(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-09
(54)【発明の名称】リチウム電池のための低コバルト及びコバルトを含まない高エネルギー正極材料
(51)【国際特許分類】
H01M 4/525 20100101AFI20230427BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20230427BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20230427BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20230427BHJP
H01M 10/0525 20100101ALI20230427BHJP
C01G 53/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/505
H01M10/0566
H01M10/0562
H01M10/0525
C01G53/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022558109
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-05
(86)【国際出願番号】 US2021024405
(87)【国際公開番号】W WO2021195524
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マンティラム, アルムガム
(72)【発明者】
【氏名】リー, ワンダ
(72)【発明者】
【氏名】リー, スティーブン
【テーマコード(参考)】
4G048
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA04
4G048AB02
4G048AC06
4G048AD04
4G048AD06
4G048AE05
5H029AJ03
5H029AJ05
5H029AK03
5H029AL01
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM12
5H029HJ02
5H029HJ07
5H029HJ08
5H029HJ13
5H029HJ17
5H029HJ18
5H029HJ19
5H050AA07
5H050AA08
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB01
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050FA17
5H050HA02
5H050HA07
5H050HA08
5H050HA13
5H050HA17
5H050HA18
5H050HA19
(57)【要約】
本明細書では、リチウム電池又はリチウムイオン電池のための正極における電極活物質として有用な低コバルト又は無コバルト材料について説明する。例えば、本明細書では、正極などの電極に組み込むことができる、電極活物質などの組成物について説明する。高比エネルギー及び電圧を示し、高い速度能力及び/又は長い動作寿命を示すこともできる電極活物質が開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極活物質であって、
Li
aNi
1-b-cCo
bM
cO
dを含み、式中、
aが、0.9~1.1であり、
bが、0~0.05であり、
cが、0~0.67であり、
dが、1.9~2.1であり、
Mが、Mn、Al、Mg、Fe、Cr、B、Ti、Zr、Ga、Zn、V、Cu、Yb、Li、Na、K、F、Ba、Ca、Lu、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Ta、Pr、W、Ir、In、Tl、Sn、Sr、S、P、Cl、Ge、Sb、Er、Te、La、Ce、Nd、Dy、Eu、Sc、Se、Si、Tc、Pd、Pm、Sm、Gd、Tb、Ho、Tm、又はこれらの任意の組み合わせである、電極活物質。
【請求項2】
Mが、
MnとAlとの組み合わせ、
MnとMgとAlとの組み合わせ、
MnとMgとの組み合わせ、
AlとMgとの組み合わせ、又は
TiとMgとAlとの組み合わせである、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項3】
Mが、Fe若しくはZn、又はFe及びZnの両方を含む、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項4】
前記活物質が、Coを含まないか、又は実質的に含まない、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項5】
bが、0であるか、又はbが、0.01未満である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項6】
aが、0.9~1である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項7】
aが、1~1.1である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項8】
bが、0~0.01であり、cは、0~0.01である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項9】
cが、0.1~0.5、0.1~0.2、又は0.2~0.4である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項10】
dが、1.95~2.05である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項11】
2.0g・cm
-3~3.5g・cm
-3のタップ密度を示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項12】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1のLi
+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項13】
25℃での600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1のLi
+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項14】
700Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1、800Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1、若しくは900Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1のLi
+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項15】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1の1C放電率で、Li
+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項16】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1のC/10放電率で、Li
+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項17】
Li
+/Liに対する4.15V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV
-1曲線を示す、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項18】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.16V~4.30Vの電圧である、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項19】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.17V~4.30Vの電圧である、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項20】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.18V~4.30Vの電圧である、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項21】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.19V~4.30Vの電圧である、請求項17に記載の電極活物質。
22
【請求項22】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.20V~4.30Vの電圧である、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項23】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.21V~4.30Vの電圧である、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項24】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.22V~4.30Vの電圧である、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項25】
前記最小値が、-300mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項26】
前記最小値が、-400mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項27】
前記最小値が、-500mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項28】
前記最小値が、-600mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項29】
前記最小値が、-800mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項30】
前記最小値が、-1000mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項31】
前記最小値が、-1500mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項32】
前記最小値が、-2000mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項33】
前記最小値が、-2500mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項17に記載の電極活物質。
【請求項34】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1の元の比エネルギーの80%を超える500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項35】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1の元の比エネルギーの80%を超える1000回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項36】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1の元の比エネルギーの90%を超える500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項37】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1の元の比エネルギーの95%を超える100回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項38】
一部分のみが、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数22】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項39】
前記電極活物質の99体積パーセント以下が、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数23】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項40】
表面領域及びバルク領域を有するか、又はこれらを特徴とし、前記表面領域が、前記活物質又はその粒子の表面から断面寸法の20%以内である、前記活物質又はその粒子の第1の部分に対応し、前記バルク領域が、前記表面領域よりも深い前記活物質又はその粒子の第2の部分に対応する、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項41】
前記バルク領域が、スピネル、P4
332若しくは
【数24】
結晶構造、リチウム過剰若しくはC2/m結晶構造、又は岩塩若しくは
【数25】
結晶構造を含まないか、若しくは実質的に含まないか、又はこれらを示さない、請求項40に記載の電極活物質。
【請求項42】
前記表面領域の少なくとも一部分が、スピネル、P4
332若しくは
【数26】
結晶構造、リチウム過剰若しくはC2/m結晶構造、又は岩塩若しくは
【数27】
結晶構造を含むか、又はこれらを特徴とする、請求項40に記載の電極活物質。
【請求項43】
前記バルク領域が、LiFePO
4(Pmnb/Pnma)若しくは別のポリアニオン構造を含まないか、若しくは実質的に含まないか、又はこれらを示さない、請求項40に記載の電極活物質。
【請求項44】
前記表面領域の少なくとも一部分が、LiFePO
4(Pmnb/Pnma)若しくは別のポリアニオン構造を含むか、又はこれらを特徴とする、請求項40に記載の電極活物質。
【請求項45】
500nm~30μmの断面寸法を有するLi
aN
1-
b-
cCo
bM
cO
dの粒子を含む、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項46】
複数の二次粒子を含む、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項47】
前記複数の二次粒子が、500nm~30μmの断面寸法を有する、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項48】
前記複数の二次粒子が、実質的に単分散である、請求項46に記載の電極活物質。
【請求項49】
前記複数の二次粒子が、多分散であり、第1の断面寸法分布を有する第1の部分、及び前記第1の断面寸法分布より少なくとも10倍大きい第2の断面寸法分布を有する第2の部分を含む、請求項46に記載の電極活物質。
【請求項50】
前記複数の二次粒子が、実質的に球形状である、請求項46に記載の電極活物質。
【請求項51】
前記二次粒子のうちの少なくともいくつかが、各々、複数の一次粒子を含む、請求項46に記載の電極活物質。
【請求項52】
前記複数の一次粒子が、10nm~10μmの断面寸法を有する、請求項51に記載の電極活物質。
【請求項53】
前記複数の一次粒子が、実質的に単分散である、請求項51に記載の電極活物質。
【請求項54】
前記二次粒子のうちの少なくともいくつかが、各々独立して、1つの一次粒子からなる、請求項46に記載の電極活物質。
【請求項55】
電極活物質であって、
Li
aNi
1-b-cCo
bM
cO
dを含み、式中、
aが、0.9~1.1であり、
bが、0~0.1であり、
cが、0~0.67であり、
dが、1.9~2.1であり、
Mが、Mn、Al、Mg、Fe、Cr、B、Ti、Zr、Ga、Zn、V、Cu、Yb、Li、Na、K、F、Ba、Ca、Lu、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Ta、Pr、W、Ir、In、Tl、Sn、Sr、S、P、Cl、Ge、Sb、Er、Te、La、Ce、Nd、Dy、Eu、Sc、Se、Si、Tc、Pd、Pm、Sm、Gd、Tb、Ho、Tm、又はこれらの任意の組み合わせであり、
前記電極活物質が、600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1のLi
+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とし、25℃でのLi
+/Liに対する5V~3VのC/10放電率の比エネルギーの80%~100%である、Li
+/Liに対する5V~3Vの1C放電率の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【請求項56】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1の元の比エネルギーの80%を超える500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項57】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg-
1の元の比エネルギーの80%を超える1000回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項58】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg-
1の元の比エネルギーの90%を超える500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項59】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg-
1の元の比エネルギーの95%を超える100回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項60】
前記Li
+/Liに対する5V~3Vの1C放電率の前記比エネルギーが、前記25℃でのLi
+/Liに対する5V~3VのC/10放電率の比エネルギーの80%~100%である、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項61】
前記Li
+/Liに対する5V~3Vの1C放電率の前記比エネルギーが、前記25℃でのLi
+/Liに対する5V~3VのC/10放電率の比エネルギーの85%~100%である、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項62】
前記Li
+/Liに対する5V~3Vの1C放電率の前記比エネルギーが、前記25℃でのLi
+/Liに対する5V~3VのC/10放電率の比エネルギーの90%~100%である、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項63】
前記Li+/Liに対する5V~3Vの1C放電率の前記比エネルギーが、25℃での750Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1である、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項64】
Mが、
MnとAlとの組み合わせ、
MnとMgとAlとの組み合わせ、
MnとMgとの組み合わせ、
AlとMgとの組み合わせ、又は
TiとMgとAlとの組み合わせである、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項65】
Mが、Fe若しくはZn、又はFe及びZnの両方を含む、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項66】
前記活物質が、Coを含まないか、又は実質的に含まない、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項67】
bが、0であるか、又はbが、0.01未満である、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項68】
aが、0.9~1である、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項69】
aが、1~1.1である、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項70】
bが、0~0.01であり、cは、0~0.01である、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項71】
cが、0.1~0.5、0.1~0.2、又は0.2~0.4である、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項72】
dが、1.95~2.05である、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項73】
2.0g・cm
-3~3.5g・cm
-3のタップ密度を示すか、又はこれを特徴とする、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項74】
Li
+/Liに対する4.15V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV
-1曲線を示す、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項75】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.16V~4.30Vの電圧である、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項76】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.17V~4.30Vの電圧である、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項77】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.18V~4.30Vの電圧である、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項78】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.19V~4.30Vの電圧である、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項79】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.20V~4.30Vの電圧である、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項80】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.21V~4.30Vの電圧である、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項81】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.22V~4.30Vの電圧である、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項82】
前記最小値が、-300mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項83】
前記最小値が、-400mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項84】
前記最小値が、-500mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項85】
前記最小値が、-600mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項86】
前記最小値が、-800mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項87】
前記最小値が、-1000mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項88】
前記最小値が、-1500mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項89】
最小値が、-2000mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項74に記載の電極活物質。
【請求項90】
前記最小値が、-2500mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項91】
一部分のみが、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数28】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とする、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項92】
前記電極活物質の99体積パーセント以下が、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数29】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とする、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項93】
表面領域及びバルク領域を有するか、又はこれらを特徴とし、前記表面領域が、前記活物質又はその粒子の表面から断面寸法の20%以内である、前記活物質又はその粒子の第1の部分に対応し、前記バルク領域が、前記表面領域よりも深い前記活物質又はその粒子の第2の部分に対応する、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項94】
前記バルク領域が、スピネル、P4
332若しくは
【数30】
結晶構造、リチウム過剰若しくはC2/m結晶構造、又は岩塩若しくは
【数31】
結晶構造を含まないか、若しくは実質的に含まないか、又はこれらを示さない、請求項93に記載の電極活物質。
【請求項95】
前記表面領域の少なくとも一部分が、スピネル、P4
332若しくはFdm結晶構造、リチウム過剰若しくはC2/m結晶構造、又は岩塩若しくはFmm結晶構造を含むか、又はこれらを特徴とする、請求項93に記載の電極活物質。
【請求項96】
前記バルク領域が、LiFePO
4(Pmnb/Pnma)若しくは別のポリアニオン構造を含まないか、若しくは実質的に含まないか、又はこれらを示さない、請求項93に記載の電極活物質。
【請求項97】
前記表面領域の少なくとも一部分が、LiFePO
4(Pmnb/Pnma)若しくは別のポリアニオン構造を含むか、又はこれらを特徴とする、請求項93に記載の電極活物質。
【請求項98】
500nm~30μmの断面寸法を有するLi
aN
1-
b-
cCo
bM
cO
dの粒子を含む、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項99】
複数の二次粒子を含む、請求項55に記載の電極活物質。
【請求項100】
前記複数の二次粒子が、500nm~30μmの断面寸法を有する、請求項99に記載の電極活物質。
【請求項101】
前記複数の二次粒子が、実質的に単分散である、請求項99に記載の電極活物質。
【請求項102】
前記複数の二次粒子が、多分散であり、第1の断面寸法分布を有する第1の部分、及び前記第1の断面寸法分布より少なくとも10倍大きい第2の断面寸法分布を有する第2の部分を含む、請求項99に記載の電極活物質。
【請求項103】
前記複数の二次粒子が、実質的に球形状である、請求項99に記載の電極活物質。
【請求項104】
前記二次粒子のうちの少なくともいくつかが、各々、複数の一次粒子を含む、請求項99に記載の電極活物質。
【請求項105】
前記複数の一次粒子が、10nm~10μmの断面寸法を有する、請求項104に記載の電極活物質。
【請求項106】
前記複数の一次粒子が、実質的に単分散である、請求項104に記載の電極活物質。
【請求項107】
前記二次粒子のうちの少なくともいくつかが、各々独立して、1つの一次粒子からなる、請求項99に記載の電極活物質。
【請求項108】
請求項1~107のいずれか一項に記載の電極活物質を含む、電極。
【請求項109】
集電体を更に備える、請求項108に記載の電極。
【請求項110】
電気化学セルであって、
請求項108に記載の電極を含む正極と、
負極と、
前記正極と前記負極との間の電解質と、を含む、電気化学セル。
【請求項111】
前記負極が、黒鉛、炭素、ケイ素、チタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)、すず、アンチモン、亜鉛、亜リン酸、リチウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項110に記載の電気化学セル。
【請求項112】
前記正極若しくは前記負極、又はその両方が、独立して、活物質、集電体、固体電解質、結着剤、又は導電性添加剤のうちの1つ以上を含む、請求項110に記載の電気化学セル。
【請求項113】
前記電解質が、液体電解質である、請求項110に記載の電気化学セル。
【請求項114】
前記電解質が、半固体電解質である、請求項110に記載の電気化学セル。
【請求項115】
前記電解質が、固体電解質である、請求項110に記載の電気化学セル。
【請求項116】
前記電解質が、非水電解質である、請求項110に記載の電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月27日に出願された米国仮出願第63/000,805号に対する利益及び優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、エネルギー省から交付された付与番号DE-EE0008845による政府支援を受けて行われた。政府は、発明に対して一定の権利を有している。
【0003】
本発明は、リチウム電池の分野である。本発明は、全般的には低コバルトを含むか、又は無コバルトの正極に関する。
【背景技術】
【0004】
現在まで、市販の高エネルギー密度リチウムイオン電池の正極材料は全て、コバルト、すなわち、LiCoO2(LCO)、Li[NiaMnbCoc]O2(a+b+c=1、NMC-abc)、及びLi[Ni1-x-yCoxAly]O2(NCA)を含んでいる。市販のリチウムイオン電池の正極にコバルトを使用するには、一連の課題がある。まず第1に、コバルトは、希少であり、地球上の限られた場所でしか見つけることができない。世界的なコバルト採掘量の3分の2近くは、政治体制が不安定な中央アフリカのコンゴ民主共和国(DRC)で採掘されている。加えて、DRCにおけるコバルト採掘では、環境保護がおろそかにされたり、児童労働が行われたりすることがある。世界的なコバルトサプライチェーンの混乱がなくても、今後10年間はコバルトの需要が生産を上回る可能性があり、2025年には電気自動車の生産台数が2018年と比較して10倍になると推定されている。コバルトの価格は乱高下している(例えば、たった1年間で1トン当たり2万ドル~9万5千ドル)。世界的な電気的移動度の急速な普及に伴い、リチウム系電池の正極材料におけるコバルトの使用量を低減するというコンセンサスが高まってきている。コバルトを含まない市販の正極、すなわち、リン酸鉄リチウム及びリチウムマンガン酸化物が存在するが、コバルトを含む正極と比較してエネルギー含有量がはるかに少なく、乗用電動車両のための次世代自動車蓄電池に求められる厳格な要件を満たすことはできない。5Vスピネル酸化物、層状リチウム過剰酸化物、硫黄、及び金属フッ化物などの新しいコバルトを含まない正極技術は全て、現在のリチウム電池の化学的性質の根本的な変化を必要としており、その開発には10年以上かかりそうである。
【0005】
リチウム遷移金属層状酸化物は、少なくとも今後10年間は、携帯電子機器及び乗用電気自動車のための正極材料として選ばれ続けると予想される。しかしながら、これらの材料は、配合の変動はあっても、例外なくコバルトを含んでいる。コバルトは、一般に性能及び安定性のために必須であるとされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、リチウム電池又はリチウムイオン電池のための正極における電極活物質として有用な低コバルト又は無コバルト材料について説明する。例えば、本明細書では、電極活物質などの組成物について説明する。電極活物質は、正極などの電極に組み込むことができる。電極活物質は、粉末の形態とすることができ、スラリーベースの堆積又は組み立て技術などを用いて、集電体の上に正極活物質として組み立てることができる。
【0007】
また、開示された電極活物質は、電気化学セルに組み込まれるか、又はこれに使用することができる。例えば、電極活物質は、正極に組み込むことができ、かつ/又は、負極、及び正極と負極との間に位置決めされる電解質を有する電気化学セルに組み込むことができる。また、電気化学セルには、セパレータ、集電体、パッケージなど、他の部品が使用されることもある。場合によっては、1つ又は複数の電気化学セルが電池に組み込まれるか、又は電池に使用されることがある。正極若しくは負極、又はその両方が、独立して、活物質、集電体、結着剤、導電性添加剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0008】
本明細書に記載の電極活物質を負極活物質として組み込んだ電気化学セルの負極に有用な例示的な材料としては、黒鉛、炭素、ケイ素、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、すず、アンチモン、亜鉛、亜リン酸、リチウム、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの例では、有用な電解質としては、液体電解質及び固体電解質が挙げられる。エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートなどの非水電解質が使用されてもよい。
【0009】
電極活物質は、LiaNi1-b-cCobMcOdを含んでもよく、aは、0.9~1.1であってもよく、bは、0~0.05であってもよく、cは、0~0.67であってもよく、dは、1.9~2.1であってもよく、Mは、Mn、Al、Mg、Fe、Cr、B、Ti、Zr、Ga、Zn、V、Cu、Yb、Li、Na、K、F、Ba、Ca、Lu、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Ta、Pr、W、Ir、In、Tl、Sn、Sr、S、P、Cl、Ge、Sb、Er、Te、La、Ce、Nd、Dy、Eu、Sc、Se、Si、Tc、Pd、Pm、Sm、Gd、Tb、Ho、Tm、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0010】
有利なことに、本明細書に記載の電極活物質は、並外れた比エネルギーを示す場合があり、これは、単位質量当たりの電極活物質によって蓄積されるエネルギー量を示す場合がある。例えば、電極活物質は、単一放電に対する比エネルギーが600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1を示すか、又はそのような特徴を有する。いくつかの例では、単一放電に対する比エネルギーは、650Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、700Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、750Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、800Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、850Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、900Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、又は950Wh・kg-1~1000Wh・kg-1であってもよい。単一放電サイクルに対する比エネルギーは、Li+/Liに対する4.4V~3Vなど、Li+/Liに対する5V~3V内の放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電に対する比エネルギーは、Li+/Liに対する5V~3.1Vの放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電に対する比エネルギーは、Li+/Liに対する5V~3.2Vの放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電に対する比エネルギーは、Li+/Liに対する5V~3.3Vの放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電に対する比エネルギーは、Li+/Liに対する5V~3.4Vの放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電に対する比エネルギーは、Li+/Liに対する5V~3.5Vの放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電に対する比エネルギーは、Li+/Liに対する4.9V~3Vの放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電に対する比エネルギーは、Li+/Liに対する4.8V~3Vの放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電に対する比エネルギーは、Li+/Liに対する4.7V~3Vの放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電に対する比エネルギーは、Li+/Liに対する4.6V~3Vの放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電に対する比エネルギーは、Li+/Liに対する4.5V~3Vの放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電は、1C率での放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電は、C/10率での放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電は、25℃の温度での放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電は、少なくとも90重量%の電極活物質含有量と、少なくとも2.0mAh・cm-2の電極活物質面積容量負荷とを含む電極の放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電は、市販の非水電解質中の対電極としてリチウム金属と対になったコイン型半電池セルでの放電に対応し得る。
【0011】
有利なことに、本明細書に記載の電極活物質は、放電中に並外れて高い電圧を示すことがあり、これは、放電中に並外れて高い電圧の最小値を示すdQ・dV
-1曲線を特徴とする。dQ・dV
-1を決定するために、リチウム金属コインセルは、Li
+/Liに対する2.8V~4.4Vなどの電圧範囲にわたって、C/10率などの特定の速度で循環させることができる。dQ/dVを計算するために使用される循環データは、例えば、0.02Vステップで区切られたステップなど、偶数電圧ステップを使用して決定することができる。各電圧におけるdQ/dV値は、式1の式によって計算することができる。式1のQ
2という電荷は、対象の電圧V
2における全電荷であり、進行しているデータ点が電圧V
1、その充電又は放電サイクルに対する全電荷がQ
1である。dQ/dVの計算に使用されるデータを0.02V毎などの偶数電圧ステップで取得するとき、ΔVは、0.02Vなどと同じ値であり、単位はmAh・g
-1V
-1であってもよい。取得されたデータ点間に約0.02Vの電圧ステップを使用することは、ΔVが小さな値に設定されたときに非常に大きい値に増加する可能性があるmAh・g
-1V
-1の大きさに影響を与えるノイズを防止するために有用であるとすることができる。
【数1】
次いで、データ点(x、y)を
【数2】
でプロットすることができ、最小値(例えば、最小ネガティブピーク又は最低点)を決定することができる。
【0012】
例えば、電極活物質は、単一放電中に、Li+/Liに対する4.15V~4.30Vの電圧などにおいて、最小値が-300mAh・g-1V-1以下であるdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする。本明細書で使用するとき、最小値とは、特定の範囲などにおける最小の大きさを指し得、局所的な最小値を表すネガティブピーク又は最低点を指し得、場合によっては絶対最小値であり得る。いくつかの例では、最小値は、約-300mAh・g-1V-1~約-3000mAh・g-1V-1の大きさを有してもよい。いくつかの例では、dQ・dV-1曲線は、Li+/Liに対する4.16V~4.30V、Li+/Liに対する4.17V~4.30V、Li+/Liに対する4.18V~4.30V、Li+/Liに対する4.19V~4.30V、Li+/Liに対する4.20V~4.30V、Li+/Liに対する4.21V~4.30V、又はLi+/Liに対する4.22V~4.30Vの電圧で、単一放電中の最小値を有する。いくつかの例では、dQ・dV-1曲線は、少なくとも-400mAh・g-1V-1、少なくとも-500mAh・g-1V-1、少なくとも-600mAh・g-1V-1、少なくとも-700mAh・g-1V-1、少なくとも-800mAh・g-1V-1、少なくとも-900mAh・g-1V-1、少なくとも-1000mAh・g-1V-1、少なくとも-1200mAh・g-1V-1、少なくとも-1400mAh・g-1V-1、少なくとも-1600mAh・g-1V-1、少なくとも-1800mAh・g-1V-1、又は少なくとも-2000mAh・g-1V-1の単一放電中の最小値を有する。いくつかの例では、単一放電は、C/10率での放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電は、25℃の温度での放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電は、少なくとも90重量%の電極活物質含有量と、少なくとも2.0mAh・cm-2の電極活物質面積容量負荷とを含む電極の放電に対応し得る。いくつかの例では、単一放電は、市販の非水電解質を注入した対電極としてリチウム金属と対になったコイン型半電池セルでの放電に対応し得る。いくつかの例では、LiNi1-c1-c2Mnc1Alc2Od(NMA)を含むようなコバルトを含まない電極活物質(LiNi1-cMcOd)は、C/10率及び25℃での単一放電中に、Li+/Liに対する4.20V~4.30Vなど、Li+/Liに対する4.20V以上の電圧での最小値を有するdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とし得る。本明細書では、c1とc2との合計はcとなり、c1及びc2は、例えば、0~0.67であってもよい。
【0013】
有利なことに、開示された電極活物質の高比エネルギーは、多数の充電-放電サイクルの後でも保持され得る。場合によっては、比エネルギーは、充電-放電サイクルの回数に応じてが減少することがある。例えば、電極活物質は、最初の放電に対する元の比エネルギーと、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の、元の比エネルギーの少なくとも80%である約500回の充電-放電サイクル後の別の放電に対する比エネルギーとを示すか、又はこれらを特徴とし得る。任意に、約1000回の充電-放電サイクル後の放電に対する比エネルギーは、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の、元の比エネルギーの少なくとも80%であってよい。任意に、約500回の充電-放電サイクル後の放電に対する比エネルギーは、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の、元の比エネルギーの少なくとも85%、元の比エネルギーの少なくとも90%、又は元の比エネルギーの少なくとも95%であってもよい。任意に、約100回の充電-放電サイクル後の放電に対する比エネルギーは、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の、元の比エネルギーの少なくとも95%であってよい。具体例では、電極活物質は、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の最初の放電に対する元の比エネルギーと、480Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の約500回の充電-放電サイクル後の別の放電に対する比エネルギーとを示すか、又はこれらを特徴とし得る。一例では、電極活物質は、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の最初の放電に対する元の比エネルギーと、480Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の1000回の充電-放電サイクル後の別の放電に対する比エネルギーとを示すか、又はこれらを特徴とし得る。別の例では、電極活物質は、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の最初の放電サイクルに対する元の比エネルギーと、540Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の500回の充電-放電サイクル後の間の別の放電に対する比エネルギーとを示すか、又はこれらを特徴とし得る。別の例では、電極活物質は、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の最初の放電サイクルに対する元の比エネルギーと、570Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の100回の充電-放電サイクル後の間の別の放電に対する比エネルギーとを示すか、又はこれらを特徴とし得る。比エネルギーを測定するためのこれらの放電は、Li+/Liに対する5V~3V、又はLi+/Liに対する5V~Li+/Liに対する3.1V、3.2V、3.3V、3.4V、若しくは3.5Vなど、3Vを超える電圧、又はLi+/Liに対する4.9V、4.8V、4.7V、4.6V、若しくは4.5Vなど、5Vよりも低い電圧~3Vであってもよい。いくつかの例では、放電は、少なくとも90重量%の電極活物質含有量と、少なくとも2.0mAh・cm-2の電極活物質面積容量負荷とを含む電極の放電に対応し得る。いくつかの例では、放電は、市販の非水電解質を注入した対電極として黒鉛と対になったポーチ型全電池セルでの放電に対応し得る。
【0014】
電極活物質は、LiaNi1-b-cCobMcOdを含んでもよく、aは、0.9~1.1であってもよく、bは、0~0.1であってもよく、cは、0~0.67であってもよく、dは、1.9~2.1であってもよく、Mは、Mn、Al、Mg、Fe、Cr、B、Ti、Zr、Ga、Zn、V、Cu、Yb、Li、Na、K、F、Ba、Ca、Lu、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Ta、Pr、W、Ir、In、Tl、Sn、Sr、S、P、Cl、Ge、Sb、Er、Te、La、Ce、Nd、Dy、Eu、Sc、Se、Si、Tc、Pd、Pm、Sm、Gd、Tb、Ho、Tm、又はこれらの任意の組み合わせであってもよく、電極活物質は、25℃におけるLi+/Liに対する5V~3VのC/10の放電に対する比エネルギーの80%~100%である、25℃におけるLi+/Liに対する5V~3Vの1Cの放電に対する比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とし得る。本明細書で使用するとき、2つの電圧の範囲間の放電の記述は、2つの中間電圧の範囲間の放電を任意に含むことができる。例えば、Li+/Liに対する5V~3Vの放電は、Li+/Liに対する5V~3V、Li+/Liに対する4V~3V、Li+/Liに対する5V~4V、Li+/Liに対する4.5V~3Vの放電を含むことができる。いくつかの例では、25℃におけるLi+/Liに対する5V~3Vの1Cの放電の比エネルギーは、25℃におけるLi+/Liに対する5V~3VのC/10の放電の比エネルギーの85%~100%であってもよい。いくつかの例では、25℃におけるLi+/Liに対する5V~3Vの1Cの放電の比エネルギーは、25℃におけるLi+/Liに対する5V~3VのC/10の放電の比エネルギーの90%~100%であってもよい。いくつかの例では、25℃におけるLi+/Liに対する5V~3Vの1Cの放電の比エネルギーは、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1であってもよい。いくつかの例では、25℃におけるLi+/Liに対する5V~3Vの1Cの放電に対する比エネルギーは、750Wh・kg-1~1000Wh・kg-1であってもよい。いくつかの例では、放電は、少なくとも90重量%の電極活物質含有量と、少なくとも2.0mAh・cm-2の電極活物質面積容量負荷とを含む電極の放電に対応し得る。いくつかの例では、放電は、市販の非水電解質を注入した対電極としてリチウム金属と対になったコイン型半電池セルでの放電に対応し得る。
【0015】
本明細書に記載の電極活物質では、Mは、任意に、上記で特定された金属及び非金属のうちの1つ又はこれらのサブセットとすることができる。例えば、Mは、MnとAlとの組み合わせてあってもよい。Mは、MnとMgとAlとの組み合わせてあってもよい。Mは、MnとMgとの組み合わせてあってもよい。Mは、AlとMgとの組み合わせてあってもよい。Mは、TiとMgとAlとの組み合わせてあってもよい。Mは、Feであってもよいし、Feを含んでもよい。Mは、Znであってもよいし、Znを含んでもよい。Mは、Fe及びZnであってもよいし、Fe及びZnの両方を含んでもよい。開示された電極活物質は、Coがなくてもよいし、又はCoが実質的になくてもよい。例えば、bは、0であってもよいし、bは、0.01未満であってもよい。開示された電極活物質は、Liが過剰に存在してもよいし、Liが欠乏していてもよい。任意に、aは、0.9~1であってもよい。任意に、aは、1~1.1であってもよい。場合によっては、bは、0~0.01であってもよく、cは、0~0.1であってもよい。任意に、cは、0.1~0.5、0.1~0.2、又は0.2~0.4であってもよい。任意に、dは、1.95~2.05であってもよい。
【0016】
電極活物質は、他の従来の材料の特性とは異なり得る、様々な異なる物理的又は他の特性を有し得る。いくつかの例では、電極活物質は、2.0g・cm
-3~3.5g・cm
-3のタップ密度を示すか、又はこれを特徴とし得る。いくつかの例では、電極活物質は、2.3g・cm
-3~3.0g・cm
-3のタップ密度を示すか、又はこれを特徴とし得る。また、電極活物質の結晶構造も、他の従来の材料とは異なり得る。例えば、場合によっては、電極活物質の一部分のみが、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数3】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とし得る。場合によっては、菱面体結晶構造又は菱面体
【数4】
結晶構造は、電極活物質の大部分(例えば、体積で50%以上)であってもよいし、又はこれを含んでもよい。菱面体結晶構造又は菱面体
【数5】
結晶構造は、体積で50%以上、体積で55%以上、体積で60%以上、体積で65%以上、体積で70%以上、体積で75%以上、体積で80%以上、体積で85%以上、体積で90%以上、体積で95%以上、又は体積で99%以上であってもよい。
【0017】
電極活物質は、粒子の形態であってもよく、粒子の表面と粒子の内部又はバルクとの間に違いがあってもよい。いくつかの例では、粒子は、500nm~30μmの断面寸法を有し得る。任意に、電極活物質は、表面領域が、活物質又はその粒子の表面から断面寸法の20%以内である、活物質又はその粒子の第1の部分に対応し、バルク領域が、表面領域よりも深い活物質又はその粒子の第2の部分に対応するなどの、表面領域及びバルク領域を有するか、又はこれらを特徴とし得る。バルク領域の特徴の例として、バルク領域は、スピネル(例えば、P4
332及び
【数6】
)結晶構造、リチウム過剰(例えば、C2/m)結晶構造、又は岩塩(例えば、
【数7】
)結晶構造がないか、実質的にないか、さもなければ、これらを示さなくてもよい。場合によっては、表面領域の少なくとも一部分は、スピネル(例えば、P4
332及び
【数8】
)結晶構造、リチウム過剰(例えば、C2/m)結晶構造、岩塩(例えば、
【数9】
)結晶構造、又はこれらの組み合わせを含むか、又はこれらを特徴とし得る。別の例では、バルク領域が、LiFePO
4(Pmnb/Pnma)などのポリアニオン構造を含まないか、実質的に含まないか、さもなければ、これを示さなくてもよい。別の例では、表面領域の少なくとも一部分が、LiFePO
4(Pmnb/Pnma)などのポリアニオン構造を含むか、又はこれを特徴とし得る。
【0018】
電極活物質を含む粒子の形態に対する制御は、本明細書に開示されるタップ密度、本明細書に開示される比エネルギー、本明細書に開示される速度能力、及び/又は本明細書に開示される動作寿命など、望ましい特性を達成するのに有用であり得る。有利なことに、電極活物質の粒子は、二次粒子を含んでもよい。例えば、二次粒子は各々、より小さいサイズの複数の一次粒子を含んでもよい。例えば、各二次粒子が、1~100,000,000個以上の一次粒子を含んでもよい。二次粒子は、500nm~2.5μm、2.5μm~7.5μm、7.5μm~15μm、又は15μm~30μmなど、500nm~30μmの断面寸法を有してもよい。任意に、二次粒子は、複数の二次粒子の断面分布が単一サイズ分布を示す場合など、実質的に単分散である。いくつかの例では、二次粒子が、二次粒子の第1の部分が第1の断面寸法分布を有し、第2の部分が、第1の断面寸法分布より少なくとも10倍大きい第2の断面寸法分布を有する場合など、多分散性である。いくつかの例では、複数の二次粒子が、実質的に球形状である。二次粒子を構成し得る一次粒子が、10nm~100nm、100nm~1000nm、又は1μm~10μmなど、10nm~10μmの断面寸法を有し得る。一次粒子は、実質的に単分散であってもよいし、又は単分散のサイズ分布を示してもよい。場合によっては、二次粒子は、単一の一次粒子を含み得、単結晶又は単結晶と呼ばれ得る。
【0019】
上述のように、電極活物質は、長い動作寿命を示し得る。例えば、電極活物質は、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の元の比エネルギーの80%を超える、500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とし得る。任意に、電極活物質は、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の元の比エネルギーの80%を超える、1000回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とし得る。任意に、電極活物質は、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の元の比エネルギーの90%を超える、500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とし得る。任意に、電極活物質は、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の元の比エネルギーの95%を超える、100回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とし得る。
【0020】
いかなる特定の理論に束縛されるものではないが、本明細書では、本発明に関する基本原理の信念又は理解について考察することができる。いかなる機械的な説明又は仮説が最終的に正しいかどうかにかかわらず、本発明の一実施形態は、それでもなお、動作可能で有用であり得ることが認識される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の少なくともいくつかの態様による、電極活物質及び集電体を含む例示的な電極の概略図を提供する。
【
図2】本開示の少なくともいくつかの態様による、例示的な電気化学セルの概略図を提供する。
【
図3】LiNi
0.9Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.9Co
0.05Al
0.05O
2、LiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2、LiNi
0.9Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2、及びLiNi
0.9Mn
0.05Mg
0.05O
2のX線回析(XRD)パターンを提供する。
【
図4】LiNi
0.9Co
0.05Mn
0.05O
2の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を提供する。
【
図5】LiNi
0.9Co
0.05Al
0.05O
2の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を提供する。
【
図6】LiNi
0.9Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を提供する。
【
図7】リチウム金属と対になったリチウムイオンセルにおけるLiNi
0.9Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.9Co
0.05Al
0.05O
2、及びLiNi
0.9Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2のガルバノスタットの充電-放電電圧プロファイルを提供する。
【
図8】黒鉛と対になったリチウムイオンセルにおけるLiNi
0.9Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.9Co
0.05Al
0.05O
2及びLiNi
0.9Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2の、放電電圧プロファイル(上)及びサイクル数の関数としての比エネルギー変化(下)を提供する。
【
図9】LiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を提供する。
【
図10】リチウム金属と対になったリチウムイオンセルにおけるLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2及びLiNi
0.9Mn
0.05Mg
0.05O
2のガルバノスタットの充電-放電電圧プロファイルを提供する。
【
図11】黒鉛と対になったリチウムイオンセルにおけるLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2及びLiNi
0.9Mn
0.05Mg
0.05O
2の、放電電圧プロファイル(上)及びサイクル数の関数としての比エネルギー変化(下)を提供する。
【
図12】C/10形成サイクル中の25℃でのコイン半電池セル(対Li金属)におけるLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2(青)、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2(赤)、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2(緑)、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2(灰色)のdQ・dV
-1曲線を提供する。
【
図13】C/3サイクル中の25℃でのコイン半電池セル(対Li金属)におけるLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2のdQ・dV
-1曲線を提供する。
【
図14】初期のLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2(NCM)、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2(NCA)、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2(NCMAM)、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2(NMA)のX線回析(XRD)パターンのリートベルト法を提供する。
【
図15】焼成後の4つの正極材料の元素分布を示す、LiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2(NCM)、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2(NCA)、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2(NCMAM)、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2(NMA)の断面走査型電子顕微鏡(SEM)/エネルギー分散X線分光分析(EDX)画像を提供する。
【
図16】C/10率でそれぞれの比容量に正規化されている、定数C/10率で最大5C放電率に至るまで25℃でのコイン半電池セル(対Li金属)におけるLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2(NCM)、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2(NCA)、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2(NCMAM)、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2(NMA)の速度能力比較を示すデータを提供する。
【
図17】定数C/10充電率で最大5C放電率に至るまで25℃でのコイン半電池セル(対Li金属)におけるLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2の放電曲線を提供する。
【
図18】C/2~1C充電-放電率で1000サイクルを超える25℃でのポーチ全電池セル(対黒鉛)におけるLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2(NCM)、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2(NCA)、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2(NCMAM)、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2(NMA)の長期循環を示すデータを提供する。
【
図19】1.0M LiPF
6/EC-EMC(3:7)+2%VCを約6:4の重量比で混合した220mAh・g
-1に充電されたLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2の示差走査熱量測定値(DSC)を提供する。
【
図20】LiNiO
2の走査型電子顕微鏡(SEM)を提供する。
【
図21】リチウム金属と対になったリチウムイオンセルにおけるLiNiO
2及びLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2のガルバノスタットの充電-放電電圧プロファイルを提供する。
【
図22】C/10形成サイクル中の25℃でのコイン半電池セル(対Li金属)におけるLiNiO
2のdQ・dV
-1曲線を提供する。
【
図23】C/10形成サイクル中の25℃でのコイン半電池セル(対Li金属)におけるLiNi
0.98Ta
0.02O
2のdQ・dV
-1曲線を提供する。
【
図24】C/10形成サイクル中の25℃でのコイン半電池セル(対Li金属)におけるLiNi
0.98Zr
0.02O
2のdQ・dV
-1曲線を提供する。
【
図25】C/10形成サイクル中の25℃でのコイン半電池セル(対Li金属)におけるLiNi
0.98Mg
0.02O
2のdQ・dV
-1曲線を提供する。
【
図26】リチウム金属と対になったリチウムイオンセルにおける様々な焼成条件を用いたLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2の、ガルバノスタットの充電-放電電圧プロファイル(上)及びサイクル数の関数としての比容量変化(下)を提供する。
【
図27】C/10形成サイクル中の25℃でのコイン半電池セル(対Li金属)における、2つ焼成条件によって合成されたLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2のdQ・dV
-1曲線を提供する。
【
図28】様々な共沈殿条件を有するNi
0.9Co
0.05Mn
0.05(OH)
2又はNi
0.9Co
0.05Mn
0.05CO
3の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を提供する。
【
図29】C/3率及び25℃でLi金属と対になったコイン半電池セルにおいて評価された、共沈殿したLiNi
0.95Mn
0.05O
2及びLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2(Alを含むLiNi
0.95Mn
0.05O
2、5mol%)の焼成を介した循環データを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(発明の詳細な説明)
本開示は、再充電可能リチウムベースの電池の正電極(正極)活物質として有用な、低コバルト又はコバルトを含まないリチウム遷移金属層状酸化物の新規クラスを提供する。記載されている活物質には、現在、市販のリチウムイオン電池の層状酸化物正極に普遍的に存在するコバルトを除いたものが含まれる。その代わり、記載されているクラスの正極は、より豊富に地球に存在し、より低いコストの原料、より安全なサプライチェーンを使用し、環境への悪影響が少ない。
【0023】
記載されている活物質は、化学組成を容易に調整することができ、広温度範囲(氷点下から高温まで)に対する高比エネルギー、高電圧、高い速度能力、及び/又は長い動作寿命、並びに誤用(例えば、短絡、過充電、破裂)下での望ましい安全機能を提供する。これらの活物質は、黒鉛/シリコン負極、高分子セパレータ、及び非水非プロトン性カーボネート系電解質など、市販のリチウムイオン電池における既存の構成要素と容易に適合する。
【0024】
記載されている活物質の正極は、ポーチ型全電池セルにおいて評価及び検証されてきた。活物質は、確立された工業生産プロセス、すなわち、金属共沈殿、リチウム化焼成、及び任意にその後の表面処理を介して合成することができる。一連の金属及び/又は非金属は、望ましい比エネルギー及び速度能力、動作寿命、並びにコバルトがないとき、若しくはコバルトの濃度が非常に低いときの安全性を可能にするために組み込まれている。記載されている正極は、液体、半固体、又は全固体のいずれかの電解質システムにおいてリチウムイオン及びリチウム金属化学の両方を含む、将来の低コバルト又はコバルトを含まない高エネルギー密度のリチウム系電池に有望であることを示している。
【0025】
世界的な電気的移動度の急速な普及に伴い、リチウム系電池の正極材料におけるコバルトの使用量を低減するというコンセンサスが高まってきている。コバルトを含まない市販の正極(例えば、リン酸鉄リチウム及びリチウムマンガン酸化物)が存在するが、エネルギー含有量がはるかに少なく、乗用電動車両のための次世代自動車蓄電池に求められる厳格な要件を満たすことはできない。5Vスピネル酸化物、層状リチウム過剰酸化物、硫黄、及び金属フッ化物などの新しいコバルトを含まない正極技術は全て、現在のリチウム電池の化学的性質の根本的な変化を必要としており、その開発には10年以上かかりそうである。
【0026】
リチウム遷移金属層状酸化物は、少なくとも今後10年間は、携帯電子機器及び乗用電気自動車のための正極材料として選ばれ続けることが期待されており、そのように予想される。しかしながら、これらの材料は、配合の変動はあっても、例外なく相当量のコバルトを含んでいる。コバルトは、性能及び安定性のために必須であるとされているが、サプライチェーンが脆弱な希少金属であり、結果としてコストが高くなる。また、毒性が高く、中央アフリカでの採掘方法に問題があるため、コバルトは好ましくない影響を環境に与える。全ての市販の層状酸化物正極とは異なり、本開示は、コバルトの使用量が低いかゼロの高エネルギー含有量の新しいクラスの正極材料に関するものである。
【0027】
市販のリチウムイオン電池の正極にコバルトを使用するには、一連の課題がある。まず第1に、コバルトは、希少であり、地球上の限られた場所でしか見つけることができない。世界的なコバルト採掘量の3分の2近くは、政治体制が不安定な中央アフリカのコンゴ民主共和国(DRC)で採掘されている。加えて、DRCにおけるコバルト採掘では、環境保護がおろそかにされたり、児童労働が行われたりすることがある。世界的なコバルトサプライチェーンの混乱がなくても、今後10年間はコバルトの需要が生産を上回る可能性があり、2025年には電気自動車の生産台数が2018年と比較して10倍になると推定されている。それに比べて、ニッケル、マンガン、アルミニウム、鉄、亜鉛、並びに多くの他の金属及び非金属は、はるかに多く地球上に豊富にあり、利用可能である。また、これらの金属及び非金属は、コバルトよりも地理的な集中度が非常に低い。
【0028】
本明細書に記載の活物質は、市販のリチウム系電池の層状酸化物正極のコバルトへの依存度を低減し、したがって、より安全なサプライチェーン、より低いコスト、及び環境への悪影響の軽減につながる。加えて、化学組成及び合成の調整を通じて、記載されている正極材料は、市販の層状酸化物正極材料と比較して、広温度範囲に対する高比エネルギー、高電圧、高い速度能力、及び/又は長い動作寿命、並びに誤用状態下での望ましい安全機能を提供することができる。
【0029】
コバルトは、層状酸化物中のニッケル及びリチウムのアンチサイト欠陥(すなわち、カチオンの乱れ)を抑制するため、コバルトを除去すると正極材料の比容量、電圧、速度能力、及び動作寿命に悪影響を及ぼす可能性がある。有利なことに、本明細書に記載の活物質は、ニッケルの他に、コバルトの不足を補う一連の代替金属及び/又は非金属を組み込むことによって、これらの問題を軽減する。有利なことに、これらの代替金属及び非金属は、共沈殿、リチウム化焼成、及び/又はその後の表面処理を通して容易に組み込むことができる。有利なことに、共沈殿、リチウム化焼成、及び/又はその後の表面処理を含む合成は、コバルトなしの正極材料の比容量、電圧、速度能力、及び動作寿命の問題を軽減するのに有用であり、場合によっては重要である。
【0030】
記載されている正極活物質は、携帯電子機器及び電動車両以外にも、無人航空システム、ロボット、軍用電池、及び大規模なエネルギー貯蔵システムにも有用であるとすることができる。組成設計の柔軟性により、比エネルギー及び速度能力が非常に高い正極材料、又は動作寿命が非常に長い正極材料を可能にすることができ、様々な市場ニーズに向けて作られている。
【0031】
電極活物質
本明細書に記載の電極活物質には、約600Wh・kg-1~約1000Wh・kg-1など、正極レベルで測定された高比エネルギーを示す電極活物質が含まれる。例示的な比エネルギーは、625Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、650Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、675Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、700Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、725Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、750Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、775Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、800Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、825Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、850Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、875Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、900Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、925Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、950Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、又は975Wh・kg-1~1000Wh・kg-1であってもよい。比エネルギーは、例えば、Li+/Liに対する約5V~約3Vの放電に対応することができる。いくつかの電極活物質は、Li+/Liに対する約2Vなど、より低い電圧に放電することができ、これにより、いくつかの電極活物質は、Li+/Liに対する約3V以上に放電される場合のみよりも著しく高い比エネルギーを示すことを可能にすることができることが理解されよう。加えて、いくつかの電極活物質は、Li+/Liに対する約5Vよりも高い電圧に充電されることができ、いくらかの追加のエネルギーを提供する。比較する目的で、Li+/Liに対する約5Vよりも高い電圧からの放電、又はLi+/Liに対する約3Vよりも低い電圧への放電は、Li+/Liに対する約5V~約3Vまでの放電と同じ情報を提供しない場合がある。比エネルギーは、室温25℃などの特定の温度での放電に対応することができる。いくつかの電極活物質は、異なる温度で異なる比エネルギー及び速度能力を示し得ることが理解されよう。比エネルギーは、1C又はC/10などの特定の放電率での放電に対応することができる。いくつかの電極活物質は、異なる速度で放電されたときに異なる比エネルギーを示し得ることが理解されよう。比エネルギーは、少なくとも90重量%の電極活物質含有量と、少なくとも2.0mAh・cm-2の電極活物質面積容量負荷とを含む電極の放電など、特定の組成及び厚さの電極の放電に対応することができる。いくつかの電極活物質は、異なる組成又は厚さの電極において異なる比エネルギーを示し得ることが理解されよう。比エネルギーは、市販の非水電解質を注入した対電極としてリチウム金属と対になったコイン型半電池セルなど、特定の電池セル構成における電極の放電に対応することができる。いくつかの電極活物質は、異なる電池セル構成において異なる比エネルギーを示し得ることが理解されよう。
【0032】
本明細書に記載の電極活物質には、放電中のdQ・dV-1曲線において、最小値-300mAh・g-1V-1~-3000mAh・g-1V-1で、Li+/Liに対する4.15V~4.30Vなど、正極レベルで測定された高電圧を示す電極活物質が含まれる。例示的な高電圧は、Li+/Liに対する4.16V~4.30V、Li+/Liに対する4.17V~4.30V、Li+/Liに対する4.18V~4.30V、Li+/Liに対する4.19V~4.30V、Li+/Liに対する4.20V~4.30V、Li+/Liに対する4.21V~4.30V、又はLi+/Liに対する4.22V~4.30Vであってもよい。いくつかの例では、放電中のdQ・dV-1曲線における最小値は、-400mAh・g-1V-1以下であってもよく、-500mAh・g-1V-1以下、-600mAh・g-1V-1以下、-700mAh・g-1V-1以下、-800mAh・g-1V-1以下、-900mAh・g-1V-1以下、-1000mAh・g-1V-1以下、-1200mAh・g-1V-1以下、-1400mAh・g-1V-1以下、-1600mAh・g-1V-1以下、-1800mAh・g-1V-1以下、又は-2000mAh・g-1V-1以下であってもよい。dQ・dV-1曲線は、放電中の最小値よりも著しく高い電圧で充電中の最大値を示し得ることが理解されよう。最大値とは、特定の範囲などにおける最高の大きさを指し得、局所的な最大値を表すポジティブピーク又は最高点を指し得、場合によっては絶対最大値であり得る。比較する目的で、dQ・dV-1曲線における充電中の最大電圧は、当該dQ・dV-1曲線における放電中の最小電圧と同じ情報を提供しない場合がある。電圧は、0.02Vの電圧サンプリングステップなど、dQ・dV-1曲線の計算方法に対応することができる。いくつかの計算方法は、放電中のdQ・dV-1曲線においてmAh・g-1V-1で表される、異なる電圧及び/又は異なる値の最小値を示し得ることが理解されよう。電圧は、室温25℃などの特定の温度での放電に対応することができる。いくつかの電極活物質は、異なる温度で異なる電圧を示し得ることが理解されよう。比エネルギーは、C/10などの特定の放電率での放電に対応することができる。いくつかの電極活物質は、異なる速度で放電されたときに異なる電圧を示し得ることが理解されよう。電圧は、少なくとも90重量%の電極活物質含有量と、少なくとも2.0mAh・cm-2の電極活物質面積容量負荷とを含む電極の放電など、特定の組成及び厚さの電極の放電に対応することができる。いくつかの電極活物質は、異なる組成又は厚さの電極において異なる電圧を示し得ることが理解されよう。電圧は、市販の非水電解質を注入した対電極としてリチウム金属と対になったコイン型半電池セルなど、特定の電池セル構成における電極の放電に対応することができる。いくつかの電極活物質は、異なる電池セル構成において異なる電圧を示し得ることが理解されよう
【0033】
本明細書では、電極活物質の多種多様な組成が想定されている。一般に、電極活物質は、LiaNi1-b-cCobMcOdの化学式を含むか、又はこれを特徴とする。本明細書では、Mは、Mn、Al、Mg、Fe、Cr、B、Ti、Zr、Ga、Zn、V、Cu、Yb、Li、Na、K、F、Ba、Ca、Lu、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Ta、Pr、W、Ir、In、Tl、Sn、Sr、S、P、Cl、Ge、Sb、Er、Te、La、Ce、Nd、Dy、Eu、Sc、Se、Si、Tc、Pd、Pm、Sm、Gd、Tb、Ho、Tm、又はこれらの任意の組み合わせなどの1つ以上の金属及び/又は非金属を表す。
【0034】
化学式LiaNi1-b-cCobMcOdの下付き文字aは、電極活物質中のLi(リチウム)の相対量を表している。一般に、Liの量は、LiリッチからLi欠損まで変動する可能性がある。例えば、aは、一般に約0.9~約1.1であってもよいし、又は0.9~1.0若しくは1.0~1.1であってもよい。場合によっては、aは、0.9、0.905、0.91、0.915、0.92、0.925、0.93、0.935、0.94、0.945、0.95、0.955、0.96、0.965、0.97、0.975、0.98、0.985、0.99、0.995、1、1.005、1.01、1.015、1.02、1.025、1.03、1.035、1.04、1.045、1.05、1.055、1.06、1.065、1.07、1.075、1.08、1.085、1.09、1.095、又は1.1であってもよいし、又はおよそこれらの数値であってもよい。
【0035】
化学式LiaNi1-b-cCobMcOdの下付き文字bは、電極活物質中のCo(コバルト)の相対量を表している。一般に、Coの量は、bが0~0.1又は0~0.05である場合など、非常に低い。場合によっては、bは、0、0.005、0.010、0.015、0.020、0.025、0.030、0.035、0.040、0.045、0.050、0.055、0.060、0.065、0.070、0.075、0.080、0.085、0.090、0.095、又は0.100であってもよいし、又はおよそこれらの数値であってもよい。
【0036】
化学式LiaNi1-b-cCobMcOdの下付き文字cは、電極活物質中の金属及び/又は非金属Mの相対量を表している。一般に、cは、約0~約0.67まで変動することができる。場合によっては、cは、約0~約0.5であってもよい。Mは、1つ又は複数の金属及び/又は非金属に対応することができるため、個々の金属及び/又は非金属の化学量論係数は、合計がcとなり得ることが理解されよう。cの例示的な値は、0、0.005、0.010、0.015、0.020、0.025、0.030、0.035、0.040、0.045、0.050、0.055、0.060、0.065、0.070、0.075、0.080、0.085、0.090、0.095、0.100、0.105、0.110、0.115、0.120、0.125、0.130、0.135、0.140、0.145、0.150、0.155、0.160、0.165、0.170、0.175、0.180、0.185、0.190、0.195、0.200、0.205、0.210、0.215、0.220、0.225、0.230、0.235、0.240、0.245、0.250、0.255、0.260、0.265、0.270、0.275、0.280、0.285、0.290、0.295、0.300、0.305、0.310、0.315、0.320、0.325、0.330、0.335、0.340、0.345、0.350、0.355、0.360、0.365、0.370、0.375、0.380、0.385、0.390、0.395、0.400、0.405、0.410、0.415、0.420、0.425、0.430、0.435、0.440、0.445、0.450、0.455、0.460、0.465、0.470、0.475、0.480、0.485、0.490、0.495、0.500、0.505、0.510、0.515、0.520、0.525、0.530、0.535、0.540、0.545、0.550、0.555、0.560、0.565、0.570、0.575、0.580、0.585、0.590、0.595、0.600、0.605、0.610、0.615、0.620、0.625、0.630、0.635、0.640、0.645、0.650、0.655、0.660、0.665、0.666、0.667、又は0.670であってもよいし、又はおよそこれらの数値であってもよい。
【0037】
化学式LiaNi1-b-cCobMcOdの下付き文字dは、電極活物質中のO(酸素)の相対量を表している。一般に、Oの量は、OリッチからO欠損まで変動する可能性がある。例えば、dは、一般に約1.9~約2.1であってもよいし、又は1.95~2.05、1.9~2.0、1.95~2.05、2.0~2.05、若しくは2.05~2.1であってもよい。場合によっては、dは、1.9、1.905、1.91、1.915、1.92、1.925、1.93、1.935、1.94、1.945、1.95、1.955、1.96、1.965、1.97、1.975、1.98、1.985、1.99、1.995、2、2.005、2.01、2.015、2.02、2.025、2.03、2.035、2.04、2.045、2.05、2.055、2.06、2.065、2.07、2.075、2.08、2.085、2.09、2.095、2.1であってもよいし、又はおよそこれらの数値であってもよい。
【0038】
化学式LiaNi1-b-cCobMcOdの下付き文字1-b-cは、電極活物質中のNi(ニッケル)の相対量を表している。一般に、Niの量は、比較的低いものから比較的高いものまで変動する可能性があるが、Niの相対量は、電極活物質中のCo並びに金属及び/又は非金属Mの量に依存し得る。例えば、1-b-cは、約1~約0.5又は1~0.33であってもよい。場合によっては、1-b-cは、0.330、0.333、0.334、0.335、0.340、0.345、0.350、0.355、0.360、0.365、0.370、0.375、0.380、0.385、0.390、0.395、0.400、0.405、0.410、0.415、0.420、0.425、0.430、0.435、0.440、0.445、0.450、0.455、0.460、0.465、0.470、0.475、0.480、0.485、0.490、0.495、0.500、0.505、0.510、0.515、0.520、0.525、0.530、0.535、0.540、0.545、0.550、0.555、0.560、0.565、0.570、0.575、0.580、0.585、0.590、0.595、0.600、0.605、0.610、0.615、0.620、0.625、0.630、0.635、0.640、0.645、0.650、0.655、0.660、0.665、0.670、0.675、0.680、0.685、0.690、0.695、0.700、0.705、0.710、0.715、0.720、0.725、0.730、0.735、0.740、0.745、0.750、0.755、0.760、0.765、0.770、0.775、0.780、0.785、0.790、0.795、0.800、0.805、0.810、0.815、0.820、0.825、0.830、0.835、0.840、0.845、0.850、0.855、0.860、0.865、0.870、0.875、0.880、0.885、0.890、0.895、0.900、0.905、0.910、0.915、0.920、0.925、0.930、0.935、0.940、0.945、0.950、0.955、0.960、0.965、0.970、0.975、0.980、0.985、0.990、0.995、又は1.000であってもよいし、又はおよそこれらの数値であってもよい。
【0039】
電極活物質は、約500nm~約30μmの断面寸法(例えば、直径)を有する個々の二次粒子を含むなど、粉末形態であってもよいし、粉末状であってもよいし、又は粉末状で調製されてもよい。例えば、断面寸法は、500nm~1.0μm、1.0μm~2.5μm、2.5μm~5.0μm、5.0μm~7.5μm、7.5μm~10μm、10μm~15μm、15μm~20μm、又は20μm~30μmであってもよい。電極活物質は、2.0g・cm-3~2.1g・cm-3、約2.1g・cm-3~2.2g・cm-3、2.2g・cm-3~2.3g・cm-3、2.3g・cm-3~2.4g・cm-3、2.4g・cm-3~2.5g・cm-3、2.5g・cm-3~2.6g・cm-3、2.6g・cm-3~2.7g・cm-3、2.7g・cm-3~2.8g・cm-3、2.8g・cm-3~2.9g・cm-3、2.9g・cm-3~3.0g・cm-3、3.0g・cm-3~3.1g・cm-3、3.1g・cm-3~3.2g・cm-3、3.2g・cm-3~3.3g・cm-3、3.3g・cm-3~3.4g・cm-3、又は3.4g・cm-3~3.5g・cm-3など、約2.0g・cm-3~約3.5g・cm-3のタップ密度を示し得る。
【0040】
電極活物質は、500サイクル後の比エネルギー劣化が20%未満若しくは約20%、15%未満若しくは約15%、又は10%未満若しくは約10%の場合など、良好な動作寿命を示し得る。場合によっては、1000サイクル後の比エネルギー劣化は、20%未満若しくは約20%、15%未満若しくは約15%、又は10%未満若しくは約10%であり得る。場合によっては、100サイクル後の比エネルギー劣化は、10%未満若しくは約10%、5%未満若しくは約5%、又は2.5%未満若しくは約2.5%であり得る。
【0041】
正極
本明細書で説明される電極活物質は、正極活物質とすることができ、正極(正電極)として有用である。
図1は、正極集電体105及び正極活物質110を含む例示的な正極100の概略図を提供する。正極集電体105は、当該技術分野で使用されるような任意の好適な集電体であり得る。いくつかの例では、正極集電体105は、アルミニウム(例えば、アルミ箔)を含み得る。正極活物質110は、上述の一般化学式Li
aNi
1-b-cCo
bM
cO
dを有する電極活物質など、本明細書に記載の電極活物質のいずれかを含み得る。
【0042】
正極構成に応じて、正極活物質110は、任意の好適な寸法又は質量を有し得る。正極活物質110の電極活物質は、任意に、当該技術分野で知られているように、結着剤又は導電性添加剤と混合されてもよい。
【0043】
電気化学セル
本明細書に記載の電極活物質、正極活物質、及び正極は、電気化学セル及び電池に有用であるとすることができる。
図2は、正極集電体205、正極活物質210、負極集電体215、負極活物質220、及びセパレータ225を含む、例示的な電気化学セル200の概略図を提供する。
【0044】
正極集電体205は、例えば、アルミニウムを含み得る。正極活物質210は、本明細書に記載の電極活物質のいずれかに対応し得る。正極活210は、結着剤、導電性添加剤、液体若しくは固体電解質などと混合されてもよい。
【0045】
負極集電体215は、銅を含み得る。場合によっては、負極集電体215は、使用されなくてもよい。負極活物質220の例示的な材料としては、黒鉛、炭素、ケイ素、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、すず、アンチモン、亜鉛、亜リン酸、リチウム、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。負極活物質220は、結着剤、導電性添加剤、液体若しくは固体電解質などと混合されてもよい。
【0046】
セパレータ225は、任意の好適な非反応性の材料であってもよい。例示的なセパレータは、ポリプロピレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、若しくはポリアクリロニトリルなどの高分子膜であってもよいし、又は固体若しくはセラミック電解質であってもよい。セパレータ225は、電解質を含んでもよいし(例えば、電解質で満たされた細孔を有してもよいし)、又はこれ自体が電解質として機能してもよく、正極活物質210と負極活物質220との間を行ったり来たりしてイオンを伝導させるために使用されてもよい。例示的な電解質は、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、若しくはジエチルカーボネートなどの有機溶媒、又は固体若しくはセラミック電解質であってもよいし、これらを含んでもよい。電解質は、LiPF6、LiBF4、LiClO4などのリチウム塩を溶解したもの、及び他の添加剤を含み得る。
【0047】
方法
LiaNi1-b-cCobMcOd材料は、金属共沈殿及びリチウム化焼成を通して合成され得る。最初に、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されないニッケル、コバルト、及びMの溶解性塩を混合して、適切な金属モル比の水溶液を作る。混合金属イオン水溶液の濃度は、0.1mol・L-1~3.0mol・L-1であり得る。混合金属イオン水溶液は、非酸化性ガス雰囲気下で、制御された速度でタンク型反応器に送り込まれる。0.2mol・L-1~10mol・L-1の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及びこれらの組み合わせの水溶液をタンク型反応器に別々に送り込み、pHを8.0~12.5に維持する。また、キレート剤、例えば、水酸化アンモニウムの水溶液もタンク型反応器に送り込み、タンク型反応器内のキレート剤の濃度を適切に維持する。共沈殿反応は、30℃~80℃に制御された温度で行われる。
【0048】
その後、タンク型反応器からの材料を洗浄、ろ過、及び乾燥を通して前駆体Pを得て、リチウム塩及び添加材料Xと適切なモル比で混合した。リチウム塩は、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム、酸化リチウム、シュウ酸リチウム、及びこれらの組み合わせを含む。添加材料Xは、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、フッ化物、イソプロポキシド、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、Mの塩を含む。混合された前駆体P、リチウム塩、及び添加材料Xを、酸素含有量21%(空気)~100%(純酸素)の流動ガス雰囲気下、600℃~1000℃で焼成して、リチウム化された酸化物Lを得る。
【0049】
いくつかの例では、リチウム化された酸化物Lは、最終生成物LiaNi1-b-cCobMcOdである。任意に、リチウム化された酸化物Lは、表面処理に更にかけられる。表面処理中、リチウム化された酸化物Lは、脱イオン水、ホウ酸、リン酸、エタノール、イソプロパノール、及びこれらの組み合わせを含む液体と混合される。
【0050】
乾燥後、リチウム化された酸化物Lは、リチウム塩及び添加材料Yと適切なモル比で混合される。リチウム塩は、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム、酸化リチウム、シュウ酸リチウム、及びこれらの組み合わせを含む。添加材料Yは、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、水酸化物、フッ化物、イソプロポキシド、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、Mの塩を含む。
【0051】
混合された、リチウム化された酸化物L、リチウム塩、及び添加材料Yは、その後、高温で、任意に酸素含有量21%(空気)~100%(純酸素)の流動ガス雰囲気下で焼成されて、最終生成物であるLiaNi1-b-cCobMcOdを得る。
【0052】
LiaNi1-b-cCobMcOdの合成は、確立された製造方法と同様であり得るが、一連の利点も得られる。(i)原子スケールで均質な混合を可能にする適切なモル比で、ニッケル及び他の金属及び/又は非金属を金属共沈殿させる精密な制御、(ii)二次粒子及び一次粒子の材料の形態及び微細構造の微調整を可能にする、金属共沈殿及びリチウム化焼成の精密な制御、及び(iii)残留リチウム種を低減し、材料の表面安定性を向上させる任意の表面処理。リチウム遷移金属層状酸化物の特性は、その合成条件に極めて敏感であることが理解されよう。記載されている合成は、LiaNi1-b-cCobMcOdの高比エネルギー、高電圧、高い速度能力、長い動作寿命、及び望ましい安全性を可能にするために有用である。
【0053】
本発明は、以下の非限定的な例によって更に理解され得る。
【0054】
実施例1
LiNi0.9Co0.05Mn0.05O2、LiNi0.9Co0.05Al0.05O2、及びLiNi0.9Co0.04Mn0.04Al0.01Mg0.01O2を含む低コバルト正極活物質を本明細書に記載の方法に従って調製した。ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウム、及びマグネシウムの溶解性塩を使用して、2.0mol・L-1で様々なモル比の水溶液を作製した。混合金属イオン水溶液は、窒素雰囲気下で、制御された速度でタンク型反応器に送り込まれた。6.0mol・L-1の水酸化カリウム及び1.0mol・L-1の水酸化アンモニウムの水溶液を別々にタンク型反応器に送り込み、pHを11.5±0.5に維持した。共沈殿反応は、50±5℃で行われた。その後、Ni0.9Co0.05Mn0.05(OH)2、Ni0.9Co0.05Al0.05(OH)2、及びNi0.9Co0.04Mn0.04Al0.01Mg0.01(OH)2を含む前駆体を、洗浄、ろ過、及び乾燥を通して得て、1:1.03±0.02のモル比で水酸化リチウムと混合した。
【0055】
混合された前駆体及び水酸化リチウムを、毎分2.75±2.25リットルの流量の酸素雰囲気下、750±20℃で17.5±7.5時間焼成して、LiNi0.9Co0.05Mn0.05O2、LiNi0.9Co0.05Al0.05O2、及びLiNi0.9Co0.04Mn0.04Al0.01Mg0.01O2を得た。これらの化学組成におけるリチウム及び酸素含有量は、化学量論に基づくものであるが、リチウム及び酸素含有量は、その化学量論的値から逸脱していてもよいことが理解されよう。
【0056】
図3は、LiNi
0.9Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.9Co
0.05Al
0.05O
2、及びLiNi
0.9Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2のX線回析(XRD)パターンを示す。バルクレベルにおいて、全ての材料は、有意でない量の二次(不純物)構造を有する
【数10】
層状構造(菱面体構造)を示した。しかしながら、局所的な二次構造は、いくつかの例では、二次粒子の表面領域内に見出すことができる。局所的な二次相は、いくつかの例では、合成条件の変動によるリチウム化焼成を通して生成され、高比エネルギー、高電圧、高い速度能力、長い動作寿命、及び良好な安全性を含むが、これらに限定されない、望ましい材料特性を提供する。局所的な二次構造は、いくつかの例では、焼成後の表面処理を通して生成され、表面残留リチウム種の量を低減し、正極材料のサイクル及び熱安定性を向上させる。
【0057】
図4、
図5、及び
図6は、それぞれ、LiNi
0.9Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.9Co
0.05Al
0.05O
2、及びLiNi
0.9Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。これらの材料は全て、平均粒子径8μm~15μmの「二次粒子」と称される複数の粒子を含んでいた。いくつかの例では、二次粒子径が、15μm~30μmまで変動する。いくつかの例では、二次粒子径が、7.5μm~15μmまで変動する。いくつかの例では、二次粒子径が、2.5μm~7.5μmまで変動する。いくつかの例では、二次粒子径が、500nm~2.5μmまで変動する。いくつかの例では、複数の二次粒子が、実質的に単分散である。いくつかの例では、複数の二次粒子が、別のわずかな二次粒子よりも少なくとも一桁大きいサイズのわずかな二次粒子を含む、多分散である。いくつかの例では、複数の二次粒子が、実質的に球形状である。
図4、
図5、及び
図6では、二次粒子は、平均粒子径100nm~500nmの「一次粒子」と称される複数の粒子を更に含んでいる。二次粒子は、1~100,000,000個以上の一次粒子を含んでもよい。いくつかの例では、一次粒子径は、10nm~100nmまで変動する。いくつかの例では、一次粒子径は、100nm~1000nmまで変動する。いくつかの例では、一次粒子径は、1μm~10μmまで変動する。いくつかの例では、複数の一次粒子は、実質的に単分散である。いくつかの例では、二次粒子は、1つの一次粒子を含み、「単結晶」という用語は、この粒子形態を説明するために使用される。
【0058】
正極活物質は、約2.5g・cm-3~2.6g・cm-3のタップ密度を示した。N-メチル-2-ピロリドンにおける正極活物質のスラリーをアルミ箔集電体に堆積させ、溶媒を蒸発させることによって、正極活物質を複合正極電極に形成した。正極活物質の面積容量負荷は、約2.0mAh・cm-2である。リチウム金属負極又は黒鉛負極のいずれか、ビニレンカーボネート添加剤(2重量%)を有するエチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネート(重量比3:7)の溶媒混合液に1.0モルのLiPF6を含む非水カーボネート系電解質に浸したポリプロピレン及びポリエチレンのブレンドを含むセパレータを用いて、正極を電気化学セルに組み立てた。電気化学セルを充電及び放電するための電圧プロファイルを得た。
【0059】
図7は、リチウム金属と対になったリチウムイオンセルにおけるLiNi
0.9Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.9Co
0.05Al
0.05O
2、及びLiNi
0.9Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2のガルバノスタットの充電-放電電圧プロファイルを示す。全てのリチウムイオンセルを、周囲温度(25℃)でLi
+/Liに対する2.8V~4.4Vで循環させた。LiNi
0.9Co
0.05Mn
0.05O
2は、86%のクローン効率を有する第1のC/10サイクルで830Wh・kg
-1の比エネルギー、及び第4のC/10サイクルで865Wh・kg
-1の比エネルギーを送達した。LiNi
0.9Co
0.05Al
0.05O
2は、88%のクローン効率を有する第1のC/10サイクルで826Wh・kg
-1の比エネルギー、及び第4のC/10サイクルで850Wh・kg
-1の比エネルギーを送達した。LiNi
0.9Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2は、84%のクローン効率を有する第1のC/10サイクルで789Wh・kg
-1の比エネルギー、及び第4のC/10サイクルで823Wh・kg
-1の比エネルギーを送達した。
【0060】
図8は、黒鉛と対になったリチウムイオンセルにおけるLiNi
0.9Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.9Co
0.05Al
0.05O
2、及びLiNi
0.9Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2の、放電電圧プロファイル(上)及びサイクル数の関数としての比エネルギー変化(下)を示す。全てのリチウムイオンセルは、周囲温度(25℃)での2.5V~4.2V対黒鉛で循環され、データは、形成サイクルを除外して示されている。LiNi
0.9Co
0.05Mn
0.05O
2は、C/3率で752Wh・kg
-1の比エネルギーを送達し、C/2充電率及び1C放電率での465回の充電-放電サイクル後に80%の比エネルギーを保持した。LiNi
0.9Co
0.05Al
0.05O
2は、C/3率で734Wh・kg
-1の比エネルギーを送達し、C/2充電率及び1C放電率での523回の充電-放電サイクル後に80%の比エネルギーを保持した。LiNi
0.9Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2は、C/3率で694Wh・kg
-1の比エネルギーを送達し、C/2充電率及び1C放電率での982回の充電-放電サイクル後に80%の比エネルギーを保持した。
【0061】
実施例2
LiNi0.9Mn0.05Al0.05O2及びLiNi0.9Mn0.05Al0.05O2を含むコバルトを含まない正極活物質を、本明細書に記載の方法に従って調製した。ニッケル、マンガン、アルミニウム、及びマグネシウムの溶解性塩を使用して、2.0mol・L-1で様々なモル比の水溶液を作製する。混合金属イオン水溶液は、窒素雰囲気下で、制御された速度でタンク型反応器に送り込まれた。6.0mol・L-1の水酸化カリウム及び1.0mol・L-1の水酸化アンモニウムの水溶液を別々にタンク型反応器に送り込み、pHを11.5±0.5に維持した。共沈殿反応は、50±5℃で行われた。その後、Ni0.9Mn0.05Al0.05(OH)2及びNi0.9Mn0.05Mg0.05(OH)2を含む前駆体を、洗浄、ろ過、及び乾燥を通して得て、1:1.03±0.02のモル比で水酸化リチウムと混合した。混合された前駆体及び水酸化リチウムを、毎分2.75±2.25リットルの流量の酸素雰囲気下、750±20℃で17.5±7.5時間焼成して、LiNi0.9Mn0.05Al0.05O2及びLiNi0.9Mn0.05Mg0.05O2を得た。これらの化学組成におけるリチウム及び酸素含有量は、化学量論に基づくものであるが、リチウム及び酸素含有量は、その化学量論的値から逸脱していてもよいことが理解されよう。
【0062】
図3は、LiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2及びLiNi
0.9Mn
0.05Mg
0.05O
2のX線回折(XRD)パターンを示す。バルクレベルにおいて、全ての材料は、有意でない量の二次(不純物)構造を有する
【数11】
層状構造(菱面体構造)を示した。
図9は、LiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。材料は、平均粒子径8μm~15μmの複数の二次粒子を含んでいた。
図9では、二次粒子は、平均粒子径100nm~500nmの複数の一次粒子を更に含む。
【0063】
正極活物質は、約2.5g・cm-3~2.6g・cm-3のタップ密度を示した。N-メチル-2-ピロリドンにおける正極活物質のスラリーをアルミ箔集電体に堆積させ、溶媒を蒸発させることによって、正極活物質を複合正極電極に形成した。正極活物質の面積容量負荷は、およそ2.0mAh・cm-2であった。リチウム金属負極又は黒鉛負極のいずれか、ビニレンカーボネート添加剤(2重量%)を有するエチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネート(重量比3:7)の溶媒混合液に1.0モルのLiPF6を含む非水カーボネート系電解質に浸したポリプロピレン及びポリエチレンのブレンドを含むセパレータを用いて、正極を電気化学セルに組み立てた。電気化学セルを充電及び放電するための電圧プロファイルを得た。
【0064】
図10は、リチウム金属と対になったリチウムイオンセルにおけるLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2及びLiNi
0.9Mn
0.05Mg
0.05O
2のガルバノスタットの充電-放電電圧プロファイルを示す。全てのリチウムイオンセルを、周囲温度(25℃)でLi
+/Liに対する2.8V~4.4Vで循環させた。LiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2は、86%のクローン効率を有する第1のC/10サイクルで823Wh・kg
-1の比エネルギー、及び第4のC/10サイクルで839Wh・kg
-1の比エネルギーを送達した。LiNi
0.9Mn
0.05Mg
0.05O
2は、80%のクローン効率を有する第1のC/10サイクルで727Wh・kg
-1の比エネルギー、及び第4のC/10サイクルで752Wh・kg
-1の比エネルギーを送達した。
【0065】
図11は、黒鉛と対になったリチウムイオンセルにおけるLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2及びLiNi
0.9Mn
0.05Mg
0.05O
2の、放電電圧プロファイル(上)及びサイクル数の関数としての比エネルギー変化(下)を提供する。全てのリチウムイオンセルは、周囲温度(25℃)での2.5V~4.2V対黒鉛で循環され、データは、形成サイクルを除外して示されている。LiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2は、C/3率で695Wh・kg
-1の比エネルギーを送達し、C/2充電率及び1C放電率での862回の充電-放電サイクル後に80%の比エネルギーを保持した。LiNi
0.9Mn
0.05Mg
0.05O
2は、C/3率で635Wh・kg
-1の比エネルギーを送達し、C/2充電率及び1C放電率での485回の充電-放電サイクル後に80%の比エネルギーを保持した。
【0066】
実施例3
上述の実施例1及び実施例2の組成物を、リチウム金属を対電極とするコイン半電池セルに形成し、更に評価した。
【0067】
図12は、C/10形成サイクル中の25℃でのコイン半電池セル(対Li金属)におけるLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2(青)、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2(赤)、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2(緑)、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2(灰色)のdQ・dV
-1曲線を示す。LiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2は、コバルトを含む高ニッケル層状酸化物の正極材料よりも明らかに高いLi
+/Liに対する4.20Vを超える電圧での放電中にdQ・dV
-1曲線の最小値(例えば、最小ネガティブピーク又は最低点)を示す。具体的には、LiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2は、C/10率での放電中にLi
+/Liに対する4.22Vで最小値-580mAh・g
-1V
-1を示した。LiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2は、C/10率での放電中にLi
+/Liに対する4.17Vで最小値-740mAh・g
-1V
-1を示した。LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2は、C/10率での放電中にLi
+/Liに対する4.19Vで最小値-420mAh・g
-1V
-1を示した。LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2は、C/10率での放電中にLi
+/Liに対する4.18Vで最小値-600mAh・g
-1V
-1を示した。
【0068】
dQ・dV
-1プロットを計算するために、リチウム金属コインセルをLi
+/Liに対する2.8V~4.4V内でC/10率で循環させた。dQ/dV曲線を計算するために使用した循環データは、0.02Vステップで区切られている。各電圧におけるdQ/dV値は、式1の式によって計算される。式1のQ
2という電荷は、対象の電圧V
2における全電荷であり、進行しているデータ点が電圧V
1、その充電及び放電サイクルに対する全電荷がQ
1である。dQ/dVの計算に使用されるデータは、0.02Vごとに取得されるため,ΔVは常に0.02Vとなり、単位はmAh・g
-1V
-1となる。取得されたデータ点間の0.02Vの電圧ステップは、ΔVが小さな値に設定されたときに非常に大きい値に増加する可能性があるmAh・g
-1V
-1の大きさに影響を与えるノイズを防止する。
【数12】
このとき、データ点(x、y)は、
【数13】
でプロットすることができる。
【0069】
図13は、C/3サイクル中の25℃でのコイン半電池セル(対Li金属)におけるLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2のdQ・dV
-1曲線を示す。これらのサイクルは、C/3率で行われたため、放電中のdQ・dV
-1の最小値は、わずかに低い電圧に移行し、充電-放電サイクルでもより低い電圧に移行することが理解されよう。それにもかかわらず、循環が進むにつれて、C/3率での放電中のLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2、及びLiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2と比較して、LiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2は、循環が進むにつれて、C/3率での放電中に常により高い電圧でdQ・dV
-1の最小値を示した。
【0070】
図14は、初期のLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2(NCM)、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2(NCA)、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2(NCMAM)、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2(NMA)のX線回析(XRD)パターンのリートベルト法を示す。リチウム化焼成後、4つの正極材料は、
【数14】
空間群を有する明確な六角格子構造を示した。LiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2におけるLi/Ni混合は、それぞれ、3.3%、1.4%、2.6%、及び3.0%である。コバルトを含まないLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2は、コバルトを含む正極よりもリチウム/ニッケル混合があまり高くないことを示すことに留意されたい。
【0071】
図15は、焼成後の4つの正極材料の元素分布を示す、LiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2(NCM)、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2(NCA)、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2(NCMAM)、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2(NMA)の断面走査型電子顕微鏡(SEM)/エネルギー分散X線分光分析(EDX)画像を示す。これは、焼成を介したアルミニウム置換が、高濃度(本明細書では5mol%)の実質的に制御できない組成不均一性及び相間離隔を引き起こす可能性があるため、アルミニウムにとって特に重要である。一例を以下の比較例3で示す。
【0072】
図16は、C/10率でそれぞれの比容量に正規化されている、定数C/10充電率で最大5C放電率に至るまで25℃でのコイン半電池セル(対Li金属)におけるLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2(NCM)、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2(NCA)、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2(NCMAM)、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2(NMA)の速度能力を比較する。特に、LiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2の急速放電性能は、LiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2及びLiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2の急速放電と非常に似ており、これまで公表された研究によって速度能力が悪いとされていたLiNi
0.9Mn
0.1O
2とは対照的である。コバルトがない場合の高ニッケルのLiNi
1-c1-c2Mn
c1Al
c2O
2系材料では、リチウム/ニッケル混合を抑制するマンガンのカウンターバランスカチオンとしてのアルミニウムの存在が重要であると考えられている。本明細書では、c1及びc2との合計はcとなり、c1及びc2は、例えば、0~0.67であってもよい。
【0073】
図17は、定数C/10充電率で最大5C放電率に至るまで25℃でのコイン半電池セル(対Li金属)におけるLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2の放電曲線を示す。
【0074】
黒鉛負極と対になったポーチ全電池セルにおけるLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2の長期循環を
図18に示す。
図18は、4つの正極材料の比エネルギーではなく、比容量の保持率を比較したものであることが理解されよう。長時循環中の比エネルギー保持率のデータは、上述の通りである。C/2~1Cの充電-放電率及び25℃での2.5~4.2Vの1000回の深いサイクル後、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2は、それぞれ、84%と82%の容量保持率を有し、特に、LiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2(54%)及びLiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2(62%)は、より性能が優れており、市販のLiNi
0.6Co
0.2Mn
0.2O
2(NMC-622)正極(80%)と類似している。LiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2は、半電池セルではそこそこの性能を発揮するが、全電池セルでは最悪となることに留意されたい。
【0075】
図19は、LiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2の示差走査熱量測定(DSC)プロファイルを示す。DSCは、高充電状態での正極活物質の熱的誤用耐性の基準を提供し得ることが理解されよう。実験調製中、正極サンプルを、形成サイクル後にC/10率下でコイン半電池セルにおいて220mAh・g
-1に充電し、次いで、20mg~30mgの正極粉末を採取し、アルゴンが充填されたグローブボックス内でジメチルカーボネート(DMC)ですすいだ。その後、正極粉末を乾燥させ、前述の電解質と混合し(正極:電解質は約6:4の重量比)、金メッキ銅シール付き100μL高圧ステンレス製るつぼに密封した。この試験は、重量減少がないアルゴン雰囲気下、1℃・min
-1の加熱率を有する30℃~350℃で行われた。計算された放熱量は、正極活質量に基づいていた。DSCの結果の再現性を保証するため、各正極サンプルについて少なくとも3回の並行試験を行った。主要な発熱事象の温度は、222℃、237℃、232℃、及び238℃であり、正規化された発熱は、LiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2、及びLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2に対してそれぞれ1858J・g
-1、1835J・g
-1、1738J・g
-1、及び1755J・g
-1であった。これらの結果は、コバルトを含まないLiNi
0.90Mn
0.05Al
0.05O
2の熱的誤用耐性が、深い充電度と同じであるLiNi
0.90Co
0.05Mn
0.05O
2、LiNi
0.90Co
0.05Al
0.05O
2、及びLiNi
0.90Co
0.04Mn
0.04Al
0.01Mg
0.01O
2の熱的誤用耐性よりも優れていることを示す。
【0076】
実施例4
LiNiO
2及びLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2を含むコバルトを含まない正極活物質を、本明細書に記載の方法に従って調製した。ニッケル、マンガン、及びアルミニウムの溶解性塩を使用して、2.0mol・L
-1で様々なモル比の水溶液を作製した。混合金属イオン水溶液は、窒素雰囲気下で、制御された速度でタンク型反応器に送り込まれた。6.0mol・L
-1の水酸化カリウム及び1.0mol・L
-1の水酸化アンモニウムの水溶液を別々にタンク型反応器に送り込み、pHを11.5±0.5に維持した。共沈殿反応は、50±5℃で行われた。その後、Ni(OH)
2及びNi
0.9Mn
0.05Al
0.05(OH)
2を含む前駆体を、洗浄、ろ過、及び乾燥を通して得て、1:1.03±0.02のモル比で水酸化リチウムと混合した。混合された前駆体及び水酸化リチウムを、毎分2.75±2.25リットルの流量の酸素雰囲気下、720±50℃で17.5±7.5時間焼成して、LiNiO
2、及びLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2を得た。これらの化学組成におけるリチウム及び酸素含有量は、化学量論に基づくものであるが、リチウム及び酸素含有量は、その化学量論的値から逸脱していてもよいことが理解されよう。
図20は、LiNiO
2の走査型電子顕微鏡(SEM)を示す。材料は、平均粒子径8μm~15μmの複数の二次粒子を含んでいた。
図20では、二次粒子は、平均粒子径50nm~200nmの複数の一次粒子を更に含んでいる。
【0077】
正極活物質は、約2.5g・cm-3~2.7g・cm-3のタップ密度を示した。N-メチル-2-ピロリドンにおける正極活物質のスラリーをアルミ箔集電体に堆積させ、溶媒を蒸発させることによって、正極活物質を複合正極電極に形成した。正極活物質の面積容量負荷は、2.4mAh・cm-2~2.6mAh・cm-2であった。リチウム金属負極、ビニレンカーボネート添加剤(2重量%)を有するエチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネート(重量比3:7)の溶媒混合液に1.0モルのLiPF6を含む非水カーボネート系電解質に浸したポリプロピレン及びポリエチレンのブレンドを含むセパレータを用いて、正極を電気化学セルに組み立てた。電気化学セルを充電及び放電するためのガルバノスタットの電圧プロファイルを得た。
【0078】
図21は、リチウム金属と対になったリチウムイオンセルにおけるLiNiO
2及びLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2のガルバノスタットの充電-放電電圧プロファイルを示す。LiNiO
2リチウムイオンセルを、周囲温度(25℃)でLi
+/Liに対する2.8V~4.35Vで循環させた。LiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2をリチウムイオンセルを、周囲温度(25℃)でLi
+/Liに対する2.8V~4.45Vで循環させた。LiNiO
2は、93.5%のクローン効率を有する第1のC/10サイクルで919Wh・kg
-1の比エネルギー、及び第2のC/10サイクルで931Wh・kg
-1の比エネルギーを送達した。LiNiO
2は、C/3率で884.5Wh・kg
-1、1C率で812Wh・kg
-1の比エネルギーをそれぞれ送達した。LiNO
2の1C率での比エネルギーは、C/10率での比エネルギーの87%であった。LiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2は、89.0%のクローン効率を有する第1のC/10サイクルで853Wh・kg
-1の比エネルギー、及び第2のC/10サイクルで860Wh・kg
-1の比エネルギーを送達した。LiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2は、C/3率で811.5Wh・kg
-1、1C率で754Wh・kg
-1の比エネルギーをそれぞれ送達した。LiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2の1C率での比エネルギーは、C/10率での比エネルギーの87.5%であった。
【0079】
実施例5
LiNiO2、LiNi0.98Ta0.02O2、LiNi0.98Zr0.02O2、及びLiNi0.98Mg0.02O2を含むコバルトを含まない正極活物質を、本明細書に記載の方法に従って調製した。最初に、2.0mol・L-1の水溶液中のニッケルの溶解性塩を使用して、Ni(OH)2を含む正極活物質前駆体を調製した。この水溶液を、制御された速度でタンク型反応器に送り込んだ。6.0mol・L-1の水酸化カリウム及び1.0mol・L-1の水酸化アンモニウムの水溶液を別々にタンク型反応器に送り込み、pHを11.75±0.25に維持した。共沈殿反応は、50±5℃で行われた。その後、Ni(OH)2を含む前駆体を、洗浄、ろ過、及び乾燥を通して得た。LiNiO2を得るために、Ni(OH)2を含む前駆体を、1:1.02±0.03のモル比で水酸化リチウムと混合した。混合された前駆体及び水酸化リチウムを、毎分2.75±2.25リットルの流量の酸素雰囲気下、690±20℃で17.5±7.5時間焼成した。LiNi0.98Ta0.02O2、LiNi0.98Zr0.02O2、又はLiNi0.98Mg0.02O2を得るために、Ni(OH)2を含む前駆体を、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、又は酸化マグネシウムのいずれか、及び更には0.98:0.02:1.02±0.03のモル比の水酸化リチウムと混合した。混合された前駆体、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、又は酸化マグネシウムのいずれか、及び水酸化リチウムを、毎分2.75±2.25リットルの流量の酸素雰囲気下、720±30℃で17.5±7.5時間焼成した。これらの化学組成におけるリチウム及び酸素含有量は、化学量論に基づくものであるが、リチウム及び酸素含有量は、その化学量論的値から逸脱していてもよいことが理解されよう。
【0080】
正極活物質は、約2.5g・cm-3~2.7g・cm-3のタップ密度を示した。N-メチル-2-ピロリドンにおける正極活物質のスラリーをアルミ箔集電体に堆積させ、溶媒を蒸発させることによって、正極活物質を複合正極電極に形成した。正極活物質の面積容量負荷は、およそ2.0mAh・cm-2であった。リチウム金属負極、ビニレンカーボネート添加剤(2重量%)を有するエチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネート(重量比3:7)の溶媒混合液に1.0モルのLiPF6を含む非水カーボネート系電解質に浸したポリプロピレン及びポリエチレンのブレンドを含むセパレータを用いて、正極を電気化学セルに組み立てた。電気化学セルを充電及び放電するためのガルバノスタットの電圧プロファイルを得た。
【0081】
図22、
図23、
図24、及び
図25は、C/10形成サイクル中の25℃でのコイン半電池セル(対リチウム金属)におけるLiNiO
2、LiNi
0.98Ta
0.02O
2、LiNi
0.98Zr
0.02O
2、及びLiNi
0.98Mg
0.02O
2のdQ・dV
-1曲線をそれぞれ示す。全てのリチウムイオンセルを、周囲温度(25℃)でLi
+/Liに対する2.8V~4.4Vで循環させた。全てのサンプルは、4.15V以上のLi
+/Liに対する電圧での放電中の少なくとも-900mAh・g
-1V
-1以下の最小値(例えば、最小ネガティブピーク又は最低点)を示す。C/10の電流で、LiNiO
2は、Li
+/Liに対する4.154Vの電圧での放電中のdQ・dV
-1曲線において、-2060mAh・g
-1V
-1の最小値を示す。C/10の電流で、LiNi
0.98Ta
0.02O
2は、Li
+/Liに対する4.150Vの電圧での放電中のdQ・dV
-1曲線において、-1780mAh・g
-1V
-1の最小値を示す。C/10の電流で、LiNi
0.98Zr
0.02Oは、Li
+/Liに対する4.152Vの電圧での放電中のdQ・dV
-1曲線において、-2420mAh・g
-1V
-1の最小値を示す。C/10の電流で、LiNi
0.98Mg
0.02O
2は、Li
+/Liに対する4.162Vの電圧での放電中のdQ・dV
-1曲線において、-900mAh・g
-1V
-1の最小値を示す。
【0082】
dQ・dV
-1プロットを計算するために、リチウム金属コインセルをLi
+/Liに対する2.8~4.4V内で、C/10率で循環させた。dQ/dV曲線を計算するために使用した循環データは、0.02Vステップで区切られている。各電圧におけるdQ/dV値は、上述の式1の式によって計算される。式1のQ
2という電荷は、対象の電圧V
2における全電荷であり、進行しているデータ点が電圧V
1、その充電及び放電サイクルに対する全電荷がQ
1である。dQ/dVの計算に使用されるデータは、0.02Vごとに取得されるため、ΔVは常に0.02Vとなり、単位はmAh・g
-1V
-1となる。取得されたデータ点間の0.02Vの電圧ステップは、ΔVが小さな値に設定されたときに非常に大きい値に増加する可能性があるmAh・g
-1V
-1の大きさに影響を与えるノイズを防止する。データ点(x、y)は、
【数15】
でプロットすることができる。
【0083】
比較例1
LiNi0.9Mn0.05Al0.05O2を含むコバルトを含まない正極活物質を、本明細書に記載の方法に従って調製した。ニッケル、マンガン、及びアルミニウムの溶解性塩を使用して、2.0mol・L-1で様々なモル比の水溶液を作製した。混合金属イオン水溶液は、窒素雰囲気下で、制御された速度でタンク型反応器に送り込まれた。6.0mol・L-1の水酸化カリウム及び1.0mol・L-1の水酸化アンモニウムの水溶液を別々にタンク型反応器に送り込み、pHを11.5±0.5に維持した。共沈殿反応は、50±5℃で行われた。その後、Ni0.9Mn0.05Al0.05(OH)2を含む前駆体を、洗浄、ろ過、及び乾燥を通して得て、1:1.03±0.07のモル比で水酸化リチウムと混合した。混合された前駆体及び水酸化リチウムを、毎分2.75±2.25リットルの流量の酸素雰囲気下、750±20℃で17.5±7.5時間焼成して、LiNi0.9Mn0.05Al0.05O2を得た。これらの化学組成におけるリチウム及び酸素含有量は、化学量論に基づくものであるが、リチウム及び酸素含有量は、その化学量論的値から逸脱していてもよいことが理解されよう。
【0084】
正極活物質は、約2.5g・cm-3のタップ密度を示した。N-メチル-2-ピロリドンにおける正極活物質のスラリーをアルミ箔集電体に堆積させ、溶媒を蒸発させることによって、正極活物質を複合正極電極に形成した。正極活物質の面積容量負荷は、およそ2.0mAh・cm-2であった。リチウム金属負極、ビニレンカーボネート添加剤(2重量%)を有するエチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネート(重量比3:7)の溶媒混合液に1.0モルのLiPF6を含む非水カーボネート系電解質に浸したポリプロピレン及びポリエチレンのブレンドを含むセパレータを用いて、正極を電気化学セルに組み立てた。電気化学セルを充電及び放電するためのガルバノスタットの電圧プロファイルを得た。
【0085】
図26は、リチウム金属と対になったリチウムイオンセルにおける様々な焼成条件を用いたLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2の、ガルバノスタットの充電-放電電圧プロファイル(上)及びサイクル数の関数としての比容量変化(下)を示す。全てのリチウムイオンセルを、周囲温度(25℃)でLi
+/Liに対する2.8V~4.4Vで循環させた。異なるLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2を同じNi
0.9Mn
0.05Al
0.05(OH)
2前駆体を使用して焼成した。0.98のリチウム/(ニッケル+マンガン+アルミニウム)率を有する、750℃で10時間焼成したLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2(左)は、79%のクローン効率を有するC/10率での第1のサイクルで186mAh・g
-1の比容量、C/10率での第4のサイクルで197mAh・g
-1の比容量、及びC/3率で100回の充電-放電サイクル後に69.0%の循環安定性を送達した。1.03のリチウム/(ニッケル+マンガン+アルミニウム)率を有する、750℃で15時間焼成したLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2(中央)は、84%のクローン効率を有するC/10率での第1のサイクルで203mAh・g
-1の比容量、C/10率での第4のサイクルで213mAh・g
-1の比容量、及びC/3率で100回の充電-放電サイクル後に91.9%の循環安定性を送達した。1.10のリチウム/(ニッケル+マンガン+アルミニウム)率を有する、760℃で12時間焼成したLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2(右)は、87%のクローン効率を有するC/10率での第1のサイクルで214mAh・g
-1の比容量、C/10率での第4のサイクルで218mAh・g
-1の比容量、及びC/3率で100回の充電-放電サイクル後に34.3%の循環安定性を送達した。
【0086】
図27では、0.98のリチウム/(ニッケル+マンガン+アルミニウム)率を有する、750℃で10時間焼成したLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2(黒)は、C/10率での放電中のLi
+/Liに対する4.19Vで最小値-650mAh・g
-1V
-1を示した。1.03のリチウム/(ニッケル+マンガン+アルミニウム)率を有する、750℃で15時間焼成したLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2(灰色)は、C/10率での放電中にLi
+/Liに対する4.22Vで最小値-550mAh・g
-1V
-1を示した。Li
aNi
1-b-cCo
bM
cO
d材料は、この比較例で示されるように、異なる焼成条件によって合成された、比エネルギー、第1のサイクルのクローン効率、電圧、速度能力、動作寿命、及び安全性を含むが、これらに限定されない、実質的に異なる電気化学特性を示すことが理解されよう。
【0087】
比較例2
Ni0.9Co0.05Mn0.05(OH)2又はNi0.9Co0.05Mn0.05CO3を含む低コバルト正極活物質前駆体を本明細書に記載の方法に従って調製した。ニッケル、コバルト、及びマンガンの溶解性塩を使用して、0.5mol・L-1~2.0mol・L-1で様々なモル比の水溶液を作製した。混合金属イオン水溶液は、窒素雰囲気下で、制御された速度でタンク型反応器に送り込まれた。1.0mol・L-1~6.0mol・L-1の水酸化カリウム又は炭酸ナトリウム、及び0.5mol・L-1~2.0mol・L-1の水酸化アンモニウムの水溶液を別々にタンク型反応器に送り込み、pHを8.0~12.5に維持した。共沈殿反応は、50±10℃で行われ、合計反応時間は、4時間~48時間まで変動した。その後、LiNi0.9Mn0.05Al0.05(OH)2又はNi0.9Co0.05Mn0.05CO3を含む前駆体を、タンク型反応器からの材料の洗浄、ろ過、及び乾燥を通して得た。次いで、前駆体は、LiNi0.9Co0.05Mn0.05O2正極材料を作製するために使用される。
【0088】
図28は、様々な共沈殿条件を有するNi
0.9Co
0.05Mn
0.05(OH)
2又はNi
0.9Co
0.05Mn
0.05CO
3の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。pH10.75、温度50℃、及び反応時間6時間において、水酸化カリウムで沈殿させたNi
0.9Co
0.05Mn
0.05(OH)
2(左上)は、平均粒子径4μm~6μm、及びタップ密度1.4g・cm
-3を示した。pH10.50、温度50℃、及び反応時間4時間において、水酸化カリウムで沈殿させたNi
0.9Co
0.05Mn
0.05(OH)
2(上段中)は、平均粒子径1μm~10μm、及びタップ密度1.5g・cm
-3を示した。pH8.30、温度60℃、及び反応時間6時間において、炭酸ナトリウムで沈殿させたNi
0.9Co
0.05Mn
0.05CO
3(右上)は、平均粒子径6μm~10μm、及びタップ密度1.8g・cm
-3を示した。pH11.25、温度50℃、及び反応時間12時間において、水酸化カリウムで沈殿させたNi
0.9Co
0.05Mn
0.05(OH)
2(左下)は、平均粒子径8μm~10μm、及びタップ密度2.3g・cm
-3を示した。pH11.25、温度50℃、及び反応時間36時間において、水酸化カリウムで沈殿させたNi
0.9Co
0.05Mn
0.05(OH)
2(右下)は、平均粒子径25μm、及びタップ密度2.5g・cm
-3を示した。沈殿させた前駆体の形態及び微細構造は、リチウム化焼成後も大部分が保存され、それにより、Li
aNi
1-b-cCo
bM
cO
dの物理特性及び電気化学特性に大きな影響を与えることが理解されよう。この比較例では、平均粒子径、粒子径分布、及びタップ密度は、異なる条件で沈殿させた前駆体間で大きく変動し、リチウムイオンセル中のLiNi
0.9Co
0.05Mn
0.05O
2の質量及び体積エネルギー密度、速度能力、並びに動作寿命に大きな影響を与えている。
【0089】
比較例3
LiNi0.95Mn0.05O2及びLiNi0.9Mn0.05Al0.05O2を含むコバルトを含まない正極活物質を、本明細書に記載の方法に従って調製した。最初に、2.0mol・L-1で様々なモル比の水溶液中のニッケル及びマンガンの溶解性塩を使用して、Ni0.95Mn0.05(OH)2を含む正極活物質前駆体を調製した。混合金属イオン水溶液は、窒素雰囲気下で、制御された速度でタンク型反応器に送り込まれた。6.0mol・L-1の水酸化カリウム及び1.0mol・L-1の水酸化アンモニウムの水溶液を別々にタンク型反応器に送り込み、pHを11.65±0.25に維持した。共沈殿反応は、50±5℃で行われた。その後、Ni0.95Mn0.05(OH)2を含む前駆体を、洗浄、ろ過、及び乾燥を通して得た。LiNi0.95Mn0.05O2を得るために、Ni0.95Mn0.05(OH)2を含む前駆体を、1:1.02±0.03のモル比で水酸化リチウムと混合した。混合された前駆体及び水酸化リチウムを、毎分2.75±2.25リットルの流量の酸素雰囲気下、700±20℃で17.5±7.5時間焼成した。LiNi0.9Mn0.05Al0.05O2を得るために、Ni0.95Mn0.05(OH)2を含む前駆体を、最初に、120rpmのボールミルを介してモル比0.95:0.05でアルミニウムイソプロポキシドと24時間乾式混合し、次いで、アルミニウムイソプロポキシドと混合した前駆体を、モル比1:1.02±0.03で水酸化リチウムと更に混合した。混合された前駆体、アルミニウムイソプロポキシド、及び水酸化リチウムを、毎分2.75±2.25リットルの流量の酸素雰囲気下、750±20℃で17.5±7.5時間焼成した。これらの化学組成におけるリチウム及び酸素含有量は、化学量論に基づくものであるが、リチウム及び酸素含有量は、その化学量論的値から逸脱していてもよいことが理解されよう。
【0090】
正極活物質は、約2.5g・cm-3のタップ密度を示した。N-メチル-2-ピロリドンにおける正極活物質のスラリーをアルミ箔集電体に堆積させ、溶媒を蒸発させることによって、正極活物質を複合正極電極に形成した。正極活物質の面積容量負荷は、およそ2.0mAh・cm-2であった。リチウム金属負極、ビニレンカーボネート添加剤(2重量%)を有するエチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネート(重量比3:7)の溶媒混合液に1.0モルのLiPF6を含む非水カーボネート系電解質に浸したポリプロピレン及びポリエチレンのブレンドを含むセパレータを用いて、正極を電気化学セルに組み立てた。電気化学セルを充電及び放電するためのガルバノスタットの電圧プロファイルを得た。
【0091】
図29は、リチウム金属と対になったリチウムイオンセルにおけるLiNi
0.95Mn
0.05O
2及びLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2のサイクル数の関数としての比エネルギー変化を示す。全てのリチウムイオンセルを、周囲温度(25℃)においてLi
+/Liに対する2.8V~4.4Vで循環させた。LiNi
0.95Mn
0.05O
2は、C/10率での第1のサイクルで200mAh・g
-1の比エネルギー、C/3率での第4のサイクルで202mAh・g
-1の比エネルギー、及びC/3率で100回の充電-放電サイクル後に88.2%の循環安定性を送達した。Ni
0.95Mn
0.05(OH)
2を含む前駆体及びアルミニウムイソプロポキシドを使用して調製したLiNi
0.9Mn
0.05Al
0.05O
2は、C/10率での第1のサイクルで208mAh・g
-1の比エネルギー、C/3率での第5のサイクルで202mAh・g
-1の比エネルギー、及びC/3率で100回の充電-放電サイクル後に42.9%の循環安定性を送達した。Li
aNi
1-b-cCo
bM
cO
d材料は、この比較例で示されるように、実質的に異なる電気化学特性を示し、共沈殿からの異なる材料前駆体によって合成された電気化学循環中に少しも安定し得ないことが理解されよう。
【0092】
参考文献
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韓国特許又は公開第2016/023496(A)号、同第1702572(B1)号、同第1020211151(B1)号。
【0093】
例示的な態様
以下で使用されるように、一連の態様(例えば、「態様1~4」)又は態様の非列挙群(例えば、「任意の前若しくは後の態様」)への任意の参照は、これらの態様の各々への選言的な参照として理解される(例えば、「態様1~4」は、「態様1、2、3、又は4」であると理解される)。
【0094】
態様1は、電極活物質であって、LiaNi1-b-cCobMcOdを含み、式中、aが、0.9~1.1であり、bが、0~0.05であり、cが、0~0.67であり、dが、1.9~2.1であり、Mが、Mn、Al、Mg、Fe、Cr、B、Ti、Zr、Ga、Zn、V、Cu、Yb、Li、Na、K、F、Ba、Ca、Lu、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Ta、Pr、W、Ir、In、Tl、Sn、Sr、S、P、Cl、Ge、Sb、Er、Te、La、Ce、Nd、Dy、Eu、Sc、Se、Si、Tc、Pd、Pm、Sm、Gd、Tb、Ho、Tm、又はこれらの任意の組み合わせである、電極活物質。
【0095】
態様2は、電極活物質であって、LiaNi1-b-cCobMcOdを含み、式中、aが、0.9~1.1であり、bが、0~0.1であり、cが、0~0.67であり、dが、1.9~2.1であり、Mが、Mn、Al、Mg、Fe、Cr、B、Ti、Zr、Ga、Zn、V、Cu、Yb、Li、Na、K、F、Ba、Ca、Lu、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Ta、Pr、W、Ir、In、Tl、Sn、Sr、S、P、Cl、Ge、Sb、Er、Te、La、Ce、Nd、Dy、Eu、Sc、Se、Si、Tc、Pd、Pm、Sm、Gd、Tb、Ho、Tm、又はこれらの任意の組み合わせであり、電極活物質が、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1のLi+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とし、25℃でのLi+/Liに対する5V~3VのC/10放電率の比エネルギーの80%~100%である、Li+/Liに対する5V~3Vの1C放電率の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0096】
態様3は、電極活物質であって、LiaNi1-b-cCobMcOdを含み、式中、aが、0.9~1.1であり、bが、0~0.05であり、cが、0~0.67であり、dが、1.9~2.1であり、Mが、Mn、Al、Mg、Fe、Cr、B、Ti、Zr、Ga、Zn、V、Cu、Yb、Li、Na、K、F、Ba、Ca、Lu、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Ta、Pr、W、Ir、In、Tl、Sn、Sr、S、P、Cl、Ge、Sb、Er、Te、La、Ce、Nd、Dy、Eu、Sc、Se、Si、Tc、Pd、Pm、Sm、Gd、Tb、Ho、及びTmからなる群から選択された、少なくとも1つの要素であり、電極活物質が、Li+/Liに対する4.15V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示す、電極活物質。
【0097】
態様4は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、Mが、MnとAlとの組み合わせ、MnとMgとAlとの組み合わせ、MnとMgとの組み合わせ、AlとMgとの組み合わせ、又はTiとMgとAlとの組み合わせである、電極活物質。
【0098】
態様5は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、Mが、Fe若しくはZn、又はFe及びZnの両方を含む、電極活物質。
【0099】
態様6は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、活物質が、Coを含まないか、又は実質的に含まない、電極活物質。
【0100】
態様7は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、bが、0であるか、又はbが、0.01未満である、電極活物質。
【0101】
態様8は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、aが、0.9~1である、電極活物質。
【0102】
態様9は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、aが、1~1.1である、電極活物質。
【0103】
態様10は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、bが、0~0.01であり、cは、0~0.01である、電極活物質。
【0104】
態様11は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、cが、0.1~0.5、0.1~0.2、又は0.2~0.4である、電極活物質。
【0105】
態様12は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、dが、1.95~2.05である、電極活物質。
【0106】
態様13は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、2.0g・cm-3~3.5g・cm-3のタップ密度を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0107】
態様14は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、2.3g・cm-3~3.0g・cm-3のタップ密度を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0108】
態様15は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、2.5g・cm-3~2.8g・cm-3のタップ密度を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0109】
態様16は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1のLi+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0110】
態様17は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、25℃での600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1のLi+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0111】
態様18は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、700Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、800Wh・kg-1~1000Wh・kg-1、若しくは900Wh・kg-1~1000Wh・kg-1のLi+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0112】
態様19は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、Li+/Liに対する4.15V~4.30Vの電圧での放電中に最小値が-300mAh・g-1V-1以下である、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0113】
態様20は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、Li+/Liに対する4.15V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0114】
態様21は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、Li+/Liに対する4.16V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0115】
態様22は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、Li+/Liに対する4.17V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0116】
態様23は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、Li+/Liに対する4.18V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0117】
態様24は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、Li+/Liに対する4.19V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0118】
態様25は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、Li+/Liに対する4.20V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0119】
態様26は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、Li+/Liに対する4.21V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0120】
態様27は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、Li+/Liに対する4.22V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0121】
態様28は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、-300mAh・g-1V-1~-3000mAh・g-1V-1など、-300mAh・g-1V-1以下の大きさでの放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0122】
態様29は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、-400mAh・g-1V-1以下の大きさでの放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0123】
態様30は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、-500mAh・g-1V-1以下の大きさでの放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0124】
態様31は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、-600mAh・g-1V-1以下の大きさでの放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0125】
態様32は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、-800mAh・g-1V-1以下の大きさでの放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0126】
態様33は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、-1000mAh・g-1V-1以下の大きさでの放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0127】
態様34は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、-1500mAh・g-1V-1以下の大きさでの放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0128】
態様35は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、-2000mAh・g-1V-1以下の大きさでの放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0129】
態様36は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、-2500mAh・g-1V-1以下の大きさでの放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV-1曲線を示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0130】
態様37は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の1C放電率で、Li+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0131】
態様38は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1のC/10放電率で、Li+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0132】
態様39は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の元の比エネルギーの80%を超える500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0133】
態様40は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の元の比エネルギーの85%を超える1000回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0134】
態様41は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の元の比エネルギーの90%を超える500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0135】
態様42は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、600Wh・kg-1~1000Wh・kg-1の元の比エネルギーの95%を超える100回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0136】
態様43は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、一部分のみが、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数16】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0137】
態様44は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、電極活物質の99体積パーセント以下が、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数17】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0138】
態様45は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、表面領域及びバルク領域を有するか、又はこれらを特徴とし、表面領域が、活物質又はその粒子の表面から断面寸法の20%以内である、活物質又はその粒子の第1の部分に対応し、バルク領域が、表面領域よりも深い活物質又はその粒子の第2の部分に対応する、電極活物質。
【0139】
態様46は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、バルク領域が、スピネル、P4
332若しくは
【数18】
結晶構造、リチウム過剰若しくはC2/m結晶構造、又は岩塩若しくは
【数19】
結晶構造を含まないか、若しくは実質的に含まないか、又はこれらを示さない、電極活物質。
【0140】
態様47は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、表面領域の少なくとも一部分が、スピネル、P4
332若しくは
【数20】
結晶構造、リチウム過剰若しくはC2/m結晶構造、又は岩塩若しくは
【数21】
結晶構造を含むか、又はこれらを特徴とする、電極活物質。
【0141】
態様48は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、バルク領域が、LiFePO4(Pmnb/Pnma)若しくは別のポリアニオン構造を含まないか、若しくは実質的に含まないか、又はこれらを示さない、電極活物質。
【0142】
態様49は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、表面領域の少なくとも一部分が、LiFePO4(Pmnb/Pnma)若しくは別のポリアニオン構造を含むか、又はこれらを特徴とする、電極活物質。
【0143】
態様50は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、500nm~30μmの断面寸法を有するLiaN1-b-cCobMcOdの粒子を含む、電極活物質。
【0144】
態様51は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、複数の二次粒子を含む、電極活物質。
【0145】
態様52は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、複数の二次粒子が、500nm~30μmの断面寸法を有する、電極活物質。
【0146】
態様53は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、複数の二次粒子が、500nm~2.5μmの断面寸法を有する、電極活物質。
【0147】
態様54は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、複数の二次粒子が、2.5μm~7.5μmの断面寸法を有する、電極活物質。
【0148】
態様55は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、複数の二次粒子が、7.5μm~15μmの断面寸法を有する、電極活物質。
【0149】
態様56は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、複数の二次粒子が、15μm~30μmの断面寸法を有する、電極活物質。
【0150】
態様57は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、複数の二次粒子が、実質的に単分散である、電極活物質。
【0151】
態様58は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、複数の二次粒子が、多分散であり、第1の断面寸法分布を有する第1の部分、及び第1の断面寸法分布より少なくとも10倍大きい第2の断面寸法分布を有する第2の部分を含む、電極活物質。
【0152】
態様59は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、複数の二次粒子が、実質的に球形状である、電極活物質。
【0153】
態様60は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、二次粒子のうちの少なくともいくつかが、各々、複数の一次粒子を含む、電極活物質。
【0154】
態様61は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、複数の一次粒子が、10nm~10μmの断面寸法を有する、電極活物質。
【0155】
態様62は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、複数の一次粒子が、10nm~100nmの断面寸法を有する、電極活物質。
【0156】
態様63は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、複数の一次粒子が、100nm~1000nmの断面寸法を有する、電極活物質。
【0157】
態様64は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、複数の一次粒子が、1μm~10μmの断面寸法を有する、電極活物質。
【0158】
態様65は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、複数の一次粒子が、実質的に単分散である、電極活物質。
【0159】
態様66は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、二次粒子のうちの少なくともいくつかが、各々独立して、1つの一次粒子からなる、電極活物質。
【0160】
態様67は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、25℃でのLi+/Liに対する5V~3VのC/10放電率の比エネルギーの80%~100%の、Li+/Liに対する5V~3Vの1C放電率の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0161】
態様68は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、25℃でのLi+/Liに対する5V~3VのC/10放電率の比エネルギーの85%~100%の、Li+/Liに対する5V~3Vの1C放電率の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0162】
態様69は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、25℃でのLi+/Liに対する5V~3VのC/10放電率の比エネルギーの90%~100%の、Li+/Liに対する5V~3Vの1C放電率の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0163】
態様70は、任意の前後の態様に記載の電極活物質であって、25℃での750Wh・kg-1~1000Wh・kg-1のLi+/Liに対する5V~3Vの1C放電率の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
【0164】
態様71は、任意の前の態様に記載の電極活物質を含む電極。
【0165】
態様72は、任意の前後の態様に記載の電極であって、集電体を更に含む、電極。
【0166】
態様73は、電気化学セルであって、任意の前の態様に記載の電極を含む正極と、負極と、正極と負極との間の電解質と、を含む、電気化学セル。
【0167】
態様74は、任意の前後の態様に記載の電気化学セルであって、負極が、黒鉛、炭素、ケイ素、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、すず、アンチモン、亜鉛、亜リン酸、リチウム、又はこれらの組み合わせを含む、電気化学セル。
【0168】
態様75は、任意の前後の態様に記載の電気化学セルであって、正極若しくは負極、又はその両方が、独立して、活物質、集電体、固体電解質、結着剤、又は導電性添加剤のうちの1つ以上を含む、電気化学セル。
【0169】
態様76は、任意の前後の態様に記載の電気化学セルであって、電解質が、液体電解質である、電気化学セル。
【0170】
態様77は、任意の前後の態様に記載の電気化学セルであって、電解質が、半固体電解質である、電気化学セル。
【0171】
態様78は、任意の前後の態様に記載の電気化学セルであって、電解質が、固体電解質である、電気化学セル。
【0172】
態様79は、任意の前後の態様に記載の電気化学セルであって、電解質が、非水電解質である、電気化学セル。
【0173】
参照による組み込み及び変形例に関する記述
本出願を通じた全ての参考文献、例えば、発行済み若しくは付与された特許又は同等物を含む特許文書、特許出願公開、及び非特許文献文書若しくは他の資料は、参照により個々に組み込まれるように、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0174】
本明細書に記載された全ての特許及び刊行物は、本発明が属する技術分野における当業者の技術水準を示すものである。本明細書で引用した参考文献は、場合によっては、その出願日時点での最先端を示すために、その全体が参照により本明細書に組み込まれており、この情報は、必要に応じて、先行技術にある特定の実施形態を除外する(例えば、免責する)ために本明細書に採用できることが意図される。
【0175】
本明細書において、ある置換基群が開示されるとき、それらの群の全ての個々の部材、並びにその置換基を用いて形成することができる全ての下位群及びクラスが別々に開示されることが理解される。本明細書において、マーカッシュ群又は他の集団が用いられるとき、その群の全ての個々の部材、並びにその群の可能な全ての組み合わせ及び下位組み合わせは、本開示に個々に含まれることが意図されている。本明細書で使用するとき、「及び/又は」は、「及び/又は」で区切られたリスト内の項目の1つ、全て、又は任意の組み合わせがリストに含まれることを意味し、例えば「1、2、及び/又は3」は、「『1』若しくは『2』若しくは『3』、又は『1及び2』若しくは『1及び3』若しくは『2及び3』、又は『1、2、及び3』」と同等である。
【0176】
記載又は例示されている構成要素のあらゆる配合又は組み合わせは、特に明記しない限り、本発明を実施するために用いることができる。当業者であれば、同じ材料に異なる名前を付けることができることを知っているため、材料の具体的な名前は例示を意図したものである。具体的に例示した以外の方法、装置要素、出発材料、及び合成方法を、不要な実験に頼ることなく、本発明の実施に採用できることが理解されよう。任意のこのような方法、装置要素、出発材料、及び合成方法の、全ての技術的に知られた機能的同等物は、本発明に含まれることが意図されている。本明細書において、範囲、例えば、温度範囲、時間範囲、組成範囲が示されるときは必ず、全ての中間範囲及び小範囲、並びに示される範囲に含まれる全ての個々の値が、本開示に含まれることを意図している。
【0177】
本明細書で使用するとき、「備える(comprising)」は、「含む(including)」、「含む(containing)」、又は「を特徴とする(characterized by)」と同義であり、包括的若しくは開放的であり、追加の、再現されていない要素、又は方法ステップを除外しない。本明細書で使用するとき、「~からなる」は、請求項の要素で指定されていない任意の要素、ステップ、又は成分を除外する。本明細書で使用するとき、「本質的に~からなる」は、請求項の基本的かつ新規な特性に重大な影響を与えない材料又はステップを除外しない。本明細書において、「含む(comprising)」という用語のいかなる記載も、特に組成物の成分の説明において、又は装置の要素の説明において、記載された成分若しくは要素から本質的になる、それらの組成物及び方法を含むものと理解される。本明細書に例示的に記載された本発明は、好適には、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素若しくは複数の要素、制限若しくは複数の制限がない場合に実施され得るものである。
【0178】
採用されている用語及び表現は、説明の用語として使用され、これに限定されるものではなく、そのような用語及び表現の使用において、示され、説明された特徴又はその一部分の任意の同等物を除外する意図はないが、請求された本発明の範囲内で様々な変更が可能であることは認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修正及び変形は、当業者によって頼ることができ、そのような修正及び変形は、添付の請求項によって定義される本発明の範囲内にあるとみなされることが理解されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極活物質であって、
Li
aNi
1-b-cCo
bM
cO
dを含み、式中、
aが、0.9~1.1であり、
bが、0~0.05であり、
cが、0~0.67であり、
dが、1.9~2.1であり、
Mが、Mn、Al、Mg、Fe、Cr、B、Ti、Zr、Ga、Zn、V、Cu、Yb、Li、Na、K、F、Ba、Ca、Lu、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Ta、Pr、W、Ir、In、Tl、Sn、Sr、S、P、Cl、Ge、Sb、Er、Te、La、Ce、Nd、Dy、Eu、Sc、Se、Si、Tc、Pd、Pm、Sm、Gd、Tb、Ho、Tm、又はこれらの任意の組み合わせ
であり、
前記電極活物質が、Li
+
/Liに対する4.19V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV
-1
曲線を示す、電極活物質。
【請求項2】
Mが、
MnとAlとの組み合わせ、
MnとMgとAlとの組み合わせ、
MnとMgとの組み合わせ、
AlとMgとの組み合わせ、又は
TiとMgとAlとの組み合わせである、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項3】
Mが、Fe若しくはZn、又はFe及びZnの両方を含む、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項4】
前記活物質が、Coを含まないか、又は実質的に含まない、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項5】
bが、0であるか、又はbが、0.01未満である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項6】
aが、0.9~1である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項7】
aが、1~1.1である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項8】
bが、0~0.01であり、c
が、0~0.01である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項9】
cが、0.1~0.5、0.1~0.2、又は0.2~0.4である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項10】
dが、1.95~2.05である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項11】
2.0g・cm
-3~3.5g・cm
-3のタップ密度を示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項12】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1のLi
+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項13】
25℃での600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1のLi
+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項14】
700Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1、800Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1、若しくは900Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1のLi
+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項15】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1の1C放電率で、Li
+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項16】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1のC/10放電率で、Li
+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項17】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.20V~4.30Vの電圧である、請求項
1に記載の電極活物質。
【請求項18】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.21V~4.30Vの電圧である、請求項
1に記載の電極活物質。
【請求項19】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.22V~4.30Vの電圧である、請求項
1に記載の電極活物質。
【請求項20】
前記最小値が、-300mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
1に記載の電極活物質。
【請求項21】
前記最小値が、-400mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
1に記載の電極活物質。
【請求項22】
前記最小値が、-500mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
1に記載の電極活物質。
【請求項23】
前記最小値が、-600mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
1に記載の電極活物質。
【請求項24】
前記最小値が、-800mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
1に記載の電極活物質。
【請求項25】
前記最小値が、-1000mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
1に記載の電極活物質。
【請求項26】
前記最小値が、-1500mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
1に記載の電極活物質。
【請求項27】
前記最小値が、-2000mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
1に記載の電極活物質。
【請求項28】
前記最小値が、-2500mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
1に記載の電極活物質。
【請求項29】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1の元の比エネルギーの80%を超える500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項30】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1の元の比エネルギーの80%を超える1000回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項31】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1の元の比エネルギーの90%を超える500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項32】
600Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1の元の比エネルギーの95%を超える100回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項33】
一部分のみが、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数22】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項34】
前記電極活物質の99体積パーセント以下が、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数23】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とする、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項35】
表面領域及びバルク領域を有するか、又はこれらを特徴とし、前記表面領域が、前記活物質又はその粒子の表面から断面寸法の20%以内である、前記活物質又はその粒子の第1の部分に対応し、前記バルク領域が、前記表面領域よりも深い前記活物質又はその粒子の第2の部分に対応する、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項36】
前記バルク領域が、スピネル、P4
332若しくは
【数24】
結晶構造、リチウム過剰若しくはC2/m結晶構造、又は岩塩若しくは
【数25】
結晶構造を含まないか、若しくは実質的に含まないか、又はこれらを示さない、請求項40に記載の電極活物質。
【請求項37】
前記表面領域の少なくとも一部分が、スピネル、P4
332若しくは
【数26】
結晶構造、リチウム過剰若しくはC2/m結晶構造、又は岩塩若しくは
【数27】
結晶構造を含むか、又はこれらを特徴とする、請求項
35に記載の電極活物質。
【請求項38】
前記バルク領域が、LiFePO
4(Pmnb/Pnma)若しくは別のポリアニオン構造を含まないか、若しくは実質的に含まないか、又はこれらを示さない、請求項40に記載の電極活物質。
【請求項39】
前記表面領域の少なくとも一部分が、LiFePO
4(Pmnb/Pnma)若しくは別のポリアニオン構造を含むか、又はこれらを特徴とする、請求項
35に記載の電極活物質。
【請求項40】
500nm~30μmの断面寸法を有するLi
aN
1-
b-
cCo
bM
cO
dの粒子を含む、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項41】
複数の二次粒子を含む、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項42】
前記複数の二次粒子が、500nm~30μmの断面寸法を有する、請求項
41に記載の電極活物質。
【請求項43】
前記複数の二次粒子が、実質的に単分散である、請求項
41に記載の電極活物質。
【請求項44】
前記複数の二次粒子が、多分散であり、第1の断面寸法分布を有する第1の部分、及び前記第1の断面寸法分布より少なくとも10倍大きい第2の断面寸法分布を有する第2の部分を含む、請求項
41に記載の電極活物質。
【請求項45】
前記複数の二次粒子が、実質的に球形状である、請求項
41に記載の電極活物質。
【請求項46】
前記二次粒子のうちの少なくともいくつかが、各々、複数の一次粒子を含む、請求項
41に記載の電極活物質。
【請求項47】
前記複数の一次粒子が、10nm~10μmの断面寸法を有する、請求項
46に記載の電極活物質。
【請求項48】
前記複数の一次粒子が、実質的に単分散である、請求項
46に記載の電極活物質。
【請求項49】
前記二次粒子のうちの少なくともいくつかが、各々独立して、1つの一次粒子からなる、請求項
41に記載の電極活物質。
【請求項50】
電極活物質であって、
Li
aNi
1-b-cCo
bM
cO
dを含み、式中、
aが、0.9~1.1であり、
bが、0~
0.05であり、
cが、0~0.67であり、
dが、1.9~2.1であり、
Mが、Mn、Al、Mg、Fe、Cr、B、Ti、Zr、Ga、Zn、V、Cu、Yb、Li、Na、K、F、Ba、Ca、Lu、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Ta、Pr、W、Ir、In、Tl、Sn、Sr、S、P、Cl、Ge、Sb、Er、Te、La、Ce、Nd、Dy、Eu、Sc、Se、Si、Tc、Pd、Pm、Sm、Gd、Tb、Ho、Tm、又はこれらの任意の組み合わせであり、前記電極活物質が、
850Wh・kg
-1~1000Wh・kg
-1の
C/10放電率で、Li+/Liに対する
4.4V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴
とする、電極活物質。
【請求項51】
元の比エネルギーの80%を超える500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項52】
元の比エネルギーの80%を超える1000回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項53】
元の比エネルギーの90%を超える500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項54】
元の比エネルギーの95%を超える100回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項55】
25℃でのC/10放電率で、Li
+
/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーの80%~100%の、25℃での1C放電率で、Li
+
/Liに5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項50に記載の電極活物質。
【請求項56】
25℃でのC/10放電率で、Li
+
/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーの85%~100%の、25℃での1C放電率で、Li
+
/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項50に記載の電極活物質。
【請求項57】
25℃でのC/10放電率で、Li
+/Liに対する5V~3Vの
単一放電の比エネルギーの90%~100%の、25℃での1C放電率で、Li+/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、請求項50に記載の電極活物質。
【請求項58】
Mが、
MnとAlとの組み合わせ、
MnとMgとAlとの組み合わせ、
MnとMgとの組み合わせ、
AlとMgとの組み合わせ、又は
TiとMgとAlとの組み合わせである、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項59】
Mが、Fe若しくはZn、又はFe及びZnの両方を含む、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項60】
前記活物質が、Coを含まないか、又は実質的に含まない、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項61】
bが、0であるか、又はbが、0.01未満である、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項62】
aが、0.9~1である、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項63】
aが、1~1.1である、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項64】
bが、0~0.01であり、cは、0~0.01である、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項65】
cが、0.1~0.5、0.1~0.2、又は0.2~0.4である、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項66】
dが、1.95~2.05である、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項67】
2.0g・cm
-3~3.5g・cm
-3のタップ密度を示すか、又はこれを特徴とする、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項68】
Li
+/Liに対する4.15V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV
-1曲線を示す、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項69】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.16V~4.30Vの電圧である、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項70】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.17V~4.30Vの電圧である、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項71】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.18V~4.30Vの電圧である、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項72】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.19V~4.30Vの電圧である、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項73】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.20V~4.30Vの電圧である、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項74】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.21V~4.30Vの電圧である、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項75】
前記最小値が、Li
+/Liに対する4.22V~4.30Vの電圧である、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項76】
前記最小値が、-300mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項77】
前記最小値が、-400mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項78】
前記最小値が、-500mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項79】
前記最小値が、-600mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項80】
前記最小値が、-800mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項81】
前記最小値が、-1000mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項82】
前記最小値が、-1500mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項83】
前記最小値が、-2000mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項84】
前記最小値が、-2500mAh・g
-1V
-1以下の大きさを有する、請求項
68に記載の電極活物質。
【請求項85】
一部分のみが、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数28】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とする、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項86】
前記電極活物質の99体積パーセント以下が、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数29】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とする、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項87】
表面領域及びバルク領域を有するか、又はこれらを特徴とし、前記表面領域が、前記活物質又はその粒子の表面から断面寸法の20%以内である、前記活物質又はその粒子の第1の部分に対応し、前記バルク領域が、前記表面領域よりも深い前記活物質又はその粒子の第2の部分に対応する、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項88】
前記バルク領域が、スピネル、P4
332若しくは
【数30】
結晶構造、リチウム過剰若しくはC2/m結晶構造、又は岩塩若しくは
【数31】
結晶構造を含まないか、若しくは実質的に含まないか、又はこれらを示さない、請求項
87に記載の電極活物質。
【請求項89】
前記表面領域の少なくとも一部分が、スピネル、P4
332若しく
は
【数101】
結晶構造、リチウム過剰若しくはC2/m結晶構造、又は岩塩若しく
は
【数102】
結晶構造を含むか、又はこれらを特徴とする、請求項
87に記載の電極活物質。
【請求項90】
前記バルク領域が、LiFePO
4(Pmnb/Pnma)若しくは別のポリアニオン構造を含まないか、若しくは実質的に含まないか、又はこれらを示さない、請求項
87に記載の電極活物質。
【請求項91】
前記表面領域の少なくとも一部分が、LiFePO
4(Pmnb/Pnma)若しくは別のポリアニオン構造を含むか、又はこれらを特徴とする、請求項
87に記載の電極活物質。
【請求項92】
500nm~30μmの断面寸法を有するLi
aN
1-
b-
cCo
bM
cO
dの粒子を含む、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項93】
複数の二次粒子を含む、請求項
50に記載の電極活物質。
【請求項94】
前記複数の二次粒子が、500nm~30μmの断面寸法を有する、請求項
93に記載の電極活物質。
【請求項95】
前記複数の二次粒子が、実質的に単分散である、請求項
93に記載の電極活物質。
【請求項96】
前記複数の二次粒子が、多分散であり、第1の断面寸法分布を有する第1の部分、及び前記第1の断面寸法分布より少なくとも10倍大きい第2の断面寸法分布を有する第2の部分を含む、請求項
93に記載の電極活物質。
【請求項97】
前記複数の二次粒子が、実質的に球形状である、請求項
93に記載の電極活物質。
【請求項98】
前記二次粒子のうちの少なくともいくつかが、各々、複数の一次粒子を含む、請求項
93に記載の電極活物質。
【請求項99】
前記複数の一次粒子が、10nm~10μmの断面寸法を有する、請求項
98に記載の電極活物質。
【請求項100】
前記複数の一次粒子が、実質的に単分散である、請求項
98に記載の電極活物質。
【請求項101】
前記二次粒子のうちの少なくともいくつかが、各々独立して、1つの一次粒子からなる、請求項
93に記載の電極活物質。
【請求項102】
請求項1~
101のいずれか一項に記載の電極活物質を含む、電極。
【請求項103】
集電体を更に
含む、請求項
102に記載の電極。
【請求項104】
電気化学セルであって、
請求項
102に記載の電極を含む正極と、
負極と、
前記正極と前記負極との間の電解質と、を含む、電気化学セル。
【請求項105】
前記負極が、黒鉛、炭素、ケイ素、チタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)、すず、アンチモン、亜鉛、亜リン酸、リチウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項104に記載の電気化学セル。
【請求項106】
前記正極若しくは前記負極、又はその両方が、独立して、活物質、集電体、固体電解質、結着剤、又は導電性添加剤のうちの1つ以上を含む、請求項
104に記載の電気化学セル。
【請求項107】
前記電解質が、液体電解質である、請求項
104に記載の電気化学セル。
【請求項108】
前記電解質が、半固体電解質である、請求項
104に記載の電気化学セル。
【請求項109】
前記電解質が、固体電解質である、請求項
104に記載の電気化学セル。
【請求項110】
前記電解質が、非水電解質である、請求項
104に記載の電気化学セル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0178
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0178】
採用されている用語及び表現は、説明の用語として使用され、これに限定されるものではなく、そのような用語及び表現の使用において、示され、説明された特徴又はその一部分の任意の同等物を除外する意図はないが、請求された本発明の範囲内で様々な変更が可能であることは認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修正及び変形は、当業者によって頼ることができ、そのような修正及び変形は、添付の請求項によって定義される本発明の範囲内にあるとみなされることが理解されるべきである。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
電極活物質であって、
Li
a
Ni
1-b-c
Co
b
M
c
O
d
を含み、式中、
aが、0.9~1.1であり、
bが、0~0.05であり、
cが、0~0.67であり、
dが、1.9~2.1であり、
Mが、Mn、Al、Mg、Fe、Cr、B、Ti、Zr、Ga、Zn、V、Cu、Yb、Li、Na、K、F、Ba、Ca、Lu、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Ta、Pr、W、Ir、In、Tl、Sn、Sr、S、P、Cl、Ge、Sb、Er、Te、La、Ce、Nd、Dy、Eu、Sc、Se、Si、Tc、Pd、Pm、Sm、Gd、Tb、Ho、Tm、又はこれらの任意の組み合わせである、電極活物質。
(項目2)
Mが、
MnとAlとの組み合わせ、
MnとMgとAlとの組み合わせ、
MnとMgとの組み合わせ、
AlとMgとの組み合わせ、又は
TiとMgとAlとの組み合わせである、項目1に記載の電極活物質。
(項目3)
Mが、Fe若しくはZn、又はFe及びZnの両方を含む、項目1に記載の電極活物質。
(項目4)
前記活物質が、Coを含まないか、又は実質的に含まない、項目1に記載の電極活物質。
(項目5)
bが、0であるか、又はbが、0.01未満である、項目1に記載の電極活物質。
(項目6)
aが、0.9~1である、項目1に記載の電極活物質。
(項目7)
aが、1~1.1である、項目1に記載の電極活物質。
(項目8)
bが、0~0.01であり、cは、0~0.01である、項目1に記載の電極活物質。
(項目9)
cが、0.1~0.5、0.1~0.2、又は0.2~0.4である、項目1に記載の電極活物質。
(項目10)
dが、1.95~2.05である、項目1に記載の電極活物質。
(項目11)
2.0g・cm
-3
~3.5g・cm
-3
のタップ密度を示すか、又はこれを特徴とする、項目1に記載の電極活物質。
(項目12)
600Wh・kg
-1
~1000Wh・kg
-1
のLi
+
/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、項目1に記載の電極活物質。
(項目13)
25℃での600Wh・kg
-1
~1000Wh・kg
-1
のLi
+
/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、項目1に記載の電極活物質。
(項目14)
700Wh・kg
-1
~1000Wh・kg
-1
、800Wh・kg
-1
~1000Wh・kg
-1
、若しくは900Wh・kg
-1
~1000Wh・kg
-1
のLi
+
/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、項目1に記載の電極活物質。
(項目15)
600Wh・kg
-1
~1000Wh・kg
-1
の1C放電率で、Li
+
/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、項目1に記載の電極活物質。
(項目16)
600Wh・kg
-1
~1000Wh・kg
-1
のC/10放電率で、Li
+
/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、項目1に記載の電極活物質。
(項目17)
Li
+
/Liに対する4.15V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV
-1
曲線を示す、項目1に記載の電極活物質。
(項目18)
前記最小値が、Li
+
/Liに対する4.16V~4.30Vの電圧である、項目17に記載の電極活物質。
(項目19)
前記最小値が、Li
+
/Liに対する4.17V~4.30Vの電圧である、項目17に記載の電極活物質。
(項目20)
前記最小値が、Li
+
/Liに対する4.18V~4.30Vの電圧である、項目17に記載の電極活物質。
(項目21)
前記最小値が、Li
+
/Liに対する4.19V~4.30Vの電圧である、項目17に記載の電極活物質。
22
(項目22)
前記最小値が、Li
+
/Liに対する4.20V~4.30Vの電圧である、項目17に記載の電極活物質。
(項目23)
前記最小値が、Li
+
/Liに対する4.21V~4.30Vの電圧である、項目17に記載の電極活物質。
(項目24)
前記最小値が、Li
+
/Liに対する4.22V~4.30Vの電圧である、項目17に記載の電極活物質。
(項目25)
前記最小値が、-300mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目17に記載の電極活物質。
(項目26)
前記最小値が、-400mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目17に記載の電極活物質。
(項目27)
前記最小値が、-500mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目17に記載の電極活物質。
(項目28)
前記最小値が、-600mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目17に記載の電極活物質。
(項目29)
前記最小値が、-800mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目17に記載の電極活物質。
(項目30)
前記最小値が、-1000mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目17に記載の電極活物質。
(項目31)
前記最小値が、-1500mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目17に記載の電極活物質。
(項目32)
前記最小値が、-2000mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目17に記載の電極活物質。
(項目33)
前記最小値が、-2500mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目17に記載の電極活物質。
(項目34)
600Wh・kg
-1
~1000Wh・kg
-1
の元の比エネルギーの80%を超える500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、項目1に記載の電極活物質。
(項目35)
600Wh・kg
-1
~1000Wh・kg
-1
の元の比エネルギーの80%を超える1000回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、項目1に記載の電極活物質。
(項目36)
600Wh・kg
-1
~1000Wh・kg
-1
の元の比エネルギーの90%を超える500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、項目1に記載の電極活物質。
(項目37)
600Wh・kg
-1
~1000Wh・kg
-1
の元の比エネルギーの95%を超える100回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、項目1に記載の電極活物質。
(項目38)
一部分のみが、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数22】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とする、項目1に記載の電極活物質。
(項目39)
前記電極活物質の99体積パーセント以下が、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数23】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とする、項目1に記載の電極活物質。
(項目40)
表面領域及びバルク領域を有するか、又はこれらを特徴とし、前記表面領域が、前記活物質又はその粒子の表面から断面寸法の20%以内である、前記活物質又はその粒子の第1の部分に対応し、前記バルク領域が、前記表面領域よりも深い前記活物質又はその粒子の第2の部分に対応する、項目1に記載の電極活物質。
(項目41)
前記バルク領域が、スピネル、P4
3
32若しくは
【数24】
結晶構造、リチウム過剰若しくはC2/m結晶構造、又は岩塩若しくは
【数25】
結晶構造を含まないか、若しくは実質的に含まないか、又はこれらを示さない、項目40に記載の電極活物質。
(項目42)
前記表面領域の少なくとも一部分が、スピネル、P4
3
32若しくは
【数26】
結晶構造、リチウム過剰若しくはC2/m結晶構造、又は岩塩若しくは
【数27】
結晶構造を含むか、又はこれらを特徴とする、項目40に記載の電極活物質。
(項目43)
前記バルク領域が、LiFePO
4
(Pmnb/Pnma)若しくは別のポリアニオン構造を含まないか、若しくは実質的に含まないか、又はこれらを示さない、項目40に記載の電極活物質。
(項目44)
前記表面領域の少なくとも一部分が、LiFePO
4
(Pmnb/Pnma)若しくは別のポリアニオン構造を含むか、又はこれらを特徴とする、項目40に記載の電極活物質。
(項目45)
500nm~30μmの断面寸法を有するLi
a
N
1
-
b
-
c
Co
b
M
c
O
d
の粒子を含む、項目1に記載の電極活物質。
(項目46)
複数の二次粒子を含む、項目1に記載の電極活物質。
(項目47)
前記複数の二次粒子が、500nm~30μmの断面寸法を有する、項目1に記載の電極活物質。
(項目48)
前記複数の二次粒子が、実質的に単分散である、項目46に記載の電極活物質。
(項目49)
前記複数の二次粒子が、多分散であり、第1の断面寸法分布を有する第1の部分、及び前記第1の断面寸法分布より少なくとも10倍大きい第2の断面寸法分布を有する第2の部分を含む、項目46に記載の電極活物質。
(項目50)
前記複数の二次粒子が、実質的に球形状である、項目46に記載の電極活物質。
(項目51)
前記二次粒子のうちの少なくともいくつかが、各々、複数の一次粒子を含む、項目46に記載の電極活物質。
(項目52)
前記複数の一次粒子が、10nm~10μmの断面寸法を有する、項目51に記載の電極活物質。
(項目53)
前記複数の一次粒子が、実質的に単分散である、項目51に記載の電極活物質。
(項目54)
前記二次粒子のうちの少なくともいくつかが、各々独立して、1つの一次粒子からなる、項目46に記載の電極活物質。
(項目55)
電極活物質であって、
Li
a
Ni
1-b-c
Co
b
M
c
O
d
を含み、式中、
aが、0.9~1.1であり、
bが、0~0.1であり、
cが、0~0.67であり、
dが、1.9~2.1であり、
Mが、Mn、Al、Mg、Fe、Cr、B、Ti、Zr、Ga、Zn、V、Cu、Yb、Li、Na、K、F、Ba、Ca、Lu、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Ta、Pr、W、Ir、In、Tl、Sn、Sr、S、P、Cl、Ge、Sb、Er、Te、La、Ce、Nd、Dy、Eu、Sc、Se、Si、Tc、Pd、Pm、Sm、Gd、Tb、Ho、Tm、又はこれらの任意の組み合わせであり、
前記電極活物質が、600Wh・kg
-1
~1000Wh・kg
-1
のLi
+
/Liに対する5V~3Vの単一放電の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とし、25℃でのLi
+
/Liに対する5V~3VのC/10放電率の比エネルギーの80%~100%である、Li
+
/Liに対する5V~3Vの1C放電率の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、電極活物質。
(項目56)
600Wh・kg
-1
~1000Wh・kg
-1
の元の比エネルギーの80%を超える500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、項目55に記載の電極活物質。
(項目57)
600Wh・kg
-1
~1000Wh・kg-
1
の元の比エネルギーの80%を超える1000回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、項目55に記載の電極活物質。
(項目58)
600Wh・kg
-1
~1000Wh・kg-
1
の元の比エネルギーの90%を超える500回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、項目55に記載の電極活物質。
(項目59)
600Wh・kg
-1
~1000Wh・kg-
1
の元の比エネルギーの95%を超える100回の充電-放電サイクル後の比エネルギーを示すか、又はこれを特徴とする、項目55に記載の電極活物質。
(項目60)
前記Li
+
/Liに対する5V~3Vの1C放電率の前記比エネルギーが、前記25℃でのLi
+
/Liに対する5V~3VのC/10放電率の比エネルギーの80%~100%である、項目55に記載の電極活物質。
(項目61)
前記Li
+
/Liに対する5V~3Vの1C放電率の前記比エネルギーが、前記25℃でのLi
+
/Liに対する5V~3VのC/10放電率の比エネルギーの85%~100%である、項目55に記載の電極活物質。
(項目62)
前記Li
+
/Liに対する5V~3Vの1C放電率の前記比エネルギーが、前記25℃でのLi
+
/Liに対する5V~3VのC/10放電率の比エネルギーの90%~100%である、項目55に記載の電極活物質。
(項目63)
前記Li+/Liに対する5V~3Vの1C放電率の前記比エネルギーが、25℃での750Wh・kg
-1
~1000Wh・kg
-1
である、項目55に記載の電極活物質。
(項目64)
Mが、
MnとAlとの組み合わせ、
MnとMgとAlとの組み合わせ、
MnとMgとの組み合わせ、
AlとMgとの組み合わせ、又は
TiとMgとAlとの組み合わせである、項目55に記載の電極活物質。
(項目65)
Mが、Fe若しくはZn、又はFe及びZnの両方を含む、項目55に記載の電極活物質。
(項目66)
前記活物質が、Coを含まないか、又は実質的に含まない、項目55に記載の電極活物質。
(項目67)
bが、0であるか、又はbが、0.01未満である、項目55に記載の電極活物質。
(項目68)
aが、0.9~1である、項目55に記載の電極活物質。
(項目69)
aが、1~1.1である、項目55に記載の電極活物質。
(項目70)
bが、0~0.01であり、cは、0~0.01である、項目55に記載の電極活物質。
(項目71)
cが、0.1~0.5、0.1~0.2、又は0.2~0.4である、項目55に記載の電極活物質。
(項目72)
dが、1.95~2.05である、項目55に記載の電極活物質。
(項目73)
2.0g・cm
-3
~3.5g・cm
-3
のタップ密度を示すか、又はこれを特徴とする、項目55に記載の電極活物質。
(項目74)
Li
+
/Liに対する4.15V~4.30Vの電圧での放電中に最小値を有する、C/10の電流率の第2の充電-放電形成サイクルでdQ・dV
-1
曲線を示す、項目55に記載の電極活物質。
(項目75)
前記最小値が、Li
+
/Liに対する4.16V~4.30Vの電圧である、項目74に記載の電極活物質。
(項目76)
前記最小値が、Li
+
/Liに対する4.17V~4.30Vの電圧である、項目74に記載の電極活物質。
(項目77)
前記最小値が、Li
+
/Liに対する4.18V~4.30Vの電圧である、項目74に記載の電極活物質。
(項目78)
前記最小値が、Li
+
/Liに対する4.19V~4.30Vの電圧である、項目74に記載の電極活物質。
(項目79)
前記最小値が、Li
+
/Liに対する4.20V~4.30Vの電圧である、項目74に記載の電極活物質。
(項目80)
前記最小値が、Li
+
/Liに対する4.21V~4.30Vの電圧である、項目74に記載の電極活物質。
(項目81)
前記最小値が、Li
+
/Liに対する4.22V~4.30Vの電圧である、項目74に記載の電極活物質。
(項目82)
前記最小値が、-300mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目74に記載の電極活物質。
(項目83)
前記最小値が、-400mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目74に記載の電極活物質。
(項目84)
前記最小値が、-500mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目74に記載の電極活物質。
(項目85)
前記最小値が、-600mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目74に記載の電極活物質。
(項目86)
前記最小値が、-800mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目74に記載の電極活物質。
(項目87)
前記最小値が、-1000mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目74に記載の電極活物質。
(項目88)
前記最小値が、-1500mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目74に記載の電極活物質。
(項目89)
最小値が、-2000mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目74に記載の電極活物質。
(項目90)
前記最小値が、-2500mAh・g
-1
V
-1
以下の大きさを有する、項目55に記載の電極活物質。
(項目91)
一部分のみが、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数28】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とする、項目55に記載の電極活物質。
(項目92)
前記電極活物質の99体積パーセント以下が、菱面体結晶構造若しくは菱面体
【数29】
結晶構造を含むか、又はこれを特徴とする、項目55に記載の電極活物質。
(項目93)
表面領域及びバルク領域を有するか、又はこれらを特徴とし、前記表面領域が、前記活物質又はその粒子の表面から断面寸法の20%以内である、前記活物質又はその粒子の第1の部分に対応し、前記バルク領域が、前記表面領域よりも深い前記活物質又はその粒子の第2の部分に対応する、項目55に記載の電極活物質。
(項目94)
前記バルク領域が、スピネル、P4
3
32若しくは
【数30】
結晶構造、リチウム過剰若しくはC2/m結晶構造、又は岩塩若しくは
【数31】
結晶構造を含まないか、若しくは実質的に含まないか、又はこれらを示さない、項目93に記載の電極活物質。
(項目95)
前記表面領域の少なくとも一部分が、スピネル、P4
3
32若しくはFdm結晶構造、リチウム過剰若しくはC2/m結晶構造、又は岩塩若しくはFmm結晶構造を含むか、又はこれらを特徴とする、項目93に記載の電極活物質。
(項目96)
前記バルク領域が、LiFePO
4
(Pmnb/Pnma)若しくは別のポリアニオン構造を含まないか、若しくは実質的に含まないか、又はこれらを示さない、項目93に記載の電極活物質。
(項目97)
前記表面領域の少なくとも一部分が、LiFePO
4
(Pmnb/Pnma)若しくは別のポリアニオン構造を含むか、又はこれらを特徴とする、項目93に記載の電極活物質。
(項目98)
500nm~30μmの断面寸法を有するLi
a
N
1
-
b
-
c
Co
b
M
c
O
d
の粒子を含む、項目55に記載の電極活物質。
(項目99)
複数の二次粒子を含む、項目55に記載の電極活物質。
(項目100)
前記複数の二次粒子が、500nm~30μmの断面寸法を有する、項目99に記載の電極活物質。
(項目101)
前記複数の二次粒子が、実質的に単分散である、項目99に記載の電極活物質。
(項目102)
前記複数の二次粒子が、多分散であり、第1の断面寸法分布を有する第1の部分、及び前記第1の断面寸法分布より少なくとも10倍大きい第2の断面寸法分布を有する第2の部分を含む、項目99に記載の電極活物質。
(項目103)
前記複数の二次粒子が、実質的に球形状である、項目99に記載の電極活物質。
(項目104)
前記二次粒子のうちの少なくともいくつかが、各々、複数の一次粒子を含む、項目99に記載の電極活物質。
(項目105)
前記複数の一次粒子が、10nm~10μmの断面寸法を有する、項目104に記載の電極活物質。
(項目106)
前記複数の一次粒子が、実質的に単分散である、項目104に記載の電極活物質。
(項目107)
前記二次粒子のうちの少なくともいくつかが、各々独立して、1つの一次粒子からなる、項目99に記載の電極活物質。
(項目108)
項目1~107のいずれか一項に記載の電極活物質を含む、電極。
(項目109)
集電体を更に備える、項目108に記載の電極。
(項目110)
電気化学セルであって、
項目108に記載の電極を含む正極と、
負極と、
前記正極と前記負極との間の電解質と、を含む、電気化学セル。
(項目111)
前記負極が、黒鉛、炭素、ケイ素、チタン酸リチウム(Li
4
Ti
5
O
12
)、すず、アンチモン、亜鉛、亜リン酸、リチウム、又はこれらの組み合わせを含む、項目110に記載の電気化学セル。
(項目112)
前記正極若しくは前記負極、又はその両方が、独立して、活物質、集電体、固体電解質、結着剤、又は導電性添加剤のうちの1つ以上を含む、項目110に記載の電気化学セル。
(項目113)
前記電解質が、液体電解質である、項目110に記載の電気化学セル。
(項目114)
前記電解質が、半固体電解質である、項目110に記載の電気化学セル。
(項目115)
前記電解質が、固体電解質である、項目110に記載の電気化学セル。
(項目116)
前記電解質が、非水電解質である、項目110に記載の電気化学セル。
【国際調査報告】