(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】非回転式直流発電機
(51)【国際特許分類】
H02N 99/00 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
H02N99/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502571
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 KR2021003803
(87)【国際公開番号】W WO2021201518
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0038668
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0038669
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522382912
【氏名又は名称】チェ、ウ ヒ
【氏名又は名称原語表記】CHOI,Woo Hee
【住所又は居所原語表記】302ho,82,Banghak-ro 5-gil Dobong-gu Seoul 01394,Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】522382923
【氏名又は名称】ユ、ヒョン ジュ
【氏名又は名称原語表記】YOO,Hyung Ju
【住所又は居所原語表記】401ho,6-11,Yeonseo-ro 34ga-gil Eunpyeong-gu Seoul 03352,Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】522382934
【氏名又は名称】ファン、ナン ギョン
【氏名又は名称原語表記】HWANG,Nan Kyung
【住所又は居所原語表記】321-31,Tongil-ro Seodaemun-gu Seoul 03731,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ウ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ヒョン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ナン ギョン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ソン グォン
(57)【要約】
本発明は界磁や電機子を回転させずに高効率で直流を生成することができるようになった非回転式直流発電機に関するものである。本発明に係る非回転式直流発電機は、直流電流を生成する直流発電機において、駆動ユニットと発電機ユニットを備え、前記発電機ユニットは、棒状のコア部材;電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、前記界磁と磁極片の間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、前記駆動ユニットは交流電源からの交流電流に基づいて前記発電機ユニットに界磁電流を供給することを特徴とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電流を生成する直流発電機において、
駆動ユニットと発電機ユニットを備え、
前記発電機ユニットは、
棒状のコア部材;
電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び
電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、
前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、
前記界磁と磁極片の間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、
前記駆動ユニットは交流電源からの交流電流に基づいて前記発電機ユニットに界磁電流を供給し、
前記コア部材の中央部分には長手方向に沿って中空が備えられる。
前記コア部材と第1または第2中空部との間に絶縁材が更に配置され、
前記絶縁板は高弾性材質のPETで構成され、
前記コア部材は純鉄で構成されると共に熱処理が行われ、
前記磁極片は純鉄で構成されると共に熱処理が行われ、
前記熱処理はコア部材または磁極片を固体燃料と共に窯に入れ、固体燃料を燃焼させてコア部材または磁極片を1000~1300℃に加熱し、コア部材または磁極片を燃焼された固体燃料と共に自然冷却させて行い、10時間以上徐々に冷却して脱磁時間を短縮できるようにしたことを特徴とする非回転式直流発電機。
【請求項2】
前記固体燃料は白炭であることを特徴とする請求項1に記載の非回転式直流発電機。
【請求項3】
前記コア部材または磁極片はオイルで表面処理されることを特徴とする請求項1に記載の非回転式直流発電機。
【請求項4】
前記界磁と電機子は複数が備えられ、界磁と電機子は互いに交互に配置されることを特徴とする請求項1に記載の非回転式直流発電機。
【請求項5】
前記複数の電機子は互いに直列に結線されることを特徴とする請求項4に記載の非回転式直流発電機。
【請求項6】
前記複数の界磁は第1界磁群と第2界磁群に分割され、
前記第1界磁群と前記第2界磁群は互いに交互に駆動されることを特徴とする請求項4に記載の非回転式直流発電機。
【請求項7】
前記複数の界磁は第1界磁群と第2界磁群に分割され、
前記第1界磁群と前記第2界磁群はそれぞれ同期して駆動されることを特徴とする請求項4に記載の非回転式直流発電機。
【請求項8】
前記第1または第2界磁群は界磁電流入力に対してそれぞれ直列または並列に結線されることを特徴とする請求項6に記載の非回転式直流発電機。
【請求項9】
前記第1または第2界磁群は界磁電流入力に対してそれぞれ直列または並列に結線されることを特徴とする請求項7に記載の非回転式直流発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は直流発電機に関するもので、特に界磁や電機子を回転させずに高効率で直流を生成することができるようになった非回転式直流発電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電機(Electric generator)は主に力学的エネルギーを電気エネルギーに変換する装置を称するもので、その動作方式や動作原理によって直流発電機、同期発電機、誘導発電機などに分けて称することもある。発電機は基本的に、電流が生成されて出力される電機子と磁界を生成する界磁を備える。発電機は通常、界磁に直流電源を供給して磁界を形成しながら、界磁に対して電機子を回転させるか、または電機子に対して界磁を回転させる方式で電機子に電流の流れを生成する。この時、電機子を回転させる方式を回転電機子型と称し、界磁を回転させる方式を回転界磁型と称する。このような回転式発電機において、電機子または界磁の回転駆動は別々のエネルギー源によって行われる。エネルギー源としては、その使用用途によって適切なものを採用するが、一般的には、水力、風力、潮力などの自然エネルギーや、タービン、エンジン、モータなどの駆動手段を使用する。
【0003】
一般に、直流は電気を容易に貯蔵することができるという長所がある反面、昇圧を含んで高電力化が困難であるという短所がある。これに対して、交流は貯蔵性が非常に低い反面、昇圧及び高電力化が容易であるという長所がある。発電機の1つの好ましい適用方式として、バッテリなどの貯蔵された直流電源や他の交流電源を用いて界磁や電機子を回転させることで、様々な交流電力を生成するように構成されたシステムがある。このような電力システムまたは電力変換システムは病院や工場などのように、高電力が要求される産業体における非常用電力供給手段として多く使用される。また、このような電力システムは電気をエネルギー源として使用しながら、状況によって様々な駆動トルクの生成が要求される電気自動車などに非常に有用に採用できる。
【0004】
発電機の他の適用方法として、界磁や電機子の回転を通じて誘導電流を生成し、それを整流子または整流子片を通じて出力することで、直流電力を生成するようになったシステムがある。このような電力システムまたは電力変換システムは自動車や航空機などの直流電源を使用する機器の電力供給システムと、このような機器や設備に採用されるバッテリを充電するためのバッテリ充電システムに多く採用される。
【0005】
従来の発電機は基本的に電機子や界磁の回転駆動が要求される。このような構成的特徴は必然的に、発電機の構造的、機械的複雑さに加えて、その製造コストの増加をもたらす。特に、前述した構成的特徴は電機子や界磁が回転する際に機械的摩擦などにより多量のエネルギー損失が発生する。そのため、発電機の発電効率及び電力変換効率を高めることに限界がある。更に、直流発電機の場合には誘導電流を整流するために更に整流子または整流子片が必要である。そのため、発電機の構造及び重量などにおいて交流発電機より更に劣悪であるという短所がある。
【0006】
特許文献1(韓国特許登録第10-1913746号公報、名称:周波数及び電圧調整が可能な交流電力発生器)、特許文献2(韓国特許公開第10-2014-0078732号公報、名称:電力変換装置)、特許文献3(日本特開2000-353627号公報、名称:絶縁コンバータトランス及びスイッチング電源回路)などには電機子や界磁を回転させずに電力変換を行うようになった装置やシステムが紹介されている。ここで、特許文献1は特に注目すべきである。この特許は電機子と界磁を交互に繰り返し積層し、界磁に供給される直流電源のパルス幅をデューティ制御することで、電機子から得られる交流電源の周波数及び電源を容易に調整できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許登録第10-1913746号公報
【特許文献2】韓国特許公開第10-2014-0078732号公報
【特許文献3】日本特開2000-353627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は電機子や界磁を回転させないと共に、整流子を採用せずに直流電源を生成することができるようになった非回転式直流発電機を提供することにその主な技術的目的がある。
また、本発明は高効率で直流電源を生成することができるようになった非回転式直流発電機を提供することにその技術的目的がある。
また、本発明は高効率の交流-直流電力変換器を提供することに他の技術的目的がある。
更に、本発明は直流電力変換器として使用することができる非回転式直流発電機を提供することにまた他の技術的目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を実現するための本発明に係る非回転式直流発電機は、直流電流を生成する直流発電機において、駆動ユニットと発電機ユニットを備え、前記発電機ユニットは、棒状のコア部材;電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、前記界磁と磁極片の間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、前記駆動ユニットは交流電源からの交流電流に基づいて前記発電機ユニットに界磁電流を供給することを特徴とする。
【0010】
また、前記目的を実現するための本発明に係る非回転式直流発電機は、直流電流を生成する直流発電機において、棒状のコア部材;電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、前記界磁と磁極片の間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、前記界磁は直流の界磁電流により駆動され、界磁電流は一定周波数を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
前記構成の本発明によれば、コア部材に対して界磁と電機子を積層して配置し、界磁に界磁電流を適切に供給する方式を通じて電機子から希望する直流電流を生成する。従って、本発明では界磁または電機子を回転駆動するための機械的構造が不要となり、整流子を除去することができるので、直流発電機の構造が非常に簡素化されると共に軽量化される。
【0012】
また、本発明では直流発電機が非回転式で構成されるので、界磁または電機子の回転過程で発生する摩擦などによるエネルギー損失が最小化される。従って、発電機の発電効率が大幅に向上する。
【0013】
本明細書に添付した図面は本発明の技術的構成を効率的に説明するためのものである。図面において一部の構成は本発明を効率的に理解するために簡略化するか、または誇張して描写できることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る発電機ユニット100または直流発電機の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1の発電機ユニット100を採用する非回転式直流発電機の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る非回転式直流発電機の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第3実施形態に係る非回転式直流発電機の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第4実施形態に係る非回転式直流発電機の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第5実施形態に係る発電機ユニット100Cまたは直流発電機の外観形状を概略的に示す正面図である。
【
図7】
図6に示した発電機ユニット100Cまたは直流発電機の分離斜視図である。
【
図8】純鉄の冷却時間による脱磁時間の特性を示すグラフである。
【
図9】本発明においてコア部材40と磁極片80を熱処理した場合の時間による冷却特性曲線を示すグラフである。
【
図10】本発明の第6実施形態に係る発電機ユニット100Dまたは直流発電機の外観形状を概略的に示す正面図である。
【
図11】
図1において界磁10の入力端12に供給される界磁電流の一例を示す波形図である。
【
図12】本発明の第7実施形態に係る直流発電機の構成を示す斜視図である。
【
図13】
図12において第1及び第2界磁10-1、10-2を選択的に駆動する場合に、第1及び第2界磁10-1、10-2の各入力端12-1、12-2を通じて供給される界磁電流の一例を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
前記目的を実現するための本発明に係る非回転式直流発電機は、直流電流を生成する直流発電機において、駆動ユニットと発電機ユニットを備え、前記発電機ユニットは、棒状のコア部材;電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、前記界磁と磁極片の間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、前記駆動ユニットは交流電源からの交流電流に基づいて前記発電機ユニットに界磁電流を供給することを特徴とする。
【0016】
また、前記目的を実現するための本発明に係る非回転式直流発電機は、直流電流を生成する直流発電機において、棒状のコア部材;電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、前記界磁と磁極片の間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、前記界磁は直流の界磁電流により駆動され、界磁電流は一定周波数を有することを特徴とする。
また、前記コア部材の中央部分には長手方向に沿って中空が備えられることを特徴とする。
また、前記コア部材と第1または第2中空部との間に絶縁材が更に配置されることを特徴とする。
また、前記絶縁板は高弾性材質で構成されることを特徴とする。
また、前記絶縁板がPETで構成されることを特徴とする。
また、前記コア部材は純鉄で構成されると共に熱処理が行われることを特徴とする。
また、前記磁極片は純鉄で構成されると共に熱処理が行われることを特徴とする。
【0017】
また、前記熱処理はコア部材または磁極片を固体燃料と共に窯に入れ、固体燃料を燃焼させてコア部材または磁極片を一定温度以上に加熱し、コア部材または磁極片を燃焼された固体燃料と共に自然冷却させて行うことを特徴とする。
また、固体燃料は白炭であることを特徴とする。
また、前記コア部材または磁極片はオイルで表面処理されることを特徴とする。
また、前記界磁と電機子は複数が備えられ、界磁と電機子は互いに交互に配置されることを特徴とする。
また、前記複数の電機子は互いに直列に結線されることを特徴とする。
また、前記複数の界磁は第1界磁群と第2界磁群に分割され、前記第1界磁群と第2界磁群は互いに交互に駆動されることを特徴とする。
また、前記複数の界磁は第1界磁群と第2界磁群に分割され、前記第1界磁群と第2界磁群はそれぞれ同期して駆動されることを特徴とする。
また、前記第1または第2界磁群は界磁電流入力に対してそれぞれ直列に結線されることを特徴とする。
更に、前記第1または第2界磁群は界磁電流入力に対してそれぞれ並列に結線されることを特徴とする。
発明を実施するための形態
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は本発明の好ましい具現例を例示的に示すものであり、そのような実施形態の例示は本発明の権利範囲を制限するためのものではない。本発明はその技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に変形して実施できることを当業者は容易に理解すべきである。
【0019】
まず、本発明の基本的な概念を説明する。前述したように、発電機の基本的な原理は、電機子に加えられる磁場(磁束)に変化を与えて電機子に誘導電流の流れを生成することである。ここで、電機子に対して磁束の変化を与える方法としては、磁界に外部から直流電源を供給して磁場(磁束)を生成し、磁界と電機子との相対的な位置変化、即ち磁界または電機子を回転駆動することで、電機子に加えられる磁場(磁束)に変化を与えることがある。このような方法は現在、ほとんどの発電機に採用している方法であり、前述したように、磁界または電機子を回転駆動するため、発電機の構造が複雑になり、発電効率が低下する問題がある。
【0020】
電機子に磁束の変化を与える他の方法としては、界磁に供給される界磁電流を変化させて界磁によって生成される磁場(磁束)自体に変化を与えることがある。この方式は界磁電流に変化を与えるための適切な方案が提供されると、従来の問題点、即ち電機子や界磁の回転駆動による発電機の構造の複雑さと効率低下を防止することができる。本発明ではこのような方式を従来の回転電機子型または回転界磁型と相対的な概念として非回転式と称し、本方式を用いる発電機を非回転式発電機と称することにする。
【0021】
図1は本発明の第1実施形態に係る発電機ユニット100または直流発電機の構成を示す斜視図である。図面において、発電機ユニット100又は直流発電機は界磁10及び電機子20を備える。界磁10及び電機子20はそれぞれ絶縁材が被覆された導電性線路11、21が巻き取られて構成される。ここで、導電性線路としては、例えば、ポリウレタン(Polyurethane)銅線、ポリエステル(Polyester)銅線、ポリアミドイミド(PAI:Polyamide imide)銅線、ポリエステルイミド(Polyester imide)銅線などが好ましく採用できる。界磁10は界磁電流を供給するための入力端12を備え、電機子20は誘導電流、即ち電機子20で生成される電流を引き出すための出力端22を備える。界磁10と電機子20の巻線比は界磁電力と出力電力によって適宜設定され得る。
【0022】
界磁10と電機子20は全体的に、中央部分に中空部13、23を備える円柱状に形成される。この時、界磁10と電機子20の形状は特定のものに限定されない。例えば、界磁10と電機子20は楕円形または多角形の形状に構成することができる。界磁10と電機子20は中空部13、23が互いに整合するように垂直方向または水平方向に配置される。好ましくは、界磁10と電機子20は互いに漏れ電流または火花が発生しない範囲内でできるだけ近接した位置に配置される。界磁10と電機子20の配置位置は特定されない。例えば、界磁10と電機子20を垂直方向に配置する場合、界磁10を電機子20の上側または下側に配置することができる。また、界磁10と電機子20を水平方向に配置する場合、界磁10を電機子20の左側または右側に配置することができる。界磁10は電機子20の一側に適宜配置される。
【0023】
または、界磁10には入力端12を通じて界磁電流が供給される。図面には具体的に示していないが、入力端12には界磁電流を供給するためにバッテリなどの電流源が結合され、電流源と入力端12の間には入力端12を通じて供給される界磁電流のデューティ比を制御して発電機の出力を制御するための適切な手段が結合されることができる。このような手段としては、PWM(Pulse Width Modulation)制御手段とIGBT(Insulated gate bipolar transistor)などのスイッチング手段を含むことができる。スイッチング手段とPWM制御手段を通じた界磁電流の供給及び制御については特許文献1に記載されている。
【0024】
図2は前記発電機ユニット100を備える直流発電機の構成を示すブロック図である。図面において直流発電機は前述した発電機ユニット100に加えて、この発電機ユニット100を適切に駆動するための駆動ユニット200を備える。図面において駆動ユニット200は界磁電流を供給するための交流電源210と、この交流電源210から供給される交流電流を半波整流または全波整流する整流部220と、発電機ユニット100に供給される界磁電流のパルス幅、即ち、デューティ比を制御して発電機ユニット100から出力される直流電力を制御するPWM(Pulse Width Modulation)制御部230を備えて構成される。
【0025】
前述した構成において、駆動ユニット200は交流電源210からの交流電流を整流して発電機ユニット100に供給する。駆動ユニット200の出力電流は発電機ユニット100の入力端12に供給される。発電機ユニット100の入力端12に供給される界磁電流は
図1において界磁10の線路11を通じて流れるようになる。これにより、線路11の巻き取り方向に対応して線路の進行方向と垂直方向に磁場が形成される。磁場が形成される方向はアンペアの右ねじの法則(Ampere’s right hand screw rules)で定義することができる。
【0026】
界磁10で生成される磁場は電機子20の線路21に対して垂直方向に鎖交する。そして、電機子20の線路21には磁場の方向と線路21の巻き取り方向に対応して一定方向に電流の流れが発生する。この時、誘導電流の大きさは磁場の強度とその変化量に対応する。そして、線路21を通じて流れる誘導電流は発電機ユニット100の生成電流として出力端22を通じて外部に出力されるようになる。
【0027】
前記構成では界磁10と電機子20を隣接した位置に固定的に配置し、駆動ユニット200で交流電流を整流して発電機ユニット100に界磁電流として供給することで、発電機ユニット100を通じて直流電流を出力するようになる。また、駆動ユニット200から発電機ユニット100に供給される界磁電流のデューティ比を制御して、発電機ユニット100の出力電力を適切に調整することができる。
【0028】
図3は本発明の第2実施形態に係る非回転式直流発電機の構成を示すブロック図である。なお、
図3において前述した実施形態と実質的に同一部分には同一参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。実施形態において発電機ユニット100Aは1つの電機子20に対して複数、本例では2個の界磁10-1、10-2を備える。この時、第1及び第2界磁10-1、10-2は実質的に同一の構成からなる。第1及び第2界磁10-1、10-2は電機子20に対して適切に配置される。本発明の1つの好ましい具現例において、第1及び第2界磁10-1、10-2はそれぞれ電機子20の両側に近接して配置される。他の具現例において、前記界磁10-1、10-2は電機子20の一側または他側に配置できる。
【0029】
本実施形態において第1界磁10-1は、入力端の一方が駆動ユニット200からの界磁電流入力側に電気的に連結されると共に、他方は連結線101を通じて第2界磁10-2の一方の入力端に電気的に連結され、第2界磁10-2の他方の入力端は接地される。即ち、第1及び第2界磁10-1、10-2は駆動ユニット200からの界磁入力に対して直列に結線または結合される。また、本発明の他の具現例において、第1界磁及び第2界磁10-1、10-2は駆動ユニット200からの界磁電流入力に対して並列に結合されることができる。
【0030】
本実施形態は1つの電機子20に対して複数の界磁10-1、10-2を設けて、電機子20により効率的に電場が印加されるようにすることで、直流発電機の効率をより高めることができるようにしたものである。
【0031】
図4は本発明の第3実施形態に係る非回転式直流発電機の構成を示すブロック図である。なお、
図4において前述した実施形態と実質的に同一部分には同一参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。本実施形態において、発電機ユニット100Bは1つの界磁10に対して複数の電機子20-1、20-2を備える。ここで、第1及び第2電機子20-1、20-2は実質的に同一の構成からなる。また、第1及び第2電機子20-1、20-2は界磁10の一側又は他側に適宜配置されるが、好ましくは第1及び第2電機子20-1、20-2はそれぞれ界磁10の両側に近接して配置される。
【0032】
第1及び第2電機子20-1、20-2は、その出力端22が直列または並列に結合されることができる。
図3の実施形態においては、第1電機子20-1の他方の出力端が連結線201を通じて第2電機子20-2の一方の出力端に電気的に連結されて、第1及び第2電機子20-1、20-2が全体的に出力端22に対して直列に結合される。本実施形態は1つの界磁10に対して複数の電機子20-1、20-2を設けて、界磁10によって生成される電場をより効率的に活用できるようにしたものである。
【0033】
図5は第4実施形態に係る非回転式直流発電機の構成を示すブロック図であり、これは発電機ユニット100Aを駆動する駆動ユニット200Aの他の構成例を示す図である。なお、本図において前述した実施形態と実質的に同一部分には同一参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0034】
本実施形態において、駆動ユニット200Aは
図2の構成から整流部220が除去されている。そして、交流電源210から印加される交流電流を発電機ユニット100Aの第1界磁10-1と第2界磁10-2に選択的に供給するスイッチング部250を備える 。スイッチング部250は零交差点検出部240の検出信号によって制御される。交流電源210から出力される交流電流は第1方向に流れる第1電流と、第1方向と逆方向である第2方向に流れる第2電流が順次交番する。零交差点検出部240は第1交流と第2交流が交番する瞬間である零交差点を検出し、その検出信号を出力するようになる。スイッチング部250は前記検出信号に基づいて交流電源210から印加される交流電流を第1界磁10-1の入力端12-1または第2界磁10-2の入力端12-2に選択的に供給する。第1界磁10-1はスイッチング部250の出力電流がその入力端12-1の一方に入力され、第2界磁10-2はスイッチング部250の出力電流がその入力端12-2の他方に入力されるようになる。これにより、第1界磁10-1を通じて流れる界磁電流と第2界磁10-2を通じて流れる界磁電流は、その方向が互いに同一方向に設定される。その結果、電機子20の線路21には第1界磁20-1が駆動される際と第2界磁20-2が駆動される際に同一方向に磁場が鎖交することで、電機子20の出力端22では常に同一方向の誘導電流が出力されるようになる。
【0035】
図6は本発明の第5実施形態に係る発電機ユニット100Cまたは直流発電機の外観形状を概略的に示す正面図であり、
図7はその分離斜視図である。
図6において発電機ユニット100Cまたは直流発電機はベース部材30と、このベース部材30の中央部分に結合される棒状のコア部材40を備える。コア部材40の外周面は界磁10-1、10-2と電機子20-1、20-2、20-3の中空部13、23の形状に対応する形状からなって、コア部材40と界磁10-1、10-2及び電機子20-1、20-2、20-3は全体的に、できるだけ近接して配置されるように構成される。そして、コア部材40は長手方向に延びる中空41を備えることが好ましい。この中空41は、コア部材40の内側を通じて空気が円滑に流動できるようにすることで、コア部材40に不適切に熱エネルギーが蓄積されることを防止するためのものである。
【0036】
コア部材40にはその外周面に沿って界磁10-1、10-2と電機子20-1、20-2、20-3が交互に挿入されて積層又は結合される。本実施形態においては、
図3及び
図4の実施形態と同様の方式で第1及び第2界磁10-1、10-2との間の空間に第1電機子20-1が配置され、第1電機子20-1と第2電機子20-2との間及び第1電機子20-1と第3電機子20-3との間にそれぞれ第1界磁10-1及び第2界磁10-2が配置される。
【0037】
第1乃至第3電機子20-1~20-3は実質的に同一の構成からなると共に、互いに直列に結合されて全体的には1つの電機子として機能するようになる。即ち、第1乃至第3電機子20-1~20-3はいずれも線路11が同一方向に巻き取られ、第1電機子20-1の一方の出力端が連結線201を通じて第2電機子20-2の他方の出力端に電気的に連結されると共に、第1電機子20-1の他方の出力端が連結線202を通じて第3電機子20-3の一方の出力端に電気的に連結される。より詳細には、第1乃至第3電機子20-1~20-3はいずれも同一方向の電場に対して同一方向に誘導電流の流れが発生するように構成及び結合される。そして、第2電機子20-2の一方の出力端22aと第3電機子20-3の他方の出力端22bが交流発電機の出力端を構成するようになる。
【0038】
これに対して、第1界磁10-1及び第2界磁10-2の入力端12-1、12-2は、
図1乃至
図5の実施形態と同様の方式で駆動ユニット200、200Aに結合される。
【0039】
本発明の好ましい具現例において、界磁10-1、10-2と電機子20-1~20-3の内周面にはそれぞれ絶縁材130、230が被覆される。この絶縁材130、230は界磁10-1、10-2及び電機子20-1~20-3とそれらの中空部13、23を通して挿入されるコア部材40との間により確実な絶縁を達成するために採用される。
【0040】
界磁10-1、10-2と電機子20-1~20-3との間にはそれぞれ磁極片80が備えられる。また、好ましくは、最上側及び最下側に設けられる電機子または界磁、即ち、本実施形態においては、第2電機子20-2の上側及び第3電機子20-3の下側にもそれぞれ磁極片80が備えられる。そして、磁極片80と界磁10-1、10-2との間と、磁極片80と電機子20-1~20-3との間にはそれぞれ絶縁板90が備えられる。この時、磁極片80の横断面形状及び大きさは界磁10-1、10-2及び電機子20-1~20-3のものと同様に設定される。なお、図面には具体的に示していないが、絶縁板90の断面形状及び大きさは安定した絶縁のために界磁10-1、10-2及び電機子20-1~20-3のそれよりも大きく設定される。
【0041】
絶縁板90の材質は特定のものに限定されない。界磁10-1、10-2で生成される磁場を電機子20-1~20-3に最も有効に作用させるためには界磁10-1、10-2と電機子20-1~20-3との離間距離を最小限に縮小するか、または好ましくはそれらを密着させる必要がある。絶縁板90は界磁10-1、10-2又は電機子20-1~20-3と磁極片80との間、又は界磁10-1、10-2と電機子20-1~20-3との間に漏れ電流が発生したり、火花が発生したりすることを防止し、界磁10-1、10-2と電機子20-1~20-3をできるだけ近接させるようにする。
【0042】
また、本発明の好ましい具現例において、絶縁板90の材質としては、例えばPET(Polyethylene terephthalate)などのように、弾性係数が高く耐衝撃性に優れた材質が採用される。後述するように、コア部材40と磁極片80は界磁10-1、10-2で生成される磁場の磁路を提供して、界磁10-1、10-2で生成される磁場が電機子20-1~20-3を全体的に鎖交しながら循環するようにする。第1界磁10-1と第2界磁10-2は連続的に駆動されず、駆動ユニット200、200AのPWM制御部230により駆動時間がデューティ制御される。または、第1界磁10-1及び第2界磁10-2は連続的に駆動されず、界磁電流の入力により駆動または非駆動される。従って、コア部材40と磁極片80は第1界磁10-1及び第2界磁10-2の駆動に対応して磁化及び脱磁が繰り返し行われるようになる。そして、このような磁化及び脱磁はコア部材40、特に磁極片80に衝撃を与えて磁極片80に微細な振れや振動などを誘発する恐れがある。コア部材40と磁極片80に振動などが発生すると、これを通じて循環する磁路に瞬間的な変形や歪みが発生し、電機子20-1~20-3に鎖交する磁場に変化が発生する。これは結果的に、電機子20-1~20-3で生成される誘導電流に望まない変化を発生する恐れがある。絶縁板90は高弾性で磁極片80の振れや振動を相殺してこれを最小化することで、電機子20-1~20-3を通じて生成される交流電流の流れが不要に歪むことを防止するようになる。
【0043】
前述したように、コア部材40と磁極片80は界磁10-1、10-2で生成される磁場の円滑な流れのために提供される。コア部材40及び/または磁極片80の材質としては、強磁性材料、好ましくは透磁率が高く、保磁力の低いシリコン鋼を採用することができる。ただし、ケイ素鋼は電気伝導度が比較的低く、外部から加えられる光や熱によって内部抵抗値が容易に増加する。コア部材40と磁極片80はこれを通じて磁路が形成される際、磁場の変動に対応して自体的に電流の流れが発生する恐れがある。この時、コア部材40と磁極片80の電気伝導度に反比例して熱が発生する。即ち、界磁10-1、10-2で生成される磁気エネルギーが熱エネルギーに失われる問題が生じる。
【0044】
本発明の他の好ましい具現例において、コア部材40及び/または磁極片80の材料としては純鉄、より好ましくは熱処理された純鉄が採用される。純鉄は透磁率が高く電気伝導度に優れるのに対し、保磁力が比較的高い。コア部材40と磁極片80には第1界磁10-1と第2界磁10-2から交互にまたは様々な方式で磁場が加えられるようになるため、または第1界磁10-1及び第2界磁10-2で生成される第1及び第2磁場が交互に加えられるため、その材質としてはなるべく速い脱磁時間、即ち低い保磁力を有することが要求される。本発明者が研究したところによれば、純鉄を一定温度以上に加熱した後、徐々に冷却させると、その冷却時間に対応して脱磁時間(demagnetization time)が短縮される。
図8は純鉄の冷却時間による脱磁時間の特性を示すグラフである。研究の結果、一定温度以上に加熱された純鉄の温度を10時間以上の十分な時間の間に徐々に冷却させると、その脱磁時間を1/450(秒)以下に短縮できることを確認した。また、これと共に純鉄の冷却時間を遅らせると、透磁率と電気伝導度がより向上する付随的な効果が得られる。
【0045】
本発明では、まず、純鉄を用いてコア部材40と磁極片80を製造した後、熱処理を行う。熱処理は例えば、黒炭や白炭などの固体燃料、好ましくは白炭を用いて行われる。即ち、熱処理時にはコア部材40と磁極片80を白炭と共に窯に入れ、白炭を燃焼させてコア部材40と磁極片80を1000~1300度以上に加熱する。そして、コア部材40と磁極片80をそのまま一緒に常温で放置して、白炭が自然に燃焼及び消火される。その後、コア部材40及び磁極片80が白炭と共に自然に冷却されるようになる。このようにすると、白炭が燃焼及び消火される過程でコア部材40及び磁極片80の温度が徐々に降下する。その後、白炭の潜熱によりコア部材40及び磁極片80が常温に冷却されるまで相当な時間が掛かる。
図9は前述した方法で熱処理されるコア部材40と磁極片80との時間による冷却特性曲線を示すグラフである。そして、熱処理が終了した後にはコア部材40及び磁極片80から白炭材などの不純物を除去し、最終的にはオイルなどでさび止め処理を行うようになる。
【0046】
図6及び
図7において、交流発電機を組み立てる場合には、まずベース部材30にコア部材40を締結する。続いて、コア部材40の外側に磁極片80と絶縁板90を挿入しながら、順次電機子20-1~20-3と界磁10-1、10-2を交互に積層する。その後、蓋60と締結部材70を結合するようになる。そして、最終的に連結線201、202を用いて第1及び第2界磁10-1、10-2と第1乃至第3電機子20-1~20-3との間の結線を行い、発電機ユニット100と駆動ユニット200との間に結線を行うことで、直流発電機を完成するようになる。
【0047】
図10は本発明の第6実施形態に係る発電機ユニット100Dまたは直流発電機の外観形状を概略的に示す正面図である。本実施形態においては、ベース部材30にコア部材40が締結され、コア部材40には複数の界磁10-1~10-nと複数の電機子20-0~20-nが絶縁板90と磁極片80を介して交互に積層して結合される。この時、電機子20-0~20-nは
図6と同様に、同一磁場に対して同一方向の誘導電流を生成できるように構成及び結合される。
【0048】
また、本実施形態において、界磁10-1~10-nは
図1乃至
図5の実施形態と同様の方式で駆動ユニット200、200Aに結合される。ただし、本発電機ユニット100Dに
図5の実施形態を適用する場合、n個の界磁のうち、n/2個の界磁が第1界磁群を構成し、残りのn/2個の界磁が第2界磁群を構成する。好ましくは、奇数番目の界磁10-1、10-3、…、10-(n-1)が第1界磁群を構成し、偶数番目の界磁10-2、10-4、…、10-nが第2界磁群を構成する。この時、各界磁群の構成は各界磁を構成する線路の巻き取り方向を適切に設定するか、またはこれらの界磁に供給される界磁電流の結線方法を適切に設定する方法を通じて行うことができる。第1界磁群と第2界磁群はそれぞれ同期して駆動され、第1界磁群と第2界磁群は互いに交互に駆動されることで、全体的に同一方向の磁場を形成するようになる。第1界磁群と第2界磁群を構成する界磁は様々な方式で結線されることができる。第1界磁群及び第2界磁群はそれぞれ入力端が互いに直列に結線され、第1界磁群及び第2界磁群はそれぞれ1つの界磁電流入力に対して直列に結線されることができる。また、第1界磁群及び第2界磁群はそれぞれ1つの界磁電流入力に対して並列に結線されることができる。
【0049】
本実施形態は複数の界磁10-1~10-nと電機子20-0~20-nを備えて、必要によって様々な直流電力を生成できるようにしたものである。なお、その他の部分は前述した実施形態と実質的に同一であるので、前記実施形態と同一部分には同一参照符号を付し、その具体的な説明は省略する。
【0050】
図11は界磁10の入力端12に供給される界磁電流の一例を示す波形図である。
図11において直流発電機の出力を調整する方法としては、(a)に示す基本界磁電流に対して(b)のようにそのデューティ比を調整するか、(c)のようにその周波数を調整する方法、または(d)のようにデューティ比と周波数を共に調整する方法を考えることができる。
【0051】
界磁10の入力端12に界磁電流が供給されると、界磁電流は界磁10の線路11を通じて流れようになる。これにより線路11の巻き方向に対応して線路の進行方向と垂直方向に磁場が形成される。磁場が形成される方向はアンペアの(右ねじの)法則(Ampere’s right hand screw rules)と定義することができる。界磁10で生成される磁場は電機子20の線路21に対して垂直方向に鎖交する。そして、電機子20の線路21には磁場の方向と線路21の巻き取り方向に対応して一定方向に電流の流れが発生する。この時、誘導電流の大きさは磁場の強度とその変化量に対応するようになる。なお、線路21を流れる誘導電流は電機子20の出力端22を通じて外部に出力されるようになる。
【0052】
前述した構成において、界磁10と電機子20を隣接した位置に固定的に配置し、界磁10に適切に界磁電流を供給する方法で電機子20を通じて希望する直流電力を出力するようになる。
【0053】
図12は本発明の第7実施形態に係る直流発電機の構成を示す斜視図である。なお、
図11において前述した
図1と実質的に同一部分には同一参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0054】
本実施形態においては、1つの電機子20に対して複数、本例では2個の界磁10-1、10-2が備えられる。この時、第1及び第2界磁10-1、10-2は互いに実質的に同一の構成からなる。第1及び第2界磁10-1、10-2は電機子20に対して適切に配置される。好ましくは、第1及び第2界磁10-1、10-2は電機子20の両側にそれぞれ近接して配置される。また、他の具現例において、前記界磁10-1、10-2は電機子20の一側または他側に配置できる。
【0055】
本実施形態において、第1及び第2界磁10-1、10-2は界磁入力に対して直列または並列に結合される。更に、他の好ましい具現例において、第1及び第2界磁10-1、10-2には界磁電流が選択的または交互に印加されて第1及び第2界磁10-1、10-2を別々に駆動することができる。
図13は第1及び第2界磁10-1、10-2を選択的に駆動する場合に、第1及び第2界磁10-1、10-2の各入力端12-1、12-2を通じて供給される界磁電流の一例を示す波形図である。図面において、Aは第1入力端12-1、Bは第2入力端12-2を通じて入力される界磁電流を示すものである。また、本実施形態において、それぞれの界磁電流A、Bは
図11のb~cに示すように、そのデューティ比と周波数を適宜変更することができる。また、本例において、第1界磁10-1と第2界磁10-2を必ずしも交互に駆動する必要はなく、駆動期間を一部重畳してもよい。第1界磁10-1と第2界磁10-2の駆動方式は特定の方式に限定されない。
【0056】
コア部材40にはその外周面に沿って界磁10-1、10-2と電機子20-1、20-2、20-3が交互に挿入されて積層又は結合される。本実施形態においては、
図12と同様に第1及び第2界磁10-1、10-2の内側、即ちその間の空間に第1電機子20-11が配置され、これに加えて第1及び第2界磁10-1、10-2の外側にそれぞれ第2電機子20-2と第3電機子20-3が配置される。
【0057】
第1乃至第3電機子20-1~20-3は実質的に互いに同一の構成からなると共に、互いに直列に結合されて全体的には1つの電機子として機能するようになる。即ち、第1乃至第3電機子20-1~20-3はいずれも線路11が同一方向に巻き取られ、第1電機子20-1の一方の出力端が連結線201を通じて第2電機子20-2の他方の出力端に電気的に連結され、第1電機子20-1の他方の出力端が連結線202を通じて第3電機子20-3の一方の出力端に電気的に連結される。より詳細には、第1乃至第3電機子20-1~20-3はいずれも同一方向の電場に対して同一方向に誘導電流の流れが発生するように構成及び結合される。そして、第2電機子20-2の一方の出力端22aと第3電機子20-3の他方の出力端22bが交流発電機の出力端を構成するようになる。そして、第1界磁10-1及び第2界磁10-2の入力端12-1、12-2には
図11及び4で説明した方式によって界磁電流が適切に供給される。
【0058】
また、本実施形態において、界磁10-1~10-nは
図11及び
図13と同様の方式で界磁電流と結合される。ただし、
図13の例を適用する場合、n個の界磁のうちn/2個の界磁が第1界磁群を構成し、残りのn/2個の界磁が第2界磁群を構成する。好ましくは、奇数番目の界磁10-1、10-3、…、10-(n-1)が第1界磁群を構成し、偶数番目の界磁10-2、10-4、…、10-nが第2界磁群を構成する。この時、各界磁群の構成は各界磁を構成する線路の巻き取り方向を適切に設定するか、またはこれらの界磁に供給される界磁電流の結線方法を適切に設定する方法を通じて行うことができる。第1界磁群と第2界磁群はそれぞれ同期して駆動され、第1界磁群と第2界磁群は全体的に同一方向の磁場を形成するようになる。第1界磁群と第2界磁群を構成する界磁は様々な方式で結線することができる。第1界磁群及び第2界磁群はそれぞれ入力端が互いに直列に結線され、第1界磁群及び第2界磁群はそれぞれ1つの界磁電流入力に対して直列に結線されることができる。また、第1界磁群及び第2界磁群はそれぞれ1つの界磁電流入力に対して並列に結線されることができる。
【0059】
以上、本発明に係る実施例について説明した。しかし、本発明は前記実施形態に限定されず、多様に変形して実施することができる。例えば、前記実施形態において交流発電機を構成するために採用されるベース部材30と蓋60及び締結部材70の構成及び結合構造は発電機を構成する1つの構成例を説明するためのものであり、本発明はこのような構造及び構成例に限定されない。本発明はコア部材40と、これに結合される界磁10及び電機子20の構成及び結合構造を通じてその技術的効果を提供することができ、それらの設置をために採用される構造及び構成は必須的なものではないことを当業者は容易に理解すべきである。
【0060】
なお、
図6の実施形態は
図1乃至
図5の実施形態にも同様に適用することができる。即ち、
図1乃至第5の実施形態において、界磁10と電機子20はコア部材40に挿入されながら配置され、界磁10と電機子20との間には磁極片80と絶縁板90を配置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
前述した構成を有した本発明によれば、コア部材に対して界磁と電機子を積層して配置し、界磁に界磁電流を適切に供給する方式を通じて電機子から希望する直流電流を生成するようになる。従って、本発明では界磁または電機子を回転駆動するための機械的構造が不要となり、整流子を除去することができるので、直流発電機の構造が非常に簡素化されると共に軽量化できるようになる。
【0062】
また、本発明では直流発電機が非回転式で構成されるので、界磁または電機子の回転過程で発生する摩擦などによるエネルギー損失が最小化される。従って、発電機の発電効率を大幅に向上することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電流を生成する直流発電機において、
駆動ユニットと発電機ユニットを備え、
前記発電機ユニットは、
棒状のコア部材;
電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び
電気線路が巻き取られると共に中央部分に第
2中空部が形成され、第2中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、
前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、
前記界磁と磁極片の間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、
前記駆動ユニットは交流電源からの交流電流に基づいて前記発電機ユニットに界磁電流を供給し、
前記コア部材
または磁極片は純鉄で構成されると共に熱処理が行われ、
前記熱処理は前記コア部材または磁極片を固体燃料と共に窯に入れ、固体燃料を燃焼させて前記コア部材または磁極片を一定温度以上に加熱し、前記コア部材または磁極片を燃焼された固体燃料と共に自然冷却させて行うことを特徴とする非回転式直流発電機。
【請求項2】
前記固体燃料は白炭であることを特徴とする請求項1に記載の非回転式直流発電機。
【請求項3】
前記コア部材または磁極片はオイルで表面処理されることを特徴とする請求項1に記載の非回転式直流発電機。
【請求項4】
前記界磁と電機子は複数が備えられ、界磁と電機子は互いに交互に配置されることを特徴とする請求項1に記載の非回転式直流発電機。
【請求項5】
前記複数の電機子は互いに直列に結線されることを特徴とする請求項4に記載の非回転式直流発電機。
【請求項6】
前記複数の界磁は第1界磁群と第2界磁群に分割され、
前記第1界磁群と前記第2界磁群は互いに交互に駆動されることを特徴とする請求項4に記載の非回転式直流発電機。
【請求項7】
前記複数の界磁は第1界磁群と第2界磁群に分割され、
前記第1界磁群と前記第2界磁群はそれぞれ同期して駆動されることを特徴とする請求項4に記載の非回転式直流発電機。
【請求項8】
前記第1または第2界磁群は界磁電流入力に対してそれぞれ直列または並列に結線されることを特徴とする請求項6に記載の非回転式直流発電機。
【請求項9】
前記第1または第2界磁群は界磁電流入力に対してそれぞれ直列または並列に結線されることを特徴とする請求項7に記載の非回転式直流発電機。
【請求項10】
直流電流を生成する直流発電機において、
棒状のコア部材;
電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び
電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第2中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、
前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、
前記界磁と磁極片の間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、
前記界磁は直流の界磁電流により駆動され、
界磁電流は一定周波数を有することを特徴とし、
前記絶縁板は弾性係数が高く耐衝撃性に優れた材質のPET(Polyethylene terephthalate)が採用され、
前記コア部材と磁極片は界磁で生成される磁場の磁路を提供して、界磁で生成される磁場が電機子を全体的に鎖交しながら循環するようになり、この時、前記コア部材と磁極片は磁化及び脱磁が交互に繰り返し行われ、
前記絶縁板は高弾性で磁極片の振れや振動を相殺して最小化することで、電機子を通じて生成される交流電流の流れが不要に歪むことを防止することを特徴とする非回転式直流発電機。
【国際調査報告】