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特表2023-519133亜鉛メッキされた金属腐食抑制剤組成物および使用方法
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  • 特表-亜鉛メッキされた金属腐食抑制剤組成物および使用方法 図1
  • 特表-亜鉛メッキされた金属腐食抑制剤組成物および使用方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】亜鉛メッキされた金属腐食抑制剤組成物および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C23F 11/00 20060101AFI20230428BHJP
   C07D 235/12 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
C23F11/00 C
C07D235/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552226
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 US2021019870
(87)【国際公開番号】W WO2021194688
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】63/000,659
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン アール.ハッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジョティバス シーサラマン
(72)【発明者】
【氏名】アシッシュ ダワン
(72)【発明者】
【氏名】カーター エム.シルバーネイル
(72)【発明者】
【氏名】サンタヌ バナルジー
(72)【発明者】
【氏名】プラディープ チェルク
【テーマコード(参考)】
4K062
【Fターム(参考)】
4K062AA01
4K062BA08
4K062BB18
4K062BB25
4K062FA05
(57)【要約】
【課題】金属表面上の錆の形成を防止する方法が提供される。
【解決手段】この方法は、金属表面上にポリアミンを適用することと、金属表面上に式(I)の化合物またはその塩を適用することと、を含み得る。本明細書に開示される組成物および方法は、水性系と接触する金属表面の腐食を抑制するために使用され得る(式I)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属表面上の錆の形成を防止する方法であって、
前記金属表面上に式(I)の化合物を適用することと、
【化1】
前記金属表面上にポリアミンを適用することと、を含み、
式中、
Xが、独立して、水素、ハロゲン、または置換もしくは非置換C1~5アルキル基であり、
mが、1、2、3、または4であり、
が、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、
が、存在しないか、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、
が、結合またはCHRであり、
が、水素、ハロゲン、NR、またはORであり、式中、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、
Zが、独立して、窒素、CX、またはNである、方法。
【請求項2】
Xが、独立して、水素またはハロゲンであり、
が、水素であり、
が、存在せず、
が、CHRである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(I)の化合物が、
【化2】
である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリアミンが、1,2-プロパンジオール,3-クロロで官能化されたポリ[オキシ(メチル)-1,2-エタンジイル],アルファ-(2-アミノメチルエチル)-オメガ-(2-アミノメチル-エトキシ)-)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記金属表面が、工業用水系の一部である亜鉛メッキされた金属表面である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記式(I)の化合物および前記ポリアミンが、前記金属表面上に有効量を直接噴霧することによって前記金属表面上に適用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記式(I)の化合物および前記ポリアミンが、前記式(I)の化合物および前記ポリアミンを含有する溶液に前記金属表面を浸漬することによって、前記金属表面上に適用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
他の腐食抑制剤、スケール抑制剤、蛍光トレーサー、水処理ポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の化合物を適用することをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、ケイ酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、ホウ酸塩、亜鉛およびその塩、バナジン酸塩、クロム酸塩、ポリカルボン酸塩、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の他の腐食抑制剤を適用することをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記錆が、白錆である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記金属表面に適用する前に、前記式(I)の化合物と前記ポリアミンとを混合することをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
腐食を抑制するための組成物であって、
ポリアミンと、
式(I)の化合物と、を含み、
【化3】
式中、
Xが、独立して、水素、ハロゲン、または置換もしくは非置換C1~5アルキル基であり、
mが、1、2、3、または4であり、
が、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、
が、存在しないか、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、
が、結合またはCHRであり、
が、水素、ハロゲン、NR、またはORであり、式中、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、
Zが、独立して、窒素、CX、またはNである、組成物。
【請求項13】
Xが、独立して、水素またはハロゲンであり、
が、水素であり、
が、存在せず、
が、CHRである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記式(I)の化合物が、
【化4】
である、請求項12または13に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリアミンが、1,2-プロパンジオール,3-クロロで官能化されたポリ[オキシ(メチル)-1,2-エタンジイル],アルファ-(2-アミノメチルエチル)-オメガ-(2-アミノメチル-エトキシ)-)である、請求項12~14のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.技術分野
本開示は、一般に、工業用水系における亜鉛メッキされた金属表面上の白錆を抑制するための組成物および方法に関する。より詳細には、本開示は、2-置換ベンズイミダゾールを単独で、またはポリアミンベースの成分と組み合わせて含む組成物に関し、この組成物を亜鉛メッキされた金属表面上に導入することができる。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
亜鉛メッキは、金属表面に化学的に結合された保護的な亜鉛コーティングである。亜鉛コーティングは、環境に対する機械的バリアおよび電気化学的抵抗を提供することにより、下にある金属を腐食から保護する。電気メッキ、連続亜鉛メッキ、および溶融亜鉛メッキなどのいくつかの亜鉛メッキ方法が存在する。冷却水循環系などの多くの工業用水系は、そのような亜鉛メッキされた表面を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
亜鉛メッキされたコーティングの一般的な問題は、白錆であり、これは、表面が湿気および/または湿潤状態にさらされると、亜鉛メッキされた表面上に急速に形成される、白色、ワックス状、ふわふわとした、または粉末状の非保護的で多孔質の堆積物として現れる。白錆は、亜鉛コーティングにかなりの損傷を与える可能性があり、コーティングの外観にも悪影響を及ぼす。未処理の場合、白錆は、影響を受けた亜鉛メッキされた表面を継続的に腐食し、最終的にコーティングの早期破損につながる。亜鉛メッキされた表面上にそのような非保護的で多孔質の堆積物があると、表面は、より白錆を形成し、急速に腐食する場合がある。
【0004】
現在の白錆腐食防止プログラムとしては、冷却塔の事前不動態化と、不動態化層の実行可能性をサポートするための継続的な水化学管理との組み合わせが挙げられる。基本的な炭酸亜鉛保護層に加えて、白錆防止剤としては、無機リン酸塩およびクロム酸塩不動態化による前処理が挙げられる。そのような無機溶液は、効果が限定されており、環境への懸念のために連邦政府および地方自治体の規制の対象に着実になりつつある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ポリアミンおよび式(I)の化合物またはその塩を含む組成物が開示され、
【化1】
式中、Xは、独立して、水素、ハロゲン、または置換もしくは非置換C1~5アルキル基であり、mは、1、2、3、または4であり、Rは、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、Rは、存在しないか、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、Rは、結合またはCHRであり、Rは、水素、ハロゲン、NR、またはORであり、式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、Zは、独立して、窒素、CX、またはNである。
【0006】
いくつかの実施形態では、Xは、独立して、水素またはハロゲンであり、Rは、水素であり、Rは、存在せず、Rは、CHRである。
【0007】
いくつかの態様では、式(I)の化合物は、
【化2】
である。
【0008】
いくつかの態様では、ポリアミンは、1,2-プロパンジオール,3-クロロで官能化されたポリ[オキシ(メチル)-1,2-エタンジイル],アルファ-(2-アミノメチルエチル)-オメガ-(2-アミノメチル-エトキシ)-)である。
【0009】
他の態様では、金属表面上での錆の形成を防止する方法が提供される。この方法は、金属表面上にポリアミンを適用することと、金属表面上に式(I)の化合物またはその塩を適用することと、を含み得、
【化3】
式中、Xは、独立して、水素、ハロゲン、または置換もしくは非置換C1~5アルキル基であり、mは、1、2、3、または4であり、Rは、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、Rは、存在しないか、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、Rは、結合またはCHRであり、Rは、水素、ハロゲン、NR、またはORであり、式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、Zは、独立して、窒素、CX、またはNである。
【0010】
いくつかの態様では、金属表面は、工業用水系の一部である亜鉛メッキされた金属表面である。
【0011】
いくつかの態様では、式(I)の化合物およびポリアミンは、金属表面上に有効量を直接噴霧することによって金属表面上に適用される。
【0012】
いくつかの態様では、式(I)の化合物およびポリアミンは、式(I)の化合物およびポリアミンを含有する溶液に金属表面を浸漬することによって金属表面上に適用される。
【0013】
いくつかの態様では、この方法は、他の腐食抑制剤、スケール抑制剤、蛍光トレーサー、水処理ポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の化合物を適用することをさらに含み得る。
【0014】
いくつかの態様では、この方法は、リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、ケイ酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、ホウ酸塩、亜鉛およびその塩、バナジン酸塩、クロム酸塩、ポリカルボン酸塩、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の他の腐食抑制剤を適用することをさらに含み得る。
【0015】
いくつかの態様では、この方法は、金属表面に適用する前に、式(I)の化合物とポリアミンとを混合することをさらに含み得る。
【0016】
いくつかの態様では、錆は、白錆である。
【0017】
前述は、後に続く発明を実施するための形態をより良好に理解できるように、本開示の特徴および技術的利点を概括的に概説した。本願の特許請求の範囲の主題を形成する、本開示のさらなる特徴および利点は、以下に説明される。開示される概念および具体的な態様は、本開示と同じ目的を実施するための他の態様を修正または設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者により理解されるべきである。そのような等価の態様はまた、添付の特許請求の範囲に明記される本開示の趣旨および範囲から逸脱しないことが、当業者により認識されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】様々な化学処理にさらされた亜鉛メッキされたディスクの平均腐食速度を示す。
【0019】
図2】低投与量の化学処理にさらされた亜鉛メッキされたディスクの平均腐食速度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
様々な態様を以下に説明する。態様の様々な要素の関係性および機能は、以下の発明を実施するための形態を参照することによってより良好に理解され得る。しかしながら、態様は、以下に例証されるものに限定されない。特定の例では、本明細書に開示される態様の理解のために必要ではない詳細は、省略され得る。
【0021】
「アルキル」は、直鎖または分岐鎖アルキル置換基を指す。そのような置換基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0022】
「アリール」は、当技術分野で一般的に理解されているように、非置換または置換芳香族炭素環式置換基を指し、「C~C10アリール」という用語には、フェニルおよびナフチルが含まれる。アリールという用語は、フッケルの法則に従って、平面状であり、4n+2n電子を含む環状置換基に用いられると理解される。
【0023】
「シクロアルキル」は、例えば、約3~約8個の炭素原子、好ましくは約4~約7個の炭素原子、より好ましくは約4~約6個の炭素原子を含む環状アルキル置換基を指す。そのような置換基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。環状アルキル基は、非置換であり得るか、またはメチル基、エチル基などのアルキル基でさらに置換され得る。
【0024】
「ハロゲン」または「ハロ」は、F、Cl、Br、およびIを指す。
【0025】
「ヘテロアリール」は、単環式または二環式の5または6員環系を指し、ヘテロアリール基は、不飽和であり、ハッケルの法則を満たす。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、1,2,4-オキサジアゾール-2-イル、5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール、3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリニル、キナゾリニルなどが挙げられる。
【0026】
「オキソ」は、炭素原子に二重結合した酸素原子を指す。
【0027】
本開示の化合物は、好適な置換基で置換され得る。本明細書で使用される場合、「好適な置換基」という用語は、化学的に許容される官能基、好ましくは化合物の活性を打ち消さない部分を意味することが意図される。そのような好適な置換基としては、ハロ基、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、オキソ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アリールまたはヘテロアリール基、アリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基、アラルキルまたはヘテロアラルキル基、アラルコキシまたはヘテロアラルコキシ基、HO-(C=O)-基、複素環基、シクロアルキル基、アミノ基、アルキル基およびジアルキルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ならびにアリールスルホニル基が挙げられるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様では、好適な置換基としては、ハロゲン、非置換C~C12アルキル基、非置換C~Cアリール基、または非置換C~C10アルコキシ基が挙げられ得る。当業者は、多くの置換基がさらなる置換基により置換可能であると理解するであろう。
【0028】
いくつかの態様では、ポリアミンおよび式(I)の化合物またはその塩を含み得る組成物が開示される。式(I)の化合物は、以下に示される式を有する。
【化4】
【0029】
いくつかの態様では、Xは、独立して、水素、ハロゲン、または置換もしくは非置換C1~5アルキル基であり、mは、1、2、3、または4であり得る。いくつかの態様では、Rは、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり得る。いくつかの態様では、Rは、存在しないか、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり得る。いくつかの態様では、Rは、結合またはCHRであり得る。いくつかの態様では、Rは、水素、ハロゲン、NR、またはORであり得る。いくつかの態様では、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基である。
【0030】
X置換基または複数のX置換基は、ベンズイミダゾール環の任意の利用可能な位置を占めることができる。したがって、特定の態様では、X置換基または複数のX置換基は、ベンズイミダゾールの4位、5位、6位、および/または7位に位置し得る。特定の態様では、X置換基は、5位にある。
【0031】
X置換基の数mは、1、2、3、または4であり得る。mが2、3、または4の場合、X置換基は、任意の開いた位置を占めることができ、互いにオルト、メタ、またはパラに配置され得る。
【0032】
特定の態様では、式(I)の化合物の塩は、任意の塩、例えば、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硫酸塩、フッ化物塩、過塩素酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、硝酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、ギ酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、亜塩素酸塩、チオ硫酸塩、シュウ酸塩、シアン化物塩、シアン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩などであり得る。いくつかの態様では、式(I)の化合物の塩は、塩酸塩または硫酸塩であり得る。
【0033】
いくつかの態様では、Zは、独立して、窒素、CX、またはNである、
【0034】
いくつかの態様では、Zは、CXである。
【0035】
いくつかの態様では、Xは、水素であり、mは、4である。いくつかの態様では、Xは、存在しない。
【0036】
いくつかの態様では、Rは水素である。
【0037】
いくつかの態様では、Rは存在しない。
【0038】
いくつかの態様では、Rは、結合である。いくつかの態様では、Rは、CHRである。
【0039】
いくつかの態様では、Rは、水素である。いくつかの態様では、Rは、ハロゲンである。
【0040】
いくつかの態様では、Rは、NRである。いくつかの態様では、Rは、ORである。
【0041】
いくつかの態様では、Rは、置換もしくは非置換C~C12アルキル基である。いくつかの態様では、Rは、水素である。いくつかの態様では、Rは、置換もしくは非置換C~Cアルキル基である。
【0042】
いくつかの態様では、1つのZは、窒素であり、残りは、CXである。
【0043】
いくつかの態様では、少なくとも2つのZは、窒素であり、残りは、CXである。
【0044】
いくつかの態様では、Rは、結合であり、少なくとも1つのZは、窒素である。
【0045】
いくつかの態様では、Xは、独立して、水素またはハロゲンであり、Rは、水素であり、Rは、存在せず、Rは、CHRである。
【0046】
いくつかの態様では、式(I)の化合物またはその塩は、
【化5】
である。
【0047】
いくつかの態様では、式(I)の化合物またはその塩は、
【化6】
である。
【0048】
いくつかの態様では、式(I)の化合物またはその塩は、
【化7】
である。
【0049】
いくつかの態様では、式(I)の化合物またはその塩は、
【化8】
である。
【0050】
いくつかの態様では、式(I)の化合物またはその塩は、
【化9】
である。
【0051】
いくつかの態様では、式(I)の化合物またはその塩は、
【化10】
である。
【0052】
いくつかの態様では、式(I)の化合物またはその塩は、
【化11】
である。
【0053】
いくつかの態様では、式(I)の化合物またはその塩は、
【化12】
である。
【0054】
いくつかの態様では、式(I)の化合物またはその塩は、
【化13】
である。
【0055】
いくつかの態様では、式(I)の化合物またはその塩は、
【化14】
である。
【0056】
いくつかの態様では、式(I)の化合物またはその塩は、
【化15】
である。
【0057】
いくつかの態様では、式(I)の化合物またはその塩は、
【化16】
である。
【0058】
いくつかの態様では、組成物は、式(Ia)の化合物またはその塩を含み得、
【化17】
式中、Xは、独立して、水素、ハロゲン、または置換もしくは非置換C1~5アルキル基であり、mは、1、2、3、または4であり、Rは、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、Rは、存在しない、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、Rは、結合またはCHRである。いくつかの態様では、Rは、水素、ハロゲン、NR、またはORであり得る。いくつかの態様では、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基である。
【0059】
いくつかの態様では、化合物またはその塩は、式(II)のものであり、
【化18】
式中、Xは、独立して、水素、ハロゲン、または置換もしくは非置換C1~5アルキル基であり、mは、1、2、3、または4であり、Rは、結合またはCHRであり、Yは、独立して、水素、ハロゲン、またはC1~5アルキル基であり、nは、1、2、3、4、または5である。いくつかの態様では、Rは、水素、ハロゲン、NR、またはORであり得る。いくつかの態様では、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換C~C12アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基である。
【0060】
いくつかの態様では、Yは、水素である。
【0061】
いくつかの態様では、Yは、独立して、水素およびハロゲンである。
【0062】
本明細書に記載されるように、mは、1、2、3、または4であり得る。mが2、3、または4の場合、X置換基は、任意の開いた位置を占めることができ、互いにオルト、メタ、またはパラに配置され得る。Y置換基の数nは、1、2、3、または4であり得る。nが2、3、または4の場合、Y置換基は、任意の開いた位置を占めることができ、相互にオルト、メタ、またはパラに配置され得る。
【0063】
いくつかの態様では、組成物中の式(I)、式(Ia)、または式(II)の化合物またはそれらの塩の濃度は、約1重量%~約50重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約50重量%、約15重量%~約50重量%、約20重量%~約50重量%、約20重量%~約45重量%、約25重量%~約45重量%、または約25重量%~約40重量%の範囲であり得る。
【0064】
いくつかの態様では、組成物は、水を含み得る。
【0065】
いくつかの態様では、組成物は、均一混合物であり得る。いくつかの態様では、組成物は、溶液であり得る。
【0066】
いくつかの態様では、ポリアミンは、1,2-プロパンジオール,3-クロロで官能化されたポリ[オキシ(メチル)-1,2-エタンジイル],アルファ-(2-アミノメチルエチル)-オメガ-(2-アミノメチル-エトキシ)-)である。
【0067】
いくつかの態様では、ポリアミンは、ポリオキシプロピレンジアミンから形成される。いくつかの態様では、ポリアミンは、式[CH(OH)CH(OH)CHN-[CH(CH)CHO]-N[CHCH(OH)CH(OH)]である。Xは、1~約20である。この態様では、化合物のアミン基は、ヒドロキシル官能化されている。
【0068】
いくつかの態様では、ポリアミンは、主鎖においてオキシプロピレン単位を繰り返すことを特徴とし、化学式HN-(CH(CH)CHO)Z-CHCH(CH)NHを有する化合物を、グリシドール(2,3-エポキシ-1-プロパノール)と反応させることによって作製され、式中、Zは、1~3である。
【0069】
いくつかの態様では、組成物は、約4:1の式(I)の化合物とポリアミンとの重量比を有し得る。いくつかの態様では、重量比は、約2:1~約6:1の範囲である。
【0070】
他の態様では、金属表面上での錆の形成を防止する方法が提供される。この方法は、金属表面上にポリアミンを適用することと、金属表面上に式(I)の化合物またはその塩を適用することと、を含み得る。
【0071】
本開示は、工業用水系における金属成分の腐食を抑制するために特に有用である、複素環式化合物および複素環式化合物を含む配合物を使用する方法を提供する。水性系に加えて、金属とキレート化が可能なベンズイミダゾールは、優れた金属腐食耐性を提供する。特に、2-ピリジルまたはベンジルアルコールで置換されたベンズイミダゾールを、金属表面と接触する水性系に添加すると、銅などの金属に対する優れた腐食抑制がもたらされる。さらに、ベンゾトリアゾールおよびベンズイミダゾールは、一般に酸化ハロゲン化合物の存在下で不安定であるが、本開示の化合物は、金属と1,2-キレート化して、酸化ハロゲン化合物の存在下で金属の例示的な保護を付与することが可能である。特に、2-(2-ピリジル)ベンズイミダゾールは、酸化ハロゲン化合物の存在下で、ベンズイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾール、およびトリルトリアゾールよりも腐食に対するより優れた保護を提供する。特定の理論に縛られることを望まないが、本開示の化合物は、腐食抑制剤の金属表面との二座キレート化により、一般的な酸化ハロゲン化合物によって本質的に侵入不可能な保護膜を形成すると考えられる。したがって、特定の態様では、本開示の方法は、殺生物剤として酸化ハロゲン化合物を用いる水性系における金属腐食に対する保護を提供する。
【0072】
いくつかの態様では、本開示は、水性系と接触する金属表面の腐食を抑制または防止するための方法を提供する。この方法は、本開示に記載される任意の組成物を水性系に添加することを含み得る。例えば、組成物は、式(I)の化合物およびポリアミンを含み得る。
【0073】
「工業用水系」は、水を循環させる任意の系を意味する。「工業用水系」の非限定的な例としては、冷却系、ボイラ系、加熱系、膜系、製紙系、または水を循環させる他の任意の系が挙げられる。
【0074】
ポリアミンおよび式(I)、(Ia)、および/または(II)の化合物を含む組成物は、亜鉛メッキされた金属の腐食保護を提供し得る。この組成物は、錆の形成を防止し得る。いくつかの態様では、錆は、白錆である。
【0075】
「白錆」という用語は、亜鉛メッキされた鋼の亜鉛表面に付着する白色、ふわふわとした、またはワックス状の非保護的な亜鉛腐食生成物の蓄積として特徴付けられる、亜鉛メッキされた表面に影響を与える腐食生成物のタイプを指す。
【0076】
表面を不動態化する1つの方法は、冷却塔の初期の起動時に、亜鉛コーティングが塩基性炭酸亜鉛の自然な非多孔質表面を発達させることを可能にすることである。この自然の化学的バリアは、環境および通常の冷却塔の動作からの亜鉛コーティングのさらなる急速な腐食を防止または遅らせるのに役立つ。白錆はまた、上記の保護的な炭酸亜鉛バリアとは異なる多孔質構造、形成速度、および密度を有する炭酸亜鉛の形態である。
【0077】
式(I)、(Ia)、および(II)の化合物は、任意の投与速度で水性系に添加され得るが、式(I)、(Ia)、および(II)の化合物は一般的に、約0.01ppm~約500ppmの投与速度で水性系に添加される。特定の態様では、式(I)、(Ia)、または(II)の化合物は、約0.01ppm~約100ppmの投与速度で水性系に添加される。特定の態様では、式(I)、(Ia)、または(II)の化合物は、約0.01ppm~約100ppm、約0.01ppm~約75ppm、約0.01ppm~約50ppm、約0.01ppm~約25ppm、約0.01ppm~約10ppm、約0.01ppm~約5ppm、約0.1ppm~約100ppm、約0.1ppm~約75ppm、約0.1ppm~約50ppm、約0.1ppm~約25ppm、約0.1ppm~約10ppm、約0.1ppm~約5ppm、約1ppm~約100ppm、約1ppm~約75ppm、約1ppm~約50ppm、約1ppm~約25ppm、約1ppm~約10ppm、約5ppm~約100ppm、約10ppm~約100ppm、約25ppm~約100ppm、約50ppm~約100ppm、または約80ppm~約100ppmの投与速度で水性系に添加される。
【0078】
特定の態様では、水性系は、冷却水系である。冷却水系は、閉ループ冷却水系または開ループ冷却水系であり得る。特定の態様では、式(I)、(Ia)、または(II)の化合物は、約0.01ppm~約200ppmの投与速度で閉ループ冷却水系に添加される。特定の態様では、式(I)、(Ia)、または(II)の化合物は、約0.01ppm~約20ppmの投与速度で開ループ冷却水系に添加される。
【0079】
式(I)、(Ia)、および(II)の化合物は、任意の好適な方法によって金属表面と接触される。特定の態様では、式(I)、(Ia)、または(II)の化合物の溶液は、浸漬、噴霧、または他のコーティング技術によって金属表面と接触される。特定の態様では、式(I)、(Ia)、または(II)の化合物の溶液は、任意の従来の方法によって水性系の水に導入され、定期的または連続ベースのいずれかで水性系に供給される。
【0080】
一態様では、亜鉛メッキされた表面上に組成物を導入することは、この方法をホットディップ製造プロセスに組み込むことを含む。例えば、金属は、最初に450℃(鉄/鋼および亜鉛が大きな親和性を共有する温度)で溶融亜鉛に浸漬され、そこで金属は、亜鉛コーティングで保護される。製造プロセスにおける次のステップは、式(I)、(Ia)、または(II)の化合物およびポリアミンを含む組成物に亜鉛コーティングされた金属を浸漬することである。
【0081】
別の態様では、金属表面上へのそのような導入は、工業用水系において表面を含む表面上に組成物の溶液を直接噴霧することを含む。一態様では、組成物を発泡剤と混合して混合物を形成し、続いて、任意の好適な噴霧装置を使用して、混合物を亜鉛メッキされた金属表面上に噴霧する。発泡剤としては、アルコキシル化アルコール、ポリエチレングリコール、または他の任意の好適な界面活性剤などの界面活性剤が挙げられ得る。代替の実施形態では、組成物は、ペイントローラーなどを使用して転がすこと、ペイントブラシなどを使用してブラッシングすること、モップなどを使用して拭くことによって、または他の任意の好適な方法もしくは技術を使用することによって、表面上に物理的に適用され得る。
【0082】
いくつかの態様では、式(I)、(Ia)、または(II)の化合物およびポリアミンは、独立して、および任意の順序で金属表面上に適用され得る。
【0083】
別の態様では、組成物は、1つ以上の時間間隔の後に1回または複数回表面上に再導入されて、バリアを「オーバーレイ」するか、または表面を「再不動態化」する。腐食抑制バリアを更新するため、および/または亜鉛メッキされた表面を再不動態化するための継続的なオーバーレイステップも企図される。ケースバイケースで決定されるように、この方法は、複数の異なる組成物を含み得、バリアをオーバーレイすることは、亜鉛メッキされた金属表面上に異なる1つ以上の腐食低減組成物を導入することを含み得る。
【0084】
いくつかの態様では、本明細書に開示される組成物は、蛍光有機化合物を含み得る。特定の態様では、蛍光有機化合物は、ローダミンまたはその誘導体、アクリジン色素、フルオレセインまたはその誘導体、およびそれらの組み合わせから選択され得る。特定の態様では、本明細書に開示される組成物は、蛍光タグ付きポリマーを含み得る。
【0085】
当業者は、ポリアミンおよび式(I)、(Ia)、または(II)の化合物を、単独で、または他の腐食抑制剤もしくは処理化学物質と組み合わせて、水性系に添加され得ることを理解するであろう。式(I)、(Ia)、および/または式(II)の2つ以上の化合物を含む、多数の腐食抑制剤は、組み合わせた腐食抑制剤配合物として投与され得るか、または各腐食抑制剤は、個別に添加され得る。さらに、式(I)、(Ia)、または(II)の化合物は、トリアゾール、ベンゾトリアゾール(例えば、ベンゾトリアゾールまたはトリルトリアゾール)、ベンズイミダゾール、オルトリン酸塩、ポリリン酸塩、ホスホン酸塩、モリブデン酸塩、ケイ酸塩、オキシム、および亜硝酸塩が挙げられるが、これらに限定されない様々な追加の腐食抑制剤と組み合わせて水性系に添加され得る。式(I)、(Ia)、および(II)の化合物はまた、処理ポリマー、抗菌剤、スケーリング防止剤、着色剤、充填剤、緩衝液、界面活性剤、粘度調整剤、キレート剤、分散剤、消臭剤、マスキング剤、脱酸素剤、およびインジケーター染料などの様々な追加の添加剤と組み合わせて水性系に添加され得る。
【0086】
本開示の組成物は、約0~10重量パーセントのポリアミンおよび約10~約100重量パーセントの式(I)の化合物を含み得、残りは、補助成分および水である。より好ましくは、ポリアミンは、約2~10重量パーセントで存在し、式(I)の化合物は、約20~約100重量パーセントで存在し、残りは、補助成分および水である。好ましいブレンドは、約10重量パーセントのポリアミンおよび約90重量パーセントの式(I)の化合物を含む。より好ましくは、ブレンドは、約40重量パーセントのポリアミンおよび約60重量パーセントの式(I)の化合物を含む。最も好ましくは、ブレンドは、約60重量パーセントのポリアミンおよび約40重量パーセントの式(I)の化合物から構成される。
【0087】
ポリアミンを添加または適用するための投与量範囲は、0.01ppm~約200ppmの範囲であり得る。いくつかの態様では、ポリアミン投与量は、約0.01ppm~約50ppm、約0.01ppm~約10ppm、または約0.01ppm~約5ppmの範囲であり得る。いくつかの態様では、ポリアミン投与量は、約0.5ppmであり得る。
【0088】
式(I)の化合物を添加または適用するための投与量範囲は、0.01ppm~約200ppmの範囲であり得る。いくつかの態様では、投与量は、約0.01ppm~約50ppm、約0.01ppm~約10ppm、または約0.01ppm~約5ppmの範囲であり得る。いくつかの態様では、投与量は、約2ppmであり得る。
【実施例
【0089】
作用電極が亜鉛メッキされたディスクであった場合、3電極電気化学セルを使用した。2つの鋼電極は、1つの参照電極として機能し、もう1つは、対電極として機能した。試験溶液は、腐食性の水と評価対象の抑制剤候補との混合物であった。腐食性の水は、一般にカルシウム200ppm(CaCOとして)、マグネシウム200ppm(CaCOとして)、塩化物500ppm、および重炭酸塩150ppmを含んでいた。各試験で190mlの試験溶液を使用し、80+/-2°Fに維持しながらマグネチックスターラーを使用して連続的に撹拌した。高い腐食速度で作用電極の亜鉛メッキされた表面が損傷するまで、5時間間隔で測定を行った。
【0090】
腐食抑制剤組成物の有効性は、分極抵抗を測定することによる電気化学的腐食速度によって決定した。陰極および陽極の勾配は、偏光を実行する前にターフェルスキャンによって決定した。スキャンは、0.1mV/秒に設定されたGamry Potentiostat/Galvanostatを使用して実行した。
【0091】
実施例1
【0092】
この実験で投与された総化学物質(腐食抑制剤+ポリアミン)は、約10ppmであった。腐食抑制剤とポリアミンとの重量比は、約1:1であった。図1は、様々な処理についてのmpy単位の平均腐食速度を示している。化合物YMIは、以下に示す化合物1を指す。TTは、トリトリアゾールを指し、H0680は、1,2-プロパンジオール,3-クロロで官能化されたポリ[オキシ(メチル)-1,2-エタンジイル],アルファ-(2-アミノメチルエチル)-オメガ-(2-アミノメチル-エトキシ)-)である。
【化19】
【0093】
実施例2
【0094】
この実験で投与された総化学物質(腐食抑制剤+ポリアミン)は、約2.5ppmであった。腐食抑制剤とポリアミンとの重量比は、約4:1であった。図2は、様々な処理についてのmpy単位の平均腐食速度を示している。
【0095】
本明細書に開示される任意の組成物は、本明細書に開示される化合物/成分のうちのいずれかを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなり得る。本開示によれば、「から本質的になる(consist essentially of)」、「から本質的になる(consists essentially of)」、「から本質的になること(consisting essentially of)」などの語句は、特許請求の範囲の範囲を、特定の材料またはステップ、および特許請求された発明の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない材料またはステップに限定する。
【0096】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、それらのそれぞれの試験測定値において見られる標準偏差から生じる誤差内にある引用された値を指し、それらの誤差が判定され得ない場合、「約」は、引用された値の10%以内を指す。
【0097】
本明細書で開示および特許請求される組成物および方法のすべては、本開示を考慮して、過度の実験を伴わずに作製および実行され得る。本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本発明の特定の好ましい態様が、本明細書で詳細に説明される。本開示は、本発明の原理の例示であり、本発明を例証された特定の態様に限定することを意図するものではない。さらに、明示的に反対の記載がない限り、「1つの(a)」という用語の使用は、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を含むことを意図する。例えば、「ある1つの化合物」は、「少なくとも1つの化合物」または「1つ以上の化合物」を含むことを意図する。
【0098】
絶対項または近似項のいずれかで与えられる任意の範囲は、双方を包含することを意図するものであり、本明細書で使用されるいかなる定義も、明確にすることを意図するものであり、限定を意図するものではない。本発明の広範な範囲を明記する数値範囲およびパラメータは、近似値ではあるものの、特定の実施例で明記される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、それらのそれぞれの試験測定値において見られる標準偏差に必然的に起因する特定の誤差を本質的に含む。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、その中に包含されるあらゆる部分範囲(すべての小数値および全体値を含む)を包含するものとして理解されるべきである。
【0099】
さらに、本発明は、本明細書に記載の様々な態様の一部またはすべてのあらゆる可能な組み合わせを包含する。また、本明細書に記載される本発明の好ましい態様に対する様々な変更および修正が、当業者にとって明らかであろうことも理解されるべきである。そのような変更および修正は、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、かつその意図される利点を縮小することなく行われ得る。したがって、そのような変更および修正は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。
図1
図2
【国際調査報告】