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特表2023-519439粉末床内で印刷された三次元部材を付着している粉末粒子から洗浄する装置
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  • 特表-粉末床内で印刷された三次元部材を付着している粉末粒子から洗浄する装置 図1
  • 特表-粉末床内で印刷された三次元部材を付着している粉末粒子から洗浄する装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】粉末床内で印刷された三次元部材を付着している粉末粒子から洗浄する装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 5/00 20060101AFI20230428BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
B08B5/00 A
B08B3/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559865
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 DE2021100291
(87)【国際公開番号】W WO2021197543
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】102020108761.6
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522384802
【氏名又は名称】アクテヒ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー・イェンス
(72)【発明者】
【氏名】デマルチク・ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ケストナー・マクソヴァー・ハナ
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB14
3B116AB42
3B116BB22
3B116BB62
3B116BB72
3B116BB73
3B116BB75
3B116BB77
3B116BB88
3B116BC05
3B116CD33
3B201AA46
3B201AB14
3B201AB42
3B201BB22
3B201BB62
3B201BB72
3B201BB73
3B201BB75
3B201BB77
3B201BB88
3B201BB92
3B201BC05
3B201CD33
(57)【要約】
本発明は、粉末床内で印刷された三次元部材から付着している粉末粒子を洗浄するための技術的解決策に関する。本発明の課題は、従来技術に対して有利な方法で、残留粉末粒子を除去することができる技術的解決策を提供することであり、その結果、仕上げ工程がより効率的になり、そして品質と再現性を向上できる。この場合、特に、三次元印刷部材のアンダーカット輪郭と見えにくい輪郭の効果的な洗浄を達成できるようにする。更に、作業場での作業者の粉塵曝露を削減し、後のリサイクルのために除去された材料の効果的な収集を実現できるようにする。この課題は、装置が、洗浄すべき三次元印刷部材(4)を収容する少なくとも一つの物品支持体(11)と、サクションジェットキャビンとして構成されたハウジング(1)とを備えることによって解決される。その際、物品支持体(11)は穿孔した底部を備え、かつ運搬システム(9)によってハウジング(1)に移動可能であり、ハウジング(1)は、物品支持体(11)を搬入して搬出する、少なくとも一つの圧密に閉鎖可能なドア(2、3)を備え、ハウジング(1)内では、洗浄すべき三次元印刷部材(4)を収容する、いくつかの軸線で移動可能なプラットフォーム(6)が配置されていて、ハウジング(1)の内部空間は、負圧を発生する装置と動作接続し、ハウジング(1)は、一つ又は複数の圧密に閉鎖可能な開放部(8)を備え、この開放部では、ハウジング(1)の内部空間に開口し、かつハウジング(1)の内部空間内で体積流を生成することができるそれぞれに管状供給ライン(7)が配置されていて、ハウジング(1)の内部と物品支承部は、各集合ホッパ(10)を介して、負圧で作用可能なラインシステム(12)に接続されていて、このラインシステムは分離装置と動作接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末床内で印刷した三次元部材を付着している粉末粒子から洗浄する装置であって、
その際、この三次元印刷部材が、三次元印刷部材の製造後に先ず粉末床から取り出され、
その後、供給装置上に設置され、かつこの供給装置と共に圧密に密閉可能な空間に移動され、
その内部空間では続けて負圧が加えられ、かつ流体の体積流が洗浄すべき三次元印刷部材に適用されることで、三次元印刷部材から粉末粒子がはがれることによって、三次元印刷部材は負圧によって引き起こされる体積流で洗浄され、
粉末粒子は、負圧で作用することができる少なくとも一つのチャネルを介して、圧密に閉鎖可能な空間から排出され、かつ分離装置に供給され、
続けて、圧密に密閉可能な空間が先ず圧力から解放され、その後洗浄された三次元印刷部材を取り出すために開放される、当該装置において、
装置は、洗浄すべき三次元印刷部材(4)を収容する少なくとも一つの物品支持体(11)と、サクションジェットキャビンとして構成されたハウジング(1)とを備え、
物品支持体(11)は穿孔した底部を備え、かつ運搬システム(9)によってハウジング(1)に移動可能であり、
ハウジング(1)は、物品支持体(11)を搬入して搬出する、少なくとも一つの圧密に閉鎖可能なドア(2、3)を備え、
ハウジング(1)内では、洗浄すべき三次元印刷部材(4)を収容する、いくつかの軸線で移動可能なプラットフォーム(6)が配置されていて、
ハウジング(1)の内部空間は、負圧を発生する装置と動作接続し、
ハウジング(1)は、一つ又は複数の圧密に閉鎖可能な開放部(8)を備え、この開放部では、ハウジング(1)の内部空間に開口し、かつハウジング(1)の内部空間内で体積流を生成することができるそれぞれに管状供給ライン(7)が配置されていて、
ハウジング(1)の内部と物品支承部は、各集合ホッパ(10)を介して、負圧を作用可能なラインシステム(12)に接続されていて、このラインシステムは分離装置と動作接続されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
少なくとも1つの物品支持体(11)は、運搬システム(9)上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
運搬システム(9)は、搬送ユニット(13)としてローラコンベヤを備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
ハウジング(1)は、運搬システム(9)の輪郭内でハウジング(1)の互いに対向する面に配置されている2つのドア(2及び3)が装備されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
圧密に閉鎖可能なドア(2及び3)、運搬システム(9)、可動式プラットフォーム(6)、管状供給ライン(7)の要素は、手動で操作されるか、又は操作盤を介して制御されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
圧密に閉鎖可能なドア(2及び3)、運搬システム(9)、可動式プラットフォーム(6)、管状供給ライン(7)の要素は、アクチュエータとプログラマブルロジックコントローラを介して制御されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
体積流が調節可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
装置は、体積流が調整可能である電磁的に制御された比例弁を備えることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
体積流の媒体は、周囲空気であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
体積流の媒体は、液体、気体、又はエアロゾルであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
液体、気体、又はエアロゾルは、タンクから供給可能であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末床内で印刷された三次元部材を付着している粉末粒子から洗浄する技術的解決策に関するものであって、
その際、この三次元印刷部材が、三次元印刷部材の製造後に先ず粉末床から取り出され、
その後、供給装置上に設置され、かつこの供給装置と共に圧密に密閉可能な空間に移動され、
その内部空間では続けて負圧が加えられ、かつ流体の体積流が洗浄すべき三次元印刷部材に適用されることで、三次元印刷部材から粉末粒子がはがれることで、三次元印刷部材は負圧誘導された体積流で洗浄され、
粉末粒子は、負圧で作用することができる少なくとも一つのチャネルを介して、圧密に閉鎖可能な空間から排出され、かつ分離装置に供給され、
続けて、圧密に密閉可能な空間が先ず圧力から解放され、その後洗浄された三次元印刷部材を取り出すために開放される。
【背景技術】
【0002】
種々の用途に対して、技術的な物品は、液体材料又は粉末材料を連続的に層状に塗布することによって三次元物品が作製される製造プロセスを用いて製造される。このような方法は、例えば積層造形、生成型製造、又はラピッドプロトタイピングと呼ばれ、かつ本発明の説明の範囲内でも使用される一般用語「三次元印刷」でますますまとめられる。
【0003】
これに関する典型的な技術は、粉末床方法での三次元印刷した部材の製造である。この場合、三次元印刷部材の表面に付着した残留粉末粒子(例えば、砂、合成樹脂、又は金属)は、意図した最終製品の形状を変更しないように、次のプロセスステップ(例えば、砂型での鋳造、表面仕上げ、金属で印刷された部品の熱処理)の前に除去する必要がある。
【0004】
従来、このような残留粉末粒子は、一般的には、圧縮空気、ブラシ、掃除機、及び他のツールを用いて、開放的な仕上げステーションで作業者によって、三次元印刷部材から手動で除去されていた。しかし、これには大きな欠点がある。なぜなら、組み込まれた吸引システムにもかかわらず粉じん発生が多く、従って、必然的に労働者にとって健康リスクが生じる。さらに、これらの変形例は、より長い処理時間が必要で、かつ三次元印刷部材を破損する可能性がある。
【0005】
代替的には、ブラスト媒体での残留粉末粒子の除去が可能である。ただし、ここでも欠点が生じる。その欠点は、印刷に使用する粉末材料とブラスト工程で使用するブラスト媒体が同じ種類ではない場合、ブラスト媒体と除去すべき材料が混ざり、種類別に分別できなくなる。三次元印刷に使用される高品質で微細な粉末は非常に高価であるので、ブラスト処理時に同じ種類の粉末を三次元印刷に使用することは、コストの観点から大抵は正当化されない。それ故、分離された材料のリサイクルは、残留粉末とブラスト媒体の分離が必要であるが、この分離は、追加の労力にかかわらず、技術的な観点から限られた範囲でしか実現できない。
【0006】
上述した基本的な方法の欠点を克服するために、当業者は、両方の方法の選択された特徴を有利な方法で組み合わせようと努めている。これに関して、特許文献からいくつかの提案された解決策が既に知られている。
【0007】
例えば、特許文献1は、粉末床内の物品を分離するシステムを記載している。分離は、物品が製造された構造空間内で直接生じる。鋳物砂又は余分な粉末は、種々の技術によって移動させ、好ましくは物品から吹き落される。この場合、1つの変形例では、真空を用いて促進することによって材料を吸い込むことが企図される。
【0008】
三次元印刷された工作物の表面から粒子を除去する装置は、特許文献2から知られている。この場合、工作物は、工作物を取り扱うための開放部を備える筐体内の回転可能なプラットフォーム上に配置されている。工作物に加圧流体が作用する。加圧流体とプラットフォームの振動とによって、余分な粉末が工作物から除去され、重力によって下方へ落下する。代替的にはここでも、真空を用いた吸引が企図される。
【0009】
特許文献3の主題は、空気吹き出し装置でもって部材から余分な粉末を取り除き、空気吸引装置で搬送される積層造形方式で製造された部材に関するシステムである。粉末はパイプライン及び組み込まれたふるいを介して収集容器に到達する。
【0010】
特許文献4では、振動を用いて付着している粉末粒子から部材を除去することが企図される。このため、すべての部材が振動される。振動を部材に伝達するために構築プラットフォームが設けられていて、振動発生器と部材との間の摩擦係合式の接続が、好ましい変形例として指定される。しかしながら、構築プラットフォームと部材のこのような接続は、多数の用途(例えば、砂部分の三次元印刷)に対しては不可能であるか、又は少なくとも一般的ではない。したがって、このような構築プラットフォームは、多くの装置において全く存在しない。また、三次元に印刷された砂部分では、このような部材は結合が悪く、強度が低いことで破壊されるため、振動による洗浄は不可能である。
【0011】
上述の従来技術は、三次元印刷部材に付着する余分な粉末粒子をはがし、かつ搬送するために真空又は少なくとも負圧を適用することが提案されている。しかしながら、この文献には、粉末床で印刷された三次元物品に対して、特に、アクセス性の悪い輪郭部分から粉末粒子をはがして洗浄できるようにするために、これに関する方法や装置をどのように実施するかという具体的な情報は提供されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/297284号明細書
【特許文献2】米国特許第10189057号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第108500268号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102016109212号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、従来技術に対して有利な方法で、粉末床法を用いて三次元印刷された部材から残留粉末粒子を除去することができる技術的解決策を提供することであり、その結果、仕上げ工程がより効率的になり、そして品質と再現性を向上できる。この場合、特に、三次元印刷部材のアンダーカット輪郭と見えにくい輪郭の効果的な洗浄を達成できるようにする。更に、作業場での作業者の粉塵曝露を削減し、後のリサイクルのために除去された材料の効果的な収集を実現できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、装置が、洗浄すべき三次元印刷部材を収容する少なくとも一つの物品支持体と、サクションジェットキャビンとして構成されたハウジングとを備えることによって解決される。
物品支持体は穿孔した底部を備え、かつ運搬システムによってハウジングに移動可能であり、
ハウジングは、物品支持体を搬入して搬出するために、少なくとも一つの圧密に閉鎖可能なドアを備え、
ハウジング内では、洗浄すべき三次元印刷部材を収容する、いくつかの軸線で移動可能なプラットフォームが配置されていて、
ハウジングの内部空間は、負圧を発生する装置と動作接続し、
ハウジングは、一つ又は複数の圧密に閉鎖可能な開放部を備え、この開放部では、ハウジングの内部空間に開口し、かつハウジングの内部空間内で体積流を生成することができるそれぞれに管状供給ラインが配置されていて、
ハウジングの内部と物品支承部は、各集合ホッパを介して、負圧で作用可能なラインシステムに接続されていて、このラインシステムは分離装置と動作接続されている。
別の実施形態は、従属請求項の主題であり、かつ実施例でより詳細に説明される。
【0015】
本発明による装置を使用することによって、粉末床内での製造の結果として付着している粉末粒子は、ブラスト媒体を添加することなく、負圧によって引き起こされる体積流で三次元印刷部材の表面から効果的に除去される。特に、管状の供給ラインでの実施は、選択された部材部分への負圧によって引き起こされる体積流による狙い通りの作用を達成するために有利であり、体積流が作用した部材部分で付着した粉末粒子を良好に除去し、良好な洗浄効果を得る。
【0016】
除去された材料は、異質なブラスト媒体によって汚染されないので、再利用することができる。適切な品質パラメータのインライン測定で、自動リサイクルも可能である。
【0017】
負圧によって引き起こされる体積流での洗浄は、作業者が手やブラシで仕上げるべき物体の表面全体に触れる必要がないため、これまでの手作業による仕上げよりも容易である。生成された体積流は、アンダーカットの輪郭でも、欠陥の無い輪郭が保証される。適正量で量って使用する場合、表面に仕上げ中の損傷はない。表面はきれいに洗浄されている。洗浄すべき表面に負圧を適用する必要があるため、洗浄は圧密なハウジング内で行われる。従って、作業者は洗浄中に除去すべき材料に直接接触することはなく、従って粉塵放出に曝されない。
【0018】
以下では、本発明の実施例が図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】装置の基本的な技術構築を図案化した図で示す。
図2】4つの連続するステップにおいて、図1による装置の使用下で残留粉末粒子を除去するために図案化した機能シーケンスの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、輸送手段を備えた製造ラインの形態での装置の実施形態が描画されている。自動化可能な生産セクションへの有利な統合は、そのような実施形態で可能である。しかし、装置は手作業にも適している。
【0021】
特定の実施形態とは無関係に、三次元印刷部材4は、先ずここでは詳細に描画されていない粉末床において既知の方法で製造される。製造の終了又は製造ステップの終了後には、これらの三次元印刷部材4が、手動又は自動で開梱され、かつ物品支持体11上に置かれる。手動で取り扱う場合には、物品支持体11がその後、サクションジェットキャビンとして機能的に設計されたハウジング1に手動で供給される。しかしながら、以下では製造ラインの部材としての装置の好ましい使用は説明される。
【0022】
自動化可能な洗浄のために、複数の同じような物品支持体11が設けられている。物品支持体11は、穿孔された底部を備え、その底部の開口部によって落下する粉末粒子やその他の材料微粒子が重力によって下方に流れ落ちることが可能である。
【0023】
物品支持体11は、運搬システム9上に配置される。運搬システム9は、搬送ユニット13(例えば、ローラコンベヤ)と、はがされた粉末粒子のための集合ホッパ10とを備える。
【0024】
運搬システム9の間隔を介して、例えば、ローラコンベヤとして実施される搬送ユニット13の互いに隣接する2つのローラ間の自由な組立て間隔を介して、商品キャリヤ11の穿孔された底部に落下する粉末粒子または他の材料微粒子は、重力によってさらに落下できる。この作用は、選択的に組み込まれた振動ユニット14によって、追加的に促進することができる。搬送ユニット13の下方には、少なくとも1つの集合ホッパ10が配置されていて、この集合ホッパの出口はラインシステム12と動作接続する。粉末粒子又は他の材料微粒子は、負圧を用いて、ラインシステム12を通って搬出される。
【0025】
第1の三次元印刷部材4が、図1の左側に描画された物品支持体11上に置かれた後、この物品支持体11が、運搬システム9を使用してハウジング1の方向に移動される、すなわち図1での右側へと移動される。対応する移動は、図1において、運搬システム9の上側にある矢印によって図案化されている。
【0026】
さらなる推移では、三次元印刷部材4を備えた物品支持体11がハウジング1に搬入される。ハウジング1は、物品支持体11を搬入するためかつ搬出するための少なくとも一つのドアを備える。図面による好ましい実施形態では、ハウジング1は、二つのドア2及び3が装備されている。ドア2及び3は、運搬システム9の輪郭内でハウジング1の互いに対向する面に配置されていて、かつ三次元印刷部材4を備え付けて抜き出すための、それぞれ圧密で閉鎖可能な開放部として装備されている。その結果、装置は連続フロー原理に従って動作でき、生産ラインへの普遍的な組み込みが可能である。ドアの配置は生産ラインの要件に適合することができ、横方向の位置、及び天井の開放部又は床の開放部が実現可能である。選択的には、ハウジング1は、洗浄する間にも内部空位間が視認可能であるように、観察窓5を装備することができる。ハウジング1内では、幾つかの軸線で移動可能なプラットフォーム6上で三次元印刷部材4を備える物品支持体11を載置する。従って、すべての側面から洗浄すべき三次元印刷部材4にアクセスできる。これで、ドア2と3は圧密で閉鎖される。
【0027】
次いで、この目的に適した装置(例えば、真空ポンプ)によってハウジング1内に負圧が生じる。この負圧は調整可能である。ハウジング1は、一つ又は複数の圧密に閉鎖可能な開放部8を備え、この開放部では、ハウジング1を貫通するそれぞれに管状供給ライン7を配置することができる。これらの剛性または可撓性に実施される供給ライン7によって、ハウジング1内に体積流が生成される。
【0028】
これらの体積流は、ハウジング1中の負圧によって調整可能である。体積流の媒体として、例えば周囲空気、又はタンクからの流体、例えば液体、気体、若しくはエアロゾルを使用することができる。体積流は、操作可能な菅状の供給ライン7を使用して洗浄すべき三次元印刷部材4に導入される。
【0029】
体積流が三次元印刷部材4に当たると、体積流は、三次元印刷部材4の表面上のその有効領域内の付着した粉末粒子をはがす。はがれた粉末粒子は舞い上がり、かつその粉末粒子の動きによって、付着した他の粉末粒子もはがれる。これに関して、体積流によって加速された粉末粒子の運動エネルギーが使用される。パルスを用いて体積流を変更することにより、エネルギー入力をさらに増加することができる。これは、基本体積流と比較してより強いパルス状体積流を一時的に作り出し、粒子がより強く加速される。このようにして、洗浄すべき部品の様々な表面構成に対してさらに反応させることも可能である。このような容積流の変調は、好ましくは、電磁的に制御された比例弁(図には示されていない)で実現することができる。
【0030】
負圧をかけることによって、はがれた粉末粒子が、洗浄すべき三次元印刷部材4の表面に再び堆積することを防止する。代わりに、それらは運動状態のままで、負圧によって引き起こされるハウジング1内の体積流によって把握され、ラインシステム12を通って分離装置(図示せず)に運ばれる。
【0031】
本発明に係る装置を使用することによって、圧力ブラストとは対照的に、ポケット状の輪郭領域に粉末粒子が充填され、かつブラスト効果が防止されることが回避される。従って、特に、リブ、ブラインドホール等のような狭い輪郭領域において効率的なクリーニング効果が達成される。さらに、はがれた粒子は搬出によって有効領域から引き出され、従って無限に利用できないので、強すぎて輪郭が損傷する処理に対する自己防護効果がある。はがれた材料が除去された場合は、洗浄効果も停止する。
【0032】
図2では、連続した4つの方法ステップで、三次元印刷部材4のアクセス性の悪い輪郭部分から粉末粒子又は他の小さい材料残留物を剥離及び除去する実施例を図案化して描画している。ここでは、洗浄すべき輪郭部分は、例えば長方形の断面を有する凹部を備える。ステップ1は、粉末床での製造終了後の状態を示す。この場合、粉末粒子は、凹部の側面及び底面、並びに凹部の入口断面の横のエッジ領域に蓄積している。ステップ2では、管状供給ライン7を介して凹部の底面方向に流体が供給され、その流体によって、第1の粉末粒子がはがれ、かつ凹部から上方に除去する。ステップ3では、すでにはがれた粉末粒子の一部が移動することによって、他の粉末粒子を巻き込む。さらに、他の粉末粒子は、供給され続ける流体によってはがれ、かつ凹部の領域から除去される。ステップ4では、全ての粉末粒子が凹部からはがれて除去される。その結果、図示された輪郭部分は、付着した粉末粒子及びその他の材料が完全に除去されている。
【0033】
洗浄する間、ハウジング1内の三次元印刷部材4は、可動プラットフォーム6を用いて移動され、その結果、三次元印刷部材4の全表面が流体体積流に曝される。この場合、プラットフォーム6の移動は、手動制御も自動制御も実行できる。さらに大きな除去効果を達成するために、供給ライン7を通して部材4上に追加のブラスト媒体を導入することもできる。この場合に、しかしながら、異質な材料を使用する場合、上述した問題を考慮しなければならないので、主として使用された粉末又は新材料の形態での同種の材料を使用する必要がある。
【0034】
洗浄の終了後、ハウジング1内での負圧が解除され、2つのドア2とドア3が開放される。次に、洗浄された三次元印刷部材4を備えた物品支持体11は、ドア2又はドア3を通ってハウジング1から運搬システム9上に移される。
【0035】
上記の説明から、本発明の装置は、作業領域と分離領域という2つの基本的な部材を備えることが分かる。作業領域は、圧密ハウジング1、体積流に対して操作可能な供給部7、および運搬システム9を備える。分離領域は、負圧を生じる構成グループ、フィルタシステム、セパレータを備える。二重のセパレータと適切なフィルターによって、ほこりのない空気がシステムから出ることが保証される。
【0036】
圧密に閉鎖可能なドア2とドア3、運搬システム9、可動プラットフォーム6、及び管状供給ライン7は、手動で操作することができる。好ましくは、運搬システム9の移動、負圧での作用と真空の発生、ドア2とドア3の開閉、プラットフォーム6の移動、体積流案内の操作などの装置の機能は、操作パネルによって各々制御される。この場合、圧密に閉鎖可能なドア2とドア3、運搬システム9、可動プラットフォーム6、及び管状供給ライン7が、アクチュエータとプログラマブルロジックコントローラを介して制御されることも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 ハウジング/サクションジェットキャビン
2 圧密に閉鎖可能なドア
3 圧密に閉鎖可能なドア
4 三次元印刷部材
5 観察窓
6 プラットフォーム
7 管状供給ライン
8 圧密に閉鎖可能な開放部
9 運搬システム
10 集合ホッパ
11 物品支持体
12 ラインシステム
13 搬送ユニット/ローラコンベヤ
14 振動ユニット
図1
図2
【国際調査報告】