(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-11
(54)【発明の名称】治療デバイスおよびウェルネスデバイスにおけるカンナビノイドの使用
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552443
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 IB2021051983
(87)【国際公開番号】W WO2021181296
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512069599
【氏名又は名称】ジェイケイ-ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ゲルステンマイヤー, ユルゲン
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA01
4C082PA02
4C082PA03
4C082PC01
4C082PC09
4C082PC10
4C082PE10
4C082PJ24
4C082PL05
(57)【要約】
本発明は、人体をエネルギーに曝露するためのデバイスに関する。デバイスは、曝露エリアを画定する接触面2であって、当該曝露エリアにおいて、エネルギーのカバーエリア内に人体を配置することができる、接触面2を含む。そのデバイスはまた、曝露エリアに本質的に向けられたエネルギーを放出する、少なくとも1つの手段と、少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を生成する、少なくとも1つの手段と、を含む。本発明のデバイスは、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアに送る、少なくとも1つの手段をさらに含む。本発明はさらに、そのようなデバイスの動作させるための方法、およびまた、記載されたデバイスにおける少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物の使用に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体をエネルギーに曝露するためのデバイスであって、
a.曝露エリアを画定する接触面(2)であって、前記曝露エリアにおいて、前記エネルギーのカバーエリア内に人体を配置することができる、接触面(2)と、
b.前記曝露エリアに本質的に向けられた前記エネルギーを放出する、少なくとも1つの手段と、
少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を生成する、少なくとも1つの手段と、
有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む前記蒸気混合物を、前記人体の呼吸器系への開口部を囲むエリア(A)に送る、少なくとも1つの手段と、
を備える、人体をエネルギーに曝露するためのデバイス。
【請求項2】
前記曝露エリアに本質的に向けられた前記エネルギーを放出する前記手段が、電磁エネルギー、特に放射エネルギーを放出するように設計された、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記曝露エリアに本質的に向けられた前記エネルギーを放出する前記手段が、運動エネルギー、特に方向付けられた流体のジェットを放出するように設計された、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
蒸気混合物を生成する前記手段が、気化器である、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を、前記人体の呼吸器系への開口部を囲むエリア(A)に送る前記手段が、前記人体の呼吸器系への開口部を囲むエリア(A)において、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを蒸気混合物中で生成して維持するのに適した、保持フード(1)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記保持フードが、電磁波、特に380nm~1100nmの波長領域の電磁波に対して透明であるように設計された、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
少なくとも1種のカンナビノイドを含む気化剤のための貯蔵タンクと、規定の量の前記少なくとも1種のカンナビノイド形態を含む蒸気混合物が生成されるように、規定の量の気化剤を加熱するための加熱要素と、を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記人体の呼吸器系への開口部を囲むエリア(A)において空気流、特に有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む前記蒸気混合物を保持フード(1)から取り出すための空気流を生成するための少なくとも1つのファンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
特に、前記エネルギーの前記カバーエリアにおいて前記人体の少なくとも1つの光電測定可能な生理学的パラメータを決定するための、少なくとも1つの光電センサを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
特に抵抗の測定のための、少なくとも1つのバイオエレクトロニクスセンサを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を、前記人体の呼吸器系への開口部を囲むエリア(A)に送る前記手段が、保持フードの外側で生成された蒸気混合物を前記フード内に供給する入口開口部を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を、前記人体の呼吸器系への開口部を囲むエリア(A)に送る前記手段が、出口開口部、特に吸引デバイスに接続される出口開口部を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイスを動作させるための方法であって、
a.請求項1~12のいずれか一項に記載の、人体をエネルギーに曝露するためのデバイスを用意するステップと、
b.少なくとも1種の気化可能な薬草医薬物質を含む、特に少なくとも1種のカンナビノイドを含む、気化剤を用意するステップと、
c.有効量の前記少なくとも1種の薬草医薬物質を含む蒸気混合物、特に有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物の形成をもたらすように、前記気化剤を気化させるステップと、
d.特に前記有効量の少なくとも1種のカンナビノイドが保持手段の内側に形成されるように、前記蒸気混合物を前記人体の呼吸器系への開口部を囲むエリア(A)に送るステップと、
を含む方法。
【請求項14】
前記デバイスが、制御装置を含み、前記蒸気混合物を生成する前記手段の、および前記曝露エリアに本質的に向けられた前記エネルギーを放出する前記手段の、動作パラメータが、調節および/または制御される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記デバイスが、少なくとも1つのセンサを含み、前記方法が、
a.前記制御装置が、前記センサによって決定された測定データを受信するステップと、
b.1つ以上の動作パラメータに関して、前記測定データを評価するステップと、
c.前記評価を、前記1つ以上の動作パラメータを調節するための1つ以上の制御信号に変換するステップと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
人体をエネルギーに曝露するためのデバイスにおける少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物の使用であって、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物が、前記人体の呼吸器系への開口部を囲むエリア(A)に送られる、使用。
【請求項17】
前記人体の呼吸器系への開口部を囲むエリア(A)において、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを蒸気混合物中で生成して維持するのに適した、保持フードが用意される、請求項16に記載の、少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物の使用。
【請求項18】
前記エネルギーが、電磁エネルギーを含み、特に放射エネルギーを含む、請求項16または17に記載の、少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物の使用。
【請求項19】
前記エネルギーが、運動エネルギーを含み、特に方向付けられた流体のジェットを含む、請求項16または17に記載の、少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、すべての場合において独立請求項の前文に従う、人体をエネルギーに曝露するためのデバイス、およびそのようなデバイスの動作させるための方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、同様に独立請求項の前文に従う、人体をエネルギーに曝露するためのデバイスにおける少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
カンナビノイドおよびその合成類似体は、主に大麻植物(アサ科)の抽出物から得ることができる、薬学的に活性な二次物質である。ほとんどのカンナビノイドは、中枢神経系に作用しとりわけ鎮痛効果に関連する、様々に向精神性の物質である。今日では、神経障害性および炎症関連の痛みの軽減に使用されるカンナビノイド含有薬草医薬物質の使用が、医学的に広く受け入れられている。数多くの研究は、他の可能性のある適応を示しており、当該適応は、現在集中的に研究されており、例えば、カンナビノイドは、とりわけ次の症状の軽減のために考慮されている。痙性の愁訴の軽減、腸の自動運動性の改善、制吐効果、眼内圧の減少、ならびに不安障害などの心理的障害および心身症の治療における数多くの補助の効果。
【0004】
これらの治療的使用のためのカンナビスベースの医薬品の認可は、増加し続けている。ほとんどの国では、カンナビノイドは、処方箋に基づいてのみ入手可能であり、医療行為における使用のための承認は特に、多発性硬化症もしくは他の神経学的状態によってトリガされ得るものなどの、痙縮および発作における、神経障害性の痛みもしくは癌の痛みなどの、慢性の痛み状態の治療のために、または化学療法に関連する悪心および食欲低下を治療するために与えられている。医学的使用と並行して、レクリエーション物質としてのテトラヒドロカンナビノール含有量が減らさたカンナビス製品の摂取の漸進的な自由化は、西洋社会において一般的に、カンナビノイドの受入れの増大につながった。
【0005】
ウェルネスデバイスの使用は、患者の重大な副作用に関連する可能性がある治療手段に付随するものとして、一般的な慣行である。そのようなデバイスは、ストレス状態によって引き起こされる愁訴を軽減するために、またはリラクゼーションを促進するための手段によって少なくとも1つの有益な効果が達成され得る場合に、同様に使用される。例えば、マッサージおよび光治療は、ストレスを取り除くことができ、循環を改善することができ、有益な心身相関の効果を通して、回復を促すリラクゼーション過程への道筋をつけることができる。
【0006】
適切なデバイスは、例えば、例えば日光への曝露の減少が招く患者の季節的な気分変化を解消するために、与える量の光および/またはUVエネルギーを放出する、光治療装置またはソラリウムであり得る。緊張を取り除くための治療、および鎮痙治療は、同様に、閉鎖された水のジェットによって体の一部を選択的にマッサージすることができる、マッサージ装置、例えば乾式マッサージ装置によって選択的に補助されることができる。
【0007】
したがって、心身症的な愁訴の軽減における補助として、または治療手段における補助としての両方において適した、そのような治療デバイスまたはウェルネスデバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明の目的は、従来技術における少なくとも1つの不利点を克服することである。
【0009】
特に、本発明の目的は、治療処置および/またはウェルネス治療を実行するのに適した、導入部で述べた種類のデバイスを提供することである。そのような目的のために、デバイスは、好ましくは使用中に安全であるべきでかつ治療パラメータを正確に与えることを可能にすべきである。
【0010】
さらに、本発明の目的は、本発明のデバイスの動作のための、適切な方法を提供すること、および少なくとも1つの薬草医薬物質を含む蒸気混合物の前記デバイスにおける使用を提供することである。
【0011】
これらの目的のうちの少なくとも1つは、独立請求項の特徴によって達成される。
【0012】
本発明の一態様は、人体をエネルギーに曝露するためのデバイスに関する。デバイスは、曝露エリアを画定する接触面を含む。人体は、エネルギーのカバーエリア内にあるように、この曝露エリアに配置することができる。
【0013】
デバイスはまた、曝露エリアに本質的に向けられたエネルギーを放出する少なくとも1つの手段を含む。追加的に、デバイスは、少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を生成する、少なくとも1つの手段を含む。
【0014】
追加的に、本発明のデバイスは、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアに送る少なくとも1つの手段を含む。
【0015】
本発明の目的のために、適切なカンナビノイドは、カンナビス植物の引用される植物の科、特に大麻またはインド大麻から天然に抽出できるものだけでなく、例えばカンナビジオールからテトラヒドロカンナビノールへの、適切な前駆体の異性化によって得る類似体、および合成的に生産されるものも意味すると理解することができる。最もよく知られているカンナビノイドは、抽出によって大麻植物から得ることができる、Δ9-テトラヒドロカンナビノールである。抽出の方法は、当業者に知られている。
【0016】
本発明の目的のために、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアは、例えば人体の頭領域、少なくとも鼻および口を囲むエリアとすることができる。
【0017】
本発明の目的のために、接触面は、設計上本質的に水平な、横たわる面とすることができる。関係する人体が座るおよび/またはもたれることができる、座席または背もたれを含む接触面も同様に可能である。特定の一実施形態では、接触面は、床板または起立面であり、人は、その人がエネルギーのカバーエリア内にいるように、当該起立面上で曝露エリア内に起立することができる。
【0018】
本発明の目的のために、有効量は、統計的に妥当な割合の人々において所望の薬理学的効果を達成する、蒸気混合物中の活性物質、特にカンナビノイドの用量を意味すると理解することができる。所望の薬理学的効果は、達成されるための治療成果に従って、当業者が決定することができる。例えば、例えばウェルネス治療の場面でレクリエーションの目的で使用される本発明のデバイスにおける、有効量は、例えばちょうど筋肉のリラクゼーションまたは快い安寧の感じが達成されることとなるように、適切に低く設定される。医学的/治療的使用では、達成されるための治療意図に関して、有効量を選択することができる。例えば、異なるカンナビノイドについての有効量は、薬理学的効果によって異なり得る。対応する有効量は、法的なガイドライン、および薬局方(とりわけスイス薬局方または欧州薬局方を参照されたい)によって規定されるガイドラインにおいて示される。最も良好に研究されたカンナビノイド、例えばTHCについては、錠剤形態で毎日投与される、1日当たり5mg~60mgの範囲内の有効量が明記されている。例えば緑内障の処置のための、液体形態で投与される医薬品の場合、例えば1~7%の、THC濃度が、1回用量の毎日の治療のために想定される。
【0019】
特定の一実施形態では、有効量は、0.1体積%~1体積%のTHC含有量および10%~20%体積のカンナビジオール含有量を有する、油性の気化剤に基づいて調整することができる。
【0020】
特定の一実施形態では、特に有効量が、蒸気混合物中の気化剤の、36%~61%のカンナビノイド含有量であるとき、有効量は、気化剤中のカンナビノイドの量によって調整することができる。例えば、動作中、有効量として蒸気混合物中で利用可能な気化剤からのカンナビノイドの割合は、温度に基づいて、ならびに例えば伝導、対流および/または音波処理によって蒸気混合物が生成される態様に基づいて、当業者によって調整可能であろう。
【0021】
本発明の特定の一実施形態では、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアは、画定されたエリアである。この画定されたエリアは、例えば特定のボリュームを含むことができる。したがって、この画定されたボリュームに基づいて、所望の効果に関して、ユーザが適切な有効量を調整することが可能である。例えば、呼吸器系への開口部を囲むエリア内での蒸気混合物の吸入によって適切な有効量を達成することが可能であることを保証する、規定の雰囲気を蒸気混合物によって確立することが可能である。これは、本発明のデバイスの安全性を高めることができ、特に、望まれない副作用、例えば向精神性の効果を防止することができる。
【0022】
治療上安全でありかつエネルギーへの曝露の有益な効果を薬草医薬物質による治療と相乗的に組み合わせるものであり、かつ特に有効量のカンナビノイドを含む蒸気混合物によって治療効果および/またはウェルネス効果を最適に促進することができる、導入部で述べた通りのデバイスが本発明の達成によって提供される。例えば望まれない向精神性の副作用をもたらす過量投与、または所望の治療効果を達成しない過少量投与を防止する、適切な有効量の安全な投与を行うことが、特に呼吸器系への開口部を囲む画定されたエリアを確立することによって、可能である。
【0023】
特定の一実施形態では、曝露エリアに本質的に向けられたエネルギーを放出する手段は、電磁エネルギーを放出するように設計される。
【0024】
特に好ましくは、電磁エネルギーは、放射エネルギーである。非常に特に好ましくは、放射エネルギーは、UV放射である。
【0025】
特に好ましい特定の一実施形態では、曝露エリアに本質的に向けられたエネルギーを放出する手段は、光源である。光源は、特定の色のスペクトルの反射のために整えられてもよい。これは、適切なフィルタを光源に装備することによって達成されてもよい。
【0026】
特に好ましくは、光源は、可視スペクトルの光を放出することができる。このスペクトルは、約400nm~約1100nmの範囲、特に約400nm~約750nmの範囲を含んでもよい。
【0027】
特に好ましい一実施形態では、光源は、有害なUV放射を吸収および/または反射する、フィルタを含む。380nm未満の領域のUV放射は、特に、健康に有害であり得る。
【0028】
特に好ましくは、光源は、200~380nmの範囲のUV放射を反射および/または吸収するように設計される。
【0029】
特に好ましい一実施形態では、光源は、ソラリウムランプである。ソラリウムは、UV光への曝露によって、美容上の理由で例えば皮膚の日焼けを達成すること、または有益なウェルネス効果を達成することを意図した、ウェルネス装置として広く使用される。医学において、ソラリウムは、特定の皮膚疾患を治療するために使用される。
【0030】
特定の一実施形態では、接触面は、横たわっている間のUV光への曝露のための、ソラリウムユニットの横たわっている面である。
【0031】
さらなる特定の一実施形態では、接触面は、起立している間のUV光への曝露のための、起立ソラリウムの起立エリアである。
【0032】
特に好ましい一実施形態では、光源は、LEDベースのUV放射源である。
【0033】
ソラリウムは、季節的な気分変化を治療すること、特に光への曝露が不十分であることによって引き起こされる気分変化を軽減しまたは完全に解消することが示されている。この治療は、本発明のデバイスによって、および治療中に呼吸器系への開口部を囲むエリア内に有効量のカンナビノイドを生成することによって、さらに改善することができる。これは、例えば全体的な治療時間を短縮することができ、それは、体への放射の量を低減するために全体的に役立ち得る。
【0034】
特定の一実施形態では、曝露エリアに本質的に向けられたエネルギーを放出する手段は、運動エネルギーを放出するように設計される。特に好ましくは、手段は、方向付けられた流体のジェットを放出するように設計される。
【0035】
特定の一実施形態では、曝露エリアに本質的に向けられたエネルギーを放出する手段は、曝露エリアにおいて流体のジェット、特に水のジェットを放出するように設計された、ジェットノズルである。そのようなジェットノズルは、とりわけ標的を狙った態様で、したがって穏やかな態様で筋肉の緊張を解消する、ユーザである。これは、例えば、ノズルによって、体の部分に、規定の強度の、標的を狙った水のジェットを向けることによって行われる。乾式状態での水のジェットによる治療を可能にするデバイスも知られている。
【0036】
水のジェットによる乾式マッサージのためのデバイス(独国実用新案出願公開第202019105636号明細書)は、1つのそのような乾式マッサージデバイスであって、エネルギーのカバーエリア内の体が水のジェットによって濡れないように、当該乾式マッサージデバイス内に防水カバーが設計された、乾式マッサージデバイスを含む。言い換えると、水は、不透水性の膜によって密閉保持される。
【0037】
本発明の特定の一実施形態では、蒸気混合物を生成する手段は、気化器である。
【0038】
本発明の目的のために、気化器は、活性物質の気化のための装置を意味すると理解することができる。そのような装置は、活性物質を穏やかに、言い換えると例えばそれら活性物質が気化する必要な程度だけ、加熱することを可能にする。したがって、活性物質の酸化を防止することができる。タバコ、カンナビス、または他の薬草などの、レクリエーション物質を摂取するための気化器が知られている。気化器は、例えば麻酔の分野において、麻酔の規定の有効量の活性物質を生成してそれら有効量を人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアに送るために、医学から同様に知られている。蒸気混合物は、所定の量の活性物質を含む、組成物を使用して生成することができる。気化およびフィードバックのための動作パラメータを、例えば人体の呼吸器系への開口部を囲む画定されたエリアに対して、調整することによって適切な有効量を設定することが可能である。活性物質に加えて、組成物は、賦形剤、例えばプロピレングリコールまたはグリセロールを含んでもよい。カンナビノイドに加えて、本発明に従って使用され得る組成物はまた、気化に適した他の薬草医薬物質、特にライオンズテール(Leonotis leonurus)、アヤフアスカ(Banisteriopsis caapi)、バレリアン(Valeriana officinalis)、ブルーロータス(Nymphaea caerulea)、ダミアナ(Turnera diffusa)、ユーカリ(Eucalyptus globulus)、フライアガリック(Amanita muscaria)、ホップ(Humulus lupulus)、アイスランドゴケ(Cetraria islandica)、セント・ジョーンズ・ワート(Hypericum perforatum)、カモミール(Chamomilla recutita)、クラトム(Mitragyna speciosa)、ラベンダー(Lavandula spp.)、パープルパッションフラワー(Passiflora incarnata)、ペパーミント(Mentha×piperita)、セージ(Salvia officinalis)、ヤロウ(Achillea spp.)、シニクイチ(Heimia salicifolia)、ワイルドルー(Peganum harmala)、タイム(Thymus vulgaris)、セージオブザディバイナ(Salvia divinorum)、ヨヒンベ(Pausinystalia yohimbe)、およびレモンバーム(Melissa officinalis)からなる群から選択される薬草医薬物質を含んでもよい。
【0039】
特に好ましくは、組成物は、カンナビノイドΔ9-テトラヒドロカンナビノール(C21H30O2)を含む。適切な組成物は、例えば、1体積%~2体積%の量のTHCを含有する薬学的に入手可能なドロナビノールを使用して得ることができる。
【0040】
本発明の特定の一実施形態では、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアに送る手段は、保持手段、特に好ましくは保持フードを含む。
【0041】
保持フードは、好ましくは、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアにおいて、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを蒸気混合物中で生成して維持するのに適している。特に好ましくは、保持フードは、規定のボリュームと共に設計される。非常に特に好ましくは、保持フードは、人体の呼吸器系への開口部が保持フード内に完全に収容されるように、エネルギーのカバーエリア内に配置される。好ましい一実施形態では、保持フードは完全には閉鎖せず、その結果、外側の環境とのガス交換が起きることが可能である。保持フードは、蒸気混合物を含む雰囲気が、人体の呼吸器系への開口部の周りに形成されることができるけれども、しかし鼻を通して人体が息を吐くことが、呼吸によって吐き出される空気を保持フードの外側に送るように、好ましくは設計される。特に好ましくは、保持フードは、人の頭の冠領域で閉鎖されており、かつあご先領域で開放されており、その結果、息を吐くことが、吐き出される空気を保持フードの外側に送る。
【0042】
特定の一実施形態では、保持フードは、内側をコーティングされている。あり得るコーティングは、ナノテクスチャ、例えば、保持フードの曇りを防止するロータス効果を生成するためのナノテクスチャであろう。
【0043】
そのような設計の保持フードは、放射エネルギーであって、保持フードを通過し、次いで当該放射エネルギーに体が曝露される、放射エネルギーに悪影響を及ぼさないのが有効である。そのような保持フードは、例えばソラリウムであって、ユーザの頭に対する日焼け効果がそのソラリウムによって制限されることがないソラリウムにおける使用を見出すことができる。
【0044】
さらに驚くことに、カンナビノイドおよび特にTHC((-)-Δ9-トランス-テトラヒドロカンナビノール)の化学構造に関係なく、UV放射へのあり得る曝露は、曝露期間中にカンナビノイドの蒸気混合物中でのいかなる分解ももたらさないことが見出されている。
【0045】
適切な曝露期間は、1分~30分、特に5~15分、非常に特に好ましくは約8分であり得る。
【0046】
特定の一実施形態では、保持フードは、電磁波に対して本質的に透明であるように設計される。特に好ましくは、その保持フードは、380nm~1100nm、さらに特に380nm~750nmの波長領域の電磁波に対して透明である。この目的のために、保持フードは、例えばUV透明なポリメチルメタクリラート(plexiglas)から、作られることができる。特に好ましくは、少なくとも人体と曝露エリアに本質的に向けられたエネルギーを放出する手段との間で曝露エリア内に横たわるエリアは、電磁波に対して本質的に透明な材料から形成される。
【0047】
特定の一実施形態では、保持フードは、人体をエネルギーに曝露するためのデバイスの一体的な部分である。例えば、保持フードは、ソラリウムの場合、蓋要素の一部とすることができる。蓋要素は、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリア、および曝露エリアを少なくとも1つの接触面と共に画定する、ソラリウムの可動部分とすることができる。起立ソラリウムの場合、2つの蓋要素を設けることが可能である。
【0048】
特定の一実施形態では、人体をエネルギーに曝露するためのデバイスは、接触面として横たわる面を有するソラリウムであり、保持フードは、450dm3~1000dm3、好ましくは580dm3~800dm3のボリュームが画定されるように、蓋要素の一体的な部分とする。このボリュームは、好ましくは、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアである。
【0049】
特定の一実施形態では、人体をエネルギーに曝露するためのデバイスは、接触面として起立エリアを有するソラリウムであり、保持フードは、1000dm3~2000dm3、好ましくは約1100dm3のボリュームが画定されるように、少なくとも2つの蓋要素の、一体的な部分とする。このボリュームは、好ましくは、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアである。
【0050】
多くのソラリウムユニットは、光への曝露のカバーエリアに入ることが可能であるように、閉鎖可能であるように設計され、カバーエリアは、少なくとも1つの接触面と共に1つ以上の蓋要素によって画定される。このタイプのソラリウムユニットは、内部ボリューム全体が、結果として、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアと考えることができてかつ適切な蒸気混合物で満たすことができるように、閉鎖可能であるように設計することができる。
【0051】
特定の一実施形態では、保持フードは、200dm3~400dm3、好ましくは250dm3~350dm3、より好ましくは約275dm3のボリュームを画定する。このボリュームは、好ましくは、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアである。
【0052】
保持フードは、さらなる一実施形態において、その保持フードが開放状態から閉鎖状態に転換可能となるように、ピボット軸受を装備されることができる。
【0053】
特定の一実施形態では、保持フードは、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアからの、蒸気混合物の逃げを本質的に防止するように設計される。この目的のために、保持フードには、蒸気の逃げを防止することまたは逃げつつある蒸気混合物を吸引することがそれぞれできる、吸引開口部またはブロワが設けられてもよい。設計上本質的に円錐状の保持フードが、同様に可能であり、当該保持フードにおいて、蒸気混合物は、周囲空気と比較して比較的より高い温度の結果として、円錐の先端に集まる。治療の終わりに、保持フードを例えば吸引することができる。
【0054】
特定の一実施形態では、本発明のデバイスは、少なくとも1種のカンナビノイドを含む気化剤のための貯蔵タンクを含む。
【0055】
さらなる特定の一実施形態では、デバイスは、規定の量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を形成することができるように、規定の量の気化剤を加熱するための加熱要素を含む。
【0056】
特定の一実施形態では、加熱要素は、それが気化剤に直接作用するように、設計されてもよい。代替的および/または追加的に、加熱要素は、それが気化剤に間接的に作用するように、設計されてもよい。
【0057】
特定の一実施形態では、加熱要素は、伝導によって気化剤を加熱するように設計される。
【0058】
追加および/または代替の一実施形態では、加熱要素は、対流によって気化剤を加熱するように設計される。
【0059】
代替および/または追加の一実施形態では、規定の量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物の生成は、加熱することなしに行われる。これは、例えば空気流を適切なカンナビノイドを含む飽和雰囲気と混合することによって、達成することができる。代替的および/または追加的に、蒸気混合物を生成するために超音波ネブライザが設けられてもよい。
【0060】
特定の一実施形態では、少なくとも1種のカンナビノイドを含む、気化剤は、少なくとも1種のカンナビノイドを含む、吸入投与形態のために適切な固体または液体ベースの組成物である。適切な固体または液体ベースの気化剤は、知られている。カンナビノイドの気化は、液相から直接、または昇華によってベースから直接行うことができる。
【0061】
特定の一実施形態では、加熱要素は、蒸気混合物の生成のために100℃~235℃の温度範囲を達成するように設計される。特に好ましくは、加熱要素は、165℃~200℃、非常に特に好ましくは約200℃の温度範囲用に設計される。
【0062】
特定の一実施形態では、気化剤は、活性物質/薬草医薬物質/カンナビノイドの他に、追加の賦形剤を含む。
【0063】
特定の一実施形態では、これらの賦形剤は、プロピレングリコール、グリセロール、水、デキスパンテノール、他の芳香族および/もしくは非芳香族油、芳香、または気化剤の粘性を調節する物質からなる群から選択される賦形剤である。
【0064】
特定の一実施形態では、デバイスは、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアにおいて空気流を生成するための少なくとも1つのファンを含む。特に好ましくは、空気流は、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を保持フードから取り出すように設計される。この実施形態では、ファンは、呼吸器系への開口部を囲むエリア、特に保持フード内に新鮮空気を供給するのに役立ち得る。
【0065】
代替的および/または追加的に、ファンは、治療セッションおよび/またはウェルネスセッションの終わりに、保持フード、および呼吸器系への開口部を囲むエリアから、少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を取り除くように設計されてもよい。治療時間を超過しないこと、および有効量が特定の規定の期間にわたってのみ投与されることを、そのような除去によって保証することができる。この期間は、特に好ましくは、エネルギーへの曝露と同期させられることができる。したがって、治療セッションおよび/またはウェルネスセッションは、それに応じて、水のジェットによる乾式マッサージまたはUV放射による照射などの、エネルギーへの曝露と、カンナビノイドの所望の治療的使用との相乗作用から最善の利益を得ることができる。
【0066】
特定の一実施形態では、本発明のデバイスは、少なくとも1つの光電センサを含む。特に好ましくは、この光電センサは、エネルギーのカバーエリアにおいて人体の少なくとも1つの光電測定可能な生理学的パラメータを決定するように設計される。例えば、光電センサは、光パルス測定用のセンサであってもよい。代替的および/または追加的に、光電センサはまた、例えば吸収されるUV放射の量またはこのUV放射の強度を測定する、UVセンサであってもよい。
【0067】
特定の一実施形態では、センサは、デバイスの動作パラメータを制御するように設計され得る。これにより、例えば治療期間にわたるデバイスの個々のパラメータの制御および調節が、可能になる。例えば、保持フードと、有効量のカンナビノイドを含む蒸気混合物を生成するためのデバイスとを装備された乾式マッサージデバイスにおいて、所望の治療効果は、例えば表面組織内の特定の標的の血流に基づいて、調整することができる。適切な有効量は、適切な目標値を達成するために、その有効量がマッサージベッドを通じた運動エネルギーへの曝露と適切に整合するように、可変的に設定され、当該適切な目標値は、光電センサによって測定され、マッサージノズルの、および/または人体の呼吸器系への開口部を囲むエリア内に蒸気混合物を生成する手段の、直接制御を通じて制御ユニットを介して調整される。
【0068】
特定の一実施形態では、本発明のデバイスは、蒸気混合物を生成する手段および曝露エリアに本質的に向けられたエネルギーを放出する手段の、動作パラメータを調節および/または制御する、制御装置を含む。この制御ユニットは、センサ、例えば上記の光電センサから測定データを受信し、およびこれらのデータを評価してそれらデータを適切な制御信号に変換するように、さらに設計され得、ここで、所望の効果は、当該制御信号によって達成されることとなる。
【0069】
特定の一実施形態では、本発明のデバイスは、バイオエレクトロニクスセンサである。特に好ましくは、バイオエレクトロニクスセンサは、抵抗の測定に適したセンサである。この種のセンサは、体内の抵抗の測定、例えば呼吸数および/または体脂肪率の測定に、既に使用されている。
【0070】
特定の一実施形態では、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアに送る手段は、保持フードの外側で生成された蒸気混合物を保持フードの内部に供給する入口開口部を含む。
【0071】
特定の一実施形態では、保持フードは、設計上本質的にカップ形状であり、その結果、その保持フードは、本発明のデバイスによる治療を受けている人体の頭および/または上半身の少なくとも一部を、少なくとも部分的に取り囲むのに適している。特に好ましくは、保持フードは、特定の期間にわたって有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む適切な雰囲気を保持するのに適した、容器として設計される。
【0072】
特定の一実施形態では、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアに送る手段は、少なくとも1つの出口開口部を含む。特に好ましくは、出口開口部は、吸引デバイスに接続される。出口開口部は、適切な雰囲気を排気するように設計されてもよい。出口開口部がまた、例えば出口開口部とファンとの間のホース接続の存在によって、上記でさらに述べたようにファンに動作可能に接続されることを、これは含んでもよい。
【0073】
本発明のさらなる態様は、記載されたデバイスの動作させるための方法に関する。方法は、人体をエネルギーに曝露するためのデバイスを用意するステップを含む。特に好ましくは、デバイスは、上記の本発明のデバイスの特徴の、相互排他的でない任意の組合せを有するものである。追加的に、少なくとも1つの気化可能な薬草医薬物質を含む、気化剤が用意される。特に好ましくは、薬草医薬物質は、カンナビノイドである。方法は、有効量の少なくとも1種の薬草医薬物質を含む蒸気混合物の形成をもたらすように気化剤を気化させるステップを、さらに含む。特に好ましくは、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物が形成される。
【0074】
蒸気混合物は、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアに送られる。これは、例えば、生成された蒸気混合物を曝露エリアの一部に供給する、適切なホース接続および/または入口開口部を設けることによって達成することができ、ここで、人体の呼吸器系への開口部は、当該曝露エリア内に配置される。特に好ましくは、蒸気混合物はこのようにして、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドが保持手段の内側に形成されるように、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアに送られる。特に好ましくは、保持手段は、保持フードである。
【0075】
本発明の方法は、デバイスによって生成される曝露ルーチンにおいて気化剤の気化を調節、制御および/または調整するステップを、さらに含んでもよい。
【0076】
本発明の方法において、例えば特定のパラメータの測定または検出の、提供もあり得る。例えば、有効量を調節するために、例えば所与の生理学的状態を使用してもよい。特定の一実施形態では、有効量は、許容範囲を表す特定の範囲内で規定することができ、ここで所与の生理学的値は、当該許容範囲内で達成されることとなる。例えば、蒸気混合物には、例えば有効量のカンナビノイドを提供してもよく、前記有効量は、5mg~15mgのTHCを含む。有効量における正確な量は、センサによって測定され制御ユニットに信号伝達される、所与の生理学的パラメータに依存するようにされる。生理学的パラメータが達成されている場合、有効量は、増加させられない。デバイスは、この特定の例では、段階的に有効量を増加させるように設計され得る。特定の例では、これは、この形態において所望の有効量に到達するために必要である限り/達成されるための生理学的パラメータをセンサが制御ユニットに信号伝達するまで、気化剤の対流加熱のために提供される作用物が、気化剤への空気流をバイパスすることを意味し得る。有効量のさらなる増加を防止するために、例えばバイパスを設けることができ、この場合、当該バイパスにおいて空気流は、気化剤を通り越してもはや供給されず、したがってさらなるTHCは、気道を囲むエリア、すなわち特定の例における保持フードに到達しない。
【0077】
本発明のさらなる態様は、人体をエネルギーに曝露するためのデバイスにおける少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物の使用に関する。これは、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアに送ることによって達成される。
【0078】
人体をエネルギーに曝露するためのデバイスと、少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物の使用との間に相乗的な効果があることが見出されている。ウェルネス治療において、特に、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリア内の低用量のカンナビノイド濃度は、高められたリラクゼーション効果、および人の全体的な安寧の増強を達成することができる。
【0079】
本発明はさらに、医学治療の部門にも適している。治療の範囲は、副作用および痛みの軽減のための治療方法から、心身症的な愁訴の改善まで及び得る。
【0080】
特定の一実施形態では、本発明による使用は、心身症的な愁訴を軽減しおよび全体的な安寧を増強するために、人を光に曝露することと共に、蒸気混合物の形態の有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを使用することを含む。
【0081】
さらなる一実施形態では、本発明による使用は、心身症的な愁訴を軽減しおよび全体的な安寧を増強するために、例えばマッサージノズル、好ましくは導入部に記載した種類の乾式マッサージデバイスからの水のジェットによって、運動エネルギーに患者を曝露することと組み合わせて、少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物の使用を含む。
【0082】
特定の一実施形態では、心身症的な愁訴は、冬季に起こり得るものなどの季節的な気分状態を含む。冬季における季節的な気分変化は、不十分な日光に原因を帰し得ることが示されている。驚くことに、カンナビノイドと、例えば紫外光への、適切な曝露とによる組合せの治療は、季節的な気分変化に関連する心身症的な愁訴を効果的に、ほんの短い治療のセッションだけでかなり軽減できることが見出されている。
【0083】
特定の一実施形態では、本発明による使用は、人体の呼吸器系への開口部を囲むエリアにおいて、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを生成して維持するのに適した、保持フードを含む。
【0084】
本発明の目的のために、少なくとも1種のカンナビノイドの使用には、合成類似体、例えばジメチルヘプチルピラン(dimethylheptylpyran:DMHP)も含まれる。
【0085】
特定の一実施形態では、使用は、特定の濃度のカンナビノイドを有する、気化剤を含む。この気化剤はまた、カンナビス植物からの薬草抽出物を使用して生成されてもよい。代替的および/または追加的に、カンナビス植物の一部を直接使用することはまた、適切な含有量の活性物質を有する、気化剤を生成するために適している。この目的に特に適しているのは、カンナビス植物の一部を含む、生薬学的に決定され、標準化された薬草医薬物質である。例えば、カンナビス植物の花(カンナビス・フロス)からの微粉砕粉末が特に適している。
【0086】
ほとんどすべての外性のカンナビノイドは、基本的には、本発明による使用に適している。合計で70種類までのカンナビノイドが知られている。有効量は、所望の効果に適応させられることができる。例えば、低い投与量で、鎮痛効果および場合によっては鎮静催眠効果を達成することができる。過剰投与後または非常に高い用量の後に、意識が変化した状態が現れ得る。当業者は、眼内圧の上昇、痛み、高血圧、悪心、食欲不振を治療するための、またはさらには食欲抑制剤としての有効量に精通しているであろう。
【0087】
本発明による使用は、特定の一実施形態において、電磁エネルギー、特に放射エネルギーの使用を含むことができる。この使用では、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドは、放射治療、特に好ましくはUV放射治療と組み合わせて投与される。この組合せは、季節的な気分変動の治療において、特に有利であることが判明している。
【0088】
さらなる特定の一実施形態では、本発明による使用は、運動エネルギーの使用を含む。特に好ましくは、運動エネルギーは、方向付けられた流体ジェットの形態で使用される。これは、例えば標的を狙った態様でノズルから治療を受けている個人の体の一部に向けられた水のジェットによって、達成することができる。この種の水マッサージ装置は、知られている。使用される水マッサージ装置は、特に好ましくは、体が濡れないもの、すなわち乾式マッサージに適したものである。そのような装置は、水のジェットを保持する膜を有するが、膜の変形によって運動エネルギーを人体にある程度伝達することができる。
【0089】
驚くことに、有効量のカンナビノイドの投与と共にそのようなマッサージ装置を使用することは、筋肉の緊張と、ストレス状態と、筋肉組織の循環に関連した硬化との軽減に特に適していることが見出されている。
【0090】
当業者には、記載されたデバイス、対応する方法、および対応する使用の本発明による実現が、記載された特徴の任意の組合せを、これらが相互排他的ではないことを条件として、達成することができることは言うまでもない。さらなる有利な特徴は、以下において、詳細な説明および特定の実施形態から、当業者に認識可能である。
【0091】
本発明は、特定の図および例示的な実施形態を参照して、それらに制限されることなく、以下でより詳細に説明される。
【0092】
本発明の例示的な実施形態は、以下の図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図2】使用中の
図1の本発明のデバイスを示す図である。
【
図3】本発明のデバイスのさらなる実施形態を示す図である。
【
図4】本発明のデバイスのさらなる実施形態を示す図である。
【
図5】本発明のデバイスのさらなる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0094】
図1は、本発明のデバイスの特に単純な実施形態を示す。この例では横たわる面として設計される、接触面2の頭端部には、保持フード1が配置される。
【0095】
この場合、保持フード1は、例えばプラスチック材料で作られて、設計上不透明であり得る。この使用については、頭エリアがわずかに暗くなることを保持フード1がさらに引き起こす場合、有利であり得る。保持フード1は、冠領域で閉鎖されており、下半身に向かって下向きに開放されている。この実施形態の選択される寸法は、接触面2上に横たわる人の頭および肩が保持フード1の内側にある一方で手足および上半身が保持フードの外側に横たわるようなものである。
【0096】
接触面2は、この例では膜の形態をとってもよい。膜は、接触面に水のジェットを向けるのに適したジェットノズルが中に配置された、液体で満たされた空間を、同時に前記膜が曝露エリアを画定するように、封止してもよい。動作中、ユーザは、接触面上に横たわっており、水のジェットによって前記膜を介して運動エネルギーに曝露される。この間、そのユーザの頭は、保持フード1の下に横たわっている。保持フード1には、例えば(この例では図示せず)リラクゼーションを補助するためにLED照明が設けられてもよい。例えば、保持フードの内部にまたは縁の辺りにある、赤色LEDのストリップは、リラクゼーションを促す抑制された温かい雰囲気を作り出すことができる。
【0097】
保持フードには、入口開口部(同様に図示せず)が設けられてもよい。これらの入口開口部を通して、有効量の少なくとも1種のカンナビノイドを含む蒸気混合物を供給することができる。ここで患者がその頭を保持フードの下にして横たわっている場合、頭の周りに制御された雰囲気が現れて、規定の有効量のカンナビノイドを患者に投与することを可能にする。この例では、保持フードは、それがボリュームを画定するように、設計上凸状であり、ここで蒸気混合物は、当該ボリューム内に存在し得る。
【0098】
本発明のデバイスによって、
図1に示すように、例えば、季節的な気分変化または筋肉の緊張などの、心身症的な愁訴の治療のためにウェルネスユニットを使用することが可能である。計画された使用に応じて、当該技術分野における通常の知識を適切に有する者は、蒸気混合物の組成を規定することができ、所望の治療効果または鎮静効果を達成するために必要な対応する有効量を指定することができる。
【0099】
これは、
図1に示す本発明のデバイスの使用中の概略図を提供する
図2の例において、より詳細に説明される。
【0100】
接触面2も設けられ、患者10が、当該接触面2上に横たわることができる。患者10の頭の上には、呼吸器系への開口部を囲むエリアAをボリュームとして画定する、保持フード1を配置することができる。保持フード1には、リラクゼーション効果を高めるように意図された発光ダイオードが内側1.1に設けられている。保持フード1が、保持フードの内側での水蒸気の凝縮を防止するように意図されたコーティングを有することも可能である。凝縮させられた水蒸気は、小滴の形成をもたらし得、これは、この例におけるリラクゼーション効果に関して望ましくない。保持フード1に冷却および/または加熱要素を設けて、適切な雰囲気を作り出すかまたは凝縮体の形成を防止することも可能である。保持フード1は、遠位領域にある、すなわち、その保持フード1は、開口部1.2を通して四肢に向かって換気され得る。
【0101】
周囲環境とのガス交換は、蒸気混合物が補充されない場合、有効量の経時的な減少をもたらす。蒸気混合物は、供給コネクタ20を介して保持フード1内に供給される。蒸気混合物は、この例では、対流気化過程によって生成される。これは、所望の量の気化剤22が気化して供給コネクタ20および出口開口部21を介して保持フード1内に送られるように、温かい空気流を所定の温度で気化剤22の周りに循環させることによって達成される。
【0102】
保持フードは、この場合、設計上不透明であるが、その保持フードはまた、当然ながら、この使用では、設計上透明であってもよい。
【0103】
動作中、加熱要素(図示せず)は、蒸気混合物が形成されるように、規定の量の気化剤の、例えば1.7mgの微粉砕されたカンナビスを含む混合物の、周りで摂氏130°~摂氏226°の動作温度に加熱された空気を循環させている。約摂氏185度の温度が特に適している。この例で使用されるカンナビスは、ある含有量の少なくともテトラヒドロカンナビノール(tetrahydrocannabinol:THC)、カンナビジオール(cannabidiol:CBD)およびカンナビノール(cannabinol:CBN)を有する。標準化された混合物中の、THC含有量は、3.5~4.5%、好ましくは4.15%である。CBDおよびCBNは、微量で存在する。この例における水含有量は、約10重量%~15重量%(Gieringer,D.らによる「Cannabis Vaporizer Combines Efficient Delivery of THC with Effective Suppression of Pyrolytic Compounds」、Journal of Cannabis Therapeutics,October 2008も参照されたい)である。
【0104】
それによってもたらされるカンナビス蒸気は、36~61%のTHC含有量を有し得る。これらのデータに基づいて、当業者は、患者の呼吸器系への開口部を囲むエリア内のボリュームに基づいて目標を定めた態様で、有効量の蒸気混合物を生成することができる。
【0105】
図3は、接触面2および適切に設計された保持フード1を有する、本発明のデバイスの概略図を示し、有効量のカンナビノイドを含む適切な蒸気混合物を、気化器30にホース接続31によって接続された2つの供給コネクタ20によって、それら接触面2および保持フード1内にどのように供給し得るかを示す。
【0106】
照射デバイスについての適切な実施形態を
図4に示す。
図4に示す設計は、患者が上に横たわることができる接触面を、同様に含む。先の実施形態におけるのとは異なり、接触面は、エネルギーへの曝露のための方向に患者を向けるという特定の目的のためだけに存在する。接触面2および対向する蓋面5には、曝露エリアを形成する光源42、41が、適切に設けられており、ここで患者は、当該曝露エリア上で光に曝露される。それに応じて、ソラリウムでは、これら光源42、41は、UVランプである。患者の呼吸器系への開口部を囲むエリアAを画定する保持フード1が、この曝露エリア内で延びている。この保持フード1は、ホース接続31によって気化器に接続される。気化器は、適切な方法、例えば気化剤の伝導加熱を使用して、ホース接続31を通して保持フード1内に運ばれる適切な蒸気混合物を生成する。この例では、保持フードは、当然ながら設計上透明であり、例えば、商品名Alltop(登録商標)の名でplexiglasとして例えば温室に使用されるものなどの、UV透過性ポリメチルメタクリラートから作られる。SUNACTIV GS 2458 plexiglasが、同様に特に適している。
【0107】
代替的な実施形態が
図5に示されており、デバイスは、着座使用のために考えられている。
【0108】
このデバイスにおいても、エネルギーは、運動エネルギーであり、曝露は、マッサージ要素によって行われる。
【0109】
それに応じて、接触面2には、回転式マッサージスティックなどの適切な機械式マッサージデバイス51が設けられている。これもまた、治療中の快適性を高めるように、膜に組み込むことができる。デバイスは、台座18上で起立する。動作中、患者は、マッサージスティック51上に座り、保持フード1は、画定されたエリアを呼吸器系への開口部を囲むエリアAが形成するように、患者の頭の上で閉鎖されており、ここで当該保持フード1は、この場合、折畳み可能である。気化器30内の蒸気混合物は、供給コネクタ20およびネブライザ21によって、この囲むエリアAへのホース接続31を介して患者に供給される。
【国際調査報告】