は、単一の単量体可変抗体ドメインからなる抗体断片である。ナノボディはまた、シングルドメイン抗体とも呼ばれ得る。抗体と同様に、ナノボディは、特異的抗原に選択的に結合することが可能である。ナノボディは、重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインであり得る。ナノボディは、天然に存在し得るか、または生物学的操作の産物であり得る。ナノボディは、部位特異的変異誘発または変異原性スクリーニング(例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ)によって生物学的に操作され得る。「アフィボディ」は、特異的抗原に結合するように操作されたポリペプチドまたはタンパク質である。そのため、アフィボディは、抗体のある特定の機能を模倣すると考えられ得る。
【0126】
アフィボディは、ブドウ球菌プロテインAの免疫グロブリン結合領域におけるBドメインの操作されたバリアントであり得る。アフィボディは、Fab領域に対してより低い親和性を有するBドメインであるZドメインの操作されたバリアントであり得る。アフィボディは、部位特異的変異誘発または変異原性スクリーニング(例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ)によって生物学的に操作され得る。
【0127】
多様な異なるタンパク質(例えば、インスリン、フィブリノゲン、トランスフェリン、腫瘍壊死因子-α、IL-8、gp120、CD28、ヒト血清アルブミン、IgA、IgE、IgM、HER2、およびEGFR)に対して特異的結合を示すアフィボディ分子が生成されており、μMからpM範囲の親和性(Kd)を実証している。「ダイアボディ(diabody)」は、二価または二特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、Hudson et al.,(2003)を参照されたい。一本鎖抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部、または軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部を含む抗体断片である。抗体断片は、無傷抗体のタンパク質分解消化ならびに本明細書に記載される組換え宿主(例えば、E.coliまたはファージ)による産生を含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製することができる。
【0128】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、多重特異性、例えば二特異性である。多重特異性抗体(またはその抗原結合性断片)は、少なくとも2つの異なる部位に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体(またはその抗原結合性断片)を含む。
【0129】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片のアミノ酸配列バリアント、例えばヒトFGFR3および/または変異体FGFR3(例えば、がんに関連する変異体FGFR3)に結合することが可能なバリアントが企図される。例えば、抗体またはその抗原結合性断片の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合があり得る。抗体またはその抗原結合性断片のアミノ酸配列バリアントは、抗体もしくはその抗原結合性断片をコードするヌクレオチド配列に適切な改変を導入することによって、またはペプチド合成によって調製され得る。そのような改変は、例えば抗体またはその抗原結合性断片のアミノ酸配列内の残基の欠失、および/または挿入、および/または置換を含む。最終構築物が所望の特徴、例えば抗原結合を保有する限り、欠失、挿入、および置換の任意の組合せを作製して、最終構築物に到達することができる。
【0130】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、阻害性抗体(「アンタゴニスト抗体」とも呼ばれる)またはその抗原結合性断片、例えば本明細書においてさらに説明するように、標的分子(例えば、FGFR3)の1つまたは複数の機能を少なくとも部分的に阻害する抗体またはその抗原結合性断片である。
【0131】
阻害性抗体の非限定的な例としては、ヒト化モノクローナル抗体、例えばMFGR1877S(CAS No.1312305-12-6;Genentech)(ボファタマブとしても公知のヒトモノクローナル抗体、およびその凍結乾燥型はB-701またはR3Mabとしても公知である);PRO-001(Prochon);PRO-007(Fibron);IMC-D11(Imclone);およびAV-370(Aveo Pharmaceuticals)が挙げられる(例えば、米国特許第8,410,250号;米国特許第10,208,120号;および国際特許公開番号WO2002102972A2号、WO2002102973A2号、WO2007144893A2号、WO2010002862A2号、およびWO2010048026A2号を参照されたい)。
【0132】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、アゴニスト抗体(刺激性抗体としても公知である)である。
【0133】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、アゴニスト抗体でもアンタゴニスト抗体でもなく、アゴニスト性またはアンタゴニスト性のいずれとしても特徴付けされていない。
【0134】
追加の公知のFGFR3抗体としては、例えばマウスモノクローナル抗体、例えば、Genentechの1G6、6G1、および15B2(例えば、米国特許第8,410,250号)、B9(Sc-13121)(Santa Cruz Biotechnology)、MAB766(クローン136334)(R&D systems)、MAB7661(クローン136318)(R&D systems)、およびOTI1B10(OriGene);ウサギポリクローナル抗体、例えばab10651(Abcam);およびウサギモノクローナル抗体、例えばC51F2(カタログ番号4574)(Cell Signaling Technology)が挙げられる。
【0135】
本開示のある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、本明細書に記載される特異的重鎖相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2、および/またはCDR-H3を含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片の相補性決定領域(CDR)は、フレームワーク領域に隣接する。3つのCDRを含有する抗体またはその抗原結合性断片の重鎖または軽鎖は、典型的に4つのフレームワーク領域を含有する。
【0136】
一部の実施形態では、FGFR3抗体またはその抗原(antibody)結合性断片の重鎖可変領域は、以下に示されるアミノ酸配列を有する1つ、2つ、または3つの相補性決定領域(CDR)CDR-H1、CDR-H2、および/もしくはCDR-H3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列(複数可)を有するCDR領域(複数可)を含む:
CDR-H1:
GFTFTSTGIS(配列番号1)
CDR-H2:
GRIYPTSGSTNYADSV(配列番号2)
CDR-H3:
TYGIYDLYVDYTEYVMDY(配列番号3)または
ARTYGIYDLYVDYTEYVMDY(配列番号4)
【0137】
一部の実施形態では、FGFR3抗体またはその抗原(antibody)結合性断片の軽鎖可変領域は、以下に示されるアミノ酸配列を有する1つ、2つ、または3つの相補性決定領域(CDR)CDR-L1、CDR-L2、および/もしくはCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列(複数可)を有するCDR領域(複数可)を含む:
CDR-L1:
RASQDVDTSLA(配列番号5)
CDR-L2:
SASFLYS(配列番号6)
CDR-L3:
QQSTGHPQT(配列番号7)
【0138】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、
(i)
配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列、
配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するa重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列、および
配列番号3または4に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
を含む重鎖、ならびに
(ii)
配列番号5に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列、
配列番号6に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列、および
配列番号7に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
を含む軽鎖
あるいは
FGFR3上の同じエピトープを認識するモノクローナル抗体を含む。
【0139】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、いかなる変異も有しない配列番号1、2、3、5、6、および7のアミノ酸配列を有するCDR配列を有する。例えば、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3、ならびに配列番号5、6、および7のアミノ酸配列を有する軽鎖(chain)相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む。
【0140】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、いかなる変異も有しない配列番号1、2、4、5、6、および7のアミノ酸配列を有するCDR配列を有する。例えば、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、2、および4のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3、ならびに配列番号5、6、および7のアミノ酸配列を有する軽鎖(chain)相補性決定領域CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む。
【0141】
一部の実施形態では、FGFR3抗体またはその抗原結合性断片の重鎖可変領域は、配列番号9のアミノ酸配列、またはそれとは1、2、3、もしくは4個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列、または配列番号8と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、もしくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む:
【化10】
【0142】
一部の実施形態では、FGFR3抗体またはその抗原結合性断片の軽鎖可変領域は、配列番号9のアミノ酸配列、またはそれとは1、2、3、もしくは4個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列、または配列番号9と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、もしくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む:
【化11】
【0143】
【0144】
一部の実施形態では、FGFR3標的化部分は、MFGR1877S(ボファタマブ)またはその抗原結合性断片である。
【0145】
一部の実施形態では、FGFR3抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片である。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、または≦0.001nMの解離定数(Kd)を有する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、1nM~10nMの間(エンドポイントを含む)、または0.1nM~1nMの間(エンドポイントを含む)の解離定数(Kd)を有する。
【0146】
一実施形態では、Kdは、目的の抗体またはその抗原結合性断片のFabバージョンおよびその抗原について実施される放射標識抗原結合アッセイ(ラジオイムノアッセイ、RIA)によって測定される。
【0147】
別の実施形態に従って、Kdは、固定された抗原による表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、本明細書に記載されるヒトFGFR3のエピトープに対するヒトモノクローナル抗体である。
【0148】
抗体またはその抗原結合性断片は、天然および/または合成起源の任意の抗体またはその抗原結合性断片、例えば哺乳動物起源の抗体であり得る。一部の実施形態では、定常ドメインは、存在する場合、ヒト定常ドメインである。一部の実施形態では、可変ドメインは、哺乳動物可変ドメイン、例えばヒト化またはヒト可変ドメインである。
【0149】
一部の実施形態では、本開示に従って使用される抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、抗体は、組換えマウス抗体、キメラ、ヒト化または完全ヒト抗体、多重特異性抗体(例えば、二特異性抗体)、またはその抗原結合性断片である。
【0150】
一部の実施形態では、例えば薬物標的化およびイメージング適用のために他の部分にさらにカップリングされる。
【0151】
一部の実施形態では、例えば診断目的の場合、抗体またはその抗原結合性断片は、標識される、すなわち標識基にカップリングされる。適した標識の非限定的な例としては、放射性標識、蛍光標識、適した色素基、酵素標識、色素原、化学発光基、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される既定のポリペプチドエピトープ等を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の標識は、抗体またはその抗原結合性断片に共有結合される。
【0152】
それらの標識された抗体またはその抗原結合性断片(「抗体コンジュゲート」とも呼ばれる)は、特に免疫組織化学アッセイにおいてまたはin vivoでの分子イメージングのために使用され得る。
【0153】
一部の実施形態では、例えば治療目的のため、抗体またはその抗原結合性断片は、エフェクター基、特に治療的エフェクター基、例えば細胞傷害剤または放射性基剤(radioactive group agent)にさらにコンジュゲートされる。
【0154】
ポリペプチド
ポリペプチドは、例えば多様な血液学的作用物質(例えば、エリスロポエチン、血液凝固因子等)、インターフェロン、コロニー刺激因子、抗体、酵素、およびホルモンのいずれかを含む。特定のポリペプチドの正体は、本開示を限定すると意図されず、目的の任意のポリペプチドが、本発明の方法におけるポリペプチドであり得る。
【0155】
本明細書に記載の参照ポリペプチドは、目的の標的に結合することが可能な(例えば、抗原、例えばFGFR3に結合することが可能な)標的結合ドメインを含み得る。例えば、ポリペプチド、例えば抗体は、膜貫通ポリペプチド(例えば、受容体)またはリガンド(例えば、増殖因子)に結合することができる。
【0156】
改変ポリペプチド
本開示の組成物および方法と共に使用するために適したポリペプチドは、改変されたアミノ酸配列を有し得る。改変されたポリペプチドは、対応する参照ポリペプチドと実質的に同一であり得る(例えば、改変ポリペプチドのアミノ酸配列は、参照ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有し得る)。ある特定の実施形態では、改変は、所望の生物活性(例えば、FGFR3に対する結合)を有意に破壊しない。改変は、効果を低減してもよく(例えば、少なくとも5%、10%、20%、25%、35%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%)、効果を有しなくてもよく、または元のポリペプチドの生物活性を増加させてもよい(例えば、少なくとも5%、10%、25%、50%、100%、200%、500%、または1000%)。改変ポリペプチドは、ポリペプチドの特徴、例えばin vivo安定性、バイオアベイラビリティ、毒性、免疫活性、免疫学的同一性、およびコンジュゲーション特性を有してもよく、または最適化してもよい。
【0157】
改変は、天然のプロセスによる改変、例えば翻訳後プロセシングまたは当技術分野で公知の化学改変技術による改変を含む。改変は、ポリペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノ末端またはカルボキシ末端を含むポリペプチドのどこでも起こり得る。同じ型の改変が、所定のポリペプチドにおけるいくつかの部位で同じまたは異なる程度に存在してもよく、ポリペプチドは、1つより多くの型の改変を含有してもよい。ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として分岐してもよく、分岐を伴うまたは伴わない環状であってもよい。環状、分岐、および分岐環状ポリペプチドは、翻訳後の天然のプロセスに起因してもよく、または合成によって作製してもよい。他の改変としては、peg化、アセチル化、アシル化、アセトアミドメチル(acetomidomethyl)(Acm)基の付加、ADP-リボシル化、アルキル化、アミド化、ビオチン化、カルバモイル化、カルボキシエチル化、エステル化、フラビンとの共有結合、ヘム部分との共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、薬物の共有結合、マーカー(例えば、蛍光または放射性)の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合性架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、アミノ酸のタンパク質へのトランスファーRNA媒介付加、例えばアルギニル化およびユビキチン化が挙げられる。
【0158】
改変ポリペプチドはまた、ポリペプチド配列にアミノ酸の挿入、欠失、または保存的もしくは非保存的(例えば、D-アミノ酸、デスアミノ酸(desamino acid))のいずれかの置換を含み得る(例えば、そのような変化は、ポリペプチドの生物活性を実質的に変更しない)。特に、1つまたは複数のシステイン残基を、本明細書のポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端に付加すると、例えば、ジスルフィド結合によってこれらのポリペプチドのコンジュゲーションを促進することができる。例えば、ポリペプチドは、アミノ末端で単一のシステイン残基、またはカルボキシ末端で単一のシステイン残基を含むように改変することができる。アミノ酸置換は、保存的(すなわち、残基は同じ一般的な型または群の別の残基に交換される)または非保存的(すなわち、残基は別の型のアミノ酸に交換される)であり得る。加えて、天然に存在するアミノ酸を、天然に存在しないアミノ酸の代わりに使用することができる(すなわち、天然に存在しない保存的アミノ酸置換または天然に存在しない非保存的アミノ酸置換)。
【0159】
合成により作製されるポリペプチドは、DNAによって天然にコードされないアミノ酸(例えば、天然に存在しないまたは非天然のアミノ酸)の置換を含み得る。天然に存在しないアミノ酸の例としては、D-アミノ酸、N-保護アミノ酸、システインのイオウ原子に結合したアセチルアミノメチル基を有するアミノ酸、peg化アミノ酸、nが2~6である式NH2(CH2)nCOOHのオメガアミノ酸、中性非極性アミノ酸、例えばサルコシン、t-ブチルアラニン、t-ブチルグリシン、N-メチルイソロイシン、およびノルロイシンが挙げられる。フェニルグリシンをTrp、Tyr、またはPheの代わりに使用してもよい;シトルリンおよびメチオニンスルホキシドは中性非極性であり、システイン酸は、酸性であり、およびオルニチンは塩基性である。プロリンを、ヒドロキシプロリンに置換してもよく、特性を付与するコンフォメーションを保持し得る。
【0160】
アナログは、置換変異誘発によって生成され、元のポリペプチドの生物活性を保持し得る。「保存的置換」として同定された置換の例を表1に示す。そのような置換が、望ましくない変化をもたらす場合、表1で「例示的な置換」と称する、またはアミノ酸のクラスに関連して本明細書においてさらに記載される他の型の置換を導入し、産物をスクリーニングする。
【0161】
【0162】
機能または免疫学的同一性における実質的な改変は、(a)例えばシートもしくはヘリックスコンフォメーションとしての置換領域におけるポリペプチド骨格の構造の維持、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性の維持、および/または(c)側鎖のかさの維持に及ぼすその効果が有意に異なる置換を選択することによって達成される。
【0163】
キレート部分またはその金属錯体
キレート部分
適したキレート部分の例としては、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTMA(1R,4R,7R,10R)-α,α’,α’’,α’’’-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、DOTPA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラプロピオン酸)、DO3AM-酢酸(2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸)、DOTA-GA無水物(2,2’,2”-(10-(2,6-ジオキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリル)三酢酸、DOTP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸))、DOTMP(1,4,6,10-テトラアザシクロデカン-1,4,7,10-テトラメチレンホスホン酸、DOTA-4AMP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(アセトアミド-メチレンホスホン酸)、CB-TE2A(1,4,8,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン-4,11-二酢酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、NOTP(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ(メチレンホスホン酸)、TETPA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-テトラプロピオン酸)、TETA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸)、HEHA(1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロヘキサデカン-1,4,7,10,13,16-六酢酸)、PEPA(1,4,7,10,13-ペンタアザシクロペンタデカン-N,N’,N’’,N’’’,N’’’’-五酢酸)、H4octapa(N,N’-ビス(6-カルボキシ-2-ピリジルメチル)-エチレンジアミン-N,N’-二酢酸)、H2dedpa(1,2-[[6-(カルボキシ)-ピリジン-2-イル]-メチルアミノ]エタン)、H6phospa(N,N’-(メチレンホスホネート)-N,N’-[6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル]-メチル-1,2-ジアミノエタン)、TTHA(トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-六酢酸)、DO2P(テトラアザシクロドデカンジメタンホスホン酸)、HP-DO3A(ヒドロキシプロピルテトラアザシクロドデカン三酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、デフェロキサミン、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DTPA-BMA(ジエチレントリアミン五酢酸-ビスメチルアミド)、オクタデンテート(octadentate)-HOPO(オクタデンテートヒドロキシピリジノン(octadentate hydroxypyridinone))、またはポルフィリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートは、キレート部分の金属錯体を含む。例えば、キレート基を、金属、例えばマンガン、鉄、ガドリニウムおよび同位体(例えば、一般的なエネルギー範囲が60~10,000keVの同位体)、例えば本明細書に考察される放射性同位体および放射性核種のいずれかとの金属キレートの組合せで使用してもよい。
【0165】
一部の実施形態では、キレート部分は、検出剤として有用であり、したがってそのような検出可能なキレート部分を含むラジオイムノコンジュゲートを、診断剤またはセラノスティクス剤として使用することができる。
【0166】
放射性同位体および放射性核種
一部の実施形態では、金属錯体は、放射性核種を含む。適した放射性同位体および放射性核種の例としては、3H、14C、15N、18F、35S、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Ga、67Ga、67Cu、68Ga、75Br、76Br、77Br、82Rb、89Zr、86Y、87Y、90Y、97Ru、99Tc、99mTc、105Rh、109Pd、111In、123I、124I、125I、131I、149Pm、149Tb、153Sm、166Ho、177Lu、117mSn、186Re、188Re、198Au、199Au、201Tl、203Pb、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、227Th、および229Thが挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
一部の実施形態では、放射性核種はアルファ放射体、例えば、アスタチン-211(211At)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、アクチニウム-225(225Ac)、ラジウム-223(223Ra)、鉛-212(212Pb)、トリウム-227(227Th)、またはテルビウム-149(149Tb)、またはその子孫核種である。一部の実施形態では、アルファ放射体は、アクチニウム-225(225Ac)、またはその子孫核種である。
【0168】
リンカー
一部の実施形態では、リンカーは、AおよびBが存在しない式I-bの一部として、式I-bの構造内で示される:
A-L1-(L2)n-B
式I-b
(AおよびBは、式I-aで定義されるとおりである)。
【0169】
このように、一部の実施形態では、リンカーは、-L1-(L2)n-であり:
式中、
L1は、必要に応じて置換されたC1~C6アルキル、必要に応じて置換されたC1~C6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり;
nは1~5の間(両端を含む)であり;および
各L2は、独立して以下の構造:
(-X1-L3-Z1-)
式III
を有し、
式中、
X1は、C=O(NR1)、C=S(NR1)、OC=O(NR1)、NR1C=O(O)、NR1C=O(NR1)、-CH2PhC=O(NR1)、-CH2Ph(NH)C=S(NR1)、O、またはNR1であり;および各R1は、独立してH、必要に応じて置換されたC1~C6アルキル、必要に応じて置換されたC1~C6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり、C1~C6アルキルは、オキソ(=O)、ヘテロアリール、またはその組合せによって置換されていてもよく;
L3は、必要に応じて置換されたC1~C50アルキルまたは必要に応じて置換されたC1~C50ヘテロアルキル(例えば、C5~C20ポリエチレングリコール)であり;
Z1は、CH2、C=O、C=S、OC=O、NR1C=O、またはNR1であり、式中R1は、水素、または必要に応じて置換されたC1~C6アルキル、またはピロリジン-2,5-ジオンである。
【0170】
一部の実施形態では、L1は、置換されたC1~C6アルキルまたは置換されたC1~C6ヘテロアルキルであり、置換基はヘテロアリール基(例えば、6員の窒素含有ヘテロアリール)を含む。
【0171】
一部の実施形態では、L3は、置換されたC1~C50アルキルまたは置換されたC1~C50ヘテロアルキルであり、置換基はヘテロアリール基(例えば、6員の窒素含有ヘテロアリール)を含む。
【0172】
一部の実施形態では、Aは、1つまたは複数のヘテロアリール基を含む大環状キレート部分(例えば、6員の窒素含有ヘテロアリール)である。
架橋基
【0173】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートは、標的化部分の代わりにまたはそれに加えて架橋基を含む(例えば、式IのBは、架橋基を含む)。
【0174】
架橋基は、共有結合によって2つまたはそれより多くの分子を結合することが可能な反応性基である。架橋基は、リンカーおよびキレート部分を治療部分または標的化部分に結合させるために使用され得る。架橋基はまた、リンカーおよびキレート部分をin vivoで標的に結合させるためにも使用され得る。一部の実施形態では、架橋基は、アミノ反応性、メチオニン反応性、もしくはチオール反応性架橋基、またはソルターゼ媒介カップリングである。一部の実施形態では、アミノ反応性またはチオール反応性架橋基は、活性化エステル、例えばヒドロキシスクシンイミドエステル、2,3,5,6-テトラフルオロフェノールエステル、4-ニトロフェノールエステル、またはイミデート、無水物、チオール、ジスルフィド、マレイミド、アジド、アルキン、歪んだアルキン(strained alkyne)、歪んだアルケン(strained alkene)、ハロゲン、スルホネート、ハロアセチル、アミン、ヒドラジド、ジアジリン、ホスフィン、テトラジン、イソチオシアネート、またはオキサジリジンを含む。一部の実施形態では、ソルターゼ認識配列は、末端グリシン-グリシン-グリシン(GGG)および/またはXが任意のアミノ酸であるLPTXGアミノ酸配列を含み得る。当業者は、架橋基の使用が、本明細書に開示される特定の構築物に限定されず、他の公知の架橋剤を含み得ることを理解するであろう。
【0175】
医薬組成物
一態様では、本開示は、本明細書に開示されるラジオイムノコンジュゲートを含む医薬組成物を提供する。そのような医薬組成物は、多様な薬物送達システムにおいて使用するために製剤化することができる。1つまたは複数の生理的に許容される賦形剤または担体もまた、適切な製剤のための医薬組成物に含めることができる。本開示での使用に適合する適した製剤の非限定的な例としては、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Philadelphia, PA, 17th ed., 1985に記載される製剤が挙げられる。薬物送達方法の簡単な概要に関しては、例えば、Langer(Science.249:1527-1533, 1990)を参照されたい。
【0176】
医薬組成物は、本明細書で考察される任意の多様な投与経路に関して製剤化され得る(例えば、本明細書の「投与および投薬量」のサブセクションを参照されたい)。持続放出投与は、デポー注射剤または浸食され得るインプラントもしくは構成成分などの手段によって企図される。このように、本開示は、許容される担体、好ましくは水性担体、例えば中でも水、緩衝水、食塩水、またはPBS中に溶解または懸濁された本明細書に開示される薬剤(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、生理的条件を近似する薬学的に許容される補助物質、例えば中でもpH調整剤、緩衝化剤、張度調整剤、湿潤剤、または洗浄剤を含有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、経口送達のために製剤化され、必要に応じて不活性成分、例えば単位剤形、例えば錠剤またはカプセル剤の製剤化のための結合剤または増量剤を含有し得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、局所投与のために製剤化され、必要に応じてクリーム、軟膏、ゲル、パスタ剤、または点眼液の製剤化のための不活性成分、例えば溶媒または乳化剤を含有し得る。
【0177】
一部の実施形態では、提供される医薬組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌され、例えば濾過滅菌され得る。得られた水溶液を、そのまま使用するために包装してもよく、または凍結乾燥してもよい。凍結乾燥調製物は、例えば投与前に滅菌水性担体と組み合わせることができる。調製物のpHは、典型的に3~11の間、より好ましくは5~9の間、または6~8の間、および最も好ましくは6~7の間、例えば6~6.5である。固体形態の得られた組成物を、例えば各々が上記の薬剤または複数の薬剤の固定量を含有する複数の単一用量単位、例えば錠剤またはカプセル剤の密封包装に包装することができる。固体形態の医薬組成物は、フレキシブルな量で容器、例えば局所適用可能なクリームまたは軟膏用に設計された絞り出し可能なチューブに包装することができる。
【0178】
処置の方法
一態様では、本開示は、本明細書に開示されるラジオイムノコンジュゲートを、対象を含む処置の方法を提供する。
【0179】
対象
一部の開示される方法では、治療(例えば、治療剤を含む)は対象に投与される。一部の実施形態では、対象は哺乳動物、例えばヒトである。
【0180】
一部の実施形態では、対象はがんを有するか、またはがんを発症するリスクがある。例えば、対象は、がんを有すると診断されていてもよい。例えば、がんは、原発がんまたは転移がんであり得る。対象は、任意のステージ、例えばリンパ節の関与を伴うまたは伴わない、および転移を伴うまたは伴わない、ステージI、ステージII、ステージIII、またはステージIVのがんを有し得る。提供されるラジオイムノコンジュゲートおよび組成物は、がんのさらなる成長を防止もしくは低減し得る、および/またはそうでなければがんを改善(例えば、転移を防止または低減)し得る。一部の実施形態では、対象は、がんを有していないが、例えば、1つまたは複数の危険因子の存在、例えば環境への暴露、1つまたは複数の遺伝的変異またはバリアントの存在、家族歴等のためにがんを発症するリスクがあると決定されている。一部の実施形態では、対象はがんを有すると診断されていない。
【0181】
一部の実施形態では、がんは、固形腫瘍がん、例えば肉腫または癌腫である。
【0182】
一部の実施形態では、固形腫瘍がんは、副腎皮質癌、膀胱がん(例えば、尿路上皮癌)、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、子宮内膜腺癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、神経膠腫(例えば、多形性神経膠芽腫)、頭頸部がん、肝臓がん、肺がん(例えば、小細胞肺がんまたは非小細胞肺がん、または肺の腺癌)、神経芽腫、神経内分泌がん、膵臓がん(例えば、膵臓外分泌癌)、前立腺がん、腎細胞癌、唾液腺腺様嚢胞がん、または精母細胞性セミノーマである。
【0183】
一部の実施形態では、がんは、膀胱がん、乳がん、頭頸部がん、肝臓がん、および肺がんからなる群より選択される。一部の実施形態では、がんは膀胱がんである。一部の実施形態では、がんは頭頸部がんである。一部の実施形態では、がんは肝臓がんである。
【0184】
一部の実施形態では、がんは、非固形腫瘍がん、例えば液性がんまたは血液がんである。一部の実施形態では、がんは骨髄腫、例えば多発性骨髄腫である。一部の実施形態では、がんは白血病、例えば急性骨髄性白血病である。一部の実施形態では、がんはリンパ腫である。
【0185】
投与および投薬量
本明細書で開示されるラジオイムノコンジュゲートおよびその医薬組成物は、全身および局所投与経路を含む多様な投与経路のいずれかによって投与され得る。
【0186】
全身投与経路は、非経口経路および腸経路を含む。一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートまたはその医薬組成物は、非経口経路によって、例えば静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、または皮内に投与される。一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートまたはその医薬組成物は、静脈内に投与される。一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートまたはその医薬組成物は、腸投与経路によって、例えば経消化管または経口で投与される。
【0187】
局所投与経路は、腫瘍周囲注射および腫瘍内注射を含むがこれらに限定されない。
【0188】
医薬組成物は、放射線処置計画、診断、および/または治療処置のために投与することができる。放射線処置計画または診断目的のために投与する場合、ラジオイムノコンジュゲートは、診断上有効な用量でおよび/または治療上有効な用量を決定するために有効な量で対象に投与され得る。治療適用において、医薬組成物は、状態(例えば、がん)に既に罹患している対象(例えば、ヒト)に、障害およびその合併症の症状を治癒するまたは少なくとも部分的に停止させるために十分な量で投与され得る。この目的を達成するために適切な量は、「治療有効量」、すなわち疾患または医学的状態に関連する少なくとも1つの症状を実質的に改善するために十分な化合物の量として定義される。例えば、がんの処置では、疾患または状態の任意の症状を減少させる、防止する、遅らせる、抑制する、または停止させる薬剤または化合物は、治療的に有効であろう。薬剤または化合物の治療有効量は、疾患もしくは状態を治癒することは要求されないが、例えば疾患もしくは状態の開始が遅延される、妨害される、もしくは防止されるように、疾患もしくは状態の症状が改善するように、または疾患もしくは状態の期間が変化するように、疾患または状態に関する処置を提供し得る。例えば、疾患または状態は、個体においてより重度でなくなり、および/または回復が加速する。一部の実施形態では、対象は、放射線処置計画のために有効な量のラジオイムノコンジュゲートまたは組成物の第1の用量を投与され、次に治療有効量のラジオイムノコンジュゲートまたは組成物の第2の用量または用量の組を投与される。
【0189】
有効量は、疾患または状態の重症度、および対象の他の特徴(例えば、体重)に依存し得る。対象(例えば、哺乳動物、例えばヒト)に関する本開示のラジオイムノコンジュゲートおよび組成物の治療有効量は、個体の差(例えば、対象の年齢、体重、および状態の差)を考慮して当業者が決定することができる。
【0190】
一部の実施形態では、本開示のラジオイムノコンジュゲートは、がん細胞を標的化する能力の増強を示す。一部の実施形態では、本開示のラジオイムノコンジュゲートの有効量は、コンジュゲートされていないおよび/または放射標識されていない標的化部分の治療効果のための等価用量より低い(例えば、等価用量の約90%未満またはそれに等しい、75%未満またはそれに等しい、50%未満またはそれに等しい、40%未満またはそれに等しい、30%未満またはそれに等しい、20%未満またはそれに等しい、15%未満またはそれに等しい、12%未満またはそれに等しい、10%未満またはそれに等しい、8%未満またはそれに等しい、7%未満またはそれに等しい、6%未満またはそれに等しい、5%未満またはそれに等しい、4%未満またはそれに等しい、3%未満またはそれに等しい、2%未満またはそれに等しい、1%未満またはそれに等しい、0.5%未満またはそれに等しい、0.1%未満またはそれに等しい)。
【0191】
有効量を含む本明細書に開示される医薬組成物の1回または複数回投与は、処置する医師によって選択される用量レベルおよびパターンで行うことができる。用量および投与スケジュールは、対象における疾患または状態の重症度に基づいて決定および調整することができ、これは臨床医によって一般的に実践される方法または本明細書に記載されるものに従って処置の経過を通してモニターされ得る。
【0192】
以下の特定の実施例は、単なる例であり、本開示の残りのいかなる限定でもないと解釈すべきである。
【実施例】
【0193】
(実施例1)
一般的材料および方法
ルテチウム-177は、Perkin Elmerから0.05N塩酸溶液中の三塩化ルテチウムとして得ることができ;インジウム-111は、三塩化物塩としてNordionから得ることができ;およびアクチニウム-225は、アクチニウム-225三硝酸塩としてOak Ridge National Laboratoriesから得ることができる。
【0194】
分析用HPLC-MSを、Waters Acquity Binary溶媒マネージャー、Waters Acquity試料マネージャー(10℃に冷却した試料)、Water Acquityカラムマネージャー(カラム温度30℃)、Waters Acquity光ダイオードアレイ検出器(254nmおよび214nmでモニタリング)、エレクトロスプレーイオン化を伴うWaters Acquity TQD、およびWaters Acquity BEH C18、2.1×50(1.7μm)カラムからなるWaters Acquity HPLC-MSシステムを使用して実施することができる。分取用HPLCは、Waters 1525 Binary HPLCポンプ、Waters 2489 UV/可視検出器(254nmおよび214nmでモニタリング)、およびWaters XBridge Prep PhenylまたはC18 19×100mm(5μm)カラムからなるWaters HPLCシステムを使用して実施することができる。
【0195】
HPLC溶出方法1:Waters Acquity BEH C18 2.1×50mm(1.7μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量=0.3mL/分;初期=90%A、3~3.5分=0%A、4分=90%A、5分=90%A。
【0196】
HPLC溶出方法2:Waters XBridge Prep Phenyl 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量:10mL/分;初期=80%A、13分=0%A。
【0197】
HPLC溶出方法3:Waters Acquity BEH C18 2.1×50mm(1.7μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量=0.3mL/分;初期=90%A、8分=0%A、10分=0%A、11分=90%A、12分=90%A。
【0198】
HPLC溶出方法4:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量:10mL/分;初期=80%A、3分=80%A、13分=20%A、18分=0%A。
【0199】
HPLC溶出方法5:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量:10mL/分;初期=90%A、3分=90%A、13分=0%A、20分=0%A。
【0200】
HPLC溶出方法6:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量:10mL/分;初期=75%A、13分=0%A、15分=0%A。
【0201】
HPLC溶出方法7:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量:10mL/分;初期=80%A、12分=0%A、15分=0%A。
【0202】
HPLC溶出方法8:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量:10mL/分;初期=90%A、12分=0%A、15分=0%A。
【0203】
分析用サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、Waters 1525 Binary HPLCポンプ、Waters 2489 UV/可視検出器(280nmでのモニタリング)、Bioscan Flow Count放射線検出器(radiodetector)(FC-3300)、およびTOSOH TSKgel G3000SWxl、7.8×300mmカラムからなるWatersシステムを使用して実施することができる。アイソクラティックSEC方法は、例えばmL/分の流量を有し、移動相は、0.1Mホスフェート、0.6M NaCl、0.025%アジ化ナトリウム、pH=7である。
【0204】
MALDI-MS(ポジティブイオン)は、MALDI Bruker Ultraflextreme分光器を使用して実施することができる。
【0205】
放射性薄層クロマトグラフィー(radioTLC)は、Bioscan AR-2000イメージングスキャナによって実施することができ、iTLC-SGガラスマイクロファイバークロマトグラフィーペーパー(Agilent Technologies,SGI0001)プレート上でクエン酸緩衝液(0.1M、pH5.5)を使用して行うことができる。
【0206】
(実施例2)
4-{[11-オキソ-11-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)ウンデシル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物B)の合成
二官能性キレート、4-{[11-オキソ-11-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)ウンデシル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物B)を、
図2に提供されるスキームに従って合成することができる。5-(tert-ブトキシ)-5-オキソ-4-(4,7,10-トリス(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン酸(DOTA-GA-(tBu)
4、50mg、0.07mmol)のACN(2.0mL)中の溶液に、DSC(50mg、0.21mmol)を加え、その後ピリジン(0.20mL、2.48mmol)を加える。反応を、室温で1時間攪拌する。反応混合物に、11-アミノウンデカン酸(70mg、0.36mmol)を加えた後、PBS溶液(1.0mL)を室温で加える。反応を室温で72時間攪拌する。反応混合物をシリンジフィルターによって濾過し、方法6を使用して分取用HPLCによって直接精製し、中間体2-Aを生じる。
【0207】
中間体2-A(40mg、0.03mmol)、TFP(90mg、0.54mmol)およびEDC(40mg、0.27mmol)のACN(1.0mL)中の溶液に、ピリジン(0.05mL、50mg、0.62mmol)を室温で加える。溶液を室温で24時間時間攪拌する。反応を、方法7を使用して分取用HPLCによって直接精製し、中間体2-Bを、Biotage V10 Rapidエバポレーターを使用して濃縮後ロウとして提供する。
【0208】
中間体2-Bを、DCM/TFA(1.0mL/2.0mL)に溶解し、室温で24時間攪拌する。反応を空気流によって濃縮し、方法8を使用して分取用HPLCによって直接精製し、濃縮後に化合物Bを透明なロウとして生じる。アリコートをHPLC-MS溶出方法3によって分析する。
【0209】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 7.99 - 7.88 (m, 1H), 7.82 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 3.78 (ブロード s, 4H), 3.43 (ブロード s, 12H), 3.08 (ブロード s, 4H), 3.00 (m, 3H), 2.93 (ブロード s, 3H), 2.77 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.30 (ブロード s, 2H), 1.88 (ブロード s, 2H), 1.66 (p, J = 7.3 Hz, 2H), 1.36 (m, 4H), 1.32 - 1.20 (m, 9H).
【0210】
(実施例3)
[225Ac]-化合物B-抗FGFR3コンジュゲートの合成
化合物B(1μmole)を、塩酸溶液(0.001M)に溶解する。化合物B溶液のアリコート(5μL、70nmole)を、リン酸緩衝液(pH8)中に抗FGFR3抗体(1.8nmole)を含有する溶液に加える。周囲温度で3時間後、得られたイムノコンジュゲートを、Sephadex G-50樹脂充填カラムを介して精製する。イムノコンジュゲート化合物B-抗FGFR3を、酢酸緩衝液(pH6.5)によってカラムから溶出させる。
【0211】
Ac-225(15μCi、10μL)を、化合物B-抗FGFR3溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)中で300μg)に加える。放射標識反応を、30℃で1時間インキュベートする。粗製の産物[225Ac]-化合物B-抗FGFR3を、酢酸緩衝液によって溶出させるSephadex G-50樹脂充填カラムを介して精製する。
【0212】
(実施例4)
4-{[2-(2-{2-[3-オキソ-3-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)プロポキシ]エトキシ}エトキシ)エチル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物C)の合成
二官能性キレート4-{[2-(2-{2-[3-オキソ-3-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)プロポキシ]エトキシ}エトキシ)エチル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物C)を、
図3に提供するスキームに従って合成する。
【0213】
5-(tert-ブトキシ)-5-オキソ-4-(4,7,10-トリス(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン酸(DOTA-GA(tBu)4、100mg、0.143mmol)のACN(8.0mL)中溶液に、DSC(73mg、0.285mmol)およびピリジン(0.80mL、9.89mmol)を加える。反応混合物を、周囲温度で90分間攪拌する。この溶液を、100mL丸底フラスコ中、アミノ-PEG3-酸(1.2mLのDMF中63mg、0.285mmol)の半溶液(semi-solution)に加える。周囲温度で4時間後、空気流下で乾固するまで濃縮することによって、反応をワークアップする。粗製の材料を、HPLC溶出方法2(粗製の材料を6mLの20%ACN/H2Oに溶解する)によって精製する。産物を含有する画分をプールし、減圧下で濃縮し、ACN(3×2mL)と同時蒸発させる。
【0214】
中間体1-A(82mg、60μmol)を含有するバイアルに、ACN(2mL)、NEt3(50μL、360μmol、6当量)、HBTU(23mg、60μmol、1当量)およびTFP溶液(50mg、300μmol、5当量、250μLのACNに溶解)を加える。得られた透明な溶液を、周囲温度で3時間攪拌する。溶液を空気流下で乾固するまで濃縮することによって、反応をワークアップした後、ACN/H2O(1:1、全体で3mL)によって希釈し、分取用HPLCにおいて溶出方法4を使用して精製した。産物を含有する画分をプールし、減圧下で濃縮した後、ACN(3×2mL)と同時蒸発させる。中間体1-Bが、透明な残渣として得られる。
【0215】
中間体1-B(67mg、64μmol)を含有するバイアルに、DCM(2mL)およびTFA(2mL)を加える。得られた溶液を周囲温度で16時間攪拌する。追加のTFA(2mL)を加え、反応を周囲温度で6時間攪拌する。反応を空気流下で乾固するまで濃縮し、粗製の産物を最終的にACN/H2O(1mLの10%ACN/H2O)中に溶解する。次に、粗反応溶液を、溶出方法5を使用して分取用HPLCによって精製する。産物を含有する画分をプールし、凍結および凍結乾燥する。化合物Cは、白色固体として得られる。アリコートを、HPLC-MS溶出方法3によって分析する。
【0216】
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ 7.97-7.91 (m, 2H), 3.77 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.58-3.55 (m, 2H), 3.53-3.48 (m, 8H), 3.44-3.38 (m, 10H), 3.23-3.08 (m, 11H), 3.02 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 2.93 (ブロード s, 4H), 2.30 (ブロード s, 2H), 1.87 (ブロード s, 2H).
【0217】
(実施例5)
[225Ac]-化合物C-抗FGFR3コンジュゲートの合成
化合物C(1μmole)を、塩酸溶液(0.001M)に溶解する。化合物C溶液のアリコート(5μL、70nmole)を、リン酸緩衝液(pH8)中に抗FGFR3抗体(1.8nmole)を含有する溶液に加える。周囲温度で3時間後、得られたイムノコンジュゲートをSephadex G-50樹脂充填カラムを介して精製する。イムノコンジュゲート化合物C-抗FGFR3を、酢酸緩衝液(pH6.5)によってカラムから溶出させる。溶出液の正体は、例えばMALDI-TOFによって確認することができる。
【0218】
Ac-225(15μCi、10μL)を、化合物C-抗FGFR3の溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)中で300μg)に加える。放射標識反応を30℃で1時間インキュベートする。粗製の産物[225Ac]-化合物C-抗FGFR3を、酢酸緩衝液によって溶出させるSephadex G-50樹脂充填カラムを介して精製する。
【0219】
(実施例6)
膀胱がん異種移植片モデルにおける腫瘍の成長および生存に及ぼす[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートの効果
[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートを、野生型FGFR3を発現するヒトUM-UC-1膀胱細胞系を使用して試験する。UM-UC-1細胞を免疫無防備状態のマウスに注射する。腫瘍の確立後、マウスに[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲート、対照(例えば、PBS緩衝液または他のビヒクル単独)、または必要に応じて、コンジュゲートされていない抗FGFR3を投与する。
【0220】
腫瘍体積を、キャリパーの測定を使用して週に2回モニターし、結果を処置群をわたって比較する。生存を記録する。[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲート処置群における腫瘍成長のより大きい阻害および/またはより長い生存は、有効性の増加を示している。
【0221】
(実施例7)
WTおよび変異体FGFR3膀胱がん異種移植片モデルにおける腫瘍の成長および生存に及ぼす[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートの効果
野生型FGFR3は、ある特定のがんにおいて過剰発現され、一部の腫瘍は、変異体FGFR3に関連している。本実施例では、[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートを、野生型または変異体FGFR3のいずれかを発現する様々なヒト膀胱細胞系を使用して試験する。
【0222】
WT FGFR3を発現するRT112膀胱がん細胞を、ヌード(nu/nu)マウスに注射し、腫瘍を、約100~150mm3の平均体積まで成長させる。動物に、ビヒクルまたは[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートを週に2回投与する。必要に応じて、第3の組の動物に、コンジュゲートされていない抗FGFR3を投与する。
【0223】
腫瘍を、キャリパーを使用して週に2回測定し、腫瘍体積を、以下の式を使用して計算する:
V=0.5×a×b2
式中、aおよびbはそれぞれ、腫瘍の長さおよび幅である。
【0224】
腫瘍の成長を、群をわたり比較する。
【0225】
FGFR3シグナル伝達に及ぼす[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートの効果を評価するために、腫瘍ライセートを、処置の48時間および72時間後に収集する。腫瘍ライセート中のFRS2α、AKT、およびp44/42 MAPK(FGFR3シグナル伝達の下流のメディエーター)のリン酸化および総タンパク質レベルを調べる。
【0226】
加えて、[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートの効果を、Ba/F3-FGFR3S249C同種移植片モデルにおいて試験する。例えば、Qing et al., ”Antibody-based targeting of FGFR3 in bladder carcinoma and t(4;14)-positive multiple myeloma in mice.” J Clin Invest.2009 May 1;119(5):1216-1229を参照されたい。(S249Cは、膀胱がんにおいて最も頻繁に見出されるFGFR3変異である)。腫瘍の成長および腫瘍ライセートを、RT112異種移植片モデルに関して上記で言及したように評価する。
【0227】
(実施例8)
多発性骨髄腫異種移植片モデルにおける腫瘍の成長および生存に及ぼす[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートの効果
OPM2およびKMS11はそれぞれ、K650EおよびY373C FGFR3変異を有するt(4:14)+多発性骨髄腫細胞系である。[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートを、OPM2およびKMS11異種移植片モデルにおいて試験する。細胞を拡大増殖させ、15×106個のOPM2または20×106個のKMS11細胞を、マウスの脇腹にHank’s緩衝塩類溶液(HBSS)/Matrigel(1:1体積/体積:BD Biosciences)中の0.2mlの体積で皮下に植え込む。腫瘍を、キャリパーによって週に2回測定し、腫瘍体積を実施例7に記載するように計算する。
【0228】
腫瘍が、150~200mm3の平均サイズに達すると、動物を処置群または対照群に無作為に割り当てる。各[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートを、別個の処置群で試験してもよい。対照群は、HBSSまたは他のビヒクルを投与されたマウスを含み得る。必要に応じて、比較のために、マウスに、コンジュゲートされていない抗FGFR3(コールド抗体)を投与する1つまたは複数の処置群を含める。全ての群のマウスに、その群に関して適切な薬剤を、週に2回腹腔内に投与する。
【0229】
腫瘍体積を、キャリパーの測定を使用して週に2回モニターし、結果を処置群をわたって比較する。生存を記録する。[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲート処置群における腫瘍成長のより大きい阻害および/またはより長い生存は、有効性の増加を示している。
【0230】
(実施例9)
肝臓がん異種移植片モデルにおける腫瘍の成長および生存に及ぼす[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートの効果
[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートを、実施例8に本質的に記載されるとおりに、肝臓がん細胞系(Huh7)に基づく腫瘍異種移植片モデルにおいて試験する。
【0231】
(実施例10)
乳がん異種移植片モデルにおける腫瘍の成長および生存に及ぼす[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートの効果
[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートを、実施例8に本質的に記載されるとおりに、乳がん細胞系(Cal-51)に基づく腫瘍異種移植片モデルにおいて試験する。
【0232】
(実施例11)
結腸腺癌異種移植片モデルにおける腫瘍の成長および生存に及ぼす[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートの効果
[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートを、MC38マウス結腸腺癌異種移植片モデルにおいて試験する。FGFR3陽性MC38細胞を拡大増殖させ、1×106個のMC38細胞を、8~12週齢の雌性C57BL/6マウスの脇腹の皮下に植え込む。腫瘍が80~120mm3の平均サイズに達すると、動物をペアマッチング(pair match)させ、処置群または対照群に割り当てる。各[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートを、別個の処置群において試験してもよい。対照群は、リン酸緩衝食塩水(PBS)を投与したマウスを含み得る。必要に応じて、比較のために、マウスにコンジュゲートされていない抗FGFR3(コールド抗体)を投与する1つまたは複数の処置群を含める。全ての群のマウスに、その群に関して適切な薬剤を、通常のスケジュールに従って、例えば、毎週、週に2回、または週に3回、1週間またはそれより長く(例えば、1、2、または3週間)にわたり静脈内または腹腔内に投与してもよい。
【0233】
腫瘍体積を、キャリパーの測定を使用して週に2回モニターし、結果を処置群をわたって比較する。生存を記録する。[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲート処置群における腫瘍成長のより大きい阻害および/またはより長い生存は、有効性の増加を示している。
【0234】
(実施例12)
腺癌細胞系を使用する免疫細胞浸潤に及ぼす[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートの効果
MC38(腺癌)細胞を、8~12週齢の雌性C57BL/6マウスの脇腹の皮下に植え込む。腫瘍が80~120mm3の平均サイズに達すると、動物をペアマッチングさせ、処置群および対照群に分割する。対照群のマウスにPBSを投与し、イムノコンジュゲート処置群には、[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートを投与し、必要に応じて抗体処置群にコンジュゲートされていない抗FGFR3を投与する。全ての群に、同じ経路および投与スケジュールに従って、すなわち週に2回静脈内投与する。
【0235】
7日間の処置後、各群の半数の動物を屠殺し、腫瘍を収集する。14日間の処置後、各群の残りの半数の動物を屠殺し、腫瘍を収集する。各腫瘍の半分をパラフィン包埋のために処理し、他の半分を使用して、フローサイトメトリー解析のための単細胞懸濁物を調製する。フローサイトメトリー解析のための試料を、CD8および制御性T細胞のマーカーに関して染色する。CD8+の制御性T細胞に対する高い比率は、腫瘍への免疫細胞浸潤を介する有効性の増強を示し得る。
【0236】
(実施例13)
肺腫瘍発達に及ぼす[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートの効果
[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートを、その両方がFGFR3陽性である2つのマウス肺がん異種移植片モデル:Madison109(M109)およびLewis肺癌細胞において試験する。1×106個のLewis肺癌腫瘍細胞を、8~12週齢の雌性C57BL/6マウスの脇腹の皮下に植え込む。加えて、1×106個のMadison109腫瘍細胞を、8~12週齢のCR雌性BALB/cマウスの脇腹の皮下に植え込む。
【0237】
腫瘍が、100~200mm3のサイズに達すると、動物をペアマッチングさせ、処置を開始する。各[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートを、別個の処置群において試験してもよい。対照群は、リン酸緩衝食塩水(PBS)を投与したマウスを含み得る。必要に応じて、比較のために、マウスにコンジュゲートされていない抗FGFR3(コールド抗体)を投与する1つまたは複数の処置群を含める。全ての群のマウスに、その群に関して適切な薬剤を、通常のスケジュールに従って、例えば、毎週、週に2回、または週に3回投与(静脈内または腹腔内)してもよい。本実施例では、マウスを1、2、または3週間(以下を参照されたい)処置する。
【0238】
腫瘍を、キャリパーを使用して週に2回測定し、結果を処置群をわたって比較する。[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲート処置群における腫瘍成長のより大きい阻害は、有効性の増加を示している。
【0239】
7日間の処置後、各群からの動物の一部を屠殺し、腫瘍を収集する。14日間の処置後、各群の残りの動物の一部を屠殺して腫瘍を収集する。残りの動物には、21日目まで投与を継続し、その時点で動物を屠殺して、その腫瘍を収集する。各腫瘍の半分をパラフィン包埋のために処理し、他の半分をOptimal Cutting Temperature(O.C.T.)コンパウンド中で凍結する。
【0240】
(実施例14)
生存に及ぼす[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートの効果
マウスを屠殺せず、代わりに少なくとも数ヶ月間にわたって腫瘍の成長および生存をモニターすることを除き、実施例12および/または13を実施する。[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲート処置群における生存の増強は、治療有効性の増強を示している。
【0241】
(実施例15)
FGFR3融合を伴う膀胱がん細胞系における腫瘍成長および生存に及ぼす[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートの効果
[225Ac]-抗FGFR3コンジュゲートを、実施例8に本質的に記載されるとおりに、RT4、RT112、SW780、およびUMUC-14膀胱細胞系の1つまたは複数に基づく腫瘍異種移植片モデルにおいて試験する。RT4およびRT112細胞は、FGFR3-TACC3融合を含有し、SW780細胞はFGFR-BAIAP2L1融合を含有し、およびUMUC-14は、FGFR3S249Cを有する。
【0242】
(実施例16)
FGFR3を発現するがん細胞に対するDOTA-抗FGFR3コンジュゲートの結合
本実施例は、FGFR3陽性がん細胞に対するコンジュゲート抗FGFR3のナノモル濃度未満/ピコモル濃度のKd範囲での結合を実証する。
【0243】
標識されていないDOTA-抗FGFR3コンジュゲートを、1)化合物Cの純粋なRエナンチオマー(実施例4を参照されたい)(すなわち、(2R)-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ペンタンジオン酸(R-DOTA-GA)のR-エナンチオマー、PEG3酸リンカーを通して2,3,5,6-テトラフルオロフェノール活性エステルに接続されたもの)、および2)MFGR1877S(ボファタマブ)、抗FGFR3抗体を使用して合成した。DOTA-抗FGFR3のFGFR3陽性がん細胞系RT4(膀胱)、RT112(膀胱)、およびHepG2(肝臓)に対する結合を、フローサイトメトリーによって評価した。
【0244】
図4A、4B、および4Cはそれぞれ、RT4、RT112、およびHepG2の結合曲線を示し、対応する結合親和性(Kd)を表2に要約する。
【0245】
【0246】
(実施例17)
[177Lu]-DOTA-抗FGFR3コンジュゲートのin vivo生体分布
Balb/cヌード/RT4細胞系異種移植片マウスモデルを使用して、放射標識抗FGFR3コンジュゲートのin vivo生体分布を評価した。[177Lu]-DOTA-抗FGFR3コンジュゲートを、化合物Cの純粋なRエナンチオマー(実施例4を参照されたい)、MFGR1877S(ボファタマブ)、およびルテチウム-177を使用して合成した。
【0247】
腫瘍を有する動物の群に、[177Lu]-DOTA-抗FGFR3を静脈内に注射した。用量は、2μg(0.1mg/kg)の抗体に関して約23マイクロキュリー(μCi)の放射能を含有した。動物を注射の4時間、24時間、48時間、96時間、および168時間後に安楽死させて、血液、腎臓、肝臓、肺、脾臓、皮膚、腫瘍、および尾(各時点についてn=3)における放射能レベルを決定した。
【0248】
結果を、組織1グラムあたりのパーセンテージ注射用量(%ID/g)として表記し、
図5に示す。[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3は、血液から急速に除去され、肝臓、肺、および脾臓における取り込みが一過性であることを実証した。腫瘍の取り込みは、全ての時点で約5%ID/gであった。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、観察された腫瘍取り込みレベルは、RT4腫瘍のサイズが小さいこと(約50mm
3)に起因し得る。
【0249】
(実施例18)
コールド抗FGFR3の前投与後の[177Lu]-DOTA-抗FGFR3コンジュゲートのin vivo生体分布
本実施例は、正常組織においてより低い取り込みレベルを有する腫瘍細胞における本明細書に開示されるラジオイムノコンジュゲートの取り込みを実証する。
【0250】
Balb/cヌード/RT112細胞系異種移植片マウスモデルを使用して、コールド(放射標識されておらずコンジュゲートされていない)抗FGFR3抗体の前投与後の[177Lu]-DOTA-抗FGFR3のin vivo生体分布を評価した。
【0251】
腫瘍を有するマウスの群に、[177Lu]-DOTA-抗FGFR3を静脈内注射した。用量は、2μg(0.1mg/kg)の抗体に関して約23マイクロキュリー(μCi)の放射能を含有した。[177Lu]-DOTA-抗FGFR3の投与のおよそ3時間前、マウスの半数に100μgのコールド抗FGFR3(ボファタマブ)を腹腔内注射によって投与した。動物を注射の4時間、24時間、48時間、および96時間後に安楽死させて、血液、腸(小腸および大腸)、腎臓および副腎、肝臓および胆嚢、肺、脾臓、皮膚、膀胱、尿、および腫瘍(各時点あたりn=3)における放射能レベルを決定した。
【0252】
結果を%ID/gとして表記し、
図6Aおよび6Bに表す。コールド抗FGFR3の前投与により、血液からの放射能のクリアランスが低減され、正常な組織における[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3の取り込みが低減され、および腫瘍における[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3の取り込みが増加した。
【0253】
(実施例19)
コールド抗FGFR3を同時投与した放射標識抗FGFR3コンジュゲートのin vivo生体分布
本実施例は、正常組織における取り込みレベルがより低い、腫瘍細胞における本明細書に開示されるラジオイムノコンジュゲートの取り込みを実証する。その上、本実施例は、異なる放射性核種によって標識されたDOTA-抗FGFR3コンジュゲートが、類似の生体分布プロファイルを示すことを実証している。
【0254】
[111In]-DOTA-抗FGFR3コンジュゲートを、化合物Cの純粋なRエナンチオマー(実施例4を参照されたい)、MFGR1877S(ボファタマブ)、およびインジウム-111を使用して合成した。
【0255】
Balb/cヌード/RT112細胞系異種移植片マウスモデルを使用して、コールド抗FGFR3と同時投与した[177Lu]-DOTA-抗FGFR3コンジュゲートおよび[111In]-DOTA-抗FGFR3コンジュゲートのin vivo生体分布を評価した。
【0256】
腫瘍を有するマウスの群に、2μg(0.1mg/kg)の抗体に関して約22マイクロキュリー(μCi)の放射能を有する[177Lu]-DOTA-抗FGFR3を静脈内注射した。マウスにはまた、同じ静脈内注射を介して50、100、または200μgのコールド抗FGFR3も同時投与した。動物を、注射の24時間および96時間後に安楽死させて、血液、腸、腎臓、肝臓、肺、脾臓、皮膚、膀胱、尿、および腫瘍(各時点についてn=3)中の放射能レベルを決定した。
【0257】
結果を%ID/gとして表記し、
図7A~7Cに表す。100μgまたは200μgのコールド抗FGFR3を同時投与することは、血液からの放射能のクリアランスを低減させ、正常組織における[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3の取り込みを低減させ、および腫瘍における[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3の取り込みを増加させた。
【0258】
生体分布試験をまた、本実施例における[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3同時投与実験に関する記載と同様に、100μgのコールド抗FGFR3を同時投与した[
111In]-DOTA-抗FGFR3を使用して実施した。
図8Aおよび8Bは、各々コールド抗FGFR3を同時投与して、[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3(
図8A)または[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3(
図8B)を投与したマウスにおける結果の%ID/gを示す。[
177Lu]-DOTA-抗FGFR3および[
111In]-DOTA-抗FGFR3はいずれも、投与の96時間後に約34%~37%ID/gの良好な腫瘍取り込みを示した。
【0259】
(実施例20)
膀胱がん異種移植片モデルにおける腫瘍の成長および生存に及ぼす[225Ac]-DOTA-抗FGFR3コンジュゲートの効果
本実施例は、膀胱がんモデルにおける[225Ac]-DOTA-抗FGFR3コンジュゲートの治療有効性を実証する。
【0260】
[225Ac]-DOTA-抗FGFR3コンジュゲートを、化合物Cの純粋なRエナンチオマー(実施例4を参照されたい)、MFGR1877S(ボファタマブ)、およびアクチニウム-225を使用して合成した。
【0261】
Balb/cヌード/RT112細胞系異種移植片マウスモデルを使用して、コールド抗FGFR3を前投与後の[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3コンジュゲートのin vivo活性を評価した。腫瘍を約150mm
3の体積まで皮下で成長させた。腫瘍を有するマウスの群に、[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3(50nCi、100nCi、200nCi、または400nCi線量)、コールド抗FGFR3、またはビヒクル対照(群あたりn=5)を静脈内注射した。対照群のマウスを除き、[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3の投与の3時間前に、マウスに100μgのコールド抗FGFR3を腹腔内注射した。相対的腫瘍体積(
図9A)および相対的体重(
図9B)を、投与後28日まで評価した。
【0262】
図9Aに示すように、200nCiまたは400nCiの[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3による処置は、腫瘍の成長を有意に阻害した。400nCi群のマウス1匹がその体重の30%を失ったため、11日目に屠殺した。しかし、
図9Bに示すように、平均すると、処置群のマウスは、対照群のマウスと比較して有意な体重減少を実証せず、処置は耐容性を示し、毒性が限定的であったことを示唆した。
【0263】
(実施例21)
膀胱がん異種移植片モデルにおける腫瘍の成長および生存に及ぼす[225Ac]-DOTA-抗FGFR3コンジュゲートの効果
本実施例は、膀胱がんモデルにおける[225Ac]-DOTA-抗FGFR3コンジュゲートの治療有効性を実証する。
【0264】
Balb/cヌード/RT112細胞系異種移植片マウスモデルを使用して、コールド抗FGFR3を同時投与した[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3コンジュゲートのin vivo活性を評価した。腫瘍を、約150mm
3の体積まで皮下で成長させた。腫瘍を有するマウスの群に、100μgの抗FGFR3を同時投与して[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3(50nCi、100nCi、200nCi、または400nCi)を静脈内注射した。対照群には、コールド抗FGFR3のみまたはビヒクル対照を投与した。1群あたりn=5。相対的腫瘍体積(
図10A)および相対的体重(
図10B)を、投与後28日まで評価した。
【0265】
図10Aに示すように、200nCiまたは400nCiの[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3による処置は、腫瘍の成長を有意に阻害し、より低線量(50~100nCi)の[
225Ac]-DOTA-抗FGFR3による処置は、腫瘍の成長にある程度の阻害をもたらした。
【0266】
400nCi処置群では、2匹のマウスが有意な体重減少を示したために屠殺し、他の3匹のマウスは影響を受けなかった。しかし、他の処置群のマウスは、対照群のマウスと比較して有意な体重減少を実証しなかった(
図10Bを参照されたい)。
他の実施形態
【0267】
本発明は、その特定の実施形態に関連して記載してきたが、さらなる改変が可能であり、本出願は、一般的に本発明の原理に従い、本発明が属する技術分野における公知のまたは通例の実践に入り前述の本明細書の本質的な特色に適用され得る本開示からの逸脱を含む、本発明の任意の変形形態、使用、または適応を含むと意図されることが理解される。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
A-L-B
式I-a
を含むラジオイムノコンジュゲートであって、
式中、Aが、キレート部分またはその金属錯体であり、
式中、Bが、FGFR3標的化部分であり、および
式中、Lが、リンカーである、
ラジオイムノコンジュゲート。
【請求項2】
Aが、キレート部分の金属錯体である、請求項1に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項3】
前記金属錯体が、放射性核種を含む、請求項2に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項4】
前記放射性核種が、アルファ放射体である、請求項3に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項5】
前記放射性核種が、アスタチン-211(
211At)、ビスマス-212(
212Bi)、ビスマス-213(
213Bi)、アクチニウム-225(
225Ac)、ラジウム-223(
223Ra)、鉛-212(
212Pb)、トリウム-227(
227Th)、およびテルビウム-149(
149Tb)、またはその子孫核種からなる群より選択されるアルファ放射体である、請求項4に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項6】
前記放射性核種が、
225Acまたはその子孫核種である、請求項5に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項7】
Lが、式I-b:
A-L
1-(L
2)
n-B
式I-b
内に示される構造-L
1-(L
2)
n-を有し、
式中、
Aが、キレート部分またはその金属錯体であり;
Bが、FGFR3標的化部分であり;
L
1が、必要に応じて置換されたC
1~C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
1~C
6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり;
nが、1~5の間(両端を含む)であり;および
各L
2が、独立して以下の構造:
(-X
1-L
3-Z
1-)
式III
を有し、式中、
X
1が、C=O(NR
1)、C=S(NR
1)、OC=O(NR
1)、NR
1C=O(O)、NR
1C=O(NR
1)、-CH
2PhC=O(NR
1)、-CH
2Ph(NH)C=S(NR
1)、O、またはNR
1であり;および各R
1が、独立してH、必要に応じて置換されたC
1~C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
1~C
6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり、C
1~C
6アルキルが、オキソ(=O)、ヘテロアリール、またはその組合せによって置換されていてもよく;
L
3が、必要に応じて置換されたC
1~C
50アルキルまたは必要に応じて置換されたC
1~C
50ヘテロアルキルであり;ならびに
Z
1が、CH
2、C=O、C=S、OC=O、NR
1C=O、またはNR
1であり、式中R
1が、水素または必要に応じて置換されたC
1~C
6アルキルもしくはピロリジン-2,5-ジオンである、
請求項1に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項8】
L
3が、C
5~C
20ポリエチレングリコールである、請求項7に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項9】
以下の構造:
【化12】
を含み、
式中、BがFGFR3標的化部分である、
請求項7に記載のラジオイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも100kDaのサイズである、請求項1~9のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項11】
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも150kDaのサイズである、請求項10に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項12】
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも200kDaのサイズである、請求項11に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項13】
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも250kDaのサイズである、請求項12に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項14】
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも300kDaのサイズである、請求項13に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項15】
前記FGFR3標的化部分が、ヒトFGFR3に結合することが可能である、請求項1~14のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項16】
前記FGFR3標的化部分が、野生型FGFR3に結合することが可能である、請求項1~15のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項17】
前記FGFR3標的化部分が、変異体FGFR3に結合することが可能である、請求項1~15のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項18】
前記FGFR3標的化部分が、野生型および変異体FGFR3の両方に結合することが可能である、請求項17のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項19】
前記変異体FGFR3が点変異を含む、請求項17または18に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項20】
前記点変異が、がんに関連する、請求項19に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項21】
前記点変異体が、FGFR3
Y375C、FGFR3
R248C、FGFR3
S249C、FGFR3
G372C、FGFR3
K652E、FGFR3
K652Q、FGFR3
K652M、およびその組合せからなる群より選択される、請求項20に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項22】
前記変異体FGFR3が、FGFR3融合を含む、請求項16~21のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項23】
前記FGFR3融合が、FGFR3-TACC3、FGFR3-CAMK2A、FGFR3-JAKMOP1、FGFR3-TNIP2、FGFR3-WHSC1、FGFR3-BAIAP2L1、およびその組合せからなる群より選択される、請求項22に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項24】
前記FGFR3標的化部分が、抗体またはその抗原結合性断片を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項25】
前記抗体またはその抗原結合性断片がヒト化されている、請求項24に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項26】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む、請求項24または25のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項27】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む、請求項26に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項28】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも3つのCDRを含む、請求項27に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項29】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも4つのCDRを含む、請求項28に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項30】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも5つのCDRを含む、請求項29に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項31】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
を含む、請求項30に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項32】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項24または25に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項33】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項32に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項34】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項32または33に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項35】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項34に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項36】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
を含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項35に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項37】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項36に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項38】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8の
位置1~127に対応するアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9の
位置1~107に対応するアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項27~37のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項39】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8の
位置1~127に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9の
位置1~107に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項38に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項40】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8の
位置1~127に対応するアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9の
位置1~107に対応するアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項39に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項41】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8の
位置1~127に対応するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9の
位置1~107に対応するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項40に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項42】
前記抗体がMFGR1877S(ボファタマブ)である、請求項41に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項43】
前記ラジオイムノコンジュゲートまたはその組成物の哺乳動物への投与後、腸経路、腎経路、または両方の経路により排泄された放射線の割合が、参照ラジオイムノコンジュゲートを投与されている同等な哺乳動物によって同じ経路(複数可)により排泄された放射線の割合より少なくとも2倍高い、請求項1~42のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項44】
前記ラジオイムノコンジュゲートまたはその組成物の哺乳動物への投与後、腸経路、腎経路、または両方の経路により排泄された放射線の割合が、参照ラジオイムノコンジュゲートを投与されている同等な哺乳動物によって同じ経路(複数可)により排泄された放射線の割合より少なくとも3倍高い、請求項43に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項45】
A-L-が、以下:
【化13-1】
【化13-2】
からなる群より選択される化合物の金属錯体である、請求項1に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項46】
A-L-が、以下:
【化14】
の金属錯体である、請求項45に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項47】
前記金属錯体が放射性核種を含む、請求項46に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項48】
前記放射性核種がアルファ放射体である、請求項47に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項49】
前記放射性核種が、アスタチン-211(
211At)、ビスマス-212(
212Bi)、ビスマス-213(
213Bi)、アクチニウム-225(
225Ac)、ラジウム-223(
223Ra)、鉛-212(
212Pb)、トリウム-227(
227Th)、およびテルビウム-149(
149Tb)、またはその子孫核種からなる群より選択されるアルファ放射体である、請求項48に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項50】
前記放射性核種が、
225Acまたはその子孫核種である、請求項49に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項51】
前記FGFR3標的化部分が、抗体またはその抗原結合性断片を含む、請求項50に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項52】
前記抗体またはその抗原結合性断片がヒト化されている、請求項51に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項53】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項52に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項54】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項52に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項55】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、請求項54に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項56】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、MFGR1877S(ボファタマブ)またはその抗原結合性断片である、請求項55に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項57】
前記抗体またはその抗原結合性断片が、MFGR1877S(ボファタマブ)である、請求項56に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項58】
以下の構造:
【化15】
を含み、式中
【化16】
がMFGR1877S(ボファタマブ)であり、式中、上記で示される抗体に結合したアミン基NH-が、前記抗体の一部であるリシン単位に由来する、請求項46に記載のラジオイムノコンジュゲート。
【請求項59】
請求項1~58のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項60】
がんを処置する方法であって、それを必要とする対象に、有効量の請求項1~58のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲートを含む医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項61】
前記対象が哺乳動物である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記哺乳動物がヒトである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記がんが固形腫瘍がんである、請求項60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記固形腫瘍がんが、副腎皮質癌、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、子宮内膜腺癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、神経膠腫、頭頸部がん、肝臓がん、肺がん、神経芽腫、神経内分泌がん、膵臓がん、前立腺がん、腎細胞癌、唾液腺腺様嚢胞がん、または精母細胞性セミノーマである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記固形腫瘍がんが膀胱がんである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記固形腫瘍がんが神経膠腫である、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記固形腫瘍がんが神経芽腫である、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記固形腫瘍がんが膵臓がんである、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記固形腫瘍がんが乳がんである、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
前記固形腫瘍がんが頭頸部がんである、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
前記固形腫瘍がんが肝臓がんである、請求項64に記載の方法。
【請求項72】
前記固形腫瘍がんが肺がんである、請求項64に記載の方法。
【請求項73】
前記がんが非固形腫瘍がんである、請求項60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記がんが、液性がんまたは血液がんである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記がんが骨髄腫である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記骨髄腫が多発性骨髄腫である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記がんが白血病である、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記がんがリンパ腫である、請求項74に記載の方法。
【請求項79】
前記医薬組成物が全身投与される、請求項60~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記医薬組成物が非経口投与される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記医薬組成物が静脈内投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記医薬組成物が動脈内投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記医薬組成物が腹腔内投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記医薬組成物が皮下投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
前記医薬組成物が皮内投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
前記医薬組成物が腸投与される、請求項79に記載の方法。
【請求項87】
前記医薬組成物が経消化管投与される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記医薬組成物が経口投与される、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記医薬組成物が局所投与される、請求項60~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記医薬組成物が、腫瘍周囲注射によって投与される、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記医薬組成物が、腫瘍内注射によって投与される、請求項89に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、(i)配列番号8の位置1~127に対応するアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および(ii)配列番号9の位置1~107に対応するアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、(i)配列番号8の位置1~127に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および(ii)配列番号9の位置1~107に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、(i)配列番号8の位置1~127に対応するアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および(ii)配列番号9の位置1~107に対応するアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、(i)配列番号8の位置1~127に対応するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン;および(ii)配列番号9の位置1~107に対応するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
一部の実施形態では、医薬組成物は、局所に、例えば腫瘍周囲注射または腫瘍内注射によって投与される。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
以下の構造:
A-L-B
式I-a
を含むラジオイムノコンジュゲートであって、
式中、Aが、キレート部分またはその金属錯体であり、
式中、Bが、FGFR3標的化部分であり、および
式中、Lが、リンカーである、
ラジオイムノコンジュゲート。
(項目2)
Aが、キレート部分の金属錯体である、項目1に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目3)
前記金属錯体が、放射性核種を含む、項目2に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目4)
前記放射性核種が、アルファ放射体である、項目3に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目5)
前記放射性核種が、アスタチン-211(
211
At)、ビスマス-212(
212
Bi)、ビスマス-213(
213
Bi)、アクチニウム-225(
225
Ac)、ラジウム-223(
223
Ra)、鉛-212(
212
Pb)、トリウム-227(
227
Th)、およびテルビウム-149(
149
Tb)、またはその子孫核種からなる群より選択されるアルファ放射体である、項目4に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目6)
前記放射性核種が、
225
Acまたはその子孫核種である、項目5に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目7)
Lが、式I-b:
A-L
1
-(L
2
)
n
-B
式I-b
内に示される構造-L
1
-(L
2
)
n
-を有し、
式中、
Aが、キレート部分またはその金属錯体であり;
Bが、FGFR3標的化部分であり;
L
1
が、必要に応じて置換されたC
1
~C
6
アルキル、必要に応じて置換されたC
1
~C
6
ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり;
nが、1~5の間(両端を含む)であり;および
各L
2
が、独立して以下の構造:
(-X
1
-L
3
-Z
1
-)
式III
を有し、式中、
X
1
が、C=O(NR
1
)、C=S(NR
1
)、OC=O(NR
1
)、NR
1
C=O(O)、NR
1
C=O(NR
1
)、-CH
2
PhC=O(NR
1
)、-CH
2
Ph(NH)C=S(NR
1
)、O、またはNR
1
であり;および各R
1
が、独立してH、必要に応じて置換されたC
1
~C
6
アルキル、必要に応じて置換されたC
1
~C
6
ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり、C
1
~C
6
アルキルが、オキソ(=O)、ヘテロアリール、またはその組合せによって置換されていてもよく;
L
3
が、必要に応じて置換されたC
1
~C
50
アルキルまたは必要に応じて置換されたC
1
~C
50
ヘテロアルキルであり;ならびに
Z
1
が、CH
2
、C=O、C=S、OC=O、NR
1
C=O、またはNR
1
であり、式中R
1
が、水素または必要に応じて置換されたC
1
~C
6
アルキルもしくはピロリジン-2,5-ジオンである、
項目1に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目8)
L
3
が、C
5
~C
20
ポリエチレングリコールである、項目7に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目9)
以下の構造:
【化12】
を含み、
式中、BがFGFR3標的化部分である、
項目7に記載のラジオイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
(項目10)
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも100kDaのサイズである、項目1~9のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目11)
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも150kDaのサイズである、項目10に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目12)
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも200kDaのサイズである、項目11に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目13)
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも250kDaのサイズである、項目12に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目14)
前記FGFR3標的化部分が、少なくとも300kDaのサイズである、項目13に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目15)
前記FGFR3標的化部分が、ヒトFGFR3に結合することが可能である、項目1~14のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目16)
前記FGFR3標的化部分が、野生型FGFR3に結合することが可能である、項目1~15のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目17)
前記FGFR3標的化部分が、変異体FGFR3に結合することが可能である、項目1~15のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目18)
前記FGFR3標的化部分が、野生型および変異体FGFR3の両方に結合することが可能である、項目17のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目19)
前記変異体FGFR3が点変異を含む、項目17または18に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目20)
前記点変異が、がんに関連する、項目19に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目21)
前記点変異体が、FGFR3
Y375C
、FGFR3
R248C
、FGFR3
S249C
、FGFR3
G372C
、FGFR3
K652E
、FGFR3
K652Q
、FGFR3
K652M
、およびその組合せからなる群より選択される、項目20に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目22)
前記変異体FGFR3が、FGFR3融合を含む、項目16~21のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目23)
前記FGFR3融合が、FGFR3-TACC3、FGFR3-CAMK2A、FGFR3-JAKMOP1、FGFR3-TNIP2、FGFR3-WHSC1、FGFR3-BAIAP2L1、およびその組合せからなる群より選択される、項目22に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目24)
前記FGFR3標的化部分が、抗体またはその抗原結合性断片を含む、項目1~23のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目25)
前記抗体またはその抗原結合性断片がヒト化されている、項目24に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目26)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む、項目24または25のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目27)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む、項目26に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目28)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも3つのCDRを含む、項目27に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目29)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも4つのCDRを含む、項目28に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目30)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;または
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも5つのCDRを含む、項目29に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目31)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
を含む、項目30に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目32)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、項目24または25に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目33)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、項目32に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目34)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、項目32または33に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目35)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
からなる群から選択される少なくとも2つのCDRを含む軽鎖可変ドメイン
を含む、項目34に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目36)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3、または配列番号3または4から1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
を含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3、またはそこから1もしくは2個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列
を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、項目35に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目37)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、項目36に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目38)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン
を含む、項目27~37のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目39)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン
を含む、項目38に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目40)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン
を含む、項目39に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目41)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、項目40に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目42)
前記抗体がMFGR1877S(ボファタマブ)である、項目41に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目43)
前記ラジオイムノコンジュゲートまたはその組成物の哺乳動物への投与後、腸経路、腎経路、または両方の経路により排泄された放射線の割合が、参照ラジオイムノコンジュゲートを投与されている同等な哺乳動物によって同じ経路(複数可)により排泄された放射線の割合より少なくとも2倍高い、項目1~42のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目44)
前記ラジオイムノコンジュゲートまたはその組成物の哺乳動物への投与後、腸経路、腎経路、または両方の経路により排泄された放射線の割合が、参照ラジオイムノコンジュゲートを投与されている同等な哺乳動物によって同じ経路(複数可)により排泄された放射線の割合より少なくとも3倍高い、項目43に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目45)
A-L-が、以下:
【化13-1】
【化13-2】
からなる群より選択される化合物の金属錯体である、項目1に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目46)
A-L-が、以下:
【化14】
の金属錯体である、項目45に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目47)
前記金属錯体が放射性核種を含む、項目46に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目48)
前記放射性核種がアルファ放射体である、項目47に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目49)
前記放射性核種が、アスタチン-211(
211
At)、ビスマス-212(
212
Bi)、ビスマス-213(
213
Bi)、アクチニウム-225(
225
Ac)、ラジウム-223(
223
Ra)、鉛-212(
212
Pb)、トリウム-227(
227
Th)、およびテルビウム-149(
149
Tb)、またはその子孫核種からなる群より選択されるアルファ放射体である、項目48に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目50)
前記放射性核種が、
225
Acまたはその子孫核種である、項目49に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目51)
前記FGFR3標的化部分が、抗体またはその抗原結合性断片を含む、項目50に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目52)
前記抗体またはその抗原結合性断片がヒト化されている、項目51に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目53)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)
配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
配列番号3または4のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む重鎖可変ドメイン;ならびに
(ii)
配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、項目52に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目54)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン
を含む、項目52に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目55)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン;および
(ii)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む、項目54に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目56)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、MFGR1877S(ボファタマブ)またはその抗原結合性断片である、項目55に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目57)
前記抗体またはその抗原結合性断片が、MFGR1877S(ボファタマブ)である、項目56に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目58)
以下の構造:
【化15】
を含み、式中
【化16】
がMFGR1877S(ボファタマブ)であり、式中、上記で示される抗体に結合したアミン基NH-が、前記抗体の一部であるリシン単位に由来する、項目46に記載のラジオイムノコンジュゲート。
(項目59)
項目1~58のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(項目60)
がんを処置する方法であって、それを必要とする対象に、有効量の項目1~58のいずれか一項に記載のラジオイムノコンジュゲートを含む医薬組成物を投与することを含む方法。
(項目61)
前記対象が哺乳動物である、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記哺乳動物がヒトである、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記がんが固形腫瘍がんである、項目60~62のいずれか一項に記載の方法。
(項目64)
前記固形腫瘍がんが、副腎皮質癌、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、子宮内膜腺癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、神経膠腫、頭頸部がん、肝臓がん、肺がん、神経芽腫、神経内分泌がん、膵臓がん、前立腺がん、腎細胞癌、唾液腺腺様嚢胞がん、または精母細胞性セミノーマである、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記固形腫瘍がんが膀胱がんである、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記固形腫瘍がんが神経膠腫である、項目64に記載の方法。
(項目67)
前記固形腫瘍がんが神経芽腫である、項目64に記載の方法。
(項目68)
前記固形腫瘍がんが膵臓がんである、項目64に記載の方法。
(項目69)
前記固形腫瘍がんが乳がんである、項目64に記載の方法。
(項目70)
前記固形腫瘍がんが頭頸部がんである、項目64に記載の方法。
(項目71)
前記固形腫瘍がんが肝臓がんである、項目64に記載の方法。
(項目72)
前記固形腫瘍がんが肺がんである、項目64に記載の方法。
(項目73)
前記がんが非固形腫瘍がんである、項目60~62のいずれか一項に記載の方法。
(項目74)
前記がんが、液性がんまたは血液がんである、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記がんが骨髄腫である、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記骨髄腫が多発性骨髄腫である、項目75に記載の方法。
(項目77)
前記がんが白血病である、項目74に記載の方法。
(項目78)
前記がんがリンパ腫である、項目74に記載の方法。
(項目79)
前記医薬組成物が全身投与される、項目60~78のいずれか一項に記載の方法。
(項目80)
前記医薬組成物が非経口投与される、項目79に記載の方法。
(項目81)
前記医薬組成物が静脈内投与される、項目80に記載の方法。
(項目82)
前記医薬組成物が動脈内投与される、項目80に記載の方法。
(項目83)
前記医薬組成物が腹腔内投与される、項目80に記載の方法。
(項目84)
前記医薬組成物が皮下投与される、項目80に記載の方法。
(項目85)
前記医薬組成物が皮内投与される、項目80に記載の方法。
(項目86)
前記医薬組成物が腸投与される、項目79に記載の方法。
(項目87)
前記医薬組成物が経消化管投与される、項目86に記載の方法。
(項目88)
前記医薬組成物が経口投与される、項目86に記載の方法。
(項目89)
前記医薬組成物が局所投与される、項目60~78のいずれか一項に記載の方法。
(項目90)
前記医薬組成物が、腫瘍周囲注射によって投与される、項目89に記載の方法。
(項目91)
前記医薬組成物が、腫瘍内注射によって投与される、項目89に記載の方法。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0141
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0141】
一部の実施形態では、FGFR3抗体またはその抗原結合性断片の重鎖可変領域は、配列番号
8の
位置1~127に対応するアミノ酸配列、またはそれとは1、2、3、もしくは4個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列、または配列番号8
の位置1~127に対応するアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、もしくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む:
【化10】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0142
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0142】
一部の実施形態では、FGFR3抗体またはその抗原結合性断片の軽鎖可変領域は、配列番号9の
位置1~107に対応するアミノ酸配列、またはそれとは1、2、3、もしくは4個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列、または配列番号9
の位置1~107に対応するアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、もしくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む:
【化11】
【国際調査報告】