(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
B62M 6/55 20100101AFI20230428BHJP
B62M 6/50 20100101ALI20230428BHJP
【FI】
B62M6/55
B62M6/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557802
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 EP2021054258
(87)【国際公開番号】W WO2021190842
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】102020203714.0
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ステッフェン クラフト
(72)【発明者】
【氏名】ミラン ペルシク
(72)【発明者】
【氏名】ルディガー ニエレシャー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス クラフト
(57)【要約】
【課題】本発明は、人力駆動式の車両のための、特に自転車またはEPACのための駆動ユニット(10)に関する。
【解決手段】駆動ユニット(10)は、ハウジング(12)と、ステータ(44)およびロータ(46)を有する電気モータ(18)と、ステータキャリア(48)と、電子ユニット(50)と、を備える。ステータキャリア(48)、ステータ(44)、ロータ(46)、および電子ユニット(50)は、事前組み立て可能なユニット(56)として設計される。そのため、事前組み立て可能なユニット(56)を、前記ハウジング(12)に取り付けることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動式の車両のための、特に自転車またはEPACのための駆動ユニット(10)であって、ハウジング(12)と、ステータ(44)およびロータ(46)を有する電気モータ(18)と、ステータキャリア(48)と、電子ユニット(50)と、を備える駆動ユニット(10)において、前記ステータキャリア(48)、前記ステータ(44)、前記ロータ(46)、および前記電子ユニット(50)は、事前組み立て可能なユニット(56)として形成され、そのため前記事前組み立て可能なユニット(56)を、前記ハウジング(12)に取り付けることができることを特徴とする、駆動ユニット(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動ユニット(10)において、電気信号ラインおよび電力ライン用の1つまたは複数のダクト(60、62)は、前記ステータキャリア(48)に形成され、前記ステータ(44)、前記電子ユニット(50)、および前記ロータ(46)は、前記ステータキャリア(48)に固定され、前記ロータ(46)は、転がり軸受(58)を用いて前記ステータキャリア(48)に取り付けられることを特徴とする、駆動ユニット(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駆動ユニット(10)において、前記ステータキャリア(48)は、径方向外側に突出する固定部分(54)を備え、前記固定部分(54)を用いて、前記ステータキャリア(48)を前記駆動ユニット(10)の前記ハウジング(12)に、特にプレスフィットによって、取り付ける、または固定することができることを特徴とする、駆動ユニット(10)。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の駆動ユニット(10)において、前記電気モータ(18)は外部ロータモータとして設計されることを特徴とする、駆動ユニット(10)。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の駆動ユニット(10)において、前記ロータ(46)は、前記ハウジング(12)内に配置された波動歯車装置(20)と結合するためのスリーブ状の結合部分(64)を備え、前記結合部分(64)は、楕円形の外郭(65)を有することを特徴とする、駆動ユニット(10)。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の駆動ユニット(10)において、前記電気モータ(18)の前記ステータ(44)は、前記ステータキャリア(48)にポッティングされることを特徴とする、駆動ユニット(10)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の駆動ユニット(10)において、前記ロータ(46)は、ただ1つの転がり軸受(58)によってのみ、前記ステータキャリア(48)に取り付けられることを特徴とする、駆動ユニット(10)。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の駆動ユニット(10)において、フレキシブル導体(72)が設けられ、前記フレキシブル導体(72)は、2つの層(74、76)を備えて、一方の端部で前記電子ユニット(50)と接続され、車両側プラグ(204)に接続するための複数の接触面(79)を有する電気的インターフェース(78)を他方の端部に備えることを特徴とする、駆動ユニット(10)。
【請求項9】
請求項8に記載の駆動ユニット(10)において、前記フレキシブル導体(72)および前記電気的インターフェース(78)が配置される溝(82)は、前記ハウジング(12)の外側(80)に形成され、前記フレキシブル導体(72)の前記層(74、76)は、ポッティングコンパウンドまたは被覆(88)によって覆われ、貫通開口部(89)は、前記電気的インターフェース(78)に形成されることを特徴とする、駆動ユニット(10)。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の駆動ユニット(10)において、前記電子ユニット(50)は、前記駆動ユニット(10)の前記ボトムブラケットシャフト(14)の回転位置を検出するための位置センサシステム(90)を備え、前記位置センサシステム(90)は、1つまたは複数の近接センサ(92)と、前記ボトムブラケットシャフト(14)に回転不能に固定されて前記1つまたは複数の近接センサ(92)と相互作用する偏心要素(94)、特に偏心リング(94)と、を備えることを特徴とする、駆動ユニット(10)。
【請求項11】
人力駆動式の車両、特に自転車またはEPACのためのワイヤハーネス(202)と、請求項8、9、または10の何れか一項に記載の駆動ユニット(10)と、からなるアセンブリ(200)において、前記ワイヤハーネス(202)は、前記フレキシブル導体(72)の前記電気的インターフェース(78)に接続するためのコネクタプラグ(204)を備え、前記コネクタプラグ(204)は、前記接触面(79)に接触するための、ばね付勢されたコンタクトピン(206)を備え、および/または保持クランプ(208)を用いて、前記コネクタプラグ(204)が前記駆動ユニット(10)に固定され、前記保持クランプ(208)は、前記コネクタプラグ(204)を把持し、前記駆動ユニット(10)の前記ハウジング(12)の外側(80)に形成された凹部(91)に係合可能な、アセンブリ(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の特徴を有する人力駆動式の車両のための駆動ユニットに関する。さらに、本発明は、人力駆動式の車両のためのワイヤハーネスと、従属請求項の特徴を有する駆動ユニットと、からなるアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
DE102015100676A1号は、人力駆動装置、電気式の補助駆動装置、波動歯車装置、および共通の出力要素を有する駆動アセンブリを開示する。この駆動装置は、多数の個別コンポーネントおよび軸受点を有する複雑な構造を有する。
【0003】
EP2724926A1号は、人力駆動のためのボトムブラケットシャフトを有する中央駆動ユニットと、モータおよびモータから後置接続された遊星歯車装置を備える補助駆動装置と、を開示する。この駆動ユニットも、多数の個別コンポーネントを有する比較的複雑な構造を有する。
【0004】
DE102014108611A1号は、ボトムブラケットシャフトを受容する駆動ハウジングと、駆動ハウジング内部に配置されて牽引手段キャリアと駆動的に接続可能な波動歯車装置と、を有する自転車駆動装置を開示する。この自転車駆動装置もまた、複雑な構造を有する。組み立ては煩雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE102015100676A1号
【特許文献2】EP2724926A1号
【特許文献3】DE102014108611A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記の先行技術と比較して改善された駆動ユニットを提供することである。特に、コンポーネントの数の削減、機能の統合、パッケージの最適化が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1の特徴を有する駆動ユニットによってこの課題を解決する。この駆動ユニットは、(筋力によって作動される)人力駆動式の車両のために、特に自転車またはEPAC(Electrically Power Assisted Cycle/電動アシスト自転車)のために設計される。駆動ユニットは、自転車駆動機構とすることができる。
【0008】
駆動ユニットは、ハウジングと、ステータおよびロータを有する電気モータと、ステータキャリアと、電子ユニットと、を備える。電子ユニットは、電子回路基板を備える、または電子回路基板として設計されてよい。ステータキャリア、ステータ、ロータ、および電子ユニットは、事前組み立て可能なユニット(アセンブリ)として形成される。そのため、事前組み立て可能なユニットを、全体として駆動ユニットのハウジングに取り付けることができる、すなわちハウジングに配置し、固定することができる。
【0009】
前述のコンポーネントを組み合わせてアセンブリを形成することによって、取り付けの際の取り扱いが容易になる。したがって、駆動ユニットを組み立てる際に、組み合わされたコンポーネントは、個別にではなく、アセンブリとして、駆動ユニットのハウジングに取り付けられる。その結果、アセンブリの最終的な取り付けを最適化することができる。さらに、コンポーネントを組み合わせることによって、事前に組み立てられ、機能的に試験可能なアセンブリが提供される。ステータキャリアは、ステータのみを駆動ハウジングに固定するのではなく、更なるコンポーネントも駆動ハウジングに固定する。そのため、ステータキャリアが複数の機能を果たし、より一層の機能の統合、およびコンポーネントの数の削減を達成することができる。
【0010】
駆動ユニットは、人力駆動装置のために、駆動ユニットのハウジングに回転可能に取り付けられたボトムブラケットシャフトを備えることができる。さらに、駆動ユニットは、電気モータおよび波動歯車装置を必須のコンポーネントとして備える補助駆動装置を備えることができる。電気モータは、波動歯車装置と機械的に結合される。人力駆動装置および補助駆動装置は、共通の出力要素と結合させることができる。共通の出力要素には、例えばチェーンリングまたはチェーンリングキャリアが固定される。
【0011】
出力要素は、ボトムブラケットシャフトを軸方向に部分的に径方向外側で包囲する、中空シャフトとして設計することができる。複数のフリーホイールクラッチを、ボトムブラケットシャフトと出力要素との間に径方向で配置することができる。そのうちの1つのフリーホイールクラッチは、補助駆動装置または波動歯車装置を出力要素と結合する。更なるフリーホイールクラッチは、ボトムブラケットシャフトを出力要素と結合する。フリーホイールクラッチは、軸方向で相互に隣接して配置することができる。および/または、フリーホイールクラッチは、内側面と、特に出力軸の内周面と相互作用することができる。
【0012】
波動歯車装置は、入力側で電気モータと結合し、出力側で出力要素と結合することができる。波動歯車装置は、ウェーブジェネレータと、外歯(Flexspline:フレックススプライン)を有する変形可能な円筒形ブッシュまたは内側ブッシュと、内歯を有する円筒形外輪または外側ブッシュと、を有することができる。ウェーブジェネレータは、楕円形のディスクとして形成することができる。ディスクは、その上に配置された転がり軸受と、任意選択で変形可能な軌道と、を有する。フレックススプラインは、環状またはカップ状に設計することができる。フレックススプラインは、通常、波動歯車装置の出力として機能する。
【0013】
ステータキャリアは、特に環状またはスリーブ状の担持部分と、特にディスク状の固定部分と、を備えることができる。これら2つの部分は、別個の要素として形成し、相互に固定することができる。または、これら2つの部分を、ワンピースの設計で共通の構造要素として形成することができる。担持部分には、例えばステータを固定することができる。および/または、端部部分に、ロータを回転可能に取り付けることができる。固定部分を介して、ステータキャリアを、駆動ユニットのハウジングと接続させることができる、すなわち、駆動ユニットに、または駆動ユニット内に固定することができる。
【0014】
電気信号ラインおよび/または電力ライン用の1つまたは複数のダクトを、有利には、ステータキャリアに、特に固定部分に形成することができる。これによって、例えば電子ユニットから電気モータまで、ステータキャリアを経由して短いケーブル長さで導くことができる。そのため、短いケーブル長さでの簡単な接触が可能になる。
【0015】
任意選択で、ステータ、電子ユニット、および/またはロータを、ステータキャリアに固定することができる。ロータを、転がり軸受を用いてステータキャリアに取り付けることができる。ステータキャリアは、構造ユニットの中心的要素である。この構造ユニットは、少なくとも、コイルを有するステータと、ロータの転がり軸受と、電子ユニットと、を収容する。電子ユニット、例えば電子回路基板は、ステータキャリアまたはその固定部分の一方の側、例えば外側に配置することができる。電気モータは、他方の側、例えば内側に配置することができる。したがって、電子ユニットは、電気補助駆動装置とは分離して配置される。
【0016】
ステータキャリアは、有利には、径方向外側に突出する固定部分を備えることができる。この固定部分を用いて、ステータキャリアを駆動ユニットのハウジングに、特にプレスフィットによって、取り付ける、または固定することができる。これによって、例えば、別個の固定要素を使用せずに、コンパクトで安定した固定が可能である。ステータキャリアの外部ジオメトリ(例えば外周)は、ハウジングの内部ジオメトリ(例えば内周)に対応させることができる。固定部分とハウジングとの間のオイルタイトな接続を、例えばシーリングコンパウンド使用して、プレスフィットによって生じさせることができる。このように、固定部分の一方の側で、固定部分の他方の側の電子ユニットに影響を与えることなく、駆動コンポーネントを潤滑することができる。
【0017】
電気モータは、好都合にも、外部ロータモータとして設計される。すなわち、電気モータのロータを、外部ロータとして設計することができる。ロータは、径方向外側でステータを包囲する。この構造によって、有利な出力密度と、比較的コンパクトなサイズと、を達成することができる。
【0018】
ロータは、有利には、出力側に、ハウジング内に配置された波動歯車装置と結合するためのスリーブ状の結合部分を備えることができる。結合部分は、楕円形の外郭を有することができる。したがって、結合部分は、波動歯車装置に対する出力側インターフェースである。ウェーブジェネレータは、結合部分として電気モータのロータに直接に組み込まれる。結合部分は、ウェーブジェネレータの転がり軸受(Flexlager:フレックスベアリング)を受容するように構成される。
【0019】
電気モータのステータは、好都合にも、ステータキャリアにポッティングされることができる。ポッティングコンパウンドは、少なくとも部分的に、ステータキャリアの径方向外側に突出する固定部分および/またはスリーブ状の担持部分の上に延在することができる。ステータのコイル巻線は、ポッティングコンパウンドによって固定され、ステータとステータキャリアとの間の剛性接続を生じさせることができる。さらに、ステータキャリアを介して、ハウジングと熱的に接続することもできる。また、ポッティングコンパウンドによって、電気信号ライン、電力ライン、またはそれらのダクトをシールすることもできる。ポッティングコンパウンドは、例えば、熱伝導性および/または電気絶縁性を有することができる。
【0020】
ロータは、有利には、ただ1つの転がり軸受によってのみ、第1軸受点においてステータキャリアに取り付けることができる。これによって、少ないコンポーネントの数および僅かなスペースで、構造的に有利に取り付けることができる。電気モータの磁場は、ステータコイルを介して磁場が印加されるとすぐに、動的磁気軸受として第2軸受点を形成できる。このようにして、転がり軸受(第1軸受点)および磁気軸受(第2軸受点)によるロータの取り付けが生じる。
【0021】
好都合にも、電気的なフレキシブル導体を設けることができる。電気的なフレキシブル導体は、2つの層を備えて、二層のフレキシブル導体として設計され、一方の端部で電子ユニット、例えば電子回路基板と接続され、車両側プラグに接続するための複数の接触面を有する電気的インターフェースを他方の端部に備える。これによって、特にコンパクトに電力ラインを導くことができる。フレキシブル導体の1つの層は、電気的な電力伝送層として電力伝送用に設計することができる。第2層は、電気的な信号伝送層として信号伝送用に設計することができる。
【0022】
フレキシブル導体および電気的インターフェースが配置される溝は、有利には、ハウジングの外側に形成することができる。フレキシブル導体として設計することによって、駆動ユニットのハウジングの内部ジオメトリに影響を与えることなく、ラインを導くために僅かな溝の深さにすることが可能である。フレキシブル導体の部分、例えば、フレキシブル導体を電子ユニットに接続するためのコンタクトタブは、ハウジングに形成されたスロットを通して、径方向外側から径方向内側へ導くことができる。
【0023】
任意選択で、フレキブル導体の層は、ポッティングコンパウンドまたは被覆によって覆うことができる。貫通開口部は、電気的インターフェースにおいて、ポッティングコンパウンドまたは被覆に形成される。このようにして、フレキシブル導体の、ハウジングにおける機械的な固定とシールが可能である。ポッティングコンパウンドまたは被覆は、好適には、径方向外側で面一になるように、ハウジングの外側に形成された溝を閉じることができる。
【0024】
電気接触面は、有利には、電力および電気信号を伝送するためのフラットコンタクトとして形成することができる。フラットコンタクトは、フレキシブル導体から、またはフレキシブル導体の層から、突出しない、またはごくわずかにのみ突出する。したがって、取り付け中に突出したプラグ要素が剪断されるリスクがない。そのため、車両への駆動ユニットの取り付けを、容易とすることができる。
【0025】
電子ユニットは、好都合にも、駆動ユニットのボトムブラケットシャフトの回転位置を検出するための位置センサシステムを備える。位置センサシステムは、ハウジングに固定された1つまたは複数の近接センサと、ボトムブラケットシャフトに回転不能に固定されて1つまたは複数の近接センサと相互作用する偏心要素、特に偏心リングと、を備える。このようにして、ボトムブラケットシャフトの回転位置の径方向の検出が行われる。1つまたは複数の近接センサは、偏心要素が位置する検出領域を有する。1つまたは複数の近接センサを、電子ユニットまたは電子回路基板に配置することができる。および/または、近接センサは、各々、ホール効果センサ、赤外線センサ、または誘導動作型センサ等として、設計することができる。ボトムブラケットシャフトに対する偏心要素の配置が既知であるため、近接センサによって、間隔に基づいて、ボトムブラケットシャフトの回転位置を決定することができる。角度の変化、角速度、および/または角速度の1次微分は、位置センサシステムによって決定することができる。
【0026】
冒頭で述べた課題は、従属請求項の特徴を有するアセンブリによっても解決される。
【0027】
アセンブリは、人力駆動式の車両、特に自転車またはEPACのためのワイヤハーネスと、駆動ユニットと、を含む。ワイヤハーネスは、フレキシブル導体の電気的インターフェースに接続するためのコネクタプラグを備えることができる。コネクタプラグは、フレキシブル導体の接触面に電気的に接触するための、ばね付勢されたコンタクトピンを備える。保持クランプを設けることができる。保持クランプを用いて、コネクタプラグを駆動ユニットに固定することができる。保持クランプは、コネクタプラグを把持し、(一端または両端で)駆動ユニットのハウジングの外側、特にシェル面に形成された凹部に係合する。ワイヤハーネスは、車両のワイヤハーネスの一部を形成することができる。
【0028】
本明細書によって達成できる利点に関しては、駆動ユニットの関連する実施形態を参照されたい。駆動ユニットに関連して説明した方策は、アセンブリの更なる実施形態に適用することができる。
【0029】
本発明は、図面を参照して以下に説明される。同じ要素または同じ機能を有する要素には、同じ参照番号が付与される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明による駆動ユニットの例示的な実施形態を示す断面概略図である。
【
図2】
図1の駆動ユニットのステータキャリアおよびハウジングを示す図である。
【
図3a】
図1の駆動ユニットの電気モータのロータの側面図である。
【
図3b】
図1の駆動ユニットの電気モータのロータの斜視図である。
【
図4】
図1の駆動ユニットの、ステータを備えるステータキャリアの図である。
【
図5】
図1の駆動ユニットの、ステータおよびロータを備えるステータキャリアの図である。
【
図6a】
図1の駆動ユニットのハウジングの、フレキシブル導体(Flexleiter)および車両側のワイヤハーネスのプラグを備える斜視図である。
【
図6b】
図1の駆動ユニットのハウジングの、フレキシブル導体および車両側のワイヤハーネスのプラグを備える断面図である。
【
図7】
図6a、6bのフレキシブル導体およびプラグを下から見た斜視図である。
【
図8a】
図6a、6bおよび7のフレキシブル導体の分解図である。
【
図8b】
図6a、6bおよび7のフレキシブル導体を組み立てた状態の図である。
【
図9a】
図1の駆動ユニットの位置センサシステムの断面図である。
【
図9b】
図1の駆動ユニットの位置センサシステムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、例えば自転車のような人力駆動式の車両のための駆動ユニットを示す。駆動ユニットは、全体として参照数字10で示される。
【0032】
駆動ユニット10は、ハウジング12を備える。ハウジング12には、またはハウジング12内には、駆動ユニット10のコンポーネントが配置される。駆動ユニット10は、人力駆動、すなわち筋力による駆動のために、ボトムブラケットシャフト14を備える。ボトムブラケットシャフト14は、駆動ユニット10のハウジング12に回転可能に取り付けられる。さらに、駆動ユニット10は、電気モータ18および波動歯車装置20を備える電気補助駆動装置16を備える。電気モータ18は、波動歯車装置20と機械的に結合される。ボトムブラケットシャフト14および補助駆動装置16は、共通の出力軸22と結合される。共通の出力軸22には、チェーンリングキャリアまたはチェーンリングを固定可能である(図示せず)。
【0033】
ボトムブラケットシャフト14は、第1転がり軸受24を用いて、駆動ユニット10のハウジング12を片側(
図1において左側)で閉鎖するハウジングカバー26に取り付けられる。さらに、ボトムブラケットシャフト14は、第2転がり軸受28を用いて、出力要素22に回転可能に取り付けられる。出力要素22は、第3転がり軸受30および第4転がり軸受32を用いて、ハウジング12に回転可能に取り付けられる。
【0034】
波動歯車装置20は、ウェーブジェネレータ34と、外歯(フレックススプライン)を有する変形可能な円筒形ブシュまたは内側ブッシュ36と、内歯を有する円筒形外輪38と、を備える。波動歯車装置20は、厳密には第1フリーホイールクラッチ40を用いて、入力側で電気モータ18と、出力側で出力要素22と結合される。ボトムブラケットシャフト14は、更なる第2フリーホイールクラッチ42を用いて、出力要素22と結合される。
【0035】
電気モータ18は、ステータコイル45を有するステータ44と、ロータ46と、を備える。駆動ユニット10は、さらに、ステータキャリア48と、電子回路基板として形成された電子ユニット50と、を備える。ステータキャリア48(
図1、2、4および5)は、例えば、スリーブ状の担持部分52と、例えばディスク状の固定部分54と、を備える。担持部分52および固定部分54は、この実施例では一体に設計される。
【0036】
ステータキャリア48、ステータ44、ロータ46、および電子ユニット50は、事前組立可能なユニット56(
図2および5)として形成される。そのため、事前組立可能なユニット56を、全体として駆動ユニット10のハウジング12に取り付けることができる。
【0037】
ステータ44は、担持部分52(
図5)に固定される。ロータ46は、転がり軸受58を用いて、担持部分52に回転可能に取り付けられる。ステータキャリア48は、固定部分54を介して、駆動ユニット10のハウジング12と接続することができる。
【0038】
電気信号ライン60用および電力ライン62用のダクトは、ステータキャリア48(
図2)に、特に固定部分54に形成される。ステータ44、電子ユニット50、およびロータ46は、ステータキャリア48に固定される。ロータ46は、転がり軸受58を用いて、ステータキャリア48に取り付けられる。電子ユニットまたは電子回路基板50は、ステータキャリア48または固定部分54の一方の側に配置され、他方の側には電気モータ18が配置される。
【0039】
既に説明したように、ステータキャリア48は、径方向外側に突出する固定部分54を備える。これを用いて、ステータキャリア48を駆動ユニット10のハウジング12に取り付けることが可能であり、この実施例においてはこれがプレスフィットによって実現される。ステータキャリア48または固定部分54の外部ジオメトリ49は、ハウジング12の内部ジオメトリ13に対応する(
図2)。固定部分54とハウジング12との間のオイルタイトな接続を、例えばシーリングコンパウンド(図示せず)を使用して、プレスフィットによって生じさせることが可能である。
【0040】
電気モータ18(
図1、5)は、外部ロータモータとして設計される。すなわち、電気モータ18のロータ46は、外部ロータとして設計されており、径方向外側でステータ44を包囲する。
【0041】
ロータ46(
図1、2、3a、3b)は、出力側に、ハウジング12内に配置された波動歯車装置20と結合するためのスリーブ状の結合部分64を備える。結合部分64は、楕円形の外郭65を有する。したがって、結合部分64は、波動歯車装置20に対する出力側インターフェースである。結合部分64は、ウェーブジェネレータ20のフレックスベアリングとしての転がり軸受66を受容するように構成される。
【0042】
この実施例では、電気モータ18のステータ44(
図4)は、ポッティングコンパウンド68によって、ステータキャリア48と固定される。ポッティングコンパウンド68は、部分的に、ステータキャリア48の固定部分54および担持部分52の上に延在する。ポッティングコンパウンド68は、ステータ44のコイル巻線45を機械的に固定する。さらに、ポッティングコンパウンド68は、信号ラインおよび電力ラインを、またはそれらのダクト60、62をシールする。
【0043】
ロータ46(
図5)は、第1軸受点として1つの転がり軸受58によってのみ、ステータキャリア48に取り付けられる。電気モータ18の磁場は、ステータコイルを介して磁場が印加されるとすぐに、「動的磁気軸受」として第2軸受点70を形成する。
【0044】
さらに、フレキシブル導体72(Flexleiter)(
図6a、6b、7、8a,8b)が設けられる。フレキシブル導体は、二層のフレキシブル導体として設計され、二つの層74,76を備える。フレキシブル導体は、一方の端部で電子ユニット50すなわち電子回路基板と接続され、車両側プラグ204に接続するための複数の平坦な接触面79を有する電気的インターフェース78を他方の端部に備える。フレキシブル導体72の第1層74は、電力伝送層74として設計される。第2層76は、電気的な信号伝送層76として設計される。
【0045】
フレキシブル導体72および電気的インターフェース78が配置される溝82は、ハウジング12の外側80に形成される(
図6a、6b)。フレキシブル導体72の部分、例えば、フレキシブル導体72を電子ユニット50に接続するためのコンタクトタブ84は、ハウジング12に形成されたスロット86を通して、(径方向外側から径方向内側へ)導くことができる。
【0046】
フレキシブル導体72の層74、76(
図7、8a、8b)は、ポッティングコンパウンドまたは被覆88によって覆うことができる。貫通開口部89は、電気的インターフェース78に(ポッティングコンパウンドまたは被覆88に)形成される。ポッティングコンパウンドまたは被覆88は、好適には、径方向外側で面一になるように、溝を閉じることができる。
【0047】
接触面79は、フラットコンタクト79として設計され、フレキシブル導体72から、またはフレキシブル導体72の層74、76から突出しない、またはごくわずかにのみ突出する(
図8a、8b)。
【0048】
図6a、6b、7、8a、および8bは、人力駆動式の車両と駆動ユニット10のための、一部のみが図示されたワイヤハーネス202を含むアセンブリ200を示す。ワイヤハーネス202は、その一方の端部に、フレキシブル導体72の電気的インターフェース78に接続するためのプラグ204を備える。コネクタプラグ204は、フレキシブル導体72の対応する接触面79に電気的に接触するための、ばね付勢されたコンタクトピン206を備える。
【0049】
さらに、保持クランプ208が設けられる(
図6a)。保持クランプ208を用いて、コネクタプラグ204を駆動ユニット10に固定することができる。保持クランプ208は、コネクタプラグ204を把持し、一端または両端で、駆動ユニット10のハウジング12の外側80に形成された凹部91に係合するように設計される。これによって、コネクタプラグ204が、ハウジング12に固定される。
【0050】
電子ユニット(
図9a、9b)は、駆動ユニット10のボトムブラケットシャフト14の回転位置を検出するための位置センサシステム90を備える。位置センサシステム90は、円周に亘って分布された複数の近接センサ92と、この例では4つの近接センサ92と、ボトムブラケットシャフト14に回転不能に固定されて近接センサ92と相互作用する偏心要素、例えば偏心リング94と、を備える。
【0051】
近接センサ92は、電子ユニット50に、または電子回路基板上に配置される。近接センサ92は、各々、ホール効果センサ、赤外線センサとして、または誘導動作型センサ等として、設計することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 駆動ユニット
12 ハウジング
13 内部ジオメトリ
14 ボトムブラケットシャフト
16 補助駆動装置、電気的
18 電気モータ
20 波動歯車装置
22 出力要素
24 第1転がり軸受
26 ハウジングカバー
28 第2転がり軸受
30 第3転がり軸受
32 第4転がり軸受
34 ウェーブジェネレータ
36 内側ブッシュ、フレックススプライン
38 外輪
40 第1フリーホイールクラッチ
42 第2フリーホイールクラッチ
44 ステータ
45 コイル
46 ロータ
48 ステータキャリア
49 外部ジオメトリ
50 電子ユニット、電子回路基板
52 担持部分
54 固定部分
56 事前組立可能なユニット
58 第1軸受点、転がり軸受
60 信号ライン用のダクト
62 電力ライン用のタクト
64 結合部分
65 楕円形の外郭
66 転がり軸受(フレックスベアリング)
68 ポッティングコンパウンド
70 第2軸受点
72 フレキシブル導体
74 第1層
76 第2層
78 電気的インターフェース
79 接触面
80 外側
82 溝
84 コンタクトタブ
86 スロット
88 ポッティングコンパウンド、被覆
89 貫通開口部
90 位置センサシステム
91 凹部
92 近接センサ
94 偏心要素、偏心リング
200 アセンブリ
202 ワイヤハーネス
204 プラグ
206 コンタクトピン
208 保持クランプ
【国際調査報告】