(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】血流制御デバイス、システム、及び方法、並びにそれらのエラー検出
(51)【国際特許分類】
A61M 60/139 20210101AFI20230428BHJP
A61B 5/0215 20060101ALI20230428BHJP
A61B 5/026 20060101ALI20230428BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20230428BHJP
A61M 60/295 20210101ALI20230428BHJP
A61M 60/497 20210101ALI20230428BHJP
A61M 60/523 20210101ALI20230428BHJP
A61M 60/531 20210101ALI20230428BHJP
A61M 60/841 20210101ALI20230428BHJP
A61M 60/585 20210101ALI20230428BHJP
A61B 17/12 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
A61M60/139
A61B5/0215 B
A61B5/026
A61B5/0245 100
A61M60/295
A61M60/497
A61M60/523
A61M60/531
A61M60/841
A61M60/585
A61B17/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556003
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 US2021022644
(87)【国際公開番号】W WO2021188602
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522367023
【氏名又は名称】サータス クリティカル ケア, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】504018057
【氏名又は名称】ウェイク・フォレスト・ユニバーシティ・ヘルス・サイエンシーズ
【氏名又は名称原語表記】Wake Forest University Health Sciences
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, マイケル オースティン
(72)【発明者】
【氏名】ポイズナー, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】マクウェイド, メラニー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ, ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ネフ, ルーカス
【テーマコード(参考)】
4C017
4C077
4C160
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA08
4C017AA11
4C017AB10
4C017DD14
4C017EE01
4C017FF17
4C077AA04
4C077BB10
4C077DD09
4C077HH13
4C077JJ08
4C077JJ13
4C077KK27
4C160DD03
4C160DD38
4C160DD54
4C160DD66
4C160KL06
(57)【要約】
血流制御のためのシステム及び方法が本明細書に記載されている。いくつかの変形例では、血流制御システムは、血流制御デバイスを備え得る。血流制御デバイスは、患者の身体内に配置され得、拡張可能部材と、センサーとを備え得る。センサーは、患者の生理学的コンディション及び拡張可能部材に関連付けられた圧力のうちの少なくとも1つを測定するように構成され得る。血流制御システムは、センサーに通信可能に結合された少なくとも1つコントローラであって、患者の生理学的コンディション及び拡張可能部材に関連付けられた圧力のうちの少なくとも1つを示すデータをセンサーから受信することと、受信されたデータを目標データと比較することと、比較に基づいて、少なくとも1つのエラーを識別することと、エラーを識別することに応答して、血流制御システムの少なくとも1つの機能を阻止することと、を行う少なくとも1つのコントローラを含み得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血流制御システムであって、
患者の身体内に配置するための血流制御デバイスであって、拡張可能部材と、前記患者の生理学的コンディション及び前記拡張可能部材に関連付けられた圧力のうちの少なくとも1つを測定するように構成されたセンサーと、を備える、血流制御デバイスと、
前記センサーに通信可能に結合された1つ以上のコントローラであって、
前記患者の前記生理学的コンディション及び前記拡張可能部材に関連付けられた前記圧力のうちの少なくとも1つを示すデータを前記センサーから受信することと、
前記受信されたデータを目標データと比較することと、
前記比較に基づいて、少なくとも1つのエラーを識別することと、
前記エラーを識別することに応答して、前記血流制御システムの少なくとも1つの機能を阻止することと、を行うように構成された1つ以上のコントローラと、を備える、血流制御システム。
【請求項2】
前記システムが、前記拡張可能部材の容積を制御するためのポンプを更に備える、請求項1に記載の血流制御システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの機能が、前記拡張可能部材の自動制御を含む、請求項1に記載の血流制御システム。
【請求項4】
前記1つ以上のコントローラが、前記血流制御システムを自動動作モードから手動動作モードに移行させることによって、前記拡張可能部材の自動制御を阻止するように構成されている、請求項3に記載の血流制御システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのエラーが、前記血流制御デバイスの前記配置におけるエラーを示す、請求項1に記載の血流制御システム。
【請求項6】
前記受信されたデータが、近位センサーからの近位平均動脈圧、及び遠位センサーからの遠位平均動脈圧であり、
前記1つ以上のコントローラが、前記近位平均動脈圧及び前記遠位平均動脈圧のうちの少なくとも1つを目標値と比較するように更に構成されている、請求項5に記載の血流制御システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのエラーが、前記センサーの機能を妨げる凝固を示す、請求項1に記載の血流制御システム。
【請求項8】
前記受信されたデータが、近位収縮期圧、近位拡張期圧、及び拡張可能部材圧であり、
前記1つ以上のコントローラが、近位平均拍動性を拡張可能部材圧拍動性と比較するように更に構成されている、請求項7に記載の血流制御システム。
【請求項9】
前記受信されたデータが、遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、及び拡張可能部材圧であり、
前記1つ以上のコントローラが、遠位平均拍動性を拡張可能部材拍動性と比較するように更に構成されている、請求項7に記載の血流制御システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのエラーが、別のデバイスからの電気的干渉を示す、請求項1に記載の血流制御システム。
【請求項11】
前記受信されたデータが、近位血圧及び遠位血圧であり、
前記1つ以上のコントローラが、前記近位血圧を第1の閾値と比較し、前記遠位血圧を第2の閾値と比較するように更に構成されている、請求項10に記載の血流制御システム。
【請求項12】
前記受信されたデータが、心拍であり、
前記1つ以上のコントローラが、前記心拍を目標心拍範囲と比較するように更に構成されている、請求項10に記載の血流制御システム。
【請求項13】
閾値時間を超える前記電気的干渉に応答して、前記1つ以上のコントローラが、前記血流制御システムを前記手動モードに移行させるように構成されている、請求項10に記載の血流制御システム。
【請求項14】
閾値時間を超えない前記電気的干渉に応答して、前記1つ以上のコントローラが、前記血流制御システムを前記自動モードに移行させるように構成されている、請求項10に記載の血流制御システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのエラーが、第1のセンサーと第2のセンサーとの間の圧力勾配におけるエラーを示す、請求項4に記載の血流制御システム。
【請求項16】
前記センサーが、近位センサー及び遠位センサーを含み、前記受信されたデータが、前記近位センサーからの近位平均動脈圧、及び前記遠位センサーからの遠位平均動脈圧であり、
前記1つ以上のコントローラが、遠位拍動性を目標遠位拍動性と比較するように更に構成されている、請求項15に記載の血流制御システム。
【請求項17】
前記センサーが、近位センサー及び遠位センサーを含み、
前記エラーが、前記近位センサー及び前記遠位センサーのうちの少なくとも1つでの機能性におけるエラーを示す、請求項1に記載の血流制御システム。
【請求項18】
前記受信されたデータが、近位センサーからの近位平均動脈圧、及び遠位センサーからの遠位平均動脈圧であり、
前記1つ以上のコントローラが、前記近位平均動脈圧を前記遠位平均動脈圧と比較するように更に構成されている、請求項17に記載の血流制御システム。
【請求項19】
前記1つ以上のコントローラが、前記血流制御システムをシャットダウンすることによって前記少なくとも1つの機能を阻止するように構成されている、請求項1に記載の血流制御システム。
【請求項20】
前記エラーが、前記センサーへの損傷を示す、請求項1に記載の血流制御システム。
【請求項21】
前記受信されたデータが、近位圧、遠位圧、及び拡張可能部材圧であり、
前記1つ以上のコントローラが、前記近位圧、前記遠位圧、及び前記拡張可能部材圧のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの目標値と比較するように更に構成されている、請求項20に記載の血流制御システム。
【請求項22】
前記エラーが、前記拡張可能部材への損傷を示す、請求項1に記載の血流制御システム。
【請求項23】
前記受信されたデータが、拡張可能部材圧であり、前記1つ以上のコントローラが、前記拡張可能部材圧を目標値と比較するように更に構成されている、請求項22に記載の血流制御システム。
【請求項24】
前記エラーが、前記拡張可能部材が最大容積に到達したことを示す、請求項1に記載の血流制御システム。
【請求項25】
前記受信されたデータが、拡張可能部材圧であり、
前記1つ以上のコントローラが、前記拡張可能部材圧を最大閾値と比較するように更に構成されている、請求項24に記載の血流制御システム。
【請求項26】
前記システムが、前記1つ以上のコントローラに通信可能に結合されたユーザーインターフェースを更に備える、請求項1に記載の血流制御システム。
【請求項27】
前記1つ以上のコントローラが、前記ユーザーインターフェースを介してユーザーに警報を伝送するように更に構成されている、請求項26に記載の血流制御システム。
【請求項28】
前記目標データが、ユーザー入力の目標値を含み、前記警報が、前記目標値におけるエラーを示す、請求項27に記載の血流制御システム。
【請求項29】
前記受信されたデータが、近位収縮期血圧であり、
前記1つ以上のコントローラが、前記近位収縮期血圧を前記目標値と比較するように構成されている、請求項28に記載の血流制御システム。
【請求項30】
前記受信されたデータが、前記拡張可能部材の自動膨張の数であり、
前記1つ以上のコントローラが、前記目標値に到達するための自動膨張の前記数を閾値カウントと比較するように構成されており、前記目標値が、目標血圧測定値を示す、請求項28に記載の血流制御システム。
【請求項31】
前記受信されたデータが、前記拡張可能部材の自動収縮の数であり、
前記1つ以上のコントローラが、前記目標値に到達するための自動収縮の前記数を閾値カウントと比較するように構成されており、前記目標値が、目標血圧測定値を示す、請求項28に記載の血流制御システム。
【請求項32】
前記警報が、安全でない閉塞時間を示す、請求項27に記載の血流制御システム。
【請求項33】
前記安全でない閉塞時間が、閉塞時の合計時間である、請求項32に記載の血流制御システム。
【請求項34】
前記安全でない閉塞時間が、閉塞時の最新の中断されていない時間の持続時間である、請求項32に記載の血流制御システム。
【請求項35】
前記受信されたデータが、遠位収縮期圧及び閉塞時間であり、
前記1つ以上のコントローラが、前記閉塞時間を第1の閾値と比較し、前記遠位収縮期圧を第2の閾値と比較するように構成されている、請求項32に記載の血流制御システム。
【請求項36】
血流制御システムであって、
患者の身体内に配置するための血流制御デバイスであって、拡張可能部材と、前記患者の生理学的コンディション及び前記拡張可能部材に関連付けられた圧力のうちの少なくとも1つを測定するように構成されたセンサーと、を備える、血流制御デバイスと、
前記センサーに通信可能に結合された1つ以上のコントローラであって、
前記患者の前記生理学的コンディション及び前記拡張可能部材に関連付けられた前記圧力のうちの少なくとも1つを示すデータを前記センサーから受信することと、
前記受信されたデータを目標データと比較することと、
前記比較に基づいて、少なくとも1つのエラーを識別することと、
前記エラーを識別することに応答して、前記血流制御システムの少なくとも1つの機能を阻止することと、を行うように構成された1つ以上のコントローラと、を備える、血流制御システム。
【請求項37】
前記警報が、安全でない閉塞時間を示す、請求項36に記載の血流制御システム。
【請求項38】
前記目標データが、ユーザー入力の目標値を含み、前記警報が、前記目標値におけるエラーを示す、請求項36に記載の血流制御システム。
【請求項39】
患者内の血流を制御するための方法であって、前記方法が、
血流制御デバイスの遠位部分を患者の血管を通して前進させることであって、前記遠位部分が、拡張可能部材と、センサーとを備える、前進させることと、
前記センサーから、前記血管内の前記患者の生理学的コンディション及び前記拡張可能部材の圧力のうちの少なくとも1つを示すデータを受信することと、
前記受信されたデータを目標データと比較することと、
前記比較に基づいて、少なくとも1つのエラーを識別することと、
前記エラーを識別することに応答して、前記血流制御デバイスの少なくとも1つの機能を阻止することと、を含む、方法。
【請求項40】
前記血流制御デバイスの前記遠位部分を前進させることが、前記拡張可能部材を前記患者の動脈まで前進させることを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの機能を阻止することが、前記拡張可能部材の自動制御を阻止することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記拡張可能部材の前記自動制御を阻止することが、前記血流制御デバイスを自動動作モードから手動動作モードに自動的に移行させることを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記受信されたデータを目標データと比較することが、近位平均動脈圧及び遠位平均動脈圧のうちの少なくとも1つを目標値と比較することを含み、
前記エラーが、前記血流制御デバイスの前記遠位部分を前記血管を通して前進させることにおけるエラーを示す、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記受信されたデータを目標データと比較することが、近位平均拍動性を拡張可能部材圧拍動性と比較することを含み、
前記エラーが、前記血管内の凝固を示す、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記受信されたデータを目標データと比較することが、遠位平均拍動性を拡張可能部材圧拍動性と比較することを含み、
前記エラーが、前記血管内の凝固を示す、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記受信されたデータを目標データと比較することが、近位血圧を第1の閾値と比較すること、及び遠位血圧を第2の閾値と比較することを含み、
前記エラーが、別のデバイスからの電気的干渉を示す、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
閾値時間を超える前記電気的干渉に応答して、前記血流制御デバイスを前記手動モードに移行させることと、
前記閾値時間を超えない前記電気的干渉に応答して、前記血流制御デバイスを前記自動モードに移行させること、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記拡張可能部材の前記自動制御を阻止することが、前記血流制御システムをシャットダウンすることを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
前記受信されたデータを目標データと比較することが、近位圧、遠位圧、及び拡張可能部材圧のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの目標値と比較することを含み、前記エラーが、前記センサーへの損傷を示す、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記受信されたデータを目標データと比較することが、拡張可能部材圧を目標値と比較することを含み、前記エラーが、前記拡張可能部材への損傷を示す、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記受信されたデータを目標データと比較することが、拡張可能部材圧を最大閾値と比較することを含み、前記エラーが、前記拡張可能部材が最大容積に到達したことを示す、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記方法が、前記エラーを示す警報をユーザーインターフェースに伝送することを更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項53】
前記受信されたデータを目標データと比較することが、近位収縮期血圧を目標値と比較することを含み、前記警報を伝送することが、前記目標値を変更する命令を伝送することを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記受信されたデータを目標データと比較することが、閉塞時間を第1の閾値と比較すること、及び遠位収縮期圧を第2の閾値と比較することを含み、前記警報を伝送することが、安全でない閉塞時間を示すことを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
血流制御システムであって、
患者の身体の部分内に配置されるように構成された血流制御デバイスであって、拡張可能部材と、少なくとも1つのセンサーとを備える、血流制御デバイスと、
前記拡張可能部材に動作可能に結合されたポンプと、
前記血流制御デバイス及び前記ポンプに通信可能に結合された1つ以上のコントローラであって、
前記少なくとも1つのセンサーからのデータに基づいて、自動モードで前記ポンプを使用して前記拡張可能部材の膨張を自動的に制御することと、
前記血流制御システムにおけるエラーを識別することと、
前記エラーが識別されると、前記1つ以上のコントローラで前記拡張可能部材の自動制御を阻止するように、前記血流制御システムを前記自動モードから手動モードに自動的に移行させることと、を行うように構成された1つ以上のコントローラと、を備える、血流制御システム。
【請求項56】
血流制御を補助するための方法であって、前記方法が、
血流制御システムの拡張可能部材を身体の血管内に配置することであって、前記血流制御システムが、前記拡張可能部材の近位に位置付けられた第1の血圧センサーと、前記拡張可能部材の遠位に位置付けられた第2の血圧センサーとを備える、配置することと、
前記拡張可能部材を前記血管内に配置した後、前記第1のセンサー及び前記第2のセンサーからそれぞれ第1の血圧測定値及び第2の血圧測定値を受信することと、
前記第1の血圧測定値を目標血圧の第1の範囲と比較し、前記第2の血圧測定値を目標血圧の第2の範囲と比較することであって、前記第1の範囲及び前記第2の範囲が、前記血管内の予想される血圧値に対応する、比較することと、
前記血圧測定値のうちの少なくとも1つが前記対応する範囲から外れると判定することに応答して、前記血流制御システムを自動動作モードから手動動作モードに自動的に移行させることと、を含む、方法。
【請求項57】
血流制御を補助するためのシステムであって、
容積を有する拡張可能部材と、前記拡張可能部材の近位に位置付けられた第1のセンサーと、前記拡張可能部材の遠位に位置付けられた第2のセンサーとを備える血流制御デバイスであって、前記第1のセンサーが、患者の第1の血圧を測定するように構成されており、前記第2のセンサーが、前記患者の第2の血圧を測定するように構成されている、血流制御デバイスと、
前記拡張可能部材に動作可能に結合され、前記拡張可能部材の前記容積を変更させるように構成されたポンプと、
前記第1のセンサー、前記第2のセンサー、及び前記ポンプに通信可能に結合された1つ以上のコントローラであって、
前記拡張可能部材の容積を変更することと、
前記拡張可能部材の前記容積に対する前記変更に応答して、前記第1のセンサー及び前記第2のセンサーからそれぞれ第1の血圧測定値及び第2の血圧測定値を受信することと、
前記第1の血圧測定値を目標血圧の第1の範囲と比較し、前記第2の血圧測定値を目標血圧の第2の範囲と比較することであって、前記第1の目標範囲及び前記第2の目標範囲が、前記拡張可能部材の前記容積に対する前記変更に基づく予想される血圧値に対応する、比較することと、
前記血圧測定値のうちの少なくとも1つが前記対応する範囲から外れると判定することに応答して、前記血流制御システムを自動動作モードから手動動作モードに自動的に移行させることと、を行うように構成された1つ以上のコントローラと、を備える、システム。
【請求項58】
血流制御を補助するためのシステムであって、前記システムが、
容積を有する拡張可能部材と、前記拡張可能部材の近位に位置付けられた第1の血圧センサーと、前記拡張可能部材の遠位に位置付けられた第2の血圧センサーとを備える血流制御デバイスと、
前記第1のセンサー及び前記第2のセンサーに通信可能に結合された1つ以上のコントローラであって、
患者の身体の部分内への前記拡張可能部材の配置に応答して、前記第1の血圧センサー及び前記第2の血圧センサーから、それぞれ第1の血圧測定値及び第2の血圧測定値を受信することと、
前記第1の血圧測定値を目標血圧の第1の範囲と比較し、前記第2の血圧測定値を目標血圧の第2の範囲と比較することであって、前記第1の範囲及び前記第2の範囲が、前記患者の身体の前記部分内の予想される血圧値に対応する、比較することと、
前記血圧測定値のうちの少なくとも1つが前記対応する範囲から外れると判定することに応答して、前記血流制御システムを自動動作モードから手動動作モードに自動的に移行させることと、を行うように構成された1つ以上のコントローラと、を備える、システム。
【請求項59】
血流制御を補助するための方法であって、前記方法が、
血流制御システムの拡張可能部材を身体の血管内に配置することであって、前記血流制御システムが、拡張可能部材を備える血流制御デバイスと、前記拡張可能部材の近位に位置付けられた第1の血圧センサーと、前記拡張可能部材の遠位に位置付けられた第2の血圧センサーとを備える、配置することと、
前記血管を完全に閉塞するために前記拡張可能部材を手動で膨張させることと、
前記拡張可能部材を前記血管内で収縮させることと、
収縮中に、前記第1のセンサー及び前記第2のセンサーからそれぞれ第1の血圧測定値及び第2の血圧測定値を受信することと、
前記第2の血圧測定値が収縮中に低下すると判定することに応答して、前記血流制御システムを自動動作モードから手動動作モードに自動的に移行させることと、を含む、方法。
【請求項60】
前記第1の圧力測定値が収縮中に急速に低下すると判定することに応答して、前記血流制御システムを自動動作モードから手動動作モードに自動的に移行させること、を更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記拡張可能部材を手動で膨張させた後、前記拡張可能部材を収縮させる前に、前記拡張可能部材の最大許容容積を判定すること、を更に含む、請求項59に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月16日に出願された米国特許出願第62/990,302号の優先権を主張するものであり、当該米国特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の支援
この発明は、合衆国空軍/空軍材料コマンドによって授与された助成金FA8650-20-2-6116の下で政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、概して、医療デバイスにおけるエラーコンディションの検出及び応答の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
典型的には、医療デバイスは、使用前にいくつかの試験を受け得る。これらの試験は、通常、医療デバイスが使用中に確実かつ安全に機能することができることを実証するためのものである。しかしながら、このような試験にもかかわらず、いくつかの医療デバイスは、依然としてエラーが発生しやすいことがある。例えば、試験は、医療デバイスの製造後ではあるが、医療デバイスを使用場所に発送する前に行われ得る。このようなシナリオでは、これらの医療デバイスは、発送中又は使用時のセットアップ中に損傷を受けやすいことがある。同様に、使用時に、医療デバイスの継続使用は、医療デバイスの構成要素が、故障する結果となり得る、摩損につながり得る。
【0005】
医療デバイスの1つ以上の構成要素に対する、例えば、過剰な力又は振動、所定の範囲から外れる温度への曝露、過剰なUV曝露、湿気の侵入、及び/又は過剰な静電気放電などの損傷及び/又は劣化(本明細書では、まとめて「損傷」と呼ぶ)は、医療デバイスの使用中にエラーを引き起こす可能性がある。そのようなエラーは、患者の健康に大きな影響を与える可能性があり、生命を脅かすことさえあり得る。より具体的には、バルーンカテーテルは、患者のショック症を治療するための治療デバイスである。バルーンカテーテルは、生命維持に必要な器官への血流を制御するために、患者の身体の一部(例えば、血管)内に配置される。バルーンカテーテルの損傷による治療中のエラーは、患者の生命を脅かす可能性がある。
【0006】
従来、バルーンカテーテルなどの血流制御システムは、手技中に手動で制御される。オペレータは、手技を実行するために、例えば、シリンジを使用して、バルーンカテーテル上のバルーンを手動で膨張及び/又は収縮させ得る。手技中、オペレータは、膨張及び/又は収縮の量を判定するために、視覚的に、及び/又は他の医療デバイスの補助で、患者の生理学的コンディションを監視し得る。膨張及び/又は収縮の量は、次には、患者内の血流を制御し得る。しかしながら、手動制御(例えば、手動の膨張及び/又は収縮)のみに依存すると、手技が人為的エラーの影響を受けやすくなることがある。
【0007】
一方、患者の大動脈に配置されたときに血流の制御を補助する自動バルーンカテーテルが最近開発されたが(例えば、JohnsonらのWO第2018/132623号を参照)、そのようなカテーテルを使用しながら、エラー及びアラームを効果的に識別して対応するための追加のデバイス、システム、及び方法が望ましい。例えば、システムの1つ以上の構成要素に対する損傷、例えば、通過などに起因する損傷を検出することが可能であり、及び/又は他の状況、例えば、別のデバイスからの干渉、血管内の凝固などによるエラーを検出することが可能であり、又は流れの増大が過剰な出血をもたらすという予測は、誤った又は不正確な測定に基づく自動膨張及び/又は収縮を避けるために望ましい追加のデバイス、システム、及び方法である。明らかに理解できるように、損傷又は生理学的変更によるエラーに対応することなく、患者の血流を自動的に制御することは、患者の生命を脅かすことがある。
【0008】
したがって、医療デバイス(例えば、自動バルーンカテーテル、半自動バルーンカテーテルなど)におけるエラー及び生理学的アラームを識別して、対応するための高度な機器、システム、及び方法に対する満たされていない必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
血流制御デバイス、システム、及び方法が本明細書に記載される。いくつかの変形例では、血流制御システムは、患者の身体内に配置するための血流制御デバイスを備え得る。血流制御デバイスは、拡張可能部材と、患者の生理学的コンディション及び拡張可能部材に関連付けられた圧力のうちの少なくとも1つを測定するように構成されたセンサーと、を備え得る。血流制御システムはまた、センサーに通信可能に結合された1つ以上のコントローラであって、患者の生理学的コンディション及び拡張可能部材に関連付けられた圧力の少なくとも1つを示すデータをセンサーから受信することと、受信されたデータを目標データと比較することと、比較に基づいて、少なくとも1つのエラーを識別することと、エラーの識別に応答して血流制御システムの少なくとも1つの機能を阻止することと、を行うように構成された1つ以上のコントローラを含み得る。
【0010】
いくつかの変形例では、本システムは、拡張可能部材の容積を制御するためのポンプを更に備え得る。いくつかの変形例では、少なくとも1つの機能は、拡張可能部材の自動制御を含み得る。いくつかの変形例では、1つ以上のコントローラは、血流制御システムを自動動作モードから手動動作モードに移行させることによって、拡張可能部材の自動制御を阻止するように構成され得る。
【0011】
いくつかの変形例では、少なくとも1つのエラーは、血流制御デバイスの配置におけるエラーを示し得る。受信されたデータは、近位センサーからの近位平均動脈圧、及び遠位センサーからの遠位平均動脈圧であり得る。1つ以上のコントローラは、近位平均動脈圧及び遠位平均動脈圧のうちの少なくとも1つを目標値と比較するように更に構成され得る。
【0012】
いくつかの変形例では、少なくとも1つのエラーは、センサーの機能を妨げ得る凝固を示し得る。受信されたデータは、近位収縮期圧、近位拡張期圧、及び拡張可能部材圧であり得る。1つ以上のコントローラは、近位平均拍動性を拡張可能部材圧拍動性と比較するように構成され得る。いくつかの変形例では、1つ以上のコントローラは、遠位平均拍動性を拡張可能部材拍動性と比較するように構成され得る。
【0013】
いくつかの変形例では、少なくとも1つのエラーは、別のデバイスからの電気的干渉を示し得る。受信されたデータは、近位血圧及び遠位血圧であり得る。1つ以上のコントローラは、近位血圧を第1の閾値と比較し、遠位血圧を第2の閾値と比較するように構成され得る。いくつかの変形例では、受信されたデータは、心拍であり得る。1つ以上のコントローラは、心拍を目標心拍範囲と比較するように構成され得る。いくつかの変形例では、1つ以上のコントローラは、閾値時間を超える電気的干渉に応答して、血流制御システムを手動モードに移行させるように構成され得る。いくつかの変形例では、1つ以上のコントローラは、閾値時間を超えない電気的干渉に応答して、血流制御システムを自動モードに移行させるように構成され得る。
【0014】
いくつかの変形例では、少なくとも1つのエラーは、第1のセンサーと第2のセンサーとの間の圧力勾配におけるエラーを示し得る。センサーは、近位センサー及び遠位センサーを含み得る。受信されたデータは、近位センサーからの近位平均動脈圧、及び遠位センサーからの遠位平均動脈圧であり得る。1つ以上のコントローラは、遠位拍動性を目標遠位拍動性と比較するように構成され得る。
【0015】
いくつかの変形例では、センサーは、近位センサー及び遠位センサーを含み得る。エラーは、近位センサー及び遠位センサーのうちの少なくとも1つでの機能性におけるエラーを示し得る。いくつかの変形例では、受信されたデータは、近位センサーからの近位平均動脈圧、及び遠位センサーからの遠位平均動脈圧であり得る。1つ以上のコントローラは、近位平均動脈圧を遠位平均動脈圧と比較するように構成され得る。
【0016】
いくつかの変形例では、1つ以上のコントローラは、血流制御システムをシャットダウンすることによって少なくとも1つの機能を阻止し得る。いくつかの変形例では、エラーは、センサーへの損傷を示し得る。受信されたデータは、近位圧、遠位圧、及び拡張可能部材圧であり得る。1つ以上のコントローラは、近位圧、遠位圧、及び拡張可能部材圧のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの目標値と比較するように構成され得る。
【0017】
いくつかの変形例では、エラーは、拡張可能部材への損傷を示し得る。受信されたデータは、拡張可能部材圧であり得る。1つ以上のコントローラは、拡張可能部材圧を目標値と比較するように構成され得る。
【0018】
いくつかの変形例では、エラーは、拡張可能部材が最大値に到達し得ることを示し得る。受信されたデータは、拡張可能部材圧であり得る。1つ以上のコントローラは、拡張可能部材圧を最大閾値と比較するように構成され得る。
【0019】
いくつかの変形例では、本システムは、1つ以上のコントローラに通信可能に結合されたユーザーインターフェースを更に備え得る。1つ以上のコントローラは、ユーザーインターフェースを介してユーザーに警報を伝送するように更に構成され得る。いくつかの変形例では、目標データは、ユーザー入力の目標値を含み得る。警報は、目標値におけるエラーを示し得る。受信されたデータは、近位収縮期血圧であり得る。1つ以上のコントローラは、近位収縮期血圧を目標値と比較するように構成され得る。
【0020】
いくつかの変形例では、受信されたデータは、拡張可能部材の自動膨張の数であり得る。1つ以上のコントローラは、目標値に到達するための自動膨張の数を閾値カウントと比較するように構成され得る。目標値は、目標血圧測定値を示し得る。いくつかの変形例では、受信されたデータは、拡張可能部材の自動収縮の数であり得る。1つ以上のコントローラは、目標値に到達するための自動収縮の数を閾値カウントと比較するように構成され得る。目標値は、目標血圧測定値を示し得る。
【0021】
いくつかの変形例では、警報は、安全でない閉塞時間を示し得る。安全でない閉塞時間は、閉塞時の合計時間であり得る。いくつかの変形例では、安全でない閉塞時間は、閉塞での最新の中断されていない時間の持続時間であり得る。いくつかの変形例では、受信されたデータは、遠位収縮期圧及び閉塞時間であり得る。1つ以上のコントローラは、閉塞時間を第1の閾値と比較し、遠位収縮期圧を第2の閾値と比較するように構成され得る。
【0022】
いくつかの変形例では、血流制御システムは、患者の身体内に配置するための血流制御デバイスを備え得る。血流制御デバイスは、拡張可能部材と、患者の生理学的コンディション及び拡張可能部材に関連付けられた圧力のうちの少なくとも1つを測定するように構成されたセンサーと、を備え得る。血流制御システムはまた、センサーに通信可能に結合された1つ以上のコントローラであって、患者の生理学的コンディション及び拡張可能部材に関連付けられた圧力の少なくとも1つを示すデータをセンサーから受信することと、受信されたデータを目標データと比較することと、比較に基づいて、少なくとも1つのエラーを識別することと、エラーの識別に応答して血流制御システムの少なくとも1つの機能を阻止することと、を行うように構成された1つ以上のコントローラを含み得る。いくつかの変形例では、警報は、安全でない閉塞時間を示し得る。目標データは、ユーザー入力の目標値を含み得る。警報は、目標値におけるエラーを示し得る。
【0023】
いくつかの変形例では、患者内の血流を制御するための方法は、血流制御デバイスの遠位部分を患者の血管を通して前進させることを含み得る。遠位部分は、拡張可能部材と、センサーと、を備え得る。本方法はまた、血管内の患者の生理学的コンディション及び拡張可能部材の圧力のうちの少なくとも1つを示すデータをセンサーから受信することを含み得る。本方法はまた、受信されたデータを目標データと比較することと、比較に基づいて少なくとも1つのエラーを識別することと、エラーの識別に応答して血流制御デバイスの少なくとも1つの機能を阻止することと、を含み得る。
【0024】
いくつかの変形例では、血流制御デバイスの遠位部分を前進させることは、拡張可能部材を患者の動脈まで前進させることを含み得る。いくつかの変形例では、少なくとも1つの機能を阻止することは、拡張可能部材の自動制御を阻止することを含み得る。いくつかの変形例では、拡張可能部材の自動制御を阻止することは、血流制御デバイスを自動動作モードから手動動作モードに自動的に移行させることを含み得る。
【0025】
いくつかの変形例では、受信されたデータを目標データと比較することは、近位平均動脈圧及び遠位平均動脈圧のうちの少なくとも1つを目標値と比較することを含み得る。エラーは、血流制御デバイスの遠位部分を血管を通して前進させることにおけるエラーを示し得る。
【0026】
いくつかの変形例では、受信されたデータを目標データと比較することは、近位平均拍動性を拡張可能部材圧拍動性と比較することを含み得る。エラーは、血管内の凝固を示し得る。いくつかの変形例では、受信されたデータを目標データと比較することは、遠位平均拍動性を拡張可能部材圧拍動性と比較することを含み得る。エラーは、血管内の凝固を示し得る。
【0027】
いくつかの変形例では、受信されたデータを目標データと比較することは、近位血圧を第1の閾値と比較すること、及び遠位血圧を第2の閾値と比較することを含み得る。エラーは、別のデバイスからの電気的干渉を示し得る。いくつかの変形例では、本方法は、閾値時間を超える電気的干渉に応答して、血流制御デバイスを手動モードに移行させることを含み得る。いくつかの変形例では、本方法は、閾値時間を超えない電気的干渉に応答して、血流制御デバイスを自動モードに移行させることを含み得る。
【0028】
いくつかの変形例では、拡張可能部材の自動制御を阻止することは、血流制御システムをシャットダウンし得る。いくつかの変形例では、受信されたデータを目標データと比較することは、近位圧、遠位圧、及び拡張可能部材圧のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの目標値と比較することを含み得る。エラーは、センサーへの損傷を示し得る。
【0029】
いくつかの変形例では、受信されたデータを目標データと比較することは、拡張可能部材圧を目標値と比較することを含み得る。エラーは、拡張可能部材への損傷を示し得る。いくつかの変形例では、受信されたデータを目標データと比較することは、拡張可能部材圧を最大閾値と比較することを含み得る。エラーは、拡張可能部材が最大容積に到達したことを示し得る。
【0030】
いくつかの変形例では、本方法は、エラーを示す警報をユーザーインターフェースに伝送することを更に含み得る。いくつかの変形例では、受信されたデータを目標データと比較することは、近位収縮期血圧を目標値と比較することを含み得る。警報を伝送することは、目標値を変更する命令を伝送することを含み得る。
【0031】
いくつかの変形例では、受信されたデータを目標データと比較することは、閉塞時間を第1の閾値と比較すること、及び遠位収縮期圧を第2の閾値と比較することを含み得る。警報を伝送することは、安全でない閉塞時間を示すことを含み得る。
【0032】
いくつかの変形例では、血流制御システムは、患者の身体の部分内に配置されるように構成された血流制御デバイスを備え得る。血流制御デバイスは、拡張可能部材と、少なくとも1つのセンサーと、を備え得る。ポンプは、拡張可能部材に動作可能に結合され得る。1つ以上のコントローラは、血流制御デバイス及びポンプに通信可能に結合され得る。1つ以上のコントローラは、少なくとも1つのセンサーからのデータに基づいて、自動モードでポンプを使用して拡張可能部材の膨張を自動的に制御することと、血流制御システムにおけるエラーを識別することと、エラーが識別されると、1つ以上のコントローラで拡張可能部材の自動制御を阻止するように、血流制御システムを自動モードから手動モードに自動的に移行させることと、を行うように構成され得る。
【0033】
いくつかの変形例では、血流制御を補助するための方法は、血流制御システムの拡張可能部材を身体の血管内に配置することを含み得る。血流制御システムは、拡張可能部材の近位に位置付けられた第1の血圧センサーと、拡張可能部材の遠位に位置付けられた第2の血圧センサーと、を備え得る。本方法はまた、拡張可能部材を血管内に配置した後、第1のセンサー及び第2のセンサーからそれぞれ第1の血圧測定値及び第2の血圧測定値を受信することを含み得る。本方法はまた、第1の血圧測定値を目標血圧の第1の範囲と比較し、第2の血圧測定値を目標血圧の第2の範囲と比較することを含み得る。第1の範囲及び第2の範囲は、血管内の予想される血圧値に対応し得る。本方法はまた、血圧測定値のうちの少なくとも1つが対応する範囲から外れると判定することに応答して、血流制御システムを自動動作モードから手動動作モードに自動的に移行させることを含み得る。
【0034】
いくつかの変形例では、血流制御を補助するためのシステムは、容積を有する拡張可能部材を備える血流制御デバイスを備え得る。第1のセンサーは、拡張可能部材の近位に位置付けられ得る。第2のセンサーは、拡張可能部材の遠位に位置付けられ得る。第1のセンサーは、患者の第1の血圧を測定するように構成されており、第2のセンサーは、患者の第2の血圧を測定するように構成されている。いくつかの変形例では、ポンプは、拡張可能部材に動作可能に結合され、拡張可能部材の容積を変更させるように構成され得る。1つ以上のコントローラは、第1のセンサー、第2のセンサー、及びポンプに通信可能に結合され得る。1つ以上のコントローラは、拡張可能部材の容積を変更することと、拡張可能部材の容積に対する変更に応答して、第1のセンサー及び第2のセンサーからそれぞれ第1の血圧測定値及び第2の血圧測定値を受信することと、第1の血圧測定値を目標血圧の第1の範囲と比較し、第2の血圧測定値を目標血圧の第2の範囲と比較することと、を行うように構成され得る。第1の目標範囲及び第2の目標範囲は、拡張可能部材の容積に対する変更に基づく予想される血圧値に対応し得る。1つ以上のコントローラは、血圧測定値のうちの少なくとも1つが対応する範囲から外れると判定することに応答して、血流制御システムを自動動作モードから手動動作モードに自動的に移行させるように構成され得る。
【0035】
いくつかの変形例では、血流制御を補助するためのシステムは、容積を有する拡張可能部材を備える血流制御デバイスを備え得る。第1の血圧センサーは、拡張可能部材の近位に位置付けられ得、第2の血圧センサーは、拡張可能部材の遠位に配置付けられ得る。1つ以上のコントローラは、第1のセンサー及び第2のセンサーに通信可能に結合され得る。1つ以上のコントローラは、患者の身体の部分内への拡張可能部材の配置に応答して、第1の血圧センサー及び第2の血圧センサーから、それぞれ第1の血圧測定値及び第2の血圧測定値を受信するように構成され得る。1つ以上のコントローラは、第1の血圧測定値を目標血圧の第1の範囲と比較し、第2の血圧測定値を目標血圧の第2の範囲と比較するように構成され得る。第1の範囲及び第2の範囲は、患者の身体の部分内の予想される血圧値に対応し得る。1つ以上のコントローラは、血圧測定値のうちの少なくとも1つが対応する範囲から外れると判定することに応答して、血流制御システムを自動動作モードから手動動作モードに自動的に移行させるように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図2】血流制御システムの例示的な変形例の概略図である。
【
図3】ユーザーが初めて血流制御システムの電源を入れたときの様々な電源投入チェック試験についてのフロー図の例示的な変形例である。
【
図4】実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図5A】実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図5B】実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図5C】実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図5D】実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図5E】実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図5F】実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図5G】実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図5H】実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図5I】実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図6A】生理学的試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図6B】生理学的試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図6C】生理学的試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図6D】生理学的試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図6E】生理学的試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図6F】生理学的試験の例示的な変形例のフロー図である。
【
図7】患者内の血流を制御するための方法の例示的な変形例を示すフロー図である。
【
図8】データを受信し、及び/又はユーザーに情報を伝送するために血流制御システムによって使用されるユーザーインターフェースの例示的な変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の種々の態様及び変形例の非限定的な例が本明細書に記載され、添付の図面に示される。
【0038】
バルーンカテーテルは、患者におけるショック症を治療するための治療デバイスである。バルーンカテーテルは、ショック症における患者の血管(例えば、大動脈)内に戦略的に配置され得る。バルーンカテーテルに含まれる拡張可能部材は、血管を部分的又は完全に閉塞するために膨張及び/又は収縮され得る。閉塞の量は、患者の身体内の生命維持に必要な器官への血流を調節し得る。これは、次には、生命維持に必要な器官への適切な酸素送達を維持するのに役立ち得る。
【0039】
従来、拡張可能部材の膨張及び/又は収縮は、手動で実行され得る。例えば、流体(例えば、生理食塩水など)及び/又は圧縮ガス(例えば、二酸化炭素など)は、血管の閉塞の量に対応する特定の容積を拡張可能部材が達成するように、拡張可能部材に導入され得る。オペレータは、拡張可能部材を膨張又は収縮させるために、流体及び/又は圧縮ガスを拡張可能部材から注入又は除去するためにシリンジを使用し得る。注入又は除去される流体の量は、患者の生理学的コンディションを継続的に監視することによって判定され得る。例えば、1つ以上のセンサーは、閉塞の上流、閉塞の下流、及び/又は閉塞の部位で血圧を判定し得る。オペレータは、センサーデータを監視し得、それに応じて拡張可能部材に注入又は除去される流体及び/又は圧縮ガスの量を調整し得る。拡張可能部材内の流体及び/又は圧縮ガスの量を調整することによって、オペレータは、拡張可能部材の容積を調整し、それによって血管内の閉塞の量を調整する。しかしながら、拡張可能部材のそのような継続的な手動制御は、人為的エラーが発生しやすいことがある。
【0040】
これに対抗するために、より最近では、拡張可能部材の膨張及び/又は収縮を自動化するための自動バルーンカテーテルが導入される。自動バルーンカテーテルでは、1つ以上のコントローラは、センサーからのセンサーデータを監視することによって、患者の生理学的コンディションを継続的に監視し得る。シリンジは、センサーデータに基づいて、拡張可能部材から流体及び/又は圧縮ガスを自動的に注入又は除去し得る作動機構に結合され得る。例えば、作動機構は、センサーからのデータに基づいて、流体及び/又は圧縮ガスの量を調整するためにコントローラに結合され得る。これは、次には、拡張可能部材の容積を制御し得る。
【0041】
しかしながら、自動バルーンカテーテルの1つ以上の構成要素の損傷は、センサーデータのエラーにつながり得る。別の言い方をすれば、患者の実際の生理学的コンディション(例えば、血圧、心拍数、呼吸数、頭蓋内圧、脳酸素化、脳血流、又は脳波)は、構成要素に対する損傷のために、センサーからのデータに対応しない場合がある。追加的に、オペレータが手技中にエラーを犯した場合(例えば、自動バルーンカテーテルを意図したものとは異なる血管、異なる位置に配置するなど)、センサーからのデータは、予想される生理学的コンディションとは異なる生理学的コンディションに対応し得る。エラー検出がなければ、自動バルーンカテーテル内のコントローラは、不正確なセンサーデータ及び/又はオペレータのエラーによる誤った生理学的値に基づいて、拡張可能部材の容積を調整し続け得る。これは、コントローラが望ましくない量の圧縮性流体を注入又は除去し、それによって拡張可能部材を望ましくない量だけ膨張又は収縮させ得る。
【0042】
エラーは、デバイスの物理的な問題が原因であり得る一方、バルーンカテーテルを使用して患者内の血流及び血圧を制御するときに、第2の状態検出アラームのセットは、重要になり得る。これらの生理学的アラームは、特定の生理学的状態が予測されたとき、又は到達したときに、ユーザーに通知し得る。これらの生理学的状態を識別することは、血圧などの現在の生理機能の分析によって達成され得るが、バルーンカテーテルの変更に応答して生理機能における変更を識別することによって予測することもできる。バルーンの変更が自動化され、正確に記録されるときに、バルーンの変更に応答して生理学的変更の識別を通じて生理学的状態を識別することが可能である。
【0043】
したがって、自動バルーンカテーテル(例えば、大動脈閉塞デバイス)の使用中に患者の生理学的状態をユーザー(例えば、外科医、オペレータなど)に通知することが有利であり得る。例えば、生理学的状態は、患者の状態を識別するために評価及び監視され得る。いくつかの変形例では、予想される生理学的変更は、拡張可能部材の容積の変更について、予測され得る。患者の実際の生理学的状態は、予想される生理学的状態と比較され得る。不一致がある場合、警報は、患者の治療を変更及び/又は停止するために、ユーザーに伝送され得る。
【0044】
拡張可能部材の制御を自動的に調整することによってエラー及び生理学的状態を検出し、エラー及び生理学的状態に応答する、血流を制御するための方法及び自動血流制御システムが本明細書に記載される。いくつかの変形例では、血流制御システムは、例えば、拡張可能部材を備える細長い本体などの血流制御デバイスを含み得る。本明細書に記載されたデバイス、システム、及び方法は、血流制御システムの1つ以上の構成要素の物理的損傷、過剰な電気ノイズによる干渉、1つ以上のセンサーの物理的干渉(例えば、センサーを塞ぐ凝固)、オペレータのエラーなどを含むが、これらに限定されない任意の数の異なる状況によるエラーを特定し得る。生理学的状態の予測は、予測された進行中の出血、予測された血行動態の崩壊、予測された大動脈サイズの変更などを含むことができるが、これらに限定されない。例えば、本明細書に記載されたデバイス、システム及び方法は、センサーからのデータにおけるエラー又は生理学的状態を識別し得、このデータに基づいて、血流制御システムの少なくとも1つの機能を阻止し得る。
【0045】
上述されたように、本明細書に記載された血流制御システムは、患者の身体の一部内(例えば、大動脈などの血管内)に配置するための血流制御デバイスを備え得る。血流制御デバイスは、細長い本体と、拡張可能部材と、センサーと、を含み得る。センサーは、患者の生理学的コンディション及び/又は拡張可能部材に関連付けられた圧力を測定するように構成され得る。血流制御システムは、センサーに通信可能に結合され得る1つ以上のコントローラを更に備え得る。コントローラは、患者の生理学的コンディション及び/又は拡張可能部材に関連付けられた圧力を示し得るデータをセンサーから受信するように構成され得る。コントローラは、受信されたデータを目標データと比較し得、比較に基づいて、少なくとも1つのエラー又は生理学的状態を識別し得る。エラー又は状態を識別することに応答して、コントローラは、血流制御システムの少なくとも1つの機能を阻止し得る。
【0046】
例えば、コントローラは、特定のコンディションが存在するときに、拡張可能部材のサイズ(例えば、容積)の更なる自動調整又は制御を阻止及び/又は防止し得る。別の言い方をすれば、コントローラは、拡張可能部材のサイズがコントローラによって自動的に制御される自動制御モードから、拡張可能部材のサイズが血流制御システム(例えば、血流制御システムのユーザーインターフェース)を使用するユーザーによって手動で制御される手動モードへ、血流制御システムを自動的に移行し得る。追加的又は代替的に、コントローラは、血流制御システムの全部又は一部の使用を防止する(例えば、電源を切る、又は別な方法で使用を防止する)ことによって、血流制御システムの機能を阻止し得る(例えば、血流制御システムの使用を防止する、コントローラ全体の使用を防止する、システム全体の使用を防止する)。いくつかの例では、コントローラは、エラー又は生理学的状態の変更を示す警報をユーザー(例えば、オペレータ、外科医など)に伝送し得る。このようにして、拡張可能部材のサイズは、血流制御システム内の構成要素への損傷、治療手技のエラー、又は患者の生理機能の変更にもかかわらず、コントローラによって正確に調整され得る。
【0047】
血流制御システム
図1は、血流制御システム100の例示的な変形例を示す。血流制御システム100は、血流制御デバイス104と、細長い本体102と、拡張可能部材110と、デバイスコントローラ112及びシステムコントローラ116などの1つ以上のコントローラと、1つ以上のセンサーと、ポンプ108と、ユーザーインターフェースと、を備え得る。血流制御デバイス104は、例えば、カテーテルなどの細長い本体102と、例えば、バルーンなどの拡張可能部材110と、を備え得る。拡張可能部材110は、細長い本体102に配置され、結合され、統合され、取り付けられ、又は別な方法で固定され得る。血流制御デバイス104はまた、1つ以上のセンサー(
図1には示されてない)と、任意選択的にデバイスコントローラ112と、を備え得る。血流制御デバイス104が1つ以上のセンサーを備える変形例では、センサーは、細長い本体102に配置され、結合され、統合され、取り付けられ、又は別な方法で固定され得る。他の変形例では、センサーの1つ以上は、血流制御デバイス104の外部にあり得、又は別個であり得る。センサーは、デバイスコントローラ112及びシステムコントローラ106の一方又は両方に動作可能に結合され得る。いくつかの変形例では、センサー、及びそれによって血流制御デバイス104は、システムコントローラ106に(例えば、デバイスコントローラ112を介して)通信可能に結合され得る。拡張可能部材110、及びしたがって血流制御デバイス104は、ポンプ108に動作可能に結合され得る。ポンプ108は、システムコントローラ106によって制御され得る作動機構(
図1には示されてない)を含み得るか、又は別な方法でそれに結合され得る。デバイスコントローラ112及びシステムコントローラ116の2つのコントローラとして上で記載されたが、単一のコントローラを利用して、本明細書に記載されたデバイスコントローラ112及びシステムコントローラ116の両方の機能、及び/又は任意のデバイスコントローラ112の機能は、システムコントローラ116によって実行することができ、その逆も可能であることが理解されたい。したがって、デバイスコントローラ112又はシステムコントローラ116のいずれかに結合されるとして本明細書で記載された構成要素のいずれかは、場合によっては、デバイスコントローラ112又はシステムコントローラ116の他方又は両方のコントローラに結合され得る。
【0048】
血流制御デバイス104
上で記載され、及び
図1に示されたように、血流制御デバイス104は、細長い本体102と、細長い本体102に結合された拡張可能部材110と、細長い本体102のシャフトに結合又は統合された1つ以上のセンサーと、を備え得る。
【0049】
細長い本体102
細長い本体102は、患者の血管(例えば、大動脈、静脈など)内に配置するためのサイズ及び形状のシャフトを備え得る。いくつかの変形例では、細長い本体102は、大腿動脈又は橈骨動脈を介して患者の大動脈に到達するのに十分な長さを有し得る。例えば、いくつかの変形例では、細長い本体102は、大腿動脈又は橈骨動脈に挿入され、患者の血管系を通って大動脈に延在するように構成されたカテーテルであり得る。いくつかの変形例では、細長い本体102は、操縦可能であり得る。例えば、いくつかの変形例では、細長い本体102は、細長い本体102のシャフトの遠位端を操縦又は別な方法で偏向するために使用され得る、ノブ、レバー、プルワイヤ、及び/又は同様のものに機械的に結合され得る。いくつかの変形例では、細長い本体102は、それを貫通する1つ以上の管腔(
図1には示されてない)を含み得る。管腔は、部分管腔(例えば、一端が開いている)であり得、可動シャフト内に配置又は置かれ得る。代替的に、可動シャフトは、1つ以上の管腔を画定し得る。いくつかの変形例では、管腔は、流体及び/又は圧縮ガスを拡張可能部材に送達し、及び流体及び/又は圧縮ガスを拡張可能部材110から回収するために、それぞれ、吸気又は膨張管腔及び排出又は収縮管腔を含み得る。
【0050】
拡張可能部材110
拡張可能部材110は、細長い本体102のシャフト上に配置され、結合され、統合され、取り付けられ、及び/又は固定されるのうちの1つであり得、拡張可能部材のサイズは、コントローラ又はユーザーによって制御可能であり得る。例えば、拡張可能部材は、拡張可能部材のサイズ(例えば、容積)が血流制御システムの使用中に変更し得るように、拡張及び収縮並びに/又は膨張及び収縮するように構成され得る。いくつかの変形例では、拡張可能部材は、膨張可能/収縮可能なバルーンであり得、他の変形例では、拡張可能部材は、形状記憶材料を含み得、更に他の変形例では、拡張可能部材は、拡張可能部材のサイズを変更するために、機械的リンク機構(例えば、ワイヤなど)に接続され得る。拡張可能部材110は、任意の好適なエラストマー材料(例えば、ポリウレタン、シリコーンなど)を含み得る。代替的に、拡張可能部材110は、ポリエステル、ナイロンなどを含み得る。使用中、血流は、拡張可能部材110のサイズを変更することによって調節又は別な方法で制御され得、それによって、拡張可能部材110によって閉塞される血管の領域を変更する。流体及び/又は圧縮ガスは、拡張可能部材110のサイズ(例えば、容積)を制御及び/又は調整するために、細長い本体102内の1つ以上の管腔を通して送達され得る。したがって、いくつかの変形例では、拡張可能部材110は、患者の大動脈内に戦略的に配置され得、拡張可能部材110のサイズは、拡張可能部材110に近位の血圧を上昇させるために拡張可能部材110の遠位の血流が妨げられ得るように、患者の大動脈を通る血流を制御し得る。拡張可能部材110の外面は、(例えば、完全閉塞時に)患者の血管の壁と接触するか、又は別な方法で接合するように構成され得る。
【0051】
図1は、患者の大動脈を通る血流を調節するように構成された1つの拡張可能部材110を示しているが、血流制御デバイス104は、任意の数の好適な拡張可能部材110を含み得ることが容易に理解されるはずである。例えば、血流制御デバイス104は、細長い本体102に直列に配置され、結合され、統合され、取り付けられ、及び/又は固定された2つの拡張可能部材110を含み得る。同様に、血流制御デバイスは、細長い本体102に互いに等距離で間隔を置いて直列に配置され、結合され、統合され、取り付けられ、及び/又は固定された3つの拡張可能部材を含み得る。いくつかの変形例では、拡張可能部材110は、細長い本体102の長さに沿って直列に位置付けられた、又は互いの内部に配置された複数のバルーン(例えば、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上)を含み得る。複数のバルーンを備える変形例では、バルーンは、個別に又は別々に拡張及び収縮するように構成され得る。
【0052】
センサー
血流制御システムは、1つ以上のセンサー(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上)を備え得る。いくつかの変形例では、血流制御デバイスは、それ自体が1つ以上のセンサーを備え得、他の変形例では、1つ以上のセンサーは、血流制御デバイスとは別個にシステムに統合され得る。いくつかの変形例では、血流制御デバイスは、1つ以上のセンサーを備え得、1つ以上のセンサーは、血流制御デバイスとは別個にシステムに統合され得る。例えば、1つ以上のセンサー(例えば、遠位センサー、近位センサー)は、血流制御デバイスの細長い本体102に統合及び/又は上に配置され得る。
【0053】
追加的又は代替的に、1つ以上のセンサーは、細長い本体102の開放ポートに結合され得るチューブ上に配置され得る。例えば、1つ以上のセンサー(例えば、近位センサー、遠位センサー)は、拡張可能部材110の近位又は遠位にある開放ポートに接続し得る生理食塩水で満たされたチューブを介して接続され得る。別の言い方をすれば、細長い本体102上に配置される代わりに、これらのセンサーは、生理食塩水で満たされたチューブを介して細長い本体102に(例えば、拡張可能部材の近位又は遠位のポートで)流体結合される生理食塩水で満たされたチューブに結合され得る。そのような変形例では、生理食塩水で満たされたチューブに沿った圧力は、近位センサー及び遠位センサーによって測定され得る。
【0054】
更に別の変形例では、1つ以上のセンサーは、生理食塩水で満たされたチューブの組み合わせを介して、及び1つ以上のワイヤを介して、血流制御システム100に統合及び/又は上に配置され得る。
【0055】
血流制御デバイスが1つ以上のセンサーを備える変形例では、血流制御デバイスは、任意の好適な数のセンサー(例えば、2、3、4、5、又はそれ以上)を備え得、センサーは、患者の生理学的コンディション及び/又は拡張可能部材の特性を測定するための任意の好適な部位に位置付けられ得る。例えば、血流制御デバイスは、第1の、遠位センサーと、第2の、近位センサーと、を備え得る。その位置が参照番号110bによって示される遠位センサーは、細長い本体102の先端と拡張可能部材110との間に配置され得る。その位置が参照番号110aによって示される近位センサーは、細長い本体102の基部(細長い本体102がデバイスコントローラ112に結合する場所)と拡張可能部材110との間に配置され得る。遠位センサー及び近位センサーの各々は、患者の基礎となる生理機能を判定するために、大動脈を通る血流を示す生理学的情報などの患者の生理学的情報を測定し得る。例えば、遠位センサー及び近位センサーは、それぞれのセンサーの位置で、又はその付近で患者の局所血圧を測定し得る。例えば、遠位センサーは、110bを取り囲む領域で血管内の患者の血圧を測定し得、近位センサーは、110aを取り囲む領域で血管内の患者の血圧を測定し得る。遠位センサーからのデータは、患者の遠位収縮期圧及び遠位拡張期圧を測定するために使用され得る。例えば、遠位収縮期圧及び遠位拡張期圧は、血圧の波形から推測され得る。遠位収縮期圧は、所与の持続時間について波形のピークを分析することによって測定され得る。遠位拡張期圧は、所与の持続時間について波形の谷を分析することによって測定され得る。遠位平均動脈圧は、遠位収縮期圧及び遠位拡張期圧から測定され得る。同様に、近位センサーからのデータは、患者の近位収縮期圧及び近位拡張期圧を測定するために使用され得る。例えば、近位収縮期圧及び近位拡張期圧は、血圧の波形から推測され得る。近位収縮期圧は、所与の持続時間について波形のピークを分析することによって測定され得る。近位拡張期圧は、所与の持続時間について波形の谷を分析することによって測定され得る。近位平均動脈圧は、近位収縮期圧及び近位拡張期圧から測定され得る。
【0056】
近位センサー及び遠位センサーは、患者の血圧を測定し得るが、いくつかの変形例では、血圧は、患者の心拍数、呼吸数、血流速度、心拍出量、及び/又は同様のもののうちの1つ以上を算出するために使用され得る。
【0057】
センサー及び/又は特定の局所的な血圧読み取り値に関して本明細書で使用される「近位」及び「遠位」という用語は、心臓からの血流の方向性を指すことに留意されたい。すなわち、「近位」は、心臓に近く、一方「遠位」は、心臓から遠い。これは、カテーテルなどの医療デバイスの観点から記載されたときに、用語の逆の使用法で混同されないように、医療デバイスの「遠位端」が、一般に、システムコントローラ106から最も遠い拡張可能要素110での端部として理解され、「近位端」が、オペレータにより近い端部として理解される。
【0058】
いくつかの変形例では、血流制御デバイスは、拡張可能部材センサー(
図1には示されてない)を更に備え得る。いくつかの変形例では、拡張可能部材センサーは、拡張可能部材110に、又は拡張可能部材110内の細長い本体102に結合され、統合され、及び/又は配置され得る。いくつかの変形例では、拡張可能部材センサーは、デバイスコントローラ112に結合され、統合され、及び/又は配置され得、拡張可能部材に流体結合され得る。
【0059】
拡張可能部材センサーは、例えば、拡張可能部材110内の流体及び/又は圧縮ガスの圧力など、拡張可能部材の特性を検出し得る。いくつかの変形例では、拡張可能部材110内の流体及び/又は圧縮ガスの圧力及び/又は圧力の変更は、1つ以上のエラーを検出するために分析され得る。例えば、拡張可能部材センサーは、拡張可能部材110内の流体及び/又は圧縮ガスの圧力が高すぎるときに、検出され得る。いくつかの変形例では、拡張可能部材センサーは、拡張可能部材110内の予想されない圧力変更を検出し得る。これは、拡張可能部材110における破裂を示し得る。いくつかの変形例では、拡張可能部材110内の圧力の変更の傾向が、近位圧又は遠位圧の傾向に基づく予想される変更と異なる場合、拡張可能部材センサーは、予想される変更とのこの差を検出し得る。いくつかの変形例では、拡張可能部材センサーは、ポンプ108の動きが拡張可能部材110内の予想される圧力に対応するかどうかを検出するために、ポンプ108の動きの変更中に拡張可能部材110内の圧力のスパイクを検出し得る。いくつかの変形例では、拡張可能部材センサーは、拡張可能部材110に追加又は除去された流体及び/又は圧縮ガスの量(例えば、容積)を検出し得る。
【0060】
追加的又は代替的に、いくつかの変形例では、血流制御デバイスは、任意選択的に流量センサー(
図1には示されていない)を更に備え得る。流量センサーは、拡張可能部材110に統合及び/又は配置され得、拡張可能部材110を通過して流れる血液の量及び/又は速度を測定し得る。血流センサーが含まれない変形例では、拡張可能部材110を通過して流れる血液の量及び/又は速度は、例えば、近位センサー、遠位センサー、及び拡張可能部材センサーのうちの1つ以上などの、他のセンサーから得られた測定値から決定され得る。
【0061】
いくつかの変形例では、血流制御デバイスは、気圧計(
図1には示されてない)を更に備え得る。気圧計は、デバイスコントローラ112のハウジングと統合され、及び/若しくはハウジング内に配置され得、並びに/又は細長い本体102内に配置され得、並びにデバイスコントローラ112に通信可能に結合され得る。いくつかの変形例では、気圧計は、システムコントローラ106のハウジングと統合され、及び/又はハウジング内に配置され得、それに通信可能に結合され得る。システムはまた、例えば、デバイスコントローラ気圧計及びシステムコントローラ気圧計などの複数の気圧計を備え得る。1つ以上の気圧計は、患者の部位で雰囲気圧を測定し得る。例えば、近位センサー及び遠位センサーは、絶対血圧を測定し得る。しかしながら、気圧計は、患者の部位での雰囲気圧を測定し得る。したがって、血流制御システム100によって報告される血圧は、患者の部位での雰囲気圧に関連する血圧であり得る(例えば、患者が搬送されるときの雰囲気圧の変更を考慮に入れる)。追加的又は代替的に、血流制御デバイスは、周囲空気に対する血液の相対圧力を測定するためのゲージセンサーを含み得る。
【0062】
デバイスコントローラ112
血流制御デバイス104は、細長い本体102の基部に結合され得るデバイスコントローラ112を備え得る。デバイスコントローラ112は、例えば、近位センサー、遠位センサー、及び/又は拡張可能部材センサーなどの1つ以上のセンサーに通信可能に結合され得る。例えば、デバイスコントローラ112は、近位センサー、遠位センサー、及び/又は拡張可能部材センサーに電子的に結合され得る。
【0063】
いくつかの変形例では、デバイスコントローラ112は、ハウジングを備え得る。ハウジングは、細長い本体102に結合され得、例えば、バイアス回路、任意選択的増幅器、フィルタ、及びアナログデジタル変換(ADC)回路などの多数の電子部品を包含し得る。ADC回路は、センサー(例えば、近位センサー及び遠位センサー)から得られた読み取り値を出力し、それによって患者の生理学的コンディションを示し得る。例えば、いくつかの変形例では、近位センサー及び遠位センサーは、各々が、3本の接続線、すなわち電源線及び2本の出力線を含み得る。出力線は、バイアス回路及び電源線に接続され得る。バイアス回路は、電源線に電力を供給し、2本の出力線に適切な抵抗を充当し得る。2本の出力線は、2本の出力線の両端間に生成された差動電圧を増幅し得る増幅器に結合され得る。増幅器は、増幅器の出力からの高周波ノイズ及び/又は低周波ノイズを低減し得るフィルタに結合され得る。フィルタの出力は、アナログデジタル変換器(ADC)に結合され得る。ADCの出力は、患者の生理学的コンディションを示す様々な速度及びサンプルサイズであり得る。デバイスコントローラ112は、本明細書に記載されたシステムコントローラ106に関して記載された構成要素及び/又は特徴のいずれかを含み得る。
【0064】
ポンプ108
図1に示されたように、本明細書に記載された血流制御システムは、そのサイズの調整を容易にするために、拡張可能部材110に動作可能に結合され得る、ポンプ108を備え得る。ポンプ108は、デバイスコントローラ112又はシステムコントローラ106のハウジング内(例えば、開いた又は閉じたキャビティ又はチャンバ内)に包含されるか、又は別な方法で保持されるか、又はハウジングに結合され得、デバイスコントローラ112又はシステムコントローラ106の一方又は両方に通信可能に結合され得る。ポンプ108は、管腔(例えば、チューブ)を含む細長い部材を含むか、又は別な方法で結合され得、これは、次には、血流制御デバイスの細長い本体の管腔(例えば、入口又は膨張管腔)に結合され得る。このようにして、ポンプ108は、拡張可能部材110と流体連通し得る。
【0065】
代替的に、1つ以上の弁のセットは、二酸化炭素などの圧縮ガスの流れを制御するために利用され得る。いくつかの変形例では、ポンプは、拡張可能部材110への流体及び/又は圧縮ガスの流れを調節し得る弁(例えば、活栓弁)に流体結合され得る。いくつかの変形例では、拡張可能要素は、追加的又は代替的に、例えば、印加された電流、電圧、温度、又は圧力に応答して制御可能に拡張及び収縮するように構成された形状変更材料(例えば、ニチノール)を含み得る。そのような変形例は、フレームの選択的な形状変更に従って制御可能に開閉できる「帆」を形成するために、1つ以上の膜に取り付けられた形状変更材料から形成されたフレームを含み得る。そのような膜は、例えば、大動脈との接触のために好適なポリマー材料から作られ得る。
【0066】
拡張可能部材のサイズ(例えば、容積)は、システムコントローラ及び/又はデバイスコントローラ112、106、並びにポンプ108を使用して調整され得る。例えば、システムコントローラ及び/又はデバイスコントローラ112、106は、拡張可能部材110のサイズを調整し、それによって血流に影響するように、拡張可能部材110に注入されるか、又はそこから除去される流体及び/又は圧縮ガスの量を判定し得る。システムコントローラ及び/又はデバイスコントローラ106、112は、ポンプ108に含まれる作動機構を制御(例えば、その位置を移動、修正、又は制御)し得る。ポンプの作動機構は、システムコントローラ及び/又はデバイスコントローラ106からの命令に基づいて、拡張可能部材110から流体及び/又は圧縮ガスを注入又は除去し得る。いくつかの変形例では、作動機構は、プランジャを備え得る。別の言い方をすれば、ポンプ108は、流体及び/又は圧縮ガスを包含するバレル内に位置付けられたプランジャを含み得る。いくつかの変形例では、ポンプ108は、シリンジポンプであり得る。シリンジポンプは、拡張可能部材110から流体及び/又は圧縮ガスを注入又は除去し得る。いくつかの変形例では、作動機構は、シリンジの通常の動作を使用して、流体及び/又は圧縮ガスを拡張可能部材110に注入し得る。しかしながら、流体及び/又は圧縮ガスの除去は、ねじ作動を介して作動され得る。例えば、膨張は、プランジャの端に圧力を加えて、シリンジのバレルに挿入することによって達成され得るが、圧力が解放されると、スクリューアクチュエーターは、作動され得、収縮は、より正確に収縮させることを可能にし得る、スクリュー機構の回転のみよって起こり得る。他の変形例では、ポンプ108は、蠕動ポンプであり得る。
【0067】
上記のパラグラフは、ポンプ108の特定の変形例を記載するが、ポンプ108は、流体及び/又は圧縮ガスを拡張可能部材110から注入及び/又は除去するように作動機構に動作可能及び/又は通信可能に結合された任意の好適なポンプであり得ることが容易に明らかなはずである。いくつかの変形例では、ポンプ108は、ポンプ108の部分の位置に関する情報、したがって、本明細書で更に記載されるように拡張可能部材110に送達された流体の量に関する情報を提供し得る位置センサーに通信可能に結合され得る。
【0068】
いくつかの変形例では、ポンプ108は、ステッパモータ及び/又はコントローラアームに動作可能に結合され得る。いくつかの変形例では、ステッパモータ及び/又はコントローラアームは、ポンプ108について作動機構を提供し得る。ポンプ108について作動機構を提供することに加えて、ステッパモータ及び/又はコントローラアームは、拡張可能部材110の容積を更に調整するための追加の手段を提供し得る。例えば、1つ以上のワイヤは、拡張可能部材110の周りに巻かれ得る。ステッパモータ及び/又はコントローラアームは、拡張可能部材110の容積を更に調整するように、細長い本体102上の点に対してワイヤを締める又は緩めるように構成され得る。すなわち、ワイヤを締めること、及び緩めることは、拡張可能部材110の拡張及び/又は収縮を更に調整し得る。
【0069】
システムコントローラ106
いくつかの変形例では、血流制御システムは、デバイスコントローラ112に加えてシステムコントローラ106を備え得る。システムコントローラ106は、例えば、デバイスコントローラ112を介して、又はデバイスコントローラ112なしの変形例では、細長い本体102を直接的に介して、血流制御デバイス104に結合され得る。デバイスコントローラ112は、システム内のセンサーに通信可能に結合され得る。例えば、システムコントローラ106は、近位センサー、遠位センサー、拡張可能部材センサー、気圧計、及び(含まれるときに)流量センサーのうちの1つ以上に通信可能に結合され得、2つ以上のコントローラを備える変形例では、デバイスコントローラ112に通信可能に結合され得る。例えば、いくつかの変形例では、近位センサー及び遠位センサーは、次には、システムコントローラ106に通信可能に結合され得るデバイスコントローラ112に電子的に結合され得る。
【0070】
デバイスコントローラ112は、例えば、バイアス回路、増幅器、フィルタ、及びADC回路などの多数の電子部品を包含し得るハウジングを備え得る。ADC回路から抽出されたセンサー読み取り値は、デバイスコントローラ112からシステムコントローラ106に伝送され得る。
【0071】
いくつかの変形例では、デバイスコントローラ112は、ポンプ108に通信可能に結合されたモーションセンサー及び/又は位置センサーを更に備え得る。いくつかの変形例では、位置センサーは、ポンプ108の部分の位置を測定し得る。例えば、位置センサーは、シリンジポンプ108のプランジャの位置を測定し得る。ポンプ108の部分の位置は、拡張可能部材110に送達された及び/又はそこから除去された流体の量を推測するために使用され得る。
【0072】
追加的又は代替的に、デバイスコントローラ112は、モーションセンサー(例えば、磁気エンコーダ、光学エンコーダなどのエンコーダ)を備え得る。ポンプ108がモータを使用して作動される場合、エンコーダは、拡張可能部材110における膨張及び/又は収縮の量を判定するために使用され得るモータの動きを監視し得る。いくつかの変形例では、モーションセンサーは、磁気エンコーダであり得る。追加的又は代替的に、モーションセンサーは、光学エンコーダであり得る。いくつかの変形例では、上で記載された流量センサーは、拡張可能部材110における膨張及び/又は収縮の量を判定し得る。
【0073】
代替的に、近位センサー及び遠位センサーは、システムコントローラ106に電子的に結合され得る。システムコントローラ106は、ハウジングを備え得る。ハウジングは、例えば、バイアス回路、増幅器、フィルタ、及びアナログデジタル変換(ADC)回路などの多数の電子部品を包含し得る。ADC回路は、センサー(例えば、近位センサー及び遠位センサー)から得られた読み取り値を出力し、それによって患者の生理学的コンディションを示し得る。例えば、いくつかの変形例では、近位センサー及び遠位センサーは、各々が、3本の接続線、すなわち電源線及び2本の出力線を含み得る。出力線は、バイアス回路及び電源線に接続され得る。バイアス回路は、電源線に電力を供給し、2本の出力線に適切な抵抗を充当し得る。2本の出力線は、2本の出力線の両端間に生成された差動電圧を増幅し得る増幅器に結合され得る。増幅器は、増幅器の出力からの高周波ノイズ及び/又は低周波ノイズを低減し得るフィルタに結合され得る。フィルタの出力は、アナログデジタル変換器(ADC)に結合され得る。ADCの出力は、患者の生理学的コンディションを示す様々な速度及びサンプルサイズであり得る。
【0074】
したがって、近位センサー及び遠位センサーからのセンサー読み取り値は、システムコントローラ106で直接的に抽出され得る。いくつかの変形例では、拡張可能部材圧センサー、気圧計、及び任意選択的に流量センサーは、センサーデータをシステムコントローラ106に直接的に伝送し得る。システム内のセンサーからのデータは、連続的又は断続的に収集され得、定義された期間にわたって収集され得る。いくつかの変形例では、近位センサー及び遠位センサーからのデータは、例えば、3秒、4秒、5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、又は10秒(例えば、約3秒~約6秒、約4秒~約6秒、又は約5秒~約6秒など、その中の全ての値及び部分範囲を含む)ごとなど、連続的に収集され得る。いくつかの変形例では、近位センサー及び遠位センサーからのデータは、200Hzで5秒ごとに収集され得る。
【0075】
いくつかの変形例では、データは、例えば、3秒、4秒、5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、又は10秒(例えば、約3秒~約6秒、約4秒~約6秒、又は約5秒~約6秒など、その中の全ての値及び部分範囲を含む)ごとなど、近位センサー及び遠位センサーから連続的に収集され得る。
【0076】
いくつかの変形例では、センサーからのデータは、個別の期間にわたって分析され得る。例えば、データは、例えば、3秒、4秒、5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、又は10秒(例えば、約3秒~約6秒の間、約4秒~約6秒の間、又は約5秒~約6秒の間など、その中の全ての値及び部分範囲を含む)ごとに分析され得る。いくつかの変形例では、ポンプ108への作動機構は、ステッパモータを含み得る。そのような変形例では、データは、ステッパモータの動き(例えば、毎秒1300ステップ)に基づいて、及び/又はモータの動きのシーケンス(例えば、25~2000ミリ秒)に基づいて、分析され得る。
【0077】
システムコントローラ106は、1つ以上のプロセッサ(例えば、CPU)を含み得る。プロセッサは、命令又はコードのセットを動作させ、及び/又は実行するように構成された任意の好適な処理デバイスであり得、1つ以上のデータプロセッサ、画像プロセッサ、グラフィックス処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、及び/又は中央処理ユニットを含み得る。プロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又は同様のものであり得る。プロセッサは、アプリケーションプロセス及び/若しくは他のモジュール、血流制御システム100に関連付けられたプロセス及び/若しくは機能を動作させ、かつ/又は実行するように構成され得る。
【0078】
いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、アプリケーションプロセス及び/又は他のモジュールを動作させ、かつ/又は実行し得る。これらのプロセス及び/又はモジュールは、プロセッサによって実行されるときに、特定のタスクを行うように構成され得る。これらの特定のタスクは、エラーを検出し、エラーに応答しながら、システムコントローラ106が血流制御システム100を自動的に動作及び制御することを集合的に可能にし得る。特に、これらの特定のタスクは、システムコントローラ106がエラーを検出し、それに応じて拡張可能部材110の膨張及び/又は収縮を自動的に調整することを可能にし得る。
【0079】
システムコントローラ106は、プロセッサを備え得る。概して、ここで記載されるプロセッサ(例えば、CPU)は、システムの1つ以上の構成要素を制御するために、データ及び/又は他の信号を処理し得る。プロセッサは、データ及び/又は他の信号を受信、処理、コンパイル、計算、格納、アクセス、読み取り、書き込み、及び/又は伝送するように構成され得る。いくつかの変形例では、プロセッサは、センサー(例えば、近位センサー、遠位センサー、拡張可能部材センサーなど)及び記憶媒体(例えば、メモリ、フラッシュドライブ、メモリカード)のうちの1つ以上からのデータ及び/又は他の信号にアクセス又はそれを受信するように構成され得る。いくつかの変形例では、プロセッサは、命令又はコードのセットを動作させ、かつ/又は実行するように構成された任意の好適な処理デバイスであり得、1つ以上のデータプロセッサ、画像プロセッサ、グラフィックス処理ユニット(GPU)、物理処理ユニット、デジタル信号プロセッサ(DSP)、アナログ信号プロセッサ、混合信号プロセッサ、機械学習プロセッサ、深層学習プロセッサ、有限状態マシン(FSM)、圧縮プロセッサ(例えば、データ速度及び/又はメモリ要件を低減するためのデータ圧縮)、暗号化プロセッサ(例えば、安全な無線データ及び/又は電力転送用)、及び/又は中央処理装置(CPU)を含み得る。プロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プロセッサボード、及び/又は同様のものであり得る。ロセッサは、アプリケーションプロセス及び/若しくは他のモジュール、システムに関連付けられたプロセス及び/若しくは機能を動作させ、かつ/又は実行するように構成され得る。基礎となるデバイス技術は、様々な構成要素タイプ(例えば、相補型金属-酸化物半導体(CMOS)のような金属-酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、敵対的生成ネットワーク(GAN)のようなバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、ケイ素共役ポリマー、及び金属共役ポリマー-金属構造体)、アナログ及びデジタル混合技術、及び/又は同様のもので提供され得る。
【0080】
本明細書に記載されたシステム、デバイス、及び/又は方法は、(ハードウェア上で実行される)ソフトウェア、ハードウェア、又はこれらの組み合わせによって実行され得る。ハードウェアモジュールは、例えば、汎用プロセッサ(又はマイクロプロセッサ若しくはマイクロコントローラ)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び/又は特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。(ハードウェア上で実行される)ソフトウェアモジュールは、C、C++、Java(登録商標)、Python、Ruby、Visual Basic(登録商標)、及び/又は他のオブジェクト指向型、手続き型、又は他のプログラミング言語若しくは開発ツールを含む、様々なソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)で表現され得る。コンピュータコードの例は、マイクロコード又はマイクロ命令、コンパイラにより生成されるような機械命令、ウェブサービスを生成するために使用されるコード、及びインタープリタを使用してコンピュータにより実行される高級命令を含むファイルを含むが、これらに限定されない。コンピュータコードの追加的な例は、制御信号、暗号化コード、及び圧縮コードを含むが、これらに限定されない。
【0081】
概して、ここで記載される血流制御システムは、データ及び/又は情報を記憶するように構成されたメモリを備え得る。いくつかの変形例では、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、静的RAM(SRAM)、動的RAM(DRAM)、メモリバッファ、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、それらの組み合わせなどのうちの1つ以上を備え得る。いくつかの変形例では、メモリは、信号波形生成、拡張可能要素制御、データ及び/又は信号伝送、データ及び/又は信号受信、及び/又は通信などの、血流制御デバイスに関連付けられたモジュール、プロセス、及び/又は機能をプロセッサに実行させる命令を格納し得る。本明細書に記載されたいくつかの変形例は、様々なコンピュータ実施動作を実行するための命令又はコンピュータコードを有する非一時的コンピュータ可読媒体(非一時的プロセッサ可読媒体とも称され得る)を伴うコンピュータ記憶製品に関連し得る。コンピュータ読み取り可能媒体(又はプロセッサ読み取り可能媒体)は、それが、一過性の伝搬信号(例えば、空間又はケーブルなどの伝送媒体上に情報を搬送する伝搬電磁波)それ自体を含まないという意味で、非一過性である。媒体及びコンピュータコード(コード又はアルゴリズムとも呼ばれる)は、1つ以上の特定の目的のために設計及び構築されたものであり得る。いくつかの変形例では、システムコントローラ106及びデバイスコントローラ112は、単一のコントローラに統合され得る。
【0082】
通信デバイス又はモジュール
いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、1つ以上の他のデバイスと通信するための無線通信モジュールなど、少なくとも1つの通信デバイス又はモジュール(例えば、
図2に示される通信モジュール126)を含み得る。例えば、通信モジュールは、データ(例えば、センサーデータ、目標血圧、目標血圧範囲、血流制御システムの内部温度などの血流制御システムの状態、血流制御システムのバッテリー充電レベル、時刻、及び/又は血流制御システムのハードウェア及びファームウェア改訂番号などの血流制御システムの特性、システム能力など)、及び/又はデータに基づいて行われる判定又は計算(例えば、エラー、生理学的状態、臨床判断支援)を、例えば、外部コンピュータ、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン)、タブレットなどの1つ以上のデバイスに通信するように構成され得る。通信デバイスは、有線又は無線接続によって血流制御システムを別のデバイス又はシステム(例えば、インターネット、リモートサーバ、データベース)に接続するように構成された、ネットワークインターフェースを含み得る。いくつかの変形例では、血流制御デバイス及び/又はシステムは、1つ以上の有線及び/又は無線ネットワークを介して、他のデバイス(例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ、スマートウォッチなど)と通信し得る。いくつかの変形例では、ネットワークインターフェースは、1つ以上のデバイス及び/又はネットワークと通信するように構成された、無線周波数受信機/伝送機、光(例えば、赤外線)受信機/伝送機などのうちの1つ以上を備え得る。ネットワークインターフェースは、血流制御デバイス、システムコントローラ116、ネットワーク、データベース、及びサーバのうちの1つ以上と有線及び/又は無線によって通信し得る。
【0083】
ネットワークインターフェースは、RF信号を受信及び/又は伝送するように構成されたRF回路を備え得る。RF回路は、電気信号を電磁信号に/電磁信号から変換し、電磁信号を介して通信ネットワーク及び他の通信デバイスと通信し得る。RF回路は、アンテナシステム、RFトランシーバ、1つ以上の増幅器、チューナ、1つ以上の発振器、ミキサ、デジタル信号プロセッサ、CODECチップセット、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリなどを含むが、これらに限定されない、これらの機能を実施するための既知の回路を備え得る。
【0084】
デバイスのいずれかを通した無線通信は、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM(登録商標))、拡張データGSM(登録商標)環境(EDGE)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)、エボリューション、データオンリ(EV-DO)、HSPA、HSPA+、デュアルセルHSPA(DC-HSPDA)、ロングタームエボリューション(LTE)、近距離無線通信(NFC)、広帯域符号分割多元接続(W-CDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Bluetooth(登録商標)、無線フィデリティ(WiFi)(例えば、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11nなど)、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)、Wi-MAX、電子メール用プロトコル(例えば、インターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)及び/又はポストオフィスプロトコル(POP))、インスタントメッセージ(例えば、拡張可能メッセージ及びプレゼンスプロトコル(XMPP)、セッション初期化プロトコルフォーインスタントメッセージ及びプレゼンスレバレッジエクステンション(SIMPLE)、インスタントメッセージ及びプレゼンスサービス(IMPS))、並びに/又はショートメッセージサービス(SMS)、あるいは任意の他の好適な通信プロトコルを含むが、これらに限定されない、複数の通信標準規格、プロトコル、及び技術のいずれかを使用し得る。いくつかの変形例では、本明細書のデバイスは、ネットワークを通じて(例えば、NFC、Bluetooth(登録商標)、WiFi、RFIDなどを通じて)データを伝送せずに、互いに直接的に通信し得る。
【0085】
通信デバイス又はモジュールは、システムコントローラ106に統合された無線トランシーバを含み得る。しかしながら、血流制御システムは、追加的又は代替的に、システムコントローラ106とは別個の通信モジュールを含み得る。
【0086】
ユーザーインターフェース
いくつかの変形例では、血流制御システム100は、システムコントローラ106及び/又はデバイスコントローラ112に通信可能に結合されたユーザーインターフェースを含み得る。いくつかの変形例では、ユーザーインターフェースは、デバイスコントローラ112がシステムコントローラ106に通信可能に結合され得るように、又はその逆であり得るように、デバイスコントローラ112上の表示部であり得る。代替的に、ユーザーインターフェースは、例えば、本明細書に記載された通信デバイス又はモジュールを介して、システムコントローラ106に通信可能に結合された任意の好適なコンピューティングデバイス(例えば、コンピュータ、スマートフォン、タブレットなど)上の表示部であり得る。
【0087】
いくつかの変形例では、ユーザーインターフェースは、入力デバイス(例えば、タッチスクリーン)及び出力デバイス(例えば、表示デバイス)を備え得、血流制御デバイス104、通信デバイス、システムコントローラ106、ポンプ108、及びセンサーのうちの1つ以上から入力データを受信するように構成され得る。例えば、入力デバイス(例えば、キーボード、ボタン、タッチスクリーン)のオペレータ制御は、ユーザーインターフェースによって受信され得、次いで、ユーザーインターフェースがシステムコントローラ106、血流制御デバイス104、及び/又はポンプ108に制御信号を出力するために、システムコントローラ106によって処理され得る。入力デバイスのいくつかの変形例は、制御信号を生成するように構成された少なくとも1つのスイッチを備え得る。例えば、入力デバイスは、オペレータが制御信号に対応する入力(例えば、タッチ表面への指接触)を提供するためのタッチ表面を備え得る。タッチ表面を備える入力デバイスは、容量性、抵抗性、赤外線、光学的画像、分散信号、音響パルス認識、及び表面弾性波技術を含む複数のタッチ感度技術のいずれかを使用して、タッチ表面上の接触及び動きを検出するように構成され得る。少なくとも1つのスイッチを含む入力デバイスの変形例では、スイッチは、例えば、ボタン(例えば、ハードキー、ソフトキー)、タッチ表面、キーボード、アナログスティック(例えば、ジョイスティック)、方向性パッド、マウス、トラックボール、ジョグダイヤル、ステップスイッチ、ロッカースイッチ、ポインタデバイス(例えば、スタイラス)、モーションセンサー、画像センサー、及びマイクロフォンのうちの少なくとも1つを備え得る。モーションセンサーは、光学センサーからオペレータの動きデータを受信し、かつオペレータの身振りを制御信号として分類し得る。マイクロフォンは、音声データを受信し、かつオペレータの音声を制御信号として認識し得る。
【0088】
触覚デバイスは、追加の感覚出力(例えば、力フィードバック)をオペレータに提供するために、入力及び出力デバイスのうちの1つ以上に組み込まれ得る。例えば、触覚デバイスは、入力デバイス(例えば、タッチ表面)に対するオペレータ入力を確認するために、触覚応答(例えば、振動)を生成し得る。別の例として、触覚フィードバックは、オペレータ入力がパルス化電場デバイスによって無効にされることを通知し得る。
【0089】
いくつかの変形例では、ユーザーは、ユーザーインターフェースを介して、様々なセンサーデータについて目標値、目標範囲、予想される値、予想される範囲、閾値、閾値範囲、及び/又は同様のものを入力し得る。例えば、ユーザーは、ユーザーインターフェースを介して、近位収縮期圧、近位拡張期圧、PMAP、遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、DMAP、拡張可能部材圧、拡張可能部材容積などに関連付けられた目標値/予想される値/閾値を入力し得る。
【0090】
いくつかの変形例では、ユーザーインターフェースは、ユーザー血流状態、1つ以上の圧力波形のグラフ、近位圧、遠位圧、拡張可能部材容積、エラーなどをユーザーに対して表示し得る。いくつかの変形例では、ユーザーインターフェースは、少なくとも1つの警報をユーザーに対して表示し得る。警報は、テキスト、アイコン、それらの組み合わせなどの視覚的プロンプトであり得る。代替的に、入力データ、血流状態、警報、グラフなどは、トーン、話し言葉、それらの組み合わせなどの音声プロンプトを介してユーザーインターフェースに表示され得る。いくつかの変形例では、ユーザーインターフェースは、液晶表示(LCD)パネル、発光ダイオード(LED)アレイ、Eリンクゲートウェイ、又は数字、文字、グラフ、及び/又はアイコンを表示するための他の手段などの表示部を含み得る。いくつかの変形例では、ユーザーインターフェースは、単一のトーン、トーンのシーケンス、又は発音されたメッセージを生成する音声スピーカーなどの音声出力を含み得る。
【0091】
いくつかの変形例では、システムコントローラによって検出されたエラー及びシ伝送された警報(以下で更に記載される)は、重要度のレベル(例えば、エラーが血流制御システム及び/又は治療手技の効力に対してどれほど有害であり得るか)、及び/又は、例えば、高優先度警報、中優先度警報、及び低優先度警報など、緊急度によってランク付け及び分類され得る。いくつかの変形例では、異なる重要度レベル、及び/又は緊急度(例えば、高優先度警報、中優先度警報、及び低優先度警報)を伴う警報が、ユーザーインターフェースを介して、表示及び/又は伝送され得る。例えば、高優先度警報は、ユーザーの注意を引くような方法で、ユーザーインターフェースを介して表示及び/又は伝送され得る。例えば、赤いライトのアレイは、高優先度警報を示すために、ユーザーインターフェースを介して継続的に点滅し得る。追加的又は代替的に、高優先度警報を示し得る、大きな音声トーン又は音声トーンのシーケンスは、ユーザーインターフェースを介して伝送され得る。対照的に、例えば、低優先度警報は、赤いライトなどの色付きの点滅ライトのアレイなしで、ビジュアル表示部にテキストとして現れ得る。
【0092】
図8は、血圧測定値、拡張可能部材圧測定値、及び警告を表示する表示部を備えたユーザーインターフェースの例示的な変形例を示す。
図8では、手技が開始されてからの経過時間は、801として表示され得る。特定のセンサーデータに関連付けられた目標値及び/又は目標範囲は、ユーザーインターフェースを介して表現され得る。例えば、802は、治療的介入が成功するために血管が到達しなければならない目標血圧値を表現し得る。表示部はまた、測定された近位圧804a及び測定された遠位圧804b、並びに関連付けられた波形812a及び812bを含み得る。いくつかの変形例では、近位圧804a及び関連付けられた波形812aと、遠位圧804b及び関連付けられた波形812bとは、それらが互いに容易に区別されることができる方法で表示され得る。例えば、近位圧804a及び関連付けられた波形812aは、第1の色(例えば、赤)であり、他方、遠位圧804b及び関連付けられた波形812bは、第2の色(例えば、青)であり得る。いくつかの変形例では、表示部はまた、拡張可能部材圧806を含み得る。例えば、この例では、拡張可能部材圧806は、拡張可能部材が拡張可能部材の最大許容圧力の85パーセントに到達したことを示すパーセンテージ、例えば、85パーセントとして表示される。表示部は、例えば、「目標MAPに到達していない」などの任意の適用可能な警報808を更に含むことができる。
図8の表示部は目標MAPエラーを示しているが、本明細書に記載されたエラーのいずれかに関連付けられた警報は、そのような警報をユーザーに通信するために示され得ることを理解されたい。表示部は、この例では実線丸内に包含された数値(例えば、10)として示された、現在作動する警報又はエラーの数の指標814を更に含み得る。いくつかの変形例では、表示部は、矢印又は他の好適なグラフィック要素の形態であり得る、1つ以上のボタン801a及び801bを更に含み得る。ユーザーは、ポンプ108を作動させて拡張可能部材を膨張及び/又は収縮させるために、ボタンと相互作用し得る。例えば、801aを押すか又はクリックすることは、ポンプが拡張可能部材を膨張させ得、801bを押すか又はクリックすることは、ポンプが拡張可能部材を収縮させ得る。
【0093】
図2は、血流制御システム200(例えば、
図1における血流制御システム100と構造的及び/又は機能的に類似する)の例示的な変形例の概略図である。そこに示されるように、血流制御システム200は、血流制御デバイス204(例えば、
図1における血流制御デバイス104と構造的及び/又は機能的に類似する)と、システムコントローラ206(例えば、
図1におけるシステムコントローラ106と構造的及び/又は機能的に類似する)と、ポンプ208(例えば、
図1におけるポンプ108と構造的及び/又は機能的に類似する)と、ユーザーインターフェース250と、を含み得る。血流制御デバイス204は、拡張可能部材210(例えば、
図1における拡張可能部材110と構造的及び/又は機能的に類似する)と、細長い本体202(例えば、
図1における細長い本体102と構造的及び/又は機能的に類似する)と、近位センサー214と、遠位センサー216と、拡張可能部材センサー206と、を含み得る。いくつかの変形例では、血流制御デバイス204は、流量センサー252を更に備え得、システムコントローラ206は、気圧計255を備え得る。
【0094】
近位センサー214及び遠位センサー216は、血管内の血圧を測定するのに好適な任意のセンサーであり得る。いくつかの例では、近位センサー214及び遠位センサー216は、血流制御デバイス204の細長い本体202に統合され得る。近位センサー214及び遠位センサー216からの信号は、処理され、システムコントローラ206に送信され得る。例えば、近位センサー214及び遠位センサー216は、各々が、電源線218及び2本の出力線220である、3本の接続線に接続され得る。2本の出力線220は、バイアス回路222に接続され得る。バイアス回路222は、電源線118に電力を提供し、2本の出力線220に抵抗を提供し得る。2本の出力線220は、2本の出力線220の両端間に生成された差動電圧を増幅し得る増幅器224に結合され得る。増幅器224は、フィルタ226に結合され得る。フィルタ226は、増幅器224の出力からの高周波ノイズ及び/又は低周波ノイズを低減し得る。いくつかの変形例では、フィルタ226は、分割され得る(例えば、第1のローパスフィルタ、第2のローパスフィルタなど)。例えば、フィルタ226は、第1のローパスフィルタを含み得る。フィルタ226及び/又は第1のローパスフィルタの出力は、アナログデジタル変換器(ADC)228に結合され得る。ADC228の出力は、様々な速度及びサンプルサイズであり得る。ADCの出力は、いくつかの変形例では、システムコントローラ206に結合され得る第2のローパスフィルタに結合され得る。代替的に、ADCの出力は、システムコントローラ206に通信可能に結合され得る。したがって、システムコントローラ206は、近位収縮期圧、近位拡張期圧、及び現在のPMAPなどの近位平均、並びに遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、及び現在のDMAPなどの遠位平均を判定するために、近位センサー214及び遠位センサー216からのセンサーデータを処理し得る。近位平均及び遠位平均は、数心拍ごと又は数秒ごとに判定され得る。センサーの他の配列が可能であり得ることが容易に理解されるはずである。例えば、近位センサー214及び遠位センサー216は、構成要素のバイアス回路222、フィルタ226、増幅器224、又はADC228のうちの1つ以上と統合され得る。
【0095】
いくつかの変形例では、ユーザーは、ユーザーインターフェース250を使用して、目標血圧又は目標血圧範囲(例えば、目標DMAP又は目標DMAP範囲)を設定し得る。目標血圧は、ユーザーが意図する血圧の数値表現であり得る。したがって、血流制御システム200は、ポンプ208を作動させて、拡張可能部材210を拡張及び/又は収縮させて、測定された血圧(例えば、測定されたDMAP)が目標血圧に一致するか、又は目標血圧範囲(例えば、目標DMAP又は目標DMAP範囲)内に収まるまで増加又は減少し得るように、患者の血管を通る血流を妨げ得る。
【0096】
いくつかの変形例では、システムコントローラ206は、ユーザーインターフェース250に通信可能に結合され得る。ユーザーインターフェースは、圧力波形のグラフを表示し、血流状態を示し、その他を指示及び警報し得る。いくつかの変形例では、ユーザーインターフェース250は、ユーザーが目標値及び/又は目標範囲を入力することを可能にし得る。システムコントローラ206は、エラーを識別し、エラーに基づいて血流制御システム200の挙動を修正するために、目標値及び/又は目標範囲を使用して、以下で議論されるように、電源投入チェック試験、実行時チェック試験、及び生理学的コンディションチェックを実行し得る。
【0097】
システムコントローラ106によって判定される測定値
以下は、近位センサー、遠位センサー、拡張可能部材センサー、気圧計、ポンプ位置センサー、及び任意選択的に流量センサーからのセンサーデータに基づいて、システムコントローラ106によって判定され得る測定値の非限定的な例である。システムコントローラ106に関連して以下に記載されるが、測定値の又はそれ以上がデバイスコントローラ112によって判定され得ることを理解されたい。
【0098】
近位平均圧-近位平均圧測定値は、近位収縮期圧、近位拡張期圧、及び現在の近位平均動脈圧(PMAP)のうちの1つ以上を含む。いくつかの変形例では、PMAPは、時間窓にわたって近位センサーから受信された圧力サンプルの算術平均であり得る。例えば、非限定的な例として、800個の圧力サンプルが200Hzで4秒の時間窓にわたって捕捉された場合、PMAPは、800個のサンプルの算術平均であり得る。いくつかの変形例では、近位収縮期圧は、時間窓にわたって収集された圧力サンプルにおけるピークの平均であり得る。例えば、3つの完全な心拍が4秒の時間窓において現れた場合、近位収縮期圧は、3つのピーク値の算術平均であり得る。いくつかの変形例では、近位拡張期圧は、時間窓にわたって収集された圧力サンプルにおける谷の平均であり得る。例えば、近位拡張期圧は、4秒の時間窓に現れ得る3つの谷値の算術平均であり得る。
【0099】
近位平均圧が任意の好適な方法で計算され得ることは容易に明らかなはずである。例えば、時間窓にわたってサンプルを受信する代わりに、近位平均圧は、各心拍、2心拍、3心拍などの1つ以上の心拍について受信されたサンプルに基づいて、計算され得る。同様に、近位平均圧は、時間窓にわたって、及び/又は1つ以上の心拍中に受信された圧力サンプルの中央値、最頻値などであり得る。
【0100】
近位圧拍動性-近位圧拍動性は、定義された時間窓にわたる近位収縮期圧、近位拡張期圧、及び/又はPMAPの変更を示し得る。例えば、近位圧拍動性は、定義された期間にわたる近位収縮期圧、近位拡張期圧、及び/又はPMAPの各々/組み合わせの絶対差であり得る。例えば、近位圧拍動性は、近位収縮期圧と近位拡張期圧との間の算術差であり得る。いくつかの変形例では、近位圧拍動性は、時間窓にわたる近位収縮期圧、近位拡張期圧、及び/又はPMAPの各々の/それらの組み合わせの比であり得る。
【0101】
遠位平均圧-遠位平均圧測定値は、遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、及び現在の遠位平均動脈圧(DMAP)のうちの1つ以上を含む。いくつかの変形例では、DMAPは、時間窓にわたって遠位センサーから受信された圧力サンプルの算術平均であり得る。例えば、非限定的な例として、800個の圧力サンプルが200Hzで4秒の時間窓にわたって捕捉された場合、DMAPは、800個のサンプルの算術平均であり得る。いくつかの変形例では、遠位収縮期圧は、時間窓にわたって収集された圧力サンプルにおけるピークの平均であり得る。例えば、3つの完全な心拍が4秒の時間窓において現れた場合、遠位収縮期圧は、3つのピーク値の算術平均であり得る。いくつかの変形例では、遠位拡張期圧は、時間窓にわたって収集された圧力サンプルにおける谷の平均であり得る。例えば、遠位拡張期圧は、4秒の時間窓に現れ得る3つの谷値の算術平均であり得る。
【0102】
遠位平均圧が任意の好適な方法で計算され得ることは容易に明らかなはずである。例えば、時間窓にわたってサンプルを受信する代わりに、遠位平均圧は、各心拍、2心拍、3心拍などの1つ以上の心拍について受信されたサンプルに基づいて、計算され得る。同様に、遠位平均圧は、時間窓にわたって、及び/又は1つ以上の心拍中に受信された圧力サンプルの中央値、最頻値などであり得る。
【0103】
遠位圧拍動性-遠位圧拍動性は、定義された時間窓にわたる遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、及び/又はDMAPの変更を示し得る。例えば、遠位圧拍動性は、定義された期間にわたる遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、及び/又はDMAPの各々/組み合わせの絶対差であり得る。例えば、遠位圧拍動性は、遠位収縮期圧と遠位拡張期圧との間の算術差であり得る。いくつかの変形例では、遠位圧拍動性は、時間窓にわたる遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、及び/又はDMAPの各々の/それらの組み合わせの比であり得る。
【0104】
本明細書で言及される「血圧測定」は、近位収縮期圧、近位拡張期圧、PMAP、近位平均圧、近位圧拍動性、遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、DMAP、遠位平均圧、及び遠位圧拍動性のうちの1つ以上、又は1つ以上の組み合わせを含み得ることが容易に理解されるはずである。
【0105】
拡張可能部材圧-拡張可能部材圧測定値は、拡張可能部材110内の流体及び/又は圧縮ガスの圧力を示し得る。拡張可能部材圧測定値は、拡張可能部材センサーから得られたセンサーデータから判定され得る。
【0106】
拡張可能部材容積-拡張可能部材容積測定値は、拡張可能部材110に追加又は除去された流体及び/又は圧縮ガスの量(例えば、容積)を示し得る。いくつかの変形例では、拡張可能部材容積は、ステッパモータ(例えば、ポンプ108への作動機構)の動きを測定し得るエンコーダデータ(例えば、磁気エンコーダ、光学エンコーダなど)から判定され得る。
【0107】
拡張可能部材平均動脈圧-拡張可能部材平均動脈圧(拡張可能部材MAP)は、一定期間にわたる圧力サンプル(例えば、拡張可能部材の上からの圧力サンプル及び拡張可能部材の下からの圧力サンプル)の算術平均であり得る。例えば、拡張可能部材センサーは、拡張可能部材の上から、及び拡張可能部材の下から、拡張可能部材圧サンプルを取得し得る。拡張可能部材MAPは、これら2つの圧力サンプルの算術平均であり得る。非限定的な例として、800個の圧力サンプルが200Hzで4秒の時間窓にわたって捕捉された場合、拡張可能部材MAPは、800個のサンプルの算術平均であり得る。
【0108】
血流速度-血流速度測定値は、拡張可能部材110を通過して流れる血液の量又は速度を示し得る。いくつかの変形例では、血流速度は、流量センサーから得られたセンサーデータから判定され得る。代替的に、血流速度は、近位平均圧、遠位平均圧、拡張可能部材圧、拡張可能部材容積、及び拍動性の喪失又は遠位平均圧によって報告される波形の形状における変更などの様々な他の測定値に基づいて判定され得る。
【0109】
血流状態-血流状態は、血流制御デバイス(例えば、拡張可能部材)によって提供される血管の相対的閉塞を示し得る。別の言い方をすれば、血流状態は、血流制御デバイスが使用されている間の血管内の血流のレベル(例えば、高流量又は低流量)を示し得る。したがって、血流状態は、血管内で完全な閉塞があるか、部分的な閉塞があるか、又は閉塞がないかを示し得る。いくつかの変形例では、本明細書に記載されたシステム及び方法は、「閉塞」及び「流れ」である、2つの血流状態を利用し得る。血流状態は、拡張可能部材圧、拡張可能部材のセンサーデータの変更率、拡張可能部材圧の拍動性又は周期的変更、拡張可能部材容積、様々な時点での拡張可能部材容積の比較、遠位平均圧によって報告される拍動性の喪失又は波形の形状の変更を含むが、これらに限定されないセンサーデータの組み合わせに基づいて判定され得る。
【0110】
「閉塞」状態及び「流れ」状態が利用される変形例では、システムは、血流速度を閾値と比較することによって、どの状態が適用可能であるかを判定し得る。例えば、血流速度が閾値未満であるときに、血流状態は、「閉塞」であると指定され得、血流速度が閾値を超えるときに、血流状態は、「流れ」であると指定され得る。別の変形例では、システムは、例えば、遠位収縮期圧とDMAPなど、2つの血圧測定値の差を使用して血流状態を判定し得る。この差は、1つ以上の閾値と比較され得、血流状態は、圧力差が閾値を下回る場合、「閉塞」であると指定され得、圧力差が同じ又は異なる閾値を上回る場合、「流れ」であると指定され得る。例えば、一変形例では、血流状態を判定するために利用される血圧測定値は、遠位収縮期圧及びDMAPであり得る。この変形例では、遠位収縮期圧とDMAPとの間の差が約2mmHg未満である場合、血流状態は、「閉塞」として指定され得る。しかしながら、遠位収縮期圧とDMAPとの間の差が約4mmHgより大きい場合、血流状態は、「流れ」と指定され得る。遠位収縮期圧とDMAPとの間の差が約2mmHg~約4mmHgである場合、血流状態は、任意選択的に、例えば、「低流量」などの第3の状態として指定され得る。
【0111】
上記の例では、血流状態を「閉塞」として指定する血流速度、及び血流状態を「流れ」として指定する血流速度は、動物データを使用して行われた試験から導出された。
【0112】
血流速度が判定されないときに、血流状態は、不確定として指定され得るか、又は/又は警報は、閉塞をチェックするためにユーザーに提供され得る。いくつかの変形例では、上述されたように、追加の状態は、血流状態について指定され得る。例えば、2つの状態(「閉塞」及び「流れ」)の代わりに、例えば、「高流量」及び/又は「低流量」など、様々なレベルの流れを示すいくつかの追加の状態が存在し得る。これらの追加の状態は、「閉塞」状態及び「流れ」状態に関して上記で記載されたように、閾値を使用して判定され得る。
【0113】
いくつかの変形例では、血流制御システム100は、異なる血流状態での経過時間を判定するためのタイマーを含み得る。別の言い方をすれば、各血流状態における時間の量は、血流制御システム100によって測定及び/又は記録され、ユーザーインターフェースを介してユーザーに報告され得る。
【0114】
合計経過時間-合計経過時間は、血流制御システム100の使用開始からの経過時間を示し得る。例えば、合計経過時間は、血流制御システム100がオンにされた時点からの経過時間を示し得る。代替的に、合計経過時間は、血流制御システム100を使用する治療手技の開始からの経過時間を示し得る。例えば、合計経過時間は、拡張可能部材110が患者の血管内に前進された時点からの経過時間を示し得る。
【0115】
閉塞時の合計時間-「閉塞」での合計時間は、血流状態が「閉塞」として指定され得る時間の量を示し得る。いくつかの変形例では、血流状態が単一の手技中に複数回「閉塞」として指定される場合、「閉塞」での合計時間は、血流状態が「閉塞」として指定される度毎の累積合計であり得る。いくつかの変形例では、血流状態が「閉塞」として指定される度毎に、「閉塞」での合計時間は、閉塞状態で費やされた時間の量を示し得る。例えば、システムが3分間「閉塞」の血流状態を、続いて3分間「流れ」の血流状態を、続いて2分間「閉塞」の血流状態を検出した場合、システムは、「閉塞」での合計時間を5分と計算する。
【0116】
閉塞でない時の合計時間-「閉塞」でない時の合計時間は、血流状態が「閉塞」として指定することができない時間の量を示し得る。いくつかの変形例では、血流状態が単一の手技中に複数回「閉塞」として指定される場合、「閉塞」でない時の合計時間は、血流状態が「閉塞」として指定されない度毎の累積合計であり得る。いくつかの変形例では、血流状態が「閉塞」として指定されない度毎に、その状態(すなわち、閉塞状態ではない)に費やされた合計時間は、閉塞でない時の合計時間を示し得る。例えば、システムが3分間「閉塞」の血流状態を、続いて2分間不確定状態を、続いて3分間「流れ」状態を検出した場合、システムは、「閉塞」ではない合計時間を5分と計算する。
【0117】
拡張可能部材110の自動的制御
いくつかの変形例では、血流制御システムは、自動モードで、及び手動モードで動作するように構成され得る。自動モードでは、システムコントローラ106は、拡張可能部材を膨張及び収縮させるために、ポンプ108の作動機構を制御し得る。したがって、拡張可能部材の容積は、システムコントローラ106によって制御され得る。
【0118】
手動モードでは、システムコントローラ106は、ポンプの作動機構を自律的に制御できない。代わりに、システムコントローラ106は、ポンプの作動機構に動作可能及び/又は通信可能に結合され得る1つ以上のボタン(例えば、システムコントローラの表面上、ユーザーインターフェース上など)を含み得る。ユーザーは、拡張可能部材を膨張及び収縮するように作動機構を制御するために、1つ以上のボタンを押し得る。したがって、手動モードは、拡張可能部材110を制御するためにユーザー入力を必要とする。手動動作モードは、ユーザーがシステムコントローラ106を使用せずにポンプを「手動で」制御することとは異なることが容易に明らかなはずである。手動動作モードでは、ユーザーは、拡張可能部材を膨張及び収縮させるために、システムコントローラ106を使用し得る。対照的に、システムコントローラ106が血流制御システムの動作をシャットダウンし得る例では、ユーザーは、血流制御システムからポンプ108を取り外し得、コントローラ106又は血流制御システムのユーザーインターフェースを使用せずに拡張可能部材を「手動で」膨張及び収縮させ得る。
【0119】
拡張可能部材を自動的に制御するために、いくつかの変形例では、システムは、目標血圧又は目標血圧範囲を受信し得る。いくつかの変形例では、目標血圧及び/又は目標血圧範囲は、ユーザーインターフェースを介してユーザーによってシステムコントローラ106に提供され得る。代替的に、システムコントローラ106は、以前のデータの分析に基づいて、目標血圧及び/又は目標血圧範囲を自動的に予測し得る。例えば、システムコントローラ106は、患者が以前に安定していた間の圧力範囲を判定し得る。目標範囲は、この判定に基づいて判定され得る。例えば、非限定的な例では、遠位圧が25mmHgであると判定され、近位平均圧が安定していた場合、遠位目標圧力は、25mmHgと決定され得、及び/又は安定性が示された近位平均圧範囲は、近位平均圧について目標圧力範囲として判定され得る。目標血圧又は目標血圧範囲は、拡張可能部材110の治療的介入によって血管内で達成される血圧を示し得る。エラーコンディションの不存在では、システムコントローラ106は、患者の現在の血圧を測定又は判定し、測定又は判定された血圧を目標血圧又は範囲と比較し得る。測定された血圧が目標血圧よりも高いか低いか、又は目標血圧範囲から外れる場合、システムコントローラ106は、目標血圧又は目標血圧範囲内の値を達成するために、拡張可能部材110のサイズ、又は拡張可能部材のサイズをどのように調整するかを判定し得る。
【0120】
血圧は、近位収縮期圧、近位拡張期圧、近位圧拍動性、PMAP、遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、遠位圧拍動性、及び/又はDMAPを含むが、これらに限定されない、任意の数の血圧値を含み得る。
【0121】
例えば、一変形例では、拡張可能部材を自動的に制御するために使用される血圧は、DMAPであり得る。この変形例では、システムは、目標DMAPを受信し得(例えば、ユーザーは、ユーザーインターフェースを介して目標DMAPを設定し得る)、システムは、(例えば、遠位センサーデータに基づいて)患者の現在のDMAPを測定し得る。現在のDMAPが目標DMAPよりも高い場合、システムコントローラ106は、所望のDMAPを達成する拡張可能部材110のサイズを判定し得る。例えば、膨張可能なバルーンを備える変形例では、システムコントローラ106は、現在測定されたDMAPを目標DMAPにするために拡張可能部材110に注入される流体及び/又は圧縮ガスの量を判定し得る。次いで、システムコントローラ106は、ポンプ108が判定された量の流体及び/又は圧縮ガスを拡張可能部材110に注入するように、ポンプ108に関連付けられた作動機構を制御し得る。拡張可能部材110のこの膨張は、拡張可能部材110を通過して流れる血液を減少させ、したがって現在のDMAPを減少させ得る。逆に、現在のDMAPが目標DMAPよりも低い場合、システムコントローラ106は、現在のDMAPが目標DMAPと一致するように、拡張可能部材110から除去される流体及び/又は圧縮ガスの量を判定し得る。次いで、システムコントローラ106は、ポンプ108が判定された量の流体及び/又は圧縮ガスを拡張可能部材110から除去するように、ポンプ108に関連付けられた作動機構を制御する。拡張可能部材110の容積が減少すると、より多くの血液は、拡張可能部材110を通過して流れ得、現在のDMAPは、増加し得る。このようにして、血流制御システム100は、現在のDMAPが目標DMAPと一致するか、又は目標DMAP範囲内になるまで増加又は減少するように、患者内の血流を妨害又は許容するために必要に応じて拡張可能部材110のサイズを調整する(例えば、拡張可能部材110を膨張又は収縮させる)ために、ポンプ108を作動させ得る。
【0122】
いくつかの変形例では、遠位センサーは、拡張可能部材110が膨張するにつれて、拍動性の低下を示し得る。拍動性は、拡張可能部材110が血管の壁に対してより大きく対抗するにつれて減少し続け得る。遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、及び拡張可能部材110内の圧力の増加率の変更における拍動性の喪失と、現在のPMAPの増加との関係は、全て独立して完全な血管閉塞を予測し得る。
【0123】
エラーの検出
上述されたように、いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、(上記の)センサーデータから取得又は判定された1つ以上の測定値を、目標血圧範囲及び/又は目標血圧値と比較し得る。測定値が目標血圧に一致しない、及び/又は目標血圧範囲から外れる場合、システムコントローラ106は、後続の測定値が目標血圧に到達する、及び/又は目標血圧範囲に収まるように、拡張可能部材110の拡張及び/又は収縮を調整し得る。しかしながら、拡張可能部材110を調整した後、後続の測定値が依然として目標血圧に到達しない、及び/又は依然として目標血圧範囲から外れる場合、システムコントローラ106は、エラーコンディションを検出し得る。検出されたエラーコンディション/エラーのタイプに基づいて、システムコントローラ106は、血流制御システム100の少なくとも1つの機能を阻止し得、及び/又はユーザーに警報を提供し得る。
【0124】
血流制御システムの少なくとも1つの機能の阻止
上述されたように、特定のエラーコンディションが検出されたときに、システムコントローラ106は、血流制御システム100の少なくとも1つの機能を阻止し得る。いくつかの変形例では、血流制御システム100の少なくとも1つの機能の阻止は、システムをシャットダウンすることを含み得る。そのような変形例では、ユーザーは、血流制御システム100からポンプを取り外し得、拡張可能部材110を手動で膨張及び収縮させ得る。他の変形例では、血液制御システムの少なくとも1つの機能の阻止は、システムを自動モードから手動モードに移行させることを含み得る。いくつかの変形例では、少なくとも1つの機能を阻止することは、拡張可能部材110の自動膨張及び/又は自動収縮を阻止することを含み得る。例えば、拡張可能部材圧が最大膨張値に到達する場合、少なくとも1つの機能を阻止することは、自動膨張を阻止するが、拡張可能部材110を自動的に収縮させ続けることを含み得る。いくつかの変形例では、血流制御システムの少なくとも1つの機能を阻止することは、例えば、ポンプ関連動作(例えば、作動機構、ポンプに動作可能に結合されたモータ、ポンプに電力供給するバッテリー、血流制御システムへの外部バッテリー、及び/又はシステムコントローラ106)などの血流制御システムの構成要素を無効にすることを含み得る。いくつかの変形例では、構成要素が無効になっている場合でも、ユーザーインターフェースは、波形、圧力、近位平均圧、遠位平均圧、拡張可能部材圧、血流制御システムのバッテリーの状態などを表示し得る。いくつかの変形例では、構成要素が無効になるときに、構成要素及び/又はシステム全体がリセットされるまで(例えば、ユーザー入力によって、システムの再起動によって、など)、もはやシステムにおいて使用されることができなくなる。
【0125】
血流制御システムのシャットダウン
システムシャットダウン(システムがシャットダウンモードに入る)における結果をもたらし得る様々なエラーがある。例えば、いくつかの変形例では、エラーが、血流制御デバイス104を使用する前に(例えば、拡張可能部材110を患者の血管に配置する前に)、血流制御デバイス内を含む血流制御システム内の1つ以上の構成要素の損傷(例えば、遠位センサー、近位センサー、拡張可能部材センサーなどの損傷)に関連している場合、システムコントローラ106は、血流制御システム100をシャットダウンし得る。別の例として、血流制御デバイス104の使用中(例えば、治療処置中)に、拡張可能部材110が最大膨張及び/又は最大位置に到達したことを示すエラーが検出された場合、システムコントローラ106は、拡張可能部材110の自動膨張、及び/又は自動収縮をそれぞれ阻止し得る。
【0126】
本明細書で使用される場合、システムシャットダウンは、血流制御システム100の全部又は一部の使用を防止することを指す(例えば、オフにすることによって、又は別な方法で)。血流制御システムのシャットダウンに続いて、ユーザーインターフェース及び/又はコントローラは、血流制御デバイスを制御するためにもはや機能しなくなり得、ユーザーインターフェースは、センサーからのデータをもはや提供しなくなり得る。いくつかの変形例では、血流制御システムのシャットダウンに続いて、コントローラは、機能し得ず、しかしながら、ユーザーインターフェース及び/又はセンサーは、機能し得る。そのような変形例では、ユーザーインターフェースは、センサーデータを表示し得、しかしながら、コントローラは、拡張可能部材の膨張及び収縮を制御することができない。これらの変形例では、拡張可能部材の膨張及び収縮は、例えば、シリンジを手によって作動させることによって、(コントローラを介するのと対照的に)手によって実行され得る。
【0127】
したがって、ユーザーが血流制御デバイスで治療を提供し続けたい場合、ユーザーは、ポンプ108をシステム制御デバイス106から分離する(例えば、システムコントローラ106によって制御される作動機構からポンプ106を分離する)必要があり得る。追加的に、血流制御システムは、もはや測定データを提供しないか、シャットダウン中にシステムを使用して血流制御デバイスの制御及び/又は調整を可能にしないので、ユーザーは、患者の生理学的コンディションを手動で監視し、拡張可能部材のサイズ(例えば、ポンプを使用して流体及び/又は圧縮ガスを手動で注入及び/又は除去することによって)を手動で調整する必要があり得る。
【0128】
自動モードから手動モードへの移行
追加的又は代替的に、システムが自動モードから手動モードに自動的に移行する結果となり得る様々なエラーがある。自動モードでは、拡張可能部材110の調整及び/又は制御(例えば、拡張及び収縮)は、システムコントローラ106によって自動的に制御され得る。例えば、自動モードでは、システムコントローラ106は、システム内の1つ以上のセンサーから受信されたデータに基づいて、拡張可能部材110に注入又は除去され得る流体及び/又は圧縮ガスの量を制御するために、ポンプ108に関連付けられた作動機構を自動的に制御し得る。対照的に、手動モードでは、拡張可能部材110の調整及び/又は制御は、システムコントローラ106を使用して手動で制御され得る。例えば、ユーザーは、本明細書でより詳細に記載されるように、例えば、ボタンなどのユーザー入力部を備えるユーザーインターフェースを使用して拡張可能部材110のサイズを制御し得る。ユーザー入力部は、ポンプ108を(例えば、作動機構を介して)制御し得るシステムコントローラ106と通信し得る。別の言い方をすれば、ユーザーは、システムコントローラ106及びポンプ108を使用して(例えば、ユーザーインターフェースを介したユーザー入力の結果として、システムコントローラ106は、ポンプ108を作動させ得る)、拡張可能部材110の拡張及び/又は収縮を手動で調整するために、ユーザーインターフェースを利用し得る。
【0129】
したがって、システムがシャットダウンされるときとは対照的に、手動モードでは、センサーの1つ以上(例えば、全て)からの測定値及び/又は他のデータは、例えば、ユーザーインターフェースを介してユーザーに提供され続け、システムコントローラ106は、手動ではあるが、拡張可能要素のサイズを制御するために機能し続ける。ユーザーは、例えば、ユーザーインターフェースを介してシステムに情報を提供し得、例えば、ユーザーインターフェース上のユーザー入力部を使用して拡張可能部材110のサイズを手動で制御し得、その結果、システムコントローラ106がポンプ108を作動させることになる。手動モードでは、システムコントローラ106は、センサーデータに基づいて、拡張可能部材110のサイズを自動的に調整しない。これは、追加的に、システムがデータを受信して表示するか、又は別な方法でユーザーに提供するだけでなく、受信されたデータに基づいて、拡張可能部材110のサイズを、追加的に、自動的に制御する自動モードとは対照的である。
【0130】
システムコントローラ106が手動モードに移行するときに、システムコントローラ106は、ポンプ108の作動機構の自動制御を停止する。手動モードでは、ユーザーは、拡張可能デバイス110の拡張及び収縮を調整するために、ポンプ108を作動させるためにシステムコントローラ106の押しボタンを押し得る。このようにして、ポンプ108の作動機構は、システムコントローラ106を使用して手動で制御され得る。
【0131】
ユーザーへの警報の伝送
システムはまた、システムがユーザーに警報を提供する結果となる様々なエラーを検出し得るが、別な方法でシステムの機能を阻止しない。しかしながら、いくつかの変形例では、システムは、システムがユーザーに警報を提供すること、及びユーザーがシステムに自動調整を再開するように指示するまで、システムが拡張可能部材のサイズの自動調整を阻止することの両方の結果をもたらす1つ以上のエラーを検出し得る。これらのエラーが発生するときに、システムは、手動モードに自動的に移行することはできないが、追加のユーザー入力が提供されるまで拡張可能部材110のサイズ/位置を一定に保持し得る。
【0132】
更に指示されるまで拡張可能部材のサイズを維持するかどうかに関係なく、ユーザーに警報を伝送する結果となり得るエラーの例は、ユーザー定義されたエラー(例えば、表面的に不正確若しくは異常な目標血圧又は目標血圧範囲設定する)を含むが、これらに限定されない。
【0133】
エラーのタイプ
上述されたように、血流制御システム100は、様々なエラーを識別し得る。これらのエラーは、発送中の血流制御システム100内の1つ以上の構成要素の損傷に起因、及び/又は構成要素の継続的な摩損に起因し得る。追加的又は代替的に、これらのエラーはまた、治療手技を実行する際の問題(例えば、拡張可能部材110を望ましくない又は不適切な部位に配置すること、拡張可能部材110を患者の身体に挿入する際の問題、他のデバイス(例えば、電気焼灼デバイス)との電気的干渉、凝固、センサーへの損傷、間違った目標値の設定など)のために起こり得る。
【0134】
血流制御システム100によって検出される様々なエラーのいくつかの非限定的な例は、電源投入チェック中に検出されたエラー、拡張可能部材110の挿入中に検出されたエラー、及び実行時中(例えば、治療使用中)に検出されたエラーを含む。
【0135】
電源投入チェック
いくつかの変形例では、1つ以上のコントローラ(例えば、
図1のシステムコントローラ106)は、血流制御システム100がユーザーによって最初にオンにされたときに、電源投入チェック試験を実行し得る。例えば、血流制御システム100が初めてオンにされたとき、システムコントローラ106は、1つ以上の電源投入チェック試験を自動的に開始し得る。電源投入チェック試験は、例えば、発送中に血流制御システム100に損傷又は劣化があったかどうかを判定することなど、血流制御システム100上の様々なチェックを含み得る。いくつかの変形例では、センサー(例えば、近位センサー、遠位センサー、拡張可能部材センサーなど)は、センサーデータをシステムコントローラ106に伝送し得る。システムコントローラ106は、近位平均圧、遠位平均圧、拡張可能部材圧、それらの組み合わせ、及び/又は同様のものなどの測定値を使用して、電源投入チェックを行い得る。
【0136】
センサー損傷
パワー点検試験は、血流制御システム内の1つ以上のセンサーが損傷しているか、又は機能していないかどうかを判定することを含み得る。いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、近位センサーからの近位平均圧、遠位センサーからの遠位平均圧、気圧計からの雰囲気圧、及び/又は拡張可能部材センサーからの拡張可能部材圧のうちの1つ以上を受信し得る。閾値及び/又は閾値範囲は、近位平均圧、遠位平均圧、雰囲気圧、及び/又は拡張可能部材圧に割り当てられ得る。例えば、ユーザーは、ユーザーインターフェースを介して閾値及び/又は閾値範囲を入力し得る。代替的に、システムコントローラ106は、閾値及び/又は閾値範囲を判定し、続いてそれらをそれぞれの測定値に割り当て得る。システムコントローラ106は、1つ以上の測定値をそれぞれの閾値及び/又は閾値範囲と比較し得る。例えば、システムコントローラは、近位平均圧を閾値近位平均圧と比較し、遠位平均圧を閾値遠位平均圧と比較し、雰囲気圧を閾値雰囲気圧と比較し、拡張可能部材圧を閾値拡張可能部材圧と比較し得る。代替的に、システムコントローラ106は、測定値の1つ以上の組み合わせを組み合わせられた閾値範囲と比較し得る。例えば、システムコントローラ106は、遠位平均圧及び近位平均圧の関数を、組み合わせられた閾値及び/又は閾値範囲と比較し得る。測定値がそれぞれの閾値及び/又は閾値範囲から外れる場合、システムコントローラ106は、センサー損傷を示すエラーを識別し得る。このエラーの検出に応答して、システムコントローラ106は、例えば、システムをシャットダウンすることによって、血流制御システム100の機能を阻止し得る。
【0137】
図3は、ユーザーが初めて血流制御システム100の電源を入れたときのセンサー損傷を判定する試験を含む、様々な電源投入チェック試験についてのフロー図の例示的な変形例である。300で、血流制御システム100は、初めてオンにされ得る。いくつかの変形例では、310で、電源投入チェック試験中に、システムコントローラ106は、近位平均圧、遠位平均圧、拡張可能部材圧、及び/又は1つ以上の気圧計からのデータを目標値又は目標範囲と比較し得る。320で、システムコントローラ106は、PMAP、DMAP、拡張可能部材圧、及び/又は気圧計からのデータが目標値若しくはそれに近い値であるか、及び/又はそれらのそれぞれの目標範囲内にあるかどうかを識別し得る。PMAP、DMAP、拡張可能部材圧、及び/又は気圧計からのデータが目標値若しくは目標値に近くない、及び/又は目標範囲内にない場合、これは、1つ以上のセンサーが損傷している場合があること(例えば、発送中に破損している場合がある)を示し得る。
【0138】
例えば、細長い本体102を患者の身体内に挿入する前に、PMAP、DMAP、及び気圧計からのデータは、ほぼ同じであり得る。電源投入時の気圧計からのPMAP、DMAP、及び/又は圧力の値は、「ゼロオフセット」とみなされ得る。身体内に挿入されるときに、患者の血圧(例えば、近位センサー及び遠位センサーからのデータ)は、その値と「ゼロオフセット」との算術差であり得る。
【0139】
いくつかの変形例では、電源投入中に、PMAP、DMAP、及び/又は気圧計の値のいずれかが互いに異なり得る場合、1つ以上のセンサーが損傷している場合があることを示し得る。いくつかの変形例では、センサーデータからの測定値がショート(例えば、電圧がゼロ)又はオープン(例えば、電圧が最大)を示す場合、これは、1つ以上のセンサーが損傷され得ることを示し得る。325で、このエラーの検出に応答して、システムコントローラ106は、例えば、システムをシャットダウンすることによって、血流制御システム100の機能を阻止し得る。
【0140】
拡張可能部材の損傷
いくつかの変形例では、電源投入チェック試験は、拡張可能部材の完全性をチェックすることを更に含み得る。システムコントローラ106は、少量の流体及び/又は圧縮ガスを拡張可能部材110に注入するために、ポンプ108を作動させ得る。注入される流体及び/又は圧縮ガスの量は、位置センサーを使用して、及び/又はエンコーダを使用して測定され得る。拡張可能部材への流体及び/又は圧縮ガスの注入に応答して、システムコントローラ106は、拡張可能部材圧センサーから拡張可能部材圧を受信し得る。システムコントローラは、拡張可能部材圧を予想される圧力と比較し得る。いくつかの変形例では、ポンプ108がまだ血流制御システム100に取り付けられていない場合、予想される圧力変更は、ゼロであり得る。いくつかの変形例では、ポンプ108が血流制御システム100に取り付けられているが、活栓が開かれていない場合、予想される圧力変更は、依然としてゼロであり得る。いくつかの変形例では、活栓が開いている場合、予想される圧力変更は、例えば、100ミリ秒にわたって100μLのポンプで約20mmHgであり得る。拡張可能部材圧が予想される圧力と一致しない場合、システムコントローラ106は、拡張可能部材への損傷を示すエラーを識別し得る。このエラーの検出に応答して、システムコントローラ106は、例えば、システムをシャットダウンすることによって、血流制御システム100の機能を阻止し得る。
【0141】
例えば、
図3に戻ると、330で、電源投入チェック試験は、ポンプ108に少量の流体及び/又は圧縮ガスを拡張可能部材110に注入させることを更に含み得る。340で、システムコントローラ116は、拡張可能部材110に注入された流体及び/又は圧縮ガスの量に基づいて、拡張可能部材圧が予想される量を変更したかどうかを判定し得る。ステップ340で、拡張可能部材圧が予想されるレベルに従わない場合、これは、エラーを示し、ステップ345で、血流制御システムは、シャットダウンされる。
【0142】
例えば、活栓弁が開かれた後、ポンプ108では、100ミリ秒にわたって100μLの意図された移動で拡張可能部材圧に20mmHg未満のスパイクが見られた場合、これは、拡張可能部材の漏れを示し得る、拡張可能部材圧が予想されるよりも低い速度で増加していることを示し得る。
【0143】
ステップ350で、電源投入チェック試験は、ポンプ108に少量の流体及び/又は圧縮ガスを拡張可能部材110から除去させることを含み得る。360で、システムコントローラ116は、拡張可能部材110から除去された流体及び/又は圧縮ガスの量に基づいて、拡張可能部材圧が予想される量を変更したかどうかを判定し得る。ステップ360で、拡張可能部材圧が予想されるレベルに従わない場合、システムコントローラ106は、拡張可能部材への損傷を示すエラーを検出し得る。上述されたように、拡張可能部材圧に予想されるスパイクが検出されない場合、それは、拡張可能部材への機械的損傷を示し得る。対照的に、拡張可能部材圧へのスパイクが高すぎる場合、それは、拡張可能部材の流体経路及び/又は圧縮ガス経路における閉塞を示し得る。拡張可能部材へのスパイクが予想されるスパイクよりも低い場合、それは、流体経路及び/若しくは圧縮ガス経路並びに/又は拡張可能部材に漏れがあることを示し得る。365で、血流制御システムは、シャットダウンし得る。
【0144】
コントローラのバッテリー低下
いくつかの変形例では、他の電源投入チェック試験は、バッテリー駆動の推定残り動作時間を判定することを含み得る。システムコントローラ116は、バッテリー電圧降下を閾値と比較し得る。電圧が閾値を下回る場合、システムコントローラ116は、ユーザーインターフェースを介してそのことを示す警報をユーザーに伝送し得る。
【0145】
コントローラの高温
いくつかの変形例では、電源投入チェック試験は、システムコントローラ116の内部温度が所定の閾値(例えば、摂氏40度)よりも高いかどうかを判定することを含み得る。内部温度が所定の閾値より高い場合、システムコントローラ116は、そのことを示す警報をユーザーに伝送し得る。
【0146】
音声エラー
いくつかの変形例では、電源投入チェック試験は、音声エラーを判定することを含み得る。例えば、血流制御システム100が可聴信号を放出又は制御できない場合、血流制御システム100は、ユーザーにエラーを通知する警報をユーザーに(例えば、ユーザーインターフェースを介して)伝送し得る。
【0147】
特定の順序で上記で記載されたが、電源投入チェック試験は任意の順序で実行され得、記載された順序で実行する必要はなく、システムは全ての治療手技について全ての電源投入チェック試験を実行する必要はないことを理解されたい。
【0148】
実行時チェック
いくつかの変形例では、電源投入チェック試験の完了後、ユーザーは、例えば、ユーザーインターフェースを介して、拡張可能部材110を患者の血管(例えば、動脈、大動脈など)に挿入することを指示され得る。この時点で、システムコントローラ116は、実行時システムチェックを作動させ得る。
【0149】
実行時チェックは、治療手技中に実施され得、その全て又は任意の部分の間で使用され得る。例えば、実行時チェックは、拡張可能部材110が患者の血管に挿入される際に、利用され得る。追加的又は代替的に、実行時チェックは、拡張可能部材110が血管内の所望の部位に位置付けられ、血管内の血流を制御するために使用された後、利用し得る。いくつかの変形例では、センサー(例えば、近位センサー、遠位センサー、拡張可能部材センサーなど)は、センサーデータをシステムコントローラ106に伝送し得る。システムコントローラ106は、例えば、近位平均圧、遠位平均圧、拡張可能部材圧、それらの組み合わせ、及び/又は同様のものなど、本明細書に記載された測定値のいずれかを使用して、実行時チェックを行い得る。
【0150】
通信エラー
いくつかの変形例では、電源投入チェック試験は、通信エラーを判定することを含み得る。いくつかの変形例では、デバイスコントローラ112がシステムコントローラ106に結合されるとすぐに、システムコントローラは、(例えば、1秒ごとに)通信エラーチェックを実行し得る。いくつかの変形例では、センサーデータは、システムコントローラ106で定期的に(例えば、1、2、3、4、5、6秒又はそれ以上ごとなどの数秒ごとに、その中の全ての値及び部分範囲を含む)受信され得る。いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、センサーデータから定期的に(例えば、数秒ごとに、及び/又は設定された期間内に)測定値を取得し得る。定期的方法で(例えば、設定された期間内に)測定値を取得することへの失敗は、システムコントローラ106と1つ以上のセンサーとの間の通信の問題を示し得る。したがって、システムコントローラ106がセンサーデータから1つ以上の測定値を定期的に取得できない場合、システムコントローラ106は、通信エラーを検出し得る。このエラーの検出に応答して、コントローラは、警報及び/又はエラーメッセージをユーザーに伝送し得る。ユーザーは、血流制御システム100からポンプを取り外さなければならない場合があり、拡張可能部材を手動で膨張及び/又は収縮させなければならない場合がある。
【0151】
一実施例では、最大3秒間の現在のDMAP又は現在のPMAPを取得することの失敗は、エラーのきっかけとなり得る。これに応答して、システムコントローラ106は、拡張可能部材の自動膨張及び/又は収縮を阻止し得る。ユーザーは、拡張可能部材を手動で膨張及び/又は収縮させなければならない場合がある。別の例では、最大1秒間の拡張可能部材圧を取得することの失敗は、システムコントローラ106に、ユーザーが拡張可能部材を手動で膨張及び/又は収縮させなければならない場合があるように、拡張可能部材の自動制御を阻止させ得る。
【0152】
挿入シーケンスエラー
使用において、本明細書に記載された血流制御デバイスの拡張可能部材110は、患者の血管系を通って前進され、標的血管に挿入され得る。拡張可能部材110は、治療的介入を提供するために、血管内の所望の部位に位置付けられ得る。時々、拡張可能部材110を特定の血管に挿入するというユーザーの意図にもかかわらず、ユーザーは、拡張可能部材110を異なる部位に不注意に挿入し得る。したがって、本明細書に記載された血流制御システムは、拡張可能部材110の挿入時に検出され得る挿入シーケンスエラーを含み得る。
【0153】
拡張可能部材を所望の部位に位置付けることに応答して、システムコントローラ106は、1つ以上のセンサーからセンサーデータを受信し得る。例えば、システムコントローラ106は、近位平均圧、遠位平均圧、及び/又は気圧計データを受信し得る。いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、挿入シグネチャを生成するために、近位平均圧、遠位平均圧、及び気圧計データを組み合わせ得る。他の変形例では、システムコントローラ106は、挿入シグネチャを生成するために、近位平均圧と遠位平均圧だけを組み合わせ得る。次いで、システムコントローラ106は、治療的介入のための所望の部位(例えば、動脈血管、大動脈)に基づいて、生成された挿入シグネチャを予想される挿入シグネチャと比較し得る。いくつかの変形例では、予想される挿入シグネチャは、予想される近位平均圧、予想される遠位平均圧、及び予想される気圧計の読み取り値のうちの1つ以上を組み合わせた閾値であり得る。挿入シグネチャが一致しない場合、又は生成された挿入シグネチャが閾値範囲内にない場合、システムコントローラ106は、挿入シーケンスエラーを検出し得る。いくつかの変形例では、拡張可能部材が正しい部位にない場合、生成された挿入シグネチャは、最新のものではないことがあり得、システムコントローラ106は、挿入シーケンスエラーを検出し得る。このエラーの検出に応答して、システムコントローラ106は、血流制御システムの機能を阻止し得る。例えば、システムコントローラ106は、システム100をシャットダウンし得、又はシステムを手動モードにして、システムが自動モードに入いることを防止し得る。別の言い方をすれば、システムコントローラ106は、システムが手動モードに入ることを許可し得るが、システムが自動モードに入ることを防止又は阻止し得る。いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、適切な配置のユーザー確認が受信されるまで、システムが自動モードに入ることを阻止し得る。
【0154】
例えば、概して、拡張可能部材110が血管に挿入されるときに、近位平均圧は、増加し得、遠位平均圧は、減少し得る。いくつかの変形例では、生理学的コンディションのこれらの変更は、拡張可能部材の初期膨張後に見られ得る。例えば、近位平均圧の増加及び遠位平均圧の減少は、拡張可能部材110の挿入に続く初期膨張の直後又は直ぐ後に見られ得る。しかしながら、気圧計は、雰囲気圧にほとんど又はまったく変更を示さない場合がある。近位平均圧への増加及び遠位平均圧の減少と、気圧計読み取り値に変更がないことの組み合わせは、挿入シグネチャを示し得る。いくつかの変形例では、近位平均圧及び遠位平均圧の拍動波形は、挿入シグネチャを示し得る。いくつかの変形例では、遠位MAPが近位MAPよりもわずかに高い場合、それは、拡張可能部材が不適切な部位に挿入されていることを示し得る。いくつかの変形例では、遠位拍動性が近位拍動性よりもわずかに高い場合、それは、拡張可能部材が不適切な部位に挿入されていることを示し得る。これらの例では、近位は細長い本体102の先端であり、遠位は細長い本体の拡張可能部材の端であり得ることにここで再び留意されたい。
【0155】
図4は、挿入シーケンスエラーについての実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。410で、システムコントローラ106は、挿入シグネチャについてチェックし得る。上述されたように、挿入シグネチャは、近位平均圧及び/もしくは遠位平均圧のうちの1つ以上、又はそれらの組み合わせであり得る。410で、挿入シグネチャが予想される挿入シグネチャと一致しない場合、システムコントローラ106は、415で挿入シグネチャエラーを検出し得る。例えば、血管への拡張可能部材110の挿入に応答して、近位平均圧及び遠位平均圧が増加しない場合、システムコントローラ106は、挿入シーケンスエラーを検出し得る。
【0156】
別の例として、挿入シグネチャは、PMAPとDMAPの組み合わせに基づき得る。この例では、システムコントローラ106は、PMAP及びDMAPを受信し、受信されたDMAPと閾値DMAP値(例えば、1mmHg)との差を計算し、その差を受信されたPMAPと比較し得る。システムコントローラ106が、受信されたPMAPが受信されたDMAPと閾値DMAP値との差よりも小さいと判定した場合、システムコントローラ106は、挿入シーケンスエラーを検出し得る。エラーに応答して、415で、システムコントローラ106は、自動モードから手動モードに自動的に移行し得る(上述されたように)。
【0157】
減衰エラー
いくつかの変形例では、実行時チェック試験は、システム内の第1のセンサー(例えば、近位センサー及び遠位センサーのうちの一方)では減衰を検出するが、システム内の別のセンサー(例えば、近位センサー及び遠位センサーのうちの他方)では減衰を検出しないことを含み得、これは、正しくないセンサー測定値を示し得る。
【0158】
一実施例では、システムコントローラ106は、例えば、近位収縮期圧、近位拡張期圧、及び/又はPMAPなどのセンサー測定値を近位センサーから受信し得る。システムコントローラ106は、近位平均圧の波形を分析し得る。同様に、システムコントローラ106は、例えば、遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、及び/又はDMAPなどの測定値を遠位センサーから受信し得る。システムコントローラ106は、遠位平均圧の波形を分析し得る。システムコントローラ106は、近位平均圧と遠位平均圧の波形を比較し得る。波形が類似していない場合、複数のノッチ又は波形サブフィーチャが一方の波形で検出され、他方では検出されない場合、システムコントローラ106は、センサーの一方(例えば、近位センサー又は遠位センサー)で減衰を検出し得るが、他方のセンサー(例えば、近位センサー及び遠位センサーの他方)では検出されない。
【0159】
減衰エラーの検出に応答して、システムコントローラ106は、システムの機能を阻止し得る。例えば、減衰エラーの検出に応答して、システムコントローラ106は、システムを自動モードから手動モードに自動的に移行させ得る。
【0160】
図5Aは、減衰エラーを検出するための実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
図5Aでは、近位平均圧及び遠位平均圧の拍動性が、比較され得る。エラーは、減衰が一方のセンサーで検出され、もう一方のセンサーでは検出されない場合、報告され得る。ステップ524で、減衰が検出された場合、システムコントローラは、自動モードから手動モードに自動的に移行し得る。
【0161】
凝固エラー
いくつかの変形例では、実行時チェック試験は、血管内の凝固を検出することを含み得る。システムコントローラ106は、近位センサーから近位収縮期圧、近位拡張期圧、及びPMAPを受信し得、これらの測定値に基づいて、近位平均拍動性を判定し得る。同様に、システムコントローラ106は、遠位センサーから遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、及びDMAPを受信し得、これらの測定値に基づいて、遠位平均拍動性を判定し得る。システムコントローラ106はまた、拡張可能部材圧センサーから拡張可能部材圧を受信し得、拡張可能部材圧の脈動性を判定し得る。いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、近位平均拍動性及び遠位平均拍動性を拡張可能部材圧拍動性と比較し得る。近位平均拍動性及び/又は遠位平均拍動性の傾向が拡張可能部材圧拍動性の傾向と一致しない場合、システムコントローラ106は、血管内の凝固を示すエラーを検出し得る。例えば、近位の平均拍動性及び/又は遠位の平均拍動性が低下するが、拡張可能部材圧の拍動性が低下しない場合、それは、血管内の凝固を示し得る。これに応答して、システムコントローラ106は、自動モードから手動モードに自動的に移行し得る。
【0162】
図5Bは、凝固を試験するための実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
図5Bでは、近位平均及び遠位平均の拍動性は、拡張可能部材圧の拍動性と比較され得る。近位収縮期圧の拍動性が低下するが、拡張可能な拍動性が低下しない場合、これは、凝固を示し得る。532で、コンディションが検出されない場合、534で、システムは、自動モードから手動モードに自動的に移行し得る。
【0163】
電気的干渉によるノイズ
いくつかの変形例では、実行時チェック試験は、電気的干渉によるノイズを検出することを含み得る。電気焼灼デバイスによって引き起こされる電気ノイズなどの過剰な電気的干渉がある場合、システムコントローラ106は、例えば、近位平均圧及び遠位平均圧などの適当なセンサー測定値を受信しない場合がある。いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、センサーから測定値を受信し得るが、測定値は、不正確である場合があり、システムコントローラ106が測定値から他の血圧値を判定することを防止し得る。例えば、近位センサー及び遠位センサーからセンサーデータを受信すると、システムコントローラ106は、センサー測定値が過剰に高くなり得るので、近位平均圧及び遠位平均圧を判定することができない場合がある。近位平均圧及び遠位平均圧を判定できないことは、電気的干渉による電気ノイズによるエラーを示し得る。これに応答して、システムコントローラ106は、血流制御システムの機能を阻止し得る。例えば、システムコントローラ106は、システムを自動モードから手動モードに自動的に移行させ得る。
【0164】
図5Cは、電気的干渉によるノイズを検出するための実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
図5Cでは、ステップ552は、システムコントローラ106が近位平均圧及び遠位平均圧を判定することが一時的に不可能になる結果となり得る、電気焼灼デバイスによって引き起こされるなどの過剰な電気ノイズの検出を伴う。ステップ554で、コンディションが検出された場合、システムコントローラ106は、エラーを検出し得る。エラー検出の結果として、システムコントローラ106は、システムを自動モードから手動モードに自動的に移行させ得る。追加的又は代替的に、システムコントローラ106は、エラー及び/又は有効な血圧測定値がユーザーインターフェースに表示されない場合があることを通知する指標又は警報をユーザーインターフェースに伝送し得る。
【0165】
いくつかの変形例では、過剰ノイズの検出は、近位センサー及び遠位センサーによって報告可能な最小圧力及び最大圧力の範囲内にある人間の生理機能に関連付けられた最小有効圧力及び最大有効圧力に依拠する。例えば、500mmHg(尤もらしい最大値300mmHgよりかなり高い)又は-300mmHg(尤もらしい最小値-50mmHgよりもかなり低い)の圧力が観察された場合、システムコントローラ106は、過剰な電気ノイズを検出し得る。尤もらしい人間の最大心拍数は、ほぼ5Hz(1分間に300拍)である。したがって、5Hzを大幅に超える速度での近位平均圧及び/又は遠位平均圧の振動はまた、システムコントローラ106に過剰な電気ノイズを検出させ得る。これに応答して、システムコントローラ106は、システムを自動モードから手動モードに自動的に移行させ得る。追加的に、システムコントローラ106はまた、ユーザーインターフェース上での血圧測定値の表示を阻止し得る。過剰な電気ノイズコンディションが事前定義された期間内に終了した場合、このエラーは、一時的なものとみなされ得る。エラーが一時的なものとみなされる場合、システムコントローラ106は、ユーザーインターフェース上での圧力データの表示を再度有効にし得、事前定義された時間期間の終了後に拡張可能部材の自動膨張/収縮の阻止を止め得る(例えば、自動モードに戻るように移行する)。例えば、過剰な電気ノイズが10秒後に止んだ場合、エラーは、一時的なものとみなされ得る。しかしながら、過剰な電気ノイズが1分を超える場合、エラーは、永続的であるとみなされ得、システムコントローラ106は、システムを自動モードから手動モードに自動的に移行させ得る。
【0166】
圧力勾配エラー
いくつかの変形例では、実行時チェック試験は、圧力勾配エラーを検出することを含み得る。システムコントローラ106は、近位センサーから近位収縮期圧、近位拡張期圧、及びPMAPを受信し得、これらの測定値に基づいて、近位平均拍動性を判定し得る。同様に、システムコントローラ106は、遠位センサーから遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、及びDMAPを受信し得、これらの測定値に基づいて、遠位平均拍動性を判定し得る。システムコントローラ106はまた、PMAPとDMAPとの間の差を測定し得る。この差は、圧力勾配を示し得る。いくつかの変形例では、圧力勾配の様々な値について、システムコントローラ106は、それぞれの遠位平均拍動性を予測することができ得る。同様に、様々な遠位平均拍動性について、システムコントローラ106は、それぞれの圧力勾配を予測することができ得る。所与の拡張可能部材圧について、圧力勾配及び遠位平均拍動性の有効な範囲があり得る。システムコントローラ106が、圧力勾配及び遠位平均脈動の有効範囲から外れ得る値を検出した場合、システムコントローラ106は、圧力勾配エラーを検出し得る。このエラーに応答して、システムコントローラ106は、血流制御システムの機能を阻止し得る。例えば、システムコントローラ106は、システムを自動モードから手動モードに自動的に移行させ得、及び/又はユーザーインターフェースを介してユーザーに警告(例えば、警報)を提供し得る。非限定的な実施例では、DMAPがPMAPよりも10mmHg低い場合、遠位拍動性は、近位拍動性の90%以内であるべきである。システムコントローラ106が遠位拍動性及び近位拍動性の外側の値を検出した場合、システムコントローラ106は、圧力勾配エラーを検出し得る。
【0167】
図5Dは、圧力勾配エラー検出するための実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
図5Dでは、ステップ560で開始するシーケンスは、圧力勾配が予想されるレベルでない場合を伴う。遠位拍動性が近位拍動性よりもはるかに低い場合、PMAPとDMAPの差が、予測され得る。同様に、勾配が測定されるときに、遠位平均圧の予測拍動性が、分かる。これはまた、圧力勾配及び遠位拍動性が全て予測されることができる、より高い圧力で、拡張可能部材圧と相関されることができる。所与の拡張可能部材圧について、勾配及び遠位拍動性の有効な範囲があるべきである。値がそれらの限界外である場合、システムコントローラ106は、自動モードから手動モードに自動的に移行し得、及び/又はユーザーインターフェースを介してユーザーに警告(例えば、警報)を提供する。
【0168】
1つのセンサーの読み取り値が高すぎる、又は低すぎる
いくつかの変形例では、実行時チェック試験は、センサー測定値(例えば、近位センサー又は遠位センサーからの測定値)の1つが、別のセンサー(近位センサー及び遠位センサーの他方)からの測定値に対して高すぎる、又は低すぎる場合があり得ることを識別することを含み得る。例えば、システムコントローラ106は、近位センサーから現在のPMAPを、遠位センサーから現在のDMAPを受信し得、現在のPMAPを現在のDMAPと比較し得る。現在のPMAPが現在のDMAPを下回る場合、システムコントローラ106は、センサー読み取り値の1つが高すぎる、又は低すぎる場合があることを示すエラーを検出し得る。これに応答して、システムコントローラ106は、制御システムについて血液の機能を阻止し得、及び/又はユーザーインターフェースを介してユーザーに警告(例えば、警報)を提供し得る。例えば、システムコントローラ106は、システムを自動モードから手動モードに自動的に移行させ得る。いくつかの変形例では、このエラーはまた、近位センサー及び/又は遠位センサーが損傷した場合に、発生し得る。
【0169】
図5Eは、センサー(例えば、近位センサー又は遠位センサー)の測定値の1つが高すぎるか、又は低すぎるかを検出するための実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
図5Eでは、現在のPMAP140は、現在のDMAPを下回っている。これは、概して、センサーの1つが高すぎる、又は低すぎる数値を報告したことに関連付けられたエラーを示し得る。システムコントローラ106は、自動モードから手動モードに自動的に移行し得、及び/又はユーザーインターフェースを介してユーザーに警告(例えば、警報)を提供する。
【0170】
拡張部材圧及びポンプの動きが対応しない
いくつかの変形例では、実行時チェック試験は、拡張可能部材圧がポンプ108の動きに対応するかどうかを識別するための試験を含み得る。例えば、システムコントローラ106は、拡張可能部材圧センサーから拡張可能部材圧を受信し得る。位置センサー及び/又はモーションセンサー(例えば、エンコーダ)は、ポンプの動きを記録し得る。システムコントローラ108が、関連付けられたポンプの動きがない、又は予想されないポンプの動きを伴う拡張可能部材圧の増加又は減少を識別する場合、システムコントローラ108は、エラーを検出し得る。同様に、システムコントローラ108は、ポンプ108の様々な動きについて血管内の血行動態を予測し得る。ポンプの特定の動きについて血行動態の変更率が血行動態の予測された変更率の範囲から外れる場合、システムコントローラ108は、エラーを検出し得る。これに応答して、システムコントローラ106は、血流制御システムの機能を阻止し得、及び/又はユーザーインターフェースを介してユーザーに警告(例えば、警報)を提供し得る。いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、システムを自動モードから手動モードに自動的に移行させ得る。
【0171】
図5Fは、拡張可能部材圧がポンプの動きに対応するかどうかを識別するための実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。
図5Fでは、システムコントローラ106は、ポンプ108の関連付けられた動きなしで、拡張可能部材圧における短期間の増加又は減少をチェックし得る。心臓及び血管系は、様々な時間窓にわたって圧力の変更を示すが、血行動態の拍動ごとの変更は、追跡され、既知であり、予測される。したがって、既知の変更率及び予測された変更率の外側にある変更率が検出され、ポンプ108に関連付けられた動き(又は予想されない動き)がなかった場合、システムコントローラ106は、自動モードから自動モードに自動的に移行し得、及び/又はユーザーインターフェースを介してユーザーに警告(例えば、警報)を提供し得る。
【0172】
センサー損傷
いくつかの変形例では、実行時チェック試験は、1つ以上のセンサーが損傷を受けたかどうかを識別するための試験を含み得る。例えば、システムコントローラ106は、1つ以上のセンサー(例えば、近位センサー、遠位センサー、拡張可能部材圧センサーなど)からデータを受信し得、センサーからの現在のデータをセンサーから以前に受信されたデータと比較し得る。システムコントローラ106は、現在のセンサーデータと以前のセンサーデータとの間の絶対変更及び/又は変更率が目標閾値を超えるか、又は所定の目標範囲から外れるかどうかを判定し得、そうである場合、システムコントローラ106は、センサー損傷エラーを検出し得る。センサー損傷エラーが検出された場合、システムコントローラ106は、血流制御システムの機能を阻止し、及び/又はユーザーインターフェースを介してユーザーに警告(例えば、警報)を提供し得る。例えば、いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、血流制御システムをシャットダウンし得る。
【0173】
図5Gは、血流制御システムにおけるセンサー損傷を検出するための実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。512で、システムコントローラ106は、近位センサーから近位平均圧を、遠位センサーから遠位平均圧を受信し得る。近位平均圧及び遠位平均圧は、近位平均圧及び遠位平均圧の以前の値に対して比較され得る。514で、値の変更又は速度の変更が閾値より大きい場合、システムコントローラは、センサー損傷を示すエラーを識別し得る。これに応答して、システムコントローラ106は、血流制御システムをシャットダウンし得る。例えば、近位又は遠位MAPのいずれかが気圧よりも低い場合、それは、センサー損傷を示し得る。いくつかの変形例では、近位又は遠位MAPのいずれかが生理学的限界を超える(例えば、300mmHgを超える)場合、それはまた、センサー損傷エラーを示し得る。遠位センサーが拍動性を有し、近位センサーが有しない場合、それは、近位センサーへの損傷を示し得る。近位センサーが拍動性を有し、遠位センサーが有さず、拡張可能部材圧が閾値を下回っている場合、これは、遠位センサーへの損傷を示し得る。これに応答して、システムコントローラ106は、例えば、血流制御システムをシャットダウンすることによって、血流制御システムの機能を阻止し得る。
【0174】
最大膨張
いくつかの変形例では、実行時チェック試験は、拡張可能部材が最大膨張レベルに到達したかどうかを識別するための試験を含み得る。いくつかの変形例では、手技の開始時に、拡張可能部材を患者内の標的部位(例えば、大動脈)まで前進させた後など、ユーザーが、血流制御デバイス及び/又はポンプをシステムコントローラ106にまだ結合していない場合、システムコントローラ106を利用することなく、ポンプ(例えば、シリンジ)を使用して拡張可能部材を完全閉塞(「閉塞」の血流状態など)まで手動で膨張させ得る。ユーザーはまた、手動で膨張させる前に、ポンプをシステムコントローラ106から分離し得る(以前に結合されていた場合)。
【0175】
ポンプがシステムコントローラ106に結合(又は再結合)されるときに、システムコントローラ106は、この初期膨張レベルを特定の患者及び/又は特定の手技について最大許容膨張レベルとして登録し得る。例えば、システムコントローラ106は、初期膨張後にポンプがコントローラに結合されたときにポンプの位置を(例えば、位置センサー及び/又はモーションセンサーを使用して)記録し得、この位置を血流制御システムについて最大許容膨張レベルに関連付け得る。後続の自動動作中に、ポンプの動き及び/又は位置が、最大許容膨張レベルに近い又はそれを超える膨張レベルを示す場合、システムコントローラは、血流制御システムの機能を阻止し得る。例えば、システムコントローラ106は、血流制御デバイスを自動モードから手動モードの動作に移行させ得る。別の実施例では、システムコントローラは、拡張可能部材の更なる自動膨張を阻止し得る。追加的又は代替的に、システムコントローラ106は、同時に又は実質的に同時に、最大許容膨張レベルに関連付けられたエラーを示す警報をユーザーに伝送し得る。
【0176】
図5Gは、拡張可能部材における最大膨張を検出するための実行時チェック試験の例示的な変形例のフロー図である。いくつかの変形例では、システムコントローラは、拡張可能部材圧センサーから拡張可能部材圧を受信し得る。次いで、システムコントローラ106は、測定された拡張可能部材圧を最大許容圧力値と比較し得る(ステップ540)。測定された拡張可能部材圧が最大許容圧力値を超えるか、又は所定の最大許容圧力範囲から外れる場合、システムコントローラ106は、最大膨張エラーを検出し、血流制御システムの機能を阻止し、及び/又はユーザーインターフェースを介してユーザーに警告(例えば、警報)を提供し得る。いくつかの変形例では、このエラーを検出すると、システムコントローラ106は、拡張可能部材の自動膨張を阻止し得る。しかしながら、システムコントローラ106は、拡張可能部材の手動収縮を阻止しない場合がある。
【0177】
他の変形例では、最大膨張レベルは、1つ以上のセンサー(例えば、拡張可能部材圧センサー、位置センサーなど)から受信されたデータに基づいて判定され得、拡張可能部材圧、拡張可能部材容積、及び/又は1つ以上の増分膨張量に基づく拡張可能部材圧の変更率に基づき得る。例えば、その最大許容圧力近くで、拡張可能部材は、追加された流体及び/又は圧縮ガスの所与の単位について、内圧のはるかに大きな変更を経験し得る。例えば、拡張可能部材110が部分的にのみ膨張し、血管壁と完全に接触していない場合があるときに、拡張可能部材容積における100マイクロリットルの増加は、拡張可能部材圧が5mmHgだけ増加する結果をもたらし得る。しかしながら、拡張可能部材110がほぼ完全に膨張し、血管壁と完全に接触しているときに、拡張可能部材容積における100マイクロリットルの増加は、拡張可能圧力が約10又は約15mmHg増加する結果をもたらし得る。最大許容膨張は、拡張可能部材圧、拡張可能部材容積、及び/又は最後の膨張量(例えば、位置センサーによって示される)に基づく拡張可能部材圧の変更率の組み合わせに基づいて判定され得る。ステップ542で、膨張が最大許容膨張値を超える場合、最大膨張エラーが、検出され得、システムコントローラ106は、血流制御システムの機能を阻止し得、及び/又はユーザーインターフェースを介してユーザーに警告(例えば、警報)を提供し得る。例えば、いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、拡張可能部材の自動膨張を阻止し得る。
【0178】
拡張可能部材への形態学的変更
いくつかの変形例では、実行時チェック試験は、拡張可能部材110における形態学的変更をチェックするための試験を含み得る。例えば、システムコントローラ106は、拡張可能部材が膨張及び/又は収縮されたときに、拡張可能部材110における形態学的変更をチェックし得る。
図5Iは、拡張可能部材における形態学的変更を検出するための実行時チェックの例示的な変形例のフロー図である。いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、拡張可能部材圧、近位平均圧、及び/又は遠位平均圧の変更率を、予測される閉塞のレベルと関連付け得る。閉塞の測定レベルが閉塞の予測レベルと異なる場合、システムコントローラ106は、拡張可能部材エラーへの形態学的変更を検出し得る。これに応答して、システムコントローラ106は、そのことを示す警報をユーザーに伝送し得る。
【0179】
例えば、
図5Iでは、システムコントローラ106は、拡張可能部材110における形態学的変更をチェックする。形態学的変更現象は、拡張可能部材110が、「閉塞」血流状態の40~80%のレベルなど、部分的に膨張されたときに発生し得る。血流の脈動性質及び拡張可能部材110の壁材料の非剛性性質は、拡張可能部材材料を流れの中で「バタつかせ(flap)」得る。このバタつくこと(flapping)は、壁材料の振動的な凸状及び/又は凹状の曲げを含む。
【0180】
「バタつくこと」は、圧力波からのいくらかの位相遅延を有し得、1つ以上の残響を含み得る。この現象は、拡張可能部材圧内、又は近位平均圧及び/又は遠位平均圧における心拍数とほぼ同じ速度での二次振動の観察を介して検出される。検出すると、システムコントローラ106は、例えば、ユーザーインターフェースを介してユーザーに指標を提供し得る。
【0181】
例えば、
図5A~5Iにおける実行時チェックを含む、本明細書で記載された実行時チェックは、並行して実行し得ることを理解されたい。以下の表1は、本明細書で論じられる様々なエラーの例、エラーを識別するための例示的な入力測定値、及び血流制御システム100からの例示的な応答を提供する。
【表1-1】
【表1-2】
【0182】
生理学的チェック
いくつかの変形例では、血流制御システムが使用されているときに(すなわち、治療中)、血流制御システムは、治療を支援するために様々な生理学的チェックが自動的に行われ得る。例えば、これらの生理学的チェックは、ユーザーが患者の生理機能を監視するのに役立ち得る。追加的に、いくつかの変形例では、ユーザーが様々なエラーを検出するための目標値及び/又は目標範囲を定義するときに、これらの目標値及び/又は目標範囲が達成され得ない可能性があり得る。したがって、以下の生理学的チェックは、血流制御システムのスムーズな機能を確実にするために、ユーザーが目標値及び/又は目標範囲を修正するのに役立ち得る。
図6A~6Eは、血流制御システム100を使用して例示的な一時的な生理学的コンディションを検出するためのフロー図を示す。
【0183】
目標値におけるエラー(例えば、DMAP)
いくつかの変形例では、血流制御システムの目標値及び/又は目標範囲は、達成できないことがあり得る(例えば、値が高すぎるため、値が低すぎるため、値が患者が経験している生理学的変更(例えば、患者が出血を経験している)に適合しないため)。そのような変形例では、システムコントローラ106は、目標が達成不可能であり得ることを検出し得、それに応じてユーザーに警報し得る。いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、追加的又は代替的に、例えば、ユーザーインターフェースを介して、ユーザーに新しい目標値及び/又は範囲を定義することを指示し得る。例えば、いくつかの変形例では、ユーザーは、例えば、ユーザーインターフェースを介して、血圧測定値について目標値及び/又は目標範囲(例えば、目標DMAP)を設定し得る。しかしながら、ユーザーが定義した目標が達成できない可能性がある。そのような変形例では、システムコントローラ106は、ユーザーが入力した目標が達成し得ないことを検出し得、ユーザーに警報し得、及び/又はユーザーに新しい目標を定義することを指示し得る。
【0184】
図6Aは、ユーザーが入力した目標DMAPにおけるエラーを検出する例示的な変形例を示すフローチャートである。ステップ612で、ユーザーは、新しい目標DMAPを現在のDMAPより高い値に設定する。ステップ614で、システムコントローラ106は、新しい目標DMAPが現在のDMAPよりも高いかどうかをチェックし得、そうである場合、拡張可能部材110から除去される流体及び/又は圧縮ガスの量を計算し得る。616で、計算に基づいて、システムコントローラ106は、ポンプを作動させ得る。620で、システムコントローラ106は、新しい拡張可能部材容積に基づいて、血圧が安定するのを可能にするために、所定の期間(例えば、約60秒)待機し得る。
【0185】
いくつかの変形例では、拡張可能部材110から除去される流体及び/又は圧縮ガスの量を計算する代わりに、システムコントローラ106は、ポンプの部分の動き及び/又は位置を判定し得る。ポンプは、新しい目標DMAPが達成されるまで、流体及び/又は圧縮ガスを注入及び/又は除去するために、それに応じて(手動及び/又は自動で)作動させられ得る。この変形例は、拡張可能部材が非流体ベースの拡張可能部材であるシナリオ(例えば、機械的リンク機構などを使用して膨張及び/又は収縮する)において実施され得ることが容易に理解されるはずである。いくつかの変形例では、流体の量及び/又はポンプの動きを計算する代わりに、流体及び/又は圧縮ガスは、新しい目標DMAPが達成されるまで、一定速度で拡張可能部材から注入及び/又は除去され得る。
【0186】
新しい目標DMAPが高すぎる場合、患者が重大な出血を経験し得ることを暗示し得る。そのようなシナリオでは、新しい目標DMAPは、拡張可能部材容積の減少によって生じる血流の増加が、DMAPの所望の増加をもたらさないため、達成するのは困難であり得る。したがって、ステップ620から614に進むと、拡張可能部材容積の減少、血流の増加、及び出血の増加のサイクルが繰り返される結果になる。これは、現在のDMAPが変更しない、又は後続の拡張可能部材容積における減少に伴い、現在のDMAPが減少する結果をもたらし得る。
【0187】
この状況に対処するために、ステップ622で、システムコントローラ106は、カウンタを開始し得る。カウンタは、自動膨張及び/又は収縮の数を測定し得、自動ステップ(例えば、所定時間における合計膨張、連続膨張、所定時間における合計収縮、連続収縮、所定時間における合計膨張及び収縮)の数を制限又は範囲と比較し得る。システムコントローラ106はまた、血圧測定値(例えば、遠位平均圧)における対応する増加が生じたかどうかを判定し得る。ステップ数が限界未満及び/又は範囲内である場合、システムコントローラ106は、システムを自動モードにおいて維持し得る。しかしながら、限界を超えた場合、及び/又はステップ数が範囲から外れる場合、システムコントローラ106は、血流制御システムの機能を阻止し得る。例えば、システムコントローラ106は、制御システムからの血液を自動モードから手動モードに移行させ得る(ステップ626)。別の変形例では、システムコントローラ106は、(例えば、ユーザーインターフェースの入力を介して)ユーザーがエラーを承認するまで、(拡張可能部材の容積を維持しながら)拡張可能部材の自動膨張/収縮を阻止し得、その時点で、システムコントローラ106は、自動制御を可能にし得る。
【0188】
更に別の変形例では、システムコントローラ106は、拡張可能部材が自動的に膨張及び/又は収縮される際の生理学的変更を監視し得る。拡張可能部材の繰り返しの動きについて、システムコントローラ106は、血圧測定値における低下及び/又は上昇のシーケンスを識別し得る。血圧測定値に対する変更のシーケンスが予想される範囲から外れる場合、システムコントローラ106は、血流制御システムの機能を阻止し得る。例えば、システムコントローラ106は、システムを自動モードから手動モードに移行し得る(ステップ626)。別の変形例では、システムコントローラ106は、(例えば、ユーザーインターフェースの入力を介して)ユーザーがエラーを承認するまで、(拡張可能部材の容積を維持しながら)拡張可能部材の自動膨張/収縮を阻止し得、その時点で、システムコントローラ106は、自動制御を可能にし得る。
【0189】
いくつかの変形例では、ステップ624に関連付けられた自動ステップの数は、遠位平均圧における対応する減少又は増加なしに、例えば、5、6、7、8、9、10回の連続した膨張又は収縮(その中の全ての部分範囲を含む)など、拡張可能部材レベルの連続的な増加又は減少の数を含み得る。他の変形例では、このコンディションは、例えば、50%膨張、60%膨張、70%膨張、80%膨張、又は約50%~80%膨張、約60%~80%膨張、約70%~80%膨張などのような膨張又は収縮の比率に基づいて検出され得、遠位平均圧における減少又は増加をもたらさない。更に別の変形例では、コンディションは、膨張又は収縮の回数ではなく、連続する膨張又は収縮の合計容積に基づいて検出され得る。
【0190】
ステップ626で、システムコントローラ106は、拡張可能部材110の更なる収縮を阻止し得、例えば、ユーザーインターフェースを介して、より低い目標DMAPが推奨されるか、又は出血が予測される警告をユーザーに提供(例えば、警報を伝送)し得る。
【0191】
過剰な出血
患者に対する手技の過程で、血流制御システムは、患者の生理学的コンディション(例えば、血圧の変更)を継続的に監視し得る。拡張可能部材を完全閉塞(例えば、閉塞血流状態)まで膨張させた後など、いくつかの変形例では、拡張可能部材が(例えば、ポンプを使用して)収縮されると、予想される応答は、DMAPの増加及びPMAPのわずかな減少であり得る。しかしながら、DMAPが増加しない場合、これは、拡張可能部材が収縮する速度が速すぎること、及び/又は拡張可能部材がその時点での特定の患者の生理機能について過度に収縮していること、及び患者が過剰に出血している場合があることを示し得る。他の例では、PMAPが急速に低下する場合、これはまた、患者が過剰に出血していることを示し得る。システムコントローラ106が過剰な出血を示すコンディションを検出した場合、システムコントローラ106は、血流制御システムの機能を阻止し得る。例えば、システムコントローラ106は、血流制御システムを自動モードから手動モードの動作に移行させ得る。別の実施例では、システムコントローラは、拡張可能部材の更なる自動収縮を阻止し得る。追加的又は代替的に、システムコントローラ106は、同時に又は実質的に同時に、過剰な又は進行中の出血を示す警報をユーザーに伝送し得る。
【0192】
早期閉塞
患者に対する手技の過程で、拡張可能部材が膨張されるとき、患者からの予想される生理学的反応は、PMAPにおける増加であるが、DMAPにおける減少であり得る。拡張可能部材が膨張されると、システムコントローラ106は、例えば、DMAPなどの患者の生理学的コンディションを監視し得る。いくつかの変形例では、より低い目標DMAPが、(例えば、ユーザーからの入力を介して、及び/又はシステムコントローラ自体によってユーザーインターフェースを使用して)設定され得、拡張可能部材は、より低い目標DMAPを達成するための試みにおいて膨張し続け得る。例えば、患者の判定されたDMAPは、約35mmHgであり得、約10mmHgの目標DMAPが、設定され得る。拡張可能部材が10mmHgの新しい目標DMAPを達成するために膨張されると、システムコントローラ106は、患者の血流状態を監視し得る。いくつかの状況では、システムコントローラ106は、目標DMAPに到達する前に「閉塞」の血流状態を検出し得る。そのような状況では、システムコントローラ106は、目標DMAPに到達する前の「閉塞」の血流状態である、このコンディションを識別し得、それに応答して、血流制御システムの機能を阻止し得る。例えば、いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、血流制御システムを自動モードから手動モードの動作に移行させ得る。別の実施例では、システムコントローラ106は、拡張可能部材の更なる自動膨張を阻止し得る。追加的又は代替的に、システムコントローラ106は、同時に又は実質的に同時に、早期「閉塞」を示す警報をユーザーに伝送し得る。
【0193】
閉塞時間が安全限界を超えている(安全でない閉塞時間)
患者に対する手技の過程で、ユーザーは、「閉塞」の血流状態で達成するために新しい目標DMAPを設定し得、その後、出血制御を獲得した後、部分的な流れを達成するために第2の、新しい、より高い目標DMAPを設定し得る。その後、出血がユーザーによって発見された場合、ユーザーは、「閉塞」の血流状態を再び達成するために、第3の、新しい、より低い目標DMAP148を設定し得る。システム測定に関連して上で記載されたように、システムコントローラ106は、治療中の「閉塞」での時間を判定し得る。治療の過程で、「閉塞」及び「流れ」の複数の時間窓があり得る。システムコントローラ106は、血流制御状態における様々な変更について考慮し得、「閉塞」での時間及び/又は「閉塞」でない時間を判定し得る。例えば、血流状態は、最初に20分間閉塞状態であり、次いで5分間「閉塞」ではなく、次いで18分間「閉塞」であり、次いで10分間「閉塞」ではなく、次いで15分間「閉塞」であり、最後に30分間「閉塞」ではない場合がある。この実施例では、「閉塞」での時間は、43分(20+18+15)であり、「閉塞」ではない時間は、45分(5+10+30)である。
【0194】
「閉塞」での単一時間、又は全体的な手技中の「閉塞」での合計時間が制限を超えた場合、患者への損傷は、発生し得る。この損傷は、患者の内臓、血管、筋肉、及び/又は他の組織への害を含み得る。したがって、少なくとも、ユーザーが個々の設定ごとに閉塞での時間を個別に追跡しなければならないため、余分な労力及びリソースが必要になるため、また、ユーザーがこれらの合計時間を追跡しなければならないのは気が散り得るため(閉塞時の個々の期間が数分離れ得るため)、本明細書に記載された血流制御システムのシステムコントローラ106は、血流制御状態に関連付けられた時間を追跡及び/又は計算し得る。
【0195】
上述されたように、いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、合計経過時間、「閉塞」での合計時間、及び「閉塞」でない合計時間を判定し得る。いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、「閉塞」での合計時間及び/又は閉塞でない合計時間に基づいて、「閉塞」での合計時間が安全限界を超えたかどうかを判定し得る。追加的又は代替的に、安全でない閉塞時間は、閉塞での最新の中断されていない時間の持続時間を示し得る。
【0196】
図6Bは、「閉塞」での時間を測定し、それが患者について安全であるとみなされる量よりも長いときに応答する例示的な変形例に関連付けられたフロー図を示す。ステップ632で、システムコントローラ106は、血管が閉塞された最新の期間を(例えば、血流状態に基づいて)判定し得る。634で、システムコントローラ106は、治療について「閉塞」での合計時間を判定し得る。ステップ636で、システムコントローラ106は、「閉塞」での合計時間及び/又は「閉塞」での最新の期間を、それぞれの目標値及び/又は目標範囲と比較し得る。システムコントローラ106が、「閉塞」での合計時間及び「閉塞」での最新の期間のうちの1つ以上が、それぞれの目標値を超えている、及び/又はそれぞれの目標範囲から外れると判定した場合(ステップ636)、システムコントローラ106は、血流制御システムの機能を阻止し、及び/又は、例えば、ユーザーインターフェースを介してユーザーに警告(例えば、警報)を伝送し得る。例えば、いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、血流制御システムを自動モードから手動モードに移行させ得る。別の変形例では、システムコントローラ106は、(例えば、ユーザーインターフェースの入力を介して)ユーザーがエラーを承認するまで、(拡張可能部材の容積を維持しながら)拡張可能部材の自動膨張/収縮を阻止し得、その時点で、システムコントローラ106は、自動制御を可能にし得る。
【0197】
一時的な生理学的エラー
いくつかの変形例では、目標血圧(例えば、目標DMAP)が変更されるときに、閉塞は、予想されるより早く検出され得る。例えば、ポンプ108は、拡張可能部材の容積が目標DMAPに対応する容積(例えば、閾値)に到達し得るように、流体及び/又は圧縮ガスを拡張可能部材に注入し得る。しかしながら、ポンプが流体及び/又は圧縮ガスを注入すると、拡張可能部材の容積は、閾値を超え得る。追加的又は代替的に、「閉塞」状態は、目標血圧(例えば、目標DMAP)に到達する前に達成され得る。これは、一時的なエラーコンディションを示し得る。一時的な生理学的エラーを検出すると、システムコントローラ106は、血流制御システムの機能を阻止し、及び/又は、例えば、ユーザーインターフェースを介してユーザーに警告(例えば、警報)を提供し得る。いくつかの変形例では、システムコントローラは、システムを自動モードから手動モードに移行させ得る。別の変形例では、システムコントローラ106は、(例えば、ユーザーインターフェースの入力を介して)ユーザーがエラーを承認するまで、(拡張可能部材の容積を維持しながら)拡張可能部材の自動膨張/収縮を阻止し得、その時点で、システムコントローラ106は、自動制御を可能にし得る。
【0198】
図6Cは、「目標」DMAPを増加させてから減少させ、予想されるレベルより前に閉塞が検出されるときに発生し得る一時的な生理学的エラーの例示的な変形例に関連付けられたフロー図を示す。ステップ642で、血流状態が「閉塞」でない場合、開始に戻る。ステップ644で、システムコントローラ106は、手動動作(例えば、ユーザーインターフェースを介して)又はより高い目標遠位平均圧を設定することによって、拡張可能部材容積におけるユーザー誘発の減少があるかどうかをチェックし得る。ステップ646で、システムコントローラ106は、次のユーザー入力がより低い目標遠位平均圧を設定しているかどうかを判定し得る。次のユーザー入力がより低い目標遠位平均圧を設定している場合、システムコントローラ106は、ステップ648で、新しい拡張可能部材容積を計算し、ポンプを作動させ得る(ステップ650)。
【0199】
ステップ652で、システムコントローラ106は、現在の拡張可能部材容積に閾値を加えた値が、「閉塞」状態中に最後に測定された容積以上であるかどうかを判定し得る。「閉塞」状態が検出されない場合、患者の生理学的状態は、大幅に変更され得、システムコントローラ106は、一時的な生理学的エラーを検出し得る(ステップ654)。一時的な生理学的エラーを検出すると、システムコントローラ106は、血流制御システムの機能を阻止し、及び/又は、例えば、ユーザーインターフェースを介してユーザーに警告(例えば、警報)を提供し得る。いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、血流制御システムを自動状態から手動の状態に移行させ得る。別の変形例では、システムコントローラ106は、(例えば、ユーザーインターフェースの入力を介して)ユーザーがエラーを承認するまで、(拡張可能部材の容積を維持しながら)拡張可能部材の自動膨張/収縮を阻止し得、その時点で、システムコントローラ106は、自動制御を可能にし得る。
【0200】
別のシステムコントローラチェックは、新しい目標血圧(例えば、目標DMAP)をより低い値に設定し、その結果として拡張可能部材110が膨張し、目標血圧を達成する前に閉塞の血流状態をもたらす場合を伴い得る。例えば、血流状態が閉塞状態ではなく、現在の血圧値(例えば、現在のDMAP)が20mmHgであり、ユーザーが10mmHgの新しい目標DMAPを選択した場合、システムコントローラは、拡張可能部材を膨張させ得る。その膨張中、血圧値(例えば、DMAP)が14mmHgのときに血流状態が閉塞にある場合、血流状態が既に閉塞しているため、目標血圧値(例えば、目標DMAP)を達成しようとして拡張可能部材を膨張させ続けることは患者に対して安全ではない場合がある。
【0201】
新しい目標DMAPの設定
いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、新たに設定された目標DMAPが高すぎるか低すぎるかを識別し得る。例えば、拡張可能部材の閉塞容積が新しい状態の目標DMAPに対応する容積よりも高いことをシステムコントローラが検出した場合、それは、必要以上に早く閉塞状態に到達したことを示し得る。したがって、システムコントローラ106は、拡張可能部材の自動膨張を阻止し得、以前の目標DMAPより低くなり得る新しい目標DMAPを自動的に設定し得る。いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、ユーザーがユーザーインターフェースを介して新しい目標DMAPを設定することを可能にし得、任意選択的に適当な警報又は警告をユーザーに提供し得る。
【0202】
図6Dは、ステップ662でユーザーが新しい目標DMAPを設定するシーケンスを示す。新しい目標DMAPが現在のDMAPよりも低いときに、拡張可能部材110は、膨張される。ステップ664でのチェックは、値が現在のDMAPよりも低いと判明し、閉塞が新しい目標DMAP(プラスいくらかの許容閾値)よりも高い拡張可能部材容積で検出される場合を探す。これが発生した場合、ステップ666は、システムコントローラに自動膨張を阻止し、ユーザーインターフェースを介してユーザーに警告し、及び新しい目標DMAPを自動的に設定するようにさせる。
【0203】
動作閾値
いくつかの変形例では、システムコントローラ106は、血圧測定値(例えば、近位平均圧)が安全な動作閾値を上回る、若しくは下回るか、又は安全な動作範囲から外れるかを判定し得る。安全な動作閾値を上回る/下回る、及び/又は安全な動作範囲から外れる血圧測定値を検出すると、システムコントローラ106は、血流制御システムの機能を阻止し、及び/又は、例えば、ユーザーインターフェースを介してユーザーに警告(例えば、警報)を提供し得る。例えば、システムコントローラ106は、血流制御システムを自動モードから手動モードに移行させ得る。別の変形例では、システムコントローラ106は、(例えば、ユーザーインターフェースの入力を介して)ユーザーがエラーを承認するまで、(拡張可能部材の容積を維持しながら)拡張可能部材の自動膨張/収縮を阻止し得、その時点で、システムコントローラ106は、自動制御を可能にし得る。
【0204】
図6Eは、近位平均圧の絶対レベルが安全な動作閾値を上回るか、又は下回り、並びに近位平均圧における変更率が閾値を超えるコンディションについてのチェックのフロー図を示す。ステップ672で、システムコントローラ106は、それが許容下限よりも低いか、又は許容上限を上回っているかどうかを調べるために、近位平均圧を検査し得る。同様に、ステップ674で、近位平均圧における変更率が限界より大きいかどうかをチェックする。閾値又は限界を超えたとシステムコントローラが判定した場合、ステップ676で、システムコントローラは、ユーザーに警告を提供し、拡張可能部材110の自動膨張/収縮を阻止し得る。
【0205】
心停止の識別
図6Fは、「心停止」に応答するシステムのフロー図を示す。心停止は、収縮期ピーク又は拡張期トラフ間の過剰な時間、及び平均動脈圧の大幅な低下によって示され得る。いくつかの変形例では、システムコントローラ106による心停止の検出時に、システムコントローラ106は、「閉塞」の血流状態が最後に検出されたレベルまで拡張可能部材110を膨張させ得る。
【0206】
血流を制御するための方法
図7は、血流を制御するための方法の例示的な変形例を示すフロー図である。いくつかの変形例では、本方法は、702で、血流制御デバイス(例えば、
図1における血流制御デバイス104と構造的及び/又は機能的に類似する)を血管を通して前進させることを含み得る。いくつかの変形例では、血流制御デバイスは、細長い本体(例えば、
図1における細長い本体102と構造的及び/又は機能的に類似する)と、拡張可能部材(例えば、
図1における拡張可能部材110と構造的及び/又は機能的に類似する)と、を含み得る。細長い本体又はその部分(例えば、先端又は末端部分)は、好適な血管内経路を介して標的血管(例えば、大動脈)まで前進させ、挿入され得る。例えば、標的血管が大動脈である変形例では、細長い本体の末端部分は、大腿動脈を通して大動脈に挿入され得る。いくつかの変形例では、細長い本体は、橈骨アクセスを通じて大動脈に挿入され得る。細長い本体は、拡張可能部材が大動脈内の所望の部位に位置付けられるように、前進させ得る。例えば、細長い本体は、拡張可能部材が大動脈のゾーン1、大動脈のゾーン2、又は大動脈のゾーン3に位置付けられるまで、前進させ得る。代替的に、血流制御デバイスは、腸骨動脈に挿入され得、大動脈には前進されない場合がある。
【0207】
拡張可能部材が所望の部位に位置付けられると、拡張可能部材は、ポンプを使用して(すなわち、コントローラを利用せずに)ユーザーによって初期に手動で完全閉塞(例えば、「閉塞」の血流状態)まで膨張され得る。次いで、ポンプは、コントローラに結合(又は再結合)され得、システムは、この初期膨張レベルを特定の患者又は手技について最大許容膨張レベルとして記録し得る。例えば、システムは、初期膨張後にポンプがコントローラに結合されたときにポンプの位置を記録し得、この位置を血流制御システムについて最大許容膨張レベルに関連付け得る。後続の自動動作中に、ポンプの動き及び/又は位置が、最大許容膨張レベルに近い又はそれを超える膨張レベルを示す場合、本方法は、例えば、血流制御システムを手動動作モードに自動的に移行させるなど、血流制御システムの機能を阻止することを含み得る。
【0208】
いくつかの変形例では、血流制御デバイスは、少なくとも1つのセンサーを含み得る。少なくとも1つのセンサーは、例えば、近位圧センサー、遠位圧センサー、流量センサー、拡張可能部材センサー、気圧計、及び位置センサー(例えば、磁気エンコーダ)のうちの1つ以上など、本明細書に記載されたセンサーのいずれかであり得る。コントローラ(例えば、
図1におけるシステムコントローラ106)は、少なくとも1つのセンサーからセンサーデータを受信し得る。センサーデータは、血管系を通して血流制御デバイスを前進させる前に血流制御デバイスが電源を入れられた後、血流制御デバイスを挿入している間、及び/又は血流制御デバイスの使用中に受信され得る。
【0209】
704で、本方法は、生理学的コンディション又は拡張可能部材圧を示すデータを受信することを含み得る。生理学的コンディションは、近位収縮期圧、近位拡張期圧、PMAP、近位圧拍動性、遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、DMAP、及び遠位圧拍動性のうちの1つ、及び/又は1つ以上の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。拡張可能部材圧は、拡張可能部材センサーから受信され得る。いくつかの変形例では、拡張可能部材容積は、拡張可能部材圧から導出され得る。
【0210】
706で、本方法は、受信されたデータを目標データと比較することを含み得る。いくつかの変形例では、目標データは、ユーザーインターフェースを介してユーザーによって設定され得る。代替的に、コントローラは、以前のデータの分析に基づいて、目標データを予測し得る。いくつかの変形例では、目標データは、閾値を含み得る。例えば、目標データは、例えば、近位収縮期圧、近位拡張期圧、PMAP、遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、DMAP、拡張可能部材圧、拡張可能部材容積、閉塞時の合計時間など、本明細書に記載された閾値のいずれかを含み得る。代替的に、目標データは、例えば、近位収縮期圧、近位拡張期圧、PMAP、近位圧拍動性、遠位収縮期圧、遠位拡張期圧、DMAP、遠位圧拍動性、拡張可能部材圧、拡張可能部材容積、閉塞時の合計時間など、本明細書に記載された予想された値及び/又は予測された値のいずれかを含み得る。
【0211】
708で、本方法は、比較に基づいてエラーを識別することを含み得る。エラーは、例えば、センサー損傷、拡張可能部材の損傷、コントローラのバッテリー低下、コントローラの高温、音声エラー、通信エラー、挿入シーケンスエラー、ダンピングエラー、凝固エラー、電気的干渉によるノイズ、圧力勾配エラー、1つのセンサーの読み取り値が高すぎるか低すぎる、拡張可能部材圧がポンプの動きに対応していない、拡張可能部材の最大膨張、拡張可能部材の形態学的変更、目標DMAPのエラー、安全限界を超えた閉塞時間、一時的な生理学的エラー、及び心停止の識別のうちの1つ及び/又はそれらの組み合わせを示すエラーなど、本明細書に記載されたエラーのいずれかであり得る。
【0212】
710で、本方法は、エラーの識別に応答して、血流制御システムの少なくとも1つの機能を阻止することを含み得る。いくつかの変形例では、少なくとも1つの機能を阻止することは、拡張可能部材の自動制御を阻止することを含み得る。例えば、血流制御デバイスは、自動動作モードから手動動作モードに自動的に移行され得る。この応答でのエラーのいくつかの非限定的な例は、(i)血管を通して血流制御デバイスの遠位部分を前進させることにおけるエラーを示すエラー(例えば、PMAP及びDMAPの機能が、このエラーを識別するために目標値と比較され得る)、(ii)血管内の凝固を示すエラー(例えば、近位拍動性及び/又は遠位拍動性の傾向が、このエラーを識別するために拡張可能部材拍動性圧の傾向と比較され得る)、及び/又は(iii)別のデバイスからの電気的干渉を示すエラー(例えば、近位血圧及び遠位血圧が、このエラーを識別するために1つ以上の閾値と比較され得る)、を含み得る。
【0213】
いくつかの変形例では、少なくとも1つの機能を阻止することは、血流制御システムを自動的にシャットダウンすることを含み得る。この応答でのエラーのいくつかの非限定的な例は、(i)センサーへの損傷を示し得るエラー(例えば、近位平均圧、遠位平均圧、及び/又は拡張可能部材圧が、このエラーを識別するために少なくとも1つの閾値と比較され得る)、(ii)拡張可能部材への損傷を示し得るエラー(例えば、拡張可能部材圧が、このエラーを識別するために目標値と比較され得る)、及び/又は(iii)拡張可能部材が最大容積に到達したことを示し得るエラー(例えば、拡張可能部材圧が、このエラーを識別するために目標値と比較され得る)、を含み得る。
【0214】
血流制御システムの少なくとも1つの機能を阻止するために、追加的又は代替的に、本方法は、ユーザーインターフェースを介してユーザーに警報を伝送することを含み得る。この応答でのエラーのいくつかの非限定的な例は、(i)目標データにおけるエラーを示し得るエラー(例えば、近位収縮期圧が、目標データと比較され得、警報が、目標データを変更するために指示を含み得る)、又は(ii)安全でない閉塞時間を示し得るエラー(例えば、閉塞時間が、第1の目標値と比較され得、遠位収縮期圧が、第2の目標値と比較され得る)、を含み得る。いくつかの変形例では、安全でない閉塞時間は、閉塞時の合計時間を示し得る。追加的又は代替的に、安全でない閉塞時間は、閉塞での最新の中断されていない時間の持続時間を示し得る。
【0215】
前述の記載は、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために特定の命名法が使用された。しかしながら、本発明を実施するために特定の詳細が必要とされないことは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の特定の実施形態の前述の記載は、例示及び記載の目的で提示されている。それらは、網羅的であること、又は本発明を開示された正確な形態に限定することが企図されるものではなく、明らかに、上記の教示を考慮すると、多くの修正及び変形例が可能である。実施形態は、本発明の原理及びその実際の用途を説明するために選択および記載され、それにより、当業者が、企図される特定の使用に適した様々な修正を加えて本発明および様々な実施形態を利用することを可能にする。以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物が本発明の範囲を定義することが意図される。
【国際調査報告】