(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-11
(54)【発明の名称】エレベータシステムのレールビークル用のユニバーサルコンソールおよびピットアセンブリ、レールシステム、ならびにレールシステムを位置合わせするための方法
(51)【国際特許分類】
B66B 7/02 20060101AFI20230501BHJP
B66B 7/00 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
B66B7/02 H
B66B7/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558113
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 EP2021057265
(87)【国際公開番号】W WO2021191146
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビュートラー,エーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ロ・ヤーコノ,ロメオ
(72)【発明者】
【氏名】メーリ,ペーター
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305BD01
3F305BD09
3F305DA08
3F305DA21
(57)【要約】
本発明は、エレベータ設備のレールシステム(100)用のユニバーサルブラケット(102)に関し、ユニバーサルブラケット(102)は、位置決め可能かつ位置合わせ可能な主支持体(112)と、レールシステム(100)の少なくとも1つのレール(106)のための少なくとも1つの取付点(116)と、を有し、主支持体(112)は、いずれの場合においても1つの下げ振り(118)を案内するために主支持体(112)に分離不能に接続された2つのガイド(120)を有し、取付点(116)およびガイド(120)は、互いに対して固定位置に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ設備のレールシステム(100)用のユニバーサルブラケット(102)であって、ユニバーサルブラケット(102)は、位置決め可能かつ位置合わせ可能な主支持体(112)と、レールシステム(100)の少なくとも1つのレール(106)のための少なくとも1つの取付点(116)と、を有し、主支持体(112)は2つのガイド(120)を有し、2つのガイド(120)は、いずれの場合においても1つの下げ振り(118)を案内するために主支持体(112)に分離不能に接続され、取付点(116)およびガイド(120)は互いに対して固定位置に配置されることを特徴とする、ユニバーサルブラケット(102)。
【請求項2】
主支持体(112)は、上弦材(200)およびこれに略平行に位置合わせされた下弦材(202)を有し、ガイド(120)は各々、上弦材(200)上の第1のノッチ(206)として、および下弦材(202)上の第2のノッチ(208)として設計される、請求項1に記載のユニバーサルブラケット(102)。
【請求項3】
ガイド(120)は、主支持体(112)の、取付点(116)から離れて面する側に配置される、請求項1または2に記載のユニバーサルブラケット(102)。
【請求項4】
主支持体(112)に対して横方向に位置合わせされた少なくとも1つのレール支持体(114)を備え、取付点(116)は、レール支持体(114)の、主支持体(112)から離れて面する端部領域に配置され、レール支持体(114)の反対側の端部領域は、主支持体(112)に接続される、請求項1~3のいずれか一項に記載のユニバーサルブラケット(102)。
【請求項5】
エレベータ設備のレールシステム(100)用のピットアセンブリ(104)であって、ピットアセンブリ(104)は、床支持体(302)と、床支持体(302)に対して横方向に位置合わせされた締結支持体(304)と、を有し、床支持体(302)は、レールシステム(100)の少なくとも1つのレール(106)のための少なくとも1つの取付点(116)を有し、締結支持体(304)は、いずれの場合においても1つの下げ振り(118)を締結するために締結支持体(304)に分離不能に接続された2つの締結点(126)を有し、取付点(116)および締結点(126)は互いに対して固定位置に配置されることを特徴とする、ピットアセンブリ(104)。
【請求項6】
エレベータ設備用のレールシステム(100)であって、レールシステム(100)は、基準ブラケット(108)として請求項1~4のいずれか一項に記載の少なくとも1つのユニバーサルブラケット(102)と、請求項5に記載のピットアセンブリ(104)と、中間ブラケット(128)として請求項1~4のいずれか一項に記載の少なくとも1つのユニバーサルブラケット(102)と、を有し、かつ、少なくとも1つのレール(106)を有し、ピットアセンブリ(104)の締結点(120)は、基準ブラケット(108)のガイド(120)の下に配置され、中間ブラケット(128)のガイド(120)は、基準ブラケット(108)のガイド(120)とピットアセンブリ(104)の締結点(126)との間に配置され、レールは、ピットアセンブリ(104)、中間ブラケット(128)、および基準ブラケット(108)の取付点(116)に取り付けられる、レールシステム(100)。
【請求項7】
エレベータ設備のレールシステム(100)をエレベータ設備のためのエレベータシャフト内に位置合わせするための方法であって、請求項1~4のいずれか一項に記載のユニバーサルブラケット(102)は、基準ブラケット(108)としてエレベータシャフトの上端部の領域内に配置され、エレベータシャフトの壁(110)に位置決めされて位置合わせされ、第1の下げ振り(118)は、基準ブラケット(108)の第1のガイド(120)を通過して、エレベータシャフトの下端部まで下降され、第2の下げ振り(118)は、基準ブラケット(108)の第2のガイド(120)を通って案内され、エレベータシャフトの下端部まで下降され、請求項5に記載のピットアセンブリ(104)は、エレベータシャフトの下端部に配置され、ピットアセンブリ(104)の第1の締結点(126)は、第1の下げ振り(118)に対して位置決めされ、ピットアセンブリ(104)の第2の締結点(126)は、第2の下げ振り(118)に対して位置決めされ、第1の下げ振り(118)は第1の締結点(126)に締結され、第2の下げ振り(118)は第2の締結点(126)に締結され、請求項1~4のいずれか一項に記載の少なくとも1つのユニバーサルブラケット(102)は、中間ブラケット(128)の第1のガイド(120)が第1の下げ振り(118)と位置合わせされ、かつ、中間ブラケット(128)の第2のガイド(120)が第2の下げ振り(118)と位置合わせされるまで、基準ブラケット(108)とピットアセンブリ(104)との間の中間ブラケット(128)としてエレベータシャフト内に位置決めされて位置合わせされ、レールシステム(100)の少なくとも1つのレール(106)は、ピットアセンブリ(104)、中間ブラケット(128)、および基準ブラケット(108)の取付点(116)に取り付けられる、方法。
【請求項8】
基準ブラケット(108)は、エレベータシャフトの最上部のシャフトドアシルの下方に配置され、および/または中間ブラケット(128)は、エレベータシャフトのシャフトドアシルの下方に配置される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
下げ振り(118)の上端部はガイド(120)に引っ掛けられる、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
下げ振り(118)の上端部はエレベータシャフトの締結手段に締結される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
下げ振り(118)の上端部は基準ブラケット(108)に締結される、請求項7または8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ設備のレールシステム用のユニバーサルブラケット、エレベータ設備のレールシステム用のピットアセンブリ、エレベータ設備用のレールシステム、およびエレベータ設備用のエレベータシャフト内のエレベータ設備のレールシステムを位置合わせするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ設備では、少なくとも1つのかごは、エレベータシャフトに沿ったその垂直運動中にレールシステムによって案内される。レールシステムは、エレベータ設置のためにエレベータシャフトの壁に締結されるブラケットを備える。これらのブラケットは、カンチレバーと呼ばれることもある。レールシステムの垂直に配置されたレールは、ブラケットに締結される。
【0003】
ブラケットは、エレベータ設備の建設段階中に壁に締結され、次いでレールは、位置合わせ装置を使用してブラケットに対して位置合わせされる。位置合わせ装置は、例えば、エレベータシャフトの天井からエレベータシャフトのピット内に吊り下げられる鉛直錘であってもよい。レールは、対応するレールと鉛直錘の鉛直線との間に保持されるテンプレートまたはゲージを使用して位置合わせされることができる。対応するブラケットに対するレールの位置は、テンプレートまたはゲージが鉛直線とレールとの間に正確に嵌合するまで再調整される。
【0004】
国際公開第2016/066786号は、ガイドレールを設置するための従来の方法を記載している。国際公開第2009/156557号は、装置に取り付けられたアクチュエータによって下げ振りを位置合わせするための装置を開示している。また、特開平10-218530号公報、特開2001-163549号公報、特開平05-186161号公報、特開平05-139656号公報には、下げ振りを保持または位置合わせするためにシャフトに仮取り付けされる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/066786号
【特許文献2】国際公開第2009/156557号
【特許文献3】特開平10-218530号公報
【特許文献4】特開2001-163549号公報
【特許文献5】特開平05-186161号公報
【特許文献6】特開平05-139656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特に、エレベータ設備のレールシステム用の改良されたユニバーサルブラケット、エレベータ設備のレールシステム用の改良されたピットアセンブリ、エレベータ設備用の改良されたレールシステム、およびエレベータ設備用のエレベータシャフト内のエレベータ設備のレールシステムを位置合わせするための改良された方法の必要性があり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのような必要性は、独立請求項に係るエレベータ設備のレールシステム用のユニバーサルブラケット、エレベータ設備のレールシステム用のピットアセンブリ、エレベータ設備用のレールシステム、およびエレベータ設備用のエレベータシャフト内のエレベータ設備のレールシステムを位置合わせするための方法によって満たされることができる。有利な実施形態は、従属請求項および以下の説明において定義される。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、エレベータ設備のレールシステム用のユニバーサルブラケットが提案され、ユニバーサルブラケットは、位置決め可能かつ位置合わせ可能な主支持体と、レールシステムの少なくとも1つのレールのための少なくとも1つの取付点と、を有し、主支持体は、いずれの場合においても1つの下げ振りを案内するために主支持体に分離不能に接続された2つのガイドを有し、取付点およびガイドが互いに対して固定位置に配置される。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、エレベータ設備のレールシステム用のピットアセンブリが提案され、ピットアセンブリは、床支持体と、床支持体に対して横方向に位置合わせされた締結支持体と、を有し、床支持体は、レールシステムの少なくとも1つのレールのための少なくとも1つの取付点を有し、締結支持体は、いずれの場合においても1つの下げ振りを締結するために締結支持体に分離不能に接続された2つの締結点を有し、取付点および締結点が互いに対して固定位置に配置される。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、エレベータ設備用のレールシステムが提案され、レールシステムは、基準ブラケットとして本明細書で提案された手法による少なくとも1つのユニバーサルブラケットと、本明細書で提案された手法によるピットアセンブリと、中間ブラケットとして本明細書で提案された手法による少なくとも1つのユニバーサルブラケットと、を有し、かつ、少なくとも1つのレールを有し、ピットアセンブリの締結点は、基準ブラケットのガイドの下に配置され、中間ブラケットのガイドは、基準ブラケットのガイドとピットアセンブリの締結点との間に位置合わせされ、レールは、ピットアセンブリ、中間ブラケット、および基準ブラケットの取付点に取り付けられる。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、エレベータ設備のレールシステムをエレベータ設備のためにエレベータシャフト内に位置合わせするための方法が提案され、本明細書で提案された手法によるユニバーサルブラケットがエレベータシャフトの上端部の領域内に基準ブラケットとして配置され、エレベータシャフトの壁に位置決めされて位置合わせされ、第1の下げ振りが基準ブラケットの第1のガイドを通過して、エレベータシャフトの下端部まで下降され、第2の下げ振りが基準ブラケットの第2のガイドを通って案内されて、エレベータシャフトの下端部まで下降され、本明細書で提案された手法によるピットアセンブリがエレベータシャフトの下端部に配置され、ピットアセンブリの第1の締結点が第1の下げ振りに対して位置決めされ、ピットアセンブリの第2の締結点が第2の下げ振りに対して位置決めされ、第1の下げ振りが第1の締結点に締結され、第2の下げ振りが第2の締結点に締結され、本明細書で提案された手法による少なくとも1つのユニバーサルブラケットは、中間ブラケットの第1のガイドが第1の下げ振りと位置合わせされ、かつ、中間ブラケットの第2のガイドが第2の下げ振りと位置合わせされるまで、基準ブラケットとピットアセンブリとの間の中間ブラケットとしてエレベータシャフト内に位置決めされて位置合わせされ、レールシステムの少なくとも1つのレールは、ピットアセンブリ、中間ブラケット、および基準ブラケットの取付点に取り付けられる。
【0012】
本発明の実施形態の可能な特徴および利点は、とりわけ、本発明を限定することなく、以下に記載される概念および知見に基づくと考えられ得る。
【0013】
エレベータ設備のレールシステム用のユニバーサルブラケットは、エレベータシャフト内の適切な位置に下げ振りを設置するために使用されることができる。レールシステムの他の構成要素は、その後に、レールシステムの設置中に下げ振り上に位置合わせされることができる。下げ振りは、特に垂れ下がった鉛直錘を有する鉛直線として理解されることができる。鉛直錘は、鉛直線の垂直方向の位置合わせを確実にする。下げ振りは、2つの実質的に任意の点の間に張力がかけられ得、点間の最短接続線を占める。これは、下げ振りが構造的に指定された角度で、空間内で張力がかけられることができることを意味する。例えば、下げ振りは、ピットアセンブリと基準ブラケットとの間の最大4インチの横方向のオフセットを補償することができる。
【0014】
ユニバーサルブラケットは、エレベータ設備のレールシステムのための構造的構成要素とすることができる。ユニバーサルブラケットは、レールシステムのレールと、建物のエレベータシャフトの特に耐荷重壁との間の機械的弾性接続を提供することができる。好ましくは、シャフトの前壁は、乗場ドアを有し、壁を形成する。ユニバーサルブラケットは、荷重に応じた寸法にされることができる。特に、ユニバーサルブラケットは、エレベータ設備の動作中に生じる横方向の力を建物内に散逸させることができる。ユニバーサルブラケットは、複数の個別の部品から構成されることができる。個々の部品は、例えば、事前に切断された板金から作られた屈曲部品であってもよい。個々の部品は、互いにねじ止めされることができる。個々の部品は、互いにピン留めまたは溶接することもできる。ユニバーサルブラケットの中央部は、主支持体と呼ばれることができる。主支持体は、壁または壁に固定された締結手段に接続するための締結点を有することができる。締結点は、締結手段に対してユニバーサルブラケットを横方向に位置決めし、ユニバーサルブラケットの角度を空間内で位置合わせするように設計されることができる。取付点は、少なくとも1つのレールの位置および位置を決定することができる。
【0015】
ピットアセンブリは、レールシステムの最も低い構造的構成要素であってもよい。エレベータシャフトの下端はピットと呼ばれることができる。ピットアセンブリは、レールとピットとの間の機械的に強固な接続を提供することができる。ピットアセンブリは、エレベータシャフトまたはピットの特に耐荷重床に締結されることが好ましい。ピットアセンブリはまた、または代替的に、エレベータシャフトまたはピットの特に耐荷重壁に締結されることができる。ピットアセンブリは、荷重に応じて寸法決めされることができる。特に、ピットアセンブリは、エレベータ装置の動作中に発生する垂直力を建物または基礎に散逸させることができる。ピットアセンブリは、複数の個々の部品から構成されることができる。個々の部品は、例えば、事前に切断された板金から作られた屈曲部品であってもよい。個々の部品は、互いにねじ止めされることができる。個々の部品は、互いにピン留めまたは溶接することもできる。ピットアセンブリの中央部分は、床支持体と呼ばれてもよい。床支持体に接続される部分は、締結支持体と呼ばれてもよい。締結支持体は、床支持体から離れて面する側に下げ振りのための締結点を有することができる。床支持体は、床または床に固定された締結手段に接続するための締結点を有することができる。
【0016】
主支持体は、取付点および建物への締結点に対して構造的に所定の位置に配置された2つのガイドを有することができる。主支持体は、取付点から離れて面する側にガイドを有することができる。相対位置は、レールシステム内のすべてのユニバーサルブラケットに対して同一とすることができる。結果として、ユニバーサルブラケットは、複数の用途、特に基準ブラケットおよび中間ブラケットとして使用されることができる。本明細書に提示された手法に基づくユニバーサルブラケットは、ピットアセンブリの交換品として使用されることができる。エレベータシャフト内のその位置合わせに基づいて、基準ブラケットは、レールシステムの他の構成要素の位置および場所をしっかりと指定する。中間ブラケットの位置合わせは、基準ブラケットの位置合わせに対して調整される。
【0017】
主支持体は、実質的に平行に位置合わせされた上弦材および下弦材と、上弦材と下弦材との間に配置された少なくとも1つのウェブとを有することができる。ガイドはそれぞれ、上弦材上の第1のノッチおよび下弦材上の第2のノッチとして設計することができる。第1のノッチおよび第2のノッチは、特に、ユニバーサルブラケットが意図したように位置合わせされたときに、上下に垂直に配置されることができる。ノッチは、特にV字形の凹部とすることができる。ノッチは、主支持体の縁部に配置されることができる。主支持体は、C字形の断面を有してもよい。
【0018】
下げ振りは、ガイドの各々に配置または固定されることができる。下げ振りは、一時的に、すなわち、可逆的かつ着脱可能に固定されることができる。下げ振りの一端はガイドに取り付けられることができる。下げ振りの反対側の端部には錘が装填されてもよい。下げ振りは、例えば、複数の繊維で構成されていてもよいし、ワイヤーとして設計されていてもよい。
【0019】
ガイドは、壁側または主支持体の取付点から離れて面する側に配置されることができる。ユニバーサルブラケットは、壁側ガイドを用いて、下げ振りに接触することなく取り付けられることができる。したがって、ユニバーサルブラケットは、シャフトに容易に挿入され、大まかに位置合わせされ、その後に、下げ振りに適合するようにねじ付きボルトに押し付けられることができる。代替的に、ユニバーサルブラケットは、壁と下げ振りとの間に挿入されることができる。
【0020】
ユニバーサルブラケットは、主支持体に対して横方向に位置合わせされた少なくとも1つのレール支持体を有することができる。取付点は、レール支持体の端部領域に配置することができ、この端部領域は主支持体から離れて面する。レール支持体の反対側の端部領域は、主支持体に接続されてもよい。特に、ユニバーサルブラケットは、各々が少なくとも1つの取付点を有し、主支持体の両端領域で主支持体に接続されている2つのレール支持体を有することができる。レール支持体は、エレベータ設備のかごがレール支持体の間に嵌合するように、互いに十分に離間されることができる。
【0021】
基準ブラケットは、エレベータシャフトの最上部のシャフトドアシルの下方に配置されることができる。中間ブラケットは、エレベータシャフトのシャフトドアシルの下方に配置することができ、このシルは最上部のシャフトドアシルの下方に位置する。ユニバーサルブラケットは、エレベータ設備のシャフトドアのドアガイド用のレセプタクルを上側に有することができる。ドアガイドは、ユニバーサルブラケット自体と同じ作業ステップで位置決めおよび位置合わせされることができる。シャフトドア敷居の下の配置により、エレベータかごの荷積みおよび荷降ろし中の横方向の力は建物内に直接散逸され得る。
【0022】
基準ブラケットは、上部取付点を位置合わせするためにガイド内の下げ振りを使用して位置合わせされることができる。エレベータシャフト内の基準ブラケットの位置は、両方のガイド内の下げ振りを対応するガイド内の意図された位置に移動させることによって調整されることができる。したがって、位置合わせのための追加の補助を省くことができる。
【0023】
下げ振りは、ピットアセンブリが位置決めされ位置合わせされた後にピットアセンブリの締結点に締結されることができる。下げ振りは牽引され得る。下げ振りはぴんと張力がかけられ得る。両端が接続されていることで、下げ振りの揺動を防止することができる。これにより、中間ブラケットを、揺動する下げ振りによって生じる遅延なしに位置合わせすることができる。
【0024】
主支持体は、ガイドの領域内の主支持体の凹部として設計されることができる2つの位置決めおよび位置合わせ装置を有することができる。主支持体と壁との間の距離は、凹部に配置され得、壁に固定されるねじ付きボルトを介して調整されることができる。壁に対する主支持体の角度位置は、凹部の縁部にクランプされ得る球状キャップを介して調整されることができる。したがって、ユニバーサルブラケットは、すべての空間方向に位置決めされ、すべての空間角度に位置合わせされることができる。凹部は、特に上弦材と下弦材との間のウェブ上に配置されることができ、このウェブは壁に実質的に平行に位置合わせされる。
【0025】
下げ振りの上端部は、ガイドに引っ掛けられることができる。上端部は、例えば、自転車のブレーキケーブルと同様の肥厚部を有することができ、肥厚部はガイドよりも大きい寸法を有する。したがって、ガイドは、肥厚部がガイドから滑り落ちるのを防止するために、半閉鎖形状を有することができる。例えば、ガイドは、スロット付きの円として設計されることができる。スロットの幅は、ほぼ下げ振りの直径に対応し、一方、円の直径は、肥厚部の直径よりも小さい。中間ブラケットは、下げ振りが各々それらのガイドの円の中心点を通過するように位置決めされ位置合わせされることができる。
【0026】
あるいは、下げ振りの上端部は、エレベータシャフトの締結手段に締結されることができる。例えば、下げ振りはそれぞれ、エレベータシャフトの壁に締結されたアイレットまたはねじに締結することができる。下げ振りはまた、基準ブラケットの上方にある床の領域に固定することができる。
【0027】
下げ振りの上端部は、基準ブラケット自体に締結されることができる。例えば、下げ振りは、基準ブラケットの周りにループされ、それ自体または基準ブラケットに結び付けられることができる。
【0028】
本発明の可能な特徴および利点のいくつかは、異なる実施形態を参照して本明細書に記載されていることに留意されたい。当業者は、本発明のさらなる実施形態に到達するために、ユニバーサルブラケット、ピットアセンブリ、レールシステム、および方法の特徴が適切に組み合わされ、適合され、または交換されてもよいことを認識するであろう。
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面も説明も本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】一実施形態による、建設中であり、ユニバーサルブラケットを有するエレベータ設備のレールシステムを示す図である。
【
図2】一実施形態による基準ブラケットとして使用されるユニバーサルブラケットを示す図である。
【
図3】一実施形態によるピットアセンブリを示す図である。
【
図4】一実施形態による中間ブラケットとして使用されるユニバーサルブラケットの位置合わせを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面は単に概略的なものであり、縮尺通りではない。同様の参照符号は、様々な図面における同様のまたは同等の特徴を示す。
【0032】
図1は、一実施形態によるレールシステム100の図を示し、レールシステム100は構築中であり、ユニバーサルブラケット102およびピットアセンブリ104を有するレールシステム100の図を示す。レールシステム100は、エレベータシャフトに設置される。エレベータシャフトは、この場合にのみ示されており、建物の3階にわたって延在する。エレベータ設備の可動構成要素は、後にレールシステム100によって垂直方向に移動可能に案内される。レールシステム100のレール106は、ユニバーサルブラケット102およびピットアセンブリ104に取り付けられている。ユニバーサルブラケット102およびピットアセンブリ104は、エレベータシャフト内のレール106の後の位置を決定する。
【0033】
レールシステム100は、上方から組み立てられる。ユニバーサルブラケット102の最上部は、基準ブラケット108としてエレベータシャフトの壁110に締結され、基準ブラケット108の主支持体112は、壁110に略平行に位置合わせされ、その結果、基準ブラケット108のレール支持体114は、壁110から離れてエレベータシャフト内に水平に突出する。レールシステムのレールを取り付けるための取付点116は、レール支持体114の端部領域に配置される。
【0034】
一実施形態では、基準ブラケット108は、エレベータシャフトによって接続された最上層のシャフトドアシルの下の壁110上に水平に配置および位置合わせされる。基準ブラケット108のドアガイドは、シャフトドアシルの高さに調整される。ドアガイドの角度位置は、基準ブラケット108の位置合わせによって既に予め決定されている。
【0035】
次いで、2つの下げ振り118または鉛直線が基準ブラケット108に締結され、各々が基準ブラケット108のガイド120を通って案内される。この場合、下げ振り118の端部には、鉛直錘122が固定されている。鉛直錘122の重量により、鉛直錘122、したがって下げ振り118も、基準ブラケット108のガイド120からエレベータシャフト内へ下方に垂直に吊り下げられる。
【0036】
下げ振り118は、鉛直錘122がエレベータシャフトの床124の直上に吊り下がるように調整される。ピットアセンブリ104は、鉛直錘122を使用して床124上に配置される。ピットアセンブリ104は、ピットアセンブリ104の締結点126がそれぞれ鉛直錘122および下げ振り118と位置合わせされるまで床124上を移動する。位置合わせ後に、ピットアセンブリ104の取付点116は、構造に従って位置決めされる。この位置では、ピットアセンブリ104が固定される。鉛直錘122が揺動するのを防止するために、下げ振り118はピットアセンブリ104の締結点126に締結されることができる。
【0037】
ピットアセンブリ104の締結点126が鉛直錘122と位置合わせ可能でない場合には、壁110からの基準ブラケット108の距離が調整される。このようにして、エレベータシャフトの公差が補償されることができる。
【0038】
別の実施形態では、ピットアセンブリ104の代わりに、追加のユニバーサルブラケットがピットブラケットとしてエレベータシャフト内に配置される。この目的のために特別に設計されたピットアセンブリ104とは対照的に、ピットブラケットは床124ではなく壁110に締結され、ピットブラケットのガイドが鉛直錘122または下げ振り118と位置合わせされるまで壁110の締結手段上の位置合わせ装置を使用して水平に位置合わせされる。位置合わせ後に、ピットブラケットの取付点は、基準ブラケット108の取付点116の垂直下方に配置される。
【0039】
別のユニバーサルブラケット102は、基準ブラケット108とピットアセンブリ104との間の中間ブラケット128として壁110に締結される。中間ブラケット128は、中間床のシャフトドアシルの下方に配置される。中間ブラケット128の角度位置は、中間ブラケット128が水平になり、中間ブラケット128のガイド120が下げ振り118と位置合わせされるまで調整される。中間ブラケット128のドアガイドは、シャフトドアシルの高さに調整される。
【0040】
すべてのガイド120が鉛直錘122または下げ振り118を介して上下に垂直に位置合わせされた後に、レール106の取付点116も上下に垂直に配置される。したがって、レール106は、さらに位置合わせすることなく取り付けられることができる。下げ振り118は、レールシステム100の組み立て後に取り外され、再使用されることができる。
【0041】
図2は、一実施形態による基準ブラケット108として使用されるユニバーサルブラケット102の図を示す。基準ブラケット108は、
図1の基準ブラケットに実質的に対応する。
図1のように、基準ブラケット108は、エレベータシャフトの壁110の前に配置され、設置位置に位置合わせされる。主支持体112は、この場合、上弦材200、下弦材202、および上弦材200と下弦材202とを接続するウェブ204を有するC字形プロファイルとして設計される。主支持体112の「C」は、壁110に開口している。上弦材200、下弦材202、およびウェブ204は、材料を節約するための凹部を有する。
【0042】
この場合、ガイド120の一方は、下げ振り118の一方と共に示されている。ガイド120は、上弦材200に第1のノッチ206を有し、下弦材202に第2のノッチ208を有する。ノッチ206、208は、ユニバーサルブラケット102が空間内の意図された位置に位置合わせされると、上下に配置される。ノッチ206、208は、ウェブ204の幅だけ離間している。下げ振り118は、この場合、上弦材200の領域で主支持体112に結び目があり、エレベータシャフトの下端の方向に下方に第1のノッチ206および第2のノッチ208を貫通している。
【0043】
ノッチ206、208は、V字形の窪みとして設計されている。下げ振り118は、窪みの低い点に当接する。主支持体112を脆弱化させないために、ノッチ206、208は、主支持体112の荷重断面の外側に配置される。ノッチ206、208は、上弦材200および下弦材202から突出する突起に配置されている。
【0044】
図3は、一実施形態によるピットアセンブリ104の図を示す。ピットアセンブリ104は、
図1のピットアセンブリに実質的に対応する。レールシステムのレール106は、ピットアセンブリ104の取付点116のうちの一方に接続されている。レール106は、エレベータ設備のかごおよびエレベータ設備の釣合おもりをエレベータシャフト内で垂直に案内するように設計されている。
【0045】
ピットアセンブリ104は、床支持体302および締結支持体304を有する。床支持体302は、両端に取付点116を有する。したがって、床支持体302の長さは、レールシステムの明確な幅に実質的に対応する。締結支持体304は、床支持体302に締結され、締結点126を有する。締結支持体304は、締結点126を取付点116に対して固定位置に位置決めする。ピットアセンブリ104を位置決めする際に、床支持体302および締結支持体304は、締結点126が垂れ下がっている鉛直錘または下げ振り118と位置合わせされるまで前後にスライドされる。この位置では、ピットアセンブリ104は床124にボルト止めされる。この場合、下げ振り118は、締結点126に締結されて、それらに張力をかける。
【0046】
床支持体302は、上方に開いたU字形プロファイルとして設計される。締結支持体304は、金属シートとして床124に沿って上方に曲げられたフランジまで延在し、フランジ上に締結点126が互いから意図された距離に、取付点116に対して正しい相対位置に配置される。締結点126は、フランジの両端に配置される。締結支持体304は、軽量化および材料節約のために床124の領域に大きな凹部を有する。
【0047】
ピットアセンブリ104の締結点126は、ユニバーサルブラケットのガイドとは異なるように設計されている。締結点126はそれぞれ、下げ振り118が案内される唯一の窪み306を有する。窪み306は、床124に向かって位置合わせされ、張力を受けているときに下げ振り118を締め付ける。締結点126に下げ振り118を固定するために、下げ振り118が締結点126に結び付けられてもよい。
【0048】
図4は、一実施形態による中間ブラケット128として使用されるユニバーサルブラケット102の位置合わせの図を示す。中間ブラケット128は、
図2において基準ブラケットとして使用されるユニバーサルブラケットに実質的に対応する。この場合、建物の上にある床の基準ブラケットおよびエレベータシャフトの下端部のピットアセンブリは、それらの意図された位置に既に位置合わせされかつ固定されている。下げ振り118は、基準ブラケットのガイドとピットアセンブリの締結点との間に張力がかけられている。下げ振り118は、エレベータシャフトの壁110からわずかな距離を置いて延在する。
【0049】
中間ブラケット128は、壁110に固定され、エレベータシャフト内に略水平に突出するねじ付きボルト400に締結される。中間ブラケット128は、ねじ付きボルト400上に摺動され、ねじ付きボルト400ごとに位置合わせ装置を使用して一時的に固定される。下げ振り118は、主支持体112と壁110との間の隙間402を貫通している。
【0050】
ねじ付きボルト400にはストッパが配置され、この止め具を介して主支持体112の壁110からの距離および、中間ブラケット128全体の角度位置が調整されることができる。ストッパは、下げ振り118が、下げ振り118を水平方向に偏向させることなく中間ブラケット128のガイド120の両方のノッチ206、208を正確に通過するように調整される。これにより、中間ブラケット128の取付点が基準ブラケットの取付点の下方に垂直に配置されるように、中間ブラケット128の距離および角度位置の両方が調整される。位置合わせ後に、ロックナットを締結することにより、最終的に中間ブラケット128をねじ付きボルト400に固定する。締結後に、下げ振り118は、ガイド120を通って直線状に、すなわち、ねじれなしに走る。このようにして、さらなる中間ブラケットは下げ振り118と位置合わせされることができる。
【0051】
最後に、「備える」、「有する」などの用語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、単数形の用語は、複数を排除するものではないことに留意されたい。さらに、上記の実施形態のうちの1つを参照して説明された特徴またはステップはまた、上記の他の実施形態の他の特徴またはステップと組み合わせて使用されてもよいことに留意されたい。特許請求の範囲の符号は、限定的なものと見なされるべきではない。
【国際調査報告】