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特表2023-518947機能性の改善を有する眼科用クロロプロカインゲル
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  • 特表-機能性の改善を有する眼科用クロロプロカインゲル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-09
(54)【発明の名称】機能性の改善を有する眼科用クロロプロカインゲル
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/245 20060101AFI20230427BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230427BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230427BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230427BHJP
   A61P 23/02 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
A61K31/245
A61K47/38
A61K9/06
A61P27/02
A61P23/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556086
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 IB2021052237
(87)【国際公開番号】W WO2021186366
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/991,611
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508069051
【氏名又は名称】シンテティカ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100196977
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 路子
(72)【発明者】
【氏名】アウグスト ミティディエーリ
(72)【発明者】
【氏名】エリザベッタ ドナーティ
(72)【発明者】
【氏名】クラーラ ビアンキ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076BB24
4C076CC10
4C076EE32P
4C076FF63
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA38
4C206KA01
4C206KA14
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA47
4C206MA78
4C206NA03
4C206ZA21
4C206ZA33
(57)【要約】
機能性の改善、薬物動態、および、特に、澄明性に関して安定性を有する、クロロプロカインの無菌の眼科用ゲル、ならびにそれを作製および使用する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘度が25℃で25,000cPを超え、pHが場合によっては6を超える、ヒドロキシエチルセルロースの水溶性マトリックスと混合した、pH2.4~3.2の塩酸クロロプロカインの酸性水溶液を含む、眼科用ゲルであって、
a)ゲルが、3%塩酸クロロプロカインを含み;
b)ゲルが、pH2.8~3.8であり;
c)マトリックス粘度が、欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、BrookField DV III+Pro Spindle 3により20rpmで測定される、眼科用ゲル。
【請求項2】
a)3%の塩酸クロロプロカイン;
b)1.0%~1.25%のヒドロキシエチルセルロース;
c)pH2.8~3.8になるまで適量の塩酸;および
d)水
を含む非ニュートン偽塑性挙動を示す眼科用ゲル。
【請求項3】
塩酸クロロプロカインの酸性水溶液がろ過滅菌されており、ヒドロキシエチルセルロースの水溶性マトリックスが加熱滅菌されている、請求項1に記載のゲル。
【請求項4】
塩酸クロロプロカインの酸性水溶液が、35または40℃を超える温度でろ過滅菌されており、ヒドロキシエチルセルロースの水溶性マトリックスが、35または40℃を超える温度で加熱滅菌されている、請求項1に記載のゲル。
【請求項5】
ヒドロキシエチルセルロースの水溶性マトリックスが、pH6~8である、請求項1、3、または4のうちのいずれか一項に記載のゲル。
【請求項6】
ヒドロキシエチルセルロースの水溶性マトリックスが、加熱滅菌にかけられた場合、その粘度の40%未満を失う、請求項1または3から5のうちのいずれか一項に記載のゲル。
【請求項7】
ヒドロキシエチルセルロースの水溶性マトリックスが、加熱滅菌にかけられた場合、その粘度の10~30%を失う、請求項1または3から5のうちのいずれか一項に記載のゲル。
【請求項8】
1.04%~1.14%のヒドロキシエチルセルロースを含む、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載のゲル。
【請求項9】
ヒドロキシエチルセルロース濃度が約1.09%であり、pHが3.0~3.4である、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載のゲル。
【請求項10】
ヒドロキシエチルセルロースが、重量平均分子量が1,000,000ダルトン~1,500,000ダルトンである、請求項1から9のうちのいずれか一項に記載のゲル。
【請求項11】
欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、100rpmでBrookField DV II+Pro Spindle 3により測定される場合、25℃で粘度が1000~2000cPである、請求項1から10のうちのいずれか一項に記載のゲル。
【請求項12】
欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、100rpmでBrookField DV II+Pro Spindle 3により測定される場合、25℃で粘度が1000~1500cPである、請求項1から11のうちのいずれか一項に記載のゲル。
【請求項13】
ヒドロキシエチルセルロースが、非ニュートン偽塑性挙動を示す、請求項1から12のうちのいずれか一項に記載のゲル。
【請求項14】
0.03~0.1g液滴の形態である、請求項1から13のうちのいずれか一項に記載のゲル。
【請求項15】
0.045~0.065g液滴の形態である、請求項1から14のうちのいずれか一項に記載のゲル。
【請求項16】
25℃および相対湿度40%で遮光して2年間の保存期間の経過後、3.0%、1.0%、0.6%、または0.4%未満のACBAを含む、請求項1から15のうちのいずれか一項に記載のゲル。
【請求項17】
20℃および相対湿度40%で遮光して6年の保存期間の経過後、0.6%または0.4%未満の総不純物を含む、請求項1から16のうちのいずれか一項に記載のゲル。
【請求項18】
0.2%または0.4%未満の総不純物を含む、請求項1から17のうちのいずれか一項に記載のゲル。
【請求項19】
a)ヒドロキシエチルセルロースおよび水を混合して、欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、BrookField DV III+Pro Spindle 3により20rpmで測定された、初期粘度が25℃で40,000cPを超える水溶性マトリックスを作製するステップと;
b)水溶性マトリックスを35または40℃を超える温度で加熱滅菌し、水溶性マトリックスの粘度を40%以下、減少させるステップと;
c)塩酸クロロプロカインを水および塩酸と混合して、35または40℃もしくはそれ以上の温度で、pHが2.4~3.2である酸性水溶液を調製するステップと;
d)35または40℃もしくはそれ以上の温度で酸性水溶液をろ過滅菌するステップと;
e)水溶性マトリックスおよび酸性水溶液を混合して、ゲルを作製するステップと;
f)容器にゲルを充填するステップと
を含む、3%塩酸クロロプロカイン眼科用ゲルを製造する方法。
【請求項20】
(i)ステップ(a)および(b)がステップ(c)および(d)の前に行われ、(ii)配合物のpHがステップ(e)の後に調整されず、および(iii)配合物の粘度がステップ(e)の後に調整されない、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
水溶性マトリックスが、欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、BrookField DV III+Pro Spindle 3により20rpmで測定した通り、加熱滅菌した後、粘度が25℃で25,000cPを超える、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
ヒドロキシエチルセルロースの水溶性マトリックスがpH6~8である、請求項19から21のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ヒドロキシエチルセルロースの水溶性マトリックスが、加熱滅菌にかけられた場合、その粘度の10~30%を失う、請求項19から22のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ゲルが、1.0%~1.25%ヒドロキシエチルセルロースおよびpH2.8~3.8になるまで適量の塩酸を含む、請求項19から23のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ゲルが、1.04%~1.14%ヒドロキシエチルセルロースを含む、請求項19から24のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ゲルが、約1.09%のヒドロキシエチルセルロース濃度およびpH3.0~3.4を含む、請求項19から25のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ヒドロキシエチルセルロースが、重量平均分子量1,000,000ダルトン~1,500,000ダルトンである、請求項19から26のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ゲルが、欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、100rpmでBrookField DV II+Pro Spindle 3により測定される場合、粘度が25℃で1000~2000cPである、請求項19から27のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ゲルが、欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、100rpmでBrookField DV II+Pro Spindle 3により測定される場合、粘度が25℃で1000~1500cPである、請求項19から28のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ヒドロキシエチルセルロースが、非ニュートン偽塑性挙動を示す、請求項19から29のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ゲルが、25℃および相対湿度40%で遮光して保存してから2年後に、3.0%、1.0%、0.6%、または0.4%未満のACBAを含む、請求項19から30のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ゲルが、20℃および相対湿度40%で遮光して6年の保存期間の経過後、0.6%または0.4%未満の総不純物を含む、請求項19から31のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ゲルが、0.2%または0.4%未満の総不純物を含む、請求項19から32のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
容器が、0.5~2グラムのゲル配合物を含む単回投与容器である、または1~25グラムのゲル配合物を含む多回投与容器である、請求項19から33のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
請求項19から34のうちのいずれか一項に記載の方法により製造されるゲル。
【請求項36】
0.2%または0.4%未満の総不純物を含む、請求項35に記載のゲル。
【請求項37】
請求項1から18または35のうちのいずれか一項に記載のゲル0.03~0.1gを含む液滴を角膜表面に適用するステップ1を含む、角膜表面に麻酔または痛覚消失を誘導する方法。
【請求項38】
第1のステップのおよそ1~5分後、ゲル0.03~0.1gを含む第2および第3の液滴をおよそ1分空けて角膜表面に適用するステップ2をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
初めてステップ2を行ってからおよそ5分後、ステップ1および2を繰り返すステップを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
液滴が、0.045~0.065gのゲルを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
第1のステップのおよそ1~5分後、ゲル0.045~0.065gを含む第2および第3の液滴をおよそ1分空けて角膜表面に適用するステップ2をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
初めてステップ2を行ってからおよそ5分後、ステップ1および2を繰り返すステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
角膜の外科的切開を伴う、眼に対する外科手技の前に行われる、請求項37から42のうちのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性の改善、薬物動態、および、特に、澄明性に関して安定性を有する、クロロプロカインの眼科用ゲル、ならびにそれを作製および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外用麻酔薬(topical anesthetics)は、日焼け、軽症熱傷、昆虫刺咬症、ツタウルシ、ウルシ、ドクウルシ、ならびに軽い切り傷および擦過創を含めた、様々な状態の軽減のために、処方箋なしで販売されている。外用麻酔薬はまた、小手術中に用いられる。歯科医は、外用麻酔薬を用いて、局所麻酔薬を注射する前に口腔組織を麻痺させ;眼科医は、外用麻酔薬を用いて、小手術および医療処置を行う場合、眼の表面を麻痺させ;耳鼻科医は、外耳道における処置を行う場合、外用麻酔薬を用いる。合衆国および欧州において外用麻酔薬として承認された分子には、その中でもとりわけ、テトラカインリドカイン、ベンゾカイン、プリロカイン、およびオキシブプロカインが含まれる。
【0003】
必要とされるものは、外用麻酔薬、特に、従来技術の配合物と比較して、機能性の改善、薬物動態、および安定性を有する、眼科用ゲルである。一貫した物理的特性、外見、および麻酔特性を有して、粘性の無菌の配合物を示す、眼科用ゲルを製造する方法もやはり必要である。
【発明の概要】
【0004】
広範囲の研究および実験後、本発明者らは、クロロプロカインの眼科用ゲル、ならびに無菌の薬物溶液相および別々の無菌のゲルマトリックスの混合に依存するゲルを作製するおよび用いる方法を開発した。したがって、第1の主な実施形態では、本発明は、粘度が25℃で25,000cPを超え、pHが場合によっては6を超える、ヒドロキシエチルセルロースの水溶性マトリックスと混合した、pH2.4~3.2の塩酸クロロプロカインの酸性水溶液を含む眼科用ゲルであって、(a)ゲルが、3%塩酸クロロプロカインを含み;(b)ゲルが、pH2.8~3.8であり;(c)マトリックス粘度が、欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、BrookField DV III+Pro Spindle 3により20rpmで測定される、眼科用ゲルを提供する。
【0005】
本発明のゲルは、投与するのに容易であり、眼の表面で依然として麻酔効果が継続し、外科手技をしやすくするために澄明なままである、液滴の形態で流動する。この流動は、非ニュートン流動および偽塑性流動であり、本配合物に用いられる特有の添加剤、および特有の製造方法の結果である。したがって、第2の主要な実施形態では、本発明は、(a)3%の塩酸クロロプロカイン;(b)1.0%~1.25%ヒドロキシエチルセルロース;(c)pH2.8~3.8になるまで適量の塩酸;および(d)水を含む非ニュートン偽塑性挙動を示す眼科用ゲルを提供する。
【0006】
第3の主要な実施形態は、眼において痛覚消失を誘導するための本発明の配合物のうちのいずれかの使用に関する。これらの方法は、角膜への小切開、超音波水晶体乳化吸引術、およびレンズ置換を伴う白内障手術と併せて行う場合、特に有用であることが判明している。したがって、第3の主要な実施形態では、本発明は、本発明のゲル0.03~0.1gを含む液滴を角膜表面に適用するステップを含む、角膜表面に麻酔または痛覚消失を誘導する方法を提供する。
【0007】
第4の主要な実施形態は、本発明の配合物を製造する方法に関する。したがって、第4の主要な実施形態において、本発明は、(a)ヒドロキシエチルセルロースおよび水を混合して、欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、BrookField DV III+Pro Spindle 3により20rpmで測定された、初期粘度が25℃で40,000cPを超える水溶性マトリックスを作製するステップと;(b)水溶性マトリックスを35または40℃を超える温度(好ましくは、60℃以下)で加熱滅菌し、水溶性マトリックスの粘度を40%以下、減少させるステップと;(c)水および塩酸と塩酸クロロプロカインを混合して、35または40℃もしくはそれ以上(好ましくは、60℃以下)の温度で、pHが2.4~3.2である酸性水溶液を調製するステップと;(d)35または40℃もしくはそれ以上(好ましくは、60℃以下)の温度で酸性水溶液をろ過滅菌するステップと;(e)水溶性マトリックスおよび酸性水溶液を混合して、ゲルを作製するステップと;(f)容器にゲルを充填するステップとを含む、3%塩酸クロロプロカイン眼科用ゲルを作製する方法を提供する。
【0008】
本発明のさらなる利点は、次の説明に一部記載され、一部は、説明から明らかである、または本発明の実行により学習することができる。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘した要素および組合せによって実現され達成される。前述の一般的な説明および次の詳細な説明が、模範的および説明的なものに過ぎず、特許請求した通り、本発明を限定するものではないということが理解されるものとする。
【0009】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する、添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を例証し、その説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のゲルについての好ましい製造方法の模式図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義および用語の使用
本出願を通して、様々な刊行物が参照される。それらの全体におけるこれらの刊行物の開示を、本発明が関連する現況技術をさらに十分に記載するために、参照により本出願に組み込む。開示される参照は、参照が利用される文中で論じられる、それらに含まれる材料について、やはり個別かつ詳細に参照により本明細書に組み入れられる。
【0012】
本明細書および特許請求の範囲において用いられる通り、別段文脈で明確に指示しない限り、単数形「a」、「an」および「the」は、複数の参照を含む。例えば、用語「医薬添加剤」とは、現在開示される配合物および方法における使用のための1種または複数の医薬添加剤を指す。
【0013】
本明細書中で用いる場合、用語「約」とは、医薬品業界において行われたおよび医薬品において固有の可変性、例えば、ばらつきおよび時間によって誘発される製品劣化の生成による製品強度の差などを補う。一実施形態では、用語は、任意のばらつきを可能にし、これにより、医薬品の実行において、その生成物が、列挙した強度と薬学的に等価または生物学的同等であると考えられると評価することが可能になるはずである。別の実施形態では、本用語は、配合物の列挙した強度または濃度の5%以内の任意のばらつきを可能にする。
【0014】
用語「治療すること」および「治療」とは、本明細書中で用いる場合、疾患、病的状態、外傷、または障害(集合的に「障害」)を治癒させる、寛解させる、安定させる、または予防する目的による患者の医学的管理を指す。本用語には、積極的治療、すなわち、障害を改善するために特に行われる治療が含まれ、原因療法、すなわち、関連する障害の原因を除去するために行われる治療もやはり含まれる。さらに、本用語には、対症療法、すなわち、障害の治癒でなく症状の軽減のために設計された治療;予防治療、すなわち、障害の発生を最小限にするまたは障害の発生を部分的にもしくは完全に抑制するために行われる治療;および支持療法、すなわち、障害を改善するために行われる別の特定の療法を補うために使用される治療が含まれる。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「治療有効量」は、所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量を指す。治療有効量または用量は、患者の年齢、性別および体重、ならびに患者の現在の医学的状態に依存する。当業者は、本開示に加えて、これらのおよび他の因子に応じて適切な投与量を決定することが可能である。
【0016】
「薬学的に許容される」とは、一般に、安全で、非毒性であり、生物学的でもなく望ましくないものでない医薬組成物を調製するのに有用であるものを意味し、獣医用用途ならびにヒトの医薬用途のために許容されるものが含まれる。「薬学的に許容される塩」とは、上記で定義される通り、薬学的に許容される、および望ましい薬理活性を有する、塩を意味する。
【0017】
化合物が遊離塩基または塩として存在するか否かを示さずに表現される場合、遊離塩基および塩の形態を含むものと理解される。同様に、化合物についての重量、投与量、または比の範囲が得られる場合、ある特定の塩が言及されない限り、その範囲が、遊離塩基または塩の重量に基づいて算出することができることを指し、その場合、その重量は、言及した塩の重量を指すということが理解される。したがって、100mgクロロプロカイン、またはクロロプロカインもしくは薬学的に許容されるその塩100mgについて言及される場合、本開示は、他の塩の中でもとりわけ、遊離塩基の重量に対する塩酸クロロプロカイン100mgまたは塩の重量に対する100mg塩酸クロロプロカインを包含することが理解される。100mg塩酸クロロプロカインについて言及される場合、本開示は、塩の重量に対する塩酸クロロプロカイン100mgを包含することのみ理解される。
【0018】
範囲がその範囲の代替の上限および下限を指定することにより本明細書で表される場合、エンドポイントが、数学的に可能である任意の方式で組み合わせることができることが理解される。したがって、例えば、50または80~100または70の範囲は、50~100、50~70、および80~100の一連の範囲として代替的に表現することができる。一連の上界および下界が、その相および/または(the phase and/or)を用いて関係させる場合、上界が、下限(lower bond)により制限されないこともあるまたは下界と組み合わせることもできるということが理解され、逆の場合も同様であると考えられる。したがって、例えば、40%超および/または80%未満の範囲には、40%超、80%未満、および40%超であるが80%未満の範囲が含まれる。
【0019】
パーセンテージ、濃度または尺度の他の単位が本明細書中で与えられる場合、尺度の単位は、別段特段の記載がない限り、重量パーセントであるということが理解される。
【0020】
重量平均分子量(Mn)は、次の式:
【0021】
【数1】
[式中、Miは、ある鎖の分子量であり、Niは、その分子量の鎖の数である]により定義される。数重量平均分子量と比較して、重量平均分子量は、分子量平均への寄与を決定する上で、ある鎖の分子量を考慮する。鎖が大きくなればなるほど、Mnに寄与する鎖が多くなる。Mnは、例えば、光散乱技法など、単なるそれらの数でなく、分子サイズに感受性がある方法により決定される。
【0022】
経時的な製剤の安定性が本明細書中で示される場合、一般に、HPLCを用いて評価されるおよび報告されるICH Q1A(R2) Stability Testing of New Drug Substances and Products (November 2003)において処方される通り、当業者に公知の標準的な方法により評価されることが理解される。
【0023】
「総不純物」とは、一般に、HPLCを用いて評価されるおよび報告されるICH Q3A(R2) Impurities in New Drug Substances (October 2006)下でさらに定義され評価される通り、塩酸クロロプロカインの合成中に形成された副生成物、精製後の塩酸クロロプロカインの合成から残存する残留不純物、および製造または貯蔵中クロロプロカインの分解により引き起こされた不純物を指す。
【0024】
主要な実施形態の考察
本発明は、追加の主要な実施形態を創出することが物理的におよび数学的に可能な任意の方式で組み合わせることができる、いくつかの主要な実施形態に基づいて定義することができる。
【0025】
第1の主要な実施形態は、粘度が25℃で25,000cPを超え、pHが場合によっては6を超える、ヒドロキシエチルセルロースの水溶性マトリックスと混合した、pH2.4~3.2の塩酸クロロプロカインの酸性水溶液を含む眼科用ゲルであって、(a)ゲルが、3%塩酸クロロプロカインを含み;(b)ゲルが、pH2.8~3.8であり;(c)マトリックス粘度が、欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、BrookField DV III+Pro Spindle 3により20rpmで測定される、眼科用ゲルを提供する。
【0026】
第2の主要な実施形態は、(a)3%の塩酸クロロプロカイン;(b)1.0%~1.25%ヒドロキシエチルセルロース;(c)pH2.8~3.8になるまで適量の塩酸;および(d)水を含む非ニュートン偽塑性挙動を示す眼科用ゲルを提供する。
【0027】
第3の主要な実施形態は、本発明のゲル0.03~0.1gを含む液滴を角膜表面に適用するステップを含む、角膜表面に麻酔または痛覚消失を誘導する方法を提供する。
【0028】
第4の主要な実施形態は、(a)ヒドロキシエチルセルロースおよび水を混合して、欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、BrookField DV III+Pro Spindle 3により20rpmで測定された、初期粘度が25℃で40,000cPを超える水溶性マトリックスを作製するステップと;(b)水溶性マトリックスを35または40℃を超える温度(好ましくは、60℃以下)で加熱滅菌し、水溶性マトリックスの粘度を40%以下、減少させるステップと;(c)塩酸クロロプロカインを水および塩酸と混合して、35または40℃もしくはそれ以上(好ましくは、60℃以下)の温度で、pHが2.4~3.2である酸性水溶液を調製するステップと;(d)35または40℃もしくはそれ以上(好ましくは、60℃以下)の温度で酸性水溶液をろ過滅菌するステップと;(e)水溶性マトリックスおよび酸性水溶液を混合して、ゲルを作製するステップと;(f)容器にゲルを充填するステップとを含む、3%塩酸クロロプロカイン眼科用ゲルを作製する方法を提供する。
【0029】
本発明は、主要な実施形態のうちのいずれかを修正することができる様々な下位実施形態(subembodiment)に関してさらに理解することができる。これらの下位実施形態は、追加の下位実施形態を創出することが数学的におよび物理的に可能である任意の方式で組み合わせることができ、主要な実施形態のうちのいずれかを修正することができる。
【0030】
配合物の下位実施形態の考察
いくつかの実施形態では、ゲルは、最終配合物中のヒドロキシエチルセルロースの濃度により特徴付けられる。したがって、いくつかの実施形態では、ゲルは、1.0%~1.25%ヒドロキシエチルセルロースを含む。他の実施形態では、ゲルは、1.04%~1.14%ヒドロキシエチルセルロースを含む。さらなる実施形態(ambodiments)では、ゲルは、最も好ましくはpH3.0~3.4で、約1.09%のヒドロキシエチルセルロース濃度を含む。
【0031】
ゲルは、そのpHによりおよび本発明の実施形態のうちのいずれかで特徴付けることもでき、ゲルは、pHが2.5~4.5、2.6~4.0、2.8~3.8、または3.0~3.4である。
【0032】
他の実施形態では、ゲルは、ゲルに用いられるヒドロキシエチルセルロースにより特徴付けられる。いくつかの実施形態では、ヒドロキシエチルセルロースは、重量平均分子量が、800,000~2,000,000ダルトン、1,000,000ダルトン~1,500,000ダルトン、1,250,000~1,350,000ダルトン、または約1,300,000ダルトンである。本発明の実施形態のうちのいずれかでは、ヒドロキシエチルセルロースは、好ましくは、非ニュートン偽塑性挙動を示す。
【0033】
ゲルは、欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、100rpmでBrookField DV II+Pro Spindle 3により測定される場合、その粘度により特徴付けることもできる。したがって、いくつかの実施形態では、ゲルは、粘度が、25℃で1000~2000cPである。さらなる実施形態では、ゲルは、粘度が、25℃で1000~1500cPである。別の実施形態では、ゲルは、粘度が、25℃で1500~2000cPである。
【0034】
ゲルは、完成した配合物中の著しく低レベルのACBA(4-アミノ-2-クロロ安息香酸)により特徴付けることもでき、様々な実施形態では、ゲルは、3.0%未満のACBA、1.0%未満のACBA、0.4%未満のACBA、0.2%未満のACBA、0.1%未満のACBA、さらに0.05%未満のACBAを含む。これらの図は、同様に製品の製造完了時におよび25℃および相対湿度40%で遮光して保存してから2年後を含めた、製品の有効期間中適用される。
【0035】
ゲルは、製品の製造完了時にならびに製品の有効期間中に、(本明細書中で定義した通り)その著しく低レベルの総不純物により特徴付けることもできる。したがって、例えば、本明細書中で記載される実施形態のうちのいずれかにおいて、ゲルは、好ましくは、20℃および相対湿度40%で遮光して6カ月の保存期間の経過後、0.6%または0.4%未満の総不純物を含む(compriuses)。製造後任意の時点で、ゲルは、好ましくは、0.4%未満の総不純物を含む。
【0036】
治療の方法
本配合物は、角膜表面において局所麻酔または痛覚消失を誘導するために有効であることが判明しており、眼球手術中または角膜擦過傷または外傷に応答して用いることができる。本発明を実行するために特に適当な手術には、例えば、白内障手術、黄斑症のための治療、従来の緑内障手術、硝子体切除、糖尿病性腎症のための手術、ならびにレーザー支援インサイツ角膜切削形成術およびレーザー屈折矯正角膜切除術を含めた様々なレーザー手術が含まれる。これらの配合物は、眼における局所痛覚消失または麻酔を誘導し、これらの配合物は、重大な刺激性を誘発せずにそれを行う。
【0037】
好ましい外科手技は、老人性または初老期白内障の除去のための超音波水晶体乳化吸引術であり、これらには、角膜を通した切開術、嚢切開、超音波水晶体乳化吸引術、および眼内レンズ挿入術が含まれる。
【0038】
好ましい投薬レジメンは、次の通りである。
- 第1の点眼(Drop instillation)、次いで、約5分間待つ
- 眼の消毒、次いで、約2分間待つ
- 第2の点眼、次いで、約1分間待つ
- 第3の点眼、次いで、約1分間待つ
- 手術の開始。
【0039】
2つの他の好ましい投薬レジメンは、次の通りである。
・3滴(毎分±15秒で1回滴下注入)
・3+3滴(第1の3滴を毎分±15秒で1回滴下注入、次いで、約5分間待った後、新たに、最後の3滴を毎分±15秒で滴下注入)
【0040】
代替的に、液滴は、手術前または手術中に、医師の判断で滴下注入することができる。製品の安全性は、手術前または手術中、任意の時点で、1~10滴を投与することを支持している。
【0041】
好ましい液滴サイズは、0.03~0.1g、0.03~0.08g、または0.045~0.065gの範囲であり、第1の液滴を滴下注入して少なくとも10分以内に、眼房水、角膜、および結膜(conjuctivae)中で、クロロプロカインの薬学的に有効な濃度を好ましくは誘発し、最後の液滴を滴下注入して少なくとも30、45、または60分後まで持続する。
【0042】
製造の方法
主要な実施形態で述べた通り、本発明のゲルは、一実施形態では、(a)ヒドロキシエチルセルロースおよび水を混合して、欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、BrookField DV III+Pro Spindle 3により20rpmで測定された、初期粘度が25℃で40,000cPを超える水溶性マトリックスを作製するステップと;(b)35または40℃を超える温度で、水溶性マトリックスを加熱滅菌し、水溶性マトリックスの粘度を40%以下、減少させるステップと;(c)塩酸クロロプロカインを水および塩酸と混合して、35または40℃もしくはそれ以上(好ましくは、60℃以下)の温度で、pHが2.4~3.2である酸性水溶液を調製するステップと;(d)35または40℃もしくはそれ以上(好ましくは、60℃以下)の温度で酸性水溶液をろ過滅菌するステップと;(e)水溶性マトリックスおよび酸性水溶液を混合して、ゲルを作製するステップと;(f)容器にゲルを充填するステップより作製される。別の実施形態では、ゲルは、粘度が25℃で25,000cPを超え、pHが場合によっては6を超える、ヒドロキシエチルセルロースの水溶性マトリックスと、pH2.4~3.2の塩酸クロロプロカインの酸性水溶液を混合することにより作製される。本発明のさらなる実施形態では、前述の製造パラメーターは、次の通り変えることができる。
・マトリックスの初期粘度は、欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、BrookField DV III+Pro Spindle 3により20rpmで測定した通り、25℃で20,000、30,000、40,000、または50,000cPを超えることができるが、好ましくは25℃で100,000または60,000cPを超えない。
・水溶性マトリックスは、35、40、45または50℃を超える温度で、好ましくは、35~45℃(好ましくは、60℃以下)の範囲で、最も好ましくは、約40℃で加熱滅菌することができる。
・水溶性マトリックスの加熱滅菌によって、その粘度を、40%、35%、または30%以下、好ましくは、5%~40%または10%~30%の範囲で、好ましくは減少させる。
・加熱滅菌後の水溶性マトリックスの粘度は、欧州薬局方2016年版のセクション2.2.10に記載される通り、BrookField DV III+Pro Spindle 3により20rpmで測定した通り、加熱滅菌した後、25℃で15,000、20,000、25,000、または30,000cPを好ましくは超えるが、25℃で60,000または40,000cPを好ましくは超えない。
・水溶性マトリックスのpHは、好ましくは、アルカリ性(すなわち、7~8)であるが、5~9、6~8、または6.5~7.5の範囲でもよい。
・酸性水溶液は、35、40、45または50℃を超える(好ましくは、60℃以下の)温度で、好ましくは、35~45℃の範囲で、最も好ましくは、約40℃で調製することができ;
・酸性水溶液は、HClを加えることにより、pH2.2~4.0、2.4~3.5、2.4~3.2、2.5~3.0、または2.6~2.8で調製することができる。
・酸性水溶液は、35、40、45または50℃を超える(好ましくは、60℃以下の)温度で、好ましくは、35~45℃の範囲で、最も好ましくは、約40℃で、および好ましくは、0.22ミクロンフィルターを通してろ過滅菌することができ;
・酸性水溶液対ゲルマトリックスの重量比は、好ましくは、30:70~70:30の範囲である。
【0043】
本発明のさらなる実施形態は、本発明の製造の方法におけるステップの順序、およびいくつかのネガティブな条件に関する。したがって、他の実施形態では、本発明の製造の方法において、次の追加の条件のうち1つ、2つ、または3つすべてを満たす。(i)ステップ(a)および(b)はステップ(c)および(d)の前に行われ、(ii)配合物のpHはステップ(e)の後に調整されず、および/または(iii)配合物の粘度はステップ(e)の後に調整されない。
【0044】
さらなる実施形態は、ゲルを包装するために用いる容器に関する。したがって、いくつかの実施形態では、容器は、0.5~2グラムのゲル配合物を含む単回投与(monodose)容器である。他の実施形態では、容器は、1~25グラムのゲル配合物を含む多回投与容器である。
【実施例
【0045】
次の例において、数(例えば、量、温度など)に関して精度を保証するよう努めているが、一部の誤差および偏差は、考慮されるべきである。次の例は、本明細書中で請求される方法をどのように用い、作製し、評価することができるかの完全な開示および説明を当業者に提供するために示され、本発明の純粋な模範であることを意図しており、本発明者らが、これらの発明と考えるものの範囲を限定することを意図していない。
【実施例1】
【0046】
配合物の製造
表1中の準定量的配合物を有する3%クロロプロカインゲル(CHLO-1708-L02)を、次の追加された詳細と共に、図1に示した、模式図に従って製造する。
・API相を、およそ40℃で保持し、API相の無菌ろ過を、およそ40℃の温度で行い;
・API相は、クロロプロカインHCl1g当たりおよそ0.06~0.07gを含有し;
・API相を、0.22ミクロンフィルターにより溶液を通すことにより、ろ過滅菌し;
・1N HClを、API相に加えて、pH3.04を得;
・ゲル(マトリックス)相を、およそ40℃で加熱滅菌し;
・ゲル(マトリックス)相は、初期粘度が48,000であり、加熱滅菌中33,920(-29.3%)まで低下し;
・ゲル(マトリックス)相は、初回pHが7.31であり、滅菌中7.06まで低下し;
・API相をゲル相後調製し;
・APIおよびゲル相が組み合わされた後に、アルカリ性薬剤または酸性薬剤を配合物に加えることによる、pH修正がなく;
・得られた生成物は、非ニュートン挙動および高度の偽塑性を示した。
【0047】
製造中および配合物の完成後、配合物の粘度測定を行った。ゲル/マトリックス相におけるすべての粘度測定を、水浴温度25±0.5℃で15分間で、速度20rpmおよび実行時間2分で、Brookfield DV III Viscosimeterまたは相当物を用いて行った。完成したゲルに関するすべての粘度測定を、水浴温度25±1℃で15分間、速度100rpmおよび実行時間5分で、Brookfield DV II Viscosimeterを用いて行った。
【0048】
【表1】
【0049】
完成した生成物は、粘度がおよそ1247~1260cPであり、重量オスモル濃度が152~158mOsmol/kgの間であり、ACBA不純物含有量が0.04~0.05%であった。
【実施例2】
【0050】
安定性試験
さらなる試験を行って、溶液中のACBA不純物の産生に基づいて、表2a、2b、および2cにおいて報告した通り、様々な温度およびpH調整におけるAPI相の安定性を決定した。
【0051】
【表2a】
【0052】
【表2b】
【0053】
【表2c】
【0054】
示すことができる通り、API相の温度を40℃で維持した場合、より澄明な溶液を得、ゲル/マトリックス相と組み合わせる前に、API相のpHをおよそ3.0に調整した。
【実施例3】
【0055】
完成した配合物の安定性試験
実施例1に記載した配合物を、遮光して25℃および相対湿度40%で保存してから6カ月後、安定性について試験した。安定性分析を行うための方法を、表3a中に記載する。安定性検査の結果を、表3bに記載する。
【0056】
【表3a】
【0057】
【表3b】
【実施例4】
【0058】
実施例1配合物の薬物動態試験;単一用量投与
試験を、白いアルビノウサギ42匹(2~2.5kg)の右眼に、実施例1に記載したゲルの体積50μlを滴下注入すること、検眼鏡によって、刺激性または毒性について目視検証すること、動物を安楽死させること、眼房水、角膜、および結膜からサンプルを抽出すること、ならびにクロロプロカイン含有量についてサンプルを分析することにより行った。必要な場合、組織濃度を、表4中に報告した通り、バリデーションされた濃度範囲外で、試験結果を外挿することにより算出した。
【0059】
【表4】
【0060】
薬物は、検眼鏡下で眼の刺激性を評価する、ドレーズ法に対して十分な耐容性を示した。わずかな結膜の発赤(スコア1/3)を、次のウサギについて安楽死の直前に観察した。眼を治療したウサギ5および6(投与の10分後)、眼が未治療のままのウサギ9(投与の20分後)、眼を治療したウサギ15(投与の30分後)、眼を治療したウサギ24(投与の45分後)、眼を治療したおよび治療しなかったウサギ30(投与の60分後)、眼を治療したウサギ37(投与の90分後)。
【実施例5】
【0061】
実施例1配合物の薬物動態試験;2回用量投与
本試験の目的は、10分-間隔で、アルビノウサギの右眼におけるクロロプロカイン点眼ゲルの実施例1の配合物の2回滴下注入後、それに続いて、RRLC-MS/MS分析後、眼房水、角膜および結膜(眼球および眼瞼)眼組織中のクロロプロカインのPKプロフィールに関するデータを得ることであった。これらの結果を、表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
異常な挙動または不健康な兆候は、in-vivo相中、任意の動物について見出されなかった。
【0064】
他の実施形態
本発明の他の実施形態は、本明細書および本明細書中に開示された本発明の実行の考慮から、当業者に明らかである。本明細書および例が、模範的なもののみとして考えられ、本発明の真の範囲および精神が次の特許請求の範囲により示されることが意図される。
図1
【国際調査報告】