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2023-519521バルク材料の粒子の特性を決定するための方法および測定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-11
(54)【発明の名称】バルク材料の粒子の特性を決定するための方法および測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/00 20060101AFI20230501BHJP
   G06T 7/62 20170101ALI20230501BHJP
   C05G 5/12 20200101ALI20230501BHJP
【FI】
G01N15/00 A
G06T7/62
C05G5/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554416
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(85)【翻訳文提出日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2021058454
(87)【国際公開番号】W WO2021198343
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】20167901.6
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522354768
【氏名又は名称】クバンランド グループ ニーウ-フェネップ ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】デ ブール,バート
【テーマコード(参考)】
4H061
5L096
【Fターム(参考)】
4H061AA01
4H061FF08
5L096FA59
5L096FA64
5L096HA11
(57)【要約】
本開示は、肥料、種子などのバルク材料の粒子の特性を決定するための方法に関し、分配機によって、肥料、種子などの分配されるバルク材料(2)の粒子(2a)の堆積物を提供する工程と、前側部に光学ランドマーク(7)を有する測定ツール(1)を提供する工程と、前記測定ツール(1)に近接して前記バルク材料(2)の堆積された前記粒子(2a)が提供される測定位置に、前記測定ツール(1)を提供する工程と、画像を検出するように構成されたカメラ装置(3)を提供する工程と、前記カメラ装置(3)によって画像データを検出する工程であって、前記画像データは、前記測定位置に提供された前記測定ツール(1)の前側部と、前記測定ツール(1)に近接して提供された前記バルク材料(2)の堆積された前記粒子(2a)との画像を示すものである、工程と、前記画像データの画像データ解析から前記バルク材料(2)の前記粒子(2a)の特性を決定する工程と、を含んでいる。そして、この決定工程は、1つ以上のプロセッサにおいて、前記画像データから前記光学ランドマーク(7)を決定する工程と、前記光学ランドマーク(7)を決定することに応答して、前記光学ランドマーク(7)の寸法特性に割り当てられて前記光学ランドマークの寸法特性を示す寸法データを提供する工程と、前記寸法特性を考慮して、前記バルク材料(2)の前記粒子(2a)の特性を決定する工程と、を含む。さらに、バルク材料の粒子の特性を決定するための測定システムが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥料、種子などのバルク材料の粒子の特性を決定する方法であって:
分配機によって、肥料、種子などの分配されるバルク材料(2)の粒子(2a)の堆積物を提供する工程と、
前側部に光学ランドマーク(7)を有する測定ツール(1)を提供する工程と、
前記測定ツール(1)に近接して前記バルク材料(2)の堆積された前記粒子(2a)が提供される測定位置に、前記測定ツール(1)を提供する工程と、
画像を検出するように構成されたカメラ装置(3)を提供する工程と、
前記カメラ装置(3)によって画像データを検出する工程であって、前記画像データは、前記測定位置に提供された前記測定ツール(1)の前側部と、前記測定ツール(1)に近接して提供された前記バルク材料(2)の堆積された前記粒子(2a)との画像を示すものである、工程と、
前記画像データの画像データ解析から前記バルク材料(2)の前記粒子(2a)の特性を決定する工程と、を含み、この工程は、1つ以上のプロセッサにおいて、
前記画像データから前記光学ランドマーク(7)を決定する工程と、
前記光学ランドマーク(7)を決定することに応答して、前記光学ランドマーク(7)の寸法特性に割り当てられて前記光学ランドマークの寸法特性を示す寸法データを提供する工程と、
前記寸法データを考慮して、前記バルク材料(2)の前記粒子(2a)の特性を決定する工程と、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記決定する工程は、前記バルク材料(2)の前記粒子(2a)の寸法特性を決定する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記決定する工程は、前記画像データを処理するために、前記画像データ解析においてニューラルネットワークを適用する工程を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記適用する工程は、前記画像データを処理するために、前記画像データ解析において分類リグレッサニューラルネットワークを適用することを含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バルク材料(2)の前記粒子(2a)の堆積物を、分配機の容器内に分配する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記測定ツール(1)のエッジ部分(6)上に光学ランドマーク(7)の配置を有する測定ツール(1)を提供する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
開口部(5)を有する測定ツール(1)を提供する工程であって、光学ランドマーク(7)の前記配置が、少なくとも部分的に前記開口部(5)を取り囲む前記エッジ部分(6)上に提供される、工程と、
前記測定ツール(1)の裏側部上に提供される前記バルク材料(2)が、前記測定ツール(1)の前側部の画像において、前記開口部(5)に割り当てられた画像サブエリアを占有する、工程と、
をさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記寸法データを提供する工程は、光学ランドマーク(7)の前記配置からの前記光学ランドマーク(7)のランドマーク距離特性を示す寸法データを提供する工程を含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
もし請求項7を参照すれば、前記寸法データを提供する工程は、前記開口部(5)のサイズと前記開口部(5)の直径のうちの少なくとも1つを示す寸法データを提供する工程を含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記提供する工程は、前記1つまたは複数のプロセッサと前記カメラ装置(3)とを有するモバイルデバイスを提供する工程を含むことを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
飛行時間センサ装置を提供する工程と、
前記画像データが検出されている間に距離データを検出する工程であって、前記距離データは、前記カメラ装置(3)と前記測定ツール(1)との間の距離を示すものである、工程と、
前記1つまたは複数のプロセッサにおいて、前記距離データから前記カメラ装置(3)と前記測定ツール(1)との間の前記距離を決定する工程と、
前記距離データから前記カメラ装置(3)と前記測定ツール(1)との間の前記距離を考慮に入れて、前記バルク材料(2)の前記粒子(2a)の前記特性を決定する工程と、
をさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
肥料、種子などのバルク材料の粒子の特性を決定する測定システムであって、
測定ツール(1)と、
カメラ装置(3)と、
1つまたは複数のプロセッサとを備え、
前記測定システムは、
前記測定ツール(1)に近接してバルク材料(2)の粒子(2a)の堆積物が提供される測定位置に、前記測定ツール(1)を提供する工程と、
前記カメラ装置(3)によって画像データを検出する工程であって、前記画像データは、前記測定位置における前記測定ツール(1)と、前記測定ツール(1)に近接して提供されたバルク材料(2)の堆積された前記粒子(2a)との画像を示すものである、工程と、
前記1つまたは複数のプロセッサにおいて、前記画像データの画像データ解析から前記バルク材料(2)の前記粒子(2a)の特性を決定する工程と、を行うように構成され、前記1つまたは複数のプロセッサは、
前記画像データから光学ランドマーク(7)を決定する工程と、
前記光学ランドマーク(7)を決定することに応答して、前記光学ランドマーク(7)の寸法特性に割り当てられて前記光学ランドマークの寸法特性を示す寸法データを提供する工程と、
前記寸法データを考慮して、前記バルク材料(2)の前記粒子(2a)の特性を決定する工程と、
を行うように構成されていることを特徴とする、測定システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、肥料、種子などのバルク材料の粒子の特性を決定するための方法および測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
肥料、種子などの農業分野では、バルク材料は分配機によって現場に分配される。バルク材料は、分配のために分配機の容器内に提供される。異なるバルク材料は、バルク材料の粒子のサイズまたは密度などの異なる特性を備えていてもよい。しかし、同じバルク材料の異なるバッジは、製造プロセスの違いのために、異なる特性を有し得る。バルク材料の粒子の異なる特性についての知識は、分配機の動作を最適化するのに役立ち得る。
【0003】
文献DE 10 2017 102 013 A1には、分配機によって分配されるバルク材料の粒子の分配特性を決定するために適用されるマットが開示されている。複数のマットが、バルク材料が分配される地面上に配置される。バルク材料の分配の特性は、バルク材料が分配された後のマットの画像データを処理する画像化方法によって決定される。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、最小限の労力でバルク材料の特性の信頼できる決定を可能にする、肥料、種子などのバルク材料の粒子の特性を決定するための方法および測定システムを提供することである。
【0005】
この課題を解決するために、独立請求項1に記載の肥料、種子などのバルク材料の粒子の特性を決定する方法が提供される。さらに、独立請求項12に記載の肥料、種子などのバルク材料の粒子の特性を測定するための測定システムが提供される。さらなる態様は、従属請求項に開示されている。
【0006】
一態様によれば、肥料、種子などのバルク材料の粒子の特性を決定するための方法が提供され、この方法は、分配機によって、肥料、種子などの分配されるバルク材料の粒子の堆積物を提供する工程と、測定ツールの前側部に光学ランドマークを有する測定ツールを提供する工程と、測定ツールに近接してバルク材料の堆積された粒子が提供される測定位置に、測定ツールを提供する工程と、画像を検出するように構成されたカメラ装置を提供する工程と、カメラ装置によって画像データを検出する工程であって、画像データは、測定位置に提供された測定ツールの前側部と、測定ツールに近接して提供されたバルク材料の堆積された粒子との画像を示すものである、工程と、画像データの画像データ解析からバルク材料の粒子の特性を決定する工程とを含む。この特性を決定する工程は、1つ以上のプロセッサにおいて、画像データから光学ランドマークを決定する工程と、光学ランドマークを決定することに応答して、光学ランドマークの寸法特性に割り当てられて光学ランドマークの寸法特性を示す寸法データを提供する工程と、寸法データを考慮に入れてバルク材料の粒子の特性を決定する工程とをさらに含む。
【0007】
別の態様によれば、肥料、種子などのバルク材料の粒子の特性を決定するための測定システムが提供され、測定システムは、測定ツールと、カメラ装置と、1つまたは複数のプロセッサとを備える。測定システムは、測定ツールに近接してバルク材料の粒子の堆積物が提供される測定位置に、測定ツール(1)を提供する工程と、カメラ装置によって画像データを検出する工程であって、画像データは、測定位置における測定ツール(1)と、測定ツールに近接して提供されたバルク材料の堆積された粒子との画像を示すものである、工程と、1つまたは複数のプロセッサにおいて、画像データの画像データ解析からバルク材料の粒子の特性を決定する工程と、を行うように構成される。1つまたは複数のプロセッサは、画像データから光学ランドマークを決定する工程と、光学ランドマークを決定することに応答して、光学ランドマークの寸法特性に割り当てられて光学ランドマークの寸法特性を示す寸法データを提供する工程と、寸法データを考慮して、バルク材料の粒子の特性を決定する工程と、を行うようにさらに構成される。
【0008】
提案された技術は、最小限の労力で、堆積されたバルク材料を信頼性高く決定するための選択肢を提供する。測定ツールは例えば、バルク材料の粒子の堆積物の前に、バルク材料の堆積された粒子に近接して配置される。一実施形態では、測定ツールは堆積物上に配置され(横たわり)得る。その後、画像データはカメラ装置によって検出される。デジタル画像データは、バルク材料の粒子の特性を決定するための例えばモバイル機器内に提供された1つ以上のプロセッサによって処理される。カメラ装置および1つまたは複数のプロセッサは、携帯電話、またはラップトップまたはタブレットコンピュータなどの何らかの他のモバイル機器によって提供され得る。
【0009】
バルク材料の粒子は堆積されているので、測定位置に提供された測定ツールのために撮影された画像において、粒子の少なくともいくつかは、重なり合った位置に提供された粒子の一部が別の粒子によって覆われまたは隠されているような、重なり合ったまたは隠された位置に示されてもよい。
【0010】
測定ツールは、ただ1つの(単一の)光学ランドマークまたは複数の(2つ以上の)光学ランドマークを備えてもよい。
【0011】
光学ランドマークの決定は、測定ツール上に提供される光学ランドマークの各々の個々の同一性(アイデンティティ)(identity)を決定することを含んでもよい。
【0012】
寸法データは、1つまたは複数のプロセッサ内の複数の異なる測定ツールのために提供され得る。光学ランドマークの決定は、実際に適用された測定ツールの同一性を決定することを含むことができる。適用された測定ツールに割り当てられた識別情報に基づいて、そのようなツール同一性を有する測定ツールの光学ランドマークに割り当てられた寸法データが、1つまたは複数のプロセッサにおいて決定され得る。
【0013】
画像データ解析からバルク材料の特性を決定するプロセスにおいて、異なる情報またはデータを適用することができる。
【0014】
測定ツールは、カメラ装置によって検出された画像データに対して行われる画像データ解析をサポートする参照ツール(参照フレームなど)を提供する。
【0015】
バルク材料はまた、農業用スプレッダまたは分配機によって分配されるスプレッディング材料と称されてもよい。
【0016】
測定ツールおよびカメラ装置で検出されるバルク材料を位置決めすることに関して、両方とも共通の(同じ)平面に位置決めされてもよい。
【0017】
決定する工程は、バルク材料の粒子の寸法特性を決定することを含むことができる。代替の実施形態では、バルク材料の粒子の特性は、粒子密度、粒子形状、およびバルク材料のタイプのうちの少なくとも1つを含み得る。そのような特性のうちの1つ以上は、画像データ解析からバルク材料の特性を決定するプロセスにおいて決定される。バルク材料のタイプに関して、1つ以上の粒子のタイプが決定され得る。
【0018】
決定する工程は、バルク材料の粒子の寸法特性を決定することを含むことができる。粒子の寸法特性は、粒子のサイズおよび粒子直径のうちの少なくとも1つを指してもよい。例えば、サイズおよび/または直径の異なる粒子を画像データ解析から識別(同定)(identified)することができる。これは、そのような粒子特性に関して均質なバルク材料が存在しないという情報をユーザに提供することができる。例えば、2つの異なるタイプの粒子がバルク材料に混合されていれば、画像データ解析から決定された寸法特性から、必要な粒子の混合が提供されたことが分かる。
【0019】
決定する工程は、画像データを処理するために、画像データ解析においてニューラルネットワークを適用することを含むことができる。適用する工程は、画像データを処理するために、画像データ解析において分類リグレッサニューラルネットワークを適用することを含むことができる。
【0020】
ニューラルネットワークは、異なるタイプのバルク材料のために提供される複数のデジタル画像データを含むトレーニングデータによってトレーニングされ得る。あるいは、デジタル画像データとバルク材料/粒子パラメータとの間の何らかの関係を反映する他のコンピュータモデルが適用されてもよい。1つまたは複数のプロセッサは、バルクまたはスプレッディング材料の粒子の特性を決定するために、ニューラルネットワークおよび/または何らかの他のコンピュータモデルを適用する。アルゴリズムとデータベースとの組み合わせは、コンピュータモデルまたはニューラルネットワークによって適用され得る。データベースは、以前に実験的に決定された設定で満たされてもよい。
【0021】
ニューラルネットワークをトレーニングするためのトレーニングデータは、重なり合ったまたは隠された位置に提供されたバルク材料の粒子の一部を示す画像を示すデジタル画像データを含んでもよい。
【0022】
バルク材料の粒子の堆積物は、分配機の容器内に提供されてもよい。測定ツールは、分配機の容器内に収容されたバルク材料上に配置され、それによって、分配のために実際に提供されるバルク材料の特性を決定することができる。この例および他の例として、画像データ解析から決定されたバルク材料の粒子の特性を示す特性データが生成され、分配機の制御装置に提供され、それによって、分配されるバルク材料の特性に応じて分配機の動作を制御することができる。例えば、バルク材料の特性に応じて、ディスクスプレッダの1つ以上のディスクの回転数が制御されてもよい。ディスクスプレッダの別のパラメータは、ディスク上の粒子の落下点を指す。また、そのような動作パラメータは、画像データ解析から決定される特性に応じて制御されてもよい。
【0023】
本方法は、(前側部上の)測定ツールのエッジ部分上に光学ランドマークの配置を有する測定ツールを提供する工程をさらに含むことができる。
【0024】
測定ツールのエッジ部分上に提供される異なる光学ランドマークは、異なる同一性を割り当てることができる。この実施形態および他の実施形態では、識別データが1つまたは複数のプロセッサ内に提供され得、識別データは、割り当てられた異なる同一性を有する複数の光学ランドマークを示す。光学ランドマークの同一性が決定される場合、そのような情報は、1つまたは複数のプロセッサ内で、光学ランドマークの特性を決定するために使用され得る。例えば、識別情報に基づいて、そのような同一性を有する光学ランドマークの位置情報を導出することができ、この位置情報は、測定ツールのエッジ部分上の光学ランドマークの位置の詳細を示す。
【0025】
本方法は、開口部を有する測定ツールを提供する工程であって、光学ランドマークの配置が、少なくとも部分的に開口部を取り囲むエッジ部分上に提供される、工程と、測定ツールの裏側部上に提供されるバルク材料が、測定ツールの前側部の画像において、開口部に割り当てられた画像サブエリアを占有する、工程と、をさらに含むことができる。測定ツールの開口部は、二次形状などの正方形形状を備えることができる。
【0026】
バルク材料の寸法特性の決定に関して、バルク材料の寸法特性は、カメラ装置によって撮影された測定ツールの前側部の画像において、バルク材料が測定ツールの開口部を占めている程度を示し得る。
【0027】
寸法データを提供する工程は、例えば光学ランドマーク間のランドマーク距離のような、光学ランドマークの配置からの光学ランドマークのランドマーク距離特性を示す寸法データを提供する工程を含むことができる。エッジ部分の側面に沿った、および/または、測定ツールの開口部を横切る線に沿った、距離が提供されてもよい。
【0028】
寸法データを提供する工程は、開口部のサイズおよび開口部の直径のうちの少なくとも1つを示す寸法データを提供する工程を含んでもよい。そのような寸法データは、画像データ解析からバルク材料の特性を決定するプロセスにおいて考慮され得る。寸法データは、開口部の形状を示す情報を含むことができる。
【0029】
提供する工程は、1つまたは複数のプロセッサとカメラ装置とを有するモバイルデバイスを提供する工程を含み得る。
【0030】
本方法は、飛行時間センサ装置を提供する工程と、画像データが検出されている間に距離データを検出する工程であって、距離データは、カメラ装置と測定ツールとの間の距離を示すものである、工程と、1つまたは複数のプロセッサにおいて、距離データからカメラ装置と測定ツールとの間の距離を決定する工程と、距離データからカメラ装置と測定ツールとの間の距離を考慮に入れて、バルク材料の粒子の特性を決定する工程とをさらに含むことができる。飛行時間センサ装置により、カメラ装置から、測定ツールまで、および測定ツールの裏側部のバルク材料までの距離をそれぞれ示す距離データが収集される。これにより、画像奥行き情報を有する画像データを提供することができる。飛行時間センサ装置は、例えば、携帯電話機やタブレットコンピュータなどのモバイル機器においてカメラ装置とともに提供されてもよい。
【0031】
一実施形態では、1つまたは複数のランドマークは、ライブラリの成熟度および処理の低コストを提供する、いわゆるArUcoランドマークによって提供され得る。そのようなランドマークの処理は、非常に速く、かつ、信頼できるように実行され得る。また、これは、正方形の形状を簡単に検出できるので、これは遠近感データも提供する。
【0032】
測定システムに関して、上記の肥料、種子などのバルク材料を決定するための方法について記載された異なる実施形態が、必要な変更を加えて適用されてもよい。
【0033】
画像データ解析からバルク材料の特性を決定するプロセスにおいて、1つ以上のプロセッサ上で実行される1つ以上のソフトウェアアプリケーションが適用されてもよい。そのようなものとして知られている(デジタル)画像データ解析のためのソフトウェアアプリケーションが適用され得る。ソフトウェアアプリケーションは、画像データ、または画像データと、画像に関する奥行き情報を提供する距離データとの組み合わせに基づいて、バルク材料の粒子の特性を決定する。
【0034】
バルク材料の粒子の特性を示すデータは1つまたは複数のプロセッサから農業用スプレッダマシンの制御装置に送信され、そこで、データは、スプレッダマシンの動作を自動的に制御するために適用される制御信号に応答して制御信号を生成するために処理されることができる。
【0035】
以下、さらなる実施形態を、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】肥料、種子などのバルク材料の粒子の特性を決定するための測定システムを備えた装置の模式図である。
図2】エッジ部分を備え、エッジ部分上に配置された開口部および光学ランドマークを取り囲む測定ツールの模式図である。
図3】単一の光学ランドマークを備えた別の測定ツールの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、測定ツール1、肥料、種子などのバルク材料2、カメラ装置3、およびデータ処理のための1つ以上のプロセッサを有するデータ処理システム4を備えた装置の模式図を示す。バルク材料2の粒子2aは、積み重ねて(堆積されて)提供される(図1の挿入図参照)。
【0038】
図2は、開口部5と、開口部5を取り囲むエッジ部分6とを備える測定ツール1の前側部の模式図を示す。エッジ部分6のコーナー部8には、光学ランドマーク7が提供されている。図示の実施形態では、光学ランドマーク7は、いわゆるArUcoランドマークとして提供される。ArUcoランドマークは、ライブラリの成熟度および処理の低コストを提供する。そのようなランドマークの処理は、非常に速く、かつ、信頼できるように実行され得る。また、正方形の形状を簡単に検出できるため、遠近感データも提供する。そのようなものとして知られている他の光学ランドマークを代わりに提供してもよい。
【0039】
カメラ装置3およびデータ処理システム4は、一般的なデバイス筐体または別個の筐体で提供されてもよい。例えば、カメラ装置3およびデータ処理システム4は、携帯電話機、またはラップトップまたはタブレットコンピュータのような他の何らかのモバイル機器によって実施されてもよい。あるいは、カメラ装置によって検出された画像データは、カメラ装置3の位置から遠隔に位置するデータ処理システムに送信されてもよい。
【0040】
バルク材料2の粒子の特性を決定するために、測定ツール1が測定位置に提供されているときに、カメラ装置3によって画像データが検出される。測定位置は、バルク材料2の前に配置された測定ツール1と、測定ツール1の前側部に面するカメラ装置3とを有することを特徴とし、測定ツール1の裏側部のバルク材料2は、カメラ装置2に提示されるシーン(景色)(scene)の開口部3を占める。
【0041】
カメラ装置3によって検出された1つ以上の画像を示す画像データは、データ処理システム4において行われる画像データ解析によって処理される。画像データ解析のプロセスでは、光学ランドマーク7が決定される。これに応じて、光学ランドマークに関する情報を考慮して、バルク材料2の特性が決定される。
【0042】
バルク材料2の粒子2aの特性に関して、以下の特性の1つまたは複数を決定することができる:バルク材料2の粒子2aのサイズ、および粒子2aの直径。
【0043】
図3は、測定ツール1のための代替例の模式図を示す。図示された例示的な測定ツール1には、1つまたは2つの光学ランドマーク7が提供されている。カメラ装置によって撮影された画像には、一方または両方の測定ツール1のみが存在してもよい。上述のバルク材料2の特性を決定するための方法が、必要な変更を加えて適用される。
【0044】
光学ランドマーク7自体は、十分な情報(寸法特性)を含むことができる。ArUcoランドマークのような正方形ランドマークの場合、画像上の4つのコーナーの位置を取得することは容易である。光学ランドマーク7のコーナーの相互の相対的な位置は、既知であってもよい。単一の光学ランドマーク7の4つのコーナーは、ホモグラフィ変換マトリックスを決定するのに十分な情報を含む。ホモグラフィは、2つの画像間の関係を指す。一方の画像は光学ランドマーク7および周囲に対してカメラ装置3で撮影された画像であり、他方の画像は、光学ランドマークの既知の画像である。ホモグラフィックマトリックスは、ユーザによって作成された画像からの任意の画素を、光学ランドマーク7が存在する既知の平面にマッピングするのに必要な因子を含有する3x3マトリックスであってもよい。画像を平坦な画像平面に変換するためにホモグラフィを適用することは、画像修正と呼ばれる。それは、遠近感を修正すると同時に、異なる条件下での異なるカメラの使用から生じるほとんどの問題を修正する。
【0045】
遠近感情報は重要である。例えば、携帯電話およびカメラ装置は、様々な視野、解像度、および品質を有することができる。また、ユーザに、カメラ装置3をバルク材料2の上方に完全に平行に保持するように指示するわけにはいかない。カメラ装置3に近いバルク材料の粒子2aは、遠い粒子よりも大きく見える。粒子2aの実際のサイズおよび/または直径を決定するためには、そのような遠近感変換を逆にすることが重要である。
【0046】
複数の光学ランドマーク7(図2参照)を備えた測定ツール1を使用することにより、バルク材料2を決定するためのより強固なプロセスを提供することができる。各光学ランドマーク7は4個の既知の基準点を与えるので、これらの光学ランドマーク7は16個の基準点をもたらす。より多くの基準点が利用可能であるほど、ホモグラフィを見つけることがより信頼できる。RANSAC法(RANSAC-RANdom SAmple Consensus)を適用して、より正確なホモグラフィマトリックスを得ることができる。
【0047】
着色された光学ランドマークが適用されてもよい。これは、カメラ装置3によって撮影された画像における色歪みの補正を可能にすることができる。
【0048】
一例では、以下のステップを適用することができる:
1. カメラ装置3(例えばモバイル機器またはタブレット)を用いて、測定ツール1を基準にして、バルク材料2を撮像するステップ、
2. (ステップ2.または4.のいずれか)例えばモバイル機器またはタブレットで提供された1つ以上のプロセッサによって、光学ランドマーク7に基づいて、遠近感およびスケールの修正を適用するステップ、
3. データを分析するために、サーバデバイスまたはローカルデバイス(スプレッダ、端末、または他のコントローラ)に固定画像を送信するステップ、
4. (ステップ2.または4.のいずれか)サーバデバイスまたはローカルデバイス(例えばモバイル機器またはタブレット)で、測定ツールに基づいて遠近感およびスケールの修正を適用するステップ、
5. 従来のコンピュータビジョン技術を使用するか、またはディープニューラルネットワークを使用するかのいずれかによって、表面粗さ、形状、および粒子直径などのバルク材料特性を決定するために画像を分析するステップ、
6. バルク材料特性を示すデータをモバイル機器またはローカルデバイスに返却するステップ、および、
7. バルク材料特性に基づいてソフトウェアアプリケーションでスプレッディングチャートアドバイスを返すか、自動的に(例えばユーザ入力なしに)スプレッダマシンを設定するステップ。
【0049】
データ処理システム4では、デジタル画像データを処理するために、ディープニューラルネットワーク(DNN)が適用され得る。決定されたバルク材料特性の1つまたは複数は、使用可能な物性(材料パラメータ)に割り当てられ得る。材料パラメータのうちの1つ、すなわち粒子のサイズまたは粒子の直径を決定することができる。例えば、これは、バルク材料2の粒子2aを、特定のカテゴリー、例えば、微細(1mm)、小型(1.8mm)、通常(2.5mm)、大型(3.5mm)、非常に大型(5mm+)に分類することによって行うことができる。あるいは、粒子のサイズは、デジタル画像データを1つの平均直径(x mm)だけに回帰させることによって決定することができる。
【0050】
DNNはまた、肥料または種子などのバルク材料の形状およびカテゴリーのうちの少なくとも1つを認識するために使用され得る。これは、分類リグレッサニューラルネットワークを用いて行われる。バルク材料の各カテゴリーについて、DNNは、撮影されたバルク材料が特定の形状を有している可能性がどれだけ高いかを示す0~1の間の数を返す。
【0051】
DNNは、スプレッダなどの分配マシン上のローカル情報コントローラ、携帯電話用のローカルソフトウェアアプリケーションのいずれかに配置されることができ、または、クラウド内でホストされることができる。クラウドは、顧客またはユーザからデジタル画像データを収集する機会を提供することができ、これらのデータは、DNNが進化し続けるようにDNNを再トレーニングするために使用されることができる。
【0052】
DNNは、農業用スプレッダ1上の制御装置4上でホストされてもよい。ローカルアドバイスサービスやデータベースと組み合わせると、農業用スプレッダ1は、完全に自動でオフラインにて設定することができる。変更された動向に応じて、設定を継続的に更新することが可能になる。
【0053】
開示された方法では、バルク材料2の粒子2aの特性、例えば粒子2aの直径を決定する目的で、バルク材料2の画像は、ArUcoランドマークなどの基準(光学ランドマーク7)を用いて2次元画像平面上に変換される。このような情報は、スプレッダマシンの正しい設定を支援するために適用することができる。変換は、コンピュータビジョンアルゴリズムまたはニューラルネットワークがさらなる処理に適用され得る、平坦な2次元平面上の固定スケールを有する画像を提供することである。
【0054】
本明細書、図面、および/または特許請求の範囲に開示された特徴は、単独で、またはそれらの様々な組み合わせで、様々な実施形態を実現するための重要なものであり得る。

図1
図2
図3
【国際調査報告】