(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(54)【発明の名称】血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 60/135 20210101AFI20230426BHJP
A61M 60/237 20210101ALI20230426BHJP
A61M 60/804 20210101ALI20230426BHJP
A61M 60/824 20210101ALI20230426BHJP
A61M 60/416 20210101ALI20230426BHJP
【FI】
A61M60/135
A61M60/237
A61M60/804
A61M60/824
A61M60/416
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558057
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2021057176
(87)【国際公開番号】W WO2021191101
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507116684
【氏名又は名称】アビオメド オイローパ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケルクホフス ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】キーセリッツ エレン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077CC01
4C077DD10
4C077KK23
(57)【要約】
本発明は、ポンピングデバイス11を備える血管内血液ポンプに関し、ポンピングデバイス11は、一次血流路30によって流体力学的に接続される一次血流入口211および一次血流出口22を有するポンプ筐体2と、上流端部と下流端部とを有し、一次血流路30に沿って一次血流入口211から一次血流出口22に一次血流1BFを搬送するように構成された一次インペラ31と、一次インペラ31を回転軸10を中心に回転させるように構成された駆動ユニット4と、一次インペラ31の上流端部を支持するインペラ軸受37と、インペラ軸受37を通って軸方向に延在する中央開口262と、一次インペラ31における少なくとも1つの二次血流路321であって、少なくとも1つの二次血流路321は、インペラ軸受37の中央開口262と軸方向に整列する二次血流入口212を有し、少なくとも1つの二次血流路321の各々は二次血流出口213を有し、少なくとも1つの二次血流路321は、二次血流入口212から二次血流出口213に二次血流2BFを搬送するように構成される少なくとも1つの二次血流路321とを有し、二次血流出口213は、一次インペラ31の上流および下流端部の軸方向間の場所において少なくとも1つの二次血流路321を一次血流路30に接続する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンピングデバイス(11)は、
一次血流路(30)によって流体力学的に接続される一次血流入口(211)および一次血流出口(22)を有するポンプ筐体(2)と、
上流端部と下流端部とを有し、前記一次血流路(30)に沿って前記一次血流入口(211)から前記一次血流出口(22)に一次血流(1BF)を搬送するように構成された一次インペラ(31)と、
前記一次インペラ(31)を回転軸(10)を中心に回転させるように構成された駆動ユニット(4)と、
前記一次インペラ(31)の前記上流端部を支持するインペラ軸受(37)と、
前記インペラ軸受(37)を通って軸方向に延在する中央開口(262)と、
前記一次インペラ(31)における少なくとも1つの二次血流路(321)であって、前記少なくとも1つの二次血流路(321)は、前記インペラ軸受(37)の前記中央開口(262)と軸方向に整列する二次血流入口(212)を有し、前記少なくとも1つの二次血流路(321)の各々は二次血流出口(213)を有し、前記少なくとも1つの二次血流路(321)は、前記二次血流入口(212)から前記二次血流出口(213)に二次血流(2BF)を搬送するように構成される少なくとも1つの二次血流路(321)と
を有し、
前記二次血流出口(213)は、前記一次インペラ(31)の前記上流および下流端部の軸方向間の場所において前記少なくとも1つの二次血流路(321)を前記一次血流路(30)に接続することを特徴とする、ポンピングデバイス(11)を備える血管内血液ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の血管内血液ポンプであって、前記中央開口(262)は、前記インペラ軸受(37)の外側インペラ軸受面(277)を画定し、これによって前記一次インペラ(31)は回転可能に支持されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の血管内血液ポンプであって、前記一次血流入口(211)は、非回転の流入セパレータ(26)によって前記二次血流入口(212)から離間され、前記流入セパレータ(26)は、前記インペラ軸受(37)の前記外側インペラ軸受面(277)を形成することを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項4】
請求項3に記載の血管内血液ポンプであって、前記流入セパレータ(26)は、前記インペラ軸受(37)の前記外側インペラ軸受面(277)を形成する個別のコンポーネントとしてインペラ軸受リング(27)を備えることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項5】
請求項3または4に記載の血管内血液ポンプであって、前記流入セパレータ(26)は、前記一次血流入口(211)を横切って延在する少なくとも1つの、好ましくは3つの支柱(28)によって支持されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項6】
請求項5に記載の血管内血液ポンプであって、前記少なくとも1つの支柱(28)は、前記流入セパレータ(26)を前記ポンプ筐体(2)に接続することを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項7】
請求項3から6のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記流入セパレータ(26)は、前記流入セパレータ(26)の下流端部に少なくとも1つの切り欠き部(261)を備えることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項8】
請求項3から7のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記流入セパレータ(26)は、前記外側インペラ軸受面(277)に少なくとも1つの切り欠き部(261)を有することを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項9】
請求項2から8のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記少なくとも1つの二次血流路(321)のうちの1つ以上は、前記外側インペラ軸受面(277)を洗浄するように前記一次インペラ(31)の回転に際して前記外側インペラ軸受面(277)の上に移動する縁部(325)を画定することを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記インペラ軸受(37)は滑り軸受であることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項11】
請求項10に記載の血管内血液ポンプであって、前記インペラ軸受(37)は血液パージされた滑り軸受であることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記一次血流入口(211)の領域の中央は前記離間された二次血流入口(212)に配置されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記少なくとも1つの二次血流路(321)の1つの二次血流入口(212)は、前記回転軸(10)の位置に配置されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記少なくとも1つの二次血流路(321)の一部を形成する二次チャンネル取り入れ口(324)は、前記一次血流路(30)における一次インペラチャンネル(311)の一部を形成する一次チャンネル取り入れ口(314)の上流に配置されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記一次インペラ(31)は、前記一次インペラ(31)の前記上流端部において一次ピッチを有する少なくとも1つのブレード(313)を備え、前記少なくとも1つの二次血流路(321)は二次ピッチを有し、前記二次ピッチは前記一次ピッチとおおよそまたは厳密に同一であることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記少なくとも1つの二次血流路(321)のうちの厳密に1つは、前記回転軸(10)の位置に配置された上流端部を有することを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記少なくとも1つの二次血流路(321)のうちの少なくとも2つは、回転軸(10)に関して非対称に配置されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記少なくとも1つの二次血流路(321)のうちの2つは、前記回転軸(10)に関して互いに反対側に配置されることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記少なくとも1つの二次血流路(321)のうちの厳密に2つを備えることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の血管内血液ポンプであって、前記一次インペラ(31)は、前記少なくとも1つの二次血流路(321)が形成されたインレイを備えることを特徴とする血管内血液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の血管に追加的な血流を生じさせることによって心臓の機能を支援または代替する血管内血液ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
軸流血液ポンプ、遠心血液ポンプ、または軸方向および径方向の力の両方によって血流がもたらされる混合型もしくは斜め方向血液ポンプなど、様々なタイプの血液ポンプが知られている。血管内血液ポンプは、通常、大動脈弁をブリッジするように大腿動脈を通って左心室内に、または大腿静脈を通って右心室内になど、経皮的に挿入される。
【0003】
回転血液ポンプは回転軸を有する。本特許出願において、「径方向」および「軸方向」という語は、回転軸に関し、それぞれ、「回転軸に関して径方向に」および「回転軸に沿って」を意味する。「内側」という語は、回転軸に径方向に向かう側を意味し、「外側」という語は、回転軸から径方向に離れる側を意味する。
【0004】
血管内血液ポンプは、典型的には、主なコンポーネントとしてポンピングデバイスを備える。ポンピングデバイスは、血流入口から血流出口へと血液を圧送するための一次インペラを含むポンプセクションと、一次インペラを駆動するためのモータを含む駆動セクションとを有する。ポンプセクションは、血流入口と血流出口との間に柔軟に屈曲可能なカニューレを含み得る。
【0005】
ポンピングデバイスは、ポンピングデバイスのポンプ側に配置されたポンプセクション端部を備える。ポンピングデバイスは、ポンピングデバイスの駆動側に配置された駆動セクション端部を更に備える。血液ポンプは、ポンピングデバイスに、例えば、エネルギーおよび/またはパージ流体を供給するためにポンピングデバイスに接続されたカテーテルを更に備え得る。カテーテルは、ポンプセクション端部に接続されてもよいが、多くはポンピングデバイスの駆動セクション端部に接続される。インペラを順方向および逆方向に回転させることも考えられる。この場合、ポンプセクションの血流入口と血流出口とが入れ替わり得る。
【0006】
通常、インペラは、ポンピングデバイス内で少なくとも1つのインペラ軸受によって支持される。滑り軸受、特には流体滑り軸受、ピボット軸受、静水学的軸受、玉軸受など、およびこれらの組み合わせなどの種々のロータ軸受の種類が知られている。特には、接触型軸受は、軸受面が血液と接触する「血液浸潤軸受」として実現され得る。動作中の問題点として摩擦および熱があり得る。血液浸潤軸受の場合、更なる問題として、熱に起因する、または十分な洗浄処理がなされないことに起因する血液凝固があり得る。
【0007】
血液パージされた径方向滑りロータ軸受の一例が、国際公開第2017/021465号において開示されており、これは、一緒に回転する全体的に筒形状の一次インペラと全体的に筒形状の二次インペラとを備える血管内血液ポンプを説明している。二次インペラは一次インペラの径方向中央に配置される。二次インペラの羽根は、両方のインペラの回転軸に向かって延在する。二次インペラの羽根の先端は滑り軸受の外側軸受面を形成する。二次インペラの中央に配置されたピンの筒形状の外側面は、滑り軸受の内側軸受面を形成する。別の実施形態において、到達する血液ストリームの中央からの血液は、インペラにおける中央軸方向流路を通って血液ポンプに進入し得る。全ての実施形態において、一次および二次インペラは、非回転の中央ピンに装着される。これは、二次血流の流体力学的抵抗を増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、圧送される血液の流体力学的抵抗が低減された血液ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、この目的は、独立請求項1の特徴を有する血液ポンプによって達成される。本発明の好ましい実施形態および更なる発展形態は、独立請求項1に従属する請求項において指定される。
【0010】
本発明の第1の態様によると、血管内血液ポンプは、一次血流路によって流体力学的に接続される一次血流入口および一次血流出口を有するポンプ筐体を有するポンピングデバイスを備え、一次インペラは上流端部と下流端部とを有し、一次血流路に沿って一次血流入口から一次血流出口に一次血流を搬送するように構成される。ポンピングデバイスは、一次インペラを回転軸を中心に回転させるように構成された駆動ユニットを更に備える。インペラ軸受は、一次インペラの上流端部を支持し、中央開口が、インペラ軸受を通って軸方向に延在する。ポンピングデバイスは、一次インペラにおける少なくとも1つの二次血流路であって、少なくとも1つの二次血流路は、インペラ軸受の中央開口と軸方向に整列する二次血流入口を有する、少なくとも1つの二次血流路を更に備える。各二次血流路は二次血流出口を有し、二次血流入口から二次血流出口に二次血流を搬送するように構成される。二次血流出口は、一次インペラの上流および下流端部の軸方向間の場所において少なくとも1つの二次血流路を一次血流路に接続する。
【0011】
換言すれば、1つ以上の二次血流路は、二次血流が到達する血液ストリームの中央(ここで、血液ストリームは最も速く、最も大きな運動エネルギーを有している)から取り込まれるように、インペラの遠位先端の中央から始まってインペラの横方向面で終わるように一次インペラを通って斜めに延在し、一次血流路の一次血流に至り、これを支援する。
【0012】
斜め方向に延在することによって、二次血流路は、遠心力によって二次血流において圧力も生成する。故に、血液は、血管内血液ポンプを通ってより容易に圧送され得る。
【0013】
故に、二次血流出口は、一次インペラの下流端部には配置されない。このような場合には、二次血流は、一次インペラよりも更に下流で一次血流と混じり合う。これは、流体力学的抵抗が増加した比較的長い二次血流路を必要とする。
【0014】
この構成の更なる利点は、二次血流路に沿って静止部が存在しないことである。これは、血液ポンプの流体力学的抵抗を低減する。
【0015】
血液の流速が、最新技術によるもののように静止ピン軸受によって減速されないので、利用され得る。
【0016】
1つ以上の二次血流路が、一次インペラ内に二次インペラを構成すると想定され得る。一次および二次インペラは一緒に回転する。二次インペラは、完全にまたは部分的に一次インペラの先端部におけるインレイ部(inlay part)として実現され得る。
【0017】
二次インペラの少なくとも一部が中央開口の内側に配置されることが好ましい。この場合、到達する血液は、二次インペラによって即座に搬送され得る。インペラ軸受は、二次インペラの外周に配置され得る。
【0018】
中央開口は、インペラ軸受の外側インペラ軸受面を画定し得る。中央開口の内側に、一次または二次インペラの一部が配置され得、対応する内側インペラ軸受面を形成し得る。好ましくは、少なくとも1つの二次血流路は中央開口内に延在する。例えば、内側インペラ軸受面は、二次血流路によって画定される1つ以上の二次インペラ羽根の外周によって形成され得る。
【0019】
しかしながら、内側インペラ軸受面は、二次インペラではない一次インペラの一部の外周に配置されることも可能である。この部分は中央開口の内側に配置され得る。
【0020】
好ましくは、一次血流入口は、流入セパレータによって二次血流入口から離間される。流入セパレータは、好ましくは、リング形態を有する。故に、血液ポンプに到達する血液は、分割されて、一次血流入口または二次血流入口内に流入する。好ましくは、流入セパレータは静止している。次いで、流入セパレータは、インペラ軸受の外側インペラ軸受面を形成し得る。代替的に、流入セパレータの外側面は、インペラ軸受の内側インペラ軸受面を形成し得る。インペラ軸受は、一次インペラを径方向で支持する。一次インペラは、二次インペラまたはその一部によってインペラ軸受に装着されることが可能である。
【0021】
流入セパレータは、個別のコンポーネントとして追加的なインペラ軸受リングを備え得る。インペラ軸受リングは、インペラ軸受の外側または内側インペラ軸受面を形成し得るが、好ましくは、内側インペラ軸受面を形成するように流入セパレータの内側に配置される。インペラ軸受リングは、流入セパレータの材料とは異なる材料で作られ得る。特には、インペラ軸受リングはセラミック材料、特には炭化ケイ素で作られ得る。
【0022】
流入セパレータは、流入セパレータをポンプ筐体に接続する少なくとも1つの支柱によって支持され得る。好ましくは、最低限3つの支柱が提供される。支柱は一次血流入口を横切って延在し得る。支柱は低い流体力学的抵抗を有するように構成されることが好ましい。
【0023】
流入セパレータは、好ましくは、流入セパレータの下流端部に少なくとも1つの切り欠き部を備える。好ましくは、切り欠き部は、二次血流路の周方向幅に匹敵する周方向幅を有する。このようにして、一次インペラの回転位置は、切り欠き部の周方向位置に延在してこれと一致する少なくとも1つの二次血流路によって定められ得る。この場合、内側(または外側)インペラ軸受面が切り欠き部の上で回転したときに、内側(または外側)インペラ軸受面に構築され始めた血液凝固が切り欠き部の縁部によって除去され得る。二次インペラの二次血流路によって画定される羽根の先端部など対応する外側(または内側)インペラ軸受面が不連続的である場合には、流入セパレータにおける外側(または内側)インペラ軸受面は、同じように、このような羽根の縁部によって洗浄され得る。切り欠き部の更なる利点は、血液凝固または細片が蓄積しないように、切り欠き部を通って流動する血液によって切り欠き部の洗浄縁部が洗い流され得ることである。一次または二次インペラによって形成された内側または外側インペラ軸受面は、好ましくは、一次または二次インペラの全体的なインペラ軸受面が洗浄されるように、切り欠き部と軸方向で重なる。好ましくは、全体的な外側インペラ軸受面が洗浄されるように、流入セパレータの外側インペラ軸受面は、好ましくは、内側インペラ軸受面を形成する二次インペラの羽根の端面と軸方向で重なる。二次インペラの羽根の先端が、切り欠き部の周方向長さよりも大きな軸方向長さを有することが好ましい。好ましくは、少なくとも1つの切り欠き部は、2つの支柱の間で延在する。
【0024】
切り欠き部は、好ましくは、流入セパレータに配置されるだけでなく、任意選択的に存在し得る前述のインペラ軸受リングを通って延在する。この場合、切り欠き部が効果的に洗われ得るように、切り欠き部はその両側で完全に開かれる。
【0025】
インペラ軸受は滑り軸受であり得る。好ましくは、インペラ軸受は血液パージされた滑り軸受である。これは、血液ストリームからの血液が、軸受をパージし、それによって軸受の冷却も行うために使用され得るという利点を有する。
【0026】
好ましくは、一次血流入口の領域の、数学的な意味での中央、つまり特定の領域の中央は、二次血流入口に配置される。血液ポンプに到着する血液ストリームの中央が二次血流入口を通って血液ポンプに進入するように、一次血流入口は二次血流入口の周りに配置される。層状の血液ストリームの中央は最も高い流速を有し、故に、二次血流に供給される。
【0027】
血液は、一次および二次血流入口を通過した後、一次および二次血流路内へのそれぞれの一次および二次チャンネル取り入れ口において、それぞれ一次インペラおよび二次インペラに進入する。好ましくは、少なくとも1つの二次チャンネル取り入れ口が、回転軸の位置に配置される。通常、インペラの先端部は合理的速度を有さないので、付着によって血液が凝固し得、静止した固体先端部に蓄積が生じ得る。しかしながら、提案される構成によって、血液ストリームの中央部が二次血流路の取り入れ口内に流動する。故に、血液凝固は生じ得ない。
【0028】
二次チャンネル取り入れ口は、好ましくは、一次チャンネル取り入れ口の上流に配置される。次いで、二次インペラの端部はインペラ軸受の内側に配置され得る。
【0029】
一次インペラは、一次インペラの上流端部において一次ピッチを有する少なくとも1つのブレードを備え、二次血流路は二次ピッチを有し、二次ピッチは一次ピッチとおおよそまたは厳密に同一である。乱流などの不所望の流動状態を防止するために必要な分だけ、ピッチは互いにずれてよい。
【0030】
好ましくは、少なくとも1つの二次血流路のうちの少なくとも2つは、回転軸に関して非対称に配置される。これは、二次チャンネル取り入れ口を回転軸に配置することを可能にする。
【0031】
好ましくは、2つの二次血流路が回転軸に関して互いに反対側に配置される。これは、二次インペラのコンパクトな設計を可能にする。
【0032】
好ましくは、既に述べられたように、二次血流路は、外側インペラ軸受面を洗浄するように二次インペラの回転に際して外側インペラ軸受面の上に移動する縁部を画定する。この縁部は、外側インペラ軸受面ためのワイパーとして働き、血液凝固または細片はこのようにして除去され得る。
【0033】
同様に上記おいて簡単に述べられたように、一次インペラは、少なくとも1つの二次血流路が形成されたインレイを備え得る。この場合、二次インペラは、一次インペラとは別の材料で作られ得る。例えば、二次インペラはセラミック材料で作られ得る。これは、内側インペラ軸受面のために有利である。代替的に、一次インペラおよび二次インペラは、1つの一体的部品を形成してもよい。
【0034】
上述の概要、および好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことでより良好に理解されるであろう。しかしながら、本開示の範囲は、図面において開示される特定の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明による、血液ポンプの第1の実施形態の断面図である。
【
図2】
図1の一部をポンプセクションの拡大図によって示す図である。
【
図3】
図1の一部を駆動セクションの拡大図によって示す図である。
【
図4】血液ポンプの第1の実施形態のポンプセクション端部に向かう斜視図である。
【
図5】基本的に
図4の図であるが、透明なポンプ筐体によって示す図である。
【
図6】基本的に
図5と同一の図であるが、血液ポンプの第2の実施形態を示す図である。
【
図8】血液ポンプの第1の実施形態のセパレータリングの斜視図である。
【
図9】血液ポンプの第2の実施形態のセパレータリングの斜視図である。
【
図10】補助インペラを示す斜視図における血液ポンプの駆動セクション端部の断面を示す図である。
【
図11A】補助インペラおよびロータ軸受リングの斜視図である。
【
図11B】切り欠き部を有するロータ軸受リングの斜視図である。
【
図12】第1または第2の実施形態の三次インペラの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1において、血管内血液ポンプの第1の実施形態の断面図が示される。回転部は省略され図示されていない。血管内血液ポンプ1は、ポンピングデバイス11と、これに取り付けられたカテーテル5の形態の供給ラインとを備える。
【0037】
ポンピングデバイス11は、少なくとも中間部分において略筒形状形態のポンプ筐体2を備える。ポンプ筐体2は、血流入口21と血流出口22とを備える。
図1において、ポンプ筐体2は、2つの個別のセクションを備えるように見えるが、これらのセクションは一体的であり、または接続されて単一の部品を形成する。
【0038】
図2において示されるポンプセクションの拡大図、ならびに
図4および
図5において示された前側斜視図においてより良好に分かるように、血流入口21は、一次血流入口211と二次血流入口212とを備える。一次血流入口211は二次血流入口212を包囲する。一次血流入口211および二次血流入口212は、流入セパレータ26によって分離されている。流入セパレータ26の内側において、流入セパレータ26はインペラ軸受リング27を備え、これは、
図8において個別に示される。さらに、ポンピングデバイス11は、内部に二次インペラ32を一体化した一次インペラ31を備える。一次および二次インペラ31、32は、回転軸10を中心に一緒に回転可能である。二次インペラ32は、
図7において示されるように、インレイの形態を有し得、一次インペラ31の二次インペラ空洞312の内側に配置され得る。二次インペラ空洞312は、ポンピングデバイス11のポンプセクション端部PSEに向かって開かれている。代替的に、一次および二次インペラ31、32は一体的に形成される。
【0039】
一次血流1BFは、一次血流入口211から流入セパレータ26の外側の一次インペラ31へと流動し、一次インペラ31によって一次血流路30を通って一次血流出口22へと更に搬送される。二次血流2BFは、二次血流入口212から流入セパレータ26を通って二次インペラ32へと流動し、二次インペラ32によって複数の二次血流路321を通って一次血流路30へと更に搬送される。
【0040】
故に、ポンプセクション端部においてポンピングデバイス11に、好ましくはポンピングデバイス11のほとんど全断面について到達した血液ストリームは、著しい偏向なしに一次および二次血流入口211、212内に流入し得る。二次血流入口212の中央位置によって、血液ストリームの中央からの血液も偏向なしにポンピングデバイス11に進入し得る。これは、血液ストリームは、通常、中央において最も流速が大きい層状の流れであるので有利である。
【0041】
一次インペラ31は、一次血流路30内に延在する一次インペラ羽根313を備え、その間に一次インペラチャンネル311が配置される。一次インペラチャンネル311は、ポンプセクション端部PSEに向かう一次インペラチャンネル311の各端部の一次チャンネル取り入れ口314において一次ピッチを有する。二次インペラ32は、チャンネル形態の少なくとも1つおよび特には厳密に2つの二次血流路321を備え、したがって、これは、以後二次インペラチャンネル321(
図7も参照)とも称される。二次インペラチャンネル321は、二次インペラチャンネル321の上流端部に配置された二次チャンネル取り入れ口324において二次ピッチを有する。二次ピッチは、好ましくは、一次ピッチと同一であり、または、乱流などの不所望の流動状態が防止される限りにおいて、ある程度まで異なってもよい。駆動セクション端部DSEに向かう二次インペラ32の端部において、二次インペラ空洞312と一次血流路311のうちの1つとの間に接続貫通孔315が配置される。この接続貫通孔315の血流の方向の端部が二次血流出口213を画定する。二次血流出口213は、回転軸10に関して更に径方向外側に配置される。したがって、血液は、二次インペラ32の回転によって生じる遠心力よって径方向外側に移動させられる。このようにして、二次血流2BFは、二次血流入口212を通り、更に二次インペラ32の二次インペラチャンネル321を通って搬送され、一次インペラ31の一次インペラチャンネル311を通って流動する一次血流1BFと合体する。このようにして、圧送血流PBFが形成される。圧送血流PBFは、血流出口22においてポンピングデバイス11から出る。
【0042】
一次および二次インペラ31、32は、インペラ軸受37に一緒に装着される。それらは二次インペラ空洞312を介して接続され、または単一の部品として一体的に形成される。流入セパレータ26は、流入セパレータ26の内側に配置されたインペラ軸受リング27を備える。インペラ軸受37の外側インペラ軸受面277は、インペラ軸受リング27の内側に配置される。インペラ軸受37は、二次インペラ32の外周に配置された内側インペラ軸受面327を更に備える。
【0043】
一次インペラ31は、血流出口22につながる先細り形状セクション314に固定的に接続される。先細り形状セクション314は、圧送血流PBFを回転軸10に関して径方向外側の方向に送る。次いで、血液は血流出口22に到達する。
【0044】
ポンプセクション端部PSEに向かう方向における先細り形状セクション314から、ポンピングデバイス11のポンプ筐体2の内側に駆動セクション4が配置され、これはステータ40とロータ41とを備える。ステータ40とロータ41との間に、軸方向ギャップ401が配置される。ステータ40およびロータ41を冷却するために、軸方向ギャップ401は血液パージされる。このために、補助血流ABFは、駆動セクション端部DSEに配置された補助血流入口23を通って駆動セクション4に進入する。次いで、血液は、補助インペラ42によって、補助インペラ42とポンプ筐体2の内壁との間に配置された補助ポンプギャップ423を通って搬送される。ここから、血液は軸方向ギャップ401内へと流動を継続する。軸方向ギャップ401から、補助血流ABFは径方向ギャップ241に進入する。径方向ギャップ241の径方向外側端部に補助血流出口24が配置される。補助血流ABFは軸方向ギャップ401内で一次および二次インペラ31、32のポンピング方向の反対方向に流動する。駆動セクション4の内側の補助血流ABFも、血液ポンプ1の周りで流動する全体的血流GBFと実質的に反対方向に流動する。
【0045】
図3に示される拡大図を参照するとより良好に分かるように、ロータ軸受リング43は補助インペラ42を包囲する。補助インペラ42は補助インペラ羽根421を備える。補助インペラ羽根421は、回転軸10の方向においてポンピングデバイス11の駆動セクション端部DSEに向かって突出する。径方向ロータ軸受47は駆動セクション端部DSEに配置され、外側ロータ軸受面4211と内側ロータ軸受面4311とを備え、その間に軸方向に延在する軸受ギャップが配置される。外側ロータ軸受面4311はロータ軸受リング43に配置される。補助インペラ42によって搬送される血液は、軸受ギャップを通り、さらに、ロータ41とステータ40との間の軸方向ギャップ401へと流動する。軸方向ギャップ401から、血液は径方向ギャップ241へと流動する。径方向ギャップ241は、一次インペラ31の先細り形状セクション314とステータ40との間に延在する。補助血流出口24は、径方向ギャップ241とポンピングデバイス11の周囲との間の遷移部分に配置される。補助血流出口24は、回転軸10に対して垂直に配置される。ここで、補助血流ABFからの血液は、ポンプセクション2からの圧送血流PBFおよび周囲の全体的血流GBFと合体する。図示されるように、補助血流出口24がポンプ筐体2の外径の近く、および一次血流出口22の近くに配置されると、圧送血流PBFおよび全体的血流GBFは、それらの流速によって、径方向ギャップ241からの血液の引き出しを支援する。これは、軸方向ギャップ401を通る補助血流ABFを増加させる。
【0046】
回転軸10がこれを通って延在する補助インペラ42の中央で、ロータ41の反対側の補助インペラ42の側に、隆起422が配置される。回転軸10の方向において駆動セクション端部DSEに向かって、隆起422に隣接して、軸受ピン44が配置される。軸受ピン44はポンプ筐体2に接続される。補助インペラ42に向かう軸受ピン44の軸方向軸受面は凸形状を有する。回転軸10は、軸受ピン44の軸方向軸受面の頂部および隆起422の軸方向軸受面の頂部を通って延びる。このようにして、隆起422と軸受ピン44との間で回転軸に関して軸方向の力を伝達するために軸受ピン44は隆起422と相互作用してスラスト軸受を形成し、前述の部分は互いに対して回転可能である。明らかに、接触面は小さく、回転摩擦は低い。
【0047】
血液ポンプ1の駆動セクション端部は、1つ以上の、好ましくは3つの補助入口貫通孔231を備える。補助入口貫通孔231は、補助血流入口23から補助インペラ42が配置された補助インペラ空洞232へと延在する。故に、血液は、補助入口貫通孔231を介して補助血流入口23から補助インペラ42へと流動する。
【0048】
少なくとも1つのワイヤ貫通孔25が、ポンピングデバイス11の駆動セクション端部DSEに配置される。ワイヤ貫通孔25は、カテーテル5からステータ40へと延在し得る。好ましくは、3つのワイヤ貫通孔25が回転軸10を中心に配置される。2つの補助入口貫通孔231の間に、1つのワイヤ貫通孔25が配置され得る。ワイヤ貫通孔25内に、少なくとも1つの供給ライン51、52および/または53が延在し得、ステータ40に接続され得る。好ましくは、図示されるように、供給ワイヤ51、52および/または53は、カテーテル5の内側を通って患者の身体の外側まで延在する。供給ワイヤ51、52および/または53は、血液に接触することなくカテーテル5からステータ40へと延びる。
【0049】
図4は、ポンプセクション3のポンプセクション端部PSEの斜視前面図を示す。図示されるように、二次インペラ32は、インペラ軸受リング27の内側に配置される。インペラ軸受リング27は、流入セパレータ26の内側に配置される。この実施形態に対する代替形態として、外側インペラ軸受面277が流入セパレータ26によって形成されるように、追加的なインペラ軸受リング27は省略され得る。ここで、流入セパレータ26は3つの支柱28によって一次血流1BFと二次血流2BFとの間に装着される。二次血流2BFは、インペラ軸受リング27内への流入部に配置された二次血流入口212を通って二次インペラ32内に流入することが図示されている。二次インペラ32において、血液は、二次インペラチャンネル321に沿って流動し、次いで、貫通開口315を通って二次血流出口213へと流動する。ここで、二次血流2BFは、一次血流1BFと合体し、圧送血流PBFを形成する。
【0050】
図5は、ポンプセクション3のポンプセクション端部PSEを斜視図において示し、ポンプ筐体2は透明に示されている。貫通開口315および二次血流出口213は、2つの一次インペラ羽根313の間に配置されるのが見える。図示されるように、支柱28は、外側支柱接続リング29によって接続される。支柱接続リング29は、ポンプセクション端部PSEにおいてポンプ筐体2の内周面の内側に配置される。インペラ軸受リング27は支柱28によって支持される。支柱接続リング29および支柱28を1つの部品として製造することが考えられる。好ましくは、インペラ軸受リング27もこの部品の一部である。この部品はポンプ筐体2と一体に形成されてもよい。
【0051】
図6は、ポンプセクション3のポンプセクション端部PSEの斜視図を示し、
図3から
図5に示された実施形態とは異なり、ポンプ筐体2は透明に示されており、流入セパレータ26は、流入セパレータ26の下流端部に少なくとも1つ、好ましくは3つの切り欠き部261を備える。切り欠き部261は、2つの支柱28の間に配置される。インペラ軸受リング27は、流入セパレータ26の一部であるか、またはこれに固定的に接続され、切り欠き部261は、インペラ軸受リング27を通っても延在する。切り欠き部261に起因して、二次インペラの回転中に二次インペラチャンネル321は、切り欠き部261と整列したときに、その断面が増加する。二次インペラ32は、インペラ軸受リング27の内側でポンプセクション端部PSEに向かう方向に、最大で切り欠き部261の端部まで延在する。このことは、切り欠き部261において回転する軸方向スラスト軸受面328の合致部が血液と直接的に接触するので、動作中に、切り欠き部261の縁部が内側インペラ軸受面327の上に延び、血液凝固を凝固が始まったとき除去する、または、好ましくは、血液凝固の形成を防止するという効果を有する。これは、軸方向スラスト軸受内の滞留血液を回避することに役立つ。また、
図7から分かるように、内側インペラ軸受面327は縁部325を有し、これは、外側インペラ軸受面277(
図8および
図9)から血液凝固を除去する効果を有する。
【0052】
図7は、二次インペラ32を斜視図において詳細に示す。ここでは、二次インペラ32は、インレイとして構成され、おおよそ筒形状の形態を有する。これは、一次インペラ31とは異なる材質、例えばセラミック材料で作られ得る。インレイは、一次インペラ21の二次インペラ空洞312の内側に配置された筒形状セクション323を備える。周方向突出部329が二次インペラ空洞312における二次インペラ32のための軸方向ストッパを形成する。内側インペラ軸受面327は、二次インペラ32の外周に配置される。2つの二次インペラチャンネル321が、ポンプセクション端部PSEに向かう二次インペラ32の端部に配置される。二次インペラチャンネル321は、それらの最大の断面を二次インペラ32の上流端部に有する。故に、チャンネル321の断面は、血流入口21から離れるにつれて減少する。このようにして、血液は、二次インペラチャンネル321を通って流動するときに、主に軸方向から軸方向-径方向に送られる。
【0053】
二次インペラチャンネル321は、二次インペラ32の回転軸10に関して非対称に配置される。血流入口21に向かう二次インペラ32の端部において、回転軸10は、二次インペラチャンネル321のうちの1つを通って延在する。このようにして、回転軸10に位置する回転の中心は、二次インペラ32の固体部とは一致しない。これは、隣接する血流に対する差速が存在しない回転の中心における血液凝固が回避され得るという利点を有する。
【0054】
二次インペラチャンネル321と内側インペラ軸受面327との間の遷移部分に、縁部325が配置される。上述されたように、このような縁部325は、外側インペラ軸受面277における血液凝固の形成を排除するように働く。内側インペラ軸受面327は、ポンプセクション端部PSEにおける径方向軸受の内側面を提供する。二次インペラ32は、軸方向インペラ軸受面328を更に備える。これは、周方向突出部329に配置される。軸方向インペラ軸受面328は、上述された軸方向ストッパまたは軸方向スラスト軸受の一部を形成する。軸方向ストッパは、インペラの回転中に二次インペラ32から軸受リング27へと力を伝達可能な軸方向軸受として構成され得る。軸方向軸受は、インペラのパージ動作から生じる軸方向の力に対処するために必要である。
【0055】
図8は、インペラ軸受リング27の拡大図を示す。外側インペラ軸受面277は、インペラ軸受リング27の内側に配置される。インペラ軸受リング27は、軸方向軸受リング面278を備える。図示されるように、軸方向軸受リング面278は、インペラ軸受リング27の軸方向端部に配置され得る。
【0056】
図9は、
図8において示されたものとは異なる更なる実施形態によるインペラ軸受リング27の斜視図を示し、これは、既述の切り欠き部261を備え、これは、インペラ軸受リング27の下流端部に配置される。切り欠き部261の数は、好ましくは、支柱28の数と一致する。
【0057】
図10は、駆動セクション4の駆動セクション端部DSEを通る断面の斜視図を示す。回転部は省略され図示されていない。図示されるように、補助血流ABFは補助血流入口23においてポンプ筐体2に進入する。補助インペラ42は、血液を加速させ、血液は軸方向ギャップ401内へと流動を継続する。軸方向ギャップ401の内側の矢印ABFによって示されるように、血液は回転軸10の方向に直接的に流動するのではなく、螺旋に沿って軸方向ギャップ401に沿って流動するように、強い周方向の流れ成分を有する。
【0058】
図11は、ポンピングデバイス11の駆動セクション端部DSEにおけるロータ41の端部の斜視図を示す。補助インペラ42の補助羽根421が明確に認識でき、これらは、径方向に直線的に延在する。補助インペラ羽根421は、それらの外周において、径方向ロータ軸受47の内側ロータ軸受面4211を提供する。さらに、補助インペラ羽根421の各々は、面取り4212を有する。この面取り4212は、
図10において示されるようなポンピングデバイス11の先細り形状の駆動セクション端部DSEを構築するために有利である。さらに、補助インペラ羽根421は、二次インペラ42の軸方向端部に、径方向に延在する端面4214を備える。隆起422が二次インペラ42の軸方向端部の中央に形成される。
図10において示されるように、隆起422は軸受ピン44と相互作用する。
【0059】
図11Aは、二次インペラ42の内側ロータ軸受面4211の周りに配置されるロータ軸受リング43を更に示す。ロータ軸受リング43の外側ロータ軸受面4311は、補助インペラ42の内側ロータ軸受面4211とともにロータ軸受47を形成する。補助インペラ42は、軸方向長さLおよび直径Dを有する。代替的に、
図11Bにおいて示されるように、ロータ軸受リング43は、上述のインペラ軸受リング27の切り欠き部261と類似の形態、機能、構成を有する切り欠き部を有し得る。
【0060】
図12は、一次インペラ31の先細り形状セクション314に接続されたロータ41の端部の斜視図を示す。三次インペラ242が、先細り形状セクション314とロータ41のポンプセクション端部との間に配置され、ロータ41の外径から先細り形状セクション314の外径へと径方向に延在し、肩部を形成する。この肩部の軸方向平面は、径方向ギャップ24の回転可能壁2411を形成する。三次インペラ羽根2412が、回転可能壁2411からポンピングデバイス11の駆動セクション端部DSEに向かって突き出る。好ましくは、三次インペラ羽根2412は、回転軸10に沿って軸方向に延在する。特には、三次インペラ羽根2412は、直線的であり、回転軸10に関して径方向に延在する。さらに、代替形態において、三次インペラ羽根2412は省略されてよい(図示せず)。
【国際調査報告】