(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】パーフルオロフェニルアジド含有シロキサンオリゴマー混合物
(51)【国際特許分類】
C08G 77/26 20060101AFI20230428BHJP
C08G 77/388 20060101ALI20230428BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20230428BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20230428BHJP
C08L 83/06 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
C08G77/26
C08G77/388
C08L83/07
C08L83/05
C08L83/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558338
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2020058787
(87)【国際公開番号】W WO2021190766
(87)【国際公開日】2021-09-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100183678
【氏名又は名称】丸島 裕
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン、モックスター
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、レンナー
(72)【発明者】
【氏名】リヒャルト、バイドナー
【テーマコード(参考)】
4J002
4J246
【Fターム(参考)】
4J002CP04X
4J002CP05W
4J002CP09Y
4J002CP12W
4J002GJ01
4J246AA03
4J246BA020
4J246BA02X
4J246BB020
4J246BB021
4J246BB02X
4J246CA240
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4J246CA720
4J246CA72E
4J246CA72M
4J246CA72X
4J246CA760
4J246CA76E
4J246CA76U
4J246CA76X
4J246CB10
4J246FA232
4J246FA432
4J246FB212
4J246FE02
4J246FE26
4J246GA01
4J246GB02
4J246GD08
4J246HA22
(57)【要約】
本発明は、平均式(I)の化合物から選択されるPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物に関する。
[式(I)中、
添え字a、b、b'、c、c'、c''、d、d'、d''およびd'''は、混合物中のそれぞれのシロキサン単位の平均含有量を規定し、それぞれ独立して0~300の範囲の数であり、ただし、すべての添え字の合計は3~3500の範囲にあり、平均で少なくとも2個のR基が存在し;
基R
1は、それぞれ独立して、(i)水素、(ii)ハロゲン、(iii)C
1~C
20-炭化水素基、(iv)ヒドロキシル基、および(v)C
1~C
20-ハイドロカーボンオキシ基からなる群から選択され;
基Rは、同一であり、下記式の基を意味する。
(式中、基Xは、(i)-O-または(ii)-NH-から選択され;添え字nは、(i)X = -O-のとき0~10の範囲の値であり、(ii)X = -NH-のとき1~10の範囲の値である。)]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均式(I)の化合物から選択されるPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物。
【化1】
[式(I)中、
添え字a、b、b'、c、c'、c''、d、d'、d''およびd'''は、前記混合物中のそれぞれのシロキサン単位の平均含有量を規定し、それぞれ独立して0~300の範囲の数であり、ただし、すべての添え字の合計は3~3500の範囲にあり、平均で少なくとも2個のR基が存在し;
基R
1は、それぞれ独立して、(i)水素、(ii)ハロゲン、(iii)C
1~C
20-炭化水素基、(iv)ヒドロキシル基、および(v)C
1~C
20-ハイドロカーボンオキシ基からなる群から選択され;
基Rは、同一であり、下記式の基を意味する。
【化2】
(式中、基Xは、(i)-O-または(ii)-NH-から選択され;添え字nは、(i)X = -O-のとき0~10の範囲の値であり、(ii)X = -NH-のとき1~10の範囲の値である。)]
【請求項2】
式(I)において、前記基R
1が、それぞれ独立して、(i)水素基、(ii)メチル基、(iii)エチル基、(iv)フェニル基、(v)ビニル基、(vi)ヒドロキシル基、および(vii)C
1~C
20-アルコキシ基からなる群から選択される、請求項1に記載のPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物。
【請求項3】
式(I)中の前記基Rにおいて、前記基Xが、それぞれ独立して、(i)-O-または(ii)-NH-から選択され、前記添え字nが、(i)X = -O-のとき0~6の範囲の値を有し、(ii)X = -NH-のとき1~6の範囲の値を有する、請求項1に記載のPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物。
【請求項4】
式(I)において、前記添え字a、b、b'、c、c'、c''、d、d'、d''およびd'''が、それぞれ独立して、以下の定義:
a=0~250の範囲の数、b=0~50の範囲の数、b'=1~250の範囲の数、c=1~280の範囲の数、c'=1~280の範囲の数、c''=1~280の範囲の数、d=0~250の範囲の数、d'=0~250の範囲の数、d''=0~250の範囲の数、およびd'''=0~250の範囲の数、
を有し、ただし、すべての添え字の合計が3~3000の範囲であり、平均で少なくとも2個かつ最大で20個のR基が存在する、
請求項1に記載のPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物。
【請求項5】
a)請求項1~4のいずれか一項に記載の、少なくとも1種のPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物と、
b)b1)付加架橋型シリコーン組成物;または
b2)縮合架橋型シリコーン組成物;または
b3)ハイブリッド材料/STP;または
b4)無機および/または有機ポリマー
からなる群から選択される少なくとも1種の天然または合成ポリマーと、
を含有する混合物。
【請求項6】
請求項5に記載の、少なくとも1種の混合物と、
弱極性から非極性の基材と、
を含む成形体。
【請求項7】
前記基材が、合成炭化水素ポリマー、例えばモノまたはポリエンのポリオレフィン、ポリハロオレフィン、ポリエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエステル、および対応するモノマーのコポリマー(例えばEPDMまたはアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS))、ならびに上記のポリマーおよび/またはコポリマーの任意のポリマーブレンドから選択される、請求項6に記載の成形体。
【請求項8】
請求項5に記載の混合物を熱的および/または光化学的活性化により硬化させる方法。
【請求項9】
前記硬化が、0℃~200℃の温度範囲における1段階または多段階の熱的活性化によって行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記熱的活性化が、10℃~180℃の温度範囲で行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記硬化が、以下の工程:
a)0℃~140℃の温度範囲内の温度T1での熱的活性化工程、および
b)120℃~180℃の温度範囲内の温度T2での熱的活性化工程;ここでT1<T2が適用されなければならない、
を含む、2段階の熱的活性化によって行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記硬化が、800nm~50nmの波長範囲の活性光線による1段階または多段階の光化学的活性化によって行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
接着促進剤としての請求項1~4のいずれか一項に記載のPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物の使用。
【請求項14】
弱極性から非極性の基材のためのコーティング材料としての自己接着性シリコーン組成物としての請求項5に記載の混合物の使用。
【請求項15】
前記基材が、合成炭化水素ポリマー、例えばモノまたはポリエンのポリオレフィン、ポリハロオレフィン、ポリエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエステル、および対応するモノマーのコポリマー(例えばEPDMまたはアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS))、ならびに上記のポリマーおよび/またはコポリマーの任意のポリマーブレンドから選択される、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平均式(I)の化合物から選択されるPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物に関する。本発明はまた、少なくとも1種の本発明のPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物と、少なくとも1種の天然または合成ポリマーと、を含有する混合物、および少なくとも1種の本発明の混合物と、弱極性から非極性の基材と、を含む成形体、さらに該混合物の硬化方法、ならびにこれらの混合物の使用、およびPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、撥水性を表面に付与したり、シリコーンに特有の他の所望の特性を表面に付与したりするために表面をコーティングするための混合物、およびそれから得られる製品に関する。
【0003】
オルガノポリシロキサンは、布地、紙およびプラスチックなどの表面に、撥水性または非接着性を付与するために、または潤滑性を付与するために、塗布されてもよいことが知られている。この目的に最も頻繁に使用されるオルガノポリシロキサンは、ポリメチルシロキサンまたはメチルハイドロジェンポリシロキサンとの混合物である。オルガノポリシロキサンは、所望の表面特性を示すが、耐久性が充分ではないことが多い。それらは、また、洗浄または有機溶媒との接触により除去されることがある。
【0004】
オルガノポリシロキサンは、例えばポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデンおよびポリカーボネートなどの基材に対して限られた接着性しか示さないが、これは該基材の弱極性から非極性の性質のためである。その結果、共有結合による各種材料への機械的に安定した結合は達成できない。現在、このような材料への接着は、複雑で多段階のプロセスにおける酸素プラズマ処理によってのみ達成されている。このようにしてプラスチック部品の表面が活性化された後、接着を実現する3つの可能性がある:1)接着促進剤をプラズマ内で直接塗布し、次いでポリマーをスプレーする、2)接着促進剤をプラズマ外で塗布し、次いでポリマーをスプレーする、3)ポリマーを直接スプレーする;しかしながら、これは、射出成形材料が重合中に反応する接着促進剤と既に混合されていることを前提とする(U. Stoehr, Vakuum in Forschung und Praxis 2015, 27, 16-21)。
【0005】
EP2151467には、Cu触媒上での「クリック反応」によってシロキサンを架橋するための、式Me3Si-O-(Me2SiO)80-(Me(3-アジドプロピル)SiO)10-SiMe3およびα,ω-(3-アジドプロピル)-末端ポリジメチルシロキサン(粘度1000mPas)のアジド官能性ポリオルガノシロキサン架橋剤が既に開示されている。「クリック反応」とは、末端アルキンとアジドとの1,3-双極性[2+3]-付加環化反応の特異な反応機構を指し、必然的にトリアゾールを形成する。しかしながら、この混合物では非極性基材への接着を促進することはできない。
【0006】
さらに、ケイ素原子に炭素鎖を有する連結部を介して結合した官能性アジド基を有するシランが既に知られている。例えば、シリルアジドホルメートN3-(C=O)-O-R-SiR1
n(OR2)3-n、シリルスルホン酸アジドN3-SO2-R-SiR1
n(OR2)3-n、およびシリルカルバミン酸アジドN3-(C=O)-NH-R-SiR1
n(OR2)3-n(EP0050768参照)の群が挙げられる。これらのアジドシランは、その二官能性(ケイ素原子上にアルコキシ基、および連結部上にアジド基を有する)により、有機ポリマーと無機基材の間のいわゆる接着促進剤として適切である。
【0007】
アジドシランおよびアジドシロキサンの接着促進への応用は文献上知られている;しかしながら、現在までのところ、それらはほとんどの場合において反応性プライマーとしてのアジド官能基化モノシラン(モノシロキサン)である。
【0008】
EP0050768には、式N3-R-SiR1
n(OR2)3-nのアジド含有モノシラン(モノシロキサン)が間接的に開示されており、式中、R=エチレン性不飽和結合を有さず、任意に存在する炭化水素鎖が-O-、-S-または-NR3-(R3=H、Me、Et、Ph)で1回介在されていてもよい炭素数1~8の二価の炭化水素基であり、R1=炭素数3以下の一価のアルキル基、フェニル、ベンジルまたはトルイルであり、R2=炭素数4以下のアルキル基、フェニル、ベンジルまたは合計4個以下の炭素原子を有するアルコキシアルキル基であり、n=0、1または2である。これらのアジドシランは、加水分解または部分加水分解によって反応して、分子の両末端にアジド基を有する発明によるシロキサンを与えるので、中間体として機能する。加水分解生成物として具体的に開示されているのは、N3-プロピルトリエトキシシラン(N3-PTES)の二量体である(例12)。発明によるシロキサンは、熱に対して比較的安定であり、ナイトレン中間体を介して共有結合を形成でき、例えば有機ポリマーを与えることができる。
【0009】
EP0018503には、エラストマーまたはゴムの架橋を改善するための、式Y-(CH2)x-SiR'n(OR)3-nのアジド含有モノおよびオリゴシラン(オリゴシロキサン)が開示されており、式中、Y=アジド、x=1~20の整数、RおよびR'=炭素数1~10の直鎖状または分岐状アルキル基もしくはシクロアルキル基、または炭素数6~10の置換もしくは未置換の芳香族基である。具体的には、トリメトキシシリルメチルアジド、2-(トリメトキシシリル)エチルアジド、3-(トリメトキシシリル)プロピルアジド、4-(トリメトキシシリル)ブチルアジド、3-(トリエトキシシリル)プロピルアジドおよび4-(トリエトキシシリル)ブチルアジドが開示されている。
【0010】
WO9205207には、式N3-(X)mSi(OR)3のアジドシランが開示されており、式中、X=炭素数1~6の二価の炭化水素基、R=炭素数1~20のアルキル基、m=0または1であり、具体的には、アジドプロピルトリエトキシシランおよびアジドプロピルトリメトキシシランが開示されている。該アジドシランは、架橋性有機ポリマーを製造するのに適している。ここで、アジド基は該ポリマーに結合し、該ポリマーは加水分解性アルコキシ基を介して架橋可能である。
【0011】
接着促進のためのアジド官能基化オリゴマーまたはポリマーシリコーンの使用は、現在、文献上ではアジドホルメート置換基を用いたもののみが知られている。例えば、DE2308162には、熱安定性の低い(80℃から分解)アジドホルメート置換基を有するオルガノシロキサンによる固体有機ポリマーのコーティングが開示されており、この分子は、一般式(A)N3-OCOR'-RaSiO(3-a)/2の少なくとも1つの単位と、一般式(B)R''bSiO(4-b)/2の少なくとも1つの単位とを有し、式中、RおよびR''は、それぞれの場合において、水素原子、または炭素数19未満の一価の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基であり、R'は、炭素、水素、および必要に応じて酸素または硫黄からなる、炭素数1~12の二価の脂肪族基であり、ここで任意の酸素はエーテル結合、-OC(=O)-基または-OC(=O)O-基の形態であり、任意の硫黄はスルフィド基-CSC-の形態であり、a=0、1または2であり、b=1、2または3であり、少なくとも1モル%の単位(A)に存在する。このように、アジドホルメート置換基を有するオルガノシロキサンのコーティングは、固体有機ポリマーの表面に適用され、硬化される。
【0012】
Mingdi Yanらは、パーフルオロ化フェニルアジド(PFPA)、特にN-ヒドロキシスクシンイミド官能基化PFPA(PFPA-NHS)、および表面改質剤としてのそれらの使用について、多様な出版物で開示している。特に、例えばJ. Am. Chem. Soc. 2006, 128(43), 14067-14072 or Chem. Eur. J. 2007, 13, 4138-4144において、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-4-アジド-2,3,5,6-テトラフルオロベンズアミド(「PFPA-シラン」)を用いて、ポリマーの種々の基材への固定化が検討されている。
【0013】
US2008/0214410には、プライマーとしてのPFPA含有モノシラン(モノシロキサン)が開示されており、具体的には、いわゆる「PFPA-シラン」が開示されている(
図1、例1+3)。また、「PFPA-シラン」によるポリスチレン(例2)、ポリ(2-エチルオキサゾリン)(例4)およびポリ(4-ビニルピリジン)(例5)のSiウエハへの固定化も開示されている。
【0014】
WO03087206には、多段階のポリマーコーティング用プライマーとして「PFPA-シラン」が開示されている。また、基材として、シリコン、シリカ、ガラス、マイカおよび石英などのシリコン含有基材が開示されている。「PFPA-シラン」の調製は、Bartlettら(Adv. Mater. 2001, 13, 1449-1451)によって最初に開示され、その調製のためのさらなる方法はWO03/087206に開示されている。
【0015】
US2010/028559には、特に、コンタクトレンズ表面を「PFPA-シラン」で下塗りすることによる、炭水化物含有ポリマーを用いた該表面のコーティングが開示されている(
図1)。さらに、「PFPA-シラン」をSiO
2ナノ粒子などのシリコン基材に結合させ、ポリマーでコーティングしている(例1、
図2)。
【0016】
WO98/22542には、パーハロゲン化フェニルアジド、特にN-ヒドロキシスクシンイミド官能基化PFPAによる表面の化学的官能基化が開示されている。また、Keanaらにより、J. Org. Chem. 1990, 55, 3640-3647において、PFPA-NHS(PFPA 1a)の調製方法への言及もなされている。
【0017】
EP2236524には、PFPA-NHSがポリアリルアミンに結合したPFPA系高分子(PAAm-g-PFPA)またはウシ血清アルブミンに結合したPFPA系高分子(BSA-g-PFPA)が開示されている。これらの高分子は、様々な基材をコーティングするために使用されている。ビニル末端ポリジメチルシロキサン SYLGARD 184は、PAAm-g-PFPAでテフロン(登録商標)(Franz Eckart GmbHのTetex)に共有結合している(例20)。この場合、ポリジメチルシロキサンにおけるPAAm-g-PFPAは、UV照射下で架橋される。テフロン(登録商標)へのPDMSの良好な接着が達成されている。
【0018】
先行技術には、基本的に、有機材料と無機材料との間の接着促進剤としてアジド含有モノシロキサンが開示されている。基本的に、炭化水素系基材をコーティングするためにここで適用される技術は、アジド含有モノシロキサンおよび時にはオリゴシロキサンを有する反応性プライマーを使用する。アジド含有ポリシロキサンの既知の系は、(モノマーの、EP0050768)共加水分解またはアジド含有アルコキシモノシロキサンの架橋(EP2236524)のいずれかによって入手可能である。現在までに知られているアジド含有ポリマー(アルキルアジド、アジドホルメート等)は、その非安定化炭化水素骨格により、80℃からでも熱的に不安定であり、したがって限られた範囲でのみ安全に取り扱うことが可能である。記載されているアジドシロキサンは、ほとんどが後のコーティングのためのプライマーとして機能し;弱極性から非極性のプラスチック用の自己接着性の架橋性シリコーン組成物は、この技術では記載も知られてもいない。
【発明の概要】
【0019】
したがって、その目的はさらに、理想的には自己接着性の機械的に安定した表面コーティングによって、天然または合成ポリマーを弱極性から非極性の基材に接着できるようにすることからなる。したがって、基材とポリマー表面コーティングとからなる成形体、さらには積層成形体または多成分成形体も利用できるようになるであろう。
【0020】
この目的は、請求項1~4のPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物、請求項5の混合物、請求項6~7の成形体、さらに請求項8~12の本発明の混合物の硬化方法、ならびに請求項13および14に記載の使用により達成される。
【0021】
本発明は、平均式(I)の化合物から選択されるPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物に関する。
【0022】
【0023】
式(I)中、
添え字a、b、b'、c、c'、c''、d、d'、d''およびd'''は、混合物中のそれぞれのシロキサン単位の平均含有量を規定し、それぞれ独立して0~300の範囲の数であり、ただし、すべての添え字の合計は3~3500の範囲にあり、平均で少なくとも2個のR基が存在し;
基R1は、それぞれ独立して、(i)水素、(ii)ハロゲン、(iii)C1~C20-炭化水素基、(iv)ヒドロキシル基、および(v)C1~C20-ハイドロカーボンオキシ基からなる群から選択され;
基Rは、同一であり、下記式の基を意味する。
【0024】
【0025】
式中、基Xは、(i)-O-または(ii)-NH-から選択され;添え字nは、(i)X = -O-のとき0~10の範囲の値であり、(ii)X = -NH-のとき1~10の範囲の値である。
【0026】
平均式(I)の化合物の例は、以下のポリシロキサン:RMe2Si-O-(SiMe2-O)c(SiRMe-O)c''-SiMe2R(式中、c=1~250、c''=0~250であり、基Rは、式(I)中のものと同じ定義を有する。)である。
【0027】
式(I)中の基R1は、それぞれ独立して、(i)水素基、(ii)メチル基、(iii)エチル基、(iv)フェニル基、(v)ビニル基、(vi)ヒドロキシル基、および(vii)C1~C20-アルコキシ基からなる群から選択されることが好ましい。すべてのR1基は、特に好ましくは、同一であり、メチル基である。
【0028】
式(I)中の基Rにおいて、基Xは、それぞれ独立して、(i)-O-または(ii)-NH-から選択されることが好ましく、ここで添え字nは、(i)X = -O-のとき0~6の範囲の値を有し、(ii)X = -NH-のとき1~6の範囲の値を有する。式(I)中の基Rにおいて、特に好ましくは、基X = -NH-、n=3である。
【0029】
式(I)中の添え字a、b、b'、c、c'、c''、d、d'、d''およびd'''は、それぞれ独立して、以下の定義:
a=0~250の範囲の数、b=0~50の範囲の数、b'=1~250の範囲の数、c=1~280の範囲の数、c'=1~280の範囲の数、c''=1~280の範囲の数、d=0~250の範囲の数、d'=0~250の範囲の数、d''=0~250の範囲の数、およびd'''=0~250の範囲の数、
を有し、ただし、すべての添え字の合計は3~3000の範囲であり、平均で少なくとも2個かつ最大で20個のR基が存在する。
【0030】
特に好ましくは、a=b=b'=d=d'=d'''=0である平均式(I)の線状PFPA含有シロキサンオリゴマー混合物であり、ここですべての他の添え字の合計は3~2000の範囲にあり、基Rにおいて、基Xは、それぞれ独立して、(i)-O-または(ii)-NH-から選択され、添え字nは、(i)X = -O-のとき0~6の範囲の値を有し、(ii)X = -NH-のとき1~6の範囲の値を有し、基R1は、それぞれ独立して、(i)水素基、(ii)メチル基、(iii)フェニル基、(iv)ビニル基、(v)ヒドロキシル基、および(vi)C1~C20-アルコキシ基からなる群から選択される。
【0031】
本発明は、さらに、
a)少なくとも1種の本発明のPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物と、
b)b1)付加架橋型シリコーン組成物、
b2)縮合架橋型シリコーン組成物、
b3)ハイブリッド材料/STP、ならびに
b4)無機および/または有機ポリマー
からなる群から選択される少なくとも1種の天然または合成ポリマーと、
を含有する混合物に関する。
【0032】
本発明の文脈において、付加架橋型シリコーン組成物という用語は、ヒドリドポリシロキサンおよびアルケニル含有オルガノポリシロキサンならびにフィラー(例えばシリカ)からなる加水分解性混合物を指し、これは適切な触媒(例えば白金系)の存在下で熱的または光化学的に架橋されてシリコーンエラストマーを与える(例:DE4336703-ワッカーケミーGmbH;US5145932-東レシリコン;US4609574-ダウコーニング;EP444960A2-信越化学工業;J. of Appl. Polymer Sci. 47, 2254, 1993)。
【0033】
本発明の文脈において、縮合架橋型シリコーン組成物という用語は、ヒドロキシ末端オルガノポリシロキサンおよび多官能性ポリシロキサン架橋剤(例えば、R-SiX3、ここでX=アルコキシ、カルボキシまたはアミノ)の混合物を指し、これは、水分により、触媒(例えば、有機スズまたは有機チタン化合物)の存在下で、(水、アルコール、酢酸またはアミンの脱離を伴って)三次元ネットワークに縮合する(例:DE11719315-ワッカーケミーGmbH;US3696090-ゼネラルエレクトリック;US3471434-Stauffer Chemical Co.;FR2511384B1-ローヌ・プーラン;US5073586-ダウコーニング)。
【0034】
本発明の文脈において、ハイブリッド材料/STPという用語は、例えば接着剤およびシーラントまたはコーティング材料として使用される反応性シラン末端有機ポリマー(例えばポリエーテル)を指す(例えば、EP3371270B1-ワッカーケミーAG)。
【0035】
本発明の文脈において、無機および/または有機ポリマーという用語は、天然および合成無機ポリマー(例えば、シリカ、シリケート構造、ポリシランまたはポリシロキサン)、ならびに成形体、コーティングまたは積層体を製造するための天然および合成有機ポリマーを指す(例:US5792812-信越化学工業、US2007/0141250-ダウコーニング台湾、およびUS4686124-富士システムズ)。
【0036】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明の混合物と、弱極性から非極性の基材と、を含む成形体に関する。
【0037】
好適な弱極性から非極性の基材は、特に、合成炭化水素ポリマー、例えばモノまたはポリエンのポリオレフィン、ポリハロオレフィン、ポリエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエステル、および対応するモノマーのコポリマー(例えばEPDMまたはアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS))、ならびに上記のポリマーおよび/またはコポリマーの任意のポリマーブレンドである。基材は、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエテン(PTFE)およびポリエチレンテレフタレート(PET)、および対応するモノマーのコポリマー、ならびに上述のポリマーおよび/またはコポリマーのポリマーブレンドからなる群から選択される。基材は、特に好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリカーボネート(PC)、ポリテトラフルオロエテン(PTFE)およびポリエチレンテレフタレート(PET)からなる群から選択される。
【0038】
成形体は、押出成形または射出成形された成形体、単層または多層積層体(例えば、スピンコーティング法、カレンダー法またはディップコーティング法により製造される)、カプセル化できる成形体(例えば、充填、浸漬または可塑化によるエレクトロコーティングにおいて)、接合もしくは密封できる成形体、あるいは同一のまたは異なる基材の同一のまたは異なる成形体間の接合部、からなる群から選択される成形体であることが好ましい。
【0039】
本発明は、さらに、熱的および/または光化学的活性化によって本発明の混合物を硬化させる方法に関する。
【0040】
0℃~200℃の温度範囲における1段階または多段階の熱的活性化によって硬化が行われる方法が好ましい。熱的活性化は、特に好ましくは、10℃~180℃の温度範囲で行われる。
【0041】
本発明の1つの特定の実施形態は、以下の工程を含む2段階の熱的活性化によって硬化が行われる方法である。
a)0℃~140℃の温度範囲内の温度T1での熱的活性化工程、および
b)120℃~180℃の温度範囲内の温度T2での熱的活性化工程;ここでT1<T2が適用されなければならない。
【0042】
多段階の実施形態は、本発明の混合物の架橋および接着促進を、互いに対して時間的に遅延させて誘導することを可能にする。140℃未満の温度範囲では、ポリマー成分の架橋が最初に活性化され、安定なPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物はこうして接触面に拡散することができ、120℃超への温度上昇によってようやく、最終的に活性化される。
【0043】
800nm~50nmの波長範囲の活性光線(actinic radiation)による1段階または多段階の光化学的活性化によって硬化が行われる方法も好ましい。光化学的活性化は、特に好ましくは、500nm~100nmの波長範囲の活性光線で活性化される。
【0044】
本発明は、さらに、接着促進剤としての、好ましくは、付加および/または縮合架橋型シリコーン組成物のための接着促進剤としての、本発明のPFPA含有シロキサンオリゴマー混合物の使用に関する。
【0045】
本発明は、さらに、弱極性から非極性の基材(特に上記で定義したような合成炭化水素ポリマー)のためのコーティング材料としての自己接着性シリコーン組成物としての、本発明の混合物の使用に関する。基材は、特に好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリカーボネート(PC)、ポリテトラフルオロエテン(PTFE)およびポリエチレンテレフタレート(PET)からなる群から選択される。
【実施例】
【0046】
装置:
XPS
XPS分析は、180°球状コンデンサエネルギー分析器とマルチチャンネル検出器(16チャンネル)とを備えるPhI5000 VersaProbe分光器(ULVAC-PHI INC.)を使用して実施した。スペクトルは、スポットサイズ200μmおよび47.6Wの単色Al-Ka源(1486.6eV)を用いて、ベース圧力5×10-8Paで集光走査により記録した。装置は、電子が試料表面に対して45°の角度で放出されるFAT分析器モードで動作させた。測定スキャンに使用したパスエネルギーは、オーバービュースキャンにおいて187.85eV、詳細スペクトルにおいて46.95eVであった。
【0047】
電荷中和は、全分析中、冷陰極電子ビーム源(1.2eV)および極低エネルギーAr+イオン(10eV)を用いて行った。
【0048】
データは、CasaXPS[Version 2.3.15、www.casaxps.com]プログラムを用いて分析した。シグナルは、Shirleyバックグラウンド減算法によって積分した。感度因子は、公表されているイオン化断面積(Scofield, J. H. J. J. Elec. Spec. Rel. Phen. 1976, 8, 129.)を用いて計算し、減衰、装置の伝達関数、および試料の分析器に対する角度について補正を行った。
【0049】
その結果として、測定量は見かけの規格化原子濃度で表記し、ここで選択された条件下での精度は約±10%である。
【0050】
NMR
BBOプローブヘッドを備えるBruker Avance III HD 400分光器;500μlのCDCl3中の150mgのメチルポリシロキサン混合物。
【0051】
UVランプ
紫外線放射計UVPAD(Opsytec Dr.Groebel、スペクトル範囲:200~440nm±5nm;光量:2~5000mW/cm2)。
【0052】
化学物質:
WACKER(登録商標) FLUID NH15D:平均15の中間鎖長、約1100g/molの平均モル質量で10~20mm2/sの粘度を有するダブル(3-アミノプロピルジメチルシリルオキシ)末端封鎖(end-capped)PDMシロキサン。ワッカーケミーAGから市販されている。
【0053】
WACKER(登録商標) FLUID SLM92512:平均200の中間鎖長、約15,000g/molの平均モル質量で300mm2/s~400mm2/sの粘度を有するダブル(3-アミノプロピルジメチルシリルオキシ)末端封鎖PDMシロキサン。ワッカーケミーAGにて受注生産されている。
【0054】
PFPA-NHS:N-ヒドロキシスクシンイミド官能基化パーフルオロフェニルアジド、例えばabcr GmbHまたはTCI Chemicals Ltd.から市販されている(CAS No.126695-58-7)。
【0055】
ELASTOSIL(登録商標) RT604 A/B:室温架橋型シリコーンゴム(RTV-2)。ワッカーケミーAGから市販されている。
【0056】
1)PFPA変性シロキサンの調製
例1:(PFPA)
2
-PDMS
15
の合成
WACKER(登録商標) FLUID NH15D(1.54g、1.40mmol)を10mLのTHFに室温で溶解させる。PFPA-NHS(0.715g、3.08mmol、シロキサンのアミン含量に対して2.2当量)およびトリエチルアミン(311mg、3.08mmol)を溶液に加え、室温で攪拌する。1時間後、無色の沈殿物の生成が確認され、混合物をさらに一晩攪拌する。次いで、すべての揮発性成分を減圧下で乾固除去し、残渣をジエチルエーテル(30mL)に取り込み、以下のように処理する。(i)2N塩酸で2回抽出、(ii)1N水酸化ナトリウム水溶液で1回抽出、および(iii)飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空下で除去する(10-2mbar)。黄色いオイルが得られる(収量:1.882g、87%)。
【0057】
1H-NMR (400.1 MHz; CDCl3): δ= 0.09 ppm (90H; m, Si-CH3), 0.61 ppm (4H, m, Si-CH2-CH2-CH2-NH-PFPA), 1.67 ppm (4H, m, Si-CH2-CH2-CH2-NH-PFPA), 3.46 ppm (4H, m, Si-CH2-CH2-CH2-NH-PFPA), 6.01 ppm (1H, -NH-PFPA).
19F-NMR (376.5 MHz; CDCl3): δ= 141.0, 150.5 ppm.
【0058】
例2:(PFPA)
2
-PDMS
202
の合成
WACKER(登録商標) FLUID SLM92512(1.57g、0.104mmol)を10mLのTHFに室温で溶解させる。PFPA-NHS(77.5mg、0.233mmol、シロキサンのアミン含量に対して2.2当量)およびトリエチルアミン(23.2mg、0.229mmol)を溶液に加え、室温で一晩攪拌する。次いで、すべての揮発性成分を減圧下で乾固除去し、残渣をジエチルエーテル(30mL)に取り込み、以下のように処理する。(i)2N塩酸で2回抽出、(ii)1N水酸化ナトリウム水溶液で1回抽出、および(iii)飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を真空下で除去する(2-10mbar)。黄色いオイルが得られる(収量:1.6g、100%)。
【0059】
1H-NMR (400.1 MHz; CDCl3): δ= 0.09 ppm (1750H; m, Si-CH3), 0.61 ppm (4H, m, Si-CH2-CH2-CH2-NH-PFPA), 1.67 ppm (4H, m, Si-CH2-CH2-CH2-NH-PFPA), 3.46 ppm (4H, m, Si-CH2-CH2-CH2-NH-PFPA), 6.01 ppm (1H, -NH-PFPA).
19F-NMR (376.5 MHz; CDCl3): δ= 140.9, 150.5 ppm.
【0060】
2)PP、PC、PET、PTFE、PVDFへの接着性の検討
例3:コーティングプロセスと表面分析
選択された基材の材料(PP、PC、PET、PTFEおよびPVDF)を1×1cmサイズのプレートとして準備し、超音波洗浄機で、20分間イソプロパノールで3回洗浄する。プラズマ前処理の場合、選択された材料を酸素プラズマに5分間曝す。コーティングは、それぞれの変性シリコーン(PFPA2-NH15D)または非変性シリコーン(WACKER(登録商標) FLUID NH15D)のn-ヘキサン溶液(濃度5mg/mL)を用いたスピンコーティングによって実施する。層厚は40~55nmである。反応(架橋/硬化など)を、UV-C処理(3.4mW/cm2で10分間)または熱処理(140℃で2時間)のいずれかにより開始する。次いで、各試料をn-ヘキサン(PC)または酢酸エチル(PP、PET、PTFE、PVDF)で3回抽出し、ガス気流中で乾燥させる。表面の元素組成をXPS分析で調べ、予想される理論的な元素含有量(C、N、O、F、Si)を試験結果と比較する。その結果を表1~5に示す。
【0061】
表1:XPS分析 PP、表2:XPS分析 PET、表3:XPS分析 PC、表4:XPS分析 PTFE、表5:XPS分析 PVDF。
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
PVDFは、フィラーとしてSiO2(XPSによる結合エネルギー:103.7+/-0.1eV)を含有する;XPSによる1022.4(+/-0.1)eVでの変性シリコーンのシグナル。これは、50%Cおよび50%Fという理論に比べて、酸素-およびシリコン-含有組成であることを説明するものである。
【0071】
表1~5の説明、基材とコーティング材料との接着性評価:
信頼できるコーティングが検出できない:-;
コーティングが検出できる:+
【0072】
3)熱架橋型RTV-2組成物(Elastosil(登録商標) RT604 A/B)中におけるPFPA含有シロキサンオリゴマー(PFPA)
2
-(NH15D)の接着性の検討
RTV-2シリコーン組成物を製造するために、(例えば、スピードミキサー(Hausschild)を使用して)混合物AとBとを1:1の質量比で混合する。
a)添加剤については、5重量%のPFPA含有シロキサンオリゴマー(PFPA)2-(NH15D)を加え、手動でまたはスピードミキサーを使用して混合する。
b)ポリプロピレン試験片に、酢酸エチル中のPFPA含有シロキサンオリゴマー(PFPA)2-(NH15D)の10重量%溶液を下塗りし、酢酸エチルは室温で急速に蒸発する。使用量は、すべての架橋条件と同じく以下の表6に示す。
【0073】
【0074】
シリコーンエラストマーとポリプロピレンとの接着性を、接着促進剤としてのPFPA含有シロキサンオリゴマーを含まないシリコーンエラストマーと比較して評価するための指標:
接着しない=o;
接着性が向上=+
【国際調査報告】