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特表2023-518867非代償性心不全を治療するための医療デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】非代償性心不全を治療するための医療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/531 20210101AFI20230426BHJP
   A61B 5/0215 20060101ALI20230426BHJP
   A61M 60/135 20210101ALI20230426BHJP
   A61M 60/268 20210101ALI20230426BHJP
   A61M 60/427 20210101ALI20230426BHJP
   A61M 60/837 20210101ALI20230426BHJP
   A61M 60/869 20210101ALI20230426BHJP
【FI】
A61M60/531
A61B5/0215 C
A61B5/0215 D
A61M60/135
A61M60/268
A61M60/427
A61M60/837
A61M60/869
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557903
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 US2021021998
(87)【国際公開番号】W WO2021194764
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】62/994,572
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アナンド、ウマン
(72)【発明者】
【氏名】メレディス、イアン
【テーマコード(参考)】
4C017
4C077
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AB10
4C017AC04
4C017AC28
4C017DD14
4C017EE01
4C017FF17
4C077AA04
4C077DD09
4C077FF04
4C077HH03
4C077HH13
4C077JJ08
4C077JJ19
(57)【要約】
医療デバイスシステム及び医療デバイスシステムを製造及び使用するための方法が開示される。例示の医療デバイスシステムはプロセッサ(16)及びポンプ(18)を有する制御システムと、プロセッサ(16)に連結され、かつ上大静脈(36)内に配置されるように構成される第1の拡張可能部材(128、228、28A、28B、328A)と、を含む。システムはプロセッサ(16)に連結され、かつ下大静脈(38)内に配置されるように構成される第2の拡張可能部材(129、229、28B、328B)も含む。システムは第1のパラメータを感知するよう設計される第1の感知部材(32a)も含む。システムは第2のパラメータを感知するように設計される第2の感知部材(32b)も含む。さらに、ポンプ(18)は第1のパラメータ、第2のパラメータにおける変化、又は第1のパラメータ及び第2のパラメータの両方における変化に基づいて第1の拡張可能部材(128、228、28A、28B、328A)、第2の拡張可能部材(129、229、28B、328B)又は第1の拡張可能部材及び第2の拡張可能部材の両方を拡張又は収縮するように設計される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓を治療するための医療デバイスシステムであって、
プロセッサ及びポンプを有する制御システムと、
前記プロセッサに連結され、上大静脈内に配置されるように構成される第1の拡張可能部材と、
前記プロセッサに連結され、下大静脈内に配置されるように構成される第2の拡張可能部材と、
前記第1の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有し、第1のパラメータを感知するように設計される第1の感知部材と、
前記第2の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有し、第2のパラメータを感知するように設計される第2の感知部材と、を備え、
前記ポンプは前記第1のパラメータ、前記第2のパラメータにおける変化又は前記第1のパラメータ及び前記第2のパラメータの両方における変化に基づいて前記第1の拡張可能部材、前記第2の拡張可能部材又は前記第1の拡張可能部材及び前記第2の拡張可能部材の両方を拡張又は収縮するように設計される、システム。
【請求項2】
前記第1のパラメータ、前記第2のパラメータ又は前記第1のパラメータ及び前記第2のパラメータの両方は血圧である、請求項16に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の感知部材、前記第2の感知部材又は前記第1の感知部材及び前記第2の感知部材の両方はMEMSセンサを含む、請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の感知部材、前記第2の感知部材又は前記第1の感知部材及び前記第2の感知部材の両方は光ファイバセンサを含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の感知部材、前記第2の感知部材又は前記第1の感知部材及び前記第2の感知部材の両方は流体充填圧力感知カテーテルを含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の拡張可能部材は、前記第1の拡張可能部材が頸静脈を通過した後に、前記上大静脈内に配置されるように構成され、前記第2の拡張可能部材は、前記第2の拡張可能部材が大腿静脈を通過した後に、前記下大静脈内に配置されるように構成される、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の拡張可能部材及び前記第2の拡張可能部材の両方が前記大腿静脈を通過した後に、前記第1の拡張可能部材は前記上大静脈内に配置されるように構成され、前記第2の拡張可能部材は前記下大静脈内に配置されるように構成される、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有する第3の感知部材をさらに備え、前記第3の感知部材は第3のパラメータを感知するように設計される、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有する第4の感知部材をさらに備え、前記第4の感知部材は第4のパラメータを感知するように設計される、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の拡張可能部材は前記第1の感知部材の遠位端と前記第3の感知部材の遠位端との間に配置される、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の拡張可能部材に連結される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、その中に延在する複数の内腔と、を有する第1の長尺シャフトをさらに備え、前記第1の感知部材の少なくとも一部分が前記複数の内腔の第1の内腔の少なくとも一部分の中に延在する、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の感知部材の少なくとも一部分は前記複数の内腔の第2の内腔の少なくとも一部分の中に延在する、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
メモリをさらに備え、前記メモリは前記プロセッサによって実行可能な一連の命令を含み、前記一連の命令は前記第1のパラメータ、前記第2のパラメータにおける変化又は前記第1のパラメータ及び前記第2のパラメータの両方における変化に基づいて前記第1の拡張可能部材及び前記第2の拡張可能部材の両方を拡張するように構成される、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
心臓を治療するための医療デバイスであって、
プロセッサ及びポンプを有する制御システムと、
前記プロセッサに連結され、上大静脈内に配置されるように構成される第1の拡張可能部材と、
前記プロセッサに連結され、下大静脈内に配置されるように構成される第2の拡張可能部材と、
前記第1の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有し、第1のパラメータを感知するように設計される第1の圧力感知部材と、
前記第2の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有し、第2のパラメータを感知するように設計される第2の圧力感知部材と、
前記第1の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有し、第3のパラメータを感知するように設計される第3の圧力感知部材と、
前記第2の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有し、第4のパラメータを感知するように設計される第4の圧力感知部材と、を備え、
前記ポンプは前記第1のパラメータ、前記第2のパラメータ、前記第3のパラメータ又は前記第4のパラメータにおける変化に基づいて前記第1の拡張可能部材、前記第2の拡張可能部材又は前記第1の拡張可能部材及び前記第2の拡張可能部材の両方を拡張又は収縮するように設計される、システム。
【請求項15】
前記第1のパラメータ、前記第2のパラメータ又は前記第1のパラメータ及び前記第2のパラメータの両方は血圧である、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイス、及び医療デバイスを製造する方法に関する。より具体的には、本開示は拡張可能部材及び他の構造に接続された圧力センサを含む医療デバイス、及びそのようなデバイスを製造及び使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な体内医療デバイスは医療使用のために、例えば、血管内使用のために開発されている。これらのデバイスのいくつかは、案内ワイヤ、バルーンカテーテル、及びセンサ等を含む。これらのデバイスは様々な異なる製造方法の任意の一つによって製造され、様々な方法の任意の一つに従って用いられ得る。既知の医療デバイス及び方法の中で、各々が特定の利点と欠点とを有する。医療デバイスを製造及び使用するための代替の方法だけでなく代替の医療デバイスを提供することが現在も必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は医療デバイスの設計、材料、製造方法、及び使用代替物を提供する。心臓を治療するための例示的な医療デバイスシステムは、プロセッサ及びポンプを有する制御システムと、前記プロセッサに連結される第1の拡張可能部材と、を含み、前記第1の拡張可能部材は、上大静脈内に配置されるように構成される。前記システムはまた前記プロセッサに連結される第2の拡張可能部材を含み、前記第2の拡張可能部材は下大静脈内に配置されるように構成される。前記システムはまた前記第1の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有する第1の感知部材を含み、前記第1の感知部材は第1のパラメータを感知するように設計される。前記システムはまた前記第2の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有する第2の感知部材を含み、前記第2の感知部材は第2のパラメータを感知するように設計される。さらに、前記ポンプは前記第1のパラメータ、前記第2のパラメータにおける変化又は前記第1のパラメータ及び前記第2のパラメータの両方における変化に基づいて前記第1の拡張可能部材、前記第2の拡張可能部材又は前記第1の拡張可能部材及び前記第2の拡張可能部材の両方を拡張又は収縮するように設計される。
【0004】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第1のパラメータ、前記第2のパラメータ又は前記第1のパラメータ及び前記第2のパラメータの両方は血圧である。
【0005】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第1の感知部材、前記第2の感知部材又は前記第1の感知部材及び前記第2の感知部材の両方はMEMSセンサを含む。
【0006】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第1の感知部材、前記第2の感知部材又は前記第1の感知部材及び前記第2の感知部材の両方は光ファイバセンサを含む。
【0007】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第1の感知部材、前記第2の感知部材又は前記第1の感知部材及び前記第2の感知部材の両方は流体充填圧力感知カテーテルを含む。
【0008】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第1の拡張可能部材は前記第1の拡張可能部材が頸静脈を通過した後に前記上大静脈内に配置されるように構成され、前記第2の拡張可能部材は前記第2の拡張可能部材が大腿静脈を通過した後に前記下大静脈内に配置されるように構成される。
【0009】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第1の拡張可能部材及び前記第2の拡張可能部材の両方が前記大腿静脈を通過した後に、前記第1の拡張可能部材は前記上大静脈内に配置されるように構成され、前記第2の拡張可能部材は前記下大静脈内に配置されるように構成される。
【0010】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第1の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有する第3の感知部材をさらに備え、前記第3の感知部材は第3のパラメータを感知するように設計される。
【0011】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第2の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有する第4の感知部材をさらに備え、前記第4の感知部材は第4のパラメータを感知するように設計される。
【0012】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第1の拡張可能部材は前記第1の感知部材の遠位端と前記第3の感知部材の遠位端との間に配置される。
【0013】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第1の拡張可能部材に連結される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、その中に延在する複数の内腔と、を有する第1の長尺シャフトをさらに備え、前記第1の感知部材の少なくとも一部分は前記複数の内腔の第1の内腔の少なくとも一部分の中に延在する。
【0014】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第2の感知部材の少なくとも一部分は前記複数の内腔の第2の内腔の少なくとも一部分の中に延在する。
【0015】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、メモリをさらに備え、前記メモリは前記プロセッサによって実行可能な一連の命令を含み、前記一連の命令は前記第1のパラメータ、前記第2のパラメータにおける変化又は前記第1のパラメータ及び前記第2のパラメータの両方における変化に基づいて前記第1の拡張可能部材及び前記第2の拡張可能部材の両方を拡張するように構成される。
【0016】
心臓を治療するための別の医療デバイスシステムは、プロセッサ及びポンプを有する制御システムと、前記プロセッサに連結される第1の拡張可能部材と、を含み、前記第1の拡張可能部材は前記上大静脈内に配置されるように構成される。前記システムは前記プロセッサに連結される第2の拡張可能部材も含み、前記第2の拡張可能部材は前記下大静脈内に配置されるように構成される。前記システムはまた前記第1の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有する第1の圧力感知部材を含み、前記第1の圧力感知部材は第1のパラメータを感知するように設計される。前記システムはまた前記第2の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有する第2の圧力感知部材を含み、前記第2の圧力感知部材は第2のパラメータを感知するように設計される。前記システムはまた前記第1の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有する第3の圧力感知部材を含み、前記第3の圧力感知部材は第3のパラメータを感知するように設計される。前記システムはまた前記第2の拡張可能部材に隣接して配置される第1端と、前記制御システムに連結される第2端と、を有する第4の圧力感知部材を含み、前記第4の圧力感知部材は第4のパラメータを感知するように設計される。さらに、前記ポンプは前記第1のパラメータ、前記第2のパラメータ、前記第3のパラメータ又は前記第4のパラメータにおける変化に基づいて前記第1の拡張可能部材、前記第2の拡張可能部材又は前記第1の拡張可能部材及び前記第2の拡張可能部材の両方を拡張又は収縮するように設計される。
【0017】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第1のパラメータ、前記第2のパラメータ又は前記第1のパラメータ及び前記第2のパラメータの両方は血圧である。
【0018】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第1の感知部材、前記第2の感知部材又は前記第1の感知部材及び前記第2の感知部材はMEMSセンサを含む。
【0019】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第1の感知部材、前記第2の感知部材又は前記第1の感知部材及び前記第2の感知部材の両方は光ファイバセンサを含む。
【0020】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、前記第1の拡張可能部材は前記第1の感知部材の遠位端と前記第3の感知部材の遠位端との間に配置される。
【0021】
上記の任意の実施形態の代替又は追加で、メモリをさらに備え、前記メモリは前記プロセッサによって実行可能な一連の命令を含み、前記一連の命令は前記第1のパラメータ、前記第2のパラメータにおける変化又は前記第1のパラメータ及び前記第2のパラメータの両方における変化に基づいて前記第1の拡張可能部材及び前記第2の拡張可能部材の両方を拡張するように構成される。
【0022】
心臓を治療するための例示的な方法は第1の医療デバイスを前記上大静脈内へ前記頸静脈を通って進めることを含み、前記第1の医療デバイスは第1の拡張可能部材と、第1の感知部材と、を含み、前記第1の拡張可能部材及び前記第1の感知部材の両方は制御システムに連結される。前記方法はまた前記大腿静脈を通って前記下大静脈内へ第2の医療デバイスを進めることを含み、前記第2の医療デバイスは第2の拡張可能部材と、第2の感知部材と、を含み、前記第2の拡張可能部材及び前記第2の感知部材の両方は前記制御システムに連結される。前記方法はまた前記第1の感知部材を用いて第1のパラメータを感知することと、前記第2の感知部材を用いて第2のパラメータを感知することと、前記第1のパラメータにおける変化、前記第2のパラメータにおける変化、又は前記第1のパラメータ及び前記第2のパラメータの両方における変化に基づいて前記第1の拡張可能部材、前記第2の拡張可能部材、又は前記第1の拡張可能部材及び前記第2の拡張可能部材の両方を拡張することと、を含む。
【0023】
いくつかの実施形態の上記概要は本開示のそれぞれの開示された実施形態又は全ての実施を記載することを意図しない。以下の図面、及び詳細な説明はこれらの実施形態をより具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示は添付の図面と以下の詳細な説明を関連して考慮することでより完璧に理解され得る。
【0025】
図1】例示的な医療デバイスシステムを示す。
図2】上大静脈及び下大静脈内に配置される例示的な医療デバイスの図式表現である。
図3】上大静脈及び下大静脈内に配置される例示的な医療デバイスの図式表現である。
図4】上大静脈及び下大静脈内に配置される例示的な医療デバイスの図式表現である。
図5】例示的な医療デバイスの一部分を示す。
図6図5の6-6線に沿った断面図である。
図7】上大静脈及び下大静脈内に配置される例示的な医療デバイスの図式表現である。
図8】別の例示的医療デバイスの一部分を示す。
図9図8の9-9線に沿った断面図である。
図10】上大静脈及び下大静脈内に配置される例示的な医療デバイスの図式表現である。
図11】別の例示的な医療デバイスの一部分を示す。
図12図11の12-12線に沿った断面図である。
図13】上大静脈及び下大静脈内に配置される例示的な医療デバイスの図式表現である。
【0026】
本開示は様々な修正及び代替の形態を受け入れるが、それらの詳細は図面の例によって示され、詳細に記載されるであろう。しかし、その意図が本開示を記載された特定の実施形態に限定されないことは理解されるべきである。対照的に、本発明は、本開示の趣旨及び範囲に収まる全ての修正、均等物、及び代替物を対象とすることを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
異なる定義が特許請求の範囲において又は本明細書のどこかで与えられない限り、以下の定義された用語に対して、これらの定義は適用されるべきである。
【0028】
本明細書では、明確に示されているかどうかに関わらず、全ての数字が用語「約(about)」によって修飾される事が推定される。用語「約(about)」は一般的に当業者の一人が列挙された値に対して同等である(例えば、同じ機能又は結果を有する)と考える数字の範囲を示す。多くの場合において、用語「約(about)」は最も近い有効数字に丸められた数字を含み得る。
【0029】
端点による数字の範囲の列挙はその範囲内の全ての数字(例えば、1から5は1、1.5、2、2.75、3、3.8、4及び5を含む)を含む。
【0030】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられるとき、内容が明確に他のことを指示しない限り、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」及び「その(the)」は、複数の支持対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられるとき、内容が明確に他のことを指示しない限り、用語「又は(or)」は一般的に「及び/又は(and/or)」を含む意味として用いられる。
【0031】
本明細書において「一つの実施形態(an embodiment)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」、「他の実施形態(other embodiments)」などの参照は、記載される実施形態が一つ以上の特定の特徴、構造、及び/又は特性を含み得ることを示すことに注意されたい。しかし、そのような記述は全ての実施形態が特定の特徴、構造、及び/又は特性を含むことを必ずしも意味しない。さらに、特定の特徴、構造、及び/又は特性が一つの実施形態と関連して記載されるとき、そのような特徴、構造、及び/又は特性は、反対のことが明確に述べられない限り、明確に記載されるかどうかに関わらず、他の実施形態と関連して用いられ得ることも理解されるべきである。
【0032】
以下の詳細な説明は図面を参照して読まれるべきであり、異なる図面内の類似の要素は同じ番号を付けられる。必ずしも縮尺通りではない図面は、具体的な実施形態を示しており、本開示の範囲を制限する意図はない。
【0033】
心臓は人に必須の臓器であり、血液を体中に送り出す役割を果たしている。それ故に、心臓の機械的ポンピング特性が正確に機能することが根本的に重要である。心臓が正確に機能しないとき、様々の有害な症状が発生し得る。これらの有害な症状は急性非代償性心不全(ADHF)と呼ばれる重症を含み得る。この形態の心不全は、心臓が効率的なポンプ機能を突然果たせなくなることに特徴付けられ得る。しかし、心臓のポンプ機能が大きく低下したとしても心臓は停止しないため、心臓のポンプ機能が効率的に果たされなくなることは、心停止が原因ではない。
【0034】
ADHFは心臓の機能不全を引き起こし、血液を前方に送り出すことができなくなる。さらに、心臓が血液を前方へ送り出せなくなることは過剰な血液が心臓の一つ以上のチャンバへ逆流すること(例えば、集まること)をもたらし得る。例えば、患者の左心室が傷つけられ、大動脈内へ血液を効率的に送り出せなくなる場合、右心房において血液の漸進的な逆流が最終的に現れる。右心房における血液の逆流は、様々な有害な合併症をもたらし得る。例えば、右心房における過剰な血液は右心房において血圧を増加させる場合があり、最終的に心室中隔の移動をもたらし、それにより左心室の容量及び心拍出量を低下させる。
【0035】
従って、いくつかの場合において、右心房内の血流を調節するために上大静脈及び/又は下大静脈内に拡張可能な医療デバイスを配置しかつ拡張することが望ましい場合があり、それにより右心房内の過剰な血液を無効にして、その結果、右心房において血圧を低下させる。右心房内の血流を調節するために上大静脈及び/又は下大静脈内に配置されるように設計された例示的な医療デバイスが開示される。
【0036】
図1は例示的な医療デバイスシステム10を示す。医療デバイスシステム10は第1の医療デバイス26a及び第2の医療デバイス26bを含み得る。図2を参照して以下より詳細に記載されるように、第1の医療デバイス26a及び第2の医療デバイス26bの各々は患者24の心臓22に隣接して配置される遠位端領域を含み得る。さらに、第1の医療デバイス26aは患者24から外側へかつ離れるように延びる長尺部材30aを含むことが可能であり、それにより長尺部材30aの近位端は制御システム14に連結され得る。同様に、第2の医療デバイス26bは患者24から外方へ離間するように長尺部材30bを含むことが可能であり、それにより長尺部材30aの近位端は制御システム14に連結され得る。
【0037】
上述の制御システム14はプロセッサ16及びポンプ18を含み得る。いくつかの例において、プロセッサ16及びポンプ18は単一のコンソール(例えば、ハウジング)内に配置され得ることは理解され得る。しかし、他の例において、プロセッサ16及びポンプ18は互いに離間する別個の構成要素であり得ることはさらに理解され得る。いずれの構成においても、プロセッサ16及びポンプ18は互いに通信可能であり得ることが理解され得る。例えば、プロセッサ16は患者の体の生理的変化に応答してポンプ18と通信し得る。プロセッサ16及びポンプ18は様々なチャンネルを介して通信し得ることがさらに理解され得る。例えば、プロセッサ16及びポンプ18は互いに有線接続されてよく、又は無線接続されてよく、又は有線接続及び無線接続の両方を含んでよい。
【0038】
さらに、いくつかの例において、医療デバイスシステム10は制御システム14に連結される生理食塩水容器20(例えば、生理食塩水バッグ)を含み得る。具体的に、いくつかの例において、生理食塩水容器20はポンプ18に直接取り付けられ得る。ポンプ18は、上述のように、患者の体の生理的変化を感知するプロセッサ16に応答して生理食塩水容器20から生理食塩水を引き出し得る。
【0039】
図2図1の詳細な図を示す。特に、図2は上大静脈36内に配置される第1の医療デバイス26aの遠位端領域を示す。図2に示すように、第1の医療デバイス26aは拡張可能部材28aを含み得る。いくつかの場合において、拡張可能部材28aは拡張可能医療バルーンとして参照され得る。拡張可能部材28aは遠位端及び近位端を含み得る。拡張可能部材28aの近位端は長尺部材30a(上述)に連結され得る。
【0040】
さらに、長尺部材30aがその中に延在する一つ以上の個々の内腔を含み得ることは理解され得る。例えば、長尺部材30aは膨張内腔(図2に示さないが、図5に示す)を含むことが可能であり、ポンプ18と連通し得る(次に、生理食塩水容器20と連通し得る)ことは理解され得る。
【0041】
さらに、図2は長尺部材30aが(上述の膨張内腔に加えて)一つ以上の追加内腔を含み得ることを示し、それは感知部材が内部に延在することを許容するように構成される。例えば、図2は長尺部材30aの一部分から外へ延出する感知部材32aを示し、それにより感知部材32aの遠位端は拡張可能部材28aの近位に配置され得る。さらに、図2は医療デバイス26aの遠位端領域から外へ延出する感知部材34aを示し、それにより感知部材34aの一部分は拡張可能部材28aの遠位に配置される。
【0042】
第1の医療デバイス26aについての上記の議論と同様に、図2は下大静脈38内に配置される第2の医療デバイス26bの遠位端領域を示す。図2に示すように、第2の医療デバイス26bは拡張可能部材28bを含み得る。いくつかの場合において、拡張可能部材28bは拡張可能医療バルーンとして参照され得る。拡張可能部材28bは遠位端および近位端を含み得る。拡張可能部材28bの近位端は長尺部材30b(上述)に連結され得る。
【0043】
さらに、長尺部材30bはその中に延在する一つ以上の個々の内腔を含み得ることは理解され得る。例えば、長尺部材30bは膨張内腔(図2に示さないが図5に示す)を含むことが可能であり、ポンプ18と連通する(次に、生理食塩水容器20と連通する)ことは理解され得る。
【0044】
さらに、図2は長尺部材30bが(上述の膨張内腔に加えて)一つ以上の追加内腔を含み得ることを示し、それは感知部材がその中に延在することを許容するように構成される。例えば、図2は長尺部材30bの一部分から外に延出する感知部材32bを示し、それにより感知部材32bの遠位端は拡張部材28bの近位に配置され得る。さらに、図2は第2の医療デバイス26bの遠位端領域から外に延出する感知部材34bを示し、それにより第2の感知部材34bの一部分は第1の拡張可能部材28bの遠位に配置される。
【0045】
上述のように、図2は上大静脈36において拡張可能部材28aに隣接して配置される感知部材32a/34aを示す。図2は下大静脈38において拡張可能部材28bに隣接して配置される感知部材32b/34bを示す。いくつかの例において、感知部材32a/34a/32b/34bは全て、患者24に生じる一つ以上の生理的パラメータ/特性における変化を感知するように構成され得る。具体的に、いくつかの例において、感知部材32a/34a/32b/34bは、圧力感知能を含み得る。言い換えると、感知部材32aは上大静脈36において中心静脈圧を測定するように設計される圧力センサを含むことが可能であり、感知部材34a/34bは右心房42に隣接する領域において右心房圧を測定するように設計される圧力センサを含むことが可能であり、感知部材32bは下大静脈38において下静脈圧を測定するように設計される圧力センサを含み得る。
【0046】
感知部材32a/34a/32b/34bは、様々な異なる構成を含み得ることは理解され得る。例えば、いくつかの場合において、各々の感知部材が長尺ワイヤに連結される微小な電気機械(MEMS)センサを含み得る。MEMS圧力センサは血圧における非常に小さな変化を急速に検出し応答することが可能であり得る。さらに、MEMS圧力センサはMEMSセンサが配置される領域(例えば、上大静脈、下大静脈、又は右心房隣接部)における血圧に変化があることを示す信号をプロセッサ16に送信可能であり得る。
【0047】
他の例では、感知部材32a/34a/32b/34bの各々は、圧力感知カテーテルを含むことが可能であり、それによってカテーテルは流体充填内腔を含み、その遠位端は周囲の環境に開き得る。さらに、流体充填カテーテルの遠位端の周囲の領域における圧力の変化は、カテーテル内へ流体を移動させ得る。流体の流体充填カテーテル内へのこの移動はプロセッサ16によって感知され得る。
【0048】
さらに、他の例において、感知部材32a/34a/32b/34bの各々は、光ファイバ圧力感知カテーテルを含むことが可能であり、それにより光ファイバ圧力感知カテーテルは光ファイバ圧力センサを含む。光ファイバ圧力センサはセンサの周囲の光の強度における変化に基づいて(センサに隣接する領域において)血圧における変化を感知し得る。光の強度におけるこの変化はプロセッサ16によって感知され得る。本明細書に記載される例のいくつかにおいて、センサ部材は様々なセンサを含み得る。例えば、上述のセンサに加えて、本明細書に開示されるセンサ部材はピエゾ抵抗センサ、ピエゾ容量センサ、圧力センサ、流量センサ、加速度計、又は温度センサなどを含み得る。
【0049】
上述のように、(例えば)心臓22のポンピング動作が衰弱した左心室40によって損なわれるとき、血液はその中へ逆流し始め得る。さらに、左心室40における血液の逆流は左心房46において血液の逆流をもたらし得る。さらに、左心房46における血液の逆流は、肺静脈、肺及び肺動脈内への血液の逆流をもたらし得る。肺動脈における血液の逆流は右心室44への血液の逆流をさらにもたらす場合があり、時間が経過すると右心房42及び右心房42に直接隣接する領域(例えば、上大静脈36、下大静脈38)において血液の逆流(及び血圧の増加)をもたらす。
【0050】
さらに、右心房42内へ血液が逆流すると、追加の血液が上大静脈36及び下大静脈38から右心房42内へ流れ続け得ることは理解され得る。従って、右心房42内への血液の逆流によってもたらされる有害作用(例えば、右心房42内の血液容量及び血圧の増加)を調節するために、上大静脈36及び/又は下大静脈38を一時的に(完全に又は部分的に)塞ぐことが望ましい場合がある。
【0051】
従って、いくつかの例では、上大静脈36、下大静脈38及び/又は右心房42の周辺の領域において、一つ以上の感知部材32a/34a/32b/34bが生理的パラメータにおける変化(例えば、血圧の増加)を感知し得る。さらに、パラメータにおける変化を感知する任意のセンサが信号をプロセッサ16に送信し得ることは理解され得る。プロセッサ16は一つ以上の感知部材32a/34a/32b/34bから受ける信号を測定、解釈、処理、分析、評価等をするように設計されるメモリ及び/又はアルゴリズムを含み得る。さらに、必要な場合、アルゴリズムは一つ以上の感知部材32a/34a/32b/34bから受ける信号を処理することが可能であり、第1の拡張可能部材28a及び/又は第2の拡張可能部材28bから流体を充填又は排出するようにポンプ18と通信し得る。上述のように、ポンプ18は第1の拡張可能部材28a及び/又は第2の拡張可能部材28bを拡張するために生理食塩水容器20から流体を汲みだしうる。
【0052】
感知部材32a/34a/32b/34bが上大静脈36、下大静脈38及び/又は右心房42の周囲の領域において、生理的パラメータにおける変化(例えば、血圧の増加)を感知するとき、第1の拡張可能部材28a及び/又は第2の拡張可能部材28bを拡張することは右心房42の周囲の領域内への血流を制限し得る。右心房42の周囲の領域内への血流を制限することは、右心房42に蓄積されている過剰な血液を右心房42から無効にする(又は部分的に無効にする)ことを許容することが可能であり、それにより心臓22において蓄積された血圧を低下させる。
【0053】
いくつかの場合において、システム10にとって拡張可能部材28a/28bが上大静脈36及び下大静脈38をそれぞれ完全に塞ぐ点まで第1の拡張可能部材28a及び/又は第2の拡張可能部材28bを拡張することは必要ではない場合がある。むしろ、いくつかの場合において、プロセッサ16は一つ以上の感知部材32a/34a/32b/34bから受ける信号を処理することが可能であり、部分的にのみ上大静脈36及び/又は下大静脈38を塞ぎ得る。他の場合において、プロセッサ16は一つ以上の感知部材32a/34a/32b/34bから受ける信号を処理することが可能であり、上大静脈36又は下大静脈38を完全に塞ぎ得る一方で、上大静脈36及び下大静脈38の他方を開いたまま又は部分的にのみ塞いだままにする。プロセッサ16は上大静脈36、下大静脈38及び/又は右心房42において発生する様々な生理的パラメータを分析し、第1の拡張可能部材28a及び/又は第2の拡張可能部材28bのいずれかが(仮に塞ぐとしても)塞ぐべき程度を決定するように設計されるアルゴリズムを含み得ることは理解され得る。
【0054】
第1の拡張可能部材28a及び/又は第2の拡張可能部材28bが塞ぐべき程度を評価するためにプロセッサ16によって処理され得る上述の生理的パラメータは単に上大静脈36、下大静脈38及び/又は右心房42における血圧に制限されないことに注意されたい。むしろ、プロセッサ16は血流、血圧、血液容量、下大静脈の動き、上大静脈の動き、呼吸周期、下大静脈における容量、又は上大静脈における容量等を評価し得る。
【0055】
さらに、いくつかの場合において、プロセッサ16によって用いられるアルゴリズムは特定の患者に対する上大静脈36、下大静脈38及び/又は右心房42における血圧値の評価を含むことが可能であり、それによりアルゴリズムは所定の時点で特定の患者に対して第1の拡張可能部材28a及び/又は第2の拡張可能部材28bのいずれかが塞ぐべき程度を決定するためにルックアップテーブル又は人工知能アルゴリズムをさらに用い得る。
【0056】
さらに、いくつかの場合において、制御システム14はまた患者のECGをプロセッサ16に提供するセンサに連結され得る。その場合において、特定の患者の心周期タイミングは所定の時点で特定の患者に対して第1の拡張可能部材28a及び/又は第2の拡張可能部材28bのいずれかが塞ぐべき程度を決定するために用いられ得る。さらに、いくつかの例において、制御システム14はまた所定の患者に対して吸気周期を感知し得る胸部加速度計(例えば、ウェアラブルパッチ)に連結され得る。特定の患者に対する吸気周期のタイミングは第1の拡張可能部材28a及び/又は第2の拡張可能部材28bのいずれかが所定の時点で特定の患者に対して塞ぐべき程度を決定するために用いられ得る。
【0057】
上述のように、第1の拡張可能部材28aの膨張又は排出のタイミングは第2の拡張可能部材28bの膨張又は排出のタイミングと異なり得る。言い換えると、第1の拡張可能部材28aの膨張又は排出は第2の拡張可能部材28bの膨張又は排出と一致しない場合がある。第1の拡張可能部材28aの膨張又は排出が第2の拡張可能部材28bと一致しないことを許容することは、全身の平均動脈圧を維持しながら腎臓又は肝臓の静脈圧の上昇及び心仕事量の減少を伴わず、脳血流に最小限の影響を許容し得る。
【0058】
図3は上述の上大静脈36内に配置される第1の医療デバイス26aを示す。さらに、図3はつぶれた構造(例えば、上大静脈36を通って右心房42へ向かう血流が制限されない場合がある構造)における第1の拡張可能部材28aを示す。同様に、図3は上述の下大静脈38内に配置される第2の医療デバイス26bを示す。図3はつぶれた構造(例えば、下大静脈38を通って右心房へ向かう血流が制限されない場合がある構造)における第2の拡張可能部材26bを示す。
【0059】
図4は上述の上大静脈36内に配置される第1の医療デバイス26aを示す。さらに、図4は拡張構造(例えば、上大静脈36を通って右心房42へ向かう血流を制限し得る構造)における第1の拡張可能部材28aを示す。同様に、図4は上述の下大静脈38内に配置される第2の医療デバイス26bを示す。さらに、図4は拡張構造(例えば、下大静脈38を通って右心房へ向かう血流を制限し得る構造)における第2の拡張可能部材26bを示す。
【0060】
図1から図4は、いくつかの例において、第1の医療デバイス26aが患者の首の切り口を通って挿入されることが可能であり、頸静脈を通って上大静脈36へ向かい得ることは理解され得る。さらに、いくつかの例において、第2の医療デバイス26bが患者の鼠径部の切り口を通って挿入されることが可能であり、大腿静脈を通って下大静脈38へ向かい得ることは理解され得る。
【0061】
図5は例示的な医療デバイス26を示す。簡潔に、例示的な医療デバイスは上述の医療デバイス26a又は医療デバイス26bを示し得る。図5は医療デバイス26が拡張可能部材28を含み得ることを示す。拡張可能部材28は長尺部材30の遠位端に連結され得る。上述のように、長尺シャフトの近位端は(プロセッサ16及びポンプ18を含む)制御システム14に連結され得る。さらに、長尺シャフト30はその中に延在する第1の感知部材内腔50及びその中に延在する第2の感知部材内腔52を含み得る。第1の感知部材内腔50及び第2の感知部材内腔52は長尺シャフト30の全長に沿って又は長尺部材30の一部分のみに沿って延在し得る。
【0062】
さらに、図5は第1の感知部材内腔50と共に延在する感知部材32を示し、それにより感知部材32は開口部55を通って長尺部材30から出る。図5は第2の感知部材内腔52と共に延在する感知部材34も示し、それにより感知部材34は長尺部材30の遠位端開口部から外へ長尺部材30を出る。さらに、図5は感知部材32の遠位端に沿って配置される例示的なセンサ54及び感知部材56の遠位端に沿って配置される別の例示的なセンサ56を示す。感知部材32/34が本明細書に記載される感知部材の任意の種類を含み得ることは理解され得る。
【0063】
図5は長尺部材30がその長尺部材30内に延在する膨張内腔48を含み得ることをさらに示す。膨張内腔48は(ポンプ18及び生理食塩水容器20を含む)制御システム14と連通し得る。膨張内腔48の遠位端が拡張可能部材28の拡張可能空洞内に開くことは理解され得る。
【0064】
図6図5の6-6線に沿った断面図である。図6は第1の感知部材内腔50、第2の感知部材52及び長尺部材30内に延在する膨張内腔48を示す。さらに、図6は第1の感知部材内腔50内に延在する第1の感知部材32及び第2の感知部材内腔52内に延在する第2の感知部材34を示す。
【0065】
図7は心臓22に隣接して配置される別の例示的な医療デバイスシステム110を示す。医療デバイス110は上述の医療デバイスシステム10と同様の形態及び機能であり得る。しかし、上述の医療デバイスシステム10とは異なり、医療デバイスシステム110は近位長尺シャフト158及び遠位長尺部材160に分岐する長尺部材130を含み得る。長尺部材130の近位端は上述の(ポンプ18及びプロセッサ16を含む)制御システム14に連結され得る。
【0066】
さらに、図7は遠位長尺部材160が第1の拡張可能部材128に連結され、近位長尺シャフトが第2の拡張可能部材129に連結されることを示す。医療デバイスシステム10に関しては上述のように、第1の拡張可能部材128及び/又は第2の拡張可能部材129が上大静脈36及び/又は下大静脈38を塞ぐために拡張され得る。
【0067】
図8は医療デバイス110が近位長尺部材158及び遠位長尺部材160に分岐する長尺部材130を含み得ることを示す。図8は第1の拡張可能部材128及び第2の拡張可能部材129をさらに示す。第1の拡張可能部材128は遠位長尺部材160の遠位端に連結されることが可能であり、第2の拡張可能部材129は近位長尺部材158の遠位端に連結され得る。さらに、長尺部材130の近位端は上述のように(プロセッサ16及びポンプ18を含む)制御システム14に連結され得る。
【0068】
さらに、長尺部材130はその中に延在する第1の感知部材内腔162及びその中に延在する第2の感知部材内腔165を含み得る。第1の感知部材内腔162及び第2の感知部材内腔165は長尺部材130の全長に沿って又は長尺部材130の一部分のみに沿って延在し得る。
【0069】
さらに、図8は第1の感知部材内腔162と共に延在する二つの感知部材133/135を示し、それにより感知部材133は開口部167を通って遠位長尺部材160から出る。図8は第1の感知部材内腔162内に延在する感知部材135も示し、それにより感知部材135は長尺部材160の遠位端開口部から外に遠位長尺部材160を出る。さらに、図8は第2の感知部材内腔165内に延在する二つの感知部材132/134を示し、それにより感知部材132は開口部166を通って近位長尺シャフト158から出る。図8は第2の感知部材内腔165を通って延在する感知部材134も示し、それにより感知部材134は近位長尺シャフト158の遠位端開口部から外に近位長尺部材158を出る。感知部材132/133/134/135が本明細書に記載される感知部材の任意の種類を含み得ることは理解され得る。
【0070】
図8は遠位長尺部材160が長尺部材160内に延在する膨張内腔164を含み得ること及び近位長尺部材158が近位長尺部材158内に延在する膨張内腔163を含み得ることをさらに示す。膨張内腔164/163は(ポンプ18及び生理食塩水容器20を含む)制御システム14と連通し得る。膨張内腔164の遠位端が拡張可能部材128の拡張可能空洞内に開き、膨張内腔163の遠位端が拡張可能部材129の拡張可能空洞内に開くことは理解され得る。
【0071】
図7から図8を参照すると、医療デバイス110が患者の鼠径部における切開を通して大腿静脈内に挿入されることが可能であり、上述のように患者の上大静脈36及び下大静脈38へさらに向かいかつその中に配置され得ることは理解され得る。
【0072】
図9図8の9-9線に沿った断面図である。図9は第1の感知部材内腔162、第2の感知部材内腔165、長尺内腔130内に延在する膨張内腔163及び膨張内腔164を示す。さらに、図9は第1の感知部材内腔162内に延在する感知部材133/135及び第2の感知部材内腔165内に延在する第2の感知部材132/134を示す。
【0073】
図10は心臓22に隣接して配置される別の例示的な医療デバイスシステム210を示す。医療デバイス210は上述の他の医療デバイスシステムと同様の形態及び機能であり得る。しかし、上述の医療デバイスシステムとは異なり、医療デバイスシステム210は第2の拡張可能部材229を通過して第1の拡張可能部材228まで延びる長尺部材230を含み得る。長尺部材230の近位端は上述のように(ポンプ18及びプロセッサ16を含む)制御システム14に連結され得る。
【0074】
さらに、図10は医療デバイスシステム10に関して上述のように、第1の拡張可能部材228及び/又は第2の拡張可能部材229が上大静脈36及び/又は下大静脈38を塞ぐために拡張され得ることを示す。
【0075】
図11は上述の例示的な医療デバイス210の遠位端領域を示す。図11は医療デバイス210が第2の拡張可能部材229及び第1の拡張可能部材228の両方に取り付けられる長尺部材230(例えば、長尺部材230の一部分が第2の拡張可能部材229を通過し、第1の拡張可能部材228に取り付けられる)を含み得ることを示す。図11は医療デバイス210が第1の拡張可能部材228及び第2の拡張可能部材229を含み得ることをさらに示す。第1の拡張可能部材228は長尺部材230の遠位端に連結されることが可能であり、第2の拡張可能部材229は長尺部材230の中間部分に連結され得る。さらに、長尺部材230の近位端は上述のように(プロセッサ16及びポンプ18を含む)制御システム14に連結され得る。
【0076】
さらに、長尺部材230は第1の感知部材内腔262、第2の感知部材内腔268、第3の感知部材内腔269及びその中に延在する第4の感知部材内腔265を含み得る。第1の感知部材内腔262、第2の感知部材内腔268、第3の感知部材内腔269及び/又は第4の感知部材内腔265は長尺部材230の全長に沿って又は長尺部材230の一部分のみに沿って延在し得る。
【0077】
さらに、図11は第1の感知部材内腔262と共に延在する感知部材232、第2の感知部材内腔268と共に延在する第2の感知部材234、第3の感知部材内腔269と共に延在する第3の感知部材233及び第4の感知部材内腔265と共に延在する第4の感知部材235を示す。
【0078】
図11は長尺部材230が第1の膨張内腔264及び第2の膨張内腔263を含み得ることをさらに示す。膨張内腔263/264は(ポンプ18及び生理食塩水容器20を含む)制御システム14と連通し得る。第1の膨張内腔264の遠位端が第1の拡張可能部材228の拡張可能空洞内に開くことが可能であり、第2の膨張内腔263の遠位端が第2の拡張可能部材229の拡張可能空洞内に開き得ることは理解され得る。
【0079】
図10から図11を参照すると、医療デバイス210が患者の鼠径部の切開を通して大腿静脈内に挿入されることが可能であり、上述のように患者の上大静脈及び下大静脈38へさらに向かいかつその中に配置され得ることが理解され得る。
【0080】
図12図11の12-12線に沿った断面図である。図12は第1の感知部材内腔262、第2の感知部材内腔268、第3の感知部材内腔269、第4の感知部材内腔265、長尺部材230内に延在する膨張内腔263及び膨張内腔264を示す。さらに、図12は第1の感知部材内腔262と共に延在する感知部材232、第2の感知部材内腔268と共に延在する第2の感知部材234、第3の感知部材内腔269と共に延在する第3の感知部材233及び第4の感知部材内腔265と共に延在する第4の感知部材235を示す。
【0081】
図13は別の例示的な医療デバイスシステム310を示す。医療デバイスシステム310は第1の医療デバイス326a及び第2の医療デバイス326bを含み得る。第1の医療デバイス326a及び第2の医療デバイス326bの各々は患者24の心臓22に隣接して配置される遠位端領域を含み得る(図13には示さないが、図1に示す)。さらに、第1の医療デバイス326aは患者24から外方へ離間するように延びる長尺部材330aを含むことが可能であり、それにより長尺部材330aの近位端が制御システム14に連結され得る(図13には示さないが、図1に示す)。同様に、第2の医療デバイス326bは患者24から外方へ離間する長尺部材330bを含むことが可能であり、それにより長尺部材330aの近位端は制御システム14に連結され得る。
【0082】
図13は第1の医療デバイス326aが拡張可能部材328aを含み得ることをさらに示す。第1の医療デバイス326aの遠位端領域は上大静脈36内に配置され得る。いくつかの場合において、拡張可能部材328aは拡張可能医療バルーンとして参照され得る。拡張可能部材328aは遠位端及び近位端を含み得る。拡張可能部材328aの近位端は長尺部材330aに連結され得る(上述)。さらに、長尺部材330aがその中に延在する一つ以上の個々の内腔を含み得ることは理解され得る。例えば、長尺部材330aがポンプ18と連通し得る(次に、生理食塩水容器20と連通し得る)膨張内腔を含み得ることは理解され得る。ポンプ18及び生理食塩水容器20の両方が図1に示される。
【0083】
さらに、図13は第2の医療デバイス326bの遠位端領域が下大静脈38内に配置され得ることを示す。図13に示すように、第2の医療デバイス326bは拡張可能部材328bを含み得る。いくつかの場合において、拡張可能部材328bは拡張可能医療バルーンとして参照され得る。拡張可能部材328bは遠位端及び近位端を含み得る。拡張可能部材328bの近位端は長尺部材330b(上述)に連結され得る。
【0084】
さらに、図13は医療デバイス310が第1の拡張可能部材328a及び/又は第2の拡張可能部材328bに隣接して配置される一つ以上の感知部材を含み得ることを示す。図13に示される感知部材は、長尺部材330a又は長尺部材330bの内側内腔を通って延在しなくてよい。例えば、図13は第1の拡張可能部材328aに隣接して配置される感知部材332a及び334a及び第2の拡張可能部材328bに隣接して配置される感知部材332b及び334bを示す。感知部材332a、334a、332b及び334bは上述の任意の感知部材と同様の形態及び機能であり得る。例えば、感知部材332a、334a、332b及び334bは本明細書に記載される任意の生理的パラメータを感知し得る。
【0085】
システム10(及び/又は本明細書に開示される他のシステム)の様々な構成要素のために用いられ得る物質は、医療デバイスに一般的に関連するものを含み得る。しかし、議論は本明細書に開示される他の構成要素、デバイス又はシステムに適用され得るため、本明細書に記載されるデバイス及び方法を制限する意図はない。
【0086】
システム10(及び/又は本明細書に開示される他のシステム)の構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(いくつかの例が以下に開示される)、金属ポリマー複合体、セラミック、及びそれらの組み合わせ等、又は他の適切な金属から形成され得る。適切なポリマーのいくつかの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、DuPontから入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテル又はエステルベースのコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタラート及び/又はDupontから入手可能なHYTREL(登録商標)のような他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、Bayerから入手可能なDURETHAN(登録商標)又はElf Atochemから入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマーのポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、商品名PEBAX(登録商標)から入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex(登録商標)高密度ポリエチレン、Marlex(登録商標)低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(例えば、EMS American Grilonから入手可能なGRILAMID(登録商標))、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS 50A)、ポリカルボナート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、又はそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、及びポリマー/金属複合体等を含み得る。いくつかの実施形態において、シースは液晶ポリマー(LCP)と混合され得る。例えば、混合物は約6パーセントまでLCPを含み得る。
【0087】
適切な金属及び金属合金のいくつかの例はステンレス鋼、例えば304V、304L、及び316LVのステンレス鋼、軟鋼、例えば線形弾性及び/又は超弾性ニチノールのようなニッケルチタニウム合金、例えばニッケル-クロム-モリブデン合金のような他のニッケル合金(例えば、INCONEL(登録商標)625のようなUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)のようなUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)のようなUNS:N10276、及び他のHASTELLOY(登録商標)合金等)、ニッケル銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、及びNICORROS(登録商標)400等のようなUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)等のようなUNS:R30035)、ニッケルモリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)のようなUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、及び他のニッケル-タングステン又はタングステン合金等、コバルト-クロム合金、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、及びPHYNOX(登録商標)等のようなUNS:R30003)、白金強化ステンレス鋼、チタン、及びそれらの組み合わせ等、又は任意の他の適切な金属を含む。
【0088】
少なくともいくつかの実施形態において、システム10(及び/又は本明細書に開示される他のシステム)の一部分又は全ての構成要素は、放射線不透過性材料でドープされてよく、形成されてよく、そうでなければ放射線不透過性材料を含み得る。放射線不透過性材料が医療手術中に蛍光透視スクリーン又は別の画像技術上で比較的明るい画像を生成可能な材料であることは理解される。この比較的明るい画像はシステム10(及び/又は本明細書に開示される他のシステム)の構成要素の使用者がその配置を決定することに役立つ。放射線不透過性材料のいくつかの例は、制限されないが、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、及び放射線不透過性フィラーを有するポリマー材料等を含み得る。さらに、他の放射線不透過性マーカーバンド及び/又はコイルはまた同じ結果を達成するためにシステム10(及び/又は本明細書に開示される他のシステム)の構成要素の設計に組み込まれ得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、核磁気共鳴画像法(MRI)適合性はシステム10(及び/又は本明細書に開示される他のシステム)に与えられる。例えば、システム10(及び/又は本明細書に開示される他のシステム)の構成要素は画像を実質的に歪ませず、実質的なアーティファクト(例えば、画像内の隙間)を作成しない材料で形成され得る。例えば、特定の強磁性材はMRI画像中にアーティファクトを形成し得るため、適さない場合がある。システム10(及び/又は本明細書に開示される他のシステム)の構成要素又はそれらの一部分はまた、MRI機器が画像化可能な材料で形成され得る。これらの特性を示すいくつかの材料は、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、及びPHYNOX(登録商標)等のようなUNS:R30003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)等のようなUNS:R30035)、及びニチノール等、及び他の材料を含む。
【0090】
本開示は、多くの点でただの例示であることは理解されるべきである。本開示の範囲を超えることなく詳細について、特に形状、大きさ、及び工程の配置について変更され得る。これは、適切な範囲で、他の実施形態において用いられる一例の実施形態の任意の特徴の使用を含み得る。もちろん、本開示の範囲は添付の請求項が表される言語において定義される。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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【国際調査報告】