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特表2023-519462音響伝送システム、一次回路、二次回路、伝送方法及び音響伝送システムの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-11
(54)【発明の名称】音響伝送システム、一次回路、二次回路、伝送方法及び音響伝送システムの使用方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 11/00 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
H04B11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513464
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2021055037
(87)【国際公開番号】W WO2021197735
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】102020108905.8
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ゲブハルト,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ワルテール,レナーテ
(57)【要約】
密閉された及び/又は電磁波に対して不透明なバリアによって分離された体積と情報を交換できる音響伝送システムが提供される。伝送システムは、送信ユニット、受信ユニット、電気音響変換器を有する一次側を有する。二次側にはトランスポンダと電気音響変換器があり、一次側と二次側の間の媒体は音響信号に対して透明である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響伝送システムであって、
一次側に、
- 送信信号を提供するように設計され適合された送信ユニットと、
- 前記送信信号への応答として受信信号を受信するように設計され適合された受信ユニットと、
- 前記送信信号を音響信号に、音響信号を受信信号に、変換するように設計され適合された電気音響変換器と、を備え、
二次側に、
- 受信信号を受信し、送信信号を送信するように設計され適合されたトランスポンダと、
- 電気音響変換器と、を備え、
前記一次側と前記二次側との間には音響信号に対して透過性である媒体がある、
音響伝送システム。
【請求項2】
前記二次側にセンサをさらに備える、
請求項1記載の音響伝送システム。
【請求項3】
前記二次側に論理回路をさらに備える、
請求項1又は2記載の音響伝送システム。
【請求項4】
前記二次側に変調器又はMOSFETを備える、
請求項1乃至3いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項5】
前記二次側に、二次側の前記電気音響変換器の電気的負荷を変調する変調器をさらに備える、
請求項1乃至4いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項6】
前記二次側に整流器をさらに備える、
請求項1乃至5いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項7】
整流器は
- 前記電気音響変換器と前記変調器との間に接続されているか、及び/又は
- 前記変調器に直接接続されている、
請求項4乃至6いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項8】
ベースが負荷変調用の接続部(V_MOD)に接続されているトランジスタを備える、
請求項1乃至7いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項9】
前記トランジスタはMOSFETである
請求項8記載の音響伝送システム。
【請求項10】
電気音響変換器とトランジスタとの間に整流器を備え、
前記トランジスタが負荷変調のために短絡されたとき、電気音響変換器の電圧は非ゼロになる、
請求項8又は9記載の音響伝送システム。
【請求項11】
変調中に、キャリア周波数を有する入射音響波から前記二次側のクロックを、前記一次側に導出することができる、
請求項1乃至10いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項12】
前記二次側に中間エネルギ貯蔵部を備える、
請求項1乃至11いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項13】
前記トランスポンダは、前記受信システムの前記クロックをシステムクロックとして使用するように設計され適合されている、
請求項1乃至12いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項14】
前記二次側には戻り通信用の発振器がない、
請求項1乃至13いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項15】
前記二次側には発振器がない、
請求項1乃至14いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項16】
前記二次側に電気インピーダンス適合ネットワークをさらに備える、
請求項1乃至15いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項17】
前記二次側に周波数低減器をさらに備える、
請求項1乃至16いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項18】
前記二次側に、誘導素子、容量素子及び論理回路を含む並列回路と、変換器を有する回路ユニットと、をさらに備える、
請求項1乃至17いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項19】
前記二次側に、ポート、給電接続部、4つの回路ノード、オペアンプ及びトランジスタを有する論理回路フロントエンド回路をさらに備える、
請求項1乃至18いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項20】
前記一次側及び/又は前記二次側に音響インピーダンス適合部及び/又は電気インピーダンス適合部をさらに備える、
請求項1乃至19いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項21】
前記一次側に周波数分波器をさらに備える、
請求項1乃至20いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項22】
前記一次側は、前記二次側をエネルギ供給するように設計され適合されている、
請求項1乃至21いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項23】
一方向通信又は双方向通信のために設計され適合されている、
請求項1乃至22いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項24】
前記一次側に、2つの信号導体、平衡ガイド入力、不平衡ガイド出力、給電接続部、3つの誘導素子及び6つの容量素子を有する適合ネットワークをさらに備える、
請求項1乃至23いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項25】
二次側に、音響的及び/又は光学的近くを記録及び/又は伝送するための手段を備える、
請求項1乃至24いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項26】
二次側に、音声録音、画像録画、ビデオ録画、画像及び音声録音の、録音及び/又は伝送するための手段を備える、
請求項1乃至25いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項27】
前記二次側の素子は前記一次側から伝送されるエネルギによって動作可能である、
請求項1乃至26いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項28】
二次側で記録された情報はデジタルデータの形態でユーザデータとして伝送可能である、
請求項1乃至27いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項29】
モノクロ画像、グレースケール画像又はカラー画像の、前記二次側で記録されたビデオ情報は、前記一次側に伝送可能である、
請求項1乃至28いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項30】
前記二次側で記録された音声情報は、モノラル信号又はステレオ信号として前記一次側に伝送可能である、
請求項1乃至29いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項31】
画像又は動画を伝送する際に、新たな画像ラインの開始を外部に伝送可能である、
請求項1乃至30いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項32】
新たな画像ラインの開始を前記二次側に伝送する手段を含む、
請求項1乃至31いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項33】
前記二次側から前記一次側へカラー画像を伝送する際に、画像点毎に3つの値を伝送可能である、
請求項1乃至32いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項34】
前記二次側から前記一次側へカラー画像を伝送する際に、画像点毎に3つの値を伝送可能である、
請求項1乃至33いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項35】
前記一次側及び前記二次側にそれぞれ回路を備え、データフレームのサイズは伝送されるべき情報を送信又は受信するように設計され適合されている、
請求項1乃至34いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項36】
前記データフレームは64バイトサイズである、
請求項35記載の音響伝送システム。
【請求項37】
前記一次側はアンテナを有するモジュールを含み、又は前記一次側はアンテナを有するモジュールで拡張可能である、
請求項1乃至36いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項38】
エアインタフェースを介して外部通信機器と通信するように設計され適合されている、
請求項37記載の音響伝送システム。
【請求項39】
外部通信機器は移動体無線端末である、
請求項38記載の音響伝送システム。
【請求項40】
前記一次側及び/又は前記二次側は外部通信機器を用いて制御されることができる、
請求項39記載の音響伝送システム。
【請求項41】
エアインタフェースは、無線規格のトランシーバを介した接続、NFC接続、ブルートゥース接続から選択されたものである、
請求項38乃至40いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項42】
前記一次側に
- コンバータ素子と、エネルギ貯蔵部及び異なる伝送標準間でデータを変換するための回路を備える、
請求項1乃至41いずれか1項記載の音響伝送システム。
【請求項43】
前記エネルギ貯蔵部は電池又は充電可能の蓄電池である、
請求項42記載の音響伝送システム。
【請求項44】
請求項1乃至43いずれか1項記載の音響伝送システムの一次側に含まれる一次回路。
【請求項45】
請求項1乃至20いずれか1項記載の音響伝送システムの二次側に前記素子を有する二次回路。
【請求項46】
音響伝送システムを用いて伝送する方法であって、
- 一次側の送信ユニットを用いて、二次側の受信ユニットへキャリア信号を送信するステップと、
- 前記受信ユニットを介して前記キャリア信号を受信するステップと、
- 測定値に基づいて応答信号を生成するステップと、
- 前記一次側に前記応答信号を伝達するステップと、
を含む、方法。
【請求項47】
前記一次側及び前記二次側は、密封されており、及び/又は電磁的信号に対して不透過なバリアによって分離されている、
請求項46記載の方法。
【請求項48】
音響的波は前記一次側と前記二次側との間を通り抜け、情報及び/又はエネルギを伝送する
請求項46又は47記載の方法。
【請求項49】
前記通信はポイントツーポイント暗号化される、
請求項46乃至48いずれか1項記載の方法。
【請求項50】
前記通信は暗号化方法を使用する、
請求項49記載の方法。
【請求項51】
データを暗号化し、そのコンテンツに第三者がアクセスできないように、及び/又はそのコンテンツを第三者が所期のように変更できないようにする、
請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記通信はデジタル信号を経由して行われる、
請求項46乃至51いずれか1項記載の方法。
【請求項53】
前記通信は一方向又は双方向で行われる、
請求項46乃至52いずれか1項記載の方法。
【請求項54】
情報は、負荷変調、振幅変調、位相変調、周波数変調、複素変調から選択された変調を使用して伝送される、
請求項46乃至53いずれか1項記載の方法。
【請求項55】
データフローの方向には、前記一次側から戦記二次側への方向が含まれる、
請求項46乃至54いずれか1項記載の方法。
【請求項56】
変調として、標準ISO/IEC14443-2_2010のセクション8及び9のうちの個々の変調が挙げられる、
請求項46乃至55いずれか1項記載の方法。
【請求項57】
エラー検出又はエラー訂正方法を用いる、
請求項46乃至56いずれか1項記載の方法。
【請求項58】
データフレームは、必要に応じて前記一次側から前記二次側に送信され、前記二次側から応答される、
請求項46乃至57いずれか1項記載の方法。
【請求項59】
非同期データフレーム間で、非変調キャリア周波数のみが前記一次側から前記二次側に送信される、
請求項46乃至58いずれか1項記載の方法。
【請求項60】
8ビットのユーザデータの間でパリティビットが標準ISO/IEC14443-3 _2011に従って送信される、
請求項46乃至59いずれか1項記載の方法。
【請求項61】
前記伝送は、巡回冗長検査(CRC)機構を使用する、
請求項46乃至60いずれか1項記載の方法。
【請求項62】
前記巡回冗長検査(CRC)が、標準ISO/IEC14443-3_2011によるCRC16検査又はCRC32検査であり、最後の2x8ビット又は4x8ビットがそれぞれ検査に属する、
請求項61記載の方法。
【請求項63】
エネルギが前記二次側に中間貯蔵される、
請求項46乃至62いずれか1項記載の方法。
【請求項64】
縦波音響波が固体バリアを通過する、
請求項46乃至63いずれか1項記載の方法。
【請求項65】
前記通信は前記一次側によって制御される、
請求項46乃至64いずれか1項記載の方法。
【請求項66】
1つの前記一次側が、複数の前記二次側と通信する、
請求項46乃至65いずれか1項記載の方法。
【請求項67】
衝突防止法を用いる、
請求項46乃至66いずれか1項記載の方法。
【請求項68】
1MHzから50MHzの周波数範囲を有する通信を用いる、
請求項46乃至67いずれか1項記載の方法。
【請求項69】
前記電気音響通信は、13.56MHz±0.5MHzの周波数範囲の周波数を使用する、
請求項68記載の方法。
【請求項70】
前記一次側と前記二次側との間の音響チャネルの要素は、13.56MHz±0.5MHzの周波数範囲に適合されている、
請求項69記載の方法。
【請求項71】
音響チャネルの要素が、電気音響変換器、接着剤層、及び媒体を含む、
請求項70記載の方法。
【請求項72】
環境パラメータ又は製造公差の変化を補償するために周波数及び/又は振幅を変化させることをさらに含む、
請求項46乃至71いずれか1項記載の方法。
【請求項73】
前記周波数を変化させることが、前記一次側が前記二次側から受信する受信されたデジタルデータに基づく、
請求項72記載の方法。
【請求項74】
前記二次側がまず前記一次側のコマンドを正しく受信する、
請求項73記載の方法。
【請求項75】
前記二次側がその後、前記一次側に「良好」周波数又は「不良」周波数について通知する、
請求項74記載の方法。
【請求項76】
前記「良好」周波数及び前記「不良」周波数への分類はビットエラーレートに基づく、
請求項75記載の方法。
【請求項77】
前記「良好」周波数及び前記「不良」周波数への分類のために追加のアナログ回路要素を必要とせず、振幅レベルの評価を必要としない、
請求項76記載の方法。
【請求項78】
一次側から気密及び/又は電気的に分離された容積内の測定値を照会するための、
請求項1乃至43いずれか1項記載のシステムの使用方法。
【請求項79】
流体媒体中の温度、ガス圧及び/又は湿度及び/又はpH値及び/又は圧力を測定するための、
請求項78記載の使用方法。
【請求項80】
外部への電気的に絶縁された伝送用の高電圧コンデンサへの、
請求項78又は79記載の使用方法。
【請求項81】
良好に適合したなキャリア周波数、振幅、又は変調設定を見出すための、音響伝送システムでエラー検出メカニズムを使用する方法。
【請求項82】
同一の情報が伝送される4つ以上の音響周波数範囲を使用するための音響伝送システムの使用方法。
【請求項83】
負荷変調のために2段階変調法が使用される、
請求項82記載の使用方法。
【請求項84】
- マンチェスターコーディングのデータは、第1ステップにおいてサブキャリアに変調され、
- 前記サブキャリアはチャネル内で第2ステップにおいて再びキャリア周波数に変調される、
請求項83記載の使用方法。
【請求項85】
前記一次側は、前記二次側の情報を常に同時に、キャリアに対して固定された4つの周波数帯において並列に受信する、
請求項84記載の使用方法。
【請求項86】
前記情報は同時に常に4つの周波数帯において伝送される、
請求項85記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密及び/又はガルバニックバリアを介したエネルギ及び/又は情報の伝送に関するものである。特に、本発明は、音響波を用いた関連する伝送システム、そのための一次回路、そのための二次回路、障壁を越えて情報及び/又はエネルギを伝送するための方法、並びに対応する音響伝送システムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界のプロセスを補足し、制御できることが求められている。従来の計測技術では捉えにくいプロセスを捉え、制御することが問題である。産業、航空、船舶などの分野では、測定すべきパラメータを決定する被測定空間がバリアで区切られている例もある。圧力容器や一般に閉鎖された構造もバリアとして考えることができる。特に、気密シール(hermetisch dicht)であり及び/又は電磁波を通さないバリアが問題である。
【0003】
特に問題となるのは、測定したい空間にセンサを挿入するための穴を開けることができない、あるいは開けてはいけないバリアである。
【0004】
音響波は、対応するバリアを通過できることが知られている。例えば、電気音響変換器は、US5,594,705Aから知られている。対応する伝送アセンブリは、例えば、Ding-Xin Yang, Zheng Hu, Hong Zhao, Hai-Feng Hu, Yun-Zhe Sun and Bao-Jian Houによるレビュー記事:「Through-Metal-Wall Power Delivery and Data Transmission for Enclosed Sensors: A Review」Sensors 2015, 15, 31581-31605, https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4721790/で説明されている。論文「State-of-the-Art Developments of Acoustic Energy Transfer(音響エネルギ伝送の最先端開発)」(Md Rabiul Awal, Muzammil Jusoh, Thennarasan Sabapathy, Muhammad Ramlee Kamarudin, and Rosemizi Abd Rahim; International Journal of Antennas and Propagation, Volume 2016, Article ID 3072528, Hindawi Publishing Corporation, https://www.researchgate.net/publication/307893860_State-of-the-Art_Developments_of_Acoustic_Energy_Transfer)から、音響波の電力伝送への利用が知られている。例えば、DE102007038419B4には、超音波によって外部からエネルギを供給でき、同様にセンサーデータは超音波によって送信することができる金属製ハウジング内のセンサーシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許公開第5,594,705号公報
【特許文献2】独国特許登録第102007038419号公報
【発明の概要】
【0006】
そのため、バリアの機能を損なうことなく、対応するバリアを克服できる伝送システムの改良が望まれている。
【0007】
この目的のために、独立請求項による音響伝送システムが提供される。従属請求項には、システムの有利な実施形態と、有利な一次回路、二次回路及び方法と、伝送システムの有利な使用方法が開示されている。
【0008】
伝送システムは、一次側に送信ユニット、受信ユニット、電気音響変換器を備えている。送信ユニットは、送信信号を提供するように設計され、適合されている。受信ユニットは、送信信号への応答として受信信号を受信するように配置され、かつ適合されている。電気音響変換器は、送信信号を音響信号に変換し、音響信号を受信信号に変換するように配置され、適合されている。さらに、伝送システムは、トランスポンダと電気音響変換器を二次側に備えている。トランスポンダは、受信信号を受信し、送信信号を送信するように設計され、適合されている。これにより、二次側の電気音響変換器は、一次側の電気音響変換器と音響的にコンタクトすることができる。さらに、音響伝送システムは、一次側と二次側の間に、音響信号に対して透過性である媒体を有している。
【0009】
本来、媒体とは、そのバリアの両側の間で情報交換を行う場合に乗り越えなければならないバリアを意味する。バリアは、電磁波に対して不透明で、外部と内部を気密に相互に分離することができる。伝送システムの2つの電気音響変換器のそれぞれは、圧電変換器であってもよい。圧電変換器は、圧電素子と電極構造を有することができる。圧電素子は、圧電効果により、電気信号と音響信号とを互いに変換する。縦波音響波(longitudinalen akustischen Wellen)で動作する変換器は、通常、下部電極と上部電極の間に圧電体を配置したサンドイッチ構造を有する。この電気音響変換器は、適切な音響ターミネーション(akustischen Abschluss)と組み合わせることで、電気音響共振器として動作させることができる。
【0010】
伝送システムが二次側にセンサを含むことも可能である。
【0011】
センサは、温度センサ、圧力センサ、湿度センサ、ガスセンサ、光センサ、パルスカウンタ、マイクロフォン、又は類似の種類のセンサであることができる。特に、センサはMEMSセンサ(MEMS=micro electromechanical system=微小電気機械システム)とすることができる。かかるセンサは、費用対効果的(kostenguenstig)に大量生産でき、良好な電気的特性を有し、良好なS/N比を有し、消費電力が少ないという特徴がある。
【0012】
伝送システムが二次側に論理回路を含むことが可能性がある。
【0013】
論理回路は、センサに接続されることができ、センサを駆動制御し、読み出しを行い、場合によってはセンサに必要なバイアス電圧を供給することができる。論理回路は、センサ信号を検出することができる。センサ信号は通常、アナログのセンサ信号である。したがって、デジタル出力信号が必要な場合は、論理回路がA/Dコンバータを有し、センサの出力信号の強度を増幅することができる。
【0014】
一次側との通信のために、伝送システムの二次側は変調器を有することができる。変調器は、例えば、MOSFET(MOSFET=metal oxid semiconductor field effect transistor=金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)を有することができる。変調器によって、二次側から一次側へ、例えば対応するセンサの測定値を知らせるように信号をコーディングすることができる。
【0015】
変調は、振幅変調、周波数変調、位相変調、又は上記の異なる変調形式を組み合わせた複合変調のいずれかであることができる。一次側への応答に対して振幅のオン・オフを切り替えるのは、振幅変調の特殊な形態です。
【0016】
なお、二次側が、二次側電気音響変換器の電気的負荷を変調するための変調器を相応に有することが可能である。
【0017】
二次側電気音響変換器の電気負荷を変調することは、特に省エネルギ回路として実装できるため、好ましい実施形態である。二次側の電気音響変換器には電気負荷が接続されており、変調器によってそのインピーダンスを変化させることができる。二次側、すなわち二次側の電気音響共振器が一次側からバリアを通過した音響波を受信すると、二次側の電気音響変換器がその音響信号を電気信号に変換する。これらの電気信号は、二次側の電気負荷に印加される。二次側の電気音響変換器とそれに接続されたインピーダンス調整可能な電気負荷からなるシステムは、電気負荷の設定により反射係数を調整できる音響波の反射素子となる。このように、二次側電気音響共振器の電気的負荷が変調されると、音響波の反射ファクタが変調される。一次側では、変調された音響波を反射ファクタの変調に応じて受信し、それに応じて評価することができる。
【0018】
電気負荷を変調して反射ファクタを変調する場合、伝送システムの二次側で特別な波の励振を必要としないため、したがって、一次側との通信のための二次側での相応のエネルギ消費は最小限に抑えられる。
【0019】
二次側でのエネルギ消費量は、二次側の回路素子にエネルギを供給するのに、一次側から二次側へ音響波を輸送するエネルギで十分なほど小さくすることも可能である。電気エネルギは、電気音響変換器を介して一次側の音響エネルギから容易に得ることができる。
【0020】
この目的のために、伝送システムが二次側に整流器を有することが可能であり、二次側の電気音響変換器に対応する出力電流と出力電圧を、必要に応じて平滑用のコンデンサを用いて、二次側の直流電圧として供給することが可能である。
【0021】
電気音響変換器と変調器の間に整流器が接続されることが可能である。あるいは又はさらに、整流器を直接変調器に接続することも可能である。
【0022】
例えばMOSFETトランジスタの形態の変調器を整流器の直後に配置することは、US5,594,705の回路とは対照的に、整流器での電圧降下が小さいため、負荷変調中に一次側からの入力キャリア周波数が例えばデジタルスイッチ変調器、例えばトランジスタによって0ボルトに減少しないという利点を有する。このキャリア周波数の残存電圧は、例えば100mVのオーダーとすることができ、この通信の時間帯にも二次側回路でクロック信号を得るために二次回路によって使用されることができる。
【0023】
伝送システムが、ベースが負荷変調用端子に接続されたトランジスタを有することも可能である。
【0024】
そのトランジスタが上記のMOSFETであることが可能性である。
【0025】
伝送システムが、電気音響変換器とトランジスタとの間に整流器、例えば上述した整流器を有することが可能である。これにより、トランジスタが短絡しても、負荷変調時に電気音響変換器の電圧がゼロにならないようにすることが可能である。
【0026】
したがって、変調中に、一次側にキャリア周波数を有する入射音波から二次側のクロックを導出することも可能である。
【0027】
伝送システムは、二次側に中間エネルギ貯蔵部を有することも可能である。中間エネルギ貯蔵部は、コンデンサ及び/又はアキュムレータを有することができる。これにより、中間エネルギ貯蔵部は、頻度の低い測定プロセスに必要なエネルギを蓄えることができる。例えば、2つの電極間のアークを利用した測定プロセスが可能である。二次側で測定に利用できる一次側から伝達されるエネルギ及び二次側で測定が行われるべき周波数に応じて、測定プロセスごとに利用可能なエネルギが基本的に指定される。
【0028】
トランスポンダは、受信システムのクロックをシステムクロックとして使用することが意図され、かつ適切であることが可能である。その際、受信システムは、一次側がバリアを介して二次側に伝達した音響波のクロックを受信する。
【0029】
したがって、従来の情報伝送システムとは異なり、二次側は、デジタル回路のクロックジェネレータとして発振器が不要となる。これにより、測定に使用するエネルギを節約することができる。
【0030】
相応に、二次側には、戻り通信(Rueckkommunikation)用の発振器がないことも考えられる。
【0031】
さらに、一次側から受信した信号のクロックを二次側の他の回路部品にも使用できるため、二次側にクロックジェネレータとしての発振器がまったくない可能性もある。
【0032】
伝送システムは、二次側に電気インピーダンス整合ネットワークを備えることが可能である。
【0033】
電気インピーダンス整合ネットワークは、二次側の電気音響変換器の出力インピーダンスと、二次側の他の回路部品と、の間の電気インピーダンスを整合させるのに役立つ。
【0034】
インピーダンス整合ネットワークは、適切に接続された容量性、誘導性、抵抗性の回路素子を有することができる。
【0035】
伝送システムは、二次側に周波数低減器を備えることが可能である。
【0036】
周波数低減器として入力周波数を有する信号を入力信号の周波数とは異なる出力周波数を有する出力信号に変換する回路が挙げられる。
【0037】
一次側との戻り通信は、基本的に、キャリア周波数としての低減された周波数に基づくことができる。このため、一次側では、応答信号を一次信号から容易に分離し、クロスオーバーによって評価することができる。
【0038】
特に、周波数半減器又は周波数半減器のカスケードを周波数低減器として使用することができる。例えば、1、2、3又は4回の周波数半減のシーケンスにより、一次側からのキャリア信号の周波数が半減、4分の1、8分の1、16分の1になる。低減された周波数が一次周波数と十分に異なる場合、応答の強さが大きく減衰しても、一次側のクロスオーバーは二次側から分離することができる。
【0039】
伝送システムは、二次側に、トランスと、誘導性素子、容量性素子及び論理回路を含む並列回路を有する回路ユニットを備えることが可能である。
【0040】
誘導性素子と容量性素子は、それによって、場合によってはトランスと連動して、電気インピーダンス整合をとることができる。
【0041】
論理回路は、センサを駆動制御し、必要に応じて一次側への応答のための信号を変調するために使用される。
【0042】
伝送システムは、二次側に、ポート、供給端子、4つの回路ノードA、B、C、Dとオペアンプと7つのトランジスタを有する論理回路フロントエンド回路を備えることが可能である。
【0043】
これらの回路部品は、負荷変調のためのトランスポンダ回路の変形例として集積回路の回路部品を表すことができ、特にトランジスタの1つは、実際の負荷変調を作用させる。
【0044】
一次側及び/又は二次側で、音響インピーダンス整合及び/又は電気インピーダンス整合が行われ、関連する手段が提供されることが可能である。
【0045】
特に、一次側のみ電気的なインピーダンス整合が行われることが可能である。さらに、二次側のみ電気的なインピーダンス整合が行われることが可能である。さらに、一次側のみ又は二次側のみ音響インピーダンス整合が行われることも可能である。
【0046】
ただし、一次側と二次側の両方が電気的なインピーダンス整合を有する場合、それも可能であり、有利である。相応に、一次側と二次側の両方が音響インピーダンスのマッチングを有する場合、それも有利である。
【0047】
電気的なインピーダンス整合は、例えば容量性素子、誘導性素子、抵抗性素子などの能動的又は受動的回路素子を有する通常の電気回路網を介して行うことができる。音響インピーダンス整合は、音響インピーダンスが調整された追加層を介して可能である。例えば、一次側電気音響変換器とバリア材との間、又はバリア材と二次側電気音響変換器との間に追加層を配置することができる。
【0048】
有利な実施形態では、対応する電気音響変換器は、接着剤層、例えば適切な接着剤によってバリアに機械的に連結され、接着剤層は適切な音響インピーダンス、又は可能な限り薄い層厚を有している。
【0049】
さらに、一次側には、上述のように、周波数分波器(Frequenzweiche)を有することも可能である。
【0050】
周波数分波器は、一次側のキャリア信号から二次側の応答を切り離し、一次側の信号の強さに邪魔されずに評価するために使用することができる。
【0051】
周波数分波器は、好ましくは、ダイプレクサ又はデュプレクサを有することができる。二次側が周波数低減器ではなく、周波数ブースター、例えば1つ以上の周波数倍増器を備えている場合も同様に、一次側は一次信号の周波数以上の周波数を有する信号を切り離し(auskoppeln)、評価することができる。
【0052】
また、伝送システムにおいて、一次側が二次側に連続的にエネルギを供給することを意図し、かつ、それに適していることも可能である。エネルギは、好ましくは音響エネルギの形態でバリアを介して伝送され、二次側で、例えば電気音響変換器を用いて、電気エネルギに変換される。
【0053】
通信は、二次側から一次側への一方向のみ行われることが可能である。この場合、一次側は二次側にエネルギを伝達するだけである。
【0054】
しかしながら、伝送システムが双方向通信を意図し、それに適していれば有利である。そして、一次側は二次側に情報を伝達することができる。二次側は情報を受信して評価することができる。
【0055】
さらに、二次側は一次側に情報を伝達し、一次側は受信した情報を評価することができる。さらに、伝送システムが一次側に整合ネットワークを有し、整合ネットワークが、2本の信号線、平衡ガイド信号入力(balanced gefuehrten Signaleingang)、不平衡ガイド信号出力(unbalanced gefuehrten Signalausgang)、電源接続、3つの誘導性素子、6つの容量性素子を有することも可能である。
【0056】
整合ネットワークは、平衡ガイド信号入力を介して外部回路環境から情報を受信することができる。不平衡ガイド信号出力を介して、一次側の整合ネットワークは、相応に受信された情報を外部回路環境へ転送することができる。
【0057】
平衡ガイド信号線では、同じ信号を逆の振幅で伝送する2つの導体要素がある。平衡信号線はコモンモード干渉(Gleichtaktstoerungen)を比較的受けにくい。
【0058】
視聴覚知覚を記録及び送信するための手段は、伝送システムにおいて「内部」(二次)側への適用として(例えば、音声記録、画像記録、ビデオ記録、画像及び音声記録、すなわち、例えば「古典的な」ビデオカメラ)も含まれることができる。
【0059】
これらは、他のセンサについてすでに説明したように、一次側に導入された信号、例えば超音波信号から「収穫された(geharvesteten)」エネルギの助けを借りて操作することができる。
【0060】
内部に記録されたデータ、つまり、例えば音、画像、ビデオ、音-画像-ビデオなど、音波を介して、説明された伝送システムのユーザデータとしてデジタルデータの形で「外部」、すなわち一次側、に再び伝送することができる。
【0061】
原則として、モノクロ、グレースケール又はカラー画像を伝送することができる。
【0062】
音声はモノラルとステレオを選択できる。
【0063】
換言すると、そのようなものに共通する任意のタイプの伝送を選択することができる。
【0064】
全体として、具体的に何を選択するかは、帯域及び伝送レートによってのみ制限される。
【0065】
しかし、特に画像や動画を伝送する際に特に重要なのは、伝送された画像等を正常に表示するために、新しい画像の開始や新しい画像ラインの開始(ドットやラインをスキャンする場合)を一次側に伝送する機構である。
【0066】
さらに複雑なものとして、通常、カラー画像のピクセルごとに3つの値またはデータベクトル(赤、緑、青)を伝送することができる。この情報は、ハードウェアで提供されるデータフレームサイズに適切に適合させる必要がある。
【0067】
特に、ハードウェアが、例えば64ビットサイズのデータフレームをサポートすることが可能であり、データフレームは、一方では、処理された画像データで充填されることができ、他方では、これらのデータフレームを、二次側と一次側との間の媒体を介し外部に受け渡すこと、が可能である。
【0068】
一次側回路は、着脱可能な又は運搬可能なモジュールとして設計されるか、又は着脱可能なモジュールを含むことができる。モジュールは、NFC アンテナ及び/又は圧電変換素子を含むことができる。
【0069】
このようにして、携帯電話などのNFCインタフェースを利用して、音響波を介して二次側のアプリケーションを制御又は作動させることができる。
【0070】
これは、伝送システムがさらなるエアインタフェースを含むことができるか、又は伝送システムを容易に拡張可能であることを意味する。
【0071】
このように、伝送システムは、任意の無線標準(例えばBluetooth(登録商標))の送受信器と圧電変換素子と、エネルギ貯蔵部(電池又は充電可能な蓄電池)と、異なる標準間のデータ変換に適した電子機器とを含む「リレー」によって拡張されることができるか、拡張可能であることができる。
【0072】
一次側回路、例えば伝送システムの一次側回路は、上述のような一次側素子を含むことができる。相応に、二次回路は、上記のような伝送システムの二次側の素子を含むことができる。
【0073】
音響伝送システムを用いて伝送方法は、以下のステップを含むことができる:
- 一次側の送信ユニットを用いて、二次側の受信ユニットにキャリア信号を送信するステップと;
- 受信ユニットを介してキャリア信号を受信するステップと;
- 測定値に基づいて応答信号を生成するステップと;
- 一次側に応答信号を伝達するステップと;
を含む。
【0074】
通信には、二次部分(Sekundaerteils)を識別するためのステップも含まれることがさらに可能である。識別は、測定値に基づくことができる。また、識別のために他の情報、例えば付加情報を使用することも可能である。識別システムには、複数の二次部分を含めることもできます。
【0075】
そのためには、一次側がキャリア周波数又はそれに近い正弦波信号を連続的に出力することが可能である。この正弦波信号を二次側で使用することで、揮発性ストレージから電力を連続的に取り出して動作を維持することができる。さらに、一次側がこの連続的な正弦波信号を散発的に変調して、識別のためのコマンド及び/又は値を送信することも可能である。
【0076】
一方、二次側は、通常、変換器に特定の負荷インピーダンスを連続的に与えることができる。そして、負荷インピーダンスはデータ伝送のために散発的に変調される。
【0077】
二次側の圧電変換器の(電気)負荷が変化は、一次側の圧電変換器の(電気)インピーダンスが変化を引き起こすことができ、したがって、二次側の変調を一次側で認識することができる。
【0078】
この変調は、一次側で生成されたキャリア正弦波信号から(二次側で)電力を連続的に得ることができるように、二次側で実行されることが有利である。
【0079】
一次側では、負荷変調のための連続した正弦波信号を生成することができ、一次側の圧電変換器の接続インピーダンスの変化を連続的に特定(feststellen)又は測定することができる。
【0080】
一次信号源は電流源であることが可能である。そして、電流源における電気的な負荷抵抗が変化すると、負荷抵抗にかかる電圧の変化が生じる。この電圧をリーダで測定し、(その中のデータの変調とチャンネルコーディングを)評価することができる(つまり、一次側によって二次側からの音響応答信号を読み取って評価する)。
【0081】
一次側と二次側とは、気密に及び/又は電磁信号の侵入できないバリアによって気密および/または分離されることが可能である。
【0082】
音響波は、一次側と二次側との間のバリアを透過して、情報及び/又はエネルギを伝達することが可能である。
【0083】
さらに、一次側と二次側との間、及び又は、二次側と一次側との間の通信をポイントツーポイントで暗号化することも可能である。
【0084】
暗号化方式としては、一般的な暗号化方式を使用することができる。これにより、ポイントツーポイントの暗号化が可能になる。これは、追加のセキュリティ機能として、どのような場合でも実装することができる。
【0085】
通信が暗号化方法を使用することが可能である。
【0086】
これにより、通信の内容を第三者がアクセスできないようにすること、及び/又は、第三者が特に変更できないようにすることができます。この点で、暗号化は伝送エラーを検出するための手続きと区別される。
【0087】
しかし、データ伝送そのものが、さらに伝送エラーを検出する可能性を内蔵することができる。例えば、パリティビットを使用するメカニズム、及び/又はデータフレーム内の個々の伝送エラーを検出及び/又は修正する可能性、例えば巡回冗長検査(CRC)、例えばCRC16又はCRC32のメカニズムによるものである。
【0088】
データの暗号化、エラー保護、エラー検出は、それぞれ異なる側面を表し、個別に、又は組み合わせて行うことができる。
【0089】
通信は、デジタル信号を介して一方向又は双方向で行われることが可能である。
【0090】
通信は、一方向又は双方向で行うことが可能である。
【0091】
双方向通信の場合、これは同時に(全二重、たとえば周波数二重、FDD)及び/又は通信なしで定義された時間で順次(半二重、たとえば時分割複信、TDD)行うことができる。情報は変調によって伝送され、変調は、負荷変調、振幅変調、位相変調、周波数変調、および上記の変調の2つ以上のハイブリッドによる複雑な変調から選択されることが可能である。
【0092】
特に、一次側から二次側へのデータの流れ方向に変調をかけることが可能である。ISO/IEC14443-2_2010(すなわち、2010年に改正されたISO/IEC14443-2)のセクション8と9の任意の単一の変調が変調として挙げられることができる。
【0093】
さらに、情報伝達方法がエラー検出またはエラー訂正方法を使用することも可能である。
【0094】
特に、データパケット、例えばデータフレーム(フレーム)は、必要に応じて一次側から二次側に送信され、二次側から、相応にまた必要に応じてのみ、応答されることが可能である。
【0095】
このような非同期データフレーム間では、非変調キャリア周波数のみが一次側から二次側に送信される、つまりデータフレームのない時間が続くことも可能である。
【0096】
また、標準ISO/IEC14443-3_2011(2011年に改正された標準ISO/IEC14443-2)に従い、8ビットのユーザデータの間にパリティビットを送信することも可能である。
【0097】
さらに、巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)機構を使用して送信している可能性もある。
【0098】
巡回冗長検査(CRC)は、標準ISO/IEC14443-3_2011に基づき、CRC16チェック又はCRC32チェックを使用することができる。最後の2x8ビット又は4x8ビットがチェックに属する。
【0099】
二次側が一次側から受け取ったエネルギを二次側に一時的に蓄積している可能性がある。
【0100】
固体バリアを通過する音波は、少なくともバリアを介して通信するために使用される可能性がある。
【0101】
一次側を介して通信を制御することが可能である。これは「一次側が先に話す」原則として説明することもできる。
【0102】
1つの一次側が複数の二次側と通信することは可能である。このように、バリアの向こう側では、複数のセンサがそれぞれ独自のエネルギ及び情報の伝送システムを有し、一次側と通信することが可能である。
【0103】
さらに、この方法では、さまざまな二次側の信号の重複を回避するために、衝突防止方法を使用することが可能である。
【0104】
通信には、1MHzから50MHzの範囲の周波数の音響信号が使われる可能性がある。
【0105】
好ましい周波数は、バリアに使用される形状と材料、及び使用される材料の対応する音響インピーダンスに起因する。
【0106】
バリア厚さは4mm、バリア材料は密度7890kg/m^3、音速5970m/sの金属製で、周波数9.4MHz、9.9~10.1MHz、10.7MHzで十分通信できることが示されている。
【0107】
原則として、使用可能な周波数範囲は狭いが十分に広い周波数帯域は、金属板の厚さによって決定される共振から生じる。
【0108】
一方、一次側の音響変換器の寸法、例えば圧電ディスクの厚さによって決まる共振によって、比較的広い使用可能な周波数帯域が得られる。
【0109】
また、圧電ディスクの貼り付け方(接着など)もここに含まれる。
【0110】
リーダの変調信号を伝送するためには一定の帯域幅が必要で、帯域幅が狭いと信号がより歪んでしまうため、この広い周波数帯域を有利に利用することができる。また、通過帯域が広いため、温度による共振周波数のシフト、つまり製造時の散乱を特別な対策なしに許容することができる。これはコスト面でのメリットである。
【0111】
電気音響変換器とバリアの間の接着剤の厚さ、特に平均厚さは、10μm程度の厚さにすることができる。電気音響変換器は、音響波の伝搬方向から見て205μmの長さを有することができる。
【0112】
好ましくは、接着剤の厚さは、接着剤表面に可能な限り均質に分布している。しかし、伝送チャネルは十分に安定しているので、不均一性は許容範囲内である。むしろ、圧電ディスクが直接音響媒体に触れる場所があることを示す。
【0113】
さらに、接着剤層が薄いほど音響損失は小さくなる。
【0114】
したがって、変換器を媒体の材料に直接取り付けることも可能であり、例えば、押し付けることによって取り付けることが有利である。
【0115】
さらに、電気音響通信が、NFC周波数13.56MHzの周辺の周波数範囲、例えば周波数範囲13.56MHz±0.5MHz を使用することは、可能であり、有利である。
【0116】
一次側と二次側の間の音響チャネルの要素が、周波数範囲13.56MHz±0.5MHzに適合していると有利である。
【0117】
特に、音響チャネルの要素は、電気音響変換器、接着剤層、媒体を含むことができる。
【0118】
通信方法は、例えば、温度、膨張、圧力などの変化する環境パラメータ、又は製造公差を補償するために、キャリア周波数及び/又は振幅の規則的な変動を含む可能性がある。特に、一次側が、二次側に様々な有利な周波数について通知することが可能である。
【0119】
周波数の変動は、一次側が二次側から受信する受信デジタルデータに基づいて行われることが可能である。
【0120】
二次側は、まず一次側からのコマンドを正しく受信する。
【0121】
その後、二次側は一次側に「良好」周波数「不良」周波数を通知することができる。
【0122】
「良好」周波数及び「不良」周波数の区分は、ビットエラー率に基づくことができる。
【0123】
これは、「良好」周波数と「不良」周波数に分けるためにアナログ回路を追加する必要がなく、特に振幅レベルの評価が不要であるという利点がある。
【0124】
一次側から気密に及び/又は非透過性のバリアで分離された容積内の 1 つ以上の測定値を紹介するために、対応する音響伝送システムを使用することができる。
【0125】
温度、ガス圧、湿度などの測定が可能である。
【0126】
特に、このシステムは、外部へのガルバニック絶縁伝送(galvanisch getrennte Uebertragung)用の高電圧コンデンサで使用できる。
【0127】
また、伝送システムのエラー検出メカニズムを使用して、最適なキャリア周波数、振幅、変調の設定を見出すことが可能である。
【0128】
ここで、エラー検出機構又は対応するエラー検出方法は、1つ又は、例えば相前後する(nacheinander)複数の伝送パラメータを変化させながらエラー率を決定することができる。そして、エラー率が所定の閾値以下であるパラメータの組み合わせを、システムの実作業に用いるパラメータの組み合わせとして使用することができる。
【0129】
二次側が一次側から送信されたコマンドの伝送エラーを検出することが可能である。二次側は、この情報を、音響チャネルを介してリーダに送り返す。リーダは、適切な(guenstige)値を認識し、例えば表としてローカルに保存し、必要に応じて設定として使用することができる。
【0130】
もちろん、二次側の伝送情報内のエラーを検出し、対応することも可能である。
【0131】
一次側がこの情報を有していることが重要である。これが通信のフロー(Ablauf)を制御し、キャリア周波数やその他のパラメータの値を指定できることが好ましいからである。
【0132】
これは、通信の継続的な監視、例えば、その間に他のパラメータがさらに有利になるかどうかを動的にチェックするためにも可能であろう。
【0133】
同じ情報を伝送する音響伝送システムにおいて、4つ以上の音響周波数帯域を使用することが可能である。
【0134】
これにより、耐干渉性が向上する(例えば、金属中のノイズによる干渉や、統計的にある周波数帯でのみ発生しがちな金属中の顕著な共振による干渉の場合など)。
【0135】
これは、例えば、サブキャリア(Hilfstraeger)による負荷変調の使用によって与えられる。
【0136】
負荷変調の際に2段階の変調手順を使用することも可能である。
【0137】
第1ステップでは、データは、例えばマンチェスターコーディングでサブキャリアに変調することができ、次に、第2ステップでチャネル内のサブキャリアは、キャリア周波数に変調することができる。
【0138】
さらに、一次側は二次側からの情報を常に4つの周波数帯で同時に並行して受信することが可能であるが、これらはキャリアに対して固定されている。
【0139】
これにより、4つの周波数帯域で同時に情報を発信することが可能である。
【0140】
一次側、二次側、及び対応するシステムの説明された装置の中心的な態様、並びに操作方法及び好ましい実施形態の詳細が、概略図においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0141】
図1図1は、伝送システムの重要な要素の概要を示す図である。
図2図2は、一次側と二次側で可能な回路要素を示す図である。
図3図3は、音響チャネルの詳細を示す図である。
図4図4は、有利な周波数を有するスペクトルを示す図である。
図5図5は、信号の振幅とその応答の時間的な経緯を示す図である。
図6図6は、音響信号の音響モデルを示す図である。
図7図7は、可能なトランスポンダのフロントエンド回路を示す図である。
図8図8は、時間範囲と関連する周波数範囲を示す図である。
図9図9は、外部回路環境と一次側との間の非接触通信の可能性を示す図である。
図10図10は、外部回路環境と一次側との間の非接触通信の可能性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0142】
図1には、二次側S2の体積Vを一次側S1から分離するバリアBが示されている。二次側S2の体積Vが気密に分離され(hermetisch abgetrennt)、バリアBが電磁信号や場合によっては磁気信号に対して非透過性であると、パラメータを測定するためのセンサが二次側に存在しその信号を一次側S1で評価しようとする場合、一次側と二次側との間の通常の通信経路は機能しない(versagen)。
【0143】
しかしながら、バリアBの材料を音響波の媒体Mとして、一次側S1と二次側S2との間で情報のやり取りを行うことは可能である。
【0144】
このため、伝送システムは、一次側S1に電気音響変換器EAWを、二次側S2に第2の電気音響変換器EAWを備えている。電気音響変換器EAWは両方とも、バリアBの媒体Mに直接、例えば接着剤で、接続されている。一次側S1の電気音響変換器EAWから媒体Mの方向に放射された音波は、二次側の電気音響変換器EAWによって二次側で受信することが可能である。したがって、電気音響変換器が電気信号と音響信号との間で変換する可能性は、バリアBの両側で電気信号を使用し、バリアBを介した情報輸送に音響信号のみを使用する可能性をもたらす。音響信号の伝達はまた、同時にエネルギの伝達を可能にするので、二次側S2は、一次側S1からのエネルギを供給することができる。
【0145】
一次側S1には、送信ユニットSEと受信ユニットEEがある。二次側にはトランスポンダTPが配置されている。トランスポンダTPは、一次側S1との通信に使用され、二次側の電気音響変換器EAWと二次側の論理回路LCとの間のインタフェースとして機能する。二次側の論理回路LCは、センサを駆動制御し、センサ信号を処理するために使用できる。
【0146】
図2は、送信ユニットSEと受信ユニットEEの素子を組み合わせた一次側回路の可能な形態である。送信ユニットSEは、第1信号線SL1及び第2信号線SL2を有する。第1信号線SL1は、第1送信端子TX1を電気音響変換器の電極と接続する。第2信号線SL2は、第2送信端子TX2を電気音響変換器の第2電極と接続する。第1送信端子TX1と第2送信端子TX2は、一次側回路の平衡ガイド送信信号ポート(balanced gefuehrten Sendesignalports)の2つの端子を表している。第1及び第2信号線は、誘導性素子と容量性素子の直列接続をそれぞれ有する。誘導性素子は、入力接続部とノードA又はBとの間にそれぞれ接続される。容量素子は、ノードA又はノードBと電気音響変換器の電極との間に接続される。さらに、誘導素子を電気音響変換器の2つの電極に接続する。
【0147】
ノードBは容量素子を介してアースに接続されている。また、ノードAは容量素子を介してアースに接続されている。さらに,ノードAは,抵抗素子と容量素子の直列接続により不平衡ガイド受信端子RXに接続されている。供給接続部SUPと受信接続部RXとの間に抵抗素子が接続されている。電源接続部は、さらに容量素子を介してアースに接続されている。
【0148】
二次側では、電気音響変換器は2つの磁気的に結合した誘導性素子を有するトランスに接続されている。二次側の電気音響変換器に直接接続されていない変圧器の誘導素子は、誘導素子、容量性素子、及び論理回路LCからなる並列回路に接続されている。
【0149】
SE送信ユニットは,2つの端子TX1,TX2を介して,外部の回路環境から入力信号を受信することができる。信号は,信号導体SL1,SL2を介して一次側電気音響変換器に伝達される。対応する音響波は二次側の電気音響変換器に到達し、それによって二次側で電気信号に変換される。これは二次側トランスによって適切な電圧・電流値に変換され、論理回路LCに到達する。これにより、一次側で二次側の活動を制御することができる。可能な応答信号は、二次側変換器とトランスポンダTPを含むユニットによって一次側S1に送り返され、出力ポートRXを介して外部回路環境に転送できる。
【0150】
一次側回路は、例えば、キャリア周波数で連続的に送信される本質的に正弦波の信号によって、二次側回路にエネルギを供給するのに適しており、そのため、二次側に追加のエネルギ貯蔵装置を提供する必要はなくなるが、そうしないと、定期的に交換する必要がある。
【0151】
図3は、音響チャネルの構成要素である。2つの電気音響変換器EAWの間に、変換間の音響波の伝播のための媒体として機能するバリアBの材料が配置される。各変換器は、音響インピーダンス整合素子AIAを介して媒体Mに接続されている。音響インピーダンス整合素子AIAは、適切な音響インピーダンスを有する接着剤とすることができる。
【0152】
粘着層はできるだけ薄いものを使用するか、全くない方が有利である。
【0153】
変換器と媒体との間の特別なインピーダンス整合は可能であるが、必要ではない。
むしろ、反射を利用して信号伝送を有利にすることができる。したがって、整合が「良好すぎる」と、ここでは望ましくない。
【0154】
図4は、二次側の変換器の伝送条件を変えて、応答の信号強度を周波数の関数としてプロットした周波数スペクトルである。VKは、受信信号の強度に対する臨界信号強度を表し、これ以上では受信信号の確実な評価が可能である。使用した材料の組み合わせでは、トランスの伝送比が1:5と1:7の両方で、動作周波数が9.4MHz、10MHz、10.9MHzが適していることが示された。
【0155】
図5は、一次側から二次側への通信時に考えられる振幅カーブと、それに対応する二次側からの応答である。一次側では6つの波束(Wellenpakete)を使用し、二次側に伝達する。特定の待機時間(フレーム遅延時間)の後、二次側は、決定されたパラメータ値に依存する特定の信号で応答する。
【0156】
図6は、信号伝送を理解するために用いることができる音響信号の解析モデルである。変換器EAW(一次側音響インピーダンス整合素子、バリア媒体、二次側音響インピーダンス整合素子)間の音響的にアクティブな素子のそれぞれは、複素インピーダンス(Z)とアドミタンス(Y)の値で表すことができる。異なる材料間の界面におけるインピーダンスのジャンプ応じて有効な反射ファクタが得られるので、材料を簡単に選択できるようにして、音響変換器への高度な信号及びエネルギ伝達が可能になる。
【0157】
図7は、電気音響変換器と二次側の論理回路との間の二次側で使用することができる変換器(すなわち、トランスポンダ)フロントエンド回路の可能な実施形態を示している。その中のトランジスタT1、T2、T3、T4、T5、T6が整流器を形成しています。キャリア周波数が約10MHzの正弦波交流信号を受信する第1入力端子A1及び第2入力端子A2と、直流電圧及び電流の形態の電力を論理回路に供給する出力端子SUPとを備えている。
【0158】
さらに、この回路には4つの回路ノードA、B、C、Dがあり、端子A1、A2間の容量は、MOSトランジスタの不可避な寄生容量と、容量性素子がある場合は、その寄生容量を示している。2つのトランジスタT3、T4は、ゲート端子の電圧によって(ソース端子、ドレイン端子の電圧に対して)導通、非導通が制御されるスイッチである。トランジスタT1、T2及びトランジスタT6、T7は、いわゆるMOSダイオード(ゲート端子がドレイン端子に接続されている)であり、すなわちその機能はダイオードのものであるとして動作する。全体として、この構成は、回路ノードAとB、またAとDに直流電圧を発生させる整流器をもたらし、それによってAは0ボルトの基準又はアース接続を表し、Aと比較してBとDに高い電圧が形成される。
【0159】
直流電圧を一定に保つために、いわゆるボルテージリミッターを実装している。オペアンプとトランジスタT5からなる。オペアンプは,B点の電圧から抵抗R1,R2で構成される分圧回路によって得られるC点のDC電源電圧と,定電圧基準V_REF,例えばバンドギャップリファレンスとを比較する。これが制御ループを形成する。A1-A2間の交流入力電圧が上昇すると、オペアンプの出力電圧は、トランジスタT5の電流伝導性が若干高くなるように、すなわちA点、D点に印加されるソース-ドレイン間のインピーダンスが若干小さくなるように変化する。これにより、B点の電圧はA点の基準(GND)と比較して一定に保たれる。そのため、動作中に時間的に変化する電流を必要とする後続の論理回路に供給するためには、一定の電源電圧が不可欠である。
【0160】
ただし,トランジスタT5のインピーダンスを変更すると,入力端子A1-A2間に印加されるインピーダンスにも影響を与える。基本的に、A1の入力電流が大きくなるなど変化しても、A1-A2間の電圧も一定に保たれる。これは、トランジスタT5のレギュレーションによって、A1点、A2点間の入力インピーダンスが変化することに相当する。
【0161】
この考え方を応用して、負荷変調を発生させることができる。このため、T5と並列にドレインとソースを接続した別のトランジスタT8を使用することができる。T8のゲートは、補助キャリア周波数にチャネルコーディング(例えばマンチェスターコーディング)の形で伝送されるデータを含む制御電圧で変調することができるようになる。サブキャリア周波数は、例えば、点A1と点A2の間のキャリア周波数の交流電圧を、例えば、係数16又は係数32で割ることによって生成される周波数とすることができる。このサブキャリア周波数は、再びデータストリームによって、例えば、マンチェスターコーディングで制御することができる。
【0162】
図8は、対応する変換によって得られる時間帯と周波数帯の使用可能な信号である。具体的には、図の上部に時間軸のカーブを示す。下段は対応する周波数成分を示す。
【0163】
図8上段は、ある一定期間のユーザデータビット、具体的には0、1、その間の遷移を示す曲線である。次の行は、関連するチャネルコーディングの経過を示す。3行目は、関連するサブキャリアの時間経過を示す。4行目は、チャネルコーディングによって変調されたサブキャリア(Hilfstraeger)を示す。図8上段の最終行は、負荷変調を施したキャリアを示す。
【0164】
図8下段の1行目は、周波数領域でのチャネルコーディングを表す。図8下段の2行目は、変調されたサブキャリアを周波数領域で表す。図8下段の3行目は、キャリアへの負荷変調を表す。
【0165】
つまり、適切に変調されたサブキャリアを介して、伝送周波数範囲を2倍、あるいは周波数間隔によっては4倍にすることができる。これにより、耐干渉性が向上する(例えば、金属中のノイズによる干渉や、統計的にある周波数帯でのみ発生しがちな金属中の顕著な共振による干渉の場合など)。
【0166】
図9は、エアインタフェース、特にNFC(NFC =Near Field Communication=近接場通信)インタフェースを持つモジュールを一次側に設けた伝送システムの一形態の要素である。これにより、対応する制御機器、例えば携帯電話などの携帯通信端末と対応する制御ソフトウェアを介して、一次側を非接触で制御することができる。このため、一次側のモジュールには、対応する電子回路部品を搭載したプリント基板と、アンテナが搭載されている。アンテナは、回路基板に直接金属化部として形成することも、回路基板上に形成することも可能である。
【0167】
この一次側の非接触接続は、唯一の接続でも、ケーブルなど他の接続を介した接続に追加して行うことも可能である。非接触接続は、複数の主ページで構成されるシステムにおいて、個々の主ページのID番号をシステム内の位置に割り当てるために実用的に使用することができる。
【0168】
図10は、一次側のモジュールを別のモジュールを介して制御する変形例ある。追加モジュールは、外部の論理回路、例えばコンピュータバスシステムに接続することができる。そして、もう一方のモジュールには、一次側のモジュールと非接触で通信するための制御素子も搭載されている。
【0169】
上述の回路とシステムを使用すると、電磁信号に対して不透明な通信障壁を音波を使用して簡単に克服でき、回路の複雑さや二次側のエネルギ要件はほとんどない。
【符号の説明】
【0170】
AIA:音響インピーダンス整合素子(akustisches Impedanzanpasselement)
B:バリア(Barriere)
EAW:電気音響変換器(elektroakustischer Wandler)
RX:受信接続部(Empfangsanschluss)
EE:受信ユニット(Empfangseinheit)
A1、A2:第1接続部、第2接続部(erster, zweiter Anschluss)
V:気密閉鎖体積(hermetisch abgeschlossenes Volumen)
A、B、C、D:各回路ノード(jeweilige Schaltungsknoten)
VK:臨界出力電圧(kritische Ausgangsspannung)
LC:論理回路(Logikschaltung)
M:音響波媒体(Medium der akustischen Wellen)
S1、S2:一次側、二次側(Primaerseite, Sekundaerseite)
T1、…、T8:第1トランジスタ・・・第8トランジスタ(erster, ... achter
Transistor)
TX1、TX2:送信接続部(Sendeanschluss)
SE:送信ユニット(Sendeeinheit)
SL1、SL2:信号導体(Signalleitungen)
TP:トランスポンダ(Transponder)
SUP:給電接続部(Versorgungsanschluss)
V_MOD:変調電圧(modulierte Spannung)
V_REF:定電圧リファレンス(Konstantspannungsreferenz)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】