(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】呼吸器状態の処置のための薬剤の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/58 20060101AFI20230428BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230428BHJP
A61K 31/664 20060101ALI20230428BHJP
A61K 31/427 20060101ALI20230428BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20230428BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230428BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230428BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
A61K31/58
A61K45/00
A61K31/664
A61K31/427
A61K31/513
A61P11/00
A61P31/14
A61P31/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557755
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 US2021024010
(87)【国際公開番号】W WO2021195297
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514058913
【氏名又は名称】セージ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ケインズ, スティーブン ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA59
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086BC82
4C086DA12
4C086DA34
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZB33
(57)【要約】
本明細書では、対象におけるコロナウイルスに関連する呼吸器状態または疾患の症状を処置するための方法であって、有効量の化合物(1)および化合物(2)、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を対象に投与するステップを含む、方法が提供される。
一実施形態では、対象は、呼吸器状態の症状を示しており、この症状は、気道過敏症、肺組織の炎症、肺過敏症、および炎症関連肺痛からなる群から選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における呼吸器疾患もしくは状態、または対象における呼吸器疾患もしくは状態の症状を処置する方法であって、治療有効量のGABA
A PAM、または薬学的に許容されるその塩もしくは結晶形態を前記対象に投与するステップを含み、前記GABA
A PAMが、化合物1
【化25】
および化合物2
【化26】
からなる群から選択される、方法。
【請求項2】
前記呼吸器状態が、呼吸窮迫である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記呼吸器状態が、急性呼吸窮迫症候群である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象が、前記呼吸器状態の症状を示しており、前記症状が、気道過敏症、肺組織の炎症、肺過敏症、および炎症関連肺痛からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記肺組織の炎症が、気管支炎または気管支拡張症である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記肺組織の炎症が、肺炎である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記肺炎が、人工呼吸器関連肺炎または院内感染性肺炎である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が、感染症、線維症、線維化エピソード、慢性閉塞性肺疾患、サルコイドーシス(または肺サルコイドーシス)または喘息/喘息関連炎症のための処置を受けつつあるか、または受けていた、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記対象が、感染症のための処置を受けつつあるか、または受けていた、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記感染症が、ウイルス感染症である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ウイルス感染症が、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスおよびハンタウイルスからなる群から選択されるウイルスの感染症である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ウイルスが、SARS-CoV、SARS-CoV-2、およびMERS-CoVからなる群から選択されるコロナウイルスである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コロナウイルスが、SARS-CoV-2である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、SARS、COVID-19またはMERSから選択される疾患のために処置されていたか、または処置されつつある、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記疾患が、COVID-19である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記感染症が、細菌感染症である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記細菌感染症が、Streptococcus pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa、およびHaemophilus influenzaeからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記Staphylococcus aureusが、メチシリン耐性Staphylococcus aureusである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、線維症または線維化エピソードのための処置を受けつつあるか、または受けていた、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記線維症が、嚢胞性線維症である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
気管支筋/気道弛緩剤、抗ウイルス剤、酸素、抗体、および抗菌剤からなる群から選択される1種または複数のさらなる薬剤を前記対象に投与するステップをさらに含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記1種または複数のさらなる薬剤が、前記GABA
A PAMの前、後またはそれと同時に、前記対象に投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記抗ウイルス剤が、レムデシビル、カレトラ、ロピナビル、およびリトナビルからなる群から選択される、請求項21から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記抗体が、サリルマブまたはトシリズマブである、請求項21から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記抗菌剤が、アジスロマイシンである、請求項21から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記対象が、酸素マスクを用いて処置されつつあるか、または処置されていた、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記対象が、機械的人工呼吸を用いて処置されつつあるか、または処置されていた、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
対象が機械的人工呼吸を用いて処置されなくなるまで、前記GABA
A PAMが前記対象に投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記対象が、嚢胞性線維症、喘息、喫煙誘発性COPD、慢性気管支炎、副鼻腔炎、便秘、膵炎、膵機能不全、精管の先天性両側欠損(CBAVD)によって引き起こされた男性不妊、軽度肺疾患、肺サルコイドーシス、特発性膵炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、肝疾患、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固-線維素溶解欠乏症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシング欠損症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無ベータリポタンパク質血症、リソソーム蓄積症、例えばI細胞疾患/偽性ハーラー症候群、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ・サックス病、クリグラー・ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノーシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経下垂体DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハ病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症および筋強直性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損に起因する)、ファブリ病、ストロイスラー・シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患、およびシェーグレン病からなる群から選択される疾患または状態のために処置されていたか、または処置されつつある、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記GABA
A PAMが、吸入、静脈内、筋肉内、皮下、または経口により投与される、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記GABA
A PAMが、経口投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記GABA
A PAMが、静脈内投与される。請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記GABA
A PAMが、静脈内持続注入によって投与される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記GABA
A PAMが、治療有効期間中、1時間当たり90~160μg/kgの速度で投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記GABA
A PAMが、90~150μg/kg/時間の速度で投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記GABA
A PAMが、130~150μg/kg/時間の速度で投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記GABA
A PAMが、140~150μg/kg/時間の速度で投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記GABA
A PAMが、約150μg/kg/時間の速度で投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記GABA
A PAMが、約140μg/kg/時間の速度で投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記GABA
A PAMが、約120μg/kg/時間の速度で投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記GABA
A PAMが、約100μg/kg/時間の速度で投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記GABA
A PAMが、治療有効期間中、10~100μg/kg/時間の速度で投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記GABA
A PAMが、30~80μg/kg/時間の速度で投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記GABA
A PAMが、35~70μg/kg/時間の速度で投与される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記GABA
A PAMが、70μg/kg/時間の速度で投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記GABA
A PAMが、35μg/kg/時間の速度で投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記GABA
A PAMが、60~80μg/kg/時間の速度で投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記治療有効期間が、少なくとも24時間である、請求項34から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記治療有効期間が、少なくとも48時間である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記治療有効期間が、少なくとも60時間である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記治療有効期間が、少なくとも3日間である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記治療有効期間が、少なくとも4日間である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記治療有効期間が、少なくとも5日間である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記治療有効期間が、少なくとも6日間である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記GABA
A PAMが、約140時間にわたって150μg/kg/時間の速度で投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項56】
a.前記投与速度を1時間にわたって約120μg/kg/時間に減速するステップと、
b.前記投与速度を1時間にわたって約90μg/kg/時間にさらに減速するステップと、
c.前記投与速度を1時間にわたって約60μg/kg/時間にさらに減速するステップと、
d.前記投与速度を1時間にわたって約30μg/kg/時間にさらに減速するステップと
をさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項57】
前記GABA
A PAMが、約58時間にわたって70μg/kg/時間の速度で投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項58】
前記GABA
A PAMの前記投与速度を、約2時間にわたって約35μg/kg/時間に減速するステップをさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
対象における呼吸器疾患または状態の処置が、前記呼吸器疾患または状態の1つまたは複数の症状を回復させるステップを含む、請求項1から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
対象における急性呼吸窮迫症候群の1つまたは複数の症状を回復させるステップを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
対象におけるCOVID-19の1つまたは複数の症状を回復させるステップを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記症状が、気道過敏症、肺組織の炎症、肺過敏症、および炎症関連肺痛からなる群から選択される、請求項59から61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記GABA
A PAMが、前記対象の血中酸素飽和度を増大するのに十分な量で、前記対象に投与される、請求項1から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記対象の前記血中酸素飽和度が、パルスオキシメトリーを使用して測定される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記対象が、サイトカインストーム(サイトカイン放出症候群としても公知)も経験しつつある、請求項1から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記患者が、サイトカイン放出症候群から生じる炎症を有している、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記炎症が、肺の炎症である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記患者が、急性呼吸窮迫症候群を有している、請求項65から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記患者が、挿管されている、請求項1から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記患者が、70歳未満である、請求項1から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記患者が、70歳またはそれよりも高齢である、請求項1から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記GABA
A PAMが、化合物1であり、前記化合物1が、遊離塩基である、請求項1から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記GABA
A PAMが、化合物1の薬学的に許容される塩である、請求項1から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記GABA
A PAMが、化合物2であり、前記化合物2が、遊離塩基である、請求項1から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記GABA
A PAMが、化合物2の薬学的に許容される塩である、請求項1から71のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年3月25日出願の米国仮出願第62/994,805号、2020年3月25日出願の米国仮出願第62/994,803号、2020年3月26日出願の米国仮出願第63/000,415号、2020年3月26日出願の米国仮出願第63/000,418号、2020年4月7日出願の米国仮出願第63/006,671号、2020年4月7日出願の米国仮出願第63/006,672号、2020年8月10日出願の米国仮出願第63/063,780号、および2020年8月10日出願の米国仮出願第63/063,803号の利益を主張するものである。これらの出願は、あらゆる目的でそれらの全体が参照により組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、本明細書に記載される薬剤を投与することによって、コロナウイルスに関連する呼吸器状態または疾患の1つまたは複数の症状を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
SARS-CoV-2は、コロナウイルス科、コロナウイルス亜科のコロナウイルス(CoV)である。これらのウイルスは、一本鎖プラス鎖RNAゲノムを有するエンベロープウイルスである。関連するコロナウイルスには、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)および中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)が含まれる。SARS-CoVおよびMERS-CoVと比較して、SARS-CoV-2は、ヒトからヒトへのより急速な伝染速度を示しており(Huang et al., Lancet 2000, 395, 497)、それにより、特に封じ込めることが困難になっており、危険である。
【0004】
CoVは、動物種とヒト種の垣根を乗り越える地方病性(enzootic)感染症として発生し、ヒトにおける動物由来感染症疾患を確立するように進行することが多い(Lau et al., PNAS 2005, 102, 14040-5、Rest et al., Infect Genet Evol. 2003, 3, 219-25)。異種間の垣根を越えることにより、SARS CoVおよび中東呼吸器症候群CoV(MERS)などのCoVは、病原性ヒトウイルスとして出現可能になった(Schoeman and Fielding, Virology 2019, 16, 69)。
ヒトコロナウイルス疾患のための治療を生み出してきた歴史が、この問題の複雑性および困難を示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Huang et al., Lancet 2000, 395, 497
【非特許文献2】Lau et al., PNAS 2005, 102, 14040-5
【非特許文献3】Rest et al., Infect Genet Evol. 2003, 3, 219-25
【非特許文献4】Schoeman and Fielding, Virology 2019, 16, 69
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、有効なCOVID-19処置の開発が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本発明の一態様は、対象における呼吸器疾患もしくは状態、または呼吸器疾患もしくは状態の症状を処置する方法であって、治療有効量の化合物1
【化1】
および化合物2
【化2】
または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0008】
本発明のこの態様の実施形態は、以下の必要に応じた特色の1つまたは複数を含み得る。一部の実施形態では、薬剤は、化合物1である。一部の実施形態では、薬剤は、化合物1の薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、薬剤は、化合物2または薬学的に許容されるその塩である。一部の実施形態では、呼吸器状態は、呼吸窮迫である。一部の実施形態では、呼吸器状態は、急性呼吸窮迫症候群である。一部の実施形態では、対象は、呼吸器状態の症状を示しており、症状は、気道過敏症、肺組織の炎症、肺過敏症、および炎症関連肺痛からなる群から選択される。一部の実施形態では、肺組織の炎症は、気管支炎または気管支拡張症である。一部の実施形態では、肺組織の炎症は、肺炎である。一部の実施形態では、肺炎は、人工呼吸器関連肺炎または院内感染性肺炎である。一部の実施形態では、対象は、感染症、線維症、線維化エピソード、慢性閉塞性肺疾患、サルコイドーシス(または肺サルコイドーシス)または喘息/喘息関連炎症のための処置を受けつつあるか、または受けていた。一部の実施形態では、対象は、感染症のための処置を受けつつあるか、または受けていた。一部の実施形態では、感染症は、ウイルス感染症である。一部の実施形態では、ウイルス感染症は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスおよびハンタウイルスからなる群から選択されるウイルスの感染症である。一部の実施形態では、ウイルスは、SARS-CoV、SARS-CoV-2、およびMERS-CoVからなる群から選択されるコロナウイルスである。一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2である。一部の実施形態では、対象は、SARS、COVID-19またはMERSから選択される疾患のために処置されていたか、または処置されつつある。一部の実施形態では、疾患は、COVID-19である。一部の実施形態では、感染症は、細菌感染症である。一部の実施形態では、細菌感染症は、Streptococcus pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa、およびHaemophilus influenzaeからなる群から選択される。一部の実施形態では、Staphylococcus aureusは、メチシリン耐性Staphylococcus aureusである。一部の実施形態では、対象は、線維症または線維化エピソードのための処置を受けつつあるか、または受けていた。一部の実施形態では、線維症は、嚢胞性線維症である。一部の実施形態では、対象は、気管支筋/気道弛緩剤、抗ウイルス剤、酸素、抗体、および抗菌剤からなる群から選択される別の薬剤を予め投与されている。一部の実施形態では、対象は、本明細書に記載される薬剤を予め投与されており、気管支筋/気道弛緩剤、抗ウイルス剤、酸素、および抗菌剤からなる群から選択される第2の薬剤をさらに投与される。一部の実施形態では、対象には、薬剤が、気管支筋/気道弛緩剤、抗ウイルス剤、酸素、および抗菌剤から選択される第2の薬剤と共に併用投与される。一部の実施形態では、抗ウイルス剤は、レムデシビル、カレトラ、ロピナビル、およびリトナビルからなる群から選択される。一部の実施形態では、抗体は、サリルマブまたはトシリズマブである。一部の実施形態では、抗菌剤は、アジスロマイシンである。一部の実施形態では、対象は、機械的人工呼吸を用いて処置されつつあるか、または処置されていた。一部の実施形態では、対象は、酸素マスクを用いて処置されつつあるか、または処置されていた。一部の実施形態では、薬剤は、吸入、静脈内、注射(例えば、筋肉内)、皮下、または経口により投与される。一部の実施形態では、薬剤は、静脈内投与される。一部の実施形態では、薬剤は、経口投与される。
【0009】
本発明の別の態様は、感染症の処置を受けつつあるか、または受けていた対象における呼吸器疾患もしくは状態、または呼吸器疾患もしくは状態の症状を処置する方法であって、化合物1および化合物2、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を、対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0010】
本発明のこの態様の実施形態は、以下の必要に応じた特色の1つまたは複数を含み得る。一部の実施形態では、感染症は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスおよびハンタウイルスからなる群から選択されるウイルスの感染症である。一部の実施形態では、ウイルスは、SARS-CoV、SARS-CoV-2、およびMERS-CoVからなる群から選択されるコロナウイルスである。一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2である。一部の実施形態では、対象は、SARS、COVID-19またはMERSから選択される疾患のために処置されていたか、または処置されつつある。一部の実施形態では、疾患は、COVID-19である。一部の実施形態では、感染症は、細菌感染症である。一部の実施形態では、細菌感染症は、Streptococcus pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa、およびHaemophilus influenzaeからなる群から選択される。一部の実施形態では、Staphylococcus aureusは、メチシリン耐性Staphylococcus aureusである。一部の実施形態では、薬剤は、化合物1である。一部の実施形態では、薬剤は、化合物1の薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、薬剤は、化合物2または薬学的に許容されるその塩である。一部の実施形態では、薬剤は、吸入、静脈内、注射(例えば、筋肉内)、皮下、または経口により投与される。一部の実施形態では、薬剤は、静脈内投与される。一部の実施形態では、薬剤は、経口投与される。
【0011】
本発明の別の態様は、対象における呼吸器疾患もしくは状態、または呼吸器疾患もしくは状態の症状を処置する方法であって、化合物1および化合物2、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を対象に投与するステップを含み、対象が、機械的人工呼吸を用いて処置されていたか、または処置されつつある、方法を提供する。
【0012】
本発明のこの態様の実施形態は、以下の必要に応じた特色の1つまたは複数を含み得る。一部の実施形態では、対象は、急性呼吸窮迫症候群を有している。一部の実施形態では、薬剤は、化合物1である。一部の実施形態では、薬剤は、化合物1の薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、薬剤は、化合物2または薬学的に許容されるその塩である。一部の実施形態では、薬剤は、吸入、静脈内、注射(例えば、筋肉内)、皮下、または経口により投与される。一部の実施形態では、薬剤は、静脈内投与される。一部の実施形態では、薬剤は、経口投与される。一部の実施形態では、対象は、感染症のための処置を受けつつあるか、または受けていたことがあり、化合物1および化合物2、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、感染症は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスおよびハンタウイルスからなる群から選択されるウイルスの感染症を含むウイルス感染症である。一部の実施形態では、ウイルスは、SARS-CoV、SARS-CoV-2、およびMERS-CoVからなる群から選択されるコロナウイルスである。一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2である。一部の実施形態では、対象は、SARS、COVID-19またはMERSから選択される疾患のために処置されていたか、または処置されつつある。一部の実施形態では、疾患は、COVID-19である。
【0013】
本発明の別の態様は、対象における呼吸器疾患もしくは状態、または呼吸器疾患もしくは状態の症状を処置する方法であって、化合物1および化合物2、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を対象に投与するステップを含み、対象が、嚢胞性線維症、喘息、喫煙誘発性COPD、慢性気管支炎、副鼻腔炎、便秘、膵炎、膵機能不全、精管の先天性両側欠損(CBAVD)によって引き起こされた男性不妊、軽度肺疾患、肺サルコイドーシス、特発性膵炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、肝疾患、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固-線維素溶解欠乏症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシング欠損症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無ベータリポタンパク質血症、リソソーム蓄積症、例えばI細胞疾患/偽性ハーラー症候群、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ・サックス病、クリグラー・ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症(hyperinsulemia)、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ(myleoperoxidase)欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノーシス(glycanosis)CDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経下垂体(neurophyseal)DI、腎性(neprogenic)DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハ(Perlizaeus-Merzbacher)病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentatorubal pallidoluysian)および筋強直性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損に起因する)、ファブリ病、ストロイスラー・シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患、またはシェーグレン病からなる群から選択される疾患または状態のために処置されていたか、または処置されつつある、方法を提供する。
【0014】
本発明のこの態様の実施形態は、以下の必要に応じた特色の1つまたは複数を含み得る。一部の実施形態では、薬剤は、化合物1である。一部の実施形態では、薬剤は、化合物1の薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、薬剤は、化合物2または薬学的に許容されるその塩である。一部の実施形態では、薬剤は、吸入、静脈内、注射(例えば、筋肉内)、皮下、または経口により投与される。一部の実施形態では、薬剤は、静脈内投与される。一部の実施形態では、薬剤は、経口投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり90~160μg/kgの速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、90~150μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、130~150μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、140~150μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、約150μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、約140μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、約120μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、約100μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、10~100μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、30~80μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、35~70μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、70μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、35μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、60~80μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも24時間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも48時間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも60時間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも3日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも4日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも5日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも6日間である。一部の実施形態では、対象は、機械的人工呼吸を用いて処置されつつあるか、または処置されていた。一部の実施形態では、薬剤は、機械的人工呼吸を用いて対象が処置されなくなるまで対象に投与される。
【0015】
本発明の別の態様は、対象における呼吸器疾患もしくは状態、または呼吸器疾患もしくは状態の症状を処置する方法であって、化合物1および化合物2、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を対象に投与するステップを含み、対象が、コロナウイルスに関連する疾患を有する、方法を提供する。
【0016】
本発明のこの態様の実施形態は、以下の必要に応じた特色の1つまたは複数を含み得る。一部の実施形態では、疾患は、SARS、MERSおよびCOVID-19から選択される。一部の実施形態では、疾患は、COVID-19である。一部の実施形態では、対象は、呼吸窮迫に罹患している。一部の実施形態では、呼吸窮迫は、急性呼吸窮迫症候群である。一部の実施形態では、対象は、気道過敏症、肺組織の炎症、肺過敏症、および炎症関連肺痛からなる群から選択される症状を示している。一部の実施形態では、肺組織の炎症は、気管支炎または気管支拡張症である。一部の実施形態では、肺組織の炎症は、肺炎である。一部の実施形態では、肺炎は、人工呼吸器関連肺炎または院内感染性肺炎である。一部の実施形態では、対象は、機械的人工呼吸または酸素処置を用いて処置されつつあるか、または処置されていた。一部の実施形態では、対象は、機械的人工呼吸を用いて処置されつつあるか、または処置されていた。一部の実施形態では、薬剤は、化合物1である。一部の実施形態では、薬剤は、化合物1の薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、薬剤は、化合物2または薬学的に許容されるその塩である。一部の実施形態では、薬剤は、吸入、静脈内、注射(例えば、筋肉内)、皮下、または経口により投与される。一部の実施形態では、薬剤は、静脈内投与される。一部の実施形態では、薬剤は、経口投与される。
【0017】
一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり90~160μg/kgの速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、90~150μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、130~150μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、140~150μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、約150μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、約140μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、約120μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、約100μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、10~100μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、30~80μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、35~70μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、70μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、35μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、薬剤は、60~80μg/kg/時間の速度で投与される。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも24時間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも48時間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも60時間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも3日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも4日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも5日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも6日間である。一部の実施形態では、対象は、機械的人工呼吸を用いて処置されつつあるか、または処置されていた。一部の実施形態では、薬剤は、機械的人工呼吸を用いて対象が処置されなくなるまで対象に投与される。一部の実施形態では、患者は、急性呼吸窮迫症候群を有している。一部の実施形態では、患者は、挿管されている。一部の実施形態では、患者は、70歳未満である。
【0018】
一部の実施形態では、患者は、本発明のいずれか1つの態様において70歳またはそれよりも高齢である。
【0019】
一態様では、本発明は、呼吸器状態を有する対象を処置する方法であって、化合物1
【化3】
および化合物2
【化4】
または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を投与するステップを含む、方法を含む。
【0020】
この態様の一実施形態では、薬剤は、化合物1である。
【0021】
別の実施形態では、薬剤は、化合物1の薬学的に許容される塩である。
【0022】
一実施形態では、薬剤は、化合物2または薬学的に許容されるその塩である。
【0023】
一実施形態では、呼吸器状態は、呼吸窮迫である。
【0024】
さらなる実施形態では、呼吸器状態は、急性呼吸窮迫症候群である。
【0025】
一実施形態では、対象は、呼吸器状態の症状を示しており、症状は、気道過敏症、肺組織の炎症、肺過敏症、および炎症関連肺痛からなる群から選択される。
【0026】
別の実施形態では、肺組織の炎症は、気管支炎または気管支拡張症である。
【0027】
さらなる実施形態では、肺組織の炎症は、肺炎である。
【0028】
またさらなる実施形態では、肺炎は、人工呼吸器関連肺炎または院内感染性肺炎である。
【0029】
一実施形態では、対象は、感染症、線維症、線維化エピソード、慢性閉塞性肺疾患、サルコイドーシス(または肺サルコイドーシス)または喘息/喘息関連炎症のための処置を受けつつあるか、または受けていた。
【0030】
一実施形態では、対象は、感染症のための処置を受けつつあるか、または受けていた。
【0031】
別の実施形態では、感染症は、ウイルス感染症である。
【0032】
一実施形態では、ウイルス感染症は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスおよびハンタウイルスからなる群から選択されるウイルスの感染症である。
【0033】
さらなる実施形態では、ウイルスは、SARS-CoV、SARS-CoV-2、およびMERS-CoVからなる群から選択されるコロナウイルスである。
【0034】
またさらなる実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2である。
【0035】
一実施形態では、対象は、SARS、COVID-19またはMERSから選択される疾患のために処置されていたか、または処置されつつある。
【0036】
さらなる実施形態では、疾患は、COVID-19である。
【0037】
一実施形態では、感染症は、細菌感染症である。
【0038】
さらなる実施形態では、細菌感染症は、Streptococcus pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa、およびHaemophilus influenzaeからなる群から選択される。
【0039】
またさらなる実施形態では、Staphylococcus aureusは、メチシリン耐性Staphylococcus aureusである。
【0040】
一実施形態では、対象は、線維症または線維化エピソードのための処置を受けつつあるか、または受けていた。
【0041】
さらなる実施形態では、線維症は、嚢胞性線維症である。
【0042】
一実施形態では、対象は、気管支筋/気道弛緩剤、抗ウイルス剤、酸素、抗体、および抗菌剤からなる群から選択される薬剤を予め投与されている。
【0043】
一実施形態では、対象は、薬剤を予め投与されており、気管支筋/気道弛緩剤、抗ウイルス剤、酸素、および抗菌剤からなる群から選択される第2の薬剤を対象に投与するステップをさらに含む。
【0044】
一実施形態では、対象には、薬剤が、気管支筋/気道弛緩剤、抗ウイルス剤、酸素、および抗菌剤から選択される薬剤と共に併用投与される。
【0045】
別の実施形態では、抗ウイルス剤は、レムデシビル、カレトラ、ロピナビル、およびリトナビルからなる群から選択される。
【0046】
別の実施形態では、抗体は、サリルマブまたはトシリズマブである。
【0047】
別の実施形態では、抗菌剤は、アジスロマイシンである。
【0048】
一実施形態では、対象は、機械的人工呼吸を用いて処置されつつあるか、または処置されていた。
【0049】
一実施形態では、対象は、酸素マスクを用いて処置されつつあるか、または処置されていた。
【0050】
一実施形態では、薬剤は、吸入、静脈内、注射(例えば、筋肉内)、皮下、または経口により投与される。
【0051】
さらなる実施形態では、薬剤は、静脈内投与される。
【0052】
別の実施形態では、薬剤は、経口投与される。
【0053】
別の態様では、本発明は、感染症の処置を受けつつあるか、または受けていた対象を処置する方法であって、化合物1
【化5】
および化合物2
【化6】
または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を対象に投与するステップを含む、方法を含む。
【0054】
この態様の一実施形態では、感染症は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスおよびハンタウイルスからなる群から選択されるウイルスの感染症である。
【0055】
別の実施形態では、ウイルスは、SARS-CoV、SARS-CoV-2、およびMERS-CoVからなる群から選択されるコロナウイルスである。
【0056】
さらなる実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2である。
【0057】
一実施形態では、対象は、SARS、COVID-19またはMERSから選択される疾患のために処置されていたか、または処置されつつある。
【0058】
さらなる実施形態では、疾患は、COVID-19である。
【0059】
一実施形態では、感染症は、細菌感染症である。
【0060】
さらなる実施形態では、細菌感染症は、Streptococcus pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa、およびHaemophilus influenzaeからなる群から選択される。
【0061】
またさらなる実施形態では、Staphylococcus aureusは、メチシリン耐性Staphylococcus aureusである。
【0062】
一実施形態では、薬剤は、化合物1である。
【0063】
別の実施形態では、薬剤は、化合物1の薬学的に許容される塩である。
【0064】
別の実施形態では、薬剤は、化合物2または薬学的に許容されるその塩である。
【0065】
一実施形態では、薬剤は、吸入、静脈内、注射(例えば、筋肉内)、皮下、または経口により投与される。
【0066】
一実施形態では、薬剤は、静脈内投与される。
【0067】
別の実施形態では、薬剤は、経口投与される。
【0068】
別の態様では、本発明は、対象を処置する方法であって、化合物1
【化7】
および化合物2
【化8】
または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を対象に投与するステップを含み、対象が、機械的人工呼吸を用いて処置されていたか、または処置されつつある、方法を含む。
【0069】
一実施形態では、対象は、急性呼吸窮迫症候群を有している。
【0070】
一実施形態では、薬剤は、化合物1である。
【0071】
別の実施形態では、薬剤は、化合物1の薬学的に許容される塩である。
【0072】
別の実施形態では、薬剤は、化合物2または薬学的に許容されるその塩である。
【0073】
一実施形態では、薬剤は、吸入、静脈内、注射(例えば、筋肉内)、皮下、または経口により投与される。
【0074】
一実施形態では、薬剤は、静脈内投与される。
【0075】
別の実施形態では、薬剤は、経口投与される。
【0076】
一実施形態では、対象は、感染症のための処置を受けつつあるか、または受けていたことがあり、その処置は、化合物1および化合物2、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を対象に投与するステップを含む。
【0077】
一実施形態では、感染症は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスおよびハンタウイルスからなる群から選択されるウイルスの感染症を含むウイルス感染症である。
【0078】
一実施形態では、ウイルスは、SARS-CoV、SARS-CoV-2、およびMERS-CoVからなる群から選択されるコロナウイルスである。
【0079】
さらなる実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2である。
【0080】
別の実施形態では、対象は、SARS、COVID-19またはMERSから選択される疾患のために処置されていたか、または処置されつつある。
【0081】
さらなる実施形態では、疾患は、COVID-19である。
【0082】
別の態様では、本発明は、対象を処置する方法であって、化合物1
【化9】
および化合物2
【化10】
または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を対象に投与するステップを含み、対象が、疾患または状態のために処置されていたか、または処置されており、
疾患または状態が、嚢胞性線維症、喘息、喫煙誘発性COPD、慢性気管支炎、副鼻腔炎、便秘、膵炎、膵機能不全、精管の先天性両側欠損(CBAVD)によって引き起こされた男性不妊、軽度肺疾患、肺サルコイドーシス、特発性膵炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、肝疾患、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固-線維素溶解欠乏症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシング欠損症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無ベータリポタンパク質血症、リソソーム蓄積症、例えばI細胞疾患/偽性ハーラー症候群、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ・サックス病、クリグラー・ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノーシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経下垂体DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハ病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症および筋強直性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損に起因する)、ファブリ病、ストロイスラー・シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患、またはシェーグレン病からなる群から選択される、方法を含む。
【0083】
一実施形態では、薬剤は、化合物1である。
【0084】
別の実施形態では、薬剤は、化合物1の薬学的に許容される塩である。
【0085】
別の実施形態では、薬剤は、化合物2または薬学的に許容されるその塩である。
【0086】
一実施形態では、薬剤は、吸入、静脈内、注射(例えば、筋肉内)、皮下、または経口により投与される。
【0087】
一実施形態では、薬剤は、静脈内投与される。
【0088】
別の実施形態では、薬剤は、経口投与される。
【0089】
一実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり90~160μg/kgの速度で投与される。
【0090】
さらなる実施形態では、薬剤は、90~150μg/kg/時間の速度で投与される。
【0091】
さらなる実施形態では、薬剤は、130~150μg/kg/時間の速度で投与される。
【0092】
さらなる実施形態では、薬剤は、140~150μg/kg/時間の速度で投与される。
【0093】
さらなる実施形態では、薬剤は、約150μg/kg/時間の速度で投与される。
【0094】
さらなる実施形態では、薬剤は、約140μg/kg/時間の速度で投与される。
【0095】
さらなる実施形態では、薬剤は、約120μg/kg/時間の速度で投与される。
【0096】
さらなる実施形態では、薬剤は、約100μg/kg/時間の速度で投与される。
【0097】
一実施形態では、薬剤は、10~100μg/kg/時間の速度で投与される。
【0098】
さらなる実施形態では、薬剤は、30~80μg/kg/時間の速度で投与される。
【0099】
さらなる実施形態では、薬剤は、35~70μg/kg/時間の速度で投与される。
【0100】
さらなる実施形態では、薬剤は、70μg/kg/時間の速度で投与される。
【0101】
さらなる実施形態では、薬剤は、35μg/kg/時間の速度で投与される。
【0102】
さらなる実施形態では、薬剤は、60~80μg/kg/時間の速度で投与される。
【0103】
一実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも24時間である。
【0104】
さらなる実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも48時間である。
【0105】
さらなる実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも60時間である。
【0106】
さらなる実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも3日間である。
【0107】
さらなる実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも4日間である。
【0108】
さらなる実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも5日間である。
【0109】
さらなる実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも6日間である。
【0110】
さらなる実施形態では、対象は、機械的人工呼吸を用いて処置されつつあるか、または処置されていた。
【0111】
さらなる実施形態では、薬剤は、機械的人工呼吸を用いて対象が処置されなくなるまで対象に投与される。
【0112】
別の態様では、本発明は、対象を処置する方法であって、化合物1
【化11】
および化合物2
【化12】
または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を対象に投与するステップを含み、対象が、コロナウイルスに関連する疾患を有している、方法を含む。
【0113】
一実施形態では、疾患は、SARS、MERSおよびCOVID-19から選択される。
【0114】
さらなる実施形態では、疾患は、COVID-19である。
【0115】
一実施形態では、対象は、呼吸窮迫に罹患している。
【0116】
一実施形態では、呼吸窮迫は、急性呼吸窮迫症候群である。
【0117】
一実施形態では、対象は、気道過敏症、肺組織の炎症、肺過敏症、および炎症関連肺痛からなる群から選択される症状を示している。
【0118】
一実施形態では、肺組織の炎症は、気管支炎または気管支拡張症である。
【0119】
別の実施形態では、肺組織の炎症は、肺炎である。
【0120】
さらなる実施形態では、肺炎は、人工呼吸器関連肺炎または院内感染性肺炎である。
【0121】
一実施形態では、対象は、機械的人工呼吸または酸素処置を用いて処置されつつあるか、または処置されていた。
【0122】
さらなる実施形態では、対象は、機械的人工呼吸を用いて処置されつつあるか、または処置されていた。
【0123】
一実施形態では、薬剤は、化合物1である。
【0124】
別の実施形態では、薬剤は、化合物1の薬学的に許容される塩である。
【0125】
別の実施形態では、薬剤は、化合物2または薬学的に許容されるその塩である。
【0126】
一実施形態では、薬剤は、吸入、静脈内、注射(例えば、筋肉内)、皮下、または経口により投与される。
【0127】
一実施形態では、薬剤は、静脈内投与される。
【0128】
別の実施形態では、薬剤は、経口投与される。
【0129】
一実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり90~160μg/kgの速度で投与される。
【0130】
さらなる実施形態では、薬剤は、90~150μg/kg/時間の速度で投与される。
【0131】
さらなる実施形態では、薬剤は、130~150μg/kg/時間の速度で投与される。
【0132】
さらなる実施形態では、薬剤は、140~150μg/kg/時間の速度で投与される。
【0133】
さらなる実施形態では、薬剤は、約150μg/kg/時間の速度で投与される。
【0134】
さらなる実施形態では、薬剤は、約140μg/kg/時間の速度で投与される。
【0135】
さらなる実施形態では、薬剤は、約120μg/kg/時間の速度で投与される。
【0136】
さらなる実施形態では、薬剤は、約100μg/kg/時間の速度で投与される。
【0137】
一実施形態では、薬剤は、10~100μg/kg/時間の速度で投与される。
【0138】
さらなる実施形態では、薬剤は、30~80μg/kg/時間の速度で投与される。
【0139】
さらなる実施形態では、薬剤は、35~70μg/kg/時間の速度で投与される。
【0140】
さらなる実施形態では、薬剤は、70μg/kg/時間の速度で投与される。
【0141】
さらなる実施形態では、薬剤は、35μg/kg/時間の速度で投与される。
【0142】
さらなる実施形態では、薬剤は、60~80μg/kg/時間の速度で投与される。
【0143】
一実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも24時間である。
【0144】
さらなる実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも48時間である。
【0145】
さらなる実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも60時間である。
【0146】
さらなる実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも3日間である。
【0147】
さらなる実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも4日間である。
【0148】
さらなる実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも5日間である。
【0149】
さらなる実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも6日間である。
【0150】
一実施形態では、対象は、機械的人工呼吸を用いて処置されつつあるか、または処置されていた。
【0151】
さらなる実施形態では、薬剤は、機械的人工呼吸を用いて対象が処置されなくなるまで対象に投与される。
【0152】
一実施形態では、患者は、急性呼吸窮迫症候群を有している。
【0153】
別の実施形態では、患者は、挿管されている。
【0154】
一実施形態では、患者は、70歳未満である。
【0155】
別の実施形態では、患者は、70歳またはそれよりも高齢である。
【0156】
別の態様では、本発明は、対象における呼吸器疾患もしくは状態、または呼吸器疾患もしくは状態の症状を処置する方法であって、治療有効量のGABA
A PAM、または薬学的に許容されるその塩もしくは結晶形態を前記対象に投与するステップを含み、GABA
A PAMが、化合物1
【化13】
および化合物2
【化14】
からなる群から選択される、方法を含む。
【0157】
一実施形態では、呼吸器状態は、呼吸窮迫である。
【0158】
さらなる実施形態では、呼吸器状態は、急性呼吸窮迫症候群である。
【0159】
一実施形態では、対象は、呼吸器状態の症状を示しており、症状は、気道過敏症、肺組織の炎症、肺過敏症、および炎症関連肺痛からなる群から選択される。
【0160】
別の実施形態では、肺組織の炎症は、気管支炎または気管支拡張症である。
【0161】
一実施形態では、肺組織の炎症は、肺炎である。
【0162】
さらなる実施形態では、肺炎は、人工呼吸器関連肺炎または院内感染性肺炎である。
【0163】
一実施形態では、対象は、感染症、線維症、線維化エピソード、慢性閉塞性肺疾患、サルコイドーシス(または肺サルコイドーシス)または喘息/喘息関連炎症のための処置を受けつつあるか、または受けていた。
【0164】
一実施形態では、対象は、感染症のための処置を受けつつあるか、または受けていた。
【0165】
さらなる実施形態では、感染症は、ウイルス感染症である。
【0166】
別の実施形態では、ウイルス感染症は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスおよびハンタウイルスからなる群から選択されるウイルスの感染症である。
【0167】
さらなる実施形態では、ウイルスは、SARS-CoV、SARS-CoV-2、およびMERS-CoVからなる群から選択されるコロナウイルスである。
【0168】
またさらなる実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2である。
【0169】
一実施形態では、対象は、SARS、COVID-19またはMERSから選択される疾患のために処置されていたか、または処置されつつある。
【0170】
さらなる実施形態では、疾患は、COVID-19である。
【0171】
一実施形態では、感染症は、細菌感染症である。
【0172】
別の実施形態では、細菌感染症は、Streptococcus pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa、およびHaemophilus influenzaeからなる群から選択される。
【0173】
さらなる実施形態では、Staphylococcus aureusは、メチシリン耐性Staphylococcus aureusである。
【0174】
一実施形態では、対象は、線維症または線維化エピソードのための処置を受けつつあるか、または受けていた。
【0175】
さらなる実施形態では、線維症は、嚢胞性線維症である。
【0176】
一実施形態では、本方法は、気管支筋/気道弛緩剤、抗ウイルス剤、酸素、抗体、および抗菌剤からなる群から選択される1種または複数のさらなる薬剤を対象に投与するステップをさらに含む。
【0177】
一実施形態では、1種または複数のさらなる薬剤は、GABAA PAMの前、後またはそれと同時に、対象に投与される。
【0178】
一実施形態では、抗ウイルス剤は、レムデシビル、カレトラ、ロピナビル、およびリトナビルからなる群から選択される。
【0179】
別の実施形態では、抗体は、サリルマブまたはトシリズマブである。
【0180】
別の実施形態では、抗菌剤は、アジスロマイシンである。
【0181】
一実施形態では、対象は、酸素マスクを用いて処置されつつあるか、または処置されていた。
【0182】
別の実施形態では、対象は、機械的人工呼吸を用いて処置されつつあるか、または処置されていた。
【0183】
さらなる実施形態では、GABAA PAMは、機械的人工呼吸を用いて対象が処置されなくなるまで対象に投与される。
【0184】
一実施形態では、対象は、嚢胞性線維症、喘息、喫煙誘発性COPD、慢性気管支炎、副鼻腔炎、便秘、膵炎、膵機能不全、精管の先天性両側欠損(CBAVD)によって引き起こされた男性不妊、軽度肺疾患、肺サルコイドーシス、特発性膵炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、肝疾患、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固-線維素溶解欠乏症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシング欠損症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無ベータリポタンパク質血症、リソソーム蓄積症、例えばI細胞疾患/偽性ハーラー症候群、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ・サックス病、クリグラー・ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノーシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経下垂体DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハ病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症および筋強直性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損に起因する)、ファブリ病、ストロイスラー・シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患、およびシェーグレン病からなる群から選択される疾患または状態のために処置されていたか、または処置されつつある。
【0185】
一実施形態では、GABAA PAMは、吸入、静脈内、筋肉内、皮下、または経口により投与される。
【0186】
別の実施形態では、GABAA PAMは、経口投与される。
【0187】
別の実施形態では、GABAA PAMは、静脈内投与される。
【0188】
さらなる実施形態では、GABAA PAMは、静脈内持続注入によって投与される。
【0189】
一実施形態では、GABAA PAMは、治療有効期間中、1時間当たり90~160μg/kgの速度で投与される。
【0190】
さらなる実施形態では、GABAA PAMは、90~150μg/kg/時間の速度で投与される。
【0191】
さらなる実施形態では、GABAA PAMは、130~150μg/kg/時間の速度で投与される。
【0192】
さらなる実施形態では、GABAA PAMは、140~150μg/kg/時間の速度で投与される。
【0193】
さらなる実施形態では、GABAA PAMは、約150μg/kg/時間の速度で投与される。
【0194】
さらなる実施形態では、GABAA PAMは、約140μg/kg/時間の速度で投与される。
【0195】
さらなる実施形態では、GABAA PAMは、約120μg/kg/時間の速度で投与される。
【0196】
さらなる実施形態では、GABAA PAMは、約100μg/kg/時間の速度で投与される。
【0197】
別の実施形態では、GABAA PAMは、治療有効期間中、10~100μg/kg/時間の速度で投与される。
【0198】
さらなる実施形態では、GABAA PAMは、30~80μg/kg/時間の速度で投与される。
【0199】
さらなる実施形態では、GABAA PAMは、35~70μg/kg/時間の速度で投与される。
【0200】
さらなる実施形態では、GABAA PAMは、70μg/kg/時間の速度で投与される。
【0201】
さらなる実施形態では、GABAA PAMは、35μg/kg/時間の速度で投与される。
【0202】
さらなる実施形態では、GABAA PAMは、60~80μg/kg/時間の速度で投与される。
【0203】
一実施形態では、治療有効期間は、少なくとも24時間である。
【0204】
さらなる実施形態では、治療有効期間は、少なくとも48時間である。
【0205】
さらなる実施形態では、治療有効期間は、少なくとも60時間である。
【0206】
さらなる実施形態では、治療有効期間は、少なくとも3日間である。
【0207】
さらなる実施形態では、治療有効期間は、少なくとも4日間である。
【0208】
さらなる実施形態では、治療有効期間は、少なくとも5日間である。
【0209】
さらなる実施形態では、治療有効期間は、少なくとも6日間である。
【0210】
一実施形態では、GABAA PAMは、約140時間にわたって150μg/kg/時の速度で投与される。
【0211】
一実施形態では、本方法は、
a.投与速度を1時間にわたって約120μg/kg/時間に減速するステップと、
b.投与速度を1時間にわたって約90μg/kg/時間にさらに減速するステップと、
c.投与速度を1時間にわたって約60μg/kg/時間にさらに減速するステップと、
d.投与速度を1時間にわたって約30μg/kg/時間にさらに減速するステップと
をさらに含む。
【0212】
別の実施形態では、GABAA PAMは、約58時間にわたって70μg/kg/時間の速度で投与される。
【0213】
一実施形態では、本方法は、GABAA PAMの投与速度を、約2時間にわたって約35μg/kg/時間に減速するステップをさらに含む。
【0214】
一実施形態では、対象における呼吸器疾患または状態の処置は、呼吸器疾患または状態の1つまたは複数の症状を回復させるステップを含む。
【0215】
別の実施形態では、本方法は、対象における急性呼吸窮迫症候群の1つまたは複数の症状を回復させるステップを含む。
【0216】
別の実施形態では、本方法は、対象におけるCOVID-19の1つまたは複数の症状を回復させるステップを含む。
【0217】
一実施形態では、症状は、気道過敏症、肺組織の炎症、肺過敏症、および炎症関連肺痛からなる群から選択される。
【0218】
別の実施形態では、GABAA PAMは、対象の血中酸素飽和度を増大するのに十分な量で、対象に投与される。
【0219】
さらなる実施形態では、対象の血中酸素飽和度は、パルスオキシメトリーを使用して測定される。
【0220】
一実施形態では、対象は、サイトカインストーム(サイトカイン放出症候群としても公知)も経験しつつある。
【0221】
さらなる実施形態では、患者は、サイトカイン放出症候群から生じる炎症を有している。
【0222】
またさらなる実施形態では、炎症は、肺の炎症である。
【0223】
一実施形態では、患者は、急性呼吸窮迫症候群を有している。
【0224】
一実施形態では、患者は、挿管されている。
【0225】
一実施形態では、患者は、70歳未満である。
【0226】
別の実施形態では、患者は、70歳またはそれよりも高齢である。
【0227】
一実施形態では、GABAA PAMは、化合物1であり、化合物1は、遊離塩基である。
【0228】
別の実施形態では、GABAA PAMは、化合物1の薬学的に許容される塩である。
【0229】
一実施形態では、GABAA PAMは、化合物2であり、化合物2は、遊離塩基である。
【0230】
別の実施形態では、GABAA PAMは、化合物2の薬学的に許容される塩である。
【0231】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の技術者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。方法および材料は、本明細書では、本発明において使用するために記載されており、当技術分野で公知の他の適切な方法および材料を使用することもできる。材料、方法、および例は、単に例示的なものであり、制限することを企図されない。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリ、および他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾が生じる場合、定義を含めて本明細書が優先する。
【0232】
本発明の他の特色および利点は、以下の詳細な説明および図、ならびに特許請求の範囲から明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0233】
詳細な説明
本明細書では、対象における呼吸器状態の1つまたは複数の症状を回復させる方法であって、治療有効量の化合物1
【化15】
および化合物2
【化16】
または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を対象に投与するステップを含む、方法が記載される。
【0234】
また本明細書では、対象におけるコロナウイルスに関連する疾患の症状の1つまたは複数を回復させる方法であって、治療有効量の化合物1
【化17】
および化合物2
【化18】
または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を対象に投与するステップを含む、方法が記載される。
【0235】
I.定義
【0236】
本明細書で使用される場合、「単位剤形」という用語は、薬剤が対象に投与される形態を指す。具体的には、単位剤形は、例えば、丸剤、カプセル剤、または錠剤であり得る。
【0237】
本明細書で使用される場合、「固体剤形」は、固体形態、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、サシェ剤、再構成可能な(reconstitutable)散剤、乾燥粉末吸入剤およびチュアブル剤の、医薬用量(複数可)を意味する。
【0238】
「約」という用語が、定量値の前に使用される場合、本発明の教示は、別段具体的に記述されない限り、その特定の定量値自体も含む。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、別段指定も推測もされない限り、名目上の値から±10%の変動を指す。
【0239】
特定の官能基および化学用語の定義を、以下より詳細に記載する。化学元素は、Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.の内表紙に従って特定され、特定の官能基は、一般に、そこに記載される通りに定義される。加えて、有機化学の一般原則、ならびに特定の官能性部分および反応性は、Thomas Sorrell, Organic Chemistry, University Science Books, Sausalito, 1999、Smith and March, March's Advanced Organic Chemistry, 5th Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2001、Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, Inc., New York, 1989、およびCarruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, 3rd Edition, Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載されている。
【0240】
本明細書で使用される場合、「GABAAポジティブアロステリックモジュレーター」という用語は、GABAA受容体の機能活性を増強または増大する化合物を指す。
【0241】
「薬学的に許容される」は、連邦政府もしくは州政府の規制当局または米国以外の国内の対応する当局によって承認されているまたは承認可能であること、あるいは動物における、より具体的にはヒトにおける使用について、米国薬局方または一般に認識されている薬局方に列挙されていることを意味する。
【0242】
「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容されており、親化合物の所望の薬理学的活性を有する、本開示の化合物の塩を指す。特に、このような塩は、非毒性であり、無機または有機酸付加塩および塩基付加塩であり得る。具体的に、このような塩には、(1)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを用いて形成されるか、または有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などを用いて形成される酸付加塩、あるいは(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンもしくはアルミニウムイオンによって置き換えられるか、または有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなどと配位する場合に形成される塩が含まれる。塩にはさらに、単に例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどが含まれ、化合物が塩基性官能基を含有する場合には、非毒性の有機または無機酸の塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などが含まれる。「薬学的に許容されるカチオン」という用語は、酸性官能基の許容されるカチオン性対イオンを指す。このようなカチオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムカチオンなどによって例示される。例えば、Berge, et al., J. Pharm. Sci. (1977) 66(1): 1-79を参照されたい。
【0243】
投与が意図される「対象」には、限定されるものではないが、ヒト(すなわち、いずれかの年齢群の男性もしくは女性、例えば小児対象(例えば、乳幼児、子ども、青年)もしくは成人対象(例えば、若年成人、中年成人または高年成人))、ならびに/または非ヒト動物、例えば哺乳動物、例えば霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコおよび/もしくはイヌが含まれる。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、非ヒト動物である。「ヒト」、「患者」および「対象」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。
【0244】
疾患、障害、および状態は、本明細書において交換可能に使用される。
【0245】
本明細書で使用される場合、別段特定されない限り、「処置する」、「処置すること」および「処置」という用語は、対象が特定の疾患、障害または状態に罹患している間に行われ、それによって、疾患の重症度、および/または疾患、障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状を低減するか、あるいは疾患、障害または状態の進行を遅延または緩徐する措置(「治療的処置」)を意図し、また、対象が特定の疾患、障害または状態に罹患し始める前に行われる措置(「予防的処置」)を意図する。
【0246】
本明細書で使用される場合、別段特定されない限り、「処置サイクル」は、第1の用量の薬剤を投与し、第2の用量の薬剤を投与し、第3の用量の薬剤を投与することを含み、前記薬剤の用量は、前記対象を処置するのに十分な用量である。
【0247】
本明細書で使用される場合、別段特定されない限り、「治療に十分な期間」は、本開示による処置の際に、患者の状態の測定可能なまたは観測可能な改善を引き出すのに十分な期間を含む。
【0248】
一般に、化合物の「有効量」は、例えば呼吸器状態の症状を処置するために、所望の生物学的応答を引き出すのに十分な量を指す。当業者によって認識される通り、本開示の化合物の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、処置される疾患、投与方法、ならびに対象の年齢、体重、健康状態および状態などの因子に応じて変わり得る。有効量は、治療的処置および予防的処置を包含する。
【0249】
本明細書で使用される場合、別段特定されない限り、化合物の「治療有効量」は、疾患、障害もしくは状態の処置において治療利益をもたらすか、または疾患、障害もしくは状態に関連する1つもしくは複数の症状を遅延するもしくは最小限に抑えるのに十分な量である。化合物の治療有効量とは、疾患、障害もしくは状態の処置において治療利益をもたらす、治療剤単独の、または他の治療と組み合わせられる治療剤の量を意味する。「治療有効量」という用語は、全体的治療を改善し、疾患もしくは状態の症状もしくは原因を低減もしくは回避し、または別の治療剤の治療有効性を増強する量を包含することができる。
【0250】
II.薬剤
【0251】
本明細書では、呼吸器状態の1つもしくは複数の症状を示しており、かつ/または呼吸器状態を有すると診断された対象を処置する方法であって、本開示の薬剤を前記対象に投与するステップを含む、方法が記載される。一部の実施形態では、薬剤は、化合物1
【化19】
および化合物2
【化20】
または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される。一部の実施形態では、薬剤は、化合物1である。一部の実施形態では、薬剤は、化合物2である。
【0252】
本明細書で使用される場合、「化合物1」は、次式(または構造)を有する化合物を指す。
【化21】
【0253】
化合物1は、シナプス性およびシナプス外GABAA受容体を標的にするGABAA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(すなわち、GABAA PAM)であることが示された薬剤である。化合物1は、GABAA受容体のポジティブアロステリックモジュレーターとして、CNS関連障害、例えば、うつ病、産後うつ病および大うつ病性障害を処置するための治療剤として働く。化合物1は、SAGE-217としても公知である。一部の実施形態では、化合物1は、ズラノロンとして製剤化される。
【0254】
本明細書で使用される場合、「化合物2」は、次式(または構造)を有する化合物を指す。
【化22】
【0255】
化合物2は、シナプス性およびシナプス外GABAA受容体を標的にするGABAA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(すなわち、GABAA PAM)であることが示された薬剤である。化合物2は、GABAA受容体のポジティブアロステリックモジュレーターとして、CNS関連障害、例えば、うつ病、産後うつ病および大うつ病性障害を処置するための治療剤として働く。
【0256】
III.医薬組成物
【0257】
一態様では、本開示は、本開示の化合物(「活性成分」とも呼ばれる)、例えば化合物1または化合物2、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、有効量の活性成分を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、治療有効量の活性成分を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、予防上有効な量の活性成分を含む。
【0258】
本明細書で提供される医薬組成物は、限定されるものではないが、経口(経腸)投与、非経口(注射による)投与、直腸投与、経皮投与、皮内投与、髄腔内投与、皮下(SC)投与、静脈内(IV)投与、筋肉内(IM)投与、および鼻腔内投与を含めた様々な経路によって投与することができる。一部の実施形態では、薬剤は、対象に静脈内投与される。一部の実施形態では、薬剤は、静脈内持続注入によって対象に投与される。
【0259】
一般に、本明細書で提供される化合物は、有効量で投与される。実際に投与される化合物の量は、典型的に、処置される状態、選択された投与経路、投与される実際の化合物、個々の対象の年齢、体重および応答、対象の症状の重症度などを含めた関連する環境に照らして、医師によって決定される。
【0260】
本明細書で提供される化合物は、コロナウイルスに関連する疾患の開始を防止するために使用される場合、状態を発生するリスクがある対象に、典型的に医師のアドバイスに基づいて、医師の監視の下で、前述の投与レベルで投与される。
【0261】
本開示の医薬組成物はさらに、様々な投薬方法を使用して送達され得る。例えば、ある特定の実施形態では、医薬組成物は、例えば化合物の血中濃度を有効レベルまで上昇させるために、ボーラスとして与えられ得る。ボーラス用量の配置は、体中に所望される活性成分の全身レベルに応じて決まり、例えば筋肉内または皮下ボーラス用量は、活性成分の徐放を可能にする一方、静脈に直接送達された(例えば、IV点滴により)ボーラスは、かなり急速な送達を可能にし、それによって、活性成分の血中濃度を有効レベルまで急速に上昇させる。他の実施形態では、医薬組成物は、対象の体内の活性成分の定常状態での濃度を維持するために、例えばIV点滴によって持続注入として投与され得る。さらに、またさらに他の実施形態では、医薬組成物は、ボーラス用量として最初に投与され、続いて持続注入によって投与され得る。
【0262】
経口投与のための組成物は、バルク液体溶液もしくは懸濁液、または原薬粉末の形態であってもよい。しかし、より一般には、組成物は、正確な投薬を促進するために、単位剤形で提示される。「単位剤形」という用語は、ヒト対象および他の哺乳動物のための単位投与量として適した、物理的に別個の単位を指し、各単位は、適切な医薬賦形剤と共に所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性材料を含有する。典型的な単位剤形には、予め充填された、事前測定された液体組成物のアンプルもしくはシリンジ、または固体組成物の場合には丸剤、錠剤、カプセル剤などが含まれる。このような組成物において、化合物は、通常、微量構成成分であり(約0.1~約50重量%または約1~約40重量%)、残りは様々なビヒクルまたは賦形剤、および所望の投薬形態を形成するのに役立つ処理助剤である。
【0263】
経口投与可能な、注射可能な、または局所投与可能な組成物のための前述の構成成分は、単に代表的なものである。他の材料および処理技術などは、参照により本明細書に組み込まれるPart 8 of Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th edition, 1985, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。
【0264】
本開示の化合物はまた、持続放出形態で、または持続放出薬物送達系から投与することができる。代表的な持続放出材料の説明は、Remington's Pharmaceutical Sciencesに見出すことができる。
【0265】
本開示はまた、本開示の化合物の薬学的に許容される酸付加塩に関する。薬学的に許容される塩を調製するために使用され得る酸は、非毒性の酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容できるアニオンを含有する塩、例えば塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、パラ-トルエンスルホン酸塩などを形成する酸である。
【0266】
IV.使用方法
【0267】
本明細書では、呼吸器状態の1つもしくは複数の症状を示しており、かつ/または呼吸器状態を有すると診断された対象を処置する方法であって、化合物1
【化23】
および化合物2
【化24】
または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を前記対象に投与するステップを含む、方法が記載される。
【0268】
一部の実施形態では、本開示は、対象における呼吸器疾患もしくは状態、または呼吸器疾患もしくは状態の症状を処置する方法であって、化合物1および化合物2、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を前記対象に投与するステップを含み、対象が呼吸器状態を有している、方法を意図する。一部の実施形態では、薬剤は、化合物1である。一部の実施形態では、薬剤は、化合物1の薬学的に許容される塩である。一部の実施形態では、化合物は、ズラノロン(zuralonone)として製剤化される。一部の実施形態では、薬剤は、化合物2または薬学的に許容されるその塩である。
【0269】
一部の実施形態では、呼吸器状態の症状を示している対象への、化合物1、化合物2、または薬学的に許容されるその塩の投与は、呼吸器状態の1つもしくは複数の症状の重症度を低減し得るか、または呼吸器状態の1つもしくは複数の症状の進行を遅延もしくは緩徐し得る。
【0270】
一部の実施形態では、呼吸器状態を有している対象は、機械的人工呼吸または酸素を用いて(例えば、酸素マスクにより)処置されていたか、または処置されつつある。一部の実施形態では、呼吸器状態を有している対象は、機械的人工呼吸を用いて処置されていたか、または処置されつつある。一部の実施形態では、呼吸器状態を有する対象は、酸素を用いて(例えば、酸素マスクにより)処置されていたか、または処置されつつある。一部の実施形態では、対象は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有しているか、または有していると診断されている。一部の実施形態では、対象は、気道過敏症、肺組織の炎症、肺過敏症、および炎症関連肺痛からなる群から選択される呼吸器状態の症状を示している。
【0271】
一態様では、本開示は、機械的人工呼吸を用いて処置されていたか、または処置されつつある対象(例えば、ヒト対象)における呼吸器疾患もしくは状態、または呼吸器疾患もしくは状態の症状を処置する方法を意図する。一部の実施形態では、対象は、急性呼吸窮迫症候群を有している。一部の実施形態では、対象は、感染症のための処置を受けつつあるか、または受けていたことがあり、感染症の処置は、薬剤を対象に投与するステップを含む。
【0272】
一態様では、本開示は、呼吸器状態を有する対象(例えば、ヒト対象)における呼吸器疾患もしくは状態、または呼吸器疾患もしくは状態の症状を処置する方法であって、第1の用量、例えば負荷用量の化合物1および化合物2、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を、例えば、全身麻酔下の対象に投与するステップと、前記第1の用量よりも少ない第2の用量、例えば維持用量の薬剤を投与するステップと、第3の用量、例えば下方漸減用量(downward taper dose)の薬剤を投与するステップとを含み、前記用量が、前記対象(例えば、ヒト対象)を処置するのに十分である、方法を意図する。
【0273】
別の態様では、本開示は、呼吸器状態を有する対象(例えば、ヒト対象)における呼吸器疾患もしくは状態、または呼吸器疾患もしくは状態の症状を処置する方法であって、一次用量の化合物1および化合物2、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を、例えば、全身麻酔下の対象に投与するステップと、第1の用量よりも少ない後続用量、例えば下方漸減用量の薬剤を投与するステップとを含み、前記用量が、前記対象(例えば、ヒト対象)を処置するのに十分である、方法を意図する。
【0274】
一部の実施形態では、一次用量は、本明細書に記載される通り、第1の用量または負荷用量の特徴の1つまたは複数を有する。一部の実施形態では、一次用量は、本明細書に記載される通り、第2の用量または維持用量の特徴の1つまたは複数を有する。一部の実施形態では、後続用量は、本明細書に記載される通り、第3の用量または下方漸減用量の特徴の1つまたは複数を有する。
【0275】
一部の実施形態では、一次用量は、IV持続注入によって、少なくとも24時間、少なくとも48時間、または少なくとも58時間にわたって投与される。一部の実施形態では、一次用量は、IV持続注入によって、24~96時間、または48~72時間、または約58時間にわたって投与される。
【0276】
一部の実施形態では、後続用量は、一次用量の後に、例えば直後に投与される。一部の実施形態では、一次用量は、0.5~10時間、または1~5時間、または約2時間にわたって投与される。
【0277】
一部の実施形態では、前記第1の用量は、負荷用量、例えばボーラス用量である。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において50~500nM、100~400nM、または200~300nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において、500~1000nM、600~900nM、または700~800nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において、1000~1500nM、1100~1400nM、または1200~1300nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において、1500~2000nM、1600~1900nM、または1700~1800nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において、2000~2500nM、2100~2400nM、または2200~2300nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において、300~800nM、400~700nM、または500~600nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において、800~1300nM、900~1200nM、または1000~1100nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において、1300~1800nM、1400~1700nM、または1500~1600nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において、1800~2300nM、1900~2200nM、または2000~2100nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において、2300~2600nM、2400~2500nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において、300~400nM、400~500nM、600~700nM、800~900nM、1100~1200nM、1300~1400nM、1400~1500nM、1600~1700nM、1800~1900nM、1900~2000nM、2100~2200nM、2300~2400nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において、500~2500nM、500~1500nM、500~1000nM、500~800、または500~600nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において、50~250nM、100~200nM、または140~160nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において、150±30nM、150±20nM、150±10nM、または150nMの血漿濃度をもたらす。
【0278】
一部の実施形態では、前記第1の用量の血漿濃度は、前記第1の用量の開始後、予め選択された時間に、例えば10分後、15分後、20分後、30分後、45分後、60分後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後、24時間後、2日後、3日後、4日後に測定される。
【0279】
一部の実施形態では、前記第1の用量は、6時間未満、5時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、または1時間未満の期間にわたって投与される。一部の実施形態では、前記第1の用量は、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも40分間、少なくとも50分間、少なくとも60分間、少なくとも70分間、少なくとも80分間、または少なくとも90分間の期間にわたって投与される。一部の実施形態では、前記第1の用量は、30~120分間、45~100分間、または50~70分間の期間にわたって投与される。一部の実施形態では、前記第1の用量は、60+/-15分間、60+/-10分間、60+/-5分間、または60分間の期間にわたって投与される。
【0280】
一部の実施形態では、前記第1の用量は、200~3500μg/kg/時間の投与速度で投与される。一部の実施形態では、前記第1の用量は、例えば1時間にわたって200~350μg/kg/時間、250~300μg/kg/時間、280~290μg/kg/時間、286μg/kg/時間、287μg/kg/時間、または288μg/kg/時間の投与速度で投与される。
【0281】
一部の実施形態では、前記第2の用量は、維持用量である。一部の実施形態では、前記第2の用量の投与は、予め選択された期間内に開始され、前記期間は、前記麻酔剤の投与と共に始まる。一部の実施形態では、前記第2の用量の投与は、予め選択された期間内に開始され、前記期間は、全身麻酔の導入と共に始まる。一部の実施形態では、前記第2の用量の投与は、予め選択された期間内に開始され、前記期間は、第1の用量の始まりと共に始まる。一部の実施形態では、前記第2の用量の投与は、予め選択された期間内に開始され、前記期間は、第1の用量の終了と共に始まる。一部の実施形態では、前記第2の用量の投与は、予め選択された期間内に開始され、前記期間は、例えば、血漿中の薬剤の所定レベルの達成と共に始まる。一部の実施形態では、前記期間は、第1の用量の終了と共に始まる。一部の実施形態では、前記予め選択された期間は、第1の用量の投与の始まりまたは終了と共に始まり、240分未満、180分未満、120分未満、60分未満、30分未満、15分未満、または5分未満である。一部の実施形態では、前記予め選択された期間は、第1の用量の投与の始まりまたは終了と共に始まり、90分未満、80分未満、70分未満、または60分未満である。一部の実施形態では、第2の用量の投与は、第1の用量の投与の始まりまたは終了後、90分未満、80分未満、70分未満、60分未満、または30分未満に始まる。一部の実施形態では、第2の用量の投与は、第1の用量の投与の始まりまたは終了から50~70分後、55~65分後、または60分後に始まる。一部の実施形態では、第2の用量の投与は、第1の用量の投与の終了後、60分以内、50分以内、40分以内、30分以内、20分以内、10分以内、5分以内、4分以内、3分以内、2分以内、1分以内に始まる。一部の実施形態では、第2の用量の投与は、第1の用量の投与の終了時に始まる。
【0282】
一部の実施形態では、第1の用量の投与および第2の用量の開始は、同じ送達デバイスを用いて、例えば同じカニューレまたはリザーバーを用いて実施される。
【0283】
一部の実施形態では、前記第2の用量は、48~192時間の間、60~144時間の間、60~120時間の間、80~110時間の間、および90~100時間の間の期間にわたって投与される。一部の実施形態では、前記第2の用量は、95+/-5時間にわたって投与される。一部の実施形態では、前記第2の用量は、95時間にわたって投与される。一部の実施形態では、前記第2の用量は、24~72時間の間、24~60時間の間、48~72時間の間、48~60時間の間、または約58時間の期間にわたって投与される。
【0284】
一部の実施形態では、前記第2の用量は、対象において、50~500nM、100~400nM、または200~300nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第2の用量は、対象において、500~1000nM、600~900nM、または700~800nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第2の用量は、対象において、1000~1500nM、1100~1400nM、または1200~1300nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第2の用量は、対象において、1500~2000nM、1600~1900nM、または1700~1800nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第2の用量は、対象において、2000~2500nM、2100~2400nM、または2200~2300nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第2の用量は、対象において、300~800nM、400~700nM、または500~600nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第2の用量は、対象において、800~1300nM、900~1200nM、または1000~1100nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第1の用量は、対象において、1300~1800nM、1400~1700nM、または1500~1600nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第2の用量は、対象において、1800~2300nM、1900~2200nM、または2000~2100nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第2の用量は、対象において、2300~2600nM、2400~2500nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第2の用量は、対象において、300~400nM、400~500nM、600~700nM、800~900nM、1100~1200nM、1300~1400nM、1400~1500nM、1600~1700nM、1800~1900nM、1900~2000nM、2100~2200nM、2300~2400nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第2の用量は、対象において、500~2500nM、500~1500nM、500~1000nM、500~800nM、または500~600nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第2の用量は、対象において、50~250nM、100~200nM、または140~160nMの血漿濃度をもたらす。一部の実施形態では、前記第2の用量は、対象において、150+/-30nM、150+/-20nM、150+/-10nM、または150nMの血漿濃度をもたらす。
【0285】
一部の実施形態では、前記第2の用量の血漿濃度は、前記第2の用量の開始後、予め選択された時間に、例えば10分後、15分後、20分後、30分後、45分後、60分後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後、24時間後、2日後、3日後、4日後に測定される。
【0286】
一部の実施形態では、前記第2の用量は、前記第2の用量の開始後、例えば予め選択された時間に、例えば10分後、15分後、20分後、30分後、45分後、60分後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後、24時間後、2日後、3日後、4日後に測定される通り、150nMの血漿濃度をもたらす。
【0287】
一部の実施形態では、前記第2の用量は、第2の用量全体にわたって、同じ注入速度、例えば薬剤の量/単位時間で投与される。一部の実施形態では、注入速度、例えば送達された薬剤の量/単位時間は、第2の用量中に変わる。一部の実施形態では、前記第2の用量は、25~1500μg/kg/時間の注入速度、例えば薬剤の量/単位時間で投与される。一部の実施形態では、前記第2の用量は、25~150μg/kg/時間、50~100μg/kg/時間、75~100μg/kg/時間、85μg/kg/時間、86μg/kg/時間、または87μg/kg/時間の注入速度、例えば薬剤の量/単位時間で投与される。
【0288】
一部の実施形態では、前記下方漸減投薬は、連続的に減少する量の化合物1または化合物2を投与することを含む。一部の実施形態では、前記下方漸減投薬は、単位時間当たり、連続的に減少する量の化合物1または化合物2を投与することを含む。一部の実施形態では、前記下方漸減投薬は、複数の段階的用量を投与することを含み、その後の各段階的用量は、先行する段階的用量よりも少ない。一部の実施形態では、前記下方漸減投薬は、複数の段階的用量を投与することを含み、その後の各段階的用量は、先行する段階的用量よりも少量の化合物1または化合物2/単位時間を送達する。一部の実施形態では、前記下方漸減用量は、下方漸減投薬全体にわたって、同じ注入速度、例えば化合物1または化合物2の量/単位時間で投与され、下方漸減用量の注入速度は、前回の用量(例えば、第2の用量)の注入速度よりも低い。例えば、下方漸減用量は、前回の用量の注入速度の約4分の1~約4分の3、例えば前回の用量の注入速度の約2分の1で投与され得る。一部の実施形態では、下方漸減用量は、約30分~約10時間、約1時間~約5時間、または約2時間の期間にわたって投与される。
【0289】
一部の実施形態では、方法は、第1、第2、および第3の段階的用量を投与するステップを含む。一部の実施形態では、前記第1の段階的用量は、第2の/維持用量の60~90%であり、前記第2の段階的用量は、第2の/維持用量の40~70%であり、前記第3の段階的用量は、第2の/維持用量の10~40%である。一部の実施形態では、前記第1の段階的用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間は、前記第2の/維持用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間の60~90%であり、前記第2の段階的用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間は、前記第2の/維持用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間の40~70%であり、前記第3の段階的用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間は、前記第2の/維持用量の注入速度、例えば送達された化合物1または化合物2の量/単位時間の10~40%である。一部の実施形態では、前記第1の段階的用量は、第2の/維持用量の70~80%であり、前記第2の段階的用量は、第2の/維持用量の40~60%であり、前記第3の段階的用量は、第2の/維持用量の20~30%である。一部の実施形態では、前記第1の段階的用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間は、前記第2の/維持用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間の70~80%であり、前記第2の段階的用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間は、前記第2の/維持用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間の40~60%であり、前記第3の段階的用量で送達された化合物1または化合物2 化合物1または化合物2の量/単位時間は、前記第2の/維持用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間の20~30%である。一部の実施形態では、前記第1の段階的用量は、第2の/維持用量の75%であり、前記第2の段階的用量は、第2の/維持用量の50%であり、前記第3の段階的用量は、第2の/維持用量の25%である。一部の実施形態では、前記第1の段階的用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間は、前記第2の/維持用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間の75%である。一部の実施形態では、前記第2の段階的用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間は、前記第2の/維持用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間の50%である。一部の実施形態では、前記第3の段階的用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間は、前記第2の/維持用量で送達された化合物1または化合物2の量/単位時間の25%である。
【0290】
一部の実施形態では、前記第3の段階的用量の完了後、化合物1または化合物2は、少なくとも10日間、少なくとも20日間、少なくとも30日間、少なくとも40日間、少なくとも50日間もしくは少なくとも60日間にわたって、または対象がSRSEのその後のエピソードを有するまで、対象(例えば、ヒト対象)に投与されない。
【0291】
一部の実施形態では、前記第1の段階的用量は、25~1000μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一部の実施形態では、前記第1の段階的用量は、25~100μg/kg/時間、50~75μg/kg/時間、60~70μg/kg/時間、63μg/kg/時間、64μg/kg/時間、または65μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一部の実施形態では、前記第2の段階的用量は、10~700μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一部の実施形態では、前記第2の段階的用量は、10~70μg/kg/時間、25~55μg/kg/時間、40~50μg/kg/時間、42μg/kg/時間、43μg/kg/時間、または44μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一部の実施形態では、前記第3の段階的用量は、5~500μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一部の実施形態では、前記第3の段階的用量は、5~50μg/kg/時間、10~35μg/kg/時間、15~25μg/kg/時間、20μg/kg/時間、21μg/kg/時間、または22μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。
【0292】
本明細書では、例えば、治療剤(例えば、本明細書に記載される薬剤)または治療剤を含む組成物を、例えばIV注入によって対象に投与する方法が提供される。
【0293】
一実施形態では、注入は、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、または少なくとも7日間にわたって行われる。一実施形態では、注入は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、または7日間の過程にわたって行われる。
【0294】
一実施形態では、注入は、ボーラス注入(例えば、単回投薬、単回注入)である。一実施形態では、注入は、複数回ボーラス注入(例えば、頻回ボーラス注入、例えば、1回よりも多い回数のボーラス注入、例えば、2回、3回、4回、5回またはそれよりも多い回数のボーラス注入)である。一実施形態では、複数回ボーラス注入は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月またはそれよりも長期間、投与される。一実施形態では、注入は、間欠注入(例えば、不規則な間隔で行われる注入)である。一実施形態では、注入は、持続注入である。一実施形態では、方法は、複数回の注入を投与するステップを含む。一実施形態では、方法は、第1、第2、および第3の注入を投与するステップを含む。一実施形態では、第2の注入の投与は、第1の注入の投与の始まりまたは終了後、90分以内、60分以内、30分以内、10分以内もしくは5分以内に始まる。一実施形態では、第2の注入は、第1の注入の投与の始まりまたは終了から0~90分後、0~60分後、0~30分後、0~10分後、または0~5分後に始まる。一実施形態では、第2の注入は、第1の注入の投与の終了後、60分以内、30分以内、20分以内、10分以内、5分以内、4分以内、3分以内、2分以内、または1分以内に始まる。一実施形態では、第2の注入は、第1の注入の投与の終了時に始まる。一実施形態では、第1の注入および第2の注入の開始は、同じ送達デバイスを用いて、例えば、同じカニューレまたはリザーバーを用いて実施される。
【0295】
一実施形態では、送達される薬剤の量/単位時間は、第1の注入中に変わる。一実施形態では、第1の(逓増)注入は、第2の(維持)注入よりも少量の薬剤/単位時間を送達する。一実施形態では、第1の(逓増)注入は、複数の段階的用量を投与することを含み、その後の各段階的用量は、先行する段階的用量よりも多量の薬剤/単位時間を送達する。
【0296】
一実施形態では、前記第3の注入は、5~20時間の間、8~16時間の間、10~15時間の間、または10~13時間の間の期間にわたって投与される。一実施形態では、前記第1の注入は、12+/-2時間にわたって投与される。一実施形態では、前記第1の注入は、12時間にわたって投与される。
【0297】
一実施形態では、送達される薬剤の量/単位時間は、第1の注入中に変わる。
【0298】
一実施形態では、前記逓増用量の投与は、連続的に増大する量の薬剤または本明細書に記載される薬剤を含む組成物を投与することを含む。一実施形態では、前記逓増用量の投与は、連続的に増大する量の薬剤/単位時間を投与することを含む。
【0299】
一実施形態では、方法は、第1、第2、および第3の段階的用量を含む。
【0300】
一実施形態では、前記第1の段階的用量は、5~50μg/kg/時間(例えば、21.5μg/kg/時間)の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、前記第1の段階的用量は、5~50μg/kg/時間、10~40μg/kg/時間、20~30μg/kg/時間、20μg/kg/時間、21μg/kg/時間、22μg/kg/時間、または21.5μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、前記第1の段階的用量は、30μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、前記第2の段階的用量は、10~100μg/kg/時間(例えば、43μg/kg/時間)の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、前記第2の段階的用量は、10~100μg/kg/時間、20~70μg/kg/時間、30~50μg/kg/時間、42μg/kg/時間、43μg/kg/時間、または44μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、前記第2の段階的用量は、60μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、前記第3の段階的用量は、25~150μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、前記第3の段階的用量は、25~150μg/kg/時間、40~100μg/kg/時間、60~70μg/kg/時間、63μg/kg/時間、64μg/kg/時間、65μg/kg/時間、または64.5μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、前記第3の段階的用量は、90μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、薬剤が薬剤である場合、第1の段階的用量、第2の段階的用量、および第3の段階的用量は、間欠注入によって投与され、前記第1の段階的用量は、30μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与され、前記第2の段階的用量は、60μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与され、前記第3の段階的用量は、90μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、薬剤が薬剤である場合、第1の段階的用量および第2の段階的用量は、間欠注入によって投与され、前記第1の段階的用量は、30μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与され、前記第2の段階的用量は、60μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。
【0301】
一実施形態では、第3の(逓減/下方漸減)注入は、第2の(維持)注入よりも少量の薬剤/単位時間を送達する。一実施形態では、第3の(逓減/下方漸減)注入は、複数の段階的用量を投与することを含み、その後の各段階的用量は、先行する段階的用量よりも少量の薬剤/単位時間を送達する。一実施形態では、前記第3の注入は、5~20時間の間、8~16時間の間、10~15時間の間、または10~13時間の間の期間にわたって投与される。一実施形態では、前記第3の注入は、12+/-2時間にわたって投与される。一実施形態では、前記第3の注入は、12時間にわたって投与される。
【0302】
一実施形態では、前記下方漸減用量の投与は、連続的に減少する量の本明細書に記載される薬剤を投与することを含む。一実施形態では、前記下方漸減用量の投与は、連続的に減少する量の薬剤/単位時間を投与することを含む。
【0303】
一実施形態では、方法は、第1、第2、および第3の段階的用量を含む。
【0304】
一実施形態では、前記第1の段階的用量は、25~150μg/kg/時間(例えば、30μg/kg/時間)の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、前記第1の段階的用量は、25~150μg/kg/時間、40~100μg/kg/時間、60~70μg/kg/時間、63μg/kg/時間、64μg/kg/時間、65μg/kg/時間、または64.5μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、前記第2の段階的用量は、10~100μg/kg/時間(例えば、43μg/kg/時間)の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、前記第2の段階的用量は、10~100μg/kg/時間、20~70μg/kg/時間、30~50μg/kg/時間、42μg/kg/時間、43μg/kg/時間、または44μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、前記第3の段階的用量は、5~50μg/kg/時間(例えば、21.5μg/kg/時間)の薬剤の量/単位時間で投与される。一実施形態では、前記第3の段階的用量は、5~50μg/kg/時間、10~40μg/kg/時間、20~30μg/kg/時間、20μg/kg/時間、21μg/kg/時間、22μg/kg/時間、または21.5μg/kg/時間の薬剤の量/単位時間で投与される。
【0305】
一実施形態では、方法は、50~150μg/kg/時間(例えば、86μg/kg/時間または60μg/kg/時間)の第2の/維持注入の薬剤を投与するステップを含む。一実施形態では、第2の/維持注入は、50~150μg/kg/時間、60~100μg/kg/時間、70~90μg/kg/時間、85μg/kg/時間、86μg/kg/時間、または87μg/kg/時間である。一実施形態では、前記第2の/維持注入は、5~80時間の間、10~70時間の間、20~50時間の間、または30~40時間の間の期間にわたって投与される。一実施形態では、前記第2の/維持注入は、36+/-5時間にわたって投与される。一実施形態では、前記第2の/維持注入は、36時間にわたって投与される。一実施形態では、前記第2の/維持注入の血漿濃度は、前記第2の/維持注入の開始後、予め選択された時間に、例えば10分後、15分後、20分後、30分後、45分後、60分後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後、24時間後、2日後、3日後、4日後に測定される。一実施形態では、前記第2の/維持注入は、前記前記第2の/維持注入の開始後、例えば予め選択された時間に、例えば10分後、15分後、20分後、30分後、45分後、60分後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後、24時間後、2日後、3日後、4日後に測定される通り、150nMの血漿濃度をもたらす。一実施形態では、前記第2の/維持注入は、第2の/維持注入全体にわたって、同じ薬剤の量/単位時間で投与される。
【0306】
一実施形態では、前記第1の段階的用量は、第2の/維持注入の10~40%(例えば、25%)であり、前記第2の段階的用量は、第2の/維持注入の30~70%(例えば、50%)であり、前記第3の段階的用量は、第2の/維持注入の60~90%(例えば、75%)である。一実施形態では、前記第1の段階的用量は、第2の/維持注入の60~90%(例えば、75%)であり、前記第2の段階的用量は、第2の/維持注入の30~70%(例えば、50%)であり、前記第3の段階的用量は、第2の/維持注入の10~40%(例えば、25%)である。一実施形態では、前記第1の段階的用量で送達される薬剤の量/単位時間は、前記第2の/維持注入で送達される薬剤の量/単位時間の10~40%(例えば、25%)であり、前記第2の段階的用量で送達される薬剤の量/単位時間は、前記第2の/維持注入で送達される薬剤の量/単位時間の30~70%(例えば、50%)であり、前記第3の段階的用量で送達される薬剤の量/単位時間は、前記第2の/維持注入で送達される薬剤の量/単位時間の60~90%(例えば、75%)である。一実施形態では、前記第1の段階的用量で送達される薬剤の量/単位時間は、前記第2の/維持注入で送達される薬剤の量/単位時間の60~90%(例えば、75%)であり、前記第2の段階的用量で送達される薬剤の量/単位時間は、前記第2の/維持注入で送達される薬剤の量/単位時間の30~70%(例えば、50%)であり、前記第3の段階的用量で送達される薬剤の量/単位時間は、前記第2の/維持注入で送達される薬剤の量/単位時間の10~40%(例えば、25%)である。
【0307】
一部の実施形態では、薬剤は、静脈内持続注入を含む投与レジメンで対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、約60時間の期間にわたる投与レジメンで対象に投与される。一部の実施形態では、投与レジメンは、約0時間~約58時間にわたる、70μg/kg/時間の化合物1または化合物2、および約58時間~約60時間にわたる35μg/kg/時間の化合物1または化合物2の静脈内持続注入を含む。
【0308】
一部の実施形態では、薬剤は、静脈内持続注入を含む投与レジメンで対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、約60時間の期間にわたる投与レジメンで対象に投与され、投与レジメンは、約0時間~約4時間にわたって30μg/kg/時間の薬剤、約4時間~約24時間にわたって60μg/kg/時間の薬剤、約24時間~約52時間にわたって90μg/kg/時間の薬剤、約52時間~約56時間にわたって60μg/kg/時間の薬剤、および約56時間~約60時間にわたって30μg/kg/時間の薬剤の静脈内持続注入を含む。
【0309】
一部の実施形態では、薬剤は、静脈内持続注入を含む投与レジメンで対象に投与される。一部の実施形態(embodiment)では、薬剤は、約60時間の期間にわたる投与レジメンで対象に投与され、投与レジメンは、約0時間~約4時間にわたって30μg/kg/時間の薬剤、約4時間~約24時間にわたって60μg/kg/時間の薬剤、約24時間~約52時間にわたって90μg/kg/時間の薬剤、約52時間~約56時間にわたって60μg/kg/時間の薬剤、および約56時間~約60時間にわたって30μg/kg/時間の薬剤の静脈内持続注入を含む。
【0310】
一部の実施形態では、薬剤(すなわち、GABAA PAM)は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり10~100μg/kgの速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり20~100μg/kgの速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり20~80μg/kgの速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり30~80μg/kgの速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり35~70μg/kgの速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり50~100μg/kgの速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり60~80μg/kgの速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり65~75μg/kgの速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり70μg/kgの速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり35μg/kgの速度で対象に投与される。
【0311】
一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、1時間当たり90~160μg/kgの速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、90~150μg/kg/時間の速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、110~150μg/kg/時間の速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、120~150μg/kg/時間の速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、130~150μg/kg/時間の速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、140~150μg/kg/時間の速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、約150μg/kg/時間の速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、約140μg/kg/時間の速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、約130μg/kg/時間の速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、約120μg/kg/時間の速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、約110μg/kg/時間の速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、約100μg/kg/時間の速度で対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤は、治療に十分な期間にわたって、約90μg/kg/時間の速度で対象に投与される。
【0312】
一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも1日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも2日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも3日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも4日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも5日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも6日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも7日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも8日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも9日間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、約144時間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、約140時間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも24時間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも48時間である。一部の実施形態では、治療に十分な期間は、少なくとも60時間である。
【0313】
一部の実施形態では、処置は、投与速度の段階的減速を含む。一部の実施形態では、処置は、
1.速度を1時間にわたって約120μg/kg/時間に減速するステップと、
2.速度を1時間にわたって約90μg/kg/時間にさらに減速するステップと、
3.速度を1時間にわたって約60μg/kg/時間にさらに減速するステップと、
4.速度を1時間にわたって約30μg/kg/時間にさらに減速するステップと
を含む。
【0314】
一部の実施形態では、処置は、投与速度の減速を含む。一部の実施形態では、投与速度は、70μg/kg/時間から35μg/kg/時間に減速される。
【0315】
一部の実施形態では、薬剤は、機械的人工呼吸を用いて処置されつつあるか、または処置されていた対象に投与される。一部の実施形態では、薬剤(例えば、化合物1または化合物2)の投与は、機械的人工呼吸を用いる対象の処置を通して継続する。一部の実施形態では、薬剤(例えば、化合物1または化合物2)の投与は、対象が、機械的人工呼吸を用いる処置を終了した後も継続する。一部の実施形態では、患者は、挿管されている。
【0316】
一部の実施形態では、化合物1または化合物2は、鎮静剤を用いる処置を受けつつあるか、または受けていた対象に投与される。一部の実施形態では、鎮静剤は、プロポフォールまたはベンゾジアゼピンである。
【0317】
一部の実施形態では、本開示は、血中酸素飽和を増大するのに十分な量の化合物1または化合物2を、それを必要とする対象に投与することを含む。一部の実施形態では、血中酸素飽和は、パルスオキシメトリーを使用して測定される。
【0318】
一部の実施形態では、本開示は、患者における呼吸器疾患もしくは状態、または呼吸器疾患もしくは状態の症状を処置する方法であって、患者が、サイトカインストーム(サイトカイン放出症候群としても公知)も経験しつつある、方法を意図する。一部の実施形態では、患者が、サイトカインストームも経験しつつある、患者における呼吸器疾患もしくは状態、または呼吸器疾患もしくは状態の症状を処置する方法は、化合物1もしくは化合物2または薬学的に許容されるその塩もしくはその製剤を患者に投与するステップを含む。一部の実施形態では、サイトカインストームの症状は、肺の炎症である。一部の実施形態では、サイトカインストームを受けつつある患者は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有している。一部の実施形態では、サイトカインストームの症状は、多臓器不全である。一部の実施形態では、本明細書に記載される通り処置を受けている患者は、サイトカインの血中レベルが上昇している。一部の実施形態では、患者は、IL-6、IL-1および/またはTNF-αの血中レベルが上昇している。一部の実施形態では、薬剤の投与は、サイトカイン、例えば、IL-6、IL-1および/またはTNF-αの血中レベルの低下をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載される通り処置される患者は、70歳未満であり、他の実施形態では、患者は、70歳またはそれよりも高齢である。
【0319】
一部の実施形態では、本開示は、患者におけるサイトカインストームを処置する方法を意図する。一部の実施形態では、サイトカインストームを処置する方法は、化合物1もしくは化合物2または薬学的に許容されるその塩もしくはその製剤を患者に投与するステップを含む。一部の実施形態では、サイトカインストームの症状は、肺の炎症である。一部の実施形態では、サイトカインストームを受けつつある患者は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有している。一部の実施形態では、サイトカインストームの症状は、多臓器不全である。一部の実施形態では、本明細書に記載される通り処置を受けている患者は、サイトカインの血中レベルが上昇している。一部の実施形態では、患者は、IL-6、IL-1および/またはTNF-αの血中レベルが上昇している。一部の実施形態では、薬剤の投与は、サイトカイン、例えば、IL-6、IL-1および/またはTNF-αの血中レベルの低下をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に記載される通り処置される患者は、70歳未満であり、他の実施形態では、患者は、70歳またはそれよりも高齢である。
【0320】
感染症
【0321】
本開示の別の態様は、中でもとりわけ、感染症を有している対象の処置を意図する。本開示は、中でもとりわけ、感染症に関連する疾患を有している対象の処置を意図する。一部の実施形態では、感染症は、ウイルス感染症または細菌感染症またはその両方である。一部の実施形態では、感染症は、ウイルス感染症である。一部の実施形態では、感染症は、細菌感染症である。
【0322】
一部の実施形態では、ウイルス感染症は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスおよびハンタウイルスからなる群から選択されるウイルスの感染症である。一部の実施形態では、ウイルスは、コロナウイルスである。一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV、SARS-CoV-2、およびMERS-CoVからなる群から選択される。
【0323】
一部の実施形態では、細菌感染症は、Streptococcus pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa、およびHaemophilus influenzaeからなる群から選択される細菌の感染症である。一部の実施形態では、Staphylococcus aureusは、メチシリン耐性Staphylococcus aureusである。
【0324】
呼吸器状態
【0325】
一部の実施形態では、呼吸器状態を有する対象は、呼吸窮迫に罹患している。一部の実施形態では、呼吸窮迫は、急性呼吸窮迫を含む。
【0326】
一部の実施形態では、呼吸器状態を有する対象は、気道過敏症、肺組織の炎症、肺過敏症、および炎症関連肺痛からなる群から選択される1つまたは複数の症状を示し得る。
【0327】
一部の実施形態では、呼吸器状態を有する対象は、肺組織の炎症を示し得る。一部の実施形態では、肺組織の炎症は、気管支炎または気管支拡張症である。一部の実施形態では、肺組織の炎症は、肺炎である。一部の実施形態では、肺炎は、人工呼吸器関連肺炎または院内感染性肺炎である。一部の実施形態では、肺炎は、人工呼吸器関連肺炎である。
【0328】
一部の実施形態では、呼吸器状態の症状を示している対象への薬剤の投与は、呼吸器状態を有する対象における呼吸窮迫の重症度を低減するか、または呼吸器状態を有する対象における呼吸窮迫の進行を遅延もしくは緩徐する。
【0329】
一部の実施形態では、呼吸器状態の症状を示している対象への薬剤の投与は、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象における気道過敏症の重症度を低減するか、または呼吸器状態を有する対象における気道過敏症の進行を遅延もしくは緩徐する。
【0330】
一部の実施形態では、呼吸器状態の症状を示している対象への薬剤の投与は、呼吸器状態を有する対象における肺組織の炎症の重症度を低減するか、または呼吸器状態を有する対象における肺組織の炎症の進行を遅延もしくは緩徐する。一部の実施形態では、呼吸器状態の症状を示している対象への薬剤の投与は、呼吸器状態を有する対象における肺炎の重症度を低減するか、または呼吸器状態を有する対象における肺炎の進行を遅延もしくは緩徐する。
【0331】
一部の実施形態では、呼吸器状態の症状を示している対象への薬剤の投与は、呼吸器状態を有する対象における肺過敏症の重症度を低減するか、または呼吸器状態を有する対象における肺過敏症の進行を遅延もしくは緩徐する。
【0332】
一部の実施形態では、呼吸器状態の症状を示している対象への薬剤の投与は、呼吸器状態を有する対象における炎症関連肺痛の重症度を低減するか、または呼吸器状態を有する対象における炎症関連肺痛の進行を遅延もしくは緩徐する。
【0333】
一部の実施形態では、呼吸器状態の症状を示している対象への薬剤の投与は、本明細書に記載される通り、例えば実施例に記載される通り、1つまたは複数のエンドポイントを改善する。
【0334】
一部の実施形態では、呼吸器状態を有する対象は、感染症、線維症、線維化エピソード、慢性閉塞性肺疾患、サルコイドーシス(または肺サルコイドーシス)または喘息/喘息関連炎症のための処置を受けつつあるか、または受けていた。
【0335】
一部の実施形態では、対象は、喘息の症状を示しており、かつ/または喘息と診断されていた。一部の実施形態では、対象は、喘息発作を受けているか、または受けていた。
【0336】
一部の実施形態では、対象は、線維症または線維化エピソードのための処置を受けつつあるか、または受けていた。一部の実施形態では、線維症は、嚢胞性線維症である。
【0337】
本開示の別の態様は、中でもとりわけ、嚢胞性線維症、喘息、喫煙誘発性COPD、慢性気管支炎、副鼻腔炎、便秘、膵炎、膵機能不全、精管の先天性両側欠損(CBAVD)によって引き起こされた男性不妊、軽度肺疾患、肺サルコイドーシス、特発性膵炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、肝疾患、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固-線維素溶解欠乏症、例えばプロテインC欠乏症、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシング欠損症、例えば家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無ベータリポタンパク質血症、リソソーム蓄積症、例えばI細胞疾患/偽性ハーラー症候群、ムコ多糖症、サンドホフ/テイ・サックス病、クリグラー・ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノーシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、神経下垂体DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハ病、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害、例えばハンチントン病、脊髄小脳失調I型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症および筋強直性ジストロフィー、ならびに海綿状脳症、例えば遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損に起因する)、ファブリ病、ストロイスラー・シャインカー症候群、COPD、ドライアイ疾患、またはシェーグレン病からなる群から選択される疾患または状態のために処置されていたか、または処置されつつある対象を処置する方法を意図する。
【0338】
コロナウイルスに関連する疾患
【0339】
また本明細書では、コロナウイルスに関連する疾患の1つもしくは複数の症状を示しており、かつ/またはコロナウイルスに関連する疾患を有すると診断された対象を処置する方法であって、化合物1または化合物2、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を前記対象に投与するステップを含む、方法が記載される。一部の実施形態では、本開示は、対象を処置する方法であって、化合物1または化合物2、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を前記対象に投与するステップを含み、対象が、コロナウイルスに関連する疾患を有している、方法を意図する。
【0340】
一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患は、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)、重症急性呼吸器症候群(SARS)および中東呼吸器症候群(MERS)からなる群から選択される。一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患は、COVID-19からなる群から選択される。一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-1、SARS-CoV-2、および2012-nCoVからなる群から選択される。一部の実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-2である。
【0341】
一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患の症状を示している対象への、化合物1または化合物2、または薬学的に許容されるその塩の投与は、コロナウイルスに関連する疾患の1つもしくは複数の症状の重症度を低減し得るか、またはコロナウイルスに関連する疾患の1つもしくは複数の症状の進行を遅延もしくは緩徐し得る。
【0342】
一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象は、呼吸窮迫に罹患している。一部の実施形態では、呼吸窮迫は、急性呼吸窮迫症候群である。一部の実施形態では、対象は、気道過敏症、肺組織の炎症、肺過敏症、および炎症関連肺痛からなる群から選択される症状を示している。一部の実施形態では、肺組織の炎症は、気管支炎または気管支拡張症である。一部の実施形態では、肺組織の炎症は、肺炎である。一部の実施形態では、肺炎は、人工呼吸器関連肺炎または院内感染性肺炎である。
【0343】
一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象は、機械的人工呼吸または酸素を用いて処置されていたか、または処置されつつある。一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象は、機械的人工呼吸を用いて処置されていたか、または処置されつつある。一部の実施形態では、対象は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と診断されているか、または診断されていた。
【0344】
一態様では、本開示は、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象(例えば、ヒト対象)を処置する方法であって、第1の用量、例えば負荷用量の化合物1または化合物2を、例えば、全身麻酔下の対象に投与するステップと、前記第1の用量よりも少ない第2の用量、例えば維持用量の化合物1または化合物2を投与するステップと、第3の用量、例えば下方漸減用量の化合物1または化合物2を投与するステップとを含み、前記化合物1または化合物2の用量が、前記対象(例えば、ヒト対象)を処置するのに十分である、方法を意図する。一部の実施形態では、維持用量は、化合物1を含む。一部の実施形態では、維持用量は、化合物2を含む。
【0345】
一態様では、本開示は、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象(例えば、ヒト対象)を処置する方法であって、一次用量の化合物1または化合物2、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される薬剤を投与するステップと、第1の用量よりも少ない後続用量、例えば下方漸減用量の薬剤を投与するステップとを含み、前記用量が、前記対象(例えば、ヒト対象)を処置するのに十分である、方法を意図する。
【0346】
一部の実施形態では、一次用量は、本明細書に記載される通り、第1の用量または負荷用量の特徴の1つまたは複数を有する。一部の実施形態では、一次用量は、本明細書に記載される通り、第2の用量または維持用量の特徴の1つまたは複数を有する。一部の実施形態では、後続用量は、本明細書に記載される通り、第3の用量または下方漸減用量の特徴の1つまたは複数を有する。
【0347】
コロナウイルスに関連する疾患の症状
【0348】
一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象は、呼吸窮迫に罹患している。一部の実施形態では、呼吸窮迫は、急性呼吸窮迫を含む。一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象は、気道過敏症、肺組織の炎症、肺過敏症、および炎症関連肺痛からなる群から選択される1つまたは複数の症状を示し得る。
【0349】
一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象は、肺組織の炎症を示し得る。一部の実施形態では、肺組織の炎症は、気管支炎である。一部の実施形態では、肺組織の炎症は、肺炎である。一部の実施形態では、肺炎は、人工呼吸器関連肺炎または院内感染性肺炎である。一部の実施形態では、肺炎は、人工呼吸器関連肺炎である。
【0350】
一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患の症状を示している対象への化合物1または化合物2の投与は、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象における呼吸窮迫の重症度を低減するか、またはコロナウイルスに関連する疾患を有する対象における呼吸窮迫の進行を遅延もしくは緩徐する。
【0351】
一部の実施形態では、呼吸器状態の症状を示している対象への化合物1または化合物2の投与は、本明細書に記載される通り、例えば実施例に記載される通り、1つまたは複数のエンドポイントを改善する。
【0352】
一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患の症状を示している対象への化合物1または化合物2の投与は、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象における気道過敏症の重症度を低減するか、またはコロナウイルスに関連する疾患を有する対象における気道過敏症の進行を遅延もしくは緩徐する。
【0353】
一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患の症状を示している対象への化合物1または化合物2の投与は、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象における肺組織の炎症の重症度を低減するか、またはコロナウイルスに関連する疾患を有する対象における肺組織の炎症の進行を遅延もしくは緩徐する。一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患の症状を示している対象への化合物1または化合物2の投与は、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象における肺炎の重症度を低減するか、またはコロナウイルスに関連する疾患を有する対象における肺炎の進行を遅延もしくは緩徐する。
【0354】
一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患の症状を示している対象への化合物1または化合物2の投与は、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象における肺過敏症の重症度を低減するか、またはコロナウイルスに関連する疾患を有する対象における肺過敏症の進行を遅延もしくは緩徐する。
【0355】
一部の実施形態では、コロナウイルスに関連する疾患の症状を示している対象への化合物1または化合物2の投与は、コロナウイルスに関連する疾患を有する対象における炎症関連肺痛の重症度を低減するか、またはコロナウイルスに関連する疾患を有する対象における炎症関連肺痛の進行を遅延もしくは緩徐する。
【0356】
さらなる治療
【0357】
本開示は、中でもとりわけ、気管支筋/気道弛緩剤、抗ウイルス剤、酸素、抗体、および抗菌剤からなる群から選択される第2の薬剤を予め投与されている対象への薬剤の投与を意図する。一部の実施形態では、第2の薬剤は、本明細書に記載される薬剤の投与の前に対象に投与され、第2の薬剤は、気管支筋/気道弛緩剤、抗ウイルス剤、酸素、抗体、および抗菌剤からなる群から選択される。一部の実施形態では、本明細書に記載される薬剤は、気管支筋/気道弛緩剤、抗ウイルス剤、酸素、および抗菌剤から選択される第2の薬剤と共に、対象に併用投与される。
【0358】
一部の実施形態では、抗ウイルス剤は、レムデシビル、カレトラ、ロピナビル、およびリトナビルからなる群から選択される。一部の実施形態では、抗体は、サリルマブまたはトシリズマブである。一部の実施形態では、抗菌剤は、アジスロマイシンである。
【実施例】
【0359】
(実施例1)
Covid-19に起因する急性呼吸窮迫症候群のための150mcg/kg/時間の注入を使用するブレキサノロンの研究
【0360】
一次目的
- COVID-19に起因する急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有する参加者における、人工呼吸器補助期間に対するブレキサノロンの効果を評価すること。ブレキサノロンは、化合物1および化合物2と同様に、GABAA PAMである。
【0361】
二次目的
- COVID-19に起因するARDSのための人工呼吸器補助に対する、参加者におけるブレキサノロンの安全性を評価すること。
【0362】
他の目的
- COVID-19に起因するARDSを有する参加者における人工呼吸器補助の強度に対する、ブレキサノロンの効果を評価すること。
- 肺の転帰尺度(outcome measure)に対するブレキサノロンの効果を評価すること。
【0363】
一次エンドポイント
- 抜管成功までの時間(>48時間にわたって、再挿管または非侵襲的人工呼吸を必要としなかったことと定義される)。
【0364】
二次エンドポイント
- 重篤有害事象の発生率。
【0365】
他のエンドポイント
- ベースラインから注入終了までの酸素飽和指数(OSI)の変化。
- ベースラインから注入終了までの酸素化指数(OI)の変化。
- 吸入酸素のパーセンテージ(FiO2)に対する動脈血酸素の分圧(PaO2)のベルリン基準で定義された比(PF比)の重症度カテゴリーが改善されるまでの日数。
- 総死亡率。
- 集中治療室(ICU)に留まっていた期間または機械的人工呼吸の等価設定日数。
- 肺動脈圧(入手可能な場合)。
- 体外式膜型人工肺(ECMO)に進行する参加者の割合。
- 気管切開術を必要とする参加者の割合。
【0366】
研究の説明
【0367】
この研究には、標準ケアの一部として現在挿管されており、機械的人工呼吸を受けているか、またはこのような介入を受ける当面の臨床計画がある、ARDSおよびSARS-CoV-2感染症を有するおよそ50人の参加者が登録される。これらの参加者は、ブレキサノロン(アロプレグナノロンとしても公知)を受け、初発症例(index case)コホートを構成し、初発参加者(index participant)と呼ばれる。
【0368】
加えて、SARS-CoV-2感染症を有する症例対照を、診断時に、年齢、性別、研究施設、およびARDS重症度に基づいて、初発参加者に対して1:1対応で登録する。これらの参加者は、ブレキサノロンを受けず、症例対照コホートを構成し、症例対照参加者と呼ばれる。症例対照参加者は、カルテ審査により遡及的に特定され得るか、またはそうでなければ初発症例コホートに関与する資格がない(例えば、48時間を超えて人工呼吸を受けていた)、現在、医療施設に存在する患者であり得る。
【0369】
初発参加者は、ブレキサノロンのIV持続注入を6日間(144時間)受ける。スクリーニング時に人工呼吸器を装着していなかった参加者については、挿管後に初めて投薬が開始されるべきであり、機械的人工呼吸が整えられ、安定化される。ブレキサノロンは、150mcg/kg/時間の用量で投与され、注入の最後の4時間の間に、以下の、1時間にわたって120mcg/kg/時間、1時間にわたって90mcg/kg/時間、1時間にわたって60mcg/kg/時間、1時間にわたって30mcg/kg/時間の方式で漸減を用いる。漸減は、140時間の注入後に開始されるべきである。
【0370】
投薬後のフォローアップアセスメントを、表2にまとめる通り実施し、参加者が既に退院していた場合には、電話によって限定アセスメントを収集する。すべての参加者は、研究を通して肺機能の測定値がアセスメントされる。
【0371】
参加者の臨床状態により別段左右されない限り、ここに概説される通り、ARDSのための人工呼吸ガイドラインに従うべきである(Howell, 2018)。
- 予測される体重1kg当たりの標的一回呼吸量4~8mL
- <30cmH2Oの定常圧
- 中等度のPEEP(ピークエンド-呼気圧)値
- 24時間の期間につき12時間の必要に応じた腹臥位
【0372】
参加者組み入れ基準
【0373】
各適格参加者は、以下でなければならない。
1.スクリーニング時にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または他の商業的もしくは公共的健康アッセイによって決定される通り、SARS-CoV-2感染症について陽性が確認されるか、あるいは14日間のスクリーニングの間に確認されると予測される推定陽性であること。
2.2歳またはそれよりも年上であること。
3.参加者もしくは代理人(合法的に認められる代表)によって署名された、書面によるインフォームドコンセントを提供することができるか、または研究者によって必要とみなされる通り、調和国際会議(ICH)E6(R2)4.8.15緊急時使用規定下で登録できること(≧18歳の参加者について)。
4.ベルリン基準で確認される通り、ARDSの診断を有していること。
5.挿管され、機械的人工呼吸を受けていること(または症例対照参加者については、既に受けている)。初発参加者は、スクリーニング前48時間以内に機械的人工呼吸を開始しているか、またはスクリーニング時にこのような介入の当面の臨床計画を有していなければならないことに留意されたい。
6.初発参加者は、研究者の見解において、スクリーニング時から少なくとも72時間、生存している可能性が高くなければならない。症例対照参加者は、機械的人工呼吸が開始された時間から少なくとも72時間、生存していなければならない。
【0374】
参加者除外基準
【0375】
各適格参加者は、以下であってはならない。
1.自己申告、家族の一員による報告、または入手可能な場合には妊娠検査に基づいて、妊娠中であること。
2.劇症肝不全であること。
3.末期腎疾患を有していること。
4.同じまたは類似の一次エンドポイントを用いる実験的処置の、他のいずれかの臨床試験に参加中であること。
5.プロゲステロン、アロプレグナノロン、またはブレキサノロン注射液におけるいずれかの賦形剤に対して公知のアレルギーを有していること。
【0376】
さらなる医薬品および/または補助薬
【0377】
参加者は、ARDSのための標準ケアを受けるべきであり、インフォームドコンセント時から研究終了まで、投与されたすべての併用医薬品が、適切なCRFに記録されるべきである。
【0378】
ブレキサノロンは、人工呼吸器補助のために使用される薬物、例えばプロポフォールおよびミダゾラムの鎮静効果を増すことができ、これらの薬物の用量は、ブレキサノロンの注入中、所望のレベルの鎮静まで用量設定されるべきである。
【0379】
有効性アセスメント
【0380】
適切な酸素化を維持するのに必要な人工呼吸器補助の強度は、以下のエンドポイントを使用してアセスメントされ、それらのエンドポイントは、以下の等式を使用して、吸入酸素濃度および平均気道内圧から誘導される。
- 酸素飽和指数(OSI)は、(FiO2×MAP×100)/SpO2である
- 酸素指数(OI)は、(FiO2/PaO2)×MAP×100である
- PF比は、PaO2/FiO2である
【0381】
酸素飽和(SpO2)は、酸素によって結合され、パルスオキシメトリーによりアセスメントされる、ヘモグロビン上の酸素結合部位のパーセンテージである。
【0382】
平均気道内圧(MAP)は、陽圧人工呼吸中にかかる平均圧力を指す。この計量は、人工呼吸器から読み取られるか、または施設によって計算される。
【0383】
吸入酸素分率(FiO2)は、対象に送達される空気混合物中の酸素のパーセンテージである。この計量は、人工呼吸器から読み取られる。
【0384】
留置動脈カテーテルを有する参加者については、酸素部分圧(PaO2)が記録される。PaO2は、動脈血中の酸素圧の測定値であり、これは、酸素が肺から血液にいかに十分に移動することができるかを反映している。
【0385】
肺動脈圧は、肺動脈の血圧の直接的または間接的測定値である。これは、留置右心カテーテルを有する参加者だけで、または標準ケアとして実施される場合には心エコー検査によって測定される。
【0386】
PF比の重症度は、ベルリン基準によって確立されたPaO
2/FiO
2カットオフに基づき、ここで、軽症=200mmHg~≦300mmHg、中等度=100mgHg~≦200mmHg、および重症=≦100mmHgである。
【表2-1】
【表2-2】
【0387】
略語:ARDS=急性呼吸窮迫症候群、ECG=心電図、ECMO=体外式膜型人工肺、ET=早期中止、FiO2=吸入酸素分率、I=初発参加者だけ、ICU=集中治療室、MAP=平均気道内圧、PaO2=酸素部分圧、PF比=PaO2/FiO2、SpO2=酸素飽和、V=訪問。
1参加者が入院患者ケアから退院した場合、電話によるフォローアップ。
2症例対照参加者については、人口統計データは、年齢および性別に限定される。
3スクリーニング時のバイタルサイン、ECGおよび化学/血液学は、初発参加者だけについて入手可能な場合、スクリーニング当日の標準ケアの一部として実施したアセスメントから記録され得る。スクリーニング後のバイタルサイン、ECG、および化学/血液学は、標準ケアごとに収集し、SAEに関する場合だけ記録する。
バイタルサインには、仰臥位収縮期および拡張期血圧、心拍、体温、ならびに呼吸数(まだ機械的人工呼吸器を装着していない場合)が含まれる。
ECGパラメーターには、HR、PR、QRS、およびQT間隔と、トレースの形態が異常な場合の簡単な説明文が含まれる。
化学および血液学的分析物には、腎パネル(グルコース、カルシウム、リン、血液尿素窒素、クレアチニン、ナトリウム、カリウム、塩化物、炭酸水素塩)、肝パネル(アルブミン、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、総ビリルビン、直接ビリルビン、間接ビリルビン、アルカリホスファターゼ、総タンパク質、乳酸デヒドロゲナーゼ、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ)、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、白血球細胞数と白血球分画、血小板数が含まれる。
4出産可能な女性参加者については、必要に応じて尿検査または血清妊娠検査。妊娠検査が標準ケアの一部として行われた場合、検査結果は文書化され得る。
5ベースライン時および注入終了時に必要とされる(初発参加者について)。あるいは、データとして文書が入手可能である。
6まだ入院中の患者の場合。
7留置動脈カテーテルを有する参加者について。
8少なくとも12時間の腹臥位にあったかどうかの文書化は、挿管期間中、毎日実施された。
90時間目にブレキサノロン注入を開始する。140時間目に、4時間にわたる漸減が開始されることになる。
10退院時のデータ収集は、適用可能な場合、以下の日時の文書化を含むべきである。抜管および機械的人工呼吸の中断、機械的人工呼吸の再挿管および再開を必要とする抜管失敗、ICUまたは等価場所からの退院。また、参加者がECMOおよび/または気管切開術に進行したか否かを文書化し、進行した場合には、関連手順(すなわち、ECMOまたは気管切開術)の日時を文書化する。また、参加者が死亡したか否かを文書化し、死亡した場合には、死亡日および死亡原因を文書化する。
【0388】
(実施例2)
Covid-19に起因する急性呼吸窮迫症候群のための70mcg/kg/時間の注入を使用するブレキサノロンの研究
【0389】
一次目的
- COVID-19に起因するARDSのための人工呼吸器補助に対する、参加者におけるブレキサノロンの効果を評価すること。ブレキサノロンは、化合物1および化合物2と同様に、GABAA PAMである。
【0390】
二次目的
- COVID-19に起因するARDSのための人工呼吸器補助に対する、参加者におけるブレキサノロンの安全性を評価すること。
【0391】
他の目的
- COVID-19に起因するARDSを有する参加者における肺の転帰尺度に対する、ブレキサノロンの効果を評価すること、
- COVID-19に起因するARDSを有する参加者における、ブレキサノロンの潜在的な鎮静保持効果を評価すること、
- COVID-19に起因するARDSを有する参加者におけるサイトカインおよび炎症マーカーに対する、ブレキサノロンの効果を評価すること、
- COVID-19に起因するARDSを有する参加者における、ブレキサノロンの血漿薬物動態(PK)プロファイルをアセスメントすること。
【0392】
一次エンドポイント
- 28日目に生存しており、かつ呼吸不全がなかった参加者の割合。
【0393】
二次エンドポイント
- 処置により発現したAEの発生率。
【0394】
他のエンドポイント
- 抜管成功までの時間(>48時間にわたって、再挿管または非侵襲的人工呼吸を必要としなかったことと定義される)、
- ベースラインから注入終了までの酸素飽和指数(OSI)の変化、
- ベースラインから注入終了までの酸素化指数(OI)の変化、
- ベースラインから注入終了までの吸入酸素分率(FiO2)に対するPaO2(PF比)の変化、
- 28日目までの総死亡率、
- ICUまたは等価設定に留まっていた期間、
- 肺動脈圧(入手可能な場合)、
- ベースラインから注入終了までの、ミダゾラムまたはプロポフォールの1時間当たりの用量の変化、
- サイトカインおよび炎症マーカーの、ベースラインからの変化、
- バイタルサイン、酸素飽和、臨床検査パラメーターおよび12誘導ECGの、ベースラインからの変化、
- 母集団PK法によりアセスメントされる通り、ブレキサノロンの血漿濃度から誘導されるPKパラメーターおよび曝露推定値。
【0395】
研究の説明
【0396】
これは、COVID-19に起因するARDSを有するおよそ100人の参加者において、ブレキサノロン(アロプレグナノロンとしても公知)を用いる処置を評価するように設計された、無作為化二重盲検プラセボ対照研究である。ARDSおよびSARS-CoV-2感染症を有しており、標準ケアの一部として、現在挿管されており、機械的人工呼吸を受けているか、またはこのような介入を受ける当面の臨床計画がある患者は、スクリーニングに適格とされる。すべての患者は、無作為化の前に機械的人工呼吸を整えられていなければならない。適格参加者は、年齢(<70歳または≧70歳)によって層別化され、各層において1:1に無作為化されて、ブレキサノロンと標準ケアまたはプラセボと標準ケアのいずれかを受ける。
【0397】
参加者は、60時間のブレキサノロンまたはプラセボのIV持続注入に加えて、標準ケアを継続して受ける。注入は、無作為化時から6時間以内に開始されなければならない。盲検の60時間の注入は、70mcg/kg/時間の用量で58時間にわたって投与され、続いて35mcg/kg/時間の漸減用量で2時間にわたって投与される。ブレキサノロンは、注射用溶液であり、その溶液の各1mLは、5mgのブレキサノロン、250mgのベータデクススルホブチルエーテルナトリウム(可溶化剤)、クエン酸およびクエン酸ナトリウム(緩衝剤)、ならびに必要に応じてpHを調整するためのHClまたはNaOHを含む水を含有している。ブレキサノロン溶液は、滅菌濾過され、20mLの透明な頓用ガラスバイアルに無菌的に充填され、冷蔵条件下(2~8℃)で保存される。注入用量は、参加者の体重(kg)に基づいて計算される。
【0398】
ブレキサノロンは、併用投与される麻酔剤(例えば、プロポフォールまたはミダゾラム)の鎮静効果を増すことができる。注入中、鎮静レベルが企図されたレベルよりも深い場合、鎮静麻酔剤の用量を、所望の効果に用量設定すべきである。
【0399】
用量調整は、参加者がいかなる鎮静剤も受けていない場合の計画外鎮静/傾眠事象において、および/または参加者が、研究者によってブレキサノロン注入に関すると決定される耐えられないAEを経験している場合に認められる。用量は、35mcg/kg/時間まで減少するように調整され得るか、または注入が停止され得る。症状が回復したら、低減された投与量(35mcg/kg/時間)または元の投与量(70mcg/kg/時間)のいずれかで投薬が再開され得る。
【0400】
アセスメントを、表3にまとめる通り実施する。すべての参加者は、研究を通して肺機能の測定値がアセスメントされる。
【0401】
参加者組み入れ基準
【0402】
各適格参加者は、以下でなければならない。
1.スクリーニング時にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって決定される通り、SARS-CoV-2感染症について陽性が確認されること、
2.18歳またはそれよりも年上であること、
3.参加者または代理人(合法的に認められる代表)によって署名された、書面によるインフォームドコンセントを提供することができること、
4.スクリーニング時にARDSの推定診断を受けており、無作為化前にPaO2/FiO2(PF比)<300を有していること、
5.無作為化前に挿管されており、機械的人工呼吸を受けていること。参加者は、スクリーニング前48時間以内に機械的人工呼吸を開始しているか、またはスクリーニング時にこのような介入の当面の臨床計画を有していなければならないことに留意されたい、
6.研究者の見解において、スクリーニング時から少なくとも72時間、生存している可能性が高いこと。
【0403】
参加者除外基準
【0404】
各適格参加者は、以下であってはならない。
1.スクリーニング時の陽性妊娠検査に基づいて妊娠中であること。
2.スクリーニング時に劇症肝不全であること。
3.スクリーニング時に末期腎疾患を有していること。
4.プロゲステロン、アロプレグナノロン、またはブレキサノロン注射液におけるいずれかの賦形剤に対して公知のアレルギーを有していること。
【0405】
さらなる医薬品および/または補助薬
【0406】
参加者は、COVID-19に起因するARDSのための標準ケア処置を受けるべきであり、参加者の福祉のために医学的に必要とみなされる任意の併用医薬品は、研究中いつでも、研究者の裁量で与えられ得る。インフォームドコンセント時から研究終了までに投与された、中枢神経系(CNS)抑制剤、参加者を鎮静するために用いられた薬剤、およびICUでのせん妄を処置または防止するために投与された薬物を含めたすべての併用医薬品が、記録されるべきである。フェニトインまたはプロポフォールは、それらが投与される場合には、別個のラインで、またはブレキサノロンとは別個の中心ライン/正中線ポートを介して投与されるべきである。
【0407】
有効性アセスメント
【0408】
一次エンドポイントは、28日目に生存しており、かつ呼吸不全がなかった参加者の割合である。呼吸不全は、資源活用に基づいて定義され、以下の少なくとも1つを必要とする。
- 気管内挿管および機械的人工呼吸、
- 酸素が高流量鼻カニューレによって送達されること(加熱された加湿酸素が、強化鼻カニューレを介して>20L/分の流速で、送達酸素分率≧0.5で送達される)、
- 非侵襲的陽圧人工呼吸、
- 体外式膜型人工肺(ECMO)。
【0409】
肺機能は、以下のエンドポイントを使用してアセスメントされ、それらのエンドポイントは、以下の等式を使用して、吸入酸素分率(FiO2)および平均気道内圧(MAP)から誘導される。
- 酸素飽和指数(OSI)は、(FiO2×MAP×100)/SpO2である
- 酸素指数(OI)は、(FiO2/PaO2)×MAP×100である
- PF比は、PaO2/FiO2である
【0410】
すべてのアセスメントを、アセスメントスケジュールにまとめた通りの時点に記録する(表3)。
【0411】
酸素飽和(SpO2)は、酸素によって結合され、パルスオキシメトリーによりアセスメントされる、ヘモグロビン上の酸素結合部位のパーセンテージである。
【0412】
MAPは、陽圧人工呼吸中にかかる平均圧力を指す。この計量は、人工呼吸器から読み取られるか、または施設によって計算される。
【0413】
吸入酸素分率(FiO2)は、参加者に送達される空気混合物中の酸素のパーセンテージである。必要に応じて、FiO2は、スクリーニング時に室内空気に基づいて推定され得る。
【0414】
動脈血サンプリングによりアセスメントされる通り、酸素部分圧(PaO2)が記録される。PaO2は、動脈血中の酸素圧の測定値であり、これは、酸素が肺から血液にいかに十分に移動することができるかを反映している。
【0415】
肺動脈圧は、肺動脈の血圧の直接的または間接的測定値である。これは、留置右心カテーテルを有する参加者だけで、または標準ケアとして実施される場合には心エコー検査によって測定される。
【0416】
重症のARDSの管理のためのガイドラインでは腹臥位が推奨されている。施設は、機械的人工呼吸期間中に1日当たり少なくとも12時間にわたって腹臥位になっていたか否かを文書化し、腹臥位になっていなかった場合には、その理由を文書化する。
【0417】
適用可能な場合、フォローアップ訪問(複数可)中、以下が文書化される。
- 抜管および機械的人工呼吸の中断の日時。
a.機械的人工呼吸器を装着していた時間が計算される
b.抜管成功までの時間が計算される
- 再挿管および機械的人工呼吸の再開の日時。
- 参加者が、高流量鼻カニューレによって送達される酸素(加熱された加湿酸素が、強化鼻カニューレを介して>20L/分の流速で、送達酸素分率≧0.5で送達される)を必要とするか否か、および必要とする場合には、高流量鼻カニューレによる酸素送達の開始日時。
- 参加者が、非侵襲的陽圧人工呼吸を必要とするか否か、および必要とする場合には、非侵襲的陽圧人工呼吸の開始日時。
- 参加者がECMOに進行したか否か、および進行した場合には、ECMOの開始および(適用可能な場合)完了の日時。
- ICUまたは等価場所から退院した日時。
〇ICUまたは等価場所に留まっていた期間が計算される
- 参加者が、気管切開術に進行したか否か、および進行した場合には、気管切開術の日時。
- 参加者が死亡したか否か、および死亡した場合には、死亡日および死亡原因。
【0418】
血液試料を、表3に指定された時点に収集し、サイトカインおよび炎症性マーカーについて分析する。
【0419】
薬物動態パラメーターは、母集団PKモデル化により推定する。薬物動態のための血液試料を収集し、ブレキサノロンの濃度について分析するために処理する。PK分析のための血漿試料を、表3に概説されるサンプリングスケジュールに従って収集する。また、スケジュール外のPK分析のための血漿試料を、特に注目すべき有害事象(AESI)を経験しているいずれの参加者についても、事象の開始後可能な限り速やかに収集する。AESI事象では、スケジュール外のPK試料を、事象開始後可能な限り速やかに収集する。ブレキサノロンを決定するための血漿試料のバイオアナリシスを、妥当性が検証された液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法を使用して実施する。
【0420】
安全性アセスメント
【0421】
すべての安全性アセスメントを、アセスメントスケジュール(表3)に従って実施する。バイタルサイン、ECG、および臨床検査結果の範囲外の値の異常は、研究者によって、(1)臨床的に有意でない異常、または(2)臨床的に有意な異常として解釈される。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0422】
略語:AESI=特に注目すべき有害事象、ARDS=急性呼吸窮迫症候群、CAM-ICU=集中治療室のための錯乱アセスメント法、CTCAE=有害事象一般用語基準、ECG=心電図、ECMO=体外式膜型人工肺、ET=早期中止、FiO2=吸入酸素分率、ICU=集中治療室、MAP=平均気道内圧、PaO2=酸素分圧、PF比=PaO2/FiO2、SpO2=酸素飽和、RASS=Richmond不穏鎮静スケール、V=訪問
1参加者が入院患者ケアから退院した場合、電話によるフォローアップ。
2バイタルサインは、スクリーニング時、投薬前、次に7回目の訪問までおよそ12時間ごとに1回、ならびに8回目の訪問および9回目の訪問時に1回、アセスメントされることになる。また、まだ入院中の患者の場合には、10回目の訪問時に1回得られることになる。バイタルサインには、収縮期および拡張期血圧、心拍、体温、ならびに呼吸数(機械的人工呼吸器を装着していない場合)が含まれる。収縮期および拡張期血圧ならびに心拍は、仰臥位または腹臥位で収集されることになる。呼吸数および体温は、いずれかの体位で1回収集される。加えて、呼吸数、心拍、および血圧は、特に注目すべき有害事象を経験しているいずれの参加者についても、事象の開始後可能な限り速やかに収集されるべきである。
3ECGパラメーターは、指定された訪問時のいずれかの時刻に、1日1回アセスメントされることになる。以下のECGパラメーターを計算し、記録する。HR、PR、QRS、QT、およびQTcF間隔と、トレースの形態が異常な場合の簡単な説明文。
4指定された訪問時に1日1回収集されることになる。6回目の訪問時に、注入の終了前30分以内に収集される。
5試料は、60時間目に得られたPK試料収集と同時に、注入の終了前30分以内に収集されることになる。
624時間目(±30分)、58時間目の、漸減の開始前30分以内に収集されることになる。試料は、9回目の訪問時に1回、加えて10回目の訪問時、およびまだ入院中の患者の場合には11回目の訪問時に1回、得られることになる。24時間目および58時間目に得られた試料は、PK試料収集と同時に得られるべきである。試料は、スクリーニング時、ならびに9回目、10回目および11回目の訪問時にいつでも得ることができる。
7PKのための採血は、24時間目(±30分)および48時間目(±30分)に収集されることになる。6回目の訪問時に、58時間目の漸減開始前30分以内および60時間目の漸減終了前30分以内の、2つの別個の試料が収集されるべきである。24時間目および58時間目に得られるPK試料は、バイオマーカー試料と同時に得られるべきである。また、PK分析のためのスケジュール外の血漿試料は、特に注目すべき有害事象を経験しているいずれの参加者についても、事象の開始後可能な限り速やかに収集されるべきである。収集時間は、記録されなければならない。
8スクリーニング時、投薬前、次に7回目の訪問までおよそ12時間ごとに1回、ならびに8回目の訪問および9回目の訪問時に1回、収集されることになる。また、まだ入院中の患者の場合には、10回目の訪問時に1回得られることになる。注入の終了時(60時間±30分)に、アセスメントの1回が得られなければならない。可能であればアセスメントは、同じ時点にスケジュールされた場合、MAP、PaO2、およびFiO2および肺動脈圧(入手可能な場合)と同時に収集されるべきである。加えて、SpO2は、特に注目すべき有害事象を経験しているいずれの参加者についても、バイタルサインと共に、事象の開始後可能な限り速やかに収集されるべきである。
9投薬前、次に7回目の訪問までおよそ12時間ごとに、次に8回目の訪問および9回目の訪問時に1回、収集されることになる。また、まだ入院中の患者の場合には、10回目の訪問時に1回得られることになる。注入の終了時(60時間±30分)に、アセスメントの1回が得られなければならない。可能であればアセスメントは、同じ時点にスケジュールされた場合、PaO2、FiO2、SpO2、および肺動脈圧(入手可能な場合)と同時に収集されるべきである。
10スクリーニング時、投薬前、次に7回目の訪問までおよそ12時間ごとに1回、次に8回目の訪問および9回目の訪問時に1回、収集されることになる。また、まだ入院中の患者の場合には、10回目の訪問時に1回得られることになる。注入の終了時(60時間±30分)に、アセスメントの1回が得られなければならない。可能であればアセスメントは、同じ時点にスケジュールされた場合、MAPおよびSpO2と同時に収集されるべきである。機械的人工呼吸の設置および開始の前に、必要に応じて、FiO2が、スクリーニング時に室内空気から推定され得る。
11まだ入院中の患者の場合。
12少なくとも12時間の腹臥位にあったか否かの文書化は、機械的人工呼吸期間中、毎日実施された。
13RASSは、すべての参加者について、毎日および各抜管後2時間以内に投与されることになる。また、投与されることになるたびに、AEに起因してIP注入を停止するか、または用量を低減するかについて決定が行われる。RASSスコア≧-3の場合、CAM-ICUはRASSを伴う。
14機械的人工呼吸の設置および開始前には行われない。
150時間目に注入を開始する。58時間目に、2時間にわたる漸減が開始されることになる。用量調整は、参加者が基準を満たす場合に認められる。
1610回目の訪問時に文書化されることになる情報には、以下が含まれる。「抜管および機械的人工呼吸の中断の日時」、「再挿管および機械的人工呼吸の再開の日時」、「参加者が、高流量鼻カニューレによって送達される酸素(加熱された加湿酸素が、強化鼻カニューレを介して>20L/分の流速で、送達酸素分率≧0.5で送達される)を必要とするか否か、および必要とする場合には、高流量鼻カニューレによる酸素送達の開始日時」、「参加者が、非侵襲的陽圧人工呼吸を必要とするか否か、および必要とする場合には、非侵襲的陽圧人工呼吸の開始日時」、「参加者がECMOに進行したか否か、および進行した場合には、ECMOの開始および(適用可能な場合)完了の日時」、「集中治療室または等価場所から退院した日時」、「参加者が、気管切開術に進行したか否か、および進行した場合には、気管切開術の日時」、「参加者が死亡したか否か、および死亡した場合には、死亡日および死亡原因」。すべての情報は、必要に応じて11回目の訪問時に更新されることになる。
17インフォームドコンセント時から研究期間を通して、摂取されたすべての医薬品が記録される。開始/停止日時、用量、および適応症などの詳細が記録される。加えて、鎮静薬物、CNS抑制剤、およびICUせん妄を処置または防止するために投与された薬剤について、用量(複数可)のいずれかの変更および各投与量の変更日時が記録されるべきである。
【0423】
(実施例3)
ヒト対象の疾患もしくは状態、または呼吸器疾患もしくは状態の症状の処置におけるGABAA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(GABAA PAM)である化合物1および化合物2の例示的研究
【0424】
化合物1または化合物2を、呼吸窮迫(例えば、急性呼吸窮迫症候群)などの呼吸器疾患または状態によって同時に苦しんでいる数人のヒト対象に投与して、疾患の処置における有効性を決定することができた。例えば、化合物1または化合物2は、対象の半数に投与することができ、残り半数の対象にはプラセボを投与し、次に、研究する疾患または状態の症状(複数可)に対する処置の効果を、2つの群間で比較することができた。本発明の研究は、組み入れ/除外基準、特定の目的、特定の手順、信頼できるデータ分析、有効性アセスメント、および安全性アセスメントなどの、結果の信頼性を保証するためのガイドラインを含むことになった。本発明の研究を使用して、呼吸窮迫、例えば気道過敏症、肺組織の炎症(例えば、気管支炎、気管支拡張症または肺炎)、肺過敏症、または炎症関連肺痛の症状に対する、化合物1または化合物2の投与の効果をアセスメントすることができた。本発明の研究を使用して、ウイルス感染症(例えば、コロナウイルス(例えば、SARS-CoV、SARS-CoV-2、およびMERS-CoV)、インフルエンザウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスおよびハンタウイルス)、細菌感染症(例えば、Streptococcus pneumoniae、Chlamydia pneumoniae、Staphylococcus aureus(例えば、メチシリン耐性Staphylococcus aureus)、Pseudomonas aeruginosa、およびHaemophilus influenza)、線維症(例えば、嚢胞性線維症)、線維化エピソード、慢性閉塞性肺疾患、サルコイドーシス(または肺サルコイドーシス)または喘息/喘息関連炎症のための処置を受けつつあるか、または受けていた対象における呼吸窮迫の症状に対する、化合物1または化合物2の投与の効果をアセスメントすることができた。本発明の研究を使用して、化合物1または化合物2を投与した参加者が、28日目に生存しており、かつ呼吸不全がなかったかどうかをアセスメントすることができた。呼吸不全は、資源活用に基づいて定義することができ、以下の少なくとも1つを必要とした。気管内挿管および機械的人工呼吸、気管内挿管および機械的人工呼吸、酸素が高流量鼻カニューレによって送達されること(加熱された加湿酸素が、強化鼻カニューレを介して>20L/分の流速で、送達酸素分率≧0.5で送達される)、非侵襲的陽圧人工呼吸、体外式膜型人工肺(ECMO)。
均等物および範囲
【0425】
特許請求の範囲において、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」などの冠詞は、反対が示されていないか、または文脈から別段明らかでない限り、1つまたは1つより多くを意味し得る。「または」を群の1つまたは複数のメンバーの間に含む特許請求の範囲または説明は、反対が示されていないか、または文脈から別段明らかでない限り、群のメンバーの1つ、1つより多く、またはすべてが、所与の生成物またはプロセスにおいて存在する、用いられる、またはその他の方法で関連する場合に満たされているとみなされる。本開示は、所与の生成物またはプロセスにおいて群の正確に1つのメンバーが存在する、用いられる、またはその他の方法で関連する実施形態を含む。本開示は、所与の生成物またはプロセスにおいて群のメンバーの1つより多くまたはすべてが存在する、用いられる、またはその他の方法で関連する実施形態を含む。
【0426】
さらに、本開示は、列挙された請求項の1つまたは複数から、1つまたは複数の限定、要素、節、および説明用語が別の請求項に導入される、あらゆる変動、組合せ、および並べ替えを包含する。例えば、別の請求項に依存するいずれかの請求項も、同じ元の請求項に依存する他のいずれかの請求項に見出される1つまたは複数の限定を含むように改変することができる。要素が、一覧として、例えばマーカッシュ群形式で提示されている場合、要素の各下位群もまた開示されており、いずれかの要素(複数可)も、その群から除去することができる。一般に、本開示または本開示の態様が、特定の要素および/または特色を含むものとして言及される場合、本開示または本開示の態様のある特定の実施形態は、このような要素および/または特色からなるか、または本質的になることを理解されたい。簡素化する目的で、それらの実施形態は、本明細書ではそのような言葉では具体的に記載しなかった。また、「含む」および「含有する」という用語は、オープンであることが企図され、さらなる要素またはステップの包含を容認することに留意されたい。範囲が与えられている場合、エンドポイントが含まれる。さらに、別段指定されないか、または文脈および当業者の理解から別段に明らかでない限り、範囲として表されている値は、文脈によって別段明示されない限り、記述された範囲内の任意の特定の値または部分範囲を、本開示の様々な実施形態において、その範囲の下限の単位の1/10まで想定することができる。
【0427】
本願は、様々な登録済み特許、公開済み特許出願、学術論文、および他の刊行物に言及しており、それらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参考文献のいずれかと本明細書との間に矛盾がある場合、本明細書が優先するものとする。加えて、従来技術に該当する本開示のいずれの特定の実施形態も、請求項のいずれか1つまたは複数から明確に除外される場合がある。このような実施形態は、当業者に公知であるとみなされるので、その除外が本明細書において明確に記載されていなくても除外され得る。本開示のいずれの特定の実施形態も、従来技術の存在に関するか否かに関わらず、いずれかの理由で、いずれかの請求項から除外することができる。
【0428】
当業者は、ごく慣用的な実験を使用し、本明細書に記載される特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するかまたは確認することができる。本明細書に記載される本発明の実施形態の範囲は、先の説明に限定されることを企図されず、むしろ添付の特許請求の範囲に記載される通りである。当業者は、以下の特許請求の範囲において定義される通り、本説明に対する様々な変更および改変が、本開示の精神または範囲から逸脱することなく加えられ得ることを認識されよう。
【国際調査報告】