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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-11
(54)【発明の名称】フローアッセイカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
G01N33/543 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560253
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 CA2021050451
(87)【国際公開番号】W WO2021195789
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/004,670
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522386998
【氏名又は名称】ケノタ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】レニー,ロブ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハーダー,クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】チン,イーヘン
(72)【発明者】
【氏名】ヴ,キエン
(72)【発明者】
【氏名】ディッケ,ビル
(72)【発明者】
【氏名】ブレアトン,カルバン ジェームス
(57)【要約】
垂直にスタックされ得かつハイスループット自動化ラテラルフローアッセイテストおよび分析に適合されているフローアッセイ膜またはラテラルフローテストストリップを収容し保護するためのフローアッセイカートリッジ。フローアッセイカートリッジは、フローアッセイ膜を受けるためのベースおよび蓋、ならびに2つ以上のフローアッセイカートリッジが、それらが自動化アッセイ装置によって容易に処理され得るように、垂直方位に解除可能に接合され得るような上部係合機能および底部係合機能を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローアッセイカートリッジであって、
カートリッジベースと、
前記カートリッジベースと係合可能なカートリッジ蓋と、
前記カートリッジベース上の底部係合機能と、
上部係合機能とを備え、
第1のフローアッセイカートリッジの前記底部係合機能は、前記第1のフローアッセイカートリッジの下に位置する第2のフローアッセイカートリッジを前記第1のフローアッセイカートリッジに対して解除可能に摺動係合するために、前記第2のフローアッセイカートリッジの前記上部係合機能と係合され得る、前記フローアッセイカートリッジ。
【請求項2】
前記第1のフローアッセイカートリッジの前記底部係合機能が、スナップ係合で、前記第2のフローアッセイカートリッジの前記上部係合機能と係合可能である、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記上部係合機能および底部係合機能が、レールトラックおよび少なくとも1つの補完的なレールガイドを備える、請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記上部係合機能が、少なくとも1つのレールトラックを備え、前記底部係合機能が、少なくとも1つのレールガイドを備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記底部係合機能および前記上部係合機能が、摩擦適合係合機能、スナップフィット係合機能、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記フローアッセイカートリッジが、複数の類似のカートリッジと垂直にスタック可能である、請求項1~5のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記第1のフローアッセイカートリッジが前記第2のフローアッセイカートリッジと垂直にスタックされると、前記第2のフローアッセイカートリッジの前記カートリッジ蓋が、前記第1のフローアッセイカートリッジの前記カートリッジベースでカバーされる、請求項1~6のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記フローアッセイカートリッジにフローアッセイ膜をさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記カートリッジが、さらに、分析装置と係合するための機能を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記カートリッジ蓋が、前記カートリッジベースに可逆的に係合可能である、請求項1~9のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記カートリッジ蓋が、複数の開口を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項12】
垂直に係合されたアッセイカートリッジのスタックにおいて第2のアッセイカートリッジから第1のアッセイカートリッジを摺動係合解除することと、
前記第1のアッセイカートリッジにサンプルを加えて、前記アッセイを開始することと、
前記第1のアッセイカートリッジを、前記垂直に係合されたアッセイカートリッジのスタックにおけるアッセイカートリッジの係合機能に摺動係合させることによって、前記第1のアッセイカートリッジを、前記複数の垂直に係合されたアッセイカートリッジのスタックにおける別のアッセイカートリッジに再係合させることとを含む、フローアッセイ自動化方法。
【請求項13】
前記垂直に係合されたアッセイカートリッジのスタックから前記第1のアッセイカートリッジを係合解除することが、自動化デバイスによって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記係合機能が、レールまたはレールトラックを備える、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記アッセイの前記結果を分析することをさらに含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
フローアッセイ膜と、
前記フローアッセイ膜を受けるフローアッセイカートリッジであって、
カートリッジベースと、
前記カートリッジベースと係合可能なカートリッジ蓋と、
前記カートリッジベース上の底部係合機能と、
上部係合機能とを備える、前記フローアッセイカートリッジとを備える、診断テストデバイスであって、
第1のフローアッセイカートリッジの前記底部係合機能は、前記第1のフローアッセイカートリッジの下に位置する第2のフローアッセイカートリッジを前記第1のフローアッセイカートリッジに対して解除可能に摺動係合するために、前記第2のフローアッセイカートリッジの前記上部係合機能と係合され得る、前記診断テストデバイス。
【請求項17】
分析装置の構成要素が前記分析装置における確実な移送のために前記アッセイカートリッジと係合し得る実装部位をさらに備える、請求項16に記載のテストデバイス。
【請求項18】
前記底部係合機能および前記上部係合機能が、摩擦適合係合機能、スナップフィット係合機能、またはそれらの組み合わせである、請求項16または17に記載のテストデバイス。
【請求項19】
前記底部係合機能および前記上部係合機能が、少なくとも1つのレールトラックおよび少なくとも1つのレールガイドを備える、請求項16~18のいずれか1項に記載のテストデバイス。
【請求項20】
前記底部係合機能および前記上部係合機能が、少なくとも2つのレールトラックおよび少なくとも2つのレールガイドを備える、請求項19に記載のテストデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月3日に出願された米国仮特許出願番号第US63/004,670号の優先権を主張するものであり、その内容は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、垂直にスタックされ得かつハイスループット自動化ラテラルフローアッセイテストおよび分析に適合されているフローアッセイ膜またはラテラルフローテストストリップを収容し保護するためのフローアッセイカートリッジに関する。フローアッセイカートリッジは、2つ以上のフローアッセイカートリッジが、それらが垂直にスタックされ自動化アッセイ装置によって容易に処理され得るように、解除可能に接合され得るような上部係合機能および底部係合機能を備える。
【背景技術】
【0003】
イムノアッセイとも称される免疫学的フローアッセイテストは、排卵のモニタリング、感染症微生物の検出、乱用薬物の分析、ならびに、微生物、薬剤、ホルモン、ウィルス、抗体、核酸、および他のたんぱく質の存在といったヒト生理学に重要な他の検体の測定を含む、様々な標的検体のために存在する。血清アッセイにおいて、サンプルストリームにおいて自由である検出粒子とテストラインで膜に結合された捕捉試薬の複合体の形成を検出することによって、抗体を、様々な病状および免疫状態の指標として、フローアッセイ膜上で検出することができる。フローアッセイデバイスはまた、健康管理、動物用検査、農業用途、食品安全、環境検査、および製品品質評価において生体サンプルの少量の物質の定性的測定、半定量測定、および定量測定にも用いられている。ポイントオブケア診断において、検査に有用であり得るサンプルのいくつかの例は、血液、乳、尿、血清、植物原料または抽出物、および食品サンプルである。
【0004】
最初のフローアッセイテストは、信号ラインの有無に基づいて定性的結果を提示するものだったが、テスト設計は、半定量アッセイおよび定量アッセイに向けて進歩してきており、フローアッセイ膜は現在、ハンドヘルドリーダおよびハイスループット分析装置および研究室またはポイントオブケアでのデバイスと一体して用いられている。様々なタイプの分析装置が、複数のフローアッセイデバイスでの同時診断テストを可能とし、統合された堅牢なサンプル処理システムに、複数のフローアッセイデバイスが同時に培養され処理され得るような同時テストを提供することができる。高性能視覚化を用いて定性結果および定量結果を提供するように結果を取得することができるような小量の検査量を用いるフローアッセイ膜および関連するカートリッジが設計され得る。フローアッセイカートリッジは、フローアッセイ分析の前、その最中、かつその後に、ラテラルフローテストストリップとしても知られるフローアッセイ膜を収容し保護するものであり、ハイスループット分析装置との組み合わせで特に有用である。
【0005】
多数のラテラルフローアッセイデバイスを一度に処理することができる自動化システムは、サンプル検査所要時間を低減させ、アッセイのテストおよび分析に、ハイスループットを提供することができる。臨床診断で用いる1つの例示的なラテラルフローアッセイ装置は、Jakubowiczらの米国特許番号第US9,709,562号に記載され、複数のラテラルフローアッセイデバイスが、自動化アッセイ分析装置に保持され得る。複数のフローアッセイカートリッジを、検査自動化をもって一度に処理することができる自動化システムにおいて、容易に処理され得る堅牢なフローアッセイカートリッジは、ハイスループットシステムにおいて、信頼性、安全性、および再現性を提供する。そのような自動化システムは、技術者が用いるポイントオブケア診療システムとして配置され得、それでも信頼可能かつ再現可能な結果を提供する。
【0006】
自動化ラテラルフローアッセイテストおよび分析用のフローアッセイカートリッジの必要性がいまだ存在する。
【0007】
この背景情報は、出願人が、本発明に関連する可能性があると信じる情報を知らせる目的で提供される。必ずしも承認が意図されるわけでも、先行する情報のいずれかが本発明に対する従来技術を構成すると解釈されるわけでもない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、ハイスループット自動化ラテラルフローアッセイテストおよび分析に適合されているフローアッセイ膜またはラテラルフローテストストリップを収容し保護するためのフローアッセイカートリッジを提供することである。
【0009】
一態様では、カートリッジベースと、カートリッジベースと係合可能なカートリッジ蓋と、カートリッジベース上の底部係合機能と、上部係合機能とを備え、第1のフローアッセイカートリッジの底部係合機能は、第1のフローアッセイカートリッジの下に位置する第2のフローアッセイカートリッジを第1のフローアッセイカートリッジに対して解除可能に摺動係合するために、第2のフローアッセイカートリッジの上部係合機能と係合され得る、フローアッセイカートリッジが提供される。
【0010】
別の態様では、カートリッジベースと、カートリッジベースと係合可能なカートリッジ蓋と、底部係合機能と、フローアッセイカートリッジの上に位置する第2のフローアッセイカートリッジの底部係合機能と解除可能に係合する上部係合機能とを備えるフローアッセイカートリッジが提供される。
【0011】
カートリッジの実施形態では、第2のフローアッセイカートリッジの底部係合機能との上部係合機能の解除可能な係合は、摺動係合である。
【0012】
カートリッジの別の実施形態では、上部係合機能および底部係合機能は、レールトラックおよび補完的なレールガイドを備える。
【0013】
カートリッジの別の実施形態では、上部係合機能はレールトラックを備え、底部係合機能は少なくとも1つのレールガイドを備える。
【0014】
カートリッジの別の実施形態では、底部係合機能および上部係合機能は、摩擦適合係合機能、スナップフィット係合機能、またはそれらの組み合わせである。
【0015】
カートリッジの別の実施形態では、カートリッジは、複数の同様のカートリッジと解除可能に垂直にスタック可能である。
【0016】
フローアッセイカートリッジが第2のフローアッセイカートリッジと垂直にスタックされているカートリッジの別の実施形態では、カートリッジ蓋は、第2のフローアッセイカートリッジのカートリッジベースによってカバーされる。
【0017】
別の実施形態では、カートリッジは、さらに、カートリッジにフローアッセイ膜を備える。
【0018】
別の実施形態では、カートリッジは、さらに、分析装置と係合するための機能を備える。
【0019】
カートリッジの別の実施形態では、カートリッジ蓋は、カートリッジベースに可逆的に係合される。
【0020】
カートリッジの別の実施形態では、カートリッジ蓋は、複数の開口を有する。
【0021】
別の態様では、垂直に係合されたアッセイカートリッジのスタックから第1のアッセイカートリッジを係合解除することと、サンプルを第1のアッセイカートリッジに加えてアッセイを開始することと、第1のアッセイカートリッジを、複数の垂直に係合されたアッセイカートリッジのスタックの別のアッセイカートリッジに再係合することとを含む、フローアッセイ自動化方法が提供される。
【0022】
実施形態では、第1のアッセイカートリッジの、垂直に係合されたアッセイカートリッジのスタックからの係合解除は、自動化デバイスによって行われる。
【0023】
別の実施形態では、第1のアッセイカートリッジの、垂直に係合されたアッセイカートリッジのスタックからの係合解除は、第1のアッセイカートリッジをアッセイカートリッジのスタックから離れるように摺動させることによって行われる。
【0024】
別の実施形態では、方法は、さらに、アッセイの結果を分析することを含む。
【0025】
別の態様では、フローアッセイ膜と、フローアッセイ膜を受けるためのフローアッセイカートリッジとを備える診断テストデバイスであって、カートリッジは、カートリッジベースと、カートリッジベースと係合可能なカートリッジ蓋と、底部係合機能と、フローアッセイカートリッジの上に位置する第2のフローアッセイカートリッジの底部係合機能と解除可能に係合する上部係合機能とを備える、診断テストデバイスが提供される。
【0026】
別の態様では、フローアッセイ膜と、フローアッセイ膜を受けるためのフローアッセイカートリッジとを備える診断テストデバイスであって、カートリッジは、カートリッジベースと、カートリッジベースと係合可能なカートリッジ蓋と、カートリッジベース上の底部係合機能と、上部係合機能とを備え、第1のフローアッセイカートリッジの底部係合機能は、第1のフローアッセイカートリッジの下に位置する第2のフローアッセイカートリッジを第1のフローアッセイカートリッジに対して解除可能に摺動係合するために、第2のフローアッセイカートリッジの上部係合機能と係合され得る、診断テストデバイスが提供される。
【0027】
テストデバイスの実施形態では、解除可能な係合は、摺動係合である。
【0028】
別の実施形態では、テストデバイスはさらに、分析装置構成要素が分析装置における確実な移送のためにアッセイカートリッジと係合し得る実装部位を備える。
【0029】
別の実施形態では、底部係合機能および上部係合機能は、摩擦適合係合機能、スナップフィット係合機能、またはそれらの組み合わせである。
【0030】
別の実施形態では、底部係合機能および上部係合機能は、少なくとも1つのレールトラックおよび少なくとも1つのレールガイドを備える。
【0031】
別の実施形態では、底部係合機能および上部係合機能は、少なくとも2つのレールトラックおよび少なくとも2つのレールガイドを備える。
【0032】
本発明、加えて他の態様およびそのさらなる特徴のより良い理解のために、添付図面と併せて用いられる以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】複数の係合されたフローアッセイカートリッジの等角図である。
図2】フローアッセイカートリッジの底部の等角図である。
図3】フローアッセイカートリッジの蓋およびベースの上面等角図である。
図4】フローアッセイカートリッジの等角断面図である。
図5】フローアッセイカートリッジの蓋の底面等角図である。
図6】フローアッセイカートリッジのベースの上面等角図である。
図7a】フローアッセイカートリッジの閉側の等角図である。
図7b】フローアッセイカートリッジの開側の等角図である。
図8】フローアッセイカートリッジの側面断面図である。
図9】フローアッセイ膜の等角図である。
図10】垂直に係合されたフローアッセイカートリッジのスタックの正面図である。
図11】係合機能を有するカートリッジベースの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
特段の定義がない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者が一般に理解するのと同一の意味を有する。
【0035】
明細書および特許請求の範囲で用いられる単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって明確に別途記述されない限り複数の参照を含む。
【0036】
本明細書に用いられる用語「備える」は、それに続く一覧が非排他的であり、任意の他の追加の適切な項目、例えば、1つ以上のさらなる特徴(複数可)、構成要素(複数可)、および/もしくは要素(複数可)を適切に含んでもよくまたは含まなくてもよいことを意味すると理解されるであろう。
【0037】
本明細書に用いられる用語「接続する」および「接続されている」は、本開示の要素または特徴間の任意の直接的なまたは間接的な物理関連を指す。したがって、これらの用語は、接続されているとして記載されている要素または特徴の間に他の要素または特徴がたとえ介在するとしても、互いの内部に部分的にもしくは全体的に含まれる、互いに取り付けられる、結合される、配置される、一体とされる、連通する、動作可能に関連付けられる、または流体結合されるなどされた要素または特徴を表すと理解され得る。
【0038】
用語「フローアッセイ膜」および「ラテラルフローテストストリップ」は、本明細書で同じ意味で用いられるものであって、対象の構成要素を溶出させるのに用いられる一般に平面の基質を指す。フローアッセイ膜は、毛細管様フローを支持する表面性質を有する1つ以上の適切な多孔または無孔材料からつくられることが好ましい。フローアッセイ膜は、サンプルおよび/またはサンプルもしくはバッファ流体を受け、様々な領域または部位が1つ以上の試薬、フィルタなどを支持するためにそれに沿って設けられたかつそれを通ってサンプルが毛細管作用または他の力の影響下で横断する流体移送路または流路を含む。フローアッセイ膜は、以下に限定されるものではないが、薄膜または「乾式スライド」テスト素子、ラテラルフローアッセイデバイス、ペーパーマイクロ流体ベース分析デバイス(μPAD)、垂直フローアッセイデバイス、およびクロマトグラフィーデバイスを含み得る。フローアッセイ膜はまた、サンプルが加えられる、そして判定がその上でもしくはその中で行われる、または検体と試薬の反応が起きるキャリアまたはマトリクスまたは膜の組み合わせも指す。膜は、様々なサイズで提供されるが、より一般的なサイズは幅2~10mm、長さ30~100mmである。
【0039】
本明細書で用いられる用語「サンプル」は、成分の有無、成分の濃度などといった、その性質または成分のいずれかの定性判定または定量判定の対象とされることが意図される、ある容量の液体、流体、溶体、または懸濁液を指す。本明細書に記載の本発明の文脈における典型的なサンプルは、以下に限定されるものではないが、血液、血漿、血清、リンパ液、尿、唾液、精液、羊水、胃液、痰、唾液、粘液、涙、排泄物などといった人間のまたは動物の体液由来である。他のタイプのサンプルは、検査用に特定の組織成分を明らかにするために液体、溶体、または懸濁液へと処理されている人間または動物の組織サンプル由来である。用いられ得るサンプルの他の非限定的な例は、環境サンプル、食品産業サンプル、および農業サンプルである。
【0040】
本開示の用語「検体」、「対象検体」、および「対象種」は、サンプルに存在するあらゆる臨床的、診断的、または関連する化学もしくは生物検体を指す。対象検体は、以下に限定されるものではないが、抗体、ホルモン、分子、抗原、有機化学物質、生化学物質およびたんぱく質を含み得る。抗体のいくつかの非限定的な例は、食物抗原と結合する抗体、ならびに、例えば抗CCP、抗ストレプトリジン-O、抗-HIV、抗肝炎(抗-HBc、抗-HBsなど)、ボレリア菌に対する抗体、および微生物タンパクに対する特定の抗体といった、ウィルスおよび細菌などの病原菌と結合する抗体を含む。
【0041】
本明細書で用いられる用語「分析装置」は、様々な分析テストまたはフローアッセイデバイスの自動化処理を可能とし複数のテストデバイスを処理することができる任意の装置を指す。分析装置は、複数の分析テスト素子を自動でまたは半自動で搭載、培養、テスト、移送、そして評価するように構成されかつサンプルおよび/または他の流体が実質的にユーザの介入なしで自動的に供給され処理され得る複数の構成要素を備え得る。分析装置は、以下に限定されるものではないが、臨床診断装置およびポイントオブケアタイプのデバイスを含む。
【0042】
本明細書で用いられる用語「反応」は、サンプルの成分と少なくとも1つの試薬またはテストデバイスの基質上のもしくは基質内のもしくは基質に加えられた試薬の間に、または、サンプルに存在する2つ以上の成分の間に起こる任意の相互作用を指す。用語「反応」は、検体の定量判定または定性判定の一部としてテストデバイス上の検体と試薬の間に起こる反応を規定するのに用いられる。
【0043】
ハイスループット自動化ラテラルフローアッセイテストおよび分析に適合されているフローアッセイ膜またはラテラルフローテストストリップを収容し保護するためのフローアッセイカートリッジが本明細書に記載される。フローアッセイカートリッジは、2つ以上のフローアッセイカートリッジが垂直スタックにおいて解除可能に接合され得るような係合機能、または、複数のフローアッセイカートリッジが自動化アッセイ装置によって容易に処理され得るような構成を備える。目下記載されているアッセイカートリッジは、自動化または半自動化ラテラルフローアッセイ分析装置およびポイントオブケア診断デバイスで用いられ得る。フローアッセイカートリッジは、フローアッセイストリップまたはフローアッセイ膜を収容し保護し、自動化分析装置におけるフローアッセイストリップの移送および移動のために、製造、分布、格納の際、堅牢性を提供する。固体アッセイカートリッジは、さらに、フローアッセイ膜ストリップの平面基質およびその内部の検出領域への損傷、破砕、または汚染なしに、分析装置における1つ以上の移動機構によって移動可能である。
【0044】
以下の例示的な実施形態は、1つ以上の他のフローアッセイカートリッジに垂直に接続可能であるフローアッセイカートリッジの構成および設計に関する。
【0045】
図1は、摺動可能な垂直係合を有する4つのフローアッセイカートリッジのスタックであり、スタックの底部フローアッセイカートリッジがその上のカートリッジに対して外側に摺動している等角図である。各個別のアッセイカートリッジは、カートリッジベース4、または、フローアッセイ膜およびカートリッジ蓋6を収容するベースを有する。カートリッジベース4は、診断フローアッセイテスト用のフローアッセイ膜を受け支持することが可能であり、フローアッセイ膜の全体を支持し、保持し、維持するための様々な内部構成を有し得る。カートリッジ蓋6は、様々なサンプル、試薬、および/または流体を受けるため、かつ、フローアッセイ膜が溶出される前、その最中、およびその後を含む様々な時間においてフローアッセイ膜を視覚化するために用いられ得る複数の開口を備える。例示されたカートリッジは、バッファポート20、サンプル追加ポート22、2つの品質制御(qc)窓34aと34b、およびアッセイの結果を見るための結果窓26を備える。カートリッジ蓋6の開口の数および配置および設計は、望まれるアッセイ設計およびフローアッセイ膜の構造に応じて変わり得ることが理解される。
【0046】
フローアッセイカートリッジは、2つ以上のカートリッジの垂直係合を、カートリッジが互いと係合され得互いから係合解除され得るように、可能とする垂直係合機能を備える。理論に縛られず、係合されたフローアッセイカートリッジの垂直スタッキングは効率的なカートリッジ格納、パッケージ化、方向付け、および処理を可能とし得、アッセイカートリッジのスタックの単一ユニットとしての移動および移送を可能とすることが分かっている。実験室でまたはポイントオブケア設定で、複数のアッセイカートリッジの同時処理は、処理時間を節約しエラーリスクを低減させる。カートリッジはまた、処理しやすくするために、一体にパッケージ化され、係合された垂直スタックにおいて供給され得る。さらに、移送および培養中の各アッセイカートリッジの蓋の開いている開口の保護は、垂直スタックにおける上のカートリッジによってもたらされる。カートリッジ蓋の開口を、その上のアッセイカートリッジのカートリッジベースでカバーすることによって、フローアッセイカートリッジ内部のフローアッセイ膜に、例えば自動化または半自動化分析装置において、移送中にかつ/または処理中に保護を、加えてアッセイランニング中に局所的に制御された湿度がもたらされ得る。特に、溶出中にフローアッセイカートリッジの上部の開口をカバーすることは、バッファまたは溶離液の蒸発を遅らせ得、また、アッセイテストの溶出中に汚染および/または湿度損失から保護されているローカルチェンバも提供し得る。
【0047】
示されるフローアッセイカートリッジは、カートリッジ蓋6上に摺動レールトラック32を有し、それは、上部係合機能として機能し、その上のアッセイカートリッジの底部の底部係合機能(図示せず)の1つを受け係合するように構成され、底部係合機能は、レールトラック32内部に摺動適合する。示される実施形態では、底部アッセイカートリッジ上のレールトラック32は、その上のカートリッジのベース上のレールガイド(図示せず)と摺動整合して係合して、レールガイドがレールトラック32内部に摺動し、強固であるが可逆的な摺動係合を形成するようにする。レールトラックおよび係合されたレールガイドの設計は、係合されたフローアッセイカートリッジの両方向の直線摺動を可能とし得、特に、カートリッジのバッファポート20端部とフローアッセイカートリッジの反対端部の両方からのカートリッジの摺動および/または分離を可能とする。任意選択的に、1つ以上の止め機能が、カートリッジ蓋6またはカートリッジベース4のいずれかに提供され得、レールガイドに対するスライドレール32の摺動を一方向のみに制限し、または、所望にしたがって垂直にスタックされたアッセイカートリッジの完全分離を防ぐ。2つの垂直にスタックされたアッセイカートリッジの摺動する解除可能な係合を提供する上部係合機能および底部係合機能の任意の組み合わせが用いられ得、それには、示すような直線摺動係合機能、加えて摩擦適合係合、およびそれらの組み合わせの様々な構成が含まれる。示されるレールトラック32は、ダブテールスライドであり、カートリッジベース上のダブテールレールガイドと合致している。以下に限定されるものではないが、円形断面を有するボールレールとトラック、およびレールトラックと摺動噛合する部位を提供する2つ以上の突出部を有する連続的なまたは半連続的なレールガイドを含む様々な他の接合部が想定される。2つのカートリッジの垂直スタッキングを可逆的に固定可能に可能とする上部係合機能および底部係合機能は、カートリッジ上のどこにでも存在し得ると理解される。直線運動摺動適合において、長手方向レールトラック(細長いチャネル)と補完的なレールガイド(チャネルで摺動的に受けられ得る機能)の2つの機能は各々、カートリッジの上部または底部のいずれかに在り得、それらが一体となり解除可能であるが固定可能に接合され得ることをもたらす。2つのカートリッジの摩擦適合係合も用いられ得、2つのカートリッジが可逆的に係合解除され再係合され弾発運動を用いて整列され得るようなスライドおよび/またはレールに可鍛もしくは変形材料を、または、例えば2つ以上の変形可能なポストおよび/もしくは開口構成などの同一の機能性を提供する機能を用いることを含む。アッセイカートリッジはまた、1つ以上の任意選択的なバーコード46を有し得、それは、光学式読取り装置によって読み取られ得る画像として格納された任意のデジタルデータであり得る。代替として、アッセイカートリッジは、例えば、RFIDタグまたは電磁ラベルといった1つ以上の他の識別タグを有し得る。
【0048】
図2は、係合されたカートリッジ蓋6およびカートリッジベース4を有するフローアッセイカートリッジ2の底部の等角図である。アッセイカートリッジの底部は、アッセイカートリッジの上部のレールトラックに摺動可能に適合する複数のレールガイド44a、44b、44c、44dを備える摺動可能な長手方向底部係合機能を有する。カートリッジベースはまた、任意選択的に、分析装置の構成要素が分析装置における固定的な移送のためにアッセイカートリッジと係合し得る場所を提供する1つ以上の搭載部位40も有し得る。搭載部位は、分析装置上の補完的機能と共に搭載するための摺動または摩擦適合係合場所であり得、例えば、直線スライド、トラック、またはガイド、または分析装置における補完的ペグもしくは突出部を受けるための1つ以上の開口であり得る。これらの係合機能は、ベースまたは蓋の一部として交換可能に含まれ得る。自動化分析装置の移動機構における補完的突出部は、搭載部位40と係合して、自動化または半自動化分析装置におけるカートリッジの移動のために固定された可逆係合のための場所を提供することができる。搭載部位またはカートリッジ上の他の搭載機能の任意の構成は、アッセイ結果の視覚化および分析のためにかつアッセイカートリッジを分析装置の周辺で全般に移動させるために、アッセイカートリッジが、それが係合されている別のアッセイカートリッジから分離され、サンプル、可動流体、または任意の他の流体を加えるために分析装置の移動機構によって移動され得るような、アッセイカートリッジの、分析装置移動機構との可逆的な結合に有用性を有すると理解される。アッセイカートリッジが、図1に示すような垂直スタッキング構成を有するとき、自動化分析装置の移動機構は、搭載部位40に補完的な分析装置の係合開口と係合し、アッセイカートリッジをその上のアッセイカートリッジから摺動可能に係合解除し得る。さらに、カートリッジ上の搭載機能の任意の構成は、自動化分析装置の外側を処理中、摺動摩擦により垂直カートリッジスタックが実質的に一体に保持されるように、具体的な物理的干渉と一体適合し得る。特に、第1のカートリッジの底部係合機能と第2のカートリッジの上部係合機能に沿う2つのアッセイカートリッジの係合は、カートリッジを垂直スタックされた構成で維持するがそれでも十分な摩擦が加えられたとき摺動移動を可能とする十分な摩擦を有し得る。
【0049】
図3は、2ピースのフローアッセイカートリッジ2のカートリッジ蓋6およびカートリッジベース4の上面等角図である。カートリッジベース4は、ベース、2つの長辺、および2つの短辺を有し、カートリッジベース底部の上の空洞の適所に保持されているフローアッセイ膜を支持し、カートリッジベースのカートリッジ蓋6との係合により適所にさらに保持され得る。フローアッセイカートリッジ2は、ラテラルフローアッセイ膜またはストリップを包含し、バッファ、サンプル、任意の追加剤の追加、および反応の検出を可能にし、カートリッジ処理中、フローアッセイ膜を保護する。別体のカートリッジ蓋6は、カートリッジベース4と係合して、カートリッジ内部のラテラルフローアッセイ膜を固定し保護する。一実施形態では、カートリッジ蓋6は、留め具と留め具開口の組み合わせ、加えて係合機能同士の干渉による摩擦を用いてカートリッジベース4に固定されて、カートリッジ同士が離れるように自在に摺動することを防ぐことができる。示すように、カートリッジ蓋6における留め具24a、24c、24e(およびカートリッジ蓋の反対側の他の留め具)は、カートリッジベース4の補完的な留め具開口と係合して、カートリッジ蓋6のカートリッジベース4との係合の堅牢な場所を提供する。他の留め具および補完的な留め具構成もまた可能であり、任意選択的に係止機能を有する、ポストと開口留め具、クリップ、及び他の摩擦適合留め具を含む。カートリッジ蓋6はまた、カートリッジベース4と可逆的にまたは不可逆的に係合され得、カートリッジベースおよび蓋上の補完的な留め機能の選択および設計は、アッセイの所望のセットアップに依ることとなろう。蓋およびカートリッジのヒンジまたは永久取付け機能もまた、カートリッジ蓋とカートリッジベースを整列かつ係合するのに用いられ得る。
【0050】
カートリッジ蓋6の結果ポート26は、検出領域の周りまたはその上に配置されて、1つ以上の検出器が、カートリッジ内部のフローアッセイ膜の検出領域において反応を検出することを可能とする。ラテラルフローアッセイデバイスの様々な構成が知られており、以下に限定されるものではないが、デバイス寸法、材料、基板の多孔性、基板上のトポグラフィー特徴の有無、チャネル形状と構成、ならびにチャネルおよび/またはフローアッセイ膜の製造方法の変形が含まれる。カートリッジ蓋6はまた、可動流体、サンプル、試薬、結合剤、検出剤、制御結合パートナー、標識抗体、および所望のアッセイを実行するための他の物質を追加するための、かつ、成分の有無を検出するための様々なポートも提供する。バッファポート20は、カートリッジ内部へのかつバッファ井戸内へのかつ/または直接的なフローアッセイ膜上への可動流体の追加に用いられ得る。1つ以上のサンプル追加ポート22は、1つ以上のサンプルおよび/または試薬を、カートリッジ蓋を通してフローアッセイ膜へ追加するのに用いられる。カートリッジ蓋はまた、アッセイテストの有効性を確認するためにカートリッジ内部のフローアッセイ膜の視覚化を可能とする1つ以上の制御もしくは品質制御窓34または開口も有し得、特定の物質もしくは構造の有無を確認、または、アッセイが実行される前、その最中、またはその後にフローアッセイ膜の完全性を確認する。
【0051】
示される2ピースのフローアッセイカートリッジでは、レールトラックは、係合に際してカートリッジ蓋6とカートリッジベース4の間の噛合面に隣接して形成される。カートリッジベース4の底部のレールガイド44は、底部係合機能として機能し、係合されたカートリッジ蓋6とカートリッジベース4の間に形成されたレールトラック内に適合する。カートリッジベースは、複数の個別のまたは連続する案内係合機能すなわちガイド44を備え得、カートリッジベース4の底部の長辺の各々に少なくとも2つの短いガイドまたは少なくとも1つの長いガイドが存在するのが好ましい。一実施形態では、レールガイドは、カートリッジのベースからの複数の突出部を備え、レールトラックは、レールガイドを受けるように構成されている。別の実施形態では、レールガイドは、連続的な突出部であり、レールトラックは、レールガイド(複数可)と適合し係合するように構成された1つ以上のくぼみを有する。他の摺動係合機構が用いられ得、以下に限定されるものではないが、摺動ダブテールトラックとガイド(複数可)、および摺動舌部と溝トラックとガイド(複数可)が含まれる。別の代替実施形態では、2つのカートリッジの係合は、解除可能な摩擦適合であり得、補完的な突出部と開口を備え、突出部と開口の整列が、2つのカートリッジ間に解除可能な接続をもたらす。係合機能の任意の構成は、垂直にスタックされたカートリッジが処理中に一体のままであるが、分析装置の移動機構によって容易に分離されるように設計され得る。
【0052】
図4は、フローアッセイカートリッジ2の係合されたカートリッジベース4とカートリッジ蓋4の等角断面図であり、カートリッジの内部構造を示す。示されるカートリッジベース4は、レールガイド44a、44b、44cを有し、それらは、垂直配置において下に係合された別のフローアッセイカートリッジのレールトラックにおける摺動可能な垂直係合を可能とする。バッファポート20は、カートリッジ蓋6を通してバッファ井戸42へのアクセスを提供する。サンプル追加ポート22および品質制御窓34、結果窓26、および追加制御窓28は、物質を加えるため、ならびにテストと分析の目的のために、カートリッジ内部に収容されているフローアッセイ膜へのアクセスを提供する。アッセイカートリッジで受けられ得、任意選択的にカートリッジベースの床部によって支持され得るフローアッセイ膜は、一般に、狭く長く、サンプルは、膜の端部の一方に加えられ、可動流体によって検出領域へと運ばれる。様々なクロマトグラフおよびイムノアッセイが当技術分野で知られており、目下記述されているアッセイカートリッジと共に用いられ得る。
【0053】
図5は、フローアッセイカートリッジの取り外し可能なカートリッジ蓋6の底面等角図である。示されるカートリッジ蓋6は、フローアッセイ膜の視覚化または検出のための複数の開口または窓、加えて、材料、物質、流体、および/もしくはサンプルのフローアッセイ膜との物理的接触およびそれらの適用を可能とする複数のポートを有する。示されているのは、バッファポート20、サンプル追加ポート22、品質制御窓34、および結果窓26であるが、他のカートリッジ蓋の設計が、アッセイの設計および要件に応じて、異なる数およびタイプのポートおよび開口を有し得ることが理解される。これらの構成要素は、サンプルおよび液体が加えられること、そして、結果がカートリッジから分析されることを可能とする。1つ以上の任意選択的な膜ガイドは、フローアッセイ膜の、正しい方位におけるかつカートリッジ内部の好ましい位置における位置決めを助けることができる。特に、示される膜ガイド30は、バッファポート20におけるカートリッジ蓋の底部側から延在して、カートリッジ蓋6がカートリッジベースと係合したときにフローアッセイ膜のコンジュゲートパッドを押し下げて、コンジュゲートパッドを傾斜させ、バッファ井戸およびバッファ井戸内部の任意のバッファと接触させて流体の流れを促進するようにする。
【0054】
図6は、取り外し可能なカートリッジ蓋を有するフローアッセイカートリッジのカートリッジベース4の上部等角図である。カートリッジベース4は、2つのカートリッジ長辺10a、10b、および2つのカートリッジ短辺12a、12bを有する。カートリッジベース4は、カートリッジ蓋6の留め具の取付けを促進する複数の留め具開口16a、16b、16c(そのうちの3つのみがラベル付けされている)を有する。バッファ井戸42は、ランニングバッファまたは流体を受け、アッセイの実行のためにフローアッセイ膜によって用いられる。
【0055】
図7aは、ヒンジ付けされたカートリッジ蓋を有するフローアッセイカートリッジの閉側の等角図である。カートリッジ蓋6は、ヒンジ14を通してカートリッジベース4と整列される。ヒンジは、他の構成要素とともに機能して、カートリッジ蓋6をカートリッジベース4にしっかりと取り付けるための正確な配列を促進する。
【0056】
図7bは、ヒンジによって取り付けられたカートリッジ蓋6およびカートリッジベース4を有するフローアッセイカートリッジの開側の等角図である。留め具24a、24b、24c、24d、24eは、それぞれ留め具開口16a、16b、16c、16d、16eと整列して、カートリッジ蓋6をカートリッジベース4に固定する。この構成は単構造ヒンジ付けフローアッセイカートリッジを有して示されるが、留め具および補完的な留め具開口の同様の構成が2ピース構造で用いられ得ることが理解される。
【0057】
図8は、フローアッセイ膜を受けるためのフローアッセイカートリッジの側面断面図である。バッファポート20は、ランニングバッファを格納するバッファ井戸42内へ向けて、ランニング流体を受ける。サンプル追加ポート22は、サンプルをフローアッセイ膜に導入するための開口である。結果窓26は、フローアッセイ膜の検出領域への視覚的アクセスを提供し、そこでは結果を視覚化または画像化することができる。1つ以上の追加制御窓または品質制御窓がカートリッジ蓋に存在して、アッセイ前に成分の存在を確認することまたはテスト終了後にテスト結果の有効性を確認することができる。レールガイド44a、44b、44c、44dは、示されているアッセイカートリッジの下にある別のアッセイカートリッジの垂直係合を、下にあるアッセイカートリッジ上の長手方向レールトラックと係合することによって容易にする。
【0058】
図9は、目下記載されているフローアッセイカートリッジで用いられ得るフローアッセイテストストリップ50またはフローアッセイ膜の例の等角図である。ラテラルフローアッセイでは、コンジュゲートパッド52またはフローアッセイ膜上のサンプル追加領域に十分なバッファまたは流体サンプルを導入すると、自然発生的に、膜の検出領域に向けてアッセイ膜に沿う毛細管流動が誘導される。流体流路とも呼ばれる、膜に沿う流体流の方向が、矢印で示される。ラテラルフローまたはアッセイテストストリップが、示される例示的な実施形態に関して以下の記載で言及されるが、他のフローアッセイテストストリップデバイス設計およびこれらの設計の可能な変形も、本明細書に記載するように、特に自動化分析装置において、目下記載されているフローアッセイカートリッジとの相互関係に対して同様に構成され得ることが容易に明らかとなろう。示されるテストストリップは、流体流の方向において、コンジュゲートパッド52、サンプル追加領域56、検出領域58、およびウィッキング領域54を備える。代替設計では、十分なサンプルおよび可動流体が、サンプル追加領域またはサンプルパッドに直接加えられ得、さらなるバッファまたはランニング流体を必要とすることなく、テストストリップの膜における適切な毛細管流動を提供する。示されている実施形態では、流体流路の第1の端部におけるコンジュゲートパッド52は、サンプル流体を、カートリッジのバッファ井戸またはバッファポートからラテラルフローテストストリップに沿って所望の方向で引き出す。ウィッキング領域54のウィックは、毛細管力を提供して、可動流体またはバッファを、テストストリップの膜内へかつテストストリップのサンプル追加領域56を通して引き寄せ、移動させる。ウィッキング領域54は、例えばニトロセルロースなどの多孔質材料を含み得る。コンジュゲートパッド52は、任意選択的に屈曲可能であり、任意選択的な固体支持体60から離れて延在することが示され、アッセイカートリッジベースの低下したバッファ井戸を収容し、アッセイカートリッジベースおよび/または蓋の任意選択的なウィックガイドによってさらに位置決めされる。フローアッセイストリップの設計における明らかな非対称性は、アッセイカートリッジ内でのフローアッセイストリップの組立ての簡便性ももたらし、フローアッセイストリップがカートリッジ内部で正確に整列されるように流路の方向性ももたらす。任意選択的に、親水性箔または層が、アッセイ膜の少なくとも一部上に直接配置され得、フローアッセイデバイスに加えられたサンプルの全体流量または処理時間を向上させる。テストストリップはまた、任意選択的に、1つ以上の流れチャネルを備え得、任意選択的に、膜基質の表面へと切断またはプレス加工される。流体流路はまた、1つ以上の試薬、抗体、または検出コンジュゲートを含むさらなる別の領域、また、サンプルおよびその任意の結合成分または非結合成分を洗浄するために利用され得る流体路に沿う他の領域または場所も含み得る。アッセイ膜はまた、例えばpHレベルまたは粘度などのサンプル性質を調整するように任意選択的に処理され得る。任意選択的な蓋またはカバーは、サンプル追加領域56の下流のテストストリップの上部に、ラテラルフローテストストリップ50の下流部分に対する物理的な保護部として、アッセイの結果を、フローアッセイストリップをカートリッジから取り外すことなく検出することができるような検出領域58におけるテスト検出デバイスへの透明性をもって、配置され得る。検出領域58は、サンプルにおける対象検体に結合可能な固定化された結合種を備え、加えられたサンプルに対象検体が存在する場合、検出可能な種が任意選択的に追加されると、対象検体が、固定化された結合種に結合し、検出され得るようにする。
【0059】
使用中、サンプルパッドとも一般に称されるサンプル追加領域56は、サンプルを、任意選択的に自動化分析装置のディスペンサを介して、カートリッジ蓋のサンプルポートを通して受ける。サンプル追加領域56に加えられたサンプルは、バッファによってピックアップされ、テストストリップ50内に引き込まれ、アッセイ膜基質上の反応領域または検出領域58を通ってウィッキング領域54に向けて延在する流体流路に沿って生成された毛細管力の下で、サンプル追加領域から、アッセイ膜の実質的に平面な基質上を流れる。1つ以上の試薬または検出剤は、サンプル追加領域56と検出領域58の上流の間の膜上の位置において、アッセイの実行前またはその最中に、膜上に追加され得るまたは事前搭載され得、その場所は、いくつかのイムノアッセイデバイスではコンジュゲートリリース領域と呼ばれている。一例では、試薬追加領域は、ウィッキング領域54内への流体流路に存在するサンプルおよび他の非結合成分を洗浄するのに用いられ得る中断試薬を加えるのに用いられ得る。試薬は、使用前に試薬領域に加えられ試薬領域上で潜在的に乾燥され得るか、または、分析装置上で試薬計量デバイスを用いて使用直前に試薬領域に加えられ得るか、または、その両方である。試薬はまた、任意選択的な試薬計量デバイスを介して加えられ得る。加えられ得る試薬は、以下に限定されるものではないが、イムノアッセイ用の抗体または抗原などの結合パートナー、検出剤、コンジュゲート抗体、標識分子、フルオロフォア、バイオマーカー特異抗体、共鳴エネルギー移動(RET)対およびそれぞれの標的検体を有するまたは有さないDNAおよびRNAアプタマー、酵素アッセイ用の基質、分子診断アッセイ用のプローブ、および一体化した試薬を安定させる材料、干渉反応を抑制する材料などの補助材料などが含まれる。一般に、反応に有用な試薬の1つは、本明細書で論じるように検出可能な信号を有する。場合によっては、試薬は、直接または一連の反応を通して検体と反応して、着色分子または蛍光分子などの検出可能な信号を形成し得る。1つの好ましい実施形態では、試薬領域は、コンジュゲート材料を含む。「コンジュゲート」という用語は、検出要素と結合パートナーの両方を保持する任意の部分を意味する。使用の際、流体サンプルは、デバイスにおけるサンプル追加領域56に導入され、検出領域58上の1つ以上のテストラインおよび1つ以上の制御ラインへと流体流領域内を流れるだろう。検出またはテスト領域は、サンプル領域内の標的成分と反応するまたはそれを検出するのに有用である1つ以上の試薬を含む。イムノアッセイにおいて特に、流体が膜の下流に移動すると、コンジュゲート抗体は、コンジュゲートパッド上で運ばれ、標的は、それらの合致する抗体と結合する。検出領域58は、1つ以上のテストラインおよび1つ以上の制御ラインを備え、アッセイカートリッジの結果窓を通して検出することができる結果または反応が検出領域58上で生じる。テストストリップ50はまた、サンプル追加領域56内にかつ/またはその下流に配置され得る任意選択的なフィルタ材料も備え得、サンプルから微粒子をろ過し、例えば、加えられた血漿がデバイスを通り抜け得るように、血液から血球または特定の物質をろ過または捕集する。
【0060】
本明細書に記載のデバイスの物理的構造などのフローアッセイデバイスの構成要素は、例えば、共重合体、混合物、積層物、金属化箔、金属化フィルムもしくは金属、ワックス、接着剤、または当業者に知られている他の適切な物質、およびそれらの組み合わせから作られ得る。代替として、デバイス構成要素は、以下の材料:パラフィン、ポリオレフィン、ポリエステル、スチレン含有ポリマー、ポリカーボネート、アクリル重合体、塩素含有ポリマー、アセタールホモポリマーとコポリマー、セルロースとそれらのエステル、硝酸セルロース、フッ素含有ポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、硫黄含有ポリマー、ポリウレタン、シリコン含有ポリマー、他のポリマー、ガラス、およびセラミック材料、または当業者に知られている他の類似物質のいずれか1つまたはそれらの組み合わせ上に沈着された共重合体、混合物、積層物、金属化箔、金属化フィルムもしくは金属から作られ得る。代替として、デバイスの構成要素は、プラスティック、ポリマー、エラストマー、ラテックス、シリコンチップ、または金属で作られ得る。一例では、エラストマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、シリコンエラストマー、またはラテックスを備え得る。代替として、デバイスの構成要素は、ラテックス、ポリスチレンラテックス、または疎水性ポリマーから作られ得る。一例では、疎水性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはポリエステルを備え得る。代替として、デバイスの構成要素は、TEFLON(登録商標)、ポリスチレン、ポリアクリレート、またはポリカーボネートを備え得る。代替として、デバイスの構成要素は、エンボス加工、圧延、もしくは射出成型可能なプラスティックから、または、様々な長鎖アルカンチオールをその上に吸着させ得る銅、銀、もしくは金のフィルムの表面から作られ得る。圧延または射出成型されることが可能なプラスティックの構造物は、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、またはシクロオレフィンポリマーを備え得る。
【0061】
本カートリッジシステムは、特に、膜が捕捉抗体で被覆され、サンプルが加えられ、任意の抗原の存在が捕捉抗体に結合するサンドイッチアッセイで通常あるイムノアッセイ形式に有用である。イムノアッセイでは、検出抗体が、サンプルにおける抗原と結合し、酵素結合の二次抗体が、検出抗体にまたは抗原に結合し、流体における基質が酵素によって検出可能な形に変換される。自動化システムでは、検出は、カメラまたは他の検出システムなどの視覚化システムを用いて自動的に行うことができる。
【0062】
図10は、3つのフローアッセイカートリッジのスタックの正面図である。示すように、レールガイド44a、44bは、それぞれレールトラック32a、32b内に適合して、2つのカートリッジが互いに対して摺動することができるように、確実かつ可逆的な摺動係合を形成する。複数のカートリッジの摺動係合は、内部に収容されているアッセイ膜ストリップへの損傷を制限するためにカートリッジの移動を制限しながら、製造業者から使用場所へのカートリッジセットの移送の系統的かつ安全な方法を提供する。さらに、関連するアッセイ膜アッセイを有するカートリッジのスタックは、分析装置内へ容易に搭載するために一体にパッケージ化され得る。
【0063】
各カートリッジはまた、圧力を加えて矢印「A」で示すようにカートリッジベース4のレールガイド44a、44bを互いから離れるように移動させ、それらがカートリッジ蓋6の幅広い上部に適合しレールトラック32a、32b内に配置され得るようにすることによって、別のカートリッジ上に摩擦スナップ可能であることが好ましい。このスナップフィット機能は、2つのスタックのカートリッジが、分析装置によって単一のアッセイ実行で分析されるために一体適合されることが望ましいときにまたは単一のカートリッジが既存のスタックに追加されることが望ましいときに有用であり得る。
【0064】
使用中、記載されているカートリッジに、アッセイ膜の検出領域に様々な固定化種を有する様々なアッセイ膜が提供され得る。例えば、異なるアッセイ膜が、サンプルにおける異なる対象検体に対するテストのためにカートリッジ内に配置され得、複数のテストが、単一の分析装置の実行において単一のサンプルに対して行われることを可能とする。様々なアッセイカートリッジセットは、複数の対象検体を一度に単一のカートリッジセットでテストすることによって、特定のサンプルの内容に関する多くの情報をテストし提供するためのポイントオブケアセンターに対して利用可能であり得る。環境水サンプルに対して、例えば、水サンプルは、1つ以上の微生物を検出するために各々が異なる固定化種を有するアッセイ膜のセットを提供することによって、複数の微生物の存在に対してテストされ得る。アッセイ膜カートリッジの垂直スタックのモジュールセットの適用はまた、自動化分析装置を用いる様々な抗体に対する抗体テストに非常に有用であり得る。例えば、アレルギーテストにおいて、様々なアッセイカートリッジセットが設けられ得、それらは、患者が特定の抗原に対する抗体を有するかどうかをテストするために様々な抗原で事前調整される。「ペット」アレルギーに対するカートリッジセットは、例えば、猫のふけ、犬のふけ、馬のふけ、齧歯類のふけの存在に対してテストするための個別のカートリッジを有するポイントオブケアセンターに提供され得る。「食べ物」アレルギーに対する別のアッセイカートリッジセットにおいて、セットは、食べ物アレルギーの大部分を引き起こすアレルゲン、具体的には乳、卵、ピーナッツ、木の実、大豆、小麦、魚、および甲殻類をテストするための個別のカートリッジを備え得る。食べ物アレルギーおよびペットアレルギーの両方を有することが疑われる患者に対して、2セットのカートリッジが、ポイントオブケアセンターに提供され、両方のセットにおけるアレルゲンの全てに対するアレルギーテストが患者からの単一の生体サンプルを用いて単一の分析装置実行で行うことができるように、係合可能に一体にスタックされ得る。異なるアレルゲンセットを有する他のアレルギーキットも提供され得る。例えば、薬物アレルギー、昆虫アレルギー、ラテックスアレルギー、草アレルギー、モールドアレルギー、金属アレルギー、および花粉アレルギーなどを含むいくつかである。
【0065】
図11は、係合機能を有するカートリッジベースの正面図である。複数のレールガイド44は、その下にある別のカートリッジのレールトラックと摺動係合するように構成されている底部係合機能として作用するとして示される。
【0066】
本明細書において記述される全ての公報物、特許、および特許出願は、本発明が関連する分野の当業者の技術レベルを示し、参照によって本明細書に援用される。発明はこのように記載されており、同一物が様々に変形し得ることが明らかであろう。そうした変形は、発明の範囲から逸脱すると見なされず、当業者に明らかであろうそのような全ての変形物は、以下の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】