(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-11
(54)【発明の名称】ヒトデからコラーゲンペプチドを得る方法、ヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む弾性リポソーム、およびそれを含む化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
C07K 1/14 20060101AFI20230501BHJP
A61K 8/14 20060101ALI20230501BHJP
A61K 8/98 20060101ALI20230501BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20230501BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20230501BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20230501BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20230501BHJP
C07K 1/12 20060101ALI20230501BHJP
C07K 14/78 20060101ALN20230501BHJP
【FI】
C07K1/14
A61K8/14
A61K8/98
A61K8/65
A61K8/55
A61K8/39
A61Q19/08
C07K1/12
C07K14/78
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547899
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(85)【翻訳文提出日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 KR2021005972
(87)【国際公開番号】W WO2021235767
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】10-2020-0059674
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518257219
【氏名又は名称】スターズ・テック・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】STARS TECH CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,スン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,バ ダ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン フィー
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ソン ボム
【テーマコード(参考)】
4C083
4H045
【Fターム(参考)】
4C083AA071
4C083AA072
4C083AC421
4C083AC422
4C083AD571
4C083AD572
4C083BB01
4C083BB51
4C083CC02
4C083DD45
4C083EE03
4C083EE10
4C083EE11
4H045AA20
4H045BA10
4H045CA50
4H045EA15
4H045FA16
4H045GA01
(57)【要約】
本発明は、ヒトデからコラーゲンペプチドを得る方法、ヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む弾性リポソーム及びそれを含む化粧料組成物に関するものであって、本発明によれば、海洋生態系に悪影響を及ぼし処理が困難なヒトデを用いて皮膚吸収率が優秀で、抗酸化およびしわ改善活性を有するコラーゲンペプチドを製造するので、既存の動物性コラーゲンに代えて高い抽出効率でコラーゲンを提供することができる。また、コラーゲンペプチドを弾性リポソームに担持して利用する方法を提供するので、動物性コラーゲン及び海洋コラーゲンの皮膚吸収率が低い限界を克服して経皮吸収率を大きく向上させることができ、これを用いて抗酸化及び皮膚シワ改善に効果的な化粧料組成物を提供することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を含むヒトデ由来コラーゲンペプチドの製造方法:
(a)ヒトデをアルカリ溶液で処理して非コラーゲン物質を除去する段階、
(b)前記非コラーゲン物質が除去されたヒトデを、酒石酸(tartaric acid)、アスコルビン酸(ascorbic acid)、およびクエン酸(citric acid)のうち1種以上の酸化合物を含む酸溶液に添加してコラーゲンを抽出する段階、
(c)前記コラーゲンが抽出された溶液にタンパク質分解酵素を加えて加水分解する段階、及び
(d)前記溶液からコラーゲンペプチドを分離する段階。
【請求項2】
前記酸溶液が酸化合物を0.05~0.5重量%含むことを特徴とする、
請求項1に記載のヒトデ由来コラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項3】
前記酵素が、サブチリシン(Subtilisin)、ペプシン(Pepsin)、コラゲナーゼ(Collagenase)、およびトリプシン(trypsin)のうち1種以上であることを特徴とする、
請求項1に記載のヒトデ由来コラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項4】
前記コラーゲンペプチドが1550~1700Daの分子量を有することを特徴とする、
請求項1に記載のヒトデ由来コラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項5】
リン脂質(phospholipids)および界面活性剤を含むリン脂質層、及び前記リン脂質層の内部に担持されるヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む、
弾性リポソーム。
【請求項6】
前記ヒトデ由来コラーゲンペプチドが30%以上の親水性アミノ酸を含む、
請求項5に記載の弾性リポソーム。
【請求項7】
前記界面活性剤がグルコシド系、スクロース系またはグリセリル系界面活性剤であることを特徴とする、
請求項5に記載の弾性リポソーム。
【請求項8】
前記弾性リポソームの粒径が50~600nmであることを特徴とする、
請求項1に記載の弾性リポソーム。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法で製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む、
抗酸化用化粧料組成物。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法で製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む、
皮膚シワ改善用化粧料組成物。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法で製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む弾性リポソームを含む、
抗酸化用化粧料組成物。
【請求項12】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法で製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む弾性リポソームを含む、
皮膚シワ改善用化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[1] 本発明は、ヒトデからコラーゲンペプチドを得る方法、ヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む弾性リポソーム、及びそれを含む化粧料組成物に関するものであって、さらに詳しくは、ヒトデから抗酸化及び皮膚しわ改善効果を有する低分子コラーゲンペプチドを得る方法、前記ヒトデ由来コラーゲンペプチドが担持された弾性リポソーム、及びこれを含有することにより、皮膚吸収力が優秀で、抗酸化効果に優れた皮膚シワ改善用化粧料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[2] コラーゲン(collagen)は、ほとんどの動物、特に哺乳動物に多く見られる繊維状タンパク質で、皮膚や軟骨など体内のすべての結合組織の大部分を占める物質である。コラーゲンは、ポリペプチド3分子が互いに三重螺旋でねじれたロープのような形態をなしている。
【0003】
[3] コラーゲンは肌の水分量に関与するため、コラーゲンが豊富な食品を摂取すれば皮膚老化、関節の弱化、血管損傷を防ぐことができるとよく知られている。しかし、実際に摂取や経口投与時には、タンパク質の分解過程を通じてグリシン、プロリンなどのアミノ酸に分解された後に吸収されるため、不足したコラーゲンを摂取することで補充するためには、コラーゲン合成に必要なビタミンAやビタミンC、鉄などを追加で一緒に摂取しなければならない。
【0004】
[4] また、肌に塗る製品の中でコラーゲン分子や繊維自体が添加された製品も市場で売られているが、タンパク質は高分子であるために皮膚を透過することができず、これも大きい効果が出ない可能性が高く、低分子の形態であっても皮膚の0.1%にならない毛穴、汗腺を除いた角質層の透過は不可能である。
【0005】
[5] コラーゲンの生産材料は現在まで主に牛、豚など畜産動物から供給されてきたが、最近、BSE(牛海綿状脳症)騒ぎによる有害性問題が台頭しており、動物性コラーゲンが宗教的理由でハラル市場に進入できないなどの問題で海洋生物を素材にする研究が活発に行われている。
【0006】
[6] 例えば、大韓民国登録特許公報第10-1071338号では、フグや鯛のような海洋生物の殻及び鱗からコラーゲン加水分解物を得る方法を記載しており、大韓民国公開特許公報第10-2006-0091350号では海洋生物から抽出されたコラーゲンを用いて製造された組織工学用高分子支持体について記載している。
【0007】
[7] しかし、海洋生物から得られた海洋性コラーゲンは抽出可能な海洋生物が制限されており、動物性コラーゲンに比べて抽出量が制限的で抽出効率も低いという問題がある。
【0008】
[8] 一方、近海で生息するヒトデは年間処理費用で4~5億ウォンの予算が必要な海洋廃棄物であって、高い繁殖力と再生能力を持つ一方、海洋生物の生態系に悪影響を与えて養殖場の収穫量を減少させ、漁民たちには悩みの種に過ぎないため、これらを別の資源として活用する方法が研究されている。このようなヒトデは現在、そのまま乾燥して農土に散らして収穫を高めるために一部利用され、炭酸カルシウム成分の肥料製造に使用されており、最近では除雪剤としての活用が提案されている。
【0009】
[9] したがって、容易に入手できるヒトデを用いて皮膚吸収率に優れたコラーゲンペプチドを製造することができれば、環境的な問題を解決すると同時に皮膚改善に効果的な化粧料組成物を提供することができるだろう。
【発明の概要】
【0010】
発明の詳細な説明
技術的な課題
[10] これらの従来技術の問題を解決するためのものとして、本発明の目的は、ヒトデからコラーゲンペプチドを製造する方法を提供することである。
【0011】
[11] 本発明の他の目的は、ヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む弾性リポソームを提供することである。
【0012】
[12] 本発明の他の目的は、ヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む抗酸化用化粧料組成物を提供することである。
【0013】
[13] 本発明の他の目的は、ヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む皮膚シワ改善用化粧料組成物を提供することである。
【0014】
[14] 本発明の他の目的は、ヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む弾性リポソームを含む抗酸化用化粧料組成物を提供することである。
【0015】
[15] 本発明の他の目的は、ヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む弾性リポソームを含む皮膚シワ改善用化粧料組成物を提供することである。
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
課題解決手段
[16] 前記の目的を達成するために、本発明は(a)ヒトデをアルカリ溶液で処理して非コラーゲン物質を除去する段階、(b)前記非コラーゲン物質が除去されたヒトデを酒石酸(tartaric acid)、アスコルビン酸(ascorbic acid)、およびクエン酸(citric acid)のうち一種以上の酸化合物を含む酸溶液に添加してコラーゲンを抽出する段階、(c)前記コラーゲンが抽出された溶液にタンパク質分解酵素を添加して加水分解する段階、及び(d)前記溶液からコラーゲンペプチドを分離する段階を含むヒトデ由来コラーゲンペプチドの製造方法を提供する。
【0017】
[17] 本発明において、前記酸溶液は、酸化合物を0.05乃至0.5重量%含むことができる。
【0018】
[18] 本発明において、前記酵素は、サブチリシン(Subtilisin)、ペプシン(Pepsin)、コラゲナーゼ(Collagenase)、及びトリプシン(trypsin)のうちの1種以上であることができる。
【0019】
[19] 本発明において、前記コラーゲンペプチドは、1550乃至1700Daの分子量を有することができる。
【0020】
[20]
[21] 本発明はまた、リン脂質(phospholipids)および界面活性剤を含むリン脂質層、及び前記リン脂質層の内部に担持されるヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む、弾性リポソームを提供する。
【0021】
[22] 本発明において、前記ヒトデ由来コラーゲンペプチドは、30%以上の親水性アミノ酸を含むことができる。
【0022】
[23] 本発明において、前記界面活性剤は、グルコシド系、スクロース系、またはグリセリル系界面活性剤であることができる。
【0023】
[24] 本発明において、前記弾性リポソームの粒径は、50乃至600nmであることができる。
【0024】
[25]
[26] 本発明はまた、前記の方法で製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む抗酸化用化粧料組成物を提供する。
【0025】
[27] 本発明はまた、前記の方法で製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む皮膚シワ改善用化粧料組成物を提供する。
【0026】
[28] 本発明はまた、前記の方法で製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む弾性リポソームを含む抗酸化用化粧料組成物を提供する。
【0027】
[29] 本発明はまた、前記の方法で製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む弾性リポソームを含む皮膚シワ改善用化粧料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0028】
発明の効果
[30] 本発明によれば、海洋生態系に悪影響を及ぼし、処理が困難なヒトデを用いて皮膚吸収率が優秀で、抗酸化及びしわ改善活性を有するコラーゲンペプチドを製造するので、既存の動物性コラーゲンに代えて高い抽出効率でコラーゲンを提供することができる。また、コラーゲンペプチドを弾性リポソームに担持して利用する方法を提供するので、動物性コラーゲン及び海洋コラーゲンの皮膚吸収率が低い限界を克服して経皮吸収率を大きく向上させることができ、これを用いて抗酸化及び皮膚シワ改善に効果的な化粧料組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図面の簡単な説明
【
図1】[31]
図1は、本発明の一実験例による、酵素の種類による細胞のlive/dead画像を示す。
図1(a)はサブチリシン/live画像、(b)はペプシン/live画像、(c)はC-0130/live画像、(d)はトリプシン/live画像、(e)はサブチリシン/dead画像、(f)はペプシン/dead画像、(g)はC-0130/dead画像、及び(h)はトリプシン/dead画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の実施のための形態
[32] 以下、本発明の具体的な実施形態についてより詳細に説明する。他の式で定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野で熟練した専門家によって通常理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される命名法は、当技術分野でよく知られており、通常使用されるものである。
【0031】
[33]
[34] 本発明は、ヒトデからコラーゲンペプチドを製造する方法と、前記の方法で製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む弾性リポソーム、およびそれを含む抗酸化および皮膚シワ改善用化粧料組成物に関するものである。
【0032】
[35] ヒトデの筋肉組織は、自分の腕の1.5倍の大きさの貝を捕食する伸縮性を持っており、損傷した腕が成長する組織再生能力があるなど、様々な生理的機能を持っている。そしてこれらの特性はコラーゲンと密接な関連があると推定している。
【0033】
[36] しかし、ヒトデの体壁は、骨片(炭酸カルシウム)とタンパク質、色素、匂い成分などで複雑に構成されており、陸上動物のコラーゲン抽出材料とは多くの点で違いがある。したがって、既知の抽出法である酢酸抽出法、ペプシン抽出法などを直接適用する場合には効果的な抽出が困難である。
【0034】
[37] すなわち、ヒトデの体壁には多量(20~30重量%)の骨片(炭酸カルシウム)が存在しており、非コラーゲン物質除去条件の究明が必要であり、既に知られている酢酸抽出法や、酸性プロテアーゼ抽出法でコラーゲンを抽出する場合、体壁に存在する炭酸カルシウムと酢酸が反応して中和反応を起こすので最適抽出条件を維持することが困難であり、pHを合わせるために過剰の酸を使用する場合には、中和反応の結果として発生した多量の酢酸カルシウムにより溶液のイオン強度が増加し、コラーゲンが沈殿して酵素反応残渣に混入するため、コラーゲンの損失が大きくなり、経済性が低下するという問題点がある。
【0035】
[38] また、熱によるコラーゲンの変性温度が温血動物が約35~40℃であるのに比べてヒトデコラーゲンは25℃と比較的低く、熱変性を避けるためには低温で処理しなければならない。
【0036】
[39] 本発明のヒトデからコラーゲンペプチドを製造する方法は、(a)ヒトデをアルカリ溶液で処理して非コラーゲン物質を除去する段階、(b)前記非コラーゲン物質が除去されたヒトデを酸溶液に添加してコラーゲンを抽出する段階、(c)前記コラーゲンが抽出された溶液にタンパク質分解酵素を加えて加水分解する段階、及び(d)前記溶液からコラーゲンペプチドを分離する段階を含む。
【0037】
[40] 本発明で使用可能なヒトデは、棘皮動物門ヒトデ鋼に属するものであれば何でも構わず、例えば、アムールヒトデ、クモヒトデ、星ヒトデ、アカヒトデ、トゲクモヒトデ、ニチリンヒトデ、マンジュウヒトデ、クモヒトデ、オニヒトデ、チビクモヒトデ、トゲモミジガイ、ヤツデヒトデ、モミジガイ、コブヒトデ、ニシキクモヒトデなどを使用することができる。
【0038】
[41] 本発明の方法は、まず、前記ヒトデを小さく切った後にアルカリ溶液で処理して非コラーゲン物質を除去することによりヒトデ骨片を得ることができる。
【0039】
[42] ヒトデの体壁には、コラーゲン以外のタンパク質、皮下脂肪、臭いを誘発する成分(アミン類、脂肪酸、カルボニル化合物、硫化化合物など)、無機物(炭酸カルシウム)などの非有効成分が相当量存在するため、アルカリ溶液処理を通じて非コラーゲン物質を除去することができる。
【0040】
[43] 前記アルカリ溶液は、ヒトデから非有効成分が分離できる程度のpHを有する混合溶液であれば構わないし、例えばアルカリ化合物及び溶媒を含むpHが9~14の範囲の混合溶液であってもよい。
【0041】
[44] 前記アルカリ化合物は、溶液のpHを調節することができるアルカリ塩であれば構わないし、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウムなどから選択されるいずれか1つまたは2つ以上を含むことができ、水酸化ナトリウムが最も好ましい。前記溶媒は限定されず、例えば水を使用することができる。
【0042】
[45] 前記アルカリ溶液は1~20重量%のアルカリ化合物を含むことができる。
【0043】
[46] 前記ヒトデをアルカリ処理するために、ヒトデを小さく切ってアルカリ溶液に浸漬した後、12乃至48時間放置することができる。
【0044】
[47] アルカリ処理が完了すると、ヒトデの体壁にコラーゲンが付いている骨片を収得することができる。収得したヒトデの骨片は、最初のヒトデの重量の10乃至30重量%程度の収率が好ましい。
【0045】
[48] 収得したヒトデ骨片は酸溶液に添加してコラーゲンを抽出する。
【0046】
[49] 前記酸はpHを調節することができる酸化合物を使用することができ、酒石酸(tartaric acid)、アスコルビン酸(ascorbic acid)、クエン酸(citric acid)などを使用することができる。本発明の好ましい実施形態において、前記酸化合物は、酒石酸とアスコルビン酸とを10:1乃至1:10の重量比で混合したものであってもよい。
【0047】
[50] 前記酸溶液は、酸化合物を0.05乃至0.5重量%含むことができ、0.1乃至0.4重量%がさらに好ましい。酸溶液の濃度が低すぎると、コラーゲン抽出効率が低くなり、酸溶液の濃度が増加するにつれて抽出効率は増加しながら、約0.25重量%を過ぎると再び効率が減少することになる。したがって、0.5重量%を超えない範囲内で酸溶液を使用することが抽出効率の面で好ましい。
【0048】
[51] 本発明において、前記ヒトデ骨片を酸溶液に添加した後、超音波処理を行ってコラーゲン抽出を加速することが好ましい。前記超音波処理は、10乃至100kHzで20乃至200分間行うことができ、30乃至50kHzで40乃至80分間行うことがさらに好ましい。
【0049】
[52] 超音波処理が完了したら、酸塩基反応が終了するまで5乃至15時間放置することができる。
【0050】
[53] 次に、タンパク質分解酵素を添加して抽出されたコラーゲンを低分子量コラーゲンペプチドに加水分解されるようにする。
【0051】
[54] 本発明の方法で製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドは、酵素の種類によって1550乃至1700Da程度の分子量を有するが、これは約1900Daのフィッシュコラーゲン(海洋コラーゲン)や、約2400Daレベルの豚皮コラーゲンよりさらに低い値である。したがって、皮膚浸透にさらに有利であると予想することができる。
【0052】
[55] 前記酵素は、サブチリシン(Subtilisin)、ペプシン(Pepsin)、コラゲナーゼ(Collagenase)、トリプシン(trypsin)などを使用することができ、サブチリシンが最も低い分子量を有するコラーゲンペプチドを製造することができ、しわ改善性能においても最も好ましい。
【0053】
[56] 本発明の一実施例では、酵素としてサブチリシンを用いてコラーゲンペプチドを分解した場合、他の酵素に比べて最も優れたしわ改善効能を有するコラーゲンペプチドを製造できることを確認した。
【0054】
[57] 前記酵素はヒトデ骨片の重量に基づいて0.01~1重量%添加されることが好ましく、0.05~0.4重量%がさらに好ましい。
【0055】
[58] 前記酵素処理温度および時間は、タンパク質分解酵素がヒトデを十分に加水分解できる程度であれば構わない。例えば、加水分解の温度および時間は、それぞれ10~65℃および1~10時間の範囲であることができる。加水分解の温度は、タンパク質分解酵素が高い活性を有する温度であり、これは公知されているため、酵素の種類によって適宜調節することができる。例えば、加水分解温度は、トリプシンの場合、35~40℃の範囲であることができる。
【0056】
[59] 酵素処理が完了したら、コラーゲンペプチドを分離することができる。このとき、コラーゲンペプチドの分離は、例えば遠心分離を用いて塩を除去して上澄み液を分離した後、上澄み液を凍結乾燥して粉末状のコラーゲンペプチドを得ることができる。
【0057】
[60] 製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドは、溶媒中で約1μm程度の粒径を有し、細胞毒性が全くなく、抗酸化活性を有する。これは、豚皮コラーゲンとフィッシュコラーゲンの両方が抗酸化活性を有さないことと対比される。
【0058】
[61] また、本発明のヒトデ由来コラーゲンペプチドは、しわ抑制活性を有する。本発明の一実施例では、細胞のMMP-1の発現抑制率でシワ抑制活性を比較した際、ヒトデ由来コラーゲンがフィッシュコラーゲン及び豚皮コラーゲンより2~3倍高いMMP-1発現抑制率を示したことを確認した。
【0059】
[62] 本発明のヒトデ由来コラーゲンペプチドは、それ自体で抗酸化及び皮膚シワ改善用化粧料組成物に使用することができ、又は、弾性リポソームに担材され使用することができる。
【0060】
[63] 本発明によるヒトデ由来コラーゲンペプチドを担材した弾性リポソームは、コラーゲンペプチドが角質層の細胞間脂質を通過することが困難であった問題を解決し、皮膚吸収率の限界を克服すると同時に、最適なコラーゲンペプチド性能を確保することができる。
【0061】
[64] 特に、本発明では、ヒトデから分離されたコラーゲンペプチドが、従来、一般的に使用されている豚皮コラーゲンまたはフィッシュコラーゲンに比べて弾性リポソームに担材される効率が大幅に上がる可能性があることが分かった。これは、ヒトデ由来コラーゲンペプチドが、豚皮またはフィッシュコラーゲンに比較して親水性アミノ酸を大量に含有するためであると考えられる。以下の表1に示すように、ヒトデ由来コラーゲンペプチドは、親水性アミノ酸の割合が約40%程度で、豚皮またはフィッシュコラーゲンが約25%程度の親水性アミノ酸を含むことと比較すると、約1.5倍以上の高い割合を占める。
【0062】
【0063】
[67]
[68] このような観点から、本発明のヒトデ由来コラーゲンペプチドは、30%以上、好ましくは35%以上、特に38%以上の親水性アミノ酸を含むことができる。本発明の一実施例では、親水性アミノ酸を約40%ほど含有するヒトデ由来コラーゲンペプチドが、豚皮またはフィッシュコラーゲンペプチドに比べて著しく優れた弾性リポソーム担材効率を示すことを確認した。
【0064】
[69] 弾性リポソームは、既存のリポソームの低い捕集効率、剤形内での不安定性、活性成分の低い溶解度、脂質酸化および加水分解の可能性などのいくつかの欠点を補うために提案されており、リン脂質に弾性を付与する界面活性剤を添加して製造することができる。
【0065】
[70] 本発明による弾性リポソームは、リン脂質(phospholipids)および界面活性剤を含むリン脂質層と、リン脂質層の内部に担持される被担持体としてヒトデ由来コラーゲンペプチドで構成される。前記成分は皮膚細胞と構造が類似したリン脂質を含むだけでなく、弾性が増加して変形力に優れるため、角質の間へ効果的に浸透移動することができ、経皮吸収効率に優れる。
【0066】
[71] 前記リン脂質(phospholipids)は細胞間脂質(intercellular lipids)の役割を果たして皮膚効能成分が皮膚から離脱するのを防ぐと同時に、浸透機能をして外部の水分を引き込む半透膜の役割をする。
【0067】
[72] 本発明において、前記リン脂質成分は、当該分野で一般的に使用されるリン脂質を使用することができ、例えば、炭素数が12~24個の脂肪酸鎖を有し、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、およびホスファチジルイノシトールのうちの1つ以上を含むことができるが、これらに限定されない。本発明において、前記リン脂質成分はホスファチジルコリンが好ましい。
【0068】
[73] 前記界面活性剤は、前記リポソームリン脂質層の界面に弾性を付与し、経皮吸収率向上を目的として含まれる。界面活性剤としては、グルコシド系、スクロース系、グリセリル系界面活性剤などを用いることができ、グルコシド系界面活性剤が最も好ましい。
【0069】
[74] 前記グルコシド系界面活性剤は、セテアリルグルコシド(cetearyl glucoside)、デシルグルコシド(decyl glucoside)、ココグルコシド(coco glucoside)、ベヘニルアルコール(behenyl alcohol)、アラキジルアルコール(arachidyl alcohol)、ラキジルグルコシド(arachidyl glucoside)、C10-20アルキルグルコシド(alkyl glucoside)などを使用することができ、セテアリルグルコシドが最も好ましい。
【0070】
[75] 前記スクロース系界面活性剤は、スクロースモノステアレート(Sucrose monostearate)、ジステアリン酸スクロース(sucrose distearate)、およびトリステアリン酸スクロース(sucrose tristearate)を使用することができる。
【0071】
[76] また、前記グリセリル系界面活性剤としては、カプリル酸ポリグリセリル-6(Polyglyceryl-6 Caprylate)、カプリン酸ポリグリセリル-4(Polyglyceryl-4 Caprate)、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコース(Polyglyceryl-3 Methylglucose Distearate)などを使用することが可能である。
【0072】
[77] 本発明の一実施例では、グルコシド系界面活性剤であるセテアリルグルコシドを界面活性剤として使用して弾性リポソームを製造した場合、他の界面活性剤よりも3~5倍の優れた皮膚吸収率を示すことを確認した。
【0073】
[78] 前記リン脂質および界面活性剤は、3:1乃至20:1の重量比で混合することができ、7:1乃至12:1の重量比がさらに好ましい。
【0074】
[79] また、本発明のヒトデ由来コラーゲンペプチドは、リン脂質と界面活性剤が混合されたリン脂質層の重量に対して、1乃至100重量%で含まれてもよく、特に限定されない。本発明の実験例では、リン脂質層の含有量によって最も優れた皮膚吸収率を有するコラーゲンペプチドの範囲がそれぞれ異なることが分かっており、溶媒の重量に対してリン脂質層1重量%及びコラーゲンペプチド0.1重量%を含むことが最も優れた皮膚吸収率を示した。
【0075】
[80] ヒトデ由来コラーゲンペプチドを担持した弾性リポソームは、50~600nmの粒径を有し、大部分は100~200nmのレベルの粒径を有する。これは、溶媒中で1μm程度のコラーゲンペプチドに比べてはるかに小さいサイズである。本発明の実験例では、リン脂質含有量が増加するにつれて粒径も増加する傾向を見せており、これは一定量以上のリン脂質が添加されると、弾性リポソーム膜の厚さが増加するためと判断される。
【0076】
[81] 溶媒中で1μm程度の粒径を有するコラーゲンペプチドの場合、角質層での皮膚吸収はほとんどないが、弾性リポソームの場合、より小さな粒径と弾性により優れた皮膚吸収率を示すことができる。
【0077】
[82] 本発明のヒトデ由来コラーゲンペプチド、およびそれを含む弾性リポソームは、抗酸化活性および皮膚シワ改善効果に優れ、化粧料組成物に使用することができる。
【0078】
[83] 前記弾性リポソームは、前記化粧品組成物の全重量に対して0.1~50重量%含まれてもよい。
【0079】
[84] 本発明の化粧品組成物は、当業界で通常製造されるいかなる剤形にも製造することができ、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーションおよびスプレー、マスクパックなどに剤形化されることもあるが、これらに限定されない。
【0080】
[85] また、本発明の化粧料組成物は、洗顔化粧品、基礎化粧品、色調化粧品、毛髪化粧品、機能性化粧品などの化粧品の種類に応じて、それぞれ異なる成分の様々な添加物を含む化粧料を含むことができる。
【実施例】
【0081】
[86]
[87] 実施例
[88]
[89] 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものと解釈されないことは当業界において通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0082】
[90]
[91] 製造例1:ヒトデ由来コラーゲンペプチドの製造
[92]
【0083】
[93] ヒトデ1,000gを5重量%の水酸化ナトリウム溶液1Lに浸漬した後、24時間放置して非コラーゲン物質を除去し、コラーゲンが粘着された骨片200gを確保した。
【0084】
[94] 50mLの蒸留水に約2gの乾燥していないヒトデの骨片と一緒に酒石酸とアスコルビン酸を1:1の割合で混合した酸化合物を0.05、0.25、0.5、1.0、および2.5重量%の含有量で添加した。その後、38kHz条件で1時間超音波処理した後、酸塩基反応終了のために10時間以上放置した。
【0085】
[95] ヒトデ骨片の重量を基準にして0.1重量%の酵素でサブチリシン、ペプシン、コラゲナーゼ(C-0130)、コラゲナーゼ(C-0130)バッファー溶液、トリプシン、及びトリプシンバッファー溶液をそれぞれ添加してコラーゲンペプチドを低分子形態に分解した。
【0086】
[96] 遠心分離機により下層部の酸/塩基反応で生成した塩を除去し、上澄み液を分離した。分離した上澄み液を凍結乾燥して粉末状のコラーゲンペプチドを収得した。
【0087】
[97]
[98] 実験例1:コラーゲンペプチド抽出工程による物性確認
[99]
【0088】
[100] 1-1.酸添加量による抽出効率
[101] 酸添加量によるコラーゲンペプチド抽出効率を下記の表2にまとめて示す。
[102]
【0089】
【0090】
[104]
[105] アスコルビン酸と骨片の構成成分である炭酸カルシウムが反応して形成されるアスコルビン酸カルシウム(calcium ascorbate)の場合、水溶性であるため、遠心分離後に上澄み液を凍結乾燥したときに抽出効率に含まれる。したがって、添加したアスコルビン酸100%が反応したという仮定のもとで生成できるアスコルビン酸カルシウムを除いた収率を確認した結果、0.25重量%の酸を添加したときに最も高い収率を示し、酸添加量が増加すると収率が次第に低くなることを確認した。
【0091】
[106] これは、酒石酸と炭酸カルシウムが反応して生じる塩である酒石酸カルシウムが遠心分離時に下層部から除去されるが、アスコルビン酸カルシウムよりも酒石酸カルシウムが優先的に形成されるためと判断される。
[107]
【0092】
[108] 1-2.酵素の種類による抽出効率
[109] 酵素の種類による抽出効率を調べるために、0.05重量%の酸処理試料に対して6種の酵素を添加した結果を以下の表3に示した。
[110]
【0093】
【0094】
[112]
[113] 抽出効率は、アルカリ処理後、コラーゲンが粘着されている骨片質量対比コラーゲン抽出物の凍結乾燥後の乾燥質量を基準に計算しており、C-0130の場合はTESCA、トリプシンの場合はPBSに溶解させたEDTAで緩衝溶液を用いた。 。
【0095】
[114] 抽出効率は、コラゲナーゼであるC-0130を除いて酵素ごとにほぼ同様の傾向を示し、緩衝溶液の場合にも大きな差がないことが確認された。
【0096】
[115]
[116] 1-3. 酵素の種類によるコラーゲンペプチド分子量
【0097】
[117] 酵素の種類に応じたコラーゲンペプチド分子量をGPC(Gel Permeation Chromatograph)により確認し、下記の表4に示した。
[118]
【0098】
【0099】
[120]
[121] 前記の表では、酵素の種類にかかわらず、酵素の影響により、コラーゲン抽出物が約1700Daの低分子ペプチド形態で存在することが確認されており、サブチリシンの場合、1600Da以下の最も低い分子量のコラーゲンペプチドが製造できることが確認された。
【0100】
[122]
[123] 1-4. 酵素の種類による細胞毒性試験(MTT assay)
【0101】
[124] 細胞生存率を測定するために、ヒト線維芽細胞であるHDFをDMEM、FBS 10%、ペニシリン-ストレプトマイシン(Penicillin-Streptomycin)1%培地で24時間培養した。その後、実施例3乃至6の各酵素別試料を0.2~1.0mg/mL濃度で培地に入れ、培地交換後24時間追加培養し、MTT溶液を入れて4時間追加培養した。
【0102】
[125] 培地除去後、DMSOを入れて560nmで吸光度を測定した結果を以下の表5に示した。
[126]
【0103】
【0104】
[128]
[129] 酵素の種類による濃度別生存率試験で、いずれも85%以上の生存率を示しており、サブチリシンの場合は92%以上の生存率を示し、細胞毒性がほとんどないことを確認した。
【0105】
[130]
[131] 1-5.酵素の種類による細胞毒性試験(Live/Dead imaging)
[132] 前記実験例1-4と同様に、0.2mg/mL濃度で24時間追加培養後、PBS全溶液にカルセインAM(live)、エチジウムホモダイマー(dead)を入れて30分後、コンフォーカルでイメージングした結果を
図1に示した。
【0106】
[133]
図1で、(a)はサブチリシン/live画像、(b)はペプシン/live画像、(c)はC-0130/live画像、(d)はトリプシン/live画像、(e)はサブチリシン/ dead画像、(f)はペプシン/dead画像、(g)はC-0130 / dead画像、(h)はトリプシン/dead画像を示す。
[134] 全ての実験群で細胞毒性がないことを確認した。
【0107】
[135]
[136] 1-6.酵素の種類によるコラーゲンペプチドの抗酸化活性
【0108】
[137] 酵素によるコラーゲンペプチドの抗酸化性をDPPHラジカル消去能試験を通じて確認した。
【0109】
[138] DPPH溶液と実施例3乃至6のサンプル溶液を濃度別に反応させた後、517nmで吸光度測定によりラジカル消去能を確認した結果を下記の表6に示す。ビタミンCを100%対照群として抗酸化性を確認した。
[139]
【0110】
【0111】
[141]
[142] 全ての酵素に対して約90%以上の優れた抗酸化活性を示し、0.2mg/mLで最も優れた抗酸化活性を示した。
【0112】
[143]
[144] 1-7.酵素によるコラーゲンペプチドのしわ抑制活性の比較
[145]
【0113】
[146] ヒト線維芽細胞CCD-986skをDMEM、FBS 10%、ペニシリン-ストレプトマイシン1%メディアで24時間培養した。実施例3乃至6の各酵素別試料を1mg/mL濃度でメディアに入れメディア交替後、UVBを20分間照射し、24時間培養した。培養上澄み液をコーティングバッファーとインキュベートした後、washing buffer, blocking buffer処理した。その後、希釈した濃度別一次、二次のantibody処理後、それぞれ培養上澄み液を除去し、washing buffer処理した。最終的にpnPP(基質溶液)で暗室で1時間インキュベートして405nmでの吸光度を測定した結果をMMP-1発現抑制率に換算して下記の表7に示した。
[147]
【0114】
【0115】
[149]
[150] 前記表において、サブチリシン処理サンプルが他の酵素に比べて最も優れたMMP-1発現抑制率を示したことを確認した。
【0116】
[151]
[152] 実験例2:ヒトデ由来コラーゲンペプチド、豚皮コラーゲンペプチド、およびフィッシュコラーゲンペプチドの比較
【0117】
[153]
[154] 実験例1を通じて決定された抽出工程によって抽出されるヒトデ由来コラーゲンペプチドを、豚皮コラーゲンペプチドおよびフィッシュコラーゲンペプチドと比較するための実験を行った。
【0118】
[155] 実験に使用した豚皮コラーゲンペプチドおよびフィッシュコラーゲンペプチドは、それぞれ以下の表8に示す通りである。
[156]
【0119】
【0120】
[158]
[159] 2-1. コラーゲンペプチドの細胞毒性の比較
【0121】
[160] 前記実験例1~4と同様の方式で、MTTアッセイ細胞生存率試験を行った。ヒトデコラーゲンは実施例3のコラーゲンを使用した。 MTT細胞生存率の結果を以下の表9に示した。
[161]
【0122】
【0123】
[163]
[164] 前記表において、豚皮コラーゲン及びフィッシュコラーゲンの場合、0.4mg/mL以上の濃度で80%以下の細胞成長率を示したが、全般的に3つのコラーゲン試料とも大きな細胞毒性は見られなかった。
【0124】
[165]
[166] 2-2. コラーゲンペプチドの分子量の比較
【0125】
[167] 3種のコラーゲンペプチド分子量をGPC(Gel Permeation Chromatograph)により確認し、以下の表10に示した。
[168]
【0126】
【0127】
[170]
[171] ヒトデ由来のコラーゲンが豚皮およびフィッシュコラーゲンに比べてはるかに低い分子量を有することが確認された。
【0128】
[172]
[173] 2-3. コラーゲンペプチドの抗酸化活性の比較
【0129】
[174] 前記実験例1~6と同様の方式でDPPH抗酸化活性を分析し、下記の表11に示した。
[175]
【0130】
【0131】
[177]
[178] ヒトデコラーゲンは優れた抗酸化活性を示した反面、豚皮コラーゲンとフィッシュコラーゲンはいずれも抗酸化性を示さなかった。
【0132】
[179]
[180] 2-4. コラーゲンペプチドのしわ抑制活性の比較
【0133】
[181] 実験例1-7と同様の方式でMMP-1発現抑制率を分析し、以下の表12に示した。
[182]
【0134】
【0135】
[184]
[185] UVによる細胞のMMP-1の発現抑制率でしわ抑制活性を比較した結果、ヒトデ由来コラーゲンペプチドがフィッシュコラーゲンペプチドより約3倍高く、豚皮コラーゲンペプチドよりももっと高いMMP-1発現抑制率を示し、しわ抑制活性が著しく優れていることが確認できる。
【0136】
[186]
[187] 製造例2:コラーゲンペプチドを担材した弾性リポソーム製造
[188]
【0137】
[189] 以下の表13の製造比率に合わせて50mLの丸フラスコにリン脂質、界面活性剤、およびコラーゲンペプチドを入れ、20mLのエタノールに十分に溶解させた。 回転蒸発器を用いて溶媒を完全に除去した後、20mLの蒸留水を入れて十分に溶解させた。 弾性リポソーム粒子を均一化するために、30kHzの条件で15分間超音波処理して弾性リポソームを製造した。
[190]
【0138】
【0139】
[192]
[193] 実験例3:弾性リポソームの物性確認
[194]
【0140】
[195] 3-1. 弾性リポソームの担材効率
【0141】
[196] リン脂質をホスファチジルコリンとし、界面活性剤をカプリル酸ポリグリセリル-6(Polyglyceryl-6 Caprylate)およびカプリン酸ポリグリセリル-4(Polyglyceryl-4 Caprate、TEGO SOLVE 90, EVONIK社)とし、各組成比による担材効率を測定した。
【0142】
[197] 弾性リポソーム製造後、450nmのシリンジフィルターで濾過して担材されていないコラーゲンペプチドを分離し、精製した弾性リポソームを超遠心分離して破砕した後の担材していたコラーゲンペプチドをBCAAssayで定量した。 担材前の全コラーゲンペプチドのBCA Assay 定量値対比率を計算して担材効率を計算し、その結果を下記の表14に示した。
[198]
【0143】
【0144】
[200]
[201] 3-2. 弾性リポソームの粒径の比較
【0145】
[202] ヒトデ由来コラーゲンペプチドおよび弾性リポソームの粒径を測定し、以下の表15に示した。
[203]
【0146】
【0147】
[205]
[206] ヒトデ由来コラーゲンペプチドの場合、溶媒中で約1μmの粒径を示し、弾性リポソーム粒径は1μmを超えないnm単位であることが確認できた。
【0148】
[207] 全般的に、リン脂質含有量が増加するにつれて、粒径も増加する傾向があり、これは一定量以上のリン脂質が添加されるときに弾性リポソーム膜の厚さを増加させるためと判断される。
【0149】
[208]
[209] 3-3.弾性リポソームの皮膚吸収率の比較
【0150】
[210] 皮膚吸収率を比較するために、人工皮膚でコーティングされたアクセプタープレートの皮膚層を水和させた後、ドナープレートの各ウェルに該当サンプルを緩衝液と一緒に満たした。水和を完了したアクセプタープレートをバッファーで満たした後、ドナープレート上に載せてインキュベートした。その後、各プレートの吸光度をマイクロプレートリーダーで分析して皮膚透過度を測定した結果を以下の表16に示した。
[211]
【0151】
【0152】
[213]
[214] 前記表において、溶媒中で1μm程度の粒径を有するコラーゲン抽出物の場合、角質層での皮膚吸収がほとんどなく、皮膚吸収率は測定されなかった。
【0153】
[215] 一方、弾性リポソームで製造した試料の場合、比率によって様々な皮膚吸収率を見せ、これは粒径の傾向と多少類似していた。
【0154】
[216] したがって、量酸化時の工程経済性を考慮して、適切な比率でコラーゲン抽出物の担材効率および粒径を有し、最も優れた皮膚吸収率を示すEL1/0.1で弾性リポソームを製造することが好ましい。
【0155】
[217]
[218] 3-4.界面活性剤による担材効率分析
【0156】
[219] EL1/0.1の製造比率によって、下記の候補界面活性剤で弾性リポソームを製造し、担材効率、粒径、皮膚吸収率を比較した。製造された弾性リポソーム試料は、界面活性剤の種類に応じて以下のように命名する。
[220]
【0157】
【0158】
[222]
[223] 前記界面活性剤の種類による弾性リポソームの担材効率を実験例3-1と同様の方式で測定して下記の表18に示した。
[224]
【0159】
【0160】
[226]
[227] セテアリルグルコシド界面活性剤を用いたEL1/01-SF3弾性リポソームの担材効率が最も高いことが確認された。
【0161】
[228]
[229] 3-5. 界面活性剤による粒径分析
【0162】
[230] 前記界面活性剤の種類による弾性リポソームの粒径を測定し、以下の表19に示した。
[231]
【0163】
【0164】
[233]
[234] 前記表において、界面活性剤の種類によって大きな偏差なしに100nm台の粒径を有することが確認された。
【0165】
[235]
[236] 3-6. 界面活性剤による皮膚吸収率の分析
【0166】
[237] 前記界面活性剤の種類による弾性リポソームの皮膚吸収率を測定し、以下の表20に示した。
[238]
【0167】
【0168】
[240]
[241] 前記表において、大体に2000mg/cm2/h程度の皮膚吸収率を示したが、セテアリルグルコシド界面活性剤を用いたEL1/01-SF3弾性リポソームが、6455mg/cm2/hの皮膚吸収率で他の界面活性剤を使用した試料に比べて約3倍~5倍程度の非常に高い値を示した。
【0169】
[242]
[243] 実験例4:ヒトデ由来コラーゲンペプチド、豚皮コラーゲンペプチド及びフィッシュコラーゲンペプチドを担材した弾性リポソームの比較
[244]
【0170】
[245] 前記実験例3のEL1/0.1-SF3と同様の組成および界面活性剤を用いて、豚皮コラーゲンペプチドおよびフィッシュコラーゲンペプチドをそれぞれ担材した弾性リポソームを製造した。これに対する試料の名称は以下の表21のように命名した。
[246]
【0171】
【0172】
[248]
[249] 4-1. コラーゲンペプチドによる弾性リポソームの担材効率
【0173】
[250] コラーゲンペプチドの種類による弾性リポソームの担材効率を実験例3-1と同様の方式で測定して下記の表22に示した。
[251]
【0174】
【0175】
[253]
[254] ヒトデ由来コラーゲンペプチドの担材効率が6倍以上高いことが確認された。これはヒトデコラーゲンペプチドのアミノ酸配列に親水性基比率が約40%で、豚皮及びフィッシュコラーゲンペプチドよりも高く、弾性リポソームの形成がより容易に行われたためと判断される。
【0176】
[255]
[256] 4-2. コラーゲンペプチドによる弾性リポソームの粒径
【0177】
[257] コラーゲンペプチドの種類による弾性リポソームの粒径を測定し、以下の表23に示した。
[258]
【0178】
【0179】
[260]
[261] 弾性リポソームの粒径は、コラーゲンペプチドの種類による大きな偏差なしに100nmの粒径を示したが、EL-PoとEL-Fiの粒径がより小さく測定された。これは、担材効率データから考えると、担材物質なしで弾性リポソームが製造され、粒径が減少したと判断される。
【0180】
[262]
[263] 4-3. コラーゲンペプチドによる弾性リポソームの皮膚吸収率
【0181】
[264] コラーゲンペプチドの種類による弾性リポソームの皮膚吸収率を実験例3-3と同様の方式で測定し、下記の表24に示した。
[265]
【0182】
【0183】
[267]
[268] ヒトデ由来コラーゲンペプチドの皮膚吸収率が豚皮およびフィッシュコラーゲンペプチドに比べて非常に高いことと確認された。
【0184】
[269]
[270] 4-4. コラーゲンペプチドによる弾性リポソームの抗酸化活性
【0185】
[271] コラーゲンペプチドの種類による弾性リポソームのDPPH抗酸化活性を測定し、以下の表25に示した。
[272]
【0186】
【0187】
[274]
[275] 実験の結果、ヒトデ由来コラーゲンペプチドを担持した弾性リポソームは優れた抗酸化活性を示したが、豚皮およびフィッシュコラーゲンを担持した弾性リポソームは抗酸化活性を示さなかった。
【0188】
[276]
[277] 4-5. コラーゲンペプチドによる弾性リポソームの皮膚シワ抑制活性
【0189】
[278] コラーゲンペプチドの種類による弾性リポソームの皮膚シワ抑制活性を測定し、以下の表26に示した。
[279]
【0190】
【0191】
[281]
[282] 実験の結果、ヒトデ由来コラーゲンペプチドを担持した弾性リポソームは優れた皮膚シワ抑制活性を示したが、豚皮およびフィッシュコラーゲンを担持した弾性リポソームは皮膚シワ抑制活性がないか、または弱いことが確認された。
【0192】
[283]
[284] 実験例5:酵素の種類によるヒトデ由来コラーゲンペプチドの活性の確認
[285]
【0193】
[286] 実験例1において、サブチリシン、ペプシン、C-0130、及びトリプシンを酵素として得られたヒトデ由来コラーゲンペプチドの弾性リポソーム担材効率及び皮膚透過度を実験例3及び4と同様の方法で行い、豚皮コラーゲンペプチド及びフィッシュ コラーゲンペプチドに対する結果と比較し、これを以下の表27に示した。
[287]
【0194】
【0195】
[289]
[290] 前記の表から、酵素としてサブチリシンを使用した場合に最低分子量と優れた細胞生存率、しわ抑制活性、担材効率、および皮膚透過度を示すことが確認できた。さらに、ペプシン、コラゲナーゼ、およびトリプシンによって抽出されたヒトデ由来コラーゲンペプチドも依然として豚皮およびティラピア(フィッシュ)コラーゲンペプチドに比べて著しく優れた抗酸化性、担材効率、および皮膚透過度を示すことが確認できる。
【0196】
[291] 特に、4つの酵素の中で最も担材効率が低いC-0130の場合もフィッシュコラーゲンペプチドに比べて約3.8倍以上の担材効率を示し、さらに優れた皮膚透過度を示した。
【0197】
[292] これらの違いは、単に分解酵素の種類による分子量によるものではなく、ヒトデ由来コラーゲンペプチドが、豚皮またはフィッシュコラーゲンペプチドに比べて親水性アミノ酸を多量に含有しているためであると把握される。
【0198】
[293]
[294] 以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者は、本発明がその技術的思想や必須特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解することができるだろう。これに関して、前記で説明した実施形態は、あらゆる点で例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。本発明の範囲は、前記の詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその等価概念から導出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれることと解釈されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を含むヒトデ由来コラーゲンペプチドの製造方法:
(a)ヒトデをアルカリ溶液で処理して非コラーゲン物質を除去する段階、
(b)前記非コラーゲン物質が除去されたヒトデを、酒石酸(tartaric acid)、アスコルビン酸(ascorbic acid)、およびクエン酸(citric acid)のうち1種以上の酸化合物を含む酸溶液に添加してコラーゲンを抽出する段階、
(c)前記コラーゲンが抽出された溶液にタンパク質分解酵素を加えて加水分解する段階、及び
(d)前記溶液からコラーゲンペプチドを分離する段階。
【請求項2】
前記酸溶液が酸化合物を0.05~0.5重量%含むことを特徴とする、
請求項1に記載のヒトデ由来コラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項3】
前記酵素が、サブチリシン(Subtilisin)、ペプシン(Pepsin)、コラゲナーゼ(Collagenase)、およびトリプシン(trypsin)のうち1種以上であることを特徴とする、
請求項1に記載のヒトデ由来コラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項4】
前記コラーゲンペプチドが1550~1700Daの分子量を有することを特徴とする、
請求項1に記載のヒトデ由来コラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項5】
リン脂質(phospholipids)および界面活性剤を含むリン脂質層、及び前記リン脂質層の内部に担持されるヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む、
弾性リポソーム。
【請求項6】
前記ヒトデ由来コラーゲンペプチドが30%以上の親水性アミノ酸を含む、
請求項5に記載の弾性リポソーム。
【請求項7】
前記界面活性剤がグルコシド系、スクロース系またはグリセリル系界面活性剤であることを特徴とする、
請求項5に記載の弾性リポソーム。
【請求項8】
前記弾性リポソームの粒径が50~600nmであることを特徴とする、
請求項
5に記載の弾性リポソーム。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法で製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む、
抗酸化用化粧料組成物。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法で製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む、
皮膚シワ改善用化粧料組成物。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法で製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む弾性リポソームを含む、
抗酸化用化粧料組成物。
【請求項12】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法で製造されたヒトデ由来コラーゲンペプチドを含む弾性リポソームを含む、
皮膚シワ改善用化粧料組成物。
【国際調査報告】