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特表2023-518971一体的なラテラルフロー検査ストリップを備えたスワブアセンブリを使用する流体サンプルの採取および検査のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-09
(54)【発明の名称】一体的なラテラルフロー検査ストリップを備えたスワブアセンブリを使用する流体サンプルの採取および検査のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
G01N33/543 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558075
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(85)【翻訳文提出日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 US2021024716
(87)【国際公開番号】W WO2021195633
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】16/833,386
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
3.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】522310041
【氏名又は名称】マーシャル ベンチャー パートナーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MARSHALL VENTURE PARTNERS LLC
【住所又は居所原語表記】511 N.Washington Avenue Marshall TX 75670 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ラウダーミルク,アラン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】オールレッド,ハーバート,ハント
(57)【要約】
流体サンプル検査デバイスおよび方法は、細長いステムおよびステムの第1の端部に固定された吸収部材を有する流体採取器を備える。内部の開放したチャネルがステムの第1の端部からステムの末端の第2の端部まで延びる。1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップがステムのチャネル内に位置決めされており、ラテラルフローアッセイストリップの各々のサンプル受容部材が吸収部材と流体連通状態にある。ラテラルフローストリップの1またはより多くのテストラインおよびコントロールラインがステムのウィンドウ部分を通じて視認可能である。吸収部材に導入された流体はサンプル受容部材に到達し、検査結果はウィンドウを介してユーザーまたは機器によって認識可能である。複数の被分析物、薬物、疾病、バイオマーカーその他が検出されてよい。スワブアセンブリは圧縮チューブおよびハウジングと組み合わせられてよく、研究所での検査および/または他のラテラルフローストリップのカセットと組み合わせるための標本が生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプル検査装置であって:
流体採取器を含み、ここで流体採取器は細長いステムとステムの第1の端部に固定された吸収部材を有し、ステムはステムの第1の端部からステムの末端の第2の端部まで延びる内部の開放チャネルを有し;
ステムのチャネル内に位置決めされ1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップを含み、ここで1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップの各々のサンプル受容部材が吸収部材と流体連通状態にあり、ここで1またはより多くのラテラルフローストリップの1またはより多くのテストラインおよびコントロールラインがステムのウィンドウ部分を通して視認可能であり;
吸収部材内に導入された流体は1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップのサンプル受容部材に到達し、検査結果はステムのウィンドウ部分を通じ1またはより多くのテストラインおよびコントロールラインを介してユーザーまたは機器により認識可能である、装置。
【請求項2】
ステムのチャネル内に少なくとも2つのラテラルフローアッセイストリップが位置決めされており、ここで少なくとも2つのラテラルフローアッセイストリップの各々は少なくとも2つの被分析物の存在または欠如を検出するように適合されている、請求項1の装置。
【請求項3】
1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップの各々は1またはより多くの被分析物の存在または欠如を検出するように適合されている、請求項1の装置。
【請求項4】
1またはより多くの被分析物は1またはより多くの薬物を含む、請求項3の装置。
【請求項5】
1またはより多くの被分析物はウイルスに対応する抗原または抗体を含む、請求項3の装置。
【請求項6】
第1のラテラルフローアッセイストリップはウイルスに対応する抗原の検査を行い、第2のラテラルフローアッセイストリップはウイルスに対応する抗体の検査を行う、請求項5の装置。
【請求項7】
流体採取チューブを備えたハウジング;および
流体採取チューブと流体連通状態にあるサンプル保持容器をさらに含み;
流体採取器は流体採取チューブ内に挿入されるよう適合されており、流体採取チューブ内に挿入され貫通されると圧力が生成されて流体が流体採取器からサンプル保持容器内に放出され;
サンプル保持容器内に収容された液体は研究所での確認検査または疾病検査パネルのために十分な容積を有する、請求項6の装置。
【請求項8】
流体採取チューブを備えたハウジング;および
流体採取チューブと流体連通状態にあるサンプル保持容器をさらに含み;
流体採取器は流体採取チューブ内に挿入されるよう適合されており、流体採取チューブ内に挿入され貫通されると圧力が生成されて流体が流体採取器からサンプル保持容器内に放出され;
サンプル保持容器内に収容された液体は研究所での確認検査または疾病検査パネルのために十分な容積を有する、請求項4の装置。
【請求項9】
流体採取チューブを備えたハウジング;および
流体採取チューブと流体連通状態にあるサンプル保持容器をさらに含み;
流体採取器は流体採取チューブ内に挿入されるよう適合されており、流体採取チューブ内に挿入され貫通されると圧力が生成されて流体が流体採取器からサンプル保持容器内に放出され;
流体採取チューブ内に位置決めされたガスケットが流体採取チューブの壁と係合するための上側部分および上側部分よりも小さな直径を有しサンプル保持容器の開口内に挿入するための下側部分を有し、流体採取器を流体採取チューブ内に挿入するとガスケットは流体採取チューブ内の上部位置に位置決めされ、流体採取器を流体採取チューブ内に挿入した後にガスケットは流体採取チューブ内の下部位置に位置決めされ、そして下部位置においてガスケットはサンプル保持容器とシールを形成し、ガスケットが下部位置に位置決めされる前に空気が流体採取チューブから装置の外部に通過される、請求項1の装置。
【請求項10】
ステムのチャネルはステムの第2の端部において閉鎖されている、請求項1の装置。
【請求項11】
ステムのチャネルはステムの第2の端部においてステムの第2の端部に固定されたキャップにより閉鎖されている、請求項10の装置。
【請求項12】
キャップはステムの第2の端部に対してキャップおよびステム上の1またはより多くの突起/凹部を介して、またはキャップおよびステム上に対応して形成されたネジ山を介して固定されている、請求項11の装置。
【請求項13】
流体インジケータストリップがステムのチャネル内に位置決めされている、請求項1の装置。
【請求項14】
流体採取チューブおよび流体採取チューブと流体連通状態にある1またはより多くの第2のラテラルフローアッセイストリップを備えたハウジングをさらに含み;
流体採取器は流体採取チューブ内に挿入されるよう適合されており、流体採取チューブ内に挿入され貫通されると圧力が生成されて流体が流体採取器から放出され、その流体は1またはより多くの第2のラテラルフローストリップに提示され、サンプル中における1またはより多くの被分析物の存在または欠如がステムのチャネル内にあるラテラルフローアッセイストリップに基づいて、そして第2のラテラルフローアッセイストリップに基づいて検出される、請求項1の装置。
【請求項15】
チャネルは第1の長さを有し、1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップは少なくとも第2の長さであり、第2の長さは第1の長さよりも大きい、請求項1の装置。
【請求項16】
ラテラルフローアッセイストリップの1またはより多くがウイルス抗原の存在または欠如を検出し、ラテラルフローアッセイストリップの1またはより多くは吸収部材と流体連通しているサンプルパッドを有し、このサンプルパッドは1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップを介する抗原検出を容易にする剤を含む、請求項1の装置。
【請求項17】
剤が界面活性剤を含む、請求項16の装置。
【請求項18】
界面活性剤がTritonまたはTWEEN20を含む、請求項17の装置。
【請求項19】
流体サンプル検査方法であって:
検査すべき流体サンプルを流体採取器の細長いステムの第1の端部に固定された吸収部材上に吸収することを含み;
ここでステムはステムの第1の端部からステムの末端の第2の端部まで延びる内部の開放チャネルを有し、そして1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップがステムのチャネル内に位置決めされており、ここで1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップの各々のサンプル受容部材が吸収部材と流体連通状態にあり、ここで1またはより多くのラテラルフローストリップの1またはより多くのテストラインおよびコントロールラインがステムのウィンドウ部分を通じて視認可能であり;
吸収部材内に導入された流体は1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップのサンプル受容部材に到達し;
さらにステムのウィンドウ部分を通じ1またはより多くのテストラインおよびコントロールラインを介してユーザーの視覚的認識または機器により検査結果を判定することを含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
この出願は2020年3月27日に出願された出願第16/833,386号(本願と同じ出願人/発明者を含んでいる)の優先権を主張すると共にその主題を含んでおり、その内容はここでの参照によって本願に取り入れられる。
本発明は特に流体サンプル(試料)である物質の採取および検査に関し、そしてより特定的には本発明は、少なくとも1つの被分析物(検体)の存在または欠如について、好ましくは(しかし任意選択的に)後の確認のために別個に流体サンプルを確保しつつ、または好ましくは(しかし任意選択的に)そのサンプルに関連する個人の明確な識別を行いながら、流体および空気の改良された流動特性をもって、流体サンプルを検査するためのデバイス(装置)に関する。本願などにおいて参照される「ダブル(2本)スワブ」の実施形態は、本願において「ダブルスワブデバイス」と呼ばれる場合がある。「シングル(1本)スワブ」のみを有する本願の実施形態は、本願において、「シングルスワブデバイス」と呼ばれる。ダブルスワブデバイスおよびシングルスワブデバイスは両方とも本発明の範囲内にあり、そして以下で説明するように、好ましくはスワブステムアセンブリ内に一体に、そしてまた好ましくは検査ストリップチャンバ内に、1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップを含み、また好ましくは検査ストリップチャンバ内に、ダブルまたはシングルの検査ストリップカセットを有していてよい。シングルスワブの「バイアル側だけのデバイス」もまた、本発明の範囲内にある。
【背景技術】
【0002】
同時係属中の、ここでの参照によって本願に取り入れられる米国特許出願第16/792,175号、第15/417,905号および第15/418,044号(「参照特許文書」)が参照される(しかし特に第15/418,044号の図19図25および関連説明、ならびに第15/417,905号の全体を参照)。
【0003】
薬物および他の被分析物の検査は、現代社会では至るところで行われるようになっている。家庭、病院、警察車両および警察署、競技施設および職場などにおいて、有効かつ安価で信頼性のある検査デバイスが求められている。また、疾病および他の医学的状態の診断または管理を支援するための物質について体液を検査するためのデバイスに対するニーズが増大している。
【0004】
市場はこれに応えており、今では血液、尿または唾液の検査に向けられた多くのデバイスが豊富にある。しかしながら、これらのデバイスは検査中の流体サンプルを異なる容器に移すこと、および/または流体サンプルを離れた場所に移動させることを伴う、一連の検査を必要とする場合がある。これらのデバイスはまた、被験者の体液を取り扱う検査管理者を必要とする場合があり、疾患に対する暴露の危険性を生じさせる。
【0005】
いったん最初の検査結果が得られた場合に、同じ流体サンプルをさらに検査して、最初の検査結果を確認または精査することがしばしば行われる。メンブレン検査ストリップデバイスの場合、最初の検査結果がいったん得られた場合には、流体サンプルは保持されてすらいないであろうから、分割したサンプルを保持することが必要になる。分割したサンプルを保持する必要があると、サンプルが紛失され、ラベルが誤添付され、または汚染されるといったリスクが引き起こされる。
【0006】
検査サンプルに関して保管を連鎖的に行うことは、しばしば結果に疑義を生じさせる。なぜなら流体サンプルは汚染されたり、置き忘れられたり、または完全に別の流体サンプルと取り違えられたりする可能性があるからである。多くの場合に、流体サンプルに関連する被験者の識別情報は、結果を適切に処理するために重要である。
【0007】
従来技術の検査デバイスには、米国特許第7,879,623号および第8,940,527号に開示されたデバイスが含まれ、これらの特許は何れも「被分析物、検査、確認、およびドナーの識別検証のための集積デバイス」という名称であり、何れも単独の発明者としてラオフ・エイ・ギルガイスを記載している。米国特許第7,879,623号および第8,940,527号は何れも、ここでの参照によって本願に取り入れられる。これらの特許は流体サンプルの採取および被分析物検査のための装置を開示しており、単一のサンプル受容部材および少なくとも1つのメンブレン検査ストリップを含み、また任意選択的にサンプル保持部材、指紋取得パッドおよび/または流体採取器を含んでいる。それはまた流体採取装置を提供しており、この装置は吸収材料、圧縮要素、および閉鎖要素を有しており、また任意選択的に、装置を流体容器と関連させて使用することを可能にするための蓋を有している。また流体サンプルを採取し、検査し、保持し、そして被験者、検査管理者、および/または立会人といった、サンプルに関連する1またはより多くの個人の識別情報を検証するための方法が提供されている。流体サンプルを採取し、検査し、そして保持するための部品は、検査デバイスの他の部品と流体連通状態にある。
【0008】
また、汚染物質、アレルゲン、および有害微生物といった、食品や水に見出される可能性のある混入物質に対する検査に向けられたデバイスについても、増大するニーズがある。幾つかの場合には、確認検査またはさらなる分析のために流体サンプルを保持し、確認検査またはさらなる分析のために元のサンプルの分割流体サンプルを保持し、または検査管理者の明確な識別情報を提供することが望ましい。
【0009】
米国運輸省(DOT)の連邦規則集49C.F.R.のパート40は、連邦政府の規制を受ける運輸業界に対して、社内で薬物およびアルコールの検査を行うために必要な手続きを定めている。この規則の中で、分割サンプルおよび分割サンプルの採取の定義が設けられている。分割検体(検査サンプル)とは、薬物検査においては、最初の研究所に送られ未開封で保持された尿検体の一部であって、一次検体が検査で陽性と検証され、または混入物があるか、差し替えられた検査結果であると検証された後、従業員がその検査を行うことを要求した場合に、第2の研究所へと送られるものであると定義されている。分割検体の採取は、採取された尿が2つの別個の標本ボトル、一次検体(ボトルA)および分割検体(ボトルB)に分割される採取であると定義されている。
【0010】
かくして業界においては、単一のデバイスにおいて、現在のメンブレン検査ストリップの技術の簡便さを、被験者および/または検査管理者を明確に識別する性能、ならびに流体サンプルの分割部分を後の確認のために単一のデバイスで確保することのできる性能と組み合わせるニーズが存在している。
【0011】
また業界においては、そうしたデバイスがスワブまたは複数のスワブをデバイス内にロックするための「押し込み圧力」を低減させて、体力がさまざまであるユーザーによる作動を容易にするというニーズが存在している。そしてまた、種々の表面に対して結合または取着する傾向のある物質、例えばTHCのような物質を検査ストリップ検査するための、改良された検査ストリップキャリアに対するニーズも存在している。
【0012】
なお、米国特許第9,414,813号および第10,035,146号の開示内容も、ここでの参照によって本願に取り入れられる。
【発明の概要】
【0013】
本願で権利を求める実施形態は、明示的にデバイスおよび方法に向けられたものであり、これらは好ましくは、スワブステムアセンブリ内に一体でまた好ましくは検査ストリップチャンバ内にある1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップを含んでいる。本願で説明される実施形態は、本願の他の部分で記載されるように、組み合わせて使用することを明示的に意図している。
【0014】
本発明の所定の好ましい実施形態によれば、流体サンプル検査装置は:検査チャンバならびに第1の直径の第1の流体採取管および第2の直径の第2の流体採取管を備えたハウジングであって、検査チャンバは第1の流体採取管と流体連通しているハウジング;第2の流体採取管と流体連通しているサンプル保持容器;ならびに第1および第2の流体採取器を有し、ここで第1の流体採取器は第1の流体採取管内に挿入されるよう構成されており、第1の流体採取管内に挿入されると圧力が生成されて流体を検査チャンバおよび第1の流体採取管の間の開口を介して第1の流体採取器から検査チャンバ内へと放出し、検査チャンバから第1の流体採取管内へと空気が開口を介して検査チャンバから装置の外部へと通過され、そして第2の流体採取器は第1の流体採取器の第1の流体採取管内への挿入と同時に第2の流体採取管内へと挿入されるよう構成されており、第2の流体採取管内に挿入されると圧力が生成されて流体を第2の流体採取器からサンプル保持容器内へと放出し、空気が第2の流体採取管から装置の外部へと通過される。
【0015】
この装置は上側シール部分を備えた第1の流体採取器を有していてよく、第1の流体採取管内へと実質的に完全に挿入されると、上側シール部分は検査チャンバと第1の流体採取器のスワブチューブの間の開口をシールするようになっている。この装置はサンプル保持容器の近傍に第2の直径よりも小さな直径のショルダ(肩)部を備えた第2の流体採取管を有していてよく、ここで第2の流体採取器は下側シール部分を有し、第2の流体採取管へと実質的に完全に挿入されると、下側シール部分はサンプル保持容器を第2の流体採取管の上側部分からシールする。第1および第2の流体採取器は、ロックされたキャップに一緒に結合された個別のシングルスワブを含んでいてよい。第2の直径は好ましくは、第1の直径よりも大きい。検査チャンバは好ましくは上端キャップを有し、これは装置の外側から好ましくは超音波溶接によるなどして気密および水密にシールされてハウジングに接続されている。
【0016】
本発明の実施形態はさらに、1または複数の検査ストリップを保持するためのカセットを含んでおり、ここでカセットは1またはより多くの検査ストリップを保持するための1またはより多くのチャネルを含み、また第1のストリップを保持するための少なくとも第1のチャネルを含み、第1のチャネルは第1のチャネルの2つの対向する側壁のそれぞれから複数の突出部を有し、複数の突出部は第1のストリップが位置決めされる中央位置を規定し、複数の突出部は第1のストリップと第1のチャネルの側壁との間の接触を低減または防止するように第1のストリップを位置決めし、第1のチャネルはまた複数の隆起部分を有する床部を有し、複数の隆起部分は第1のストリップと第1のチャネルの床部との間の接触を低減または防止するように第1のストリップを位置決めする。ある種の実施形態においてはカセットの前面に突起が設けられており、また側部レッグも設けられ、側部レッグは先細りにされているか、上側部分のより大きな寸法に比べて底部部分でより小さな寸法を有している。
【0017】
本発明の実施形態はまた、検査チャンバを備えたハウジングならびに第1の直径の第1の流体採取管および第2の直径の第2の流体採取管を有する流体サンプル検査装置を含んでおり、検査チャンバは第1の流体採取管と流体連通し;サンプル保持容器が第2の流体採取管と流体連通し;第1および第2の流体採取器を含み、第1の流体採取器は第1の流体採取管内に挿入されるよう構成されており、第1の流体採取管内に挿入されると圧力が生成されて流体が検査チャンバと第1の流体採取管の間の開口を介して第1の流体採取器から検査チャンバ内へと放出され、検査チャンバから第1の流体採取管への開口を介して空気が検査チャンバから装置の外部へと通過され、そして第2の流体採取器は第1の流体採取器の第1の流体採取管内への挿入と同時に第2の流体採取管内へと挿入されるよう構成されており、第2の流体採取管内へと挿入されると圧力が生成されて流体が第2の流体採取器からサンプル保持容器内へと放出され;そして第2の流体採取管に位置決めされ、第2の流体採取管の壁と係合する上側部分および上側部分よりも小さな直径でサンプル保持容器の開口内へと挿入するための下側部分を有するガスケットを有し、ガスケットは第2の流体採取器の第2の流体採取管内への挿入に際して第2の流体採取管内の上方位置にあり、ガスケットは第2の流体採取器の第2の流体採取管内への挿入後に第2の流体採取管内の下方位置に位置決めされ、下方位置においてガスケットはサンプル保持容器とシールを形成し、空気はガスケットが下方位置に位置決めされるより前に第2の流体採取管から装置の外部へと通過される。
【0018】
第1の流体採取器は上側シール部分を有していてよく、第1の流体採取管内へと実質的に完全に挿入されると上側シール部分は検査チャンバと第1の流体採取器のスワブチューブの間の開口をシールする。この装置は、第1の流体採取器が第1の流体採取管内へと挿入されるにつれて下側シール部分と第1の流体採取管の表面壁との間に摺動シールを形成するよう構成された下側シール部分を有する第1の流体採取器を有していてよい。上側シール部分は、検査チャンバと第1の流体採取管の間の開口のための固定シールを形成するよう構成されていてよく、下側シール部分とは異なる形状を有している。上側シール部分は検査チャンバと第1の流体採取管の間の開口についてストッパシールを形成してよく、そして下側シール部分は下側シール部分と第1の流体採取管の表面壁の間にシリンジ(注射器)プランジャシールを形成してよい。シリンジプランジャシールを形成するために、下側シール部分は複数の離間したOリング部分を有して形成されてよい。シリンジプランジャシールを形成するために、下側シール部分はテクスチャの付いた表面を有して形成されていてよい。
【0019】
特に、本発明の好ましい実施形態はバイアル側だけのデバイス(以下において説明する)の中でも、特に1またはより多くのラテラルフロー検査ストリップをスワブアセンブリのステム内に備えたスワブアセンブリを有するものを含んでおり、かくして1またはより多くの被分析物の存在または欠如は1またはより多くのラテラルフローストリップで検出されてよく、ラテラルフローストリップの各々は1またはより多くの被分析物を検出してよく、このときスワブアセンブリは吸収部材を提供し、これは圧縮されるとバイアル内に流体試料の一部をもたらす結果となり、これはバイアル内に採取された流体試料に基づく確認その他の検査のために使用されてよい。
【0020】
したがって本発明の課題は、チャネルを介して検査チャンバ内への、そして任意選択的には確認用バイアル内への流体の移送を改善するための、改善されたエアベント(空気抜き)/エアフロー(空気流)特性を有する、シングルスワブ流体採取および検査デバイスならびにダブルスワブ流体採取および検査デバイスを提供することである。
【0021】
本発明の別の課題は、スワブアセンブリが内部に挿入され好ましくはロック位置において下方に圧縮された場合に背圧を低減させることにより、改善されたユーザー体験をもたらす、シングルスワブ流体採取および検査デバイスならびにダブルスワブ流体採取および検査デバイスを提供することである。
【0022】
本発明のさらに別の課題は、ストッパ型式の上側シールおよびシリンジ型式の下側シールを有するスワブアセンブリを提供することである。
【0023】
本発明のさらなる課題は、第1の位置においては漏斗形状のガスケットを有してスワブが最初に圧縮されてよく、圧力が高まると第2の位置に移動してガスケットがハウジングおよびバイアルをシールし、第2の位置になるに先立って空気が装置から外部へと抜気されてよい、流体採取装置を提供することである。
【0024】
最後に、流体サンプルの検査に使用するためのストリップ保持カセットを提供することも本発明の課題であり、これはストリップを位置決めするための側方の突出部および床部突起を備えた1またはより多くのチャネルを有し、ストリップがチャネルの側壁またはチャネルの床部と接触するのを低減または防止する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の上記の課題および他の利点は、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して詳細に説明することによってより明確になる。添付図面において:
【0026】
図1から図3は本発明の所定の好ましい実施形態による、流体サンプル採取および検査デバイスの全体的なデバイス像を示しており;
【0027】
図4は本発明の所定の好ましい実施形態による、スワブチューブと検査チャンバの間およびスワブチューブと確認用バイアルの間の流体連絡を示しており;
【0028】
図5Aおよび図5Bは本発明の所定の好ましい実施形態による、好ましくは超音波溶接可能な上端キャップを示しており;
【0029】
図6Aから図6Cは本発明の所定の好ましい実施形態による、スワブステムおよびスワブアセンブリを示しており;
【0030】
図7は本発明の所定の好ましい実施形態による、2つのスワブアセンブリを接続してダブルスワブアセンブリを作成するためのダブルスワブステムハンドルを示しており;
【0031】
図8は本発明の所定の好ましい実施形態による、ダブルスワブアセンブリを示しており;
【0032】
図9から図10は本発明の追加の所定の好ましい実施形態による、流体サンプル採取および検査デバイスの全体的なデバイス像を示しており;
【0033】
図11Aおよび図11Bは本発明の追加の所定の好ましい実施形態による、好ましくは超音波溶接可能な上端キャップを示しており;
【0034】
図12は本発明の追加の所定の好ましい実施形態による、2つのスワブアセンブリを接続してダブルスワブアセンブリを作成するためのダブルスワブステムハンドルおよびそのための上端キャップを示しており;
【0035】
図13は本発明の追加の所定の好ましい実施形態による、流体サンプル採取および検査デバイスのためのロック可能な底部キャップを示しており;
【0036】
図14および図15は本発明の所定の好ましい実施形態による、流体サンプル採取および検査デバイスのためのバイアル確認ステムチューブ抜気手段を示しており;
【0037】
図16Aから図16Dは本発明の所定の好ましい実施形態による、流体サンプル採取および検査デバイスのための検査チャンバおよびベント可能/シール可能なガスケットの所定の床部特定および他の属性を示しており;
【0038】
図17は本発明の所定の好ましい実施形態による、流体サンプル採取および検査デバイスのための検査ストリップ保持用の改良されたカセットを示しており;
【0039】
図18Aから図18Bは本発明の所定の好ましい実施形態による、流体サンプル採取および検査デバイスのためのベント可能/シール可能なガスケットを示しており;そして
【0040】
図19は本発明の所定の好ましい実施形態による、流体サンプル採取および検査デバイスのためのスワブアセンブリ-ハウジング保持クリップを示している。
【0041】
図20は本発明の「バイアル側だけ」の実施形態を例示しており、スワブステム内でのインジケータストリップおよび/またはラテラルフロー検査ストリップの使用が含まれている。
【0042】
図21Aは本発明の所定の好ましい実施形態において使用される、例示的なラテラルフロー検査ストリップの所定の詳細を説明的に示している。
【0043】
図21Bおよび図21Cは本発明の所定の好ましい実施形態において使用される、シングルおよびダブルのラテラルフロー検査ストリップを概略的に例示している。
【0044】
図22は本発明の所定の好ましい実施形態において使用される、並列(背中合わせ)ラテラルフロー検査ストリップの例示的な配置を概略的に示している。
【0045】
図23Aから図23Cは本発明の所定の好ましい実施形態において使用される、上部部分からスワブステム内へと一体的に挿入可能なラテラルフロー検査ストリップの例示的な代替的実施形態を示している。
【0046】
図23Dは保持特性およびシール特性を有する、例示的なキャップおよびスワブステム上部を説明的に示している。
【0047】
図24Aから図24Cは本発明の所定の好ましい実施形態において使用される、上部部分からスワブステム内へと一体的に挿入可能であり、またスワブ端部において開放された容積を有するラテラルフロー検査ストリップの例示的な代替的実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明は所定の好ましい、また代替的な実施形態を参照して詳細に説明される。以下で説明するように、本願の原理および教示に基づいて、種々の実施形態の改良および置き換えが可能である。
【0049】
これまで参照した特許文書から理解されるように、特に本開示に鑑みれば、本発明は流体(例えば、唾液)吸収または捕捉デバイス(本願において「スワブ」または関心対象の液体を吸収/収容および放出してよいスポンジ/スポンジ状材料)を使用し、これは好ましくはスワブを被験者の口に挿入するなどにより口腔液を捕捉し、それによって口腔液はスワブに捕捉/吸収される(「唾液」という用語が使用される場合には、口腔液以外もまた本発明の実施形態によれば使用されてよいことが理解されよう)。説明的な例として、本発明の代替的な実施形態によれば、スワブは水またはアルコールのような他の流体で湿潤されてよく、次いで乾燥した粉末または他の物質(薬物と疑われるもの、汚染物質または他の関心対象または懸念される材料であってよい)と接触されてよく、そしてスワブは検査のためにデバイスへと挿入される。各々のスワブは好ましくはステム(細長い柄)型式のデバイス上に設けられて、ステムを棒付きキャンディのように保持可能にしてスワブ/スポンジの吸収材料が被験者の口内に容易に位置決めできるようにされる。十分な長さの時間、例えば2-5分後に、そして好ましくはインジケータ手段(後述する)によって指示されたところにより、唾液は典型的には、検査および好ましくは確認(以下でより詳細に説明される)のためにダブルスワブデバイスのハウジング内へとダブルスワブを介して導入するために十分な量で捕捉される。代替的なシングルスワブデバイスにおいては、唾液は典型的には、検査(以下でより詳細に説明される)のためにシングルスワブデバイスのハウジング内へとシングルスワブを介して導入するために十分な量で捕捉される。シングルスワブデバイスおよびダブルスワブデバイスのいずれにおいても、ステムを用いてスワブをハウジング内へと挿入することは好ましくは、ハウジング内のスワブチューブの底部内へのスワブの圧縮を生じさせて唾液をスワブから強制的に放出させ、そこにおいて圧力が生成されて唾液はスワブチューブからラテラルフローアッセイストリップチャンバ内へと、検査下の特定の流体にサイズ合わせされた開口を通って押し込まれまたは押し出される(ハウジング内のスワブチューブからストリップチャンバ内へはチャネルを介した流体連通がある)。唾液はストリップに接触し、それによって薬物の前歴、疾病または他の物質が所望のレベルで検出されてよい(参照した特許文書を参照)。ダブルスワブデバイスにおいては、第2のスワブチューブが設けられており、かくして第2のスワブが圧縮されて唾液が放出され、アッセイストリップを収容している上述のチャンバとは別に、バイアル内に捕捉されてよい。ダブルスワブが完全に挿入されると、ユニットはシールされてデバイスからの流体の漏出が最小限とされる。ダブルスワブデバイスにおいては、アッセイストリップを介して比較的迅速な初期スクリーニングが行われてよく、そして第2のサンプルがストリップを収容しているチャンバとは別個かつ流体連通していないバイアルに捕捉され、これは例えば液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)のような質量分析を通じた複雑性解析において、研究所における確認検査のために利用可能とされてよい。シングルスワブデバイスにおいては、確認用バイアルは提供されず、好ましくはアッセイストリップを介したスクリーニングのみが提供される。
【0050】
さて図1および図2を参照すると、組み立てられたダブルスワブデバイス1が示されている。ハウジング2(好ましくはポリカーボネートPCまたは汎用ポリスチレンGPPSのようなプラスチック或いは類似の材料)がユニットの本体を提供している。図示されている検査チャンバにおいては、ストリップカード/キャリアまたはカセット3が設けられており、これは1または複数の、全体を7で示すアッセイストリップを含んでいる。使用時には、流体がハウジング2の検査チャンバ2C内に導入され、1またはより多くのストリップ7の所定の特性に基づいて、1またはより多くの標的被分析物(例えば薬物、疾病マーカー、その他)の存在または欠如が検出されてよい。ハウジング2の検査チャンバ2Cは上部の本体プラグ(栓)または上端キャップ4を有し、これは好ましくはハウジング2に超音波溶接されて気密かつ水密のシールをもたらしているが、超音波溶接はカセット3が検査チャンバ2C内に挿入された後に行われる。図示されているように、ダブルスワブデバイスは好ましくは2本のスワブアセンブリを含んでおり、好ましくは噛み合い式のロックキャップまたはダブルステムハンドル8を介して接続されている(各々のスワブアセンブリはステムハンドル8内に挿入されており、それぞれがステムハンドル8の対応する機構と係合するためのロック機構を有し、両方を一緒にロックしてダブルスワブアセンブリを生成する)。スワブアセンブリ5Aおよび5Bの各々は全体として以下の要素からなる:ステム6Aおよび6Bの内側のインジケータストリップの色の変化が観察者(および恐らくは被験者)に見えるように少なくとも視認ウィンドウ(図1において楕円で示す)を有するステム6Aおよび6B(好ましくはハウジング2について説明したようなプラスチック製)(インジケータストリップは以下でより詳細に説明され、その説明はここにも適用可能である);(「2ショット」または「オーバーモールディング」によるなどして)スワブアセンブリの上側部分においてシール9Aおよび9Bを提供しスワブアセンブリの下側部分においてシール11Aおよび11Bを提供する、好ましくは軟質または弾性タイプの材料;好ましくは接着剤または他の取着手段によって固定され、ステム6Aおよび6Bの底部に固定されてデバイスのための唾液捕捉手段を提供するスワブ12Aおよび12B(本願の他の部分で説明するような吸収性またはスポンジ状の材料)(図1では圧縮形状で示されている);好ましくはシール9A、9B、11Aおよび11Bと類似の材料からなり、また好ましくは被験者の前歯について快適で望ましい受け場となるように設けられる歯受け10Aおよび10B(これはスワブ12Aおよび12Bがより理想的に口腔液その他を捕捉しうるような仕方でスワブステムがより快適に保持されることを可能にする)。バイアル15はダブルスワブデバイスに設けられ、確認用サンプルが取得されてよいようにする。バイアル15は好ましくはハウジング2に対して、ハウジング2のネジ14または他の固定機構を介して固定され、そして好ましくはOリング16でシールされる。本願の説明に基づいて理解されるように、スワブアセンブリ5Aはハウジング2のチューブ2A(図3参照)内で圧縮されて口腔液をバイアル15内へと流体チャネル2Dを介して放出してよく(バイアル15は図示されているようにチューブ2Aと流体連通している)、そしてスワブアセンブリ5Bはハウジング2のチューブ2B内で圧縮されて口腔液を検査チャンバ2C内へとチャネル23を介して放出してよい(図4参照)(検査チャンバ2Cは図示のようにチャネル23を介してチューブ2Bと流体連通している)。
【0051】
図3は本発明の好ましい実施形態の付加的な特性を断面で説明している。最初にハウジング2の最も左側のスワブアセンブリ5Bおよびスワブチューブ2B(本願では「ストリップスワブチューブ」と呼ぶことがある)に着目すると、ストリップスワブアセンブリ5Bはストリップスワブチューブ(スワブ12Bは圧縮されている)の中へと完全に挿入された断面で示されている。スワブチューブ2Bは好ましくは第1の寸法の直径を有し、シール11Bはスワブチューブ2Bとの比較的緊密な装着/シールを形成するような寸法を有している。ストリップスワブアセンブリ5Bがスワブチューブ2B内へと挿入されると、この比較的緊密な装着/シールはスワブ12Bの圧縮(およびスワブからの唾液の放出)を生じさせ、結果的にスワブチューブ2Bの下側部分における内部圧力をもたらし、その結果としてスワブ12Bから唾液が放出され、開口(図4の開口または唾液通路23を参照)を介してハウジング2の検査チャンバ2C内へと押しやられ、または圧力によって移動される。この開口の大きさは好ましくは、例えば検査される特定の流体およびその粘度などの特性に基づいて決定される。重要なことは、スワブアセンブリ5Bの比較的緊密な装着/シールならびにスワブチューブ2Bおよびシール11Bの直径が、プランジャ/圧縮効果を達成するようになっており、そして唾液が放出されて開口/通路23を介して検査チャンバ2C内へと押しやられることである。ハウジング2の検査チャンバ2C内の内部圧力は増大しうることから、好ましい実施形態においては空気が検査チャンバ2Cから検査スワブチューブ2Bへとベント開口(検査チャンバ2Cとスワブチューブ2Bの間のエアベントのための流体連通をもたらす図3の開口/ベント20を参照)を介して抜気される。スワブアセンブリ5Bが挿入されている間はスワブチューブ2Bの上部にシールが存在しないこと留意されたい(スワブアセンブリ5Bのステム6Bは断面がスワブチューブ2Bの内部寸法よりも小さい)。かくして挿入されている間、圧縮されたスワブからの圧力は唾液を検査チャンバ2C内へと押しやり、空気は検査チャンバ2Cから開口/ベント20を介してスワブチューブ2B内へと抜気されて上部から外部へと逃げてよく、それによってユーザーがスワブアセンブリ5Aおよび5Bをハウジング2の中へと押すことによって受ける「背圧」が低減される。しかしながら、いったんスワブアセンブリ5Bがスワブチューブ2B内へと完全に挿入されると(そして好ましくはロックタブなどによってロックされると-図7およびダブルステムハンドル8およびロックタブ8A参照、ハウジング2のチューブ区画の上側部分の凹みまたは穴と係合してロック機構をもたらすことが理解される)、シール9Bはスワブアセンブリ5Bをスワブチューブ2Bに対してシールすなわち密封し、また開口/ベント20を封止する。かくして任意選択的に、開口/ベント20は挿入プロセスの間に空気が解放されることを許容し(唾液を押し入れられるにつれて検査チャンバ内に圧力が増大するのを防止する)、次いでスワブチューブアセンブリが完全に挿入されると、好ましくはオーバーモールディングされたシールによって閉鎖される。
【0052】
ハウジング2の最も右側のスワブチューブ2A(本願では「確認用スワブチューブ」と呼ぶことがある)は、スワブアセンブリ5Aを動作に関連して受容する。スワブチューブ5Aは第2の寸法を有し(2Eとして示されており、好ましくは図示のように下端までそうなっている)、そしてシール11Aはスワブチューブ5Aと比較的緩慢な装着/シールを形成する(そして気密ではないが実質的に液密である)ような直径を有している。かくして、スワブアセンブリ5Aがスワブチューブ2A内へと挿入されると、スワブ12Aは圧縮されて唾液がバイアル15の中へと流体チャネル2Dを介して放出され、その一方で空気は下側シール11Aの周囲でスワブチューブ2Aの上部を介して外部へと抜気されてよい。スワブチューブ2Aは好ましくはショルダ部(全体的に2Fで示されており、第2の寸法よりも小さな、第3の寸法のより小さな直径)を下側部分に有し、スワブアセンブリ5Aがスワブチューブ2Aの中へと完全に挿入された場合に(図4のシール11A参照、スワブチューブ2Aの肩部(2F)とのシール11Aの係合を示す)、シール11Aがショルダ部(2F)と緊密に係合してバイアル15をユニットの他の部分からシールしてよい。図4はまた、バイアル15とハウジング2の間のシール(図4のOリングシール16を参照)を説明的に示しており、ネジ機構によるなどしてバイアル15をハウジング2に固定している(ハウジング2の対応するネジ14と係合する図4のバイアルのネジ26参照)。重要なことは、スワブアセンブリ5Aおよび5Bが好ましくは同じ大きさであるのに対し、スワブチューブ2Bとスワブチューブ2Aの直径が異なる寸法であり、圧力が生成されて唾液を検査チャンバ2Dへと押し込み(それに伴い空気が検査チャンバ2Dから開口/ベント20を介してスワブチューブ2Bへと抜気される)、また確認用スワブチューブ2Aからの空気が確認用スワブチューブ2Aの上部から抜気されることである。例示的な好ましい実施形態においては、第3の寸法は第1および第2の寸法よりも小さい。
【0053】
図5Aおよび5Bは本体上端キャップ4を説明的に示しており、これはハウジング2の検査チャンバの上部へと好ましくは超音波溶接によってシールされて、気密および水密なシールを生成する。本体上端キャップ4は好ましくは、超音波溶接プロセスを容易にするためにエネルギーディレクタ(ガイド)4Aを有している。
【0054】
図6Aから図6Cはスワブアセンブリ5Aを製造の種々の段階において説明的に示している。図6Aはスワブアセンブリ5Aのプラスチック部分(ステム6Aが例示されている)の第1のショット、すなわち第1の射出成形の後であることが理解されよう。図6Bは好ましくは本願の他の部分で説明しているシール11Aおよび11Bならびに歯受け10Aおよび10Bに使用される軟質の、より柔軟な材料の第2のショット、すなわち第2の射出成形の後であることが理解されよう。図6Cはスワブアセンブリ5Aを断面で説明的に示しており、インジケータストリップ27が見えるようになっている。好ましい実施形態においては、スワブアセンブリ5A(および好ましくは5B)は開口(好ましくはスリット)を備えた内側部分を有していて、インジケータストリップ27が一端で(接触点27Aとして示されている)スワブ12Aと係合するように位置決めされてよく、次いでステム6A内を延びてステム6Aの楕円ウィンドウを通して視認できるようになっている。理解されるように、インジケータストリップ27は湿潤または飽和された場合に変色し、実質的な、そして好ましくは十分な量の唾液がスワブ12Aおよび12Bに捕捉されたというインジケータ(指標)として作用するように較正/構成されており、かくしてスワブアセンブリが挿入されると(1)ストリップ7は活性化されて標的物質/被分析物その他についての迅速なスクリーニングをもたらし、また唾液は必要または所望ならば後の研究所/確認用検査のためにバイアル15に捕捉される。好ましくは、インジケータストリップ27は観察者および/または被験者に視認可能であり、スワブアセンブリ5Aおよび5Bをハウジング2の中に挿入するに先立って十分な唾液が捕捉されたという信頼性の指標を提供する。
【0055】
理解されるように、本発明はシングルスワブデバイスおよびダブル(デュアル)スワブデバイスの両者を包含する。シングルスワブデバイスにおいては、スワブチューブ2A、スワブアセンブリ5A、バイアル15などは含まれず、よってハウジング2は小さくてよい(そして例えば、バイアル15を囲んで保護する下部のスカート部分を含まない)。しかしながら好ましい実施形態においては、シングルスワブデバイスおよびダブルスワブデバイスは両方とも共通のスワブアセンブリを備えていてよく(シングルスワブデバイスおよびダブルスワブデバイスの両方を製造するためにロボット設備を共通して使用できるように)、またダブルスワブアセンブリは2本のシングルスワブアセンブリ5Aおよび5をダブル(デュアル)ステムハンドル8(例えば図7を参照)に固定することによって製造される。ロック用スワブステムハンドル(本願の他の部分で例示されおよび/または記載されたようにスワブステム6Aおよび6Bの対応する機構にロツク(係合)するロックタブ8Bのような)を備えたシングルスワブデバイスおよびダブルスワブデバイスに共通して使用されるシングルスワブアセンブリを有することは、組み立ての費用と時間においてかなりの利点をもたらす。図8はダブルステムハンドルを使用したダブルスワブアセンブリの図であり、2本のシングルスワブアセンブリをダブルスワブアセンブリへと恒久的に(破損がなければ)固定するための例示的なロック用タブを示している。理解されるように、ステムハンドル8は、当業者が理解するように、シングルスワブデバイスの実施形態においては1本のスワブアセンブリのみを固定するための開口およびロック機構を有するように構成されている。
【0056】
本発明は、特定の用途について所望とされる広範な種類のストリップを使用してよい。1つの付加的な特性においては、THC(親化合物または代謝物)の検査のためのストリップがスワブチューブ2Bに対する開口の近傍に位置決めされ、唾液が最初にTHC検出ストリップ上に押しやられるようにしてよい。THC検査の効率の増大は、本発明の重要な特性である。ストリップおよび被分析物その他の追加的な例示については、他の他の部分の記載を参照されたい。
【0057】
次に図9から図19を参照すると、追加的な好ましい例示的な実施形態が説明される。図9に例示されているように、ハウジング2は代替的な好ましい実施形態において、ハウジング2の底部付近に内部タブ2AAを含んでいる。タブ2AAは図10でも例示されているようにハウジング2の底部キャビティ部分内で下方に延び、開口2BBを含んでいる。こうした好ましい実施形態は好ましくは底部キャップ34を含み、これは突起36(所定の好ましい実施形態においては2つのそうした突起36が備えられる)を備えたタブ35を含み、そして突起36は開口2BBと係合して、底部キャップ34が好ましくはハウジング2に係止されるようにする。そうした好ましい実施形態においては、底部キャップ34はキー開口36Aを含み、その中へとキーまたは工具(図13において点線36Bによって例示されている)を挿入してよく、突起36が開口2BBから離脱されるようにし、かくして底部キャップ34がハウジング2から取り外されるようにしてよい。所定の好ましい実施形態においては、テープ36C(接着テープまたは穿孔可能な他のブロック材料であってよい)が開口36Aを覆い、それによって改ざんの有無に関する証拠をもたらす。使用時には、工具36B(または他の突起物)がテープ36Cを穿孔して突起36に係合する(底部キャップ34を取り外すために)。このようにして、好ましくはその内部にある口腔流体サンプルを好ましくはLC-MS装置を使用して研究所で確認するなどのために、テープ36Cを穿孔し底部キャップ34を取り外すことにより、バイアル32(本願の他の部分で説明するバイアル15に類似する)に接近して取り外してよい。無傷のテープ36Cは、そのユニットが開封または改ざんされていないことの証拠になる。
【0058】
底部キャップ34の追加的な詳細が、説明的に例示を行う目的で図13に示されており、突起36の移動(開口2BBから離脱するための)を生じさせるためにタブ35に係合している工具36B(突起36を押し広げて底部キャップ34の取り外しを容易にするために開口36A内に挿入される部材を説明的に示すために図13において点線で示されている)が例示されている。工具36Bは、タブ35に係合する2つの平行なまたは実質的に平行な突出部材(マイナスのネジ回しの先端によく似た形状を有する)を有するものとして例示されている。細かな形状は変動してよい;重要なことは工具36Bが穴36Aを通って突出可能であり、また突起36の十分な移動を生じさせて底部キャップ34が工具によって取り外されるようにすることである。底部キャップ34は好ましくは(しかし任意選択的に)開口32Aを有し、その中へとバイアル32の底部端が延びていて、バイアル32を底から見るなどが容易になる。リブまたは部材32Bがバイアル32と係合するように設けられており、バイアルがハウジング2にしっかりと保持される(そして例えばデバイスの輸送中に振動などで緩んでしまわないようにする)のを確実にするのを補助する。リブ/部材32Bとの間での接触はバイアル32に圧力を及ぼし、バイアル32がハウジング2から回転して外れるのに抵抗するようにさせる。バイアル32はハウジング2に対してネジ37(本願で他の部分に説明したネジと類似する)を介して固定される。
【0059】
再び図9図11Aおよび図11Bも併せて参照すると、代替的な上部の本体上端キャップ4’が例示されている。上端キャップ4’は好ましくは図示のように平坦な上部4Cを有し、また好ましくは下方に延びてストリップカード/キャリア(またはカセット)3に係合するタブ4Bを有し、カセット3をその場で保持するのを補助して、デバイスの使用時にカセット3に担持されたストリップの底部先端がハウジング2の検査チャンバ2Cの底部近傍に位置決めされて口腔液と接触するようにさせる。上端キャップ4’は好ましくは、超音波溶接エネルギーディレクタ表面4Aを有し、これはハウジング2と係合して、好ましくは超音波溶接によってハウジング2に接合されうるようにする。上端キャップ4’をハウジング2に固定するためには、接着剤または他の固定要素を使用してもよいが、超音波溶接は低コストで気密かつ水密の安全な固定機構を好ましくもたらし、また検査チャンバ2C内部のストリップに対して耐改ざん性をもたらす(本願の他の部分で説明するように、抜気はシール11Bによって密封された開口20によってもたらされる)ことが判明している。
【0060】
再び図9を参照すると、スワブアセンブリ5Aおよび5Bは下方のロック位置において例示されている。やはり例示されているように、スワブステム6Aおよび6Bの各々は唾液インジケータストリップ6D(本願の他の部分で説明したインジケータストリップ27に類似する)を含み、その各々は変色領域6Cを含んでいて、口腔液がスワブの吸収性先端(スワブ12Aおよび12B)からスワブステム6Aおよび6Bにあるストリップ6D上へと吸い上げられた場合に、好ましくは(例えば)第1の色(例えば白)から第2の色(例えば赤)へと変化する。好ましい実施形態においては、インジケータストリップ6Dは、適切な口腔液がスワブまたはスポンジ12Aおよび12B(図1から図6Cも参照)に吸収されており、スワブアセンブリ5Aおよび5Bがハウジング2の中に挿入されロックされた場合には、口腔液がカセット3内の検査ストリップと接触し、またバイアル32の実質的な容積を占めるという指標をもたらすことを可能にする。例示されているように、インジケータストリップ6D(または27)はインジケータストリップの1つに変色領域6Cを有していてよく、そして好ましい実施形態においてはダブルスワブデバイスの両方のスワブ上にある変色領域6Cが図示のように上向きまたは下向きの同じ方向に向いている。
【0061】
再び図9および図10を参照して、追加の例示的な好ましい実施形態のさらなるシール特性を説明する。前述したように、シール9Aおよび9Bはスワブステム6Aおよび6Bの上側部分に備えられており、これはシール9Aおよび9Bによるスワブチューブ2Aおよび2Bの壁面との圧接によって、スワブチューブ2Aおよび2Bの両方の内部から外部へのシールを提供することが理解される。シール9Bは、スワブアセンブリ5Aおよび5Bがハウジング2内に完全に挿入され好ましくはロックされた位置にある場合に、開口/ベント20をシールするという付加的な目的に役立つ。本願の図面および説明から理解されるように、シール9Aおよび9Bは開口/ベント20ならびにスワブチューブ2Aおよび2Bの上部について、ある種のストッパシール、または円形輪郭のシールを形成するように構成されている。前述した例示的な好ましい実施形態において、下側シール11Aおよび11Bはシール9Aおよび9Bと同様に形成されている。代替の例示的な好ましい実施形態においては、シール11Aおよび11Bは異なる仕方で形成される。
【0062】
図9および図10は、摺動シール(ストッパシールではなく)を形成するように適合された形状を有する下側シール11A’および11B’(断面で示されている)を説明的に示している。出願人は、摺動型式またはシリンジタイプの下側シールを有する所定の実施形態においては、スワブアセンブリのスワブチューブ内への挿入を低減された摩擦または抵抗で行うことが可能になることを見出した。この実施形態において例示されているように、シール9Aおよび9Bの円形の輪郭に対して、シール11A’および11B’は好ましくは輪郭付けられた、またはテクスチャのあるプロファイルを有して形成される。1つの説明的な例において、シール11A’および11B’は1またはより多くの、好ましくは複数の(例として2が示されている)フィンまたはOリング(突出シール部材など)を有し、これらは図示のように離隔されているが、第2のショットまたはオーバーモールディング射出成形プロセスによるなどして一体的な仕方で形成されている。そうしたフィンやOリングは摺動シールまたはシリンジシールをもたらし、スワブアセンブリ5Aおよび5Bがスワブチューブ2Aおよび2Bに挿入されて下方に動かされるにつれて、流体が上方へと移動するのを防止または阻止する。スワブ12Aおよび12Bはスワブアセンブリ5Aおよび5Bのスワブチューブ2Aおよび2B内への下方への移動によって圧縮され、流体はスワブ12Aおよび12Bから放出され、圧力が増大し、そしてシール11A’および11B’によって封止がもたらされてハウジングの上部に向かう流体の上方への流れが阻止され、それによってバイアル32および検査チャンバ2C内への流体の流れが容易にされる。同時に、スワブアセンブリ5Aおよび5Bを完全に挿入するのに必要とされる力が大きすぎるとユーザーの印象が悪くなることから、スワブシール11A’および11B’は輪郭付けられたまたはフィン付きの構造、或いはテクスチャの付いた形状を有することにより、適切なシールを改善された摺動抵抗においてもたらす形状でもって提供される。さらなる代替的な実施形態においては、ここでもシール9Aおよび9Bのストッパ型式のシールと対比して、シール11A’および11B’は摺動/シリンジタイプのシールをもたらす仕方の突起状のフィンまたはOリングというよりも、摺動抵抗を低減させる仕方でテクスチャが付されている。重要なのはシール9A/9Bおよび11A’/11B’の各々がそれぞれの機能について適合され最適に形成されることであり、それは本願の説明および図面から理解されるところであり、そして好ましくは、両方の型式のシールをスワブステム6Aおよび6B上に形成する第2のショットまたはオーバーモールディング射出成形プロセスのような同じ製造工程により形成されることである。
【0063】
図9から図19に例示された追加的な例示の好ましい実施形態はまた、抜気されたネジ山/ガスケットシール機構を含んでおり、これについて本願でさらに例示的に説明する。図9図10図16Aから図16D図18Aおよび図18Bはガスケット30を示しており、これは好ましくはちょうど漏斗のように形成され、また好ましくはバイアル32の中へと延びる延長部分30Dを有していて、スワブ12Aがハウジング2への挿入に際して圧縮されるに際して、流体(口腔液であってよい)の流れをバイアル32内へと導く。ガスケット30は開口30Fを有し、これを介して流体はバイアル32内へと通過する。図16Bにおけるガスケット30の高さによって示された第1の位置において、ガスケットの上側部分30Aはバイアル32の上部よりも上方にあってハウジング2の棚部2G上に載置され、棚部2Gはバイアル側のハウジングチューブ(図16Bにおいて2H、本願の他の部分に記載のスワブチューブ2Aに類似する)の直径が僅かに縮小された部分である。ガスケット30のリップ30Eが棚部2G上に載置され、上側部分30Aとバイアル側ハウジングチューブ2Hの壁面との間での摩擦による干渉がシールを生成して、口腔液の通過を阻止する。この第1の位置において、スワブアセンブリ5Aがハウジング2内に挿入され降下されるにつれて、スワブ/スポンジ12Aおよび12Bが圧縮されると、口腔液がスワブ/スポンジ12Aおよび12Bから放出されて、開口32Fを介してバイアル32内に(および前述したように先に説明した流体連通チャネルを介して検査チャンバ2Cに)流入する。図9および図10に説明的に示すように、スワブ/スポンジ12Aおよび12Bはさらに下方の圧縮位置へと圧縮される。図16Cに示す第2の位置において、ガスケット30は好ましくは、バイアルチューブ2Hの下端において側面の周縁壁に接触する上側部分30A、バイアル32の上側周縁表面に下向きに接触する下側表面30C、およびバイアル32のネック(首)部分の内側周縁壁に接触するネック表面30B(その外側においてバイアル32はハウジング2の対応するネジ山に係合してバイアル32をハウジング2に固定するネジ山37を有する)を有している。
【0064】
好ましい実施形態によれば、ガスケット30は可撓性の、しかし比較的剛性のある、好ましくはTPE(熱可塑性エラストマー)のようなエラストマー材料または他のポリマーまたはゴム様の材料から形成される。好ましい実施形態によれば、ガスケット30は50を超えるデュロメータ硬度、より好ましくは70から90の範囲にあるデュロメータ硬度を有する。所定の好ましい実施形態によれば、ガスケット30は80+/-5~10%のデュロメータ硬度を有する可撓性材料である。出願人が見出したところでは、こうした組成のガスケット30はガスケット30が第1の位置に望ましく保持されるのを可能にする一方で、第1の位置にある間に口腔液がガスケット30の周囲に流れるのを阻止するのに十分な圧縮性を有するが、しかしスワブアセンブリ5Aおよび5Bの下方への移動の間に圧力が増大するにつれて、適度な圧力において解放されてスワブチューブ2H内を横切って第2の位置へと下方に移動され、それによって表面30Bおよび30Cをバイアル32の対応する表面と接触させ、また表面30Aをハウジング2のバイアルチューブ2Hの周縁壁と接触させて、第2の位置にある間に口腔液がガスケット30の周囲に流れることを阻止する。
【0065】
所定の好ましい実施形態は、本願で例示し説明したようにしてガスケット30、ハウジング2およびバイアル32を構成および配置し、改善されたエアベントを使用して、スワブアセンブリ5Aおよび5Bをハウジング2内のロック位置へと押し込もうとするユーザーに対して背圧の低減と、改善された流体抽出効率をもたらす。図14および図15に説明的に示すように、ハウジング2のネジ切り壁37Aの下側端部には切欠き38が形成されている。切欠き38は先細に、または外縁に輪郭付けられていてよく、少なくともハウジング2のネジ切り壁37Aの下側端部との間に間隙を確保する(バイアルの内側から下側先端30Dの周りを通りバイアル32のネックへと昇ってネジ山の周囲から切欠き38を出る、空気の流れを示す矢印を描いてよい)。バイアル32のネジ山37とハウジング2のネジ切り壁37Aを使用してバイアル32がハウジング2に固定されると、バイアル32の上側のリップ部分はハウジング2に接触してぴたりと固定されてよく、その一方で切欠き38は、この接触時点において気密なシールが生成されないことを確保する。切欠き38はかくして、ネジ山37/ネジ切り壁37Aを介したエアベントを可能にする。こうした実施形態によれば、口腔液の漏出を防止するためのシールは、前述したようにガスケット30を介して達成される。かくして、スワブ/スポンジ12Aおよび12Bが圧縮されるにつれて、空気は切欠き38およびネジ山37/ネジ切り壁37Aを介して抜気され、その一方でバイアル32内への流体の流れは促進され、操作者はスワブアセンブリの全体をハウジング2内の最終ロック位置へと押し込む際の背圧の低減に気付くことになる。理解されるように、ガスケット30は線形移動可能な、2位置の弁/シール実施形態または部材を容易なものとし、そこではスワブチューブ2Aの第1の(未シール、抜気)位置において、空気はデバイスの外部へと抜気され、そしてスワブの圧縮圧力のもとにガスケットは第2の(シール/非抜気)位置へとスワブチューブ2Hを線形移動/下方横断し、スワブ2Bにおいては空気はデバイスの外部へと抜気されず、流体も同様にデバイスの外部へと逃げることはない。
【0066】
図12および図16B図16Cに例示されているように、ハウジング2は好ましくは開口部2Fを含んでおり、スワブの上部カラー(環状部)8Cの両側にある突起8Aがその中へと係合してスワブアセンブリの全体をハウジング2内へとロック(係止)する。図示されているように、突起8Aは好ましくは傾斜されていて上方の棚部がハウジング2の開口部2F内へと係止され、また他の実施形態においては他の形状の突起が使用されてよい。重要なことは、スワブアセンブリの全体がハウジング2内に係止されてスワブアセンブリの取り外しを制止または防止し、また改ざんを防止/阻止することである。やはり図示されているように、好ましくは同様の突出部を有するスワブのステムと係合する開口部8Eが設けられてスワブのステムをその位置にロックし、また開口部8Fが設けられて、図12に例示されているようにしてスワブアセンブリの上端キャップ8Dの対応する特徴部分を確保する。
【0067】
やはり図16Aおよび図16Dに例示されているように、ハウジング2は好ましくは、隆起した(好ましくは傾斜しまたは外縁が輪郭付けられた)中央部分2Dをハウジング2の床部上に有し、そこにカセット(単数または複数)3AA(図9)の下端が載置される。こうした床部の隆起した中央部分は、重力を使用することにより口腔液を検査チャンバ2Cの中央領域からストリップの先端が好ましくは位置決めされている縁部に向けて流動させることにより、流体をハウジング2のカセットチューブ2Iからカセット(単数または複数)3AAに挿入されたストリップの下端へと導くのを助け、それによってストリップを介した流体の検査を容易にする。図9および図10のハウジング2は、チューブ2I(本願の他の部分で説明したスワブチューブ2Bに類似)からカセット3AAを収容しているハウジング2の検査チャンバ2C内への通路/チャネル23、および他の好ましい実施形態に関して先に説明したような上部の空気開口/ベント20を含んでいる。また図16Aに例示しているように、チューブ2Iの床部は好ましくは、スワブ/スポンジ12Bを圧縮するのを助ける複数の隆起突起2Eを含んでいて、口腔液のスワブ/スポンジ12Bからの放出およびチューブ2Iからカセット3AAを収容しているキャビティ内への通路/チャネル23への移動を促進する。図3および図4ならびに通路/チャネル23および開口/ベント20に関する関連説明を参照されたい。
【0068】
図17は1またはより多くのチャネルを有する、検査ストリップを保持するためのカセットの代替的な好ましい実施形態を例示しており、カセット3AAとして全体的に図示され説明される。当業者により理解されるように、本発明は、1または2のこうしたカセット3AA(または類似のカセット)をハウジング2の片側または両側に含む実施形態を考慮していることが理解されねばならない。図17に例示されているように、最も右側のチャネル3DD(チャネルとは検査ストリップのための容器または保持領域である)は、ストリップをチャネル3DDの底部床から持ち上げる突起または島部3CCを含んでいる(この例示的な実施形態では3つのそうした突起または島部3CCが示されている)。このようにして、ストリップの後ろ側はカセット3AAを構成する材料(好ましくはプラスチック)から間隔を有している(そのため接触が低減される)。加えて、チャネル3DDはストリップを位置決めするための側部突起3BBを含み、かくしてストリップの側部はチャネル3DDの側壁とは接触しない。側部突起3BBは好ましくはチャネル3DDの両側にあるが、好ましくは図示されているように相互に直接的に向かい合ってはいない(他の実施形態では、側部突起3BBは相互直接向かい合う)。このようにして、ストリップの側縁部はカセット3AAを構成する材料の側壁から間隔を置き、接触しない。突起/島部3CCと側部突起3BBの組み合わせにより、ストリップはチャネル3DD内で殆ど浮遊するに近く、カセット3AAを構成する材料との接触は低減される。当業者により理解されるように、一般には標識がカセット3AA内に位置決めされたストリップを覆うように提供される。出願人は、図示のように構成されたカセット3AAの1またはより多くの(最大で全部)チャネルを有するカセット3AAは、THCのような物質の改善された検出をもたらすことを見出した。所定の好ましい実施形態によれば、THCの存在または欠如を検出するためのストリップは、カセット3AA(図17に示す6チャネルまたは図1および図2に例示する7チャネルのような複数のチャネルを有する)の最も右側または最も左側のチャネルに位置決めされたチャネル3DDのようなチャネルに配置されて、口腔液とより最適に接触される。代替的な好ましい実施形態においては、カセット3AAのそうしたチャネルはすべて、図17のチャネル3DDについて示したように突起/島部3CCを有し、また側部突起3BBを有する。
【0069】
好ましい実施形態において、カセット3AAはまた突起3EEを有しているが、これはカセット3AAをハウジング2の前面から離して位置決めするように作用し、カセット3AAおよびハウジング2の間での流体の上方への毛管上昇を低減させることが見出されている。この実施形態において、突起3EEはハウジング2の前面に接触してよく、他方でカセット3AAの主たる面はハウジング2の前面から離隔され、接触しない。加えて、図示されているようにカセット3AAは任意選択的に先細りまたは傾斜した形状を有する側部レッグを有してよく、かくしてレッグの下部ではより小さな寸法を有し、またレッグの上方部分ではより大きな寸法を有する。このようにして、検査チャンバ2Cの底部においては流体に対してより小さな寸法が提示され、毛管上昇またはカセット3AAの材料との流体接触の発生はさらに低減される。
【0070】
図19に例示されているように、保持クリップ40が提供され、図8に示すようなスワブアセンブリの全体はクランプ40Bによって固定されてよく、他方でクランプ40Aはバイアルチューブ2Hにクランプされる。このようにして、スワブアセンブリの全体がハウジング2の外側に固定され、かくしてスワブアセンブリ/ハウジングの組み合わせは自動包装装置を通過されてよい。そうした代替的な好ましい実施形態によれぱ、スワブアセンブリは衛生上の観点からビニール袋に包装されてよく、そして自動包装に適した仕方でハウジング2に固定されてよい。
【0071】
出願人の例示的な実施形態は、スワブチューブおよび確認用バイアルと流体連通しているスワブアセンブリを含むデバイスの確認用バイアル側を省いた構成の、シングルスワブデバイスを明示的に含んでいる。かくして、ハウジング2、検査チャンバ2C、開口/ベント20、チャネル23、シール9B、11B、11B’およびその他の特性は、カセット3AAおよび本願に記載し図示したその変化形態と共に、シングルスワブデバイスについても望ましく用いられる。
【0072】
本発明のさらに他の実施形態によれば、バイアル側だけのデバイスが考慮されており、これは本質的にはデバイスのバイアル側だけを取り入れたものであってよく、スワブチューブと、確認用バイアルと流体連通しているスワブアセンブリとを含んでいる。したがって、デバイスのバイアル側に関する説明は、こうしたバイアル側だけの実施形態に対して適用可能であり、この言及によってここに取り込まれるものとする。当業者に理解されるように、プラスチック成形および部品の製造は、デバイスのバイアル側だけを製造するように適合されることになり、例えば上部および底部のキャップはそれぞれバイアル側のみに適合され、シングルスワブのみが用いられる(これは好ましくは、ダブルスワブデバイスについて開示されたスワブアセンブリの実施形態と一貫性のある仕方で実施されてよい)。
【0073】
他の例示的な好ましい実施形態によれば、こうしたバイアル側だけのデバイスに対する改良が用いられ、そうした実施形態の1つが図20に説明されているが、これはそうした実施形態の展開図である。図示されているように、上部キャップ52がスワブアセンブリ5Aの上部に嵌められ、このアセンブリはその後、デバイスがユーザーによって用いられるときにチューブ54内へと押し込まれる(本願の他の部分の説明を参照)。上部キャップ52は、上側の棚部と下側の傾斜底部を有するタブ58Aを含んでいて、スワブアセンブリ5Aが最終位置へと「スナップ嵌合」されたときにチューブ54のカラー56にある開口部58Bに係合する。好ましくは、タブ58Aと開口部58Bの係合は、耳に聞こえるパチンという音を生成するが、これは(1)スワブアセンブリ5Aがチューブ54内へと完全に挿入されたことを確実ならしめ、また(2)スワブアセンブリ5Aをその位置において係止して、背圧やユーザーの不注意な動作によってスワブアセンブリ5Aがチューブ54から外れてしまう望ましくない状態を生じないようにする。カラー56は径の大きな傾斜部分56Aを上部に有していて、タブ58Aを案内して開口部58Bと係合させるようになっている。検査を行う場合に上部キャップ52とチューブ54の整列を助けるように、上部キャップ52とチューブ54のカラー56には図示のように、整列マーク52Aおよび56Aが備えられている。図示の実施形態においては4対のタブ58Aと開口部58Bがあるが、代替的な実施形態においては、他の寸法、形状、数および構成の係止機構が使用される。重要なことは、ここに説明したようにスワブアセンブリ5Aが所望に応じて係止されうるように、上部キャップ52上にある第1の特徴(単数または複数)がチューブ54のどこかの部分にある対応する第2の特徴(単数または複数)と係合することである。
【0074】
やはり図20に示されているように、チューブ54はチューブ54の内側のネジ山54Aとバイアル32’の上部にあるネジ山54A’が、当業者に理解されるように回動係合することを介して、バイアル32’を固定する。好ましくは、バイアル32’(およびネジ山54A’)およびチューブ54(およびネジ山54A)は、図9図10図14図15図16B図16C等において示された実施形態に関して記載したように、切欠き構成を有し、これに関する開示は図20に示された実施形態に対して直接的に適用される。重要なことは、ガスケット30がチューブ54およびバイアル32’に係合して、本願の他の部分で説明したように、抜気/シール機構をもたらすことである。
【0075】
また図20に示されているように、インジケータストリップ27がスワブアセンブリ5Aのステム内に備えられており、それによってスワブ12A(本願の他の部分で説明したように、スポンジ状の材料)への流体の適切な吸収が行われたことを表示し、または少なくとも十分な流体が吸収されたことの確認的な指標をもたらす。また図20に示されているように、被分析物検出ストリップ27’(ストリップ7および本願の他の部分で説明した他のストリップに類似している)が任意選択的に、スワブアセンブリ5Aのステム6A内に含まれている。かくしてストリップ27および27’のような2またはより多くのストリップが、スワブアセンブリ5Aのステム6A内に備えられてよい。1つの実施形態においては、インジケータストリップ27のみがステム6A内に存在する;別の実施形態においては、インジケータストリップ27が存在し、また背中合わせ構成のストリップ27’(例えば、オピオイドその他の乱用薬物、またはウイルスその他の被分析物、抗原、抗体その他を検出するためのストリップ)もまた存在する。さらに別の実施形態においては、2本のストリップ27’が、好ましくは背中合わせの構成で備えられる。こうした実施形態においては、例えば、1またはより多くの薬物または疾病がストリップ27’によって高速解析のようにして検出されてよく、その一方でバイアル32’が口腔液サンプルを後の研究、確認、または他の検査のために捕捉する。かくして図20の実施形態は、ストリップを用いた高速解析などの代替例を包含し、その一方で後の研究検査のためにサンプルを捕捉する。
【0076】
また図20の実施形態は、ストリップ27/27’を用いてまたは用いずに、遺伝子検査、遺伝子識別、ウイルスまたは疾病の検出、薬物または他の被分析物の検出その他に使用されてよいサンプルを捕捉するために使用することを考慮している。本願の他の部分において提供された、これらの用途に関するすべての開示は、図20に関して記載された実施形態に対して適用可能であると理解されるべきである。
【0077】
またバイアル32’は、細胞、ウイルス、他の病原体その他の遺伝物質を保存する緩衝または保存材料に使用してよいことが理解されよう。図20の実施形態(および他の実施形態についても)に関連する例示的な作業の流れにおいては、ユーザーに対して、ガスケット30を含むチューブ54、未使用のスワブアセンブリ5A、および好ましくはねじキャップ(図示しないが技術的に十分に理解されている)でバイアル32’内に保持された液体状または固体状の緩衝/保存剤(例えばRNAを保存しながらウイルスを不活化するための)を含有する、チューブ54と別個のバイアル32’が与えられてよい。ユーザーはスワブアセンブリ5Aを彼/彼女の口に入れて口腔液および細胞その他の物質、またはスワブ12Aに付着したその他のものを吸収させる(好ましくは舌、舌の裏側、頬、唇の裏側、舌下その他を強めに擦ることにより)。流体その他を吸収するプロセスの前、間、または後に、ユーザーはキャップを取り外し、既知の回動による仕方でバイアル32’(任意選択的に緩衝/保存剤を含む)をチューブ54に対してネジ山54A/54A’により固定する。例えば、インジケータストリップ27(および/または被分析物ストリップ27’-1またはより多くの標的被分析物、病原体その他の高速解析検査用を含んでいてよい)を介して適切な口腔液の吸収を確認した後、ユーザーは次いでスワブアセンブリ5Aをチューブ54内に挿入し、押し下げてタブ58Aと開口部58Bを係合(前述したように)させ、するとガスケット30は第1/抜気位置において流体をバイアル32’内へと流し込み、また与圧下に第2/シール位置へと移動する(すべて本願の他の部分で説明したようにして)。デバイス全体は次いで研究所へと搬送されてよく(手渡しまたは宅配/配達サービスにより)、そこではバイアル32’内のそのままの(緩衝されていない)または緩衝/保存されたサンプルが、確認を行い、ウイルス性因子、遺伝子検出/分析その他を行うために研究室の機器(例えばLC/MS)で分析されてよい。理解されるように、口腔標本は種々の設定のもとに簡便な仕方で容易に取得されてよく、任意選択的に高速解析が提供され、またウイルス(例えば、インフルエンザ、COVID-19または他のコロナウイルス、癌、HIV、肝炎、乱用薬物、遺伝情報、または口腔液から得られる他のマーカーまたは情報)を検出するなどのために研究所で分析される準備のできたサンプルがもたらされる。
【0078】
こうした作業の流れのための例示的な緩衝剤には、限定するものではないが、生理食塩水、唾液DNA保存緩衝液、グアニジンチオシアネート(GTC)またはグアニジンイソチオシアネート(GITC)(カオトロピック剤であり一般的なタンパク質変性剤として使用されてよい化合物であるが、最も一般的には細胞からのDNAおよびRNAの抽出に際しての核酸保護剤として用いられる)、クエン酸ナトリウム、クエン酸含有緩衝液、アジ化ナトリウム、ウイルス細胞溶菌貯蔵緩衝液(例えば緩衝液であり、例えばRNA情報を維持しながらウイルスに対して溶菌作用を有する)、およびその他が含まれる。こうした緩衝液/保存剤の任意のもの、特に上述した作業の流れにおいて使用するためのものが、本発明の実施形態の範囲内にある。
【0079】
今度は図21Aから図24Cを参照すると、理論に拘束されるものではないが、スワブアセンブリのステムにラテラルフロー被分析物検出ストリップを含む、本発明の好ましい実施形態の例示的な追加の詳細が説明される。
【0080】
被分析物検査ストリップを使用したラテラルフローアッセイは技術的に、唾液、血液、尿、および食物といったサンプルにおける、薬物、疾病(例えば、ウイルス)および他のバイオマーカー並びに被分析物を検査することのできる、使い捨て診断デバイスを提供することが知られている。本発明の実施形態は、多種多様なそうした被分析物検査ストリップを、性感染症、蚊媒介性の疾病、結核、肝炎、妊娠および不妊検査、心臓マーカー、コレステロール/脂質検査、乱用薬物、獣医学診断、がんマーカー、および食品安全の診断のために用いるものであり、それらはすべて、本発明の実施形態の範囲内にある。
【0081】
本発明の実施形態の範囲内に包含されるものは、「サンドイッチ法」および「競合法」と呼ばれるアッセイフォーマットのラテラルフローストリップである。本願の開示に基づいて当業者により理解されるように、サンドイッチ法アッセイは多くの場合、少なくとも2つの結合部位を有する大きな被分析物を検出するために使用されている。典型的には、1つの結合部位に対する抗体がナノ粒子に結合され、別の結合部位に対する抗体がアッセイのテストラインに用いられる。サンプル中に被分析物が存在すると、被分析物は抗体-ナノ粒子のコンジュゲートおよびテストライン上の抗体の両方に結合し、陽性信号が生成される。サンドイッチ法は、サンプル中に存在する被分析物の量に直接比例する強度の信号をテストラインにおいて生ずる結果となる。サンプル中の被分析物の量に拘わらず、コントロールラインにある抗種抗体がナノ粒子に結合し、コントロールライン信号を生成して、アッセイが正しく可能していることを実証する。
【0082】
競合法は、ステロイドや薬物のように、抗体の対が利用できないか、または複数回の抗体結合事象のためには被分析物が小さすぎる場合に、被分析物を検出するために使用される。このフォーマットにおいては、テストラインは典型的には被分析物の分子、通常はタンパク質-被分析物の複合体を含んでおり、そしてコンジュゲートパッドは、検出用の抗体-ナノ粒子コンジュゲートを含んでいる。標的被分析物が存在する場合には、被分析物はコンジュゲートに結合し、コンジュゲートがテストラインにおいて被分析物に結合することを妨げる。被分析物が存在しない場合には、コンジュゲートはテストラインにおいて被分析物に結合し、信号を生成する。競合法フォーマットにおいては、信号の強度はサンプル中に存在する被分析物の量に対して反比例する。サンドイッチ法フォーマットにおけるように、コントロールラインは被分析物を備えたまたは備えないナノ粒子コンジュゲートに結合し、アッセイが正しく行われているという確認をもたらす。
【0083】
実施形態により使用される典型的なラテラルフロー検査ストリップが図21Aに示されている。ストリップ60は好ましくは、サンプルパッド60A、コンジュゲートパッド60B、好ましくはニトロセルロースまたは類似したメンブレン型のストリップであってテストライン67およびコントロールライン66を含むストリップ本体60Cを含み、そしてまた好ましくはウィッキングパッド60Dを含んでいる。図示されているように、サンプルパッド60Aは好ましくはコンジュゲートパッド60Bに重なり合い、コンジュゲートパッド60Bは好ましくはストリップ本体60Cに重なり合い、そしてストリップ本体60Cは好ましくはウィッキングパッド60Dに重なり合う。当業者によって理解されるように、この重なり合いは一般に、サンプルパッド60Aからストリップを通過してウィッキングパッド60Dに向かう標本の毛管流れを容易にするように決定される。
【0084】
本発明の実施形態によれば、図1から図19の実施形態による口腔スワブの圧縮によって、または図20の所定の実施形態または図23Aから図24Cの実施形態によりスワブまたはスポンジ/吸収材料を通過してサンプルパッド60Aに到達する唾液によって、好ましくは唾液標本がサンプルパッド60Aに対して提示され(または流され)、そして当業者により理解されるように、標本からの流体はストリップ60を通じて吸い上げられる。サンプルパッド60Aは好ましくは標本を中和し、また好ましくはサンプルパッド60Aに到達しうる不要な粒子を濾過する。これは標本からの流体が、好ましくは表面に抗体を有する着色または蛍光ナノ粒子を好ましくは含んでいるコンジュゲートパッド60Bへと流れることを可能にする。標本の流体がコンジュゲートパッド60Bに到達すると、乾燥したナノ粒子が放出され、標本の流体と混合される。標本の流体中にあり抗体に対応する任意の標的被分析物は、好ましくは抗体と結合して標本と共に、ストリップ本体60Cを通り、そして1またはより多くのテストライン67およびコントロールライン66を横切って図示のように流れる。図21Aに示されたテストライン67は好ましくはラテラルフローアッセイにおける主たる読み出しであり、ナノ粒子に結合可能な固定化されたタンパク質からなり、標本の流体中における標的被分析物の存在に相関した、視覚的または光学的に認識可能な信号を発生する。標本の流体は続いてストリップ本体60Cに沿って流れ、最終的にコントロールライン66に到達する。コントロールライン66は好ましくは、標本の流体中に被分析物が存在するか否かに拘わらずナノ粒子コンジュゲートに結合する親和性リガンド(リガンドはタンパク質に対して可逆的に結合する分子または原子であり、また個別の原子またはイオンであってもよく、そしてまた多くの原子からなるより大きく複雑な分子であってもよい)を含んでおり、そして当業者により理解されるように、ラテラルフローアッセイが正しく作用したことを確認するのに役立つ(コントロールライン66に信号が存在しない場合は、検査結果が例えば無効であるという表示がもたらされる)。コントロールライン66の後、標本の流体はウィッキングパッド60Dに到達するまで、ストリップ本体60Cを通って流れ続ける。好ましい実施形態においては、ウィッキングパッド60Dはサンプル液体を吸収するように設けられており、テストライン(単数または複数)67およびコントロールライン66を横切る一貫した流れがあることが確実にされる。標本の流体がテストライン67およびコントロールライン66を通過した後、テストライン(単数または複数)67およびコントロールライン66において線が選択的に見えるようになり、そしてユーザーは(直接にまたはカメラ、カメラ付きスマートフォン、光学センサーその他のような機器の助けを借りて-図23Aおよび図24Aのユーザー視認要素76Bおよび/またはカメラ/光学センサー76Cを参照)結果を読み取りまたは判定してよい。また、当業者にはより完全に理解されるように、ナノ粒子および抗体の適切な選択によって、2つ(またはより多く)の被分析物を検出してよく、よって2つ(またはより多く)のテストライン67が備えられてよい(そうした複数のテストラインを参照している実施形態に関する説明をも参照)。本発明によれば、こうしたラテラルフローアッセイストリップを使用するすべての実施形態は、1つ、2つまたは2つよりも多い被分析物を検査してよいことが理解されよう。
【0085】
図21Bは、単一のテストライン67およびコントロールライン66、並びに被分析物標識領域70を有するラテラルフローストリップ60(図21Aに関して説明したような構成要素を有していてよい)を、より概略的な形態で図示している。標識領域70は好ましくは、薬物でありうるこのストリップについての標的被分析物の視覚的な表示を提供し(例えば、メタンフェタミンについてMETH、コカインについてCOC、抗原についてAg、抗体についてAB、その他)、そして文字および背景色または模様によって、ユーザーまたはカメラ/光学機器がストリップから検査結果を読み取ることを容易にさせる。図21Cは、2つのテストライン67およびコントロールライン66、並びに被分析物標識領域71および72をも有する、ラテラルフローストリップ62(図21Aに関して説明したような構成要素を有していてよいが、2つの被分析物のための形態である)を、より概略的な形態で図示しており、これは好ましくはこのストリップについての標的被分析物の視覚的な表示を提供し、そして文字および背景色または模様によって、ユーザーまたは機器がストリップから検査結果を読み取ることを容易にさせる。
【0086】
図20および図23Aから図24Cに示された所定の実施形態によれば、ストリップはステム6A(図20)または76A(図23Aから図24C)内に備えられてよく、そしてスワブ12A(図20)または77(図23Aから図24C)との接触を介して、標本の流体が提示される。図23Aから図24Cの実施形態において備えられているストリップは、1つの標的被分析物に対して1枚のストリップを含んでいてよく(例えば、図21B参照)、または2またはより多くの標的被分析物に対して1枚のストリップを含んでいてよく(例えば、図21C参照)、或いは2またはより多くの標的被分析物に対して2枚のストリップを含んでいてよい。図22の実施形態は、2枚のストリップ64Aおよび64Bの背中合わせの配置を示しており、それぞれ2つの標的被分析物テストライン68A、68B、69Aおよび69B、並びにコントロールライン66A、66B、および被分析物標識領域71A、71B、72A、72Bを備えている。1枚、2枚または3枚の標的被分析物ストリップは本発明の範囲内にあり、また図22に示されているような背中合わせのストリップは説明的な例示であることが理解されねばならない。単一の被分析物検査ストリップは2枚または3枚の被分析物検査ストリップと対をなすことができ、また2枚の被分析物検査ストリップは3枚の被分析物検査ストリップと対をなすことができる。1つの好ましい実施形態においては、ウイルス抗原(Ag)の単一の被分析物検査ストリップが背中合わせストリップ構成の第1の側に備えられ、そして1枚または2枚の抗体(AB)被分析物検査ストリップが背中合わせストリップ構成の第2の側に備えられる(例えば、SARS-CoV-2に対するIgG抗体およびIgM抗体)。また、代替的な実施形態によれば、ステムは、1つ、2つまたはより多くの標的被分析物の検査ストリップと背中合わせ構成の、インジケータストリップ(本願の他の部分で記載したインジケータストリップ27のような)を含んでいてよい。また、スワブステム内部のチャネル(例えば、図23Bのチャネル80Aおよび図24Bのチャネル85Aを参照)は好ましくは矩形の容積であって背中合わせのストリップ構成を収容するが、スワブステム内により多くのストリップを収容するための他の幾何学的形状も可能である(例えば、スワブステムの円形/管状構成内に3枚またはより多くのストリップ)。そうした代替的な実施形態において重要なことは、1つ、2つまたはより多くの標的被分析物についての1またはより多くのラテラルフロー検査ストリップがステム5A/76内に位置決めされ、スワブ12A/77を介して標本と流体接触状態にあり、ラテラルフローアッセイが実行されるとステム5A/76に設けられたウィンドウ(例えば、ウィンドウ6A、76A)を介して結果がユーザーまたは機器に見えることである。この場合に口腔スワブ型の実施形態は、スワブのステム内に1または複数のラテラルフロー検査ストリップを備えて得られてよく、かくしてスワブは口の中に挿入され、流体を吸収し、そして被分析物がテストラインおよびコントロールラインを介して検出され、昔からある旧来の体温計のようにして読み取られてよい。
【0087】
加えて、図20の実施形態について理解されるように、1またはより多くの標的被分析物検査ストリップがスワブステム内に含まれていてよく、これはステムキャップを受容する上部部分においてスワブステムをシールすることによって作成されてよく、このとき1またはより多くの検査ストリップはステム内のチャネルに挿入された位置で固定され、スワブスポンジは接着剤を介するなどによりスワブステムに取着される。図23Aから図24Cに示されているように、代替的な実施形態においては、スワブのスポンジ状の材料がスワブステムに接着され、そして後の時点において1またはより多くの被分析物検査ストリップがステムのチャネル(例えば、図23Bのチャネル80Aおよび図24Bのチャネル85Aを参照)内に挿入されて、スワブ材料(例えば、図23Cおよび図24Cのスワブ77)と接触し、または標本との流体接触がもたらされるようになる。こうした実施形態においては、また図23Dにおいてより詳細に示されているように、キャップ79がシール79A(好ましくはゴムまたはシリコーンのような柔軟材料である)を有するように構成され、そしてキャップ79は1またはより多くの保持構成(例えば、スワブステム76上の凹部およびキャップ79上の突起であって、凹部が突起に嵌合してシール79Aが開口78(検査ストリップの挿入が行われる開口である-例えば図23Bおよび図24B参照)を覆う好ましくは気密なシールをもたらすように構成されている)によりスワブ75上へと固定される。1つの代替的な実施形態においては、図23Dに図示された突起/凹部構成は、キャップ79とステム76に設けられた対応するネジ山で置き換えられ、キャップがねじ込まれるとシール79Aが開口78をシールまたは閉鎖する位置に持ってこられる。重要なことは、検査ストリップ60/62/64A/64Bその他がスワブステム76のチャネル80Aまたは85A内に完全に挿入された後に、開口78を覆い/シールするシール構成をキャップ79が有していることである。
【0088】
図24Cの例示的な実施形態は図23Cの実施形態とは、チャネル85Aが、チャネル85A/80Aの本体と比較してより大きな、好ましくは湾曲した内側表面を有する開放容積を備えた端部/キャビティ85を有している点で異なっている。図示されているように、こうした好ましい実施形態において、検査ストリップ60/62/64A/64Bは第1の長さを有し、この長さはスワブステム76内のチャネル(第2の長さ)よりも長い。第1の長さ(ストリップの長さ)が第2の長さ(チャネルの最初から最後までの長さ)よりも長いと、検査ストリップ60/62/64A/64Bとスワブの吸収材料12A/77との間により大きな接触が達成されてよく、それが好ましくは標本流体の検査ストリップのサンプルパッド(図21A)への流れ/連通を改善する。図示されているようにキャビティ85が開放され好ましくは湾曲した内側表面を備えていると、ある容積がもたらされ、かくして検査ストリップはこの容積内で屈曲または折り畳まれてよく、そしてそれによってチャネル内の別の位置で屈曲または折り曲がることが防止され、そしてそれによって検査ストリップを標本の流体に提示することが助けられる。
【0089】
1つの代替的な実施形態において、スワブステム上へのキャップの保持構成は、(例えば)ステム76の先端上のネジ山に対応するネジ山を備えたキャップ上のねじのような、ネジ山によって行ってよく、このときシール79Aはキャップの内側のシールであって、キャップがスワブステム上にねじ込まれた場合に開口78をシールする。さらに別の実施形態において、キャップ79はシール79Aのない開口を有し、キャップ79のこの開口はユーザーの(例えば)親指によって覆われうるように構成されており、かくしてスワブが圧縮ハウジングまたはチューブ内へと押し込まれた場合(本願の他の部分で説明したように)、この穴はユーザーの親指によってシールされ、それによって圧縮が改善され、また本願の他の部分に記載したような、標本バイアル内への流体の取り出しが改善される。
【0090】
さらに別の代替的な実施形態においては、1またはより多くの標的被分析物を備えたストリップが図1から図19の実施形態と組み合わせられ、かくして標的被分析物はそれらの実施形態のカセット内、およびスワブステム内にもあるストリップを介して検査されてよい。そうした1つの代替例においては、スワブステム内のストリップはTHC(マリファナ由来)について、親分子(デルタ(9)-テトラヒドロカンナビノール(THC)、大麻またはマリファナ中の主たる精神活性成分)または11-ヒドロキシ-THC(11-OH-THC)または11-ノル-9-カルボキシ-THC(THCCOOH)のようなTHC代謝物のいずれかを検査し、そして1つの実施形態においては2枚のストリップを背中合わせ構成で含み、その場合に第1のストリップ上の1つの標的被分析物はTHC親分子であり、第2のストリップ上の第2の標的被分析物はTHC代謝物である。別の代替的な実施形態においては、技術的に公知のアルコール検査ストリップがスワブステム内に含められ、複数の乱用薬物が図1から図19の実施形態の1つのカセット内にある複数の検査ストリップを介して検出される。
【0091】
さらに別の実施形態においては、図1から図19図20、または図21Aから図24Cにおいて例示された実施形態において説明されたようなラテラルフロー検査ストリップであり、標的被分析物はウイルス抗原(Ag)であってよく、そうしたウイルスは例えばコロナウイルスである。Ag検出はそのままの唾液標本(緩衝液、VTMまたは他の媒体もしくは剤を添加せず、唾液のみ)について観察されるが、代替的な好ましい実施形態においては、サンプルパッド(図21A参照)がTriton X-100のような剥離剤もしくは表面活性剤材料または界面活性剤材料、またはTWEEN-20のようなノニオン性界面活性剤で予備処理されるが、これらは所定の条件下において抗原検出を改善することが判明している。検査ストリップのサンプルパッドのこうした予備処理は、固体材料をサンプルパッドの材料内へと押し付けることにより行われてよく、または好ましくは、ある種のアルコールのような迅速に蒸発する溶媒を用いたスラリー/溶液型のプロセスによって(そこでは剥離剤を含有する少量のスラリー/溶液が(好ましくはコンジュゲートパッドとの重なり合い領域から離れた下側部分において)サンプルパッドに適用される)、例えば担持液体/溶媒が迅速に蒸発しおよび/またはコンジュゲートパッドに到達するには不十分な量で検査ストリップを流れ、または代替的にはサンプルパッドに適用された液体/溶媒がサンプルパッドがコンジュゲートパッドと重なり合う前に除去されるという条件のもとに行われてよい。重要なことは、剥離剤型の剤が制御された量で検査ストリップのサンプルパッドに適用され/含有されて、コンジュゲートパッドの作用が妨げられることがなく、かくして標本流体がサンプルパッドに接触して検査ストリップを通る毛管流れが開始された場合に抗原検出が向上されることである。
【0092】
本願の開示から理解されるように、本発明の例示的な好ましい実施形態は、細長いステムとステムの第1の端部に固定された吸収部材を備えた流体採取器を有する流体サンプル検査装置を含んでおり、このステムはステムの第1の端部からステムの末端の第2の端部まで延びる内部の開放チャネルを有している。ステムのチャネル内には1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップが位置決めされてよく、そして1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップの各々のサンプル受容部材が吸収部材と流体連通している。1またはより多くのラテラルフローストリップの1またはより多くのテストラインおよびコントロールラインがステムのウィンドウ部分を通して視認可能である。吸収部材内に導入された流体は1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップのサンプル受容部材に到達し、そして検査結果はステムのウィンドウ部分を通し、1またはより多くのテストラインおよびコントロールラインを介してユーザーまたは機器により認識可能である。ステムのチャネル内には少なくとも2つのラテラルフローアッセイストリップが位置決めされており、そして少なくとも2つのラテラルフローアッセイストリップのそれぞれは、少なくとも2つの被分析物の存在または欠如を検出するように適合されていてよい。1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップのそれぞれは、1またはより多くの薬物、ウイルスまたは他の物質に対応する抗原または抗体、本願の他の部分において開示されたバイオマーカーその他であってよい、1またはより多くの被分析物の存在または欠如を検出するように適合されていてよい。1つの例として、第1のラテラルフローアッセイストリップはウイルスに対応する抗原について検査を行ってよく、そして第2のラテラルフローアッセイストリップはウイルスに対応する抗体について検査を行ってよい。スワブアセンブリは流体採取(または圧縮)チューブと共に用いられてよく、そしてサンプル保持容器(またはバイアル)が流体採取チューブと流体連通状態で備えられていてよい。流体採取器は好ましくは流体採取チューブ内に挿入されるように適合されており、そして流体採取チューブ内に挿入および貫通されると、圧力が生成されて流体が流体採取器からサンプル保持容器内に放出される。サンプル保持容器内に収容された流体は好ましくは、研究所における確認検査または疾病検査パネルのために十分な容積を有する。1つの例においては、ラテラルフローストリップは抗原検査および抗体検査の迅速な結果をもたらし、そしてバイアル内の標本は、rtPCRその他のウイルス(コロナウイルスのような)のための分子検査並びに肺炎、インフルエンザおよび他の疾病についての呼吸器系検査パネルのような付加的な検査を行うために、研究所へと搬送される。
【0093】
ステムのチャネルは、ステムの第2の端部において閉鎖または開放されていてよい。ステムのチャネルはステムの第2の端部において、ステムの第2の端部に固定されたキャップを介して閉鎖されていてよく、これはキャップおよびステム上の1またはより多くの突起/凹部を介して、またはキャップおよびステム上に対応して形成されたネジ山を介して行われてよい。穴をシールするためにシールアセンブリが備えられ、或いはキャップとステムはユーザーの身体の一部(例えば、親指)が穴をシールして圧縮チューブ内でのスワブアセンブリの圧縮を容易にするように構成されていてよい。流体インジケータストリップが1またはより多くのラテラルフロー検査ストリップと共に、ステムのチャネル内に位置決めされていてよい。複数のスワブアセンブリまたは流体採取器がハウジングと共に備えられていてよく、このとき流体採取チューブおよび1またはより多くの第2のラテラルフローアッセイストリップが流体採取チューブと流体連通状態にある。流体採取器の各々は、流体採取チューブ内へと挿入されるように適合されていてよく、そして挿入され流体採取チューブ内に貫通されると、圧力が生成されて流体が流体採取器から放出され、この流体はカセット内にあってよい1またはより多くの第2のラテラルフローストリップに提示されてよく、そしてサンプル内の1またはより多くの被分析物の存在または欠如がステムのチャネル内のラテラルフローアッセイストリップに基づいて、また第2のラテラルフローアッセイストリップに基づいて検出されてよい。図20から図24Cのスワブアセンブリ/ラテラルフローストリップの構成は、図1から図19のハウジング/ウイルス標本容器/ラテラルフローストリップカセットと共に使用されてよい。
【0094】
好ましくはスワブステム内のチャネルは第1の長さを有し、そして1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップは少なくとも第2の長さであり、そして好ましくは第2の長さは第1のの長さよりも大きい。好ましくは、ラテラルフローアッセイストリップの1またはより多くはウイルス抗原の存在または欠如を検出し、そしてラテラルフローアッセイストリップの1またはより多くは吸収部材と流体連通しているサンプルパッドを有し、そしてサンプルパッドは1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップを介した抗原検出を容易にする剤を含んでいる。この剤はTriton、Triton X-100、TWEEN20、ノニオン性その他の界面活性剤などであってよい界面活性剤を含んでいてよく、また抗原の放出/検出を容易にする他の物質を含んでいてよい。
【0095】
本発明は、流体採取器の細長いステムの第1の端部に固定された吸収部材に検査すべき流体サンプルを吸収するといったステップを備えた方法を考慮に入れており、これはユーザーが流体採取器またはスワブを口の中に入れ、或いは他の仕方で検査すべき流体と接触させることによって行われてよい。1つの代替的な実施形態においては、スワブスポンジ/吸収材タイプの材料が水または生理食塩水溶液で湿らされてよく、そして未知の物質(例えば粉末または残渣)がスポンジ/吸収材タイプの材料で擦り取られまたは拭き取られてよく、かくしてラテラルフローストリップはその未知の物質が薬物または標的被分析物を含有する他の材料であるかどうかを検出してよい。ステムは好ましくはステムの第1の端部からステムの末端の第2の端部まで延びる内部の開放チャネルを有し、そして1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップがステムのチャネル内に位置決めされる。1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップの各々のサンプル受容部材は好ましくは吸収部材と流体連通状態にあり、そこにおいては1またはより多くのラテラルフローストリップの1またはより多くのテストラインおよびコントロールラインがステムのウィンドウ部分を通して視認可能である。吸収部材内へと導入された流体は次いで1またはより多くのラテラルフローアッセイストリップのサンプル受容部材に到達してよく、そして検査結果はユーザーの視覚的認識またはカメラ、スマートフォンのカメラまたは光学センサーのような機器を介して、ステムのウィンドウ部分を通じ1またはより多くのテストラインおよびコントロールラインを介して判定されてよい。
【0096】
理解されるように、図20から図24Aの実施形態は、単独でまたは図1から図19の実施形態との組み合わせに基づいて、種々の検査方法を利用可能なものとする。
【0097】
当業者に理解されるように、本願での参照によって取り入れられる同時係属中の米国出願番号第15/417,905の教示は、本願に記載した例示的な好ましい実施形態に対して一般的に適用可能である。限定としてではなく付加的な説明として、そうした教示のいくらかを以下に記載する。
【0098】
被分析物のスクリーニング
本発明の実施形態は、流体サンプル中の被分析物の定性的または定量的な同時検出のための迅速スクリーニング、ラテラルフロークロマトグラフィーイムノアッセイを含む、被分析物のスクリーニングデバイスを提供する。例えば、限定するものではないが、流体サンプルは唾液、尿、血液、粘液、水分、または固体もしくは半固体、例えば便または粘液または液体の生検組織の流体抽出物であってよい。流体サンプルはまた環境的サンプル、例えば限定するものではないが、土壌、塵埃、水、植物性物質、昆虫、動物性物質、またはこれらのいずれかの流体抽出物であってよい。流体サンプルはまた食品または飲料、例えば限定するものではないが、液体飲料、液体含有食品、または固体状、半固体状または粉末状食品や飲料の流体抽出物であってよい。流体サンプルはまた、検査および分析のためのゲノム材料またはプロテオーム材料を含有していてよい。
【0099】
本発明の実施形態は、サンプル受容部材と流体連通しており、ラテラルフロークロマトグラフィーアッセイを使用して、流体サンプル中の閾値濃度を上回るまたはそれ未満の少なくとも1つの被分析物の存在または欠如を指示することのできる、少なくとも1つのメンブレン検査ストリップを含んでいる。
【0100】
本発明の実施形態において、ラテラルフロークロマトグラフィーアッセイは競合アッセイであり、そこにおいては流体サンプル中の被分析物は、抗被分析物抗体と結合するについて、競合試薬と競合する。例えば、抗被分析物は標識されてよく、そして競合試薬はメンブレン検査ストリップの検査領域に固定化されてよい。流体サンプルは染料領域に到達した後、標識された抗被分析物抗体と遭遇する。被分析物が流体サンプル中に予め決定した閾値濃度を超えて存在する場合には、被分析物は標識された抗被分析物抗体の結合部位を飽和させる;そうでない場合には、標識された抗被分析物抗体は幾らかまたは全部が残存し、競合試薬と自由に結合する。流体サンプルは毛管作用によってメンブレン検査ストリップに沿って移動するにつれて、標識された抗被分析物抗体を運び、検査領域に到達する。検査領域は固定化された競合試薬を含んでいるが、これは被分析物、被分析物のフラグメント、被分析物のエピトープ、被分析物の分子擬態、抗イディオタイプ抗体、または抗被分析物抗体に結合するについて被分析物と競合することのできる任意の他の分子であってよい。被分析物が予め決定した閾値濃度を超えて存在する場合には、標識された抗被分析物抗体は飽和しており、固定化された競合試薬には結合しないため、検査領域に信号を生じない結果となる;他の場合には、抗被分析物抗体は不飽和であって競合試薬と結合可能であり、検査領域に信号を生ずる結果となる。
【0101】
かくして、競合アッセイを用いた本発明の実施形態によれば、被分析物陰性の流体サンプル(予め決定したよりも低い濃度の被分析物を含有する)は標識された抗被分析物抗体を捕捉することに基づいて検査領域にラインを生成するが、これに対して被分析物陽性の流体試料は流体サンプル中の被分析物が標識された抗体を飽和させて検査領域における捕捉を妨げるため、検査領域に色付きのラインを生成しない。
【0102】
本発明のある実施形態において、ラテラルフロークロマトグラフィーアッセイはサンドイッチアッセイであり、そこでは標識された抗被分析物抗体が検査領域において捕捉されるために被分析物が存在しなければならない。例えば、被分析物抗体は標識された抗体であってよく、そして第2の抗被分析物抗体が検査領域に固定化されてよい。例えば、流体サンプルは染料領域に到達した後に、標識された抗被分析物抗体に遭遇する。被分析物は流体サンプル中に存在する場合、標識された抗被分析物抗体の少なくとも一部分(フラクション)に結合する。流体サンプルは毛管作用によってメンブレン検査ストリップに沿って移動するにつれて、標識された抗被分析物抗体を一緒に運び、検査領域に到達する。検査領域は固定化された抗被分析物抗体を含んでおり、それは被分析物の異なるエピトープに対して、標識された抗被分析物抗体よりも反応性であってよい。被分析物が流体サンプル中に存在すると、それは標識された抗体が検査領域に固定化されるための足場を形成する。検査領域に捕捉された標識された抗体のフラクションはかくして、流体サンプル中の被分析物の濃度によって決定される。関心事の被分析物が予め決定された閾値濃度を超えて存在する場合には、標識された抗体の十分なフラクションが捕捉され、その結果として検査領域に視認可能な信号がもたらされる;そうでない場合は、抗体のフラクションの捕捉は不十分であり、検査領域において信号は視認可能でない。
【0103】
かくして、サンドイッチアッセイを用いた本発明の実施形態によれば、被分析物陽性な流体試料は検査領域における標識された抗体の捕捉に基づいてメンブレン検査ストリップの検査領域に着色ラインを生成するが、一方で被分析物陰性な流体サンプルは標識された抗体を捕捉しないことから検査領域に細線を生成しない。
【0104】
本発明のある実施形態は、アッセイが適切に機能して完了したことを示すための能動的な制御を含んでいる。例えば染料領域は、限定するものではないが標識されたコントロール抗体などの標識されたコントロールタンパク質を含んでいてよく、そしてメンブレン検査ストリップのコントロール領域は、抗体またはコントロール被分析物のような標識されたコントロールタンパク質を捕捉することのできる固定化されたコントロール試薬を含んでいてよい。コントロール領域はまたメンブレン検査ストリップ上で各々の検査領域に対して遠位に配置されていてよく、かくして流体サンプルはコントロール領域に遭遇するより前に各検査領域に遭遇するようになっている。固定化されたコントロール試薬に対する標識されたコントロールタンパク質の反応は、コントロール領域に着色ラインを生成し、適切な量の流体サンプルが添加されメンブレンの吸い上げが生じたこと、そしてアッセイが適切に行われたことを示す。
【0105】
本発明のある実施形態は、例えば複数の被分析物を同時に検査可能なメンブレン検査ストリップを用いることにより(例えば染料領域に複数の抗被分析物抗体を含有し、複数の両立する検査領域を有することにより)、および/または複数のメンブレン検査ストリップを同じ装置内で用いることにより、複数の被分析物を同時に検査する。本発明のある実施形態は、例えばデバイス内の異なるメンブレン検査ストリップおよび/またはデバイス内の同じメンブレン検査ストリップに、競合アッセイおよびサンドイッチアッセイを用いる両方のメンブレン検査ストリップを含んでいる。
【0106】
本発明のある実施形態は、流体サンプル中に存在する被分析物の濃度の定量的な判定をもたらしてよい。例えば装置は、異なる量の抗被分析物抗体を有する複数のメンブレン検査ストリップを含んでいてよく、その結果被分析物に対する感度は異なり、メンブレン検査ストリップのどれが検査領域に着色ラインを示しまたは示さないかによって、被分析物の濃度が示される。
【0107】
抗体
本発明のある実施形態は、被分析物の検出のために抗体を用いる。本願において用いるところでは、「抗体」(Ab)という用語は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、および所望の活性を示す限りにおいて、抗体フラグメントを含んでいる。本願において用いるところでは、用語「モノクローナル抗体」は実質的に均一な、すなわち集団を構成する個々の抗体が僅かな量で存在しうる自然発生的な変異の可能性を除いては同一である抗体の集団から得られた抗体を指している。
【0108】
「標識された抗体」および「標識されたコントロールタンパク質」という用語は、標識に対して直接的または間接的に結合された抗体またはタンパク質を指している。この標識はそれ自体で検出可能であってよい検出可能な化合物または組成物であり、限定するものではないが、染料、金属コロイド(限定するものではないが、金コロイドを含む)、ラジオアイソトープ、または蛍光化合物、または酵素標識の場合には基質化合物または組成物の検出可能な化学変性を触媒してよく、あるいはこれらの任意の組み合わせを含んでいる。
【0109】
被分析物
本発明のある実施形態によれば、装置は被分析物の存否について流体サンプルを検査するためのデバイスを含んでいる。本発明は、あらゆる任意の被分析物についての検査を考慮している。限定するものではないが、検査されてよい被分析物には、乱用薬物またはそれらの代謝物、病原体または病原体の産生物の存在を示す被分析物、アレルゲン、汚染物質、毒素、混入物質、診断または医療的価値のある被分析物、これらのいずれかに対する抗体、およびこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0110】
本発明のある実施形態によれば、検査されてよい被分析物には乱用薬物またはそれらの代謝物が含まれ、限定するものではないが、7-アセトアミノクロナゼパム、亜硝酸アルキル、α-ヒドロキシアルプラゾラム、アルプラゾラム、2-アミノ-2’-クロロ-5-ニトロベンゾフェノン、7-アミノクロナゼパム、7-アミノニトラゼパム、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アンフェタミン、アナボリックステロイド、アンドロゲン、アンドロスタジエノン、アプロバルビタール、アトロピン、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、ベンゾイルエクゴニン、ベンジルピペラジン、ウンデシレン酸ボルデノン、4-ブロモ-2,5-ジメトキシフェネチルアミン、ウシ成長ホルモン、ブタバルビタール、ブタルビタール、ブトリプリリン、4-クロルデヒドロメチルテストステロン、クロロホルム、クロミプラミン、クロナゼパム、クロステボール、コカエチレン、コカイン、コデイン、コデイン-6-グルクロニド、コチニン、デヒドロエピアンドロステロン、デシプラミン、デスメチルジアゼパム、デスオキシメチルテストステロン、デクスメチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、デキストロメトルファン、デキストロプロポキシフェン、デキストロルファン、2,5-ジアミノ-2’-クロロベンゾフェノン、ジアモルヒネ、ジアゼパム、ジベンゼピン、ジヒドロテストステロン、ジメンヒドリナート、2,5-ジメトキシ-4-(n)-プロピルチオフェネチルアミン、2,5-ジメトキシ-4-エチルフェネチルアミン、2,5-ジメトキシ-4-ヨードフェネチルアミン、ジメチルエーテル、ジメチルトリプタミン、ジメチルトリプタミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ドスレピン、塩酸ドチエピン、ドキセピン、ドロスタノロン、エクゴニン、エクゴニンメチルエステル、エフェドリン、エルギン、エストレン、5-エストロゲン、エチル-5-(1’-メチル-3’-カルボキシプロピル)-2-チオバルビツール酸、5-エチル-5-(1’-メチル-3’-ヒドロキシブチル)-2-チオバルビツール酸、エチルエストレノール、エチルフェニデート、フェンタニル、フルニトラゼパム、フルオキシメステロン、フラザボール、γ-ヒドロキシ酪酸、1-(β-D-グルコピラノシル)アモバルビタール、成長ホルモン、ヘロイン、ヘキサバルビタール、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト成長ホルモン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、(+)-3-ヒドロキシ-N-メチルモルヒナン、3-ヒドロキシクロナゼパム、11-ヒドロキシ-テトラヒドロカンナビノール(11-ヒドロキシ-THC)、3’-ヒドロキシアモバルビタール、p-ヒドロキシアンフェタミン、p-ヒドロキシノルフェドリン、イミプラミン、イプリンドール、カバ、カタミン、レボメチルフェニデート、イオフェプラミン、ロラゼパム、ロラゼパムグルクロニド、リゼルグ酸ジエチルアミド、メペリジン、メスカリン、メタノロン、メステロロン、メタクロロフェニルピペラジン、メタドン、メタンフェタミン、メタンドロステノロン、メタカチノン、3,4-メチレンジオキシアンフェタミン、メタノロン、メタノロンエナンテート、メチレンジオキシメタンフェラミン(エクスタシー)、メチルフェニデート、メチルフェノバルビタール、メチルテストステロン、ミボレロン、(+)-3-モルヒナン、モルヒネ、ナンドロロン、ニコチン、ニトラゼパム、N-メチル-ジタンシアミン、ノルボレトン、ノルコデイン、ノルエタンドロロン、ノルケタミン、ノルトリプチリン、アヘン剤、オピプラモール、アヘン、オキサボロンオピオネート、オキサンドロロン、オキサゼパム、オキシコドン、オキシメトロン、オキシモルフォン、ペントバルビタール、フェンシクリジン、フェネチルアミン、フェノバルビタール、4-フェニル-4-(1-ピペリジニル)-シクロヘキサノール、1-フェニル-1-シクロヘキセン、フェニルアセトン、5-[N-(1-フェニルシクロヘキシル)]-アミノペンタン酸、1-(1-フェニルシクロヘキシル)-4-ヒドロキシピペリジン、ピペリジン、プロトリプチリン、サイロシン、サイロシビン、キンボロン、サルビノリンA、スコポラミン、セコバルビタール、チオペンタールナトリウム、スタノゾロール、テルブタール、テマゼパム、テストステロン、プロピオン酸テストステロン、テトラヒドロカンナビノール(THC)、THC-COOH、テトラヒドロゲストリノン、トルエン、トレンボロン、三環系抗うつ薬、3-トリフルオロメチルフェニルピペラジン、トリミプラミン、トリプタミン、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。何らかの特定の薬物または代謝物の存在が検出される最小濃度レベルは、例えば薬物乱用に関する国立研究所(NIDA)、薬物乱用および精神保健サービス局(SAMHSA)、世界保健機関(WHO)のようなさまざまな機関の最低基準によって決定されてよい。
【0111】
本発明のある実施形態によれば、検査されてよい被分析物は、病原体または病原体の産生物を含み、限定するものではないが、アカントアメーバ、アフラトキシン、消化性マイコトキシン、アルタートキシン、アメーバ、アニサキス、アスカリス・ルンブリコイデス、バチルス・アースラシス、バチルス・セレウスまたはその毒素、バクテリア、牛海綿状脳症、ブルセラ、カリシウイルス、カリマトバクテリウム・グラニューロマチス、カンピロバクター、カンピロバクター・ジェジュニ、カンジダ、カンジダ・アルビカンス、セファロスポリウム、クラミジア・トラコマチス、慢性消耗病プリオン、シトリニン、ボツリヌス菌またはその毒素、ウェルシュ菌、コリネバクテリウム・ウルセランス、コクシエリア・バーネティル、クロイツフェルト・ヤコブ病プリオン、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、クリプトスポリジウム、クリプトスポリジウムパルバム、シクロピアゾン酸、シクロスポラ・カイエタネンシス、サイトカイアシン、サイトメガロウイルス、ジフィロボトリウム、大腸菌、エボラ、エンドトキシン、エンタムセバ・ヒストリチカ、エンテロウイルス、エルゴペプチンアルカロイド、麦角アルカロイド、エルゴタミン、大腸菌O157、ユーストロンギリド、肝蛭、致死性家族性不眠症プリオン、扁形動物、野兎病菌、フミトレモルゲンB1、フモニシン、フザリウム、フサロクロマノン、生殖器疣贅、ゲルストマン・シュトラウスラー・シャインカー症候群プリオン、ジアルジア、ランブリアランブリア、鼠径肉芽腫、H7腸管出血性、ヘモフィルス・デュクレイ、ヘリコバクター・ピロリ、肝炎、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、E型肝炎、単純ヘルペスウイルス、ヒストプラズマ・カプスラーツム、HIV、HIV-1、HIV-2、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザ、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、コウジ酸、クルプリオン、リステリア菌、ロリトレムアルカロイド、マールブルグウイルス、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌またはその毒素、軟体動物、モニリホルミン、単核症、マイコバクテリア、結核菌、マイコプラズマ、マイコプラズマ・ホミニス、マイコトキシン、ミロセシウム、ナノファイトス、淋菌、線虫、ニバレノール、ノロウイルス、オーラトキシン、オースポレイン、寄生虫、パツリン、パキシリン、ペニトレムA、フォモプシン、原虫、扁形動物、プレシオモナス・シゲロイデス、肺炎球菌、ニューモシスチス・ジロベチー、プリオン、原生動物、ライノウイルス、ロタウイルス、サルモネラ、サルコシスチス・ホミニス、サルコシスチス・スロミニス、スクレープルプリオン、性感染症、赤痢菌、シゲラ、スポリデスミンA、スレタフィボトリス毒素、ステリグマトシスチン、連鎖球菌、肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌、有鉤条虫、無鉤条虫、サナダムシ、無鉤条虫、白癬、トキソプラズマ・ゴンディ、振戦誘発性マイコトキシン、トレポネマ・パリダム、旋毛虫、トリコデルマ、トリコモナス・バギナリス、トリコテセン、トリチュリス・トリクララ、ティパノソーマ・クルージ、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、ベルコシジン、バルクロゲン、ビブリオ・コレラ・ノンO1、ビブリオ・コレラO1、ビブリオ腸炎、ビブリオ・バルニフィカス、ウイルス、イースト菌感染症、エルシニア・エンテロコリチカ、エルシニア偽結核、ゼアラレノア、ゼアラレノン、これらのいずれかに対する抗体、およびこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0112】
本発明のある実施形態によれば、検査されてよい被分析物はアレルゲンを含み、限定するものではないが、トチノキ、ハンノキ、アーモンド、動物産生物、オウシュウヨモギ、豆類、カバノキ毒、白樺、萼、猫フケ、セロリアック、セロリ、アカザアルバム、ゴキブリ、とうもろこし、フケ、犬フケ、薬物、ダニ排泄物、卵白、卵、フェルディーワンタンパク質、果物、毛皮、草、ハシバミ、シデ、虫刺され、ラテックス、マメ科植物、局所麻酔薬、トウモロコシ、金属、牛乳、カビの胞子、蚊の唾液、マウスフケ、イラクサ、オリーブ、ピーナッツ、エンドウ豆、ピーカン、ペニシリン、植物花粉、オオバコ、プラタナス、ポプラ、カボチャ、ブタクサ、ラットフケ、ライグラス、サリチル酸塩、シーフード、ゴマ、スイバ、大豆、大豆、スルホンアミド、シナノキ、オオアワガエリ、木の実、木、ハチ毒、雑草、小麦、ヤナギ、これらのいずれかに対する抗体、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0113】
本発明のある実施形態によれば、検査される被分析物は汚染物質、毒素、およびコンタミ(混入物質)を含んでおり、限定するものではないが1,2-ジブロモエタン、アクリルアミド、アルデヒド、ヒ素、人工成長ホルモン、アスベスト、ベンゼン、ベンゾピレン、発ガン性物質(カルシノゲン)、ジクロロ-ジフェニル-トリクロロエタン、ホルムアルデヒド、ケポン(クロロデコン)、鉛、水銀、メチル水銀、ニトロソアミン、N-ニトロソ-N-メチルウレア、有機塩素系殺虫剤、農薬、ポリ塩化ビフェニル、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン、遺伝子組み換えウシ成長ホルモン、遺伝子組み換えウシソマトトロピン、トルエン、塩化ビニル、これらに対する任意の抗体、またはこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0114】
本発明のある実施形態によれば、検査される被分析物には診断的価値または医療的価値のある被分析物が含まれ、限定するものではないが、酸ホスファターゼ、アクティブB12、AFP、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アルブミン、アルブミンBCG、アルブミンBCP、アルカリホスファターゼ、アルファ-1アンチトリプシン、アルファ-1糖タンパク質、アミカシン、アンモニア、アミラーゼ、抗CCP、抗Tg、抗TPO、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、ASO、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、B12、β2ミクログロブリン、β2ミクログロブリン、BNP、CA125、CA125II、CA15-3、CA19-9XR、カルシウム、カルバマゼピン、二酸化炭素、CEA、セルロプラスミン、コレステロール、CK-MB、補体C3、補体C4、コルチゾール、C-ペプチド、C-反応性タンパク質、クレアチンキナーゼ、クレアチニン、CRPバリオ、シクロスポリン、シクロスポリンおよび代謝物-全血、シクロスポリンモノクローナル-全血、D-ダイマー、DHEA-S、デジトキシン、ジゴキシン、ジゴキシン、ジゴキシンII、ジゴキシンIII、直接ビリルビン、直接LDL、エストラジオール、フェリチン、FLMII、葉酸、遊離カルバマゼピン、遊離フェニトイン、遊離PSA、遊離T3、遊離T4、遊離バルプロ酸、FSH、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、ゲンタマイシン、グルコース、糖化ヘモグロビン、ハプトグロビン、hCG、ヘモグロビン、ホモシステイン、ICT CI-、IGFBP-1、免疫グロブリン、免疫グロブリンA、免疫グロブリンE、免疫グロブリンG、免疫グロブリンM、インスリン、インタクトPTH、鉄、K+、カッパ軽鎖、乳酸脱水素酵素、乳酸、ラムダ軽鎖、LH、リドカイン、リパーゼ、リチウム、Lp、マグネシウム、代謝物、メトトレキサートII、マイクロアルブミン、MPO、ミオグロビン、Na+、N-アセチル-プロカインアミド、新生児ビリルビン、NGAL、P-アミラーゼ、ペプシノーゲンI、ペプシノーゲンII、フェノバルビタール、フェニトイン、リン、プレアルブミン、プロカインアミド、プロゲステロン、プロラクチン、キニジン、リウマチ因子、SHBG、シロールムス、STAT CK-MB、T4、タクロリムス、タクロリムスII、テストステロン、Tg、テオフィリン、テオフィリンII、TIBC、TIMP-1、トブラマイシン、総ビリルビン、総エストリオール、総タンパク質、総PSA、総T3、総T4、トランスフェリン、トリグリセリド、トロポニン-I、トロポニン-I ADV、TSH、T-取り込み、UIBC、ウルトラHDL、尿素窒素、尿酸、尿/CSFタンパク質、バルプロ酸、バンコマイシン、バンコマイシンII、ビタミンD、これらに対する任意の抗体、またはこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0115】
受容部材
本発明のある実施形態によれば、装置は流体サンプルを受容する開口を有する受容部材を含む。例えば、受容部材は流体採取器を受容する寸法とされていてよい。本発明のある実施形態においては、受容部材は装置の他の構成部材、例えば少なくとも1つのメンブレン検査ストリップ、サンプル保持部材、および/またはイムノアッセイに基づく指紋採取パッドと、チャネル、例えばチューブ、パイプ、装置内に成形または刻み込まれたチャネル、或いは任意の適切な材料、例えばプラスチック、セラミック、金属、ガラス、木材、ゴム、ポリマー、繊維強化ポリマー、またはこれらの任意の組み合わせから作成された他の任意の適切な構造を通じて流体連通していてよい。
【0116】
本発明のある実施形態によれば、構成部材相互間に流体連通をもたらすチャネルまたは複数のチャネルは、例えば他よりも狭く、広く、長く、または短いチャネル、チャネルの一部分、または開口を備えることで異なる流れ抵抗を有していてよく、および/またはデバイス内部の流体チャネルが程度の異なる流れ抵抗を有するように、垂直方向に異なる大きで上昇または下降する流路を有していてよい。例えば、サンプル受容部材と少なくとも1つのメンブレン検査ストリップとの流体連通をもたらすチャネルは、サンプル受容部材とサンプル保持部材との流体連通をもたらす少なくとも1つのチャネルよりも大きな流れ抵抗を有していてよく、流体サンプルの一部がサンプル保持部材に収集されることを確実にする。
【0117】
本発明のある実施形態においては、複数の開口を有する単一のチャネルが受容部材を、それが流体連通している装置の構成部材の各々、例えば少なくとも1つのメンブレン検査ストリップ、サンプル保持部材、および/またはイムノアッセイに基づく指紋採取パッドに対して接続してよい。
【0118】
本発明のある実施形態においては、受容部材は、ダブルスワブ流体採取器などの、但しこれに限定されるものではない、複数に枝分かれした流体採取器を受け取るための、2またはより多くのチャンバを含んでよい。装置の構成部材は、複数のチャンバの1つだけに接続されていてよい。例えば、2チャンバの実施形態において、1つのチャンバのみがサンプル保持部材に接続されて、流体サンプルの一部分が装置の他の構成部材との相互作用なしに収集され貯蔵されることを確実にしてよい。
【0119】
本発明のある実施形態は、さまざまな粘度の流体、例えば水、唾液、尿、血液、およびゲノミクスやプロテオミクスに関連する液体に適応してよい。一般にこれは、サンプル受容部材と装置の他の構成部材との流体連通をもたらすチャネルまたは複数のチャネルの直径を変化させることによって、例えばより粘稠な流体に適応するためにより大きなチャネル直径をもたらすことによって達成される。
【0120】
本発明のある実施形態においては、水と同様の粘度を有する流体と適合性のある寸法のチャネルがサンプル受容部材と少なくとも1つのメンブレン検査ストリップとの流体連通をもたらし、そして水と同様の粘度を有する流体と適合性のある寸法の少なくとも1つのチャネルがサンプル受容部材とサンプル保持部材との流体連通をもたらす。
【0121】
本発明のある実施形態においては、尿と同様の粘度を有する流体と適合性のある寸法のチャネルがサンプル受容部材と少なくとも1つのメンブレン検査ストリップとの流体連通をもたらし、そして尿と同様の粘度を有する流体と適合性のある寸法の少なくとも1つのチャネルがサンプル受容部材とサンプル保持部材との流体連通をもたらす。
【0122】
本発明のある実施形態においては、唾液と同様の粘度を有する流体と適合性のある寸法のチャネルがサンプル受容部材と少なくとも1つのメンブレン検査ストリップとの流体連通をもたらし、そして唾液と同様の粘度を有する流体と適合性のある寸法の少なくとも1つのチャネルがサンプル受容部材とサンプル保持部材との流体連通をもたらす。
【0123】
本発明のある実施形態においては、血液と同様の粘度を有する流体と適合性のある寸法のチャネルがサンプル受容部材と少なくとも1つのメンブレン検査ストリップとの流体連通をもたらし、そして血液と同様の粘度を有する流体と適合性のある寸法の少なくとも1つのチャネルがサンプル受容部材とサンプル保持部材との流体連通をもたらす。本発明のある実施形態においては、粘液と同様の粘度を有する流体と適合性のある寸法のチャネルがサンプル受容部材と少なくとも1つのメンブレン検査ストリップとの流体連通をもたらし、そして粘液と同様の粘度を有する流体と適合性のある寸法の少なくとも1つのチャネルがサンプル受容部材とサンプル保持部材との流体連通をもたらす。
【0124】
本発明のある実施形態においては、細胞分離に関連する液体と同様の粘度を有する流体と適合性のある寸法のチャネルがサンプル受容部材と少なくとも1つのメンブレン検査ストリップとの流体連通をもたらし、そして細胞分離に関連する液体と同様の粘度を有する流体と適合性のある寸法の少なくとも1つチャネルがサンプル受容部材とサンプル保持部材との流体連通をもたらす。
【0125】
本発明のある実施形態においては、プロテオミクスまたはゲノミクスのような液体生検と同様の粘度を有する流体と適合性のある寸法のチャネルがサンプル受容部材と少なくとも1つのメンブレン検査ストリップとの流体連通をもたらし、そして液体生検と同様の粘度を有する流体と適合性のある寸法の少なくとも1つのチャネルがサンプル受容部材とサンプル保持部材との流体連通をもたらす。プロテオミクスとはタンパク質の研究である。ゲノミクスとは分子生物学の一部門であり、ゲノムの構造、機能、進化、およびマッピングに関する。
【0126】
本発明のある実施形態においては、受容部材は内側表面、例えば流体採取器に存在する吸収材料のような吸収材料がそれに対して圧縮される下側表面を有していてよく、それによって流体サンプルは吸収材料から放出される。例えば吸収材料は、流体採取器上に存在する圧縮部材と受容部材の下側表面との間で直接に圧縮されてよく、または受容部材は、圧縮部材と吸収材料を少なくとも部分的に取り囲むハウジングとの間で吸収材料が圧縮されることを容易にするための、構造的支持を提供してよい。
【0127】
サンプル保持部材
本発明のある実施形態によれば、装置はサンプル保持部材を含む。このサンプル保持部材は、流体サンプルの一部、例えば分割されたサンプルの如きをを確実に収容するために使用されてよい。保持された流体サンプルの部分はさらなる検査のために、例えばメンブレン検査ストリップを使用して得られた検査結果を確認するために、または流体サンプル中における被分析物の存在または欠如を検査するために使用されてよい。この保持された流体サンプルの部分はまた、限定するものではないがDNA、細胞、プロテオミクス、金属、および液体生検などの、被験者の識別特徴の分析を通じて被験者の識別を確認するために使用されてよい。
【0128】
本発明の1つの実施形態によれば、サンプル保持部材は吸収材料、例えばパッドまたはスポンジを含み、または織成されたまたは織成されていない繊維質または布帛様の材料、例えばセルロースまたはセルロース誘導体、コットン、親水性発泡体、木材パルプ、ポリビニルアルコール繊維、またはこれらの任意の組み合わせから作成される。サンプル保持部材は、サンプル採取装置の一部である吸収材料を含んでいてよい。吸収材料は、限定するものではないがプラスチック、セラミック、金属、ガラス、木材、ゴム、ポリマー、繊維強化ポリマー、またはこれらの任意の組み合わせを含む、液体不透過性材料のような障壁によって囲まれていてよく、保持されたサンプルが漏出または蒸発することが防止される。本発明のある実施形態においては、吸収材料は装置に対して着脱可能に取着されていてよく、保持された流体サンプルの取り出しが容易にされている。本発明のある実施形態においては、吸収材料は針を使用して、例えば吸収材料を取り囲む障壁を穿刺することによって取り出されてよい。保持されたサンプルは次いで、例えば注射器を引いて吸引を生ずることによって、針を装着した注射器内へと取り出されてよい。
【0129】
本発明のある実施形態によれば、サンプル保持部材は、流体サンプルを貯蔵するための容積を画定する貯蔵容器を含む。本発明の1つの実施形態においては、サンプル保持部材は、限定するものではないがガラス、プラスチック、セラミック、金属、金属箔、木材、ゴム、ポリマー、繊維強化ポリマー、またはこれらの任意の組み合わせを含む、壊れやすい、またはほぼ壊れない材料から作成されたバイアルであってよい。本発明のある実施形態においては、貯蔵容器は、貯蔵容器の壁を突き通る針を使用して取り出されてよい。例えば貯蔵容器は、壁厚の薄い領域、および/または限定するものではないが穿刺可能なプラスチック、セラミック、金属、ガラス、金属箔、木材、ゴム、ポリマー、繊維強化ポリマー、またはこれらの任意の組み合わせを含む、軟質の、穿刺可能な、または破壊可能な材料で作成された穿刺可能な部材を含んでいてよい。保持されたサンプルは次いで、例えば針が装着された注射器の中へと、注射器を引いて吸引を生ずることによって取り出されてよい。本発明のある実施形態においては、貯蔵容器は装置に対して、限定するものではないが貯蔵容器を装置から切り離すことを可能にしてよい線状脆弱部を介して、サンプル保持部材と流体サンプル検査デバイスの間のネジ込み接続機構を介して、またはサンプル保持部材と流体サンプル検査デバイスの間の回動ロック接続機構を介してなどにより、着脱可能に取着されていてよい。
【0130】
本発明のある実施形態によれば、脱着可能なサンプル保持部材は、限定するものではないがサンプル保持部材と流体サンプル検査デバイスの両者に付された同一のまたは関連する識別またはシリアル番号、サンプル保持部材と流体サンプル検査デバイスの両者に付された同一のまたは関連するバーコード情報、およびサンプル保持部材またはサンプル保持部材と流体サンプル検査デバイスに無線周波数識別デバイス(RFID)を含めることなどで、流体サンプル検査デバイスとリンクされ、または一致するようコード化されてよい。RFIDは、電磁スペクトルの無線周波数(RF)部分における電磁的または静電的結合の使用を取り入れてオブジェクトを固有に識別し;こうした固有の識別情報は、サンプルの提供者に固有の情報、または流体サンプル検査デバイスに固有の情報であってよい。
【0131】
本発明のある実施形態によれば、サンプル保持部材は、限定するものではないがサンプルの完全性を保存することのできる安定保存剤、例えば微生物の成長を阻止し、微生物を殺し、サンプルの漏出を阻止し、サンプルの蒸発を阻止し、サンプル中の物質の化学的または酵素的劣化を阻止し、サンプル中の細胞または他の微生物の生存を支援し、またはこれらの任意の組み合わせを可能にする物質を含む、サンプルのさらなる使用を容易にするための物質を含有する。
【0132】
本発明のある実施形態によれば、サンプル保持部材は指紋採取パッドに結合されていてよい。例えばそうした結合は、保持されたサンプルが指紋から分離されることに対する予防手段を提供してよい。
【0133】
本発明のある実施形態によれば、サンプル保持部材はサンプル受容部材とのみ流体的に接触してよく、装置の他の構成部材のいずれとも流体的に接触しないでよい。
【0134】
保持された流体サンプルは、限定するものではないが、保持された流体サンプルを使用するガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、質量分析、質量分析が連設された液体またはガスクロマトグラフィー、ポリメラーゼ連鎖反応法、DNA塩基配列決定法、酵素結合免疫吸着検定法、ウェスタンブロッティング、生育培養法、またはこれらの任意の組み合わせを含む、さらなる確認検査のために使用されてよい。
【0135】
流体採取器
ある実施形態において、装置は流体サンプルを収集するための流体採取器を含んでいる。本発明は被験者のような特定の対象からサンプルを収集すること、または環境サンプルの検査、例えば限定するものではないが空気、水、土壌、または何らかの他の物質、または食品や飲料、またはこれらのいずれかの液体抽出物の如きを検査することを意図している。流体採取器は装置と関連して動作可能である。流体採取器は装置に対して着脱可能に組み合わせられていてよく/装置に固定されていてよく、または複数のユニットを含んでいその1またはより多くが装置に対して固定的にまたは着脱可能に組み合わせられる。
【0136】
本発明のある実施形態において、流体採取器は所望量の流体サンプルを吸収することのできる吸収材料またはスワブを含んでいる。吸収材料は当業者に既知の任意の適切な材料で作成されてよく、例えば限定するものではないが、パッドまたはスポンジを含み、または織成されたまたは織成されていない繊維質または布帛様の材料、例えば限定するものではないがセルロースまたはセルロース誘導体、コットン、親水性発泡体、木材パルプ、ポリビニルアルコール繊維、またはこれらの任意の組み合わせから作成される。本発明のある実施形態において、流体採取器は吸収材料を圧縮可能な圧縮部材を含み、これは流体サンプルの収集に先立って吸収材料から空気を追い出すために使用されてよく、および/または吸収材料が非圧縮状態に戻るに際して吸引を生ずることによって流体サンプルが吸収材料中へと流れることを促進する。圧縮部材はまた例えば、吸収材料を圧縮してその内部に収容されている流体サンプルを放出するように使用されてよい。
【0137】
本発明の1つの実施形態においては、流体採取器は複数の採取スワブを含む。例えば、ダブルスワブを備えた二股の流体採取器を実施してサンプルを収集してよい。1つの実施形態においては、複数スワブ流体採取器の各々のスワブは、スワブの特定の収集特性に基づいて選択されてよい。例えばダブルスワブ流体採取器において、各々のスワブは異なる細胞材料の収集のような、異なるサンプルの収集を支援する材料を含んでいてよい。
【0138】
採取器に設けられる充足インジケータも考慮されている。例えば限定するものではないが、十分なサンプルが収集された場合に、例えば十分な量が吸収されて吸収材料において充足インジケータが配置されている位置に到達した場合に、カラーインジケータが出現または消失してよい。本発明のある実施形態によれば、充足インジケータは吸収材料に関連して動作するものであってよく、また透明バリア、例えばプラスチックまたはガラスのような障壁によって流体サンプルの供給源との直接的な接触から保護されていてよく、かくして流体サンプルは吸収材料内を通過することによってのみ、充足インジケータに到達する。
【0139】
充足インジケータの色は、文字や記号の形態であってよく、十分なサンプルが収集された場合に出現または消失する。例えば充足インジケータは拡散性の染料であって、流体サンプルによる染料の希釈が色の消失を生じさせて、十分な量のサンプルが収集されたことを示してよい。本発明のある実施形態においては、拡散性染料が消失した場合に非拡散性染料が残存して情報メッセージを提供するように非拡散性染料と拡散性染料を一緒に組み合わせて使用してよく、例えば拡散性染料は「不十分」という単語の「不」の文字を形成して、十分なサンプルが収集された場合に非拡散性染料が残存して単語「十分」を形成するようにしてよい。
【0140】
充足インジケータは、サンプルに遭遇した場合に色を変化させるpH感応性物質であってよい。例えば、異なるpH値に応答する複数のpH感応性インジケータを予めセットし、サンプルが酸性、塩基性、または中性であるかで色の変化が観察されるようにしてよい。本発明のある実施形態によれば、pHを変化させる物質、例えば酸または塩基が、吸収材料内部に配置されてよく、かくしてサンプルが正しいpHとなって充足インジケータに所望の色の変化を生じさせてよい。
【0141】
閉鎖部材が使用されてよい。閉鎖部材は流体採取器がサンプル受容部材の開放端の内部へと挿入された場合に、サンプル受容部材の開放端を封止することができる。例えば閉鎖部材は、受容部材開放端の開口内に緊密に装着される寸法を有していてよく、そして閉鎖部材または受容部材の開放端は、限定するものではないが加硫ゴムのような天然ゴム、ネオプレンゴムまたはニトリルゴムのような合成ゴム、プラスチック、セラミック、またはこれらの任意の組み合わせを含む、圧縮性材料を含んでいてよく、これは閉鎖部材とサンプル受容部材の開放端の開口との間の境界面に配置されて、サンプル受容部材が流体採取器を受容した場合に、気密シールまたは水密シールのようなシールを生成することができる。
【0142】
流体採取器がサンプル受容部材に挿入された後は、流体採取器をサンプル受容部材内に係止するためのデバイスが検討される。この係止手段は流体採取器がサンプル受容部材内に挿入された後に、そこから外れることを防止してよい。流体採取器をサンプル受容部材内に係止するための手段は、流体採取器から延びる少なくとも1つの突起を含んでいてよく、これはサンプル受容部材の内側表面上に位置決めされた少なくとも1つの突起と協働してよく、ここでかかる突出部は例えば少なくとも1つのロックタブおよび/または少なくとも1つの環状リングを含んでいてよい。本発明のある実施形態によれば、流体採取器上の閉鎖部材は、流体採取器をサンプル受容部材内部に固定するための手段を構成するだけの十分に確実な閉鎖を形成してよい。
【0143】
サンプル受容部材はまた改ざん明示シールを含んでいてよく、かくして装置の中味を改ざんしようと試みると視覚的な表示、例えば刷り込まれたシール、例えば文字、記号または署名を表面に有するテープまたは接着剤付きの箔に、視認可能な引き裂きまたは破断を生ずる結果になる。こうした改ざん明示シールは使用前に装置上に貼り付けて、装置の用途が受容部材の開放端を通じて検査前、またはその使用後に変更されていないという視覚的な確認を生成し、装置の内容物が受容部材の開放端を通じて検査後に変更されていないという視覚的な確認を生成してよい。本発明のある実施形態によれば、流体採取器をサンプル受容部材に挿入した後に取り外そうと試みると装置に視覚的な損傷を生ずる結果となるという点において、流体採取器をサンプル受容部材内に係止するための手段は改ざん明示シールを構成していてよい。
【0144】
本発明のある実施形態によれば、流体採取器は、例えば木材、プラスチック、セラミック、または金属で作成され、そして例えば吸収材料の末端に配置された取っ手を含む。この取っ手は、取っ手が捻られおよび/または引き抜かれた場合に破断または分離する例えば締り嵌め、接着剤、粘着剤、またはエポキシによって、または取っ手が破断するようにする構造、例えば線状脆弱部によって、脱着可能に取着されていてよい。
【0145】
流体採取器は、吸収材料を少なくとも部分的に取り囲むハウジングを含んでいてよい。このハウジングは、流体サンプルが吸収材料に吸収され、また浸出されることを許容する複数の開口部を有していてよい。ハウジング内の開口部は、流体サンプルから粒状物質を濾過することのできる濾過部材を含んでいてよく、結果的に吸収材料に入り込む粒状物質の数を低減させる。流体採取器は、吸収材料をハウジングに対して圧縮することのできる圧縮部材を含んでいてよい。例えば、ハウジングは圧縮部材に対して摺動可能に結合されてよく、吸収材料は圧縮部材とハウジングの内側表面との間に配置されて、吸収材料はハウジングの内側表面に向かう圧縮部材の移動によって圧縮されてよい。本発明のある実施形態は吸収材料を圧縮状態に係止するための手段を含み、これには限定するものではないが、圧縮部材とハウジングに関連して動作し協働するネジ山、突出部、および/または溝が含まれる。吸収材料は流体サンプルに対する遭遇の前、遭遇と同時、また遭遇の後に圧縮状態から解放されてよく、吸収材料が解放状態に復帰するにつれて吸引を生成して、吸収材料中への流体サンプルの流入を容易にする。例えば、吸収材料はバネと関連して動作して、かくして吸収材料の圧縮がバネの圧縮に帰着し、また圧縮が解放された場合にはバネが吸収材料の非圧縮状態への復帰を支援してよい。
【0146】
本発明のある実施形態においては、流体採取器は、限定するものではないが検尿カップなどの流体容器の蓋と関連して動作する。例えば、吸収材料は蓋の内側上に配置されていてよく、かくして蓋を流体容器に取り付けると、吸収材料と流体サンプルの間に接触が生ずる結果となる。本発明の所定の実施形態においては、流体採取器の蓋を含む部分は流体採取器の吸収材料を含む部分と着脱可能に関連していてよく、吸収材料が蓋から分離されるのを可能にする。流体採取器と蓋との関連動作は、限定するものではないが一方の部材に突出部が存在し他方の部材に溝またはスロットが存在して協働するなど、流体採取器の一部が蓋に対して回転するのを捕捉するための手段を蓋が含むなどにより、例えば吸収材料を圧縮状態で固定する手段の解放が容易とされる。
【0147】
唾液生成物質
本発明によれば唾液生成物質の使用が考慮されている。唾液生成物質は被験者における唾液の生成を引き起こしまたは増大させる。例えば限定するものではないが、唾液生成物質は糖、塩、酸、またはこれらの任意の組み合わせであってよい。本発明のある実施形態においては、唾液生成物質は流体採取器と組み合わせられていてよく、例えば吸収材料またはハウジングの表面または内部に位置決めされる。本発明のある実施形態においては、唾液生成物質は流体採取器から分離されていて、例えばガム、キャンディ、または粉末の形態で、流体採取器が被験者の口腔内に挿入される前、挿入中、または挿入後に被験者に対して投与されてよい。
【0148】
例えば、限定するものではないが、糖は単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、多糖、アカルボース、アロース、アルトロース、アミロース、アラビノース、カリビオース、シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、デオキシグルコース、デキストリン、ジヒドロキシアセトン、エリスロース、エリスルロース、フィコール、フラクトオリゴ糖、フルクトース、ガラクトオリゴ糖、ガラクトース、ゲンチオビオース、グルコサミン、グルコース、グリセルアルデヒド、グリコーゲン、グロース、イドース、イノシトール、イヌリン、イソマルトース、ラクトース、リキソース、マルトース、マルトシルシクロデキストリン、マルトトリフォース、マンナンオリゴ糖、マンノヘプツロース、マリノース、メレキトース、モニトール、プシッカエ(psiccae)、ラフィノース、リビトール、リボース、リブロース、セドヘプツロース、ソルビトール、ソルボース、スクロース、タガトース、タロース、トレオース、トレハロース、キシロース、キシルロース、またはこれらの任意の組み合わせであってよい。
【0149】
例えば、限定するものではないが、塩は無機塩、有機塩、酸塩、アルカリ塩、中性塩、またはアミノ酸塩、あるいはこれらの任意の組み合わせであってよい。塩は陽イオンおよび陰イオンを含んでよい。、例えばこれらに限定するものではないが、陽イオンはアルミニウム、アンモニウム、バリウム、ベリリウム、カルシウム、セシウム、クロム(II)、クロム(III)、クロム(IV)、コバルト(II)、コバルト(III)、銅(I)、銅(II)、銅(III))、ガリウム、ヘリウム、水素、ヒドロニウム、鉄(II)、鉄(III)、鉛(II)、鉛(IV)、リチウム、マグネシウム、マンガン(II)、マンガン(III)、マンガン(IV)、マンガン(VII)、ニッケル(II)、ニッケル(III)、ニトロニウム、カリウム、ピリジニウム、銀、ナトリウム、ストロンチウム、スズ(II)、スズ(IV)、亜鉛、またはこれらの任意の組み合わせの陽イオンであってよく、そして陰イオンは酢酸塩、アミド、酒石酸塩、ホウ酸塩、臭素酸塩、臭化物、炭酸塩、塩素酸塩、塩化物、塩素酸塩、クロム酸塩、クエン酸塩、シアン酸塩、二クロム酸塩、リン酸二水素塩、フッ化物、ギ酸塩、グルタミン酸塩、水素化物、炭酸水素塩、シュウ酸水素塩、リン酸水素塩、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、水酸化物、次亜臭素酸塩、次亜塩素酸塩、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、硝酸塩、窒化物、亜硝酸塩、シュウ酸塩、酸化物、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、過酸化物、リン酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩、硫化物、亜硫酸塩、テルル酸塩、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩、またはこれらの任意の組み合わせの陰イオンであってよい。例えば、本発明のある実施形態によれば、塩は塩化ナトリウムまたは塩化カリウムであってよい。
【0150】
酸は当業者に知られた任意の適切な酸であってよく、例えば酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、カルボン酸、クエン酸、脂肪酸、葉酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、塩酸、ヒドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、硝酸、シュウ酸、p-トルエンスルホン酸、パラブロモフェニルスルホン酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸、またはそれらの任意の組み合わせであってよい。
【0151】
指紋識別
本発明のある実施形態は指紋パッドを含んでいて、被験者、検査管理者、および/または1またはより多くの目撃者といった、検査に関連する個人の識別がもたらされる。指紋パッドは、例えば限定するものではないが、インク系、イムノアッセイ系、電子系、半インクレス(インク不要)系、またはインクレス系といった任意の適切な指紋取得方法を用いてよい。本発明のある実施形態においては、指紋パッドは例えば複数の指紋パッドを有して、または複数の指紋を収容するのに十分な大きさの1つの指紋パッドを有して、または電子的指紋パッドを有して、複数の指紋を採取可能であってよい。
【0152】
指紋パッドはインク系の指紋パッドであってよい。本発明のある実施形態は、インク系の指紋パッドに信号を生じさせることのできるインクを分配可能なディスペンサー(分配器)を含んでいる。指紋パッドはまた、インクレスまたは半インクレスであってよく、例えばインクを必要とせず、または対象者の皮膚上で透明に見え、対象者の皮膚から容易に洗い流すことができ、または例えば対象者が手を擦り合わせた場合に容易に消え失せる活性化剤と両立するものであってよい。本発明のある実施形態によれば、インクレスの指紋パッドは、例えばここで参照することによってその全体を本願に取り入れる、ラオフ・エイ・ギルガイスに対して2002年3月5日に発行された米国特許第6,352,663号(「863号特許」)、およびラオフ・エイ・ギルガイスに対して1993年9月14日に発行された米国特許第5,244,815号(「815号特許」)に記載されたイムノアッセイ系であってよい。イムノアッセイ系の指紋パッドはサンプル受容部材と流体連通していても、していなくてもよい。本発明の他の実施形態は、863号特許および815号特許に開示された実施形態の種々の特徴を取り入れてよい。信号を生じさせるために活性化剤を必要とするインクレスまたは半インクレスの指紋パッドを有する本発明の実施形態においては、装置はまた活性化剤を分配するためのディスペンサーを含んでいてよい。本発明のある実施形態によれば、指紋パッドは吸着性または粘着性の表面のような表面を有していてよく、指が押し当てられた場合に汗、油分、および/または皮膚細胞を収集することができ、指紋の明確な視覚化を行うためにさらなる処理が必要とされてよい。
【0153】
本発明のある実施形態によれば、インクレス指紋パッドは電子指紋パッドであってよく、限定するものではないが、光学スキャン指紋読み取り器またはソリッドステート指紋読み取り器が含まれる。本発明のある実施形態はメモリ素子を含んでおり、限定するものではないが、揮発性または不揮発性メモリ、例えば1またはより多くの指紋を記憶するために指紋パッドに接続されたハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、光学ディスク、フラッシュメモリ、ホログラフィックメモリ、EEPROM、RAM、DRAM、SDRAM、またはSRAMが含まれる。本発明のある実施形態によれば、電子指紋パッドは電気的に帯電された表面素子を有していてよく、そこにおいて指の表面の畝といった指表面と接触した表面の部分は電気的に放電され、かくして指紋は放電された素子のパターンで記憶され、それによって指紋のパターンはそれが生成された後、例えば装置を外部デバイス、限定するものではないがベースステーションに接続することを通じて読み取られるまでの時間にわたって、表面内に安定的に記憶されてよい。本発明のある実施形態は捕捉した指紋を伝送するための手段、例えば外部デバイスまたはネットワークを含み、これは限定するものではないが例えば電線、ケーブルを用いた配線接続、または限定するものではないがUSB、IEEE1394、シリアル、パラレル、またはSCSIなどの接続を用いるための、または例えば赤外線、RF、IEEE802.11、ブルートゥース、IEEE802.15、またはWi-Fiを用いる無線接続を用いるためのドッキングステーションまたはドッキングコネクタを介するものを含んでいる。
【0154】
本発明のある実施形態においては、カバーが指紋採取パッドを覆う。このカバーは種々の機構、例えば限定するものではないが、タブとスロットによるコネクタ、ラッチ、バネラッチ、接着テープ、またはセキュリティテープを使用して固定されてよい。このカバーは指紋採取の前および/または指紋採取の後に固定されてよい。
【0155】
本願においては本発明は特定の実施形態を参照して説明されているが、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲から逸脱することなしに、種々の修正および変更を行うことができる。実施形態の組み合わせは、実施形態が具体的に相互に排他的でない限り、明示的に想定される。特許請求の範囲に記載の発明は本願に開示された複数の実施形態を含んでいてよい。したがって、明細書および図面は限定的な意味ではなく例示的な意味で考えられべきであり、すべての修正変更は本発明の範囲内に含まれることが意図されている。特定の実施形態に関して本願に記載した任意の利点、効果、または課題解決手段は、任意のまたは全ての請求項について重要な、必須の、または本質的な特徴または要素として理解されることを意図したものではない。
【0156】
本発明は時折本願において、例示的な実施形態に関連して記述されている。これらの実施形態に関連する説明は、本発明の種々の特徴および実施形態が例示的な用途の文脈において表現されることを許容するために提示されている。この説明を読んだ後、当業者には、本発明を異なる代替的な環境においてどのように実施可能であるかが明らかとなるであろう。別途定義しない限り、本願において使用されるすべての技術的および科学的な用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって共通して理解されるのと同じ意味を有している。
【0157】
上述の説明は、当業者が本発明を作成および使用することを可能にするために提示されている。本願に記載された一般的な原理は、以下に詳細を記載した以外の実施形態および用途に対して、添付の特許請求の範囲に規定した発明の思想および範囲から逸脱することなしに適用されてよい。本発明は図示の実施形態に限定されることを意図しておらず、本願に記載した原理および特徴と一貫性のある最も広い範囲が与えられるべきものである。
【0158】
加えて、本発明のある特定の特徴は、幾つかの実施形態のうち1つのみに関して開示されているかも知れないが、そうした特徴は所望に応じて、他の実施形態の1またはより多くの他の特徴と組み合わせてよい。したがって特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内に包含されるすべてのそうした修正または実施形態を包含することを意図したものである。
【0159】
種々ある図面は本発明の例示的な構成または構造を示していてよく、それは本発明に包含されうる特徴および機能の理解を助けるために行われている。本発明は図によって説明された例示的な構成または構造に限定されるものではなく、所望の特徴は種々の代替的な構成および構造によって実現可能である。実際に、本発明の所望の特徴を実現するためにどのような代替的な機能、論理的または物理的な区分けおよび構成を実施可能であるかは、当業者に明らかである。加えて、種々の区画に対し、本願で示した以外の多くの異なる構成モジュール名を適用することができる。加えて、流れ図、動作説明および方法の請求項に関して、文脈が異なる指示をしない限り、本願に提示された工程の順序は、記載された機能を実行するために種々の実施形態を同じ順序で行うことを要求するものではない。
【0160】
本願において使用される用語および言い回し、およびそれらの変化形は、特段の明示的な記載がない限り、限定的ではなく無制限に解釈されるべきである。こうした例として:用語「含む」は「限定なしに含む」といった意味で読み取られねばならず;用語「例」は説明されている事物の例示的な実例を提示するために使用されており、その包括的または限定的な羅列ではなく;用語「ある」または「1つの」は「少なくとも1つ」「1つまたはより多く」などの意味で読み取られねばならず;そして「在来の」「伝統的な」「通常の」「標準的な」「既知の」といった形容詞および類似した意味の用語は、説明されている事物を所与の期間または所与の時点で入手可能な事物に限定するものと解釈されてはならず、むしろ現在または未来の任意の時点において入手可能または知られていてよい在来の、伝統的な、通常の、または標準的な技術を包含するものとして読み取られねばならない。同様に、本願が当業者にとって明らかなまたは知られた技術に言及する場合、そうした技術は現在または未来の任意の時点の当業者に明らかなまたは知られた技術を包含する。
【0161】
接続詞「および」で繋がれた事物の集団は、それらの事物のそれぞれ全部がその集団に存在することを必要とするものとして読み取られてはならず、むしろ特段の明示的な記載がない限り「および/または」として読み取られねばならない。同様に、接続詞「または」で繋がれた事物の集団は、その集団内の相互排他性を必要とするものとして読み取られてはならず、むしろ特段の明示的な記載がない限り、やはり「および/または」として読み取られねばならない。さらにまた、本発明の事物、要素または構成部材は単数形で記載または特許請求されてよいが、単数形への限定が明示的に記載されていない限り、複数形もまた本発明の範囲内にあることが考慮されている。
【0162】
「1つまたはより多く」「少なくとも」「限定するものではないが」といった広義的な単語および言い回し、または他の類似の言い回しの存在は、幾つかの場合には、そうした広義的な言い回しが欠如してよい場合に、狭義の場合が意図されまたは必要とされているという意味に読み取られてはならない。用語「モジュール」の使用は、モジュールの一部として記載または特許請求された構成部材または機能が、すべて共通の包囲体内に構成されていることを意味するものではない。実際、制御ロジックであろうとまたは他の構成部材であろうと、モジュールの種々の構成部材のいずれかまたは全てを、単一の包囲体内に組み合わせまたは個別に保持することができ、さらに複数の位置にわたって分配することができる。
【0163】
特段の明示がない限り、「第1の」および「第2の」といった用語は、そうした用語が記述している要素同士を任意に識別するために用いられている。かくしてこれらの用語は、そうした要素の時間的または他の優先順位付けを示すことを必然的に意図したものではない。
【0164】
加えて、本願に記載した種々の実施形態は、例示的なブロック図、流れ図および他の図解によって記述されている。本願を読んだ後に当業者に明らかとなるように、例示的に説明された実施形態およびそれらの種々の代替例は、説明された例に制限することなしに実施可能である。例えば、ブロック図およびそれらに関連する説明は、特定の構成または構造を義務付けるものとして解釈されてはならない。
【0165】
明細書の前の部分において言及した刊行物および特許はすべて、参照を行うことによって本願に取り入られる。本発明について説明した方法およびシステムの種々の修正および変形は、本発明の範囲および思想から逸脱することなしに当業者に明らかである。本発明は特定の好ましい実施形態に関連して説明してきたが、特許請求された発明はそうした特定の実施形態に不当に限定されてはならないことが理解されねばならない。実際、本発明を実施するために説明された態様の、当技術分野または任意の関連分野における当業者に自明な種々の修正は、特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0166】
当業者は、必要性、性能、または他の規準に基づく異なる特性を有して、異なる実施形態を類似の仕方で形成してよいことを認識するであろう。かくして当業者は、本発明の広範な概念から逸脱することなしに、上述した実施形態に対して変更を行ってよいことを理解するであろう。したがって本願に開示された発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって規定された本発明の思想および範囲内に、修正態様を包含することを意図していることが理解される。
【0167】
本発明はその特定の実施形態に関連して説明されてきたが、多くの代替例、修正例および変形例が当業者には明らかである。したがって本願に記載された本発明の実施形態は限定的ではなく、例示的であることを意図したものである。本願に記載した発明の真の思想および全範囲から逸脱することなしに、種々の変更を行ってよい。
【0168】
本発明は特定の好ましい実施形態および他の実施形態に関して説明されてきたが、以上の説明に照らせば、多くの置換例、代替例および変形例が、当業者に明らかであることが明白である。したがって本発明は、特許請求の範囲の思想および範囲内に包含されるすべての代替例および変形例を包含することを意図している。例えば、本願に記載された種々の代替的な実施形態によれば、種々のシステム、ならびにそうしたシステムに基づく用途および方法が獲得されてよいことが理解されねばならない。やはり記載されている種々の改良および代替ならびに追加的な特徴は組み合わせて、本発明による追加的な有利な組み合わせ等を提供してよい。またこれまでの説明に基づいて当業者によって理解されるように、好ましい実施形態の種々の実施態様を種々の副次的な組み合わせに適用して、本願に記載した効果および特性の少なくともあるものを達成してよく、そうした副次的な組み合わせもまた、本発明の範囲内にある。そうした本発明のすべての改良、改善、およびさらなる用途は、本発明の範囲内にある。

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図17
図18A
図18B
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図22
図23A
図23B
図23C
図23D
図24A
図24B
図24C
【国際調査報告】