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  • 特表-培養組織の包装 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-11
(54)【発明の名称】培養組織の包装
(51)【国際特許分類】
   A23B 4/00 20060101AFI20230501BHJP
   A23L 3/00 20060101ALI20230501BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20230501BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230501BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20230501BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20230501BHJP
【FI】
A23B4/00 A
A23L3/00 101A
A23L13/00 Z
A23L13/00 E
C12M1/00 D
C12N5/071
A23L5/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022547048
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(85)【翻訳文提出日】2022-09-20
(86)【国際出願番号】 NL2021050067
(87)【国際公開番号】W WO2021158104
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】2024821
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520426139
【氏名又は名称】モサ ミート ビーブイ
【氏名又は名称原語表記】MOSA MEAT BV
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】フェルストラーテ,ピーター
【テーマコード(参考)】
4B021
4B029
4B035
4B042
4B065
【Fターム(参考)】
4B021LA01
4B021LT01
4B021LW04
4B021LW10
4B021MC01
4B021MK15
4B021MP10
4B021MQ01
4B029AA01
4B029BB11
4B029CC03
4B029GA08
4B029HA10
4B035LC05
4B035LE04
4B035LG01
4B035LG41
4B035LG57
4B035LK01
4B035LK02
4B035LK19
4B035LP01
4B035LP31
4B035LP42
4B035LP44
4B035LP45
4B035LP46
4B035LT14
4B035LT16
4B042AC10
4B042AD01
4B042AD20
4B042AD36
4B042AE03
4B042AH01
4B042AK01
4B042AP02
4B042AP21
4B042AP24
4B042AP30
4B042AT10
4B065AA90X
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA22
4B065CA41
(57)【要約】
本発明は、培養肉の分野にある。特に、本発明は、培養組織の無菌包装の方法、及びこの方法の為に好適であるシステムに関する。該方法は、培養組織を生産する工程と、該培養組織を収穫する工程と、該培養組織を、滅菌パッケージに移送する工程と、該滅菌パッケージを封止する工程とを含み、ここで、該工程が無菌条件下で実行される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養組織の無菌包装の方法であって、
滅菌されたバイオリアクター内で培養組織を生産する工程と、
該滅菌されたバイオリアクターから該培養組織を収穫する工程と、
該培養組織を、滅菌パッケージに移送する工程と、
該滅菌パッケージを封止する工程と
を含み、
ここで、該工程が無菌条件下で実行される、前記方法。
【請求項2】
全ての工程が、同じ滅菌収納器内で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該工程のうちの少なくとも一部の工程が、別々の滅菌収納器内で行われ、ここで、該別々の収納器間の培養組織の移送が無菌条件下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該培養組織を、滅菌された接続片まで移送する工程と、
該培養組織を、該滅菌された接続片から該滅菌パッケージに移送する工程と、
を更に含み、
該工程が無菌条件下で実行され、及び該滅菌された接続片が該滅菌パッケージを該培養組織の滅菌されたバイオリアクターに接続する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該工程が、該滅菌されたバイオリアクター内で実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
該1以上の収納器が、自己滅菌が可能なグレードAアイソレータを備えている、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
該滅菌パッケージの一体性検査をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
該滅菌されたバイオリアクター内のプロセス圧力が0~11バールの絶対圧力である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該滅菌されたバイオリアクター内のプロセス温度が0~50℃である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
培養組織が、0~50℃の温度で、該滅菌パッケージに移送される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
培養組織が、0~4バールの絶対圧力で、該滅菌パッケージに移送される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
該滅菌パッケージの封止が気密である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
該滅菌パッケージが、滅菌チャンバを備えている、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
該滅菌パッケージは、-20~50℃の保管の為に好適である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
該滅菌パッケージ、該滅菌された接続片及び培養組織の該滅菌されたバイオリアクターが、慣用的な滅菌方法によって容易に滅菌される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
該バイオリアクターは、培養組織の形成の為に好適である媒体を備えている、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
該媒体はヒドロゲルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
該培養組織が新鮮な培養組織である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
培養組織は好ましくは、培養肉、好ましくは消費の為の培養肉、である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の方法によって得られうる無菌包装された培養肉。
【請求項21】
最大60日間の品質保持期間を有する、請求項20に記載の無菌包装された培養肉。
【請求項22】
請求項1~19のいずれか1項に記載の培養肉の無菌包装の為の無菌包装システムであって、該無菌包装システムが、培養組織を生産する為の滅菌されたバイオリアクターと、滅菌パッケージと、該滅菌パッケージを封止する為の手段とを備えており、該システムが無菌条件下で動作する、該無菌包装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養肉(cultured meat)の分野にある。特に、本発明は、培養肉を包装する為の方法、及びこの方法の為に好適であるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品業界において、製品が、腐敗に対する該製品の敏感性を反映するような形で包装されることが重要である。肉製品、特に生鮮肉、はしばしば、細菌成長にとって非常によい基質となり、従って、汚染を最小にする為に可能な限り無菌状態で包装される。無菌という語は、処理工程が汚染のないものであることを意味する為に使用され、よって、該製品に微生物が加えられないことを意味する。しかしながら、包装された肉に包装の前にすでにある生物はそのままになり、その為、滅菌方法を用いて後処置されていない包装肉は決して無菌でない。滅菌は、全ての微生物を完全に排除、除去する、又は殺す、無菌技術である。滅菌は、熱、光線照射、化学的処置、圧力、及びそれらの組み合わせを包含する幾つかの手段を通じて行われることができる。
【0003】
無菌包装は、滅菌された容器に、滅菌された製品を無菌条件下で充填することである。それは、充填されたパッケージ(すなわち、該製品を含んでいる)が同時に滅菌される方法とは対照的に、該容器の外側での該製品の滅菌を可能にする。しばしば、無菌包装の為の滅菌は、超高温度を通じて行われ、これは、該製品が特定の時間にわたって或る温度に加熱された後に、冷まされ、包装されることが可能にされることを意味する。場合によっては、該製品は、例えば粘性に起因して、該容器の充填を簡単にする為に、高められた温度のままでありうる。最終的な工程は、該パッケージを封止することであり、これはしばしば熱を使用して達成される。該パッケージは好ましくは、気密に、言い換えれば、密封して、封止されて、該製品の出荷及び流通の間に滅菌を保つ。
【0004】
無菌包装は、品質保持期間を延ばす為に、食品及び飲料業界で広く使用されている。無菌包装された製品は、数年間に及ぶ非冷蔵品質保持期間を得ることができる。該製品が超高温度を通じて相対的に短い時間滅菌される場合には、栄養価の高い保持も達成されうる。しかしながら、滅菌工程の必要性は、エネルギー的に高コストであり、且つ時間を要する為、欠点でもある。また、熱滅菌は、該製品の官能性を、場合によっては悪い方に、変化させる。
【0005】
特に肉は、熱の印加によって不可逆的に変化を受け、すなわち、生鮮な性質を保ちながら肉製品を加熱することは不可能であり、同じことが、滅菌の為に利用可能な他の技術に当てはまる。
【0006】
無菌又は滅菌パッケージとして使用される材料は、幾つかの要件を満たすべきである。該材料は、包装される製品と適合性があるべきである。該材料は、該製品を適切に収容し、ある期間にわたって滅菌を維持する為の物理的一体性を有するべきである。更に、該材料が滅菌方法に耐えることが必要とされる。最後に、しばしば、該材料は、該製品を酸素から保護し、該製品の芳香を保持しなければならない。これは特に、真空包装及びガス置換包装(MAP:modified atmosphere packaging)に関連する。しかしながら、生鮮肉製品は、色を保護する為(すなわち、ミオグロビンの酸素化を保持する為)に高められた酸素レベルで包装されうる。ここで、パッケージの主要な要件は、微生物から保護する必要性である。ミオグロビンは、高められた酸素濃度において酸素化して濃いオキシミオグロビンになり得、一方でミオグロビンは、周囲酸素濃度では酸化して褐色のメトミオグロビンになる。酸化は、ミオグロビン上のFe2+分子を減らす化学反応であり、赤色となっているものは酸素化されており、これは、酸素分子を運ぶ(輸送する)が、該酸素分子と反応はしないことを意味する。酸素化した状態において、ミオグロビンは赤色であり、酸化した状態においては褐色である。しばしば、パッケージは、該要件を満たす為に異なる材料の幾つかの層から構成される。そのような材料の例は、ポリエチレン、アルミニウム、紙、及びそれらの組み合わせを包含しうる。
【0007】
肉は本質的に汚染されている為、食肉産業における無菌包装は、幾つかの障害を呈する。肉は、微生物の成長の為に優れた基質をもたらすことから、非常に腐敗しやすい。よって、品質保持期間が限られ、製品廃棄が多くなる。
【0008】
肉の滅菌方法は、熱処置であることができる。熱処置は、該製品を気密封止された容器に入れ、それが、熱水、水蒸気、又はそれらの組み合わせに浸されることによって行われうる。100℃を超える温度が圧力下で達成されうる。代替法は、最大100℃の温度を使用することである。しかしながら、幾つかの微生物は、より低い温度に対して耐性があり、それ故に、該肉は、下げられた温度下で保管されなければならない。別の欠点は、該製品に過度に熱が通るのを回避する為に、可能な限り迅速に該肉を冷却する必要性に見られる。該肉を迅速に冷却するプロセスは、工業的な課題を呈する。更に、このプロセスは、該製品を不可逆的に変化させ、生鮮肉には好適でない。
【0009】
生鮮肉は、典型的に、わずか5~9日の非常に短い品質保持期間を有する。生鮮肉は主要製品である為、小売業者は、100%のサービスレベルを有するように多大な努力を行う。その結果、多くの期限切れ製品の為に廃棄率が高くなる。小売業者及び消費者レベルの廃棄率は、30%に及ぶ場合がある。
【0010】
生鮮製品を包装し、該製品を物理的に保護する為の他の選択肢は、先に言及された、真空包装及びMAPである。真空包装は、封止する前にパッケージから空気を除去する方法である。この方法の利点は、該方法が細菌成長を抑止することである。しかしながら、微生物を排除しない為、品質保持期間は下げられた温度下でも限られたままである。真空パッケージは、滅菌技術を用いて後処置された場合にのみ滅菌である。MAPは、複数のガス、通常はN、CO、O、の組み合わせを含みうる為、肉に対してより効果的であると考えられる。該COは該肉の表面上で溶解し得、その結果、微生物の成長が抑制される為、腐敗速度が低下する。
【0011】
肉を販売する又は消費の為に肉を使用する前に、肉を柔らかくするプロセスが行われる。このプロセスはエージングと呼ばれ、天然の酵素、例えばカテプシン及びカルパイン、によって結合組織を分解することによって作用する。第二に、筋肉中に存在する天然の糖であるグリコーゲンが乳酸に変換され、それにより該肉のより低いpHを作り出す。エージングは、ウェットエージングとドライエージングに分類されることができる。
【0012】
精肉店に見られる高級な肉には、ドライエージングプロセスが好まれる。動物の屠畜後、屠体は、冷蔵環境又は気候が制御された環境内に吊るされ、ドライエージングにかけられる。該プロセスは、冷凍に近い温度で行われ、天然の風味の濃縮化及び飽和並びに食感の柔軟化に関与する。ドライエージングは、筋肉組織から水分が蒸発して該風味の濃度を増すことによって作用する。更に、該肉に存在する天然の酵素が、結合組織を分解し、よって柔らかさを増す。該プロセスは、有意な量の時間、牛肉の場合は最大3か月、を要する。更に、水分の蒸発に起因して、有意な重量の損失があり、それが該プロセスをより収益性の低いものにする。
【0013】
ウェットエージングは、水分含有量を維持し、よってより高い重量を維持するように、肉が真空封止されるプロセスである。該肉は、通常、気候が制御された又は冷蔵された容器に、最大10日間保たれる。小売業者、卸売業者、及び生産者は、より収益性が高い為、このプロセスに対する選好を有する。
【0014】
エージングされた肉の最終的な乾燥は、乾燥した製品上で成長する微生物がない為、より安定した製品をもたらす。しかしながら、エージングプロセスは、該肉を滅菌にしない。
【0015】
慣用的な食肉産業にはかなりの欠点がある為、培養肉に代替法が見出されることができる。培養肉は、成長して筋肉細胞組織へと特殊化するように促される、1以上の哺乳動物細胞、例えば筋衛星細胞、から生産される。培養肉を生産するプロセスは、該細胞の調達、特徴付け、選択、増殖、及び分化を包含し、生体外で行われる。成長プロセスは、通常、媒体中で行われる。この媒体は、該筋衛星細胞が成長して筋肉組織へと特殊化する為に好適な、化学的、地形的、及び機械的性質を提供する。該媒体は、バイオリアクターの中に置かれうる。該筋衛星細胞は、可能性としては、動物を屠畜する必要なしに得られることができる。該筋肉組織は、収穫され、人間による消費の為に使用されうる。収穫の時点まで、該プロセスは、制御された滅菌条件下で行われる。
【0016】
該培養肉のエージングは、伝統的な肉のエージングと同様のプロセスを介して実現されうる。例えば、それは、代用物、例えば特定のpH設定又は酵素処置、によって行われうる。対して、伝統的な肉のエージングは典型的に、冷蔵環境で行われる。何故ならば、より高い温度は腐敗細菌が発育するリスクを呈する為であり、これは培養肉の場合と異なる。培養肉は滅条件下で生産される為、その滅条件がエージングプロセス中に保たれるとすれば、培養肉のエージングを、わずかに高められた温度、例えば最大40℃の周囲温度、で行うことが可能でありうる。高められた温度でエージングを行うことは、該エージングプロセスを大幅に高速化しうる。製品廃棄を減らし、保管を長くするような方式で物質を包装する為の方法を見つける課題が依然としてある。生鮮製品の保管のデフォルトは、低い汚染レベルでの包装である。
【0017】
中国特許出願公開第109567037号明細書は、ワニ肉を加工する方法を開示している。該方法は、高圧力における低い温度及びUV照射を使用する滅菌工程を含む、複数の工程を含む。全ての工程が時間のかかるものであるところ、UV照射は更に、食品のビタミン含有量を変化させる。また、UV単独では、限られた浸透を有し、肉の滅菌には不十分である。
【0018】
特開平08-308478号公報は、肉製品を滅菌し、無菌包装する為の機械を開示している。該滅菌は、封止されたチャンバの内部で封止の間に高温によって行われる。温度は、15秒又はそれ未満にわたり100℃~160℃の平均に達する。
【0019】
共通の欠点は、該滅菌工程の必要性である。該工程は、エネルギー的に高コストであり、時間がかかり、栄養含有量を変える可能性があり、肉の場合には製品の全体的な性質を劇的に変化させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、上記で言及された欠点を少なくとも部分的に克服する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者は、驚くべきことに、無菌包装と培養組織とが組み合わされることができ、それにより包装前の製品の追加の滅菌工程の必要がなくなることを見出した。
【0022】
よって、第1の観点において、本発明は、培養組織の無菌包装の方法に向けられている。該方法は、滅菌されたバイオリアクター内で培養組織を生産する工程を含む。更に、該方法は、該滅菌されたバイオリアクターから該培養組織を収穫する工程と、該培養組織を、滅菌パッケージに移送する工程と、該滅菌パッケージを封止する工程と、を含む。ここで、各該工程は、無菌条件下で実行される。無菌条件においてのみ、抗生物質を追加することなく培養組織を生産することが可能である。汚染は培養組織にとって致命的となり、よって製品が得られることができないことを意味する。環境は汚染されやすいことがあり得、それ故に、適切な汚染インジケータが好ましくは存在する。培養組織を生産する為に使用される資源は好ましくは、使用前に滅菌されている。これは好ましくは、化学物質、熱、又は他の効果の適用、例えば精密濾過若しくは限外濾過の使用、を伴わない。それ故に、該生産された培養組織は滅菌でありうる。好ましくは、該培養組織は新鮮な培養組織であり、新鮮とは、該培養組織が、滅菌環境の為に好適である熱を用いて後処理されないことに関係する。該培養組織を包装する工程及び封止する工程を含む、新鮮な培養組織の生産に従うこれらの工程は、無菌条件下で行われる為、長い品質保持期間を有する包装された培養組織(例えば、肉)が生産されることができ、追加の滅菌処置又は保存添加物の必要がない。
【0023】
該方法は、同じく無菌条件下で実行される1以上の処理工程を更に含みうる。そのようなプロセス工程の例は、該培養組織の脱水及び/又は香辛料添加、並びにペーストから成形された肉製品(例えば、ハンバーグパテ)を成形することを包含する。
【0024】
好ましい実施態様において、該滅菌パッケージは、滅菌チャンバを備えている。該滅菌パッケージは好ましくは、気密封止される。封止は、熱可塑性プラスチックを使用する熱封止、蓋の機械的な閉鎖、クランプ力、及び/又は冷間圧接を包含する、慣用的な方法で行われうる。該パッケージは好ましくは、品質保証の為の分析方式を含む。これは、該包装の一体性についてのインジケータの形態でありうる。例は、酸素の存在下で変色して漏れのあるパッケージを示すパッチを包含し、これは、細菌性の嫌気代謝物質が存在する場合に色を変えるパッチと組み合わせられうる。
【0025】
ある状況下において、酸素を含むMAPが好ましいことがありうる。そのような場合、酸素の存在下で変色するパッチを有することは好ましくない。代替法は、インライン品質チェックの形態でありうる。該パッケージを真空に通すことにより圧力の差を測定することが使用されて、該パッケージの一体性が破られたかどうかを判定することができる。好ましい実施態様において、該方法は、該滅菌パッケージの一体性検査を含み、これは好ましくは、上記で言及された方式のいずれかの形態である。該一体性検査は、該パッケージを適切な無菌包装には不十分なものにする、該パッケージの破れを示しうる。
【0026】
無菌条件は好ましくは、慣用的な手段、例えば機器の滅菌及び環境制御、を介して維持される。該機器の滅菌は、該機器が無菌プロセスで使用される前に、全ての微生物を排除し、殺し、除去する為に重要である。該環境制御は、無菌部分と外部環境との間の接触が起こらないことを保証する。最大の食品安全性の為には、例えばEC適正製造基準(GMP:Good Manufacturing Practice)、規格Iに準拠した、自己滅菌を備えたグレードAアイソレータを有することが好ましい。
【0027】
該バイオリアクターは好ましくは、培養組織の形成の為に好適である媒体を備えている。該媒体が十分な化学的、地形的、及び構造的特徴を提供すれば、好適でありうる。好ましい実施態様において、該媒体は、ヒドロゲルの形態である。該媒体は好ましくは、多糖類、例えばアルギン酸塩、を含む。
【0028】
複数の実施態様において、本明細書に記載されている該方法の全ての工程は、同じ滅菌収納器内で行われる。
【0029】
該工程のうちの各工程又は少なくとも一部の工程が、別々の滅菌収納器内で行われることも可能である。その場合、該別々の収納器間の培養組織の移送は、無菌条件下で行われる。
【0030】
該1以上の収納器は好ましくは、自己滅菌が可能なグレードAアイソレータ(grade A isolator)を備えている。例えば、全ての工程が、同じ滅菌収納器、例えば自己滅菌が可能なグレードAアイソレータ、の中で行われる場合、これは、該パッケージと充填機との間の接続片が気密に接続される必要がない為、充填を簡単にする。それ故に、後処理及び包装は、厳密に無菌の条件下で行われることができる。
【0031】
培養組織の無菌包装の方法は、該培養組織を、滅菌された接続片(sterilized connecting piece)まで移送する工程と、該培養組織を、該滅菌された接続片から該滅菌パッケージに移送する工程とを更に含みうる。該滅菌された接続片は好ましくは、培養組織の該バイオリアクターを該滅菌パッケージに接続する。各該工程は、無菌条件下で実行される。接続は好ましくは、気密である。好ましい実施態様において、該接続片は、該バイオリアクターを、該滅菌パッケージの滅菌チャンバに接続する。
【0032】
該包装の方法は、例えば、水蒸気接続及び凝縮液排出を有する3弁システムを使用することを包含しうる。真ん中の弁は、分割蝶形弁又は類似のものでありうる。接続後、該分割弁が開かれ得、外側の弁同士の間の領域が、水蒸気滅菌によって滅菌されることができる。凝縮液を排出し、接続部を冷却した後、感染の危険性なく、2つの他の弁が安全に開かれることができる。これらは、滅菌されている槽に排出する。該組織の移送は、例えば懸濁物中で実施されうる。
【0033】
別の好ましい実施態様において、該方法の工程は、無菌条件下で該バイオリアクターにおいて実行される。これは、該滅菌パッケージが該バイオリアクター内に導入される形態でありうる。好ましくは、該媒体が該滅菌パッケージ内に導入される。該媒体は、該滅菌パッケージの封止前に除去されうる。除去は、酵素分解又は後処理滅菌溶液による浄化によって実現されうる。該後処理溶液は、風味付けされうる。
【0034】
該バイオリアクター内で各該工程を実行することにより、汚染のリスクが低減されうる。更に、単一のプロセスを提供することにより、エネルギー的により好都合で、時間のかからないものになりうる。
【0035】
好ましい実施態様において、該方法に関係する個々の要素は、容易に滅菌される。該滅菌パッケージ、滅菌された接続片、及び滅菌されたバイオリアクターを殺菌することが必要とされうる。好ましくは、慣用的な滅菌方法、例えば熱、光線照射、化学処置、及びそれらの組み合わせ、が、該個々の要素を滅菌する為に十分である。更に、成長媒体の成分は好ましくは、滅菌される。滅菌は、例えば滅菌濾過を通じて実現されうる。
【0036】
該培養組織は好ましくは、培養肉である。該培養組織は、好ましくは無菌包装される為に好適である、筋肉細胞組織を提供するように成長させられうる。より好ましくは、該培養肉は、消費に好適である。本明細書において使用される場合、「消費に好適」とは、人間及び/又は動物による、好ましくは人間による、消費の為の好適性を云う。それは、該筋衛星細胞がウシ、ヒツジ、ブタ、家禽、魚など、及びそれらの組み合わせに由来する場合に、消費に好適でありうる。培養肉と無菌条件下での包装との組み合わせは、品質保持期間を延ばし得、期限切れ製品を減らし、又は更にはなくしうる。これは、小売業者だけでなく、消費者にも当てはまる。
【0037】
好ましい実施態様において、該バイオリアクター内のプロセス圧力は、0~11バールの絶対圧力である。該プロセス圧力は、プロセス時に存在する圧力に関し、このプロセスは、該方法の全ての工程を含むか、又は1以上の工程を含みうる。該圧力は、温度との組み合わせで該無菌条件に影響する。該温度に応じて、該圧力は、範囲の下端又は上端にある。圧力単独では製品を滅菌することができない。該圧力は、該培養組織の適正な成長に十分でありうる。更に、該圧力は、無菌条件を維持するのに十分でありうる。
【0038】
好ましくは該バイオリアクター内の該プロセス温度は、0~50℃である。該プロセス温度は、プロセス時に存在する温度に関し、このプロセスは、該方法の全ての工程を含むか、又は1以上の工程を含みうる。該プロセス温度は、該圧力に依存しうる。温度範囲は、滅菌条件の為の温度をはるかに下回る。該工程が該培養組織の生産を含む場合、20~40℃のプロセス温度を有することが好ましいことがありうる。該温度は、該培養組織の為の十分な成長条件の為に重要である。更に、該温度は、無菌条件を維持する為に十分でありうる。
【0039】
別の好ましい実施態様において、該培養組織は、0~50℃の温度で、該滅菌パッケージに移送される。該温度は、物質に依存して選択されうる。より高い温度は、該組織に影響しうる。より高い温度では、該組織に部分的に熱が通ることがあり得、構造的特徴が変化しうる。その場合、該組織の一体性を不可逆的に変化させることが不可避となる。更に、より高い温度は、包装材料の物理的一体性を損ないうる。該包装材料の該物理的一体性は、より低い温度によっても影響されうる。該温度は更に、一般的な滅菌条件の為に必要とされるよりも有意に低い。
【0040】
好ましくは該滅菌パッケージは、酸素に対して不透過性である。この滅菌パッケージは、再利用可能なバリアフィルムの付いたブリスターパッケージの形態であり得、又は再利用可能なガラス若しくは金属製の容器でありうる。
【0041】
該培養組織は好ましくは、0~5バールの絶対圧力で、該滅菌パッケージに移送される。該圧力は、時間効果のよい移送に十分でありうる。更に、該圧力は、該滅菌パッケージを適正に充填するのに十分でありうる。該培養組織を該滅菌パッケージに移送する時に保護雰囲気を使用することが好ましいことがありうる。
【0042】
好ましくは、該滅菌パッケージは、-20~50℃の保管に好適である。より高い温度は、該品質保持期間並びに味を変えうる。該パッケージは、冷蔵条件並びに周囲条件下での保管に好適であり得、それにより、依然として無菌包装の為の全ての要件を満たす必要がある。より低い温度では、該物質の構造的一体性が損なわれうる。
【0043】
培養組織の該無菌包装の為に、無菌包装システムが設計されうる。このシステムは、培養組織を生産する為の滅菌されたバイオリアクターと、滅菌パッケージと、該滅菌パッケージを封止する為の手段とを備えている。該システムは好ましくは、無菌条件下で動作することができる。好ましい実施態様において、該システムは、自己滅菌が可能なグレードAアイソレータを備えている。該無菌システム包装システムは好ましくは、新鮮な培養組織の無菌包装に好適である。
【0044】
本発明に従うと、最大60日間の品質保持期間を有する新鮮なミンスミート又は新鮮な(すなわち、調理されていない)ハンバーグを生産することが可能である。
【0045】
本発明による無菌包装の別の利点は、該肉に添加されなければならない保存料、例えば亜硝酸塩及び硝酸塩、がより少ないことである。保存料、例えば亜硝酸塩及び硝酸塩、は典型的に、とりわけ細菌、例えばボツリヌス中毒を引き起こすボツリヌス菌、の成長を防止する為に、特定の肉製品、例えばハム、に添加される。該培養組織の生産及び包装時の該無菌条件の為、そのような細菌による感染の可能性がはるかに少なくなる。それ故に、添加されなければならない保存料がより少なくなるか、又は添加されなくてよい。例えば、ボツリヌス中毒の発生を防止する為に必要とされる亜硝酸ナトリウムの量は、50mg未満/1kgの肉、好ましくは10mg未満/kg、である。更に好ましくは、ボツリヌス中毒の発生が、肉に亜硝酸ナトリウムがない、又は実質的にないときに、防止されることができる。亜硝酸ナトリウムは、着色料の役目も果たし、例えばハムにそのピンク色を与える。より少ない亜硝酸ナトリウムが使用される、又は亜硝酸ナトリウムが使用されない場合には、他の、より毒性の低い着色料が代わりに使用されうる。
【0046】
該培養組織の生産及び包装時の該無菌条件の為、高められた温度における望ましくない微生物の成長が問題にならないので、該培養組織のエージングは、高められた温度で行われることができる。これは、エージングが冷凍に近い温度で、及び/又は冷蔵された容器内で、行われなくてよいことを意味する。例えば、エージングは、5℃又はそれ以上、例えば10~50℃、の温度で、例えば室温で、行われることができる。該培養組織は、包装の前及び/又は包装の後にエージングされることができる。
【0047】
また、或る微生物を意図的に該培養組織に加えることも可能である。例えば、特定の微生物の影響下での該培養組織の発酵又はエージングが望まれる場合、そのような微生物が加えられることができる。該培養組織は、例えば、包装前に微生物を使用して発酵させられることができる。該無菌条件の結果、望ましくない有害な微生物が存在しなくなる為、望まれる微生物によるプロセス(例えば、発酵)が、予測可能で、制御されたものになる。そのような意図的に加えられる微生物が該バイオリアクターを汚染するのを防止する為に、意図的に微生物を加える工程は、該バイオリアクターと同じ収納器内で行われるべきでない。微生物の追加にも関わらず、該方法の該工程は、なお無菌条件下で実行されたものと考えられることができる。これは、存在することになる唯一の微生物は意図的に加えられたものであり、望ましくない有害な微生物の導入が依然として防止される為である。意図的に微生物が加えられる肉製品の例はサラミである。
【0048】
培養組織懸濁物から作られたハンバーグが無菌包装される方法の例が、図1に概略的に示され、以下で説明される。しかしながら、本発明は、ハンバーグ又は組織懸濁物から作られる他の肉製品に限定されない。個々に包装されることができる、より大きい(例えば、一人分サイズの)組織片を該バイオリアクター内で生産することも可能でありうる。同様のプロセス工程が、ハンバーグ以外の製品にも適用しうる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、培養組織懸濁物から作られたハンバーグが無菌包装される方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1を参照すると、筋肉組織が筋肉組織バイオリアクターアレイ(1)内で生産され、脂肪組織が脂肪組織バイオリアクターアレイ(2)内で生産される。筋肉組織懸濁物(21)及び脂肪組織懸濁物(22)が緩衝タンク(3)に導かれ、該緩衝タンク(3)は、後続工程の為の連続的な供給を提供する。混合された組織懸濁物(23)が脱水及び香辛料添加システム(4)に導かれ、そこで該懸濁物が脱水され、滅菌された香辛料及び/又は添加物(27)が添加されることができる。その後、ハンバーグペースト(24)がハンバーグ成形ステーション(5)に導かれ、そこでハンバーグ(25)に成形される。ハンバーグ(25)は、次に滅菌パッケージ材料(28)を使用して包装ステーション(6)で包装され、パッケージが封止される。包装されたハンバーグ(26)は、次に無菌条件から取り出され、標準的な包装ラインで更に処理されることができる。
【0051】
バイオリアクターアレイ(1)及び(2)で生産される該培養組織は微生物がなく、さらなる処理及び/又は包装工程は、無菌条件下で実施される。それ故に、該組織を滅菌する必要性なしに、無菌包装された培養組織が得られることができる。無菌環境の外部から導入される品目、例えば香辛料及び/又は添加物(27)、並びにパッケージ材料(28)、は、汚染を回避する為に、該無菌環境に導入されるときに滅菌されなければならない。
【0052】
図1の例において、筋肉組織及び脂肪組織は、無菌懸濁物として生産され、これは、該バイオリアクターアレイから流体流が得られることを意味する。流体流を伴う工程は、流体区画(11)において無菌条件下で行われる。この区画内のユニット、例えばプロセス槽(すなわち、タンク)及び流体移送ライン、は、洗浄周期中に洗浄され、滅菌されることができる。その目的の為に、流体区画(11)内の機器は、定置洗浄(CIP:clean-in-place)及び定置滅菌(SIP:sterilization-in-place)システムを具備しうる。該槽及び流体移送ラインは、例えば、洗浄液がそれを通って該システムに導入され、除去されることができる、幾つかの入口及び出口を備えている。洗浄液による洗浄後、該プロセス槽及びラインは、滅菌されることができ、例えば水蒸気で滅菌されることができる。それ故に、流体区画(11)にある機器は好ましくは、滅菌プロセスの条件、例えば水蒸気による滅菌の場合には高い温度及び圧力、に耐えることができる材料から構築される。該流体は、好ましくは容易に洗浄可能である、低剪断応力ポンプを使用して輸送されることができる。例えば、蠕動ポンプ又は膜ポンプが使用されることができる。
【0053】
該混合された組織懸濁物の脱水後、該流体区画の外側の無菌環境で、例えばグレードAアイソレータ(12)内で、さらなる工程が行われる。流体区画(11)とグレードAアイソレータ(12)との間の境界は、例えば三方弁によって形成されることができる。そのような三方弁は、CIPプロセスの為の入口及び/又は出口としても使用されることができる。
【0054】
グレードAアイソレータは、HEPAフィルタを通して空気を循環させて環境を滅菌に保つ、気密封止されたアイソレータである。そのようなアイソレータ内での該システムとの作業者の接触は、手袋を用いて行われる。加えて、グレードAアイソレータは典型的に、周囲雰囲気からのガス及び微生物が該アイソレータに入るのを防止する為に、周囲雰囲気に対して過圧下で保たれる。生産が実行する前に、該アイソレータは、およそ150ppmの気化過酸化水素で満たされることができる。これにより全ての微生物を殺し、該アイソレータを滅菌する。このようにして、それは、無菌処理の為の汚染のない作業場を提供する。その後、典型的に触媒フィルタを使用して、気化過酸化物が除去される。生産は、過酸化物レベルが、該製品の為に安全であるレベルを下回る場合にのみ開始され、それにより過酸化水素による食品製品の汚染及び劣化を防止する。
【0055】
組織バイオリアクターの出力は典型的に周期的である為、バイオリアクターのアレイ、例えば筋肉組織バイオリアクターアレイ(1)及び脂肪組織バイオリアクターアレイ(2)、は、後続工程の為の連続的な供給を提供する為に有利に使用されることができる。
【0056】
緩衝タンク(3)は、該バイオリアクターの出力の為の緩衝として機能する、単純な攪拌型タンクであることができる。その目的は、該包装ラインの為の連続的な供給を提供することである。加えて、筋肉組織懸濁物(21)と脂肪組織懸濁物(22)とが、該緩衝タンク内で混合されることができる。
【0057】
脱水及び香辛料添加システム(4)は、該混合された組織懸濁物が、例えば混合オーガに供給するベルトフィルタプレスを使用して、連続的に脱水される、2段階プロセスとして実装されることができる。滅菌された香辛料及び/又は添加物(27)は、該混合オーガ内で加えられることができ、組織と香辛料の混合物は、望まれる食感を得るように処置される。
【0058】
脱水及び香辛料添加システム(4)の出力はハンバーグペースト(24)である。このペーストは、該混合オーガによって該ハンバーグ成形ステーション(5)に輸送されることができ、該ハンバーグ成形ステーション(5)は、例えば該ハンバーグが成形される成形ホイールを備えている。該成形されたハンバーグ(25)は、次にベルトに供給されることができ、そこからピックアンドプレース機によって包装ステーション(6)に置かれることができる。
【0059】
包装ステーション(6)は例えば、保護雰囲気下でハンバーグを熱成形されたパッケージの中に封止するブリスター機であることができる。この目的の為に、滅菌パッケージ材料(28)、例えば硬い熱成形可能フィルム及び可撓性の封止フィルム、が、滅菌入口を通って該アイソレータ内に運ばれることができる。該包装材料の滅菌(例えば、UV滅菌)は、該アイソレータに入ることができる汚染がないことを保証する為に使用される。次に、硬いフィルムが加熱され、望まれる容器形状へと真空成形される。ハンバーグ(25)は、成形された製品空洞の内部に置かれることができる。該容器は次に封止工程で封止され、該封止された容器は、該包装材料から切断され、該アイソレータを汚染することのない制御された方式で、例えば無菌エアロックを使用して、該アイソレータから取り出される。この時点からは、該製品が無菌包装され、該パッケージが気密封止されているので、該包装された製品は、無菌条件を維持する為の手段無しで、標準的な包装ラインで更に処理されることができる。
【0060】
該アイソレータ内の全ての装置及び部品は、それらが包装の実行と実行の間に容易に分解され、洗浄されることができるように設計されるべきである。分解された該部品は、次に、滅菌蒸気、例えば気化過酸化水素(VHP:vaporized hydrogen peroxide)、との良好な接触が保証されることができる位置に置かれるべきである。次に、作業者が、該アイソレータを開けて滅菌状態を壊すことなく、包装の実行の前に全ての部品を再設置することができる。
【0061】
該包装された製品の品質が検査されることができる幾つかの方式がある。細菌が存在しないことを確かめる為に、周期的なサンプルが取られることができる。包装された製品は、数日間保管され、汚染の兆候がないか検査されることができる。望ましくない微生物成長を検出することができる化学インジケータが、該包装に含められることができる。プロセスが汚染を取り込むことなく実行されることができることを確かめる為に、インジケータ製品を用いた年間操業が行われることができる。
【0062】
明瞭性及び簡潔な説明の目的で、特徴は、同じ又は別個の実施態様の一部として本明細書に記載されたが、本発明の範囲は、記載された特徴の全て又は一部の組み合わせを有する実施態様を包含しうることが理解されるであろう。
図1
【国際調査報告】