IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビオテウス・インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-519412抗PD-L1およびPD-L2抗体ならびにその誘導体および用途
<>
  • 特表-抗PD-L1およびPD-L2抗体ならびにその誘導体および用途 図1
  • 特表-抗PD-L1およびPD-L2抗体ならびにその誘導体および用途 図2
  • 特表-抗PD-L1およびPD-L2抗体ならびにその誘導体および用途 図3
  • 特表-抗PD-L1およびPD-L2抗体ならびにその誘導体および用途 図4
  • 特表-抗PD-L1およびPD-L2抗体ならびにその誘導体および用途 図5
  • 特表-抗PD-L1およびPD-L2抗体ならびにその誘導体および用途 図6
  • 特表-抗PD-L1およびPD-L2抗体ならびにその誘導体および用途 図7A
  • 特表-抗PD-L1およびPD-L2抗体ならびにその誘導体および用途 図7B
  • 特表-抗PD-L1およびPD-L2抗体ならびにその誘導体および用途 図8A
  • 特表-抗PD-L1およびPD-L2抗体ならびにその誘導体および用途 図8B
  • 特表-抗PD-L1およびPD-L2抗体ならびにその誘導体および用途 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】抗PD-L1およびPD-L2抗体ならびにその誘導体および用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230428BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230428BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230428BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230428BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230428BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230428BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230428BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230428BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230428BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230428BHJP
   C07K 14/52 20060101ALI20230428BHJP
   C07K 14/005 20060101ALI20230428BHJP
   C12N 7/00 20060101ALI20230428BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20230428BHJP
   C12N 7/04 20060101ALI20230428BHJP
   C07K 1/107 20060101ALI20230428BHJP
   C07K 1/13 20060101ALI20230428BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230428BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230428BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230428BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230428BHJP
   A61K 51/10 20060101ALI20230428BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230428BHJP
   A61K 47/55 20170101ALI20230428BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20230428BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12P21/08
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K19/00
C07K14/52
C07K14/005
C12N7/00
C12N7/01
C12N7/04
C07K1/107
C07K1/13
A61K39/395 N
A61K39/395 L
A61K45/00
A61P43/00 105
A61K48/00
A61K51/10 100
A61K47/68
A61K47/55
G01N33/531 A
G01N33/574 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559528
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(85)【翻訳文提出日】2022-10-31
(86)【国際出願番号】 CN2021084196
(87)【国際公開番号】W WO2021197358
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】202010246560.0
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522383078
【氏名又は名称】ビオテウス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ミャオ,シャオニウ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ファン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チャン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA05
4B065AA90Y
4B065AA91X
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC12
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA25
4B065CA44
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF34
4C084AA12
4C084AA13
4C084AA17
4C084NA10
4C084NA14
4C084ZB211
4C085AA14
4C085AA16
4C085AA25
4C085AA27
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA40
4H045BA41
4H045BA51
4H045BA70
4H045BA71
4H045BA72
4H045CA01
4H045CA40
4H045DA01
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045EA50
4H045EA51
4H045EA54
4H045FA74
(57)【要約】
【要約】
PD-L1ナノボディ、PD-L2ナノボディおよびPD-L1ナノボディおよびPD-L2ナノボディを同時に有する二重特異性抗体を提供し、当該二重特異性抗体は、PD-1/PD-L1およびPD-1/PD-L2経路を同時に遮断することができる。本発明の二重特異性抗体は、細胞の活性を回復させ、免疫応答を増強させ、腫瘍の発生および発展に対する阻害効果をより効果的に向上させることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗PD-L2ナノボディであって、
前記PD-L2ナノボディのVHH鎖の各相補性決定領域(CDR)は、
アミノ酸配列がSEQ ID NO:57に示されるようなCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:58に示されるようなCDR2、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:59に示されるようなCDR3、または
アミノ酸配列がSEQ ID NO:60に示されるようなCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:61に示されるようなCDR2、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:62に示されるようなCDR3で構成されるか、
あるいは、前記抗PD-L2ナノボディのVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1、2、4、5、6、7、8、9、10、11、13、14、17または18に示されたとおりであることを特徴とする、前記抗PD-L2ナノボディ。
【請求項2】
抗PD-L1ナノボディであって、
前記PD-L1ナノボディのVHH鎖の各相補性決定領域(CDR)は、
アミノ酸配列がSEQ ID NO:63に示されるようなCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:64に示されるようなCDR2、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:65に示されるようなCDR3で構成されることを特徴とする、前記抗PD-L1ナノボディ。
【請求項3】
二重特異性抗体であって、
前記二重特異性抗体は、請求項2に記載の抗PD-L1ナノボディおよび請求項1に記載の抗PD-L2ナノボディを含むことを特徴とする、前記二重特異性抗体。
【請求項4】
前記二重特異性抗体は、式Iまたは式IIに示されるような構造を有するポリペプチドを含むか、または式IIIおよび式IVに示されるような構造を有するポリペプチドを同時に含み、
A-L1-Fc1-L2-B(式I)
A-L3-B-L4-Fc1(式II)
A-L5-Fc2-L6-Fc1(式III)
B-L7-Fc2(式IV)
ここで、
AおよびBは、それぞれ独立して、請求項2に記載の抗PD-L1ナノボディまたは請求項1に記載の抗PD-L2ナノボディであり、AおよびBは、異なる抗体であり、
L1、L2、L3およびL4は、それぞれ独立して、ペプチド結合またはリンカー要素であり、
Fc1、Fc2は、どちらも抗体のFcセグメントであり、ここで、Fc1は、ヒトIgGドメイン(好ましくは、LALA突然変異型IgGドメインである)であり、Fc2は、CH1+CLドメインであり、
「-」は、ペプチド結合であることを特徴とする
請求項1に記載の二重特異性抗体。
【請求項5】
単離されたポリヌクレオチドであって、
前記ポリヌクレオチドは、請求項1に記載の抗PD-L2ナノボディ、請求項2に記載の抗PD-L1ナノボディ、または請求項3に記載の二重特異性抗体をコードすることを特徴とする、前記単離されたポリヌクレオチド。
【請求項6】
ベクターであって、
前記ベクターは、請求項5に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、前記ベクター。
【請求項7】
宿主細胞であって、
前記宿主細胞は、請求項6に記載のベクターを含むか、またはそのゲノムに請求項5に記載のポリヌクレオチドがが組み込まれているか、
あるいは、前記宿主細胞は、請求項1に記載の抗PD-L2ナノボディ、請求項2に記載の抗PD-L1ナノボディ、または請求項3に記載の二重特異性抗体を発現することを特徴とする、前記宿主細胞。
【請求項8】
二重特異性抗体を生成する方法であって、
(a)適切な条件下で、請求項7に記載の宿主細胞を培養することにより、前記抗PD-L2ナノボディ、抗PD-L1ナノボディ、または二重特異性抗体を含む培養物を獲得する段階と、および
(b)段階(a)で得られた培養物を精製および/または分離して、前記抗PD-L2ナノボディ、抗PD-L1ナノボディ、または二重特異性抗体を獲得する段階とを含むことを特徴とする、前記二重特異性抗体を生成する方法。
【請求項9】
免疫コンジュゲートであって、
前記免疫コンジュゲートは、
(a)請求項1に記載の抗PD-L2ナノボディ、請求項2に記載の抗PD-L1ナノボディ、または請求項3に記載の二重特異性抗体、および
(b)検出可能な標識、薬物、毒素、サイトカイン、放射性核種、または酵素、金ナノ粒子/ナノロッド、ナノ磁性粒子、ウイルスコートタンパク質またはVLP、またはその組み合わせからなる群から選択されるカップリング部分を含むことを特徴とする、前記免疫コンジュゲート。
【請求項10】
請求項1に記載の抗PD-L2ナノボディ、請求項2に記載の抗PD-L1ナノボディ、または請求項3に記載の二重特異性抗体、または請求項9に記載の免疫コンジュゲートの用途であって、
薬剤、試薬、検出プレートまたはキットの調製に使用され、ここで、前記試薬、検出プレートまたはキットは、サンプル中のPD-L1および/またはPD-L2の検出に使用され、ここで、前記薬剤は、PD-L1(即ち、PD-L1陽性)を発現する腫瘍またはPD-L2を発現する腫瘍の治療または予防に使用されることを特徴とする、前記用途。
【請求項11】
医薬組成物であって、
(i)請求項1に記載の抗PD-L2ナノボディ、請求項2に記載の抗PD-L1ナノボディ、または請求項3に記載の二重特異性抗体、または請求項9に記載の免疫コンジュゲート、ならびに(ii)薬学的に許容されるベクターを含むことを特徴とする、前記医薬組成物。
【請求項12】
PD-L1および/またはPD-L2検出試薬であって、
前記検出試薬は、請求項9に記載の免疫コンジュゲートおよび検出学的に許容されるベクターを含むことを特徴とする、前記PD-L1および/またはPD-L2検出試薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学またはバイオ医薬品の技術分野に関し、より具体的には、抗PD-L1およびPD-L2抗体ならびにその誘導体および用途に関する。
【背景技術】
【0002】
CD279とも呼ばれるプログラム細胞死1(programmed death-1、PD-1)は、CD28ファミリーメンバーであり、その細胞質領域は、二つのチロシン残基を含み、N末端近くの一つは、免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif、ITIM)に位置し、C末端近くの一つは、免疫受容体チロシンベースのスイッチモチーフ(immunoreceptor tyrosine-based switch motif、ITSM)に位置する。PD-1は、主に活性化されたTリンパ球、Bリンパ球およびマクロファージの表面に発現する。通常の状況下で、PD-1は、Tリンパ球の機能を阻害し、Tregの機能を促進することにより、自己免疫応答を阻害し、自己免疫性疾患の発生を防止することができる。
【0003】
CD274とも呼ばれるプログラム細胞死1リガンド1(programmed death 1 ligand 1、PD-L1)は、B7ファミリーメンバーであり、PD-1のリガンドである。PD-L1は、一つのIgV様ドメイン、一つのIgC様ドメイン、一つの膜貫通疎水性ドメインおよび30個のアミノ酸からなる一つの細胞内ドメインを含む、合計290個のアミノ酸のI型膜貫通タンパク質である。
【0004】
他のB7ファミリー分子とは異なり、PD-L1は、免疫応答を負に調節する効果を有する。研究によると、PD-L1は、主に活性化されたT細胞、B細胞、マクロファージおよび樹状細胞等で発現し、リンパ球に加えて、PD-L1は、胸腺、心臓、胎盤等の様々な他の組織の内皮細胞、ならびに黒色腫、肝臓がん、胃がん、腎細胞がん、卵巣がん、結腸がん、乳がん、食道がん、頭頸部がんのような様々な非リンパ系にも発現することが分かる。PD-L1は、自己反応性T細胞、B細胞および免疫寛容の調節において幅広く、末梢組織T細胞およびB細胞応答において役割を果たす。腫瘍細胞でのPD-L1の高発現は、癌患者の予後不良に関連する。
【0005】
しかし、腫瘍の発生時において、腫瘍細胞によって発現されるPD-L1とPD-1とが結合した後に、リンパ球に対する阻害性硬化を通じて、腫瘍の免疫逃避を促進することができる。PD-L1とPD-1との結合は、様々な生物学的変化を引き起こし、免疫調節をもたらす可能性があり、例えば、リンパ球の増殖および活性化を阻害し、CD4+T細胞のTh1およびTh17細胞への分化を阻害し、炎症性サイトカインの放出等を阻害することができる。
【0006】
CD273またはB7-DCとも呼ばれるプログラム細胞死1リガンド2(programmed death 1 ligand 2、PD-L2)は、PD-1の別の重要なリガンドである。PD-1とPD-L2との相互作用は、CD4+T細胞の活性化および増殖を阻害し、サイトカインの放出を減少させ、腫瘍の免疫逃避を増加させることができる。同時に、PD-1とPD-L1およびPD-L2との相互作用を遮断することで、PD-1経路の活性化が免疫系に対する阻害を効果的に解放し、体の自己免疫系を活性化し、腫瘍を殺すことができる。
【0007】
しかしながら、これまでに、PD-L1/PD-L2を同時に標的とする二重特異性単一ドメイン抗体は、市場に公開されず、新世代抗体の診断および治療における新たな力として、単一ドメイン抗体は、高い安定性、良好な水溶性、簡単なヒト化、高い標的性、強力な浸透性等の特徴を有し、免疫実験、診断および治療において、想像を超える巨大な機能を果たしている。
【0008】
従って、PD-L1およびPD-L2を同時に標的とすることができる二重特異性単一ドメイン抗体が当技術分野で緊急に必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、PD-L1およびPD-L2を同時に標的とする二重特異性抗体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、抗PD-L2ナノボディを提供し、前記PD-L2ナノボディのVHH鎖の各相補性決定領域(CDR)は、
アミノ酸配列がSEQ ID NO:57に示されるようなCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:58に示されるようなCDR2、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:59に示されるようなCDR3、または
アミノ酸配列がSEQ ID NO:60に示されるようなCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:61に示されるようなCDR2、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:62に示されるようなCDR3で構成されるか、
あるいは、前記抗PD-L2ナノボディのVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1、2、4、5、6、7、8、9、10、11、13、14、17または18に示されたとおりである。
【0011】
別の好ましい例において、前記CDR1、CDR2およびCDR3は、VHH鎖のフレームワーク領域FR1、FR2、FR3およびFR4によって隔離される。
【0012】
別の好ましい例において、前記抗PD-L2ナノボディのVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:3(即ち、D-Na-96)、16(即ち、HZ-D-Na-96-1)、12(即ち、D-Ye-29)または15(即ち、HZ-D-Ye-29-3)に示されたとおりである。
【0013】
別の好ましい例において、前記抗PD-L2ナノボディは、ヒト化されており、前記抗PD-L2ナノボディのVHH鎖のアミノ酸配列は、16(即ち、HZ-D-Na-96-1)または15(即ち、HZ-D-Ye-29-3)に示されたとおりである。
【0014】
別の好ましい例において、前記PD-L2ナノボディは、PD-1とPD-L2との相互作用を遮断することができる。
【0015】
本発明の第2の態様は、抗PD-L1ナノボディを提供し、前記PD-L1ナノボディのVHH鎖の各相補性決定領域(CDR)は、
アミノ酸配列がSEQ ID NO:63に示されるようなCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:64に示されるようなCDR2、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:65に示されるようなCDR3等で構成される。
【0016】
別の好ましい例において、前記CDR1、CDR2およびCDR3は、VHH鎖のフレームワーク領域FR1、FR2、FR3およびFR4によって隔離される。
【0017】
別の好ましい例において、前記抗PD-L1ナノボディのVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:19(即ち、K-Yr-13&14-02)、20(即ち、K-Yr-13&14-09)、21(即ち、K-Yr-13&14-16)または22(即ち、HZ-K-Yr-13&14-02-3)に示されたとおりである。
【0018】
別の好ましい例において、前記抗PD-L1ナノボディは、ヒト化されており、前記抗PD-L1ナノボディのVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:22(即ち、HZ-K-Yr-13&14-02-3)に示されたとおりである。
【0019】
別の好ましい例において、前記PD-L1ナノボディは、PD-1とPD-L1との相互作用を遮断することができる。
【0020】
本発明の第3の態様は、二重特異性抗体を提供し、前記二重特異性抗体は、本発明の第2の態様に記載の抗PD-L1ナノボディおよび本発明の第1の態様に記載の抗PD-L2ナノボディを含む。
【0021】
別の好ましい例において、前記二重特異性抗体は、1~3個の抗PD-L1ナノボディを含み、好ましくは、1個または2個の抗PD-L1ナノボディを含む。
【0022】
別の好ましい例において、前記二重特異性抗体は、1~3個の抗PD-L2ナノボディを含み、好ましくは、1個または2個の抗PD-L2ナノボディを含む。
【0023】
別の好ましい例において、前記二重特異性抗体は、Fcセグメントをさらに含む。
【0024】
別の好ましい例において、前記二重特異性抗体のFcセグメントは、ヒトIgGドメイン、CH1+CL1ドメイン、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0025】
別の好ましい例において、前記ヒトIgGドメインは、操作された突然変異型IgGドメイン、好ましくはLALA突然変異型IgGドメインである。
【0026】
別の好ましい例において、前記二重特異性抗体は、式Iまたは式IIに示されるような構造を有するポリペプチドを含むか、または式IIIおよび式IVに示されるような構造を有するポリペプチドを同時に含み、
A-L1-Fc1-L2-B(式I)
A-L3-B-L4-Fc1(式II)
A-L5-Fc2-L6-Fc1(式III)
B-L7-Fc2(式IV)
ここで、
AおよびBは、それぞれ独立して、本発明の第2の態様に記載の抗PD-L1ナノボディまたは本発明の第1の態様に記載の抗PD-L2ナノボディであり、AおよびBは、異なる抗体であり、
L1、L2、L3およびL4は、それぞれ独立して、ペプチド結合またはリンカー要素であり、
Fc1、Fc2は、どちらも抗体のFcセグメントであり、ここで、Fc1は、ヒトIgGドメイン(好ましくは、LALA突然変異型IgGドメインである)であり、Fc2は、CH1+CLドメインであり、
「-」は、ペプチド結合である。
【0027】
別の好ましい例において、前記二重特異性抗体は、式IIIおよび式IVに示されるよう構造を有するポリペプチド配列を有し、前記式IIIに示される構造を有するポリペプチドと式IVに示される構造を有するポリペプチドとの間は、ジスルフィド結合を介してヘテロ二量体aを形成する。
【0028】
別の好ましい例において、前記二重特異性抗体は、式Iに示される構造を有するポリペプチドを有し、前記ポリペプチドは、Fc1間のジスルフィド結合の作用を介して相同性二量体iを形成する。
【0029】
別の好ましい例において、前記二重特異性抗体は、式IIに示される構造を有するポリペプチドを有し、前記ポリペプチドは、Fc1間のジスルフィド結合の作用を介して相同性二量体iiを形成する。
【0030】
別の好ましい例において、前記二重特異性抗体は、式IIIおよび式IVに示されるよう構造を有するポリペプチド配列を有し、前記式IIIに示される構造を有するポリペプチドと式IVに示される構造を有するポリペプチドの間は、Fc2間のジスルフィド結合の作用を介してヘテロ二量体aを形成し、前記ヘテロ二量体iiは、Fc1間のジスルフィド結合の作用を介して相同性二量体iiiを形成する。
【0031】
別の好ましい例において、前記PD-L1ナノボディのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:19、20、21または22、好ましくはSEQ ID NO:22に示されたとおりである。
【0032】
別の好ましい例において、前記二重特異性抗体は、他の抗PD-L2ナノボディのVHH鎖をさらに含み、前記他のPD-L2ナノボディのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18に示されたとおりである。
【0033】
別の好ましい例において、前記抗PD-L2ナノボディのVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:3、16、12または15、好ましくはSEQ ID NO:16または15に示されたとおりである。
【0034】
別の好ましい例において、前記リンカー要素の配列は、(4GS)nであり、ここで、nは、正の整数(例えば、1、2、3、4、5または6)、好ましくは、n=4である。
【0035】
別の好ましい例において、前記リンカー要素の配列は、SEQ ID NO:27に示されるか、またはSEQ ID NO:27に示される配列と≧85%(好ましくは90%、より好ましくは95%)の配列同一性を有する。
【0036】
別の好ましい例において、前記LALA突然変異型のヒトIgGドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:28に示されるか、またはSEQ ID NO:28に示される配列と≧85%(好ましくは90%、より好ましくは95%)の配列同一性を有する。
【0037】
別の好ましい例において、前記CH1ドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:29に示されるか、またはSEQ ID NO:29に示される配列と≧85%(好ましくは90%、より好ましくは95%)の配列同一性を有する。
【0038】
別の好ましい例において、前記CLドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:30に示されるか、またはSEQ ID NO:30に示される配列と≧85%(好ましくは90%、より好ましくは95%)の配列同一性を有する。
【0039】
別の好ましい例において、前記二重特異性抗体のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:23または24に示されたとおりである。
【0040】
別の好ましい例において、前記二重特異性抗体は、式IIIおよび式IVに示されるような構造を有するポリペプチドを同時に含み、ここで、前記式IIIに記載のポリペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:25に示されたとおりであり、前記式IVに記載のポリペプチドのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:26に示されたとおりである。
【0041】
本発明の第4の態様は、単離されたポリヌクレオチドを提供し、前記ポリヌクレオチドは、本発明の第1の態様に記載の抗PD-L2ナノボディ、本発明の第2の態様に記載の抗PD-L1ナノボディ、または本発明の第3の態様に記載の二重特異性抗体をコードする。
【0042】
別の好ましい例において、前記ポリヌクレオチドの配列は、SEQ ID NO:31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47または48に示されたとおりである。
【0043】
別の好ましい例において、前記ポリヌクレオチドの配列は、SEQ ID NO:33(即ち、D-Na-96)、46(即ち、HZ-D-Na-96-1)、42(即ち、D-Ye-29)または45(即ち、HZ-D-Ye-29)に示されたとおりであり、好ましくはSEQ ID NO:46または45である。
【0044】
別の好ましい例において、前記ポリヌクレオチドの配列は、SEQ ID NO:49(即ち、K-Yr-13&14-02)、50(即ち、K-Yr-13&14-09)、51(即ち、K-Yr-13&14-16)または52(即ち、HZ-K-Yr-13&14-02-3)に示されたとおりであり、好ましくはSEQ ID NO:52である。
【0045】
別の好ましい例において、前記ポリヌクレオチドの配列は、SEQ ID NO:53または54に示されたとおりである。
【0046】
別の好ましい例において、前記ポリヌクレオチドは、配列がSEQ ID NO:55に示されるような第1のポリヌクレオチドおよび配列がSEQ ID NO:56に示されるような第2のポリヌクレオチドを含む。
【0047】
本発明の第5の態様は、ベクターを提供し、前記ベクターは、本発明の第4の態様に記載のポリヌクレオチドを含む。
【0048】
別の好ましい例において、前記ベクターは、DNA、RNA、ウイルスベクター、プラスミド、トランスポゾン、他の遺伝子転移系、またはその組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、前記発現ベクターは、レンチウイルス、アデノウイルス、AAVウイルス、レトロウイルス、またはその組み合わせ等のウイルスベクターを含む。
【0049】
本発明の第6の態様は、宿主細胞を提供し、前記宿主細胞は、本発明の第5の態様に記載のベクターを含むか、またはそのゲノムには本発明の第4の態様に記載のポリヌクレオチドがが組み込まれているか、
あるいは、前記宿主細胞は、本発明の第1の態様に記載の抗PD-L2ナノボディ、本発明の第2の態様に記載の抗PD-L1ナノボディ、または本発明の第3の態様に記載の二重特異性抗体を発現する。
【0050】
別の好ましい例において、前記宿主細胞は、原核細胞または真核細胞を含む。
【0051】
別の好ましい例において、前記宿主細胞は、大腸菌、酵母細胞、哺乳動物細胞からなる群から選択される。
【0052】
本発明の第7の態様は、抗PD-L1ナノボディ、抗PD-L2ナノボディ、または二重特異性抗体を生成する方法を提供し、
(a)適切な条件下で、本発明の第6の態様に記載の宿主細胞を培養することにより、前記抗PD-L1ナノボディ、抗PD-L2ナノボディ、または二重特異性抗体を含む培養物を獲得する段階と、および
(b)段階(a)で得られた培養物を精製および/または分離して、前記抗PD-L1ナノボディ、抗PD-L2ナノボディ、または二重特異性抗体を獲得する段階とを含む。
【0053】
別の好ましい例において、前記精製は、タンパク質Aアフィニティーカラムによって精製および分離して、目的抗体を獲得することができる。
【0054】
別の好ましい例において、前記精製および分離後の目的抗体の純度は、95%を超え、96%を超え、97%を超え、98%を超え、99%を超え、好ましくは100%である。
【0055】
本発明の第8の態様は、免疫コンジュゲートを提供し、前記免疫コンジュゲートは、
(a)本発明の第1の態様に記載の抗PD-L2ナノボディ、本発明の第2の態様に記載の抗PD-L1ナノボディ、または本発明の第3の態様に記載の二重特異性抗体と、および
(b)検出可能な標識、薬物、毒素、サイトカイン、放射性核種、または酵素、金ナノ粒子/ナノロッド、ナノ磁性粒子、ウイルスコートタンパク質またはVLP、またはその組み合わせからなる群から選択されるカップリング部分とを含む。
【0056】
別の好ましい例において、前記放射性核種は、
(i)Tc-99m、Ga-68、F-18、I-123、I-125、I-131、In-111、Ga-67、Cu-64、Zr-89、C-11、Lu-177、Re-188、またはその組み合わせからなる群から選択される、診断用同位体、および/または
(ii)Lu-177、Y-90、Ac-225、As-211、Bi-212、Bi-213、Cs-137、Cr-51、Co-60、Dy-165、Er-169、Fm-255、Au-198、Ho-166、I-125、I-131、Ir-192、Fe-59、Pb-212、Mo-99、Pd-103、P-32、K-42、Re-186、Re-188、Sm-153、Ra223、Ru-106、Na24、Sr89、Tb-149、Th-227、Xe-133、Yb-169、Yb-177、またはその組み合わせからなる群から選択される、治療用同位体とを含む。
【0057】
別の好ましい例において、前記カップリング部分は、薬物または毒素である。
【0058】
別の好ましい例において、前記薬物は、細胞毒性薬である。
【0059】
別の好ましい例において、前記細胞毒性薬は、抗チューブリン薬、DNA副溝結合試薬、DNA複製阻害剤、アルキル化試薬、抗生物質、葉酸アンタゴニスト、代謝拮抗剤、化学増感剤、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイド、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0060】
特に有用な細胞毒性薬の例としては、例えば、DNA副溝結合試薬、DNAアルキル化試薬、およびチューブリン阻害剤を含み、典型的な細胞毒性薬は、例えば、アウリスタチン(auristatins)、カンプトテシン(camptothecins)、デュオカルマイシン/デュオカルマイシン(duocarmycins)、エトポシド(etoposides)、メイタンシン(maytansines)およびメイタンシノイド(maytansinoids)(例えば、DM1およびDM4)、タキサン(taxanes)、ベンゾジアゼピン(benzodiazepines)またはベンゾジアゼピン含有薬物(benzodiazepine containing drugs)(例えば、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン(PBDs)、インドリノベンゾジアゼピン(indolinobenzodiazepines)およびオキサゾリジノベンゾジアゼピン(oxazolidinobenzodiazepines))、ビンカアルカロイド(vinca alkaloids)、またはその組み合わせを含む。
【0061】
別の好ましい例において、前記毒素は、
アウリスタチン(例えば、アウリスタチンE、アウリスタチンF、MMAEおよびMMAF)、クロルテトラサイクリン(chlortetracycline)、メイタンシノール(maytansinol)、リシン毒素(ricin toxin)、リシン毒素A-鎖、コンブレタスタチン(combretastatin)、ドカルマイシン(duocarmycin)、ドラスタチン(dolastatin)、アドリアマイシン(adriamycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、パクリタキセル(paclitaxel)、シスプラチン(cisplatin)、cc1065、臭化エチジウム(ethidium bromide)、マイトマイシン(mitomycin)、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンブラスチン(vinblastine)、コルヒチン(colchicine)、ジヒドロキシアンスラキシオン(dihydroxyanthraxdione)、アクチノマイシン(actinomycin)、ジフテリア毒素(diphtheria toxin)、シュードモナス外毒素(PE)A、PE40、アブリン(abrin)、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、α-サルシナ、ゲロニン(gelonin)、マイトジェリン(mitogellin)、レトリトシン(retstrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、クリシン(curicin)、クロチン(crotin)、カリケアマイシン(calicheamicin)、サボンソウ(Sapaonaria officinalis)阻害剤、グルココルチコイド(glucocorticoid)、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0062】
別の好ましい例において、前記カップリング部分は、検出可能な標識である。
【0063】
別の好ましい例において、前記コンジュゲートは、蛍光または発光標識、放射性標識、MRI(磁気共鳴画像)またはCT(コンピューター断層撮影技術)造影剤、または検出可能な生成物を生成できる酵素、放射性核種、生物学的毒素素、サイトカイン(例えば、IL-2)、抗体、抗体Fc断片、抗体scFv断片、金ナノ粒子/ナノロッド、ウイルス粒子、リポソーム、ナノ磁性粒子、プロドラッグ活性化酵素(例えば、DT-ジアホラーゼ(DTD)またはビフェニルヒドロラーゼ-様タンパク質(BPHL))、化学療法剤(例えば、シスプラチン)から選択される。
【0064】
別の好ましい例において、前記免疫コンジュゲートは、本発明の第1の態様に記載の多価(例えば、二価)抗PD-L2ナノボディ、本発明の第2の態様に記載の抗PD-L1ナノボディ、または本発明の第3の態様に記載の二重特異性抗体を含む。
【0065】
別の好ましい例において、前記多価は、前記免疫コンジュゲートのアミノ酸配列中に複数の反復を含む、本発明の第1の態様に記載の抗PD-L2ナノボディ、本発明の第2の態様に記載の抗PD-L1ナノボディ、または本発明の第3の態様に記載の二重特異性抗体を指す。
【0066】
本発明の第9の態様は、薬剤、試薬、検出プレートまたはキットの調製に使用される、本発明の第1の態様に記載の抗PD-L2ナノボディ、本発明の第2の態様に記載の抗PD-L1ナノボディ、または本発明の第3の態様に記載の二重特異性抗体、または本発明の第8の態様に記載の免疫コンジュゲートの用途を提供し、ここで、前記試薬、検出プレートまたはキットは、サンプル中のPD-L1および/またはPD-L2の検出に使用され、ここで、前記薬剤は、PD-L1(即ち、PD-L1陽性)を発現する腫瘍またはPD-L2を発現する腫瘍の治療または予防に使用される。
【0067】
別の好ましい例において、前記免疫コンジュゲートのカップリング部分は、診断用同位体である。
【0068】
別の好ましい例において、前記試薬は、同位体トレーサー、造影剤、フロー検出試薬、細胞免疫蛍光検出試薬、ナノ磁性粒子およびイメージング剤からなる群から選択される一つまたは複数の種の試薬である。
【0069】
別の好ましい例において、前記検出サンプル中のPD-L1および/またはPD-L2の試薬は、PD-L1および/またはPD-L2分子を(インビボ)検出するための造影剤である。
【0070】
別の好ましい例において、前記検出は、インビボ検出またはインビトロ検出である。
【0071】
別の好ましい例において、前記検出は、フロー検出、細胞免疫蛍光検出を含む。
【0072】
別の好ましい例において、前記薬剤は、PD-1とPD-L1との間の相互作用を遮断するか、および/またはPD-1とPD-L2との間の相互作用を遮断するために使用される。
【0073】
別の好ましい例において、前記腫瘍は、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性脊髄症、非ホジキンリンパ腫、結腸直腸がん、乳がん、大腸がん、胃がん、肝臓がん、白血病、腎臓がん、肺がん、小腸がん、骨がん、前立腺がん、前立腺がん、子宮頸がん、リンパ腫、副腎腫瘍、膀胱腫瘍を含むが、これらに限定されない。
【0074】
本発明の第10の態様は、(i)本発明の第1の態様に記載の抗PD-L2ナノボディ、本発明の第2の態様に記載の抗PD-L1ナノボディ、または本発明の第3の態様に記載の二重特異性抗体、または本発明の第8の態様に記載の免疫コンジュゲート、および(ii)薬学的に許容されるベクターを含む、医薬組成物を提供する。
【0075】
別の好ましい例において、前記免疫コンジュゲートのカップリング部分は、薬物、毒素、および/または治療用同位体である。
【0076】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、細胞毒性薬等の腫瘍を治療するための他の薬物をさらに含む。
【0077】
別の好ましい例において、前記腫瘍を治療するための他の薬物は、パクリタキセル、ドキソルビシン(doxorubicin)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、アキシチニブ(axitinib)、レンバチニブ(lenvatinib)、ペムブロリズマブ(pembrolizumab)を含む。
【0078】
別の好ましい例において、前記薬物は、PD-1とPD-L1との間の相互作用を遮断するか、および/またはPD-1とPD-L2との間の相互作用を遮断するために使用される。
【0079】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、PD-1/PD-L1および/またはPD-1/PD-L2シグナル伝達経路を遮断するために使用される。
【0080】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、PD-L1タンパク質(即ち、PD-L1陽性)および/またはPD-L2タンパク質(即ち、PD-L2陽性)を発現する腫瘍を治療するために使用される。
【0081】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、注射剤の形態である。
【0082】
別の好ましい例において、前記医薬組成物は、腫瘍を予防および治療するための薬物の調製に使用される。
【0083】
本発明の第11の態様は、
(i)ヒトPD-L1分子および/またはPD-L2分子の検出用、(ii)フロー検出用、(iii)細胞免疫蛍光検出用、(iv)腫瘍の治療用、(v)腫瘍の診断用、(vi)PD-1とPD-L1との間の相互作用の遮断用、および/または(vii)PD-L2とPD-1との間の相互作用の遮断用からなる群から選択される本発明の第1の態様に記載の抗PD-L2ナノボディ、本発明の第2の態様に記載の抗PD-L1ナノボディ、または本発明の第3の態様に記載の二重特異性抗体の一つまたは複数の種の用途を提供する。
【0084】
別の好ましい例において、前記腫瘍は、PD-L1タンパク質(即ち、PD-L1陽性)および/またはPD-L2タンパク質(即ち、PD-L2陽性)を発現する腫瘍である。
【0085】
別の好ましい例において、前記用途は、非診断的および非治療的である。
【0086】
別の好ましい例において、前記抗体は、抗PD-L1および/またはPD-L2の抗体である。
【0087】
本発明の第12の態様は、組換えタンパク質を提供し、前記組換えタンパク質は、(i)本発明の第1の態様に記載の抗PD-L2ナノボディ、本発明の第2の態様に記載の抗PD-L1ナノボディ、または本発明の第3の態様に記載の二重特異性抗体、および(ii)発現および/または精製を協力する任意選択のタグ配列を有する。
【0088】
別の好ましい例において、前記タグ配列は、6Hisタグ、HAタグおよびFcタグを含む。
【0089】
別の好ましい例において、前記組換えタンパク質は、PD-L1および/またはPD-L2に特異的に結合する。
【0090】
本発明の第13の態様は、サンプル中のPD-L1および/またはPD-L2を検出するための方法を提供し、前記方法は、(1)サンプルと本発明の第1の態様に記載の抗PD-L2ナノボディ、本発明の第2の態様に記載の抗PD-L1ナノボディ、または本発明の第3の態様に記載の二重特異性抗体とを接触させる段階と、(2)抗原-抗体複合体を形成するかどうかを検出する段階とを含み、ここで、複合体の形成は、サンプル中にPD-L1および/またはPD-L2が存在することを示す。
【0091】
本発明の第14の態様は、疾患を治療するための方法を提供し、前記方法は、必要とする対象に本発明の第1の態様に記載の抗PD-L2ナノボディ、本発明の第2の態様に記載の抗PD-L1ナノボディ、または本発明の第3の態様に記載の二重特異性抗体、本発明の第8の態様に記載の免疫コンジュゲート,または本発明の第十態様に記載の医薬組成物を投与する段階を含む。
【0092】
別の好ましい例において、前記対象は、哺乳動物を含み、好ましくはヒトである。
【0093】
本発明の第15の態様は、PD-L1および/またはPD-L2検出試薬を提供し、前記検出試薬は、本発明の第8の態様に記載の免疫コンジュゲートおよび検出学的に許容されるベクターを含む。
【0094】
別の好ましい例において、前記免疫コンジュゲートのカップリング部分は、診断用同位体である。
【0095】
別の好ましい例において、前記検出学的に許容されるベクターは、非毒性の非活性水性ベクター媒体である。
【0096】
別の好ましい例において、前記検出試薬は、同位体トレーサー、造影剤、フロー検出試薬、細胞免疫蛍光検出試薬、ナノ磁性粒子およびイメージング剤からなる群から選択される一つまたは複数の種の試薬である。
【0097】
別の好ましい例において、前記検出試薬は、インビボ検出に使用される。
【0098】
別の好ましい例において、前記検出試薬の剤形は、液体または粉末上(例えば、水製剤、注射剤、凍結乾燥粉末、錠剤、バッカル製剤、エアロゾル製剤)である。
【0099】
本発明の第16の態様は、PD-L1および/またはPD-L2を検出するためのキットを提供し、前記キットは、本発明の第8の態様に記載の免疫コンジュゲートまたは本発明の第15の態様に記載の検出試薬、および取扱説明書を含む。
【0100】
別の好ましい例において、前記取扱説明書において、前記キットは、被験対象のPD-L1および/またはPD-L2発現を非侵襲的に検出するために使用される。
【0101】
別の好ましい例において、前記キットは、PD-L1タンパク質(即ち、PD-L1陽性)および/またはPD-L2タンパク質(即ち、PD-L2陽性)を発現する腫瘍の検出に使用される。
【発明の効果】
【0102】
本発明の範囲内で、本発明の上記の各技術的特徴と以下(例えば、実施例)に具体的に説明される各技術的特徴との間を、互いに組み合わせることにより、新しいまたは好ましい技術的解決策を構成することができることに理解されたい。スペースに限りがあるため、ここでは繰り返さない。
【図面の簡単な説明】
【0103】
図1】精製された抗PD-L2抗体とCHO-hPD-L2細胞との結合活性を示す。
図2】PD-L2とPD-1との結合に対する精製された抗PD-L2抗体遮断効果を示す。
図3】D-Na-96ヒト化抗体とCHO-hPD-L2細胞との結合活性を示す。
図4】PD-L2とPD-1との結合に対するD-Na-96ヒト化抗体の遮断効果を示す。
図5】ヒト化抗PD-L1ナノボディとCHO-hPD-L1細胞との結合活性を示す。
図6】三つの異なる形態の抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体の構造の概略図を示す。
図7A】本発明の抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体とCHO-hPD-L1細胞(図7A)またはCHO-hPD-L2細胞(図7B)との結合活性を示す。
図7B】本発明の抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体とCHO-hPD-L1細胞(図7A)またはCHO-hPD-L2細胞(図7B)との結合活性を示す。
図8A】PD-L1とPD-1との結合(図8A)およびPD-L2とPD-1との結合(図8B)に対する本発明の抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体の遮断効果を示す。
図8B】PD-L1とPD-1との結合(図8A)およびPD-L2とPD-1との結合(図8B)に対する本発明の抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体の遮断効果を示す。
図9】PDL1/PDL2/PD1/lucシグナル伝達経路に対する抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体の遮断効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0104】
本発明者らは、広範囲かつ綿密な研究、および大量のスクリーニングの後、抗PD-L1単一ドメイン抗体および抗PD-L2単一ドメイン抗体を抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体を初めて開発した。実験によると、本発明の二重特異性抗体は、PD-L1およびPD-L2分子の両方に対して良好な結合活性を有し、同時にPD-1とPD-L1との相互作用およびPD-1とPD-L2との相互作用を遮断することができ、インビトロでPD-L1/PD-1およびPD-L2/PD-1のシグナル伝達経路を同時に遮断し、下流レポーター遺伝子の発現を活性化できるため、良好な抗腫瘍活性を有することを示す。これに基づいて、本発明を完成させた。
【0105】
用語
本開示を理解しやすくするために、まず特定の用語を定義する。本発明で使用されるように、本明細書で特に明記されない限り、以下の各用語は、以下に示される意味を有するべきである。発明の全体で他の定義を説明する。
【0106】
二重特異性抗体
本明細書で使用されるように、「本発明の二重特異性抗体」、「本発明の二重抗体」、「抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体」という用語は、同じ意味を有し、どちらもPD-L1およびPD-L2を特異的に識別および結合する二重特異性抗体を指す。
【0107】
本発明は、抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体を提供し、それは、抗PD-L1単一ドメイン抗体および抗PD-L2単一ドメイン抗体を含む。
【0108】
好ましくは、本発明の二重特異性抗体は、式Iまたは式IIに示されるような構造を有するポリペプチドを含むか、または式IIIおよび式IVに示されるような構造を有するポリペプチドを同時に含み、
A-L1-Fc1-L2-B(式I)
A-L3-B-L4-Fc1(式II)
A-L5-Fc2-L6-Fc1(式III)
B-L7-Fc2(式IV)
ここで、
AおよびBは、それぞれ独立して、抗PD-L1単一ドメイン抗体または抗PD-L2単一ドメイン抗体であり、AおよびBは、異なる抗体であり、
L1、L2、L3およびL4は、それぞれ独立して、ペプチド結合またはリンカー要素であり、
Fc1、Fc2は、どちらも抗体のFcセグメントであり、ここで、Fc1は、ヒトIgGドメイン(好ましくは、LALA突然変異型IgGドメインである)であり、Fc2は、CH1+CLドメインであり、
「-」は、ペプチド結合である。
【0109】
一実施形態において、前記二重特異性抗体は、式Iに示される構造を有するポリペプチドを有し、前記ポリペプチドは、Fc1間のジスルフィド結合の作用を介して相同性二量体iを形成する。
【0110】
一実施形態において、前記二重特異性抗体は、式IIに示される構造を有するポリペプチドを有し、前記ポリペプチドは、Fc1間のジスルフィド結合の作用を介して相同性二量体iiを形成する。
【0111】
一実施形態において、前記二重特異性抗体は、式IIIおよび式IVに示されるよう構造を有するポリペプチド配列を有し、前記式IIIに示される構造を有するポリペプチドと式IVに示される構造を有するポリペプチドの間は、Fc2間のジスルフィド結合の作用を介してヘテロ二量体aを形成し、前記ヘテロ二量体iiは、Fc1間のジスルフィド結合の作用を介して相同性二量体iiiを形成する。
【0112】
本明細書で使用されるように、「単一ドメイン抗体」、「ナノボディVHH」、「ナノボディ」という用語は、同じ意味を有し、抗体重鎖の可変領域をクローニングして、一つのみの重鎖可変領域からなるナノボディ(VHH)を構築することを指し、それは、完全に機能する最小の抗原結合断片である。通常、軽鎖および重鎖の定常領域1(CH1)を天然に欠く抗体を得られた後、抗体重鎖の可変領域をクローニングして、一つのみの重鎖可変領域からなるナノボディ(VHH)を構築する。
【0113】
本明細書で使用されるように、「可変」という用語は、抗体中の可変領域の一部の配列が異なることを表し、それは、特定の抗原に対する様々な特定の抗体の結合と特異性を形成する。しかしながら、可変性は、抗体可変領域全体に均等に分布されない。それは、軽鎖および重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる三つの断片に集中される。可変領域のより保存的な部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変領域は、それぞれ四つのFR領域を含み、それらは、大まかにβシート構造であり、リンクループを形成する三つのCDRによって接続され、場合によっては部分的にβシート構造を形成することができる。各鎖のCDRは、FR領域を介して緊密に詰め込まれ、かつ別の鎖のCDRとともに、抗体の抗原結合部位(Kabatら、NIH Publ.No.91-3242、巻I、647~669頁(1991))を形成する。定常領域は、抗体と抗原との結合に直接関与しているが、抗体の抗体依存性細胞傷害への関与など、様々なエフェクター機能を示す。
【0114】
本明細書で使用されるように、「フレームワーク領域」(FR)という用語は、CDR間に挿入されたアミノ酸配列、即ち、単一の種の異なる免疫グロブリン間で比較的保存される免疫グロブリンの軽鎖および重鎖可変領域の部分を指す。免疫グロブリンの軽鎖および重鎖は、それぞれFR1-L、FR2-L、FR3-L、FR4-L和FR1-H、FR2-H、FR3-H、FR4-Hと呼ばれる四つのFRを有する。対応的に、軽鎖可変ドメインは、(FR1-L)-(CDR1-L)-(FR2-L)-(CDR2-L)-(FR3-L)-(CDR3-L)-(FR4-L)として表されることができ、重鎖可変ドメインは、(FR1-H)-(CDR1-H)-(FR2-H)-(CDR2-H)-(FR3-H)-(CDR3-H)-(FR4-H)として表されることができる。好ましくは、本発明のFRは、ヒト抗体FRまたはその誘導体であり、前記ヒト抗体FRの誘導体は、天然に存在するヒト抗体FRと実質的に同じであり、即ち、配列同一性が85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%に達する。
【0115】
CDRのアミノ酸配列を知っていれば、当業者は、フレームワーク領域FR1-L、FR2-L、FR3-L、FR4-Lおよび/またはFR1-H、FR2-H、FR3-H、FR4-Hを容易に決定することができる。
【0116】
本明細書で使用されるように、「ヒトフレームワーク領域」という用語は、天然に存在するヒト抗体のフレームワーク領域と実質的に同一(約85%またはそれ以上、具体的には、90%、95%、97%、99%または100%である)のフレームワーク領域である。
【0117】
本明細書で使用されるように、「親和性」という用語は、無傷の抗体と抗原との間の平衡結合によって理論的に定義される。本発明の二重抗体の親和性は、バイオレイヤー干渉技術(Bio-layer interferometry、BLI)等のKD値(解離定数)(または他の測定方法)によって評価または測定し、FortebioRed96機器を使用して測定および確認する。
【0118】
本明細書で使用されるように、「リンカー」という用語は、軽鎖および重鎖のドメインが交換二重可変領域免疫グロブリンに折り畳まれるのに十分な可動性を提供するために、免疫グロブリンドメインに一つまたは複数のアミノ酸残基を挿入することを指す。
【0119】
当業者に知られているように、免疫コンジュゲートおよび融合発現生成物は、薬物、毒素、サイトカイン(cytokine)、放射性核種、酵素および他の診断または治療分子と本発明の抗体またはその断片と結合することによって形成されたコンジュゲートを含む。本発明は、前記PD-L1/PD-L2二重特異性抗体またはその断片に結合する細胞表面標識または抗原をさらに含む。
【0120】
本明細書で使用されるように、「可変領域」および「相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)」は、交換可能に使用される。
【0121】
本発明の好ましい実施形態において、前記抗体の重鎖可変領域は、三つの相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む。
【0122】
本発明の好ましい実施形態において、前記抗体の重鎖は、上記の重鎖可変領域および重鎖定常領域を含む。
【0123】
本発明において、「本発明の抗体」、「本発明のタンパク質」、または「本発明のポリペプチド」という用語は、交換可能に使用され、すべて、重鎖可変領域を有するタンパク質またはポリペプチド等、PD-L1および/またはPD-L2タンパク質に特異的に結合するポリペプチドを指す。それらは、初期メチオニン(methionine)を含むか、または含まない場合がある。
【0124】
本発明は、本発明の抗体を有する他のタンパク質または融合発現生成物を提供する。具体的には、当該可変領域が本発明の抗体の重鎖可変領域と同じであるか、または少なくとも90%相同性、好ましくは少なくとも95%相同性である限り、本発明は、可変領域含有重鎖を有する任意のタンパク質またはタンパク質コンジュゲートおよび融合発現生成物(即ち、免疫コンジュゲートおよび融合発現生成物)を含む。
【0125】
一般的に、抗体の抗原結合特性は、可変領域(CDR)と呼ばれる重鎖の可変領域の三つの特定の領域によって説明されることができ、当該セグメントは、四つのフレームワーク領域(FR)に分かれ、四つのFRのアミノ酸配列は、比較的に保存的である、結合反応に直接関与しない。これらのCDRは、環状構造を形成し、その間のFRが形成するβシートは、空間的に接近し、重鎖のCDRト対応する軽鎖のCDRとは、抗体の抗原結合部位を構成する。同じタイプの抗体のアミノ酸配列を比較することによって、FRまたはCDR領域を構成するアミノ酸を確認することができる。
【0126】
本発明の抗体の重鎖の可変領域は、それらの少なくともいくつかが抗原との結合に関与するため、特に興味深い。従って、CDRが本明細書で同定されたCDRと90%以上(好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上)の相同性である限り、本発明は、CDRを有する抗体重鎖可変領域を有する分子を含む。
【0127】
本発明は、完全な抗体だけでなく、免疫活性を有する抗体の断片または抗体と他の配列とで形成された融合タンパク質をさらに含む。従って、本発明は、前記抗体の断片、誘導体および類似物をさらに含む。
【0128】
本明細書で使用されるように、「断片」、「誘導体」および「類似体」という用語は、本発明の抗体と基本的に同じ生物学機能または活性を保持するポリペプチドを指す。本発明のポリペプチド断片、誘導体または類似体は、(i)一つのまたは複数の保存的または非保存性的アミノ酸残基(好ましくは、保存的アミノ酸残基)が置換されたポリペプチド(このように置換されたアミノ酸残基は、遺伝暗号によってエンコードされる場合とされない場合であり得る)、または(ii)一つのまたは複数のアミノ酸残基に置換基を有するポリペプチド、または(iii)成熟ポリペプチドと別の化合物(例えば、ポリエチレングリコール等のポリペプチドの半減期を延長する化合物)との融合によって形成されるポリペプチドまたは(iv)追加のアミノ酸配列がポリペプチド配列に融合されることによって形成されたポリペプチド(例えば、リーダー配列または分泌配列またはこのポリペプチドを精製するための配列またはタンパク質配列または6Hisタグで形成された融合タンパク質)であり得る。本明細書の教示によると、これらの断片、誘導体および類似体は、当業者の周知の範囲内である。
【0129】
本発明の抗体は、PD-L1および/またはPD-L2タンパク質結合活性を有する二重抗体を指す。当該用語は、本発明の抗体と同じ機能を有する同じCDR領域を含むポリペプチドの変異系チアをさらに含む。これらの変異形態(これらに限定されない)は、一つまたは複数(通常は、1~50個、好ましくは、1~30個、より好ましくは、1~20個、最も好ましくは、1~10である)のアミノ酸の欠失、挿入および/または置換、およびC末端および/またはN末端での一つまたは複数(通常は、20個以下、好ましくは、10個以下、より好ましくは、5個以下である)のアミノ酸の追加を含む。例えば、この分野において、通常、性能が同様または類似のアミノ酸を使用して置換する場合、タンパク質の機能を変更しない。別の例として、C末端および/またはN末端での一つまたは複数のアミノ酸の追加も、通常、タンパク質の機能を変更しない。当該用語は、本発明の抗体の活性断片および活性誘導体をさらに含む。
【0130】
当該ポリペプチドの変異形態は、相同配列、保存的変異体、対立遺伝子変異体、天然突然変異体、誘導突然変異体、高いまたは低いストリンジェンシー条件下で本発明の抗体のコーティングDNAとハイブリダイズすることができるDNAによってコードされるタンパク質、および本発明の抗体に対する抗血清を使用することによって得られるポリペプチドまたはタンパク質を含む。
【0131】
本発明は、単一ドメイン抗体またはその断片を含む融合タンパク質等の他のポリペプチドをさらに提供する。ほぼ全長のポリペプチドに加えて、本発明は、本発明の単一ドメイン抗体の断片をさらに提供する。通常、当該断片は、本発明の抗体の少なくとも約50個の連続アミノ酸、好ましくは少なくとも約50個の連続アミノ酸、より好ましくは少なくとも約80個の連続アミノ酸、最も好ましくは少なくとも約100个連続アミノ酸を有する。
【0132】
本発明において、「本発明の抗体の保存的変異体」とは、本発明の抗体のアミノ酸配列と比較して、最大で10個、好ましくは、最大で8個、より好ましくは、最大で5個、最も好ましくは、最大で3個のアミノ酸が同様または類似の性質を有するアミノ酸の置換によって形成されたポリペプチドを指す。これらの保存性変異体ポリペプチドは、表Aに従って、アミノ酸置換を行うことにより生成されるのが最もよい。
【0133】
【表A】


本発明は、前記抗体またはそのフラグメントまたはその融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド分子をさらに提供する。本発明のポリヌクレオチドは、DNA形態またはRNA形態であり得る。DNA形態は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAを含む。DNAは、一本鎖または二本鎖であり得る。DNAは、コード鎖または非コード鎖であり得る。
【0134】
本発明の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、成熟ポリペプチドのみをコードするコード配列、成熟ポリペプチドのコード配列および様々な追加のコード配列、成熟ポリペプチドのコード配列(および任意の追加のコード配列)および非コード配列を含む。
【0135】
「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」という用語は、このポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むか、または追加のコード配列および/または非コード配列を含むポリヌクレオチドをさらに含む。
【0136】
本発明は、前記配列とハイブリダイズし、二つの配列間で少なくとも50%、好ましくは、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するポリヌクレオチドにさらに関する。本発明は、特に、ストリンジェント条件下で本発明の前記ポリヌクレオチドとハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドに関する。本発明において、「ストリンジェント条件」とは、(1)例えば、0.2×SSC、0.1%SDS、60°C等のより低いイオン強度およびより高い温度でのハイブリダイズおよび溶出、または(2)ハイブリダイズ中に、例えば、50%(v/v)ホルムアミド(formamide)、0.1%子牛血清/0.1%フィコール(Ficoll)、42°C等の変性剤の添加、または(3)二つの配列間の同一性が少なくとも90%以上、より好ましくは、95%以上である場合にのみおこるハイブリダイズを指す。さらに、ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、成熟ポリペプチドと同じ生物学的機能および活性を有する。
【0137】
本発明の抗体の全長ヌクレオチド配列またはそのフラグメントは、通常、PCR増幅法、組換え法または人工合成法によって得ることができる。特にフラグメントの長さが短い場合、実行可能な方法は、人工合成法を使用して関連する配列を合成することである。一般に、最初に複数の小さなフラグメントを合成した後、接続して非常に長い配列のフラグメントを獲得する。さらに、重鎖のコード配列および発現タグ(例えば、6His)を融合させて、融合タンパク質を形成することができる。
【0138】
関連する配列を得られたら、組換え法を使用して、関連する配列を大領に得ることができる。通常、これは、それをベクターにクローニングし、次に細胞に移し、次に従来の方法によって増殖した宿主細胞から関連する配列を単離することによって行われる。本発明に関与する生体分子(核酸、タンパク質等)は、単離された形態で存在する生体分子を含む。
【0139】
現在、完全に科学的合成によって本発明のタンパク質(またはそのフラグメントまたはその誘導体)をコードするDNA配列を得ることができる。次に、当該DNA配列を当技術分野で知られている様々な既存のDNA分子(またはベクター等)および細胞に導入することができる。さらに、化学的合成によって突然変異を本発明のタンパク質配列に導入することができる。
【0140】
本発明は、前記適切なDNA配列および適切なプロモーターまたは制御配列を含むベクターにさらに関する。これらのベクターは、タンパク質を発現できるように適切な宿主細胞に形質転換するために使用されることができる。
【0141】
宿主細胞は、例えば、細菌細胞等の原核細胞、または例えば、酵母細胞等の下等真核細胞、または例えば、哺乳動物細胞等の上等真核細胞であり得る。代表的な例としては、大腸菌、ストレプトマイセス、チャイニーズハムスター菌(Salmonella typhimurium)の細菌細胞、酵母などの真菌細胞、ドロソフィラS2またはSf9の昆虫細胞、CHO、COS7および293細胞の動物細胞等を含む。
【0142】
組換えDNAによる宿主細胞の形質転換は、当業者に周知の従来の技術によって実施することができる。宿主が大腸菌などの原核生物である場合、DNA吸収することができるコンピテント細胞は、指数増殖期の後にCaCl法で処理されることによって獲得され、使用される段階は、当技術分野でよく知られている。別の方法は、MgClを使用することである。必要に応じて、エレクトロポレーションの方法によって、形質転換を行うこともできる。宿主が真核生物である場合、リン酸カルシウム共沈法,マイクロインジェクションおよびエレクトロポレーション等の従来の機械的方法、リポソームパッケージ等のようなDNAトランスフェクション方法を選択することができる。
【0143】
得られた形質転換体を従来の方法で培養して、本発明の遺伝子がコードするポリペプチドを発現させることができる。使用される宿主細胞に応じて、培養に使用される培地は、様々な従来の培地から選択することができる。宿主細胞の増殖に適した条件下で培養する。宿主細胞が適切な細胞密度まで増殖した後、適切な方法(例えば、温度変換または化学的誘導)を使用して選択されたプロモーターを誘導し、細胞を一定期間さらに培養する。
【0144】
前記方法における組換えポリペプチドは、細胞内、または細胞膜で発現されるか、または細胞外に分泌されることができる。必要に応じて、物理的、化学的およびその他の特性を使用して、様々な単離方法で組換えされたタンパク質を単離および精製することができる。これらの方法は、当業者によく知られている。これらの方法の例は、従来の再生処理、タンパク質沈殿剤による処理(塩析法)、遠心分離、浸透圧滅菌、超処理、超遠心分離、モレキュラーシーブクロマトグラフィー(ゲルろ過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、高速液相クロマトグラフィー(HPLC)および他の様々な液体クロマトグラフィー技術ならびにこれらの方法の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0145】
本発明の抗体は、単独で使用することができ、検出可能な標識(診断目的のために)、治療剤、PK(プロテインキナーゼ)修飾部分または上記のこれらのいずれかの物質の組み合わせと結合またはカップリングすることができる。
【0146】
診断目的の検出可能なマーカーは、蛍光または発光マーカー、放射性マーカー、MRI(核磁気共鳴画像法)またはCT(コンピュータ断層撮影技術)造影剤、または検出可能な生成物を生成することができる酵素を含むが、これらに限定されない。
【0147】
本発明の抗体と結合またはカップリングすることができる治療剤は、1.放射性核種、2.生物学的毒素、3.IL-2等のサイトカイン、4.金ナノ粒子/ナノロッド、5.ウイルス粒子、6.リポソーム、7.ナノ磁性粒子、8.プロドラッグ活性化酵素(例えば、DT-ジアホラーゼ(DTD)またはビフェニルヒドロラーゼ-様タンパク質(BPHL))、9.化学療法剤(例えば、シスプラチン)または任意の形態のナノ粒子等を含むが、これらに限定されない。
【0148】
医薬組成物
本発明は、組成物をさらに提供する。好ましくは、前記組成物は、上記の抗体またはその活性断片またはその融合タンパク質、および薬学的に許容されるベクターを含む、医薬組成物である。一般に、これらの物質を、毒性がなく、不活性で、薬学的に許容される水性ベクター媒体で処方することができ、ここで、pHは、通常、約5~8、好ましくは、約6~8であり、pH値は、処方される物質の性質および治療される病症によって異なる。処方された医薬組成物は、従来の経路で投与されることができ、ここで、腫瘍内、腹腔内、静脈内、または局所投与等を含む(これらに限定されない)。
【0149】
本発明の医薬組成物は、PD-L1および/またはPD-L2タンパク質分子に結合するために直接使用することができるため、腫瘍を治療するために使用されることができる。さらに、他の治療剤と同時に使用されることができる。
【0150】
本発明の医薬組成物は、安全かつ有効量(例えば、0.001~99wt%、好ましくは0.01~90wt%、より好ましくは0.1~80wt%)の本発明の上記の単一ドメイン抗体(またはそのコンジュゲート)および薬学的に許容されるベクターまたは賦形剤を含む。このようなベクターは、生理食塩水、緩衝液、グルコース、水、グリセリン(glycerine)、エタノール(ethanol)、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。薬物製剤は、投与方法と一致する必要がある。本発明の医薬組成物は、例えば、生理食塩水またはグルコースと他のアジュバントとを含む水溶液を使用して、従来の方法によって注射の形態で調製することができる。注射剤および溶液等の医薬組成物は、無菌条件下で調製する必要がある。有効成分の投与量は、治療有效量であり、例えば、毎日の約10μg/kg体重~約50mg/kg体重である。さらに、本発明のポリペプチドは、他の治療剤とともに使用することもできる。
【0151】
医薬組成物を使用する場合、安全かつ有効な量の免疫コンジュゲートが哺乳動物に陽よされ、ここで、当該安全かつ有効な量は、通常、少なくとも約10μg/kg体重であり、ほとんどの場合、約50mg/kg体重を超えなく、好ましくは、当該投与量は、約10μg/kg体重~約10mg/kg体重である。もちろん,具体的な投与量は、投与経路および患者の健康状態等の要因を考慮する必要があり、これらは、すべて熟練した医師のスキル範囲内にある。
【0152】
標識された抗体
本発明の好ましい例において、前記抗体は、検出可能な標識を有する。より好ましくは、前記標識は、同位体、コロイド金標識、着色標識または蛍光標識からなる群から選択される。
【0153】
コロイド金標識は、当業者に知られている方法を使用して行うことができる。本発明の好ましい解決策において、PD-L1/PD-L2二重特異性抗体は、コロイド金で標識して、コロイド金標識抗体を得ることができる。
【0154】
検出方法
本発明は、PD-L1および/またはPD-L2タンパク質を検出するための方法にさらに関する。当該方法の段階は、大まかに次のとおりである:細胞および/または組織サンプルを獲得し、サンプルを媒体に溶解し、前記溶解されたサンプル中のPD-L1および/またはPD-L2タンパク質のレベルを検出する。
【0155】
本発明の検出方法において、使用されるサンプルは、特に限定されず、代表的な例としては、細胞保存液に存在する細胞含有サンプルである。
【0156】
キット
本発明は、本発明の抗体(またはその断片)または検出プレートを含むキットをさらに提供し、本発明の好ましい例において、前記キットは、容器、取扱説明書、緩衝剤等をさらに含む。
【0157】
本発明は、PD-L1および/またはPD-L2レベルを検出するための検出キットをさらに提供し、当該キットは、PD-L1および/またはPD-L2タンパク質を識別する抗体、サンプルを溶解する溶解媒体、例えば様々な緩衝液、検出標識、検出基質等の検出に必要な一般的な試薬および緩衝液等を含む。当該検出キットは、インビトロ診断装置であり得る。
【0158】
適用
上記のように、本発明の単一ドメイン抗体は、幅広い生物学的適用価値および臨床的適用価値を有し、その適用は、PD-L1および/またはPD-L2に関連する疾患の診断および治療、基礎医学研究、生物学的研究等の多数の分野に関する。好ましい適用は、腫瘍治療等のPD-L1および/またはPD-L2に対する臨床診断および標的治療である。
【0159】
本発明の主な利点は、次のとおりである。
【0160】
(1)本発明のナノボディは、正しい空間構造を有するヒトPD-L1タンパク質に対して高度に特異的である。
【0161】
(2)本発明のナノボディは、正しい空間構造を有するヒトPD-L2タンパク質に対して高度に特異的である。
【0162】
(3)本発明のナノボディの親和性は、強い。
【0163】
(4)本発明のナノボディの製造が、容易である。
【0164】
(5)本発明は、PD-L1/PD-1およびPD-L2/PD-1の相互作用を同時に遮断し、免疫阻害を解除し、体の免疫系を活性化して腫瘍を殺すことができる。
【0165】
以下、本発明は、具体的実施例と併せてされに説明される。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以下の実施例において、具体的条件を示さない実験方法は、通常、例えば、Sambrookら、分子クローニング:実験マニュアル(New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989)に記載される条件等の従来の条件、またはメーカーによって提案された条件に従う。特に明記されない限り、パーセンテージおよび部数は、重量パーセンテージおよび重量部数で計算される。
【0166】
【表B】







実施例1:抗ヒトPD-L2ナノボディ
1.1.ナノボディライブラリーの構築
動物免疫化
1mgのヒトPD-L2抗原(AcroBiosystemsから購入)を等量のフロイントアジュバントと混合し、2匹のラマ(Llama)を週1回、合計4回免疫し、B細胞を剌激して抗原特異的なナノボディを発現させる。4回免疫後、50mlのラマ末梢血を抽出し、リンパ球分離液で分離してリンパ球を得る。RNA抽出試薬Trizol(Invitrogenから購入)を使用して全RNAを抽出する。cDNA合成キット(Invitrogenから購入)によって逆転写して、ラマ全cDNAを獲得する。
【0167】
ナノボディ遺伝子増幅
1回目のPCRにおいて、cDNAからIgG2、IgG3配列が増幅される。
【0168】
【表1】


PCR生成物をアガロースゲル電気泳動に供し、ゲルを切断することによって750bpでの断片を回収して、2回目のVHH配列増幅に使用する。2回目のPCR増幅プライマーは、次のとおりである。
【0169】
【表2】


2回目のPCR生成物を鋳型として、3回目のPCRを行い、VHH遺伝子に相同性アームを加える。3回目のPCR増幅プライマーは、次のとおりである。
【0170】
【表3】

PCR精製キット(QIAGENから購入)を用いて目的断片を回收する。
【0171】
ライブラリー構築
線形化された酵母ディスプレイベクターと3回目のPCR生成物を混合した後にサッカロマイセスセンビシエ(ATCCから購入)に電気形質転換し、2匹の動物から抗PD-L2ナノボディライブラリーを構築し、かつライブラリーの容量を測定し、ライブラリーの用量の大きさは、それぞれ4.47×10および4.14×10である。
【0172】
1.2.PD-L2ナノボディのスクリーニング
ヒトPD-L2タンパク質のビオチン化標識
適切な体積の再蒸留水を取り、ヒトPD-L2タンパク質(AcroBiosystemsから購入)を溶解し、ビオチン標識キット(Thermoから購入)の製品取扱説明書に従う,ビオチンを溶解した後にタンパク質溶液と混合し、4℃下で2時間インキュベートする。脱塩カラム(Thermoから購入)で余分なビオチンを除去し、脱塩カラムの前処理およびサンプル収集操作は、製品取扱説明書の手順を参照する。
【0173】
PD-L2特異的に結合できる酵母を濃縮するMACS
実施例1.2で構築したVHHライブラリーをSD-CAA増幅培地(1L SD-CAA増幅培地は、6.7gのYNB、5gのチロシン、13.62gのNaHPO・12HO、7.44gのNaHPOおよび2%グルコースを含む)に接種し、接種した酵母細胞の数は、>10×ライブラリー容量(初期増幅濃度=0.5OD600/ml)であり、30℃下で、225rpmで一晩培養する。10×ライブラリーの容量の酵母細胞を取り、3000rpm×5minで遠心分離して(以下の遠心分離操作も同様)培地を除去し、SD-CAA誘導培地で酵母細胞を再懸濁し、初期濃度を0.5OD600/mlに調整し、一晩誘導する。誘導後のライブラリー濃度を測定し、10×ライブラリーの容量の酵母細胞を取り、遠心分離して培地を除去する。50mlの洗浄液(PBS+0.5%BSA+2mMのEDTA)で酵母細胞を再懸濁し、遠心分離して上清を除去する。10mlの洗浄液で酵母細胞を再懸濁する。
【0174】
ビオチン標識PD-L2タンパク質(最終濃度100mM)を加え、室温下で30分間インキュベートし、遠心分離して酵母細胞を収集し、50mlの洗浄液で酵母を3回洗浄する。5mlの洗浄液で酵母細胞を再懸濁し、200μlのSA磁気ビーズ(Miltenyiから購入)を加え、転倒して10分間インキュベートする。洗浄液で酵母および磁気ビーズの混合物を3回洗浄し、混合物をLS精製カラム(Miltenyiから購入)に加える。LS精製カラムを磁気スタンドに置き、洗浄液で洗浄して非特異的に結合した酵母細胞を除去する。精製カラムを磁気スタンドから取り出し、洗浄液を加えて酵母を溶出する。溶出した酵母を遠心分離した後に200mlのSD-CAA増幅培地に移して増幅する。
【0175】
高親和性酵母細胞を獲得するためのフローサイトメトリー
MACSによって濃縮された酵母細胞をSD-CAA増幅培地に接種し、初期増幅濃度=0.5OD600/mlである。30℃下で、225rpmで振とうフラスコを一晩培養する。SD-CAA誘導培地(1LのSD-CAA誘導培地は、6.7gのYNB、5gのチロシン、13.62gのNaHPO・12HO、7.44gのNaH2PO4ならびに2%ガラクトース、2%ラフィノースおよび0.1%グルコースを含む)で酵母細胞を再懸濁し、初期濃度は、0.5OD600/mlであり、一晩誘導する。1:200で希釈した抗-c-Mycマウス抗体(Thermoから購入)および100nMのビオチン標識PD-L2抗原を加え、室温下で10分間インキュベートする。PBSを加えて酵母を3回洗浄し、1:500で希釈したヤギ抗マウスIgG(H+L)Alexa Fluor Plus 488蛍光抗体(Invitrogenから購入)およびストレプトアビジンAPCコンジュゲート蛍光抗体(Invitrogenから購入)を加え、4℃下で暗所で15分間インキュベートする。2mlのPBSを加えて細胞を再懸濁し、BD FACSAriaII機器を用いてソーティングして、PD-L2抗原への結合能の高い酵母を獲得する。
【0176】
PD-L2ナノボディ候補分子の抗体遺伝子の抽出
MACSおよびFACS濃縮によって得られたPD-L2抗原に対する結合能の高い酵母液を、SD-CAA増幅培地で30℃下で、225rpmで一晩培養し、酵母プラスミド抽出キット(Tiangenから購入)に従って酵母プラスミドを抽出する。プラスミドをTop10コンピテント細胞(Tiangenから購入)に電気形質転換し、アンピシリン耐性プレートでコーティングし、37℃下で一晩培養する。シーケンシング用の単一クローンを選択してVHH遺伝子配列を獲得する。
【0177】
1.3.重鎖抗体の構築、発現および精製
pCDNA3.1発現ベクターへの抗体遺伝子の構築
VHH遺伝子配列は、ヒトIgG1(LALA突然変異)Fcセグメントに連結され、相同性リコンビナーゼを使用して、(Vazymeから購入)およびEcoR I/Not I二重制限酵素で線形化されたpCDNA3.1ベクターで構築され、プロセスは、製品取扱説明書に従う。相同性組換え生成物をTop10コンピテント細胞に形質転換し、アンピシリン耐性プレートでコーティングし、37℃下で一晩培養し、シーケンシング用の単一クローンを選択し、プラスミドを抽出する。
【0178】
細胞トランスフェクションおよびタンパク質精製
ExpiCHOTM発現システムキット(Thermoから購入)を使用して、抽出したプラスミドをExpi-CHO細胞に導入し、トランスフェクション方法は、製品取扱説明書に従い、細胞を5日間培養した後に上清を収集し、タンパク質A磁気ビーズ(GenScriptから購入)ソーティング法で目的タンパク質を精製する。磁気ビーズを適切な体積の結合緩衝液(PBS+0.1%トゥイーン20、pH7.4)で再懸濁(1~4倍の磁気ビーズの体積)した後に精製するサンプルに加え、室温下で穏やかに振とうしながら1時間インキュベートする。サンプルを磁気スタンド(Beaverから購入)に置き、上清を捨て、磁気ビーズを結合緩衝液で3回洗浄する。磁気ビーズ体積の3~5倍の体積で溶出緩衝液(0.1Mクエン酸ナトリウム、pH3.2)を加え、室温下で5~10分間振とうし、磁気スタンドに戻し、溶出緩衝液を収集し、中和緩衝液(1MのTris、pH8.54)を加えたコレクションチューブに収集し、均一に混合して、目的タンパク質を獲得する。
【0179】
1.4.精製抗PD-L2抗体与ヒトPD-L2結合
ヒトPD-L2 cDNA(Sino Biologicalから購入)をクローニングするpCHO1.0ベクター(Invitrogenから購入)をトランスフェクションによって、ヒトPD-L2を過剰発現するCHO細胞(CHO-hPD-L2細胞)を生成する。拡大培養したCHO-hPD-L2細胞を2×10細胞/mlの細胞密度に調整し、100μl/ウェルを96ウェルフロープレートに加え、遠心分離して備蓄する。精製したPD-L2抗体をPBSで希釈し、1000nMから初めて3倍で合計12ポイントを希釈し、上記の希釈したサンプル100μl/ウェルを上記の細胞含有96ウェルフロープレートに加え、4℃下で30分間インキュベートし、PBSで2回洗浄する。PBSで100倍希釈したヤギF(ab’)2抗ヒトIgG-Fc(PE)(Abcamから購入)を100μl/ウェル加え、4℃下で30分間インキュベートし、PBSで2回洗浄する。100μl/ウェルをPBSに加えて細胞を再懸濁し、CytoFlex(Bechman)フローサイトメーターで検出し、かつ対応するMFIを計算する。
【0180】
上記の方法の測定実験において、実験結果は、図1に示されたとおりであり、本発明のすべての精製サンプルおよびCHO-hPD-L2細胞は、結合活性を有する。
【0181】
1.5.PD-L2抗体親和性の測定
ForteBio親和性測定は、既存の方法(Estep、Pら、ハイスループット法に基づく抗体-抗原親和性とエピトープとの結合の測定.MAbs、2013.5(2):p.270-8)に従って実行される。簡単に言えば、センサーは、分析緩衝液で30分間オフラインで平衡化し、次に60秒間オンラインで検出してベースラインを構築し、上記で得られた精製抗体をAHQセンサーにオンラインでロードされる。センサーを100nMのPD-L2抗原に5分間入れ、その後センサーをPBSに移して5分間解離させる。1:1結合モデルを使用して動態学的分析を実行する。
【0182】
【表4】


1.6.PD-L2とPD-1との結合を遮断する精製抗PD-L2抗体
ヒトPD-1 cDNA(Sino Biologicalから購入)をクローニングしたpCHO1.0ベクター(Invitrogenから購入)トランスフェクションによって、ヒトPD-1を過剰発現するCHO細胞(CHO-hPD-1細胞)を生成する。拡大培養したCHO-hPD-1細胞を2×10細胞/mlの細胞密度に調整し、100μl/ウェルを96ウェルフロープレートに加え、遠心分離して備蓄する。精製した突然変異サンプルをPBSで希釈し、1000nMから3倍で合計12ポイントを希釈し、96ウェルサンプル希釈プレートに上記の希釈サンプル60μl/ウェルを加え、同時に60μl/ウェルにビオチン化ヒトPD-L2タンパク質(AcroBiosystemsから購入)を加え、最終濃度は、1μg/mlであり、4℃下で精製サンプルを30分間インキュベートする。100μl/ウェルの共培養サンプルを、細胞含有上記の96ウェルフロープレートに加え、4℃下で30分間インキュベートし、PBSで2回洗浄する。PBSで100倍希釈した100μl/ウェルのAPCヤギ抗マウスIgG(最小×反応性)抗体(Biolegendから購入)を加え、4℃下で30分間インキュベートし、PBSで2回洗浄する。100μl/ウェルをPBSに加えて細胞を再懸濁し、CytoFlex(Bechman)フローサイトメーターで検出し、かつ対応するMFIを計算する。
【0183】
上記の方法の測定実験において、実験結果如図2に示されたとおりであり、本発明のすべての精製サンプルは、PD-L2とPD-1との結合を遮断することができる。
【0184】
1.7.PD-L2抗体ヒト化の構築
ヒトインビボにおけるモノクローナル抗体の免疫原性の生成を減少させるために、D-NA-96およびD-Ye-29抗体をヒト化する。ヒト化方法は、VHHヒト化一般フレームワーク移植法を使用し、同時に文献(Vincke、C.ら、ヒト化ラクダ単一ドメイン抗体および一般的なヒト化ナノボディ足場を同定する一般的戦略、J Biol Chem 284(5):3273-3284)で報告された方法に従って、抗体フレームワーク2(framework2)の部分アミノ酸を完全に突然変異させる。
【0185】
この研究では、IMGT(http://www.imgt.org)によって、D-NA-96、D-Ye-29およびヒト化配列のヒト化レベルを評価し、結果は、表5に示されたとおりであり、ヒト化後のすべてのサンプルヒト化レベルは、すべて80%を超え、後期の薬物開発の要件を満たす。
【0186】
【表5】


タンパク質の構築、発現および精製方法は、実施例1.3と同じであり、HPLCを使用して得られたタンパク質の純度を検出する。HPLC方法は、次のとおりである。移動相:150mMのNaHPO・12HO、pH7.0。クロマトグラフィー条件:検出波長:280nm、カラム温度:25℃、流速:0.35ml/min、検出時間:20分間、Zenix-C SEC-300クロマトグラフィーカラム(SEPAX 4.6×300mm、3μm)。
【0187】
【表6】


1.8.D-Na-96ヒト化サンプルとヒトPD-L2との結合
この実験では、精製されたD-Na-96ヒト化サンプルとCHO-hPD-L2細胞との結合活性を検出し、実験方法は、実施例1.4と同じであり、実験結果は、図3に示されたとおりであり、D-Na-96ヒト化サンプルは、CHO-hPD-L2細胞に対して良好な結合活性を有し、レベルは、D-Na-96に匹敵する。
【0188】
1.9.D-Na-96/D-Ye-29ヒト化サンプルの親和性測定
この実験は、精製されたD-Na-96/D-Ye-29ヒト化サンプルとヒトPD-L2との結合親和性を検出し、実験方法は、実施例1.5と同じであり、実験結果は、表7に示されたとおりであり、D-Na-96/D-Ye-29ヒト化サンプルは、ヒトPD-L2タンパク質に対して良好な結合活性を有する。
【0189】
【表7】

1.10.PD-L2とPD-1との結合を遮断するD-Na-96ヒト化サンプル
この実験では、PD-L2とPD-1との結合を遮断する精製されたD-Na-96ヒト化サンプルを検出し、実験方法は、実施例1.6と同じであり、実験結果は、図4に示されたとおりであり、本発明のすべてのヒト化サンプルは、PD-L2とPD-1との結合を遮断することができ、遮断レベルは、D-Na-96に匹敵する。
【0190】
実施例2:抗ヒトPD-L1ナノボディの開発
2.1.ナノボディライブラリーの構築
動物免疫化
lmgのヒトPD-L1抗原(AcroBiosystemsから購入)を等量の与フロイントアジュバントと混合し、2匹のラマ(LlamaおよびAlpacaは、それぞれ1匹)を免疫氏、それぞれ1、2、3、5、7週目に動物を免疫し、B細胞を剌激して抗原特異的なナノボディを発現させる。5回免疫後、300mlのラマ末梢血を抽出し、リンパ球分離液で分離してリンパ球を得る。RNA抽出試薬Trizol(Invitrogenから購入)を使用して全RNAを抽出する。cDNA合成キット(Invitrogenから購入)によって逆転写して、ラマ全cDNAを獲得する。
【0191】
他のナノライブラリー構築方法は、実施例1.1と同じである。
【0192】
2.2.PD-L1ナノボディのスクリーニングならびに重鎖抗体の構築、発現および精製
この研究では、実施例2.1で構築された酵母ディスプレイライブラリーから、ヒトPD-L1に特異的に結合できるナノボディ配列をスクリーニングし、具体的なスクリーニング方法は、実施例1.2と同じである。VHH遺伝子配列とヒトIgG1(LALA突然変異)Fcセグメントとを連結し、真核発現ベクターpCDNA3.1に構築した。ExpiCHO発現システムおよび磁気ビーズ親和性精製システムによって、高純度の重鎖抗体タンパク質を調製する。重鎖抗体対の構築、発現および精製方法は、実施例1.3と同じである。
【0193】
2.3.PD-L1抗体親和性の測定
この研究では、ForteBio機器を使用して、得られた抗PD-L1抗体とヒトPD-L1タンパク質との結合活性を検出し、検出方法は、実施例1.5と同じである。検出結果は、表8に示されたとおりであり、この研究で得られた3個の候補分子およびヒトPD-L1タンパク質は、すべて良好な結合活性を有する。
【0194】
【表8】


2.4.PD-L1抗体ヒト化の構築
ヒトインビボにおけるモノクローナル抗体の免疫原性の生成を減少させるために、K-Yr-13&14-02抗体をヒト化する。ヒト化方法は、実施例1.7と同じである。
【0195】
この研究では、IMGT(http://www.imgt.org)によって、K-Yr-13&14-02およびヒト化配列のヒト化レベルを評価し、結果は、表9に示されたとおりであり、ヒト化レベルは、すべて80%を超え、後期の薬物開発の要件を満たす。
【0196】
【表9】


タンパク質の構築、発現、精製およびHPLC純度検出の方法は、実施例1.3と同じである。結果は、表10に示されたとおりであり、ワンステップ精製後に高純度のヒト化抗PD-L1重鎖抗体タンパク質を獲得する。
【0197】
【表10】


2.5.ヒト化抗PD-L1ナノボディとヒトPD-L1との結合
この実験では、精製されたヒト化サンプルHZ-K-Yr-13&14-02-3とCHO-hPD-L1細胞との結合活性を検出し、実験方法は、実施例1.4と同じであり、実験結果は、図5に示されたとおりであり、HZ-K-Yr-13&14-02-3およびCHO-hPD-L1細胞は、良好な結合活性を有し、レベルは、K-Yr-13&14-02および対照抗体ATEに匹敵する。
【0198】
2.6.ヒト化抗PD-L1ナノボディの親和性測定
この実験では、精製されたHZ-K-Yr-13&14-02-3とヒトPD-L1との結合親和性を検出し、実験方法は、実施例1.5と同じであり、実験結果は、表11に示されたとおりであり、HZ-K-Yr-13&14-02-3およびヒトPD-L2タンパク質は、良好な結合活性を有する。
【0199】
【表11】

実施例3.抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体
3.1.抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体の分子構築
この研究では、三つの異なる形態の抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体を構築し、その構造概略図は、図6に示されたとおりである。
【0200】
Bi-201は、SEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列を有するペプチド鎖を含み、それは、抗PD-L1のナノボディHZ-K-Yr-13&14-02-3を含み、前記ナノボディアミノ酸配列のC末端は、ヒトIgG1(LALA突然変異型)ドメインに直接連結される。抗PD-L2のナノボディHZ-D-NA-96-1は、柔軟なペプチド鎖(GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSG)(SEQ ID NO:27)を介してFcのC末端に連結される。
【0201】
Bi-202は、SEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列を有するペプチド鎖を含み、抗PD-L1のナノボディHZ-K-13&14-02-03アミノ酸配列のC末端および抗PD-L2のナノボディHZ-D-NA-96-1は、柔軟なペプチド鎖(GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSG)(SEQ ID NO:27)によって連結される。HZ-D-NA-96-1のC末端は、ヒトIgG1(LALA突然変異型)ドメインに直接連結される。
【0202】
Bi-203-204は、二つのペプチド鎖を含む。ペプチド鎖#1は、SEQ ID NO:25に示されるアミノ酸配列を有し、抗PD-L1のナノボディHZ-K-Yr-13&14-02-3アミノ酸配列のC末端は、ヒトIgG1由来のSEQ ID NO:29に示されるCH1アミノ酸配列に直接連結され、ヒトIgG1(LALA突然変異型)Fc(SEQ ID NO:)ドメインをCH1領域のC末端に直接連結することにより、ペプチド鎖#1を獲得する。ペプチド鎖#2は、SEQ ID NO:26に示されるアミノ酸配列を有し、それは、抗PD-L2ナノボディHZ-D-NA-96-01アミノ酸配列SEQ ID NO:16を含み、前記ナノボディアミノ酸配列のC末端は、ヒトκ軽鎖定常領域(CL)アミノ酸配列SEQ ID NO:30に直接連結されることにより、ペプチド鎖#2を獲得する。
【0203】
3.2.抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体の発現および精製
本実施例において、実施例3.1で構築された抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体Bi-201、Bi-202、Bi-203-204をコードするヌクレオチド配列は、すべてマルチクローニング部位を介して市販の真核発現ベクターpCDNA3.1(+)に連結される。ExpiCHO発現システムおよび磁気ビーズ親和性精製システムを使用して、高純度の重鎖抗体タンパク質を調製する。タンパク質の構築、発現、精製およびHPLC純度の検出方法は、実施例1.3と同じである。結果は、表12に示されたとおりであり、ワンステップ精製後に高純度の二重特異性抗体タンパク質を獲得する。
【0204】
【表12】


3.3.抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体親和性の測定
この研究では、ForteBio機器を使用して、獲得した抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体およびヒトPD-L1タンパク質またはヒトPD-L2の結合活性を検出し、検出方法は、実施例1.5と同じである。検出結果は、表13、表14に示されたとおりであり、この研究で得られた3個の候補分子およびヒトPD-L1ならびにヒトPD-L2タンパク質は、すべて良好な結合活性を有する。
【0205】
【表13】

【0206】
【表14】


3.4.抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体と細胞表面ヒトPD-L1またはヒトPD-L2との結合
この実験では、精製された抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体とCHO-hPD-L1細胞またはCHO-hPD-L2との結合活性を検出し、実験方法は、実施例1.4と同じであり、実験結果は、図7Aおよび7Bに示されたとおりであり、Bi-201、Bi-202、Bi-203-204ならびにCHO-hPD-L1細胞およびCHO-hPD-L2細胞は、すべて良好な結合活性を有する。
【0207】
3.5.PD-L2/PD-L1とPD-1との結合を遮断する抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体
拡大培養したCHO-hPD-1細胞を2×10細胞/mlの細胞密度に調整し、100μl/ウェルを96ウェルフロープレートに加え、遠心分離して備蓄する。精製した突然変異サンプルをPBSで希釈し、1000nMから3倍で合計12ポイントを希釈し、希釈した上記のサンプル60μl/ウェルを96ウェルサンプル希釈プレートに加え、同時に60μl/ウェルにビオチン化ヒトPD-L2タンパク質またはビオチン化ヒトPD-L1タンパク質(AcroBiosystemsから購入)を加え、最終濃度は、1μg/mlであり、4℃下で精製サンプルとともに30不安感インキュベートする。100μl/ウェルの共培養サンプルを、上記の細胞含有96ウェルフロープレートに加え、4℃下で30分間インキュベートし、PBSで2回洗浄する。PBSで100倍した100μl/ウェルのAPCヤギ抗マウスIgG(最小値×反応性)抗体(Biolegendから購入)を加え、4℃下で30分間インキュベートし、PBSで2回洗浄する。100μl/ウェルをPBSに加えて細胞を再懸濁し、CytoFlex(Bechman)フローサイトメーターで検出し、かつ対応するMFIを計算する。
【0208】
上記の方法の測定実験において、実験結果は、図8Aおよび8Bに示されたとおりであり、本発明のすべての精製二重特異性抗体サンプルは、すべてPD-L2およびPD-L1とPD-1との結合を遮断することができる。
【0209】
3.6.抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体がPDL1/PDL2/PD1/lucシグナル伝達経路を遮断する実験
PD-L1およびPD-L2は、腫瘍細胞または免疫細胞に共発現させることができ、この実施例は、ヒトPD-L1およびヒトPD-L2を共発現するCHO細胞(CHO-K1-PD-L1/PD-L2)、ならびにヒトPD-1を過剰発現し、かつNFAT-ルシフェラーゼレポーター遺伝子を含むJurkat細胞(Jurkat-PD-1-NFAT)を共培養する方法を使用して、PD-L1/PD-1経路およびPD-L2/PD-1経路に対する精製抗体Bi-201、Bi-202、Bi-203-204の同時遮断効果を検出し、具体的な方法は、次のとおりである。
【0210】
CHO-K1-PD-L1/PD-L2細胞を5×10細胞/mlの密度に調整し、100μl/ウェルを96ウェル細胞培養用白底プレートに接種し、37℃下、5%COインキュベーターに置いて一晩培養する。精製抗体および対照抗体1640完全培地を段階希釈した後、備蓄する。Jurkat-PD-1-NFAT細胞を1640完全培地で2.5×10細胞/mlの細胞密度に調整し、備蓄する。白底プレートを取り出し、培養上清を吸引し、上記のサンプルを対応する濃度に希釈し、40μl/ウェルを取って白底プレートに加え、同時に40μl/ウェルのJurkat-PD-1-NFATエフェクター細胞懸濁液を加え、37℃下、5%COインキュベーターに置いて6時間接着培養する。各ウェルにBio-Glo TM試薬(Promega)を加え、マルチプレートリーダーを用いて蛍光シグナル値を読み取る。
【0211】
実験結果は、図9に示されたとおりである。本発明の抗PD-L1/PD-L2二重特異性抗体は、インビトロでPD-L1/PD-1およびPD-L2/PD-1シグナル伝達経路を同時に遮断し、下流レポーター遺伝子の発現を活性化することができる。抗PD-L1または抗PD-L2のモノクローナル抗体は、すべて当該経路を完全に遮断しかつ下流レポーター遺伝子の発現を活性化することはできない。
【0212】
本発明で言及されたすべての文書は、あたかも各文書が個別に参照として引用されたかのように、本出願における参照として引用される。さらに、本発明の上記の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態も、本出願の添付の請求範囲によって定義される範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
【配列表】
2023519412000001.app
【国際調査報告】