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特表2023-518941マイクロベンドが改善された直径の減少した光ファイバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-09
(54)【発明の名称】マイクロベンドが改善された直径の減少した光ファイバ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/02 20060101AFI20230427BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
G02B6/02 461
G02B6/02 376A
G02B6/036
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556070
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(85)【翻訳文提出日】2022-11-10
(86)【国際出願番号】 US2021020209
(87)【国際公開番号】W WO2021188288
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/991,278
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2025271
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ベネット,ケヴィン ウォレス
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ,スニグダラジ クマール
(72)【発明者】
【氏名】タンドン,プシュカル
(72)【発明者】
【氏名】ザハリャン,アラミス ロバート
【テーマコード(参考)】
2H250
【Fターム(参考)】
2H250AB10
2H250AB15
2H250AB18
2H250AC62
2H250AC64
2H250AC66
2H250AC67
2H250AC68
2H250AC70
2H250AC93
2H250AC94
2H250AC95
2H250AC96
2H250AC98
2H250AD19
2H250AD32
2H250AD34
2H250AD44
2H250AE26
2H250AE39
2H250AE47
2H250AE63
2H250AE64
2H250AH22
2H250BA32
2H250BB07
2H250BC02
2H250BC03
2H250BD11
2H250BD12
2H250BD17
2H250BD18
(57)【要約】
アルカリ金属がドープされたシリカガラスから作られた第1のコア(90)、その第1のコアを取り囲む第1の内側クラッド、およびその第1の内側クラッドを取り囲み、約30%Δ・μm以上の体積を有する第1のトレンチ領域を含む第1の外側クラッドを備えた多芯光ファイバ(80)が提供される。この多芯光ファイバ(80)は、アルカリ金属がドープされたシリカガラスから作られた第2のコア(90)、その第2のコアを取り囲む第2の内側クラッド、およびその第2の内側クラッドを取り囲み、約30%Δ・μm以上の体積を有する第2のトレンチ領域を含む第2の外側クラッドも備える。それに加え、共通クラッド(98)が第1のコアと第2のコアを取り囲み、この第1のコアと第2のコアの各々は、約100μm以下の1550nmでの有効面積を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多芯光ファイバにおいて、
アルカリ金属がドープされたシリカガラスから作られた第1のコア、
前記第1のコアを取り囲む第1の内側クラッド、
前記第1の内側クラッドを取り囲み、約30%Δ・マイクロメートル以上の体積を有する第1のトレンチ領域を含む第1の外側クラッド、
アルカリ金属がドープされたシリカガラスから作られた第2のコア、
前記第2のコアを取り囲む第2の内側クラッド、
前記第2の内側クラッドを取り囲み、約30%Δ・マイクロメートル以上の体積を有する第2のトレンチ領域を含む第2の外側クラッド、および
前記第1のコアと前記第2のコアを取り囲む共通クラッド、
を備え、
前記第1のコアと前記第2のコアの各々は、約100マイクロメートル以下の1550nmでの有効面積を有する、多芯光ファイバ。
【請求項2】
前記第1のコアの中心線と前記第2のコアの中心線との間の距離が、約20マイクロメートルから約45マイクロメートルの範囲にある、請求項1記載の多芯光ファイバ。
【請求項3】
前記第1のコアと前記第2のコアとの間のクロストークが、ファイバ長100km当たり約-30dB未満である、請求項1または2記載の多芯光ファイバ。
【請求項4】
前記第1のコアおよび前記第2のコアの半径の各々が、約2.5マイクロメートルから約9マイクロメートルの範囲にある、請求項1から3いずれか1項記載の多芯光ファイバ。
【請求項5】
前記第1のコアおよび前記第2のコアの各々の1550nmでの減衰が、約0.170dB/km以下である、請求項1から4いずれか1項記載の多芯光ファイバ。
【請求項6】
前記第1のコアおよび前記第2のコアの各々が、約10ppmから約500ppmの範囲のピークアルカリ金属濃度を有する、請求項1から5いずれか1項記載の多芯光ファイバ。
【請求項7】
前記第1のコアおよび前記第2のコアの前記アルカリ金属が、ナトリウム、カリウム、およびルビジウムの内の少なくとも1つである、請求項1から6いずれか1項記載の多芯光ファイバ。
【請求項8】
前記第1のコアおよび前記第2のコアの各々が、約0.4質量%から約2.2質量%の範囲の塩素濃度を有する、請求項1から7いずれか1項記載の多芯光ファイバ。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2020年3月18日に出願された米国仮特許出願第62/991278号からの優先権を主張する、2020年4月3日に出願された蘭国特許出願第2025271号に優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、光ファイバに関する。より詳しくは、本開示は、海底環境のために作られた光ファイバケーブルに関する。最も詳しくは、本開示は、マイクロベンド感度を著しく増加させずに、減少した直径を有する光ファイバに関する。
【背景技術】
【0003】
海底ケーブルは、陸海空を横断して電気通信信号を伝送するために設計されたものである。過去数年間、海底ケーブルを渡る電気通信信号が劇的に増加しており、現在、大陸間通信信号の90%超が海底ケーブルを介して伝送されている。そのため、大陸間のインターネットトラフィックの増加に伴い、そのような海底ケーブルの伝送容量に対する需要も高まっている。
【0004】
海底ケーブルの伝送容量を増やすための従来の手法には、伝送チャネル数を増やすための波長分割多重化や、チャネル当たりのデータ伝送速度を上げるための高度な変調フォーマットがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、チャネルの数やチャネルデータ伝送速度がほぼ実用限界にあるため、これら手法は実用的ではなくなっている。海底ケーブルの伝送容量を増やす可能性のある別の手法に、ケーブル全体の直径を大きくすることにより、ケーブル内のファイバの数を増やすことがある。しかしながら、ケーブルの敷設を容易にするために、海底ケーブルの直径が制限されているので、この手法も実用的ではない。海底ケーブルの直径を大きくすると、質量が増加し、海底光ケーブルを敷設する船舶の収納容量に限りがあるために、ケーブルの管理が一層難しくなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、海底ケーブルのファイバ総数を増加させるための減少した直径を有し、それゆえ、海底ケーブルの直径を、容易に敷設できる許容サイズに維持できる光ファイバを提供する。具体的には、ここに開示される光ファイバは、長距離伝送に必要なマイクロベンド特性を依然として維持しながら、減少したガラス直径および/または減少した被覆厚を有する。より具体的には、ここに開示される光ファイバは、コンパクトな形態で、低い減衰、低いマイクロベンド感度、および高い穿刺抵抗を提供する。減少したガラス直径および/または減少した被覆厚は、標準的な海底ケーブル設計内のファイバ密度を増加させるために使用されることがある。ここに開示されるような、そのような直径の減少した光ファイバのマイクロベンド特性は、光信号の漏れを抑制するために、ファイバの被覆特性を、屈折率プロファイルの屈折率の減少したクラッド層の寸法で共最適化することによって達成される。二次被覆の高い弾性率により、断面積がより小さいにもかかわらず、ファイバの穿刺抵抗および取扱性が改善される。
【0007】
本記載は、塩素および/またはアルカリ金属がドープされたシリカガラスから作られたコア領域を有する光ファイバに及ぶ。この光ファイバは、コア領域を取り囲むクラッド領域をさらに備え、このクラッド領域は、コア領域に直接隣接する内側クラッド、この内側クラッドを取り囲む外側クラッド、および半径方向に内側クラッドと外側クラッドとの間に配置されたトレンチ領域を含み、このトレンチ領域は、約30%Δ・マイクロメートル以上の体積を有する。それに加え、この光ファイバは、約100マイクロメートル以下の1550nmでの有効面積を有する。
【0008】
本記載は、塩素および/またはアルカリ金属がドープされたシリカガラスから作られたコア領域、およびそのコア領域を取り囲むクラッド領域を有する光ファイバに及ぶ。このクラッド領域は、コア領域に直接隣接する内側クラッド、この内側クラッドを取り囲む外側クラッド、および半径方向に内側クラッドと外側クラッドとの間に配置されたトレンチ領域を含み、このトレンチ領域は、約30%Δ・マイクロメートル以上の体積を有する。この光ファイバは、クラッド領域を取り囲む一次被覆およびその一次被覆を取り囲む二次被覆をさらに備える。この一次被覆は、約0.5MPa以下のその場弾性率を有し、二次被覆は、約1500MPa以上のその場弾性率を有する。二次被覆の直径は、約210マイクロメートル以下である。
【0009】
本記載はさらに、塩素および/またはアルカリ金属がドープされたシリカガラスから作られた第1のコア、その第1のコアを取り囲む第1の内側クラッド、およびその第1の内側クラッドを取り囲み、約30%Δ・マイクロメートル以上の体積を有する第1のトレンチ領域を含む第1の外側クラッドを有する多芯光ファイバに及ぶ。それに加え、この多芯光ファイバは、塩素および/またはアルカリ金属がドープされたシリカガラスから作られた第2のコア、この第2のコアを取り囲む第2の内側クラッド、およびその第2の内側クラッドを取り囲み、約30%Δ・マイクロメートル以上の体積を有する第2のトレンチ領域を含む第2の外側クラッドを有する。共通クラッドが、第1のコアと第2のコアを取り囲む。さらに、第1のコアと第2のコアの各々は、約100マイクロメートル以下の1550nmでの有効面積を有する。
【0010】
追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部には、その説明から当業者に容易に明白となるか、または記載された説明およびその特許請求の範囲、並びに添付図面に記載されたように実施の形態を実施することによって、認識されるであろう。
【0011】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、例示に過ぎず、請求項の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供する意図があることを理解すべきである。
【0012】
添付図面は、さらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、本開示の選択された態様を示しており、説明と共に、本開示により包含される方法、生成物、および組成物の原理および作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施の形態による被覆光ファイバの概略図
図2】本開示の実施の形態による光ファイバリボンの概略図
図3】本開示の実施の形態による光ファイバケーブルの概略図
図4】本開示の実施の形態による光ファイバの断面の概略図
図5】本開示の実施の形態による光ファイバの相対屈折率プロファイル
図6A】本開示の実施の形態による光ファイバの相対屈折率プロファイル
図6B】本開示の実施の形態による光ファイバの相対屈折率プロファイル
図6C】本開示の実施の形態による光ファイバの相対屈折率プロファイル
図6D】本開示の実施の形態による光ファイバの相対屈折率プロファイル
図6E】本開示の実施の形態による光ファイバの相対屈折率プロファイル
図7】2つの光ファイバに関する放射損失対クラッド半径のプロット
図8A】本開示の実施の形態による多芯光ファイバの概略図
図8B】本開示の実施の形態による多芯光ファイバの概略図
図8C】本開示の実施の形態による多芯光ファイバの概略図
図9】本開示の実施の形態による多芯光ファイバの概略図
図10】3つの多芯光ファイバのクロストーク対コア間隔のプロット
図11】本開示の実施の形態による多芯光ファイバのコアの相対屈折率プロファイル
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、実現可能な教示として提供され、以下の説明、図面、実施例、および特許請求の範囲を参照することによってより容易に理解され得るものである。この目的のために、関連する技術分野の当業者は、有益な結果を得ながら、ここに記載された実施の形態の様々な態様に多くの変更を加えることができることを認識し、理解するであろう。また、本実施の形態の所望の利点のいくつかは、特徴の一部を選択することによって、他の特徴を利用せずに得られることも明らかであろう。したがって、当業者であれば、多くの改変および適応が可能であり、特定の状況において望ましくさえあり得、本開示の一部であることを認識するであろう。したがって、本開示は、特に指定しない限り、開示された特定の組成物、物品、装置、および方法に限定されないことが理解されよう。また、ここに使用される専門用語は、特定の態様を説明する目的のためだけであり、限定する意図はないことを理解されたい。
【0015】
本明細書およびそれに続く特許請求の範囲において、以下の意味を持つように定義された多数の用語が言及されている。
【0016】
「光ファイバ」とは、被覆に取り囲まれたガラス部分を有する導波路のことである。このガラス部分は、コアおよびクラッドを備え、ここでは、「ガラスファイバ」と称される。
【0017】
「径方向位置」、「半径」、または径方向座標「r」は、ファイバの中心線(r=0)に対する径方向位置を意味する。
【0018】
「屈折率」は、特に明記のない限り、1550nmの波長における屈折率を称する。
【0019】
「屈折率プロファイル」は、屈折率または相対屈折率と半径との間の関係である。隣接するコア領域および/またはクラッド領域間にステップ境界を有するものとしてここに描かれた相対屈折率プロファイルについては、加工条件の通常の変動により、隣接する領域の界面で鋭いステップ境界が得られないことがある。屈折率プロファイルの境界は、屈折率のステップ変化としてここに表現されることがあるが、実際の境界は、丸みを帯びるか、または完全なステップ関数特性から他の様式で逸脱することがあると理解されよう。相対屈折率の値は、コア領域および/またはクラッド領域のいずれかにおける径方向位置によって変化することがあることがさらに理解されよう。相対屈折率がファイバの特定の領域(例えば、コア領域および/またはクラッド領域のいずれか)内の径方向位置によって変化する場合、その実際の関数依存性または近似関数依存性、または領域内の特定の位置におけるその値、または領域全体に適用できる平均値で表現される。特に指定しない限り、領域(例えば、コア領域および/またはクラッド領域のいずれか)の相対屈折率が、単一値として、または領域全体に適用されるパラメータ(例えば、ΔまたはΔ%)として表される場合、その領域内の相対屈折率は、一定、またはほぼ一定であり、単一値に対応する、もしくは単一値またはパラメータは、その領域内の径方向位置による非一定の相対屈折率依存性の平均値を示すと理解される。例えば、「i」がガラスファイバの領域である場合、パラメータΔは、特に断らない限り、下記の式(1)で定義されるような領域内の相対屈折率の平均値を称する。設計によるものであれ、通常の製造上のばらつきの結果であれ、相対屈折率の径方向位置への依存性は、傾斜、曲線、またはその他の非一定であることがある。
【0020】
ここに使用されるような「相対屈折率」は、式(1)において:
【0021】
【数1】
【0022】
のように定義され、式中、nは、特に指定しない限り、ガラスファイバの径方向位置rにおける屈折率であり、nrefは、特に指定しない限り、純粋なシリカガラスの屈折率である。したがって、ここに使用されるように、相対屈折率パーセントは、1550nmの波長で1.444の値を有する、純粋なシリカガラスに対して相対的なものである。ここに使用されるように、相対屈折率は、Δ(または「デルタ」)またはΔ%(または「デルタ%」)で表され、その値は、特に指定しない限り、「%」の単位で与えられる。また、相対屈折率は、Δ(r)またはΔ(r)%と表されることもある。
【0023】
ファイバのある領域の平均相対屈折率(Δ平均)は、式(2):
【0024】
【数2】
【0025】
により求められ、式中、r内側は、その領域の内側半径であり、r外側は、その領域の外側半径であり、Δ(r)は、その領域の相対屈折率である。
【0026】
光ファイバプロファイルの屈折率は、IFA-100 Fiber Index Profiler(米国、マサチューセッツ州、シャロン所在のInterfiber Analysis LLC)や、S14 Refractive Index Profiler(米国、オレゴン州、ビーバートン所在のPhoton Kinetics,Inc.)などの市販の装置を使用して測定することができる。これらの装置は、測定基準屈折率に対する屈折率を測定する、n(r)-nmeas、ここで、測定基準屈折率nmeasは、典型的に、油または純粋なシリカガラスと一致する較正屈折率である。測定波長は、632.5nm、654nm、677.2nm、654nm、702.3nm、729.6nm、759.2nm、791.3nm、826.3nm、864.1nm、905.2nm、949.6nm、997.7nm、1050nm、またはそれらの間のどの波長であってもよい。次に、絶対屈折率n(r)を使用して、式(1)により定義されたような相対屈折率を計算する。
【0027】
「α-プロファイル」または「アルファプロファイル」という用語は、式(3):
【0028】
【数3】
【0029】
に定義される関数形式を有する相対屈折率プロファイルΔ(r)を称し、式中、rは、Δ(r)が最大である径方向位置であり、Δ(r)>0、r>rは、Δ(r)が最小値まで減少する径方向位置であり、rは、r≦r≦rの範囲にあり、ここで、rは、α-プロファイルの初期径方向位置であり、rは、α-プロファイルの最終径方向位置であり、αは実数である。α-プロファイルのΔ(r)は、ここではΔmax、またはファイバの特定の領域iが言及されている場合には、Δimaxと称されることがある。ファイバのコア領域の相対屈折率プロファイルが、rが中心線で生じ(r=0)、rがコア領域の外側半径rに対応し、Δ(r)=0であるα-プロファイルにより記載されている場合、式(3)は式(4)に単純化される:
【0030】
【数4】
【0031】
コア領域が、式(4)により表される屈折率を有する場合、外側半径rは、以下の手順によって、測定された相対屈折率プロファイルから決定できる。最大相対屈折率Δ1max、α、および外側半径r1estの推定値は、測定された相対屈折率プロファイルを調べることによって得られ、r=r-r1estとr=r1estとの間に試験関数Δtrialを作るために使用される。本開示の実施の形態による、α-プロファイルにより表されるコアを有する代表的なガラスファイバの相対屈折率プロファイルが、図5および6に示されている。
【0032】
「トレンチ体積」は:
【0033】
【数5】
【0034】
として定義され、式中、rトレンチ、内側は、屈折率プロファイルのトレンチ領域の内側半径であり、rトレンチ、外側は、屈折率プロファイルのトレンチ領域の外側半径であり、Δトレンチ(r)は、屈折率プロファイルのトレンチ領域の相対屈折率であり、rは、ファイバ内の径方向位置である。トレンチ体積は、絶対値で表され、正の値を有し、%Δマイクロメートル、%Δ-マイクロメートル、%Δ-μmまたは%Δμmの単位で表され、それにより、これらの単位は、ここでは交換可能に使用することができる。トレンチ領域は、ここでは、屈折率の減少したクラッド領域とも称され、トレンチ体積は、Vとも称される。
【0035】
光ファイバの「モードフィールド径」または「MFD」は:
【0036】
【数6】
【0037】
として式(6)に定義され、式中、f(r)は、導波光信号の電場分布の横成分であり、rはファイバ内の径方向位置である。「モードフィールド径」または「MFD」は、光信号の波長に依存し、ここでは、1310nm、1550nm、および1625nmの波長について報告される。ここで、モードフィールド径を称するときに、その波長の特異的な適用が行われる。特に明記のない限り、モードフィールド径は、特定波長でのLP01モードを称する。
【0038】
光ファイバの「有効面積」は:
【0039】
【数7】
【0040】
として式(7)に定義され、式中、f(r)は、導波光信号の電場の横成分であり、rはファイバ内の径方向位置である。「有効面積」または「Aeff」は、光信号の波長に依存し、ここでは、1550nmの波長を称すると理解される。
【0041】
ここに用いられているような、「減衰」という用語は、信号が光ファイバに沿って伝搬するときの光出力の損失である。減衰は、IEC-60793-1-40規格、「Attenuation measurement methods」に規定されたように測定した。
【0042】
ここで「曲げ損失」と表される、光ファイバの曲げ抵抗は、IEC-60793-1-40規格、「Measurement methods and test procedures - Macrobending loss」に規定されるような規定の試験条件下での誘導減衰によって測定することができる。例えば、試験条件は、例えば、15mm、20mm、または30mmのマンドレルもしくは類似の直径のマンドレル(例えば、「1×15mm直径曲げ損失」または「1×20mm直径曲げ損失」または「1×30mm直径曲げ損失」)のいずれかの周りに一巻き巻き付けることにより、規定の直径のマンドレルの周りにファイバを一巻き以上敷設し、または巻き付け、一巻き当たりの減衰の増加を測定する各工程を伴い得る。
【0043】
ここに用いられているような、「ケーブルカットオフ波長」または「ケーブルカットオフ」は、IEC 60793-1-44規格、「Measurement methods and test procedures - Cut-off wavelength」に規定されるような22mのケーブルカットオフ試験を称する。
【0044】
ここに開示された光ファイバは、コア領域、そのコア領域を取り囲むクラッド領域、およびそのクラッド領域を取り囲む被覆を備える。コア領域とクラッド領域はガラスである。クラッド領域は、複数の領域を含む。この複数のクラッド領域は、同心領域であることが好ましい。クラッド領域は、内側クラッド領域、屈折率の減少したクラッド領域、および外側クラッド領域を含む。内側クラッド領域は、コア領域を取り囲み、それに直接隣接している。屈折率の減少したクラッド領域は、この屈折率の減少したクラッド領域が半径方向に内側クラッド領域と外側クラッド領域との間に配置されるように、内側クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接している。外側クラッド領域は、屈折率の減少したクラッド領域を取り囲み、それに直接隣接している。屈折率の減少したクラッド領域は、内側クラッド領域と外側クラッド領域よりも低い相対屈折率を有する。屈折率の減少したクラッド領域は、ここでは、トレンチまたはトレンチ領域と称されることもある。内側クラッド領域の相対屈折率は、外側クラッド領域の相対屈折率よりも小さくても、等しくても、または大きくてもよい。屈折率の減少したクラッド領域は、曲げ損失およびマイクロベンド感度の減少に寄与することがある。コア領域、内側クラッド領域、屈折率の減少したクラッド領域、および外側クラッド領域は、それぞれ、コア、クラッド、内側クラッド、屈折率の減少したクラッド、および外側クラッドとも称される。
【0045】
ここに用いられるときはいつでも、径方向位置rおよび相対屈折率ΔまたはΔ(r)はコア領域を称し、径方向位置rおよび相対屈折率ΔまたはΔ(r)は内側クラッド領域を称し、径方向位置rおよび相対屈折率ΔまたはΔ(r)は屈折率の減少したクラッド領域を称し、径方向位置rおよび相対屈折率ΔまたはΔ(r)は外側クラッド領域を称し、径方向位置rは一次被覆を称し、径方向位置rは二次被覆を称し、径方向位置rは随意的な三次被覆を称する。
【0046】
相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ1maxおよび最小値Δ1minを有する。相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ2maxおよび最小値Δ2minを有する。相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ3maxおよび最小値Δ3minを有する。相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ4maxおよび最小値Δ4minを有する。相対屈折率が、ある領域に亘り一定またはほぼ一定である実施の形態において、相対屈折率の最大値と最小値は、等しいかまたはほぼ等しい。特に明記のない限り、ある領域の相対屈折率に単一値が報告されている場合、その単一値は、その領域の平均値に相当する。
【0047】
中央コア領域は、形状が実質的に円柱状であること、および周囲の内側クラッド領域、屈折率の減少したクラッド領域、外側クラッド領域、一次被覆、および二次被覆は、形状が実質的に環状であることが理解されよう。環状領域は、内側半径と外側半径で特徴付けることができる。径方向位置r、r、r、r、r、rおよびrは、ここでは、それぞれ、コア、内側クラッド、屈折率の減少したクラッド、外側クラッド、一次被覆、二次被覆、および三次被覆の最も外側の半径を称する。半径rは、また、三次被覆を持たない実施の形態において、光ファイバの外側半径に相当する。三次被覆が存在する場合、半径rが光ファイバの外側半径に相当する。
【0048】
2つの領域が互いに直接隣接している場合、その2つの領域の内側の領域の外側半径は、その2つの領域の外側の領域の内側半径と一致する。光ファイバは、例えば、外側クラッド領域により取り囲まれ、それに直接隣接する屈折率の減少したクラッド領域を備える。半径rは、屈折率の減少したクラッド領域の外側半径および外側クラッド領域の内側半径に相当する。相対屈折率プロファイルは、内側クラッド領域を取り囲み、それに直接隣接している屈折率の減少したクラッド領域も含む。径方向位置rは、内側クラッド領域の外側半径および屈折率の減少したクラッド領域の内側半径に相当する。同様に、径方向位置rは、コア領域の外側半径および内側クラッド領域の内側半径に相当する。
【0049】
径方向位置rと径方向位置rとの間の差は、ここでは、内側クラッド領域の厚さと称される。径方向位置rと径方向位置rとの間の差は、ここでは、屈折率の減少したクラッド領域の厚さと称される。径方向位置rと径方向位置rとの間の差は、ここでは、外側クラッド領域の厚さと称される。径方向位置rと径方向位置rとの間の差は、ここでは、一次被覆の厚さと称される。径方向位置rと径方向位置rとの間の差は、ここでは、二次被覆の厚さと称される。
【0050】
下記にさらに記載されるように、コア領域、内側クラッド領域、屈折率の減少したクラッド領域、および外側クラッド領域の相対屈折率は異なることがある。これらの領域の各々は、ドープされたまたは未ドープのシリカガラスから形成されることがある。未ドープのシリカガラスに対する屈折率は、当業者に公知の技術を使用して、目標の屈折率または屈折率プロファイルを与えるように設計されたレベルで、アップドーパントまたはダウンドーパントを含ませることによって変えられる。アップドーパントは、未ドープのガラス組成物に対してガラスの屈折率を上昇させるドーパントである。ダウンドーパントは、未ドープのガラス組成物に対してガラスの屈折率を低下させるドーパントである。1つの実施の形態において、未ドープのガラスは、シリカガラスである。未ドープのガラスがシリカガラスである場合、アップドーパントとしては、Cl、Br、Ge、Al、P、Ti、Zr、Nb、およびTaが挙げられ、ダウンドーパントとしては、FおよびBが挙げられる。屈折率が一定の領域は、ドープを行わないことにより、またはその領域の厚さに亘り均一濃度でドープを行うことにより形成することができる。屈折率が変動する領域は、領域の厚さに亘りドーパントの不均一な空間分布により、および/または異なる領域に異なるドーパントを含ませることにより、形成される。ダウンドープは、シリカガラス中に空隙を含ませることによって、行うこともできる。空隙は、空気または他の気体(例えば、N、Ar、SO、CO、Kr、O)が充填された局所領域および/またはガラスファイバの全長よりも短い長さに亘り延在する真空空間に相当する。空隙は、ガラスファイバの長さに沿って無作為にすなわち非周期的に分布することが好ましい。
【0051】
ヤング率、伸長%、および引裂強度の値は、ここに記載される手順による測定条件下で決定された値を称する。
【0052】
ここで、本記載の説明に役立つ実施の形態を詳しく参照する。
【0053】
1つの実施の形態は、光ファイバに関する。この光ファイバは、被覆に取り囲まれたガラスファイバを備える。光ファイバの一例が、図1に概略断面図に示されている。光ファイバ10は、一次被覆16および二次被覆18により取り囲まれたガラスファイバ11を備える。いくつかの実施の形態において、二次被覆18は顔料を含むことがある。ガラスファイバ11、一次被覆16、および二次被覆18のさらなる説明が、下記に与えられている。それに加え、1つ以上の三次インク層が二次被覆18を取り囲むことがある。
【0054】
図2は、複数の光ファイバ20およびその複数の光ファイバを被包するマトリクス32を備えることがある、光ファイバリボン30を示す。光ファイバ20の各々は、先に記載されたような、コア領域、クラッド領域、一次被覆、および二次被覆を備える。光ファイバ20は、上述したような三次被覆も備えることがある。
【0055】
図2に示されるように、光ファイバ20は、実質的に平面で並列な関係で互いに対して並べられている。光ファイバリボン30中の光ファイバは、光ファイバリボンを製造する従来の方法によって、いくつかの公知の形態のいずれか(例えば、エッジ結合リボン、薄型被包リボン、厚型被包リボン、または多層リボン)でリボンマトリクス32により被包されている。図2の実施の形態における光ファイバリボン30は、十二(12)本の光ファイバ20を収容している。しかしながら、特定の使途のための光ファイバリボン30を形成するために、いくつの光ファイバ20(例えば、2以上)が用いられてもよいと考えられる。リボンマトリクス32は、二次被覆の引張特性と同様の引張特性を有し、二次被覆を調製するために使用されたのと同じ、類似の、または異なる組成物から形成しても差し支えない。
【0056】
図3は、ジャケット42で取り囲まれた複数の光ファイバ20を備える光ファイバケーブル40を示す。いくつかの実施の形態において、光ファイバケーブル40は海底ケーブルである。光ファイバ20は、ジャケット42の内面44で囲まれた導管中に緻密にまたは緩く充填されることがある。ジャケット42内に配置されるファイバの数は、光ファイバケーブル40の「ファイバ総数」と称される。下記にさらに述べられるように、本開示の光ファイバは、減少した直径を有し、それゆえ、数の多い「ファイバ総数」を提供する。
【0057】
ジャケット42は、押出高分子材料から形成されており、高分子または他の材料の複数の同心層を含むことがある。光ファイバケーブル40は、ジャケット42内に埋め込まれた、または内面44により画成された導管内に配置された、1つ以上の強化部材(図示せず)を含むことがある。強化部材は、ジャケット42よりも剛性であるファイバまたはロッドを含む。強化部材は、金属、網状スチール、ガラス強化プラスチック、ガラス繊維、または他の適切な材料から作られることがある。光ファイバケーブル40は、例えば、装甲層、防湿層、リップコードなどの、ジャケット42で取り囲まれた他の層を含むことがある。さらに、光ファイバケーブル40は、よられた緩い管コアまたは他の光ファイバケーブル構造を有してもよい。
【0058】
ガラスファイバ
図1に示されるように、ガラスファイバ11は、当該技術分野に公知であるように、コア領域12およびクラッド領域14を備える。コア領域12は、クラッド領域14より高い屈折率を有し、ガラスファイバ11は導波路として機能する。多くの用途において、コア領域12とクラッド領域14は、識別できるコア・クラッド境界を有する。あるいは、コア領域12とクラッド領域14は、明確な境界がないことがあり得る。
【0059】
いくつかの実施の形態において、コア領域12は、ガラスファイバの中心からの距離により変動する屈折率を有する。例えば、コア領域12は、2以上かつ100以下、または例えば、2と10の間、2と6の間、2と4の間、4と20の間、6と20の間、8と20の間、10と20の間、または10と40の間のα値を有するα-プロファイル(先の式(3)で定義されたような)を持つ相対屈折率プロファイルを有することがある。
【0060】
例示の光ファイバの概略断面図が、図4に示されている。先に述べたように、図4の光ファイバは、海底ケーブルに使用されることがある。図4において、光ファイバ46は、コア領域48、クラッド領域50、一次被覆56、および二次被覆58を備える。クラッド領域50は、内側クラッド領域51、屈折率の減少したクラッド領域53、および外側クラッド領域55を含む。三次層(例えば、インク層)が、必要に応じて、二次被覆を取り囲むか、またはそれに直接隣接する。
【0061】
先に述べたように、光ファイバ46は、減少したガラス直径および/または減少した被覆直径を有することがある。そのような減少した直径は、例えば、標準的な海底ケーブル設計に使用される場合、光ファイバ46のファイバ密度(例えば、「ファイバ総数」)を増加させることができる。光ファイバ46のより小さい直径のプロファイルで、適切な減衰およびマイクロベンド特徴を提供するために、ファイバの性質は、さらに下記に述べられるように、具体的に調整される。
【0062】
本開示の実施の形態によるガラスファイバの代表的な相対屈折率プロファイルが、図5に示されている。図5の光ファイバ60のプロファイルは、外側半径rおよび最大相対屈折率Δ1maxを持つ相対屈折率Δを有するコア領域(1)、径方向位置rから径方向位置rまで延在し、相対屈折率Δを有する内側クラッド領域(2)、径方向位置rから径方向位置rまで延在し、相対屈折率Δを有する屈折率の減少したクラッド領域(3)、および径方向位置rから径方向位置rまで延在し、相対屈折率Δを有する外側クラッド領域(4)を示す。図5のプロファイルにおいて、屈折率の減少したクラッド領域(3)は、ここではトレンチと称されることがあり、内側クラッド領域(2)および外側クラッド領域(4)の相対屈折率よりも小さい一定または平均相対屈折率Δを有する。コア領域(1)は、プロファイルにおいて最高の平均および最大相対屈折率を有する。コア領域(1)は、中心線に、またはその近くにより低い屈折率領域(当該技術分野において「中心線窪み(centerline dip)」として知られている)(図示せず)を含むことがある。コア領域(1)は、中心線に、またはその近くにより高い屈折率領域(「中心線スパイク(centerline spike)」と称される)(図示せず)を含むことがある。
【0063】
図5の相対屈折率プロファイルにおいて、ガラスファイバのコア領域(1)は、2以上かつ20以下のα値を持つα-プロファイルを有する。α-プロファイルの径方向位置r(Δ1maxに対応する)は、ファイバの中心線(r=0)に対応し、α-プロファイルの径方向位置rは、コア半径rに対応する。中心線窪みを有する実施の形態において、径方向位置rは、ファイバの中心線からわずかにずれている。いくつかの実施の形態において、相対屈折率Δは、中心線から離れる径方向に連続的に減少する。他の実施の形態において、相対屈折率Δは、中心線とrとの間のいくつかの径方向位置に亘り変動し、また、中心線とrとの間の他の径方向位置に亘り一定値またはほぼ一定値を含む。
【0064】
図5において、内側クラッド領域(2)から屈折率の減少したクラッド領域(3)への移行領域61および屈折率の減少したクラッド領域(3)から外側クラッド領域(4)への移行領域62は、ステップ型変化として示されている。ステップ型変化は理想化されたものであること、および移行領域61および/または移行領域62は、図5に示されるように、実際には、厳密に垂直ではないことがあることを理解すべきである。そうではなく、移行領域61および/または移行領域62は、勾配または曲率を有することがある。移行領域61および/または移行領域62が非垂直である場合、屈折率の減少したクラッド領域(3)の内側半径rと外側半径rは、それぞれ、移行領域61と62の中間点に相当する。これらの中間点は、屈折率の減少したクラッド領域(3)の深さ63の半分に相当する。
【0065】
図5に示された相対屈折率プロファイルにおける相対屈折率Δ、Δ、Δ、およびΔの相対的順序は、条件Δ1max>Δ>ΔおよびΔ1max>Δ>Δを満たす。ΔおよびΔの値は、等しくても、またはいずれが他方より大きくてもよいが、ΔおよびΔの両方とも、Δ1maxとΔの間である。
【0066】
相対屈折率Δ、Δ、Δ、およびΔは、コア領域、内側クラッド領域、屈折率の減少したクラッド領域、および外側クラッド領域に使用される材料に基づく。相対屈折率Δ、Δ、Δ、およびΔに関するこれらの材料の説明が、下記に与えられている。
【0067】
コア領域
コア領域はシリカガラスから作られている。コア領域のシリカガラスは、未ドープのシリカガラス、アップドープされたシリカガラス、および/またはダウンドープされたシリカガラスであることがある。アップドープされたシリカガラスに、アルカリ金属酸化物(例えば、NaO、KO、LiO、CsO、またはRbO)および/またはハロゲンがドープされたシリカガラスがある。ダウンドープされたシリカガラスに、フッ素がドープされたシリカガラスがある。いくつかの実施の形態において、コア領域のシリカガラスは、Geを含まないおよび/またはClを含まない、すなわち、コア領域は、ゲルマニウムおよび/または塩素がほとんどないシリカガラスから作られる。
【0068】
コア領域は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)および/またはフランシウム(Fr)など、少なくとも1種類のアルカリ金属がドープされたシリカガラスから作られることがある。いくつかの実施の形態において、このシリカガラスは、ナトリウム、カリウム、およびルビジウムの組合せがドープされている。このシリカガラスは、約10ppmから約500ppmの範囲、または約20ppmから約450ppmの範囲、または約50ppmから約300ppmの範囲、または約10ppmから約200ppmの範囲、または約10ppmから約150ppmの範囲のピークアルカリ濃度を有することがある。開示された範囲内でのアルカリ金属のドープにより、レイリー散乱が低下し、それによって、光ファイバの減衰がより低くなる。
【0069】
いくつかの実施の形態において、コア領域は、アルカリ金属がドープされ、ダウンドーパントとしてのフッ素がドープされたシリカガラスから作られる。図5および6は、ダウンドープされたシリカガラスの例示の実施の形態を示す。ガラスファイバ中のフッ素の濃度は、約0.1質量%から約2.5質量%の範囲、または約0.25質量%から約2.25質量%の範囲、または約0.3質量%から約2.0質量%の範囲にある。
【0070】
さらに他の実施の形態において、コア領域は、塩素などのハロゲンがドープされたシリカガラスから作られる。図6B~6Dは、塩素がドープされたシリカガラスの例示の実施の形態を示している。ガラスファイバ中の塩素の濃度は、約0.4質量%から約2.2質量%、または約0.6質量%から約2.0質量%、または約1.0質量%から約1.9質量%の範囲、または1.6質量%、または約1.8質量%である。
【0071】
コア領域の半径rは、約3.0マイクロメートルから約6.0マイクロメートルの範囲、または約3.5マイクロメートルから約5.5マイクロメートルの範囲内、または約4.0マイクロメートルから約5.0マイクロメートルの範囲、または約4.2マイクロメートルから約4.7マイクロメートルの範囲にある。いくつかの実施の形態において、コア領域は、少なくとも1.0マイクロメートル、または少なくとも2.0マイクロメートル、または少なくとも3.0マイクロメートル、または少なくとも4.0マイクロメートル、または1.0マイクロメートルから4.0マイクロメートルの範囲、または2.0マイクロメートルから3.0マイクロメートルの範囲の径方向の幅を有する一定またはほぼ一定の相対屈折率を有する部分を含む。いくつかの実施の形態において、一定またはほぼ一定の相対屈折率を有するコア領域の部分は、Δ1minの相対屈折率を有する。
【0072】
コア領域の相対屈折率ΔまたはΔ1maxは、約-0.15%から約0.30%の範囲、または約-0.10%から約0.20%の範囲、または約-0.05%から約0.15%の範囲、または約0%から約0.10%の範囲にある。コア領域の最小相対屈折率Δ1minは、約-0.20%から約-0.50%の範囲、または約-0.30%から約-0.40%の範囲、または約-0.32%から約-0.37%の範囲にある。Δ1maxとΔ1minの差は、0.05%超、または0.10%超、または0.15%超、または0.20%超、または0.05%から0.40%の範囲、または0.10%から0.35%の範囲にある。
【0073】
内側クラッド領域
内側クラッド領域は、フッ素がドープされたダウンドープされたシリカガラスおよび/または空隙を有するシリカガラスからなる。内側クラッド領域中のダウンドーパントの平均濃度は、コア領域中のダウンドーパントの平均濃度より大きい。いくつかの実施の形態において、内側クラッド領域中のフッ素の濃度は、約0.50質量%から約2.00質量%の範囲、または約0.60質量%から約1.00質量%の範囲、または約0.70質量%から約0.80質量%の範囲にある。
【0074】
内側クラッド領域の相対屈折率ΔまたはΔ2maxは、約-0.20%から約-0.50%の範囲、または約-0.25%から約-0.45%の範囲、または約-0.30%から約-0.40%の範囲、または約-0.33%から約-0.37%の範囲にある。相対屈折率Δが一定またはほぼ一定であることが好ましい。Δ1max-Δの差(またはΔ1max-Δ2maxの差)は、約0.25%超、または約0.30%超、または約0.35%超、または約0.25%から約0.45%の範囲、または約0.30%から約0.40%の範囲にある。
【0075】
内側クラッド領域の半径rは、約7.0マイクロメートルから約15.0マイクロメートルの範囲、または約7.5マイクロメートルから約13.0マイクロメートルの範囲、または約8.0マイクロメートルから約12.0マイクロメートルの範囲、または約8.5マイクロメートルから約11.5マイクロメートルの範囲、または約9.0マイクロメートルから約11.0マイクロメートルの範囲、または約9.5マイクロメートルから約10.5マイクロメートルの範囲にある。内側クラッド領域の厚さr-rは、約3.0マイクロメートルから約10.0マイクロメートルの範囲、または約4.0マイクロメートルから約9.0マイクロメートルの範囲、または約4.5マイクロメートルから約7.0マイクロメートルの範囲にある。
【0076】
屈折率の減少したクラッド領域
屈折率の減少したクラッド領域は、ダウンドープされたシリカガラスから作られる。先に述べたように、好ましいダウンドーパントはフッ素である。屈折率の減少したクラッド領域中のフッ素の濃度は、約0.30質量%から約2.50質量%の範囲、または約0.60質量%から約2.25質量%の範囲、または約0.90質量%から約2.00質量%の範囲にある。
【0077】
相対屈折率ΔまたはΔ3minは、約-0.30%から約-0.80%の範囲、または約-0.40%から約-0.70%の範囲、または約-0.50%から約-0.65%の範囲にある。相対屈折率Δが一定またはほぼ一定であることが好ましい。Δ1max-Δの差(またはΔ1max-Δ3minの差、またはΔ-Δの差、またはΔ-Δ3minの差)は、約0.50%超、または約0.55%超、または約0.6%超、または約0.50%から約0.80%の範囲、または約0.55%から約0.75%の範囲にある。Δ-Δの差(またはΔ-Δ3minの差、またはΔ2max-Δの差、またはΔ2max-Δ3minの差)は、約0.10%超、または約0.20%超、または約0.30%超、または約0.10%から約0.60%の範囲、または約0.20%から約0.60%の範囲にある。
【0078】
屈折率の減少したクラッド領域の内側半径は、rであり、先に規定した値を有する。屈折率の減少したクラッド領域の外側半径rは、約10.0マイクロメートルから約20.0マイクロメートルの範囲、または約12.0マイクロメートルから約19.5マイクロメートルの範囲、または約13.0マイクロメートルから約19.0マイクロメートルの範囲、または約13.5マイクロメートルから約18.5マイクロメートルの範囲、または約14.0マイクロメートルから約18.0マイクロメートルの範囲、または約14.5マイクロメートルから約17.5マイクロメートルの範囲にある。屈折率の減少したクラッド領域の厚さr-rは、0.5マイクロメートルから12.0マイクロメートルの範囲、または約1.0マイクロメートルから約10.0マイクロメートルの範囲、または約1.5マイクロメートルから約9.0マイクロメートルの範囲、または約2.0マイクロメートルから約8.0マイクロメートルの範囲にある。
【0079】
屈折率の減少したクラッド領域は、約30%Δ・マイクロメートル以上、または約50%Δ・マイクロメートル以上、または約70%Δ・マイクロメートル以下、または約30%Δ・マイクロメートル以上かつ約70%Δ・マイクロメートル以下、または約50%Δ・マイクロメートル以上かつ約70%Δ・マイクロメートル以下のトレンチ体積を有するオフセットトレンチ設計であることがある。開示された範囲より小さいトレンチ体積では、曲げ性能が低下し、開示された範囲より大きいトレンチ体積では、単一モードファイバとしてもはや機能しない。
【0080】
ここに開示されたオフセットトレンチ設計は、コア領域に隣接する従来のトレンチ設計を上回る利点を提供する。より詳しくは、ここに開示されたオフセットトレンチ設計は、基本モードの制限を減少させ、目標の光ファイバのモードフィールド径およびケーブルカットオフ特徴のために、大きい曲げ直径(例えば、曲げ直径>25mm)で改善された曲げ損失を与える。さらに、ここに開示されたトレンチ設計は、屈折率の減少したトレンチ領域を有し、これにより、光ファイバを通って伝搬する基本LP01モードの強度プロファイルが都合よく限定され、それにより、光ファイバのモードフィールド径が減少する。
【0081】
外側クラッド領域
外側クラッド領域は、フッ素がドープされたダウンドープされたシリカガラスおよび/または空隙を有するシリカガラスからなる。外側クラッド領域中のダウンドーパントの平均濃度は、コア領域中のダウンドーパントの平均濃度より大きい。いくつかの実施の形態において、外側クラッド領域中のフッ素の濃度は、約0.50質量%から約2.00質量%の範囲、または約0.60質量%から約1.00質量%の範囲、または約0.70質量%から約0.80質量%の範囲にある。
【0082】
外側クラッド領域の相対屈折率ΔまたはΔ4maxは、約-0.20%から約-0.50%の範囲、または約-0.25%から約-0.45%の範囲、または約-0.30%から約-0.40%の範囲、または約-0.33%から約-0.37%の範囲にある。相対屈折率Δが、一定またはほぼ一定であることが好ましい。図5に示されるように、相対屈折率Δは、相対屈折率Δと等しいことがある。
【0083】
外側クラッド領域の内側半径は、rであり、先に規定された値を有する。外側半径rは、ケーブル内のファイバの総数を多くするために、ガラスファイバの直径を最小にするように小さいことが好ましい。外側クラッド領域の外側半径rは、65マイクロメートル以下、または62.5マイクロメートル以下、または60.0マイクロメートル以下、または57.5マイクロメートル以下、または55.0マイクロメートル以下、または52.5マイクロメートル以下、または50.0マイクロメートル以下、または37.5マイクロメートルから62.5マイクロメートルの範囲、または40.0マイクロメートルから60.0マイクロメートルの範囲、または42.5マイクロメートルから57.5マイクロメートルの範囲、または45.0マイクロメートルから55.0マイクロメートルの範囲の範囲にある。このように、例えば、クラッド領域の直径(すなわち、外側半径rの2倍)は、約130マイクロメートル以下、または約125マイクロメートル以下、または約120マイクロメートル以下、または約115マイクロメートル以下、または約110マイクロメートル以下、または105マイクロメートル以下、または約100マイクロメートル以下、または約90マイクロメートル以下、または約80マイクロメートル以下、または約75マイクロメートル以下である。外側クラッド領域の厚さr-rは、10.0マイクロメートルから50.0マイクロメートルの範囲、または15.0マイクロメートルから45.0マイクロメートルの範囲、または20.0マイクロメートルから40.0マイクロメートルの範囲、または25.0マイクロメートルから35.0マイクロメートルの範囲にある。
【0084】
光ファイバの特徴
本開示の実施の形態による光ファイバは、約1530nm未満のケーブルカットオフと共に、1310nmで約9マイクロメートルから約9.5マイクロメートルの範囲および1550nmで約10マイクロメートルから約10.5マイクロメートルの範囲のモードフィールド径を有することがある。いくつかの実施の形態において、ケーブルカットオフは、約1500nm未満、または約1450nm未満、または約1400nm未満、または約1300nm未満、または約1260nm未満である。
【0085】
それに加え、本開示の実施の形態による光ファイバは、約100マイクロメートル以下、約90マイクロメートル以下、約80マイクロメートル以下、約70マイクロメートル以下、約70マイクロメートルから約90マイクロメートルの範囲、または約75マイクロメートルから約85マイクロメートルの範囲、または約80マイクロメートルの、1550nmでの有効面積を有することがある。
【0086】
ここに開示された光ファイバの減衰は、1550nmの波長で、0.175dB/km以下、または0.170dB/km以下、または0.165dB/km以下、または0.160dB/km以下、または0.155dB/km以下、または0.150dB/km以下である。
【0087】
図5に示されるように、光ファイバ60は、アルカリがドープされたコア、約-0.3%から約-0.42%のコア領域(1)の相対屈折率Δ、および約4マイクロメートルと約6.5マイクロメートルの間のコア半径(r)を有する光ファイバの例示の実施の形態を提供する。それに加え、光ファイバ60の内側クラッド領域の厚さは、約2マイクロメートルと約12マイクロメートルの間である。光ファイバ60は、54.5%Δ・マイクロメートルのトレンチ体積を有するオフセットトレンチ設計を有する。光ファイバ60のクラッドはフッ素がドープされており、屈折率の減少したクラッド領域は約17.5マイクロメートルの半径(r)を有する。光ファイバ60の光学的性質が、下記の表1に示されている。
【0088】
【表1】
【0089】
図6Aは、アルカリがドープされたコアおよび約50%Δ・マイクロメートル超のトレンチ体積を有し、クラッドにフッ素がドープされており、屈折率の減少したクラッド領域が約17.5マイクロメートルの半径(r)を有する、光ファイバ64、65の第2と第3の例示の実施の形態を示す。下記の表2に示されるように、光ファイバ64は、1310nmで9.07マイクロメートルのモードフィールド径をもたらし、光ファイバ65は、1310nmで9.39マイクロメートルのモードフィールド径をもたらす。光ファイバ64および65の光学的性質が、下記の表2に示されている。
【0090】
【表2】
【0091】
図6Bは、約1.8質量%の塩素濃度を有する、塩素がドープされたコアを持つ光ファイバ66の第4の例示の実施の形態を示す。光ファイバ66は、内側クラッド、屈折率の減少したクラッド領域、およびフッ素がドープされたシリカの外側クラッドも含む。内側クラッドは0.73質量%のフッ素濃度を有し、屈折率の減少したクラッド領域は1.5質量%のフッ素濃度を有し、外側クラッドは0.73質量%のフッ素濃度を有する。さらに、光ファイバ66は、125マイクロメートルのガラスの外径、167マイクロメートルの一次被覆の外径、および200マイクロメートルの二次被覆の外径を有する。光ファイバ66の光学的性質が、下記の表3に示されている。
【0092】
【表3】
【0093】
図6Cは、約1.8質量%の塩素濃度を有する、塩素がドープされたコアを持つ光ファイバ67の第5の例示の実施の形態を示す。光ファイバ67は、内側クラッド、屈折率の減少したクラッド領域、およびフッ素がドープされたシリカの外側クラッドも含む。内側クラッドは0.73質量%のフッ素濃度を有し、屈折率の減少したクラッド領域は1.5質量%のフッ素濃度を有し、外側クラッドは0.73質量%のフッ素濃度を有する。さらに、光ファイバ67は、125マイクロメートルのガラスの外径、167マイクロメートルの一次被覆の外径、および200マイクロメートルの二次被覆の外径を有する。光ファイバ67は、線引き過程中に、ファイバが高温炉内で徐冷されるような条件下で線引きされた。より詳しくは、線引き過程中に、光ファイバ67は、0.3秒の期間に亘り900度で作動する炉内で徐冷された。光ファイバ67の光学的性質が、下記の表4に示されている。
【0094】
【表4】
【0095】
図6Dは、約1.8質量%の塩素濃度を有する、塩素がドープされたコアを持つ光ファイバ68の第6の例示の実施の形態を示す。光ファイバ68は、内側クラッド、屈折率の減少したクラッド領域、およびフッ素がドープされたシリカの外側クラッドも含む。内側クラッドは0.73質量%のフッ素濃度を有し、屈折率の減少したクラッド領域は1.5質量%のフッ素濃度を有し、外側クラッドは0.73質量%のフッ素濃度を有する。さらに、光ファイバ68は、100マイクロメートルのガラスの外径、125マイクロメートルの一次被覆の外径、および160マイクロメートルの二次被覆の外径を有する。光ファイバ68の光学的性質が、下記の表5に示されている。
【0096】
【表5】
【0097】
図6Eは、約1.8質量%の塩素濃度を有する、塩素がドープされたコアを持つ光ファイバ69の第7の例示の実施の形態を示す。光ファイバ69は、内側クラッド、屈折率の減少したクラッド領域、およびフッ素がドープされたシリカの外側クラッドも含む。内側クラッドは0.73質量%のフッ素濃度を有し、屈折率の減少したクラッド領域は1.4質量%のフッ素濃度を有し、外側クラッドは0.73質量%のフッ素濃度を有する。さらに、光ファイバ69は、100マイクロメートルのガラスの外径、131マイクロメートルの一次被覆の外径、および172マイクロメートルの二次被覆の外径を有する。光ファイバ69の光学的性質が、下記の表6に示されている。
【0098】
【表6】
【0099】
光ファイバ60および64~69のオフセットトレンチ設計が、ここに開示されたより小さい直径のファイバに改善されたマイクロベンド感度を与える。より詳しくは、ここに開示されたオフセットトレンチ設計は、ケーブルカットオフおよびモードフィールド径を犠牲にせずに、最適化されたマイクロベンドを与える。
【0100】
一次被覆と二次被覆
光ファイバを通る光の透過率は、ガラスファイバに施される被覆の性質に大きく依存する。先に述べたように(図4を参照して)、その被覆は、典型的に、一次被覆56および二次被覆58を含み、ここで、二次被覆は一次被覆を取り囲み、一次被覆はガラスファイバ(クラッド領域により取り囲まれた中央コア領域を含む)に接触する。随意的な三次層(例えば、インク層)が、二次被覆を取り囲み、直接接触している。
【0101】
二次被覆58は、一次被覆56よりも硬い材料(より高いヤング率)であることがあり、光ファイバの加工、取扱い、および敷設中に生じる摩耗または外力により生じる損傷からガラスファイバを保護するように設計される。一次被覆56は、二次被覆58より柔らかい材料(より低いヤング率)であることがあり、二次被覆の外面に印加される力から生じる応力を緩衝するまたは消散させるように設計される。一次被覆内の応力の消散は、応力を減衰させ、ガラスファイバに到達する応力を最小にする。一次被覆は、ケーブル内に敷設されるときに光ファイバが遭遇するマイクロベンドのために生じる応力を消散させる上で特に重要である。ガラスファイバに伝達されるマイクロベンド応力は、ガラスファイバの屈折率プロファイルに局所摂動を作り出すので、マイクロベンド応力を最小にする必要がある。局所的な屈折率摂動は、ガラスファイバを通じて伝送される光の強度損失をもたらす。応力を消散させることによって、一次被覆はマイクロベンドにより生じる強度損失を最小にする。
【0102】
被覆の例-調製および測定技術
ここに開示されるように、一次被覆と二次被覆の性質を、下記に記載された測定技術を使用して決定した。
【0103】
引張特性。硬化性二次被覆組成物を硬化させ、ヤング率、破断点引張強度、降伏強度、および破断点伸びの測定のための硬化ロッド試料の形態で構成した。この硬化ロッドは、硬化性二次被覆組成物を内径約0.025インチ(約6.35mm)のテフロン(登録商標)管中に射出することによって、調製した。このロッド試料は、約2.4J/cmの線量(International LightからのLight BugモデルIL390によって、225~424nmの波長範囲に亘り測定した)でFusion D電球を使用して硬化させた。硬化後、「テフロン」管を剥ぎ取って、二次被覆組成物の硬化ロッド試料を提供した。硬化ロッドは、試験前に、23℃および50%の相対湿度で18~24時間に亘り状態調節させた。ヤング率、破断点引張強度、降伏強度、および破断点伸びは、51mmのゲージ長、250mm/分の試験速度で、欠陥のないロッド試料について、Sintech MTS Tensile Testerを使用して測定した。引張特性は、ASTM基準D882-97にしたがって測定した。特性は、少なくとも5つの試料の平均として決定し、欠陥がある試料は平均から排除した。
【0104】
その場ガラス転移温度。被覆ファイバから得たファイバから外された管試料に、一次被覆と二次被覆のその場Tg測定を行った。被覆ファイバは、125マイクロメートルの直径を有するガラスファイバ、そのガラスファイバを取り囲み、直接接触している厚さ32.5マイクロメートルの一次被覆、および一次被覆を取り囲み、直接接触している厚さ26.0マイクロメートルの二次被覆を備えていた。ガラスファイバと一次被覆は、測定した全ての試料について同じであった。一次被覆は、下記に記載された基準の一次被覆組成物から形成した。比較の二次被覆および本開示による二次被覆を有する試料を測定した。
【0105】
以下の手順を使用して、ファイバから外された管試料を得た:被覆ファイバの端部から約1インチ(約2.54cm)のところを、0.0055インチ(約0.14mm)のMillerストリッパで締め付けた。ファイバのこの1インチ領域を液体窒素流に入れ、3秒間に亘り液体窒素中に保持した。次に、被覆ファイバを液体窒素流から取り出し、迅速に剥ぎ取って、被覆を除去した。ファイバの剥ぎ取られた端部を、残留被覆について検査した。ガラスファイバ上に残留被覆が残っている場合、その試料を廃棄し、新たな試料を調製した。剥ぎ取り過程の結果、清浄なガラスファイバ、および無傷の一次被覆と二次被覆を含む剥ぎ取られた被覆の中空管が得られた。この中空管は、「外された管試料」と称される。剥ぎ取られていないファイバの端面から、ガラスおよび一次被覆と二次被覆の直径を測定した。
【0106】
9から10mmの試料ゲージ長で、Rheometrics DMTA IV試験装置を使用して、外された管試料のその場Tg測定を行った。この外された管試料の幅、厚さ、および長さを試験装置の運転プログラムに入力した。外された管試料を取り付け、次いで、約-85℃に冷却した。一旦安定したら、以下のパラメータを使用して、昇温を行った:
周波数:1Hz
歪み:0.3%
加熱速度:2℃/分
最終温度:150℃
初期静的力=20.0g
10.0%だけ静的力>動的力。
【0107】
コーティングのその場Tgは、温度の関数としてのtan δのプロットにおけるtan δの最大値と定義され、ここで、tan δは:
tan δ=E”/E’
と定義され、E”は、変形のサイクル中の熱としてのエネルギーの損失に比例する、損失弾性率であり、E’は、変形のサイクル中に貯蔵されるエネルギーに比例する、貯蔵弾性率である。
【0108】
外された管試料は、一次被覆と二次被覆に関するtan δプロットにおいて別個の最大値を示した。より低い温度(約-50℃)での最大値は、一次被覆のその場Tgに相当し、より高い温度(50℃超)での最大値は、二次被覆のその場Tgに相当した。
【0109】
一次被覆のその場弾性率。以下の手順を使用して、その場弾性率を測定した。ファイバの6インチ(約15cm)の試料を得て、そのファイバの中心から1インチ(約2.5cm)の部分を、窓状に剥ぎ取り、イソプロピルアルコールで拭いた。この窓状に剥ぎ取られたファイバを、ファイバを取り付けるために使用される10mm×5mmの長方形のアルミニウムタブを備えた試料ホルダ/アライメントステージに搭載した。2つのタブを水平に向け、短い方の5mmの辺が互いに向かい合い、5mmの間隙だけ隔てられるように位置付けた。窓状に剥ぎ取られたファイバを、タブを横切り、タブを隔てる間隙に亘り、試料ホルダ上に水平に置いた。ファイバの窓状に剥ぎ取られた領域の一方の側の被覆端部を、一方のタブの上に位置付け、タブの間の5mmの間隙中の中間まで延在させた。この1インチ(約2.5cm)の窓状に剥ぎ取られた領域は、間隙の残り半分に亘り、反対のタブを横切って延在した。アライメント後、試料を取り外し、5mmの間隙に最も近い各タブの半分に接着剤の小さな点を施した。次に、ファイバを元の位置に戻し、接着剤がファイバに丁度触れるまで、アライメントステージを上昇させた。次に、タブの間の5mmの間隙の大半がファイバの窓状に剥ぎ取られた領域に占められるまで、被覆端部を、接着剤を通じて、間隙から引き離した。反対のタブ上に残っている窓状に剥ぎ取られた領域の部分は、接着剤と接触していた。被覆端部のまさに先端は、タブを越えて、タブの間の間隙中に延在したままであった。被覆端部のこの部分は、接着剤に埋め込まれず、その場弾性率測定の対象物であった。接着剤を、この配置にあるファイバ試料と共に乾燥させて、ファイバをタブに取り付けた。乾燥後、タブの各々に固定されたファイバの長さを5mmに切り取った。接着剤中に埋め込まれた被覆長さ、埋め込まれていない被覆長さ(タブの間の間隙中に延在する部分)、および一次被覆の直径を測定した。
【0110】
その場弾性率の測定は、室温(21℃)で45分間の時間に亘り9×10-61/sの一定歪みで、Rheometrics DMTA IV動的機械試験装置で行った。ゲージ長は15mmであった。力と長さの変化を記録し、一次被覆のその場弾性率を計算するために使用した。このタブに取り付けられたファイバ試料は、クランプとファイバの接触がなく、試料がクランプに直接固定されることを確実にするために、試験装置の15mmの締め付け長さと干渉するであろうどのようなエポキシもタブから除去することによって、調製した。機器の力をゼロ設定した。次に、ファイバの被覆されていない端部が取り付けられたタブを試験装置の下側クランプ(測定プローブ)に搭載し、ファイバの被覆端部が取り付けられたタブを試験装置の上側(固定)クランプに搭載した。次に、試験を行い、分析が一旦完了したら、試料を取り外した。
【0111】
二次被覆のその場弾性率。二次被覆について、そのファイバ試料から調製されたファイバの管を外した試料を使用して、その場弾性率を測定した。ファイバ試料の端部から約1インチ(約2.54cm)のところを、0.0055インチ(約0.14mm)のMillerストリッパで締め付けた。ファイバ試料の1インチ領域を液体窒素流に入れ、3秒間に亘り保持した。次に、ファイバ試料を取り出し、迅速に剥ぎ取った。ファイバ試料の剥ぎ取られた端部を検査した。ファイバ試料のガラス部分上に被覆が残っている場合、その外された管試料は欠陥があると考え、新たな外された管試料を調製した。適切な外された管試料は、ガラスからきれいに剥ぎ取られ、一次被覆と二次被覆を有する中空管からなるものである。剥ぎ取られていないファイバの端面から、ガラスおよび一次被覆と二次被覆の直径を測定した。
【0112】
二次被覆のその場弾性率を得るために、11mmの試料ゲージ長で、Rheometrics DMTA IV装置を使用して、ファイバの外された管試料のその場弾性率の測定を行った。幅、厚さ、および長さを決定し、装置のオペレーティング・ソフトウェアに入力として提供した。試料を取り付け、以下のパラメータを使用して、周囲温度(21℃)で時間スイーププログラムを使用して測定した:
周波数:1Rad/秒
歪み:0.3%
合計時間:120秒
測定時間:1秒
初期静的力=15.0g
10.0%だけ静的力>動的力
一旦完了したら、最後の5つのE’(貯蔵弾性率)データ点の平均値を求めた。合計で15のデータ点のために、各試料を3回(各測定で新たな試料)測定した。3回の測定の平均値を報告した。
【0113】
二次被覆の穿刺抵抗。ガラスファイバ、一次被覆、および二次被覆を備えた試料に、穿刺抵抗測定を行った。ガラスファイバの直径は、125マイクロメートルであった。一次被覆を、下記の表7に列挙された基準一次被覆組成物から形成した。様々な二次被覆を有する試料を、下記に記載されたように調製した。一次被覆および二次被覆の厚さを、下記に記載されたように二次被覆の断面積を変えるために調節した。全ての試料について、一次被覆の厚さに対する二次被覆の厚さの比を約0.8に維持した。
【0114】
穿刺抵抗は、the Proceedings of the 52nd International Wire & Cable Symposiumにおいて発行されたG. Scott GlaesemannおよびDonald A. Clarkによる「Quantifying the Puncture Resistance of Optical Fiber Coatings」と題する論文(237~245頁(2003年))に記載された技術を使用して測定した。その方法の纏めが、ここに与えられている。この方法は圧痕法である。4センチメートルの長さの光ファイバを3mm厚のガラススライド上に置いた。この光ファイバの一端を、管理された方式で光ファイバの回転を可能にする装置に取り付けた。この光ファイバを100倍の倍率で伝送について調査し、二次被覆の厚さがガラススライドに平行な方向においてガラスファイバの両側で等しくなるまで回転させた。この位置において、二次被覆の厚さは、ガラススライドに平行な方向においてガラスファイバの両側で等しかった。ガラススライドに垂直な方向であって、ガラスファイバの上または下の二次被覆の厚さは、ガラススライドに平行な方向における二次被覆の厚さと異なった。ガラススライドに垂直な方向における厚さの一方は、ガラススライドに平行な方向における厚さより大きく、ガラススライドに垂直な方向における厚さの他方は、ガラススライドに平行な方向における厚さより小さい。光ファイバのこの位置は、光ファイバの両端をガラススライドにテープで貼ることによって、固定した。この位置は、圧痕試験に使用した光ファイバの位置である。
【0115】
押し込みは、万能試験機(Instronモデル5500Rまたは同等物)を使用して行った。この試験機のクロスヘッドの真下に倒立顕微鏡を置いた。顕微鏡の対物レンズを、試験機内に取り付けた75°のダイヤモンド製楔圧子のすぐ真下に位置付けた。ファイバをテープで留めたガラススライドを、顕微鏡試料台上に置き、圧子の楔の幅がファイバの方向に直角になるように、圧子のすぐ真下に位置付けた。光ファイバを適所に置いて、ダイヤモンド製楔を、二次被覆の表面と接触するまで降下させた。次に、ダイヤモンド製楔を、0.1mm/分の速度で二次被覆中に押し込み、二次被覆上の荷重を測定した。穿孔が生じるまで、ダイヤモンド製楔を二次被覆中により深く押し込むときの二次被覆上の荷重を増加させた。その穿孔時に、荷重の急峻な低下が観察された。穿刺が観察された押し込み荷重を記録した。その荷重は、グラム重(g)でここに報告されており、ここでは、「穿刺荷重」と称される。10個の測定点を得るために、同じ向きの光ファイバについて、実験を繰り返した。これらの測定点を平均して、その向きの穿刺荷重を決定した。光ファイバの向きを180°だけ回転させることによって、第2群の10の測定地点を決定した。
【0116】
マイクロベンド損失。規格IEC 60793-1-47に規定されたマンドレル巻き付け試験を使用して、マイクロベンド損失を決定した。マンドレル巻き付け試験において、規定の直径を有する円柱形マンドレルの周りにファイバを1回以上巻き付け、曲げによる規定波長での減衰の増加を決定する。マンドレル巻き付け試験における減衰は、dB/巻き(turn)の単位で表され、ここで、一巻きはマンドレルの周りのファイバの一回りを称する。15mmおよび30mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレル巻き付け試験により、下記に記載された選択された例について、850nmおよび1625nmの波長でのマイクロベンド損失を決定した。
【0117】
一次被覆と二次被覆の例示の実施の形態
ここに開示された直径がより小さいファイバの十分な堅牢性およびマイクロベンド特徴を提供するために、一次被覆56および二次被覆58の特定の性質を調整することができる。例えば、一次被覆56は、低いヤング率および/または低いその場弾性率を有することがある。一次被覆のヤング率は、約0.7MPa以下、または約0.6MPa以下、または約0.5MPa以下、または約0.4MPa以下、または約0.1MPaから約0.7MPaの範囲、または約0.3MPaから約0.6MPaの範囲にある。一次被覆のその場弾性率は、約0.50MPa以下、または約0.30MPa以下、または約0.25MPa以下、または約0.20MPa以下、または約0.15MPa以下、または約0.10MPa以下、または約0.05MPaから約0.25MPaの範囲、または約0.10MPaから約0.20MPaの範囲にある。
【0118】
一次被覆56が、コア領域48から離れた誤った光信号を取り去れるように、ガラスファイバのクラッド領域50より高い屈折率を有することが好ましい。一次被覆56は、熱劣化および加水分解劣化中にガラスファイバへの適切な付着を維持するが、それでも、スプライシング目的のために、ガラスファイバから剥ぎ取れるべきである。
【0119】
光ファイバの直径をより小さくするために、二次被覆58は、従来のケーブルと比べて厚さがより小さいことがある。しかしながら、二次被覆58は、それでも、光ファイバに必要とされる所要の堅牢性および穿刺抵抗を維持しなければならない。二次被覆の厚さが減少するにつれて、その保護機能は低下する。穿刺抵抗は、二次被覆の保護機能の尺度である。穿刺抵抗がより高い二次被覆は、破損せずにより大きい衝撃に耐え、ガラスファイバによりよい保護を与える。
【0120】
所要の堅牢性および穿刺抵抗を提供するために、二次被覆58は、約1500MPa超、または約1600MPa超、または約1800MPa超、または約2200MPa超、または約2500MPa超、または約2600MPa超、または約2700MPa超、または約1600MPaから約3000MPaの範囲、または約1800MPaから約2800MPaの範囲、または約2000MPaから約2800MPaの範囲、または約2400MPaから約2800MPaの範囲のその場弾性率を有することがある。
【0121】
一次被覆と二次被覆は、典型的に、ガラスファイバに粘性液体として硬化性被覆組成物を施し、硬化させることによって、形成される。光ファイバは、二次被覆を取り囲む三次被覆も備えることがある。三次被覆は、識別目的のために光ファイバに印をつけるために、顔料、インク、または他の着色剤を含むことがあり、典型的に、二次被覆のヤング率と類似のヤング率を有する。
【0122】
二次被覆58は、三官能性単量体からなることがある。二次被覆58のガラス転移温度(Tg)は、約50℃超、または約60℃超、または約70℃超、または約80℃超、または約90℃超、または約100℃超であることがある。
【0123】
光ファイバ46が、約5g以上、または約10g以上、または約15g以上、または約20g以上、または約25g以上、または約30g以上、または約35g以上、または約40g以上、または約45g以上、または約50g以上、または約55g以上、または約60g以上の穿刺抵抗を有するように、適切な一次被覆56および/または二次被覆58が使用されることがある。
【0124】
直径の減少した例示の実施の形態
先に述べたように、ここに開示された実施の形態の光ファイバは、直径の減少した、ガラスの直径および/または被覆の直径を有することがある。いくつかの実施の形態において、クラッド領域50は、約125マイクロメートル以下の外径を有することがあり、二次被覆58は、約210マイクロメートル以下の外径を有することがある。クラッド領域50は、約110マイクロメートル以下、または約100マイクロメートル以下、または約90マイクロメートル以下、または約80マイクロメートル以下の外径を有することがある。さらに、二次被覆58は、約210マイクロメートル以下、または約200マイクロメートル以下、または約180マイクロメートル以下、または約170マイクロメートル以下、または約160マイクロメートル以下の外径を有することがある。クラッド領域50の外径は光ファイバ46のガラスの直径であり、二次被覆58の外径は、光ファイバ46全体の外径であることがある(外側の三次インク層が施されていない場合)ことに留意されたい。
【0125】
いくつかの例において、クラッド領域50は約125マイクロメートルの外径を有し、二次被覆58は約200マイクロメートル以下の外径を有する、またはクラッド領域50は約125マイクロメートルの外径を有し、二次被覆58は約180マイクロメートル以下の外径を有する、またはクラッド領域50は約125マイクロメートルの外径を有し、二次被覆58は約170マイクロメートル以下の外径を有する、またはクラッド領域50は約125マイクロメートルの外径を有し、二次被覆58は約155マイクロメートルと約175マイクロメートルの間の外径を有する、またはクラッド領域50は約125マイクロメートルの外径を有し、二次被覆58は約160マイクロメートルと約170マイクロメートルの間の外径を有する。さらに他の例示の実施の形態において、クラッド領域50は約110マイクロメートル以下の外径を有し、二次被覆58は約200マイクロメートル以下の外径を有する、またはクラッド領域50は約90マイクロメートル以下の外径を有し、二次被覆58は約180マイクロメートル以下の外径を有する、またはクラッド領域50は約90マイクロメートルの外径を有し、二次被覆58は約155マイクロメートルと約175マイクロメートルの間の外径を有する、またはクラッド領域50は約90マイクロメートルの外径を有し、二次被覆58は約160マイクロメートルと約170マイクロメートルの間の外径を有する。
【0126】
先に述べたように、本開示の直径の減少した光ファイバプロファイル設計は、例えば、海底ケーブル中のより多いファイバ総数など、特定の利点を提供する。しかしながら、光ファイバのクラッドの直径が減少すると、クラッドの低下したプロファイルのために、クラッドを通じていくらか光が漏れることがある。それゆえ、本開示のオフセットトレンチ設計は、直径の減少したクラッドを通る光の漏れにより生じる「トンネリング(tunneling)」または「放射」損失を都合よく減少させるために、約30%Δ・マイクロメートル以上のトレンチ体積を有する。
【0127】
図7は、1310nmで9.2マイクロメートルのモードフィールド径および1430nmのケーブルカットオフを有する2つの光ファイバに関する、クラッドの直径の関数としての放射損失を示す。本開示の実施の形態による例示の光ファイバ72は、約58%Δ・マイクロメートルのトレンチ体積を有し、一方で、比較の光ファイバ74は、たった約8%Δ・マイクロメートルのトレンチ体積を有する。図7に示されるように、例示の光ファイバ72は、同じクラッドの直径範囲に亘り、比較の光ファイバ74と比べて、より低い放射損失を有する。ここに開示されたより大きいトレンチ体積は、減少した放射損失を都合よく提供し、それゆえ、より効率的な光ファイバを与える。それに加え、約30%Δ・マイクロメートル以上のトレンチ体積を有するオフセットトレンチ設計は、クラッドの直径の減少した光ファイバにおけるマイクロベンド損失を減少させるのにも役立つ。典型的に、クラッドの直径の減少した光ファイバは、増加したマイクロベンド感度を示す。しかし、ここに開示されたように、約30%Δ・マイクロメートル以上のトレンチ体積を有するオフセットトレンチ設計は、光ファイバに減少したマイクロベンド損失を与える。
【0128】
一次被覆と二次被覆は、従来の光ファイバの被覆形態と比べて減少した直径も有することがある。一次被覆の半径rは、約85.0マイクロメートル以下、または約80.0マイクロメートル以下、または約75.0マイクロメートル以下、または約70.0マイクロメートル以下である。光ファイバの直径の減少を促進するために、一次被覆の厚さr-rを最小にすることが好ましい。一次被覆の厚さr-rは、約25.0マイクロメートル以下、または約20.0マイクロメートル以下、または約15.0マイクロメートル以下、または約10.0マイクロメートル以下、または約5.0マイクロメートルから25.0マイクロメートルの範囲、または約8.0マイクロメートルから20.0マイクロメートルの範囲、または約10.0マイクロメートルから17.0マイクロメートルの範囲である。
【0129】
二次被覆の半径rは、約95.0マイクロメートル以下、または約90.0マイクロメートル以下、または約85.0マイクロメートル以下、または約80.0マイクロメートル以下である。二次被覆の厚さr-rを最小にすることも好ましい。二次被覆の厚さr-rは、約25.0マイクロメートル以下、または約20.0マイクロメートル以下、または約15.0マイクロメートル以下、または約10.0マイクロメートル以下、または約5.0マイクロメートルから25.0マイクロメートルの範囲、または約8.0マイクロメートルから20.0マイクロメートルの範囲、または約10.0マイクロメートルから18.0マイクロメートルの範囲、または約12.0マイクロメートルから16.0マイクロメートルの範囲である。
【0130】
一次被覆の厚さに対する二次被覆の厚さの比は、約0.50から約1.40、または約0.60から約1.3、または約0.65から約1.2、または約0.70から約1.10、または約0.75から約1.00、または約0.80であることがある。
【0131】
それゆえ、本開示の実施の形態による光ファイバは、従来の光ファイバと比べて、減少した被覆の直径、または減少したガラスの直径、または減少した被覆の直径とガラスの直径の両方を有する。これは、例えば、海底ケーブル内の「ファイバ総数」を増加させるのに役立つ。
【0132】
下記の表7は、5つの二次被覆試料に関する平均被覆厚を示す。例1および2は、例3、4および5と比べて、8.0マイクロメートルから20.0マイクロメートルの範囲の平均二次被覆厚により、この範囲より小さい平均厚さよりも高い引張強度を生じたことを示す。例1および2が示す、より高い引張強度により、海底ケーブルに使用されるものなどの光ファイバにより薄い二次被覆を使用することができる。
【0133】
【表7】
【0134】
例示の一次被覆と二次被覆
例示の一次被覆と二次被覆を、被覆の強度および穿刺抵抗の測定と共に、下記に述べる。
【0135】
一次被覆-組成物。一次被覆組成物は、下記の表8に与えられた配合を含み、市販の一次被覆組成物の典型である。
【0136】
【表8】
【0137】
ここで、オリゴマー材料を、モル比n:m:p=3.5:3.0:2.0を使用して、H12MDI、HEA、およびPPG4000からここに記載したように調製し、SR504は、エトキシル化(4)ノニルフェノールアクリレート(Sartomerから入手できる)であり、NVCは、N-ビニルカプロラクタム(Aldrichから入手できる)であり、TPO(光開始剤)は、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ジフェニルホスフィンオキシド(BASFから入手できる)であり、Irganox 1035(酸化防止剤)は、ベンゼンプロパン酸、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシチオジ-2,1-エタンジイルエステル(BASFから入手できる)であり、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシランは、接着促進剤(Gelestから入手できる)であり、ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(テトラチオールとしても知られている、Aldrichから入手できる)は、連鎖移動剤である。「pph」という濃度単位は、全ての単量体、オリゴマー、および光開始剤を含む基礎組成に対する量を称する。例えば、Irganox 1035についての1.0pphの濃度は、オリゴマー材料、SR504、NVC、およびTPOの合計100g当たりの1gのIrganox 1035に相当する。
【0138】
500mLのフラスコ内において、室温で、H12MDI(4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート))、ジラウリン酸ジブチルスズ、および2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールを混合することによって、オリゴマーを調製した。この500mLのフラスコは、温度計、CaCl乾燥管、およびスターラーを備えていた。フラスコの内容物を連続的に撹拌しながら、添加漏斗を使用して、30~40分の期間に亘り、PPG4000を加えた。PPG4000を加えるときに、反応混合物の内部温度をモニタし、過剰な加熱(反応の発熱性により生じる)を防ぐために、PPG4000の導入を制御した。PPG4000を加えた後、反応混合物を約1時間から1時間半に亘り約70℃から75℃で、油浴内で加熱した。様々な間隔で、反応混合物の試料を、赤外分光法(FTIR)による分析のために回収して、未反応のイソシアネート基の濃度を決定することによって、反応の進行をモニタした。未反応のイソシアネート基の濃度は、2265cm-1近くの特徴的なイソシアネート伸縮モードの強度に基づいて評価した。フラスコを油浴から取り出し、その内容物を65℃より低く冷ませた。補足的にHEAを添加して、イソシアネート基の完全なクエンチを確実にした。補足的なHEAは、添加漏斗を使用して、2~5分に亘り滴下した。補足的なHEAを添加した後、フラスコを油浴に戻し、その内容物を約1時間から1時間半に亘り約70℃から75℃に再び加熱した。反応混合物にFTIR分析を行って、イソシアネート基の存在を評価し、どのような未反応のイソシアネート基も完全に反応させるために、十分な補足的なHEAが添加されるまで、この過程を繰り返した。FTIR測定において、感知できるイソシアネート伸縮強度が検出されなくなったときに、反応は完了したと考えた。
【0139】
二次被覆-組成物。4つの硬化性二次被覆組成物(A、SB、SC、およびSD)が、表9に列挙されている。
【0140】
【表9】
【0141】
PE210は、ビスフェノール-Aエポキシジアクリレート(韓国、Miwon Specialty Chemicalから入手できる)であり、M240は、エトキシル化(4)ビスフェノール-Aジアクリレート(韓国、Miwon Specialty Chemicalから入手できる)であり、M2300は、エトキシル化(30)ビスフェノール-Aジアクリレート(韓国、Miwon Specialty Chemicalから入手できる)であり、M3130は、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(韓国、Miwon Specialty Chemicalから入手できる)であり、TPO(光開始剤)は、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(BASFから入手できる)であり、Irgacure 184(光開始剤)は、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン(BASFから入手できる)であり、Irganox 1035(酸化防止剤)は、ベンゼンプロパン酸、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシチオジ-2,1-エタンジイルエステル(BASFから入手できる)である。DC190(スリップ剤)は、シリコーン-エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体(Dow Chemicalから入手できる)である。「pph」という濃度単位は、全ての単量体および光開始剤を含む基礎組成に対する量を称する。例えば、二次被覆組成物Aについて、DC-190に関する1.0pphの濃度は、PE210、M240、M2300、TPO、およびIrgacure 184の合計100g当たりの1gのDC-190に相当する。
【0142】
二次被覆-引張強度。二次被覆組成物A、SB、SC、およびSDから製造された二次被覆のヤング率、降伏点引張強度、降伏強度、および降伏点伸びを、先に記載された技術を使用して測定した。その結果が、表10に纏められている。
【0143】
【表10】
【0144】
これらの結果は、組成物SB、SC、およびSDから調製された二次被覆が、比較の組成物Aから調製された二次被覆よりも、高いヤング率および高い降伏強度を示したことを示す。それに加え、組成物SB、SC、およびSDから調製された二次被覆が、組成物Aから調製された二次被覆よりも、高い破壊靱性を示した。組成物SB、SC、およびSDが示したより高い値により、性能を犠牲にせずに、光ファイバ上により薄い二次被覆を使用することができる。先に述べたように、二次被覆をより薄くすると、光ファイバの全体の直径が減少し、所定の断面積のケーブル(海底ケーブルなど)におけるファイバの総数がより多くなる。
【0145】
例示の光ファイバの実施の形態
ここに開示された実験例および原理は、光ファイバの被覆特性を調整することによって、直径の減少した光ファイバにおいて、十分なマイクロベンド特性および穿刺抵抗特性を達成できることを示す。より詳しくは、二次被覆の弾性率がより高いと、直径の減少した光ファイバプロファイルにとって十分な穿刺抵抗が与えられる。一次被覆に対する二次被覆の上述した厚さ比により、穿刺抵抗を犠牲にせずに、直径の減少した光ファイバが与えられる。さらに、ここに開示された実験例および原理は、アルカリがドープされたコアを提供することによって、直径の減少した光ファイバにおいて、十分な減衰を達成できることを示す。
【0146】
ガラスファイバへの半径方向力の伝達に対する一次被覆と二次被覆の厚さと弾性率の影響を調べるために、一連のモデル化例を検討した。モデルにおいて、半径方向外部荷重Pを光ファイバの二次被覆の表面に印加し、ガラスファイバの表面に結果として生じた荷重を計算した。73.1GPaのヤング率(シリカガラスと一致する)および125μmの直径を有するガラスファイバをモデル化した。一次被覆と二次被覆のポアソン比νおよびνは、それぞれ、0.48および0.33で固定した。比較試料C1および本開示による6つの試料M1~M6を検討した。比較試料は、当該技術分野で公知の光ファイバと一致する厚さおよび弾性率を有する一次被覆と二次被覆を備えた。試料M1~M6は、本開示の実施の形態による、一次被覆および/または二次被覆の厚さが減少した例である。一次被覆と二次被覆の構成を記載するパラメータが、表11に纏められている。
【0147】
【表11】
【0148】
下記の表12には、二次被覆の表面に印加された荷重Pの関数としてのガラスファイバの外面での荷重P1が纏められている。比P1/Pは、ここでは、荷重伝達パラメータと称され、一次被覆と二次被覆を通じてガラスファイバの表面に伝達される外部荷重Pの割合に相当する。荷重Pは半径方向荷重であり、荷重伝達パラメータP1/Pは、式(9)~(11)に基づくモデルから計算した:
【0149】
【数8】
【0150】
式中、
【0151】
【数9】
【0152】
および
【0153】
【数10】
【0154】
式(9)~(11)において、νpおよびνsは、一次被覆と二次被覆のポアソン比であり、rはガラスファイバの外側半径であり、rは一次被覆の外側半径であり、rは二次被覆の外側半径であり、Eは一次被覆のその場弾性率であり、Eは二次被覆のヤング率である。表11におけるスケーリング済み荷重伝達パラメータP1/P(スケーリング済み)は、比較試料C1に対する各試料の比P1/Pに相当する。
【0155】
【表12】
【0156】
モデル化例は、より小さい被覆厚にもかかわらず、ここに記載されたような一次被覆と二次被覆を有する光ファイバは、従来の厚さを持つ従来の一次被覆と二次被覆を有する比較用光ファイバに対して、ガラスファイバが経験する力の減少を示すことを示す。ここに記載された光ファイバの全体サイズを結果として減少させると、外力により生じるガラスファイバへの損傷のリスクを増加させずに、所定のサイズのケーブル中のファイバ総数を増加させる(または所定のファイバ総数に関するケーブルの直径を小さくする)ことができる。
【0157】
二次被覆のスケーリング済み荷重伝達パラメータP1/P(スケーリング済み)は、約0.99未満、または約0.97未満、または約0.95未満である。二次被覆の荷重伝達パラメータP1/Pは、約0.005未満、または約0.0045未満、または約0.00445未満、または約0.00444未満、または約0.0043未満、または約0.0042未満、または約0.0041未満、または約0.005から約0.0041の範囲、または約0.0045から約0.0042の範囲、または約0.00445から約0.00420の範囲、または約0.00440から約0.004200の範囲にある。
【0158】
下記の表13には、本開示の実施の形態による追加のモデル化例が与えられている。試料M7~M18は、厚さの減少した一次被覆と二次被覆を有する例である。一次被覆と二次被覆の構成を記載するパラメータは、表12に纏められている。
【0159】
【表13】
【0160】
ファイバ線引き過程
ここに開示された光ファイバは、連続光ファイバ製造過程から形成することができ、その最中に、ガラスファイバは、加熱されたプリフォームから線引きされ、目標直径のサイズにされる。ガラスファイバは、次に、冷却され、ガラスファイバに液体の一次被覆組成物を施す被覆システムに向けられる。液体の一次被覆組成物がガラスファイバに施された後に、2つのプロセス選択肢がある。第1のプロセス選択肢(ウェット・オン・ドライプロセス)では、液体の一次被覆組成物を硬化させて、固化した一次被覆を形成し、この硬化した一次被覆に液体の二次被覆組成物を施し、この液体の二次被覆組成物を硬化させて、固化した二次被覆を形成する。第2のプロセス選択肢(ウェット・オン・ウェットプロセス)では、液体の二次被覆組成物を液体の一次被覆組成物に施し、両方の液体被覆組成物を同時に硬化させて、固化した一次被覆と二次被覆を提供する。ファイバが被覆システムから出た後、ファイバを収集し、室温で貯蔵する。ファイバの収集は、典型的に、スプールにファイバを巻き付け、そのスプールを貯蔵することを必然的に伴う。
【0161】
いつくかの過程において、被覆システムは、二次被覆に三次被覆組成物を施し、この三次被覆組成物を硬化させて、固化した三次被覆を形成する。典型的に、三次被覆は、識別目的のためにファイバに印をつけるのに使用されインク層であり、顔料を含み、その他の点では二次被覆と似ている組成を有する。三次被覆は、二次被覆に施され、硬化される。二次被覆は、典型的に、三次被覆の施用時に硬化されている。一次、二次、および三次被覆組成物は、一般的な連続製造過程で施し、硬化させることができる。あるいは、一次および二次被覆組成物を、一般的な連続製造過程で施し、硬化させ、被覆ファイバを収集し、三次被覆組成物を別のオフライン過程で施し、硬化させて、三次被覆を形成する。
【0162】
多芯光ファイバ
ここに開示された光ファイバは、多芯光ファイバ設計に使用することができる。本開示の光ファイバによって、ファイバ間の小さいクロストーク、角にあるファイバからエッジへの低いトンネリング損失、および良好な曲げ性能を維持しつつ、より小さい輪郭のケーブルにおいて最大数のコアを有する、そのような多芯光ファイバ設計を達成することができる。例えば、多芯光ファイバは、各々が、先に述べたような、ハロゲンおよび/またはアルカリ金属がドープされたコアおよびオフセットトレンチ設計を有する、ここに開示された小さい輪郭のファイバを備えることがある。それゆえ、上述したものと同じモードフィールド径、有効面積、および減衰を提供するために、多芯光ファイバに、上述した単芯光ファイバを使用することができる。
【0163】
図8Aは、円形輪郭を有する例示の多芯光ファイバ80の断面図を示す。図8Aに示されるように、多芯光ファイバ80は、中心ファイバ軸85(多芯光ファイバ80の中心線)、複数のコア90、および共通クラッド98を形成するクラッドマトリクス94を備える。コア90は、クラッドマトリクス94内に配置されており、各コア90が、概して、中心ファイバ軸85に平行に多芯光ファイバ80の長手方向に延在するコアファイバCF、CFを形成する。
【0164】
各コア90は、それぞれ、中心軸または中心線CLおよびCL、並びに外側半径rおよびrを有する。外側半径r、rは、図5を参照して先に述べたように、半径rと似ていることに留意されたい。図8Aに示されるように、多芯光ファイバ80内の中心線CLおよびCLの各々の位置は、デカルト座標を使用して定義することができ、中心ファイバ軸85が、動径座標Rで定義される座標系と一致するx-y座標系の原点(0,0)を規定する。中心線CLの位置は、(x,y)と定義することができ、中心線CLの位置は、(x,y)と定義することができる。次に、中心線CLおよびCLの間の距離DC1-C2は、√[(x-x+(y-y]と定義できる。このように、中心線CLを有する所定のコア90および中心線CLを有する隣接するコア90について、距離DCi-Ciは、下記にさらに述べられるように、√[(x-x+(y-y]と定義される。
【0165】
コア90は、コア領域48(単芯光ファイバを参照して先に述べられたような)と似ており、それと同じ材料から作られ、同じ性質を有することがあり、クラッドマトリクス94は、クラッド領域50(これも、単芯光ファイバを参照して先に述べられたような)と似ており、それと同じ材料から作られ、同じ性質を有することがある。それゆえ、多芯光ファイバ80の各コア90は、上述したように、オフセットトレンチ設計を有するクラッド領域により取り囲まれることがある。本開示の実施の形態によれば、多芯光ファイバは、第1のコア、その第1のコアを取り囲む第1の内側クラッド、第2のコア、その第2のコアを取り囲む第2の内側クラッド、および第1のコアと第2のコアを取り囲む共通クラッドを備える。それに加え、一次被覆、二次被覆、および必要に応じて、三次被覆が、これも上述したように、クラッドマトリクス94上に配置されることがある。
【0166】
図8Aは2つのコア90しか示していないが、多芯光ファイバ80は、これも下記に述べるように、3以上のコアを備えることがある。さらに、多芯光ファイバ80は、円形断面輪郭(図8Aに示されるような)または長方形リボン断面輪郭を有することがある。図8Bは、多芯光ファイバ80の追加の例示の実施の形態を示す。
【0167】
多芯光ファイバ80は、当該技術分野に公知のいずれの形態で、いくつのコア90を備えてもよい。例えば、コア90の総数は、2から20、2から18、2から16、2から12、2から10、2から8、2から6、2から4、2から3、4から20、4から18、4から16、4から12、4から10、4から8、4から6、6から20、6から18、6から16、6から12、6から10、6から8、8から20、8から18、8から16、8から12、8から10、10から20、10から18、10から16、10から12、12から20、12から18、または12から16であることがある。例えば、コア90の総数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはこれらの値のいずれかの間のコアの任意の総数であり得る。コア90の総数は、偶数であっても、奇数であっても差し支えなく、クラッドマトリクス94内にどのパターンで配列されても差し支えない。そのパターンの非限定例としては、正方形パターン、長方形パターン、円形パターン、および六方格子パターンが挙げられる。例えば、図9は、正方形パターンで配列された4つのコアを含む多芯光ファイバを示す。
【0168】
図8Cに示されるように、多芯光ファイバ80の複数のコア90の1つ以上は、内側クラッド95および外側クラッド97に取り囲まれ、よって、外側クラッド97は、内側クラッド95と共通クラッド98との間に内側クラッド95を取り囲んでいる。各内側クラッド95は、外側半径rIC1およびコア90の外側半径rに相当する内側半径を有する。内側クラッド95は、コア90の外側半径rおよび内側クラッド95の外側半径rIC1により規定される幅δrIC1を有する。コア90は、2に相当する直径dを有することができ、内側クラッド95は、2IC1に相当する直径dIC1を有することができる。各外側クラッド97は、外側半径rOC1および内側クラッド95の外側半径rIC1に相当する内側半径を有する。外側クラッド97は、内側クラッド95の外側半径rIC1および外側クラッド97の外側半径rOC1により規定される幅δrOC1を有する。図5を参照して先に述べたように、内側クラッド95の外側半径rIC1は半径rに似ていること、および外側クラッド97の外側半径rOC1は、半径rに似ていることに留意されたい。共通クラッド98は、図8Aに示されるように、外側半径ROCを有する。
【0169】
内側クラッド95は、内側クラッド領域51(単芯光ファイバを参照して先に述べたられたような)と似ており、それと同じ材料から作られ、同じ性質を有することがあり、外側クラッド97は、屈折率の減少したクラッド領域53(単芯光ファイバを参照して先に述べられたような)と似ており、それと同じ材料から作られ、同じ性質を有することがあり、共通クラッド98は、外側クラッド領域55(単芯光ファイバを参照して先に述べられたような)と似ており、それと同じ材料から作られ、同じ性質を有することがある。それゆえ、例えば、外側クラッド97は、屈折率の減少したクラッド領域53と類似の、トレンチ領域を形成することがある。
【0170】
図8A~8Cを参照すると、コア90の各々は、約4マイクロメートルから約20マイクロメートル、または約5マイクロメートルから約18マイクロメートル、または約6マイクロメートルから約16マイクロメートル、または約7マイクロメートルから約14マイクロメートル、または約8マイクロメートルから約12マイクロメートル、または約9マイクロメートルから約12マイクロメートルの範囲の直径「d」(r×2またはr×2)を有する。各コア90の直径dは、多芯光ファイバ80中の1つ以上の他のコア90と同じであっても、異なってもよい。各コア90間の間隔Dは、各コア90間で一定であることがあり、約20マイクロメートル以上、または約25マイクロメートル以上、または約30マイクロメートル以上、または約35マイクロメートル以上であることがある。それに加え、またはそれに代えて、間隔Dは、約50マイクロメートル以下、または約45マイクロメートル以下、または約40マイクロメートル以下、または約35マイクロメートル以下であることがある。いくつかの実施の形態において、間隔Dは、約20マイクロメートルから約40マイクロメートル、または約25マイクロメートルから約35マイクロメートルの範囲、または約35マイクロメートルである。さらに他の実施の形態において、2つ以上のコア90間の間隔は、2つ以上の他のコア90間の間隔と異なることがある。コア90間の間隔は、下記にさらに述べるように、コア間のクロストークを減少させるのに十分であるべきである。
【0171】
多芯光ファイバ80は、リボン形態にある場合、図8Bに示されるように、断面幅Wおよび厚さTHを有する。コア90は、厚さTHに沿った1つ以上の行および幅Wに沿った1つ以上の列で配列することができる。幅Wは、約0.5mmから約3mm、または約1mmから約2.5mm、または約1mmから約2mmであることがある。厚さは、約0.1から約0.5mm、または約0.2から0.4mmであることがある。1つの実施の形態において、多芯光ファイバ80は、長方形のリボン断面輪郭を有し、8つのコアを含み、約2mmの幅Wおよび約0.3mmの厚さTHを有する。
【0172】
円形断面設計において、クラッドマトリクス94の幅Wは、共通クラッド98の直径(ROC×2)であり、約200マイクロメートル以下、または約150マイクロメートル以下、または約125マイクロメートル以下、または約80マイクロメートル以下、または約80マイクロメートルから約125マイクロメートル、または約120マイクロメートルから約130マイクロメートルの範囲、または約125マイクロメートルであることがある。さらに他の実施の形態において、共通クラッド98の直径は、約140マイクロメートル以上、または約150マイクロメートル以上、または約160マイクロメートル以上、または約170マイクロメートル以上、または約180マイクロメートル以上、または約190マイクロメートル以上であることがある。それに加え、またはそれに代えて、共通クラッド98の直径は、約200マイクロメートル以下、または約190マイクロメートル以下、または約180マイクロメートル以下、または約170マイクロメートル以下、または約160マイクロメートル以下、または約150マイクロメートル以下、または約140マイクロメートル以下であることがある。ある例では、共通クラッド98の直径は、約120マイクロメートルから約140マイクロメートルの範囲にある。
【0173】
図9は、正方形デザインで配列された4つのコア90を有する例示の多芯光ファイバ100を示す。図9に示されるように、第1のコアの中心線(CL)と隣接するコアの中心線(CL)との間の距離D1は、先に述べたように、デカルト座標系を使用して測定して、約50マイクロメートル未満である。例えば、隣接するコア間の距離D1は、約20マイクロメートル超、約25マイクロメートル超、約28マイクロメートル超、約30マイクロメートル超、約35マイクロメートル超、または約40マイクロメートル超であり得る。それに加え、またはそれに代えて、距離D1は、約45マイクロメートル未満、約40マイクロメートル未満、または約35マイクロメートル未満であり得る。例えば、距離D1は、約20マイクロメートルから約50マイクロメートル、約20マイクロメートルから約45マイクロメートル、約20マイクロメートルから約30マイクロメートル、約28マイクロメートルから約50マイクロメートル、約28マイクロメートルから約40マイクロメートル、約28マイクロメートルから約30マイクロメートル、約30マイクロメートルから約50マイクロメートル、約30マイクロメートルから約40マイクロメートル、または約40マイクロメートルから約45マイクロメートルであり得る。隣接するコア90間の距離D1は、コアの各々について、同じであっても、異なっても差し支えない。
【0174】
例えば、4×4の正方形パターンにおいて、最大距離だけ隔てられた2つのコア間の距離D2は、約20マイクロメートル以上、約25マイクロメートル以上、約30マイクロメートル以上、約35マイクロメートル以上、または約40マイクロメートル以上であり得る。それに加え、またはそれに代えて、距離D2は、約50マイクロメートル以下、約45マイクロメートル以下、約40マイクロメートル以下、約35マイクロメートル以下、または約30マイクロメートル以下であり得る。
【0175】
また図9に示されるように、コア90の中心線と共通クラッド98の外側半径との間の距離D3は、約40マイクロメートル以下、約35マイクロメートル以下、約30マイクロメートル以下、約25マイクロメートル以下、または約20マイクロメートル以下であり得る。それに加え、またはそれに代えて、距離D3は、約25マイクロメートル以上、約30マイクロメートル以上、約35マイクロメートル以上、または約40マイクロメートル以上であり得る。いくつかの例では、距離D3は、約25マイクロメートルから約40マイクロメートル、または約30マイクロメートルから約35マイクロメートルの範囲にある。D3が、各コア90について、同じであっても、異なってもよいことも考えられる。
【0176】
コア90の外側半径と共通クラッド98の外側半径との間の距離D4は、約25マイクロメートル以下、約20マイクロメートル以下、約18マイクロメートル以下、約16マイクロメートル以下、約14マイクロメートル以下、約13マイクロメートル以下、約12マイクロメートル以下、約10マイクロメートル以下、約8マイクロメートル以下、または約6マイクロメートル以下であり得る。それに加え、またはそれに代えて、距離D4は、約8マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以上、約13マイクロメートル以上、約16マイクロメートル以上、または約18マイクロメートル以上であり得る。いくつかの例では、距離D4は、約10マイクロメートルから約20μm、または約12マイクロメートルから約16マイクロメートルの範囲にある。距離D4が、各コア90について、同じであっても、異なってもよいことも考えられる。
【0177】
さらに、図9に示されるような、距離D5は、各コア90の半径(例えば、r、r)であり得る。距離D5は、約2マイクロメートルから約30マイクロメートル、または約2.5マイクロメートルから約22.5マイクロメートル、または約5マイクロメートルから約20マイクロメートル、または約7マイクロメートルから約14マイクロメートル、または約8マイクロメートルから約12マイクロメートル、または約9マイクロメートルから約11マイクロメートルの範囲にあることがある。例えば、D5は、約9マイクロメートル、約10マイクロメートル、約10.5マイクロメートル、約11マイクロメートル、約11.5マイクロメートル、約12マイクロメートル、約12.5マイクロメートル、約13マイクロメートル、約14マイクロメートル、約15マイクロメートル、約15.5マイクロメートル、約16マイクロメートル、約16.5マイクロメートル、約17マイクロメートル、約17.5マイクロメートル、または約18マイクロメートルであることがある。距離D5が、各コア90について、同じであっても、異なってもよいことも考えられる。
【0178】
1つの実施の形態において、例示の多芯光ファイバ100は、ファイバの幅Wが約125マイクロメートルであり、距離D1が約45マイクロメートルであり、距離D2が約63.6マイクロメートルであり、距離D3が約30.7マイクロメートルであり、距離D4が約13マイクロメートルであり、距離D5が約17.6マイクロメートルであるように、4×4の正方形デザインで4つのコア領域を含む。
【0179】
先に述べたように、コア90は、良好なシステム性能を確実にするために、減少したクロストークを有する。クロストークは、コア間の距離およびファイバの長さに依存する。コア間の平均クロストークは、式(12)
X=2kLL (12)
から計算することができ、式中、kは結合係数であり、Lはファイバの長さであり、Lcは、ファイバの均一性と敷設条件に依存する相関長である。
【0180】
いくつかの実施の形態において、隣接するコア90間の平均クロストークは、1550nmで作動する多芯光ファイバの100kmの長さについて測定して、-20dB以下、または-30dB以下、または-35dB以下、または-40dB以下、または-45dB以下、または-50dB以下、または-55dB以下、または-60dB以下である。
【0181】
図10は、100kmのファイバ長に沿った多芯光ファイバ設計における隣接するコア90間のクロストークと間隔のプロットを示す。線200は、ステップ型プロファイルおよび80マイクロメートルの有効面積を有する多芯光ファイバ設計を表し、線210は、オフセットトレンチ設計(ここに開示されたような)および80マイクロメートルの有効面積を有する多芯光ファイバ設計を表し、線220は、オフセットトレンチ設計(ここに開示されたような)および100マイクロメートルの有効面積を有する多芯光ファイバ設計を表す。図10に示されるように、線220は、コア間の間隔が増加するにつれて、線200よりも低いクロストークを有する。さらに、線210は、コア間の間隔が増加するにつれて、線220よりも低いクロストークを有する。このように、図10は、各々が80マイクロメートルの有効面積を有するコアおよびオフセットトレンチ設計を有する多芯設計により、100マイクロメートルの有効面積を有するコア、またはステップ型プロファイルを有するファイバよりも、低いクロストークを都合よく提供することを示す。
【0182】
ここに開示された多芯光ファイバ設計において、コア90は、これも上述したように、0.18dB/km以下、または0.175dB/km以下、または0.170dB/km以下、または0.165dB/km以下、または0.160dB/km以下、または0.155dB/km以下、または0.150dB/km以下の、1550nmでの減衰を有することがある。各コア90は、同じまたは異なる減衰を有することがある。
【0183】
ここに開示された多芯光ファイバのコア90は、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1260nm未満、または約1200nm未満の理論カットオフ波長を有することがある。例えば、その理論カットオフ波長は、約1300nmから約1500nm、または約1300nmから約1400nmであり得る。例えば、その理論カットオフ波長は、約1300nm、約1310nm、約1320nm、約1329nm、約1330nm、約1340nm、約1350nm、約1360nm、約1370nm、約1380nm、約1400nm、約1500nm、またはこれらの値の間の任意の理論カットオフ波長であり得る。各コア90は、同じまたは異なる理論カットオフ波長を有することがある。
【0184】
1つの態様によれば、コア90のケーブルカットオフ波長は、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1260nm未満、または約1200nm未満である。例えば、そのケーブルカットオフ波長は、約1200nmから約1500nm、約1200nmから約1400nm、約1200nmから約1300nm、約1300nmから約1500nm、約1300nmから約1400nm、または約1400nmから約1500nmであり得る。例えば、ケーブルカットオフ波長は、約1200nm、約1209nm、約1210nm、約1220nm、約1230nm、約1240nm、約1250nm、約1260nm、約1300nm、約1310nm、約1350nm、約1400nm、約1410nm、約1420nm、約1430nm、約1440nm、約1450nm、約1460nm、約1500nm、またはこれらの値の間の任意のケーブルカットオフ波長であり得る。各コア90は、同じまたは異なるケーブルカットオフ波長を有することがある。
【0185】
1つの態様によれば、コア90は、約1280nmから約1340nmのゼロ分散波長を有し得る。例えば、そのゼロ分散波長は、約1290nmから約1330nm、約1295nmから約1325nm、約1300nmから約1320nm、または約1305nmから約1315nmであり得る。例えば、ゼロ分散波長は、約1280nm、約1285nm、約1289nm、約1290nm、約1300nm、約1301nm、約1305nm、約1306nm、約1310nm、約1315nm、または約1320nm、もしくはこれらの値の間の任意のゼロ分散波長であり得る。各コア90は、同じまたは異なるゼロ分散波長を有することがある。
【0186】
本開示の態様によれば、コア90は、約3ps/nm/km未満の1310nmでの絶対値を有する分散および0.1ps/nm/km未満の1310nmでの分散勾配を有し得る。各コア90は、1310nmで、同じまたは異なる分散および分散勾配を有することがある。例えば、1310nmでの分散の絶対値は、約0.3ps/nm/kmから約3ps/nm/km、約0.3ps/nm/kmから約2.5ps/nm/km、約0.3ps/nm/kmから約2.25ps/nm/km、約0.3ps/nm/kmから約2ps/nm/km、約0.3ps/nm/kmから約1.75ps/nm/km、約0.3ps/nm/kmから約1.5ps/nm/km、または約0.3ps/nm/kmから約1ps/nm/kmであり得る。例えば、1310nmでの分散の絶対値は、約0.3ps/nm/km、約0.35ps/nm/km、約0.4ps/nm/km、約0.5ps/nm/km、約0.75ps/nm/km、約1ps/nm/km、約1.25ps/nm/km、約1.5ps/nm/km、約1.75ps/nm/km、約2ps/nm/km、約2.25ps/nm/km、約2.5ps/nm/km、約2.75ps/nm/km、約3ps/nm/km、またはこれらの値の間の任意の値であり得る。一例において、1310nmでの分散勾配は、約0.075ps/nm/kmから約0.1ps/nm/km、約0.08ps/nm/kmから約0.1ps/nm/km、約0.085ps/nm/kmから約0.1ps/nm/km、約0.09ps/nm/kmから約0.1ps/nm/km、約0.075ps/nm/kmから約0.09ps/nm/km、約0.08ps/nm/kmから約0.09ps/nm/km、または約0.085ps/nm/kmから約0.09ps/nm/kmであり得る。例えば、1310nmでの分散勾配は、約0.075ps/nm/km、約0.08ps/nm/km、約0.085ps/nm/km、約0.086ps/nm/km、約0.087ps/nm/km、約0.088ps/nm/km、約0.089ps/nm/km、約0.09ps/nm/km、約0.01ps/nm/km、またはこれらの値の間の任意の値であり得る。
【0187】
本開示の態様によれば、コア90は、22ps/nm/km未満の1550nmでの分散および0.1ps/nm/km未満の1550nmでの分散勾配を有し得る。各コア90は、1550nmで、同じまたは異なる分散および分散勾配を有することがある。例えば、1550nmでの分散は、約10ps/nm/kmから約22ps/nm/km、約10ps/nm/kmから約22ps/nm/km、約10ps/nm/kmから約20ps/nm/km、約10ps/nm/kmから約15ps/nm/km、約15ps/nm/kmから約22ps/nm/km、または約15ps/nm/kmから約20ps/nm/kmであり得る。例えば、1550nmでの分散は、約10ps/nm/km、約15ps/nm/km、約16ps/nm/km、約17ps/nm/km、約17.5ps/nm/km、約18ps/nm/km、約19ps/nm/km、約19.5ps/nm/km、約19.6ps/nm/km、約20ps/nm/km、約20.1ps/nm/km、約22ps/nm/km、またはこれらの値の間の任意の値であり得る。一例において、1550nmでの分散勾配は、約0.04ps/nm/kmから約0.1ps/nm/km、約0.05ps/nm/kmから約0.1ps/nm/km、約0.055ps/nm/kmから約0.1ps/nm/km、約0.06ps/nm/kmから約0.1ps/nm/km、約0.08ps/nm/kmから約0.1ps/nm/km、約0.04ps/nm/kmから約0.08ps/nm/km、約0.05ps/nm/kmから約0.08ps/nm/km、約0.055ps/nm/kmから約0.08ps/nm/km、約0.06ps/nm/kmから約0.08ps/nm/km、約0.04ps/nm/kmから約0.06ps/nm/km、約0.05ps/nm/kmから約0.06ps/nm/km、または約0.055ps/nm/kmから約0.06ps/nm/kmであり得る。例えば、1550nmでの分散勾配は、約0.04ps/nm/km、約0.05ps/nm/km、約0.055ps/nm/km、約0.057ps/nm/km、約0.058ps/nm/km、約0.059ps/nm/km、約0.06ps/nm/km、約0.061ps/nm/km、約0.07ps/nm/km、約0.08ps/nm/km、またはこれらの値の間の任意の値であり得る。
【0188】
1つの態様によれば、10mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレル巻き付け試験によって決定される、1550nmでの、ここに開示された多芯光ファイバ中の各コア90の曲げ損失は、約3dB/巻き未満、約2.5dB/巻き未満、約2dB/巻き未満、約1.5dB/巻き未満、または約1dB/巻き未満であることがある。例えば、その曲げ損失は、10mmの直径を有するマンドレルを使用して、約0.5dB/巻きから約3dB/巻き、約0.5dB/巻きから約2.5dB/巻き、約0.5dB/巻きから約2dB/巻き、約0.5dB/巻きから約1.5dB/巻き、約0.5dB/巻きから約1dB/巻き、約1dB/巻きから約3dB/巻き、約1dB/巻きから約2.5dB/巻き、約1dB/巻きから約2dB/巻き、約1dB/巻きから約1.5dB/巻き、約1.5dB/巻きから約3dB/巻き、約1.5dB/巻きから約2.5dB/巻き、約1.5dB/巻きから約2dB/巻き、約2dB/巻きから約3dB/巻き、または約2dB/巻きから約2.5dB/巻きであり得る。例えば、その曲げ損失は、10mmの直径を有するマンドレルを使用して、約0.5dB/巻き、約0.75dB/巻き、約0.9dB/巻き、約1dB/巻き、約1.5dB/巻き、約2dB/巻き、約2.5dB/巻き、約3dB/巻き、またはこれらの値の間の任意の値であり得る。
【0189】
1つの態様によれば、15mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレル巻き付け試験によって決定される、1550nmでの、ここに開示された多芯光ファイバ中の各コア90の曲げ損失は、約1dB/巻き未満、約0.75dB/巻き未満、約0.5dB/巻き未満、または約0.3dB/巻き未満であることがある。例えば、その曲げ損失は、15mmの直径を有するマンドレルを使用して、約0.1dB/巻きから約1dB/巻き、約0.1dB/巻きから約0.75dB/巻き、約0.1dB/巻きから約0.5dB/巻き、約0.2dB/巻きから約1dB/巻き、約0.2dB/巻きから約0.75dB/巻き、約0.2dB/巻きから約0.5dB/巻き、約0.3dB/巻きから約1dB/巻き、約0.3dB/巻きから約0.75dB/巻き、または約0.3dB/巻きから約0.5dB/巻きであり得る。例えば、その曲げ損失は、15mmの直径を有するマンドレルを使用して、約0.2dB/巻き、約0.23dB/巻き、約0.25dB/巻き、約0.3dB/巻き、約0.5dB/巻き、約0.6dB/巻き、約0.75dB/巻き、約1dB/巻き、またはこれらの値の間の任意の値であり得る。
【0190】
1つの態様によれば、20mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレル巻き付け試験によって決定される、1550nmでの、ここに開示された多芯光ファイバ中の各コア90の曲げ損失は、約3dB/巻き未満、約2dB/巻き未満、約1dB/巻き未満、約0.5dB/巻き未満、約0.3dB/巻き未満、または約0.2dB/巻き未満であることがある。例えば、その曲げ損失は、20mmの直径を有するマンドレルを使用して、約0.1dB/巻きから約3dB/巻き、約0.1dB/巻きから約2.5dB/巻き、約0.1dB/巻きから約2dB/巻き、約0.2dB/巻きから約3dB/巻き、約0.2dB/巻きから約2.5dB/巻き、約0.2dB/巻きから約2dB/巻き、約0.3dB/巻きから約3dB/巻き、約0.3dB/巻きから約2.5dB/巻き、または約0.3dB/巻きから約2dB/巻き、約0.1dB/巻きから約1dB/巻き、約0.1dB/巻きから約0.75dB/巻き、約0.1dB/巻きから約0.5dB/巻き、約0.5dB/巻きから約3dB/巻き、約0.5dB/巻きから約2.5dB/巻き、約0.5dB/巻きから約2dB/巻き、約1dB/巻きから約3dB/巻き、約1dB/巻きから約2.5dB/巻き、または約1dB/巻きから約2dB/巻きであり得る。例えば、その曲げ損失は、20mmの直径を有するマンドレルを使用して、約0.2dB/巻き、約0.23dB/巻き、約0.25dB/巻き、約0.3dB/巻き、約0.5dB/巻き、約0.6dB/巻き、約0.75dB/巻き、約0.8dB/巻き、約0.9dB/巻き、約1dB/巻き、約2dB/巻き、約2.1dB/巻き、約2.5dB/巻き、約3dB/巻き、またはこれらの値の間の任意の値であり得る。
【0191】
1つの態様によれば、30mmの直径を有するマンドレルを使用するマンドレル巻き付け試験によって決定される、1550nmでの、ここに開示された多芯光ファイバ中の各コア90の曲げ損失は、約1dB/巻き未満、約0.5dB/巻き未満、約0.25dB/巻き未満、約0.1dB/巻き未満、約0.05dB/巻き未満、約0.01dB/巻き未満、または約0.005dB/巻き未満であることがある。例えば、その曲げ損失は、30mmの直径を有するマンドレルを使用して、約0.01dB/巻きから約1dB/巻き、約0.01dB/巻きから約0.5dB/巻き、約0.01dB/巻きから約0.25dB/巻き、約0.01dB/巻きから約0.2dB/巻き、約0.01dB/巻きから約0.1dB/巻き、約0.01dB/巻きから約0.005dB/巻き、約0.05dB/巻きから約1dB/巻き、約0.05dB/巻きから約0.5dB/巻き、約0.05dB/巻きから約0.25dB/巻き、または約0.05dB/巻きから約0.2dB/巻き、約0.2dB/巻きから約1dB/巻き、約0.2dB/巻きから約0.5dB/巻き、または約0.5dB/巻きから約1dB/巻きであり得る。例えば、その曲げ損失は、30mmの直径を有するマンドレルを使用して、約0.005dB/巻き、約0.01dB/巻き、約0.05dB/巻き、約0.06dB/巻き、約0.07dB/巻き、約0.08dB/巻き、約0.09dB/巻き、約0.1dB/巻き、約0.12dB/巻き、約0.13dB/巻き、約0.15dB/巻き、約0.2dB/巻き、約0.23dB/巻き、約0.24dB/巻き、約0.24dB/巻き、約0.25dB/巻き、約0.3dB/巻き、約0.31dB/巻き、約0.4dB/巻き、約0.5dB/巻き、約0.51dB/巻き、約1dB/巻き、またはこれらの値の間の任意の値であり得る。
【0192】
本開示の実施の形態による多芯光ファイバは、単芯光ファイバに関して上述したものと同じ性質を有することがある。例えば、多芯光ファイバのガラスコアは、先に開示されたのと同じトレンチ体積、モードフィールド径、有効面積、および減衰を有することがある。したがって、本開示の多芯光ファイバを構成する光ファイバは、減少した輪郭を有し、それでも、長距離伝送に必要な十分なマイクロベンドおよび堅牢性を維持することがある。
【0193】
下記の表14には、本開示の実施の形態による多芯光ファイバ310~340の例が与えられている。各多芯光ファイバ310~340は、図9に示されたような、正方形デザインで配列された4つのコアから形成されている。ファイバ310~340の各々は、125マイクロメートルの外側ガラス直径および242マイクロメートルの被覆外径を有する。ファイバ310~340の各コアの半径(r)は約17.5マイクロメートルであり、各コアには塩素がドープされている。さらに、各コアは、オフセットトレンチ設計およびトレンチの外側に配置された共通クラッド(ここに開示されたような)を有する。共通クラッドの屈折率は、-0.245%である。ファイバ310~340における第1のコアの中心線と第2のコアの中心線との間の距離D1は、40マイクロメートルである。そして、ファイバ310~340におけるコアの中心線と共通クラッドの外側半径との間の距離D3は、34.2マイクロメートルである。ファイバ310~340の光学的性質が、下記の表14に示されており、各コアの相対屈折率プロファイルが、図11に示されている。
【0194】
【表14-1】
【0195】
【表14-2】
【0196】
特に明記のない限り、ここに述べられたどの方法も、その工程が特定の順序で行われることを要求していると考えられることは、決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程がしたがうべき順序を実際に列挙していない場合、またはその工程が特定の順序に限定されることが、請求項または記載に他に具体的に述べられていない場合、どの特定の順序も暗示されることは決して意図されていない。
【0197】
本発明の精神または範囲から逸脱せずに、様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。本発明の精神および実態を含む開示された実施の形態の改変、組合せ、部分的組合せおよび変更が、当業者に想起されるであろうから、本発明は、付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に全てを含むと考えるべきである。
【0198】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0199】
実施形態1
多芯光ファイバにおいて、
アルカリ金属がドープされたシリカガラスから作られた第1のコア、
前記第1のコアを取り囲む第1の内側クラッド、
前記第1の内側クラッドを取り囲み、約30%Δ・マイクロメートル以上の体積を有する第1のトレンチ領域を含む第1の外側クラッド、
アルカリ金属がドープされたシリカガラスから作られた第2のコア、
前記第2のコアを取り囲む第2の内側クラッド、
前記第2の内側クラッドを取り囲み、約30%Δ・マイクロメートル以上の体積を有する第2のトレンチ領域を含む第2の外側クラッド、および
前記第1のコアと前記第2のコアを取り囲む共通クラッド、
を備え、
前記第1のコアと前記第2のコアの各々は、約100マイクロメートル以下の1550nmでの有効面積を有する、多芯光ファイバ。
【0200】
実施形態2
各々が、アルカリ金属がドープされたシリカガラスから作られたi個の追加のコアであって、iは1から18である追加のコア、
前記追加のコアを取り囲む内側クラッド、
各追加のコアを取り囲み、各々が、約30%Δ・マイクロメートル以上の体積を有するトレンチ領域を含む外側クラッド、および
各追加のコアを取り囲む共通クラッド、
をさらに備え、
各追加のコアの各々は、約100マイクロメートル以下の1550nmでの有効面積を有する、実施形態1に記載の多芯光ファイバ。
【0201】
実施形態3
iが2である、実施形態2に記載の多芯光ファイバ。
【0202】
実施形態4
前記多芯光ファイバが、約80マイクロメートルから約125マイクロメートルの幅を有する円形断面形状を有する、実施形態1から3のいずれか1つに記載の多芯光ファイバ。
【0203】
実施形態5
前記多芯光ファイバが、約0.5mmから約3mmの幅を有するリボン形断面形状を有する、実施形態1から3のいずれか1つに記載の多芯光ファイバ。
【0204】
実施形態6
前記第1のコアの中心線と前記第2のコアの中心線との間の距離が、約10マイクロメートルから約50マイクロメートルの範囲にある、実施形態1から5のいずれか1つに記載の多芯光ファイバ。
【0205】
実施形態7
前記第1のコアの中心線と前記第2のコアの中心線との間の距離が、約20マイクロメートルから約45マイクロメートルの範囲にある、実施形態6に記載の多芯光ファイバ。
【0206】
実施形態8
前記第1のコアの中心線と前記第2のコアの中心線との間の距離が、約45マイクロメートルである、実施形態7に記載の多芯光ファイバ。
【0207】
実施形態9
前記第1のコアと前記第2のコアとの間のクロストークが、ファイバ長100km当たり約-30dB未満である、実施形態1から8のいずれか1つに記載の多芯光ファイバ。
【0208】
実施形態10
前記第1のコアと前記第2のコアとの間のクロストークが、ファイバ長100km当たり約-40dB未満である、実施形態9に記載の多芯光ファイバ。
【0209】
実施形態11
前記第1のコアと前記第2のコアとの間のクロストークが、ファイバ長100km当たり約-50dB未満である、実施形態10に記載の多芯光ファイバ。
【0210】
実施形態12
各コアの中心線と前記共通クラッドの外側半径との間の距離が、約25マイクロメートルから約40マイクロメートルの範囲にある、実施形態1から11のいずれか1つに記載の多芯光ファイバ。
【0211】
実施形態13
各コアの中心線と前記共通クラッドの外側半径との間の距離が、約30マイクロメートルから約35マイクロメートルの範囲にある、実施形態12に記載の多芯光ファイバ。
【0212】
実施形態14
前記第1のコアおよび前記第2のコアの半径の各々が、約2.5マイクロメートルから約9マイクロメートルの範囲にある、実施形態1から13のいずれか1つに記載の多芯光ファイバ。
【0213】
実施形態15
前記第1のコアおよび前記第2のコアの半径の各々が、約3.5マイクロメートルから約7マイクロメートルの範囲にある、実施形態14に記載の多芯光ファイバ。
【0214】
実施形態16
前記第1のコアおよび前記第2のコアの各々の1550nmでの減衰が、約0.175dB/km以下である、実施形態1から15のいずれか1つに記載の多芯光ファイバ。
【0215】
実施形態17
1550nmでの前記減衰が、約0.170dB/km以下である、実施形態16に記載の多芯光ファイバ。
【0216】
実施形態18
1550nmでの前記減衰が、約0.160dB/km以下である、実施形態17に記載の多芯光ファイバ。
【0217】
実施形態19
前記第1のコアおよび前記第2のコアの各々が、約10ppmから約500ppmの範囲のピークアルカリ金属濃度を有する、実施形態1から18のいずれか1つに記載の多芯光ファイバ。
【0218】
実施形態20
前記第1のコアおよび前記第2のコアの前記アルカリ金属が、ナトリウム、カリウム、およびルビジウムの内の少なくとも1つである、実施形態1から19のいずれか1つに記載の多芯光ファイバ。
【0219】
実施形態21
前記第1のコアおよび前記第2のコアの各々が、約0.4質量%から約2.2質量%の範囲の塩素濃度を有する、実施形態1から18のいずれか1つに記載の多芯光ファイバ。
【0220】
実施形態22
1550nmでの前記有効面積が、約70マイクロメートルから約90マイクロメートルの範囲にある、実施形態1から21のいずれか1つに記載の多芯光ファイバ。
【0221】
実施形態23
1550nmでの前記有効面積が、約80マイクロメートルである、実施形態22に記載の多芯光ファイバ。
【0222】
実施形態24
前記第1のトレンチ領域および前記第2のトレンチ領域の体積が約70%Δ・マイクロメートル以下である、実施形態1から23のいずれか1つに記載の多芯光ファイバ。
【0223】
実施形態25
前記第1のコアおよび前記第2のコアの各々のモードフィールド径が、1310nmで約9マイクロメートルから約9.5マイクロメートルの範囲にあり、1550nmで約10から約10.5マイクロメートルの範囲にある、実施形態1から24のいずれか1つに記載の多芯光ファイバ。
【符号の説明】
【0224】
10、20、46 光ファイバ
11 ガラスファイバ
12、48 コア領域
14、50 クラッド領域
16、56 一次被覆
18、58 二次被覆
30 光ファイバリボン
32 リボンマトリクス
40 光ファイバケーブル
42 ジャケット
51 内側クラッド領域
53 屈折率の減少したクラッド領域
55 外側クラッド領域
80、100 多芯光ファイバ
85 中心ファイバ軸
90 複数のコア
94 クラッドマトリクス
95 内側クラッド
97 外側クラッド
98 共通クラッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
【国際調査報告】