(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-09
(54)【発明の名称】黄斑圧子およびその使用および製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
A61F9/007 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558086
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 US2021023714
(87)【国際公開番号】W WO2021195102
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522375682
【氏名又は名称】オプティゴン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チャン, イアン
(57)【要約】
本開示は、眼科外科手術デバイスの分野に関する。具体的には、本開示は、黄斑座屈体、患者の具体的な眼内画像特徴に基づく、それらの作製方法、および患者の眼に対するそれらの挿入方法に関する。患者の眼に対する埋込のための黄斑圧子は、第1の端部から第2の端部まで延在する、湾曲した骨格と、骨格の第1の端部に結合される、隆起パッドを含む。隆起パッドは、黄斑圧子が眼に対して埋込されると、隆起パッドが、眼の黄斑に接触する、眼の強膜に圧力を印加するように、骨格の内面から内向きに延在する。骨格の幾何学形状は、眼の幾何学形状に合致するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の眼に対する埋込のための黄斑圧子であって、前記黄斑圧子は、
第1の端部から第2の端部まで延在する湾曲した骨格と、
隆起パッドであって、前記隆起パッドは、前記骨格の第1の端部に結合され、前記黄斑圧子が前記眼に対して埋込されると、隆起パッドが、前記眼の黄斑に接触する前記眼の強膜に圧力を印加するように、前記骨格の内面から内向きに延在する、隆起パッドと
を備え、
前記骨格の幾何学形状は、前記眼の幾何学形状に合致するように構成される、黄斑圧子。
【請求項2】
前記骨格の第2の端部から延在する少なくとも1つのアームをさらに備え、前記アームは、前記眼の幾何学形状に合致するように適合するように構成される、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアームはそれぞれ、前記骨格の正中に対して直交して延在する、請求項2に記載の黄斑圧子。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアームは、前記アームおよび前記骨格が交差形状を形成するように、前記骨格から反対方向に延在する2つのアームを備える、請求項2に記載の黄斑圧子。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアームは、前記少なくとも1つのアームを通して延在する少なくとも1つの開口を画定し、前記少なくとも1つの開口は、前記黄斑圧子を前記眼に固着させるための縫合糸を受容するように構成される、請求項2に記載の黄斑圧子。
【請求項4】
前記隆起パッドの厚さは、黄斑剥離の高さに基づいて構成される、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項5】
前記黄斑圧子は、チタンと、コバルトと、ナイロンと、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)と、ポリウレタンと、高密度ポリエチレン(HDPE)と、ポリプロピレンと、ステンレス鋼とから成る群から選択される少なくとも1つの材料から構築される、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項6】
前記黄斑圧子は、シリコーン被覆でコーティングされる、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項7】
前記骨格の幅は、約2mm~約7mmである、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項8】
前記隆起パッドの断面は、半球形であり、前記黄斑の半球形の圧痕を作成するように構成される、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項9】
前記圧子を通して延在する1つまたは複数の開口をさらに備える、請求項1または2のいずれかに記載の黄斑圧子。
【請求項10】
前記開口のうちの少なくとも1つは、前記圧子のアームおよび正中線の交点に位置付けられる、請求項9に記載の黄斑圧子。
【請求項11】
前記骨格の幾何学形状の構成は、患者の眼球サイズに基づいて、前記骨格の幾何学的な弧長、幅、および厚さを選択することから選択される、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項12】
前記骨格の幾何学形状の構成は、
患者の眼の第1の画像を受信することと、
前記眼球体の輪郭を境界することと、
前記眼球体の輪郭に合致する曲線を展開することと、
前記黄斑圧子の一部が、前記眼球体の輪郭に合致する前記曲線に追従するような黄斑圧子の幾何学形状を生成することと
を含む方法によって選択される、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項13】
前記骨格に除去可能に取り付けられる滅菌照明付き光ファイバ繊維をさらに備える、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項14】
方法であって、
患者の眼の第1の画像を受信することと、
前記眼球体の輪郭を境界することと、
前記眼球体の輪郭に合致する曲線を展開することと、
前記黄斑圧子の一部が、前記眼球体の輪郭に合致する前記曲線に追従するような黄斑圧子の幾何学形状を生成することと
を含む、方法。
【請求項15】
付加製造を使用して前記黄斑圧子を形成することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の画像は、軸方向B走査超音波検査画像である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記患者の眼の第2の画像を受信することをさらに含み、前記第2の画像は、横方向B走査超音波検査画像である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の画像内の前記眼球体の輪郭に基づいて、第2の曲線を展開することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記患者の眼の第3の画像を受信することをさらに含み、前記第3の画像は、A走査超音波検査画像であり、前記黄斑圧子の長さは、前記第3の画像に基づいて決定される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記曲線を展開することは、前記眼球体上の境界点を識別することと、前記曲線を前記境界点に適合させることとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記曲線を適合させることは、3次スプライン補間を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記患者の眼の第4の画像を受信することをさらに含み、前記第4の画像は、黄斑剥離を示す光干渉断層撮影画像であり、前記パッドの厚さは、少なくとも部分的に、前記黄斑剥離の高さに基づいて決定される、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記眼の光干渉断層撮影(OCT)画像を取得することと、前記光干渉断層撮影画像上で、前記黄斑の上昇または剥離の高さに基づいて、前記黄斑圧子の隆起パッドのサイズを決定することとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
治療を必要とする患者内の黄斑疾患を治療する方法であって、前記方法は、患者の前記眼球に請求項1-11のいずれかに記載の黄斑圧子を外科的に縫合することを含む、方法。
【請求項25】
前記黄斑圧子はさらに、前記圧子の骨格に除去可能に取り付けられる光ファイバを備え、前記光ファイバは、前記黄斑圧子を前記眼球に外科手術的に縫合した後、除去される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記光ファイバは、前記ファイバの先端において光を放出し、前記光は、倒像検眼鏡によって検出可能である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記光ファイバは、ビクリル縫合糸を用いて前記光ファイバを前記骨格に繋合することによって、前記圧子の骨格に除去可能に取り付けられる、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記黄斑圧子を前記患者の眼球に外科的に縫合することによって、患者内の黄斑疾患を治療するための請求項1-11のいずれかに記載の黄斑圧子の使用。
【請求項29】
患者固有の黄斑圧子を作成するためのシステムであって、
(a)コンピュータユニットであって、前記コンピュータユニットは、患者の眼の第1の画像を受信し、前記眼球体の輪郭を境界し、前記眼球体の輪郭に合致する曲線を展開し、前記黄斑圧子の一部が、前記眼球体の輪郭に合致する前記曲線に追従するような黄斑圧子の幾何学形状を生成する、コンピュータユニットと、
(b)付加製造デバイスであって、前記付加製造デバイスは、前記生成された幾何学形状に合致する付加製造された黄斑圧子を作成する、付加製造デバイスと
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容がその全体として本明細書に組み込まれる、2020年3月23日に出願された、米国仮出願第62/993,608号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、眼科外科手術デバイスの分野に関する。具体的には、本開示は、黄斑座屈体、患者の具体的な眼内画像特徴に基づく、それらの作製方法、および患者の眼に対するそれらの挿入方法に関する。
【背景技術】
【0003】
以下は、本発明を理解することにおいて有用であり得る、情報を含む。本明細書において具体的または暗黙的に参照される、情報、公開文書、または文書のうちのいずれも、本説明される、または請求される発明に対する先行技術であること、またはそれに対して本質的であることを認めるものではない。本明細書において述べられる全ての公開文書および特許は、参照することによって、それらの全体として本明細書に組み込まれる。
【0004】
複数の黄斑圧子、すなわち、網膜外科手術領域において公知であるような「黄斑座屈体」は、以前に提案されており、臨床研究において使用されている。最も早期の黄斑座屈体は、1957年にDr. Charles Schepensによって開発され、Schepens CL et al.のThe scleral buckling procedures. I. Surgical techniques and management, AMA Arch. Opthalmol., 1957; 58:797-811に説明されている。これらの黄斑座屈体への修正が、RosengrenおよびTheodonsiadisによって行われ、それぞれ、Rosengren B.のThe silver plomb method in macular holes, Trans Ophthalmol Soc UK 1966; 86:49-53およびTheodossiadis GPのA simplified technique for The surgical treatment of retinal detachment resulting from macular holes, Lin Monbl Augenheilkd 1973;162:719-28に説明されている。黄斑座屈体のより現代のバージョンは、縫合糸の調節可能な位置付け、光ファイバの位置検証、屈曲可能な骨格、および異なる幾何学形状および材料を含む。これらの黄斑座屈体は、近視牽引黄斑症、黄斑円孔、黄斑分裂、および網膜剥離を含む、近視患者のための種々の黄斑疾患を治療するための黄斑圧痕の概念の安全性および有効性を実証している。
【0005】
黄斑座屈体における前述の概念の全ては、わずかな調節が外科手術の間にその場で行われることを可能にするものを伴う、フリーサイズ設計概念を伴う。高度近視の眼の形状、長さ、および湾曲の大量の変動性に起因して、これらのフリーサイズ設計は、埋込されたときに不十分に嵌合し、安定性課題を引き起こし得、黄斑領域にわたる設置の正確度が、不正確になり得る。また、現在の設計では、本デバイスおよびその設置に対して行われる調節は、非常に外科医に左右される。さらに、本デバイスは、可視化および強膜への本デバイスの縫合の後、移動し得る。本デバイスの長時間の位置安定性もまた、縫合糸が緩すぎ得、本デバイスが設置の後に異なる方向に摺動し得るため、懸念である。高度近視の眼の形状、長さ、およびサイズの高レベルの変動に起因して、黄斑を支持するための本デバイスの正しい位置付けは、厄介である。これらの要因は、黄斑座屈体外科手術を受ける個人にとって変動し易い臨床転帰につながる。
【0006】
付加製造は、概して、埋込式医療デバイスを含む、高幾何学形状構成および構成された用途を呈する、最終使用構成要素を生産することができる。少なくともいくつかの公知の付加製造(AM)プロセスは、典型的には、先例のない設計自由度を伴う層状形式にある、高速応答型直接加工の範囲全体を網羅するような、種々の形態を包含する。AMは、概して、機械加工するために非常に困難であり得る、幾何学形状の作成を可能にする。
【0007】
少なくともいくつかの公知の構成要素の幾何学形状が、最終構成要素を機械加工するために使用され得る製造方法に従って、設計されることができる。3次元(3D)モデルを生産するために使用される、少なくともいくつかの公知の標準的コンピュータ支援エンジニアリングおよび設計(CAD)ツールは、構成要素が合理的コストにおいて標準的方法を使用して製造可能であろうことを確実にするために、3Dモデルを設計するとき、標準的機械工作方法を模倣することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に説明される実施形態は、限定ではないが、本概要において記載または説明または参照されるものを含む、多くの属性および側面を有する。これは、包括であることを意図しておらず、本明細書に説明される実施形態は、本概要において識別される特徴または実施形態に限定されず、またはそれによって限定されず、これは、例証の目的のみのために含まれ、制限のために含まれるものではない。
【0009】
一側面では、患者の眼に対する埋込のための黄斑圧子が、開示される。黄斑圧子は、第1の端部から第2の端部まで延在する、湾曲した骨格と、骨格の第1の端部に結合される、隆起パッドとを含む。隆起パッドは、黄斑圧子が眼に対して埋込されると、隆起パッドが、眼の黄斑に接触する、眼の強膜に圧力を印加するように、骨格の内面から内向きに延在する。骨格の幾何学形状は、本明細書に説明される方法によって、眼の幾何学形状に合致するように構成される。眼への黄斑圧子の適合が、網膜のOCT(光干渉断層撮影)撮像を使用して、確認されることができる。
【0010】
別の側面では、本開示は、ある眼内病状を有する患者を治療する方法を提供し、本方法は、患者の眼球に、本明細書に説明される黄斑圧子を取り付けるステップを含む。いくつかの側面では、取付は、縫合によって生じる。いくつかの側面では、取付は、黄斑圧子の一部または全てと外科手術用接着糊を接触させ、次いで、黄斑圧子を眼球に接触させ、接着糊が硬化することを可能にすることによって生じる。いくつかの側面では、外科手術用接着糊は、ReSureシーラント(ポリエチレングリコールおよび酢酸トリリジン)、シアノアクリレート、フィブリン接着糊、Duraseal(ポリエチレングリコールエステルおよびトリリジン)、Focalseal(青色光によって硬化される、ポリエチレングリコールアクリレートおよび光開始剤)、L-β-3,4-ジヒドロキシフェニル-α-アラニン(DOPA)、メタクリル酸グリシジルと反応する、コンドロイチン硫酸、BioGlue(ウシアルブミンおよびグルタルアルデヒド)、Progel(ヒトアルブミンおよび2つのNHS活性化エステル基を伴うPEG架橋剤)、フィブリン(Tisseel (Baxter Inc., Denmark)、Evicel(Ethicon Inc., Bridgewater, NJ)、Crosseal(OMRIX Biopharmaceuticals Ltd. Israel)、およびHemaseel(Heamacure Corp., Canada))、Coseal(Cohesion Technologies, Inc., Palo Alto, CA)(グルタリル-スクシンイミジルエステルおよびチオール末端基を伴う2つの4アームPEGから成る、PEG系シーラント)、Focalseal、およびAdvaSeal(Ethicon Inc., Johnson & Johnson Medical KK)から選択される。いくつかの側面では、眼内病状は、近視牽引黄斑症、黄斑円孔、近視性窩症、近視牽引黄斑症、後部ブドウ腫、および網膜剥離を伴う黄斑円孔から選択される。いくつかの側面では、本方法はさらに、眼球上への黄斑圧子の適切な設置を確認するステップを含む。黄斑圧子の設置は、(例えば、縫合を介して)黄斑圧子の骨格に除去可能に取り付けられる、光ファイバの使用を用いて確認されることができ、光ファイバは、光ファイバの先端において光を放出し、外科手術の間に倒像検眼鏡によって検出されるように構成される。光ファイバは、黄斑圧子の埋込の後、光ファイバを抽出するために引き出されることができる。
【0011】
いくつかの側面では、本開示は、黄斑圧子を該患者の眼球に外科手術的に縫合することによって、患者内の黄斑疾患を治療するための、本明細書に説明される黄斑圧子の使用を提供する。
【0012】
別の側面では、方法は、患者の眼の第1の画像を受信するステップを含む。本方法はさらに、眼球体の輪郭を境界するステップを含む。本方法はさらに、眼球体の輪郭に合致する曲線を展開するステップを含む。本方法はさらに、黄斑圧子の一部が、眼球体の輪郭に合致する曲線に追従するような、黄斑圧子の幾何学形状を生成するステップを含む。
【0013】
別の側面では、付加製造方法によって、患者固有の黄斑圧子を設計および製造するためのシステムが、開示される。本システムは、(a)患者の眼の第1の画像を受信し、眼球体の輪郭を境界し、眼球体の輪郭に合致する曲線を展開し、黄斑圧子の一部が、眼球体の輪郭に合致する曲線に追従するような、黄斑圧子の幾何学形状を生成する、コンピュータユニットと、(b)生成された幾何学形状に合致する付加製造された黄斑圧子を作成する、付加製造デバイスとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は、本明細書の一部を形成し、さらに、本明細書に説明される実施形態のある側面を実証するために含まれる。これらの実施形態は、詳細な説明との組み合わせにおいて以下の図面のうちの1つまたはそれを上回るものを参照することによって、より深く理解され得る。
【0015】
【
図1A】
図1Aは、本明細書に説明される実施形態による、黄斑圧子の斜視図である。
【0016】
【
図1B】
図1Bは、本明細書に説明される実施形態による、黄斑圧子の底面図である。
【0017】
【
図1C】
図1Cは、本明細書に説明される実施形態による、黄斑圧子の上面斜視図である。
【0018】
【
図1D】
図1Dは、本明細書に説明される実施形態による、黄斑圧子の側面図である。
【0019】
【
図1E】
図1Eは、本明細書に説明される実施形態による、黄斑圧子の代替上面斜視図である。
【0020】
【
図1F】
図1Fは、本明細書に説明される実施形態による、黄斑圧子の上面図である。
【0021】
【
図2】
図2は、本明細書に説明される実施形態による黄斑圧子が眼に対して定位置にある状態の、右眼の後部図である。
【0022】
【
図3】
図3は、近視牽引黄斑症を患う眼、および黄斑剥離を示す、光干渉断層撮影画像を示す。
【0023】
【0024】
【
図5】
図5は、本明細書に説明される特定の実施形態によって黄斑圧子の幾何学形状を決定する方法を図示する、フローチャートである。
【0025】
【
図6】
図6は、赤道距離(破線)と、軸方向距離(より短い点線)と、矢状方向走査内の交差区分の場所に関する緑色の点と、黄斑圧子デバイスが追従するであろう湾曲経路を示すための複数の赤色の点(矢印によって示される、指定された色付きの特徴)とを含む、冠状方向B走査超音波撮像から取得された、眼内の幾何学形状パラメータを示す。
【0026】
【
図7】
図7は、赤道距離(破線)と、軸方向距離(点線)と、矢状方向走査との交差区分の場所に関する緑色の点と、上部交差の先端/端部を示すための黄色の点と、赤道場所(バルブの中心の場所)に関する褐色の点と、黄斑圧子デバイスが追従するであろう湾曲経路を示す、複数の赤色の点(矢印によって示される、指定された色付きの特徴)とを含む、矢状方向B走査超音波撮像から取得された、眼内の幾何学形状パラメータを示す。
【0027】
【
図8】
図8は、本開示の代表的な黄斑圧子の寸法を示し、本デバイスの幅および翼部の幅は、4mmであり、本デバイスの厚さは、1mmであり、翼部およびスプラインの交差からスプラインの端部まで測定されるような上部長は、7mmであり、翼部長は、6mmである。
【0028】
【
図9】
図9は、モデル眼のB走査の冠状方向配向を示し、画像配向は、黄斑圧子の構築のために設定される。
【0029】
【
図10】
図10は、モデル眼のB走査の矢状方向配向を示し、画像配向は、黄斑圧子の構築のために設定される。
【0030】
【
図11】
図11は、眼の湾曲のセグメント化、および球状適合の適用を示す。
【0031】
【
図12】
図12は、2つの走査からの眼の3D表現を説明するために、共通の緑色の点に整合された、冠状方向走査および矢状方向走査を示す。
【0032】
【
図13】
図13は、走査(冠状方向および矢状方向)毎のX線の表面に完全に合致するように整合された、作成された円筒物のモデルを示す。スプラインは、走査毎に作成された円筒物の湾曲に対して平行であろう。
【0033】
【
図14】
図14は、超音波画像から取得された点を使用して手動で作成された、スプラインを示す。矢状方向走査に関して、場所の点(赤色のドット)が、補間され、スプラインが凸面形の湾曲を画定せず、平滑な凹面形の曲線のみを画定することを確実にする。描写される色特徴は、以下の通り、すなわち、褐色のドットが、スプラインのアンカ/端部であること、黄色ドットが、スプラインの開始であること、および緑色のドットが、スプライン上に真でなければならない点(矢印によって示される指定された色付き特徴)であることである。
【0034】
【
図15】
図15は、モデル上で作成されたスプラインのMaterialise 3-Matic (Materialise, NV)撮像プログラム画像を示し、黄斑圧子の幅および厚さを確立する。
【0035】
【
図16A】
図16Aは、3-Maticプログラムによって作成された、表面のBoolean Unionの作成を表し、縁が、孔自由フォームを用いてマーキングおよび充填される。
【0036】
【
図16B】
図16Bは、3-Maticプログラムによる、表面のBoolean Unionの作成を示し、表面が、全て、再メッシュ化され、次いで、平滑化され、平滑なエッジ特徴を取得する。
【0037】
【
図17】
図17Aは、最適なバルブサイズを決定するための矢状方向走査画像上で作成された潜在的バルブサイズのオーバーレイを示す。色付きの特徴は、半径を3mmに設定した小さいバルブ(緑色の縁(内側円)):(20~25mmの軸長)、半径を6mmに設定した中程度のバルブ(橙色の縁(中側円)):(25~30mm)、半径を9mmに設定した大きいバルブ(赤色の円(外側円))(>30mm)である。
図17Bは、潜在的バルブサイズと黄斑圧子の交差部分の重複のモデルを示す。
【0038】
【
図18】
図18は、黄斑圧子のスプラインの湾曲に合致するように切断された、球のモデルを示す。
【0039】
【
図19】
図19は、黄斑圧子の丸みを帯びた縁と融合された部分のモデルを示す(フィレット半径は、0.2mmである)。
【0040】
【
図20A】
図20Aは、翼部およびアームを丸めるように再構成される、翼部/アーム接合部のグラフィックを示す(湾曲半径は、2mmである)。
【0041】
【
図20B】
図20Bは、アーム縁を丸めるように再構成される、アーム縁のグラフィックを示す(先端は、2mmであり、フィレット半径は、0.5mmである)。
【0042】
【
図21】
図21Aは、ウサギ眼の矢状方向超音波画像内で重畳された、構成されたモデルの側面図を示す。
図21Bは、ウサギ眼の矢状方向超音波画像内で重畳された、構成されたモデルの上面図を示す。
【0043】
【
図22】
図22は、シリコーンモデル眼にわたって適合された、本開示のチタン3D印刷された黄斑座屈体を示す。
【0044】
【
図23】
図23は、ウサギ眼の上耳側象限内に埋込される、本開示の代表的な黄斑圧子の写真である。黄斑圧子は、交差の中心に、および黄斑圧子の長いアームに沿って、5-Oメルシレン縫合糸を用いてX縫付方式で固着された。黄斑圧子が、次いで、結膜で被覆され、結膜が、7-Oビクリル縫合糸を用いて閉鎖した状態に縫合された。
【0045】
【
図24A】
図24Aは、圧子からの黄斑の円形圧痕を示す、埋込1週間後の、本デバイスによって作成された後極部の圧痕を示す、患者(本明細書に説明されるように、ウサギ)の眼球の複数のOCT(光干渉断層撮影)画像を示す。ウサギが、窩を有しておらず、そのため、画像内の圧痕が、埋込された黄斑圧子のみからのものであることに留意されたい。(画像は、本明細書に説明されるB走査画像およびA走査画像を撮影するためにも使用された、ZEISS CIRRUS 5000 OCT器具を用いて撮影された。)(S=上位領域、I=下位領域、T=下耳側領域、N=下鼻側領域、走査角度は、0度であり、線ラスタ間の間隔は、0.25mmであり、走査の全長は、6mmであった)。OS画像である。
【0046】
【
図24B】
図24Bは、埋設された黄斑圧子の形状に共形化する、網膜の特徴を示す、選択されたOCT画像の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
詳細な説明
例示的実施形態の本説明は、記述された説明全体の一部と見なされることになる、付随の図面に関連して熟読されることを意図する。図面の図は、必ずしも、縮尺通りではなく、ある特徴は、明確性および簡潔性のために、縮尺上誇張されて、かつ若干概略的形態において示され得る。本説明では、「水平」、「上方」、「上方」、「下方」、「上部」、および「底部」、およびその派生語(例えば、「水平に」、「垂直に」、「下向きに」、「上向きに」等)等の相対用語は、次いで、説明されるような、または議論中の図面の図内に示されるような配向を指すと解釈されるべきである。これらの相対用語は、説明の便宜のためのものであり、通常、特定の配向を要求することを意図していない。「内向きに」対「外向きに」、「長手方向」対「側方」および同等物を含む、用語は、適宜、相互に対して、または伸長部の軸、または回転の軸または中心に対して解釈されるものとする。「接続される」および「相互接続される」等の取付、結合、および同等物に関する用語は、明示的に別様に説明されない限り、構造が、直接的に、または介在構造を通して間接的のいずれかで相互に、および両方が、移動可能またはリジッドな取付または関係で固着または取り付けられる関係を指す。用語「動作可能に接続される」は、関連のある構造がその関係によって意図されるように動作することを可能にするような動作、結合、または接続である。
【0048】
本明細書で使用されるように、「上位」、「下位」、「耳側」、および「鼻側」等の眼内の方向性用語は、当技術分野におけるそれらの通常意味を有し、眼球の相対位置を指すものと理解される。
【0049】
黄斑圧子
【0050】
本開示は、近視牽引黄斑症、黄斑円孔、近視性窩症、近視牽引黄斑症、後部ブドウ腫、および網膜剥離を伴う黄斑円孔を含む、病態を治療するための黄斑座屈外科手術内で使用される、黄斑圧子に関する。本明細書に説明される黄斑圧子は、具体的な患者の眼の幾何学形状に適合し、圧子の位置付けおよび保定を改良するように構成される。黄斑圧子が、患者の眼の幾何学形状に適合するように構成されるという事実は、付加的な保定特徴の包含が、圧子を定位置に保定するための付加的な支持を提供することを可能にする。本説明はまた、そのような圧子を設計および製造する方法も開示する。
【0051】
本明細書に説明される圧子は、黄斑の圧痕を作成することによって、眼の強膜側から黄斑を支持し得る。圧子は、付加製造(例えば、3D印刷)を使用して形成され得、治療されている個々の眼の湾曲、形状、長さ、およびサイズに適合するように構成され得る。圧子の幾何学形状は、B走査超音波検査、A走査超音波検査、3D超音波、および/または光干渉断層撮影からの画像誘導を使用して決定され得る。
【0052】
眼の幾何学形状に基づいて圧子を付加製造するステップは、本デバイスの設置の改良された正確度、および向上された安定性を可能にする。圧子の構成された幾何学形状はまた、外科手術の結果に関する外科医間変動性(すなわち、外科手術技能への依存度)を減少させ得る。本明細書に説明される黄斑圧子の幾何学形状は、患者の眼に適合するように設計されるように構成され得るため、本デバイスは、強膜に沿って平滑に適合し、個々の眼の天然湾曲に追従し得る。患者の適切な部分の幾何学的形状に適合するように構成される、足装具または歯科インプラントのように、圧子の設置は、先行技術の圧子を用いる場合よりも再現可能であり、それによって、外科医の技能に基づく外科手術の転帰に関する変動性を低減させる。圧子の構成されたサイズ決めもまた、圧子が正確に位置付けられる尤度を向上させる。さらに、そのような圧子は、圧子の長期間の位置安定性を向上させ、埋込後の滑脱または押出のリスクを低減させ得る。
【0053】
一実施形態では、患者の眼に対する埋込のための黄斑圧子が、開示される。黄斑圧子は、第1の端部から第2の端部まで延在する、湾曲した骨格と、骨格の第1の端部に結合される、隆起パッドとを含む。隆起パッドは、黄斑圧子が眼に対して埋込されると、隆起パッドが、眼の黄斑に接触する、眼の強膜に圧力を印加するように、骨格の内面から内向きに延在する。いくつかの実施形態では、パッドが圧力を印加する眼の強膜は、眼の黄斑に隣接する。いくつかの実施形態では、パッドが圧力を印加する眼の強膜は、眼の黄斑の0~2mmの範囲に及ぶ。骨格の幾何学形状は、本明細書に説明される方法によって、眼の幾何学形状に合致するように構成される。
【0054】
いくつかの実施形態では、黄斑圧子はさらに、骨格の第2の端部から延在する、少なくとも1つのアームを備え、アームは、眼の幾何学形状に合致するように構成される。複数のアームの構成は、眼球の移動にもかかわらず、同一の場所に位置付けられるバルブを保つように、てこ作用が、眼球の周辺輪郭に対して印加されるように、据え付けられることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアームは、骨格の正中に直交して延在する。いくつかの実施形態では、2つまたはそれを上回るアームが存在するとき、それらは、相互から5~180度であるように構成されることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアームは、アームおよび骨格が交差形状を形成するように、骨格から反対方向に延在する、2つのアームを備えることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、黄斑圧子はさらに、黄斑圧子を眼に固着するための縫合糸を受容するように構成される、少なくとも1つの開口を備える。開口は、丸みを帯びた形状、楕円形、多角形(多角形は、3~20個の辺を有する)、または多点星形形状(星は、4~64個の点を有する)から選択される、形状であることができる。いくつかの実施形態では、黄斑圧子は、該圧子を通して延在する、1つまたは複数の開口を備えることができる。いくつかの実施形態では、開口のうちの少なくとも1つが、該圧子のアームおよび正中線の交点に位置付けられる。
【0056】
いくつかの実施形態では、隆起パッド(本明細書では「バルブ」とも称される)の厚さは、黄斑剥離の高さに基づいて構成されることができ、0.3mm~5mmの範囲に及ぶことができる。いくつかの実施形態では、骨格および/またはアームの幅は、2mm~7mmの範囲に及ぶことができる。いくつかの実施形態では、骨格および/またはアームの厚さは、0.2mm~4.5mmの範囲に及ぶことができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、隆起パッドの断面は、半球形であることができ、黄斑の半球形の圧痕を作成するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、隆起パッドの断面は、半楕円形(長手方向または幅方向から選択される)であり、黄斑の半楕円形の圧痕を作成するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、隆起パッドの断面は、平行四辺形であることができ、黄斑の平坦な圧痕を作成するように構成されることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、黄斑圧子は、チタンと、コバルトと、ナイロンと、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)と、ポリウレタンと、高密度ポリエチレン(HDPE)と、ポリプロピレンと、ステンレス鋼とから成る群から選択される、少なくとも1つの材料から構築される。いくつかの実施形態では、黄斑圧子は、積層造形(本明細書では「3D印刷」とも称される)を含むプロセスによって作成される。いくつかの実施形態では、黄斑圧子は、シリコーン被覆でコーティングされることができる。
【0059】
圧子100の一実施形態が、
図1に示される。圧子100は、骨格102と、骨格100の第1の端部102aにおける隆起パッド104とを含む。いくつかの実施形態では、圧子100はさらに、骨格100から延在する、1つまたはそれを上回るアーム106を含んでもよい。本明細書に説明されるように、骨格102、隆起パッド104、およびアーム106は、具体的な患者の眼の幾何学形状に適合するように寸法決めされ、それによって、圧子100の設置の信頼性を向上させ、埋込の後の圧子100の移動のリスクを最小限化し得る。
【0060】
骨格102は、第1の端部102aから第2の端部102bまで延在し、湾曲した通路に沿って延在する。骨格102の湾曲および長さは、本明細書にさらに説明されるように、圧子100が添着されることになる眼の幾何学形状に基づいて決定される。骨格102は、眼に対して(例えば、強膜に対して)位置付けられるように構成される、内面102を含む。
【0061】
上記に記載されるように、隆起パッド104は、骨格102の第1の端部102aに結合される。本明細書にさらに説明されるように、いくつかの実施形態では、骨格102および隆起パッド104は、例えば、付加製造プロセスを使用してともに形成される。他の実施形態では、骨格102および隆起パッド104は、接着、溶接、または他の方法を使用して継合されてもよい。隆起パッド104は、断面が略円形であってもよく、圧子100が埋込されると、隆起パッド104が黄斑の方に内向きに延在し、眼に対して局所的圧力を印加するように、骨格102の内面108から内向きに突出してもよい。隆起パッド104は、例えば、ドーム形状であってもよい。隆起パッド104が骨格102の内面108から内向きに延在する量は、外科医が病態を治療するために眼に印加することを所望する圧力の量、および(本明細書に説明されるように、捕捉された画像に基づいて決定されるような)眼の幾何学形状に基づいて決定されることができる。
【0062】
アーム106は、骨格102の第2の端部102bから延在してもよい。いくつかの実施形態では、圧子100は、骨格102から、かつ相互から離れるように延在する、2つのアーム106を含む。いくつかの実施形態では、圧子100は、骨格102から延在する、複数のアーム106を含み、アームの数は、1~8であることができる。いくつかの実施形態では、アーム106は、
図1に示されるように、骨格102の正中線110に対して直交して延在する。いくつかの実施形態では、アームは、骨格の正中線から1~90度の範囲に及ぶ角度で延在することができる。正中線110は、第1の端部102aから第2の端部102bまで骨格102の湾曲を追従する。他の実施形態では、アーム106は、正中線110に対して鈍角に延在する。アーム106が正中線110に対して直交して延在する状態で、圧子100は、骨格102の第2の端部102bにおいて交差の形状を呈し得る。アーム106は、特に、眼の円周の周囲において眼との接触を増加させることによって、埋込されると、圧子100の安定性を増強させる。所与の患者に固有であるように圧子100を製造することは、アーム106の包含を可能にする。アーム106の適切なサイズ決めおよび幾何学形状を確実にすることは、近視の眼の幾何学形状の変動性のため、標準的な圧子を用いては可能ではない場合がある。種々の実施形態では、アーム106は、それを通して延在し、圧子100を眼に固着させるための縫合糸を受容するための、開口111を含んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの開口が、アームおよび正中線の交点にあるように位置付けられる。いくつかの実施形態では、アーム106の縁は、「正方形」形状であるように、直交する平面によって画定される。いくつかの実施形態では、アーム106の縁は、「平行四辺形」形状であるように、1~89度の角度における平面によって画定される。いくつかの実施形態では、アーム106の縁は、「丸みを帯びた」形状であるように、楕円形または円形の表面によって画定される。
【0063】
図2は、患者の眼200に対する圧子100の例示的な設置を示す。アーム106が、眼の赤道部に沿って赤道部から0~2mmに位置付けられる。圧子100は、上耳側象限内の上直筋202と外直筋204との間の途中の眼200の赤道部に沿って位置付けられてもよく、骨格102は、隆起パッド104が眼の後部部分内の黄斑領域に位置するように、45度で延在してもよい。
図2は、圧子100の例示的設置を図示するが、圧子100が、図示されるものと異なるように配向され、位置付けられ得ることを理解されたい。厳密な位置付けは、眼の解剖学的構造、患者の病態、および外科医の選好に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、圧子100は、眼の下耳側象限に設置されることができる。いくつかの実施形態では、上耳側象限に他の病態および/または緑内障排液埋込物が存在するとき、圧子100は、下耳側45度の軸に沿って設置されることができる。しかしながら、圧子100は、視神経および他の解剖学的構造に起因して、鼻側象限内に設置されることはできない。
【0064】
圧子100は、例えば、アーム106における、または圧子100の骨格102に沿ったものを含む、種々の点において、例えば、マットレスまたはX縫付を用いて強膜に縫合されてもよい。縫合糸は、圧子100を定位置に保定し、埋込の後の移動を防止することに役立ち得る。いくつかの実施形態では、恒久的縫合糸が、骨格102を強膜に固着させるために使用されてもよい。種々の実施形態では、圧子100は、感染または不正確な位置付けの場合に備えて、完全に外植可能であってもよい。
【0065】
圧子100は、任意の適切な材料で構築され得る。例えば、圧子100は、例えば、チタン、コバルト、ステンレス鋼、またはプラスチック(例えば、ナイロン)等の医療グレードの埋込物材料で構築されてもよい。いくつかの実施形態では、圧子100は、(例えば、付加製造によって)ポリウレタンから構築される。付加製造プロセスにおいて使用され得る材料で圧子100を構築することは、圧子100が、撮像の後、および外科手術に先立って迅速に製造されることを可能にする。さらに、圧子100は、シリコーン被覆を含んでもよい。被覆は、例えば、付加製造を介して圧子100を形成した後、適用されてもよい。種々の実施形態では、圧子100は、滅菌可能である材料で構築されてもよい。いくつかの実施形態では、圧子は、チタン、ニッケルチタン合金(ニチノール)、金、白金、銀、イリジウム、タンタル、タングステン、コバルト、コバルトクロム合金、ナイロン、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリウレタン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、およびステンレス鋼から選択された材料から成る。
【0066】
患者の眼球に適合するように構成される、黄斑圧子を測定および構築する方法
【0067】
別の実施形態では、本開示は、患者の眼の第1の画像を受信するステップと、眼球体の輪郭を境界するステップと、眼球体の輪郭に合致する曲線を展開するステップと、黄斑圧子の一部が、眼球体の輪郭に沿った任意の点において0~2mmの範囲から眼球体の輪郭に合致する曲線に追従するような、黄斑圧子の幾何学形状を生成するステップとを含む、患者の測定された眼球に固有の黄斑圧子のシミュレートされた幾何学形状を生成するための方法を提供する。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1の画像は、軸方向B走査超音波検査画像または軸方向A走査超音波検査画像から選択されることができる。いくつかの実施形態では、複数の画像が、眼から取得されることができ、画像は、同一の撮像技法または異なる撮像技法からのものであり、画像は、同一の方向または異なる方向からのものである。撮像が、異なる方向からのものであるとき、2つまたはそれを上回る方向による角度は、1度~45度の範囲で変動することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、本方法は、患者の眼の第2の画像を受信するステップを含むことができる。第2の画像は、横方向B走査超音波検査画像および/またはA走査超音波検査画像から選択されることができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の画像は、同一の撮像タイプまたは異なる撮像タイプからのものであることができる。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、第2の画像内の眼球体の輪郭に基づいて、第2の曲線を展開するステップを含むことができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、患者の眼の第3の画像を受信するステップを含むことができ、第3の画像は、A走査超音波検査画像であり、黄斑圧子の長さは、第3の画像に基づいて決定される。
【0071】
いくつかの実施形態では、曲線を展開するステップは、眼球体上の境界点を識別するステップと、曲線を境界点に適合させるステップとを含むことができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、曲線を適合させるステップは、3次スプライン補間を含むことができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、患者の眼の第4の画像を受信するステップを含むことができ、第4の画像は、黄斑剥離を示す、光干渉断層撮影画像であり、パッドの厚さは、少なくとも部分的に、黄斑剥離の高さに基づいて決定される。
【0074】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、眼の光干渉断層撮影画像を取得するステップと、光干渉断層撮影画像上で黄斑の上昇または剥離の高さに基づいて黄斑圧子の隆起パッドのサイズを決定するステップとを含むことができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、付加製造を使用して黄斑圧子を形成するステップを含むことができる。
【0076】
上記で説明される実施形態による、圧子100を設計および製造する方法が、ここで説明されるであろう。圧子100が添着されるであろう眼の画像が、圧子100が患者の眼の解剖学的構造に対して構成されることを可能にするために生成されてもよい。
【0077】
圧子の幾何学形状を決定する方法の一実施形態が、
図5のフローチャートによって図示される。ステップ302において、B走査超音波検査が、患者の眼の軸方向画像を捕捉するために実施される。例えば、B走査超音波検査画像が、意図された埋込の軸である、45度の経線に沿って撮影され得る。
図4Aおよび4Bは、軸方向B走査画像を取得するための配列を図示する。そのような画像に基づいて、上耳側象限に沿った患者の強膜の湾曲が、取得されることができる。下記にさらに詳細に説明されるように、例えば、スプライン曲線適合および曲線補間等の曲線適合技法が、これが眼の形状に緊密に追従するように、圧子100の骨格102の湾曲を決定するために使用され得る。眼の幾何学形状は、多点曲線補間を使用することによって決定され得る。これは、球状または楕円形形状に追従しない、高度近視の眼の複雑な湾曲の識別を可能にし得る。
【0078】
本明細書で使用されるように、用語「B走査超音波検査」は、構造的な眼内特徴を取得するための超音波ベースの撮像システムを指す。B走査超音波検査の代表的実施例がさらに、Aironi, V. et al.のIndian J Radiol Imaging. 2009 May; 19(2): 109-115(その内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に議論される。
【0079】
ステップ304において、眼の横方向画像が、眼の赤道部におけるB走査超音波検査(輝度走査超音波検査)を使用して入手される。
図4Cは、横方向B走査画像を取得するための配列を図示する。横方向B走査画像は、圧子100のアーム106の最適な横方向湾曲を決定するために使用されることができる。本明細書に説明されるように、眼の横方向画像に基づいて、曲線適合技法(例えば、スプライン補間および多項式曲線補間)が、眼の横方向湾曲に追従するように、アーム106の最適な幾何学形状を決定するために使用されることができる。
【0080】
随意のステップ306において、眼の画像が、A走査超音波検査(すなわち、振幅走査超音波検査)を使用して捕捉され得る。これらの画像は、眼の長さを決定する、および/またはB走査撮像から取得された横方向画像を確認するために使用されることができる。眼の長さに関する情報が、圧子100(例えば、骨格102)の最適な長さを決定するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、いかなるA走査撮像も、実施されない。
【0081】
随意のステップ308において、眼の画像が、光干渉断層撮影を使用して入手され得る。例示的画像が、
図3に提供される。これらの画像は、黄斑剥離の高さを決定するために使用されることができる。圧子100の隆起パッド104の厚さ(すなわち、隆起パッド104が骨格102の内面108から内向きに延在する程度)は、黄斑剥離の高さに基づいて決定されることができる。例えば、隆起パッド104の厚さは、より高い黄斑上昇を有する患者のためにより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、いかなる光干渉断層撮影も、実施されない。
【0082】
他の撮像モダリティが、随意に、眼の幾何学形状を決定する、および/または前述のモダリティからの眼の測定値を確認するために使用され得ることを理解されたい。例えば、3D超音波画像が、(2D超音波を使用して取得されるスライスと比較して)球体構造全体に関する幾何学形状情報を決定するために使用されることができる。3D超音波を使用するステップは、上記に説明される撮像モダリティに加えて使用されてもよい、または上記に説明される撮像モダリティのうちの1つまたはそれを上回るものの代用として使用されてもよい。
【0083】
ステップ310において、B走査超音波検査画像内の眼球体の輪郭が、画像セグメント化技法を使用して境界される。画像セグメント化は、例えば、外科医または被指名人によって、手動で実施されてもよい、またはコンピュータ実装方法を使用して自動的に実施されてもよい。本明細書で使用されるように、用語「画像セグメント化」は、セグメントのセットが、集合的に、画像全体または画像から抽出された外形のセットを被覆するであろうように、デジタル画像を複数のセグメント(画像オブジェクトとしても公知のピクセルのセット)にパーティション化するプロセスを指す(Bucking TM, Hill ER, Robertson JL, Maneas E, Plumb AA, Nikitichev DI (2017)のFrom medical imaging data to 3D printed anatomical models、PLoS ONE 12(5): e0178540. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0178540、Mamta Juneja, Niharika Thakur, Dinesh Kumar, Ankur Gupta, Babandeep Bajwa, Prashant JindalのAccuracy in dental surgical guide fabrication using different 3-D printing techniques, Additive Manufacturing, Volume 22, 2018, Pages 243-255)。
【0084】
ステップ312において、曲線適合技法が、眼球体の解剖学的構造を決定するために使用される。曲線適合は、手動で行われてもよい、または完全に自動的または半自動的であってもよい。例えば、ステップ302において取得された45度軸方向B走査画像上で、8~16個の境界点が、強膜の輪郭に沿って選択されてもよい。少なくとも1つの境界点が、黄斑領域(例えば、眼の後部部分)内で選択されてもよい。少なくとも1つの境界点が、眼の赤道部において選択されてもよい。1つまたはそれを上回る境界点はまた、赤道部の1~2mm前部で選択され、アーム106が適切に位置付けられ、サイズ決めされることを確実にしてもよい。残りの境界点は、球体上の1~2mmの範囲内で等距離に離間されてもよい。境界点の設置の後、3次スプライン補間技法が、曲線を境界点のそれぞれの間に適合させるために使用されてもよい。曲線は、以下の方程式を満たし得る。
【0085】
Sn(x)=anx3+bnx2=cnx+dn
【0086】
n方程式系を解くことによって(nは、(手動または自動的のいずれかで)選択された境界点の数である)、3次スプライン曲線が、圧子100の長さ(すなわち、前部から後部までの距離)に関して取得される。
【0087】
軸方向B走査画像を使用して形成された曲線が、圧子100の骨格102の湾曲を決定するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、形成された曲線は、A走査撮像によって確認されることができる。
【0088】
同様に、ステップ306において取得された横方向B走査画像上では、境界点が、アーム106が位置付けられるであろう位置に、球体に沿って位置付けられてもよい。例えば、5~10個の境界点が、アーム106の所望の場所に沿って位置付けられてもよい。これらの境界点は、手動で、またはコンピュータによって自動的に選択されてもよい。3次スプライン補間方法が、横方向B走査画像上で境界点を接続するために使用されることができる。曲線の境界を画定する、2つの点が、アーム106の長さおよび湾曲を決定するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、アーム106の全長は、3~5mmの範囲内であり得る。
【0089】
ステップ314において、圧子100の幾何学形状が、上記に説明される眼および曲線適合の入手された画像から確かめられる、眼の解剖学的構造に基づいて決定される。眼球体の幾何学形状に追従する(すなわち、軸方向B走査画像および横方向B走査画像に基づく)、2つの曲線が、オーバーレイされる。両方の曲線が、厚さおよび幅において押出され、圧子100の骨格102およびアーム106の幾何学形状を生成する。いくつかの実施形態では、圧子100は、1~2mmの厚さ範囲を有し、骨格102の幅は、約3mm~約6mmである。いくつかの実施形態では、骨格の幅は、約2mm~約7mmである。
【0090】
隆起パッド104の厚さおよび幾何学形状は、臨床的シナリオに基づいて設計されることができる。例えば、隆起パッド104は、約2-8mmの半径を伴う、半球形であってもよい。隆起パッド104の幾何学形状は、黄斑上昇を定量化する、光干渉断層撮影画像に基づいて決定されてもよい。
【0091】
圧子100の構成された画像ベースの設計の完了に応じて、付加製造(例えば、3D印刷、熱溶解積層法、または直接金属レーザ焼結)が、圧子100を製造するために使用されてもよい。シリコーンゴム被覆が、圧子100をコーティングするために追加されてもよい。圧子100は、埋込に先立って滅菌されてもよい。付加製造を使用して圧子100を製造することによって、構成された圧子は、実装に先立って迅速に、かつ比較的に安価に製造され得る。
【0092】
種々の実施形態では、圧子100を埋込する方法は、上耳側象限において限定された結膜周囲切除術を行うステップを含む。上直筋および耳側直筋は、隔離される。腱の癒着が、上耳側象限内で取り除かれる。圧子100が、上耳側象限に沿って設置され、眼の天然湾曲に沿って適合するべきである。圧子100は、骨格102に沿って、および/またはアーム106上で、ナイロンまたはメルシレン縫合糸等の恒久的縫合糸を用いて強膜に縫合される。圧子100の正しい設置および圧痕効果が、直接的な可視化によって、および/または間接的検眼鏡検査を用いて検証される。結膜は、次いで、縫合糸を用いて閉鎖される。
【0093】
治療の方法
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示は、黄斑疾患を患う患者を治療する方法を提供し、本方法は、患者の眼球に本明細書に説明される黄斑圧子を取り付けるステップを含む。
【0095】
本明細書で使用されるように、用語「患者」は、黄斑疾患を患う哺乳動物を指す。哺乳動物は、ヒト、サル、ウマ、ウサギ、ハツカネズミ、ラット、ブタ、イヌ、またはネコから選択されることができる。好ましい実施形態では、患者は、ヒトである。
【0096】
いくつかの実施形態では、取付は、縫合によって生じる。いくつかの側面では、取付は、黄斑圧子の一部または全てと外科手術用接着糊を接触させ、次いで、黄斑圧子を眼球に接触させ、接着糊が硬化することを可能にすることによって生じる。いくつかの実施形態では、外科手術用接着糊は、ReSureシーラント(ポリエチレングリコールおよび酢酸トリリジン)、シアノアクリレート、フィブリン接着糊、Duraseal(ポリエチレングリコールエステルおよびトリリジン)、Focalseal(青色光によって硬化される、ポリエチレングリコールアクリレートおよび光開始剤)、L-β-3,4-ジヒドロキシフェニル-α-アラニン(DOPA)、メタクリル酸グリシジルと反応する、コンドロイチン硫酸、BioGlue(ウシアルブミンおよびグルタルアルデヒド)、Progel(ヒトアルブミンおよび2つのNHS活性化エステル基を伴うPEG架橋剤)、フィブリン(Tisseel (Baxter Inc., Denmark)、Evicel(Ethicon Inc., Bridgewater, NJ)、Crosseal(OMRIX Biopharmaceuticals Ltd. Israel)、およびHemaseel(Heamacure Corp., Canada))、Coseal(Cohesion Technologies, Inc., Palo Alto, CA)(グルタリル-スクシンイミジルエステルおよびチオール末端基を伴う2つの4アームPEGから成る、PEG系シーラント)、Focalseal、およびAdvaSeal(Ethicon Inc., Johnson & Johnson Medical KK)から選択される。
【0097】
いくつかの実施形態では、黄斑疾患は、近視牽引黄斑症、黄斑円孔、近視性窩症、近視牽引黄斑症、後部ブドウ腫、および網膜剥離を伴う黄斑円孔から選択される。いくつかの側面では、本方法はさらに、眼球上への黄斑圧子の適切な設置を確認するステップを含む。確認は、網膜のOCT撮像を含む、方法によって確立されることができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、黄斑圧子はさらに、光ファイバの先端において光を放出し得る、滅菌光ファイバケーブルを備えることができる。光ファイバケーブル(本明細書では「光ファイバ」または「光ファイバ繊維」とも称される)は、黄斑圧子の骨格に除去可能に接続されることができる。いくつかの実施形態では、除去可能な接続が、縫合を用いた、光ファイバケーブルの圧子骨格への繋合を用いたものであることができる。いくつかの実施形態では、光ファイバの先端の相対位置は、バルブと同一の領域またはそれを中心としたものであるように構成されることができる。照明付き先端は、外科手術の間に倒像検眼鏡を用いて視認することによる、黄斑領域への本デバイスの適切な設置の検証を可能にするであろう。光ファイバは、埋込された黄斑圧子が適切に設置および縫合された後、光ファイバを抽出するために引き出されることができる。
【0099】
システム
【0100】
いくつかの実施形態では、本開示は、患者固有の黄斑圧子を作成するためのシステムであって、
【0101】
(a)患者の眼の第1の画像を受信し、眼球体の輪郭を境界し、眼球体の輪郭に合致する曲線を展開し、黄斑圧子の一部が、眼球体の輪郭に合致する曲線に追従するような、黄斑圧子の幾何学形状を生成する、コンピュータユニットと、
【0102】
(b)生成された幾何学形状に合致する、付加製造された黄斑圧子を作成する、付加製造デバイスと、
を備える、システムを提供する。
【0103】
いくつかの実施形態では、付加製造デバイスは、本明細書に説明されるAMデバイスのうちのいずれかであることができる。いくつかの実施形態では、本システムはさらに、黄斑圧子の幾何学形状を説明するデータを記憶する、ソフトウェアファイルを備える。いくつかの実施形態では、黄斑圧子の幾何学形状を説明するデータを記憶する、ソフトウェアファイルは、付加製造デバイスによって認識され、設計された黄斑圧子の物理オブジェクトを構成することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、コンピュータユニットは、デジタル電子回路網、集積回路網、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれらの組み合わせにおいて動作を実施することができる。これらの種々の側面または特徴は、記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受信し、それにデータおよび命令を伝送するために結合される、特別目的または汎用目的であり得る、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含む、プログラマブルシステム上で実行可能および/または解釈可能である、1つまたはそれを上回るコンピュータプログラム内での実装を含むことができる。いくつかの実施形態では、眼球画像が、少なくとも1つの入力デバイスによってコンピュータユニットに伝送されることができる。
【0105】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネント、またはコードとも称され得る、これらのコンピュータプログラムは、プログラマブルプロセッサのための機械命令を含み、高レベル手続き型言語、オブジェクト指向のプログラミング言語、関数プログラミング言語、論理型プログラミング言語において、および/またはアセンブリ/機械言語において実装されることができる。本明細書で使用されるように、用語「機械可読媒体」は、機械命令および/またはデータを、機械可読信号として機械命令を受信する機械可読媒体を含む、プログラマブルプロセッサに提供するために使用される、例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、およびプログラマブル論理デバイス(PLD)等の任意のコンピュータプログラム製品、装置、および/またはデバイスを指す。用語「機械可読信号」は、プログラマブルプロセッサに機械命令および/またはデータを提供するために使用される、任意の信号を指す。機械可読媒体は、そのような機械命令を、例えば、非一過性ソリッドステートメモリ、または磁気ハードドライブ、または任意の均等な記憶媒体等が行うであろうように、非一過性に記憶することができる。機械可読媒体は、代替として、または加えて、そのような機械命令を、例えば、1つまたはそれを上回る物理的プロセッサコアと関連付けられる、プロセッサキャッシュまたは他のランダムアクセスメモリ等が行うであろうように、一過性の様式で記憶することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ、または1つのサイトにおける複数のコンピュータまたは処理ユニット上で実行されるように、または、複数のサイトを横断して分散され、通信ネットワークによって相互接続される複数のコンピュータまたは処理ユニット上で実行されるように、展開されることができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方程式および方法を実施するために使用されるコンピュータプログラムはさらに、ファイルに書き込むステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、ファイルは、(例えば、ハードドライブ、SSD、CD、または他の有形の一過性媒体上に記憶される)デジタルファイルであることができる。ファイルは、サーバからクライアントに送信されているパケットとして、1つのデバイスから通信ネットワークを経由して別のものに送信されることができる。
【0108】
ファイルに書き込むステップは、例えば、(例えば、正味電荷または双極子モーメントを伴う)粒子を添加、除去、または再配列することによって、有形の非一過性コンピュータ可読媒体を、読取/書込ヘッドによる磁化のパターンに変換するステップを含むことができ、パターンは、次いで、ユーザによって所望される、またはユーザにとって有用な情報の新しいコロケーションを表す。いくつかの実施形態では、書き込みは、磁気読取/書込デバイスが次いで、情報の新しく有用なコロケーションを読み取り得るように、あるプロパティを伴う有形の非一過性コンピュータ可読媒体内での材料の物理的変換を伴う。いくつかの実施形態では、ファイルに書き込むステップは、NAND型フラッシュメモリ等のフラッシュメモリを使用するステップを含み、メモリセルのアレイ内の情報を記憶する浮遊ゲートトランジスタを含む。ファイルに書き込む方法は、当技術分野において十分に公知であり、例えば、ソフトウェアまたはプログラミング言語からプログラムによって自動的に呼び出されることができる。
【0109】
本システム内の上記に述べられる電子デバイスおよび/またはコンポーネントのうちのいずれも、関連付けられるインターフェースとともに、Windows(登録商標) OS(例えば、Windows(登録商標) XP、Windows(登録商標) 8、Windows(登録商標) 10、Windows(登録商標) Server等)、Windows(登録商標) CE、Mac OS、iOS、Android、Chrome OS、Unix(登録商標)、Linux(登録商標)、VxWorks、または他の好適な動作システム等のオペレーティングシステムソフトウェアによって制御および/または調整され得る。他の実施形態では、該電子機器は、専用のオペレーティングシステムによって制御されてもよい。従来のオペレーティングシステムは、他のシステムおよび/またはデバイスの中でも、実行のためのシステムプロセスを制御およびスケジューリングし、メモリ管理を実施し、ファイルシステム、ネットワーキング、I/Oサービスを提供し、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)等のユーザインターフェース機能性を提供する。
【0110】
付加製造システム
【0111】
本開示の黄斑圧子は、金属、半金属、または合金材料を扱うことが可能な任意の付加製造システム上で構築されることができる。いくつかの実施形態では、付加製造は、いくつかの異なる一意のプロセスを含む。付加製造プロセスのタイプは、レーザ加工ネットシェーピング(LENS)、指向性光加工(DLF)、直接金属蒸着(DMD)、およびレーザ蒸着(LD)を含む。回転蒸着との組み合わせにおけるレーザ蒸着は、機能的に格付けされた材料を用いた半径方向付加製造(RAM)として公知のプロセスによって、部品の中心から半径方向の金属組成勾配の生産を可能にする。
【0112】
いくつかの実施形態では、RAMプロセスは、部品の幾何学形状を、付加製造機械内で構成要素の移動を画定する、経路のプログラム可能なセットに変換するプログラムへの入力として、コンピュータ生成モデル(CAD)から開始する。付加製造機械の2つのメイン構成要素は、基部およびノズルである。部品が、基部上で構築され、ノズルが、レーザおよび材料給送システムを利用する、構成要素である。基部およびノズルは両方とも、角度のある蒸着を可能にし、それによって、支持材料の必要性を除去した、複数軸制御によって決定付けられ得る。機械は、粉末を融解する、レーザの焦点区域内への金属またはセラミック粉末の持続的供給物を給送することによって、印刷する。融解された粉末は、融解貯留部を形成し、レーザが所定の通路に沿って移動するにつれて、部品の表面に沿って堆積される。融解貯留部は、次の層が追加され得るように、冷却に応じて急速に固化する。連続層が、部品全体が生産されるまで印刷される。本明細書に説明される共形性冷却金型の3D CADモデルが、AutoCADを使用して生成され、付加製造システムのために適切なファイルフォーマットに転換されることができる。本システムは、直接金属レーザ焼結(DMLS)粉末床3Dプリンタであることができる。形成材料は、チタン粉末(CarTech(R) Puris Ti-6Al-4Vチタン粉末、Carpenter Technology Corp., USA)であることができる。付加製造形成器具は、EOS M 290(EOS, Germany)であることができる。レーザ書込速度は、変動され、最大秒あたり7メートルに限定されることができる。レーザは、400Wにおいて動作する、Yb-ファイバレーザであることができる。レーザ集束直径は、100ミクロンである。ステップ高が、20~40ミクロンで変動されることができる。
【0113】
(実施例)
【0114】
(実施例1)
走査された眼内特徴を付加製造のための黄斑圧子の設計に解釈する方法
【0115】
本開示の3D印刷(付加製造)方法によって作製された黄斑圧子を作成するための方法が、ウサギ眼モデルから実施された。最初に、冠状方向(
図6)および矢状方向(
図7)B走査が、取得された。各特徴からの眼内の場所点が、以下のように、識別され、すなわち、冠状方向B走査から、(青色の)赤道距離および(黄色の)軸方向距離が、取得された。また、矢状方向走査との交差区分の場所に関する緑色の点と、黄斑圧子デバイスが追従するべき湾曲経路を示すための複数の赤色の点とを含む、点が、画像内で識別された。矢状方向B走査から、(青色の)赤道距離および(黄色の)軸方向距離が、取得された。緑色の点は、矢状方向走査との交差区分の場所に関するものである。黄色の点は、上部交差の先端/端部を示すためのものである。褐色の点は、赤道場所(バルブの中心の場所)に関するものである。複数の赤色の点は、本デバイスが追従するであろう、湾曲経路を示すためのものである。
【0116】
代替として、走査された寸法が、患者の眼内特徴を十分に説明していないとき、以下のパラメータ、すなわち、黄斑圧子デバイス、すなわち、翼部/骨格の幅(4mmであるが、いくつかの実施形態では、2~6mmの範囲に及び得る)、本デバイスの厚さ(1mmであるが、いくつかの実施形態では、0.2~2mmの範囲に及び得る)、上部長=7mm(但し、いくつかの実施形態では、5~9mmの範囲に及び得る)、および翼部長=6mm(但し、いくつかの実施形態では、3~12mmの範囲に及び得る)が、黄斑圧子に関して設定された(
図8)。
【0117】
走査では、「OD」は、これが右眼の走査であったことを意味し、「OS」は、左眼に関するものあった。
【0118】
画像が、次いで、1×1×1走査分解能を使用して、Materialise Mimics Researchソフトウェア(Materialise, NV, Europe)の中にインポートされた。2D画像上の赤道距離が、測定され、スケーリングされたインポート(等大)のために要求される走査分解能を取得するために、(測定された距離の元の測定割合に)分割された。インポートされた画像の配向が、
図9および
図10に描写された。次いで、眼の湾曲が、(より容易な視覚整合のために)セグメント化され、球体に適合された(
図11)。次いで、セグメント化された眼の2つのB走査が、ソフトウェアプログラムのX線モジュールを使用して、両方の画像内の共通の緑色の点を合致させた状態に整合された(
図12)。いくつかの実施形態では、円筒物が、走査毎にX線の表面に合致するように、作成され、整合された(
図13)。いくつかの実施形態では、スプラインが、作成された円筒物の湾曲に沿って着座するであろう。
【0119】
次いで、スプラインが、作成され、画像内に提供された点を使用してオーバーレイされた。矢状方向走査に関して、凸面形の湾曲が存在せず、平滑な凹面形の曲線のみが存在することを確実にするために、最後の数点を補間する。幾何学的特徴と関連付けられる、画像内の色付きの特徴は、褐色の点が、スプラインのアンカ/端部であり、黄色の点が、スプラインの開始であり、緑色の点が、スプライン上に真でなければならない点であった(
図14)。画像は、緑色の点をより密接に重複するように整合させるように調節された。
【0120】
次いで、スプラインが、幅および厚さを設定するために、ソフトウェアプログラム内のスケッチツールを使用して、掃引された(
図15)。
【0121】
Boolean Unionが、次いで、より均一になるように表面を分離するように適用された(縁上の孔自由フォームをマーキングおよび充填した)(
図16A)。表面は、次いで、再メッシュ化および平滑化され、より平滑な縁を取得した(
図16B)。いくつかの実施形態では、ソフトウェア動作は、適応的再メッシュ化選択肢下で選択され、以下を含み、それは、形状品質閾値(0.2165)であり、最大幾何学形状設定は、0.0200であり、制御三角形縁は、真であり、最小三角形縁は、0.0000であり、最大三角形縁は、1.000であり、反復の数は、3であり、不良縁のスキップは、偽であり、表面連続性の維持は、真であり、鋭的縁の維持は、真であった。
【0122】
候補バルブサイズが、次いで、矢状方向B走査上に作成され、オーバーレイされた(
図17A)。いくつかの実施形態では、バルブサイズは、直径が10~50mmの範囲に及び、軸方向走査距離の関数であることができる。いくつかの実施形態では、候補バルブサイズは、20~25mmの軸長に関して3mm(
図17Aの緑色の円)、25~30mmの軸長に関して6mm(
図17Aの橙色の円)、および30mm超の軸長に関して9mm(
図17Aの赤色の円)の半径を備える。選択されたバルブサイズのモデルが、次いで、黄斑圧子の交差部分のモデルと組み合わせられ、交差のために作成された湾曲が、正しい(例えば、バルブが、網膜の一部を圧縮するために十分に大きいが、翼部が網膜上のバルブの圧縮に干渉しないように、バルブから十分に距離を空けられるように十分に小さくなるであろう)かどうかを視覚的に確認した。
【0123】
いったんバルブサイズが、決定されると、湾曲に合致し、球体ではなく、弧の状態になるように、球体を切断した(
図18)。
【0124】
部品のモデルが、次いで、融合され、全ての縁が、(いくつかの実施形態では、0.2mmのフィレット半径を使用して)丸くされた(
図19)。ソフトウェアのスケッチツールが、次いで、使用され、翼部交差接合部(
図20A)および翼部先端機能(
図20B)を丸めた。翼部(R=2mm)、先端(R=2mm)、および「アームピット」(フィレット半径=0.5mm)であった。
【0125】
縁が、次いで、丸められ、再メッシュ化され、平滑化された(
図1A、1B、1C、1D、および1E)。黄斑圧子は、次いで、冠状方向(
図21A)および矢状方向(
図21B)B走査上にオーバーレイされ、患者の眼球の測定された寸法への適合の適切性を確認した。モデルは、次いで、本開示の黄斑圧子の一実施形態の付加製造における使用のためのSTLファイルとしてエクスポートされた(
図22)。
【0126】
(実施例2)
埋込および埋込された黄斑圧子の生体内撮像
【0127】
実施例1において説明された方法によって作製された黄斑圧子が、A走査およびB走査超音波検査によって事前に撮像されている、麻酔されたオスのNew Zealand白ウサギ(2.5kg)の眼球上に埋込され、患者の眼球に適合するように構成された、黄斑圧子を設計および作成した。
【0128】
図23に示されるように、黄斑圧子は、ウサギ眼の上耳側象限内に埋込された。黄斑圧子は、交差の中心に、および黄斑圧子の長いアームに沿って、5-Oメルシレン縫合糸を用いてX縫付方式で固着された。黄斑圧子が、次いで、結膜で被覆され、結膜が、7-Oビクリル縫合糸を用いて閉鎖した状態に縫合された。
【0129】
図24Aおよび
図24Bに示されるように、OCT(光干渉断層撮影)画像が、圧子からの黄斑の円形圧痕を示す、埋込1週間後の、本デバイスによって作成される、後極部の圧痕を実証する。ウサギが、窩を有しておらず、そのため、画像内の圧痕が、埋込された黄斑圧子のみからのものであることに留意されたい。(画像は、本明細書に説明されるB走査画像およびA走査画像を撮影するためにも使用された、ZEISS CIRRUS 5000 OCT器具を用いて撮影された。)(S=上位領域、I=下位領域、T=下耳側領域、N=下鼻側領域、走査角度は、0度であり、線ラスタ間の間隔は、0.25mmであり、走査の全長は、6mmであった)。OS画像である。
【0130】
(実施例3)
埋込された黄斑圧子の設置を確認するための付加的撮像方法
【0131】
いくつかの実施形態では、黄斑圧子の影響がさらに、網膜上の黄斑圧子の形状および位置を実証するであろう、眼底撮像を用いて確認されることができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、黄斑圧子はさらに、埋込の後に後退可能である滅菌照明付き光ファイバを備えることができる。照明付き先端は、外科手術の間に倒像検眼鏡を用いて視認することによる、黄斑領域への本デバイスの適切な設置の検証を可能にするであろう。光ファイバは、ビクリル縫合糸を用いて本デバイスの骨格に繋合されることができ、埋込物が適切に設置および縫合された後、単純に引き出されることができる。いくつかの実施形態では、光ファイバは、光ファイバの抽出をより容易にするために、潤滑剤(例えば、ポリエチレングリコール、MW500~50,000)でコーティングされることができる。
【0133】
前述は、本開示の種々の実施形態の原理を例証するにすぎない。したがって、当業者が、本明細書に明示的に説明または示されていないが、本発明の原理を具現化し、その精神および範囲内に含まれる、種々の配列を考案することが可能であろうことを理解されたい。さらに、本明細書に列挙される全ての実施例および条件付き文言が、主として、教育上の目的のみのためのものであり、読者が本発明の原理および当技術分野を促進するために本発明者らによって寄与された概念を理解することを補助することを明示的に意図し、そのような具体的に列挙される実施例および条件への限定を伴わないものして解釈されるべきである。また、本発明の原理、側面、および実施形態、およびその具体的な実施例を列挙する、本明細書における全ての叙述は、その構造的均等物および機能的均等物の両方を包含することを意図する。加えて、そのような均等物が、現在既知の均等物と、将来開発される均等物、すなわち、構造にかかわらず、同一の機能を実施する、任意の未開発の要素の両方とを含むことを意図する。
【0134】
本明細書において使用される数量およびパラメータを表す全ての数値は、全ての事例において、加えて、用語「約」によって修飾されているものと理解されるものとする。本明細書に提示される患者事項の広義の範囲を記載する数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、記載される数値は、可能な限り精密に示される。例えば、任意の数値は、本質的には、それらの個別の測定技法と関連付けられる標準偏差、または丸め誤差および不正確度によって立証される、ある誤差を含有し得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の眼に対する埋込のための黄斑圧子であって、前記黄斑圧子は、
第1の端部から第2の端部まで延在する湾曲した骨格と、
隆起パッドであって、前記隆起パッドは、前記骨格の第1の端部に結合され、前記黄斑圧子が前記眼に対して埋込されると、隆起パッドが、前記眼の黄斑に接触する前記眼の強膜に圧力を印加するように、前記骨格の内面から内向きに延在する、隆起パッドと
を備え、
前記骨格の幾何学形状は、前記眼の幾何学形状に合致するように構成される、黄斑圧子。
【請求項2】
前記骨格の第2の端部から延在する少なくとも1つのアームをさらに備え、前記アームは、前記眼の幾何学形状に合致するように適合するように構成される、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアームはそれぞれ、前記骨格の正中に対して直交して延在する、請求項2に記載の黄斑圧子。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアームは、前記アームおよび前記骨格が交差形状を形成するように、前記骨格から反対方向に延在する2つのアームを備える、請求項2に記載の黄斑圧子。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアームは、前記少なくとも1つのアームを通して延在する少なくとも1つの開口を画定し、前記少なくとも1つの開口は、前記黄斑圧子を前記眼に固着させるための縫合糸を受容するように構成される、請求項2に記載の黄斑圧子。
【請求項6】
前記隆起パッドの厚さは、黄斑剥離の高さに基づいて構成される、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項7】
前記黄斑圧子は、チタンと、コバルトと、ナイロンと、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)と、ポリウレタンと、高密度ポリエチレン(HDPE)と、ポリプロピレンと、ステンレス鋼とから成る群から選択される少なくとも1つの材料から構築される、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項8】
前記黄斑圧子は、シリコーン被覆でコーティングされる、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項9】
前記骨格の幅は、約2mm~約7mmである、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項10】
前記隆起パッドの断面は、半球形であり、前記黄斑の半球形の圧痕を作成するように構成される、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項11】
前記圧子を通して延在する1つまたは複数の開口をさらに備える、請求項1または2のいずれかに記載の黄斑圧子。
【請求項12】
前記開口のうちの少なくとも1つは、前記圧子のアームおよび正中線の交点に位置付けられる、請求項
11に記載の黄斑圧子。
【請求項13】
前記骨格の幾何学形状の構成は、患者の眼球サイズに基づいて、前記骨格の幾何学的な弧長、幅、および厚さを選択することから選択される、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項14】
前記骨格の幾何学形状の構成は、
患者の眼の第1の画像を受信することと、
前記眼球体の輪郭を境界することと、
前記眼球体の輪郭に合致する曲線を展開することと、
前記黄斑圧子の一部が、前記眼球体の輪郭に合致する前記曲線に追従するような黄斑圧子の幾何学形状を生成することと
を含む方法によって選択される、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項15】
前記骨格に除去可能に取り付けられる滅菌照明付き光ファイバ繊維をさらに備える、請求項1に記載の黄斑圧子。
【請求項16】
方法であって、
患者の眼の第1の画像を受信することと、
前記眼球体の輪郭を境界することと、
前記眼球体の輪郭に合致する曲線を展開することと、
前記黄斑圧子の一部が、前記眼球体の輪郭に合致する前記曲線に追従するような黄斑圧子の幾何学形状を生成することと
を含む、方法。
【請求項17】
付加製造を使用して前記黄斑圧子を形成することをさらに含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の画像は、軸方向B走査超音波検査画像である、請求項
16に記載の方法。
【請求項19】
前記患者の眼の第2の画像を受信することをさらに含み、前記第2の画像は、横方向B走査超音波検査画像である、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の画像内の前記眼球体の輪郭に基づいて、第2の曲線を展開することをさらに含む、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記患者の眼の第3の画像を受信することをさらに含み、前記第3の画像は、A走査超音波検査画像であり、前記黄斑圧子の長さは、前記第3の画像に基づいて決定される、請求項
19に記載の方法。
【請求項22】
前記曲線を展開することは、前記眼球体上の境界点を識別することと、前記曲線を前記境界点に適合させることとを含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項23】
前記曲線を適合させることは、3次スプライン補間を含む、請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
前記患者の眼の第4の画像を受信することをさらに含み、前記第4の画像は、黄斑剥離を示す光干渉断層撮影画像であり、前記パッドの厚さは、少なくとも部分的に、前記黄斑剥離の高さに基づいて決定される、請求項
16に記載の方法。
【請求項25】
前記眼の光干渉断層撮影(OCT)画像を取得することと、前記光干渉断層撮影画像上で、前記黄斑の上昇または剥離の高さに基づいて、前記黄斑圧子の隆起パッドのサイズを決定することとをさらに含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項26】
前記黄斑圧子は、治療を必要とする患者内の黄斑疾患を治療する
ために前記患者の前記眼球に
外科的に縫合されるように構成されている、請求項1-
13のいずれかに記載の
黄斑圧子。
【請求項27】
前記黄斑圧子はさらに、前記圧子の骨格に除去可能に取り付けられる光ファイバを備え、前記光ファイバは、前記黄斑圧子
が前記眼球に外科手術的に縫合
された後、除去される、請求項
26に記載の
黄斑圧子。
【請求項28】
前記光ファイバは、前記ファイバの先端において光を放出し、前記光は、倒像検眼鏡によって検出可能である、請求項
27に記載の
黄斑圧子。
【請求項29】
前記光ファイバは、ビクリル縫合糸を用いて前記光ファイバを前記骨格に繋合することによって、前記圧子の骨格に除去可能に取り付けられる、請求項
26に記載の
黄斑圧子。
【請求項30】
患者固有の黄斑圧子を作成するためのシステムであって、
(a)コンピュータユニットであって、前記コンピュータユニットは、患者の眼の第1の画像を受信し、前記眼球体の輪郭を境界し、前記眼球体の輪郭に合致する曲線を展開し、前記黄斑圧子の一部が、前記眼球体の輪郭に合致する前記曲線に追従するような黄斑圧子の幾何学形状を生成する、コンピュータユニットと、
(b)付加製造デバイスであって、前記付加製造デバイスは、前記生成された幾何学形状に合致する付加製造された黄斑圧子を作成する、付加製造デバイスと
を備える、システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
別の側面では、付加製造方法によって、患者固有の黄斑圧子を設計および製造するためのシステムが、開示される。本システムは、(a)患者の眼の第1の画像を受信し、眼球体の輪郭を境界し、眼球体の輪郭に合致する曲線を展開し、黄斑圧子の一部が、眼球体の輪郭に合致する曲線に追従するような、黄斑圧子の幾何学形状を生成する、コンピュータユニットと、(b)生成された幾何学形状に合致する付加製造された黄斑圧子を作成する、付加製造デバイスとを備える。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
患者の眼に対する埋込のための黄斑圧子であって、上記黄斑圧子は、
第1の端部から第2の端部まで延在する湾曲した骨格と、
隆起パッドであって、上記隆起パッドは、上記骨格の第1の端部に結合され、上記黄斑圧子が上記眼に対して埋込されると、隆起パッドが、上記眼の黄斑に接触する上記眼の強膜に圧力を印加するように、上記骨格の内面から内向きに延在する、隆起パッドと
を備え、
上記骨格の幾何学形状は、上記眼の幾何学形状に合致するように構成される、黄斑圧子。
(項目2)
上記骨格の第2の端部から延在する少なくとも1つのアームをさらに備え、上記アームは、上記眼の幾何学形状に合致するように適合するように構成される、項目1に記載の黄斑圧子。
(項目3)
上記少なくとも1つのアームはそれぞれ、上記骨格の正中に対して直交して延在する、項目2に記載の黄斑圧子。
(項目4)
上記少なくとも1つのアームは、上記アームおよび上記骨格が交差形状を形成するように、上記骨格から反対方向に延在する2つのアームを備える、項目2に記載の黄斑圧子。
(項目5)
上記少なくとも1つのアームは、上記少なくとも1つのアームを通して延在する少なくとも1つの開口を画定し、上記少なくとも1つの開口は、上記黄斑圧子を上記眼に固着させるための縫合糸を受容するように構成される、項目2に記載の黄斑圧子。
(項目4)
上記隆起パッドの厚さは、黄斑剥離の高さに基づいて構成される、項目1に記載の黄斑圧子。
(項目5)
上記黄斑圧子は、チタンと、コバルトと、ナイロンと、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)と、ポリウレタンと、高密度ポリエチレン(HDPE)と、ポリプロピレンと、ステンレス鋼とから成る群から選択される少なくとも1つの材料から構築される、項目1に記載の黄斑圧子。
(項目6)
上記黄斑圧子は、シリコーン被覆でコーティングされる、項目1に記載の黄斑圧子。
(項目7)
上記骨格の幅は、約2mm~約7mmである、項目1に記載の黄斑圧子。
(項目8)
上記隆起パッドの断面は、半球形であり、上記黄斑の半球形の圧痕を作成するように構成される、項目1に記載の黄斑圧子。
(項目9)
上記圧子を通して延在する1つまたは複数の開口をさらに備える、項目1または2のいずれかに記載の黄斑圧子。
(項目10)
上記開口のうちの少なくとも1つは、上記圧子のアームおよび正中線の交点に位置付けられる、項目9に記載の黄斑圧子。
(項目11)
上記骨格の幾何学形状の構成は、患者の眼球サイズに基づいて、上記骨格の幾何学的な弧長、幅、および厚さを選択することから選択される、項目1に記載の黄斑圧子。
(項目12)
上記骨格の幾何学形状の構成は、
患者の眼の第1の画像を受信することと、
上記眼球体の輪郭を境界することと、
上記眼球体の輪郭に合致する曲線を展開することと、
上記黄斑圧子の一部が、上記眼球体の輪郭に合致する上記曲線に追従するような黄斑圧子の幾何学形状を生成することと
を含む方法によって選択される、項目1に記載の黄斑圧子。
(項目13)
上記骨格に除去可能に取り付けられる滅菌照明付き光ファイバ繊維をさらに備える、項目1に記載の黄斑圧子。
(項目14)
方法であって、
患者の眼の第1の画像を受信することと、
上記眼球体の輪郭を境界することと、
上記眼球体の輪郭に合致する曲線を展開することと、
上記黄斑圧子の一部が、上記眼球体の輪郭に合致する上記曲線に追従するような黄斑圧子の幾何学形状を生成することと
を含む、方法。
(項目15)
付加製造を使用して上記黄斑圧子を形成することをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
上記第1の画像は、軸方向B走査超音波検査画像である、項目14に記載の方法。
(項目17)
上記患者の眼の第2の画像を受信することをさらに含み、上記第2の画像は、横方向B走査超音波検査画像である、項目16に記載の方法。
(項目18)
上記第2の画像内の上記眼球体の輪郭に基づいて、第2の曲線を展開することをさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
上記患者の眼の第3の画像を受信することをさらに含み、上記第3の画像は、A走査超音波検査画像であり、上記黄斑圧子の長さは、上記第3の画像に基づいて決定される、項目17に記載の方法。
(項目20)
上記曲線を展開することは、上記眼球体上の境界点を識別することと、上記曲線を上記境界点に適合させることとを含む、項目14に記載の方法。
(項目21)
上記曲線を適合させることは、3次スプライン補間を含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
上記患者の眼の第4の画像を受信することをさらに含み、上記第4の画像は、黄斑剥離を示す光干渉断層撮影画像であり、上記パッドの厚さは、少なくとも部分的に、上記黄斑剥離の高さに基づいて決定される、項目14に記載の方法。
(項目23)
上記眼の光干渉断層撮影(OCT)画像を取得することと、上記光干渉断層撮影画像上で、上記黄斑の上昇または剥離の高さに基づいて、上記黄斑圧子の隆起パッドのサイズを決定することとをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目24)
治療を必要とする患者内の黄斑疾患を治療する方法であって、上記方法は、患者の上記眼球に項目1-11のいずれかに記載の黄斑圧子を外科的に縫合することを含む、方法。
(項目25)
上記黄斑圧子はさらに、上記圧子の骨格に除去可能に取り付けられる光ファイバを備え、上記光ファイバは、上記黄斑圧子を上記眼球に外科手術的に縫合した後、除去される、項目24に記載の方法。
(項目26)
上記光ファイバは、上記ファイバの先端において光を放出し、上記光は、倒像検眼鏡によって検出可能である、項目25に記載の方法。
(項目27)
上記光ファイバは、ビクリル縫合糸を用いて上記光ファイバを上記骨格に繋合することによって、上記圧子の骨格に除去可能に取り付けられる、項目24に記載の方法。
(項目28)
上記黄斑圧子を上記患者の眼球に外科的に縫合することによって、患者内の黄斑疾患を治療するための項目1-11のいずれかに記載の黄斑圧子の使用。
(項目29)
患者固有の黄斑圧子を作成するためのシステムであって、
(a)コンピュータユニットであって、上記コンピュータユニットは、患者の眼の第1の画像を受信し、上記眼球体の輪郭を境界し、上記眼球体の輪郭に合致する曲線を展開し、上記黄斑圧子の一部が、上記眼球体の輪郭に合致する上記曲線に追従するような黄斑圧子の幾何学形状を生成する、コンピュータユニットと、
(b)付加製造デバイスであって、上記付加製造デバイスは、上記生成された幾何学形状に合致する付加製造された黄斑圧子を作成する、付加製造デバイスと
を備える、システム。
【国際調査報告】