(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】圧力除去経路を備えた流体ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 53/14 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
F04B53/14 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558238
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 US2020054738
(87)【国際公開番号】W WO2021194551
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516173968
【氏名又は名称】フルード・メタリング・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・リー
【テーマコード(参考)】
3H071
【Fターム(参考)】
3H071AA01
3H071BB01
3H071CC12
3H071CC28
3H071CC44
3H071DD07
3H071DD52
3H071EE12
3H071EE13
(57)【要約】
内部を形成する内側壁を有するポンプハウジングを含む液体ポンプ。該ハウジングは入口ポートと出口ポートとを有する。ライナが該内部に配設されており、該入口ポートおよび該出口ポートと一致している、対向する横開口部を有する。該ライナは長手方向に延在する中心穴部を有する。ポンプピストンが、液体を入口ポートから出口ポートへポンプで送るために、ライナの長手方向穴部内で軸方向にかつ回転自在に摺動可能である。シールアセンブリが、ライナの上端部に隣接して、ポンプハウジングに固定されている。該シールアセンブリはシール本体を含み、ピストンの上端部がキャップを貫通してかつ該シール本体と封止係合して延在しており、シールアセンブリとライナ上端部とはそれらの間に空洞部を形成している。ハウジングは、空洞部と入口ポートとの間の流体連通を実現する通路を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を形成している側壁を有するポンプハウジングであって、入口ポートと出口ポートとを有する、ポンプハウジングと、
前記内部に配設されており、かつ前記入口ポートおよび前記出口ポートと一致している対向する横開口部を有するライナであって、長手方向に延在する中心穴部を有する、ライナと、
液体を前記入口ポートから前記出口ポートへポンプで送るために、前記ライナ長手方向穴部内で軸方向にかつ回転自在に摺動可能であるポンプピストンと、
前記ライナの上端部に隣接して、前記ポンプハウジングに固定されているシールアセンブリであって、シール本体を含み、前記ピストンの上端部が前記シールアセンブリを貫通してかつ前記シール本体と封止係合して延在しており、前記シールアセンブリとライナ上端部とはそれらの間に空洞部を形成している、シールアセンブリと、
を含み、
前記ハウジングは、前記空洞部と前記入口ポートとの間の流体連通を提供する通路を有する、液体ポンプ。
【請求項2】
前記通路は前記ハウジング内側壁内に形成されている、請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項3】
前記通路は、前記内側壁の表面上に形成されているチャネルである、請求項2に記載の液体ポンプ。
【請求項4】
前記チャネルはその長さに沿って前記ライナへ開いている、請求項3に記載の液体ポンプ。
【請求項5】
前記通路は、前記ハウジング内側壁内に形成されている導管であり、前記導管は、前記導管の長さに沿って延在している閉鎖側壁を有し、前記空洞部と連通している第1の開口部と、前記入口ポートと連通している第2の端部と、を有する、請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項6】
前記ハウジングは頂端部を有し、前記通路は前記ハウジング頂端部と前記入口ポートとの間に延在する、請求項1に記載の液体ポンプ。
【請求項7】
前記ライナは頂端部を有し、前記ライナ頂端部は前記ハウジング頂端部の下に配設され、空間を画定している、請求項6に記載の液体ポンプ。
【請求項8】
前記空間は前記空洞部の容積に寄与する、請求項7に記載の液体ポンプ。
【請求項9】
長手方向中心穴部を画定しているポンプハウジングであって、前記ポンプハウジングを通して液体を搬送するために、横穴部が前記中心穴部と連通している、ポンプハウジングと、
前記液体を前記横穴部を通してポンプで送るために、長手方向中心穴部内で軸方向にかつ回転自在に摺動可能なポンプピストンと、
を含み、
前記ピストンと前記ハウジングとはそれらの間に空洞部を画定しており、前記ハウジングは、前記空洞部および前記入口ポートと流体連通している通路を含む、液体ポンプ。
【請求項10】
ライナが前記ピストンと前記ハウジングとの間に配設されている、請求項9に記載の液体ポンプ。
【請求項11】
前記ライナは頂端部を有し、前記ライナ頂端部は、前記ハウジング頂端部の下に配設されて、空間を画定している、請求項10に記載の液体ポンプ。
【請求項12】
前記空間は前記空洞部の容積に寄与する、請求項11に記載の液体ポンプ。
【請求項13】
前記通路は前記ハウジング内側壁内に形成されている、請求項9に記載の液体ポンプ。
【請求項14】
前記通路は、前記内側壁の表面に形成されているチャネルである、請求項9に記載の液体ポンプ。
【請求項15】
前記チャネルはその長さに沿って前記ライナへ開いている、請求項14に記載の液体ポンプ。
【請求項16】
前記通路は、前記ハウジング内側壁内に形成されている導管であり、前記導管は、前記導管の長さに沿って延在している閉鎖側壁を有し、前記空洞部と連通している第1の開口部と、前記入口ポートと連通している対向する第2の端部と、を有する、請求項9に記載の液体ポンプ。
【請求項17】
前記ライナの上端部に隣接して、前記ポンプハウジングに固定されているシールアセンブリをさらに含み、前記シールアセンブリは、シール本体であって、前記シール本体の部分が前記ピストンと封止係合するように促すための付勢デバイスを受容するための陥凹部を有する、シール本体を含む、請求項9に記載の液体ポンプ。
【請求項18】
液体ポンプの漏出を減少させる方法であって、
ポンプハウジングの中心穴部内に配設されているライナの内側で軸方向に移動可能なピストンを用いて、前記ポンプの前記ポンプハウジングの入口で陰圧を生成するステップと、
前記ピストンを用いて、前記ポンプハウジングの出口で陽圧を生成するステップと、
通路経由で、前記ポンプハウジング内に形成されている空洞部から前記入口へ、かつ前記入口から、流体を移送するステップであって、前記通路が、前記ポンプハウジング内に形成され、かつ、前記入口と前記空洞部との間に延在している、ステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記ポンプハウジング中心穴部は側壁を有し、前記通路は、前記側壁に形成されているチャネルを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ポンプハウジング中心穴部は側壁を有し、前記通路は、前記側壁内に形成されている導管を含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際出願は、2020年3月27日に出願された米国仮特許出願第63/000,914号による優先権を主張するものであり、その開示はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は一般に液体ポンプシステムに関し、1つの液体が別の液体流中へポンプで送られるかまたは供給される。より詳細には、本発明は、漏出を最小限にするための、液体リザーバおよび改良された圧力除去スロットを備えた液体ポンプに関する。
【背景技術】
【0003】
1つの液体を別の液体流中に注入するかまたは供給することが必要な状況がある。いくつかの液体ポンプシステムが、液体の時々の注入を必要とし、一方、他の液体ポンプシステムが液体のより継続的な供給を必要とする。さらに他の液体ポンプシステムが、その2つの組合せを必要とする可能性があると考えられる。本開示の目的のために、「供給する」という用語は「注入する」を含むことが理解される。
【0004】
1つのそのような一般的な用途が水処理の分野にあり、塩素化溶液、フッ素化化学物質、および他の液体などのある化学物質が、消費者による最終使用のためのその送達の前の時点で、水流中に供給される。適切な機能性を確実にするために、消費者に好ましくないかまたはさらには有害である可能性があると考えられる所定の濃度を超過することなく、これら添加された液体の、あるパーセンテージレベルを維持することが重要である。
【0005】
この化学物質供給タスクを実施するために、様々な装置が産業界において利用可能である。そのような装置は、通常、ポンプの形を取り、ポンプ速度および化学物質供給速度は、化学的濃度検出手段を使用し、その供給速度を調節するポンプ駆動システムによる使用のための電圧信号出力または電流信号出力を提供する周知の電子手段により制御される。このシステムは閉ループで動作して、水流中の所望の化学物質の比較的安定した濃度を維持する。
【0006】
次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)などの塩素化溶液を加圧水流中に注入するのに使用されるポンプが、NaOClの結晶化に関連する問題に直面することが多い。部分を固定するその傾向を呈する結晶化が様々なポンプ設計においてこれまでに考慮されてきたが、これら結晶の研磨性質は十分に考慮されなかった。
【0007】
セラミックピストンおよびライナを有する容積式ポンプが、そのような研磨結晶に起因する、結果として生じる問題に悩まされることが多い。通常のポンプ動作中、ピストンは、ポンプヘッド内でかつポンプヘッドから外へ回転し往復するであろう。ピストンの外方運動時、適切に設計された封止要素がピストン表面を払拭し、ポンプヘッドから外への、ポンプで送られた任意の液体の引きずりを最小限にする。しかし、シールのこのスクイージー動作は完全でない。何らかの液体が、露出されたピストン表面上に薄膜のように常に存在する。
【0008】
この第1の困難は、NaOCl注入ポンプが継続的に動作しない設備において最も多く発生する。そのような適用において、ポンプは僅か1時間は動作し、次いで、次の23時間は遊休状態である可能性があると考えられる。そのような遊休時間中、ピストンがその嵌合するポンプヘッドから部分的にまたは完全に引き出された場合、前述のNaOCl薄膜は乾燥し、結果的に、ピストン表面に生じる硬い研磨結晶をもたらす。この時点で、ピストン表面は、いわば目の細かい研磨材を備えた爪やすりのようなものである。
【0009】
ポンプが次に動作し始めた場合、新たに形成された研磨表面を有するピストンは、ポンプヘッド内へ入る過程でシール要素を通過して進むであろう。これは、該シール要素がピストン上でスクイージー動作を実施する能力を徐々に喪失するように、シール要素を早期に磨耗させることが分かっている。これは、遊休時間中の結晶化の増大およびシールの究極的損傷につながる。
【0010】
シールが完全に磨耗したら、遊休時間中、さらなる問題が発生する。対処されているタイプのNaOCl注入ポンプが、通常、入口ポートで約1psig~2psigの僅かな陰圧を利用して、遊休時間中のポンプヘッドから外へのNaOClの漏出を防止する。先行技術のポンプが、通常、「スカベンジャースロット」としても知られている圧力除去スロットを含み、そのような陰圧を供給する。しかし、圧力除去スロットとの磨耗シールの組合せは陰圧を可能にして、ポンプヘッド内へ空気を吸引する。この空気流は、結晶化がピストンを動かなくし、後でエネルギーを与えられた時に不動にするように、ポンプヘッド内のNaOCl液体の蒸発を徐々にもたらす。
【0011】
ポンプ駆動機構の設計が、遊休時間中のポンプヘッド内への完全なピストン挿入を確実にするようにし得るが、そのような機構は、複雑性、サイズ、およびコストを大幅に増大させる。
【0012】
先行技術の問題に対処する以前の試みが行われてきた。例えば、特許文献1に示されているように、スロットが、入口ポートから上方にライナの最上部まで、ライナの内面上に切り取られ、そこに環状液体リザーバが存在する。これは、液体がスロットを下方に進み、空洞が満タンにならないようにすることを可能にする。
【0013】
また、ある内部溝部バージョンが、当該問題に対する別の解決策として開発されている。スロットがライナの内径上に形成され、入口ポートで始まるが、ライナの最上部まで上昇しない。代わりに、環状液体リザーバが、ポートとライナの最上部との間に配置されているライナ穴部の内面に作製される。スロットは溝部に作り上げられ、同じ圧力除去を実現する。
【0014】
しかし、これらの設計は、ピストンとライナとの間のより大きい全体的な隙間、入口ポートとライナの最上部との間の開いた経路、およびピストン/ライナセットの隙間を測定する困難を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第9,261,085号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、最小限のコストで、かつポンプのサイズまたは複雑性を増大させることのない、前述されている結晶化および漏出の問題に対する効果的な解決策を提供することが望ましいと考えられる。より詳細には、シールおよびピストンの境界面における漏出を減少させるための設備を有しかつ比較的薄い壁ライナを使用して緩和する、簡単に設計されたポンプを提供することが望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本開示は、内部を形成する内側壁を有するポンプハウジングを含む液体ポンプを提供する。該ハウジングは入口ポートと出口ポートとを有する。ライナが内部に配設されており、入口ポートおよび出口ポートと一致している対向する横開口部を有する。ライナは、長手方向に延在する中心穴部を有する。ポンプピストンが、液体を入口ポートから出口ポートへポンプで送るために、ライナの長手方向穴部内で軸方向にかつ回転自在に摺動可能である。シールアセンブリが、ライナの上端部に隣接して、ポンプハウジングに固定されている。該シールアセンブリはシール本体を含み、ピストンの上端部がシールアセンブリを貫通してかつシール本体と封止係合して延在している。シールアセンブリとライナ上端部とはそれらの間に空洞部を形成している。ピストンの上端部が、シールアセンブリを貫通してかつシール本体と封止係合して延在しており、該シール本体とライナ上端部とはそれらの間に空洞部を形成している。ハウジングは、該空洞部と入口ポートとの間の流体連通を実現する通路を有する。
【0018】
また、本開示は、長手方向中心穴部を画定するポンプハウジングを含む液体ポンプを提供する。横穴部が、ポンプハウジングを通して液体を搬送するために、中心穴部と連通している。ポンプピストンが、液体を横穴部を通してポンプで送るために、長手方向中心穴部内に軸方向にかつ回転自在に摺動可能に配設されている。ピストンとハウジングとはそれらの間に空洞部を画定しており、ハウジングは、該空洞部および入口ポートと流体連通している通路を含む。
【0019】
本開示は、液体ポンプの漏出を減少させる方法であって、
ポンプハウジングの中心穴部内に配設されているライナの内側で軸方向に移動可能なピストンを用いて、ポンプのポンプハウジングの入口で陰圧を生成するステップと、
ピストンを用いて、ポンプハウジングの出口で陽圧を生成するステップと、
ポンプハウジング内に形成されている空洞部から、入口と空洞部との間に延在している、ポンプハウジング内に形成されている通路経由で、入口まで、かつ入口から流体を移送するステップと、
を含む方法、をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】流体ポンプの第1の実施形態の横断面図である。
【
図4】ベースアセンブリのポンプの横断面図である。
【
図5】ライナを備えたポンプハウジングの横断面図である。
【
図6】ライナが除去された状態の、ポンプハウジングの横断面図である。
【
図7】流体ポンプの第2の実施形態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から
図6までを参照すると、流体ポンプ10が、一般に、ポンプハウジング12と、その中に配設されているピストン14と、を含む。該ポンプハウジング12は入口ポート16と出口ポート18とを有する。該入口ポート16および該出口ポート18は、流体をポンプ10へ供給しかつポンプ10から流体を離して搬送するために、ポートに動作可能に接続されている流体導管(図示せず)に接続可能である。ポンプハウジングは、入口ポート16および出口ポート18と流体連通している円筒室20を画定している。該室20は、閉鎖された底端部24と開いた上端部26との間に延在している側壁22を有する。該側壁22は、ハウジング室20に暴露されておりかつハウジング室20を画定している表面25を有する。
【0022】
長手方向に延在する中心穴部30と、該長手方向穴部と連通している横穴部32と、を有するセラミックピストンライナ28が円筒室20内に受容される。該横穴部32は、塩素溶液などの液体が、後述されるような方法で、入口ポートからライナを通って出口ポートまでポンプで送られ得るように、ポンプハウジングの出口ポート18と流体連通している入口部分34を含む対向する横開口部を含む。
【0023】
図4を参照すると、ポンプ10は、キャップ40により覆われているベースアセンブリ42内に配設され得る。ピストン14は、該ピストン14を作動させるモータ(図示せず)に動作可能に固定されている。ハウジング12は、スリーブ46がねじ係合されるねじ部分44を含み得る。該スリーブ46は、ポンプハウジング12がベースアセンブリ42に取り付けられる時、一様な取付け面を提供する。
【0024】
ピストン14は、ピストンライナ28の長手方向中心穴部30内で軸方向にかつ回転自在に摺動可能である。隙間空間48が、ピストン14が補強ライナに対して滑らかに移動することを可能にするために、ピストンとライナの中心穴部30との間に存在する。この隙間48は非常に小さく、約0.000100インチであり得る。ピストン14の一方の端部が、ポンプハウジングの開いた端部26から外へ延在している軸部50を形成している。ピストンの反対側端部は解放部分52を備えて形成されている。前述されている通り、該解放部分52は流体をポンプ10内へかつポンプ10から外へ方向付けるように設計されている。
【0025】
図1および
図2を特に参照すると、シールアセンブリ54がポンプハウジング12の開いた端部26に設けられており、ピストン14およびハウジング室20を封止し、流体をポンプハウジング12内に維持する。該シールアセンブリ54は、剛性ホルダ62により、ポンプハウジング12の開いた端部26に固定されている。シールアセンブリ54は、シール本体56と、Oリングの形であってもよい弾性付勢部材58と、を含む。シールアセンブリ54は中心開口部60を有して、ピストン軸部50を受容する。シール本体56は、ホルダ62とワッシャ64との間に保持されている外側フランジ61を含む。該ワッシャ64は中心開口部65を有し、シール本体56を支持するために、シール外側フランジ61とハウジング上端部74との間に配設されている。また、シール本体56は、付勢部材58を受容するための環状陥凹部63を含む。シール本体の環状最内部分は、リップシール69を形成する端部を有する可撓性壁67である。付勢部材58は、陥凹部63よりも大きい直径を有する。したがって、付勢部材58が該陥凹部63内へ押し込まれた場合、付勢部材58は、リップシール69がピストン14に封止係合するように、リップシール69を径方向内側に促す。
【0026】
図4を参照すると、ベースアセンブリ42は、キャップ40がベースアセンブリ42に固定された場合、ホルダ62に係合し、かつしたがってシールアセンブリ、ピストン14、およびポンプハウジング12を共に固定する当接面66を含む。
【0027】
空洞部70がライナ上端部72とシールアセンブリ54との間に形成されている。該ライナ上端部72はハウジング上端部74の下に配設されている。これにより、空洞部70の容積に寄与する空間が作り出される。また、ワッシャ中心開口部65は、空洞部70の容積に寄与する空間を作り出す。
【0028】
動作中、モータ(図示せず)がピストン14を駆動して、ライナの長手方向穴部30内で軸方向に移動させ、回転させて、液体を入口ポート16から横穴部32内へ、出口ポート18へ引き込む。ピストン14は、所望量の液体をポンプライナ28の穴部30内へ取り込むという要求に応じて引き戻され、それにより、ライナ横穴部32の入口部分34内に陰圧を生成し、入口ポート16から液体を吸い込む。ピストン14は次いで回転させられて、解放部分52をポンプハウジングの出口ポート18と一致させられる。ピストンは、次いで、所望の距離だけ押し進められて、陽圧を生成し、液体を横穴部32の出口部分36経由で出口ポート内へ促し、所望の吐出流を作り出す。
【0029】
動作中、流体が隙間48内へ移動し得る。最終的に、該流体は隙間48を満たし、ライナ28の最上部に到達する。流体は、次いで、空洞部70内に溜まる。空洞部70が満たされると、隙間48から滲み出す任意の余分な流体が空洞部70内の圧力を高め始める。この圧力が解放されない場合、ピストン14がライナ28内でかつライナ28から外へ移動すると、流体はシールアセンブリ54を通過し始め得ると考えられる。
【0030】
流体圧力を解放しかつ漏出を防止するために、圧力解放通路80が設けられて、空洞部内に収集された流体がそこから排出されることを可能にする。該通路は空洞部70と入口ポート16との間に流体連通をもたらす。入口ポート16から空洞部70まで延在している通路80はハウジング室側壁22上に配設され得る。
【0031】
図1~
図6に示されている通り、一実施形態では、圧力解放通路80が、ハウジング側壁表面25に形成されているチャネル82であってもよい。該チャネル82は、その長さに沿って開いておりかつライナとハウジング側壁表面25との間の隙間に暴露されている溝部の形であってもよい。チャネル82はハウジングの頂端部で終端する頂端部を有し、該頂端部は空洞部70へ開いている。チャネルは、入口ポート16へ開いている下端部86を有する。したがって、ピストンの動作時、流体が空洞部70から入口ポート16内へ戻ってかつポンプ10を通って流動する。チャネル82は、例えばハウジング内側壁に溝部を切り取るかまたは成形することにより、形成され得る。ピストン14が作動すると、空洞部70内に収集された流体が、空洞部と入口ポート16との間の圧力差に因り、チャネル82を通って入口ポート16内へ流入する。
【0032】
代替的実施形態が
図7から
図9までに示されている。圧力解放通路80が、ハウジング側壁22内に形成されている導管88である可能性があることを除いて、ポンプ10の要素が、
図1~
図6に示されている実施形態と類似している。該導管88は、側壁22内に貫通孔を穿設することにより形成され得る。導管88はその長さに沿って密閉されており、対向する第1の端部90および第2の端部92で開いている。導管の第1の端部90はハウジング側壁の最上縁部に配設されており、空洞部70と連通している。ワッシャ64は、中心開口部65から延在している切欠き94を含んでいてもよく、導管の第1の端部90のための隙間をもたらす。導管の第2の端部92は入口ポートへ開いており、入口ポートと係合している。したがって、通路80は空洞部と入口ポートとの間に形成されている。有用なハウジング内に通路を含むことにより、ライナの壁厚は、通路がライナ内に形成された場合よりも薄く作製され得る。空洞部70内に収集された流体が、移動するピストン14により作り出される、空洞部70と入口ポート16との間の圧力差に因り、導管88を通って入口ポート16内へ流動する。
【0033】
1つの例示的適用では、本開示のポンプ10は、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)などの塩素化溶液を加圧水流中に注入するために使用されてもよく、NaOClの結晶化に関連する問題に直面することが多い。しかし、ポンプ10は、流体が制御された方法で移動させられる任意の適用において使用され得ると考えられる。
【0034】
本開示の好適な実施形態を本明細書において添付図面を参照して説明したが、当然のことながら、本発明はそれらの詳細な実施形態に限定されず、様々な他の変更および修正が、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、当業者の影響を受ける可能性があり、本発明の範囲内に入るそのような変更および修正全てを特許請求することが意図されている。
【符号の説明】
【0035】
10 流体ポンプ
12 ポンプハウジング
14 ピストン
16 入口ポート
18 出口ポート
20 円筒室、ハウジング室
22 (ハウジング室の)側壁、ハウジング側壁
24 底端部
25 (ハウジング側壁の)表面
26 上端部、(ポンプハウジングの)開いた端部
28 セラミックピストンライナ、ポンプライナ
30 (ライナの)長手方向に延在する中心穴部、長手方向中心穴部
32 横穴部
34 (横穴部の)入口部分
36 (横穴部の)出口部分
40 キャップ
42 ベースアセンブリ
44 ねじ部分
46 スリーブ
48 隙間空間、隙間
50 (ピストンの)軸部
52 解放部分
54 シールアセンブリ
56 シール本体
58 弾性付勢部材
60 (シールアセンブリの)中心開口部
61 (シールの)外側フランジ
62 剛性ホルダ
63 環状陥凹部
64 ワッシャ
65 (ワッシャの)中心開口部
66 (シールアセンブリの)当接面
67 可撓性壁
69 リップシール
70 空洞部
72 (ライナの)上端部
74 (ハウジングの)上端部
80 圧力解放通路
82 チャネル
86 (チャネルの)下端部
88 導管
90 (導管の)第1の端部
92 (導管の)第2の端部
94 (ワッシャの)切欠き
【国際調査報告】