(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】コバルトクロム合金粉末
(51)【国際特許分類】
C22C 19/07 20060101AFI20230428BHJP
B22F 9/08 20060101ALI20230428BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20230428BHJP
B22F 10/34 20210101ALI20230428BHJP
C22C 1/04 20230101ALI20230428BHJP
【FI】
C22C19/07 Z
B22F9/08 A
B22F1/00 M
B22F10/34
C22C1/04 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557778
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 DE2021100279
(87)【国際公開番号】W WO2021190704
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】102020108346.7
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021106606.9
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516236078
【氏名又は名称】ファオデーエム メタルズ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】VDM Metals International GmbH
【住所又は居所原語表記】Plettenberger Strasse 2, D-58791 Werdohl, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】タチアナ ヘントリヒ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーナ シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ペーター シュタインバッハ
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
【Fターム(参考)】
4K017AA04
4K017BA03
4K017BB01
4K017BB04
4K017BB05
4K017BB06
4K017BB07
4K017BB08
4K017BB13
4K017BB14
4K017BB15
4K017BB16
4K017EB05
4K017FA02
4K017FA04
4K017FA14
4K018AA10
4K018BA04
4K018BD09
4K018CA44
4K018EA11
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
粉末用のチタン不含のコバルトクロム合金であって、(質量%で)C 0.40~1.50%; Cr 24.0~32.0%; W 3.0~8.0%; Mo 0.1~5.0%、ここで質量%でのWとMoとの含有率に関して4.0<W+Mo<9.5が満たされる; Nb 最大0.5%; Ta 最大0.5%、ここで質量%でのNbとTaとの含有率に関してNb+Ta<0.8が満たされる; Ni 0.005~25.0%; Fe 0.005~15.0%、ここで質量%でのNiとFeとの含有率に関してNi+Fe>3.0が満たされる; Mn 0.005~5.0%; Al 最大0.5%; N 0.0005~0.15%; Si <0.3%; Cu 最大0.4%; O 0.0001~0.1%; P 最大0.015%; B 最大0.015%; S 最大0.015%; Co 残部、および製造に起因する不純物; 殊にZr 最大0.03%; Ti 最大0.025%からなる前記合金。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末用のチタン不含のコバルトクロム合金であって、(質量%で)
C 0.40~1.50%
Cr 24.0~32.0%
W 3.0~8.0%
Mo 0.1~5.0%、ここで質量%でのWとMoとの含有率に関して4.0≦W+Mo≦9.5が満たされる、
Nb 最大0.5%
Ta 最大0.5%、ここで質量%でのNbとTaとの含有率に関してNb+Ta≦0.8が満たされる、
Ni 0.005~25.0%
Fe 0.005~15.0%、ここで質量%でのNiとFeとの含有率に関してNi+Fe>3.0が満たされる、
Mn 0.005~5.0%
Al 最大0.5%
N 0.0005~0.15%
Si <0.3%
Cu 最大0.4%
O 0.0001~0.1%
P 最大0.015%
B 最大0.015%
S 最大0.015%
Co 残部、および製造に起因する不純物、殊に
Zr 最大0.03%
Ti 最大0.025%
からなる前記合金。
【請求項2】
以下の関係:
10.0体積%≦M
23C
6≦40.0体積%、且つ
M
7C
3≦10.0体積%
が、殊に熱処理後に満たされなければならない、請求項1に記載の合金。
【請求項3】
C含有率(質量%)0.4~1.4%を有する、請求項1または2に記載の合金。
【請求項4】
Cr含有率(質量%)25.0~31.0%を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項5】
Mo含有率(質量%)0.1~4.0%、殊に0.1~3.0%を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項6】
W含有率(質量%)0.5~6.5%を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項7】
W含有率(質量%)3.5~8.0%を有し、ここで質量%でのWとMoとの含有率に関して4.2≦W+Mo≦9.5が満たされなければならず、ここで好ましい範囲4.5≦W+Mo≦9.0%が満たされる、請求項1から6までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項8】
Ta含有率(質量%)最大0.5%を有し、ここで質量%でのNbとTaとの含有率に関してNb+Ta≦0.6が満たされなければならず、ここで好ましい範囲Nb+Ta≦0.5%が満たされる、請求項1から7までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項9】
Ni含有率(質量%)0.005~24.0%、殊に0.005~21.0%を有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項10】
Fe含有率(質量%)0.05~15.0%を有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項11】
Mn含有率(質量%)0.005~4.5%を有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項12】
N含有率(質量%)0.001~0.12、殊に0.001~0.10%を有する、請求項1から11までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項13】
Si含有率(質量%)最大0.25%、殊に最大0.20%を有する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項14】
O含有率(質量%)0.001~0.1%、殊に0.002~0.08%を有する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項15】
Cu含有率(質量%)最大0.3%、B含有率(質量%)最大0.012%、S含有率(質量%)最大0.010%、Pb含有率(質量%)最大0.005%、Zn含有率(質量%)最大0.005%、Sn含有率(質量%)最大0.005%、Bi含有率(質量%)最大0.005%、V含有率(質量%)最大0.005%、Y含有率(質量%)最大0.005%、Hf含有率(質量%)最大0.015%およびLa含有率(質量%)最大0.005%を有する、請求項1から14までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の合金からの粉末の製造方法であって、前記合金を真空誘導溶解炉内で溶解し、閉じた噴霧装置内で噴霧し、ここで、溶湯をノズルを通じて特定のガス流量を有する供給ガス流に供給し、凝固した粉末粒子が気密封止容器に捕集される、前記方法。
【請求項17】
生成的製造法のための、および/またはHIP法と組み合わせた、HIP法のための、並びに肉盛溶接および/またはコーティングのための粉末としての、請求項1から15までのいずれか1項に記載の合金の使用。
【請求項18】
トライボロジー条件、腐食性条件および酸化性条件またはそれらの条件の組み合わせ下での部材としておよび/またはコーティングとしての、請求項1から15までのいずれか1項に記載の合金の使用。
【請求項19】
生成的製造法のための、および/またはHIP法と組み合わせた、HIP法のための、並びに肉盛溶接および/またはコーティングのための粉末を製造するための、請求項16に記載の方法の使用。
【請求項20】
トライボロジー条件、腐食性条件および酸化性条件またはそれらの条件の組み合わせ下での部材および/またはコーティングを製造するための、請求項16に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコバルトクロム合金粉末用の化学組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コバルトクロム合金の重要な特徴は、その高い耐摩耗性であり、それは特定の合金成分、とりわけ炭化物によって確保される。この合金は通常、他の強化相、例えばニッケル基合金中のγ’相に類似するコヒーレントなFCC(Co、Ni)3Tiは有さない。Co基の摩耗耐性材料中の典型的な炭化物は、MC、M6C、M7C3およびM23C6析出物である。「M」によって以下の元素が理解される: MC ((Ta、Ti、Zr、Nb、W、Cr)C)、M6C ((Cr、Mo、W、Co)6C)、M7C3 ((Cr、Mo、W、Co)7C6)およびM23C6 ((Cr、Mo、W、Co)23C6)、これらはここでは必須として、しかし排他的ではないとみなされる。高い摩耗性に基づき、これらの材料は加工が困難である。従って、大規模な部材を製造する際の方法としての熱間等方圧加圧(HIP)、並びに肉盛溶接および/または表面処理の際の噴霧の重要性が増している。
【0003】
2013年10月のDeutsche Edelstahlwerkeの材料図の「系統樹」Celsite(DEWの商標)(コバルト基合金)に、ステライト(Kennametalの商標)が記載されている。最も普及したステライトのタイプの1つは、(質量%で)C 1.1%、Cr 28.0%、W 4.5%、Ni 1.0%、Fe 1.0%、Co 残部からなるステライトNo.6(UNS R30006)であり、それはC含有率に基づき、「クラックのない溶接挙動」のカテゴリにも割り当てられた。この合金はとりわけ、耐腐食性と、耐摩耗性と、硬度との間の良好な組み合わせを有する。ただし、ステライトNo.6は約1%の比較的小さな破断点伸びを示す。
【0004】
生成的製造法の場合、合金の化学組成だけでなく、相転移も大きな役割を果たし、なぜなら、加工の間、偏析作用に基づき、および相の溶解による追加的な応力によって、クラック形成の危険があるからである。さらに、コバルトクロム合金は、特定のC含有率から、凝固工程の際に共晶反応を有し、それはさらなる応力を材料にもたらし、且つ、材料がそれ自体、比較的低い延性を有する場合にはクラックの形成をみちびく。このことは一般に、耐摩耗性のコバルトクロム合金の溶接を困難にする。
【0005】
B、ZrおよびSiなどの非常に偏析する元素は、ニッケル合金およびニッケルコバルト合金の溶接性を低下させる。B、ZrおよびSiは凝固の際に非常に偏析し、且つ熱クラック形成傾向を著しく高める。さらに、生成的製造法の際の加工性がS、O、N、P、Pbの元素によって悪化する。
【0006】
特開昭61-243143号公報(JPS61243143 A)は、10μm以下の定義された粒度を有し、(質量%で)C 0.15~1.0%、Cr 15.0~40.0%、WまたはMo 3.0~15.0%、B 1.0%未満、Ni 0~20%、Nb 0~1.0%、Zr 0~1.0%、Ta 0~1.0%、Ti 0~3.0%、Al 0~3.0%、Co 残部からなる超塑性コバルト合金を開示している。
【0007】
米国特許出願公開第2017/0241287号明細書(US2017/0241287 A1)は、(質量%で)C 0.05~0.8%、Cr 25.0~32.0%、W 4.0~10.0%、Ni 5~15%、Fe 0.5~2.0%、Si 0.3~1.5%、Co 残部からなる粉末冶金コバルト合金を開示している。さらに、一連の元素Ti、V、Y、Zr、Nb、HfおよびTaが定義され、それらは以下のように記載される: 1つの元素が0.01~0.5%の質量%を有する第1の元素として称され、それに加えて、他のものが第2の元素として称され、それは周期律表においてより高い番号の族において、または同じ族においてより高い周期番号を有し、且つ0.01~0.5%の質量%で存在する。
【0008】
米国特許出願公開第2016/0258298号明細書(US2016/0258298 A1)は、ほぼ最終的な形状の金属部材の製造方法を、種々のニッケル基合金およびコバルト合金、例えばFSX414およびMar-M-509からの例と共に開示している。
【0009】
欧州特許出願公開第3453775号明細書(EP3453775 A1)は、(質量%で)C 0.08~0.25%、B 0.1%未満、Cr 10.0~30.0%、W および/またはMo 5.0~12.0%、NiおよびFe 合計で30%まで、Feはその際5.0%未満、Ti、Zr、NbおよびTa 合計で0.5~2.0%、Si 0.5%まで、Mn 0.5%まで、N 0.003~0.04%、Co残部からなるコバルト合金、および前記合金から生成的製造法を用いて製造された部品を開示している。
【0010】
欧州特許出願公開第3278907号明細書(EP3278907 A1)は、少なくとも50質量%のNi、FeおよびCoに基づく金属粉末を開示している。以下の元素の少なくとも1つが粉末中に存在している: C、Si、Cr、Mo、Al、Ti、V、W、Nb、Zn、Ta、B、Ag、CuおよびSnおよび他のプロセス起因の不純物。その際、粒子は、10μm以上の10%粒径D10を有する球状の形態、および以下の式: Y=D50×ρ×S[式中、D50は50体積%の粉末の粒径であり、ρは粉末の実際の密度、およびSは粉末の比表面積である]に従って計算される体積Y7.5~24.0を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭61-243143号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0241287号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2016/0258298号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第3453775号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第3278907号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Deutsche Edelstahlwerkeの材料図の「系統樹」Celsite、2013年10月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の対象の課題は、ほぼクラックのない部材構造の良好な加工性を有する生成的製造を可能にする、チタン不含のコバルトクロム合金を提供することである。同時に、本発明による合金製の部材は、高められた破断点伸び並びにより高い硬度、ひいては増加された耐摩耗性、耐酸化性および耐腐食性を中程度の使用温度の際に併せ持つべきである。
【0014】
本発明の対象の課題は、高品質の粉末を達成できるチタン不含のコバルトクロム合金を製造する方法を提供することでもある。
【0015】
さらなる課題は、前記合金を、特定の用途の場合に利用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の課題は、粉末用のチタン不含のコバルトクロム合金であって、(質量%で)
C 0.40~1.50%
Cr 24.0~32.0%
W 3.0~8.0%
Mo 0.1~5.0%、ここで質量%でのWとMoとの含有率に関して4.0≦W+Mo≦9.5が満たされる、
Nb 最大0.5%
Ta 最大0.5%、ここで質量%でのNbとTaとの含有率に関してNb+Ta≦0.8が満たされる、
Ni 0.005~25.0%
Fe 0.005~15.0%、ここで質量%でのNiとFeとの含有率に関してNi+Fe>3.0が満たされる、
Mn 0.005~5.0%
Al 最大0.5%
N 0.0005~0.15%
Si < 0.3%
Cu 最大0.4%
O 0.0001~0.1%
P 最大0.015%
B 最大0.015%
S 最大0.015%
Co 残部、および製造に起因する不純物、殊に
Zr 最大0.03%
Ti 最大0.025%
からなる、粉末用のチタン不含のコバルトクロム合金によって達成される。
【0017】
本発明による合金の有利なさらなる態様は、関連する従属請求項に記載されている。
【0018】
前記のさらなる課題は、この合金からの粉末の製造方法であって、前記合金を真空誘導溶解炉内で溶解し、閉じた噴霧装置内で噴霧し、ここで、溶湯をノズルを通じて特定のガス流量を有する供給ガス流に供給し、凝固した粉末粒子が気密封止容器に捕集される、前記方法によっても達成される。
【0019】
有利には、以下の関係:
10.0体積%≦M23C6≦40.0体積%、且つ
M7C3≦10.0体積%
が、殊に熱処理後に満たされるべきである。
【0020】
本発明による合金は好ましくは、生成的製造法のために、且つ/またはHIP法と組み合わせて、HIP法のために、並びに肉盛溶接および/またはコーティングのための粉末として使用可能である。
【0021】
前記使用の好ましい態様は、関連する従属請求項に記載されている。
【0022】
以下において、全ての濃度の記述は、特段明示的に注記されない限り、質量%で示される。
【0023】
炭素含有率は0.40~1.50%であり、ここで、好ましくは定義された含有率は、
0.40~1.40%
0.42~0.95%
>0.65~1.50%
の広がりの範囲内で調整され得る。
【0024】
このことは、24.0~32.0%の含有率に調整されるクロム元素にも同様に該当する。好ましい含有率は以下のように示され得る:
25.0~31.0%
>25.0~31.0%
26.0~31.0%。
【0025】
これは0.1~5.0%の含有率に調整されるモリブデン元素にも該当する。好ましい含有率は以下のように示され得る:
0.1~4.0%
0.1~<4.0%
0.1~3.0%。
【0026】
さらに、前記合金にタングステンを3.0~8.0%の含有率で添加することが有利であり、ここで質量%でのWとMoとの含有率に関して4.0≦W+Mo≦9.5が満たされなければならない。好ましい範囲は、
4.2≦W+Mo≦9.0%
について得られる。
【0027】
Zr含有率は最大0.03%に調整される(不純物)。好ましくは、
最大0.025%
最大0.020%
に制限される。
【0028】
Hf含有率も最大0.015%に制限される。好ましくは、
最大0.010%
最大0.008%
に制限される。
【0029】
さらに、チタンは最大0.025%の含有率に制限され(不純物)、ここで質量%でのZrとHfとTiとの含有率に関してZr+Hf+Ti≦0.04が満たされなければならない。好ましい範囲は、
Zr+Hf+Ti≦0.035%
Zr+Hf+Ti≦0.030%
について得られる。
【0030】
Nb含有率は最大0.5%に制限される。好ましくは、
最大0.4%
最大0.3%
に制限される。
【0031】
さらに、Taは最大0.5%の含有率に制限され、ここで質量%でのNbとTaとの含有率に関してNb+Ta≦0.8が満たされなければならない。好ましい範囲は、
Nb+Ta≦0.6%
Nb+Ta≦0.5%
について得られる。
【0032】
このことは、0.005~25.0%の含有率に調整されるニッケル元素にも同様に該当する。好ましい含有率は以下のように示され得る:
0.005~24.0%
0.005~21.0%
0.005~15.0%
>2.0~14.0%
>3.0~21.0%
>5.0~21.0%。
【0033】
これは0.005~15.0%の含有率に調整される鉄元素にも該当する。好ましい含有率は以下のように示され得る:
0.05~15.0%
0.05~10.0%
0.05~8.0%
>2.0~10.0%
>3.0~10.0%。
【0034】
Mn含有率は0.005~5.0%であり、ここで好ましくは定義された含有率は、
0.005~4.5%
0.005~4.0%
>2.0~5.0%
の広がりの範囲内で調整され得る。
【0035】
Al含有率も最大0.5%に制限される。好ましくは、
最大0.35%
最大0.25%
に制限される。
【0036】
N含有率は0.0005~0.15%であり、ここで好ましくは定義された含有率は、
0.001~0.12%
0.001~0.10%
の広がりの範囲内で調整され得る。
【0037】
Si含有率は<0.3%に制限される。好ましくは、
最大0.25%
最大0.20%
に制限される。
【0038】
Cu元素は合金中で最大0.4%に制限される。好ましくは、
最大0.3%
に制限される。
【0039】
酸素含有率は0.0001~0.1%である。酸素含有率の以下の限定が考えられる:
0.001~0.1%
0.002~0.08%
0.002~0.06%
0.002~0.05%。
【0040】
B含有率は最大0.015%に制限される。好ましくは、
最大0.012%
に制限される。
【0041】
硫黄含有率も最大0.015%に制限される。好ましくは、
最大0.010%
に制限される。
【0042】
最後に、さらなる不純物について、以下の排除できない以下の元素が以下のように示され得る:
Pb 最大0.005%
Zn 最大0.005%
Sn 最大0.005%
Bi 最大0.005%
V 最大0.005%
Y 最大0.005%
La 最大0.005%。
【0043】
以下の関係: 10.0体積%≦M23C6≦40.0体積%、且つM7C3≦10.0体積%が、殊に熱処理後に満たされなければならない。好ましい範囲は、殊に熱処理後に、13.0体積%≦M23C6≦38.0体積%、且つM7C3≦8.0体積%について得られる。
【0044】
本発明によるコバルトクロム合金からの粉末の製造方法であって、合金を真空誘導溶解炉内で溶解し、閉じた噴霧装置を供給ガスで調整し、溶湯をノズルを通じて特定のガス流量を有する供給ガス流に供給し、凝固した粉末粒子が気密封止容器に捕集される、前記方法を以下で示す。
【0045】
本発明による粉末は、好ましくは、真空不活性ガス噴霧装置(VIGA)において製造される。この装置においては、合金がVIM炉内で溶解され、その液状の溶湯が20分~2時間の間、保持されて均質化される。前記溶湯が注入漏斗にみちびかれ、それはガスノズルにつながっており、そこで、溶解された金属は5~100barの高圧下で不活性ガスを用いて噴霧されて金属粒子になる。その溶湯は、溶解るつぼ内で融点より5~400℃上で加熱される。噴霧の際の金属流量は0.5~80kg/分であり、且つガス流量は2~150m3/分である。急冷によって、金属粒子は球状(球状の粒)に凝固する。噴霧の際に使用される不活性ガスは、必要に応じて、0.01~100%の窒素を含有し得る。次いで、サイクロンにおいて気相が粉末から分離され、引き続き粉末が包装される。その際、粒子は5μm~250μmの粒径、評価された対象の総面積に対して0.0~4%の細孔面積(細孔<1μm)のガス包含物、2~約8.5g/cm3の合金密度までのかさ密度を有し、且つアルゴンを有する保護ガス雰囲気下で気密包装される。
【0046】
粉末の粒子サイズの広がりの範囲は5~250μmであり、ここで好ましい範囲は5~150μm、もしくは10~150μmである。前記の好ましい範囲は、ふるい工程または篩別工程によって、細かすぎる粒子および大きすぎる粒子を分離することによって実現できる。これらの工程は保護ガス下で実施され、1回または複数回実施され得る。
【0047】
粉末製造の際の不活性ガスは、選択的にアルゴン、もしくはアルゴンと0.01~100%未満の窒素との混合物であってよい。窒素含有率に以下の制限があることがある:
0.01~80%
0.01~50%
0.01~30%
0.01~20%
0.01~10%
0.01~10%
0.1~5%
0.5~10%
1~5%
2~3%。
【0048】
代替的に、不活性ガスは選択的にヘリウムであってよい。
【0049】
不活性ガスは好ましくは少なくとも99.996体積%の純度を有するべきである。殊に、窒素含有率0.0~10ppmv、酸素含有率0.0~4ppmv、およびH2O含有率≦5ppmvを有するべきである。
【0050】
殊に、不活性ガスは好ましくは少なくとも99.999体積%の純度を有し得る。殊に、窒素含有率0.0~5ppmv、酸素含有率0.0~2ppmv、およびH2O含有率≦3ppmvを有するべきである。装置における露点は-10~-120℃の範囲である。それは好ましくは-30~-100℃の範囲である。
【0051】
粉末の噴霧の際の圧力は、好ましくは10~80barであってよい。
【0052】
付加製造を用いて製造された部材および部品、もしくは部材および部品上の層は、5~500μmの層厚から構築され、且つ製造直後に、構造の方向に延伸する平均粒子サイズ2μm~1000μmの粒子を有する組織化構造を有する。好ましい範囲は5μm~500μmである。部材の製造を、必要に応じて、構築スペースの加熱によって、および/またはレーザー制御によるin-situの熱処理によって行うことができる。
【0053】
さらに、上述の粉末は、必要に応じてHIPまたは従来の焼結法および押出法を用いた部材の製造のために使用され得る。さらに、付加製造と後続のHIP処理との方法の組み合わせが可能である。その際、生成的製造について以下で記載される後処理段階を、HIP部材のために使用することが可能である。
【0054】
本発明による合金を、必要に応じて任意の種類の金属部品上での肉盛溶接のために使用することもできる。それによって、高い耐摩耗性、硬度が非常に良好な耐腐食性および耐酸化性で、クラックのない、またはほぼクラックのない構造、およびステライトNo.6に比して改善された延性と共に達成される。
【0055】
さらに、本発明による合金は、バインダージェッティング法のために適し得る。この方法の場合、部材は層状に構築され、ただし、レーザー溶融法に比して局所的に有機結合剤が施与され、それが粉末粒子の結合を確実にする。バインダーの硬化後、いわゆるグリーン部分は、結合されていない粉末を取り除かれ、続いて脱バインダーされて焼結される。
【0056】
本発明による合金のために、予熱および後熱のための方法および追加の装置が有利であることがある。例として、EBM法-電子ビーム溶融が考えられる。粉末床が電子ビームによって選択的に層状に溶解される。この工程は高真空下で実施される。従って、この工程は殊に、低い延性を有する硬質物質のために、および/または反応性の材料のために適している。予熱および後熱装置も、レーザーに基づく方法に組み込むことができる。付加製造および他の上述の方法を用いて製造された部材および部品、もしくは部材および部品上の層を、選択的に、均質化アニール、応力除去アニール、溶体化アニール、および/または析出硬化アニールに供することができる。その熱処理は、場合により真空または保護ガス、例えばアルゴンまたは水素下で供することができ、続いて炉内で、場合により保護ガス下、空気中、動かされるアニール雰囲気中、または水浴中で冷却に供することができる。
【0057】
部材を、必要に応じて、温度400℃~1250℃で1時間~300時間、真空、空気または保護ガス下でアニールして、均質化または応力緩和できる。その後、部材を必要に応じて温度400℃~1050℃で0.5時間~30時間、真空、空気または保護ガス化で溶体化アニール、応力除去アニールまたは析出硬化アニールすることができる。
【0058】
その後、選択的に、表面を酸洗い、ブラスト処理、研削、旋削、剥離、フライス加工によって、浄化または加工することができる。そのような加工を選択的に、部分的または全体的に、アニールの前でも行うことができる。
【0059】
付加製造および他の上述の方法を用いて製造された部材および部品、もしくは部材および部品上の層は、アニール後に平均粒子サイズ2μm~2000μmを有する。好ましい範囲は20μm~500μmである。
【0060】
「付加/生成的製造」との用語は、用途のレベルに応じて、ラピッド・プロトタイピング、ラピッド・ツーリング、ラピッド・マニュファクチャリングなどに細分化できる。
【0061】
一般に、ここで以下が区別される:
粉末を用いた3D印刷、
選択的レーザー焼結、
選択的レーザー溶融、
電子ビーム溶融
バインダージェッティング
レーザー肉盛溶接
高速レーザー肉盛溶接
超高速レーザー肉盛溶接
選択的電子ビーム溶融など。
【0062】
ここで使用される略語は以下のように定義される:
VIM 真空誘導溶解
VIGA 真空不活性ガス噴霧装置(真空誘導溶解および不活性ガス噴霧)。
【0063】
本発明によるコバルトクロム合金は、好ましくは、トライボロジー条件、腐食性条件および/または酸化性条件が支配的である領域、例えば分流加減器(ダイバータ)、バルブ、殊にバルブシート、ブレーキディスク、殊にブレーキの摩耗面、ローラー、ロッドおよび/またはガルバニック硬質クロムコーティングのための交換部品、石油産業、ガス産業、および自動車産業において、並びにタービン構造において用いられるべきである。さらに、それは化学プロセス産業および包装産業のためにも適している。
【0064】
従って、合金について特許請求される制限値は以下のように個々に理由付けされる: 耐摩耗性および硬度は炭化物の割合の増加に伴って上昇する。炭素が主に炭化物の形成を担う。
【0065】
充分に良好な耐摩耗性および高い硬度を得るために、最低含有率0.40%のCが必要である。C含有率が多くなると、加工性および溶接性が悪化する。従って、上限は1.50%に設定される。
【0066】
良好な耐酸化性および耐腐食性のために、並びに炭化物形成のために、合金中で充分な量のCr、少なくとも24.0%を有することが必要である。Cr含有率が多くなると、望ましくない相が形成され、ひいては合金の加工性が低下しかねない。従って、上限は32.0%に設定される。
【0067】
炭化物の体積割合は、W含有率の増加に伴って上昇する。さらに、固溶体硬化によって合金の強度が高まる。充分な割合の炭化物を達成するために、最低含有率3.0%が必要である。W含有率が多くなるとM7C3炭化物の形成が増加し、それはそれぞれの溶接工程の際に合金のクラック形成傾向を高める。さらに、含有率が多いとコストが大幅に増加する。従って、上限は8.0%のWに定められる。
【0068】
W含有率が充分に高いと、少なくとも0.1%のMo含有率が所望のM23C6炭化物の安定性をさらに高める。Mo含有率が多くなると、加工性が悪化する。従って、上限は5.0%に設定される。
【0069】
充分に高い炭化物の体積割合による良好な耐摩耗性のために、W+Moの合計が4.0%より多いことが必要である。W+Moの合計が9.5%より多いと、合金のコストが大幅に増加する。
【0070】
圧縮工程の際の低いクラック形成傾向は、C、Cr、Mo、Wのバランスの取れた濃度によってのみ達成されるのではなく、温度の影響下で溶解する準安定なM7C3炭化物、並びに滑り面のがないことに基づき脆く且つクラック開始位置として作用する粗大なMC炭化物の形成の低減によっても達成される。さらに、部材の加工性を確保するために、M6C、シグマおよびラーベス相の体積割合をできるだけ低く保持することが重要である。従って、CoCr6は基本組成において(表1および2参照)約15体積%のM7C6炭化物を有し、それが一次的に析出し、約1100℃からM23C6に転移し始める。M7C3のブロック状の炭化物の溶解およびM23C6炭化物の析出は、約980℃で完了する。この相転移は、体積変化およびそれに続くクラック形成に基づき、材料中にさらに応力をもたらす。従って、本発明による合金においては、上記の相の形成を促進する以下の元素の含有率は意図的に厳しく限定される。
【0071】
さらに、Zr(不純物)は凝固工程の際に非常に強く偏析し、クラック形成傾向を高める。従って、Zrの含有率は最大0.03%に定められる。Hf含有率は最大0.015%に、且つTi(不純物)は最大0.025%に制限される。ZrとHfとTiとの合計は0.04%以下に制限される。
【0072】
Zr、HfおよびTiと同様に、NbおよびTaはとりわけMC炭化物を安定化する。従って、NbおよびTaの含有率はそれぞれ0.5%以下に制限され、ここでNbとTaとの合計は0.8%以下に制限される。
【0073】
ニッケル含有率が充分に高いと、合金の延性が高まる。さらに、FCC構造が安定化される。含有率が高すぎると、積層欠陥エネルギーが大幅に高まることに基づき、合金の強度が低下する。従って、Ni含有率は25.0%に制限される。
【0074】
Feの含有率は最大15.0%に制限され、なぜなら、含有率が高くなると、Co基合金における強度が低下するからである。一般にFeはNiと同様の作用を示す。ただし、高い含有率の場合、強度の低下および延性の高まりが、合金中で望ましくない相、例えばラーベスおよびシグマの形成をみちびきかねない。Fe含有率が低すぎると、材料の製造コストの上昇を引き起こす。従って鉄含有率は0.005%を上回るべきである。
【0075】
マンガンは5.0%に制限され、なぜならこの元素はより高い含有率では、溶接工程の際にクラック形成傾向を高めかねないからである。Mn含有率が少なすぎると、合金中の脱硫作用が確保できない。従ってマンガン含有率は0.005%を上回るべきである。
【0076】
非常の少量のアルミニウムでも、溶湯中の酸素を効果的に結びつける。含有率が高すぎると、アルミニウムによる溶接性が反応性に再度悪影響しかねない。従って、Al含有率は0.5%に制限される。
【0077】
圧縮工程の際のクラック形成を制限するために、窒素は0.15%に制限され、それによって窒化物の形成が低下する。N含有率が少なすぎると、合金の製造コストの上昇が引き起こされる。従って窒素含有率は0.0005%を上回るべきである。
【0078】
ケイ素は0.3%未満に制限され、なぜなら、この元素は、その偏析挙動に基づいて圧縮工程の際のクラック形成傾向を大幅に高めるからである。Si含有率の限定は、C含有率を高めることを可能にする。
【0079】
銅は0.4%に制限され、なぜならこの元素は耐酸化性を低下させるからである。
【0080】
酸素含有率は0.1%未満であるべきであり、なぜならこの元素は、本発明による合金の圧密化された部材および/またはコーティングの機械的特性を損ねるからである。O含有率が低すぎると、粉末の製造コストの上昇を引き起こす。従って酸素含有率は0.0001%を上回るべきである。
【0081】
Pの含有率はできるだけ少なく保つべきであり、なぜなら、この界面活性元素は、溶接工程中に低融点共晶を形成することに基づき、クラック形成傾向を非常に大幅に高めるからである。従って、最大0.015%に定められる。
【0082】
ホウ素の含有率はできるだけ少なく保つべきであり、なぜなら、この界面活性元素は、溶接工程の際のクラック形成傾向を非常に大幅に高めるからである。従って、最大0.015%に定められる。
【0083】
硫黄の含有率はできるだけ少なく保つべきであり、なぜなら、この界面活性元素は、それぞれの溶接工程の際に低融点共晶を形成し、且つ熱クラック形成傾向を著しく促進するからである。従って、最大0.015%のSに定められる。
【0084】
Pbは最大0.005%に制限され、なぜならこの元素は作業性を低下させるからである。同じことがZn、Sn、Bi、V、YおよびLaについて該当する。
【0085】
M23C6炭化物の体積は、最大40体積%に制限され、なぜなら、より高い体積では材料の延性が非常に低下するからである。M23C6炭化物の体積割合が小さすぎると、材料の耐摩耗性が低下する。従って、最低10体積%のM23C6が必要とされる。
【0086】
同時に、M7C3炭化物の体積は最大10体積%に制限され、なぜなら、より高い相の割合はクラック形成傾向を非常に促進するからである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1】レーザーに基づく付加製造を用いて製造された部材を示す図である。
【実施例】
【0088】
データベースTTNi8を用いた熱力学的シミュレーション(JMatProおよびThermoCalc)を用いて、化学組成を変化させた広範な試験マトリックスを計算した。表1および2に、例示的な合金を示す。そこで、化学組成と相形成との間の関係が説明できる。この計算のために、凝固の際に生じ得る拡散事象のない熱力学的シミュレーションが使用されたので、原料から、または大規模生産から紛れ込み得る以下の付随元素Cu、P、S、Pb、Zn、Sn、Bi、V、Y、Laは計算の際に考慮されなかった。上限は、技術的な経験と経済的な観点との組み合わせに基づき設定された。表において、合金CoCr6およびMP75は典型的な組成として示される。その際、合金CoCr6は本発明による開発のための基礎として採用された。基本バージョンにおけるCoCr6は複合的な炭化物形成物を示す。
【0089】
本発明による開発の課題は、10.0体積%~40.0体積%のM23C6炭化物が形成されるように、種々のC含有率に基づいて組成を適合させて、高い硬度および耐摩耗性を確保し、且つM7C3炭化物の形成を最大10.0体積%に制限することであった。MCおよびM6C炭化物の形成は、それらの望ましくない形態に基づき、できるだけ(それぞれ2体積%に)低減されるか、または抑制されるべきである。さらに、合金はできるだけラーベス相およびシグマ相を有さないべきである。これは、C、W、Mo、Nb、Ta、Zr、HfおよびTiの組み合わせを適合させることによって達成される。
【0090】
合金B-42、B-43並びにB-44のように、NbおよびTaの含有率が少ないだけで既にMC炭化物を安定化させる。比較的低い含有率の元素Zr、HfおよびTiが同様の作用を達成する(合金B-45、B-46およびB-49)。表内のさらなる合金は、特許請求される組成範囲内の例を示す。合金が構造内に大きな体積の準安定のM7C3炭化物を有することなく、大きな体積のM23C6炭化物を達成するために、CとWとMoとの適合された組み合わせは必須である(合金B-2、B-3、B-5、B-7、B-8、B-11、B-12、B-13、B-14、B-15、B-53、B-55、B-65、B-72)。C含有率の増加に伴って(B-70、B-71、B-72)、Cr並びにWおよびMoの含有率も増加させるべきである。これは、1.5質量%のCの場合(B-72)でも、M23C6炭化物のみを達成することを可能にする(表2参照)。
【0091】
表1: 例示的な合金の化学組成(E: 本発明による、N: 本発明によらない、T: 従来技術)、全て質量%で示す:
【表1-1】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
表3に、第1の例示的な噴霧された化学組成(異なるNi含有率でB-12およびB-13に類似)を示す。レーザーに基づく付加製造を用いて、種々の工程パラメータでマイクロクラックなく部材を製造することが可能である(
図1参照)。
【0096】
図1はレーザーに基づく付加製造を用いて構築された、マイクロクラックを有さない種々の工程パラメータ(露光法)での材料体を示す。
【0097】
熱力学的計算において予測されたとおり、一次M7C3炭化物ならびに共晶凝固は検出されなかった。熱処理によって、M23C6の炭化物の析出が引き起こされた。この利点は、熱処理によって炭化物の大きさおよび分布を制御できることである。
【0098】
表3: 第1の例示的な噴霧された化学組成。N.a. 分析されていない。
【0099】
【国際調査報告】