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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】3D印刷用のペレット押出機
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/209 20170101AFI20230426BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20230426BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20230426BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230426BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20230426BHJP
   B29C 48/30 20190101ALI20230426BHJP
   B29C 48/475 20190101ALI20230426BHJP
   B29C 48/84 20190101ALI20230426BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C64/118
B29C64/393
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C48/30
B29C48/475
B29C48/84
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557908
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2021057511
(87)【国際公開番号】W WO2021191244
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】20165465.4
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518164401
【氏名又は名称】アドマテック・ヨーロッパ・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】ADMATEC Europe B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】サウアボルト、ヤーコプ・ヤン
【テーマコード(参考)】
4F207
4F213
【Fターム(参考)】
4F207AJ08
4F207KA01
4F207KA17
4F207KK16
4F207KW41
4F213AC01
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL74
4F213WL85
4F213WL96
(57)【要約】
粒状及び/又は液体供給形態で材料を提供するための材料供給ユニット(2)と、粒状及び/又は液体供給形態の材料を受け取り、材料を印刷形態の液化材料に変換するように構成された材料押出ユニット(3)と、材料押出ユニット(3)と流体連通しているノズルユニット(4)であって、ノズルユニット(4)は、液化材料を出力するように構成された出力チャネル(5)及びノズル(6)を備える、ノズルユニット(4)とを有する、3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッド(1)である。更に、ノズルユニット(4)の出力チャネル(5)と流体連通している内部容積拡大ユニット(7)が設けられ、内部容積拡大ユニット(7)は、第1の動作状態にある第1の内部容積と、第2の動作状態にある第2の内部容積とを有し、第2の内部容積は、第1の内部容積よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッドであって、
粒状及び/又は液体供給形態で材料を提供するための材料供給ユニット(2)と、
粒状及び/又は液体供給形態の前記材料を受け取り、前記材料を印刷形態の液化材料に変換するように構成された材料押出ユニット(3)と、
前記材料押出ユニット(3)と流体連通しているノズルユニット(4)であって、前記ノズルユニット(4)は、前記液化材料を出力するように構成された出力チャネル(5)及びノズル(6)を備える、ノズルユニット(4)と
を備え、前記ノズルユニット(4)の前記出力チャネル(5)と流体連通している内部容積拡大ユニット(7)を更に備え、
前記内部容積拡大ユニット(7)は、第1の動作状態にある第1の内部容積と、第2の動作状態にある第2の内部容積とを有し、前記第2の内部容積は、前記第1の内部容積よりも大きく、
前記内部容積拡大ユニット(7)は、前記材料押出ユニット(3)内の拡張容積(S1~S2)と、押出スクリュー(32)に接続されたアクチュエータ(34)とを備え、そのアクチュエータ(34)は、前記拡張容積(S1~S2)内で前記押出スクリュー(32)を直線的に移動させて、前記液化材料を前記拡張容積(S1~S2)中に引っ込めるように構成される、押出機ベースのプリントヘッド。
【請求項2】
前記材料押出ユニット(3)は、圧縮室(31)と、前記圧縮室(31)内で前記材料を圧縮するように構成された前記押出スクリュー(32)とを備える、請求項1に記載の押出機ベースのプリントヘッド。
【請求項3】
前記材料押出ユニット(3)は、前記圧縮室(31)と連動する温度制御要素(33)を備える、請求項1又は2に記載の押出機ベースのプリントヘッド。
【請求項4】
前記内部容積拡大ユニット(7)は、前記ノズル(6)と流体連通しているプランジャチャネル(71)と、前記プランジャチャネル(71)内に移動可能に配置されたプランジャ(72)とを備える、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の押出機ベースのプリントヘッド。
【請求項5】
前記プランジャ(72)は、前記出力チャネル(5)を閉鎖するように構成されたバルブデバイス(73)を更に備える、請求項4に記載の押出機ベースのプリントヘッド。
【請求項6】
前記内部容積拡大ユニット(7)は、前記材料押出ユニット(3)の一部と、前記押出スクリュー(32)に接続されたアクチュエータ(34)とであり、そのアクチュエータ(34)は、可逆回転方向で前記押出スクリュー(32)を駆動するように構成される、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の押出機ベースのプリントヘッド。
【請求項7】
前記材料押出ユニット(3)は、スリーブ(37)を更に備える、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の押出機ベースのプリントヘッド。
【請求項8】
前記材料押出ユニット(3)は、円筒形ハウジング(35)を備える、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載の押出機ベースのプリントヘッド。
【請求項9】
前記材料押出ユニット(3)及び前記内部容積拡大ユニット(7)に接続された制御ユニット(8)を更に備え、前記制御ユニット(8)は、前記材料押出ユニット(3)及び前記内部容積拡大ユニット(7)に関連する1つ以上の動作パラメータを制御することによって、前記ノズル(6)からの液化材料の出力流を制御するように構成される、請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の押出機ベースのプリントヘッド。
【請求項10】
前記1つ以上の動作パラメータは、前記材料押出ユニット(3)及び/又は前記ノズルユニット(4)の速度及び/又は制御パラメータ、及び/又は加熱/冷却制御パラメータを備える、請求項9に記載の押出機ベースのプリントヘッド。
【請求項11】
前記1つ以上の動作パラメータは、前記第1の動作状態と前記第2の動作状態との間の前記内部容積拡大ユニット(7)の作動を備える、請求項9又は10に記載の押出機ベースのプリントヘッド。
【請求項12】
前記材料押出ユニット(3)と流体連通している1つ以上の2次ノズルユニット(4’)を更に備える、請求項1~11のうちのいずれか一項に記載の押出機ベースのプリントヘッド。
【請求項13】
前記材料押出ユニット(3)及び前記内部容積拡大ユニット(7)に接続された複数ノズル制御ユニット(8)を更に備え、前記複数ノズル制御ユニット(8)は、前記内部容積拡大ユニット(7)を作動させることによって、前記ノズルユニット(4)と前記1つ以上の2次ノズルユニット(4’)のうちの1つとの間で切り替わるように構成される、請求項12に記載の押出機ベースのプリントヘッド。
【請求項14】
前記内部容積拡大ユニット(7)は、前記1つ以上の2次ノズルユニット(4’)と流体連通している、請求項12又は13に記載の押出機ベースのプリントヘッド。
【請求項15】
前記1つ以上の2次ノズルユニット(4’)の各々は、2次内部容積拡大ユニット(7’)を設けられる、請求項12又は13に記載の押出機ベースのプリントヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状及び/又は液体供給形態で材料を提供するための材料供給ユニットと、粒状及び/又は液体供給形態の材料を受け取り、材料を印刷形態の液化材料に変換する(即ち、温度及び/又は圧力によって溶融される)ように構成された材料押出ユニットと、材料押出ユニットと流体連通しているノズルユニットであって、ノズルユニットは、液化材料を出力するように構成された出力チャネル及びノズル(又は出力アパーチャ)を備える、ノズルユニットとを備える、3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許公開第2018/086792号は、可変粘度を有する原料のための供給部を有する供給ゾーンと、温度制御要素を備える溶融ゾーンと、前記原料の液相のための出口開口部と、原料を供給ゾーンから溶融ゾーンに搬送するためのコンベアデバイスであって、前記コンベアデバイスは、前記供給ゾーンに挿入することができるプランジャを備える、コンベアデバイスとを備える、3Dプリンタ用のプリントヘッドを開示している。
【0003】
中国特許公開第CN103692653B号は、材料溶融ユニットと、液滴吐出ユニットと、円筒座標系形成ユニットと、フレームとを備える溶融差動3次元プリンタを開示している。材料溶融ユニットでは、サーボモータが、供給口を通して回転するようにスクリューを駆動する。注がれたプラスチックペレットは、混合及び剪断され、バレル中に固定されたヒータは、温度制御を通してペレットの完全な可塑化を確実にし、溶融材料は、スクリューによって液滴吐出ユニットに搬送される。液滴吐出ユニットでは、溶融材料は、リニアサーボモータによって駆動されるランナープレート中のホットランナーに沿ってバルブ本体に移送される。リニアサーボモータは、バルブニードルを駆動してバルブ本体中で往復運動させ、溶融材料は、ノズルから押し出されて溶融液滴を形成する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、粒状形態の供給材料、例えば、基本材料のペレット、又は液体形態の供給材料、例えば、溶融プラスチックの押出に基づく、物体の3D印刷用の改善されたプリントヘッドを提供しようとするものである。
【0005】
本発明によると、ノズルユニットの出力チャネルと流体連通している内部容積拡大ユニットを更に備える、上記で定義したような押出機ベースのプリントヘッドが提供され、内部容積拡大ユニットは、第1の動作状態にある第1の内部容積と、第2の動作状態にある第2の内部容積とを有し、第2の内部容積は、第1の内部容積よりも大きく、内部容積拡大ユニットは、材料押出ユニット内の拡張容積と、押出スクリューに接続されたアクチュエータとを備え、そのアクチュエータは、拡張容積内で押出スクリューを直線的に移動させて、液化材料を拡張容積中に引っ込めるように構成される。
【0006】
プリントヘッド中に存在する内部容積の拡大を作成することによって、液化材料中の任意の圧力が瞬時に除去され、プリントヘッドが、たれ落ち又は糸引きすることなく新たな印刷位置に移動されることを可能にする。
【0007】
本発明を、添付の図面を参照して、以下により詳細に議論する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態による、3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッドの断面図を示す。
図2】本発明の更なる実施形態による、3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッドの断面図を示す。
図3】本発明の複数ノズルの実施形態による、3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッドの断面図を示す。
図4】本発明の実施形態による、3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッド用の制御装置の概略図を示す。
図5】本発明の「オーガバルブ」の実施形態による、3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッドの断面図を示す。
図6A】本発明の2つの例証的な実施形態による、材料押出ユニットの一部の斜視図を示す。
図6B】本発明の2つの例証的な実施形態による、材料押出ユニットの一部の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
プラスチックの3D印刷では、当技術分野で知られている最も普及している技法は、ワイヤ押出であり、より一般には熱溶解積層法(FDM)として知られている。FDMでは、固体プラスチックフィラメントの糸が3Dプリンタの加熱室中に直接供給され、そこでプラスチックフィラメントが溶融して液化形態になる。液化プラスチックフィラメントは、ノズルユニットを通して圧縮され、固体プラットフォーム上に強制的に分配され、そこで再凝固する。
【0010】
FDMでは、所望の物体は、典型的には、層に構築される。ある特定の形状の物体を印刷するために、ノズルユニットは、異なる場所に移動しなければならない場合があり、印刷を停止させ得る。典型的には、移動プロセス中、これは、押出ノズルからプラスチックがにじみ出ることに起因して、プラスチックの小さいストリングを後に残す。これは糸引きとして知られており、完成した物体上に望ましくないプラスチックのストリングを残し得る。この問題を解決するために、その後、更なる印刷のために異なる場所に移動する前に、プラスチックフィラメントは、ノズルユニット中に引っ込む。この技法は、一般に引き込みとして知られ、それ自体は当技術分野で知られている。
【0011】
3Dプラスチック印刷は、ペレット押出を使用しても可能である。この技法では、プラスチックフィラメント糸の代わりに、顆粒が加熱室中に直接供給される。ペレット押出の利点は、これが顆粒をプラスチック材料に限定せず、金属又はセラミック複合材料も使用され得ることである。更なる利点は、プラスチック顆粒がプラスチックフィラメントの糸よりも著しく安価であり得、印刷コストを節約することができるである。ペレット押出の欠点は、ペレットが重力供給されるので、液化材料が引き込み機構を備えていないことである。これは、ノズルユニットが著しい糸引きなしに異なる場所に移動することができないので、物体印刷の範囲を厳しく制限する。当技術分野では、この欠点を克服する必要がある。
【0012】
本発明の実施形態は、ペレット押出技法を採用する3D印刷システムにおいて引き込みを得るための解決策を提供する。
【0013】
図1は、本発明の例証的な実施形態による、3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッド1の断面図を示す。材料供給ユニット2は、粒状及び/又は液体供給形態の材料を受け取る。粒状及び/又は液体供給材料は、材料供給ユニット2を通過して、材料押出ユニット3に入る。液化されると、材料は、ノズル6と流体接続している出力チャネル5を有するノズルユニット4に入る。
【0014】
図1に示す実施形態では、材料押出ユニット3は、圧縮室31、押出スクリュー32、及び1つ以上の温度制御要素33を備える。材料押出ユニット3は、圧縮室31内で粒状及び/又は液体供給材料を圧縮するように構成される。温度制御要素33は、材料押出ユニット3に熱を提供するように構成され、圧縮室31と連動して動作する。温度制御要素33は、例えば、材料押出ユニット3中の様々な位置に(又は押出機ベースのプリントヘッド1の更なる部分にさえ、以下を参照)加熱及び/又は冷却要素を備え得る。温度制御要素は、例えば、図1の例証的な実施形態に示すように、材料押出ユニット3の出口側の近くに高抵抗ワイヤとして実装され、それらは、電流が通過するときに高温に加熱される。追加として又は代替として、温度制御要素33は、外部加熱/冷却ユニット(図示せず)に接続された、加熱又は冷却流体を有するチャネルとして実装される。
【0015】
温度制御要素33は、異なるセグメント又はゾーン中に、例えば、材料供給ユニット2の近くの顆粒の入口に、圧縮室31の中央に(典型的には冷却のために配置される)、及び/又は材料押出ユニット3の底部に、圧縮室31の下方に、及びノズルユニット4の流れチャネル5又はノズル6の周りに位置付けられ得る。粒状供給形態で提供される材料は、材料押出ユニット3中で、温度制御要素33によって提供される熱、並びに/又は圧縮室31及び押出スクリュー32によって提供される内部剪断及び圧縮から、液化印刷形態に変換される。以下、「印刷形態の液化材料」という言い回しは、「液化材料」とも呼ばれ得る。液化材料は、材料押出ユニット3を通過し、ノズルユニット4に入る。温度制御要素33の更なる部分は、ノズル6に向けられた冷却空気を吹き付ける冷却ユニットとして構成され得ることに留意されたい。
【0016】
材料押出ユニット3が材料供給ユニット2から、液体供給形態で提供された材料を受け取るために、温度制御要素33からの熱と圧縮室31及び押出スクリュー32からの圧力とが、液体供給形態の材料を更に加熱/溶融し、例えば、その粘度及び/又は温度を変化させるために依然として提供され得ることに留意されたい。この点に関して、材料押出ユニット3は、液体供給形態で提供される材料の特性を依然として変更し、材料を3D印刷用の印刷形態の液化(即ち、流動可能な)材料に変換し、印刷形態の液化材料をノズルユニット4に出力し得る。
【0017】
図1の実施形態に示すように、ノズルユニット4は、(3D出力印刷用の印刷形態の)液化(即ち、流動可能な)材料を更に出力するように構成された出力チャネル5及びノズル6を備える。押出機ベースのプリントヘッド1は、ノズルユニット4及び出力チャネル5と流体連通する内部容積拡大ユニット7を更に備える。液化材料は、材料押出ユニット3から出力チャネル5に入り、出力チャネル5を通ってノズル6に流れる。液化材料は、ノズル6を通って分配される。これは、液化材料の連続した出力流で、プラットフォーム上に所望の物体を印刷することを可能にする。
【0018】
内部容積拡大ユニット7は、ノズル6と流体連通しているプランジャチャネル71と、液化材料を引っ込めるためにプランジャチャネル71内に移動可能に配置されたプランジャ72とを備える。更なる実施形態では、プランジャ72は、出力チャネル5を閉鎖し、その後、ノズル6を通る液化材料の出力流を止めるように構成されたバルブデバイス73を備える。一実施形態では、バルブデバイス73は、内部容積拡大ユニット7のハウジング中で上下に移動するように配置されたプランジャ72の端部である。代替として、バルブデバイス73は、プランジャ72から引き抜くことができ、同様に、バルブデバイス73は、プランジャ72中に挿入して戻すことができる。
【0019】
図1に示す実施形態では、内部容積拡大ユニット7は、プランジャ72が下方位置P1にある第1の動作状態にある第1の内部容積と、プランジャ72が中間位置P2にある第2の動作状態にある第2の内部容積とを有する。第2の内部容積は、第1の内部容積よりも大きい。
【0020】
より一般的な言い回しでは、本発明の実施形態は、粒状及び/又は液体供給形態で材料を提供するための材料供給ユニット2と、粒状及び/又は液体供給形態の材料を受け取り、材料を印刷形態の液化材料に変換する(例えば、温度及び圧力によって溶融される)ように構成された材料押出ユニット3と、材料押出ユニット3と流体連通しているノズルユニット4であって、ノズルユニット4は、液化材料を出力するように構成された出力チャネル5及びノズル(又は出力アパーチャ)6を備える、ノズルユニット4とを備える、3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッドに関する。押出機ベースのプリントヘッドは、ノズルユニット4の出力チャネル5と流体連通している内部容積拡大ユニット7を更に備え、内部容積拡大ユニット7は、第1の動作状態にある第1の内部容積と、第2の動作状態にある第2の内部容積とを有し、第2の内部容積は、第1の内部容積よりも大きい。ノズル6の近くの突然の局所的な容積の作成は、出力チャネル5中に存在するいかなる圧力も除去し、ノズル6を通る溶融材料の流れを防止する。
【0021】
更なる例証的な実施形態では、プランジャ72は、最初は下方位置P1にある。バルブデバイス73は、内部容積拡大ユニット7のハウジング中で上下に移動可能なプランジャ72の下端部として実装される。バルブデバイス73の端部が(下方)位置P1にある場合、それは、出力チャネル5を閉鎖し、ノズル6を通る液化材料の出力流を止める。プランジャ72が、次いで、バルブデバイスが出力チャネル5の真下(中間位置P2)に来るまで下方位置P1からプランジャチャネル71内で上向き方向に移動する場合、内部容積がノズル6に向かって出力チャネル5部分に効果的に追加され、それによって、小さい局所的な容積の液化材料をプランジャチャネル71中に上向き方向に引っ込める。これは、ノズル6の近くの液化材料に存在する任意の圧力を解放し、糸引きを効果的に防止する。バルブデバイス73が上方位置P3にある状態で、プランジャ72が更に上方に移動された場合、押出機ベースのプリントヘッド1は、液化材料が出力チャネル5を通ってノズル6に流れることができるので、動作状態にある。
【0022】
プランジャ72がバルブデバイス73と共に位置P1に移動され、次いで、位置P2に移動される場合、押出機ベースのプリントヘッド1は、ノズル6からいかなる液化材料もたれ落ちることなく、異なる場所に移動することができる。適所につくと、プランジャ72は、次いで、プランジャチャネル71内で中間位置P2から上向き位置P3まで上方向に移動することができる。これは、ノズル6を通る液化材料の出力流のために出力チャネル5を再び開放し、制御された形で印刷を再開することを可能にする。
【0023】
更なる実施形態では、出力チャネル5を通る液化材料の流れは、初めに、プランジャ72のバルブデバイス73が上方位置P3(開放出力チャネル5)にあるときに、材料押出ユニット3の押出スクリュー32を停止させることによって止められる。次いで、出力チャネル5中の圧力を除去し、液化材料がノズル6からたれ落ちるのを防止するために、プランジャ72は、バルブデバイス73が位置P4に来るまで、プランジャチャネル71中に更に引っ込められる。これは、ノズル6からの糸引きを防止するのに十分な内部容積拡大を作成する。
【0024】
図1に示す実施形態では、材料押出ユニットは、材料押出ユニット3を保護するように構成された円筒形ハウジング35を備える。圧縮室31中の粒状材料の圧縮は、材料押出ユニット3に対して破壊的となる可能性がある実質的な圧力を発生させ、それは、円筒形構造のために、この実施形態ではより小さい。円筒形ハウジング35は、例えば、発生した圧力に耐えることが可能な材料で作られる。
【0025】
更なる代替の実施形態では、バルブデバイス73は、液化材料の出力流を制限するように構成された小さい開口部を備え得る。小さい開口部は、例えば、特定の直径を有する穴を備え得る。バルブデバイス73は、小さい開口部が出力チャネル5に面して液化材料の出力流を制限するように、又は小さい開口部が出力チャネル5に面しないで液化材料の出力流を完全に止めるようにのうちのいずれかで、その回転を可能にするように構成され得る。
【0026】
更なる実施形態では、バルブデバイス73はまた、液化材料の出力流を制限又は止めるように構成された、プランジャ72の本体内の小さい中空経路を備え得る。小さい中空経路の両端上の開口部は、プランジャ72の側面とプランジャ72の端面との間に配置されている。小さい中空経路は、例えば、特定の直径を有する「L」字型の中空円筒を備え得、出力チャネル5と連動している。更に、異なる内径を有する2つ以上の経路が存在し得、それらのそれぞれの開口部は、プランジャ72の側面上に存在する。プランジャ72はまた、プランジャ72の側面上の小さい中空経路の開口部(複数可)(のうちの1つ)が出力チャネル5に面して液化材料の出力流を制限するように、又は小さい開口部が出力チャネル5に面しないで液化材料の出力流を止めるようにのうちのいずれかで、回転し得る。プランジャの端部上の小さい中空経路の開口部は、図1に示すように位置P2とP3との間にあり、プランジャ72の端面は、位置P1にある。材料抽出は、バルブデバイス73を回転させて液化材料の出力流を止め、残りの液化材料を抽出するためにプランジャ72を位置P2まで上向きに移動させることによって可能であろう。印刷は、プランジャを位置P1に向かって下向きに移動させ、液化材料の出力流のためにプランジャを再び回転させることによって再開し得る。
【0027】
図2は、本発明の更なる実施形態による、3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッドの断面図を示す。この実施形態では、液化材料は、ノズル6を通って分配されるが、図1を参照して上記で説明した実施形態においてとは異なる局所的な容積中に引っ込む。
【0028】
図2に示す実施形態では、内部容積拡大ユニット7は、材料押出ユニット3自体内の拡張容積S1~S2と、押出スクリュー32に接続されて、その回転により材料を出力チャネル5に向かって圧縮するアクチュエータ34とを備える。内部容積拡大ユニット7及び材料押出ユニット3はまた、たれ落ちを防止するために液化材料を引っ込めるように構成される。アクチュエータ34は、拡張容積S1~S2内で押出スクリュー32を直線的に移動させるように構成される。位置S2における、押出スクリュー32の端部を伴う圧縮室31の内部容積は、位置S1における内部容積よりも大きい。
【0029】
液化材料は、ノズル6を通って分配される。アクチュエータ34を使用して、押出スクリュー32の端面を位置S1から位置S2に移動させることによって内部容積を拡張する方向に押出スクリュー32を直線的に移動させることによって、押出スクリュー32の端部の下方に存在する液化材料は、拡張容積S1~S2中に引っ込む。これは、糸引きを効果的に防止する。
【0030】
図2に示す実施形態では、押出機ベースのプリントヘッド1は、次いで、異なる印刷場所に移動し得る。アクチュエータ34を使用して、内部容積を低減する方向に押出スクリュー32を直線的に移動させて位置S2から位置S1に再び戻し、押出スクリュー32を作動させて回転させることによって、液化材料が圧縮され、所望の物体の印刷を制御された形で再開することを可能にする。
【0031】
図2に示す実施形態では、アクチュエータ34はまた、可逆回転方向に押出スクリュー32を駆動するように構成され得る。アクチュエータ34は、例えば、ベルト駆動によって、又は2次ねじ山を使用することによって駆動され得る。可逆回転方向への押出スクリュー32の回転は、液化材料を内部容積拡大ユニット7中に引っ込ませ、それは、次いで、圧縮室31の内部容積によって形成される(図2に示す実施形態では、材料供給ユニット2の左)。これは、糸引きを防止し、押出機ベースのプリントヘッド1は、更なる印刷のために異なる場所に移動し得る。
【0032】
図3は、本発明の複数ノズルの実施形態による、3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッドの断面図を示す。この実施形態では、液化材料は、複数のノズルを通って分配され、複数のノズルユニット4、4’中の液化材料の引き込みを可能にする。このことから、更なる実施形態では、材料押出ユニット3と流体連通している1つ以上の2次ノズルユニット4’が設けられる。複数のノズルユニット4、4’は、例えば、異なるサイズのアパーチャを有する異なるノズル6、6’を備え得る。より大きいアパーチャは、印刷された物体の迅速な組み立てのために印刷速度を改善する。より小さいアパーチャは、微細な印刷された物体を提供するための精度を改善する。
【0033】
図3に示す実施形態では、2次ノズルユニット4’は、液化材料の出力流のために構成された2次出力チャネル5’及び2次ノズル6’を備える。1つ以上の2次ノズルユニット4’の各々は、1つ以上の2次ノズル6’、1つ以上の2次出力チャネル5’、及び材料押出ユニット3と流体連通している1つ以上の2次内部容積拡大ユニット7’を更に備える。
【0034】
図3に示す実施形態では、1つ以上の2次内部容積拡大ユニット7’は各々、液化材料を引っ込めるように構成された2次プランジャチャネル71’及び2次プランジャ72’を備える。2次プランジャ72’は、図1を参照して上記で議論した実施形態のバルブデバイス73と同様の2次バルブデバイス73’を備える。
【0035】
1つ以上の2次内部容積拡大ユニット7’は、1つ以上の2次プランジャが1つ以上の2次下方位置P2’にある第1の動作状態と、1つ以上の2次プランジャ72’が1つ以上の2次上方位置P3’にある第2の動作状態とを有する。第2の内部容積は、第1の内部容積よりも大きい。
【0036】
図3に示す実施形態では、2次ノズルユニット4’のうちの1つ以上における液化材料の引き込みは、第1の実施形態において説明したノズルユニット4中の液化材料の引き込みと同一である。同様に、2次ノズルユニット4’のうちの1つ以上において出力流を止める動作は、単一のノズルユニット4を有する上記の実施形態の第1のグループにおいて説明したノズルユニット4において出力流を止める動作と同一である。
【0037】
図4は、本発明の実施形態による、3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッド1用の制御装置の概略図を示す。押出機ベースのプリントヘッド1用の制御装置は、液化材料の出力流を制御するように構成された制御ユニット8を備える。制御ユニット8は、材料押出ユニット3、内部容積拡大ユニット7、及びノズル6に接続される。制御ユニットは、材料押出ユニット3及び内部容積拡大ユニット7に関連する1つ以上の動作パラメータでノズル6を制御する。
【0038】
実施形態では、1つ以上の動作パラメータは、材料押出ユニット3及び/又はノズルユニット4の速度及び/又は方向制御パラメータ、及び/又は加熱/冷却制御パラメータを備える。制御ユニット8は、例えば、圧縮室31中の粒状材料の圧縮率を変化させることによって、材料押出ユニット3の速度及び方向を制御し得、粒状材料をポンプで戻すことによって引っ込めさえし得る。制御ユニット8は、例えば、温度制御要素33の高抵抗ワイヤを通る電流の振幅を変化させることによって、材料押出ユニット3の加熱機能を制御し得る。
【0039】
更なる実施形態では、1つ以上の動作パラメータは、第1の動作状態と第2の動作状態との間の内部容積拡大ユニット7の作動を更に備える。制御ユニット8は、例えば、バルブデバイス73及びプランジャ72を制御するように構成される。これは、制御ユニット8が、内部容積拡大ユニット7を第1の動作状態にすることを可能にし、プランジャ72からバルブデバイス73を引き抜き、プランジャ72を上向きに移動させて、液化材料を抽出することによって、液化材料の出力流を止める。制御ユニット8はまた、同様に、内部容積拡大ユニット7を第2の動作状態にすることができ、バルブデバイス73をプランジャ72中に挿入し、プランジャ72を下向きに移動させて、液化材料を再圧縮することによって、液化材料の出力流を再開させることができる。
【0040】
図4に示す実施形態では、制御ユニット8は、材料押出ユニット3、1つ以上の2次内部容積拡大ユニット7’、及び1つ以上の2次ノズル6’にも接続される複数ノズル制御ユニットとして実装される。これは、図3を参照して上記で議論したように、制御ユニット8が1つ以上の2次ノズル6’からの液化材料の出力流を制御することを可能にする。更に、制御ユニット8は、ノズル6からの液化材料の出力流を止め、液化材料の出力流を1つ以上の2次ノズル6’のうちの1つに切り替え得る。
【0041】
更なる例証的な実施形態では、複数ノズル制御ユニット8が、材料押出ユニット3及び内部容積拡大ユニット7に接続される。複数ノズル制御ユニット8は、ノズルを切り替えるときに流れを止めるように内部容積拡大ユニット7を作動させることによって、ノズルユニット4と1つ以上の2次ノズルユニット4’のうちの1つとの間で切り替わるように構成される。内部容積拡大ユニット7は、1つ以上の2次ノズルユニット4’と流体連通していることができるか、又は代替として、1つ以上の2次ノズルユニット4’の各々は、2次内部容積拡大ユニット7’を設けられる。その実施形態では、図4に示すように、全ての2次内部容積拡大ユニット7’も、次いで、複数ノズル制御ユニット8に接続される。
【0042】
図5は、本発明の「オーガバルブ」実施形態による、3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッド1の断面図を示す。図1及び2に示す実施形態にあるのと同じ機能を有する要素は、同じ参照番号によって示す。
【0043】
図5に示すオーガバルブの実施形態では、材料供給ユニット2は、例えば供給ホースを介して、例えば液体供給形態の材料を保持するシリンジバレルを備えるシリンジアダプタアセンブリに接続され得る。シリンジバレルは、例えば、材料供給ユニット2に材料を提供するために恒久的に加圧され得る。材料は、次いで、本明細書で説明するように、材料押出ユニット3及びノズルユニット4によって受け取られ、ノズル6を通って分配され得る。一般に、オーガバルブの実施形態はまた、例えば、液体供給形態で提供される材料の正確な投与、及び3D印刷用の印刷形態の液化材料の高精度の分配を可能にし得る。
【0044】
本明細書で説明した図2の実施形態と同様に、オーガバルブの実施形態(図5に図示)では、拡張容積S1~S2が、材料押出ユニット3内に設けられ、それによって、アクチュエータ34は、押出スクリュー32に接続されて、その回転により材料を出力チャネル5に向かって圧縮し、押出スクリュー32を拡張容積S1~S2内で直線的に移動させて、液化材料を引っ込めて、それによって糸引きを防止する。その上、アクチュエータ34はまた、本明細書で説明するように、可逆回転方向で押出スクリュー32を駆動するように構成され得る。
【0045】
アクチュエータ34の動作中に、押出スクリュー32は、最初に、可逆回転方向に駆動され、次いで、同時に、糸引きを防止するために、拡張容積S1~S2内に直線的に引っ込み得るか、又はその逆もまた同様であり得ることに留意されたい。
【0046】
加えて、図5に示し、図6Aの斜視図にも示す有利な実施形態では、材料押出ユニット3は、スリーブ37を備え得、スリーブ37は、材料供給ユニット2から材料を受け取るように構成され得る。
【0047】
図5及び6Aに示すように、圧縮室31及び押出スクリュー32は、スリーブ37内に設けられ得、ここで、図6Aに示すように、スリーブ37は、漏斗形状の本体を備え得る。この観点から、材料供給ユニット2に液体供給形態で提供される材料について、スリーブ37の漏斗形状の本体は、ノズルユニット4への液化材料のより良好な出力を可能にし、また、拡張容積S1~S2中の液化材料のより良好な引き込みを可能にし得る。
【0048】
図5に示し、図6Bの斜視図にも示す更なる有利な実施形態では、材料押出ユニット3は、押出スクリュー32の一部に接続された封止要素38を備え得る。封止要素38は、押出スクリュー32の頂部に、例えば(図6Bに示すように)押出スクリュー32のねじ山の上方に接続される。
【0049】
封止要素38は、材料押出ユニット3の(頂)部を封止するように構成される。更に、拡張容積S1~S2内での押出スクリュー32の直線移動中に、封止要素38は、材料押出ユニット3中の液化材料を押圧/圧縮するように更に構成され、それによって、ノズルユニット4中の出力チャネル5を通る液化材料の改善された出力を可能にし、例えば、封止要素38の側部の周りに液化材料が漏れることはない。
【0050】
この観点から、封止要素38は、材料押出ユニット3の断面と同様の形状を備え得る。非限定的な例を用いて詳述すると、材料押出ユニット3が円筒形本体を備える場合、封止要素38は、円筒形本体の断面と同様のディスク形状の要素を備え得る。
【0051】
本発明の態様によると、粒状形態で材料を提供するための材料供給ユニットと、粒状形態の材料を受け取り、材料を液化材料に変換するように構成された材料押出ユニットと、材料押出ユニットと流体連通しているノズルユニットであって、ノズルユニットは、液化材料を出力するように構成された出力チャネル及びノズルを備える、ノズルユニットとを備える、上記で定義したような3D印刷用の押出機ベースのプリントヘッドが提供される。更に、ノズルユニットの出力チャネルと流体連通している内部容積拡大ユニットが設けられ、内部容積拡大ユニットは、第1の動作状態にある第1の内部容積と、第2の動作状態にある第2の内部容積とを有し、第2の内部容積は、第1の内部容積よりも大きい。
【0052】
本発明を、図面に示すようないくつかの例証的な実施形態を参照して上記に説明してきた。いくつかの部分又は要素の修正及び代替実装が可能であり、添付の特許請求の範囲に定義された保護の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】