(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】陰圧創傷療法のための装置
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20230428BHJP
A61M 1/00 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
A61M27/00
A61M1/00 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552147
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2021058696
(87)【国際公開番号】W WO2021198463
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】397070118
【氏名又は名称】ティージェイ スミス アンド ネフュー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アール、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ダニエル、スーザン
(72)【発明者】
【氏名】ケルビー、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ロイド、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】モーティマー、サミュエル、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】パリー、ルーク、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スチュワード、ダニエル、リー
(72)【発明者】
【氏名】ワード、リアーナ
(72)【発明者】
【氏名】ウィードン、ハンナ、ベイリー
【テーマコード(参考)】
4C077
4C267
【Fターム(参考)】
4C077AA26
4C077CC02
4C077DD01
4C077DD11
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4C267BB02
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4C267BB23
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4C267BB32
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4C267BB39
4C267BB40
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4C267CC01
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4C267JJ06
4C267JJ08
4C267JJ09
4C267JJ12
(57)【要約】
本明細書において、陰圧システムのいくつかの実施形態、および創傷の治療時に陰圧システムを使用する方法について開示する。いくつかの実施形態は、少なくとも3つの層を有する創傷被覆材を利用するシステムを対象とする。これらの実施形態は、創傷および創傷を取り囲む創傷周囲部位への陰圧の改善された分配を目的とする。いくつかの実施形態は、創傷および創傷周囲部位に創傷被覆材をシールするための固定ストリップを対象とする。固定ストリップは、接着層、創傷シール層、および少なくとも1つの保護ライナーを含む、複数の層を備え得る。
【選択図】
図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷部位をシールするための装置であって、前記装置が、
固定ストリップを備え、前記固定ストリップが、
第1の接着剤表面を備える創傷シール層であって、前記第1の接着剤表面が、第1の接着剤を含む、創傷シール層と、
前記創傷シール層の上に重なり、前記創傷シール層を越えて外方に延在する、接着層であって、前記接着層が、第2の接着剤を含む第2の接着剤表面を備える、接着層と、
前記創傷シール層の前記第1の接着剤表面および/または前記接着層の前記第2の接着剤表面に取り外し可能に接着された少なくとも1つの保護ライナーと、を備える、装置。
【請求項2】
前記固定ストリップが、創傷被覆材の縁の上に設置するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記固定ストリップが、幅および長さを備え、前記第2の接着剤が、前記固定ストリップの前記幅に沿って延在する、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の接着剤が、前記固定ストリップの前記幅の一部分に沿って延在する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの保護ライナーが、第1の保護ライナーおよび第2の保護ライナーをさらに含み、前記第1の保護ライナーが、前記創傷シール層の前記第1の接着剤表面に取り外し可能に接着されており、前記第2の保護ライナーが、前記接着層の前記第2の接着剤表面に取り外し可能に接着されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の保護ライナーが、作動時に前記第1の保護ライナーを前記創傷シール層から取り外すように構成された剥離ハンドルを備え、前記第2の保護ライナーが、作動時に前記第2の保護ライナーを前記接着層から取り外すように構成された剥離ハンドルを備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの保護ライナーが、第1の外側保護ライナー、第2の外側保護ライナー、および中央保護ライナーをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の外側保護ライナーが、前記創傷シール層の前記第1の接着剤表面の外側縁部分に取り外し可能に接着されており、前記第2の外側保護ライナーが、前記創傷シール層を越えて外方に延在する前記接着層の前記第2の接着剤表面の一部分に取り外し可能に接着されており、前記中央保護ライナーが、前記第1の外側保護ライナーと前記第2の外側保護ライナーとの間で、前記創傷シール層の前記第1の接着剤表面に取り外し可能に接着されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の外側保護ライナー、前記第2の外側保護ライナー、および前記中央保護ライナーのうちの少なくとも1つが、作動時に前記それぞれのライナーを前記創傷シール層および/または前記接着層から取り外すように構成された剥離ハンドルを備える、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の外側保護ライナー、前記第2の外側保護ライナー、および前記中央保護ライナーが各々、前記創傷シール層の前記第1の接着剤表面、および前記創傷シール層を越えて外方に延在する前記接着層の前記第2の接着剤表面の一部分に取り外し可能に接着するように前記固定ストリップの幅に延在する幅を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記接着層の非接着剤表面に取り外し可能に接着されたキャリア層をさらに備える、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の接着剤が、前記創傷部位または前記創傷部位を取り囲む皮膚に接着するように構成されたシリコン接着剤を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第2の接着剤が、創傷被覆材に接着するように構成されたアクリル接着剤を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記創傷シール層が、可撓性ポリマーを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記接着層が、可撓性フィルムを備える、先行請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
陰圧創傷療法キットであって、
カバーを備える創傷被覆材と、
固定ストリップと、を備え、前記固定ストリップが、
第1の接着剤表面を備える創傷シール層であって、前記第1の接着剤表面が、第1の接着剤を含む、創傷シール層と、
前記創傷シール層の上に重なり、前記創傷シール層を越えて外方に延在する、接着層であって、前記接着層が、第2の接着剤を含む第2の接着剤表面を備える、接着層と、
前記創傷シール層の前記第1の接着剤表面および/または前記接着層の前記第2の接着剤表面に取り外し可能に接着された少なくとも1つの保護ライナーと、を備える、陰圧創傷療法キット。
【請求項17】
前記少なくとも1つの保護ライナーが、第1の保護ライナーおよび第2の保護ライナーをさらに含む、請求項16に記載の陰圧創傷療法キット。
【請求項18】
前記第1の保護ライナーが、前記創傷シール層に取り外し可能に接着されており、前記第2の保護ライナーが、前記接着層に取り外し可能に接着されている、請求項17に記載の陰圧創傷療法キット。
【請求項19】
前記創傷シール層を越えて外方に延在する前記接着層の前記第2の接着剤表面の一部分が、使用時に前記創傷被覆材の前記カバーに接着するように構成されている、請求項16に記載の陰圧創傷療法キット。
【請求項20】
前記少なくとも1つの保護ライナーが、第1の外側保護ライナー、第2の外側保護ライナー、および中央保護ライナーをさらに含む、請求項16に記載の陰圧創傷療法キット。
【請求項21】
前記第1の外側保護ライナーが、前記創傷シール層の前記第1の接着剤表面の外側縁部分に取り外し可能に接着されており、前記第2の外側保護ライナーが、前記創傷シール層を越えて外方に延在する前記接着層の前記第2の接着剤表面の一部分に取り外し可能に接着されており、前記中央保護ライナーが、前記第1の外側保護ライナーと前記第2の外側保護ライナーとの間で、前記創傷シール層の前記第1の接着剤表面に取り外し可能に接着されている、請求項20に記載の陰圧創傷療法キット。
【請求項22】
前記創傷シール層の前記第1の接着剤表面の前記外側縁部分が、前記創傷シール層を越えて外方に延在する前記接着層の一部分と対向する、請求項21に記載の陰圧創傷療法キット。
【請求項23】
前記第1の外側保護ライナー、前記第2の外側保護ライナー、および前記中央保護ライナーが各々、前記創傷シール層の前記第1の接着剤表面、および前記創傷シール層を越えて外方に延在する前記接着層の前記第2の接着剤表面の一部分に取り外し可能に接着するように前記固定ストリップの幅に延在する幅を備える、請求項20に記載の陰圧創傷療法キット。
【請求項24】
前記固定ストリップが、前記接着層の非接着剤表面に取り外し可能に接着されたキャリア層をさらに備える、請求項16~23のいずれか一項に記載の陰圧創傷療法キット。
【請求項25】
創傷被覆材をシールするための方法であって、前記方法が、
創傷被覆材を、創傷部位および前記創傷部位を取り囲む創傷周囲エリアの上に位置付けることであって、前記創傷被覆材が、カバーを備える、位置付けることと、
中央保護ライナーおよび第1の外側保護ライナーを、創傷シール層の第1の接着剤表面および/または固定ストリップの接着層の第2の接着剤表面から取り外すことであって、
前記固定ストリップが、第1の接着剤を含む前記第1の接着剤表面を備える前記創傷シール層を備え、前記接着層が、前記創傷シール層の上に重なり、前記創傷シール層、前記中央保護ライナー、前記第1の外側保護ライナー、および第2の外側保護ライナーを超えて外方に延在し、
前記接着層が、第2の接着剤を含む前記第2の接着剤表面を備える、取り外すことと、
前記固定ストリップを、前記創傷周囲エリアの上、かつ部分的に前記創傷被覆材の上に、位置付けることと、
前記第2の外側保護ライナーを、前記創傷シール層の前記第1の接着剤表面および/または前記接着層の前記第2の接着剤表面から取り外すことと、
前記固定ストリップの前記接着層を前記創傷被覆材の前記カバーに接着することと、
陰圧のアプリケーターを前記創傷被覆材の前記カバー上に位置付けることと、
陰圧を、ある期間にわたって前記創傷被覆材を通して、前記創傷部位および前記創傷周囲エリアに適用することと、を含む、方法。
【請求項26】
前記創傷被覆材を前記創傷部位および前記創傷周囲エリアの上に位置付ける前に、前記創傷被覆材を前記創傷被覆材の側面部分に沿って切断することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
創傷被覆材をシールするための方法であって、前記方法が、
創傷被覆材を前記創傷被覆材の側面部分に沿って切断することであって、前記創傷被覆材が、カバーを備える、切断することと、
第1の保護ライナーの剥離ハンドルを使用して、前記第1の保護ライナーを、固定ストリップの創傷シール層の第1の接着剤表面から取り外すことであって、
前記固定ストリップが、第1の接着剤を含む前記第1の接着剤表面を備える前記創傷シール層を備え、接着層が、前記創傷シール層の上に重なり、前記創傷シール層を越えて外方に延在し、前記第1の保護ライナーが、前記第1の保護ライナーの前記剥離ハンドルを備え、第2の保護ライナーが、前記第2の保護ライナーの剥離ハンドルを備え、
前記接着層が、第2の接着剤を含む第2の接着剤表面を備える、取り外すことと、
前記固定ストリップを、創傷部位を取り囲む創傷周囲エリアの上に位置付けることと、
前記創傷被覆材の前記側面部分を、前記創傷シール層と前記接着層との間の前記固定ストリップに挿入することと、
前記創傷被覆材を、前記創傷部位および前記創傷周囲エリアの上に位置付けることと、
前記第2の保護ライナーの前記剥離ハンドルを使用して、前記第2の保護ライナーを前記接着層の前記第2の接着剤表面から取り外すことと、
前記固定ストリップの前記接着層を前記創傷被覆材に接着することと、
陰圧のアプリケーターを前記創傷被覆材上に位置付けることと、
陰圧を、ある期間にわたって前記創傷被覆材を通して、前記創傷部位および前記創傷周囲エリアに適用することと、を含む、方法。
【請求項28】
前記固定ストリップが、前記接着層の非接着剤表面に取り外し可能に接着されたキャリア層をさらに備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
陰圧を前記創傷部位および前記創傷周囲エリアに適用する前に、前記キャリア層を前記固定ストリップから取り外すことをさらに含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
創傷部位をシールするための装置であって、前記装置が、
シートを備え、前記シートが、複数の固定ストリップおよび穿孔された部分を備え、前記穿孔された部分の各々が、隣接する固定ストリップの間に位置付けられ、前記穿孔された部分の各々が、2つの穿孔されたセクション、および前記2つの穿孔されたセクションの間に位置付けられた連続切断セクションを備え、前記2つの穿孔されたセクションが、隣接する固定ストリップの間に延在するブリッジ部分によって分離された複数の穿孔を備え、
前記複数の固定ストリップの各々が、
接着層と、
各々が前記接着層に取り外し可能に接着されている、第1の外側保護ライナー、第2の外側保護ライナー、および中央保護ライナーと、を備え、前記連続切断セクションが、少なくとも前記中央保護ライナーの全長に沿って延在する、装置。
【請求項31】
前記複数の固定ストリップの各々が、創傷被覆材の一部分の上に設置するように構成されている、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記創傷被覆材の前記部分が、前記創傷被覆材の縁を含む、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記複数の固定ストリップの各々の前記接着層が、接着剤表面を備える、請求項30~32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記接着剤表面が、前記創傷部位または前記創傷部位を取り囲む皮膚に接着するように構成されたシリコン接着剤を含む、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記接着剤表面が、創傷被覆材に接着するように構成されたアクリル接着剤を含む、請求項33に記載の装置。
【請求項36】
前記複数の固定ストリップの各々の前記第1の外側保護ライナーが、第1の剥離ハンドルを備え、前記第2の外側保護ライナーが、第2の剥離ハンドルを備える、請求項30~35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記複数の固定ストリップの各々の前記中央保護ライナーが、前記第1の剥離ハンドルおよび前記第2の剥離ハンドルの上に位置付けられている、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記複数の固定ストリップの各々が、第1の接着剤を含む創傷シール層をさらに備え、前記接着層が、前記創傷シール層の上に重なり、かつ前記創傷シール層を越えて外方に延在し、前記接着層が、第2の接着剤を含む、請求項30~37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
前記第1の接着剤が、シリコン接着剤を含み、前記第2の接着剤が、アクリル接着剤を含む、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記複数の固定ストリップの各々が、前記接着層の非接着剤表面に取り外し可能に接着されたキャリア層をさらに備える、請求項30~39のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記複数の前記固定ストリップが、取り外し可能に取り付けられている、請求項30~40のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
前記穿孔された部分の各々の長さが、前記複数の固定ストリップの各々の長さに延在する、請求項30~41のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、減圧療法または局所陰圧(TNP)療法を用いて、創傷を被覆および治療するための方法および装置に関する。具体的には、本明細書に開示された実施形態は、陰圧治療デバイス、TNPシステムの動作を制御するための方法、およびTNPシステムを使用する方法に関するが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
多くの異なるタイプの創傷被覆材が、ヒトまたは動物の治癒過程を補助するものとして知られている。これらの異なるタイプの創傷被覆材には、多くの異なるタイプの材料および層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡体パッド、または多層創傷被覆材が含まれる。局所陰圧(TNP)治療は、真空補助閉鎖治療、陰圧創傷治療(NPWT)、または減圧創傷治療とも称されることがあり、創傷の治癒率を改善するための有益なメカニズムとして広く認識されている。そのような治療は、手術創傷、開放創傷、および腹部創傷などの広範な創傷に適用可能である。
【0003】
TNP治療は、組織浮腫を減少させ、血流を促し、肉芽組織の形成を促進させ、過剰な滲出液を除去することによって創傷の閉鎖および治癒を助け、細菌負荷、ひいては、創傷への感染を減少させ得る。その上、TNP治療は、創傷のより少ない外部障害を可能とし、かつより迅速な治癒を促す。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示される本発明の実施形態は、陰圧創傷療法で使用するための装置、システム、デバイス、および方法を対象とする。本明細書に記載される材料、デバイス、方法、およびシステムの適用は、特定の組織または特定の傷害に限定されないことを当業者は理解されよう。
【0005】
本明細書に記載の実施形態のうちのいくつかは、創傷部位をシールするための装置を提供する。本装置は、固定ストリップを備え得る。固定ストリップは、創傷シール層および接着層を備え得る。創傷シール層は、第1の接着剤を含み得る。例えば、創傷シール層は、第1の接着剤を含む第1の接着剤表面を備え得る。接着層は、創傷シール層の上に重なり、創傷シール層を越えて延在し得る。接着層は、第2の接着剤を含み得る。例えば、接着層は、第2の接着剤を含む第2の接着剤表面を備え得る。固定ストリップは、創傷シール層の第1の接着剤表面および/または接着層の第2の接着剤表面に取り外し可能に接着された少なくとも1つの保護ライナーを備え得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、固定ストリップは、創傷被覆材の縁の上に設置するように構成され得る。固定ストリップは、幅および長さを備え得る。第2の接着剤は、固定ストリップの全幅に沿って延在し得る。第1の接着剤は、固定ストリップの全幅の一部分に沿って延在し得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの保護ライナーは、第1の保護ライナーおよび第2の保護ライナーをさらに含み得る。第1の保護ライナーは、創傷シール層の第1の接着剤表面に取り外し可能に接着され得、第2の保護ライナーは、接着層の第2の接着剤表面に取り外し可能に接着され得る。第1の保護ライナーは、作動時に第1の保護ライナーを創傷シール層から取り外すように構成され得る、剥離ハンドルを備え得る。第2の保護ライナーは、作動時に第2の保護ライナーを接着層から取り外すように構成され得る、剥離ハンドルを備え得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの保護ライナーは、第1の外側保護ライナー、第2の外側保護ライナー、および中央保護ライナーをさらに含み得る。第1の外側保護ライナーは、創傷シール層の第1の接着剤表面の外側縁部分に取り外し可能に接着され得る。第2の外側保護ライナーは、創傷シール層を越えて外方に延在する接着層の第2の接着剤表面の一部分に取り外し可能に接着され得る。中央保護ライナーは、第1の外側保護ライナーと第2の外側保護ライナーとの間で、創傷シール層の第1の接着剤表面に取り外し可能に接着され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の外側保護ライナー、第2の外側保護ライナー、および中央保護ライナーのうちの少なくとも1つは、作動時にそれぞれのライナーを創傷シール層および/または接着層から取り外すように構成された剥離ハンドルを備え得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の外側保護ライナー、第2の外側保護ライナー、および中央保護ライナーは各々、創傷シール層の第1の接着剤表面、および創傷シール層を越えて外方に延在する接着層の第2の接着剤表面の一部分に取り外し可能に接着するように固定ストリップの幅に延在する幅を備え得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、創傷部位をシールするための装置は、接着層の非接着剤表面に取り外し可能に接着され得るキャリア層をさらに備え得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の接着剤は、創傷部位または創傷部位を取り囲む皮膚に接着するように構成されたシリコン接着剤を含む。いくつかの実施形態では、第2の接着剤は、創傷被覆材に接着するように構成されたアクリル接着剤を含む。いくつかの実施形態では、創傷シール層は、可撓性ポリマーを備える。いくつかの実施形態では、接着層は、可撓性フィルムを備える。
【0013】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、陰性創傷療法キットを提供する。陰圧創傷療法キットは、創傷被覆材および固定ストリップを備え得る。創傷被覆材は、カバーを備え得る。固定ストリップは、創傷シール層および接着層を備え得る。創傷シール層は、第1の接着剤を含み得る。例えば、創傷シール層は、第1の接着剤を含む第1の接着剤表面を備え得る。接着層は、創傷シール層の上に重なり、創傷シール層を越えて外方に延在し得る。接着層は、第2の接着剤を含み得る。例えば、接着層は、第2の接着剤を含む第2の接着剤表面を備え得る。固定ストリップは、創傷シール層の第1の接着剤表面および/または接着層の第2の接着剤表面に取り外し可能に接着された少なくとも1つの保護ライナーを備え得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの保護ライナーは、第1の保護ライナーおよび第2の保護ライナーをさらに含み得る。第1の保護ライナーは、創傷シール層の第1の接着剤表面に取り外し可能に接着され得る。第2の保護ライナーは、接着層の第2の接着剤表面に取り外し可能に接着され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、創傷シール層を越えて外方に延在する接着層の第2の接着剤表面の一部分は、使用時に創傷被覆材のカバーに接着するように構成され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの保護ライナーは、第1の外側保護ライナー、第2の外側保護ライナー、および中央保護ライナーをさらに含み得る。第1の外側保護ライナーは、創傷シール層の第1の接着剤表面の外側縁部分に取り外し可能に接着され得る。第2の外側保護ライナーは、創傷シール層を越えて外方に延在する接着層の第2の接着剤表面に取り外し可能に接着され得る。中央保護ライナーは、第1の外側保護ライナーと第2の外側保護ライナーとの間で、創傷シール層の第1の接着剤表面に取り外し可能に接着され得る。創傷シール層の第1の接着剤表面の外側縁部分は、創傷シール層を越えて外方に延在する接着層の一部分と対向し得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の外側保護ライナー、第2の外側保護ライナー、および中央保護ライナーは各々、創傷シール層の第1の接着剤表面、および創傷シール層を越えて外方に延在する接着層の第2の接着剤表面の一部分に取り外し可能に接着するように固定ストリップの幅に延在する幅を備え得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、固定ストリップは、接着層の非接着剤表面に取り外し可能に接着され得るキャリア層をさらに備え得る。
【0018】
本明細書に記載の実施形態のうちのいくつかは、創傷被覆材をシールするための方法を提供する。本方法は、創傷被覆材を、創傷部位および創傷部位を取り囲む創傷周囲エリアの上に位置付けることと、中央保護ライナーおよび第1の外側保護ライナーを、創傷シール層の第1の接着剤表面および/または固定ストリップの接着層の第2の接着剤表面から取り外すことと、固定ストリップを、創傷周囲エリアの上に、かつ部分的に創傷被覆材の上に、位置付けることと、第2の外側保護ライナーを、創傷シール層の第1の接着剤表面および/または固定ストリップの接着層の第2の接着剤表面から取り外すことと、固定ストリップの接触層を創傷被覆材のカバーに接着することと、陰圧のアプリケーターを創傷被覆材のカバー上に位置付けることと、陰圧を、ある期間にわたって創傷被覆材を通して、創傷部位および創傷周囲エリアに適用することと、を含み得る。創傷被覆材は、カバーを備え得る。固定ストリップは、創傷シール層、接着層、中央保護ライナー、第1の外側保護ライナー、および第2の外側保護ライナーを備え得る。固定ストリップの創傷シール層は、第1の接着剤を含む第1の接着剤表面を備え得る。接着表面は、創傷シール層の上に重なり、創傷シール層を越えて外方に延在し得る。固定ストリップの接着層は、第2の接着剤を含む第2の接着剤表面を備え得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、開示される方法は、創傷被覆材を創傷部位および創傷周囲エリアの上に位置付ける前に、創傷被覆材を創傷被覆材の側面部分に沿って切断することをさらに含み得る。
【0020】
本明細書に記載の実施形態のうちのいくつかは、創傷被覆材をシールするための方法を提供する。本方法は、創傷被覆材を創傷被覆材の側面部分に沿って切断することと、第1の保護ライナーの剥離ハンドルを使用して、第1の保護ライナーを、固定ストリップの創傷シール層の第1の接着剤表面から取り外すことと、固定ストリップを、創傷部位を取り囲む創傷周囲エリアの上に位置付けることと、創傷被覆材の側面部分を、創傷シール層と接着層との間の固定ストリップに挿入することと、創傷被覆材を、創傷部位および創傷周囲エリアの上に位置付けることと、第2の保護ライナーの剥離ハンドルを使用して、第2の保護ライナーを接着層の第2の接着剤表面から取り外すことと、固定ストリップの接着層を創傷被覆材に接着することと、陰圧のアプリケーターを創傷被覆材上に位置付けることと、陰圧を、ある期間にわたって創傷被覆材を通して、創傷部位および創傷周囲エリアに適用することと、を含み得る。創傷被覆材は、カバーを備え得る。固定ストリップは、創傷シール層、接着層、第1の保護ライナー、および第2の保護ライナーを備え得る。固定ストリップの創傷シール層は、第1の接着剤を含む第1の接着剤表面を備え得る。接着表面は、創傷シール層の上に重なり、創傷シール層を越えて外方に延在し得る。固定ストリップの接着層は、第2の接着剤を含む第2の接着剤表面を備え得る。固定ストリップの第1の保護ライナーは、剥離ハンドルを備え得る。固定ストリップの第2の保護ライナーは、剥離ハンドルを備え得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、固定ストリップは、接着層の非接着剤表面に取り外し可能に接着され得るキャリア層をさらに備え得る。開示される方法は、陰圧を創傷部位および創傷周囲エリアに適用する前に、キャリア層を固定ストリップから取り外すことをさらに含み得る。
【0022】
本明細書に記載の実施形態のうちのいくつかは、創傷部位をシールするための装置を提供する。本装置は、シートを備え、シートは、複数の固定ストリップおよび穿孔された部分を備える。穿孔された部分の各々は、隣接する固定ストリップの間に位置付けられ得る。穿孔された部分の各々は、2つの穿孔されたセクション、および2つの穿孔されたセクションの間に位置付けられた連続切断セクションを備え得る。2つの穿孔されたセクションは、隣接する固定ストリップの間に延在するブリッジ部分によって分離された複数の穿孔を備え得る。複数の固定ストリップの各々は、接着層、第1の外側保護ライナー、第2の外側保護ライナー、および中央保護ライナーを備え得る。保護ライナーの各々は、接着層に取り外し可能に接着され得る。連続切断セクションは、中央保護ライナーの少なくとも全長に沿って延在し得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、複数の固定ストリップの各々は、創傷被覆材の一部分の上に設置するように構成され得る。創傷被覆材の該部分は、創傷被覆材の縁を含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、複数の固定ストリップの各々の接着層は、接着剤表面を備え得る。いくつかの実施形態では、接着剤表面は、創傷部位または創傷部位を取り囲む皮膚に接着するように構成されたシリコン接着剤を含み得る。いくつかの実施形態では、接着剤は、創傷被覆材に接着するように構成されたアクリル接着剤を含み得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、複数の固定ストリップの各々の第1の外側保護ライナーは、第1の剥離ハンドルを備えることができ、第2の外側保護ライナーは、第2の剥離ハンドルを備える。いくつかの実施形態では、複数の固定ストリップの各々の中央保護ライナーは、第1の剥離ハンドルおよび第2の剥離ハンドルの上に位置付けられ得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、複数の固定ストリップの各々は、第1の接着剤を含む創傷シール層を備え得る。いくつかの実施形態では、接着層は、創傷シール層の上に重なり、創傷シール層を越えて外方に延在し得る。いくつかの実施形態では、接着層は、第2の接着剤を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の接着剤は、シリコン接着剤を含み得、第2の接着剤は、アクリル接着剤を含み得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、複数の固定ストリップの各々は、接着層の非接着剤表面に取り外し可能に接着されたキャリア層を備え得る。いくつかの実施形態では、複数の固定ストリップは、取り外し可能に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、穿孔された部分の各々の長さは、複数の固定ストリップの各々の長さに延在し得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】いくつかの実施形態による減圧創傷療法システムを例示する。
【
図2】いくつかの実施形態による、ポンプ組立体およびキャニスタを例示する。
【
図3】いくつかの実施形態によるポンプ組立体の電気的構成要素の概略図を例示する。
【
図4A】ポンプを備える陰圧創傷治療システムの一実施形態を例示しており、創傷に適用されている可撓性吸引アダプタを例示している。
【
図4B】可撓性吸引アダプタが創傷の上に設置されている状態の、
図4Aの実施形態を例示する。
【
図5A】陰圧創傷治療システムで使用され得る可撓性吸引アダプタの等角図を例示する。
【
図5C】
図5Bの可撓性吸引アダプタの近位端の拡大図を例示する。
【
図5D】
図2Aの可撓性吸引アダプタの近位端の拡大切り欠き図を例示する。
【
図6】代替の可撓性吸引アダプタの分解図を例示する。
【
図7A】ポンプ、可撓性流体コネクタ、ならびに創傷滲出液を吸収および貯蔵することができる創傷被覆材を用いた、陰圧創傷治療システムの一実施形態を例示する。
【
図7B】可撓性流体コネクタ、ならびに創傷滲出液を吸収および貯蔵することができる創傷被覆材を用いた、陰圧創傷治療システムの一実施形態を例示する。
【
図7C】創傷被覆材に接続された流体コネクタの一実施形態の断面を例示する。
【
図8A】陰圧源および/または他の電子構成要素が創傷被覆材内に組み込まれている、創傷被覆材の一実施形態を例示する。
【
図8B】ポンプおよび電子構成要素が被覆材の吸収エリアからずらされた、創傷被覆材の層の一実施形態を例示する。
【
図9A】固定ストリップの一実施形態の長さに沿った断面側面図を例示する。
【
図9B】
図9Aに示される固定ストリップの一実施形態の幅に沿った断面側面図を例示する。
【
図10A】固定ストリップを適用する前の被覆材の上面図を例示する。
【
図10B】固定ストリップを有する、
図10Aに示される被覆材の上面図を例示する。
【
図11A】被覆材に適用されているときの固定ストリップの一実施形態の断面側面図を例示する。
【
図11B】被覆材に適用されているときの固定ストリップの一実施形態の断面側面図を例示する。
【
図11C】被覆材に適用されているときの固定ストリップの一実施形態の断面側面図を例示する。
【
図11D】被覆材に適用されているときの固定ストリップの一実施形態の断面側面図を例示する。
【
図11E】被覆材に適用されているときの固定ストリップの一実施形態の断面側面図を例示する。
【
図11F】被覆材に適用されているときの固定ストリップの一実施形態の断面側面図を例示する。
【
図12A】複数の固定ストリップのシートの一実施形態の上面図を例示する。
【
図12C】
図12Aに示されるシートの穿孔されたセクションの穿孔パターンの近接図を例示する。
【
図13A】本開示の特定の態様によるドレープの一実施形態の、分解図および斜視図を例示する。
【
図13B】本開示の特定の態様によるドレープの一実施形態の、分解図および斜視図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書に開示される実施形態は、減圧により創傷を治療する装置、システム、デバイス、および方法に関する。本明細書で使用される場合、-XmmHgなど、減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。したがって、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。さらに、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、大気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低くなる)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、大気圧からより遠い圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高くなる)。いくつかの実施形態では、局所的な周囲気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0030】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(TNP)または減圧療法システムで使用するように適用可能である。簡単に言えば、陰圧創傷治療は、組織の浮腫を低減し、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態の閉鎖、および治癒を支援し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減することができる。加えて、治療によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP治療システムはまた、流体を除去することによって、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援することができる。いくつかの実施形態では、TNP治療は、閉鎖の反対位置の組織を安定化するのに役立つ。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0031】
本明細書に記載の実施形態は、創傷と接触して位置付けるために、創傷接触層(「WCL」)を組み込むか、または備えるか、または利用する、材料、装置、方法、およびシステムに関する。WCLは、創傷部位で別々に位置付けるためのスタンドアローン型の構成要素として利用され得るか、または
図1~
図9に関して以下に記載されるような任意の数の多層創傷被覆材および創傷治療装置に組み込まれ得る。本開示の実施形態は、概して、周囲条件下において、陰圧もしくは減圧療法システム、または圧縮療法システムで使用するように適用可能である。
【0032】
本明細書に記載の好ましい実施形態のうちのいくつかは、マルチケア創傷接触層を組み込むか、または備えるか、または利用する。かかるマルチケアWCLは、次の機能的特徴のうちの2つ以上を保有する。抗菌活性、1つの部品としての適用および/または取り外しの容易さ、ハサミによる切断の容易さ、創傷表面の三次元輪郭に対する適合性、耐摩耗性、陰圧創傷療法および/または圧迫創傷療法との適合性、滲出液管理、創傷の自己融解デブリードマンを容易にする能力、創傷治癒を促進する能力、ならびに組成的または機能的変化の自己表示。
【0033】
本明細書に記載される特定の実施形態は、創傷治療システムを提供する。かかる創傷治療システムは、創傷の上に位置付けるためにサイズ設定されるように構成されたマルチケアWCLのスタンドアローン層を備え得る。創傷治療システムは、マルチケアWCLの上に別々に位置付けられるように構成された二次的創傷被覆材をさらに備え得る。マルチケアWCLは、下面に接着された接着剤を有し得、接着剤は、マルチケアWCLが創傷に近接して設置されることになるように構成され得る。二次的創傷被覆材剤は、使用した場合、創傷を取り囲む皮膚に接着することができ、マルチケアWCLが創傷に接触するか、または近接して設置されることになるように、マルチケアWCLと同じサイズを有し得るか、またはマルチケアWCLよりも大きい場合がある。二次的創傷被覆材は、代替的にまたはさらに、マルチケアWCLが創傷に接触するか、または近接して設置されることになるように、創傷を取り囲む皮膚に対してシールを形成するように構成され得る。創傷治療システムは、二次的創傷被覆材を通して、かつマルチケア創傷接触層を通して、創傷に陰圧を供給するように構成された陰圧源をさらに備え得る。
【0034】
本明細書に記載される特定の他の実施形態は、
図1~
図9に関して本明細書に記載されるような多層創傷被覆材を提供する。かかる多層創傷被覆材は、その構成要素層としてマルチケアWCLを組み込むことができ、または代替的に、その構成要素層のうちの1つの一部として、マルチケアWCLを含む複合体または積層体を備え得る。多層創傷被覆材は、上記または本明細書の他の箇所に記載されるようなマルチケア創傷接触層と、マルチケア創傷接触層の上の透過層および/または吸収層と、透過層および/または吸収層の上のカバー層と、を備え得る。創傷被覆材は、マルチケア創傷接触層の下面上に接着剤層をさらに備え得る。創傷被覆材は、カバー層の上または上方に位置付けられた陰圧ポートをさらに備え得る。マルチケア創傷接触層は、カバー層の周囲形状と実質的に同じ周囲形状を有し得る。代替的に、マルチケア創傷接触層は、カバー層の周囲形状よりも小さい周囲形状を有し得る。
【0035】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、創傷または遺伝子座を治療する方法を提供する。かかる方法は、マルチケアWCLを創傷の上に、別々に、またはマルチケアWCLを有する多層創傷被覆材を設置することによって、設置することを含み得る。本方法は、別個のマルチケアWCL、および/またはマルチケアWCLを有する多層創傷被覆材を、創傷の周りの健康な皮膚に接着することを含み得る。本方法は、以下のステップのうちの1つ以上をさらに含み得る。さらなる創傷被覆材を、別個のマルチケアWCL、または創傷の上に設置されるマルチケアWCLを有する多層創傷被覆材の上に設置することができる。創傷滲出液、または創傷滲出液以外の任意の湿潤媒体もしくは水性媒体を提供して、マルチケアWCLに到達および/または接触させることができる。創傷滲出液、または創傷滲出液以外の任意の湿潤媒体もしくは水性媒体を、マルチケアWCLを込み込んだ創傷被覆材内、またはマルチケアWCLの上に提供された創傷被覆材内に拡散させるか、もしくは吸い上げることができる。陰圧を、別個のマルチケアWCL、またはマルチケアWCLを有する多層創傷被覆材に適用することができ、そのため、創傷滲出液は、マルチケアWCLに直接、またはマルチケアWCLを組み込んだ創傷被覆材内に、もしくはマルチケアWCLの上に提供された創傷被覆材内に吸引される。
【0036】
陰圧システム
図1は、創腔110であって、創傷カバー120によってシールされた創腔の内部に設置された創傷充填材130を含む、陰圧または減圧創傷治療(またはTNP)システム100の実施形態を例示する。創傷カバー120と組み合わされた創傷充填材130は、創傷被覆材として言及され得る。単一または複数の内腔管または導管などの、流路140は、創傷カバー120を、減圧を供給するように構成された、例えばポンプ組立体150である、陰圧創傷治療デバイスに接続する。創傷カバー120は、創腔110と流体連通することができる。
図1に示される実施形態のような本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態では、ポンプ組立体は、キャニスタレスポンプ組立体であることができる(滲出液が、創傷被覆材に集められる、または別の位置に集めるために管140を介して運ばれることを意味する)。しかし、本明細書で開示されるいくつかのポンプ組立体の実施形態は、キャニスタを含むまたは支持するように構成され得る。追加的に、本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態では、いくつかのポンプ組立体の実施形態は、被覆材に装着されるか、もしくは被覆材によって支持され得るか、または被覆材に隣接し得る。創傷充填材130は、親水性または疎水性発泡体、ガーゼ、膨張可能なバッグ等の任意の好適なタイプであってもよい。創傷充填材130は、それが腔を実質的に充填するように、創腔110に適合することができる。創傷カバー120は、創腔110の上に実質的に流体不透過性のシールを提供することができる。創傷カバー120は、最上部面および底部面を有し得、底部面は、創腔110を粘着的に(または任意の他の好適な様式で)シールする。本明細書に開示される導管140もしくは内腔または任意の他の導管もしくは内腔は、ポリウレタン、PVC、ナイロン、ポリエチレン、シリコン、または任意の他の好適な材料から形成され得る。
【0037】
創傷カバー120のいくつかの実施形態は、導管140の端を受けるように構成されたポート(図示せず)を有し得る。他の実施形態では、導管140は、別のやり方では、創腔内に所望のレベルの減圧圧力を維持するように、減圧圧力を創腔110に供給するために創傷カバー120を通り抜けるまたはその下にあることができる。導管140は、ポンプ組立体150によって提供される減圧を創腔110に供給するために、ポンプ組立体150と創傷カバー120との間に少なくとも実質的にシールされた流体流路を提供するように構成された、任意の好適な物品であり得る。創傷カバー120および創傷充填材130は、単一の物品または一体型の単一ユニットとして提供され得る。いくつかの実施形態では、創傷充填材が提供されずに、創傷カバーがそれ自体として創傷被覆材とみなされてもよい。次いで、創傷被覆材は、導管140を介して、ポンプ組立体150などの陰圧源に接続され得る。ポンプ組立体150は小形化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来のそのようなポンプがまた使用されてもよい。
【0038】
創傷カバー120は、治療される創傷部位の上に位置し得る。創傷カバー120は、創傷部位の上に、実質的にシールされた腔または包囲空間を形成することができる。いくつかの実施形態では、創傷カバー120は、過剰流体の蒸発を可能にする高い水蒸気透過性を持つフィルムを有するように構成されることができ、また創傷滲出液を安全に吸収するためにその中に含まれる超吸収性材料を有することができる。本明細書全体を通して創傷について言及されていることが理解されるであろう。この点において、創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿刺される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者、あるいは減圧治療によって利益を得る者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥を包含することを理解されたい。したがって、創傷は、流体が生成されるか、またはされない場合がある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、急性創傷、慢性創傷、外科切開、および他の切開、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡、ストーマ、外科的創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に記載のTNPシステムの構成要素は、少量の創傷滲出液を滲出する手術創に特に好適であり得る。
【0039】
システムのいくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを使用することなく動作するように設計されている。いくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを支持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、管材料140がポンプ組立体150から迅速にかつ容易に取り除かれ得るようにポンプ組立体150および管材料140を構成することは、必要な場合、被覆材またはポンプを交換するプロセスを容易にする、または改善することができる。本明細書で開示されるいくつかのポンプの実施形態は、管材料とポンプとの間の任意の好適な接続を有するように構成され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、ポンプ組立体150は、およそ-80mmHg、または約-20mmHg~-200mmHgの陰圧を送達するように構成され得る。これらの圧力は、正常な周囲大気圧と相対的であり、つまり、-200mmHgが、実際的には約560mmHgであり得ることに留意されたい。圧力範囲は、約-40mmHg~-150mmHgであり得る。あるいは、最高-75mmHgまで、最高-80mmHgまで、または-80mmHgを上回る圧力範囲が使用され得る。また、-75mmHgを下回る圧力範囲も使用され得る。あるいは、およそ-100mmHgまたはさらに150mmHgより上の圧力範囲が、ポンプ組立体150により供給され得る。いくつかの実施形態では、ポンプ組立体150は、連続的または断続的な陰圧治療を提供するように構成される。連続治療は、-25mmHgより上、-25mmHg、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、-200mmHg、または-200mmHgより下で送達され得る。断続的な治療は、低い陰圧設定値と高い陰圧設定値との間で送達され得る。低い設定値は、0mmHgより上、0mmHg、-25mmHg、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、または-180mmHgより下に設定され得る。高い設定値は、-25mmHgより上、-40mmHg、-50mmHg、-60mmHg、-70mmHg、-80mmHg、-90mmHg、-100mmHg、-120mmHg、-140mmHg、-160mmHg、-180mmHg、-200mmHg、または-200mmHgより下に設定できる。断続的な治療中、低い設定値での陰圧を第1の継続時間にわたって送達することができ、また第1の継続時間の終了時には、高い設定値での陰圧を第2の継続時間にわたって送達することができる。第2の継続時間の終了時には、低い設定値での陰圧を送達することができる。第1および第2の継続時間は、同一の値または異なる値とすることができる。第1および第2の継続時間は、以下の範囲から選択することができる:2分より短い、2分、3分、4分、6分、8分、10分、または10分よりも長い。いくつかの実施形態では、低い設定値と高い設定値との間の切り替えを行うことは、ステップ波形、矩形波、正弦波形等に従って実施することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、TNPシステム100は、ポンプ組立体150に接続された複数の創傷被覆材を含み得る。ポンプ組立体150を有する複数の創傷被覆材を有するTNPシステムの性能および創傷治癒能力(流体管理など)は、単一のポンプセットアップを有する標準的な単一の創傷被覆材の性能および創傷治癒能力と同等であるか、またはそれを超えることができる。
【0042】
操作時に、創傷充填材130は、創腔110内に挿入され、創傷カバー120は、創腔110をシールするように設置される。ポンプ組立体150は、創傷充填材130を介して創腔110に透過する陰圧源を、創傷カバー120に提供する。流体(例えば、創傷滲出液)は、導管140を通して引き出され、キャニスタ内に貯蔵され得る。いくつかの実施形態では、流体は、創傷充填材130または1つ以上の吸収層(図示せず)によって吸収される。
【0043】
本出願のポンプ組立品および他の実施形態とともに利用され得る創傷被覆材は、Smith&Nephewから入手可能なRenasys-F、Renasys-G、Renasys AB、およびPico被覆材を含む。本明細書に記載される被覆材のいずれも、Smith&NephewのRenasysソフトポートコネクタ、または被覆材とポンプ組立体との間のインターフェースとともに使用することができる。例えば、Renasysソフトポートコネクタは、流路140に位置付けられ、創傷被覆材のポートとしての役目を果たすことができる。他の実施形態では、他の好適な創傷被覆材が利用され得る。
【0044】
ポンプアセンブリおよびキャニスタ
図2は、いくつかの実施形態によるポンプ組立体230およびキャニスタ220の前面
図200を例示する。例示されるように、ポンプ組立体230とキャニスタが接続され、それにより、TNPデバイスまたはシステムを形成する。ポンプ組立体230は、アラームを表示するように構成されている視覚的表示器202およびTNPシステムの状態を表示するように構成される視覚的表示器204などの1つ以上の表示器を含む。表示器202および204は、通常のまたは適切な動作状態、ポンプ故障、ポンプに供給される電力または電力故障、創傷カバーまたは流路内のリークの検出、吸引閉塞、無流状態、キャニスタ満杯状態、または任意の他の同様のもしくは好適な状態、またはそれらの組み合わせをユーザに警告することを含む、システムの様々な動作または故障状態を患者または医療提供者などのユーザに警告するように構成され得る。ポンプ組立体230は、追加の表示器を含み得る。ポンプ組立体は、単一の表示器または複数の表示器を使用することができる。任意の好適な表示器、例えば、視覚表示器、音声表示器、触覚表示器などを使用することができる。表示器202は、例えば、キャニスタ満杯、電力低下、導管140の接続解除、創傷シール120におけるシール破損などの警告状態を示すように構成され得る。表示器202は、ユーザの注意を引くために、赤色の閃光を表示するように構成され得る。表示器204は、例えば、療法送達は正常である、漏れが検出された、などのTNPシステムの状態を示すように構成され得る。表示器204は、例えば、緑色、黄色などの1つ以上の異なる色の光を表示するように構成され得る。例えば、緑色の光は、TNPシステムが適切に動作している場合に放出され得、黄色の光は、警告を示すために放出され得る。
【0045】
ポンプアセンブリ230は、ポンプアセンブリのケース内に形成された凹部208に取り付けられたディスプレイまたは画面206を含む。ディスプレイ206は、タッチスクリーンディスプレイであり得る。ディスプレイ206は、取り扱い説明ビデオなどの視聴覚(AV)コンテンツの再生を支援することができる。以下で説明されるように、ディスプレイ206は、いくつかの画面またはグラフィカルユーザインターフェース(GUI)がTNPシステムの動作を構成、制御、および監視するように構成され得る。ポンプ組立体230は、ポンプ組立体のケース内に形成されたグリップ部分210を含む。グリップ部分210は、例えば、キャニスタ220の取り外し中に、ユーザがポンプ組立体230を保持することを支援するように構成され得る。キャニスタ220は、例えば、キャニスタ220が流体で充填された場合に、別のキャニスタと取り替えられ得る。
【0046】
ポンプ組立体230は、ユーザがTNPシステムの動作を操作および監視することを可能にするように構成された、1つ以上のキーまたはボタン212を含み得る。例示されるように、ボタン212a、212b、および212cが含まれている。ボタン212aは、ポンプ組立体230の電源を入れる/切るための電源ボタンとして構成され得る。ボタン212bは、陰圧治療の送達のための再生/一時停止ボタンとして構成され得る。例えば、ボタン212bを押すことによって、治療を開始することができ、その後ボタン212bを押すことによって、治療を一時停止または終了することができる。ボタン212cは、ディスプレイ206またはボタン212をロックするように構成され得る。例えば、ボタン212cを押すことによって、ユーザが意図せず治療の送達を変更しないようにすることができる。ボタン212cを押して、制御を解除することができる。他の実施形態では、追加的なボタンが使用されてもよく、または例示したボタン212a、212bまたは212cのうち1つ以上が省かれてもよい。複数回のキーの押下または連続的なキーの押下を使用して、ポンプ組立体230を操作することができる。
【0047】
ポンプアセンブリ230は、カバー内に形成された1つ以上のラッチ凹部222を含み得る。例示的実施形態では、2つのラッチ凹部222は、ポンプ組立体230の両側に形成され得る。ラッチ凹部222は、1つ以上のキャニスタラッチ221を使用してキャニスタ220の取り付けおよび分離を可能にするように構成され得る。ポンプ組立体230は、空気を創腔110から取り除いて逃がすための空気出口224を含む。ポンプ組立体に入る空気は、抗菌フィルタなどの1つ以上の好適なフィルタを通り抜けることができる。これによって、ポンプ組立体の再利用性を維持することができる。ポンプ組立体230は、ポンプ組立体230に携帯ストラップを接続するための、または受け台を取り付けるための1つ以上のストラップ取り付け部226を含む。例示的実施形態では、2つのストラップ取り付け部226は、ポンプ組立体230の両側に形成され得る。いくつかの実施形態では、種々のこれらの特徴は省かれ、または種々の追加的な特徴がポンプ組立体230に加えられる。
【0048】
キャニスタ220は、創傷くぼみ110から取り除かれる流体(例えば、滲出液)を保持するように構成され得る。キャニスタ220は、キャニスタをポンプ組立体230に取り付けるための1つ以上のラッチ221を含む。例示的実施形態では、キャニスタ220は、キャニスタの両側に2つのラッチ221を含む。キャニスタ220の外部は、キャニスタが実質的に不透明であり、またキャニスタの中身が平面視で実質的に隠されるように、つや消しプラスチックから形成され得る。キャニスタ220は、キャニスタのケース内に形成されたグリップ部分214を含む。グリップ部分214は、例えば、装置230からのキャニスタの取り外しの間などに、ユーザがポンプ組立体220を保持することを可能にするように構成され得る。キャニスタ220は、実質的に透明な窓216を含み、この窓は、体積の目盛りも含み得る。例えば、示される300mLのキャニスタ220は、50mL、100mL、150mL、200mL、250mLおよび300mLの目盛りを含む。キャニスタの他の実施形態は、異なる量の流体を保持することができ、異なる目盛り尺度を含むことができる。例えば、キャニスタは、800mLのキャニスタであることができる。キャニスタ220は、導管140に接続するための配管チャネル218を含む。いくつかの実施形態では、グリップ部分214などの1つ以上の特徴は省かれ、または種々の追加的な特徴がキャニスタ220に加えられる。開示されるキャニスタのうちのいずれも、凝固剤を含み得るか、または凝固剤を省き得る。
【0049】
電子機器およびソフトウェア
図3は、いくつかの実施形態による、ポンプ組立体230などの、ポンプ組立体の電気的構成要素概略
図300を例示する。電気的構成要素は、ユーザ入力を受け入れ、ユーザに出力を提供し、ポンプ組立体およびTNPシステムを操作し、ネットワーク接続などを提供するように動作することができる。電気的構成要素は、1つ以上のプリント回路基板(PCB)上に取り付けることができる。例示されるように、ポンプ組立体は、複数のプロセッサを含み得る。様々なタスクを様々なプロセッサに配分する、または、割り当てるために、複数のプロセッサを利用することが有利であり得る。第1のプロセッサは、ユーザ活動を担当することができ、第2のプロセッサは、ポンプを制御することを担当することができる。このように、(より高いリスクレベルに対応する)より高いレベルの応答性を必要とする可能性があるポンプを制御する活動を専用プロセッサに任せることができ、それによってユーザとの対話のため、完了により時間がかかる場合があるユーザインターフェースタスクによって中断されなくなる。
【0050】
ポンプ組立体は、ユーザ入力を受け入れ、ユーザに出力を提供するための、ディスプレイ206、ボタン212などの1つ以上の構成要素を操作するように構成されたユーザインターフェースプロセッサまたはコントローラ310を備え得る。ポンプ組立体への入力およびポンプ組立体からの出力は、入力/出力(I/O)モジュール320によって制御され得る。例えば、I/Oモジュールは、シリアル、パラレル、ハイブリッドポートなどの1つ以上のポートからデータを受信し得る。プロセッサ310はまた、データを受信し、1つ以上のUSBポート、SDポート、コンパクトディスク(CD)ドライブ、DVDドライブ、FireWireポート、Thunderboltポート、PCI Expressポートなどの1つ以上の拡張モジュール360にデータを提供する。プロセッサ310は、他のコントローラまたはプロセッサとともに、プロセッサ310の内部または外部にあり得る1つ以上のメモリモジュール350内にデータを記憶する。RAM、ROM、磁気メモリ、固体メモリ、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)などの揮発性または不揮発性メモリを含む任意の好適なタイプのメモリを使用し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、プロセッサ310は、低電力プロセッサなどの汎用コントローラとすることができる。他の実施形態では、プロセッサ310は特定用途向けプロセッサであり得る。プロセッサ310は、ポンプ組立体の電子アーキテクチャ内の「中央」プロセッサとして構成され得、プロセッサ310は、ポンプ制御プロセッサ370、通信プロセッサ330、および1つ以上の追加的プロセッサ380(例えば、ディスプレイ206を制御するためのプロセッサ、ボタン212を制御するためのプロセッサ、など)などの他のプロセッサの動作を連携し得る。プロセッサ310は、Linux、Windows CE、VxWorksなどの好適なオペレーティングシステムを実行し得る。
【0052】
ポンプ制御プロセッサ370は、陰圧源またはポンプ390の動作を制御するように構成され得る。ポンプ390は、膜ポンプ、蠕動ポンプ、回転ポンプ、回転ベーンポンプ、スクロールポンプ、スクリューポンプ、液封式ポンプ、圧電気変換器によって動作されるポンプ(例えば、ダイアフラムポンプ)、ボイスコイルポンプなどの好適なポンプであり得る。ポンプ制御プロセッサ370は、1つ以上の圧力センサから受信したデータを使用して、流体流路内の圧力を測定し、流体流量を計算し、ポンプを制御し得る。ポンプ制御プロセッサ370は、所望のレベルの陰圧が創腔110内で達成されるように、ポンプモータなどのアクチュエータを制御することができる。所望のレベルの陰圧は、圧力設定またはユーザによって選択され得る。様々な実施形態で、ポンプ制御プロセッサ370は、パルス幅変調(PWM)を使用してポンプアクチュエータ(例えば、ポンプモータ)を制御する。ポンプアクチュエータを駆動するための制御信号は、0~100%のデューティサイクルPWM信号であり得る。ポンプ制御プロセッサ370は、流速計算を実施し、流路内の様々な条件を検出することができる。ポンプ制御プロセッサ370は、プロセッサ310に情報を伝えることができる。ポンプ制御プロセッサ370は、内部メモリを含み得るか、またはメモリ350を利用することができる。ポンプ制御プロセッサ370は、低電力プロセッサであり得る。
【0053】
通信プロセッサ330は、有線または無線接続を提供するように構成され得る。通信プロセッサ330は、データを送受信するために1つ以上のアンテナ340を利用することができる。通信プロセッサ330は、全地球測位システム(GPS)技術、セルラー接続(例えば、2G、3G、LTE、4G)、Wi-Fi接続、インターネット接続などの接続タイプのうちの1つ以上を提供することができる。接続は、ポンプ組立体位置追跡、資産追跡、コンプライアンス監視、遠隔選択、ログ、警告、および他の運転データのアップロード、治療設定の調整、ソフトウェアおまたはファームウェアのアップグレードなどの様々な活動に使用され得る。通信プロセッサ330は、GPS/セルラー二重機能を提供することができる。セルラー機能は、例えば、3G機能であり得る。このような場合、GPSモジュールが大気条件、建物または地形の干渉、衛星ジオメトリなどの様々な要因により衛星接続を確立できない場合、装置の位置は、携帯電話認証、三角測量、フォワードリンクタイミングを使用することなどによる、3Gネットワーク接続を使用して決定することができる。ポンプ組立体は、SIMカードを含み得、SIMベースの位置情報を得ることができる。
【0054】
通信プロセッサ330は、プロセッサ310に情報を伝えることができる。通信プロセッサ330は、内部メモリを含み得るか、またはメモリ350を利用することができる。通信プロセッサ330は、低電力プロセッサであり得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、ポンプ組立体は、位置決めデータ、治療パラメータ、ログ、デバイスデータなどのうちの1つ以上など、様々なデータを追跡および記憶することができる。ポンプアセンブリは、治療および他の動作データを追跡およびログ記録することができる。データは、例えば、メモリ350に記憶され得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、通信プロセッサ330によって提供される接続を使用して、デバイスは、ポンプ組立体によって保存され、維持され、および/または追跡された任意のデータをアップロードできる。例えば、治療期間といった、治療送達情報を含む活動ログ、アラームタイプおよび発生時刻を含むアラームログ、内部エラー情報や送信エラー等を含むエラーログ、時間ごと、日ごと等で演算され得る治療期間情報、特定の治療プログラムまたは複数のプログラムを最初に適用してからの治療期間を含む治療合計時間、生涯の治療情報、シリアル番号やソフトウェアバージョン、電池レベル等といったデバイス情報、デバイス位置情報、患者情報、等を含む、情報を、リモートコンピュータまたはサーバにアップロードすることができる。デバイスはまた、治療の選択、ならびにパラメータ、ファームウェアおよびソフトウェアのパッチおよびアップグレードなどの様々な運転データをダウンロードすることができる。ポンプ組立体は、1つ以上のブラウザプログラム、メールプログラム、アプリケーションソフトウェア(例えば、アプリ)などを使用して、インターネットブラウジング機能を提供することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、通信プロセッサ330は、ポンプ組立体のハウジングの位置などのポンプ組立体の位置を、ポンプ組立体の近接(例えば、10、20、または50メートル以内など)にある他のデバイスに通信するために、アンテナ340を使用してもよい。通信プロセッサ330は、実装に応じて、他のデバイスと一方向または双方向の通信を行うことができる。通信プロセッサ330によって送信される通信は、またポンプ組立体の近傍にある1つ以上の他のポンプ組立体に対して、ポンプ組立体を一意に識別するための識別情報を含み得る。例えば、識別情報は、シリアル番号またはシリアル番号に由来する値を含み得る。通信プロセッサ330による伝送通信の信号強度は、別のデバイスが、デバイスとポンプ組立体との間の距離など、ポンプ組立体までの距離を決定することを可能にするように、制御され得る(例えば、一定または実質的に一定レベルで維持される)。
【0058】
いくつかの実施形態では、通信プロセッサ330は、通信プロセッサ330自体がポンプ組立体から他のデバイスまでの距離を決定できるように、ポンプ組立体の近傍の他のデバイスと通信することができる。こうした実施形態では、通信プロセッサ330は、ポンプ組立体から他のデバイスまでの距離を追跡および記憶するか、または経時的な距離の変化の表示をすることができ、通信プロセッサ330は、後でこの情報を他のデバイスに提供することができる。例えば、通信プロセッサ330は、ポンプ組立体がデバイスのカバレッジ領域から取り外された時間の長さを決定し、その後、カバレッジ領域に戻ったときに、この時間をデバイスに報告できる。
【0059】
可撓性吸引アダプタ
図4A~
図6は、
図1に例示した実施形態に類似した陰圧創傷治療システム5501の実施形態を例示する。ここで、システム5501は、近位端5503および遠位端5505を含むブリッジ部分5502を有する可撓性吸引アダプタ5500と、可撓性吸引アダプタ5500を形成するブリッジ部分5502の遠位端5505にアプリケーター5520と、を備え得る。コネクタ5504は、
図4Bに示すように、チャネル5512および/または5516のうちの少なくとも1つに接続するように、ブリッジ部分5502の近位端5503に配設されることが好ましい。キャップ5536は、システム5501を備えて提供され得る(いくつかの場合では、例示のとおり、コネクタ5504に取り付けられ得る)。キャップ5536は、近位端5503から流体が漏出するのを妨げるときに有用であり得る。システム5501は、ポンプまたは陰圧を供給できる陰圧ユニット5534など、陰圧源を含んでもよい。ポンプは、創傷滲出液、および創傷から除去されてもよい他の流体を貯蔵する、キャニスタまたは他の容器を好ましくは備えてもよい。いくつかの実施形態では、このポンプ5534は、
図2に関連して記載されるポンプ200であってもよい。いくつかの実施形態では、このポンプ5534は、Smith&Nephewが販売するRENASYS GOポンプであってもよい。ポンプ5534は、管5540を介してコネクタ5504に接続されてもよい。使用中、アプリケーター5520は、いくつかの場合、発泡体またはガーゼなどの創傷パッキング材料で満たされてもよい、好適に用意ができている創傷5530の上に設置される、ドレープ5531に形成される隙間5535にわたって設置される。その後、管5540を介してコネクタ5504に接続されるポンプ5534によって、ポンプが起動され、それによって創傷に陰圧が供給される。陰圧の印加は、所望するレベルの創傷5530の治癒を達成するまで行われてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、ブリッジ部分5502は、上部層5510と中間層5514との間に位置付けられる上部層チャネル層5512を備えてもよく、下部チャネル層5516は中間層5514と底部層5518との間に位置する。好ましくは、層5510、5514、および5518は、近位端と遠位端との間に延在する細長い部分を有し、流体不透過性の材料、例えばポリウレタンなどのポリマーを含んでもよい。当然のことながら、層5510、5514、および5518はそれぞれ、半透過性材料を含む異なる材料から構築されてもよい。いくつかの実施形態では、層5510、5514、および5518のうちの1つ以上は、少なくとも部分的に透明であってもよい。
図5Bに示すように、上部層5510および下部層5518は、それらの長さの大部分にわたって曲がった、丸まった、または外側に凸状であってもよい。組立中、例えば、層5510、5514、および5518は、一緒に挟まれて、層を一緒に溶接または接着してもよい。そうすることで、チャネル5512および5516の近位端は、これらの層の間に挟まれてもよく、それゆえ、チャネル5512、5516の近位端を部分的に圧縮し、層5510、5514、5518をこれらの前述の近位端の上に伸ばす。もちろん、ブリッジ部分5502で使用される材料の近位端は、必ずしも丸みを帯びたり曲がったりするわけではなく、
図6に示すように、それらは実質的に正方形にされ、かつ真っ直ぐに保たれ得る。
【0061】
上部チャネル層5512および下部チャネル層5516は、近位端5503から遠位端5505まで延在する細長い層であることが好ましく、例えば、ポリエチレンまたはポリウレタンなどのオープンセル発泡体を含む多孔質材料を各々含むことが好ましい。いくつかの実施形態では、上部チャネル層5512および下部チャネル層5516のうちの1つ以上は、例えば、編まれたまたは織られたスペーサ布(編まれたポリエステル3D布、Baltex 7970.RTM.、またはGehring 879.RTM.など)または不織布材料からなってもよい。好適な材料はまた、テリー織りまたはループパイル材料を含んでもよい。繊維は必ずしも織られるわけではなく、フェルトおよびフロック繊維材料(Flotex.RTM.などの材料を含む)を含み得る。選択されたこの材料は、好ましくは、創傷滲出液を創傷から離すように導き、陰圧および/または吐出された空気を創傷部位へ透過させるために置くことができ、また、ある程度のねじれ抵抗または閉塞抵抗を、後述するようにチャネル層5512および5516に与えてもよい。一実施形態では、上部チャネル層5512は、ポリウレタンなどのオープンセル発泡体を備えてもよく、下部チャネル層は、本明細書に記載の生地を備えてもよい。別の実施形態では、上部チャネル層は任意選択であり、システムは代わりに開放上部チャネルを備えて提供され得る。
図5Bに示す実施形態では、上部チャネル層5512は、曲面、丸みのあるまたは上向きに凸状の上面および実質的に平坦な下面を有してもよく、下部チャネル層5516は、曲面、丸みのあるまたは下向きに凸状の下面および実質的に平坦な上面を有してもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、生地は、1つ以上のタイプの繊維が、三次元のすべてで繊維の延在する構造を形成する、三次元(3D)構造を有してもよい。こうした生地は、いくつかの事例では、吸い上げ、流体輸送、および/または陰圧の透過を補助し得る。チャネル5512および/または5516が、システム5501内に収められている間に変位または捩じれることを防ぐために、陰圧下でそれぞれのチャネルの性能を損なう場合があるが、いくつかの実施形態では、チャネル5512および/または5516を、層5510、5514、および5518のうちの1つ以上に接着するか、または他の方法で固定することが好ましい場合がある。特定の実施形態では、これらの材料は、開放されたままで、より高いおよびより低い値が可能であるが、例えば、40~150mmHgの陰圧治療で使用される通常圧力下において、陰圧を創傷エリアに伝えることができる。いくつかの実施形態では、生地は、互いの上に積み重なった、または積層された材料のいくつかの層を備えてもよく、場合によっては、陰圧印加状況下において、チャネル5516が崩壊するのを妨げるのに有用であってもよい。他の実施形態では、チャネル5516に使用される生地は、1.5mm~6mmの厚さであってもよく、より好ましくは、生地は、3mm~6mmの厚さであってもよく、1つまたはいくつかの個別の生地層からなってもよい。他の実施形態では、チャネル5512は1.2~3mmの厚さであってもよく、好ましくは1.5mmよりも厚い。さらに、前述したように、システム5501に使用される材料は、快適で柔らかいものであることが好ましく、それにより患者の皮膚に押し付けられる創傷治療システムに起因する場合がある、圧迫性褥瘡および他の合併症を回避するのに役立つ場合がある。
【0063】
いくつかの実施形態では、層5510、5514、および5518の遠位端、ならびにチャネル層5512および5516は、これらの遠位端(創傷部位の上に設置される)で拡張され、「涙滴」または他の拡張形状を形成してもよい。少なくとも層5512、5514、5516、および5518の遠位端はまた、少なくとも1つの貫通隙間を備えて提供され得る。この隙間は、創傷滲出液の排出、および創傷への陰圧の印加のためだけでなく、これらの隙間が、これらのそれぞれの層を適切に整列させるために使用され得るので、デバイスの製造中にも有用であり得る。
【0064】
図5Bおよび
図5C、ならびに
図6の追加参照により、チャネルコネクタ5506は、ブリッジ部分5502の近位端5503に提供され得、チャネルコネクタ5506は、好ましくは、安全な流体接続を作り出すように、下部チャネル層5516に埋め込まれるように構成されている。チャネルコネクタ5506は、いくつかの実施形態では、チャネル5516内に形成された予め作られた空洞内に挿入されてもよく、
図6に示すように、この空洞は切り出されてもよく、またはサネ接合の形態であってもよい。チャネルコネクタ5506の一端が下部チャネル層5516に埋め込まれている状態で、チャネルコネクタ5506の他端は、一実施形態では、コネクタ管5507に接続または連通してもよいが、いくつかの実施形態では、チャネルコネクタ5506は、コネクタ5504に直接接続されてもよく、またはそうでなければ、陰圧源に接続された管5540に直接接続されてもよい。コネクタ管5507を使用する場合、得られた組立体は、コネクタ5504をコネクタに取り付けさせ得る。キャップ5536は、例えば、コネクタ管5507の外面上に配設されたリングで固定されたキャップリーシュ5527を介して吸引アダプタに固定されてもよい。キャップ5536は、例えば、コネクタ5504で吸引アダプタの端を覆うように使用されて、滲出液および他の創傷流体が漏れ出ることを防止し得る。コネクタ5504は、好ましくは、陰圧源に接続された管5540と接続するように構成される。コネクタ5504は、例えば、コネクタ5504を管5540および/またはキャップ5536に固定するのを助けるリップまたは他のこうした構造を含んでもよいが、クイックディスコネクトカップリング、ルアーロック、クリスマスツリー、および他のこうしたコネクタを含む、他のコネクタタイプが可能であると理解され得る。
【0065】
上部層5510は、下向きに、好ましくは少なくともブリッジ部分5502の厚さの下方に延在する追加の材料を備えてもよく、この材料は、流体タイトシールを形成するために他の層に接合または溶接するために使用されてもよい。より具体的には、組立体中、上部層5510は、例えば、溶融、溶接、または接着剤を用いて、流体タイトシールを形成するために下部層5518に取り付けられてもよい(遠位端および近位端での隙間は例外とする)。中間層5514は、最上層5510および底部層5518に取り付けられることが好ましい。いくつかの実施形態では、コネクタ5504および/または5506、ならびに管5507を、層5510、5514、5518のうちの少なくとも1つに取り付け、または接着し、それにより、流体密封接続を作り出すことが好ましい場合がある。より安全な接続を提供するために、いくつかの実施形態はまた、下部層5518上に作られた溶接点5532を備えて提供され得る。下部チャネル5516は、それを通して作られた穴または隙間を有してもよく、これは、溶接点5532を介して、下部層5518にそれを溶接するために使用され得る。穴5533を通して作られた溶接点5532を介した下部チャネル5516の下部層5518へのこの溶接は、したがって、様々な層およびチャネルがシフトまたは変位するのを防ぐのに役立ち得る。当然のことながら、例えば、接着剤などの他の固定手段が使用されてもよく、こうした配置も上部チャネル5512で使用され得ることが理解されよう。
【0066】
特定の実施形態では、例えば、
図5A~
図6に示すように、制御された空気リーク部5524は、ブリッジ部分5502上、例えば、その近位端に配設され得る。この空気リーク部5524は、空気リーク部5524が上部チャネル5512と流体連通するように、上部層5510を通って延在する開口部またはチャネルを備えてもよい。吸引アダプタ5500への吸引の適用時に、空気は、空気リーク部5524を通って入り、近位端5503から上部チャネル5512に沿って遠位端5505へ移動することになる。次に、層5512、5514、5516、および5518の遠位端を通して隙間を通過することによって、空気は下部チャネル5516内に吸引されることになる。空気リーク部5524は、フィルタ5525を含むことが好ましい。好ましくは、空気リーク部5524は、創傷滲出液または他の流体が接触し、空気リーク部5524またはそのフィルタ5525を閉塞または妨害する可能性を最小化するように、ブリッジ部分5502の近位端に位置する。いくつかの実施形態では、このフィルタ5525は、微生物および細菌を排除することができ、45μmより大きい粒子を濾過することができる、マイクロ多孔質膜である。好ましくは、フィルタ5525は、1.0μmよりも大きい粒子、より好ましくは、0.2μmよりも大きい粒子を除外することができる。有利なことに、いくつかの実施形態は、例えば、水、シャンプーなどの一般的な家庭用液体、および他の界面活性剤に対して、少なくとも部分的に化学的に耐性のあるフィルタ5525を提供し得る。いくつかの実施形態では、吸引アダプタ5500への真空の再適用および/またはフィルタ5525の露出した外側部分の拭き取りは、フィルタ5525を閉塞する任意の異物を除去するのに十分であり得る。フィルタ5525は、アクリル、ポリエーテルスルホン、またはポリテトラフルオロエチレンなどの好適に抵抗するポリマーから構成されてもよく、および油性および/または疎水性であってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ5525はまた、支持裏当て層、例えば、不織布ポリエステル支持体を含んでもよい。好ましくは、空気リーク部5524は、追加の陰圧がシステム5501に適用されたときに顕著に増加しない、比較的一定の空気流を供給することになる。吸引アダプタ5500の実施形態では、追加の陰圧が適用されると、空気リーク部5524を通る空気流が増加するが、好ましくは、この増加した空気流は最小化され、それに適用される陰圧に比例して増加しない。
【0067】
特定の実施形態で制御された空気リーク部5524に提供されるフィルタ5525は、より多くの歩行可能な患者および活動的な患者と使用するためのシステム5501で有用であり得る。例えば、耐薬品性フィルタは、陰圧源に再接続したときに、フィルタの機能を損なわずに患者が入浴またはシャワーすることを可能にし得る。次に、空気リーク部5524を遮断する任意の遮蔽または流体は、例えば、フィルタ5525を拭き取るか、または陰圧を吸引アダプタ5500に再印加することによって除去され得る。こうしたシステムはまた、システム5501および任意の組み合わせられた創傷被覆材料が存在する場合、患者が、例えば入浴に付随して、陰圧源から接続解除される必要がある場合、除去し、その後再度適用する必要がないという利点を有する。これは、本治療システムのコスト効率および使いやすさを改善する上で、著しい利点を伴う。
【0068】
吸引アダプタ5500は、吸引アダプタ5500が捩じれているか、または加重されている場合でも、一定の流体流を提供するように構築され得る。例えば、患者に使用する場合、ブリッジ部分5502は、それ自体の上に折り畳まれ得、またはそうでない場合、患者は寝返りをうち、したがって吸引アダプタ5500の少なくとも一部分の上に体重が載ってしまう。典型的には、先行技術の被覆材および流体コネクタは、こうした状況で遮断または無効となり、場合によっては、圧迫潰瘍などの合併症に寄与し得る。しかしながら、ここで、特定の実施形態は、捩じれた場合または加重された場合に、改善された閉塞抵抗を提供する。上述のようにチャネル層5512および5516を用いることによって、ならびに発泡体チャネル層5512および生地チャネル層5516を用いることによって、吸引アダプタ5500は、陰圧が陰圧源を通して印加される間、少なくとも0.08L/分の、好ましくは0.12L/分の空気リーク部5524を通る流量を維持することができる場合がある。さらなる実施形態はまた、吸引アダプタ5500が、少なくとも10L/日、または6.9ml/分の下部チャネル5516を通して、創傷部位からの流体滲出液排出を処理できる。特定の実施形態は、例えば、直径1インチのロッドを通してブリッジ部分を押し下げる、12kgの重さでもこれらの流量を維持するために、吸引アダプタ5500を提供する。いくつかの実施形態では、これらの流量は、ブリッジ部分5502が、同じ重さで、または例えば、折り畳まれた領域上に直接置かれた4.75kgの重さで、それ自体の上に捩じれている間も維持される。吸引アダプタ5500は、例えば40時間以上の長期間にわたってさえ、折り畳まれたり捩じれたりすることに耐えることができ、折り畳まれたり捩じれたりする前のその性能と比較して性能(例えば、流量)にいかなる劣化も示さないことが好ましい。好ましくは、吸引アダプタ5500の実施形態はまた、創傷に、陰圧源の陰圧レベルに近い陰圧を透過させ、維持することができる。例えば、創傷で維持される圧力の許容可能なレベルは、陰圧源で設定された陰圧の+-.25mmHg以内であってもよく、この圧力は、吸引アダプタ5500が陰圧を印加された時間の95%以内でこのレベルに維持されることが好ましい。許容可能な圧力レベルは、200mmHgのレベルが首尾よく使用されてきたが、40~120mmHgの圧力範囲を含み得る。
【0069】
図4A~
図5Bおよび
図6を追加的に参照すると、吸引アダプタ5500は、創傷部位上に設置するよう設計されたアプリケーター5520を備え得る。アプリケーター5520は、例えばポリエチレンまたはポリウレタンなどの可撓性層5550を備えることができ、その下部(創傷に面する)側に接着剤の層を有する。任意選択で、保護剥離層5529は、使用前に取り外し可能である接着剤層上に設置されてもよい。いくつかの実施形態では、層5550の柔軟性のために、アプリケーター5520の扱いを容易にするために、より剛直な取り外し可能な裏当て層5552がアプリケーター5520の上部側に設けられてもよい。アプリケーター5520は、例えば、両面接着テープ5528のセクションを使用するなど、遠位端5505にブリッジ5502の取り付け点を含むことが好ましい。両面接着テープ5528は、ブリッジ5502をアプリケーター5520に接着する前に除去される追加の保護剥離層によって保護されてもよい。理解されるように、異なる取り付け方法も、例えば、ヒートシール、溶接、または好適な接着剤など、意図される。いくつかの実施形態はまた、別個の取り付け手段を必要としない単一のユニットとして、ブリッジ5502およびアプリケーター5520の製造を許容し得る。アプリケーター5520は、それ自体を通して、創傷部位の上に設置されるように設計され、創傷部位を陰圧源および空気リーク部に流体接続すると同時に、創傷滲出液を創傷部位から引き出すための導管として機能することができる、少なくとも1つの隙間5526を含むことが好ましい。
【0070】
使用中、および
図4Aおよび
図4Bを参照して、システム5501は、
図1に関連して記載されるシステム100など、本明細書で以前に開示された他の実施形態と類似した様式で使用され得る。創傷部位5530は、好適な様式で洗浄および調製され、必要に応じて創傷パッキング材料が創傷部位に設置され、その後にドレープ5531が続くことが好ましい。次いで、創傷部位へのドレープを通した隙間5535が作り出されるが、いくつかの実施形態は、予め作製された隙間5535を有し得る。その後、オペレータは、隙間5535の上方でアプリケーター部分5520を位置させてもよい。裏当て層5529(存在する場合)をアプリケーター部分5520の下部の接着剤層から除去した後、アプリケーターはドレープ5531にシールされ、裏当て層5552(存在する場合)もアプリケーター部分5520から除去される。次に、管5540などの流体導管をコネクタ5504に接続してもよい。管5540はまた、アプリケーターを創傷部位に適用する前に、コネクタ5504に接続されてもよい。流体導管は、好ましくは、その間に介在される創傷滲出液を含有するのに適した容器を有する、陰圧源5534に接続される。次いで、陰圧の適用は、創傷部位が所望の治癒レベルに進行するまで、創傷部位5530に実施され得る。
【0071】
システム5501の使用中、創傷部位5530からの創傷滲出液は、下部チャネル層5516を通して陰圧によって引き出され得る。空気リーク部5524により、空気は、上部チャネル層5512を通過し、層5512、5514、5516、および5518の遠位端を通って隙間へと通過することができる。陰圧は、上部チャネル層を通過する空気を、下部チャネル層5516の中へ、陰圧源またはポンプに向かって引き込む。いくつかの実施形態では、制御された空気リーク部5524は、吸引アダプタ5500を通る一定の空気の流れを提供し、これは次に、閉塞または漏れが存在するかどうかを判定するために使用され得る。閉塞の原因は、例えば、下部チャネル5516が創傷破片で閉塞される状況を含み得る。漏れの原因には、例えば、創傷部位上のドレープの不適切なシーリング、またはシステムに過剰な空気漏れをもたらす吸引アダプタ5500への物理的損傷が含まれ得る。閉塞または漏れは、特定の実施形態では、ポンプが一定の陰圧を維持するために機能する間、ポンプの速度を測定することによって判定され得る。ポンプ速度はまた、ポンプに送信される電圧または信号の量を測定することによって間接的に測定されてもよい。
【0072】
NPWTのための多層創傷被覆材
図7Aは、流体コネクタ710とともに創傷被覆材700を用いる、陰圧創傷治療システム70の一実施形態を例示する。本明細書に記載のポンプと組み合わせた創傷被覆材を備える陰圧創傷治療に関する追加の実施例を、全体が参照により組み込まれる米国特許番号第9,061,095号に記載されるものと組み合わせて、または該文献に記載されるものに加えて使用することもできる。ここで、流体コネクタ710は、細長い導管、より好ましくは近位端730および遠位端740を有するブリッジ720と、ブリッジ720の遠位端740にあるアプリケーター780と、を備え得る。システム70は、陰圧を供給することができる、ポンプまたは陰圧ユニット750などの、陰圧源を含み得る。ポンプは、創傷滲出液、および創傷から除去されてもよい他の流体を貯蔵する、キャニスタまたは他の容器を備えてもよい。キャニスタまたは容器はまた、ポンプとは別に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、ポンプ750は、Smith&Nephewより販売される、PICO(商標)ポンプなど、キャニスタなしのポンプであり得る。ポンプ750は、管を介してブリッジ720に接続することができるか、またはポンプ750は、ブリッジ720に直接接続することもできる。使用中、被覆材700は、いくつかの場合、上述のように、発泡体またはガーゼなどの創傷パッキング材料で満たされてもよい、好適に準備された創傷の上に設置される。流体コネクタ710のアプリケーター780は、被覆材700の隙間の上に設置され、被覆材700の最上表面にシールされる、シール面を有する。流体コネクタ710の被覆材700への接続の前、間、または後のいずれかに、ポンプ750は、管を介して連結器760へ接続されるか、またはブリッジ720へ直接接続される。その後ポンプが起動され、それによって陰圧を創傷に供給する。陰圧の適用は、所望するレベルの創傷治癒を達成するまで行われてもよい。
【0073】
図7Bに示されるように、流体コネクタ710は、以下にさらに詳細に記載されるように、被覆材700と流体連通する拡大遠位端または頭部740を備えることが好ましい。一実施形態では、拡大遠位端は丸い形または円形を有する。頭部740は、ここでは、被覆材700の端近くに位置付けられているものとして例示されているが、被覆材上の任意の場所に位置付けることもできる。例えば、いくつかの実施形態は、被覆材700の端または角上または近くではない、中心または中心から外れた場所に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、被覆材70は、2つ以上の流体コネクタ710を備えてもよく、各々、それと流体連通する1つ以上の頭部740を備える。好ましい実施形態では、頭部740は、最も幅の広い縁に沿って30mmあってもよい。頭部740は、上に記載した、創傷被覆材の最上表面に対してシールされるように構成される、アプリケーター780を少なくとも一部形成する。
【0074】
図7Cは、流体コネクタ710とともに、全体が参照により組み込まれる国際特許出願公開第2013175306(A2)号に記載される創傷被覆材70に類似する創傷被覆材700の断面を例示する。代替として、本明細書に開示するいずれの創傷被覆材の実施形態、または本明細書に開示する創傷被覆材の実施形態のいずれの数の特徴のいかなる組み合わせでもあり得る、創傷被覆材700は、治療される創傷部位の上に置かれ得る。被覆材700は、創傷部位の上に密封された空洞を形成するために設置されてもよい。好ましい実施形態では、被覆材700は、最上層もしくはカバー層、または任意選択の創傷接触層822に取り付けられる裏当て層820を備え、それらの両方について以下により詳細に記載する。これら2つの層820、822は、内部空間またはチャンバを画定するために、一緒に接合またはシールされることが好ましい。この内部空間またはチャンバは、陰圧を分配するか、または透過させ、創傷滲出液および創傷から除去された他の流体を貯蔵するように適応され得る追加構造と、以下でより詳細に説明されることになる他の機能と、を備え得る。以下に記載するそのような構造の例は、透過層826および吸収層821を含む。
【0075】
本明細書で使用される場合、上部層、最上層、または上方の層とは、被覆材が使用中で、創傷の上に位置付けられている間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。したがって、下面、下部層、最下層、または下方の層とは、被覆材が使用中で、創傷の上に位置付けられている間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0076】
図7Cに図示するように、創傷接触層822は、ポリウレタン層、ポリエチレン層、または、例えば、ホットピンプロセス、レーザーアブレーションプロセス、または超音波プロセスを介すか、または他のいくつかの方法で穴加工された、あるいは別の方法で液体および気体が透過するようにした他の可撓性のある層であってもよい。創傷接触層822は、下面824と上面823とを有する。穿孔825は、好ましくは、創傷接触層822の貫通穴を含み、これにより、流体は層822を通って流れることができる。創傷接触層822は、創傷被覆材の他の材料内に組織が内部成長するのを防止するのに役立つ。穿孔は、その中を通って流体が流れるのを可能にしつつ、この要件を満たすのに十分小さいことが好ましい。例えば、0.025mm~1.2mmの範囲の寸法を有するスリットまたは孔として形成された穿孔は、創傷滲出液が被覆材内に流れるのを可能にしつつ、創傷被覆材内に組織が内部成長するのを防止する一助となるには十分小さいと考えられる。いくつかの構成では、創傷接触層822は、陰圧を創傷に維持するために、吸収パッドの周りに気密シールをも作り出しながら、被覆材700全体の完全性を維持するのに役立つ場合がある。
【0077】
創傷接触層822のいくつかの実施形態はまた、任意選択の上部および下部接着剤層(図示せず)用の担体として働いてもよい。例えば、下部感圧接着剤が、創傷被覆材700の下面824上に提供されてもよい一方、上部感圧接着剤層は、創傷接触層の上面823上に提供されてもよい。シリコン、ホットメルト、親水コロイドもしくはアクリルをベースとする接着剤、または他のそのような接着剤であってもよい感圧接着剤は、創傷接触層の両側面上、もしくは任意選択で選択された片側面上に形成されてもよく、または創傷接触層のどちらの側面上に形成されなくてもよい。下部感圧接着剤層を利用すると、創傷被覆材700を創傷部位の周りの皮膚に接着するのに役立つ場合がある。いくつかの実施形態では、創傷接触層は穿孔ポリウレタンフィルムを備えてもよい。フィルムの下面はシリコン感圧接着剤を備えて提供されてもよく、上面はアクリル感圧接着剤を備えて提供されてもよく、これは被覆材がその完全性を維持するのに役立つ場合がある。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム層は、その上面および下面の両面上に接着剤層を備えて提供され得、3つの層すべてが一緒に穿孔されていてもよい。
【0078】
透過層826が、創傷接触層822の上方に位置し得る。いくつかの実施形態では、透過層は、多孔質材料であってもよい。本明細書で使用される場合、透過層とは、スペーサ層と称することができ、該用語は、本明細書に記載されるのと同じ構成要素を指すように交換可能に使用され得る。この透過層726により、液体および気体を含む流体が、創傷部位から離れて創傷被覆材の上部層中へと透過することが可能になる。特に、透過層826によって、吸収層が相当量の滲出液を吸収しても創傷エリアの上に陰圧を伝えるよう、外気チャネル(open air channel)が確実に維持され得ることが好ましい。層826は、好ましくは、上述のとおり、陰圧創傷療法時に適用されることになる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって、創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。層826は、三次元構造を有する材料から形成されてもよい。例えば、編まれたまたは織られたスペーサ布(例えば、Baltex 7970の横編ポリエステル)、または不織布が使用され得る。三次元材料は、国際公開第WO2013/175306(A2)号および国際公開第WO2014/020440号に記載される材料に類似した3Dスペーサ布材料を含み得、これらの文献の開示は、全体が参照により組み込まれる。
【0079】
特定の実施形態では、創傷被覆材700は、本項または本明細書の他の箇所において本明細書に記載されるマルチケアWCLを組み込み得るか、または備え得る。当業者であれば、創傷被覆材700が、本項または本明細書の他の箇所において本明細書に開示されるマルチケアWCLのいずれかを組み込み得ることを理解されよう。当業者であれば、マルチケアWCLが、構成要素層の全体として、または構成要素層の一部として組み込まれ得ることも理解されよう。いくつかの実施形態では、マルチケアWCL層は、透過層826の下方に提供され得る。いくつかの実施形態では、マルチケアWCL層は、創傷接触層822の上方に提供され得る。いくつかの実施形態では、マルチケアWCL層は、マルチケアWCL層が、(以下でさらに説明される)吸収層221と創傷接触層822との間に提供されるように、透過層826と置き換えることができる。いくつかの実施形態では、マルチケアWCL層は、吸収層821を補完するか、または吸収層821と置き換えることができる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材700は、創傷接触層822を有しておらず、マルチケアWCL層は、創傷被覆材700の最下層であってもよい。マルチケアWCLは、透過層826および/または吸収層821と同じまたは実質的に同様のサイズおよび形状を有し得る。
【0080】
マルチケアWCL層は、可撓性であるが、マルチケアWCLが過度に崩壊しないように陰圧に耐えるほど十分に硬いように構築することができ、かつそれによって、陰圧が創傷被覆材700に供給されるときに、陰圧を創傷に十分に透過させる。マルチケアWCL層は、中を通した陰圧の透過を可能にするのに十分な数またはサイズの細孔を含むように構築され得る。さらに、マルチケアWCL層は、十分な陰圧を創傷に透過させるのに適した厚さを有し得る。例えば、マルチケアWCL層は、1mm~10mm、または1mm~7mm、または1.5mm~7mm、または1.5mm~4mm、または2mm~3mmの厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、マルチケアWCLは、およそ2mmの厚さを有し得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、吸収材の層821は、透過層826の上方に提供されている。発泡体もしくは不織の自然または合成材料を含み得、任意選択で超吸収材を含んでもよい吸収材は、流体、具体的には、創傷部位から除去される液体用の貯留部を形成する。いくつかの実施形態では、層821もまた、流体を裏当て層220の方へ引き寄せるのに役立ってもよい。
【0082】
吸収層821の材料はまた、創傷被覆材700内に収集された液体が被覆材内で自由に流れるのを防止し得、好ましくは、収集されたいかなる液体も被覆材内に含むよう作用する。吸収層821はまた、流体が創傷部位から引き出され、吸収層全体に貯蔵されるように、吸い上げ作用によって層全体に流体を分配するのに役立つ。これによって、吸収層の面積における凝集を防止するのを補助する。吸収材の容量は、陰圧を適用するとき、創傷の滲出液が流れる速度を管理するのに十分でなくてはならない。使用中、吸収層は陰圧を経験するため、吸収層の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。例えば、超吸収体材料といった、陰圧下にあるとき液体を吸収できる、いくつかの材料が存在する。吸収層821は通常、ALLEVYN(商標)発泡体のFreudenberg 114-224-4またはChem-Posite(商標)11C-450より製造されてもよい。いくつかの実施形態では、吸収層821は、超吸収粉末、セルロースなどの繊維材料、および結合繊維を含む複合材を含んでもよい。好適な実施形態では、合成物は、エアレイド熱結合合成物である。
【0083】
いくつかの実施形態では、吸収層821は、層中にわたって分散する乾燥粒子の形態である超吸収材を有する、不織セルロース繊維の層である。セルロース繊維の使用によって、被覆材により吸収される液体を素早くかつ均等に分配するのに役立つ、高速吸い上げ要素が導入される。多数の撚糸様繊維を並列させることが、液体を分配するのに役立つ繊維パッドの、強い毛細管作用につながる。このように、超吸収材に液体を効率的に供給する。また、吸い上げ作用によって、被覆材の蒸散率を増加させるのに役立つように、液体を上部カバー層と接触させるように支援する。
【0084】
陰圧を被覆材700に適用することができるように、隙間、穴、またはオリフィス827が裏当て層820に提供されていることが好ましい。流体コネクタ710は、被覆材700の中に作られるオリフィス827の上で、裏当て層820の最上部に取り付けられるか、またはシールされ、オリフィス827を通って陰圧を伝えることが好ましい。長いチューブが、被覆材から流体を汲み上げることが可能になるように、第1の端部で流体コネクタ710に、第2の端部でポンプユニット(図示せず)に連結されてもよい。流体コネクタが創傷被覆材の最上層に接着する場合、長いチューブは、チューブまたは導管が、流体コネクタから離れて平行に、または実質的に被覆材の最上表面へ延在するような、流体コネクタの第一端部で連結されてもよい。流体コネクタ710は、アクリル、シアノアクリレート、エポキシ、UV硬化性またはホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、裏当て層820に接着およびシールすることができる。流体コネクタ710は、ショアAスケールで30から90の硬度を有する、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、シリコン、またはポリウレタンといった柔らかいポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、流体コネクタ710は、柔らかい材料または適合する材料から作られてもよい。
【0085】
任意選択で、吸収層821は、流体コネクタ710の下にあるように位置する、少なくとも1つの貫通穴828を含む。貫通穴828は、いくつかの実施形態では、裏当て層の開口部827と同じサイズであってもよく、またはより大きいもしくは小さくてもよい。
図2Cに図示するとおり、単一の貫通穴は、流体コネクタ710の下にある開口部をもたらすように使用され得る。複数の開口部が、代替として利用され得ることは理解されるであろう。加えて、1つまたは複数のポートが、本開示の特定の実施形態に従って利用されるべき場合、1つまたは複数の開口部が、各それぞれの流体コネクタと位置を合わせて、吸収層に作られてもよい。本開示のある実施形態には必須ではないものの、超吸収層に貫通穴を使用することで、吸収層が飽和に近いとき特に、遮断されないままの流体流路を提供してもよい。
【0086】
図2Cに例示されるように、隙間または貫通穴828は、オリフィスが透過層826に直接接続するように、オリフィス827の下方の吸収層821に提供されていることが好ましい。これによって、流体コネクタ710に適用される陰圧を、吸収層821を通過することなく、透過層826へ伝えることが可能になる。これで、吸収層が創傷滲出液を吸収しても、創傷部位に適用される陰圧が、吸収層によって阻害されないことが保証される。他の実施形態では、隙間は吸収層821に提供されなくてもよく、または、代替として、オリフィス827の下にある複数の隙間が提供されてもよい。さらなる代替の実施形態では、別の透過層などの追加層、または
図6Aおよび
図6Bを参照して記載され、全体が参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第WO2014/020440号に記載されるような遮蔽層が、吸収層821の上および裏当て層820の下方に提供され得る。
【0087】
裏当て層820は、気体を透過させないが、水蒸気を透過させるのが好ましく、創傷被覆材700の幅を横切って延在し得る。例えば、片方の側面に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(例えば、Elastollan SP9109)であってもよい、裏当て層820は、気体に対して不透過性であり、それゆえ、この層は創傷を覆い、上に創傷被覆材が設置される創腔をシールするように動作する。このように、効果的なチャンバが、陰圧が確立され得る、裏当て層820と創傷部位との間に作られる。裏当て層820は、例えば接着技術または溶接技術を介して、被覆材の周囲の境界領域内において、創傷接触層822に対してシールされ、境界領域に空気が吸い込まれないようにするのが好ましい。裏当て層820によって、創傷が外部の細菌汚染から保護され(細菌バリア)、層を通って創傷滲出液からの液体を移動させ、フィルム外表面から蒸発させることが可能になる。裏当て層820は、2つの層、すなわちポリウレタンフィルムとこのフィルム上に広げられた接着パターンとを含むのが好ましい。ポリウレタンフィルムは透湿性であるのが好ましく、かつ、濡れると透水率が高くなる材料から製造されてもよい。いくつかの実施形態では、裏当て層の透湿性は、裏当て層が濡れると高くなる。濡れた裏当て層の透湿性は、乾いた裏当て層の透湿性の最大約10倍であってもよい。
【0088】
吸収層821は、吸収層が透過層826の縁と重複するように、透過層826よりも大きい面積のものであってもよく、それによって、透過層が裏当て層820に接触しないことを保証する。これにより、創傷接触層822と直接接触する、吸収層821の外側チャネルが提供され、滲出液の吸収層へのより急速な吸収に役立つ。さらに、この外側チャネルによって、液体が創腔の外周に貯留できないことが保証され、そうでない場合には、被覆材の周囲のシールから染み出して、漏出の形成につながる場合がある。
図7Cに例示されるように、吸収層821によって、境界線または境界領域が、吸収層821の端と裏当て層820の端との間に画定されるように、裏当て層820の周囲よりも小さい周囲を画定してもよい。
【0089】
図7Cに示されるように、創傷被覆材700の1つの実施形態は、流体コネクタ710のすぐ下に置かれる吸収層821に隙間828を備える。使用中、したがって、例えば、陰圧が被覆材700に適用されると、流体コネクタの創傷に面する部分は、透過層826と接触してもよく、それゆえ、吸収層821が創傷流体で充填されているときでさえ、創傷部位に陰圧を透過させるのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、裏当て層820を透過層826に少なくとも一部接着させていてもよい。いくつかの実施形態では、隙間828は、流体コネクタ710の創傷に面する部分またはオリフィス827の直径よりも、少なくとも1~2mm大きい。
【0090】
特に、単一流体コネクタ710および貫通穴を伴ういくつかの実施形態では、
図7Bに例示されるように、流体コネクタ710および貫通穴が、中心から外れた位置に置かれるのが好ましい場合がある。そのような場所では、流体コネクタ710が被覆材700の残余部と比較して持ち上げられるように、被覆材700を患者の上に位置付けることが可能になってもよい。そのように位置付けると、流体コネクタ710およびフィルタ814は、創傷部位への陰圧の透過を減じるために、時期を早めてフィルタ814を閉塞させ得る創傷流体と、接触する可能性が低くなる場合がある。
【0091】
上に記載した創傷被覆材の実施形態と同様に、いくつかの創傷被覆材は、皮膚接触面上にシリコン接着剤、および裏面上にアクリル接着剤を伴う、穿孔された創傷接触層を備える。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、ポリウレタン、ポリエチレン、またはポリエステルから構築され得る。この縁取られた層の上方には、透過層が存在する。透過層の上方には吸収層が存在する。吸収層は超吸収不織(non-woven:NW)パッドを含み得る。吸収層は、周囲をおよそ5mm越えて透過層に接し得る。吸収層は、1つの端部の方に向かう隙間または貫通穴を有し得る。隙間は直径約10mmであり得る。透過層および吸収層の上に、裏当て層がある。裏当て層は、アクリル接着剤でコーティングされた模様である、高水蒸気透過率(MVTR)フィルムであり得る。高MVTRフィルムおよび創傷接触層は、透過層および吸収層を被包して、およそ20mmの周囲境界を作り出す。裏当て層は、吸収層の隙間の上に重なる、10mmの隙間を有し得る。孔の上方には、前述した隙間の上に重なる、液体不透過性、気体透過性の半透過性膜(semi-permeable membrane:SPM)またはフィルタを備える、流体コネクタを結合し得る。
【0092】
統合された陰圧源を有する多層創傷被覆材
いくつかの実施形態では、陰圧源(ポンプ等)および、電源、センサ、コネクタ、ユーザインターフェース構成要素(ボタン、スイッチ、スピーカ、スクリーン、等)等といった、TNPシステムのいくつかまたはすべての他の構成要素は、創傷被覆材と一体になり得る。さらに、本明細書に記載の創傷被覆材を備える、創傷治療に関するいくつかの実施形態は、国際出願第WO2016/174048号、および2017年3月6日出願された「WOUND TREATMENT APPARATUSES AND METHODS WITH NEGATIVE PRESSURE SOURCE INTEGRATED INTO THE WOUND DRESSING」と題した国際特許出願第PCT/EP2017/055225号に記載されるものと組み合わせるか、これらに記載されるものに加えて使用することもでき、これらの文献の開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれ、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材の構成要素および原理、ならびに創傷被覆材および創傷被覆材の構成要素に使用される材料に関するさらなる詳細を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、ポンプおよび/または他の電子構成要素は、ポンプおよび/または他の電子機器が創傷部位から離れて位置付けられた状態で、ポンプおよび/または他の電子構成要素が依然として、患者に適用されることになる単一の装置の一部であるように、創傷被覆材の吸収体および/もしくは透過層に隣接して、または創傷被覆材の吸収体および/もしくは透過層の隣に位置付けられるように構成され得る。
図8Aは、陰圧源および/または他の電子構成要素が創傷被覆材内に組み込まれた創傷被覆材を図示する。
図8Aは、ポンプおよび/または他の電子機器が創傷部位から離れて位置付けられた創傷被覆材1200を図示する。創傷被覆材は、電子機器エリア1261と、吸収エリア1260とを具備し得る。被覆材は、創傷接触層(図示せず)と、被覆材のその接触層と他の層の上方に位置付けされた透湿性フィルム、すなわちカバー層1213とを含み得る。創傷被覆材層、ならびに電子機器エリアおよび吸収エリアの構成要素は、
図8Aに示すように、1つの連続したカバー層1213によって覆われ得る。
【0094】
電子機器エリア1261は、陰圧源(ポンプ等)および、電源、センサ、コネクタ、ユーザインターフェース構成要素(ボタン、スイッチ、スピーカ、スクリーン、等)等といった、創傷被覆材と一体になり得るTNPシステムのいくつかまたはすべての他の構成要素を具備し得る。例えば、電子機器エリア1261は、
図8Aに示すように、ボタンまたはスイッチ1211を含み得る。ボタンまたはスイッチ1211は、ポンプを動作させる(例えば、ポンプをオン/オフする)ために使用され得る。
【0095】
吸収エリア1260は、吸収材1212を具備し得、創傷部位の上に位置付けられ得る。電子機器エリア1261は、吸収エリア1260から横にずらして配置することなどによって、創傷部位から離れて位置付けられ得る。
図8Aに示すように、電子機器エリア1261は、吸収エリア1260に隣接し、かつ吸収エリア1260と流体連通して位置付けられ得る。いくつかの実施形態では、電子機器エリア1261および吸収エリア1260はそれぞれ、長方形状であってよく、互いに隣接して位置付けされ得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、被覆材材料の追加層は、電子機器エリア1261、吸収エリア1260、またはその両エリア内に具備され得る。いくつかの実施形態では、被覆材は、接触層の上方および被覆材のカバー層1213の下方に位置付けられた、1つ以上のスペーサもしくは透過層、および/または1つ以上の吸収層を備え得る。
【0097】
被覆材は、上記または本明細書の他の箇所に記載のマルチケアWCLと、透過層(図示せず)と、透過層の上の吸収層1212と、創傷接触層、透過層、吸収層、または他の被覆材の層の上方に位置付けられた透湿性フィルムもしくはカバー層1213と、を備え得る。創傷接触層は、創傷に接触するように構成され得る。創傷接触層は接着剤を、被覆材を周りの皮膚に固定するため、患者に対向する側に具備するか、または、創傷接触層をカバー層または被覆材の他の層に固定するため、上側に具備し得る。動作時、創傷接触層は、滲出液が創傷に戻るのを阻止または実質的に防止しつつ、創傷から滲出液を取り除きやすくするよう、一方向流をもたらすように構成され得る。1つ以上の透過層は、創傷部位の上に陰圧を分配し、創傷被覆材内へ創傷滲出液および流体を輸送しやすくするよう支援する。いくつかの実施形態では、透過層は、三次元(3D)繊維から少なくとも部分的に形成され得る。さらに、創傷から吸引された滲出液を吸収および保留するための吸収層(層1212等)が利用され得る。いくつかの実施形態では、超吸収性材が、吸収層1212に使用され得る。いくつかの実施形態では、吸収体は、形状設定された超吸収層形態を具備する。電子機器エリアの創傷被覆材層および吸収層は、1つの連続したカバー層1213によって覆われ得る。いくつかの実施形態では、カバー層は、ガスの通過を可能にしつつも、創傷から取り除かれた液体の滲出液および他の液体が通過するのを防止する透湿性材を具備し得る。
【0098】
図8Bは、ポンプおよび電子構成要素が被覆材の吸収エリアからずらされた、創傷被覆材の層の実施形態を図示する。
図8Bに図示されるように、被覆材は、創傷に接触して設置するための創傷接触層1310を具備し得る。下側スペーサまたは透過層1311および1311’は、創傷接触層1310の上方に設けられる。いくつかの実施形態では、
図8Bに示すように、透過層1311は、スペーサ層1311’とは別の層であってもよい。下側透過層1311および/または1311’は、創傷表面に圧力を均等に分配し、および/または創傷から流体を吸い上げることを支援し得る。吸収層1322は、下側透過層1311の上方に位置付けられ得る。
【0099】
実施形態では、被覆材層1351は、電子構成要素1350を層1351内に埋め込むための切り欠き部または凹部1328を具備し得る。いくつかの実施形態では、切り欠き部または凹部1328は、ポンプ1327、電源1326、および/または、他の電子構成要素を埋め込むようなサイズもしくは形状とされ得る。いくつかの実施形態では、層1351は、一緒に積み重ねられた複数のスペーサまたは透過層を具備し得る。いくつかの実施形態では、層1351は、電子構成要素1350を取り囲むよう、一緒に継ぎ合わされた複数のスペーサまたは透過層を具備し得る。上側透過層1317は、吸収層1322、層1351、および/または、電子構成要素1350の上方に設けられ得る。
【0100】
創傷被覆材1200、1300は、本項または本明細書の他の箇所において本明細書に記載されるマルチケアWCLを組み込み得るか、または備え得る。当業者であれば、創傷被覆材1200、1300が、本項または本明細書の他の箇所において本明細書に開示されるマルチケアWCLのいずれかを組み込み得ることを理解されよう。いくつかの実施形態では、マルチケアWCL層は、透過層1311の下方に提供され得る。いくつかの実施形態では、マルチケアWCL層は、創傷接触層1310の下方に提供され得る。いくつかの実施形態では、マルチケアWCL層は、マルチケアWCL層が、吸収層1322と創傷接触層1310との間に提供されるように、透過層1311、1311’と置き換えることができる。いくつかの実施形態では、マルチケアWCL層は、吸収層1212、1322を補完するか、または吸収層1212、1322と置き換えることができる。いくつかの実施形態では、マルチケアWCL層は、創傷被覆材の最下層であってもよい。マルチケアWCL層は、本項または本明細書の他の箇所において本明細書に記載される透過層および/または吸収層と同じまたは実質的に同様のサイズおよび形状を有し得る。
【0101】
マルチケアWCL層は、可撓性であるが、マルチケアWCL層が過度に崩壊しないように陰圧に耐えるほど十分に硬いように構築することができ、かつそれによって、陰圧が創傷被覆材1200に供給されるときに、陰圧を創傷に十分に透過させる。マルチケアWCL層は、中を通した陰圧の透過を可能にするのに十分な数またはサイズの細孔を含むように構築され得る。さらに、マルチケアWCL層は、十分な陰圧を創傷に透過させるのに適した厚さを有し得る。例えば、マルチケアWCL層は、1mm~10mm、1mm~7mm、1.5~7mm、1.5~4mm、または2mm~3mmの厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、マルチケアWCL層は、およそ2mmの厚さを有し得る。
【0102】
カバー層または裏当て層1313は、上側透過層1317の上に位置付けられ得る。裏当て層1313は、透過層1311、1311’、および1317、吸収層1322、層1351、ならびに電子構成要素1350を包囲する周囲領域において、創傷接触層1310に対してシールを形成し得る。いくつかの実施形態では、裏当て層1313は、被覆材構成要素が創傷に適用されるとき、その被覆材構成要素周りで形成および成型する、柔軟性のある材料のシートであり得る。他の実施形態では、裏当て層1313は、
図8Bに示すような、被覆材構成要素の周りに嵌合するように予め形成または予め成型された材料であり得る。
【0103】
固定ストリップ
図9Aおよび
図9Bは、本項、ならびに
図1~
図8B、
図10Aおよび
図10B、
図11Aおよび
図11B、または
図13Aおよび
図13Bなど、本明細書の他の箇所において本明細書に開示されるシステム構成、デバイス、装置、および/または被覆材のいずれかとともに使用され得る、固定ストリップ900の一実施形態を示す。例えば、かかる固定ストリップは、上に記載される被覆材700、1200、および/もしくはドレープ5531、または以下に記載されるドレープ1400とともに使用され得る。
図9Aは、ストリップ900の長さに沿った固定ストリップ900の断面側面図を例示し、
図9Bは、ストリップ900の幅に沿った固定ストリップ900の断面側面図を例示する。
【0104】
図9Aおよび
図9Bに示されるように、固定ストリップ900は、複数の層を備え得る。複数の層は、最上層910、接着層920、創傷シール層930、および1つ以上の保護ライナー940、950を含み得る。接着層920は、いくつかの実施形態では、接着層920の下面上に感圧接着剤(例えば、アクリル接着剤)を備えて提供された可撓性フィルム材料を含み得る。いくつかの実施形態では、接着層920の感圧接着剤は、固定ストリップの全幅に延在し得る。当業者であれば、接着層が、本明細書に開示されるカバー層および/またはドレープなどの、本明細書に開示される任意の好適な材料から構築され得ることを理解されよう。接着層920は、固定ストリップ900の一部のエリアでは薄くなり、それによって、必要に応じて固定ストリップ900を折り畳むか、または自己接着させることができる場合がある。いくつかの実施形態では、接着層920は、接着層920の上面上の最上層910によって覆われ得る。
【0105】
特定の実施例では、最上層910は、接着層920と同じ長さおよび幅を有し得る。最上層910はまた、接着層920とは異なる寸法を有し得、例えば、最上層910は、幅および/または長さの点で接着層920よりも長くても、短くてもよい。いくつかの構成では、
図9Aに示されるように、最上層910は、接着層920よりも大きい長さを有し得る。いくつかの構成では、
図9Bに示されるように、最上層910は、接着層920と同じ幅を有し得る。
【0106】
いくつかの構成では、接着層920は、創傷シール層930と同じ長さおよび幅を有し得る。接着層920はまた、創傷シール層930とは異なる寸法を有し得、例えば、接着層920は、幅および/または長さの点で創傷シール層930よりも長くても、短くてもよい。いくつかの構成では、
図9Bに示されるように、接着層920は、創傷シール層930の幅と同じか、または同様の幅を有し得る。いくつかの実施形態では、
図9Bに示されるように、接着層920は、創傷シール層930よりも大きい幅を有し得、そのため、接着層920は、固定ストリップ900の側面920a上の創傷シール層930を越えて延在し得る。延在面920aは、固定ストリップ900を創傷被覆材に固定するように構成され得る。特定の実施形態では、接着層920は、層930の1つ、2つ、3つ、または4つの側面上の創傷シール層930を越えて延在し得る。当業者であれば、創傷シール層930を越えて接着層920を延在させることによって、接着層920が、創傷シール層930とは異なる表面と接触して、かつ/または該表面に接着して設置され得ることを理解されよう。例えば、創傷シール層930は、創傷、または創傷周囲エリアなどの創傷を取り囲むエリアの上に設置され得、一方、接着層920は、本明細書に開示されるような創傷被覆材の上に設置される。かかる配置は、創傷シール層930よりも皮膚または創傷の接触に適していない場合がある接着表面920に創傷または皮膚を露出させることなく、創傷被覆材のシールを可能にする。
【0107】
特定の実施形態では、創傷シール層930は、シリコンまたは本明細書に開示される任意の好適な材料などの、可撓性の生体適合性材料を含み得る。創傷シール層930は、
図7A~
図8Bの創傷接触層など、本明細書に開示される任意の創傷接触層と同じ様式でさらに構築され得る。創傷シール層930は、皮膚接触面上のシリコン接着剤、および上面上のアクリル接着剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、シリコン接着剤は、固定ストリップの全幅の一部分に沿って延在し得る。創傷シール層930は、完全にシリコンから構築され得る。いくつかの実施形態では、創傷シール層930は、ポリウレタン、ポリエチレン、またはポリエステルから構築され得る。この層930は、複数の隙間をさらに備えることができ、複数の隙間は、例えば、ホットピンプロセス、レーザーアブレーションプロセス、超音波プロセスを介して、または液体および気体が透過するようにした別の好適な方法を介して作り出され得る。隙間は、創傷シール層930内に貫通穴を備えることができ、これにより、流体が層930を通って流れることが可能になる。隙間の配列は、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、六角形、八角形、および他の任意の多角形の形状からなる群から選択される形状を含み得る。創傷シール層930は、固定ストリップ900の他の材料内に組織が内部成長するのを防止することができる。隙間は、その中を通って流体が流れるのを可能にしつつ、この要件を満たすのに十分小さくてもよい。例えば、0.025mm~1.2mmの範囲のサイズを有するスリットまたは穴として形成された隙間は、創傷滲出液が固定ストリップ900内に流れるのを可能にしつつ、固定ストリップ900内に組織が内部成長するのを防止する一助となるには十分小さいと考えられる。しかしながら、特定の実施形態では、隙間は、少なくとも0.5mm、0.5~5mm、または1~3mmでサイズ設定され得る。2つの隣接する穴の間の空間は、0.5~5mm、0.5~3.5mm、または1~3mmの範囲内であってもよい。創傷シール層930の厚さは、1~10mm、もしくは1~7mm、または好ましくは1.5~7mm、もしくは1.5~4mm、もしくは2~3mm、もしくはおよそ2mmの範囲であってもよい。いくつかの構成では、創傷シール層930は、陰圧を創傷に維持するために、固定ストリップ900の周囲の周りに気密シールをも作り出しながら、固定ストリップ900全体の完全性を維持するのに役立つ場合がある。
【0108】
いくつかの実施形態では、固定ストリップ900は、接着層920、および接着剤層(図示せず)を介して一緒に積層された創傷シール層930とともに製造され得る。実施形態では、接着層920は、接着剤層を必要とせずに、創傷シール層930に直接積層(例えば、熱積層)され得る。
【0109】
特定の実施形態では、固定ストリップ900はまた、固定ストリップ900の下部接着剤表面上に1つ以上の保護ライナー940、950を備えて提供され得る。当業者であれば、かかる保護ライナーが、本明細書に開示される保護剥離層と同じか、または同様であってもよく、任意の好適な様式で、および本明細書に開示される任意の好適な材料から構築され得ることを理解されよう。特定の実施形態では、かかるライナーは、使用前の取り扱いおよび輸送中に接着剤表面を保護する役割を果たす。1つ以上の保護ライナー940、950は、創傷シール層930および接着層920の接着剤表面を保護するように構成され得る。1つ以上の保護ライナー940、950は、1つ以上の外側保護ライナー940および/または1つ以上の中央保護ライナー950を含み得る。1つ以上の外側保護ライナーは、固定ストリップ900の両端に提供され、それによって、ストリップ900の両端を覆うことができる、第1の外側保護ライナーおよび第2の外側保護ライナー940を含み得る。例えば、一方の外側保護ライナー940が、接着層920の延在面920aの接着剤表面を保護し得、もう一方の外側保護ライナー940が、延在面920aの反対側の、創傷シール層930の接着剤表面を保護し得る。いくつかの構成では、
図9Aに示されるように、外側保護ライナー940は、創傷シール層930の両側の、創傷シール層930の接着剤表面を保護し得る。中央保護ライナー950は、固定ストリップ900の中央部分の上に提供され得る。例えば、中央保護ライナー950は、固定ストリップ900の両端の間に位置付けられ得、外側保護ライナー940と部分的に重複し、かつ外側保護ライナー940の下にある。
【0110】
いくつかの実施形態では、外側保護ライナー940は、接着層920の延在面920aおよび創傷シール層930の縁を越えて位置付けられた外側縁を有し得、かつまた、中央保護ライナー950によって覆われている、折り畳まれたハンドルを含み得る。したがって、保護ライナー940の折り畳まれたハンドルは、接着層920または創傷シール層930の接着剤表面と直接接触しておらず、それによって、外側保護ライナー940の取り外しを容易にする。同様に、外側保護ライナー940と重複する、中央保護ライナー950の部分は、創傷シール層930の接着剤表面と直接接触しておらず、外側保護ライナー940に接着されておらず、それによって、中央保護ライナー950の取り外しを容易にするハンドルを形成する。
【0111】
いくつかの構成では、
図9Aに示されるように、保護ライナー940、950は各々、固定ストリップ900の全長よりも小さい長さを含み、固定ストリップ900に沿って長さ方向に位置付けられ得る。いくつかの構成では、保護ライナー940、950の各々は、固定ストリップ900の全幅に延長する幅を含み得る。例えば、
図9Bに示されるように、外側保護ライナー940は、接着層920の延在面920aから創傷シール層930の外側縁まで延在し得、そのため、外側保護ライナー940は、接着層920と創傷シール層930の両方の接着剤表面を覆う。これらの構成では、もう一方の外側保護ライナー940および中央保護ライナー950が同様に、接着層920の延在面920aから創傷シール層930の外側縁まで延在して、両方の層920、930の接着剤表面を覆うことができる。いくつかの構成では、各保護ライナー940、950は、少なくとも2つのライナーを含み得る。例えば、
図9Bに示されるように、外側保護ライナー940は、第1のライナー940aおよび第2のライナー940bを含み得る。同様に、もう一方の外側保護ライナー940および中央保護ライナー950は、第1のライナーおよび第2のライナーを含み得、第1のライナーおよび第2のライナーは、それぞれ接着層920の延在面920aの接着剤表面および創傷シール層930の接着剤表面に取り外し可能に接着するように構成され得る。使用時に、ユーザは、第1のライナーを取り外し、接着層920の延在面920aを創傷被覆材に接着し、次いで、第2のライナーを取り外して、創傷シール層930を患者の皮膚に接着することができる。
【0112】
接着層920の上面上に提供され得る最上層910は、接着層920の非接着剤表面に剥離可能に取り付けるように構成され得、接着層920よりも比較的より多くの剛性を有する、紙またはフィルムのシートを備え得る。剥離タブ(図示せず)が、接着層920から最上層910を取り外すのを容易にするために、最上層910の一端または両端の上に提供され得る。剥離タブは、接着層920および最上層910から、外側保護ライナー940の外側縁と整列している外側縁へと外方に延在し得る。いくつかの実施形態では、保護ライナーおよび最上層910を取り外すためのグラフィカル命令および/または番号付けされた命令が、保護ライナーおよび最上層910の一方または両方の上に提供され得る。特定の実施形態では、接着層920の接着剤表面の全体に接着された保護ライナーがあってもよい。
【0113】
いくつかの構成では、固定ストリップ900は、固定ストリップ900のシートの一部であってもよい。例えば、複数の固定ストリップ900を、各ストリップ900の長手方向側面に沿って取り外し可能に取り付けて、シートを形成することができる。固定ストリップ900のシートは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の固定ストリップ900を含み得る。有利には、ユーザは、ユーザが患者に創傷被覆材を適用する際に、好適な数の個々の固定ストリップ900を固定ストリップ900のシートから取り外すことができる。
【0114】
図10Aおよび
図10Bは、固定ストリップ900を適用する前および適用した後の、創傷被覆材800の上面図を示す。創傷被覆材800は、
図7A~
図8Bに開示される被覆材など、任意の好適な被覆材であってもよい。
図10Aに示されるように、創傷被覆材800はまず、被覆材800の片側801に沿って切断され得る。上述のように、接着層920の延在面920aは、創傷シール層930を越えて延在し得、そのため、接着層920の延在面920aは、上述のように、被覆材800の上面に接着する。
【0115】
上述のように、固定ストリップ900を利用するために、中央保護ライナー950を、ハンドルとしての役割を果たす、中央保護ライナー950の非接着部分を使用して取り外して、創傷シール層930の中央接着剤表面を露出させることができる。次いで、接着剤表面を、皮膚および/もしくは被覆材、または任意の所望の場所に適用することができるか、あるいは外側保護ライナー940のうちの一方または両方が取り外された後に、接着剤表面を適用することができる。外側保護ライナー940の折り畳まれたハンドルを掴んで、外側保護ライナー940を取り外し、創傷シール層940の下部接着剤表面および接着層920の延在面920aの全体を露出させることができる。創傷シール層930の接着剤表面の外側縁および接着層920の延在面920aを、所望の場所に設置することができる。例えば、接着層920の延在面920aを、創傷被覆材上に設置することができる。固定ストリップ900をシールした後に、剥離タブ(複数可)を使用して、接着層920から最上層910を取り外すことができる。これは、必要なだけ多くの固定ストリップで繰り返され得る。当業者によって理解されるように、陰圧を適用するようにシールを固定および維持するために、必要に応じて、被覆材の周囲の周りに固定ストリップを追加することができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、各固定ストリップ900は、40mmもしくはおよそ40mmの幅、または20mm~80mmもしくはおよそ20mm~80mmの範囲の幅を有し得る。固定ストリップ900の幅は、およそ30mm~70mmまたはおよそ40mm~60mmであってもよい。代替的に、20mm未満または80mm超の幅を使用することができる。各固定ストリップ900の全体的な長さは、いくつかの実施形態では、250mmもしくは300mm、またはおよそ250mmもしくはおよそ300mmであってもよいし、または100mm~400mmもしくはおよそ100mm~およそ400mmの範囲であってもよい。固定ストリップ900の全体的な長さは、およそ150mm~350mmまたはおよし200mm~300mmであってもよい。代替的に、100mm未満または400mm超の全体的な長さを使用することができる。
【0117】
接着層920およびキャリア層910の長さは、いくつかの実施形態では、280mmもしくは330mm、またはおよそ280mmもしくはおよそ330mmであってもよいし、または90mm~380mmもしくはおよそ90mm~およそ380mmの範囲であってもよい。接着層920およびキャリア層910の長さは、およそ120mm~350mm、およそ150mm~320mm、およそ180mm~290mm、およそ150mm~260mm、またはおよそ180mm~230mmであってもよい。代替的に、90mm未満および380mm超の長さを使用することができる。中央保護ライナー950の長さは、いくつかの実施形態では、210mmもしくは260mm、またはおよそ210mmもしくはおよそ260mmであってもよいし、または100mm~300mm、もしくはおよそ100mm~およそ300mmの範囲であってもよい。中央保護ライナー950の長さは、およそ125mm~275mm、およそ150mm~250mm、またはおよそ175mm~225mmであってもよい。代替的に、100mm未満または300mm超の長さを使用することができる。
【0118】
創傷シール層940の長さは、いくつかの実施形態では、140mmもしくは165mm、またはおよそ140mmもしくはおよそ165mmであってもよいし、または45mm~190mmもしくはおよそ45mm~およそ190mmの範囲であってもよい。創傷シール層940の長さは、およそ60mm~175mm、およそ75mm~160mm、およそ90mm~145mm、およそ75mm~130mm、またはおよそ90mm~115mmであってもよい。代替的に、45mm未満および190mm超の長さを使用することができる。
【0119】
外側保護ライナー940(折り畳まれた部分を含まない)の長さは、いくつかの実施形態では、85mmもしくは110mm、またはおよそ85mmもしくはおよそ110mmであってもよいし、または50mm~200mmもしくはおよそ50mm~およそ200mmの範囲であってもよい。外側保護ライナー940の長さは、およそ75mm~175mmまたはおよそ100mm~150mmであってもよい。代替的に、50mm未満または200mm超の長さを使用することができる。外側保護ライナー940の折り畳まれた部分またはハンドルの長さは、いくつかの実施形態では、20mmプラスマイナス5mm、またはおよそ20mmプラスマイナスおよそ5mmであってもよい。代替的に、25mm超の長さを使用することができる。折り畳まれたタブの外側縁から中央保護ライナー950の外側縁までの距離は、いくつかの実施形態では、20mmプラスマイナス5mm、またはおよそ20mmプラスマイナスおよそ5mmであってもよい。代替的に、25mm超の距離を使用することができる。
【0120】
図11A~
図11Fは、固定ストリップ1000の一実施形態を使用する方法を例示する。固定ストリップ1000は、本項、または
図1~
図8Bならびに
図13Aおよび
図13Bなどの、本明細書の他の箇所において本明細書に開示されるシステム構成、デバイス、装置、および/または被覆材のいずれかとともに使用され得る。例えば、かかる固定ストリップ1000は、上述のように、ドレープ5531または好適な被覆材700、1200とともに使用され得る。
図11Cに例示されるように、保定ストリップ1000は、複数の層を備え得る。いくつかの実施形態では、複数の層は、第1の保護ライナー1030、創傷シール層1020、第2の保護ライナー1035、および接着層1010を含み得る。接着層1010は、いくつかの実施形態では、接着層1010の下面上に感圧接着剤(例えば、アクリル接着剤)を備えて提供された可撓性フィルム材料を含み得る。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、固定ストリップの全幅に延在し得る。接着層1010は、
図7~
図8Bに関連して上述したように、固定ストリップ1000の一部のエリアでは薄い場合がある。したがって、接着層1010は、接着層1010と同じ長さおよび幅を有する上部非接着剤表面上に最上層(図示せず)を備えて提供され得る。
【0121】
特定の実施形態では、創傷シール層1020は、シリコンなどの、可撓性の生体適合性材料を含み得る。この層1020は、皮膚接触面上のシリコン接着剤、および上面上のアクリル接着剤をさらに含み得る。シリコン接着剤は、いくつかの実施形態では、固定ストリップの全幅の一部分に延在し得る。いくつかの実施形態では、創傷シール層1020は、ポリウレタン、ポリエチレン、またはポリエステルから構築され得る。この層1020は、複数の隙間をさらに備えることができ、複数の隙間は、例えば、ホットピンプロセス、レーザーアブレーションプロセス、超音波プロセスを介して、または液体および気体が透過するようにした別の好適な方法を介して作り出され得る。隙間は、創傷シール層1020内に貫通穴を備えることができ、これにより、流体が層1020を通って流れることが可能になる。隙間の配列は、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、六角形、八角形、および他の任意の多角形の形状からなる群から選択される形状を含み得る。創傷シール層1020は、固定ストリップ1000の他の材料内に組織が内部成長するのを防止することができる。隙間は、その中を通って流体が流れるのを可能にしつつ、この要件を満たすのに十分小さくてもよい。例えば、0.025mm~1.2mmの範囲のサイズを有するスリットまたは穴として形成された隙間は、創傷滲出液が固定ストリップ1000内に流れるのを可能にしつつ、固定ストリップ1000内に組織が内部成長するのを防止する一助となるには十分小さいと考えられる。しかしながら、特定の実施形態では、隙間は、少なくとも0.5mm、0.5~5mm、または1~3mmでサイズ設定され得る。2つの隣接する穴の間の空間は、0.5~5mm、0.5~3.5mm、または1~3mmの範囲内であってもよい。創傷シール層1020の厚さは、1~10mm、もしくは1~7mm、または好ましくは1.5~7mm、もしくは1.5~4mm、もしくは2~3mm、もしくはおよそ2mmの範囲であってもよい。いくつかの構成では、創傷シール層1020は、陰圧を創傷に維持するために、固定ストリップ1000の周囲の周りに気密シールをも作り出しながら、固定ストリップ1000全体の完全性を維持するのに役立つ場合がある。
【0122】
特定の実施形態では、創傷シール層1020は、最上層1010よりも小さいフットプリントを有し得る。いくつかの実施形態では、固定ストリップ1000は、最上層1010、および接着剤層(図示せず)を介して保定ストリップ1000の片側に沿って一緒に積層された創傷シール層1020とともに製造され得る。他の実施形態では、最上層1010は、接着剤層を必要とせずに、保定ストリップ1000の片側に沿って、創傷シール層1020に直接積層(例えば、熱積層)され得る。
【0123】
特定の実施形態では、固定ストリップ1000はまた、接着層1010または創傷シール層1020の接着剤表面を保護するように構成され得る1つ以上の保護ライナー1030、1035を備えて提供され得る。第1の保護ライナー1030は、創傷シール層1020の接着剤表面の上に提供され得る。いくつかの実施形態では、第1の保護ライナー1030は、創傷シール層1020の下部接着剤表面全体を覆うことができる。第2の保護ライナー1035は、接着層1010の下部接着剤表面を部分的に覆うことができる。例示のように、保護ライナー1030、1035は、接着層1010または創傷シール層1020の外側縁を越えて位置付けられた外側縁(
図9Cの左側に示される)を有し得、かつまた保護ライナー1030、1035を取り外すことを容易にするために、接着層1010または創傷シール層1020の接着剤表面と直接接触しない剥離ハンドル1030a、1035aを含み得る。
【0124】
いくつかの構成では、固定ストリップ1000は、固定ストリップ1000のシートの一部であってもよい。例えば、複数の固定ストリップ1000を、各ストリップ1000の長手方向側面に沿って取り外し可能に取り付けて、シートを形成することができる。固定ストリップ1000のシートは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の固定ストリップ900を含み得る。有利には、ユーザは、ユーザが患者に創傷被覆材を適用する際に、好適な数の個々の固定ストリップ1000を固定ストリップ1000のシートから取り外すことができる。
【0125】
上述のように、固定ストリップ1000を利用するために、被覆材1100を切断することができる。被覆材1100は、創傷シール層1130、中間層1120、および最上層1110を備え得る。第1の保護ライナー1030を、剥離ハンドル1035を使用して取り外して、創傷シール層1020の接着剤表面を露出させることができる。次いで、接着剤表面を、皮膚1200および/もしくは被覆材、または任意の所望の場所に適用することができるか、あるいは第2の接触層1035が取り外された後に、接着剤表面を適用することができる。切断された創傷被覆材1100は、創傷シール層1020と接着層1010との間に位置付けられ得る。第2の保護ライナー1035の剥離ハンドル1035を掴んで、第2の保護ライナー1035を取り外し、接着層1010の下部接着剤表面を露出させることができる。接着層1010は、所望の場所に設置することができる。例えば、接着層1010を、創傷被覆材1100の最上層1110上に設置することができる。固定ストリップ1000をシールした後に、剥離タブ(複数可)を使用して、接着層1010から最上層(図示せず)を取り外すことができる。これは、上述のように、必要なだけ多くの固定ストリップで繰り返され得る。
【0126】
図12A~
図12Cは、本項、ならびに
図1~
図8B、
図10Aおよび
図10B、
図11Aおよび
図11B、または
図13Aおよび
図13Bなど、本明細書の他の箇所において本明細書に開示されるシステム構成、デバイス、装置、および/または被覆材のいずれかとともに使用され得る、固定ストリップ1502の一実施形態を示す。
図12Aは、破線で示される下部層を有する複数の固定ストリップ1502のシート1500の上面図である。
図12Bは、固定ストリップ1502の断面側面図である。
図12Cは、以下でさらに記載されるように、複数の固定ストリップ1502の各々の間の穿孔パターンの近接図である。
【0127】
固定ストリップ1502は、1つ以上の層を有し得る。例えば、
図12Bに示されるように、固定ストリップ1502は、最上層1504、接着層1506、および1つ以上の保護ライナー1508、1510、1512を有し得る。最上層1504は、最上層910、1010と同じか、または同様であってもよく、接着層1506は、接着層920、1010と同じか、または同様であってもよく、1つ以上の保護ライナー1508、1510、1512は、
図9Aおよび
図9B、ならびに
図11C~
図11Eに関連して示され、記載される1つ以上の保護ライナー940、950、1030、1035と同じか、または同様であってもよい。いくつかの構成では、固定ストリップ1502は、
図9Aおよび
図9B、ならびに
図11C~
図11Fに関連して示され、記載される創傷シール層930、1020と同じか、または同様であってもよい創傷シール層を含み得る。
【0128】
図12Aに示されるように、シート1500は、複数の固定ストリップ1502を含み得る。シート1500は、例えば、6つの固定ストリップ1502を含み得る。いくつかの構成では、シート1500は、6つ未満または6つ超の固定ストリップ1502(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、7つ、8つ、またはそれ以上のストリップ)を含み得る。いくつかの構成では、シート1500は、シート幅1514を含み得る。シート幅1514は、約100mm~約500mm、150mm~約450mm、約200mm~約400mm、または約250mm~約350mmであってもよい。いくつかの構成では、固定ストリップ1502は、ストリップ幅1516を含み得る。ストリップ幅1516は、約10mm~約100mm、約20mm~約90mm、約30mm~約80mm、約40mm~約70mm、または約50mm~約60mmであってもよい。
【0129】
図12Bに示されるように、固定ストリップ1502は、同じまたは異なる長さおよび/もしくは幅を有し得る、複数の層1504、1506、1508、1510、1512を含み得る。例えば、最上層1504は、約100mm~約500mm、150mm~約450mm、約200mm~約400mm、または約250mm~約350mmであってもよい長さ1520を有し得る。接着層1506は、約100mm~約500mm、150mm~約450mm、約200mm~約400mm、または約250mm~約350mmであってもよい長さ1518を有し得る。
【0130】
いくつかの構成では、1つ以上の保護ライナー1508、1510、1512は、3つの保護ライナー1508、1510、1512を含み得る。いくつかの構成では、1つ以上の保護ライナーは、3つ未満または3つ超の保護ライナー(例えば、1つ、2つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれ以上のライナー)を含み得る。3つの保護ライナー1508、1510、1512は、2つの外側保護ライナー1508、1510と、中央保護ライナー1512と、を含み得る。2つの外側保護ライナー1508、1510のうちの少なくとも1つは、接着層1506を越えて延在し得る外側縁を含み得る。例えば、接着層1506の外側縁と、外側保護ライナー1508、1510のうちの少なくとも1つの外側縁との間の距離1524は、約1mm~約30mm、約5mm~約25mm、または約10mm~約20mmであってもよい。いくつかの構成では、外側保護ライナー1508、1510の外側縁のうちの少なくとも1つは、最上層1504の外側縁と実質的に整列させることができる。
【0131】
いくつかの構成では、外側保護ライナー1508、1510のうちの少なくとも1つは、折り畳まれたハンドルを含み得る。折り畳まれたハンドルは、外側保護ライナー1508、1510の内側縁に、または該内側縁の近くに位置付けられ得る。外側保護ライナー1508、1510の内側縁は、外側保護ライナー1508、1510の外側縁の反対側であってもよい。折り畳まれたハンドルは、約10mm~約50mm、約15mm~約45mm、約20mm~約40mm、または約25mm~約35mmであってもよい長さ1522を含み得る。いくつかの構成では、折り畳まれたハンドルは、外側保護ライナー1508、1510が接着層1506の全長を覆わないように離れて隔置され得る。いくつかの構成では、中央保護ライナー1512は、折り畳まれたハンドルのうちの少なくとも1つの上に位置付けられ得る。例えば、中央保護ライナー1512は、中央保護ライナー1512の外側縁のうちの少なくとも1つが、折り畳まれたハンドルの外側縁のうちの少なくとも1つを越えて延在するように、折り畳まれたハンドルと重複し得る。中央保護ライナー1512の外側縁と折り畳まれたハンドルの外側縁との間の距離1526は、約1mm~約20mm、または約5mm~約15mmであってもよい。
【0132】
図12Aに示されるように、複数の固定ストリップ1502は、互いに取り外し可能に取り付けられ得る。例えば、シート1500は、複数の固定ストリップ1502の各々の間に穿孔された部分1528を含み得、そのため、ユーザは、穿孔された部分1528に沿って引き裂いて、シート1500から固定ストリップ1502を取り外すことができる。穿孔された部分1528は、固定ストリップ1502の層1504、1506、1508、1510、1512の各々を通って延在し得る。いくつかの構成では、穿孔された部分1528は、穿孔された部分1528の中間に沿った連続切断1528aと、切断1528aの両側にある2つの穿孔された部分1528b、1528cと、を含み得る。例えば、連続切断1528aは、約50mm~約350mm、約100mm~約300mm、または約150mm~約250mmの長さを有し得る。いくつかの構成では、連続切断1528aは、中央保護ライナー1512の長さ以上の長さを有し得る。2つの穿孔されたセクション1528b、1528cは、複数の穿孔を含み得、複数の穿孔は各々、隣接するストリップ1502を接続する、取り付けられた部分またはブリッジ部分によって分離されている。2つの穿孔されたセクションのうちの一方または両方の長さは、約10mm~約100mm、約20mm~約90mm、約30mm~約80mm、約40mm~約70mm、または約50mm~約60mmであってもよい。
図12Cに示されるように、取り付けられた部分またはブリッジ部分は、長さ1530を含み得、穿孔は、長さ1532を含み得る。取り付けられた部分またはブリッジ部分の各々の長さ1530は、約0.1mm~約2.0mm、約0.5mm~約1.5mm、または約0.5mmであってもよい。穿孔の各々の長さ1532は、約1.0mm~約4.0mm、約1.5mm~約3.5mm、約2.0mm~約3.0mm、または約2.5mmであってもよい。有利には、ユーザが、隣接する固定ストリップ1502を最初に分離することなく、中央保護ライナー1512を取り外す場合、その中央保護ライナー1512のみが、固定ストリップ1502のすべての各中央保護ライナー1512の代わりに取り外されることになる。
【0133】
固定ストリップ1502を利用するために、被覆材を創傷部位に適用することができる。シート1500の穿孔された部分に沿って引き裂くことによって、単一の固定ストリップ1502をシート1500から取り外すことができる。中央保護ライナー1512を取り外すことができる。外側保護ライナー1508、1510を、折り畳まれたハンドルを使用して取り外して、接着層1506の接着剤表面を露出させることができる。接着剤表面は、ユーザの皮膚および/もしくは被覆材、または任意の所望の場所に適用することができる。固定ストリップ1502を、被覆材の縁および/またはユーザの皮膚に沿ってシールした後に、最上層1504を接着層1506から取り外すことができる。これは、必要なだけ多くの固定ストリップ1502で繰り返され得る。
【0134】
任意選択でハンドルを備えて構成される多層ドレープ
図13Aおよび
図13Bを参照すると、創傷被覆材またはドレープ1400、1400’の構成が示されている。創傷被覆材またはドレープ1400、1400’は、本項、または
図1~
図6など、本明細書の他の箇所において本明細書に開示されるシステム構成のいずれかとともに使用することができる。例えば、かかるドレープを、上述のドレープ5531として組み込むことができる。本明細書において任意の構成で開示される任意の構成要素またはステップを、任意の他の構成で使用することができる。
【0135】
図13Aは、正方形様の形状を備えるドレープ1400の構成を示す。他の構成では、ドレープ1400は、長方形、楕円形、円、または任意の幾何学的もしくは非幾何学的形状など、いくつかの形状のいずれかを含み得る。例えば、
図13Bは、
図13Bに示されるドレープ1400と同じか、または同様であってもよい、長方形形状を有するドレープ1400’を例示する。ドレープ1400は、4つの層および少なくとも1つの保護層1450を含み得る。例えば、ドレープ1400は、最上層1410、中間層1420(本明細書では保護構築層またはPCLとも称される)、透過層1440、および創傷接触層1430を含み得る。最上層1410は、透過層1440が中間層1420と創傷接触層1430との間に位置付けられた状態で、中間層1420の上に位置付けられ得る。
図13Aは、4つの層を有するドレープ1400および層の特定の位置付けを示しているが、ドレープ1400は、4つの未満または4つ超の層を含み得、層は、異なる順序で配置され得る。
【0136】
ドレープ1400の最上層1410は、流体蒸発を可能にする通気性フィルム、例えば、ポリウレタンから形成され得る。フィルムは、被覆材1400の上面図から、最上層1410のすぐ下の他の層も見ることができるように透明であってもよい。最上層1410は、最上層1410を中間層1420および創傷接触層1430に固定するための接着剤を含み得る。さらにまたは代替的に、最上層1410の接着剤は、上述のように、被覆材1400を創傷周囲エリアに固定することができる。例えば、最上層1410は、最上層1410の下面(すなわち、他の層1420、1430、1440に面する表面)上にアクリル接着剤を含み得る。
【0137】
いくつかの構成では、最上層1410は、幅および長さを含み得る。幅は、およそ220mm、およそ270mm、またはおよそ420mmであってもよい。幅は、およそ150mm~およそ500mm、およそ200mm~およそ450mm、およそ250mm~およそ400mm、およそ300mm~およそ350mm、または任意の好適な幅であってもよい。長さは、およそ170mmまたはおよそ270mmであってもよい。長さは、およそ100mm~およそ300mm、およそ125mm~およそ275mm、およそ150mm~およそ250mm、およそ175mm~およそ225mm、または任意の好適な長さであってもよい。
【0138】
いくつかの構成では、最上層1410は、他の層1420、1430、1440よりも、大きい幅および大きい長さを含み得、そのため、最上層1410は、他の層1420、1430、1440の周囲を越えて延在する最上境界(図示せず)を含む。この構成では、最上境界は、使用時に創傷周囲エリアに接着することができる。いくつかの構成では、最上層1410および創傷接触層1430は、同じ長さおよび幅を有し得、そのため、最上層1410は、他の層1420、1440を2つの層1410と1430との間に挟むように、創傷接触層1430に接着する。この構成では、創傷接触層1430は、使用時に創傷部位および創傷周囲エリアに接着することができる。最上境界は、PCL1420の縁から最上層1410の縁まで測定され得る幅を含み得る。幅は、およそ30mmであってもよい。幅は、およそ10mm~およそ50mm、およそ15mm~およそ45mm、およそ20mm~およそ40mm、およそ25mm~およそ35mm、または任意の好適な幅であってもよい。
【0139】
最上層1410のサイズは、小、中、または大などの、被覆材のサイズに対応し得る。以下の表は、小、中、または大のサイズに対応し得る、最上層1410の寸法例を示す。
【表1】
【0140】
中間層1420は、被覆材1400に支持を提供し、最上層を透過層1440から(例えば、透過層がモノフィラメントを備える場合に、透過層1440のモノフィラメントによって貫かれることから)保護するように構成された保護構築層(PCL)1420であってもよい。例えば、PCL1420は、最上層1410と透過層1440との間に支持層を提供することができる。PCL1420は、盲検または遮蔽層として作用して、創傷滲出液の吸収による、使用中のドレープ1400の見苦しい外観を減少させるのに役立つように構成され得る。PCL1420は、透過層1440の着色された部分であってもよいし、または透過層1420を覆う別個の層であってもよい。PCL1420は、青色、橙色、黄色、緑色、またはドレープ1400内の創傷滲出液の存在を盲検化するのに適した任意の色など、様々な色のうちの1つであってもよい。例えば、青色のPCL1420は、医療用ガウン、スクラブ、およびドレープの材料に一般的に使用される青色の色合いと同様の青色の色合いであってもよい。PCL1420のいくつかの構成は、ポリプロピレンスパンボンド材料を含み得る。例えば、PCL1420は、Glatfelter Vizorb(登録商標)3055 MBAL90、Daltex(登録商標)REPEL、ならびに/または滅菌可能な熱接合された不織布ビスコースおよびポリプロピレン不織布(例えば、Freudenberg M1556N、Vilene)から製造され得るか、またはこれらを含み得る。さらに、PCL1420のいくつかの構成は、疎水性添加剤またはコーティングを含み得る。いくつかの構成は、60、70、または80gsmの薄い繊維状シートを備え得る。
【0141】
PCL1420は、透過層1440の飽和レベルの視覚的決定を可能にするように構成された少なくとも1つの視認ウィンドウを備え得る。少なくとも1つの視認ウィンドウは、PCL1420を通って作製された少なくとも1つの隙間を含み得る。少なくとも1つの視認ウィンドウは、PCL1420の少なくとも1つの着色されていない領域を含み得る。PCL1420のいくつかの構成は、複数の視認ウィンドウまたは視認ウィンドウの配列を備え得る。
【0142】
PCL1420の盲検化能力は、それによって、臨床医が、被覆材表面を横切る滲出液の広がりを観察することによって、臨床医が必要とする情報にアクセスすることができるように、部分的なまたは100%未満の遮蔽であってもよい。PCL1420の盲検化能力は、創傷滲出液が被覆材1400の外観をわずかに変更させることができる材料性状により、または完全遮蔽材料に少なくとも1つの視認ウィンドウが存在することにより、部分的であってもよい。PCL1420の部分的な盲検化の性質により、熟練した臨床医は、被覆材内の滲出液、血液、副生成物などによって引き起こされる異なる色を知覚することができることにより、被覆材を横切る広がりの程度を視覚的に評価および監視することができる場合がある。しかしながら、被覆材の色が清浄な状態から滲出液が含有された状態へと変化することは、わずかな変化にすぎない可能性があるため、患者が、いかなる審美的差異にも気付く可能性は低い。患者からの創傷滲出液の視覚的表示器を減少させるか、または除去することは、例えば、ストレスを減少させるなど、患者の健康にプラスの効果を有する可能性が高い。
【0143】
PCL1420は、幅および長さを含み得る。例えば、PCL1420の長さおよび幅は、上述のように、最上層1410の幅および長さよりも小さくてもよい。PCL1420の幅は、およそ160mm、およそ210mm、またはおよそ360mmであってもよい。幅は、およそ100mm~およそ400mm、およそ125mm~およそ375mm、およそ150mm~およそ350mm、およそ200mm~およそ325mm、およそ225mm~およそ300mm、およそ250mm~およそ300mm、または任意の好適な幅であってもよい。PCL1420の長さは、およそ110mmまたはおよそ210mmであってもよい。長さは、およそ50mm~およそ300mm、およそ75mm~およそ275mm、およそ100mm~およそ250mm、およそ125mm~およそ225mm、およそ150mm~およそ200mm、または任意の好適な長さであってもよい。
【0144】
いくつかの構成では、PCL1420は、透過層1440よりも、大きい幅および大きい長さを含み得、そのため、PCL1420は、透過層1440の周囲を越えて延在するPCL境界1420aを含む。PCL境界1420aは、透過層1440の縁からPCL1420の縁まで測定され得る幅を含み得る。幅は、およそ5mmであってもよい。幅は、およそ5mm~およそ20mm、または任意の好適な幅であってもよい。
【0145】
PCL1420のサイズは、小、中、または大などの、被覆材のサイズに対応し得る。以下の表は、小、中、または大のサイズに対応し得る、PCL1420の寸法例を示す。
【表2】
【0146】
透過層1440は、透過層として作用するように構成され得る。いくつかの実施形態では、透過層1440は、多孔質材料であってもよい。透過層1440は、創傷部位から離れてドレープ1400の上部層内への液体および気体を含む流体の透過を可能にすることができる。特に、透過層1440は、創傷および創傷周囲エリアに均等に陰圧を分配するのを支援することができる。この層1440は、三次元構造を有する材料から形成され得、例えば、編まれたまたは織られたスペーサ布(例えば、Baltex7970の横編ポリエステル)、または不織布が使用され得る。三次元材料は、国際公開第WO2013/175306(A2)号および国際公開第WO2014/020440号に記載される材料に類似した3Dスペーサ布材料を含み得、これらの文献の開示は、全体が参照により組み込まれる。三次元材料はまた、上部チャネル層5512および下部チャネル層5516について上述した材料と同じか、または同様であってもよく、かつ例えば、編まれたもしくは織られたスペーサ布(編まれたポリエステル3D布、Baltex7970.RTM.、またはGehring879.RTM.など)、または不織布材料から構成され得る。好適な材料はまた、テリー織りまたはループパイル材料を含んでもよい。繊維は必ずしも織られるわけではなく、フェルトおよびフロック繊維材料(Flotex.RTM.などの材料を含む)を含み得る。
【0147】
透過層1440のいくつかの構成は、さらにまたは代替的に、吸い上げまたは取得分配層(ADL)を含み得る。ADLは、ドレープ1400を通して流体を伝えるために提供され得る、別のタイプの透過層である。ADLは、創傷滲出液などの流体を、ドレープ1400の層を通して上方に吸収されるときに水平に吸い上げるように構成され得る。流体を横方向に吸い上げることにより、有利には、水蒸気の透過、および創傷部位への陰圧の効率的な送達を増加させることができる。ADLのいくつかの実施形態は、ビスコース、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロース(例えば、多糖類もしくは反復二糖類)、またはこれらの一部もしくはすべての組み合わせを含み得、材料は、針で穿刺され得る。ADLのいくつかの構成は、40~150グラム/平方メートル(gsm)の範囲内のポリエチレンを含み得る。ADLのいくつかの構成は、重い繊維状の溶融材料(heavy fibrous melt material)を含み得る。ADLのいくつかの構成は、内部を通る、気体を含む流体の通過を可能にするように比較的多孔質であってもよい。ADLの一例は、80gsm(またはおよそ80gsm)であってもよい、軽量のフェルト様のビスコース材料を含み得る。ADLのいくつかの実施形態は、40~160gsm(または約40~約160gsm)の範囲、例えば、80(または約80)gsmのセルロースを含み得る。ADLは、陰圧療法中に一般的に適用される陰圧のレベル下での圧縮に耐える材料から構築され得る。ADLは、創傷滲出液などの流体を有利に垂直に吸い上げるように構築され得る。透過層から、例えば、最上層1410上のポートまでの創傷滲出液の迅速な移動を容易にすることが望ましい。さらに、材料を賢明に選ぶことにより、上部層から下部層への下方への液体の再湿潤化を減少させることができ、この現象は、「逆湿潤化」または「再湿潤化」として知られている。この効果の増強を示す好適な材料としては、Libeltex BVBAからのSlimcore TL4(150gsm)または同等物が挙げられる。
【0148】
ADLのいくつかの構成は、いくつかの内部層を含み得る。例えば、ADLとしての使用に適した1つの材料は、流体を垂直に吸い上げるための実質的に垂直に延在する繊維を備える、下部低い吸い上げ層または取得層を含み、かつ流体を水平に吸い上げるための実質的に水平に延在する繊維を備える、上部分配層をさらに含む。いくつかのADL材料は、3つ以上の層、例えば、下部吸い上げ層、および2つの上部分配層を含み得る。他の構成は、上部取得層と下部取得層との間に位置付けられた1つ以上の分配層を有し得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、透過層は、さらにまたは代替的に、吸収材を備えることができ、他の実施形態では、透過層は、いかなる吸収材も有していない場合がある。吸収材が利用される場合、発泡体もしくは不織の天然または合成材料であってもよく、かつ任意選択で、超吸収材を含み得るか、または超吸収材であってもよい、吸収材は、流体、特に、創傷部位から除去される液体用の貯留部を形成する。透過層1440の材料はまた、ドレープ1400内に集められた液体が、スロッシング様式で流れるのを防止する。透過層1440は、流体が創傷部位から引き出され、透過層1440全体に貯蔵されるように、吸い上げ作用によって層1440全体に流体を分配するのに役立つ場合がある。これは、透過層1440のエリアにおける凝集を防止するのに役立つ場合がある。吸収材の容量は、陰圧を適用するとき、創傷の滲出液が流れる速度を管理するのに十分でなくてはならない。使用中、透過層1440は陰圧を経験するため、透過層1440の材料は、かかる状況下で液体を吸収するように選ばれる。例えば、超吸収体材料といった、陰圧下にあるとき液体を吸収できる、いくつかの材料が存在する。上述の材料に加えて、透過層1440は、ALLEVYN(商標)発泡体、Freudenberg 114-224-4、および/またはChem-Posite(商標)11C-450から製造され得るか、またはこれらを含み得る。
【0150】
いくつかの構成では、透過層1440は、全体にわたって分散された乾燥粒子の形態である超吸収材を有する不織セルロース繊維を含み得る。セルロース繊維の使用によって、被覆材により吸収される液体を素早くかつ均等に分配するのに役立つ、高速吸い上げ要素が導入される。多数の撚糸様繊維を並列させることが、液体を分配するのに役立つ繊維パッドの、強い毛細管作用につながる場合がある。このように、超吸収材に液体を効率的に供給する。また、透過層1440のすべての領域は、液体を含んで提供されている。吸い上げ作用はまた、ドレープ1400の蒸散率を増加させるのに役立つように、液体を最上層1410と接触させるように支援する。吸い上げ作用はまた、滲出が緩徐になるか、または停止すると、創傷床に向かって下方に液体を送達するのを支援し得る。この送達プロセスは、透過層1440および下部創傷床領域を湿潤状態に維持するのに役立つ場合があり、これは、閉塞につながり得る、ドレープ1400内での痂皮形成を防止するのに役立ち、かつ創傷治癒のために最適化された環境を維持するのに役立つ。
【0151】
いくつかの構成では、透過層1440は、エアレイド材料または本明細書に開示される任意の好適な材料を含み得る。任意選択で、熱可融性繊維を使用して、ドレープ1400の構造を一緒に保持するのを支援することができる。超吸収性粒子を使用する代わりに、またはかかる使用に加えて、超吸収性繊維が本開示の特定の構成に従って利用され得ることが理解されよう。好適な材料の例は、米国のEmerging Technologies Inc(ETi)から入手可能なProduct Chem-Posite(商標)11Cである。
【0152】
本開示の特定の構成によれば、任意選択で、透過層1440は、合成の安定した繊維および/もしくは二成分の安定した繊維、ならびに/または天然の安定した繊維および/もしくは超吸収性繊維を含み得る。透過層1440の繊維は、ラテックス結合もしくは熱結合もしくは水素結合、または任意の結合技術もしくは他の固定機構の組み合わせによって一緒に固定され得る。いくつかの構成では、透過層1440は、透過層1440内に超吸収性粒子をロックするように動作する繊維によって形成され得る。かかる配置は、超吸収性粒子が透過層1440の外部に、かつ下にある創傷床に向かって移動しないことを確実にするのに役立つ場合がある。これにより機能が改善する場合がある。これは、陰圧が適用されると、透過層1440が下方へと崩壊する傾向があり、この作用により、超吸収性粒子状物質が透過層1440の繊維状の構造によって閉じ込められていなかった場合に、創傷床に向かう方向へと超吸収性粒子状物質を押し出すことができるためである。
【0153】
透過層1440は、複数の繊維を含み得る。繊維は、ストランド様であってもよく、かつセルロース、ポリエステル、ビスコースなどから作製され得る。乾燥吸収性粒子が、使用準備のできた透過層1440全体にわたって分配され得る。いくつかの構成では、透過層1440は、セルロース繊維のパッドおよび複数の超吸収性粒子を含む。追加の構成では、透過層1040は、ランダムに向き付けされたセルロース繊維の不織層であってもよい。
【0154】
透過層1440は、長さおよび幅を含み得る。透過層1440の幅は、およそ150mm、およそ200mm、またはおよそ350mmであってもよい。幅は、およそ100mm~およそ400mm、およそ150mm~およそ350mm、およそ200mm~およそ300mm、または任意の好適な幅であってもよい。透過層1440の長さは、およそ100mmまたはおよそ200mmであってもよい。長さは、およそ50mm~およそ300mm、およそ75mm~およそ275mm、およそ100mm~およそ250mm、およそ125mm~およそ225mm、およそ150mm~およそ200mm、または任意の好適な長さであってもよい。
【0155】
透過層1440のサイズは、小、中、または大などの、被覆材のサイズに対応し得る。以下の表は、小、中、または大のサイズに対応し得る、透過層1440の寸法例を示す。
【表3】
【0156】
創傷接触層1430は、長さおよび幅を含み得る。創傷接触層1430の幅は、およそ220mm、およそ270mm、またはおよそ420mmであってもよい。幅は、およそ200mm~およそ500mm、およそ250mm~およそ450mm、およそ300mm~およそ400mm、または任意の好適な幅であってもよい。創傷接触層1430の長さは、およそ170mmまたはおよそ270mmであってもよい。長さは、およそ100mm~およそ300mm、およそ125mm~およそ275mm、およそ150mm~およそ250mm、およそ175mm~およそ225mm、または任意の好適な長さであってもよい。
【0157】
いくつかの構成では、創傷接触層1430は、最上層1410と同じサイズであってもよい。この構成では、創傷接触層1430は、使用時に創傷部位および創傷周囲エリアに接着することができる。例えば、創傷接触層1430は、本明細書に記載される創傷接触層のいずれかと同じか、または同様であってもよい。創傷接触境界1430は、創傷接触境界(図示せず)を含み得る。創傷接触境界は、最上境界と同じサイズであっても、異なるサイズであってもよい。創傷接触境界は、PCL1420の縁から創傷接触層1430の縁まで測定され得る幅を含み得る。幅は、およそ30mmであってもよい。幅は、およそ10mm~およそ50mm、およそ15mm~およそ45mm、およそ20mm~およそ40mm、およそ25mm~およそ35mm、または任意の好適な幅であってもよい。
【0158】
創傷接触層1430のサイズは、小、中、または大などの、被覆材のサイズに対応し得る。以下の表は、小、中、または大のサイズに対応し得る、創傷接触層1430の寸法例を示す。
【表4】
【0159】
図13Aおよび
図13Bに示されるように、層1410、1420、1430、1440は、創傷周囲エリアと重複して、そのエリアへのNPWTを可能にすることができる。例えば、創傷接触層1430は、創傷部位上に位置付けられ得、透過層1440は、創傷接触層1430の上に位置付けられ得る。創傷接触層1430は、創傷部位を取り囲む創傷周囲エリアに接着することができる。PCL1420は、透過層1440の上に位置付けられ得、そのため、PCL1420は、透過層1440からの材料が最上層1410を貫くリスクを減少させ得る。最上層1410は、PCL1420の上方に位置付けられ得、そのため、PCL1420および透過層1440を越えて延在する最上層1410の部分は、創傷接触層1430および/または創傷周囲エリアに接着することができる。これらの重複層1410、1420、1430、1440が創傷周囲エリアの上に設置されている場合、陰圧が、最上層1410に、および他の層1420、1430、1440を通って創傷周囲エリアに、適用され得る。これについては、以下でさらに詳細に記載する。開口部または隙間を、最上層1410およびPCL1420の中心など、最上層1410内およびPCL1420内に提供して、本明細書に記載されるポートまたは吸引アダプタを通してなど、ドレープを通して、創傷部位および創傷周囲エリアに陰圧を提供することができる。
【0160】
ドレープ1400は、少なくとも1つの保護剥離層1450を含み得る。少なくとも1つの保護剥離層1450は、単一の一体構成要素、またはいくつかの重複する構成要素を備え得る。
図13Aに例示される構成は、3つの重複する構成要素(中央剥離ストリップ1450b、ならびに第1の側面剥離ストリップ1450aおよび第2の側面剥離ストリップ1450c)を有する。3つの剥離ストリップが示されているが、ドレープ1400は、3つよりも多いまたは少ない剥離ストリップ(例えば、1つ、2つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の剥離ストリップ)を含み得る。少なくとも1つの保護剥離層1450は、使用前に取り外し可能であってもよい。例えば、剥離ストリップ1450a、1450b、1450cの各々は、1450a、1450b、1450cの作動時にストリップを取り外すように構成され得る、ハンドルおよび/または一対のハンドルを含み得る。例えば、ユーザが、ハンドルを引っ張って、ストリップ1450a、1450b、1450cを取り外すことができる。少なくとも1つの保護剥離層1450を、創傷接触層1430および/または最上層1410の下面に取り外し可能に取り付けて、創傷接触層1430のシリコン接着剤および/または最上層1410のアクリル接着剤の接着性を維持することができる。
図12Aに示されるように、第1の剥離ストリップ1450aおよび第2の剥離ストリップ1450cは、中央剥離ストリップ1450bの両側の上に位置付けられ得る。第1の剥離ストリップ1450aおよび第2の剥離ストリップ1450cは、中央剥離ストリップ1450bの両側と重複し得る。
【0161】
多層ドレープを用いて創傷を治療する方法
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、
図13Aおよび
図13Bに関連して上述した創傷被覆材またはドレープ800など、本明細書に記載の創傷被覆材およびドレープを使用して創傷を治療する方法を提供する。創傷を治療する方法は、中央剥離ストリップ1450bをドレープ1400から取り外すことを含み得る。ドレープ1400は、創傷接触層1430が創傷および/または創傷を取り囲む創傷周囲エリアと接触するように、創傷上に位置付けられ得る。創傷接触層1430は、創傷および/または創傷周囲エリアに接着され得る。ドレープ1400は、任意選択で、ドレープ1400が、創傷に効果的な治療を提供するために適切な位置になるまで、創傷および創傷周囲エリアの上に再位置付けすることができる。第2の側面剥離ストリップ1450a、1450cは、最上層1410の接着剤表面から取り外すことができる。創傷接触層1430の上に延在する最上層1410の部分は、ドレープ1400が患者に固定され、陰圧がドレープ1400を通して創傷および創傷周囲エリアに適用され得るように、創傷周囲エリアに接着され得る。任意選択で、1つ以上の固定ストリップ900、1000をドレープ1400の周辺に適用することができる。
【0162】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、
図13Aおよび
図13Bに関連して上述したドレープ1400など、本明細書に記載の創傷被覆材およびドレープを使用して創傷を治療する方法を提供する。創傷を治療する方法は、少なくとも1つの保護剥離層1450を取り外すことを含み得る。ドレープ1400は、創傷接触層1430が創傷および/または創傷を取り囲む創傷周囲エリアと接触するように、創傷上に位置付けられ得る。創傷接触層1430は、創傷および/または創傷周囲エリアに接着され得る。ドレープ1400は、任意選択で、ドレープ1400が、創傷に効果的な治療を提供するために適切な位置になるまで、創傷および創傷周囲エリアの上に再位置付けすることができる。本明細書の他の箇所に記載されるポートまたは吸引アダプタを利用して、陰圧をドレープ1400に供給することができる。ポートまたは吸引アダプタは、ドレープが創傷上に位置付けられる前に、最上層1410の開口部の上のドレープに予め適用され得るか、またはドレープが創傷上に位置付けられた後に適用され得る。
【0163】
いくつかの代替的な構成では、創傷を治療する方法は、上述の、または本明細書の他の箇所に記載の陰圧創傷療法システムと関連しない周囲条件下で、ドレープ1400を使用することを含み得る。
【0164】
用語
添付の出願書類に記載されている可能性のあるものを含む、上記の特許および明細書および他の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。本開示の態様は、必要に応じて、本明細書に記載の様々な参考文献のシステム、機能、および概念を使用して、さらにさらなる実施を提供するように修正することができる。
【0165】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して記載される特徴、材料、特性、もしくは群は、本明細書に記載の他の任意の態様、実施形態、または実施例と矛盾しない限り、それらに適用可能であることを理解されたい。本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示されるすべての特徴、または同様に開示される任意の方法もしくはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴またはステップの少なくとも一部が互いに排他的である組み合わせを除いて、あらゆる組み合わせで組み合わされ得る。保護対象は、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護対象は、本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示される特徴のうちの任意の新規のもの、もしくは任意の新規の組み合わせ、または同様に開示される任意の方法もしくはプロセスのステップのうちの任意の新規のもの、もしくは任意の新規の組み合わせに及ぶ。
【0166】
ある特定の実施形態が説明されているが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護対象の範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に説明される新規の方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化され得る。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、様々な省略、置換、および変更がなされ得る。当業者であれば、いくつかの実施形態では、図示または開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップが、図面に示されたものとは異なり得ることを理解するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちのある特定のステップが除かれる場合もあれば、他のものが追加される場合もある。例えば、開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップまたはステップの順序は、図面に示されたものとは異なり得る。実施形態によっては、上述したステップのうちのある特定のステップが除かれる場合もあれば、他のものが追加される場合もある。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、異なる方式で組み合わされて追加の実施形態を形成し得るが、そのすべては本開示の範囲内に収まる。
【0167】
本開示には、ある特定の実施形態、実施例、および用途が含まれるが、当業者であれば、本開示が、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替的な実施形態または使用ならびにその明らかな変形および同等物におよび、これには本明細書に記載された特徴および利点のすべてを提供しているとは限らない実施形態が含まれることを理解するであろう。従って、本開示の範囲は、記載の実施形態によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。
【0168】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、ある特定の実施形態が、ある特定の特徴、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、そのような条件付き言い回しは、概して、特徴、要素、もしくはステップが1つ以上の実施形態に多少なりとも必要とされるということ、またはこれらの特徴、要素、もしくはステップが任意の特定の実施形態に含まれているかどうか、もしくは任意の特定の実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザ入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、1つ以上の実施形態に必然的に含まれているということを示唆することを意図するものではない。「備える」、「含む」、および「有する」等の用語は、同義語であり、包含的に、オープンエンドの様式で使用され、追加の要素、特徴、行為、動作などを排除するものではない。また、「または」という用語は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されることにより、例えば、要素の列記をつなぐのに使用される場合、「または」という用語は、列記内の要素のうちの1つ、いくつか、またはすべてを意味する。同様に、「および(and)/または(or)」という用語は、2つ以上の項目の列挙に関して、言葉の以下の解釈のすべて:列挙内の項目も任意の1つ、列挙内のすべての項目、および列挙内の項目の任意の組み合わせ、を網羅する。加えて、「各々」という用語は、本明細書で使用される場合、その通常の意味を有することに加えて、「各々」という用語が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。さらに、本明細書で使用される場合、「本明細書での(herein)」、「上記(above)」、「下記(below)」および類似する言葉は、本出願で使用される場合、本明細書の全体を指し、本明細書の特定の部分を指すものではないことを意味する。
【0169】
「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という語句などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語などが、X、Y、またはZのいずれかであり得ることを示唆するのに一般的に使用される文脈によって、別途解釈されるものである。したがって、そのような連言的言い回しは、概して、ある特定の実施形態が、少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、および少なくとも1つのZの存在を必要とするということを示唆することを意図するものではない。
【0170】
本明細書で使用される程度を表す言い回し、例えば、本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、依然として所望の機能を果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近似した値、量、または特性を表す。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内である量を指し得る。別の例として、特定の実施形態では、「概して平行」および「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度、5度、3度、1度、または0.1度逸脱する値、量、または特性を指す。
【0171】
本開示の範囲は、特定の実施形態の説明によって制限されることは意図されておらず、請求項によって定義されてもよい。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書に記載される例または本出願の手続き中に記載される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
【0172】
本開示に記載する実装に対する様々な変形は、当業者には容易に明らかとなってもよく、本明細書に定義する全体的な原理は、本開示の精神または範囲を逸脱することなく、他の実装に適用されてもよい。それゆえ、開示は、本明細書に示す実装に限定することは意図していないが、本明細書に記載する原理および特徴と一致する、最も広い範囲が与えられるべきである。開示のある実施形態は、以下に列挙する、または後に提示する請求項の組に網羅される。
【国際調査報告】