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特表2023-519414変形測定方法およびレーダーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】変形測定方法およびレーダーシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/34 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
G01S13/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559550
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(85)【翻訳文提出日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2021081219
(87)【国際公開番号】W WO2021197064
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】202010244765.5
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522383403
【氏名又は名称】内蒙古雷遠信息科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】INNER MOGLIA LONGRUN INFORMATION SCIENCE AND TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】Flat 1208, Tower A, Chuangye Mansion, Yijinhuoluoqi Ordos, Inner Mongolia 017200, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】叶 雷
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB18
5J070AC02
5J070AE07
5J070AF01
(57)【要約】
変形測定方法であって、監視対象の第1監視点の第1エコー信号と第2監視点の第2エコー信号とを取得することと(S100)、第1エコー信号と第2エコー信号とに基づいて監視対象の第1視線変形量と第2視線変形量とを取得することと(S200、S300)、レーダー装置の設置パラメータと、第1視線変形量と、第2視線変形量とに基づいて監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算することと(S400)、を含む。また、レーダーシステムを提供し、レーダーシステムの環境適応性と測定精度を高め、レーダー装置の設置を容易にすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形測定方法であって、
監視対象の第1監視点の第1エコー信号と第2監視点の第2エコー信号とを取得することと、
前記第1エコー信号に基づいて前記監視対象の第1視線変形量を取得することと、
前記第2エコー信号に基づいて前記監視対象の第2視線変形量を取得することと、
レーダー装置の設置パラメータと、前記第1視線変形量と、前記第2視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算することと、を含み、
前記第1視線変形量は、レーダー装置と第1監視点との結線方向における前記監視対象の変位量であり、前記第2視線変形量は、レーダー装置と第2監視点との結線方向における前記監視対象の変位量であることを特徴とする変形測定方法。
【請求項2】
レーダー装置の設置パラメータと、前記第1視線変形量と、前記第2視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算することは、
前記レーダー装置の設置パラメータに基づいて、前記レーダー装置と第1監視点との結線と垂直方向とのなす角度である、前記レーダー装置から第1監視点への第1入射角を計算することと、
前記レーダー装置の設置パラメータに基づいて、前記レーダー装置と第2監視点との結線と垂直方向とのなす角度である、前記レーダー装置から第2監視点への第2入射角を計算することと、
前記第1入射角と、第2入射角と、第1視線変形量と、第2視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算することと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レーダー装置の設置パラメータは、前記レーダー装置の設置高さと、第1監視点からの第1水平距離と、第2監視点からの第2水平距離と、を含み、
前記レーダー装置の設置パラメータに基づいて前記レーダー装置から第1監視点への第1入射角を計算することは、
前記レーダー装置の設置高さと第1水平距離とに基づいて前記レーダー装置と第1監視点との第1斜め距離を計算することと、
前記レーダー装置の設置高さと前記第1斜め距離とに基づいて前記第1入射角を計算することと、を含み、
第1斜め距離の計算式は、
は第1斜め距離であり、hはレーダー装置の設置高さであり、lは第1水平距離であり、
第1入射角の計算式は、
θは第1入射角であり、hはレーダー装置の設置高さであり、rは第1斜め距離であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記レーダー装置の設置パラメータに基づいて前記レーダー装置から第2監視点への第2入射角を計算することは、
前記レーダー装置の設置高さと第2水平距離とに基づいて前記レーダー装置と第2監視点との第2斜め距離を計算することと、
前記レーダー装置の設置高さと前記第2斜め距離とに基づいて前記第2入射角を計算することと、を含み、
第2斜め距離の計算式は、
は第2斜め距離であり、hはレーダー装置の設置高さであり、lは第2水平距離であり、
第2入射角の計算式は、
θは第2入射角であり、hはレーダー装置の設置高さであり、rは第2斜め距離であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1入射角と、第2入射角と、第1視線変形量と、第2視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算する式は、以下の通りであり、
Δrは第1視線変形量であり、Δrは第2視線変形量であり、θは第1入射角であり、θは第2入射角であり、zは垂直変位量であり、xは水平変位量であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、
第1変形閾値および/または第2変形閾値を取得することと、
前記垂直変位量と第1変形閾値とを比較し、および/または、前記水平変位量と第2変形閾値とを比較することと、
前記垂直変位量が第1変形閾値を上回ること、および/または、前記水平変位量が第2変形閾値を上回ることに応答して、変形量が閾値を超える警報信号を発行することと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、
前記レーダー装置の動作状態を検出することと、
前記レーダー装置の動作状態異常に応答して、動作状態異常の警報信号を発行することと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
変形測定方法であって、
監視対象の監視点のエコー信号を取得することと、
前記エコー信号に基づいて前記監視対象の視線変形量を取得することと、
レーダー装置の設置パラメータと視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算することと、を含み、
前記視線変形量は、レーダー装置と監視点との結線方向における前記監視対象の変位量であることを特徴とする変形測定方法。
【請求項9】
前記レーダー装置の設置パラメータは、前記レーダー装置の設置高さと、前記レーダー装置と監視点との斜め距離とを含み、
レーダー装置の設置パラメータと前記視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量を計算する式は、
Δrは視線変形量であり、rは斜め距離であり、zは垂直変位量であり、hは前記レーダー装置の設置高さであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記レーダー装置の設置パラメータは、前記レーダー装置の設置高さと、前記レーダー装置と監視点との斜め距離とを含み、
レーダー装置の設置パラメータと前記視線変形量とに基づいて前記監視対象の水平変位量を計算する式は、
Δrは視線変形量であり、rは斜め距離であり、xは水平変位量であり、hは前記レーダー装置の設置高さであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
レーダー装置とサーバとを含むレーダーシステムであって、
前記レーダー装置は、
xバンド信号またはkバンド信号である線形周波数変調信号を生成するように構成されている無線周波数信号源部と、
前記線形周波数変調信号を送信するように構成されている信号送信部と、
監視対象の第1監視点の第1エコー信号と第2監視点の第2エコー信号とを受信するように構成されている信号受信部と、
前記第1エコー信号と前記第2エコー信号とを前記サーバに送信する通信部と、を含み、
前記サーバは、前記第1エコー信号に基づいて前記監視対象の第1視線変形量を取得し、前記第2エコー信号に基づいて前記監視対象の第2視線変形量を取得し、レーダー装置の設置パラメータと、前記第1視線変形量と、前記第2視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算するように構成され、
前記第1視線変形量は、レーダー装置と第1監視点との結線方向における前記第1監視点の変位量であり、前記第2視線変形量は、レーダー装置と第2監視点との結線方向における前記第2監視点の変位量であることを特徴とするレーダーシステム。
【請求項12】
レーダー装置とサーバとを含むレーダーシステムであって、
前記レーダー装置は、
xバンド信号またはkバンド信号である線形周波数変調信号を生成するように構成されている無線周波数信号源部と、
前記線形周波数変調信号を送信するように構成されている信号送信部と、
監視対象の監視点のエコー信号を受信するように構成されている信号受信部と、
前記エコー信号を前記サーバに送信するように構成されている通信部と、を含み、
前記サーバは、前記エコー信号に基づいて前記監視対象の視線変形量を取得し、レーダー装置の設置パラメータと視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算するように構成され、
前記視線変形量は、レーダー装置と監視点との結線方向における前記監視対象の変位量であることを特徴とするレーダーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年3月31日に出願された、出願番号202010244765.5、発明の名称「変形測定方法およびレーダーシステム」の中国特許出願に対して優先権を主張し、そのすべての内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本発明はレーダー技術分野に関し、特に変形測定方法およびレーダーシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
レーダー差分干渉測定技術は、コヒーレントレーダーシステムのエコー位相情報を用いたリモートセンシング測定技術であり、異なる時間における同一の対象領域の繰り返し観測により時系列レーダーエコー信号を取得して変形監視に用いる。現在、レーダー差分干渉測定技術の地表変形監視分野における応用は、山体地滑り、氷河変位、地表沈降、火山活動、地震変形などの自然災害現象の長時間監視と早期警報や人工大型建設物によるダム、橋梁などの監視に応用されている。レーダー干渉測定技術は遠距離、広範囲、連続空間被覆の変形監視を行うことができる。
【0004】
しかしながら、従来技術におけるレーダー干渉測定システムは、設置位置や外界環境の影響を受けやすく、ひいては測定結果に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこの事情に鑑みて、レーダーシステムの環境適応性と測定精度を高め、レーダー装置の設置を容易にすることができる変形測定方法およびレーダーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本発明の実施形態は、変形測定方法であって、
監視対象の第1監視点の第1エコー信号と第2監視点の第2エコー信号とを取得することと、
前記第1エコー信号に基づいて前記監視対象の第1視線変形量を取得することと、
前記第2エコー信号に基づいて前記監視対象の第2視線変形量を取得することと、
レーダー装置の設置パラメータと、前記第1視線変形量と、前記第2視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算することと、を含み、
前記第1視線変形量は、レーダー装置と第1監視点との結線方向における前記監視対象の変位量であり、前記第2視線変形量は、レーダー装置と第2監視点との結線方向における前記監視対象の変位量である。
【0007】
好ましくは、レーダー装置の設置パラメータと、前記第1視線変形量と、前記第2視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算することは、
前記レーダー装置の設置パラメータに基づいて、前記レーダー装置と第1監視点の結線と垂直方向とのなす角度である、前記レーダー装置から第1監視点への第1入射角を計算することと、
前記レーダー装置の設置パラメータに基づいて、前記レーダー装置と第2監視点の結線と垂直方向とのなす角度である、前記レーダー装置から第2監視点への第2入射角を計算することと、
前記第1入射角と、第2入射角と、第1視線変形量と、第2視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算することと、を含む。
【0008】
好ましくは、前記レーダー装置の設置パラメータは、前記レーダー装置の設置高さと、第1監視点からの第1水平距離と、第2監視点からの第2水平距離と、を含み、
前記レーダー装置の設置パラメータに基づいて前記レーダー装置から第1監視点への第1入射角を計算することは、
前記レーダー装置の設置高さと第1水平距離とに基づいて前記レーダー装置と第1監視点との第1斜め距離を計算することと、
前記レーダー装置の設置高さと前記第1斜め距離とに基づいて前記第1入射角を計算することと、を含み、
第1斜め距離の計算式は、
は第1斜め距離であり、hはレーダー装置の設置高さであり、lは第1水平距離であり、
第1入射角の計算式は、
θは第1入射角であり、hはレーダー装置の設置高さであり、rは第1斜め距離である。
【0009】
好ましくは、前記レーダー装置の設置パラメータに基づいて前記レーダー装置から第2監視点への第2入射角を計算することは、
前記レーダー装置の設置高さと第2水平距離とに基づいて前記レーダー装置と第2監視点との第2斜め距離を計算することと、
前記レーダー装置の設置高さと前記第2斜め距離とに基づいて前記第2入射角を計算することと、を含み、
第2斜め距離の計算式は、
は第2斜め距離であり、hはレーダー装置の設置高さであり、lは第2水平距離であり、
第2入射角の計算式は、
θは第2入射角であり、hはレーダー装置の設置高さであり、rは第2斜め距離である。
【0010】
好ましくは、前記第1入射角と、第2入射角と、第1視線変形量と、第2視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算する式は、以下の通りであり、
Δrは第1視線変形量であり、Δrは第2視線変形量であり、θは第1入射角であり、θは第2入射角であり、zは垂直変位量であり、xは水平変位量である。
【0011】
好ましくは、前記方法は、
第1変形閾値および/または第2変形閾値を取得することと、
前記垂直変位量と第1変形閾値とを比較し、および/または、前記水平変位量と第2変形閾値とを比較することと、
前記垂直変位量が第1変形閾値を上回ること、および/または、前記水平変位量が第2変形閾値を上回ることに応答して、変形量が閾値を超える警報信号を発行することと、をさらに含む。
【0012】
好ましくは、前記方法は、
前記レーダー装置の動作状態を検出することと、
前記レーダー装置の動作状態異常に応答して、動作状態異常の警報信号を発行することと、をさらに含む。
【0013】
第2の態様では、本発明の実施形態は、変形測定方法であって、
監視対象の監視点のエコー信号を取得することと、
前記エコー信号に基づいて前記監視対象の視線変形量を取得することと、
レーダー装置の設置パラメータと視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算することと、を含み、
前記視線変形量は、レーダー装置と監視点との結線方向における前記監視対象の変位量である。
【0014】
好ましくは、前記レーダー装置の設置パラメータは、前記レーダー装置の設置高さと、前記レーダー装置と監視点との斜め距離とを含み、
レーダー装置の設置パラメータと前記視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量を計算する式は、
Δrは視線変形量であり、rは斜め距離であり、zは垂直変位量であり、hは前記レーダー装置の設置高さである。
【0015】
好ましくは、前記レーダー装置の設置パラメータは、前記レーダー装置の設置高さと、前記レーダー装置と監視点との斜め距離とを含み、
レーダー装置の設置パラメータと前記視線変形量とに基づいて前記監視対象の水平変位量を計算する式は、
Δrは視線変形量であり、rは斜め距離であり、xは水平変位量であり、hは前記レーダー装置の設置高さである。
【0016】
第3の態様では、本発明の実施形態は、レーダー装置とサーバとを含むレーダーシステムであって、
前記レーダー装置は、
xバンド信号またはkバンド信号である線形周波数変調信号を生成するように構成されている無線周波数信号源部と、
前記線形周波数変調信号を送信するように構成されている信号送信部と、
監視対象の第1監視点の第1エコー信号と第2監視点の第2エコー信号とを受信するように構成されている信号受信部と、
前記第1エコー信号と前記第2エコー信号とを前記サーバに送信する通信部と、を含み、
前記サーバは、前記第1エコー信号に基づいて前記監視対象の第1視線変形量を取得し、前記第2エコー信号に基づいて前記監視対象の第2視線変形量を取得し、レーダー装置の設置パラメータと、前記第1視線変形量と、前記第2視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算するように構成され、
前記第1視線変形量は、レーダー装置と第1監視点との結線方向における前記第1監視点の変位量であり、前記第2視線変形量は、レーダー装置と第2監視点との結線方向における前記第2監視点の変位量である。
【0017】
第4の態様では、本発明の実施形態は、レーダー装置とサーバとを含むレーダーシステムであって、
前記レーダー装置は、
Xバンド信号またはKバンド信号である線形周波数変調信号を生成するように構成されている無線周波数信号源部と、
前記線形周波数変調信号を送信するように構成されている信号送信部と、
監視対象の監視点のエコー信号を受信するように構成されている信号受信部と、
前記エコー信号を前記サーバに送信するように構成されている通信部と、を含み、
前記サーバは、前記エコー信号に基づいて前記監視対象の視線変形量を取得し、レーダー装置の設置パラメータと視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算するように構成され、
前記視線変形量は、レーダー装置と監視点との結線方向における前記監視対象の変位量である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態によれば、監視対象の第1監視点の第1エコー信号と第2監視点の第2エコー信号とを取得し、第1エコー信号と第2エコー信号とに基づいて監視対象の第1視線変形量と第2視線変形量とを取得し、レーダー装置の設置パラメータと、第1視線変形量と、第2視線変形量とに基づいて監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算する。これにより、レーダーシステムの環境適応性と測定精度を高め、レーダー装置の設置を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下の図面を参照して本発明の実施形態を説明することにより、本発明の上述およびその他の目的、特徴および利点がより明確になる。
図1】本発明の実施形態に係るレーダーシステムの構成図である。
図2】本発明の実施形態に係るレーダー装置の構成図である。
図3】本発明の第1の実施例に係る変形測定方法のフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係るエコー信号波形図である。
図5】本発明の実施形態に係るアンテナ送受信方向図である。
図6】本発明の実施形態に係るレーダー装置のパラメータ概略図である。
図7】本発明の実施形態に係る変位量計算フローチャートである。
図8】本発明の第2の実施例に係る変形測定方法のフローチャートである。
図9】本発明の実施形態に係るレーダー装置のパラメータ概略図である。
図10】本発明の実施形態に係るレーダー装置のパラメータ概略図である。
図11】本発明の実施形態に係る電子機器の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。以下、本発明の詳細な説明では、特定の詳細な部分について詳しく説明する。本発明は、当業者にとってこれらの詳細な部分の説明がなくても完全に理解できる。本発明の本質を混同することを避けるために、公知の方法、プロセス、フロー、素子、回路は詳細に述べられていない。
【0021】
また、本明細書で提供される図面は、説明の目的のために提供され、必ずしも比例して描かれたものではないことを当業者は理解するであろう。
【0022】
なお、以下の説明において、「回路」とは、少なくとも1つの素子又はサブ回路が電気的接続又は電磁的接続により構成された導電回路を意味することを理解されたい。素子または回路が他の素子に「接続」されている場合、または素子/回路が2つのノード間に「接続」されている場合、それは他の素子に直接結合または接続されているか、または中間素子が存在していてもよく、素子間の接続は物理的、論理的、またはそれらの組み合わせであってもよい。逆に、素子が他の素子に「直接結合」または「直接接続」されている場合、両者は中間素子が存在しないことを意味する。
【0023】
文脈が明確に要求されない限り、明細書の「含む」、「備える」などの類似語は、排他的または貧挙的な意味ではなく、含む意味として解釈されるべきである。つまり、「含むがこれに限らない」という意味である。
【0024】
本発明の説明では、用語「第1」、「第2」などは、説明の目的にのみ使用され、相対的な重要性を指示するものまたは暗示するものとしては理解できないことを理解する必要がある。さらに、本発明の説明では、特に説明がない限り、「複数」の意味は2つまたは2つ以上である。
【0025】
図1は本発明の実施形態に係るレーダーシステムの概略図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係るレーダーシステムは、レーダー装置1とサーバ2とを含む。レーダー装置1は、線形周波数変調信号を送信し、監視対象の監視点のエコー信号を受信するように構成されている。サーバ2は、前記エコー信号に基づいて監視対象の変形を決定するように構成されている。
【0026】
本実施形態では、前記レーダーシステムは、1つの監視対象上の少なくとも1つの監視点によって監視対象の変形を決定する。
【0027】
本実施形態では、レーダーシステムは橋梁工事、堤防工事、軌道交通工事、道路と建築物などの維持と監督管理に使用することができ、同時に都市住宅地の斜面を監視し、地滑り、土石流などを警報することができ、地震観測網と緊急地震警報を実現することができる。
【0028】
本実施形態では、レーダーシステムは、等全時間(リアルタイム監視と各種通信データ伝達をサポート)、全天候(雨、雪、霧、スモッグ、砂嵐などの悪天候条件下での動作をサポート)、非接触式の微小変形監視を備えるとともに、点、線、面を表示するマイクロ波変形変位量をリアルタイムで測定することができる。
【0029】
本実施形態では、レーダー装置と監視対象との間の最長距離は1キロに達し、設置と使用が容易である。
【0030】
さらに、図2を参照して、レーダー装置1の構成は、無線周波数フロントエンド部分Aと通信部14とを含む。無線周波数フロントエンド部分Aは、無線周波数信号源部11と、信号送信部12と、信号受信部13とを含む。無線周波数信号源部11は、線形周波数変調信号を生成するように構成されている。信号送信部12は、線形周波数変調信号を送信するように構成されている。信号受信部13は、監視対象の監視点のエコー信号を受信するように構成されている。通信部14は、前記エコー信号を前記サーバ2に送信するように構成されている。
【0031】
本実施形態では、無線周波数信号源部は、LFM(linear frequency modulation、線形周波数変調)信号を生成するために使用される。線形周波数変調信号のスペクトル帯域幅は可聴範囲に落ちているので、鳥の声のように聞こえ、鳥の声信号とも呼ばれている。レーダー技術では、線形周波数変調信号を用いて無線周波数パルス幅を増大させ、通信距離を増大させ、平均送信電力を向上させ、同時に十分な信号スペクトル幅を維持し、レーダーの距離分解能を低下させない。
【0032】
好ましくは、前記LFM信号はxバンド信号またはkバンド信号である。具体的には、信号は、lバンド、sバンド、cバンド、xバンド、kuバンド、kバンド、kaバンドなどのバンドによって区分されることができる。xバンドの周波数範囲は8~12GHzであり、kバンドの周波数範囲は18~27GHzである。
【0033】
好ましくは、LFM信号がxバンド信号の場合、選択周波数は10GHzであり、LFM信号がkバンド信号の場合、選択周波数は24GHzである。
【0034】
本実施形態では、レーダー装置1は、前記信号送信部12および信号受信部13に接続されるアンテナ15をさらに含む。信号送信部12は、前記アンテナ15を介して前記線形周波数変調信号を送信するように構成されている。信号受信部13は、アンテナ15を介してエコー信号を受信するように構成されている。
【0035】
好ましくは、信号送受信を完了するように、LFM信号がxバンド信号の場合、アンテナ15はホーンアンテナを採用することができ、LFM信号がkバンド信号の場合、アンテナ15はマイクロバンドアンテナを採用することができる。
【0036】
本実施形態では、通信部14は、前記サーバ2にエコー信号を送信したり、前記サーバ2の制御信号を受信したりするために、前記サーバ2と通信するように構成されている。
【0037】
さらに、前記通信部は、従来の様々な有線通信方式または無線通信方式を用いて通信することができる。
【0038】
本実施形態では、レーダー装置1は、他のモジュールと情報をやり取りするためのインタフェースを前記インタフェースフロントエンド部分Aに提供し、信号の時系列制御等の動作を完了するためのインタフェースおよび信号調整部16をさらに含む。
【0039】
本実施形態では、レーダー装置1は、信号をリアルタイム処理するための制御部17をさらに含み、例えば、エコー信号をフィルタリングし、受信した制御信号を解析するなどの動作を行う。
【0040】
本実施形態では、レーダー装置1は、レーダー装置1内の他の部に電力を供給するための電力供給部18をさらに含む。
【0041】
図3は本発明の第1の実施例に係る変形測定方法のフローチャートである。本実施形態では、サーバ2は、対象の2つの監視点を検出することにより、変形測定を実現し、具体的には、サーバ2は、以下のステップを含む。
【0042】
ステップS100で、監視対象の第1監視点の第1エコー信号と第2監視点の第2エコー信号とを取得する。
【0043】
本実施形態では、レーダー装置1は、実際の測定環境に応じて適切な位置に設置され、レーダー装置が送信する信号が監視対象の2つの監視点をカバーできるようにしている。レーダー装置により送信された無線周波数信号は、さらに2つの監視点のエコー信号を取得し、前記エコー信号をサーバに送信する。
【0044】
さらに、2つの監視点として2つの反射器を前記監視対象に取り付けてもよく、または、2つの監視点として2つの突起部を前記監視対象上に選択してもよい。
【0045】
具体的には、図4は本発明の実施形態に係るエコー信号波形図である。図4に示すように、横軸はレーダーからの距離であり、縦軸はエコー信号の強度である。図4から分かるように、信号強度が最も強い2箇所は、それぞれ距離lとlの2点である。
【0046】
さらに、図5は本発明の実施形態に係るアンテナ送受信方向図である。図5に示すように、縦軸は電力を表し、単位はdBであり、横軸は角度を表し、単位はdegである。具体的には、実線は方位面の送受信方向図であり、破線はピッチ面の送受信方向図である。図から分かるように、ピッチ方向3dBビーム幅は約10度であり、方位方向3dBビーム幅は約20度である。これにより、アンテナの送受信方向図に基づいてアンテナの設置方向を決定することができる。
【0047】
さらに、図6に示すように、監視対象の第1監視点と第2の監視点を図に示す。
【0048】
ステップS200で、前記第1エコー信号に基づいて前記監視対象の第1視線変形量を取得する。
【0049】
本実施形態では、サーバ2は、差分干渉技術により前記監視対象の第1視線変形量の変形量を取得する。
【0050】
具体的には、レーダー装置1は無線周波数信号を連続的に送信し、第1監視点において、レーダー装置が2回連続的に受信した第1エコー信号の位相はそれぞれφ11とφ12であり、第1監視点が2回の送信信号の時間間隔の間に発生する変形量は第1視線変形量Δrである。
【0051】
Λは無線周波数信号の波長であり、Δrは第1視線変形量である。
【0052】
ステップS300で、前記第2エコー信号に基づいて前記監視対象の第2視線変形量を取得する。
【0053】
本実施形態では、サーバ2は、差分干渉技術により前記監視対象の第2視線変形量の変形量を取得する。
【0054】
具体的には、レーダー装置1は無線周波数信号を連続的に送信し、第2監視点において、レーダー装置が2回連続的に受信した第2エコー信号の位相はそれぞれφ21とφ22であり、第1監視点が2回の送信信号の時間間隔の間に発生する変形量は第2視線変形量Δrである。
【0055】
Λは無線周波数信号の波長であり、Δr2は第2視線変形量である。
【0056】
ステップS400で、レーダー装置の設置パラメータと、前記第1視線変形量と、前記第2視線変形量とに基づいて、前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算する。
【0057】
本実施形態では、前記レーダー装置の設置パラメータは、前記レーダー装置の設置高さhと、第1監視点からの第1水平距離lと、第2監視点からの第2水平距離lとを含む。
【0058】
具体的には、前記レーダー装置の設置高さhは、レーダー装置と第1監視点および第2監視点との結線上の垂直距離である。前記第1水平距離lは、前記レーダー装置と第1監視点および第2監視点との結線上のマッピング点と第1監視点との距離である。前記第2水平距離lは、前記レーダー装置と第1監視点および第2監視点との結線上のマッピング点と第2監視点との距離である。
【0059】
さらに、サーバ2は、レーダー装置の設置パラメータと、前記第1視線変形量と、前記第2視線変形量とに基づいて、前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算することは図7に示すように、以下のステップを含む。
【0060】
ステップS410で、前記レーダー装置の設置パラメータに基づいて、前記レーダー装置から第1監視点への第1入射角を計算する。
【0061】
本実施形態では、第1入射角θは前記レーダー装置と第1監視点との結線と垂直方向とのなす角度であり、具体的には図6を参照することができる。
【0062】
さらに、前記レーダー装置の設置パラメータに基づいて前記レーダー装置から第1監視点への第1入射角を計算することは、以下のステップを含む。
【0063】
ステップS411で、レーダー装置の設置高さと第1水平距離とに基づいてレーダー装置と第1監視点との第1斜め距離を計算する。
【0064】
第1斜め距離の計算式は、
は第1斜め距離であり、hはレーダー装置の設置高さであり、lは第1水平距離である。
【0065】
ステップS412で、前記レーダー装置の設置高さと第1斜め距離とに基づいて第1入射角を計算する。
【0066】
第1入射角の計算式は、
θは第1入射角であり、hはレーダー装置の設置高さであり、rは第1斜め距離である。
【0067】
ステップS420で、前記レーダー装置の設置パラメータに基づいて前記レーダー装置から第2監視点への第2入射角を計算する。
【0068】
本実施例では、第2入射角θは前記レーダー装置と第2監視点との結線と垂直方向とのなす角度であり、具体的には図6を参照することができる。
【0069】
さらに、前記レーダー装置の設置パラメータに基づいて前記レーダー装置から第2監視点への第2入射角を計算することは、以下のステップを含む。
【0070】
ステップS421で、前記レーダー装置の設置高さと第2水平距離とに基づいてレーダー装置と第2監視点との第2斜め距離を計算する。
【0071】
第2斜め距離の計算式は、
は第2斜め距離であり、hはレーダー装置の設置高さであり、lは第2水平距離である。
【0072】
ステップS422で、前記レーダー装置の設置高さと前記第2斜め距離とに基づいて第2入射角を計算する。
【0073】
第2入射角の計算式は、
θは第2入射角であり、hはレーダー装置の設置高さであり、rは第2斜め距離である。
【0074】
ステップS430で、前記第1入射角と、第2入射角と、第1視線変形量と、第2視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算する。
【0075】
本実施形態では、サーバは、前記第1入射角と、第2入射角と、第1視線変形量と、第2視線変形量とに基づいて、前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算し、具体的には、方程式群から垂直変位量および/または水平変位量を取得することができ、方程式群は以下の通りである。
【0076】
Δrは第1視線変形量であり、Δrは第2視線変形量であり、θは第1入射角であり、θは第2入射角であり、zは垂直変位量であり、xは水平変位量である。
【0077】
これにより、方程式群を解くことで垂直変位量および水平変位量を取得することができる。
【0078】
本発明の実施形態は、監視対象の第1監視点の第1エコー信号と第2監視点の第2エコー信号とを取得し、第1エコー信号と第2エコー信号とに基づいて監視対象の第1視線変形量と第2視線変形量とを取得し、レーダー装置の設置パラメータと、第1視線変形量と、第2視線変形量とに基づいて監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算する。これにより、レーダーシステムの環境適応性と測定精度を高め、レーダー装置の設置を容易にすることができる。
【0079】
図8は本発明の第2の実施例に係る変形測定方法のフローチャートである。本実施形態では、サーバ2は、対象の1つの監視点を検出することにより、変形測定を実現し、具体的には、サーバ2は、以下のステップを含む。
【0080】
ステップS500で、監視対象の監視点のエコー信号を取得する。
【0081】
本実施形態では、レーダー装置により送信された無線周波数信号を介してさらに監視点のエコー信号を取得し、前記エコー信号をサーバに送信する。
【0082】
本実施形態では、監視点として反射器を前記監視対象に取り付けたり、監視点として前記監視対象上の1つの突起部分を選択したりすることができる。
【0083】
さらに、図9に示すように、監視対象および監視点を図に示す。
【0084】
ステップS600で、前記エコー信号に基づいて前記監視対象の視線変形量を取得する。
【0085】
本実施形態では、サーバ2は、差分干渉技術により前記監視対象の第1視線変形量の変形量を取得する。
【0086】
具体的には、レーダー装置1は無線周波数信号を連続的に送信し、監視点において、レーダー装置が2回連続的に受信したエコー信号の位相はそれぞれφ31とφ32であると、監視点がこの2回の送信信号の時間間隔の間に発生する変形量は視線変形量Δrである。
【0087】
Λは無線周波数信号の波長であり、Δrは第1視線変形量である。
【0088】
ステップS700で、レーダー装置の設置パラメータと視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算する。
【0089】
代替的な実施形態では、前記レーダー装置の設置パラメータは、前記レーダー装置の設置高さhと、レーダー装置と監視点との斜め距離rとを含む。
【0090】
具体的には、前記レーダー装置の設置高さhは、レーダー装置から監視点が位置する監視対象の平面までの垂直距離である。前記斜め距離rは、前記レーダー装置と監視点との結線の距離である。
【0091】
レーダー装置の設置パラメータと前記視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量を計算する式は、
Δrは視線変形量であり、rは斜め距離であり、zは垂直変位量であり、hは前記レーダー装置の設置高さである。
【0092】
レーダー装置の設置パラメータと前記視線変形量とに基づいて前記監視対象の水平変位量を計算する式は、
Δrは視線変形量であり、rは斜め距離であり、xは水平変位量であり、hは前記レーダー装置の設置高さである。
【0093】
別の代替的な実施形態では、前記レーダー装置の設置パラメータは、前記レーダー装置の設置高さhと、監視点からの水平距離lとを含む。
【0094】
具体的には、前記レーダー装置の設置高さhは、レーダー装置から監視点が位置する監視対象の平面までの垂直距離である。前記水平距離lは、前記レーダー装置から監視点が位置する監視対象での平面上までのマッピング点と監視点との距離である。
【0095】
前記レーダー装置の設置高さと水平距離とに基づいて前記レーダー装置と監視点との斜め距離を計算する。
【0096】
斜め距離の計算式は、
rは斜め距離であり、hはレーダー装置の設置高さであり、lは水平距離である。
【0097】
レーダー装置の設置パラメータと前記視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量を計算する式は、
Δrは視線変形量であり、rは斜め距離であり、zは垂直変位量であり、hは前記レーダー装置の設置高さである。
【0098】
レーダー装置の設置パラメータと前記視線変形量とに基づいて前記監視対象の水平変位量を計算する式は、
Δrは視線変形量であり、rは斜め距離であり、xは水平変位量であり、hは前記レーダー装置の設置高さである。
【0099】
なお、本発明の実施形態による前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量の計算方法は、上述した方法に限定されるものではなく、他の方法により計算して取得することもでき、例えば、
前記レーダー装置の設置高さと前記斜め距離とに基づいて入射角を計算する。
【0100】
入射角の計算式は、
θは入射角であり、hはレーダー装置の設置高さであり、rは斜め距離である。
【0101】
前記入射角と前記視線変形量とに基づいて前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算する。
【0102】
具体的には、前記監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を計算する式は以下の通りである。
Δrは視線変形量であり、θは入射角であり、zは垂直変位量であり、xは水平変位量である。
【0103】
これにより、監視対象の垂直変位量および/または水平変位量を取得することができる。
【0104】
さらに、監視対象がある方向に変位する可能性があるが、レーダー装置が検出した視線変形量はゼロである。したがって、本発明の実施形態は、監視対象の実際の方向の変位量を取得する方法を提供する。具体的には、図10に示すように、p点はレーダー装置の設置位置であり、o点は監視対象の元の位置であり、q点は監視対象の変位後の位置である。レーダー装置のエコー信号を解析することにより、レーダー装置とo点との間の距離R、および、q点との間の距離Rを取得することができ、監視対象の実際の方向の変位量をk(すなわち、o点とq点との間の距離をk)とすると、∠poq=βである。この場合、o点、p点、q点からなる三角形は、
はレーダー装置と監視点の元の位置との間の距離であり、Rはレーダー装置と監視点の変位後の位置との間の距離であり、kは監視点の変位量であり、βは監視点の変位方向とレーダー装置および監視点の元の位置との結線方向のなす角度である。
【0105】
さらに、上記RおよびRは測定により得ることができ、これにより、上記式によりkとβの関係を得ることができる。
【0106】
代替的な実施形態では、実際の適用シーンにおける監視対象の実際の変形状況に基づいて角度βを取得することができ、さらに、上記式によりkを計算して取得することができ、監視対象の実際方向の変位を得ることができる。
【0107】
別の代替的な実施形態では、異なるタイプの監視対象の対応する角度βの関係を事前に取得することができ、例えば、レールの対応する角度はβ1であり、橋の対応する角はβ2であり、建物の対応する角はβ3であり、道路の対応する角はβ4である。これにより、実際の適用シーンにおける監視対象のタイプに基づいて対応する角度を取得し、さらに上記式によりkを計算して取得することができ、監視対象の実際方向の変位を得ることができる。
【0108】
図11は本発明の実施形態に係る電子機器の概略図である。図11に示す電子機器は、プロセッサ111とメモリ112とを少なくとも含む汎用コンピュータハードウェア構造を含む汎用サーバである。プロセッサ111とメモリ112は、バス113を介して接続されている。メモリ112は、プロセッサ111が実行可能な命令またはプログラムを記憶するように構成されている。プロセッサ111は、独立したマイクロプロセッサであってもよいし、1つまたは複数のマイクロプロセッサのセットであってもよい。これにより、プロセッサ111は、メモリ112に格納された命令を実行することにより、上述した本発明の実施形態に係る方法フローを実行してデータの処理及び他の装置の制御を実現する。バス113は、上記複数のコンポーネントを接続するとともに、上記コンポーネントを表示コントローラ114と表示装置、および入出力(I/O)デバイス115に接続する。入出力(I/O)デバイス115は、マウス、キーボード、モデム、ネットワークインターフェース、タッチ入力デバイス、体感入力デバイス、プリンタ、および本技術分野で周知の他のデバイスであってもよい。典型的には、入出力デバイス115は、入出力(I/O)コントローラ116を介してシステムに接続されている。
【0109】
当業者であれば、本発明の実施形態は、方法、装置(デバイス)、またはコンピュータプログラム製品として提供することができることを理解するであろう。したがって、本発明は、完全ハードウェア実施形態、完全ソフトウェア実施形態、またはソフトウェアおよびハードウェアを組み合わせた実施形態を採用することができる。また、本発明は、コンピュータ利用可能なプログラムコードを含むコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(ディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリなどを含むがこれらに限らない)の1つまたは複数に実装されるコンピュータプログラム製品を採用することができる。
【0110】
本発明は、本願の実施形態に係る方法、装置(デバイス)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャートを参照して説明される。フローチャートの各フローは、コンピュータプログラム命令によって実装され得ることが理解されるべきである。
【0111】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置を特定の方法で動作させることができるコンピュータ読み取り可能なメモリに格納することができ、それにより、コンピュータ読み取り可能なメモリに格納された命令は、フローチャートの1つまたは複数のフローで指定された機能を実装する命令装置を含む製造品を生成する。
【0112】
これらのコンピュータプログラム命令を汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供して1つの機器を生成し、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行される命令が、フローチャートの1つのフローまたは複数のフローで指定された機能を実現するための手段を生成するようにすることもできる。
【0113】
以上説明した本発明の好適な実施例のみであって、本発明を限定するものではなく、当業者にとって、本発明は種々の変更や変化が可能である。本発明の精神と原理の内に行ったいかなる修正、均等置換、改善などは、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】