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特表2023-519629非団塊物質から団塊物質を選別するためのおよび水域の底から物質を取り出すための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-11
(54)【発明の名称】非団塊物質から団塊物質を選別するためのおよび水域の底から物質を取り出すための装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 5/00 20060101AFI20230501BHJP
   B63C 11/00 20060101ALI20230501BHJP
   E21B 7/124 20060101ALI20230501BHJP
   E21C 50/00 20060101ALI20230501BHJP
   E21C 45/00 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
E02F5/00 B
B63C11/00 D
B63C11/00 E
E21B7/124
E21C50/00
E21C45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560273
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2021056106
(87)【国際公開番号】W WO2021197784
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】20167672.3
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512325314
【氏名又は名称】ソイル マシン ダイナミクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SOIL MACHINE DYNAMICS LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・グレーム・ウォーカー
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー・ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】シャーロット・アンダーソン
【テーマコード(参考)】
2D065
2D129
【Fターム(参考)】
2D065DB05
2D065FA05
2D065FA13
2D065FA23
2D129AA01
2D129BA03
2D129BA05
2D129CA06
2D129CB11
2D129DC13
(57)【要約】
海底から物質を取り出すための車両(6)装置が開示される。この車両は、車両を垂直方向に移動させるための第1の推進機(10)と、車両を水平方向に移動させるための第2の推進機(12)とを備える。収集ユニット(16)が、海底から物質を取り出し、ラッチング機構(42)が、取り出された物質を水面上の船舶へ輸送することを可能にするためにライザーに対して連結されるように適合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非団塊物質から団塊物質を選別するための装置であって、
団塊物質および非団塊物質を含む液体を受けるための少なくとも1つの容器と、
団塊物質および非団塊物質を含む液体を少なくとも1つの前記容器に進入させ得るようにするための少なくとも1つのそれぞれの入口と、
液体を少なくとも1つの前記容器から退出させ得るようにするための少なくとも1つのそれぞれの第1の出口と、
液体を少なくとも1つの前記容器から退出させ得るようにするための少なくとも1つのそれぞれの第2の出口であって、少なくとも1つの前記第2の出口は、対応する前記容器上に設けられた少なくとも1つの前記第1の出口よりも高い位置に配置され、少なくとも1つの前記入口を経由して前記容器内へ液体が進入することにより、前記液体の速度が低下する、少なくとも1つのそれぞれの第2の出口と
を備える、装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記入口から少なくとも1つの前記第2の出口までの最短経路を遮るための障壁手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記障壁手段は、少なくとも1つのプレートからなる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記障壁手段は、液体を前記障壁手段の下方に通過させることにより少なくとも1つの前記入口から少なくとも1つの前記第2の出口へ移動させる、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記第1の出口に向かって液体流を方向変更するための流れ方向変更手段をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記流れ方向変更手段は、湾曲状表面を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの前記容器は、少なくとも1つの前記第1の出口に向かってテーパ状をなすそれぞれの本体を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つの前記容器は、少なくとも1つの前記第1の出口に向かって傾斜する下方表面を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つの前記入口は、少なくとも1つの前記入口から少なくとも1つの前記第1の出口へ延在する方向に対して横軸方向において、前記容器の実質的に中央の部分に向けられる、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの前記入口は、ノズルを画成する、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの前記入口へと液体を送るための、および/または少なくとも1つの前記第1の出口から液体を送るための、および/または少なくとも1つの前記第2の出口から液体を送るためのポンプ手段をさらに備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
水域の底から団塊物質を取り出すための装置であって、
水域の底に対して前記装置を移動させるための移動手段と、
前記水域の前記底から団塊物質を取り出すための物質取出し手段と、
前記取り出された団塊物質を前記水域の水面上の船舶へと輸送することを可能にするために導管へ連結されるように適合されたコネクタ手段と、
請求項1から11のいずれか一項に記載の、非団塊物質から団塊物質を選別するための装置と
を備える、装置。
【請求項13】
水域の底から物質を取り出すための装置であって、
水域の底に対して実質的に垂直方向に前記装置を移動させるための第1の移動手段と、
前記水域の前記底に対して実質的に水平方向に前記装置を移動させるための第2の移動手段と、
前記水域の前記底から物質を取り出すための物質取出し手段と、
前記取り出された物質を前記水域の水面上の船舶へと輸送することを可能にするために導管へ連結されるように適合されたコネクタ手段と
を備える、装置。
【請求項14】
前記第1の移動手段は、少なくとも1つの推進機を備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第2の移動手段は、少なくとも1つの推進機を備える、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記第2の移動手段は、複数のキャタピラを備える、請求項13から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
水中における前記装置の重量を軽減するための浮力手段をさらに備える、請求項13から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記取り出された物質を船舶へ輸送する前に前記物質を収容するための収容手段をさらに備える、請求項13から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
水域の底から団塊物質を取り出すための装置であって、
水域の底に対して前記装置を移動させるための移動手段と、
前記水域の前記底から団塊物質を取り出すための物質取出し手段と、
前記取り出された団塊物質を前記水域の水面上の船舶へと輸送することを可能にするために導管へ連結されるように適合されたコネクタ手段と
を備え、
前記物質取出し手段は、少なくとも1つの入口と、前記水域の前記底に係合するための海底係合手段とを備え、前記海底係合手段は、前記装置の移動方向において少なくとも1つの前記入口の前方に配置され、実質的に前記装置の移動方向に延在するように適合された複数の突出部を備える、装置。
【請求項20】
前記突出部は、複数の歯を備える、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
団塊物質の通過を可能にするために、前記装置の移動方向において少なくとも1つの前記入口の後方に配置された少なくとも1つの第1のアパーチャをさらに備える、請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
前記水域の前記底の非団塊物質から団塊物質を選別するために、少なくとも1つの前記入口に隣接して配置された選別手段をさらに備える、請求項19から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記選別手段は、使用時に前記水域の前記底に対して傾斜され、非団塊物質を通過させ前記団塊物質の通過を防止するための少なくとも1つの第2のアパーチャを有する、少なくとも1つの表面を備える、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
少なくとも1つの前記入口から団塊物質を取り出すための吸引手段をさらに備える、請求項19から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記吸引手段は、前記吸引手段を通過する水流方向を反転させるように適合される、請求項24に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水域の底から物質を取り出すための装置に関し、詳細には、限定されるものではないが、海底から団塊物質を取り出すための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉱物およびレアメタルを含む物質の団塊は、かなりの水深において海底上に形成される。海底上に載置されアンビリカルケーブル経由で水上艦から電力を供給される採鉱装置を用いて、かかる物質を採鉱することが知られており、この装置は、ジャンパホースとして知られる導管に対して連結され、団塊物質は、このジャンパホースを経由することによりライザーポンプによって水上艦へポンプ送給される。
【0003】
このタイプの既知の装置は、複数の欠点を有する。第一に、操縦者または遠隔操作探査機(ROV)が、ジャンパホースに対するこの装置の連結を支援する必要がある。さらに、この装置が水上艦から海底まで下げられ海底から上げられるときに、この装置の重量がアンビリカルケーブルにより支持されるため、このアンビリカルケーブルの大幅な機械的強化が必要となる。アンビリカルケーブルに必要となる機械的補強は一般的に伝熱特性が低いため、その結果としてアンビリカルケーブル絶縁部は加熱し、これにより装置に対して供給され得る電力がさらに限定される。さらに、補強されたアンビリカルケーブルの懸垂曲線は、水面へ団塊物質を輸送するために使用されるジャンパホースの懸垂曲線と同様であるため、その結果として装置の動作中にアンビリカルケーブルと導管との間において衝突リスクが存在する。既知のかかる装置のさらなる欠点は、非常に軟質の海底においてこの装置を動作させることが困難である点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の好ましい実施形態の目的は、上記の欠点のうちの1つまたは複数を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、非団塊物質から団塊物質を選別するための装置が提供される。この装置は、団塊物質および非団塊物質を含む液体を受けるための少なくとも1つの容器と、団塊物質および非団塊物質を含む液体を少なくとも1つの前記容器に進入させ得るようにするための少なくとも1つのそれぞれの入口と、液体を少なくとも1つの前記容器から退出させ得るようにするための少なくとも1つのそれぞれの第1の出口と、液体を少なくとも1つの前記容器から退出させ得るようにするための少なくとも1つのそれぞれの第2の出口であって、少なくとも1つの前記第2の出口は、対応する前記容器上に設けられた少なくとも1つの前記第1の出口よりも高い位置に配置され、少なくとも1つの前記入口を経由して容器内へ液体が進入することにより、液体の速度が低下する、少なくとも1つのそれぞれの第2の出口とを備える。
【0006】
液体を少なくとも1つの前記容器から退出させ得るようにするための少なくとも1つのそれぞれの第2の出口を提供し、少なくとも1つの前記第2の出口が、対応する前記容器上に設けられた少なくとも1つの前記第1の出口よりも高い位置に配置され、少なくとも1つの前記入口を経由して容器内へ液体が進入することにより、液体の速度が低下することによって、第1の出口にて退出する液体中の団塊物質濃度が上昇し、第2の出口にて退出する液体中の非団塊物質の濃度が上昇するように、液体速度を低下させることが可能となる利点が得られる。海底から団塊物質を取り出す場合には、これは、水上艦へと取り出される不要な非団塊物質の量を低減させ、それにより、例えば陸上へのかかる非団塊物質の輸送を実施可能にすることによって、水上艦へ取り出された非団塊物質を海底に戻すことによる環境的影響が軽減されるというさらなる利点をもたらす。
【0007】
この装置は、少なくとも1つの前記入口から少なくとも1つの前記第2の出口までの最短経路を遮るための障壁手段をさらに備えてもよい。
【0008】
これは、団塊物質が非団塊物質に比べて第2の出口へ到達することがより困難になり、それにより団塊物質の損失が最小限に抑制され、少なくとも1つの第1の出口の近傍における団塊物質濃度が上昇するという利点をもたらす。
【0009】
障壁手段は、少なくとも1つのプレートからなり得る。
【0010】
障壁手段は、液体を前記障壁手段の下方に通過させることにより少なくとも1つの前記入口から少なくとも1つの前記第2の出口へ移動させ得る。
【0011】
これは、団塊物質が少なくとも1つの前記第1の出口に向かって付勢されることが可能となる一方で、団塊物質が第2の出口へ到達することが困難になり、それにより団塊物質の損失が最小限に抑制され、少なくとも1つの第1の出口の近傍における団塊物質濃度が上昇するという利点をもたらす。
【0012】
この装置は、少なくとも1つの前記第1の出口に向かって液体流を方向変更するための流れ方向変更手段をさらに備え得る。
【0013】
これは、乱流を最小限に抑制しつつ、1つまたは複数の第1の出口の近傍における団塊物質濃度を上昇させ、それにより非団塊物質から団塊物質を選別するためのプロセスの制御をより良好にするという利点をもたらす。
【0014】
流れ方向変更手段は、湾曲状表面を備え得る。
【0015】
少なくとも1つの前記容器は、少なくとも1つの前記第1の出口に向かってテーパ状をなすそれぞれの本体を備えてもよい。
【0016】
これは、1つまたは複数の第1の出口の近傍における団塊物質濃度を上昇させ、それにより非団塊物質から団塊物質を選別するためのプロセスの効率を上昇させるという利点をもたらす。
【0017】
少なくとも1つの前記容器は、少なくとも1つの前記第1の出口に向かって傾斜する下方表面を備えてもよい。
【0018】
これは、1つまたは複数の第1の出口の近傍における団塊物質濃度を上昇させ、それにより非団塊物質から団塊物質を選別するためのプロセスの効率を上昇させるという利点をもたらす。これは、特に装置が使用時に振動している場合に該当する。
【0019】
少なくとも1つの前記入口は、少なくとも1つの前記入口から少なくとも1つの前記第1の出口へ延在する方向に対して横軸方向において、前記容器の実質的に中央の部分に向けられ得る。
【0020】
これは、乱流を最小限に抑制しつつ、団塊を含む液体流を1つまたは複数の第1の出口に向かうように集中させ、それにより非団塊物質から団塊物質を選別するためのプロセスの効率を上昇させるという利点をもたらす。
【0021】
少なくとも1つの前記入口は、ノズルを画成してもよい。
【0022】
これは、団塊物質および非団塊物質を含む液体の速度を低下させるのを支援し、それにより選別プロセスを支援するという利点をもたらす。
【0023】
この装置は、少なくとも1つの前記入口へと液体を送るための、および/または少なくとも1つの前記第1の出口から液体を送るための、および/または少なくとも1つの前記第2の出口から液体を送るためのポンプ手段をさらに備えてもよい。
【0024】
本開示の別の態様によれば、水域の底から団塊物質を取り出すための装置が提供される。この装置は、水域の底に対して装置を移動させるための移動手段と、水域の底から団塊物質を取り出すための物質取出し手段と、前記取り出された団塊物質を水域の水面上の船舶へと輸送することを可能にするために導管へ連結されるように適合されたコネクタ手段と、上記に定義するような非団塊物質から団塊物質を選別するための装置とを備える。
【0025】
本開示のさらなる態様によれば、水域の底から物質を取り出すための装置が提供される。この装置は、水域の底に対して実質的に垂直方向に装置を移動させるための第1の移動手段と、水域の底に対して実質的に水平方向に装置を移動させるための第2の移動手段と、水域の底から物質を取り出すための物質取出し手段と、前記取り出された物質を水域の水面上の船舶へと輸送することを可能にするために導管へ連結されるように適合されたコネクタ手段とを備える。
【0026】
水域の底に対して実質的に垂直方向に装置を移動させるための第1の移動手段と、水域の底に対して実質的に水平方向に装置を移動させるための第2の移動手段とを提供することにより、複数の有意な利点が得られる。第一に、導管に対するこの装置の連結を可能にするために、操縦者または遠隔操作探査機(ROV)による支援が不要となる。さらに、第1の移動手段により、この装置が非常に軟質の海底においてより効率的に動作することが可能となるという利点が得られる。また、ピンと張ったアンビリカルの使用を伴わずに海底への装置の展開を行うことが可能となるという利点が得られ、その結果としてアンビリカルを補強する必要性が低下し、それによりアンビリカルを経由して装置に対してより多くの電力を供給することが可能となり、一方でまた水上艦からさらに長い距離の位置にて装置を展開することが可能となる。さらに、メンテナンスのために装置を別の装置へとより迅速に交換することが可能となるとともに、また装置をより容易におよびアンビリカルの使用を伴わずに操縦することが可能となり、それによってより十分な物質の取出しを実施することが可能となるという利点が得られる。
【0027】
第1の移動手段は、少なくとも1つの推進機を備え得る。
【0028】
第2の移動手段は、少なくとも1つの推進機を備え得る。
【0029】
第2の移動手段は、複数のキャタピラを備え得る。
【0030】
これは、非常に軟質の海底において装置の操縦を可能にするという利点をもたらす。
【0031】
この装置は、水中における装置の重量を軽減するための浮力手段をさらに備えてもよい。
【0032】
これは、第1の移動手段の動作を支援するという利点をもたらす。さらに、アンビリカルケーブルの機械的強化の必要性が低下し、その結果としてアンビリカルケーブル絶縁部の加熱が軽減されることによって、より大きな電力の送達が可能となるという利点をもたらす。また、より低い機械的補強をなされたアンビリカルケーブルの懸垂曲線が異なる結果として、導管からアンビリカルケーブルを分離させることがより容易になり、その結果として装置の動作中におけるアンビリカルケーブルと導管との間で衝突が発生する可能性が最小限に抑制される。
【0033】
この装置は、前記取り出された物質を船舶へ輸送する前にこの物質を収容するための収容手段をさらに備えてもよい。
【0034】
本開示のさらなる態様によれば、水域の底から団塊物質を取り出すための装置が提供される。この装置は、水域の底に対して装置を移動させるための移動手段と、水域の底から団塊物質を取り出すための物質取出し手段と、前記取り出された団塊物質を水域の水面上の船舶へと輸送することを可能にするために導管へ連結されるように適合されたコネクタ手段とを備える。物質取出し手段は、少なくとも1つの入口と、水域の底に係合するための海底係合手段とを備え、海底係合手段は、装置の移動方向において少なくとも1つの前記入口の前方に配置され、実質的に装置の移動方向に延在するように適合された複数の突出部を備える。
【0035】
装置の移動方向において少なくとも1つの前記入口の前方に配置され、実質的に装置の移動方向に延在するように適合された複数の突出部を備える海底係合手段を提供することにより、海底の表面上の団塊物質の収集を可能にするとともに、海底の妨害を最小限に抑制し、それにより団塊物質の取出しによる環境的影響を最小限に抑制するという利点が得られる。海底の妨害がより低くなることによって抵抗が減り、それにより結果としてエネルギー消費量がより低下するというさらなる利点が得られる。
【0036】
これらの突出部は、複数の歯を備え得る。
【0037】
この装置は、団塊物質の通過を可能にするために、装置の移動方向において少なくとも1つの前記入口の後方に配置された少なくとも1つの第1のアパーチャをさらに備えてもよい。
【0038】
これは、装置が導管へと団塊物質を取り出すことができない場合に、入口が団塊物質により詰まってしまうのを防止するという利点をもたらす。
【0039】
この装置は、水域の底の非団塊物質から団塊物質を選別するために、少なくとも1つの前記入口に隣接して配置された選別手段をさらに備えてもよい。
【0040】
水域の底の非団塊物質から団塊物質を選別するための選別手段を提供することにより、水面へ輸送される水域の底の例えば沈殿物などの不要な非団塊物質の量が最小限に抑制され、それによりエネルギー消費量が最小限に抑制され、以前に水面へと取り出されていた非団塊物質を海底へ戻すことによる環境的影響が回避されるという利点が得られる。
【0041】
選別手段は、使用時に水域の底に対して傾斜され、非団塊物質を通過させ前記団塊物質の通過を防止するための少なくとも1つの第2のアパーチャを有する、少なくとも1つの表面を備えてもよい。
【0042】
この装置は、少なくとも1つの前記入口から団塊物質を取り出すための吸引手段をさらに備えてもよい。
【0043】
この吸引手段は、吸引手段を通過する水流方向を反転させるように適合されてもよい。
【0044】
これは、詰まりの解消を支援するという利点をもたらす。
【0045】
以下、添付の図面を参照として、もっぱら例としておよび非限定的な意味において実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】第1の実施形態の団塊採鉱装置の後方側方斜視図である。
図2図1の団塊採鉱装置の前方側方斜視図である。
図3図2の団塊採鉱装置の一部の詳細図である。
図4】収集ユニットのダクトが展開状態におかれた、図1の装置の正面図である。
図5図4の装置の側面図である。
図6】収集ユニットのダクトが収納状態におかれた、図1の装置の正面図である。
図7図6の装置の側面図である。
図8】海底まで下げられつつある図1の装置を示す図である。
図9】ライザーに対して連結された図1の装置を示す図である。
図10】団塊を採取する図1の装置を示す図である。
図11】収集ユニットのダクトが展開状態におかれた、第2の実施形態の装置の正面図である。
図12図11の装置の側面図である。
図13】収集ユニットのダクトが収納状態におかれた、図11の装置の正面図である。
図14図13の装置の側面図である。
図15図11の装置の選別装置の前方斜視図である。
図16図15の選別装置の後方斜視図である。
図17図15の選別装置のタンクの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1図10を参照すると、海底4(図8)から団塊物質2(図3)を取り出すための本開示を具現化した装置が、団塊採鉱車両6からなる。この団塊採鉱車両6は、水中における車両6の重量を軽減するための浮力部材8と、海底4に対して垂直方向に車両6を移動させるための第1の推進機10の形態の第1の移動手段と、海底4に対して直接的に接触状態にない場合に海底4に対して水平方向に車両6を移動させるための第2の推進機12の形態の第2の移動手段とを有する。また、車両6は、車両6が海底4に対して接触状態にある場合に海底4に対して車両6を移動させるための、および車両6を操縦するためのキャタピラ14を備える。
【0048】
収集ユニット16の形態の物質取出し手段が、キャタピラ14の前方に設けられ、海底4から取り出された団塊物質2を受けるための複数の入口18を有する。収集ユニット16は、海底4に対して傾斜された表面22を有する傾斜部20の形態である、例えば沈殿物などの非団塊物質から団塊物質2を選別するための選別手段と、沈殿物を通過させつつ、団塊2の通過を防止するための第2のアパーチャ24とを有する。歯26の形態の突出部からなる海底係合手段が、海底4に係合し、海底4上に位置する団塊2に係合して収集ユニット16内へのこれらの団塊2の進入を支援する。歯26は、入口18の前方に配置され、車両6の移動方向において車両6の前方に延在する。これにより、歯26は、団塊2が傾斜部20を上方へと入口18内へ摺動する一方で、海底4の妨害を最小限に抑制し、それにより団塊収集プロセスによる環境的影響を最小限に抑制するように、団塊2に係合することが可能となる。
【0049】
収集ユニット16は、傾斜部20の傾斜表面22から団塊2を取り出すために入口18に対してそれぞれのダクト30を介して連結されたイダクター28の形態の吸引手段を備える。ダクト30は、タンク32の形態の収容手段へと続き、このタンク32は、団塊2が収容されるタンク32の後部にて団塊2を収集することが可能になるように傾斜底部表面34を有し、その後にこれらの団塊2は、浚渫ポンプ36と、水面へ団塊2を輸送するライザー38上のさらなるポンプ(図示せず)とによって、水面へとポンプ送給される。イダクター28は、導管30を通る水流を反転させて詰まりの解消を支援することができる。
【0050】
さらに、収集ユニット16は、その後部表面上に第1のアパーチャ40を備え、これにより団塊2は、ダクト30のうちの1つまたは複数が詰まった場合にこれらのアパーチャ40を通過することができるようになる。これにより、各ダクト30は、車両6が前方へ移動するときに団塊2が入口18を塞ぐのを防止することによって、詰まりを防止される。
【0051】
浚渫ポンプ36の出口は、ラッチング機構42の形態の連結手段に対して連結され、これにより車両6をライザー38に対して連結させることが可能となり、これにより団塊物質2をタンク32から水面上に位置する船舶へとポンプ送給することが可能となる。ラッチング機構42は、ほぼ垂直方向に延在し、車両6に対して枢動可能に取り付けられる。これにより、車両6は、経路の終点にて容易に180度回転することが可能となり、それにより団塊2の採取をより効果的に行うことが可能となる。
【0052】
次に、図8図10を参照として、車両6の動作を説明する。
【0053】
最初に、車両6は、懸吊ポイント46に対して連結されたアンビリカルケーブル44により、水上艦(図示せず)から海底4まで下げられる。図8に示すように、次いで車両6は、車両6のラッチング機構42がライザー38に対して連結され得るように、第1の推進機10および第2の推進機12により海底4から上昇する。次いで、図10に示すように、車両6は、海底4へ戻り、団塊2を採取するために第2の推進機12および/またはキャタピラ14により海底4に沿って移動する。
【0054】
図1図10の実施形態に共通するパーツが、100だけ増やした同様の参照数字で示される図11図17を参照すると、第2の実施形態の車両106が示される。この車両106は、個別に収納可能な収集ダクト130を備える収集ユニット116を有し、これらの収集ダクト130は、車両106が海底へと展開されつつある場合に車両106をよりコンパクトな状態にすることが可能な収納状態(図13および図14)と、収集ユニット116の横幅がその最大状態にある場合の展開状態(図11および図12)との間で動くことができる。収集ダクト130は、導管150(図12図14)に対して連結され、さらにこの導管150が、選別装置へ続く入口152に対して連結され、選別装置は、例えば沈泥または沈殿物などの非団塊物質から団塊物質を選別するためのタンク132を備える。入口152は、タンク132の横軸方向中央領域へと向く。
【0055】
図17では、選別装置がさらに詳細に示される。タンク132は、本体154を有し、本体154は、タンク132の下方部に配置された第1の出口156へ向かって入口152からテーパ状をなす。タンク132内へ続く入口152は、ノズル158を画成し、これらのノズル158により、団塊および非団塊物質を含む水160の速度は、タンク132に進入するときに減速される。その結果として、団塊はタンク132の底部134へと沈下し、非団塊物質は水中において懸濁状態に留まる傾向となる。
【0056】
テーパ状タンク本体154と協働して団塊を含む水をタンク132の横軸方向中央部に向かって送ることにより、団塊を含む水流の乱流が最小限に抑制され、さらにこれにより第1の出口156の近傍への団塊沈下が妨害される度合いが最小限に抑制される。さらに、タンク132は、団塊を含む水流の方向を第1の出口156へと変更しつつ水流における乱流を最小限に抑制するための、湾曲状上方プレート162の形態の流れ方向変更手段を備える。タンク132は、やはり第1の出口156に向かって延在する傾斜下方表面134を有し、これにより、特に使用時に選別装置が振動している場合に、団塊は、下方表面134に沿って第1の出口156に向かって移動する傾向となる。
【0057】
第2の出口164は、第1の出口156よりも高い位置に設けられ、入口152から第2の出口164までの直接経路は、タンク132の上方部に配置されたバッフルプレート166の形態の障壁手段により阻止される。その結果として、団塊および非団塊物質を含む水がタンク132内へとポンプ送給された場合に、団塊は、第1の出口156の周囲に収集される傾向がより強まる一方で、例えば沈泥または沈下物などの非団塊物質は、バッフルプレート166の下方を通過することにより第2の出口164へと到達することが可能となり、それにより懸濁状態にある非団塊物質は、第2の出口164へ到達することが可能となるが、団塊は、第2の出口164に到達することが非常に困難となる。このようにすることで、第1の出口156および第2の出口164から出る水のポンプ流量の適切な制御によって、第1の出口156からポンプ送給される水中の団塊濃度が最大限に引き上げられ、第2の出口164からポンプ送給される水中の団塊濃度が最小限に抑制される。この結果として、ライザー38を経由して水面へポンプ送給される不要な非団塊物質の量が最小限に抑制され、これにより、特にかかる非団塊物質の量が十分に少ないため非団塊物質を陸上へ輸送することが可能となる場合には、海底にかかる物質を戻すことによる環境的影響が軽減される。
【0058】
上記の実施形態はもっぱら例としておよび非限定的な意味において説明されたものであり、添付の特許請求の範囲により定義される本開示の範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を行うことが可能である点が、当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0059】
2 団塊物質、団塊
4 海底
6 団塊採鉱車両
8 浮力部材
10 第1の推進機
12 第2の推進機
14 キャタピラ
16 収集ユニット
18 入口
20 傾斜部
22 傾斜表面
24 第2のアパーチャ
26 歯
28 イダクター
30 ダクト、導管
32 タンク
34 傾斜底部表面
36 浚渫ポンプ
38 ライザー
40 第1のアパーチャ
42 ラッチング機構
44 アンビリカルケーブル
46 懸吊ポイント
106 車両
116 収集ユニット
130 収集ダクト
132 タンク
134 底部、傾斜下方方面
150 導管
152 入口
154 本体、テーパ状タンク本体
156 第1の出口
158 ノズル
160 団塊および非団塊物質を含む水
162 湾曲状上方プレート
164 第2の出口
166 バッフルプレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】