(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法
(51)【国際特許分類】
B28D 1/18 20060101AFI20230428BHJP
B23C 3/00 20060101ALI20230428BHJP
B23C 5/28 20060101ALI20230428BHJP
B23C 5/16 20060101ALI20230428BHJP
B23B 27/14 20060101ALI20230428BHJP
B23B 27/20 20060101ALI20230428BHJP
B23B 1/00 20060101ALI20230428BHJP
B28D 7/02 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
B28D1/18
B23C3/00
B23C5/28
B23C5/16
B23B27/14 A
B23B27/20
B23B1/00 B
B23B1/00 G
B28D7/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558573
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 CN2021082561
(87)【国際公開番号】W WO2021190528
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】202010218341.1
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518005942
【氏名又は名称】広東工業大学
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG UNIVERSITY OF TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No. 729 Dongfengdong Road, Yuexiu District Guangzhou, Guangdong 510062 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】王成勇
(72)【発明者】
【氏名】胡小月
(72)【発明者】
【氏名】林海生
(72)【発明者】
【氏名】鄭李娟
【テーマコード(参考)】
3C022
3C045
3C046
3C069
【Fターム(参考)】
3C022AA01
3C022AA08
3C022AA10
3C045AA02
3C045AA03
3C045AA05
3C046FF03
3C046FF12
3C046HH08
3C069BA08
3C069BB01
3C069BB02
3C069BB03
3C069BB04
3C069BC01
3C069BC04
3C069CA03
3C069DA06
3C069EA01
3C069EA03
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】 下記のステップを含む多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。ステップ1、加工される材料を工作機械に締め付ける。ステップ2、多刃超硬ツールをハンドルに取り付ける。ステップ3、補助加工を設定する。ステップ4、フライス加工のパラメータを設定してフライス加工を始める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のステップを含むことを特徴とする多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。
ステップ1、加工される材料を工作機械に締め付ける。
ステップ2、多刃超硬ツールをハンドルに取り付ける。
ステップ3、補助加工を設定する。
ステップ4、フライス加工のパラメータを設定してフライス加工を始める。
【請求項2】
前記のステップ1で加工される材料がセラミック、グラファイト、ガラス及びサファイアという硬くて脆い材料のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。
【請求項3】
前記のステップ1の中の加工される材料が空気、水及び油のいずれかに設置できることを特徴とする請求項1に記載の多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。
【請求項4】
前記のステップ2で加工用ツールとしての多刃超硬ツールの刃数が10~100にあり、刃先が均一してカッターヘッドに分布し、刃先の表面にダイヤモンド粒子があることを特徴とする請求項1に記載の多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。
【請求項5】
前記のステップ2で加工用ツールのハンドルの吊り下げ長が20~40mmであることを特徴とする請求項1に記載の多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。
【請求項6】
前記のステップ3で他の補助加工を利用しても利用しなくてもいいであることを特徴とする請求項1に記載の多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。
【請求項7】
前記の補助加工方法が普通の潤滑、微量の潤滑、低温・微量の潤滑、超音波補助及びレーザ補助のいずれかを含むことを特徴とする請求項5に記載の多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。
【請求項8】
前記のステップ3で切削パラメータは回転数を1000~10000r/min、ツールの送り速度を50~500mm/min、切削深さを0.005~0.2mmに設定することを特徴とする請求項1に記載の多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬くて脆い材料加工の技術分野、具体的に多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
サファイア、ガラス及びセラミックのような硬くて脆い材料は高硬度、高脆性、低破壊靭性、材料の弾性限界が強度に近いという特徴があるので、加工中にひびや表面の損傷などが発生しやすく、典型的な難削材である。硬くて脆い材料の加工方法として、従来、ダイヤモンド研削ヘッドで研削を行うが、研削効率が低く、長期間に渡って使われてから砥粒が破損し、落ち、切れ味が降下するので、部品は加工されてから表面が破損し、擦り傷及び微小な割れ目が発生しやすい。
【0003】
フライスで研磨を代替する技術は新たな加工方法であり、主に多結晶ダイヤモンド(PCD)ツールに対してフライスカッターの刃数(10~100刃)を追加して従来のPCDツールが多刃PCDツールとなり、刃の個別の切削量がナノレベルの除去までに少なくなり、切削応力及び切削熱を下げるようにする。それと同時に、PCDツールは高温高圧でダイヤモンドパウダー及び結合剤を焼結してなるものであり、レーザで複数の刃先を加工する。刃先にある微小なダイヤモンド粒子はツールの全体に対するフライス加工の過程に微量の研削で補助できる。よって、加工の効率を向上させる同時に加工の品質も確保でき、全体的にフライスで研磨を代替する技術加工を達成できる。
【0004】
補助加工とは加工の過程に外来補助でより一歩に加工の品質を最適化することであり、普通の潤滑、微量の潤滑、低温・微量の潤滑、超音波補助、レーザ補助及び水補助などを含むなどを含む、油補助などを含む。普通の潤滑は加工の過程に潤滑液をワークの表面に吹き付け、ツールとワークとの間の摩擦力及び切削温度を下げるようにすることであり、微量の潤滑とは圧縮空気と極めて微量の潤滑油を混合させて気化させてからミクロンレベルの液滴を含むオイルミストを形成してから高速で切削区域に吹き付け、低温・微量の潤滑とは低温切削と微量の潤滑を結び合わせる潤滑方法であり、大いに切削温度を制御でき、超音波補助は超音波でツールが小さな振幅で振動するようにし、加工の過程にワーク表面の品質を向上させることであり、レーザ補助は加工前または加工中にレーザで加工材料の表面を照射し、加工材料が変わるようにし、後継ぎの切削加工を容易にすることであり、水補助・油補助加工は加工材料を水または油の下に設置し、加工温度を下げることである。前記の補助加工技術は切削加工中によく用いられてきたが、今まで補助加工を多刃PCDカッターに用いてフライスで研磨を代替して加工を行う技術に関する研究がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、本発明は多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法を提供し、多刃超硬ツールフライスで研磨を代替する加工の技術的特徴に基づいて超硬材料の加工を行う同時に、ワーク及び加工仕様により適切な補助加工方法で最終に硬くて脆い材料に対する高い効率、無損の加工を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
下記のステップを含むことを特徴とする多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。
【0007】
ステップ1、加工される材料を工作機械に締め付ける。
【0008】
ステップ2、多刃超硬ツールをハンドルに取り付ける。
【0009】
ステップ3、補助加工を設定する。
【0010】
ステップ4、フライス加工のパラメータを設定してフライス加工を始める。
【0011】
本発明による多刃超硬ツールフライス加工が刃の数量を多くし、歯別の除去量を少なくし、切削応力及び切削熱を下げる同時に、刃先にある微小ダイヤモンド粒子がフライス加工中に加工面に対する微量の研削補助を行い、加工の品質を向上させ、ワーク及び加工仕様に応じて適切な補助加工方法を選び、より一歩に加工の効率及び品質を向上させ、切削力による加工面の微小な割れ目を少なくする。
【0012】
より一歩に、前記のステップ1で加工される材料はセラミック、グラファイト、ガラス及びサファイアの中の硬くて脆い材料のいずれかであるが、それに限るものではない。
【0013】
より一歩に、前記のステップ1の中の加工される材料は空気、水及び油のいずれかに設置してもいいが、それに限るものではない。
【0014】
より一歩に、前記のステップ2で加工用ツールは多刃超硬ツールであり、ツールの刃数が10~100にあり、刃先が均一してカッターヘッドに分布し、刃先の表面にダイヤモンド粒子がある。
【0015】
より一歩に、前記のステップ3で他の補助加工を利用しても利用しなくてもいい。
【0016】
より一歩に、前記のステップ3で普通の潤滑、微量の潤滑、低温・微量の潤滑、超音波補助及びレーザ補助のいずれかを含むがそれに限るものではない補助方法で加工を行う。
【0017】
より一歩に、前記のステップ3で切削パラメータは回転数を1000~10000r/min、ツールの送り速度を50~500mm/min、切削深さを0.005~0.2mmに設定する。
【0018】
本発明の動作原理として、加工で砕けやすく、割れ目が生じる硬くて脆い材料の加工特徴に応じて、多刃超硬ツールで刃の個別的切削量までに少なくなり、ナノレベルの除去、切削応力及び切削熱を下げる同時に、刃先にあるダイヤモンド粒子は微量の研削を補助する。多刃PCDツールフライスで研磨を代替する加工方法に基づいて適切な補助加工方法及び加工パラメータでより一歩に加工の効率及び品質を向上させ、発生する砕け及び微小な割れ目を少なくする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の技術策は創造的に多刃超硬ツールを利用するフライスで研磨を代替する加工方法で硬くて脆い材料を加工する同時に、適切な補助加工方法及び加工パラメータを利用し、より一歩に加工効率と品質を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の目的、技術策及び長所が更にはっきりして、わかりやすくなるように、次に実例と結び合わせて本発明についてより一歩に説明する。勿論、次の実例は本発明について説明するためのものに過ぎなく、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0021】
多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。加工材料としてのガラスを工作機械に締め付け、20刃の多刃PCDツールをハンドルに締め付けて加工を始め、ツールの吊り下げ長を20mmにし、乾式切削加工方法を利用し、切削パラメータとして回転数を4000r/min、ツールの送り速度を100mm/min、切削深さを0.01mmに設定した。加工が完了してから、ガラスの表面はミラー効果に達し、表面粗さが0.6μmであり、微小な割れ目がなかった。
【実施例2】
【0022】
多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。加工材料としてのガラスを工作機械に締め付け、超音波補助加工を利用し、30刃の多刃PCDツールを超音ハンドルに締め付け、ツールの吊り下げ長を20mm、超音パラメータを超音電源入力220V、50Hzの電源周波数電流に設定して電圧調整、整流及び高周波反転をしてから周波数20KHzの電流を出力し、切削パラメータとして回転数を4000r/min、ツールの送り速度を200mm/min、切削深さを0.01mmに設定する。加工が完了してからガラスの表面はミラー効果に達し、表面粗さが0.4μmであり、微小な割れ目がなかった。
【実施例3】
【0023】
多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。加工材料としてのサファイアを工作機械に締め付け、40刃の多刃PCDツールをハンドルに締め付けて加工を行い、ツールの吊り下げ長を30mmに設定し、微量の潤滑切削の加工方法を利用し、微量の潤滑パラメータとして油量を30ml/h、気圧を0.6Mpa、噴射角度を45°に設定し、切削パラメータとして回転数を6000r/min、ツールの送り速度を500mm/min、切削深さを0.015mmに設定し、加工が完了してからサファイア表面はミラー効果に達し、表面粗さが0.4μmである。
【実施例4】
【0024】
多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。加工材料としてのセラミックスを工作機械に締め付け、50刃の多刃PCDツールをハンドルに締め付けて加工を行い、ツールの吊り下げ長を35mmに設定し、レーザ補助切削加工方法を利用し、切削加工を行うまでCO2レーザで加工面を1回にスキャンし、加工パラメータとして出力を300W、スポット径を2mm、パルス周波数を120Hz、スキャン速度を50mm/minに設定してから切削加工を行い、切削パラメータとして回転数を8000r/min、ツールの送り速度を500mm/min、切削深さを0.02mmに設定し、加工が完了してからサファイア表面はミラー効果に達し、表面粗さが0.6μmである。
【実施例5】
【0025】
多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。加工材料としてのセラミックスを水に沈み、水表面が加工表面より2mm高く、60刃の多刃PCDツールをハンドルに締め付けて加工を行い、ツールの吊り下げ長を35mmに設定し、切削パラメータとして回転数を5000r/min、ツールの送り速度を400mm/min、切削深さを0.005mmに設定し、加工が完了してからサファイア表面はミラー効果に達し、表面粗さが0.7μmである。
【実施例6】
【0026】
多刃超硬ツールで硬くて脆い材料のフライス加工を行うための加工方法。加工材料としてのセラミックスを油に沈み、油表面が加工表面より2mm高く、70刃の多刃PCDツールをハンドルに締め付けて加工を行い、ツールの吊り下げ長を40mmに設定し、切削パラメータとして回転数を6000r/min、ツールの送り速度を300mm/min、切削深さを0.005mmに設定し、加工が完了してからセラミックス表面はミラー効果に達し、表面粗さが0.7μmである。
【0027】
言うまでもなく、本発明は上記の実例の細部に限るものではなく、本分野の技術者は本発明の精神または基本的特徴から逸脱しないで他の具体的な形式本発明を達成できる。よって、どの視点から見ても、実例を制限的なものの代わりに模範的なものにみなしなければいけない。本発明の範囲が上記の実例の代わりに請求項により限定されるので、請求項と同じ条件の意味及び範囲内にある全ての変化が本発明に属する。
【0028】
なお、本説明書が実施方法により説明を行ったものであるが、各実施方法は独立した技術策の1つだけを含むものではない。説明書のこの作成方法ははっきりするためのものに過ぎない。本分野技術者は説明書を全体にみなしなければいけない。各実例に記載の技術策は適当な組合により本分野技術者が理解できる他の実施方法も形成できる。注意すべき点として、本発明で詳細に記載されていない技術上の特徴は本分野の従来の技術のいずれかにより達成できる。
【国際調査報告】