(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-09
(54)【発明の名称】船舶の排気物質に対する自律式リアルタイム二酸化硫黄および二酸化炭素監視装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3504 20140101AFI20230427BHJP
F01N 3/021 20060101ALI20230427BHJP
F01N 3/00 20060101ALI20230427BHJP
H02N 11/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
G01N21/3504
F01N3/021
F01N3/00 Z
H02N11/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556608
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(85)【翻訳文提出日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 US2021022565
(87)【国際公開番号】W WO2021188538
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522369511
【氏名又は名称】シーアルクトス ホールディングス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】コール,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ウィルクス,アシュレイ
(72)【発明者】
【氏名】マクブレーン,ロバート ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】アレン,マイケル ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】マッキー,シャノン
(72)【発明者】
【氏名】クルクンディス,ジョン エム.
【テーマコード(参考)】
2G059
3G091
3G190
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059CC06
2G059DD12
2G059EE01
2G059EE12
2G059HH01
2G059JJ02
2G059KK01
3G091AA04
3G091AB13
3G190AA05
3G190CA01
(57)【要約】
【解決手段】海洋二酸化硫黄排出物切り替え監視システムは、電源内蔵式であり、動作に必要な電力が少ない排出物サンプリング装置を備えている。排出物サンプリング装置は、二酸化硫黄と二酸化炭素を定量化し得る高感度かつ選択的な化学感知技術を採用している。排気ガスの監視には、二酸化硫黄、二酸化炭素に加えて、相対湿度、温度および圧力センサーが使用される。フィルターは、船舶用エンジンの排気において固体および液体のエアロゾル化成分を取り除くために使用される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出物サンプリング装置を使用して海洋船舶の少なくとも1つの排気筒からの排気ガスの自律式サンプリングの方法であって、該方法は、
コンピュータによって、前記排出物サンプリング装置から排気物質データおよび診断データを受信し、リポジトリに保存する工程と、
前記コンピュータによって、距離と時間に対する炭素排出物率を算出する工程と、
前記コンピュータによって、前記海洋船舶の特定位置で前記海洋船舶によって燃焼された燃料中の硫黄排出物率を算出する工程と、
前記コンピュータによって、前記海洋船舶の特定位置が規制区域であるか否かを判定する工程と、
規制区域内の前記海洋船舶の各特定位置について、前記コンピュータによって、算出された硫黄排出物率が許容範囲内であるか否かを判定する工程と、
前記算出された硫黄排出物率が許容範囲内にある規制区域内の前記海洋船舶の各特定位置について、前記コンピュータによって、前記特定位置での燃料遵守に関する通知をユーザに送信する工程と、
前記算出された硫黄排出物率が許容範囲外にある前記規制区域内の前記海洋船舶の各特定位置について、前記コンピュータによって、前記排出物サンプリング装置が所定のパラメータ内で機能しているか否かを判定し、および前記排出物サンプリング装置が所定のパラメータ内で機能している場合、前記コンピュータによって、前記算出された硫黄排出物率および前記規制区域内の非遵守に関する通知をユーザに送信する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記排出物サンプリング装置が前記所定のパラメータ外で機能している場合、前記コンピュータは、前記算出された硫黄排出物率および前記排出物サンプリング装置の機能不良に関する通知をユーザに送信し、かつ前記海洋船舶に交換用の排出物サンプリング装置を送る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記排気物質データは、日付、時間、緯度と経度、二酸化硫黄センサー値、二酸化炭素センサー値、排気ガスのガス湿度と排気ガス圧力を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記排気物質データは、前記排出物サンプリング装置の海抜、前記海洋船舶の速度、前記海洋船舶の方位、および前記海洋船舶によって使用される燃料タイプをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
排出物サンプリング装置からの診断データは、前記排出物サンプリング装置の集熱器内の温度、前記排出物サンプリング装置の蓄電池電圧、前記排出物サンプリング装置の熱電発電機電圧、前記排出物サンプリング装置のジオロケーション、前記排出物サンプリング装置のプレフィルターまたは層状フィルターの中に存在するフィルター圧力、および前記排出物サンプリング装置の不正使用検出回数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ユーザは、前記海洋船舶の所有者、法執行機関、環境規制機関、または前記海洋船舶上にいるその他の者である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
海洋船舶の排気筒からの排気物をサンプリングするための排出物サンプリング装置であって、
排気ガスから微粒子を除去するためのプレフィルターであって、前記海洋船舶の前記排気筒内に排気入口を有する第1端部、出口を有する第2端部、ならびに前記排気入口と出口との間のフィルターを含む、プレフィルターと、
前記プレフィルターの第2端部で前記出口に接続された第1端部および第2端部を有する排気ガスを冷却するためのコンデンサー要素であって、前記コンデンサー要素は、スリーブに囲まれた多孔質管を含むコンデンサー要素と、
前記コンデンサー要素の前記第2端部に接続された、排気ガスから微粒子を除去するための層状フィルターであって、前記層状フィルターは、入口フランジに接続された入口、少なくとも第1ガスケット、少なくとも第1フィルター、ならびに排気フランジに接続された排気部を含む層状フィルターと、
前記層状フィルターの排気部に接続された入口、ならびに排出物サンプリング装置からガスを排出物するための排気出口を有する、排ガス中の二酸化硫黄および二酸化炭素レベルを判定するためのガス吸収セルであって、前記ガス吸収セルは、反射器と赤外線源を含むエミッタを有する第1端部、少なくとも1つの検出器および少なくとも2つのパスバンドフィルターを有する第2端部を有し、前記パスバンドフィルターの1つは二酸化炭素に特化し、前記パスバンドフィルターのもう1つは二酸化硫黄に特化しており、前記ガス吸収セルの前記第1端部と前記ガス吸収セルの前記第2端部は、前記ガス吸収セルの前記第1端部と前記ガス吸収セルの前記第2端部の間の長さに及ぶサンプルガスチャンバによって分離されている、ガス吸収セルと、
排気ガスを、前記海洋船舶の前記排気筒から前記プレフィルター、前記コンデンサー要素、前記層状フィルター、前記ガス吸収セルを通して、および排気出口の外に送り出すためのポンプと、
前記ガス吸収セルから二酸化硫黄と二酸化炭素レベルを受信し、および前記ポンプを制御するためのプロセッサと、
前記プロセッサ、前記ポンプ、前記プレフィルター、前記コンデンサー要素、前記層状フィルターおよび前記ガス吸収セルを囲むハウジングと、を含む排出物サンプリング装置。
【請求項8】
ハウジング内に備えられる、かつプロセッサとポンプとの通信状態にある電力管理システムおよびバッテリバックアップをさらに含む、請求項7の排出物サンプリング装置。
【請求項9】
前記海洋船舶の前記排気筒内の集熱器であって、前記排気筒内の排気ガスの熱を収集するために、スペーサーによって離間された複数のフィンを備えた少なくとも2つのヒートチューブを含む、集熱器と、
前記集熱器に熱媒体を介して接続された熱電発電機と、
前記熱媒体と前記熱電発電機との間の熱シールドと、
前記熱電発電機および前記集熱器から受け取った熱を放散させるために前記熱電発電機に接続されたヒートシンクと、
前記集熱器と前記ヒートシンクの間の熱の冷却および放散からの電位を受け入れるために、前記熱電発電機と前記電力管理システムに接続されたコネクターと、をさらに含む、請求項8に記載の排出物サンプリング装置。
【請求項10】
前記コネクター、前記ヒートシンク、前記熱シールドおよび前記熱電発電機は、前記排出物サンプリング装置の前記ハウジングにマウントされたヒートシンクハウジングによって囲まれる、請求項9に記載の排出物サンプリング装置。
【請求項11】
前記プロセッサと通信状態にあるモデムをさらに含む、請求項7に記載の排出物サンプリング装置。
【請求項12】
前記層状フィルターの前記入口フランジと前記出口フランジとの間で、第1ガスケット、第1フィルター、第2ガスケット、第2フィルター、第3ガスケット、第3フィルター、第4ガスケットおよび第4フィルターが設けられている、請求項7に記載の排出物サンプリング装置。
【請求項13】
前記第1フィルターは、排気ガスから10ミクロンの微粒子を濾過し、前記第2フィルターは、排気ガスから1ミクロンの微粒子を濾過し、および前記第3フィルターは、排気ガスから0.45ミクロンの微粒子を濾過する、請求項12に記載の排出物サンプリング装置。
【請求項14】
二酸化硫黄用の前記パスバンドフィルターは、7.3ミクロンであり、および二酸化炭素用の前記パスバンドフィルターは、4.45ミクロンである、請求項7に記載の排出物サンプリング装置。
【請求項15】
前記パスバンドフィルターは、7.85ミクロンの二酸化硫黄基準フィルターおよび4.65ミクロンの二酸化炭素基準フィルターをさらに含む、請求項14に記載の排出物サンプリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、「MARITIME SULFUR DIOXIDE EMISSIONS SWITCH AND MONITORING SYSTEM」と題された2020年3月16日出願の米国仮特許出願第62/990,226号、および「AUTONOMOUS REAL-TIME SULFUR DIOXIDE AND CARBON DIOXIDE MONITOR FO MARINE EXHAUST EMISSIONS」と題された2020年11月5日出願の米国仮特許出願第63/110,159号に開示された1つまたは複数の発明を請求するものである。これら米国仮特許出願における米国特許法第35巻第119条(e)の下での利益は、本明細書によって請求され、前述の出願は、引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、環境センサーの分野に関する。より具体的には、本発明は、船舶の排気物質中の二酸化硫黄および二酸化炭素を自律的にリアルタイムで監視するためのセンサーとその使用方法に関する。
【0003】
海運業界は、国際海事機関(IMO)による二酸化硫黄(SO2)排気物質規制の対象になっている。これらの規制を執行する役割を担う世界中の沿岸警備隊には、規制違反を発見するための選択肢がほとんどない。存在する選択肢は費用を要し、非常に限られた範囲でしか提供されない。とりわけ、米国沿岸警備隊(USCG)および英国海洋沿岸警備隊(MCA)の沿岸警備隊は、規制遵守を監視する有効な手段がなく、監視が必要な船舶の特定を支援するためのシステムを希望することを公言した。規制は2020年1月1日に強化される予定である。
【0004】
SOx排気物質は、排気ガス浄化装置などのあらゆる緩和プロセスを行わない限り、燃料中の硫黄含有量に直接相関する。事実上、燃料の硫黄濃度は排気ガス硫黄濃度に代わるものとなり、この理解は燃料転換規制により反映されている。
【0005】
この規制により、排気ガス浄化装置を備えていない船舶は、航行中の区域に準拠する燃料への切り替え、遵守行動の記録が義務付けられている。この法律では、船舶はSO2排出物規制区域(SECA)の内外で異なる濃度の低硫黄燃料を燃焼すること、および検査中に確認できるよう燃料切り替え事象の運行記録を保存することが義務付けられている。運行記録に記載されている燃料切り替えが実際に行われたことの確認は冗長で不正確なプロセスであり、これに際して罰金と収監が考慮される。
【0006】
ドローン、飛行機、または橋に取り付けたセンサーのいずれかにより、疑わしい船を検出するために船上の空気を「嗅ぎ分ける」さまざまな試みは、効果が薄く、範囲が限られ、費用を要する事が多いと証明されている。
【0007】
常設の船舶搭載センサーが全体的に有効である。しかし、燃料試験に匹敵するほどの精度を有する実験室等級の感知装置は、設置と維持に非常に多くの費用を要し、必須用途として考慮するには許容できない状況である。
【0008】
この状況では、世界中の沿岸警備隊は、自身の注意を向ける場所を把握するのに有効な手段を持てないままとなる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、海洋での二酸化硫黄排出の切り替えを監視するシステムは、電源内蔵式であるとともに動作に必要な電力が少ない排出物サンプリング装置を有する。排出物サンプリング装置は、化学的に複雑な試料マトリックス中の二酸化硫黄(SO2)と二酸化炭素(CO2)の定量化が可能である高感度かつ選択的な化学感知技術を有する。SO2とCO2に加えて、相対湿度、温度、および圧力のセンサーを含む定量化アルゴリズムが、排気ガスの監視に使用される。フィルターは、船舶用エンジンの排気物中の固体および液体のエアロゾル化成分を除去するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】海洋での二酸化硫黄排出の切り替えを監視するシステムの概観を示す図である。
【
図3a】二酸化硫黄排出装置のプレフィルター、排気ガスフィルター・センサー・サブシステム、およびポンプの第1図を示す。
【
図3b】二酸化硫黄排出装置のプレフィルター、排気ガスフィルター・センサー・サブシステム、およびポンプの代替図を示す。
【
図4】
図3a~
図3bのプレフィルターの拡大を示す図である。
【
図6】排気ガスフィルター・センサー・サブシステムのガス吸収セルを示す図である。
【
図7】船舶の排気物質中の二酸化硫黄と二酸化炭素を自律的にリアルタイムで監視する方法のブロック図を示す。
【
図8a】単一ファンネルからなる一対の筒の前面への取り付けによる設置の選択肢を示す図である。
【
図8b】単一ファンネルからなる複数の筒の船外側への設置を示す図である。
【
図8c】湾曲排気筒上への取り付けの選択肢を示す図である。
【
図8d】単一ファンネルからなる複数の筒の背面への取り付けの選択肢を示す図である。
【
図8e】複数の筒にセンサーユニットを設置した複数のファンネルを示す図である。
【
図8f】複数の排気筒を備えたクルーズ船のファンネル、およびセンサーユニットの取り付けを示す図である。
【
図10】熱電発電機(TEG)およびヒートシンクの平面図を示す。
【
図11】例示的な実施形態が実装され得る、船上の二酸化硫黄排出装置の内部構成要素と、監視センターに関連付けられるコンピュータとを例示する図である。
【
図12】船舶データをクライアントに伝えるためのユーザインタフェースの一例を示す図である。
【
図13】船舶がSECA境界を通過する際の戦略例のスケッチを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載される装置と方法により、確認が最も困難な規制遵守である燃料切り替えの態様が、SO2排出物規制区域(SECA)境界に対して事実上正確に実行されていることを判定することができる。このセンサーシステムは、SECA境界で燃料切り替えが適切に行われたことを第三者が不変的に検証することにより、義務付けられた運行記録を裏付けするのに使用することができる。タンクに投入されているものを把握するのは依然として運航会社の責任であるため、船舶が適合燃料を燃焼していることを断言できないが、燃料システムが汚れている場合など、硫黄濃度が不意に変化するような場合には不規則な読み取り値が表示される。この情報は、船舶の運航会社が取締りに対し不服申し立てをするのに、かつ取締り担当者の検査労力を大幅に削減するのに有益である。
【0012】
本システムは、船舶においていつ燃料が切り替えられたかを検知することができ、規制遵守船舶に対しては、その運行記録入力を確認することとなる。
【0013】
コストが低く消費電力が少ないSO2センサーは、燃料硫黄適合試験に必要な精度で排気物中のSO2濃度を算出するのに必要なppm値の範囲を報告するのに十分に広い範囲を有していない。現在の規制では、SECA境界外の中層海域のSO2排出濃度は3.5%(35,000ppm)とされている。2020年1月1日、その水準は0.5%(5000ppm)に下げられる。SECAの境界内の海岸および港の近くでは、現在も今後も上限は0.1%(1000ppm)のままである。
【0014】
燃焼プロセスにより、排気ガス中のSO2は、0.1%の硫黄燃料を燃焼させると体積比で約20ppm、および0.5%の硫黄燃料を燃焼させると体積比で約100ppmに減少する。本発明の実施形態により対処される課題の1つは、おおよその燃料硫黄含有量を判定し、国際海事機関(IMO)への遵守または非遵守を確立するように、化学的に複雑な排気マトリックスにおいてこれらのレベルでSO2を検出および/または定量化することである。
【0015】
本発明の実施形態では、海洋船舶の筒排気ガスは、事前にプログラムされた間隔でサンプリングされ、プレフィルターで前処理されることで、粒子状物質(PM)が除去され、水蒸気量(WVC)と地域の環境が均衡に保たれる。サンプリングはポンプによって行われ、これにより排気ガスは排出物サンプリング装置の排気ガスセンサーサブシステムに引き込まれる。排気ガスセンサーサブシステムは、中赤外スペクトル帯域中のCO2、SO2それぞれの帯域中心に反応するように調整された非分散型赤外吸収分光器(NDIR-AS)によって、排気ガスのCO2とSO2を測定する。非標的ガス特有の基準帯域は、内部基準、およびSO2検出帯域のWVCバックグラウンド補正に使用される。排出物サンプリング装置は、熱電発電機(TEG)により自己動力式であり、この熱電発電機は排気筒ガスと侵入防止された排気ガスセンサーサブシステムとの間の温度差により駆動される。TEGはまた、例えば、船舶の入港時にエンジン負荷が低い、または無いなどの理由でTEGが供給を行うことができないとき、排出物サンプリング装置に電力を供給するバックアップバッテリーの充電を維持する役割を果たす。排出物サンプリング装置はさらに、エンジンを長期間アイドリング状態とする時には自動的にスリープ状態に切り換わり、運転時に再び起動することがさらに可能である。排出物サンプリング装置は、汎地球測位システム(GPS)をさらに含み、CO2とSO2の測定データやその他のデータを通信リンク上、疑似リアルタイムに送信することができる。
【0016】
排出物サンプリング装置は、設置面積が小さく、自己動力式であり、メンテナンスフリーである。
【0017】
排出物サンプリング装置は、好ましくは、2~500ppm体積(燃料硫黄含有量(FSC)が0.1%~3.5%未満に相当)の範囲内の排気SO2含有量を判定することができる。この範囲は、超低硫黄燃料油(ULSFO)、極低硫黄燃料油(VLSFO)、および重油燃料(HFO)による、あらゆるエンジン負荷条件下での燃焼への用途をカバーする。排気CO2含有量の検出範囲は、好ましくは体積比で2~5%の間である。
【0018】
1つの実施形態では、サンプリングは約60分以下の間隔で、または、海洋船舶がモニタリング対象のSECA境界から20海里未満にあるときには別の間隔で行われる。他のサンプリングスキームも実装されてよい。
【0019】
概要
図1は、海洋二酸化硫黄排出物切り替え監視システム(1)の概観を示す。
【0020】
排出物サンプリング装置(10)は、海洋船舶上のファンネルの少なくとも1つの排気筒にマウント(4)を介して取り付けられる。
【0021】
図2a~
図2eを参照すると、排出物サンプリング装置(10)は、排出物サンプリング装置(10)のサブシステムを囲むとともに、ほこりや空気中の塵埃粒子から保護するハウジング(161)を有する(IP66またはNEMA 4x定格)。ハウジング(161)は、ヒートシンク(8)および熱電発電機(TEG)(6)を囲むヒートシンクハウジング(162)に接続される。TEG(6)は、海洋船舶の排気筒内に排出物サンプリング装置(10)を接続して配置するために、マウント(4)に隣接する集熱器(130)に接続される。集熱器(130)は、集熱器ハウジング(131)に囲まれてもよい。集熱器(130)は、排気筒に設置されると、排気筒からの排気ガス流内に存在する。ハウジング(161)内には、プレフィルター(12)、ポンプ(22)、排気ガスセンサーサブシステム(20)、電子機器ドライバーおよびプロセッサ(12)、衛星モデム(14)、汎地球測位システム(16)、ならびに電力管理およびバッテリバックアップシステム(24)も存在する。
【0022】
再び
図1を参照すると、排気筒からの排気ガス(50)は、排出物サンプリング装置(10)のプレフィルター(12)の入口を通ってポンプ(22)により圧送される。プレフィルター(12)は、以下にさらに詳しく論じられるコンデンサー要素も含む。排気ガス(51)がプレフィルター(12)を通過した後、排気ガスは、少なくとも二酸化硫黄含有量、二酸化炭素含有量、排気ガスの温度、排気ガスの圧力、および相対湿度を測定する排気ガスセンサーサブシステム(20)に入り込む。その後、排気ガス(52)は、ポンプ(22)を介して圧送され、排気ガスセンサーサブシステム(20)のガス吸収セルの排気出口を通って排出物サンプリング装置(10)の外部から排気される。
【0023】
排出物サンプリング装置(10)はさらに、排気ガスセンサーサブシステム(20)、ポンプ(22)、および衛星モデム(14)からのデータを制御、処理、かつ保存するための電子ドライバーおよびプロセッサ(18)を有している。ポンプ(22)、電子ドライバーおよびプロセッサ(12)、ならびに排気ガスセンサーサブシステム(20)はさらに、電力供給のためにTEG(6)と通信状態にある電力管理およびバッテリーバックアップシステム(24)に接続される。
【0024】
全地球測位システム(GPS)(16)からの位置情報はさらに、衛星モデム(14)に提供され、他のデータと共にネットワーク(28)上で監視センター(30)に送信される。ネットワーク(28)は、銅線、光ファイバー、無線送信、ルーター、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、および/またはエッジサーバーを含んでよい。
【0025】
海洋船舶上の排出物サンプリング装置(10)は、衛星(26)および/または無線通信(27)によるネットワーク(28)を介して、監視センター(30)と通信状態にある。
【0026】
熱電発電機(TEG)
図9および
図10を参照すると、ヒートシンクハウジング(162)内には、熱電発電機(TEG)(6)、およびヒートシンク(8)が存在している。TEG(6)とヒートシンク(8)の出力は、排出物サンプリング装置(10)に電力を供給する電力管理およびバックアップシステム(24)に電力を供給する電源コネクタ(133)である。
【0027】
集熱器(130)は、集熱器(130)とTEG(6)を最小限の離隔で共に固定するように、例えば、クランプとネジ(175)を使用してヒートシンクハウジング(162)とTEG(6)に固定される。集熱器(130)とヒートシンクハウジング(162)の間に断熱材が存在してもよい。集熱器(130)は排気筒の排気ガス内に配される。集熱器(130)は、複数のフィン(171a)、(171b)、(171c)、(171d)、(171e)がスペーサー(172a)、(172b)、(172c)、(172d)、(172e)によって離間された少なくとも2つのヒートパイプ(170a)、(170b)を含む。
【0028】
海洋船舶の内燃機関は、運転時に排気ガス筒から排気ガスを排出し、その排気ガスは一般的に温度が上昇していることが特徴である。集熱器(130)のフィン(171a)、(171b)、(171c)、(171d)、(171e)は、排気ガス筒の排気ガスから直接熱を収集し、ヒートパイプ(170a)、(170b)を介して熱を伝達する。ヒートパイプ(170a)、(170b)から、熱は熱シールド(174)を通してTEG(6)およびヒートシンク(8)に熱を伝達する熱媒体(173)に伝達される。熱シールド(174)は、熱媒体(173)とTEG(6)の間で存在している。熱シールド(174)は、ヒートシンク(8)の有効性を改善するために熱を遮断する。ヒートシンク(8)に提供される熱は、熱放散面(8a)で放散される。熱的キャリア(173)は、高温で排気ガス筒によって、および低温でヒートシンク(8)によって境界付けられて、電位を発生させる2つの異種導電体を含む。TEG(6)は、ヒートシンク(8)の熱放散面(8a)を介して冷却および熱の放散を行いながら電力を生成し、蓄積され、電力管理およびバッテリバックアップシステム(24)に転送され、および/またはコネクタ(133)を介して排出物サンプリング装置(10)に直接電力を供給することができる電位を生成する。ヒートシンク(8)は、TEG(6)から熱を取り込む。
【0029】
TEG(6)は、他の自己発電オプションに置き換えることができ、そのオプションは太陽光発電または風力発電を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0030】
電力管理とバッテリバックアップシステム(24)は、排出物サンプリング装置(10)のバッテリーの電圧および環境仕様に応じて、TEG(6)からのバッテリー充電を制御する。時間および温度による電圧および電流の監視に基づく充電状態の算出は、電力管理とバッテリバックアップシステム(24)によって行われる。充電状態値により、バッテリーが不良品または低充電状態の時に警告を発することが可能になる。
【0031】
排気ガス流
図3a~
図3bは、二酸化硫黄排出物装置のプレフィルター、排気ガスフィルター・センサー・サブシステムおよびポンプを示す。排気ガス流は矢印によって示される。
【0032】
一般的に、排気ガスは、ポンプ(22)によってプレフィルタ(4)を通って送り出される。プレフィルター(4)から、排気ガスは、コンデンサー要素(33)を通って層状フィルター(34)へと移動する。層状フィルター(34)から、排気ガスは、ガス吸収セル(35)を通って、排出物サンプリング装置(10)の外に排出される。圧力/温度センサー(36)は、ガス吸収セル(35)とポンプ(22)との間で存在する。
【0033】
プレフィルター
図4はプレフィルター(12)を示す。プレフィルター(12)の第1端部(12a)は、排気ガス吸気(200)を有し、排気ガス筒内に存在する。プレフィルター(12)の第2端部(12b)は、好ましくはステンレス鋼製のマニホールド(201)を介してコンデンサー要素(33)と通信状態にある。第1端部(12a)は、排気ガス吸気を受け入れるために多孔質ステンレス鋼フィルター(203)を備える開口部(202)を有する。排気ガスは、フィルター(203)を通過し、マニホールド(201)を通過し、コンデンサー要素(33)の第1端部(33a)に接続されたチューブ(204)に流入する。ステンレス鋼フィルター(203)は、好ましくは、0.05ミクロンより大きい微粒子を除去する。
【0034】
コンデンサー
図3a~
図3bを参照すると、コンデンサー(33)は、チューブ(204)を囲むスリーブ(205)で形成される。チューブ(204)は、好ましくは多孔質であり、チューブ(204)の内側(204a)からチューブ(204)の外側(204b)へ水分を移動させることを可能にする。一実施形態では、チューブ(204)はポリマー製であり、およびスリーブ(205)は、ゴアテックス(登録商標)または他の通気性材料で製造されてもよい。スリーブ(205)を通した周囲空気は、蒸気がチューブ(204)を移動する際に排気ガス蒸気を冷却するために使用され得る。図示されていないが、水または他の流体は、蒸気がチューブ(204)を移動する際に排気ガス蒸気の冷却を補助するようにスリーブ(205)内に循環させてもよい。排気ガス蒸気は、周囲の大気条件の露点温度以下に冷却されることが好ましい。コンデンサー(33)の第2端部(33b)は、層状フィルター(34)と通信状態にある。
【0035】
層状フィルター
層状フィルター(34)は、
図5a~
図5cに示される吸気フランジ(208)に結合された吸気口(207)を通して、チューブ(206)を介して冷却された空気を受け取る。吸気フランジ(207)から、排気ガス蒸気は、第1ガスケット(209)、第1フィルター(210)、第2ガスケット(211)、第2フィルター(212)、第3ガスケット(213)、第3フィルター(214)、第4ガスケット(215)、第4フィルター(216)および第5ガスケット(217)を通過して排気フランジ(218)の排気部(219)から排気される。複数のガスケット(209)、(211)、(213)、(215)、(217)、およびフィルター(210)、(212)、(214)、(216)は、プレート(220)およびボルト(221)を介して排気フランジ(218)と吸気フランジ(208)との間に保持される。プレート(220)は、さらに、パイプ(206)とのパイプ接続部を支持する。
【0036】
第1フィルター(210)、第2フィルター(212)、第3フィルター(214)および第4フィルター(216)は、いずれも異なる粒子径であることが好ましい。例えば、第1フィルター(210)は10μmフィルターであり、第2フィルター(212)は1.0μmフィルターであり、第3フィルター(214)は0.45μmフィルターであり、および第4フィルター(216)は金網である。フィルターサイズは、赤外線(IR)分散を防ぐために2μmより大きい粒子の侵入を十分に排除し、後述のガス吸収セル(240)がサンプルチャンバー内で小さな粒子の沈殿に苦しまないように2μm未満の微粒子をできるだけ多く排除できるサイズであればどのようなものでもよい。
【0037】
ガス吸収セル
非分散型赤外線吸収分光法(NDIR-AS)を利用したガス吸収セル(240)の一例は
図6に示される。排気フランジ(218)の排気部(219)から、排気ガス蒸気は、ガス吸収セル(240)の吸気ポート(241)に通過する。
【0038】
ガス吸収セル(240)は、エミッタ(242)を備える第1端部(240a)、および検出器(243)を備える第2端部(240b)を有し、エミッタ(242)と検出器(243)との間の長さ(L)がサンプルチャンバー(244)を形成している。吸気ポート(241)と排気ポート(245)は、ガス吸収セル(240)のサンプルチャンバー(244)の長さ(L)に沿ってエミッタ(242)と検出器(243)の間に存在している。一実施形態では、サンプルチャンバー(244)は、少なくとも28.5cmの長さを有する。
【0039】
第1端部(240a)のエミッタ(240)は、反射器(247)および赤外線源(246)を有する。第2端部(240b)の検出器(243)は、1つ以上のパスバンドフィルター(248)および赤外線検出器(249)を含む。赤外線源(246)からの赤外線は、サンプルチャンバー(244)を通って検出器(243)に方向付けられる。センサー(251)は、ガス圧力およびガス温度のためにサンプルチャンバー(244)内に存在してもよい。
図6におけるセンサー(251)の位置は、例示するためのものであり、サンプルチャンバー(244)内のいかなる場所にあり得る。サンプルチャンバー(244)内のガスが特定の波長の吸収を起こし、その波長の減衰を検出器(243)で測定することによって、ガス濃度を判定する。1つ以上のパスバンドまたは光学フィルター(248)が検出器(243)の前に配置され、選択されたガス分子が吸収できる波長以外のすべての赤外光を除去する。検出器(243)は、フィルター(248)に吸収されなかった赤外線(IR)光の量を測定する。サンプルガスチャンバー(240)を通過した後、排気ガス蒸気は、排気ポート(245)を通ってガス吸収セルを出る。
【0040】
本発明の実施形態では、パスバンドまたは光学フィルター(248)は二酸化硫黄に特化している。
【0041】
本発明の別の実施形態では、パスバンドまたは光学フィルター(248)は、二酸化炭素、二酸化硫黄および水に特化している。
【0042】
さらに別の実施形態では、パスバンドまたは光学フィルター(248)は、二酸化炭素フィルター、二酸化炭素基準フィルター、二酸化硫黄フィルター、および二酸化硫黄基準フィルターに対応する4つのフィルターを含む。
【0043】
別の実施形態では、相対湿度センサー(250)は、排気ポート(245)に存在し、排気ガスの水蒸気含有量を測定する。
【0044】
代替的な実施形態では、ガス吸収セル(240)は、単一のIR光源(246)を有し、および検出器(243)は、2つの検出器の前にある異なるガス、例えば、二酸化炭素および二酸化硫黄のための2つの異なるパスバンドフィルター(248)に対応する2つの検出器を含む。標的ガス(例えば、二酸化硫黄や二酸化炭素)に吸収された赤外線は、対象ガスを検出するために具体的な帯域幅を備えた活性フィルターを通過する。標的ガスと相互作用しない赤外線は、基準フィルターを通過する。これらの2つの帯域幅の透過光強度の差がガス濃度に変換される。二波長センサーは、光源またはガスセルの経時変化が基準波長の出力信号で自動的に補正されるため、動作の長期間の安定した測定を可能にする。
【0045】
二酸化炭素用のフィルター(248)は、4.65μmを基準として、4.45μmが好ましい。二酸化硫黄用のフィルター(248)は、7.85μmを基準として、7.3μmが好ましい。バックグラウンド補正を使用するための水蒸気含有量の検出は、4.65μmを基準として、7.85μmである。
【0046】
別の実施形態では、二酸化炭素用の1より多くのフィルターが存在し得、二酸化硫黄用の1より多くのフィルターが存在し得る。
【0047】
一実施形態では、二酸化炭素用のフィルター(248)は、1.9~2.1μmである。別の実施形態では、二酸化炭素用のフィルター(248)は、2.6~2.9μmである。さらに別の実施形態では、フィルター(248)は、4.1~4.5μmである。
【0048】
一実施形態では、二酸化硫黄用のフィルター(248)は、7.1~7.6μmである。
【0049】
一実施形態では、他のフィルターは、二酸化炭素および二酸化硫黄または他の排気ガスと重複しない様々なバンド、例えば、1.3~1.5μm、1.75~2.0μm、2.5~3.0μm,および5.0~8.0μmの間で存在し得る。
【0050】
一実施形態では、基準バンドはさらに、フィルター(248)として存在し得、これは、フィルターよりも+/-0.2μm以下である。例えば、基準フィルターは、3.09μm、3.72μm、3.95μm、および/または7.85μmとすることができる。
【0051】
さらに別の実施形態では、単一のIR光源(246)は、フィルター(248)がエミッタおよびIR光源(246)に隣接する複数の光源から構成される。
【0052】
ガス濃度は、1つ以上の検出器によって電子ドライバーのプロセッサおよびプロセッサ(18)に送信される。その後、排気ガス(52)は、排出物サンプリング装置(10)の排気出口から汲み出される。
【0053】
電子ドライバー/プロセッサ
プロセッサ(18)は、ガス吸収セル(240)および各種センサーから筒内の排気ガスに関連するデータを受信し、衛星モデム(14)で監視センター(30)にガスに関連するデータおよび他のデータを送信する。データは、送信データ量を減らすために、バイトアレイで送信することが好ましい。排出物サンプリング装置(10)からのデータは、通信可能である、または通信チャネルを実行するためのエネルギーに余裕があるか否かにかかわらず、例えば、衛星モデム(14)を介して、定期的に周期的に監視システム(30)に送信されることに留意されたい。
【0054】
衛星(26)が利用不可能な場合、または排出物サンプリング装置(10)がデータを送信するのに十分な利用可能エネルギーを有していない場合、タイムスタンプ付きの排出サンプルデータが収集され、別の時にアップロードされるために1つ以上のコンピュータ可読のRAM(822)および1つ以上のコンピュータ可読のROM(824)または1つ以上のコンピュータ可読有形記憶装置(830)などのメモリに保存される。データは、さらに、必要に応じて、排出物サンプリング装置(10)から手動で抽出され得る。
【0055】
さらに、排出物サンプリング装置(10)の電力管理システム(24)は、データ収集を優先することに留意すべきである。電力管理システム(24)は、低いバッテリー状態時にデータ送信を停止することにより、エネルギー消費を低減する。
【0056】
電子ドライバーおよびプロセッサ(18)に関連する内部部品の一例が、
図11に示される。電子ドライバーおよびプロセッサ(18)は、
図11に示されるように、1つ以上のプロセッサ(820)、1つ以上のバス(826)上の1つ以上のコンピュータ可読のRAM(822)および1つ以上のコンピュータ可読のROM(824)、ならびに1つ以上のオペレーティングシステム(828)および1つ以上のコンピュータ可読有形記憶装置(830)を含み得る。1つ以上のオペレーティングシステム(828)は、1つ以上の(典型的にはキャッシュメモリを含む)RAM(822)を介して1つ以上のプロセッサ(820)によって実行するために1つ以上のコンピュータ可読有形記憶装置(830)上に保存される。
図11に例示される実施形態では、コンピュータ可読有形記憶装置(830)の各々は、内蔵型ハードドライブの磁気ディスク記憶装置である。代替的に、コンピュータ可読有形記憶装置(830)の各々は、ROM(824)、EPROM、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置、またはコンピュータプログラムおよびデジタル情報を保存し得る他のコンピュータ可読有形記憶装置である。
【0057】
内部構成要素(800a)はさらに、監視システム(30)の一部として存在する1つ以上のポータブルコンピュータ可読有形記憶装置から読み取り、およびそれに書き込むためのR/Wドライブまたはインターフェース(832)を含む。
【0058】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置によって使用するための命令を保持し、保存することができる有形装置であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁気記憶装置、半導体記憶装置、またはこれらの任意の適切な組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非限定的なリストは、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、命令を記録した溝内のパンチカードまたは隆起構造物などの機械的に符号化された装置、および上記の任意の適切な組み合わせを含む。本明細書で使用されるように、コンピュータ可読記憶媒体は、電波または他の自由に伝播する電磁波、導波路または他の伝送媒体(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)を伝播する電磁波、またはワイヤを通して伝送される電気信号などの一過性の信号そのものであると解釈されるものではない。
【0059】
本明細書に記載されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれの計算/処理装置にダウンロードすることができ、また、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークおよび/または無線ネットワークなどのネットワークを介して外部コンピュータまたは外部記憶デバイスにダウンロードすることもできる。ネットワークは、銅線伝送ケーブル、光伝送ファイバー、無線送信、ルーター、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータおよび/またはエッジサーバーを含んでもよい。各計算/処理装置内のネットワークアダプタカード、またはネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれの計算/処理装置内のコンピュータ可読記憶媒体に保存するためにコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0060】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路の構成データ、またはオブジェクト指向プログラミング言語、および手続き型プログラミング言語、または同様のプログラミング言語を含む1以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれであってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して、電子回路を個別化し、コンピュータ可読プログラム命令を実行してもよい。
【0061】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供され、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックに指定された機能/行為を実施する手段を作成するように機械を生成することができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、および/または他の装置に特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体に保存され得、その中に保存された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックにおいて指定される機能/行為の態様を実装する命令を含む製造物品を含むように、保存されてもよい。
【0062】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他の装置にロードされ、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他の装置上で実行する命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックで指定される機能/行為を実装するように、コンピュータ実装プロセスを生成するためにコンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他の装置上で実行される一連の動作工程を引き起こし得る。
【0063】
サンプリングデータ収集
実施形態では、データは、少なくとも60分ごとに排気ガスから収集される。海洋船舶がモニタリングSECA境界から20海里未満の場合、収集率は上昇する可能性がある。
【0064】
図13は、船舶がSECA境界(一点鎖線(120))を海上(121)から港123へ渡り、海上(122)へ戻る際の戦略例を示すスケッチである。船舶の入港経路は破線(124)で表され、船舶の出港経路は短長破線(125)で表される。経路(124)、(125)のそれぞれの矢印(126)は、約1時間の航行を表す。
【0065】
経路(124)、(125)に沿った円(127a)―(127j)は、システムが作動を起こすポイントを表しており、以下の記載で詳細を説明する。黒丸の円(127g)―(127h)は、範囲外または「不良」(すなわち、非準拠)測定値を表し、オープン(白丸)円(127a)―(127f)および(127j)は範囲内(すなわち、準拠)の測定値を表す。点線の円は低排出量の測定値、実線円は高排出量の測定値を示す。
【0066】
例示的な戦略は下記のように進められ、数字は
図11のポイントを指す。
【0067】
127a―このポイントで、船舶は入港経路(124)上でSECA境界(120)の外にあるため、高硫黄燃料は許可されている。このポイントでは、SECAのより厳しい制限範囲がまだ適用されていないため、排出物サンプリング装置(10)からの測定値は高くなるが、それでも準拠である。システムは、
図11に示されるように、例えば、1時間ごとに、選択したスケジュールで測定を行う。必要に応じて、より頻繁の高いまたはより頻繁の低いスケジュールを適宜選択することも可能である。測定が行われると、測定からのデータ―例えば、時間、位置、遵守状態、およびおそらく生のセンサーデータ読み取り値―は、後で陸上の監視センター(30)に送信するために、船舶上のリポジトリに保存される。
【0068】
127b―船舶はSECA境界(120)に接近している。システムは、高硫黄燃料から低硫黄燃料への切り替えを示すデータを取得するために、おそらく10分ごと、またはそれ以上の頻度で測定を開始する。
【0069】
127c―船舶は要求に応じて低硫黄燃料に切り替え、システムは、排出物が準拠であることを示す測定値によってこれを確認する。
【0070】
127d―このポイントで、船は陸上の携帯電話網の範囲内にある。システムは、ネットワークに接続し、少なくとも船舶内システムの動作に問題がないこと、船舶が準拠であることを示すステータスレポートをサーバーに送信する。必要に応じて、この時点で、船舶上のレポジトリからのデータのフルアップロードは、中央サーバーに送信され得る。
【0071】
127e―船は港(123)にある。システムは、排出物が準拠であり続けることを確認するために、排出物を継続的に監視する。リポジトリ内のデータをリポジトリ内のデータは、127dでアップロードされなかった場合、この時点で、船舶が港にある間、監視センター(30)にアップロードすることができる。
【0072】
127f―船舶は出港経路(125)で出港した。測定結果は、排出物がSECA基準内の遵守を維持することを示す。
【0073】
127g―システムは、「不良」または範囲外の測定値のサンプルを検出した。SECA境界(120)の外側で、高硫黄燃料への切り替えが早すぎた可能性もあり、不良サンプルや過渡状態による偽の測定値である可能性もある。
【0074】
127h―システムは、サンプルが実際に不適合な状態を示し、偽の測定値に基づいてないことを確認するため、一定期間、より頻繁な測定を行う。測定値は引き続き範囲外であるため、システムはこれを不適合状況として記録する。
【0075】
127j―船舶はSECA境界(120)外にあるため、システムはより高い範囲を適用することになる。システムで測定された読み取り値は再び「良好」となり、この領域に適用される基準に適合していることが示される。
【0076】
127k―船舶が次の港(地図外)に到着すると、前回のアップロード以降に蓄積されたすべての履歴データが船上のレポジトリから中央サーバーに送信される。
【0077】
排出物サンプリング装置(10)を備えた船舶のユーザ、または執行機関や政府機関に、遵守または非遵守に関するアラートを送信することができる。
【0078】
取り付けオプション
図8a~
図8fは、船舶用排出物サンプリング装置(10)の設置オプションの例を示す。
図8a~
図8dおよび8fでは、単一のファンネル(140)があり、その中に複数の排気筒(141)、(143)、(144)、(145)、および(146)がある。
図8eは、
図8aに示される種類の複数のファンネル(147a)、(147b)を示す。各図では、排出物サンプリング装置(10)を設置するための場位置(142)は、ボックスで示される。
【0079】
図8aと
図8eは、前面取り付けオプション、
図8dは背面取り付けオプションを示す。
図8bはアウトボード側の設置を示す。
【0080】
図8cは、2本の直管(141)に加え、湾曲した排気筒(144)を有する船舶を示す。湾曲した管(144)の場合は、図示のような側面取り付け(142)が好ましいであろう。
【0081】
図8fは、複数の排気筒(149)が「翼」の端部でファンネル(148)を水平に離れる設計のクルーズ船ファンネル(148)を示す。
【0082】
自律的リアルタイム二酸化硫黄および二酸化炭素の監視方法
図7は、船舶の排気物質の二酸化硫黄と二酸化炭素を自律的リアルタイムでの監視の方法を示す。
【0083】
第1工程では、監視センター(30)の監視システムは、海洋船舶の排気物質の分析データおよび診断データを受信する(工程(901))。データはデータアレイで監視システムに送信されてもよい。
【0084】
排気物質分析データは、日付、時刻、緯度および経度、二酸化硫黄値、二酸化炭素値、ガス湿度、ガス圧、排出物サンプリング装置(10)の高度、海洋船舶の速度、ならびに海洋船舶の方位、使用中の燃料種類、および海洋船舶の排気に関連する他の情報を含み得る。
【0085】
海洋船舶の緯度および経度データ、日付、時刻、高度、方位ならびに速度は、GPSシステム(16)によって供給され得る。
【0086】
二酸化硫黄値および二酸化炭素値は、好ましくは、パスバンドフィルター(248)の背後にある検出器(243)からの生の検出器値である。
【0087】
ガス圧力およびガス温度は、好ましくは、ガス吸収セル(240)のサンプルチャンバー(244)内でセンサー(251)によって測定される。
【0088】
ガス湿度は、相対湿度センサー(250)によって供給される。二酸化硫黄センサー値および二酸化炭素センサー値は、ガス吸収セル(240)によって提供される測定値から電子ドライバーおよびプロセッサ(18)によって算出され得る。ガス圧力は、ガス圧/温度センサー(36)によって提供されることも可能である。
【0089】
診断データは、筐体温度または排出物サンプリング装置内の温度センサーからの熱データ、バッテリー電圧、TEG電圧、ジオロケーション、サンプルガス調整、プレフィルターまたは層状フィルターに存在するフィルター圧力、および不正使用検出回数を含み得る。
【0090】
筐体温度は、排出物サンプリング装置内の内部ガス圧力/温度センサーによって測定され、データにおいて、排出物サンプリング装置がその熱動作許容範囲外に置かれる環境条件によって引き起こされ得る異常が判定される。
【0091】
バッテリー電圧およびTEG電圧は、熱エネルギーハーベスティング効果およびバッテリー容量と劣化を監視するために、内蔵のアナログ-デジタル(ADC)コンバーターを使用して測定する。
【0092】
フィルター圧力は、サンプル用ガスを真空排気する前と、排気直後のガス経路の真空圧の差を測定するもので、フィルターの目詰まりの経時的な傾向を示すことができる。ガス圧センサーは、層状フィルター(34)の排気部(219)または吸気部(207)に存在し得る。さらに、圧力/温度センサー(36)が使用され得る。
【0093】
不正使用回数は、排出物サンプリング装置(10)のハウジングが取り外されたか、または開かれたかどうかを示すものであり、排出物サンプリング装置が製造以来開かれたか否かを示す光検出器の光照射回数の集計であり、回数の増加後の値に疑問を抱かせるものである。不正使用検出回数が作動した場合、データはなお収集されるが、不良品である可能性があるとしてフラグされることに留意されたい。
【0094】
データ収集または監視センター(30)へのデータ送信のいずれについても、船舶データシステムとの接続はないことに留意されたい。
【0095】
監視センター(30)に提供されるデータは、追加の船舶データで補完され得る。例えば、正午のレポートを取得して、燃料消費量と、特定の燃料消費時に船舶がある、またはあった関連する気象条件を理解するための追加データを提供することができる。
【0096】
診断データは、排出物サンプリング装置(10)が正しく機能しているか否か、排出物サンプリング装置(10)が不正使用されていないか、または排出物サンプリング装置(10)が使用済みになる前に交換されるべきかどうかを判断するために使用される。
【0097】
監視センター(30)の監視システムは、データを抽出し、リポジトリに保存する(工程(902))。
【0098】
その後、監視システムは、距離と時間に対する炭素排出率を算出し、リポジトリに保存する(工程(903))。
【0099】
監視システムは、特定位置の燃料レベルにおける硫黄排出率を算出し、硫黄排出率と海洋船舶の特定位置をリポジトリに保存する(工程(904))。
【0100】
監視システムは、海洋船舶の特定位置が規制区域内にあるか否かを判定する(工程(905))。規制区域は、境界を定める緯度と経度座標のリストで特定される。例えば、ジオフェンスは、各サンプルが境界の内側にあるか外側にあるかを判定するために使用され得る。
【0101】
海洋船舶の特定位置が規制区域内にあり(工程(906))、硫黄排出率が規制区域の予想範囲内にある場合(工程(907))、監視システムは、硫黄排出率が予想範囲内にあることおよび海洋船舶の燃料遵守に関する通知をユーザに送信し(工程(908))、本方法は終了する。特定位置における硫黄含有量とそれに伴う制限値の算出は、MARPOL条約附属書VIのRegulation 14に基づいている。
【0102】
ユーザは、船舶の所有者、船舶の船長または船舶にいる他の者、沿岸警備隊、燃費や環境要因を監視するその他の法執行機関またはユーザ、その他のユーザであり得る。
【0103】
特定位置が規制区域内にあり(工程(906))、硫黄排出率が規制区域の予想範囲内にない場合(工程(907))、監視システムは、排出物サンプリング装置(10)が正しく機能しているか否かを判定する(工程(909))。診断データを所定のパラメータ内で基準点と比較することにより、排出物サンプリング装置(10)の機能が判定され得る。監視システムは、排出物サンプリング装置(10)が所定のパラメータ以外で機能することにより正しく機能していないか、または不正利用されたことが判定した場合(工程(910))、交換用の排出物サンプリング装置(10)が海洋船舶に送付され、算出した硫黄排出率を用いてユーザに通知を送信して(工程(911))、本方法は終了する。排出物サンプリング装置の不正利用は、受信された不正利用回数で判定され得る。
【0104】
特定位置が規制区域内にあり(工程(906))、硫黄排出率が規制区域の予想範囲内にない場合(工程(907))、監視システムは、二酸化硫黄排出装置(10)が正しく機能しているか否かを判定する(工程(909))。監視システムは、排出物サンプリング装置(10)が正しく機能し、所定のパラメータ内にあり、かつ、不正利用回数が所定数を超えていないと判定した場合(工程(910))、算出された硫黄排出率および非遵守に関する通知をユーザに送信し(工程(912))、本方法は終了する。
【0105】
特定位置が規制区域内でない場合(工程(906))、本方法は終了する。
【0106】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して本明細書で説明される。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施できることが理解されるであろう。
【0107】
図面中のフローチャートおよびブロックダイアグラムは、本発明の様々な実施形態に係る、システム、方法およびコンピュータプログラム製品の可能な実施の構造、機能および動作を例示する。この点に関し、フローチャートまたはブロックダイアグラム中の各ブロックは、モジュール、セグメント、または命令の部分を表してもよく、これは、特定の論理関数(複数可)を実行するための1つ以上の実施可能な命令を含む。いくつかの代替的実施では、ブロックに書き留められた機能は、図面で示された順序を以外で行われることもある。例えば、連続して示された2つのブロックは実際には実質的に同時に実行されてもよく、あるいは、ブロックは、含まれる機能にしたがって時折逆の順序で実行されることもある。ブロックダイアグラムの各ブロック、および/またはフローチャート図、ならびにブロックダイアグラム、および/またはフローチャート図内のブロックの組み合わせは、特定の機能もしくは動作を実施する、または特殊な用途のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実行する特殊な用途のハードウェアに基づいたシステムによって、実行され得ることも留意されるであろう。
【0108】
本発明は、任意の可能な技術的詳細レベルの統合において、システム、方法、および/またはコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有するコンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を含んでもよい。
【0109】
ユーザインタフェース
図12は、船舶データをクライアントに伝えるためのユーザインタフェースの一例を示す。ディスプレイは、図に示されるようなタブレットディスプレイ(510)などの所望の任意のハードウェアに実装され得る。図の例示ディスプレイは、時間データセクション(512)に分かれており、地理的位置(緯度/経度)(513)と時間(514)の欄がある。スクロールバー(523)は、当技術分野で一般的な方法で表を通して簡単なナビゲーションを与えるために提供され得る。識別セクション(515)を提供して、船舶の識別に関する情報を表示することができ、これは例示ディスプレイ上で画像(524)およびその他の情報、例えば、「Type:Dry Bulk」の注釈を含んでもよい。検索ボックス(516)がさらに提供されてもよい。
【0110】
地図表示(511)は、時間データセクション(512)に示された時間間隔における船舶の経路(118)を表示す。時間データエントリ(521)の1つが選択され、その時刻における経路(518)上の船舶の位置が地図上の円(520)で示される。
【0111】
地図には、SECAの境界線が一点鎖線(517)でさらに示されている。港に入港する船舶は、SECAの境界線(517)を越える前に低硫黄燃料に切り替えることが義務付けられている。
【0112】
この例では、船舶は燃料の切り替えが遅れた。進路線(518)の点線部分(519)にあった間、船舶はなお高硫黄を燃やし続けていたことになり、この期間中に、船舶は遵守を逸脱していたことを意味する。この遵守違反期間に対応する時間データ表示(512)上のエントリ(522)は、違反の発生を示すためにハイライト表示される。
【国際調査報告】