(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】温度測定デバイスおよび電流特定デバイス
(51)【国際特許分類】
G01K 1/143 20210101AFI20230428BHJP
G01R 15/00 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
G01K1/143
G01R15/00 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559323
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2021057404
(87)【国際公開番号】W WO2021197921
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】102020108690.3
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ミュールハウゼン,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】バターウェック,サイモン
【テーマコード(参考)】
2F056
2G025
【Fターム(参考)】
2F056CA01
2F056CA14
2G025AA00
2G025AB05
2G025AC01
(57)【要約】
本発明は、回路基板(2)および温度センサ(3)を含む温度測定デバイスに関し、回路基板(2)が、温度センサ(3)の周囲をほぼ螺旋状に延びるフライス加工された溝(4)を有し、温度センサ(3)が、回路基板(2)の平面の法線ベクトルに対して平行に移動することができ、回路基板(2)の平面に対する温度センサ(3)の移動により、回路基板(2)と温度センサ(3)との間に復元力がもたらされる。このデバイスは、例えば、シャントを使用する電流特定デバイスの一部となり、その温度を測定することができる。また、本発明は、このタイプのデバイスを含む電力変換器にも関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板(2)、評価ユニット(7)および温度センサ(3)を備える温度測定デバイスであって、
前記プリント回路基板(2)が、前記温度センサ(3)の周りをほぼ螺旋状に延びるフライス加工された溝(4)を有し、前記温度センサ(3)が、プリント回路基板プラトー(2a)上に配置されて、前記プリント回路基板(2)の平面の法線ベクトルに対して平行に変位可能であり、前記温度センサ(3)が前記プリント回路基板(2)の平面に対して変位するときに、前記プリント回路基板(2)と前記温度センサ(3)との間に復元力がもたらされることを特徴とする温度測定デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、
前記温度センサ(3)が、螺旋状のフライス加工された溝(4)のターン間に残るプリント回路基板ウェブ(5)によってバネ式に取り付けられていることを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載のデバイスにおいて、
前記温度センサ(3)が、少なくともその全体高さ(8a)を含むバネ行程だけ変位可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記フライス加工された溝(4)が、連続的な螺旋形状に沿って延びていることを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記フライス加工された溝(4)が、複数のほぼ直線的な部分とそれら部分の間のほぼ直角の方向転換部分とを含む螺旋形状に沿って延びることを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記フライス加工された溝(4)の軌跡の半径ベクトルが、少なくとも600度、好ましくは少なくとも700度の角度にわたって掃引し、それにより残りのプリント回路基板ウェブ(5)が、前記温度センサ(3)の周りを少なくとも4分の3周、好ましくは少なくとも1周、周回することを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記温度センサ(3)が前記プリント回路基板(2)の平面の法線ベクトルに対して平行にその全体高さ(8a)だけ変位するときに、前記プリント回路基板(2)と前記温度センサ(3)との間の復元力が0.1~10ニュートン、好ましくは1~5ニュートンとなるように、前記プリント回路基板ウェブ(5)の幅、前記フライス加工された溝(4)の幅および前記フライス加工された溝(4)の長さが設定されていることを特徴とするデバイス。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記プリント回路基板(2)の厚さが0.5~3ミリメートルであり、前記フライス加工された溝(4)の幅が0.3~3ミリメートルであり、残りのプリント回路基板ウェブ(5)の幅が0.3~3ミリメートルであることを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記フライス加工された溝(4)の外縁が、200平方ミリメートル未満、好ましくは100平方ミリメートル未満の領域を取り囲むことを特徴とするデバイス。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記温度センサ(3)を前記評価ユニット(7)と接触させるための電気導体トラック(6)が、残りのプリント回路基板ウェブ(5)に沿って延びていることを特徴とするデバイス。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記温度センサ(3)が、受動部品として具現化され、少なくとも2の導体トラック(6)を介して前記評価ユニット(7)に接続されていることを特徴とするデバイス。
【請求項12】
請求項1~10の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記温度センサ(3)が、能動部品として具現化され、少なくとも3の導体トラック(6)を介して前記評価ユニット(7)に接続されていることを特徴とするデバイス。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記温度センサ(3)が、第1のプリント回路基板側に配置され、前記評価ユニット(7)が、前記第1のプリント回路基板側とは反対側の第2のプリント回路基板側に配置されていることを特徴とするデバイス。
【請求項14】
請求項1~12の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記温度センサ(3)および前記評価ユニット(7)が、同じプリント回路基板側に配置されていることを特徴とするデバイス。
【請求項15】
シャント(11)と、請求項1~14の何れか一項に記載の温度測定デバイスとを有する電流特定デバイスであって、
前記シャントが、ほぼ平坦な表面を有する抵抗領域(11b)を含み、
前記電流特定デバイスが、前記温度センサ(3)が前記シャント(11)の抵抗領域(11b)と熱的に接続して配置されるように、前記シャント(11)の表面の抵抗領域(11b)に配置され、
電圧タップ(12)が、前記温度センサ(3)の両側に配置されて、前記抵抗領域(11b)に沿った電位差を検出するために前記シャント(11)の表面と電気的に接触していることを特徴とする電流特定デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載のデバイスにおいて、
前記電圧タップ(12)が前記シャント(11)の表面に電気的に接触するように、前記プリント回路基板(2)が前記シャント(11)上に平らに置かれ、前記温度センサ(3)が前記シャント(11)の表面上にあり、
前記温度センサ(3)が、前記プリント回路基板(2)の平面に対してその全体高さ(8a)だけ変位し、残りのプリント回路基板ウェブ(5)が、前記プリント回路基板プラトー(2a)に復元力を与え、それにより前記温度センサ(3)に接触圧がかかることを特徴とするデバイス。
【請求項17】
請求項15に記載のデバイスにおいて、
前記温度センサ(3)および前記評価ユニット(7)が、前記シャント(11)とは反対側の前記プリント回路基板(2)の側に配置され、前記プリント回路基板プラトー(2a)が、前記シャント(11)の表面に機械的に接続され、
前記プリント回路基板プラトー(2a)が、前記プリント回路基板(2)の平面に対して変位可能であり、前記プリント回路基板プラトー(2a)の位置で前記プリント回路基板(2)の平面と前記シャント(3)の表面との間のオフセットを補償することを特徴とするデバイス。
【請求項18】
請求項17に記載のデバイスにおいて、
前記プリント回路基板プラトー(2a)が、前記温度センサ(3)と前記抵抗領域(11b)との間の熱的接続を行うための熱伝導体(9b)を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項19】
請求項15~17の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記電圧タップ(12)が、前記プリント回路基板(2)の圧入ピンとして、バネ接点として、はんだ接続として、または前記シャント(11)へのネジ接続として具現化されていることを特徴とするデバイス。
【請求項20】
請求項15~19の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記シャント(11)は、振幅が100アンペアより大きい、好ましくは1000アンペアより大きい電流を通過させるように構成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項21】
請求項15~20の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記シャント(11)が2つの接続領域(11a)を有し、前記抵抗領域(11b)が、前記接続領域(11a)の間に配置され、前記シャント(11)の接続領域(11a)の断面に対する断面縮小によって実質的に形成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項22】
請求項15~20の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記シャント(11)が2つの接続領域(11a)を有し、前記抵抗領域(11b)が、前記接続領域(11a)の間に配置され、前記接続領域(11a)とは異なる材料で作られ、任意選択的に、前記シャント(11)の断面縮小を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項23】
請求項15~22の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記断面縮小が、前記シャント(11)の接続領域(11a)の断面の10~60%の値への断面の減少を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項24】
請求項16に記載のデバイスにおいて、
前記温度センサ(3)と前記シャント(11)の表面との間に電気絶縁フォイルが配置されていることを特徴とするデバイス。
【請求項25】
請求項17または18に記載のデバイスにおいて、
前記プリント回路基板プラトー(2a)が、接着剤(9a)によって前記シャント(11)の表面に機械的に接続されていることを特徴とするデバイス。
【請求項26】
電力変換器によって処理される直流電流および/または交流電流を伝導するための通電ラインを有する電力変換器であって、
前記通電ラインのうちの少なくとも1つが請求項15~25の何れか一項に記載の電流特定デバイスを備え、当該デバイスが、前記通電ラインの中断部分を橋渡しするか、または前記通電ライン内に組み込まれ、
前記電力変換器が、前記電圧タップ(12)によって検出される前記シャント(11)の抵抗領域(11b)に沿った電位差と前記抵抗領域(11b)の抵抗値とから、前記電力変換器の動作中に前記通電ラインを流れる電流を求めるように設定されており、前記抵抗値が、前記温度センサ(3)により検出される温度の関数であることを特徴とする電力変換器。
【請求項27】
請求項26に記載の電力変換器において、
10kWより大きい、好ましくは100kWより大きい、特に好ましくは1000kWより大きい定格電力用に構成されていることを特徴とする電力変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度測定デバイス、温度測定アセンブリを有する電流特定デバイス、並びに、電流特定アセンブリを有する電力変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
温度依存性抵抗器などの温度センサを使用して対象物の温度を正確に測定するには、一般に、温度センサと測定対象物との間の熱的接触が良好であることが必要である。この場合、温度センサおよび関連する評価電子ユニットをプリント回路基板上に配置し、動作時に温度センサをプリント回路基板と測定対象物の表面との間に配置することができる。しかしながら、この配置では、上記表面から少なくとも温度センサの全体高さだけ間隔を空けてプリント回路基板自体を配置する必要がある。
【0003】
抵抗の小さい測定抵抗器、いわゆるシャントは、電流、特に数キロアンペアの領域の高電流を正確に測定するために使用することができる。例えば、電流を測定するための測定装置は、DE102016010012B4から知られており、この場合、電圧タップのペアが抵抗素子の両端間の電圧降下を測定し、測定回路が、オームの法則に基づいて電圧降下と抵抗素子の抵抗値から、抵抗素子を流れる電流の測定値を求める。抵抗素子の抵抗値は温度に依存するため、温度センサが抵抗素子に配置され、測定回路が、温度センサで測定した温度の関数として、電流強度を求めるために使用される抵抗値を調整する。
【0004】
特に、抵抗素子が、例えば銅のような非常に優れた導電性を有するが、その抵抗率が温度に強く依存する一般的な材料で作られている場合、抵抗材料の温度を、関連する電圧降下の発生位置で正確に測定する必要がある。従来から知られているように、抵抗素子を向くプリント回路基板の側に温度センサを配置すると、抵抗素子との良好な熱的接続が可能になるが、プリント回路基板と抵抗素子との間に少なくとも温度センサの全体高さと同程度の距離ができてしまう。
【0005】
さらに、特に導体ループを避けるためには、電圧タップと測定回路との間の接続を抵抗素子の非常に近くに配置することが望ましい。特に電流に周期的または過渡的な成分が含まれる場合、導体ループは、特に高電流の近くで、電磁気の影響により測定に大きな障害や歪みを引き起こす可能性がある。
【0006】
そのような導体ループを避けるために、抵抗素子とは反対側のプリント回路基板の側に温度センサを配置することで、電圧タップと測定回路との間の接続を有するプリント回路基板を抵抗素子のできるだけ近くに配置することが可能である。しかしながら、その場合、抵抗素子からの熱流が先ずプリント回路基板に入って基板中を通り抜ける必要があるため、温度センサとバスバーとの間の熱抵抗が大きくなる。
【0007】
別の可能性は、プリント回路基板とは反対側のシャントの側に温度センサを取り付けることである(DE102016010012B4を再び参照されたい)。しかしながら、これは、温度センサと測定回路との間の追加接続を必要とし、それがプリント回路基板の外側に延びるため、追加の組立作業とコストが発生する。さらに、十分に良好な温度測定を行うには、測定する表面に温度センサを押し付ける必要があるが、温度センサを損傷しないように、その圧力は高過ぎてはならない。
【0008】
DE102011004174A1には、プリント回路基板が、電子部品を配置することができる高さ方向に柔軟なプリント回路基板領域を有する電気接続装置が記載されている。部品は、ここで機能ユニットに機械的に接続されて、定位置に固定され、機能ユニットへの機械的接続が、プリント回路基板と部品との間にバネ要素を追加することで改善されている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の課題
本発明の目的は、測定対象物の表面への温度センサの良好な熱的接触を保証する温度測定デバイスを提供するとともに、温度に依存する抵抗値を有する抵抗素子の両端間の電圧降下を干渉なく測定することができ、電圧降下と、抵抗素子の温度の正確な測定によって調整される抵抗値とから電流が求められる電流特定デバイスを提示することである。
【0010】
解決手段
この目的は、請求項1の特徴を有する温度測定デバイスと、独立請求項14の特徴を有する電流特定デバイスと、請求項22に記載の電力変換器とによって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項に規定されている。
【0011】
本発明の説明
温度測定デバイスは、プリント回路基板、評価ユニットおよび温度センサを備える。プリント回路基板は、温度センサの周囲を実質的に螺旋状に延びるフライス加工された溝を有し、これにより温度センサが、プリント回路基板プラトー上に配置されて、プリント回路基板の平面の法線ベクトルに対して平行に変位可能となっている。温度センサがプリント回路基板の平面に対して変位すると、プリント回路基板と温度センサとの間に復元力がもたらされる。
【0012】
温度測定デバイスは、特に有利なことに、温度センサによって温度が検出される対象物の表面に直接置くのに適している。この目的のために、温度センサをプリント回路基板プラトー上であって、螺旋状のフライス加工された溝の中央に位置し、よってフライス加工された溝により形成される残りのプリント回路基板ウェブの内側端部に位置するプリント回路基板プラトー上に配置することができる。測定対象物の表面と同一平面上にプリント回路基板を置き、プリント回路基板と上記表面との間に温度センサを配置すると、プリント回路基板プラトーが、温度センサの高さ分プリント回路基板の平面から押し出され、その結果、プリント回路基板自体と温度センサの両方を上記表面に接触するように置くことができる。これにより、特に、測定対象物の表面への温度測定デバイスの取付が簡素化される。
【0013】
温度センサは、好ましくは、螺旋状のフライス加工された溝のターン間に残るプリント回路基板ウェブによって、バネ式に取り付けられる。同様に螺旋状に残るプリント回路基板ウェブは、プリント回路基板プラトーがプリント回路基板の平面の外に移動したときに、プリント回路基板プラトーに、よって温度センサに、バネ効果を生じさせる。特に、これが生じるのは、プリント回路基板が測定対象物の表面上に平らに置かれ、温度センサがプリント回路基板の平面の法線ベクトルに対して平行に移動するように、温度センサの周囲に延びるフライス加工された溝が高さ補償を確保する場合である。したがって、温度センサは、少なくともその全体高さを含むバネ行程だけ変位可能となっている。
【0014】
好ましくは、プリント回路基板のフライス加工された溝は、連続的な螺旋形状に沿って延びることができる。この場合、螺旋形状は、複数のほぼ直線的な部分とそれら部分の間の方向転換とを含むことができ、方向転換は、例えば、それら部分の間にほぼ直角を形成し、その場合、方向転換自体が連続的であり、すなわち例えば1/4の円を含むことができる。特に、連続的な螺旋形状は、一度に製造することが特に容易であり、プリント回路基板プラトーがプリント回路基板の平面の外に変位する際の復元力を容易に再現することが可能である。
【0015】
フライス加工された溝は、フライス加工された溝の軌跡の半径ベクトルが少なくとも600度、好ましくは少なくとも700度の角度にわたって掃引するように形成することができ、よって残りのプリント回路基板ウェブが、温度センサの周りを少なくとも3/4周、好ましくは少なくとも1周、延びるものとなる。その結果、プリント回路基板の平面から温度センサの高さ分だけプリント回路基板プラトーが変位すると、残りのプリント回路基板ウェブが弾性変形し、それが、プリント回路基板材料の塑性変形の限界を安全に下回り、その結果、プリント回路基板ウェブの復元力が、永続的に維持されて、100℃を超える温度の影響下でも著しく低下することはない。
【0016】
直線的な部分を有する設計の場合、直線的な部分間の方向転換の角度の合計が前述した度数に達するように、直線的な部分の数を選択することができる。例えば、直角に方向転換する場合には、7以上の部分を設ける必要がある。
【0017】
本デバイスの一実施形態では、温度センサがプリント回路基板の平面の法線ベクトルに対して平行にその全体高さだけ変位するときに、プリント回路基板と温度センサとの間の復元力が0.1~10ニュートン、好ましくは1~5ニュートンとなるように、プリント回路基板ウェブの幅、フライス加工された溝の幅およびフライス加工された溝の長さを設定することが可能である。その結果、プリント回路基板と温度センサを測定対象物の表面に平らに置いたときに、温度センサに、温度センサと上記表面の確実な熱的接触を保証する力が作用する。例えば、プリント回路基板は、0.5~3ミリメートルの厚さを有することができ、一方、フライス加工された溝および残りのプリント回路基板ウェブは、それぞれ0.3~3ミリメートルの幅を有することができる。
【0018】
有利な実施形態では、フライス加工された溝の外縁が、200平方ミリメートルより小さい、好ましくは100平方ミリメートルより小さい領域を取り囲む。これにより、プリント回路基板プラトーの実質的に全領域を占める小型ハウジングを有する温度センサを使用することができ、プリント回路基板上の周辺コンポーネントを、温度センサの非常に近くに、特に温度センサとは反対側のプリント回路基板レベルの側にも配置することができる。
【0019】
温度センサを評価ユニットと接触させるために、残りのプリント回路基板ウェブに沿って電気導体トラックを延ばすことができる。導体トラックは、50~1000マイクロメートルの幅を有することができ、互いに50~1000マイクロメートルの間隔を空けることができる。これにより、特に、ワイヤ、ケーブルなどを介して温度センサを外部に接触させる必要がなくなる。
【0020】
温度センサは、少なくとも2の導体トラックを介して評価ユニットに接続される受動部品として具現化することができる。代替的には、温度センサが、能動部品として構成され、少なくとも3の導体トラックを介して評価ユニットに接続されるようにしてもよい。
【0021】
デバイスの一実施形態では、温度センサを第1のプリント回路基板側に配置し、評価ユニットを第2のプリント回路基板側に配置することで、評価ユニットを温度センサとは反対側のプリント回路基板の側に配置するようにしてもよい。例えば、第1のプリント回路基板側は、実質的に温度センサのみを含むことができ、他のすべてのコンポーネントを、温度センサとは反対側の第2の側に配置することができる。これにより、特に有利なことに、バネ式に取り付けられた温度センサを有する第1のプリント回路基板側を、測定対象物の表面と同一平面上に置くことができる。温度センサと評価ユニットとの間の導体トラックは、ここではプリント回路基板を貫通する貫通メッキを有することができる。
【0022】
代替的な実施形態では、温度センサと評価ユニットをプリント回路基板の同じ側に配置することができる。これにより、プリント回路基板を介して温度センサの下面と測定対象物の表面との間で熱的接続を行うことができ、温度センサの位置における熱伝導性に関してプリント回路基板を最適化することができる。
【0023】
電流特定デバイスは、シャントと、上記のような温度測定デバイスとを備える。シャントは、2つの接続領域と、接続領域の間に電気的に配置され、実質的に平坦な表面を有する抵抗領域とを有する。電流特定デバイスは、温度センサがシャントの抵抗領域と熱的に接続されて配置されるように、シャントの表面の抵抗領域に配置される。ここでは、電圧タップは、抵抗領域に沿った電位差を検出するために、シャントの表面に電気的に接触するように温度センサの両側に配置される。
【0024】
デバイスの一実施形態では、電圧タップがシャントの表面に電気的に接触するように、プリント回路基板がシャント上に平らに置かれ、温度センサがシャントの表面上に置かれる。この場合、温度センサは、デバイスの組立状態において、プリント回路基板の平面に対してその全体の高さだけ変位し、それにより、残りのプリント回路基板ウェブが、プリント回路基板プラトーに復元力を与え、それにより温度センサに接触圧がかかる。この実施形態では、温度センサが抵抗領域に直接配置され、残りのプリント回路基板ウェブのバネ作用によって抵抗材料に最適に熱的に接続され、その結果、高精度の温度測定が達成できるため、電流特定デバイスの主要な要件が最適に満たされる。さらに、温度センサを抵抗領域の中央に配置し、電圧タップ間の中央に配置することができるため、シャントを流れる電流による電圧降下も測定されるまさにその領域で、温度を測定することができる。このようにして、シャントを流れる電流を特定する際に、シャントの抵抗領域における材料の抵抗の温度関連の変化を最適に補償することができる。同時に、プリント回路基板は、抵抗領域の表面上にほぼ間隔を空けずに置かれるため、電圧タップ間の電圧降下を測定するための測定回路に電圧タップを接続するプリント回路基板内の導体トラックも、抵抗領域の表面のすぐ近くに置かれ、電圧測定中に導体ループがほぼ回避される。
【0025】
本デバイスの代替的な実施形態では、温度センサおよび評価ユニットが、シャントとは反対側のプリント回路基板の側に配置される。この場合、プリント回路基板プラトーが、シャントの表面に機械的に接続され、プリント回路基板プラトーが、プリント回路基板の平面に対して変位可能となる。特に、温度センサとは反対側のプリント回路基板プラトーの側は、例えば接着剤によって、シャントに接続することができる。この場合、プリント回路基板の平面とシャントの表面との間のオフセットは、プリント回路基板の平面における静止位置に対するオフセットだけ、プリント回路基板プラトー、よって温度センサを変位させることにより、プリント回路基板プラトーの位置で補償される。この実施形態は、温度センサが、特にプリント回路基板プラトー全体にわたってその下面により、抵抗材料に最適に熱的に接続され、また、シャントの表面に対するプリント回路基板の位置が変化してもその状態が維持されるため、電流特定デバイスの要件も最適に満たしている。
【0026】
温度センサの下面の熱的接続は、プリント回路基板プラトーが熱伝導体、例えば金属インサートまたは少なくとも部分的に互いに接続された複数の銅層を有することによって、さらに改善され得る。プリント回路基板が上記表面とできるだけ同一平面になるようにシャント上に配置されている状態から開始すると、特に高い動作電流でシャントに作用する熱的および電気機械的効果により、シャントおよび/またはプリント回路基板の変形が生じ、それによりシャントからプリント回路基板が少なくとも部分的に持ち上がることがある。この場合、プリント回路基板プラトーがシャントに機械的に固定されて、プリント回路基板の平面とシャントの表面との間のオフセットを補償するため、温度センサとシャントの熱的接続には影響を与えない。
【0027】
具体的には、電圧タップは、温度センサの周りに対称的に配置することができ、任意選択的に、プリント回路基板および/またはシャントの圧入ピンとして、バネ接点として、はんだ接続として、またはシャントへのネジ接続として具現化することができる。
【0028】
一実施形態では、電流強度が100アンペアより大きい、好ましくは1000アンペアより大きい電流を通過させるように、シャントを構成することができる。この場合、シャントは、1つの材料から一体に形成することができ、抵抗領域は、シャントの接続領域の断面に対する断面縮小によって実質的に形成される。これにより、材料の移行が回避され、製造コストおよび組立コストが削減される。
【0029】
代替的には、シャントの抵抗領域は、接続領域とは異なる材料、例えば、異なる電気特性を有する材料で作ることができ、任意選択的に、シャントの断面縮小を含むことができる。この場合、特に抵抗領域の材料の抵抗率の温度依存性に関して、抵抗領域の材料の電気的特性を、接続領域の材料の電気的特性よりも正確に知ることによって、電流特定の更なる精度向上を達成することができる。ここでは、シャントの抵抗領域において抵抗率の温度依存性が特に低い材料を使用することは絶対に必要というわけではなく、むしろ、温度依存性をできるだけ正確にかつ再現性良く把握および/または特定することができれば十分である。
【0030】
一実施形態では、抵抗領域におけるシャントの断面の縮小は、シャントの接続領域の断面の10~60%の値への断面の減少を含むことができる。それにより、シャントの抵抗領域では接続領域よりも電流密度が高くなり、その結果、シャントを流れる所与の電流についての電圧降下が大きくなる。この局所的な電流密度の増加は、抵抗領域の温度上昇を伴うが、その影響は、抵抗領域を代表する温度測定値を用いた温度補償によって無効にされ、局所的に限定されて明確に規定された測定範囲に制限することによって過補償される。
【0031】
望ましくない電気的接触を避けるために、温度センサとシャントの表面との間に電気絶縁フォイルを配置することができる。
【0032】
電力変換器は、電力変換器によって処理される直流電流および/または交流電流を流すための通電ラインを有する。通電ラインのうちの少なくとも1つは、前述した電流特定デバイスを含み、そのデバイスが、通電ラインの中断部分を橋渡しするか、または通電ライン内に組み込まれている。電力変換器は、電圧タップによって検出されるシャントの抵抗領域に沿った電位差と、抵抗領域の抵抗値とから、電力変換器の動作中に通電ラインを流れる電流を求めるように設定されており、電流強度を計算するために使用される抵抗値は、温度センサによって検出される温度の関数である。
【0033】
好ましい実施形態では、電力変換器が、10kWより大きい、好ましくは100kWより大きい、特に好ましくは1000kWより大きい定格電力用に構成される。それらの電力クラスにおいて、電力変換器によって処理される直流電流および/または交流電流の特定は、それらの対応する高い振幅のために特に要求が厳しく、上述した電流特定デバイスを用いて特に正確に実行することができ、上述した電流特定デバイスは、電力変換器の構造に特に容易に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下では、図面に示す例示的な実施形態を参照しながら、本発明をさらに説明および解説する。
【
図3】
図3は、電流特定デバイスの一実施形態の断面を示している。
【
図4】
図4は、電流特定デバイスの更なる実施形態の断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明に係る温度測定デバイスの一実施形態としての温度測定アセンブリ1を示している。温度測定アセンブリ1は、プリント回路基板2を備える。プリント回路基板2には、温度センサ3が配置されている。プリント回路基板2における温度センサ3の周囲には、フライス加工された溝4が延びている。フライス加工された溝4は、プリント回路基板2上への部品配置の前に、または部品配置プロセスの後に続いて、プリント回路基板2に形成することができる。フライス加工された溝4は、温度センサ3の周囲に実質的に螺旋状に延びており、フライス加工された溝4に両側が隣接し、同様にほぼ螺旋状に延びるプリント回路基板ウェブ5を残している。
【0036】
フライス加工された溝4が延びる螺旋形状は、ここでは様々な方法で具現化することができ、具体的には、ほぼ直線的な部分と、ほぼ直角な方向転換部分とを有することができ(
図1を参照)、あるいは、異なる半径を有する円弧セグメントで構成することも可能である。また、長方形ではない方向転換を設けることも考えられる。製造上の理由から、方向転換部分をフライス加工する場合、一定の最小半径は常に避けられないことを理解されたい。このため、方向転換部分は、通常は円弧を含み、90度の曲げの場合、具体的に、4分の1の円とすることができる。これは、フライス加工された溝4を、例えば標準的な工具で、一度に安価に製造できることを意味する。
【0037】
残りのプリント回路基板ウェブ5の端部には、プリント回路基板プラトー2aが位置し、その上には温度センサ3が配置されている。プリント回路基板プラトー2aは、フライス加工された溝4によって完全に囲まれている。さらに、残りのプリント回路基板ウェブ5は、プリント回路基板プラトー2aの周りを1周する。フライス加工された溝4の軌跡の半径ベクトル、この場合、プリント回路基板プラトー2aの中心からフライス加工された溝4の点までのベクトルは、温度センサ3の周りを約2周し、例えば、
図1によれば、フライス加工された溝4の始まりから終わりまで約700度の角度を掃引する。代替的な実施形態では、フライス加工された溝4が、さらに短くてもよく、温度センサ3の周りを、例えば約500度または600度の角度にそれぞれ対応する1周半または1+3/4周だけ、周回するものであってもよい。
【0038】
温度測定アセンブリ1は、評価ユニット7をさらに備える。評価ユニット7は、プリント回路基板2の温度センサ3と同じ側に配置することも、反対側に配置することも可能である。温度センサ3は、導体トラック6を介して評価ユニット7に接続されている。導体トラック6は、ここでは、残りのプリント回路基板ウェブ5に沿って延びている。
【0039】
温度センサ3は、能動部品または受動部品として具現化することができる。能動温度センサ3は、通常、少なくとも3本のラインを介して評価ユニット7に接続される必要があり、一方、受動温度センサ3は、2~4本のラインを介して評価ユニット7に接続される。このため、導体トラック6は、適切な数の個々のラインを含み、それらが、残りのプリント回路基板ウェブ5において互いに隣り合って、または上下に延びている。温度センサ3として能動部品が使用される場合、温度センサ3が導体トラック5および更なる配線を介して適切なプログラマブルロジックまたはマイクロコントローラに接続されるように、評価ユニット7をプリント回路基板2の外側、例えば別のアセンブリに配置することもできる。
【0040】
図2は、電流特定アセンブリ10とシャント11とを有する電流特定デバイスを示している。この例では、シャント11が一体に形成され、接続領域11aと抵抗領域11bとを含む。ここで、接続領域11aは、例えば電力変換器の一部であり、高い直流電流または交流電流を流すバスバーに接続されるように構成されている。この目的のために、例えば、電力変換器の入力端子または半導体回路がシャント11の一端に接続可能であることによって、かつ/またはインダクタまたはリレーがシャント11の他端に接続可能であることによって、シャント11は、バスバーの中断部分を橋渡しすることができ、またはそれ自体バスバーを形成することができる。代替的または追加的には、接続領域11aを、他のタイプの通電ライン、例えばケーブルに接続するように形成することができ、当該接続領域に、隣接するコンポーネントに電気的および/または機械的に接続するための接続要素14を設けることができる。原理的には、接続領域11aが単に抵抗領域11bと隣接するコンポーネントとの間の電気的接触点を規定するように、抵抗領域11bも通電ラインに組み込むことができる。
【0041】
電流特定アセンブリ10は、プリント回路基板2と、温度センサ3と、温度センサ3の周囲に延びるフライス加工された溝4とを有する
図1に係る温度測定デバイスを備える。温度センサ3は、シャント11を向くプリント回路基板2の側、すなわちプリント回路基板2と抵抗領域11bの表面との間に配置することができる(
図3を参照)。また、温度センサ3は、シャント11とは反対側のプリント回路基板2の側、すなわち評価ユニット7と同じ側に配置することもできる(
図4を参照)。さらに、電流特定アセンブリ10は、2つの電圧タップ12を有し、それらが、電流Iの流れ方向に沿って温度センサ3の前後に配置されて、抵抗領域11bの表面に導電的に接続されている。電圧タップ12には、電圧タップ12の位置で抵抗領域11bの表面上の電位間の電圧差を検出する電圧計13が接続されている。
【0042】
評価ユニット7と組み合わせることができ、またはこれとは別に具現化することができる、評価ユニットは、ここには示されていないが、電圧計13の測定値と抵抗領域11bの電気抵抗とから、オームの法則に基づいて、シャント11を流れる電流Iの振幅を求めることが可能である。この場合、抵抗領域11bの電気抵抗は、一般に温度依存性を有する。したがって、電流強度を求める際に数学的に用いられる電気抵抗は、温度センサ3によって求められる抵抗領域11bの温度の関数として特定される。
【0043】
抵抗領域11bは、接続領域11aの断面よりも小さい断面を有する。その結果、シャント11を流れる電流Iの電流密度は、抵抗領域11bにおいて増加する。シャント11は、可能な限り低い損失のために本質的に最適化されているため、電圧計13の測定範囲内に安全に収まるように十分に高い電圧タップ12間の電圧差を生成するために、電流密度を増加させることは有利である。代替的には、または
図2に係る断面の縮小に加えて、抵抗領域11bは、接続領域11aとは異なる材料組成、例えば電気抵抗が(僅かに)増加した材料および/または電気抵抗の温度依存性が減少した材料を有することが可能である。
【0044】
図3は、抵抗領域11bに沿った
図2に係る電流特定デバイスの断面を示している。プリント回路基板2は、シャント11の表面上に平らに置かれている。温度センサ3は、プリント回路基板2のシャント11を向く側、すなわちプリント回路基板2と抵抗領域11bの表面との間に配置され、かつ抵抗領域11bの表面上に載っている。その結果、プリント回路基板2の取り付けられていない状態におけるその静止位置に対して、温度センサ3は、プリント回路基板プラトー2aがプリント回路基板2の平面の法線ベクトルに対して平行に全体高さ8aだけオフセットしているという点で、プリント回路基板2の平面に対してその全体高さ8aだけシフトしている。これが可能になるのは、プリント回路基板プラトー2aが、残りのプリント回路基板ウェブ5のみによってプリント回路基板2の残りの部分に接続されているためである。高さ8a分のプリント回路基板プラトー2aのオフセットは、プリント回路基板2の平面に対して適度な傾斜を有するプリント回路基板ウェブ5全体の弾性変形にわたって分配される。
【0045】
プリント回路基板ウェブ5の弾性変形により、温度センサ3を抵抗領域11bの表面に押し付ける復元力が発生する。同時に、電圧タップ12は、プリント回路基板2自体によって抵抗領域11bの表面に押し付けられ、その結果、電気的接触がもたらされる。代替的または追加的には、電圧タップ12は、それ自体がプリント回路基板2とシャント11との間の機械的接続も提供することができ、例えば、電圧タップ11が、プリント回路基板2およびシャント11の表面の対応する穴に押し込まれる圧入接点として形成されるものであってもよい。例えば、スプリングピン、ネジまたははんだ接続など、電圧タップ12を抵抗領域11bと電気的および/または機械的に接触させる他の方法も考えられる。
【0046】
特に、フライス加工された溝4によって可能となったプリント回路基板プラトー2aのオフセットにより、プリント回路基板2とシャント11の表面との間に温度センサ3が配置されていても、プリント回路基板2を抵抗領域11bの表面と同一平面上に配置することができる。その結果、電圧タップ12間の電圧降下を測定するために必要な電気的接続、特に電圧タップ12と電圧計13との間のラインは、抵抗領域11bの表面のすぐ近傍に延びることができ、この点で好ましくない導体ループ、特にシャント11の表面に対して垂直に向けられる導体ループをほぼ最小化することができる。
【0047】
図4は、抵抗領域11bに沿った
図2に係る電流特定デバイスの更なる実施形態の断面を示している。温度センサ3は、シャント11とは反対側のプリント回路基板2の側、すなわち評価ユニット7と同じ側に配置されている。温度センサ3が配置されたプリント回路基板プラトー2aは、抵抗領域11bの表面上に載り、例えば接着剤9aによって、シャント11に機械的に接続されている。接着剤は、熱伝導性接着剤として具現化され、高い熱伝導性に最適化され得る。熱伝導体9b、例えば銅インレイまたは少なくとも部分的に互いに接続された複数の銅層を、プリント回路基板プラトー2aに配置することができ、それにより温度センサ3の下面とプリント回路基板プラトー2aのシャント11側の面との間の熱的接続を改善することができる。
【0048】
プリント回路基板2は、シャント11の表面から特定のオフセット8bを有することができる。このオフセットは、例えば設計上の理由から、意図的に選択することができる。シャント11の表面からのプリント回路基板2の平面のオフセットも、特にプリント回路基板をシャント11上に平らに置くことによって、製造時に最小化することができるが、組立後に、特にプリント回路基板プラトー2aの位置で、例えばシャント11および/またはプリント回路基板2が変形した場合に、追加のオフセットが生じる可能性がある。特にシャント11が接続要素14によって接続領域11aに機械的に固定されている場合は、組立中または輸送中の機械的力の作用や、動作中に生じる熱膨張および/または電磁力によって、シャント11の本質的に望ましくない変形が引き起こされる可能性がある。
【0049】
プリント回路基板プラトー2aのシャント11への機械的接続により、温度センサ3は、プリント回路基板2の平面の法線ベクトルに対して平行に、プリント回路基板プラトー2aの位置で、プリント回路基板2とシャント11の表面との間の特定のオフセットと同量だけ変位する。これが可能になるのは、プリント回路基板プラトー2aが、残りのプリント回路基板ウェブ5のみによってプリント回路基板2の残りの部分に接続されているためである。シャント11の表面に対するプリント回路基板2のオフセットは、ここでは、プリント回路基板2の平面に対して適度な傾斜を有するプリント回路基板ウェブ5全体の弾性変形にわたって分配される。ここでのオフセットは、固定されたプリント回路基板レベル2aとプリント回路基板2との間に復元力を発生させ、その結果、プリント回路基板2は、シャント11の方にプリント回路基板ウェブ5によって引っ張られる。さらに、プリント回路基板ウェブ5によって、公称設置位置からのプリント回路基板2の横方向のオフセットを補償することができる。
【0050】
この場合、電圧タップ12は、例えば圧入コンタクト、スプリングピン、ネジ、プラグインまたははんだ接続などによって、抵抗領域11bに電気的および機械的に接続される。
【0051】
このように、フライス加工された溝4により、プリント回路基板2をオフセットさせることが可能となり、同時に、温度センサ3と抵抗領域11bとの間の熱的接続を確保することが可能になる。その結果、動作中に、シャント11のある程度の変形を許容することができる。代替的または追加的には、シャント11の寸法安定性に対する要件は、熱的および/または機械的境界条件に応じて、例えばシャント11を全体的に薄くし、それに対応してより経済的にすることによって、低減することができる。
【0052】
図4に示す実施形態では、温度センサ3の下面が、プリント回路基板プラトー2aを介してシャント11の抵抗領域11bに熱的に接続されている。この場合、温度センサ3は、フードによって周囲の空気から切り離すことができるため、温度センサ3の上面は、プリント回路基板2の上方の空気の流れによって影響を受けることはなく、大部分が抵抗領域のみと熱平衡状態になる。これにより、抵抗領域の温度の測定精度がさらに向上する。
【符号の説明】
【0053】
1 温度測定アセンブリ
2 プリント回路基板
2a プリント回路基板プラトー
3 温度センサ
4 フライス加工された溝
5 プリント回路基板ウェブ
6 導体トラック
7 評価ユニット
8a 全体高さ
8b オフセット
9a 接着剤
9b 熱伝導体
10 電流特定アセンブリ
11 シャント
11a 接続領域
11b 抵抗領域
12 電圧タップ
13 電圧計
14 接続要素
【国際調査報告】