(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-09
(54)【発明の名称】ナノバブル発生装置および方法
(51)【国際特許分類】
B01F 23/232 20220101AFI20230427BHJP
B01F 23/231 20220101ALI20230427BHJP
B01F 23/2375 20220101ALI20230427BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20230427BHJP
B01F 35/53 20220101ALI20230427BHJP
B01F 25/433 20220101ALI20230427BHJP
E02B 1/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
B01F23/232
B01F23/231
B01F23/2375
B01F35/71
B01F35/53
B01F25/433
E02B1/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558103
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 US2021021438
(87)【国際公開番号】W WO2021194736
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518322953
【氏名又は名称】モリアー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】スコルテン ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ワレン スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト アンドレア
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AB08
4G035AB11
4G035AC01
4G035AE13
4G037AA01
4G037AA02
4G037EA01
(57)【要約】
移動する液体キャリア中にナノバブルを生成するための装置は、液体キャリアがそれを通って流れることのできる導管;導管の内面に配置された気体拡散器;ならびに(i)移動する液体キャリアを受け取る第1断面積を有する第1開放端と、(ii)第1断面積よりも小さい第2断面積を規定し、導管の開口に流体接続した、第1開放端の反対側にある第2開放端と、(iii)第1開放端から第2開放端まで延在する壁とを含む漏斗を含む。漏斗は、外部エネルギーの非存在下で、乱流閾値を超える乱流を生成するように構成され、乱流は、拡散器の外面からの気体を液体キャリアにせん断させるのを可能にしてこれによって液体キャリア中にナノバブルを形成するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
それを通って液体キャリアが流れることのできる、第1端から第2端まで軸方向に延在する開口を有する導管であって、
導管の内面に配置された内面、および導管を通って流れる液体と接触するように構成された外面を有する、気体源から気体を受け取り拡散器の外面まで気体を運ぶように構成された複数の細孔を含む気体拡散器
をさらに含む、導管;ならびに
第1断面積を規定する、移動する液体キャリアを受け取るように構成された第1開放端と、
第1断面積よりも小さい第2断面積を規定し、導管の開口に流体接続した、第1開放端の反対側にある第2開放端と、
第1開放端から第2開放端まで延在する壁と
を含む、漏斗
を含み、
漏斗が、外部エネルギーの非存在下で、乱流閾値を超える乱流を生成するのに十分な流速を、開口によって受け取られる液体キャリア中に発生させるように構成されており、乱流が、拡散器の外面からの気体を液体キャリアにせん断させるのを可能にしてこれによって液体キャリア中にナノバブルを形成するものである、
移動する液体キャリア中にナノバブルを生成するための装置。
【請求項2】
導管が、ほぼ矩形の断面形状を有する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
導管の内面に配置された複数の気体拡散器を含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
導管の内面に対して規定される漏斗の壁の角度が45度未満である、請求項1記載の装置。
【請求項5】
導管の内面に対して規定される漏斗の壁の角度が12度~22度の範囲である、請求項1記載の装置。
【請求項6】
導管がほぼ管状である、請求項1記載の装置。
【請求項7】
漏斗がフランジを含む、請求項1記載の装置。
【請求項8】
漏斗の壁が円錐台形である、請求項1記載の装置。
【請求項9】
漏斗が、導管の第1端に流体接続された第1漏斗であり、装置が、導管の第2端に流体接続された第2漏斗をさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項10】
導管、漏斗、および気体拡散器のそれぞれが、装置の動作時には互いに対して静止したままであるように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項11】
導管内で互いに平行であり、かつ液体キャリアの流路に平行に配置された、複数の拡散器
を含む、請求項1記載の装置。
【請求項12】
移動する液体キャリアが、漏斗の開放端に流入し、導管の第1端から導管の第2端まで導管を通って流れるように、移動する液体キャリアに請求項1の装置を曝露させる工程;および
気体源からの気体を、拡散器の細孔を通じて拡散器の外面に導く工程
を含み、
液体キャリアが拡散器の外面からの気体をせん断し液体キャリア中にナノバブルを形成するように、漏斗が、外部エネルギーの非存在下で、乱流閾値を超える乱流を生成するのに十分な流速を、液体キャリア中に発生させる、
移動する液体キャリア中にナノバブルを発生させる方法。
【請求項13】
移動する液体キャリアが、河川、水流、クリーク、小川、細流、川、海峡、運河、水路、三角洲、入江、細溝、導水路、カルーセル、パイプ、または支流である、請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2020年3月24日に出願の米国仮特許出願番号第62/993,871号の恩典を主張する。先願の開示は本願の開示の一部とみなされる(かつ参照により本願の開示に組み入れられる)。
【0002】
技術分野
本開示は、移動する液体キャリア中にナノバブルを発生させることに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
多量の液体媒体(例えば、水塊)に気体(例えば、空気)を供給して液体媒体中で所望の気体飽和度を得るためのポンプまたはブロワシステムなどの様々なシステムが用いられてきた。水の供給源に酸素を供給することはその水質を改善し、水の供給源に存在する酸素を利用する様々な生物に利益をもたらし得る。
【0004】
ポンプおよびブロワシステムの1つの欠点は、気体を供給することが発電機、バッテリー、キャパシターなどの外部電気エネルギー源の提供を必要とすることである。さらに、液体に気体を供給することはエネルギー集約的なプロセスであり、外部エネルギー源を提供するコストは相当なものになり得る。
【0005】
ポンプおよびブロワシステムのもう1つの欠点は、エネルギー源を特定の水塊に提供することはそれらの大きさ、場所、およびアクセシビリティにより困難かつ/または望ましくない場合があるということである。結果として、所与の水塊にポンプまたはブロワシステムを実装することは可能ではないかまたは非常に望ましくない場合がある。
【発明の概要】
【0006】
概要
一つ目の概略的な局面では、河川、水流、クリーク、小川、細流、川、海峡、運河、水路、三角洲、入江、細溝、導水路、カルーセル、支流、パイプなどの移動する液体キャリア中にナノバブルを生成するための装置が記載される。装置は、液体キャリアがそれを通って流れることのできる、第1端から第2端まで軸方向に延在する開口を有する導管を含む。導管は、導管の内面に配置された内面と、液体キャリアが導管を通って流れる際に液体キャリアと接触するように構成された外面とを有する気体拡散器をさらに含む。気体拡散器は、気体源から気体を受け取り、気体を拡散器の外面まで運ぶように構成された複数の細孔を含む。いくつかの態様では、装置は、導管内で互いに平行に配置された複数の拡散器を含む。拡散器はフレームに取り付けられ得、翻ってフレームは導管の1つまたは複数の壁に取り付けられる。
【0007】
装置は漏斗をさらに含む。翻って漏斗は、移動する液体キャリアを受け取るように構成された、第1断面積を規定する第1開放端と;第1断面積より小さい第2断面積を規定する第1開放端の反対側にある第2開放端と;第1開放端から第2開放端まで延在する壁とを含む。漏斗の第2開放端は、液体キャリアがそれを通って流れる導管の開口に流体連結される。
【0008】
漏斗は、外部エネルギー源の非存在下で、乱流閾値を超える乱流を生成するのに十分な流速を、開口によって受け取られる液体キャリア中に発生させるように構成され、乱流は、拡散器の外面からの気体を液体キャリアにせん断させるのを可能にしてこれによって液体キャリア中にナノバブルを形成する。例えば、漏斗は、少なくとも2m/sの流速を発生させるように構成され得る。高い流速を発生させることは、一旦形成されたナノバブルが融合するのを防ぐのに役立つ。
【0009】
外部エネルギー源の例は、ポンプ、ブロワ、または電力を必要とする任意の構成要素を含む。装置はポンプと共に用いることができるが、ポンプは必須ではない。これは、ポンプまたは電力を必要とする任意の構成要素を用いることが不可能ではないにしても困難となる供給源を含む、様々な移動する水の供給源中に装置を用いることを可能にするという利点を有する。
【0010】
いくつかの態様では、導管は、概して矩形の断面形状を有するが、別の態様では導管は、概して管状である。導管は、導管の内面に配置された複数の気体拡散器を含んでもよい。導管、漏斗、および気体拡散器は、装置の動作時には互いに対して静止したままになるように構成されてもよい。
【0011】
装置は、導管の第2端に連結した第2漏斗を含んでもよい。漏斗のうちの一方または両方がフランジを含んでもよい。一方または両方の漏斗の壁は円錐台形であってもよい。いくつかの態様では、導管の内面に対して規定される一方または両方の漏斗の壁の角度は45度未満である。いくつかの態様では、角度は12~22度の範囲である。
【0012】
上述の装置は、移動する液体キャリア中にナノバブルを発生させる方法に用いてもよい。方法は、移動する液体キャリアが漏斗の開放端に流入し、導管の第1端から導管の第2端まで導管を通って流れるように、移動する液体キャリアに装置を曝露させる工程;および気体源からの気体を拡散器の細孔を通して拡散器の外面に導く工程を含む。漏斗は、外部エネルギーの非存在下で、液体キャリアが拡散器の外面からの気体をせん断して液体キャリア中にナノバブルを形成するように、乱流閾値を超える乱流を生成するのに十分な流速を、液体キャリア中に発生させる。
【0013】
本明細書において用いるように、「ナノバブル」という用語は、1マイクロメートル(μm)未満の直径を有する気泡を指す。ナノバブルより大きいマイクロバブルは1μm以上かつ50μmより小さい直径を有する気泡である。マクロバブルは50μm以上の直径を有する気泡である。
【0014】
上述の装置および方法は、例を上に列挙した、比較的大きな水塊を含む任意の大きさの水塊に気体を導入するために用い得る。装置は、ポンプなどの外部エネルギー源を必要とせずに動作し得るため、ポンプには適さない大量の水を処理するために用い得、これによって、装置を用い得る用途の数および種類が増える。例示的な用途は、溶存酸素を上昇させることや生物学的処理、水産養殖、浄化、除染、藻の制御などの目的で、酸素および/またはオゾンなどの気体を上記の水塊に導入することを含む。
【0015】
本開示の主題の1つまたは複数の態様の詳細は添付の図面および説明に記載されている。主題の他の特徴、局面、および利点は説明、図面、および請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】気体を液体に注入するために実装し得る例示的な装置の概略図である。
【
図1C】
図1Aおよび1Bに示される装置に実装し得る例示的な気体拡散器の概略図である。
【
図2】気体を液体に注入するために実装し得る例示的なシステムの概略図である。
【
図3】気体を液体に注入するために実装し得る例示的な装置の概略図である。
【
図4】気体を液体に注入するために実装し得る、複数の拡散器を含む例示的な装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
図1Aは、移動する液体キャリアに気体を注入するために実装し得る装置100の概略図である。装置100は、外側ハウジング104内に導管101、漏斗151a、任意の第2漏斗151b、および気体拡散器160を含む。導管101は、第1端102aから第2端102bまで軸方向に延在する開口を規定する。漏斗151aは、第1開放端152a、第2開放端152b、および第1開放端152aから第2開放端152bまで延在する壁153を含む。気体拡散器160は、導管101の内面105に沿って配置される。気体拡散器は、吸気口106を介して気体源150から受け取った気体が外側ハウジング104の密封空洞108に流入し、気体拡散器160を通過して導管101に入るように、導管によって規定される開口と一直線に整列されるかまたはそれを覆うように配置される。導管101、漏斗151a、および気体拡散器160は、装置100の動作時には互いに対して静止したままであるように構成される。いくつかの態様では、装置100は漏斗(例えば、導管の第1端102aにある漏斗151a)を1つだけ含み、任意である第2漏斗(例えば、漏斗151b)は含まない。
【0018】
図1Bに示すように、導管101によって規定される開口は、導管の内面105が複数の内壁を含むように、矩形の断面形状(例えば、正方形)を有する。導管101によって規定される開口は矩形である必要はなく、いくつかの態様では、異なる形状(例えば、円形、楕円形、五角形、六角形、または八角形)を有し得る。いくつかの態様では、導管101の内面105は、気体拡散器160と同様または同一の1つまたは複数の気体拡散器160a、160b、160c(
図1Aを参照されたい)を含む。1つまたは複数の気体拡散器160a、160b、160cは、導管101の全長または選定された部分に沿って配置し得る。いくつかの態様では、導管の内面が(全体的にまたは部分的に)気体拡散器として機能するように、導管自体が気体拡散材料からなる。導管101を構築するために用い得る材料のいくつかの非限定的な例は、金属、セラミック、プラスチック、または複合材料を含む。
【0019】
漏斗151aの第1開放端152a(
図1Aを参照されたい)は、移動する液体キャリア(例えば、流れる水、または水を含む流れる液体)を受け取るように構成される。第1開放端152aは第1断面積を規定する。第2開放端152bは、第1開放端152aの第1断面積よりも小さい第2断面積を規定する。断面積の具体的な比率は、最も小さい目標速度の関数となる。第2開放端152bは、導管101によって規定される開口に流体接続される。第2開放端152bは第1端102aに流体接続し得る。
【0020】
いくつかの態様では、導管101の環状内面105に対して規定される漏斗151の壁153の角度は、45度未満である。いくつかの態様では、角度は12度~22度の範囲である。摩擦を最小限にしつつ十分な液体速度を達成するように角度が選定される。漏斗151a(または151b)を構築するために用い得る材料のいくつかの非限定的な例は、金属、セラミック、プラスチック、または複合材料を含む。
【0021】
第2漏斗151bは、第3断面積を規定する第3開放端152cおよび第4断面積を規定する第4開放端152dを有する。第4断面積は第3開放端152cの第3断面積より小さい。第4開放端152dは、導管101によって規定される開口に流体接続される。第4開放端152dは、導管102bの第2端に流体接続し得る。いくつかの態様では、導管101の環状内面105に対する第2漏斗151bの第2壁153bの傾斜角は、12度~22度の範囲である。第2漏斗151bを構築するために用い得る材料のいくつかの非限定的な例は、金属、セラミック、プラスチック、または複合材料を含む。第2漏斗は、周囲の液体キャリアの速度とほぼ等しくなるように、装置100を出る際に液体キャリアとナノバブルとの混合物の速度を調整するという利点を提供し得る。いくつかの態様では、第2漏斗は、液体キャリアが装置100を出る際に層流で流れるように速度を低下させる。
【0022】
漏斗151aは、外部エネルギーの非存在下で、乱流閾値を超える乱流を生成するのに十分な流速を、開口によって受け取られる液体キャリア中に発生させるように構成され、乱流は、拡散器の外面からの気体を液体キャリアにせん断させるのを可能にしてこれによって液体キャリア中にナノバブルを形成する。例えば、漏斗は、少なくとも2m/sの流速を発生させるように構成し得る。いくつかの態様では、漏斗は、少なくとも4m/s、少なくとも6m/s、または少なくとも8m/sの流速を発生させるように構成し得る。高い流速を発生させることは、一旦形成されたナノバブルが融合するのを防ぐのに役立つ。理論に拘束されるものではないが、圧縮不可能な液体の速度は液体が狭窄部を通過するにつれて増加すること(「ベンチュリ効果」として公知である)、および乱流は液体の速度に比例する高レイノルズ数で発生すると考えられる。したがって、漏斗151aの断面積が液体の流れ方向に向かって減少することで、受け取った流体における乱流の発生を容易にし得る。乱流は、レイノルズ数が少なくとも4,000であることを特徴とする。したがって、乱流の閾値は、少なくとも4,000のレイノルズ数を達成するための最小流速である。いくつかの態様では、本明細書において提供される装置は、少なくとも6,000または少なくとも12,000のレイノルズ数を達成し得る。
【0023】
気体拡散器160は複数の細孔を含み得る。気体拡散器160は、気体(空気、酸素、窒素、二酸化炭素、またはオゾンなど)を受け取り、その細孔を通って流れる気体からナノバブルを発生させ得る。気体は、液体キャリアよりも高い圧力で拡散器に注入される。例えば、気体の圧力は少なくとも1気圧、少なくとも10気圧、または少なくとも20気圧であってもよい。導管101は、液体(漏斗151aによって受け取られた)を気体拡散器160の表面に導くように構成される。気体拡散器160の表面を通過して流れる液体の乱流は、気体拡散器160の細孔を通って流れる気体を(気体拡散器160の表面から)せん断し、これによって、乱流する液体流に分散しかつ取り込まれるナノバブルを発生させる一方で、先に形成されたナノバブルが融合する傾向を最小限に抑える。気体拡散器160は後でより詳細に説明する。
【0024】
いくつかの態様では、装置100は、気体を気体拡散器160に供給し得るように、圧縮気体源などの気体源150に結合される。いくつかの態様では、装置100は、気体源に結合し得るパイプ継手または気体管継手を含む(例えば、導管の外面に)。
【0025】
図1Cは気体拡散器160の拡大図を示す。気体拡散器は複数の細孔161を含む。気体は、気体拡散器160に供給され、その細孔161を通過し得る。細孔161は50μm以下の直径を有し得る。いくつかの態様では、細孔161は200nm~50μmの範囲の直径を有し得る。細孔161は均一な大きさまたは大きさにバラツキがあるものであり得る。細孔161は、気体拡散器160の表面(例えば、外面)全体にわたって均一またはランダムに分布し得る。細孔161は任意の規則的(例えば、円形)または不規則な形状を有し得る。
【0026】
図1Cでは概ね矩形として示されているが、気体拡散器160は楕円形の断面を有する細長い部材など、別の形状を有し得る。気体拡散器160を構築するために用い得る材料のいくつかの非限定的な例は、金属、セラミック、プラスチック、または複合材料を含む。装置(例えば、装置100)の動作時には、細孔161の全てが液体の表面下になるように、気体拡散器160が十分に液体に沈められることが好ましい。
【0027】
図2は、装置100を含む例示的なシステムの模式図である。システムは、気体源250に結合した装置100を含む。システムは、移動する液体キャリア210(例えば、河川)に設置し得る。矢印は、移動する液体キャリア210の流れ方向を表す。
図2では装置100aを5つ含むように示されているが、システムはより少ない(例えば、1、2、3、または4)またはより多い(例えば、6以上)装置100を含み得る。装置100のそれぞれは、装置100それぞれの気体拡散器(図示せず)全てに気体源250から気体を供給し得るように、気体源250に結合される。装置100のそれぞれは、任意で、河川を横切って延在する横棒によって位置が固定される。装置100のそれぞれは、移動する液体キャリア210に部分的にまたは完全に沈め得る。システムの動作時には、装置100のそれぞれについては、各装置100の気体拡散器の全てが移動する液体キャリア210に沈められていることが好ましい。
図2では装置100が互いに一直線に整列しているように示されているが、装置100の構成は異なり得る。例えば、システムは、各列が1つまたは複数の装置100を含む多列で実装され得る。いくつかの態様では、異なる装置(例えば、
図3に示す装置300)を、装置100の代わりに、または装置100と組み合わせて用い得る。
【0028】
装置は、移動する液体キャリア(例えば、水塊)に部分的にまたは完全に沈められた状態で固定し得る。いくつかの態様では、装置は管状体内に固定される。いくつかの態様では、装置は静止した物体に固定される。いくつかの態様では、装置はブイなどの浮遊器具に取り付け得る。いくつかの態様では、装置は海底または川底などの、移動する液体キャリアの底部に固定される。さらに、装置は、装置内を通る移動する液体キャリアの流れを至適化する方向に配向させ得る。例えば、装置は、その長軸が移動する液体キャリアの流れ方向に対して概ね直角になるように配向させ得る。
【0029】
使用時には、移動する液体キャリアは装置の漏斗に入る。漏斗は、液体キャリアの速度を増加させて、電気エネルギー源の非存在下で乱流閾値を超える乱流を生成する。同時に、装置の吸気口は気体源から気体を受け取り、これは装置の内部空洞まで流れる。気体は、拡散器の細孔に入り、細孔を通って拡散器の外面まで流れる。細孔から出てくる気体は、導管内を流れる移動する液体キャリアによって拡散器の表面からせん断されてナノバブルを形成する。次いで、移動する液体とナノバブルとの混合物が装置から排出される。
【0030】
本明細書において提供される装置は、少なくとも1つの拡散器(例えば、拡散器160)を導管(例えば、導管101)の壁に沿った開口内にまたはそれを覆うようにフィットするように設置すること、導管に少なくとも1つの漏斗(例えば、漏斗151a)を取り付けること、ならびに吸気口を有する外側ハウジング(例えば、外側ハウジング104)内に漏斗、導管、および拡散器を収容することによって組み立て得る。本明細書において記載される装置およびその構成要素のいずれも様々な好適な製造方法を用いて作製し得る。
【0031】
図3は、任意の第2漏斗を含む、気体源350からの気体を液体に注入するために実装し得る別の例示的な装置300の概略図である。装置300は、装置300が少なくとも1つの円錐台形漏斗351a(および任意で第2漏斗351b)を含みかつ管状の導管301と管状の外側ハウジング304とを備えること以外は、装置100と実質的に同様である。示されるように、気体拡散器360は、外側ハウジング304に入る気体が、気体拡散器360を通過することによって導管壁305を通って拡散し得るように、導管の内壁305に沿って配置される。気体拡散器は、管状の導管の中心軸380に平行な方向に配向させた複数の別個の気体拡散器要素360a、360b、360cを含み得る。いくつかの態様では、拡散器要素360a、360b、360cは、管状の導管の中心軸に対して直角な方向または任意の方向に配向させ得る。
【0032】
装置300は、
図1A~Cに示される前記装置100と実質的に同様の様式で動作する。装置300の第1開放端352aはフランジを含んでいてもよく、第3開放端352cはフランジを含んでいてもよい。装置300は、これらのフランジ付き端部を用いて管状の導管に接続し得る。
【0033】
本明細書において記載される装置および方法のいずれも、装置から出てくる液体体積中に分散した高濃度のナノバブルを生成する工程を含み得る。いくつかの態様では、本明細書において記載される装置および方法は、装置の出口で高濃度のナノバブル、すなわち、1ミリリットル(mL)あたりナノバブルを少なくとも1×106個、ナノバブルを少なくとも1×107個/mL、または少なくともナノバブル1×108個/mL、および所望の時間にわたって安定した状態を保つナノバブルを液体キャリアが含有する組成物を生成する工程を含む。いくつかの態様では、本明細書において記載される装置を出る組成物は、周囲圧力および温度下で少なくとも1ヶ月間、好ましくは少なくとも3ヶ月間、液体キャリア中で安定なナノバブルを含有する。
【0034】
主題の特定の態様を説明してきた。当業者には明らかであるように、記載された態様の別の態様、変更、および改変が、添付の請求項の範囲内に含まれる。例えば、複数の拡散器を互いにおよび導管内の流路に対して平行に配置して含むことが可能である。拡散器はフレーム内に取り付けられ得、翻ってフレームは導管の1つまたは複数の内壁に取り付けられる。
図4に示すように、例示的な装置400は、複数の垂直壁452と、それぞれが垂直壁452に沿った開口内にまたはそれを覆うようにフィットする複数の拡散器460とを有する取り外し可能なフレーム450を含む。いくつかの態様では、拡散器460は、導管401内で互いにおよび液体キャリアの流路に平行に位置し得る。装置400は、導管401内に少なくとも1つまたは複数の内表面405を形成する挿入可能なフレーム450を含む導管401を有することを除いて、装置100と同様である。フレーム450は、導管401内に設けられた拡散器表面積全体を有利に増加させ得、これは翻ってナノバブル生成を増加させ得る。フレーム450はまた、装置400内の拡散器460の少なくとも一部または全部の迅速な取り換えまたは交換を可能にするのに有利であり、これは拡散器の使用期限切れまたは修理の際に必要となる場合がある。
【国際調査報告】