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特表2023-519136放射線治療計画を生成する方法、放射線治療計画を生成するためのコンピュータプログラムおよびコンピュータシステムならびに放射線治療送達システム
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  • 特表-放射線治療計画を生成する方法、放射線治療計画を生成するためのコンピュータプログラムおよびコンピュータシステムならびに放射線治療送達システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】放射線治療計画を生成する方法、放射線治療計画を生成するためのコンピュータプログラムおよびコンピュータシステムならびに放射線治療送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
A61N5/10 P
A61N5/10 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552269
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2021056603
(87)【国際公開番号】W WO2021185794
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】20163850.9
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522454806
【氏名又は名称】レイサーチ ラボラトリーズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジャンソン,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】トラネウス,エリック
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC05
4C082AE01
4C082AN02
(57)【要約】
ペンシルビームスキャニングにより患者に荷電粒子を送達するための放射線治療計画を最適化するための方法であって、スポットが形状および向きの少なくとも1つにおいて、および任意にサイズにおいても異なるのを可能にするように設計されている最適化問題を用いて治療計画を最適化することを含む方法。これは、可能な限り最良の方法で標的の外縁に沿った鋭い周縁部により標的をカバーするための最適化スポットを可能にする。本発明は、コンピュータプログラム製品およびそのような計画に使用するためのコンピュータシステムならびにそのような計画を送達するための治療送達システムにも関する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンシルビームスキャニングにより患者(61)における標的(1)に荷電粒子を送達するための放射線治療計画を生成するためのコンピュータベースの方法であって、前記粒子はスポット(3、5)で送達され、前記方法は最適化問題を用いて前記治療計画を最適化することを含む、コンピュータベースの方法であり、前記最適化問題は、スポット(3、5)が形状および向きの少なくとも1つにおいて異なるのを可能にするように設計されていることを特徴とする、コンピュータベースの方法。
【請求項2】
前記最適化問題は、前記スポット(3、5)のための形状および/または向きのための値の2つ以上の予め定められたセットを可能にするように設計されている、請求項1に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項3】
前記最適化問題は、前記スポット(3、5)を形状および向きの少なくとも1つにおいて自由に変えるのを可能にするように設計されている、請求項1に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項4】
前記最適化問題は、前記スポットを前記標的(1)の少なくとも別の部分において均一に維持しながら前記スポット(3、5)を前記標的(1)の少なくとも1つの部分において変えるのを可能にするように設計されている、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項5】
前記最適化問題は、前記スポット(3)を前記標的(1)の中心おいて均一に維持しながら前記標的の境界近くのスポット(5)を変えるのを可能にするように設計されている、請求項4に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項6】
前記送達時間を考慮して前記スポット(3、5)の送達の順序を定める工程をさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項7】
前記治療計画は、アパーチャ装置を制御して前記スポット形状および/または前記スポット形状の向きを定めるように構成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項8】
前記最適化問題は、前記スポット(3、5)をサイズにおいて変えることも可能にするように構成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンピュータベースの方法。
【請求項9】
コンピュータ(31)のプロセッサ(33)において実行されるときに、前記プロセッサに先行する請求項のいずれか1項に記載の方法を実行させるコンピュータ可読コード手段を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項10】
前記コンピュータ可読コード手段を保持する非一時的記憶手段(36)を備える、請求項9に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
プロセッサ(33)、データメモリ(34)、および前記プロセッサ(33)において実行することができるような方法でコンピュータプログラムを保持するように構成されたプログラムメモリ(36)を備えるコンピュータシステム(31)であって、、前記プログラムメモリ(36)は、請求項9~10のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム製品を備えることを特徴とする、コンピュータシステム。
【請求項12】
PBSにより患者(61)に荷電粒子を送達するための放射線治療送達システム(60)であって、前記粒子はスポットで送達され、前記システムは前記治療の送達を制御するためのプロセッサ(73)を備える、放射線治療送達システムであり、それは、送達中に前記スポットの形状および向きの少なくとも1つを変えるための変更手段を備えること、および前記プロセッサ(73)は前記変更を制御するように構成されていることを特徴とする、放射線治療送達システム。
【請求項13】
前記変更手段は電磁光学系を含む、請求項12に記載の放射線治療送達システム。
【請求項14】
前記変更手段は、送達中に前記スポットの形状および/または向きを変えるように構成された制御可能なアパーチャ装置を含む、請求項12に記載の放射線治療送達システム。
【請求項15】
メモリ(74)をさらに備え、前記メモリは治療計画を保持しており、前記プロセッサ(93)は前記治療計画に従って前記送達システム(60)を制御するように構成されており、前記治療計画は請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を用いて生成されている、請求項11~13のいずれか1項に記載の放射線治療送達システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン系放射線治療の計画および送達に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン系放射線治療では、陽子またはヘリウムもしくは炭素イオンなどのイオンなどの荷電粒子が使用される。その全体的な目的は、近くの決定臓器および健康な組織への望ましくない線量を最小限に抑えながら標的体積に線量を送達することである。特に本発明は、ペンシルビームスキャニング(PBS)として知られているスキャンされる集束イオンビームを用いる荷電粒子治療に関する。PBSでは別個のビームが多くの離散もしくは準離散スポットで、あるいはラインスキャニングによって患者に向けられる。標的外に与えられる線量を可能な限り少なくしながら標的を3次元でカバーするために、多くのスポットが多くの異なるエネルギーレベルのそれぞれで送達される。
【0003】
線量率が低値まで低下するビームの縁近くの領域は周縁部として知られている。周縁部を可能な限り狭く維持することが望まれている。
【0004】
標的の境界近くでの線量の減少は、周囲組織を可能な限り多く保護しながら標的全体にわたって十分な線量を保証するために、その縁に向かって可能限り急激なものでなければならない。線量の減少は、小さいスポットのためのより大きい減少と共にスポットの横方向形状およびサイズによって左右される。従ってスポットを設計するときの現在の臨床実践は、ビーム輸送系を考慮してそれらを小さく、かつ慣例上、技術的に可能な限り円形にすることである。従来から陽子線治療のための線量計画は、スポットを均一に円形にし、かつ同じサイズにすることを目的としている。これを達成するために、ビームは典型的に患者の上流で集束素子を用いて調整される。
【0005】
標的の縁近くの線量分布をさらに向上させるために様々な試みがなされてきた。これらの試みでは典型的に、異なる種類の静的な照射野特有のアパーチャを使用する。そのようなアパーチャは各患者のために特別に作製しなければならず、これは高価であり、かつ実用的ではない。マルチリーフコリメータ(MLC)などの動的に調整可能なコリメーティング装置を使用することも可能であるが、これはPBSシステムのためにあまり一般的ではない。MLCも高価である。アパーチャは治療中に中性子バックグラウンド線量の生成も増加させ、これも問題である。またあらゆる種類のアパーチャは、治療照射野の縁にあるスポットのみに影響を与える。
【発明の概要】
【0006】
向上した標的カバレッジを有し、特に標的の縁近くでの向上した特性を有する粒子ベースの放射線治療の生成および送達を可能にすることが、本発明の目的である。
【0007】
本発明は、ペンシルビームスキャニングにより患者に荷電粒子を送達するための放射線治療計画を生成するためのコンピュータベースの方法であって、当該粒子はスポットで送達され、スポットが形状および向きの少なくとも1つにおいて異なるのを可能にするように設計されている最適化問題を用いて治療計画を最適化することを含む方法に関する。
【0008】
従って本発明によれば、特定のビームエネルギーのためにスポットの形状および/または向きを変えて、そのエネルギーのために一緒に標的断面をカバーするスポットを生成すると共に、同時に周縁部の減少を達成することができる。これは個々のスポットごと、エネルギー層ごとまたはビームごとに行うことができる。スポット変形の1つの他の組織化は、エネルギー層ごと(またはビームごと)のスポットが異なる形状および/または向きを有するエネルギー層またはビームを繰り返すことである。これはエネルギー層またはビーム内で設定することができる。好ましい実施形態では、スポット形状を円形または楕円形にするのを可能にする。他の実施形態では、スポット形状は例えば三角形または矩形のスポット、あるいは任意の好適な幾何学的形状を有するスポットを含めるために、さらに大きく変えるのを可能にしてもよい。当然のことながら、当該形状は技術的限界により幾何学的に完璧でなくてもよい。例えば円形のスポットは完全に円形でなくてもよい。本明細書では「円形」という用語は、送達システムが生成することができるような円形に近いものを意味するように解釈されるべきである。さらにより大きい柔軟性のために、スポットのサイズも変えてもよい。
【0009】
形状および/または向きのために、1つ以上の予め定められた値または値の組み合わせを可能にしてもよい。可能な組み合わせの数を限定することにより、送達をより容易にし、かつより速くする。あるいは、形状および/または向きは最大の柔軟性のために自由に変えるのを可能にしてもよい。これにより、可能な限り最良の方法で標的をカバーするようにスポットを位置決めおよび方向づけするのを可能にする。それは標的の境界において最も急激な可能な減少を引き起こすために標的の境界に対して位置合わせおよび方向づけされるように、最良に定められた境界を有するスポットの縁の位置決めも可能にする。
【0010】
最適化問題は、スポットを標的の少なくとも別の部分において均一に維持しながら、スポットを標的の少なくとも1つの部分において変えるのを可能にするように設定されていてもよい。これは、これが実行可能である領域において最大の柔軟性を可能にし、他の領域をより単純な方法で計画することができる。例えば、標的の外縁近くのスポットを変えるが、その縁からより離れたスポットを均一に、例えば均一に円形に維持できることが有利であり得る。これは標的の実際の形状へのカバレッジの適応、および標的の中心でのスポットのより速い送達ならびに標的の外縁における鋭い周縁部を可能にする。
【0011】
異なるスポット形状および/または向きを達成する1つの効率的な方法は、スポットフルエンスを調整するように構成されたコリメータなどのアパーチャシステムを用いるものである。あるいは、電磁光学集束系を用いてスポットを成形してもよい。この後者の場合、コリメータにより発生する中性子線量は存在せず、これは小児科用途にとって特に有益である。
【0012】
またアパーチャ装置および電磁集束系の組み合わせを使用してもよい。この目的のために、本方法により得られる計画は、アパーチャ装置を制御する方法を含んでいなければならない。
【0013】
最も大きい柔軟性は、スポット成形が各エネルギー層のために個々のスポットごとに行われる場合に達成される。次いで各スポットを最適な形態、典型的には楕円形まで引き伸ばし、かつ標的ビーム方向像投影の曲率に従って可能な限り最良の方法で位置決めおよび方向づけすることができる。典型的には標的の中心にあるスポットは、標的の周りの周縁部に影響を与える境界近くのスポットであるため、円形に維持される。
【0014】
あるいは限られた数のスポット形状、例えば垂直な主軸を有する1つの円形のスポット形状および2つの楕円形のスポット形状を可能にすることができる。予め定められた主軸を有する1つの円形のスポット形状および多くの予め定められた楕円形のスポット形状およびサイズも可能である。これらの実施形態は、スポットの形状、サイズおよび/または向きを自由に変えることが可能である実施形態と比較して、より単純な計画および/または単純化および高速化された送達を可能にしてもよい。
【0015】
例えば1つの公称エネルギーのために、第1の向きを有する楕円形のスポットを含む1つの層、第2の向きを有する楕円形のスポットを含む1つの層、および円形のスポットを含む1つの層が存在するように、各種スポットを別個のエネルギー層に集めることもできる。
【0016】
また最適化問題は、送達時間を考慮に入れてスポットの送達順序を定めるように設計されていてもよい。
【0017】
本発明は、コンピュータのプロセッサにおいて実行されるときに、プロセッサに先行する請求項のいずれか1項に記載の方法を行わせるコンピュータ可読コード手段を含むコンピュータプログラム製品にも関する。コンピュータプログラム製品はコンピュータ可読コード手段を保持する非一時的記憶手段を備えていてもよい。
【0018】
本発明は、プロセッサ、データメモリおよび、プロセッサにおいて実行することができるような方法でコンピュータプログラムを保持するように構成されたプログラムメモリを備えたコンピュータシステムであって、プログラムメモリは上記に係るコンピュータプログラム製品を含むコンピュータシステムにも関する。
【0019】
本発明は、PBSにより患者に荷電粒子を送達するための放射線治療送達システムにも関し、当該粒子はスポットで送達され、本システムは治療の送達を制御するためのプロセッサを備え、本システムは送達中にスポットの形状および向きの少なくとも1つを変えるための変更手段をさらに備え、プロセッサは前記変更を制御するように構成されている。変更手段は、上で考察されているように送達中にスポットの形状および/または向きを変えるように構成された電磁光学系および/または制御可能なアパーチャ装置を含んでもよい。また本システムは、最も効率的な送達のためにスポットを組織化するように構成されていてもよい。
【0020】
前記請求項のいずれか1項に記載の放射線治療送達システムはメモリをさらに備えていてもよく、メモリは治療計画を保持しており、プロセッサは治療計画に従って送達システムを制御するように構成されており、治療計画は本出願に開示されている任意の実施形態に係る方法を用いて生成されている。
【0021】
以下では、本発明を添付の図面を参照しながら例としてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るスポット分布を概略的に例解する。
図2】本発明に係る治療計画方法のフローチャートである。
図3】本発明の治療計画方法を実施することができるコンピュータシステムを開示している。
図4】本発明に係る治療計画を送達するための治療送達システムを開示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るスポット3、5によってカバーされている標的1におけるエネルギー層をビームの図で概略的に開示している。図に示すように、標的の境界から離れている中心には、標的の中心領域をカバーするように互いに隣接して位置決めされている実質的に円形のスポット3が存在する。標的の境界近くのスポット5は楕円形であり、各スポット5の形状は丸いスポットと標的の境界との間の領域をカバーするように構成されている。スポット3、5は離散スキャニング、準離散スキャニング、ラインスキャニングを含む任意の形態のペンシルビームスキャニングにより、あるいは任意の他の好適な方法によって生成してもよい。
【0024】
図1に示されている状況では、スポット3、5の形状および向きはどちらも自由に変えることができる。上述のように当該計画は、形状、サイズおよび/または向きの限られたセットのみを可能にするようにセットップされていてもよい。例えば、垂直な主軸を有する2つの楕円形状または互いから45°で主軸を有する4つの楕円形状を可能にしてもよい。形状および/または向きを変えるのを可能にしてもよい。スポットのサイズも変えてもよい。例えば全てのスポットは同じサイズであってもよいが、異なる形状および/または向きを可能にしてもよく、あるいはサイズを例えば別のスポットと標的の境界との間にある標的の一部に適合させるのを可能にしてもよい。
【0025】
図2は、本発明に係る全体的な計画方法を例解する。第1の工程S21では、最適化問題を定める。最適化問題は任意の好適な方法で定めてもよいが、スポットを形状、サイズまたは向きの少なくとも1つにおいて変えるのを可能にするようにセットップする。第2の工程S22では、工程S21に定められている最適化問題を用いて最適化を行う。第3の任意の工程S23では、最適化された計画に含まれているエネルギー層を送達が可能な限り効率的であるような方法で組織化する。例えばスポット形状の変化のみが特性の各セットのために1回生じなければならないように、形状、サイズおよび向きの点で同じ特性を有する全てのスポットを連続的に送達する。あるいは、スポットの種類ごとに1つのエネルギー層が存在するように、同じ特性のセットを有するスポットをエネルギー層において一緒にグループ化してもよい。あるいは、スポットのこの組織化は送達システムにおいて行ってもよい。
【0026】
また最適化問題は、残りの1つ以上の部分におけるスポットを均一に維持しながら、スポットを標的の1つ以上の部分においてのみ変えるのを可能にするようにセットアップしてもよい。典型的にこれは、境界スポット内のスポットを均一(例えば円形で同じサイズ)に維持しながら、これらの境界スポット(すなわち標的の境界近くのスポット)が標的の輪郭に可能な限りぴったりと一致するように変えるのを可能にすることを意味する。
【0027】
図3は、本発明の治療計画方法を実施することができるコンピュータシステムの概略図である。コンピュータ31は、プロセッサ33、データメモリ34およびプログラムメモリ36を備える。好ましくはキーボード、マウス、ジョイスティック、音声認識手段またはあらゆる他の利用可能なユーザ入力手段の形態の1つ以上のユーザ入力手段38、39も存在する。またユーザ入力手段は外部メモリユニットからデータを受信するように構成されていてもよい。
【0028】
データメモリ34は、所望の線量分布およびセグメント化された患者画像などの本方法を実施するために必要なデータを含む。プログラムメモリ36は、コンピュータに図2に概説されている本発明のいくつかの実施形態に係る方法工程を行わせるように構成されたコンピュータプログラムを保持している。
【0029】
当然のことながら、データメモリ34およびプログラムメモリ36は概略的に図示および考察されている。それぞれが1つ以上の異なる種類のデータを保持するいくつかのデータメモリユニットが存在してもよく、あるいは好適に構造化された方法で全てのデータを保持する1つのデータメモリが存在してもよく、これはプログラムメモリを保持している。プログラムおよびデータはどちらも、コンピュータシステム内の1つ以上のメモリあるいはコンピュータシステムからアクセス可能な別のユニットに存在していてもよい。
【0030】
図4は、放射線治療および/または治療計画のためのシステム60の概略である。当然のことながら、そのようなシステムは任意の好適な方法で設計されていてもよく、図4に示されている設計は一例にすぎない。患者61を治療台63の上に位置決めする。本システムは、治療台63の上に位置決めされた患者に向かって放射線を照射するためにガントリー67内に取り付けられた放射線源65を有するイメージング/治療装置を備える。典型的には治療台63およびガントリー67は、可能な限り柔軟かつ正確に患者に放射線を与えるために互いに対していくつかの次元で移動可能である。これらの部品およびそれらの機能は当業者によく知られている。
【0031】
ビームを側方および奥行き方向に成形するために提供されている多くの受動装置が典型的に存在し、それらについてはここではより詳細に考察しない。ペンシルビームの形態で放射線を与えるための手段が配置されている。この例では本システムは、例えば磁場または電場あるいは1つに組み合わせられた磁場/電場を生成することにより、ビームラインにおけるビームの粒子の経路に影響を与えるための変更手段89および磁場を修正するための手段も備える。
【0032】
変更手段89は、送達中にスポットの形状および向きならびに任意にスポットサイズの少なくとも1つを変えるように構成されている。好ましい実施形態では、変更手段は、異なるスポットを生成するために荷電粒子の経路を変えるように構成された電磁光学系を備える。電磁系の代わりまたは追加として、変更手段は、送達中にスポットの形状および/または向きを変えるように構成されたコリメータまたはブロックの形態でアパーチャ成形手段を備えていてもよい。
【0033】
コンピュータ71は、プロセッサ73、データメモリ74およびプログラムメモリ76を備える。好ましくは、キーボード、マウス、ジョイスティック、音声認識手段または任意の他の利用可能なユーザ入力手段の形態の1つ以上のユーザ入力手段78、79も存在する。またユーザ入力手段は外部メモリユニットからデータを受信するように構成されていてもよい。
【0034】
データメモリ74は、治療計画を得るために使用される臨床データおよび/または他の情報を含んでいてもよい。典型的にはデータメモリ74は、本発明の実施形態に係る治療計画で使用される1つ以上の患者画像を含む。プログラムメモリ76は、プロセッサに最適化の結果に従って送達システムを制御させるように構成された少なくとも1つのコンピュータプログラムを保持している。また、工程S23に示されている計画システムによって送達のためのスポットの組織化が行われない場合、プロセッサ73がこの工程を行ってもよく、すなわちスポットの送達のための好適な順序を決定して送達時間を最小限に抑えてもよい。
【0035】
当然のことながら、データメモリ74およびプログラムメモリ76は概略的にのみ図示および考察されている。それぞれが1つ以上の異なる種類のデータを保持するいくつかのデータメモリユニットが存在してもよく、あるいは好適に構造化された方法で全てのデータを保持する1つのデータメモリが存在してもよく、これはプログラムメモリを保持している。1つ以上のメモリが他のコンピュータにも格納されていてもよい。またこのコンピュータは最適化を行うように構成されていてもよい。
【0036】
円形および/または楕円形のスポットについてスポット形状および向きにおける変形が上に例示されているが、当然のことながらスポットは三角形、矩形、または可能な限り最良の方法で特定の標的をカバーするのを助けることができる任意の他の幾何学的形状を含む、異なる形状のために設計されたアパーチャ装置を用いて任意の好適な形状を与えることができる。

図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】