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▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-11
(54)【発明の名称】布地を洗濯する方法
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/46 20200101AFI20230501BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20230501BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20230501BHJP
   C11D 1/00 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
D06F33/46
C11D3/386
C11D3/395
C11D1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559349
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(85)【翻訳文提出日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 US2021024039
(87)【国際公開番号】W WO2021202219
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】20168011.3
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ブルーカー、アンジュ・ディーパリ・マッセイ
(72)【発明者】
【氏名】アマドール・ザマレノ、カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ブエノ・ロモ、ローラ
(72)【発明者】
【氏名】スーター、フィリップ・フランク
【テーマコード(参考)】
3B167
4H003
【Fターム(参考)】
3B167AE11
3B167BA42
3B167BA43
3B167KA12
3B167LA23
3B167LC14
3B167LE04
3B167LE05
3B167LF01
3B167LF11
3B167LF28
3B167LG08
4H003AB03
4H003AB19
4H003AB31
4H003AC08
4H003AC15
4H003DA01
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA21
4H003EB03
4H003EB04
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB24
4H003EB36
4H003EC01
4H003ED28
4H003EE01
4H003FA04
(57)【要約】
本発明は、布地を洗濯する方法であって、(a)最終洗浄浴に添加される最終水量を計算する工程と、(b)この最終水量を所望の最終温度に加熱するために必要なエネルギー量を計算する工程と、(c)中間洗浄浴を形成するために、最終水量未満の水量を布地と接触させる工程であって、洗剤組成物が、中間洗浄浴の形成中に、又は中間洗浄浴の形成の前に、布地と接触する、接触させる工程と、(d)中間洗浄浴が所望の最終温度を上回る温度を有するように、工程(b)において計算されたエネルギーで、工程(c)中に布地と接触する水を加熱する工程と、(e)中間洗浄浴において布地を少なくとも3分間洗浄する工程と、(f)残りの水量を中間洗浄浴と接触させて、所望の最終温度を有する最終洗浄浴を形成する工程と、(g)最終洗浄浴において布地を少なくとも5分間洗浄する工程と、(h)布地をすすぐ工程と、を含む、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地を洗濯する方法であって、
(a)最終洗浄浴に添加される最終水量を計算する工程と、
(b)この最終水量を所望の最終温度に加熱するために必要なエネルギー量を計算する工程と、
(c)中間洗浄浴を形成するために、前記最終水量未満の水量を布地と接触させる工程であって、洗剤組成物が、前記中間洗浄浴の形成中に、又は前記中間洗浄浴の形成の前に、前記布地と接触する、接触させる工程と、
(d)前記中間洗浄浴が所望の最終温度を上回る温度を有するように、工程(b)において計算されたエネルギーで、工程(c)中に前記布地と接触する水を加熱する工程と、
(e)前記中間洗浄浴において前記布地を少なくとも3分間、かつ任意に最大10分間、洗浄する工程と、
(f)残りの水量を前記中間洗浄浴と接触させて、所望の最終温度を有する前記最終洗浄浴を形成する工程と、
(g)前記最終洗浄浴において前記布地を少なくとも5分間洗浄する工程と、
(h)前記布地をすすぐ工程と、を含む、方法。
【請求項2】
工程(a)中、前記方法中に洗濯される布地の重量が決定され、前記最終洗浄浴に添加される前記最終水量を計算するとき、この布地重量が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(c)において前記布地に接触して、中間洗浄液を形成する水量が、布地1kg当たり1.1kg~3.5kgの水の含水量を提供する水量である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法中に洗濯される布地のタイプが決定され、この布地のタイプが、工程(c)において前記布地に接触する前記水量を決定するときに考慮されて、前記中間洗浄を形成し、そのため、
(a)前記布地タイプが主に綿であるとき、前記含水量が、布地1kg当たり1.5kg~3.5kgの水であり、
(b)前記布地が主にポリエステルであるとき、前記含水量が、布地1kg当たり1.1kg~1.75kgの水である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(c)において前記布地に接触して、前記中間洗浄浴を形成する水量が、工程(a)において計算された合計水量の5v/v%~70v/v%の範囲内である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(c)において前記布地に接触して、前記中間洗浄浴を形成する水量が、
(a)工程(a)において計算された合計水量の25v/v%~70v/v%の範囲内であり、前記プロセスが、フロントローダ自動洗濯機において実行されるか、又は
(b)工程(a)において計算された合計水量の5v/v%~40v/v%の範囲内であり、前記プロセスが、トップローダ自動洗濯機において実行される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(e)の洗浄時間対工程(g)の洗浄時間が、1:2~1:20の範囲内である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記中間洗浄工程(e)が、攪拌条件下で実行される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
所望の最終温度が、30℃であるか、又は30℃未満であり、前記中間洗浄浴の温度が、37℃を上回る、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記中間洗浄浴が、洗浄性界面活性剤、酵素、及びキレート剤を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記中間洗浄浴が漂白剤を含まないが、前記最終洗浄浴が漂白剤を含むように、漂白剤が、工程(e)の後に布地に接触する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記中間洗浄浴中に存在する洗剤化学物質の濃度が、前記最終洗浄浴中に存在する洗剤化学物質の濃度よりも高い、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、自動洗濯機において実行される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記水が、自動洗濯機のサンプにおいて、自動洗濯機の水注入口において、又は自動洗濯機の外部で加熱され得る、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地を洗濯する方法を提供する。本方法は、洗濯プロセスの効率を改善し、経済的な洗浄サイクルのために設計された洗濯プロセスに対して特に有用である。
【背景技術】
【0002】
布地の洗濯に関する傾向は、エネルギー使用を低減し、改善された布地ケアを送達するために、短いサイクル及び冷却サイクルに向かって進展している。本発明は、同じ水及びエネルギー源を使用する既存のサイクルと比較した場合に清浄性能を改善する、布地を洗濯する方法を提供する。本発明は、経済洗浄サイクル、すなわち、30Cを上回る融点を有する固体脂肪汚れ及び他の温度感受性汚れの清浄性能が遅れている、30℃より低い洗浄温度を有するものなどにおける性能を改善するのに特に有用である。
【0003】
本発明では、主な洗浄における中間洗濯工程は、布地を初期の低減された水量に供し、その結果、標準サイクルで分配された同じ量の化学物質及び熱エネルギーが、この中間洗浄工程において濃縮され得、より高い濃度の化学物質及びより高い温度、例えば、固体脂肪汚れの融点を上回る洗浄温度をもたらす。
【0004】
ほとんどの洗濯機は、水、及び布地が洗浄される内側回転ドラムを収容する外側タブを特徴とする。回転ドラムの懸架運動を可能にするために、典型的には、内側回転ドラムと外側タブとの間に空間がある。多くの場合、洗濯機は、冷水を取り込み、回転内側ドラムの下の外側タブ内に設置された水ヒータが存在し、その結果、加熱要素と布地との間に直接接触がなく、典型的には、加熱が可能な限り早く開始するように、最初に充填される2~5kgの水が加熱要素を覆う。外側タブと回転内側ドラムの底部との間の空間はサンプと称され、その空間における水の質量はサンプ水塊と称される。他の洗濯機は、冷水注入口及び温水注入口の両方を取得し、2つの水注入口の混合を介して温度を制御することができる。標準的な洗濯機サイクルは、典型的には、次の工程に従う。
(i)水が、洗濯機の充填を開始し、最初にサンプ水体積に充填し、次いで布地を浸漬し、
(ii)洗剤が、水の充填によって引き出しから分配されるか、又は内部ドラム内の投与デバイスから若しくは可溶性単位の用量で分配されるかのいずれかであり、
(iii)ドラムが回転して、布地が添加された水を吸収することを確実とし、
(iv)水が、布地が水で飽和するまで充填を保持し、水サンプ質量の上部にいくらかの追加の自由水及び布地上に吸収された水が存在し(この追加の自由水は、多くの場合、圧力センサを介して測定される)、
(v)充填プロセスは、複数の段階:必要な自由水が測定されるまで、水が停止し、ドラムが水の吸収のために回転し、水が再び充填するなど、を行うことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、布地を洗濯する方法であって、
(a)最終洗浄浴に添加される最終水量を計算する工程と、
(b)この最終水量を所望の最終温度に加熱するために必要なエネルギー量を計算する工程と、
(c)中間洗浄浴を形成するために、最終水量未満の水量を布地と接触させる工程であって、洗剤組成物が、中間洗浄浴の形成中に、又は中間洗浄浴の形成の前に、布地と接触する、接触させる工程と、
(d)中間洗浄浴が所望の最終温度を上回る温度を有するように、工程(b)において計算されたエネルギーで、工程(c)中に布地と接触する水を加熱する工程と、
(e)中間洗浄浴において布地を少なくとも3分間洗浄する工程と、
(f)残りの水量を中間洗浄浴と接触させて、所望の最終温度を有する最終洗浄浴を形成する工程と、
(g)最終洗浄浴において布地を少なくとも5分間洗浄する工程と、
(h)布地をすすぐ工程と、を含む、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
布地を洗濯する方法。布地を洗濯する方法は、
(a)最終洗浄浴に添加される最終水量を計算する工程と、
(b)この最終水量を所望の最終温度に加熱するために必要なエネルギー量を計算する工程と、
(c)中間洗浄浴を形成するために、最終水量未満の水量(mWater,int)を布地と接触させる工程であって、洗剤組成物が、中間洗浄浴の形成中に、又は中間洗浄浴の形成の前に、布地と接触する、接触させる工程と、
(d)中間洗浄浴が所望の最終温度を上回る温度(Tint)を有するように、工程(b)において計算されたエネルギーで、工程(c)中に布地と接触する水を加熱する工程と、
(e)中間洗浄浴において布地を少なくとも3分間洗浄する工程と、
(f)残りの水量を中間洗浄浴と接触させて、所望の最終温度を有する最終洗浄浴を形成する工程と、
(g)最終洗浄浴において布地を少なくとも5分間洗浄する工程と、
(h)布地をすすぐ工程と、を含む。
【0007】
好ましくは、工程(e)の洗浄時間対工程(g)の洗浄時間は、1:2~1:20の範囲内である。
【0008】
好ましくは、方法の温度プロファイルは、所望の最終温度が30℃であるか、又は30℃未満などであり、中間洗浄浴の温度は、37℃を上回る。典型的な脂肪、及びそれらの融点は、体外皮脂(TMelting=33~36℃)、バター(TMelting=32~35℃)、ラード(TMelting=34~41℃)を含む。30℃の温度における標準的な洗濯サイクル動作のとき、これらすべての脂肪の除去は低い。しかしながら、37℃を上回ると、ほとんどのこれらの脂肪は、溶融し、界面活性剤及び機械的作用などを介して除去プロセスを促進する。
【0009】
本発明の方法はまた、化学物質の連続的な放出にも好適である。例えば、混合できない化学物質、又は高温及び濃度から利益を得る化学物質(例えば、酵素及び漂白剤などの界面活性剤及び動態技術)は、例えば、中間洗浄浴に1つの化学物質、及び最終洗浄浴に別の化学物質など、連続して投与され得る。この様式で、本発明の方法は、混合できない化学物質の洗剤組成物への配合を可能にすることができる。
【0010】
有益な連続投与プロファイルの一例は、中間洗浄浴では漂白剤を含まないが、最終洗浄浴が漂白剤を含むように、工程(e)の後に漂白剤が布地に接触するときである。この連続投与プロファイルは、漂白剤と混合できない成分を中間洗浄浴に組み込むことを可能にし得る。かかる漂白剤と混合できない成分は、酵素を含み得る。
【0011】
典型的には、中間洗浄浴中に存在する洗剤化学物質の濃度は、最終洗浄浴中に存在する洗剤化学物質の濃度よりも高い。しかしながら、いくつかの洗剤成分は、それらが中間洗浄浴中に存在しないように、後で方法に投入することができる。この極端な例では、中間洗浄浴中に存在する洗剤化学物質の濃度は、最終洗浄浴中に存在する洗剤化学物質の濃度と同じであるか、又はそれよりも低くなってもよい。
【0012】
典型的には、本方法は、自動洗濯機で実行される。水は、自動洗濯機のサンプ内で、自動洗濯機の水注入口で、又は自動洗濯機の外部で加熱することができる。
【0013】
工程(a)最終洗浄浴に添加される最終水量を計算する。工程(a)は、最終洗浄浴に添加される最終水量を計算する。
【0014】
典型的には、工程(a)中、方法中に洗濯される布地の重量が決定され、最終洗浄浴に添加される最終水量を計算するときに、この布地重量が使用される。典型的には、工程(a)は、以下によって計算することができ、
【0015】
【数1】
式中、mwater,Totalは、洗濯機の最終充填についての合計水量推定値であり、VDrumは、リットルでのドラムの体積であり、fは、多くの場合1.4に設定された自由水係数であり、mFabricは、布地の質量であり、AFabricは、1キロの乾燥布地当たりの布地の飽和含水量である。AFabricは、合成布地に対して2kg/kgに設定され、混合荷重に対して2.6kg/kgに設定される。
【0016】
工程(b)この最終水量を所望の最終温度に加熱するために必要なエネルギー量を計算する。工程(b)は、この最終水量を所望の最終温度に加熱するために必要なエネルギー量を計算する。典型的には、工程(b)は、以下によって計算することができ、
【0017】
【数2】
式中、mTotalは、kgにおける合計最終水量であり、TCycleは、目標サイクル温度であり、Tinletは、流入水の温度であり、Tambientは、洗濯機がある周囲温度であり、mFabricは、布地の質量であり、CpWater=4186J/(kg・K)は、水の比熱であり、CpFabricは、考察する布地の比熱(綿については、1340J/(kg・K)、ポリエステルについては1275J/(kg・K))である。
【0018】
工程(c)中間洗浄浴を形成する。工程(c)は、中間洗浄浴を形成するために、最終水量未満の水量mWater,intを布地と接触させ、洗剤組成物は、中間洗浄浴の形成中に、又は中間洗浄浴の形成の前に布地と接触する。
【0019】
水量は、典型的には、中間洗浄工程中に布地の適切な水吸収性を確実とするように制御される。典型的には、工程(c)で布地に接触して、中間洗浄液を形成する水量は、布地1kg当たり0.5kg~3.5kgの水の含水量を提供する水量である。
【0020】
方法中に洗濯される布地のタイプが決定され、この布地のタイプが、工程(c)において布地に接触する水量を決定するときに考慮されることが好ましい場合がある。この様式で、(a)布地タイプが主に綿であるとき、含水量は、布地1キロ当たり0.7kg~3.5kgの水、好ましくは、布地1kg当たり1kg~3kg、最も好ましくは、布地1キロ当たり1.5kg~2.5kgの水であり、(b)布地タイプが主にポリエステルであるとき、含水量は、布地1キロ当たり0.5kg~2.5kgの水、好ましくは、布地1kg当たり0.8kg~2kg、最も好ましくは、布地1キロ当たり1.1kg~1.75kgの水であるように、中間洗浄を形成することが好ましい場合がある。布地タイプは、自動洗濯機によってプログラムされた洗浄サイクルによって決定することができる。
【0021】
典型的には、工程(c)において布地に接触して、中間洗浄浴を形成する水量は、洗濯機タイプに応じて、工程(a)で計算された合計水量の5v/v%~70v/v%の範囲内である。フロントローダ自動洗濯機では、水が布地上に直接添加されるか、若しくは洗濯機の外側タブに添加され、次いで布地上に再利用されるとき、工程(a)において計算された合計水量の25v/v%~50v/v%の範囲内、又は水が外側タブに添加されるとき、工程(a)において計算された合計水量の40v/v%~70v/v%の範囲内である。トップローダ自動洗濯機では、この水量は、典型的には、mWater,intが前の方法を使用して依然として計算され、一方で合計水量が、最大60~70リットルまで上昇する可能性があるものよりも非常に少ない。それゆえ、水量は、典型的には、水が布地上に直接添加されるか、若しくは洗濯機の外側タブに添加され、次いで布地上に再利用されるとき、工程(a)において計算された合計水量の5v/v%~30v/v%の範囲内、又は水が外側タブに添加されるとき、工程(a)において計算された合計水量の10v/v%~40v/v%の範囲内である。
【0022】
工程(d)中間洗浄浴を加熱する。工程(d)は、中間洗浄浴が所望の最終温度を上回る温度Tintを有するように、工程(b)において計算されたエネルギーで、工程(c)中に布地と接触する水を加熱する。これは、典型的には、以下によって示され、
【0023】
【数3】
Tintは、中間洗浄浴温度及びmWater,intは、中間洗浄浴(c)中に添加される水量である。
【0024】
工程(e)中間洗浄工程。工程(e)は、中間洗浄浴において布地を少なくとも3分間洗浄する。典型的には、追加の水は、この工程中に添加されない。
【0025】
典型的には、中間洗浄工程(e)は、攪拌条件下で実施される。
【0026】
工程(f)最終洗浄浴を形成する。工程(f)は、残りの水量を中間洗浄浴と接触させて、所望の最終温度を有する最終洗浄浴を形成する。
【0027】
工程(g)洗浄工程。工程(g)は、最終洗浄浴において布地を少なくとも5分間洗浄する。
【0028】
工程(h)すすぎ工程。工程(h)は、布地をすすぐ。
【0029】
中間洗浄浴。典型的には、中間洗浄浴は、500ppm~4000ppm、より好ましくは、1000ppm~3000ppmの合計濃度を有する洗浄性界面活性剤、0.1ppm~0.8ppm、より好ましくは0.2~0.6ppmの濃度を有するアミラーゼ酵素、1ppm~7ppm、より好ましくは2~5ppmの濃度を有するプロテアーゼ酵素、0.2ppm~2ppmの濃度、より好ましくは0.4ppm~1.2ppmの濃度を有するリパーゼ酵素、及び15ppm~100ppm、より好ましくは25ppm~70ppmの濃度のキレート剤を含む。
【0030】
中間洗浄浴は、典型的には、洗剤組成物中に存在する洗剤成分のすべてを含む。しかしながら、本方法は、洗剤成分の連続投与にも好適である。この様式で、所望の場合、中間洗浄浴が特定の洗剤成分を含まないことを確実にすることが可能である。この一例は、中間洗浄浴が漂白剤を含まない場合である。
【0031】
最終洗浄浴。最終洗浄浴は、典型的には、洗剤組成物の洗剤成分のすべてを含む。最終洗浄浴は、漂白剤を含み得る。
【0032】
洗剤組成物。組成物は、典型的には、これらに限定されるものではないが、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせを含む、1つ以上の洗浄性界面活性剤を含有し得る。
【0033】
有用なアニオン性界面活性剤は、それら自体がいくつかの異なる種類のものであり得る。例えば、高級脂肪酸類の水溶性塩、すなわち「石鹸」は、有用なアニオン性界面活性剤である。これには、約8~約24個の炭素原子、好ましくは約12~約18個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及びアルキルアンモニウム塩などの、アルカリ金属石鹸が挙げられる。石鹸は、油脂の直接鹸化によって、又は遊離脂肪酸の中和によって作製することができる。特に有用なものは、ココナッツ油及び獣脂から誘導される脂肪酸の混合物のナトリウム塩及びカリウム塩、すなわち、ナトリウム又はカリウムタロー及びココナッツ石鹸である。本明細書で使用するのに好適な更なる非石鹸アニオン性界面活性剤としては、その分子構造内に約10~約20個の炭素原子を含有するアルキル基(「アルキル」という用語にはアシル基のアルキル部分も含まれる)とスルホン酸又は硫酸エステル基とを有する有機イオウ反応生成物の、水溶性塩、好ましくはアルカリ金属及びアンモニウム塩が挙げられる。合成アニオン性界面活性剤のこの基の例としては、これらに限定されるものではないが、a)獣脂又はココナッツ油のグリセリドを還元することにより製造されるものなど、直鎖状又は分枝状の炭素鎖のいずれかを有するナトリウム、カリウム、及びアンモニウムアルキルサルフェート、特に高級アルコール(C10~C20炭素原子)をサルフェート化することによって得られるもの、b)特にアルキル基が約10~約20個、好ましくは約12~約18個の炭素原子を含有し、エトキシル化された鎖が平均して約0.1~約5、好ましくは約0.3~約4、より好ましくは約0.5~約3の範囲のエトキシル化度を有する、直鎖状又は分枝状の炭素鎖のいずれかを有するナトリウム、カリウム及びアンモニウムアルキルエトキシサルフェート、c)アルキル基が、直鎖状又は分枝状の炭素鎖のいずれかの構造、好ましくは直鎖状の炭素鎖の構造で約10~約20個の炭素原子を含有する、ナトリウム及びカリウムアルキルベンゼンスルホネート、d)アルキル基が、直鎖状又は分枝状のいずれかの構造で約10~約20個の炭素原子を含有する、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムアルキルスルホネート、e)アルキル基が、直鎖状又は分枝状のいずれかの構造で約10~約20個の炭素原子を含有する、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムアルキルホスフェート又はホスホネート、並びにf)アルキル基が、直鎖状又は分枝状のいずれかの構造で約10~約20個の炭素原子を含有する、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムアルキルカルボキシレート、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の実施に特に好ましいものは、C10~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(linear alkyl benzene sulphonate、LAS)及びC10~C20直鎖状又は分枝状非アルコキシル化アルキルサルフェート(alkyl sulfate、AS)を含有する界面活性剤系である。本発明の実践に好ましいのは、上記のとおり、LAS界面活性剤である。
【0034】
組成物は、約0.1~約5、好ましくは約0.3~約4、より好ましくは約0.5~約3の範囲の平均エトキシル化度を有する1つ以上のC10~C20直鎖状又は分枝状アルキルアルコキシル化サルフェート(alkylalkoxylated sulfate、AAS)を更に含んでいてもよい。このようなAES界面活性剤は、最終洗浄浴の約0ppm~約1000ppm、好ましくは約0ppm~約500ppm、より好ましくは約0ppm~約300ppmの範囲の量で内部に存在し得る。
【0035】
更に、組成物は、非イオン性界面活性剤を含み得る。好ましい非イオン性界面活性剤は、式R(OCOHのものであり、式中、RはC10~C20アルキル基又はアルキルフェニル基であり、nは約1~約80である。特に好ましいものは、1~20の平均アルコキシル化度を有するC10~C20アルキルアルコキシル化アルコール(alkylalkoxylated alcohol、AA)である。
【0036】
本明細書において有用なその他の界面活性剤としては、両性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤が挙げられる。かかる界面活性剤は、洗濯洗剤における使用に良く知られている。
【0037】
組成物はまた、アニオン性洗浄性界面活性剤、非イオン性洗浄性界面活性剤、カチオン性洗浄性界面活性剤、双性イオン性洗浄性界面活性剤、及び両性洗浄性界面活性剤などの、洗浄性界面活性剤などの洗濯洗剤組成物を配合するために一般的に使用される1つ以上の補助成分を含有し得る。カルボキシレートポリマー、汚れ放出ポリマー、再付着防止ポリマー、セルロース系ポリマー、及びケアポリマーなどのポリマー;過酸化水素源、漂白活性剤、漂白触媒、及び予形成過酸などの漂白剤:亜鉛及び/又はアルミニウムスルホン化フタロシアニンなどなど(such as such as)の光漂白剤;プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼなどの酵素;ゼオライトビルダー;リン酸塩ビルダー;クエン酸及びクエン酸塩などの共ビルダー;炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムなどの炭酸塩;硫酸ナトリウムなどの流酸塩;ケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩;塩化ナトリウムなどの塩化物;増白剤;キレート剤;色相剤;移染防止剤;染料固着剤;香料;シリコーン;粘土などの布地用柔軟剤;ポリエチレンオキシドなどの凝集剤;抑泡剤;及びこれらの任意の組み合わせから選択される洗剤成分を含む。
【0038】
試験方法
染み除去の測定。任意の洗浄サイクルによって達成される染み除去性能の程度は、洗浄前と後との間の染み及び織物の背景のL、a、b色空間における色差として計算される。初期色差は、初期の視認性(IN、式1)として定義され、一方、最終的な視認性(FN、式2)は、洗浄後の染みと、織物の初期背景との間の色差を指す。所与の染みiについての染み除去指数(SRI)は、式3に示すとおり計算される。
【0039】
【数4】
式中、サブインデックスs、b、f、及びoは、それぞれ、染み、布地背景、最終及び初期値を指す。
【0040】
布地吸水性を測定する方法。布地吸水性は、乾燥布地の質量当たりに保持された最大水量を指す。特定の布地タイプの布地吸水性を測定するために、以下が必要とされる工程である。
(i)質量が少なくとも20gの同じ布地タイプの3つの項目を選択する工程、
(ii)各乾燥布地を秤量して、それらの乾燥質量(m乾燥)を決定する工程、
(iii)布地によって吸収されたものよりもかなり多くの水が存在するように水のバケツ内に布地を浸漬する工程。各布地を取り出し、伸長し、20秒間滴下させ、
(iv)湿潤布地(m湿潤)を秤量し、乾燥布地の質量当たりの水の質量を計算する工程:
【0041】
【数5】
【0042】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【実施例
【0043】
実施例1:中間洗浄浴及び最終洗浄浴を有する洗浄サイクルについての布地処理プロセスの染み除去性能の比較
すべての実験を、Peerless Systemのプラットフォーム上で運転される中規模の高スループット機器内で実施する。これは、並行して動作するGanguli and Eenderbug(1980)によって使用されたものと同様の三枚羽根ポスト攪拌器を備えた容量1Lの10個の容器からなる。容器の充填、洗浄、排水、及びすすぎがシステムによって自動的に行われるように、機器を自動化する。
【0044】
30℃の水道水0.25Lを機器の容器の各々に添加することによって洗浄プロセスを開始する前に、容器の清浄を実施する。水は、1800度/秒の一定の攪拌下で2分間、容器内に入れたままであった。清浄段階で使用した水を排出した後、機器は、使用準備が整う。すべての実験を、50gのニット綿スワッチ(5cm×5cm)及び分析される染みを含有する試験アイテム(10gの7cm×7cmのニット綿スワッチ)を含む、60gの合計バラスト荷重を用いて実施した。使用されるバラスト荷重の吸水性は、3kgの水/kgの乾燥布地である。表2は、基準及び比較洗浄プロセスに対して使用される洗剤配合物を記載する。
【0045】
基準洗浄プロセス(実験A)では、清浄段階で使用した水を排水した後、目標洗浄温度(30℃)の水道水0.4Lを容器に添加する。次に、1Lの合計水溶液に達するように、目標温度(30℃)で必要な体積の水道水中に予め溶解した必要な投与量の洗剤配合物(2.38g)を容器に添加し、300rpmの一定の攪拌下で1分間混合する。その後、ニット綿スワッチ及び試験アイテムを含むバラスト荷重を、洗浄プロセスを開始する前に容器に添加する。主洗浄を、300rpmの一定の攪拌下で30分間実施し、続いて15分間30℃ですすぐ。
【0046】
他の洗浄プロセス(実験B~C)では、必要な投与量の液体洗剤配合物(2.38g)は、中間洗浄浴に関して表1に記載されている目標温度で必要な体積の水道水中に予め溶解されて、3kgの水/kgの乾燥布地の吸水性を有する3kgのバラスト荷重を考慮する、バラスト荷重の70%の合計吸水性に等しい水の体積を考慮するとき(合計水6.3kg)、フロントローディング洗濯機(Front Loading Washing Machine、FLWM)内で取得される同じ洗剤濃度を達成する。
【0047】
洗剤配合物を溶解した後、溶液の一部分は、実験に使用されるバラスト荷重の吸水性の70%に等しい体積に対応し(3kgの水/kgの乾燥布地吸収性で60g)、結果として、合計0.126kgの水を容器に添加する。その後、ニット綿スワッチ及び試験アイテムを含むバラスト荷重を、容器に添加する。洗剤溶液は、中間洗浄浴の目標温度及び表1に記載される一定の攪拌下で、バラストと5分間接触したままである。この時点で、以前に調製された残りの洗剤溶液もまた、各容器内の合計洗浄溶液1Lに達するために必要とされる主洗浄(表1を参照)の目標温度で、余剰体積の水道水に加えて、容器に添加する。この時点で、主洗浄を開始する。すべての場合において、主洗浄を、300rpmの一定の攪拌下で30分間実施し、続いて15分間30℃ですすぐ。
【0048】
【表1】
【0049】
すべての場合において、洗浄サイクルが終了した後、バラスト荷重及び染みを、容器から除去し、個別の乾燥バッグに導入する(基準及び比較洗浄プロセス)。その後、Electrolux T3290ガス乾燥機内において、織物を低温で30分間乾燥させる。染み除去の程度は、洗浄前後の染みと織物の背景との間の色差として、式1~式3に記載されるように計算する。
【0050】
表3は、各実験について取得された染み除去性能の結果を示す。染み除去指数(Stain Removal Index、SRI)は、D65標準イルミナント条件下での画像解析を介して計算する。提示された結果は、各実験条件での2つの内部反復、及び4つの外部反復の平均である。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
表3は、比較洗浄プロセスBがいくつかの染み(すなわち、ASTM皮脂、赤ワイン、エスプレッソコーヒー)の改善された染み除去を示しているが、実験Cはすべての染みにわたって最良の性能を提示することを示す。染みは、飲料カテゴリ(例えば、赤ワイン及びコーヒー)、酵素(例えば、チョコレート豆乳、BBQ及びグレービー)並びに脂染み(例えば、ASTM皮脂、染色ベーコン脂及び調理された牛肉)に属することが観察され得る。
【国際調査報告】