(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】マイクロニードル用の支持要素、及びマイクロニードルアレイデバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
A61M37/00 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556658
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(85)【翻訳文提出日】2022-09-20
(86)【国際出願番号】 EP2021056687
(87)【国際公開番号】W WO2021197836
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】102020109157.5
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シェール,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA72
4C267BB02
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB24
4C267BB31
4C267BB40
4C267CC05
(57)【要約】
【解決手段】マイクロニードルアレイを形成するためのマイクロニードル用の支持要素は板状の基部要素(10)を有している。マイクロニードルアレイのマイクロニードル(32)に夫々連結するための取付要素(14)が、基部要素(10)の前側(12)に設けられている。連結要素(16, 36)が、特に取付要素(14)の前側(18)に更に設けられている。連結要素(16, 36)は、アンダーカットを長手方向(22)に有するように形成されているため、ニードル(32)は取付要素(14)に確実に連結される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロニードルアレイを形成するためのマイクロニードル用の支持要素であって、
板状の基部要素(10)と、
前記基部要素(10)の前側(12)に設けられている取付要素(14)であって、前記マイクロニードルアレイの1つのマイクロニードル(32)に夫々連結するための前記取付要素(14)と、
特に前記取付要素(14)の前側(18)に設けられている連結要素(16, 36)と
を備えており、
前記連結要素(16, 36)は、長手方向(22)にアンダーカットを有している、支持要素。
【請求項2】
前記連結要素(36)は、前記長手方向(22)に延びている突部を少なくとも部分的に有している、請求項1に記載の支持要素。
【請求項3】
前記突部(36)は、前記アンダーカットを形成するために前記長手方向(22)を横断する断面テーパ部分(38)を有している、請求項2に記載の支持要素。
【請求項4】
前記突部(36)は、断面テーパ部分を形成するための特に周方向の溝(38)を有している、請求項3に記載の支持要素。
【請求項5】
前記突部(36)は、キノコ状に形成されている、請求項2~4のいずれか1つに記載の支持要素。
【請求項6】
前記連結要素(16)は、前記取付要素(14)に延びている一又は複数のチャネル(24, 26)を少なくとも部分的に有している、請求項1~5のいずれか1つに記載の支持要素。
【請求項7】
前記チャネル(24, 26)は、前記長手方向(22)に少なくとも部分的に延びていない、請求項6に記載の支持要素。
【請求項8】
前記チャネル(24, 26)は、アンダーカットを形成するための断面拡大部分を少なくとも部分的に有している、請求項6又は7に記載の支持要素。
【請求項9】
前記チャネル(24, 26)は、前記取付要素(14)の前側(18)から前記基部要素(10)の前側(12)に向かって少なくとも部分的に延びている、請求項6~8のいずれか1つに記載の支持要素。
【請求項10】
前記チャネル(24, 26)は、前記取付要素(14)の前側(18)から前記基部要素(10)の後側(20)に向かって少なくとも部分的に延びている、請求項6~9のいずれか1つに記載の支持要素。
【請求項11】
前記支持要素をアプリケータによって保持するためのホルダ(44)が、前記基部要素(10)の後側(20)に設けられている、請求項1~10のいずれか1つに記載の支持要素。
【請求項12】
包装要素(52, 54)、特に包装フィルムのための連結面(50)、特に接着面が、前記基部要素(10)の前側(12)及び/又は後側(20)の縁部領域(48)に設けられている、請求項1~11のいずれか1つに記載の支持要素。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載の支持要素と、
特に各取付要素(14)に設けられているマイクロニードル(32)と
を備えている、マイクロニードルアレイ。
【請求項14】
板状の基部要素(10)と、
前記基部要素(10)の前側(12)に設けられている取付要素(14)であって、マイクロニードルアレイの1つのマイクロニードル(32)に夫々連結するための前記取付要素(14)と、
前記取付要素(14)と連結されているマイクロニードル(32)と、
少なくとも前記マイクロニードル(32)を特に無菌であるように包装する包装要素(52, 54; 56, 60, 62)と
を備えている、マイクロニードルアレイデバイス。
【請求項15】
包装要素(52, 54)、特に包装フィルムのための連結面(50)、特に接着面が、前記基部要素(10)の前側(12)及び/又は後側(20)の縁部領域(48)に設けられている、請求項14に記載のマイクロニードルアレイデバイス。
【請求項16】
前記包装要素(56, 60, 62)は、支持要素を受けるための凹部(58)を有しており、前記凹部(58)は、包装フィルム(60, 62)、特に剥離可能な包装フィルムで少なくとも一側で閉じられている、請求項14又は15に記載のマイクロニードルアレイデバイス。
【請求項17】
前記包装フィルムは、少なくとも前記マイクロニードル(32)の側に設けられている、請求項16に記載のマイクロニードルアレイデバイス。
【請求項18】
前記支持要素をアプリケータによって保持するためのホルダ(44)が、前記基部要素(10)の後側(20)に設けられている、請求項16又は17に記載のマイクロニードルアレイデバイス。
【請求項19】
支持要素をアプリケータによって保持するためのホルダ(44)が、前記基部要素(10)の後側(20)に設けられている、請求項14~17のいずれか1つに記載のマイクロニードルアレイデバイス。
【請求項20】
請求項1~12のいずれか1つに記載の支持要素を備えている、請求項14~19のいずれか1つに記載のマイクロニードルアレイデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードルアレイ又はマイクロニードルアレイデバイスを形成するためのマイクロニードル用の支持要素に関する。本発明は更に、マイクロニードルアレイデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロニードルは、経皮送達としても知られている、有効成分を皮膚に直接送達するために使用される。このため、マイクロニードルは、皮膚の外層のみに入り込んで、好ましくは神経及び血管に達しないように、神経及び血管を傷つけない状態にしておくのにちょうど十分な長さを有する。それにもかかわらず、マイクロニードルは皮膚の上層に小さな穴を作るため、有効成分の吸収が、有効成分を皮膚に純粋に外部から塗布する場合と比較すると大幅に高まる。
【0003】
例えば、支持面に取り付けられた、複数のマイクロニードルを有するマイクロニードルアレイは、短期送達又は長期適用に使用され得る。有効成分をマイクロニードルから皮膚に送達する好ましい方法は、有効成分を含むマイクロニードルの領域又はマイクロニードル全体が溶解するか又は分離して、ひいては皮膚を介して身体に吸収され得るということである。このために、マイクロニードルは、特に水溶性の物質又は材料から少なくとも部分的に夫々形成されている。マイクロニードル自体を通して有効成分を直接送達することに加えて、このような方法で有効成分を皮膚に送達し得るべく、マイクロニードルが細孔若しくは空隙を有するか、又は中空針として形成されることが更に可能である。更に、マイクロニードルは有効成分を含まないことも可能である。この場合、このような方法でマイクロニードルを使用して有効成分を送達するために、例えば、マイクロニードルの外側に有効成分を外部から塗布するか、又はマイクロニードルを皮膚から外した後でのみ有効成分を含む物質を対応する皮膚領域に塗布することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロニードルは、材料の中でもセラミック、金属又はポリマーから形成され得る。一又は複数の有効成分がこれらの材料に追加されてマイクロニードルの製剤になることが好ましい。
【0005】
治療用又は診断用のマイクロニードル又はマイクロニードルアレイを製造するための既知の方法は夫々、十分な質及び/又は量で製造するために適していないか、又は限られた範囲でしか適していない。
【0006】
マイクロニードルを製造するための一般的な方法では、例えばシリコーンで形成されたダイなどの型を使用してマイクロニードル又はマイクロニードルアレイ全体を夫々成型する。特に、型と型に供給される通常液体の製剤との疎水性により、このような製造方法には多くの問題が生じる。
【0007】
マイクロニードルアレイを製造するために2以上の液体が使用されることが多い。まず、マイクロニードルを形成する窪みの一部が、有効成分を含む第1の液体又は製剤で充填されるように、有効成分を含む第1の液体又は製剤がダイに注入される。この第1の液体が乾燥した後、窪みが完全に充填されてニードルを相互に連結する閉じたカバー層が形成されるように、典型的には有効成分を含まない第2の液体がダイに注入される。ここで、第2の液体が第1の液体を少なくとも部分的に溶解する必要があるため、2つの液体が互いに混合するという問題、又は2つの液体の組み合わせを保証するように第1の液体が未だ完全には乾燥してはならないという問題がある。特に、有効成分が第2の層すなわち下層に移る場合があるため、有効成分の有効性が低下する。更に、長い乾燥処理が必要であるという実質的な不利点がある。
【0008】
マイクロニードルの経皮適用のために、マイクロニードルアレイは通常皮膚に置かれ、マイクロニードルアレイの後側に均一な圧力を加えることにより、ニードルが適用される。このような手動の適用では、全てのニードルに均一な且つ一方向の力を加えることは非常に困難である。
【0009】
更に、マイクロニードルアレイを適用するための機械的なアプリケータが知られている。このようなアプリケータを使用する場合、まず、接着フィルムを使用してアプリケータにマイクロニードルアレイを配置する必要がある。この方法も同様に困難であり、個々のニードルが損傷する虞がある。
【0010】
更に、マイクロニードルアレイは個別に、典型的には無菌であるように包装される必要があるため、マイクロニードルアレイの包装には問題がある。この方法は、典型的にはブリスタ、つまり特に透明な包装フィルムを使用して行われる。無菌性に関する要件を満たすために、ブリスタを接合又は密閉する必要がある。接着層への密閉には多くの労力が必要である。特に、全ての接着剤がこの用途に適しているわけではない。
【0011】
欧州特許出願公開第3459584 号明細書から、マイクロニードルアレイを形成するためのマイクロニードル用の支持要素が知られている。このような支持要素は、板状の基部要素を有している。基部要素の前側に取付要素が設けられている。ここで、基部要素の前側は、マイクロニードルに面した側である。取付要素は円錐台形状に形成されており、取付要素の前側に円錐状のマイクロニードルが配置されている。マイクロニードルアレイを製造するために、欧州特許出願公開第3459584 号明細書から、有効成分を含む第1の液体をダイの円錐状の窪みに注入することが知られている。ここで、マイクロニードルを形成する個々の円錐台形状の窪みが完全には充填されないように、流体の量が選択される。次の工程で、円錐台形状の取付要素が窪みに突出して取付要素の前側とマイクロニードルを形成する材料とが連結するように、支持要素をダイに置く。欧州特許出願公開第3459584 号明細書から、取付要素の前側に一又は複数の窪みを設けることが知られているが、個々のマイクロニードルが支持要素の取付要素と確実に連結されないという問題が依然としてある。
【0012】
本発明の目的は、マイクロニードルとのより最適な連結が実現され得る支持要素を提供することである。上記の目的から独立した本発明の別の目的は、改良されたマイクロニードルアレイデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的は、請求項1の特徴を有する支持要素と、請求項12の特徴を有するマイクロニードルアレイデバイスとによって実現される。
【0014】
マイクロニードルアレイを形成するための本発明に係るマイクロニードル用の支持要素は、板状の基部要素を有している。基部要素の前側に取付要素が設けられている。取付要素は夫々、マイクロニードルアレイの特に1つのマイクロニードルと連結する機能を果たす。従って、基部要素の前側は、支持要素がマイクロニードルと連結されるときにマイクロニードルの方向に向く側である。
【0015】
各取付要素は1つの連結要素を有している。このような連結要素は、特に取付要素の前側に設けられているが、取付要素の側面、又は取付要素の側面及び前側の両方にも設けられ得る。マイクロニードルと取付要素との最適な連結を実現するために、本発明によれば、連結要素は、長手方向にアンダーカットを有するように形成されている。ここで、長手方向は、個々の取付要素及びマイクロニードルの中心線又は対称線である。或いは、長手方向は、離型方向、つまり、支持要素がマイクロニードルと共にダイから外される方向又は軸芯である。本発明によればアンダーカットが長手方向に設けられているため、マイクロニードルの材料は、取付要素又は取付要素に設けられている連結要素の周り又は後ろで少なくとも部分的に係合する。このようなアンダーカットにより、連結が大幅に改善される。窪みに既に注入された液体が未だ硬化していないか、又は少なくとも完全には硬化していない限り、支持要素の取付要素はダイの窪みに配置されることが好ましいので、液体は、対応するアンダーカット領域に簡単に達する。
【0016】
連結要素は突部であってもよく、又は連結要素は突部を有してもよく、言うまでも無く、支持要素が異なる取付要素に異なる連結要素及び/又は異なる連結要素の組み合わせを有することが可能である。連結要素が突部として形成されている場合、連結要素は長手方向に延びており、好ましい実施形態ではアンダーカットを形成している。アンダーカットは、特に長手方向に先細になる突部の断面によって実現され、つまり、突部は、マイクロニードルから基部要素の前側に向かって、つまり特には長手方向に先細になる。
【0017】
断面が先細になるため、突部は好ましくは溝を有している。溝は周方向の溝であってもよく、ひいては特に環状に形成されてもよい。従って、側面図では、突部がキノコ状に形成されていることが特に好ましい。このため、突部は、特に円形又は多角形の断面を有する筒状のウェブを有している。ウェブは、ヘッドなどの拡大部分に連結されている。
【0018】
更に好ましい実施形態では、連結要素は、取付要素に窪み、横断孔などとして形成されている。長手方向に少なくとも部分的に延びない窪み、横断孔などが設けられているため、既にアンダーカットが形成されることになる。製造中、マイクロニードルの少なくとも依然として粘性を有する材料がこれらの窪み、横断孔などに入り込む。硬化後、アンダーカットにより信頼性が高い特に形状嵌合式の連結がなされる。
【0019】
窪み、横断孔などとして設けられているこのような連結要素が、言うまでも無く、特に突部として構成されている上述した連結要素と組み合わせられてもよい。
【0020】
別の好ましい実施形態では、連結要素は、取付要素に延びているチャネルとして少なくとも部分的に又は完全に形成されている。特に、チャネルは、少なくとも部分的に長手方向に延びないか又は長手方向に対して0°の角度を有さないように配置されている。ここで、チャネルの断面が長手方向に広がってアンダーカットを形成することが特に好ましい。従って、このようなチャネルは、取付要素の前側から好ましくは基部要素の前側に向かって延びて、この方向に断面の少なくとも1つの拡大部分を有する。このため、チャネルに入るマイクロニードルの材料によってアンダーカットが実現される。
【0021】
断面の拡大部分を有するチャネルのこの特定の構成は、連結要素の上述した代替の実施形態と更に組み合わせられてもよい。
【0022】
取付要素のチャネル又は別の窪みは、マイクロニードルを形成して典型的には製造中に受け取られる液体の量より大きい体積を有することが好ましい。このため、過剰な材料を受け取って確実な連結を実現することが可能である。必要に応じて、液体を排出することも可能であるように、チャネルは基部要素の後側に延びることが可能である。
【0023】
本発明の特に好ましい展開例では、支持要素は溶媒を吸収する材料から少なくとも部分的に形成されている。このため、材料は、マイクロニードルを形成する液体中の溶媒の吸収に適している。ニードルを形成する材料の硬化が支持要素による溶媒の吸収によって保証されるため、ニードルを形成する材料が依然として非常に液状である状態で支持要素をダイの窪みに挿入することが可能であるので、このような構成は有利である。具体的には、支持要素の取付要素は、このような材料を含んでいる。
【0024】
チャネルが基部要素の後側に延びて、ひいては開口しているため、溶媒が簡単に流出し得るという更なる利点がある。
【0025】
具体的には、支持要素の基部要素の後側にホルダを設けることが有利である。ここで、基部要素の後側は前側の反対側であり、マイクロニードルが存在する場合にはマイクロニードルから離れる方向を向いている。このようなホルダ又はこのような固定要素は、アプリケータによる支持要素の収容を簡単にし得る。ホルダは、例えば実質的に筒状のピン形状の突起部であってもよい。突起部は、例えばアプリケータでの係止連結に協働するように周方向の溝を有してもよい。
【0026】
更に、基部要素の前側及び/又は後側の縁部領域に連結面を有することが好ましい。特に、連結面は接着面である。包装要素、特に包装フィルム、例えばブリスタが接着面に設けられてもよい。このため、マイクロニードルを特に無菌であるように包装することが簡単に可能である。包装要素が支持要素と連結されているため、簡単に外すことが可能である。具体的には、外す際にマイクロニードルを損傷する危険性が大幅に低下する。縁部領域は、周方向の、特に枠状に形成されていることが好ましい。
【0027】
本発明は更に、上述したように構成されて有利なように展開される支持要素を備えているマイクロニードルアレイに関する。マイクロニードルが、取付要素の少なくとも一部、特には各取付要素に設けられているか又は配置されている。このため、本発明は、上述した支持要素を使用して製造されたマイクロニードルアレイに関する。
【0028】
本発明は更に、マイクロニードルアレイデバイスに関する。このようなデバイスは、少なくとも1つの板状の基部要素と、基部要素の前側に設けられてマイクロニードルアレイの夫々のマイクロニードルと夫々連結するための取付要素とを有する支持要素を備えている。特に好ましい展開例の上述した連結要素は設けられる必要はないが、本発明によれば、このような連結要素が特に上述した実施形態に設けられていることが特に好ましい。本発明に係るマイクロニードルアレイデバイスでは、マイクロニードルが取付要素と連結されている。更に、包装要素が設けられており、包装要素によってマイクロニードルが特に無菌であるように包装されている。支持要素を参照して上述したように、包装要素は支持要素の縁部領域に配置されていることが好ましい。ここで、支持要素の基部要素の前側及び/又は後側に設けられている連結面を介して連結がなされることが好ましい。
【0029】
包装要素は、凹部を有するように更に構成されてもよい。凹部は支持要素を受ける役割を果たし、好ましい実施形態では、凹部は特に包装フィルムで少なくとも一側で閉じられている。包装フィルムは、剥がされ得るように構成されていることが好ましい。包装フィルムなどが、マイクロニードルが配置されている側に配置されていることが好ましい。従って、包装フィルムを外した後、支持要素を凹部から押し出してニードルを特に即座に適用することが容易に可能である。
【0030】
或いは又は加えて、包装フィルムが反対側、つまり支持要素の後側の領域に更に設けられてもよい。これは、特に支持要素がアプリケータと連結するためのホルダを有する場合に有利である。そのため、このような包装フィルム、特に剥離可能な包装フィルムが外されてもよく、その後即座にアプリケータがホルダに連結されてもよい。従って、アプリケータを使用する際、アプリケータをアプリケータの方向に外すことが可能である。対応するフィルムが両側に設けられている場合、マイクロニードルの側に設けられているフィルムを外し、アプリケータを使用して支持要素をこの方向に移動させて、マイクロニードルを直接適用することが同様に可能である。
【0031】
マイクロニードルアレイデバイスの支持要素は、上記に説明したように有利な方法で展開されることが好ましい。
【0032】
マイクロニードルアレイデバイスを製造するために、複数の、特に円錐状の窪みを有するダイを使用することが好ましい。窪みは、マイクロニードルを形成する役割を果たす。第1の工程で、液体、特に有効成分を含む液体をダイの窪みに注入する。ここで、窪みの一部分のみに充填する。その後、特に液体が完全に乾燥する前に、取付要素が窪みに突出して、取付要素と連結された連結要素によって液体と取付要素とが連結されるように、本発明に係る支持要素をダイの窪みに配置する。これは特に、液体が連結要素と連結して連結要素が部分的に囲まれるか又は後ろで係合されるように行われる。このようにして、アンダーカットが形成される。
【0033】
以下に、添付図面を参照して好ましい実施形態によって本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】支持要素の第1の実施形態を下から示す斜視略図である。
【
図2】
図1の線II-IIに沿って支持要素を示す断面略図である。
【
図5】支持要素の第2の実施形態を下から示す斜視略図である。
【
図6】
図5の線VI-VIに沿って支持要素を示す断面略図である。
【
図8】代替の実施形態に係る
図5及び
図6の支持要素を示す断面略図である。
【
図9】支持要素の更なる実施形態を示す側面略図である。
【
図10】
図9の支持要素に基づくマイクロニードルアレイデバイスの第1の好ましい実施形態を示す図である。
【
図11】
図9の支持要素に基づくマイクロニードルアレイデバイスの第2の好ましい実施形態を示す図である。
【
図12】
図9の支持要素に基づくマイクロニードルアレイデバイスの第3の好ましい実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
支持要素の第1の実施形態(
図1及び
図2)では、板状の基部要素10を備えている。基部要素10の前側12に複数の円錐台形状の取付要素14が配置されている。図示されている実施形態では、明瞭化のために、このような取付要素が9個のみ示されている。
【0036】
図示されている実施形態では、取付要素14は連結要素16を夫々有している。第1の実施形態では、連結要素16は、取付要素の前側18から基部要素の後側20に延びるチャネルとして構成されている。長手方向22に延びているチャネル16の第1の部分24では、チャネルは、第2の部分26より小さい直径を有する。チャネル16の第1の部分24及び第2の部分26の断面が異なるため、アンダーカットが形成されている。
【0037】
ダイ28(
図3)が、マイクロニードルアレイを製造するために使用される。ダイ28は複数の円錐状の窪み30を有している。円錐状の窪み30の配置及び数は、取付要素14の配置及び数に対応する。
【0038】
まず、窪み30の一部に液体32を充填する。ここで、窪み30の一部のみが充填されるように、有効成分を含む液体32を注入する。
【0039】
次の工程で、基部要素10の前側12がダイ28の上面34に載置されるように、支持要素をダイ28の上面34に置く(
図4参照)。ここで、取付要素14が窪み30に配置されて、液体32がチャネル16、特にチャネルの第1の部分24に入り込む。液体の一部がチャネルの第2の部分26に更に入り込むので、(
図4に示されているような)アンダーカットが形成される。従って、支持要素を長手方向又は離型方向22に離型すると、マイクロニードルを形成する液体の一部32が、アンダーカットにより取付要素14に固定して連結されたままであることが保証される。
【0040】
図5~7を参照して記載されている第2の実施形態では、同様及び同一の部品が同一の参照番号で示されている。
【0041】
第2の好ましい実施形態では、連結要素36が、取付要素14の前側18に連結要素として設けられている。連結要素36は、キノコ状の断面を有する突部として構成されている。このため、突部36は、長手方向又は離型方向22に特に環状の溝38を有している。溝38は、突部36のヘッド状要素40に対してアンダーカットを形成している。
【0042】
マイクロニードルを含む支持要素の製造は、第1の実施形態並びに
図3及び
図4を参照して上述したように相応に行われる。
図7に示されているように、液体32が突部36を囲んでいるため、アンダーカットにより、取付要素14とニードルを形成する液体32との堅固な連結、特に形状嵌合式の連結が実現される。
【0043】
図8は、
図5~7に示されている実施形態の代替の実施形態を示す。連結要素は、同様に構成されている。基部要素10の前側12がダイ28の上面34から離隔しているように、取付要素14が長い軸42を有している点のみが異なる。そのため、長さの異なるニードルが、同じダイ28を使用して簡単に製造され得る。
【0044】
図9は、
図5~7に示されている第2の実施形態の展開例を示す。ここで、基部要素10の後側20にホルダ44が設けられている。図示されている実施形態では、ホルダ44は円筒状に形成されており、環状溝46を有している。ホルダ44を介して支持要素をアプリケータに連結することが可能である。例えば、環状溝46に係止する係止連結によって、確実な固定がなされ得る。
【0045】
ホルダ44は、言うまでも無く
図1~4に示されている第1の実施形態の後側にも配置され得る。
【0046】
図10~12は、
図9に示されているホルダ44を含む支持要素に基づくマイクロニードルアレイデバイスの異なる実施形態を示す。
【0047】
無菌包装のために、
図10に示されている実施形態では、基部要素10の前側12の縁部領域48に連結面50が設けられている。特に、連結面50は接着面である。連結面50は、基部要素10の前側12に周方向に設けられているため、取付要素14を枠状に囲んでいる。接着面50に設けられている包装フィルム52を使用すると、マイクロニードルアレイ、つまり、特に患者と接する領域を無菌であるように包装することが容易に可能である。
【0048】
代替の包装の選択肢が
図11に示されている。この実施形態では、ここでも特にフィルムとして実施される対応する包装要素54が、基部要素10の縁部領域の周りに延びている。後側20では、連結層50がここでも縁部領域48に設けられている。この連結層も、特に枠状に形成されており、基部要素10全体を囲んでいる。
【0049】
図12に示されている実施形態では、支持要素は、液体によって形成されたニードル32と共に追加の包装体56に配置されている。追加の包装体56は、特に支持要素の基部要素10が配置されている凹部又は開口部58を有している。図示されている実施形態では、凹部は、追加の包装体の外側に接着面50によって固定されている包装フィルム60によってマイクロニードル32の側で閉じられている。追加の包装体56の外側に接着面50を有する別の包装フィルム62が包装フィルム60の反対側に設けられている。
【0050】
図12に示されている追加の包装体は、基部要素10の後側20に配置されたホルダ44を含む支持要素全体を保護する。ここで、支持要素自体は、追加の包装体56の開口部58に固定フック、取付要素などによって保持され得る。これにより、例えば、アプリケータによって力がホルダ44を介して加えられるまで、支持要素を定められた位置に容易に保持することが可能である。
【0051】
図示されている実施形態では、半円形の断面を有する溝が包装体56の外側に設けられてもよい。これにより、追加の包装体56全体をアプリケータに取り付けるか、又は追加の包装体56全体をアプリケータに受けることが可能である。そのため、適用に必要なのは、包装フィルム60を外すことだけである。
【国際調査報告】