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特表2023-519637半導体装置のエピタキシャル構造、装置及びエピタキシャル構造の製造方法
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  • 特表-半導体装置のエピタキシャル構造、装置及びエピタキシャル構造の製造方法 図1
  • 特表-半導体装置のエピタキシャル構造、装置及びエピタキシャル構造の製造方法 図2
  • 特表-半導体装置のエピタキシャル構造、装置及びエピタキシャル構造の製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-11
(54)【発明の名称】半導体装置のエピタキシャル構造、装置及びエピタキシャル構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/20 20060101AFI20230501BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
H01L21/20
H01L29/80 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560393
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 CN2021140112
(87)【国際公開番号】W WO2022135403
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】202011573138.2
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515295706
【氏名又は名称】蘇州能訊高能半導体有限公司
【氏名又は名称原語表記】DYNAX SEMICONDUCTOR,INC.
【住所又は居所原語表記】No.18 Chenfeng Road,Yushan Town,Kunshan City,Jiangsu Province 215300,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 暉
(72)【発明者】
【氏名】談 科偉
(72)【発明者】
【氏名】孔 蘇蘇
(72)【発明者】
【氏名】李 仕強
(72)【発明者】
【氏名】周 文龍
(72)【発明者】
【氏名】杜 小青
【テーマコード(参考)】
5F102
5F152
【Fターム(参考)】
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ05
5F102GJ06
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GK08
5F102GM04
5F102GQ01
5F102HC01
5F152LM09
5F152LN19
5F152MM03
5F152NN02
5F152NN03
5F152NN07
5F152NN08
5F152NN09
5F152NN13
5F152NP09
5F152NQ09
(57)【要約】
本発明は、半導体装置のエピタキシャル構造、装置及びエピタキシャル構造の製造方法に関する。前記エピタキシャル構造は、基板と、前記基板上に位置してバッファ層を含む第1半導体層と、を含む。バッファ層は、積層して設置される第1バッファ層、第2バッファ層及び第3バッファ層を少なくとも含む。第2バッファ層は、第1バッファ層と第3バッファ層との間に位置する。前記第2バッファ層に鉄不純物がドープされるとともに、前記第1バッファ層及び前記第3バッファ層に鉄不純物が積極的にドープされない。前記第2バッファ層の鉄不純物の濃度は、第1所定範囲を満たす。上記エピタキシャル構造によれば、高抵抗のバッファ層を実現するとともに、結晶品質と装置のサブスレッショルド特性とを両立させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置のエピタキシャル構造であって、
基板と、
前記基板上に位置し、バッファ層を含む第1半導体層と、を含み、
前記バッファ層は、積層して設置される第1バッファ層、第2バッファ層及び第3バッファ層を少なくとも含み、
前記第2バッファ層は、前記第1バッファ層と前記第3バッファ層との間に位置し、
前記第2バッファ層に鉄不純物がドープされるとともに、前記第1バッファ層及び前記第3バッファ層に鉄不純物が積極的にドープされないことを特徴とするエピタキシャル構造。
【請求項2】
前記第2バッファ層には、炭素不純物がさらにドープされ、
前記第2バッファ層の炭素不純物は、前記第2バッファ層の鉄不純物よりも濃度が低いことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構造。
【請求項3】
前記第2バッファ層の鉄不純物の濃度は、第1所定範囲を満たし、
前記第1所定範囲は、1016cm-3~5×1018cm-3を含み、
前記第2バッファ層の炭素不純物の濃度は、第2所定範囲を満たし、
前記第2所定範囲は、1016cm-3~1017cm-3を含むことを特徴とする請求項2に記載のエピタキシャル構造。
【請求項4】
前記第2バッファ層の厚さは、dであり、
ここでは、200nm≦d≦800nmであることを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構造。
【請求項5】
前記第1バッファ層は、前記第2バッファ層の前記基板に近接する一側に位置し、
前記第3バッファ層は、前記第2バッファ層の第2半導体層に近接する一側に位置し、
前記第1バッファ層は、炭素不純物を有し、
前記第1バッファ層の炭素不純物の濃度は、前記第2バッファ層の炭素不純物の濃度以下であり、
前記第3バッファ層は、炭素不純物を有し、
前記第3バッファ層の炭素不純物の濃度は、前記第2バッファ層の炭素不純物の濃度よりも低いことを特徴とする請求項2に記載のエピタキシャル構造。
【請求項6】
前記第1バッファ層の炭素不純物の濃度は、1017cm-3以下であり、
前記第2バッファ層の炭素不純物の濃度は、1016cm-3以上かつ1017cm-3以下であり、
前記第3バッファ層の炭素不純物の濃度は、5×1016cm-3以下であることを特徴とする請求項5に記載のエピタキシャル構造。
【請求項7】
前記第3バッファ層の厚さは、dであり、
ここでは、200nm≦d≦500nmであり、
前記第1バッファ層の厚さは、dであり、
ここでは、200nm≦d≦800nmであることを特徴とする請求項5に記載のエピタキシャル構造。
【請求項8】
前記第1バッファ層における鉄不純物の濃度は、ほぼゼロであり、
前記第3バッファ層における鉄不純物の濃度は、1016cm-3よりも低いことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構造。
【請求項9】
前記第3バッファ層における鉄不純物の濃度は、ほぼゼロであることを特徴とする請求項8に記載のエピタキシャル構造。
【請求項10】
半導体装置であって、
請求項1~9のいずれか一項に記載のエピタキシャル構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
半導体装置のエピタキシャル構造の製造方法であって、
基板を提供するステップと、
前記基板上に第1半導体装置を製造するステップと、
第1半導体層の前記基板から離れる一側には、導電チャンネルが形成される第2半導体層を製造するステップと、を含み、
前記第1半導体層は、バッファ層を含み、
前記バッファ層は、積層して設置される第1バッファ層、第2バッファ層及び第3バッファ層を少なくとも含み、
前記第2バッファ層は、前記第1バッファ層と前記第3バッファ層との間に位置し、
前記第2バッファ層に鉄不純物がドープされるとともに、前記第1バッファ層及び前記第3バッファ層に鉄不純物が積極的にドープされず、
前記第2バッファ層の鉄不純物の濃度は、第1所定範囲を満たすことを特徴とする半導体装置のエピタキシャル構造の製造方法。
【請求項12】
前記基板上に第1半導体装置を製造するステップは、
前記基板上には、核生成層をエピタキシャル成長させるステップと、
前記核生成層の前記基板から離れる一側には、前記第1バッファ層をエピタキシャル成長させるステップと、
前記第1バッファ層の前記核生成層から離れる一側には、前記第2バッファ層をエピタキシャル成長させるとともに、鉄不純物を炭素不純物と共に前記第2バッファ層にドープし、前記第2バッファ層の炭素不純物の濃度を、前記第2バッファ層の鉄不純物の濃度よりも低くするステップと、
前記第2バッファ層の前記第1バッファ層から離れる一側には、前記第3バッファ層をエピタキシャル成長させるステップと、を含むことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記バッファ層を製造するステップは、
前記第1バッファ層を形成する場合、鉄源をオフにして前記第1バッファ層における鉄不純物の濃度をほぼゼロにするステップと、
前記第2バッファ層を形成する場合、前記鉄源をオンにして流量を制御することで、前記第2バッファ層における鉄不純物の濃度を1016cm-3~5×1018cm-3にするステップと、
前記第3バッファ層を形成する場合、前記鉄源をオフにして前記第3バッファ層における鉄不純物の濃度を1016cm-3よりも低くするステップと、を含むことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
前記第3バッファ層における鉄不純物の濃度はほぼゼロであることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体技術領域に関し、特に、半導体装置のエピタキシャル構造、装置及びエピタキシャル構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体材料としての窒化ガリウム(GaN)は、バンドギャップが大きくて電子移動度が高く、絶縁破壊電界強度が高く、熱伝導性が優れる等の特徴を有するとともに、大きな自発分極効果とピエゾ分極効果を有するため、第1世代の半導体材料及び第2世代の半導体材料に比べて、高周波、高電圧、耐高温のハイパワー電子デバイスの製造に適し、特に、無線周波数及び電源領域において優位性が明らかである。
【0003】
窒化ガリウムの高電子移動度トランジスタ(GaN HEMT)構造では、より優れた装置のリーク特性及びピンチオフ特性を得るために、通常、バッファ層を高抵抗に設置する必要がある。プロセスで真性GaN材料の高抵抗を実現することは非常に困難であるが、バッファ層の成長の途中でアクセプタ不純物を導入してバッファ層の高抵抗を実現することができる。慣用のアクセプタ不純物は、炭素(C)原子または鉄(Fe)原子を含む。
【0004】
ドープで形成された深いエネルギー準位は、バッファ層の電子をキャッチして高抵抗を取得するとともにバッファ層の結晶品質及び装置のサブスレッショルド特性に影響を及ぼす。そのため、バッファ層の高抵抗特性を確保するとともに、装置のサブスレッショルド特性を配慮可能なエピタキシャル構造が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、従来の半導体材料の高抵抗のバッファ層を製造する場合、結晶品質と装置のサブスレッショルド特性とを両立させることが困難であるという問題に対して、改善される半導体装置のエピタキシャル構造を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
半導体装置のエピタキシャル構造は、基板と、前記基板上に位置し、バッファ層を含む第1半導体層と、を含む。前記バッファ層は、積層して設置される第1バッファ層、第2バッファ層及び第3バッファ層を少なくとも含む。前記第2バッファ層は、前記第1バッファ層と前記第3バッファ層との間に位置する。前記第2バッファ層に鉄不純物がドープされるとともに、前記第1バッファ層及び前記第3バッファ層に鉄不純物が積極的にドープされない。前記第2バッファ層の鉄不純物の濃度は、第1所定範囲を満たす。
【0007】
上記の半導体装置のエピタキシャル構造では、バッファ層は、第1バッファ層,第2バッファ層及び第3バッファ層を少なくとも含み、前記第2バッファ層に鉄不純物がドープされるとともに、前記第1バッファ層及び前記第3バッファ層に鉄不純物が積極的にドープされず、第2バッファ層の鉄不純物の濃度は、第1所定範囲を満たす。こうすることで、バッファ層の高抵抗の実現に寄与し、装置に優れたリーク特性及びピンチオフ特性を与える。一方、上記のエピタキシャル構造では、鉄不純物は適切な濃度範囲で中部のバッファ層に分布するが、基板及び第2半導体層に近接するバッファ層は鉄不純物をほとんど有していないか、または極めて少なく有する。具体的には、例えば、前記第1バッファ層における鉄不純物の濃度はほぼゼロであり、かつ、前記第3バッファ層における鉄不純物の濃度は1016cm-3よりも低く、ほぼゼロであることが好ましい。これにより、バッファ層の結晶品質の向上に寄与するとともに、装置のドレイン誘起障壁低下(DIBL)現象及び鉄不純物の尾引き現象の改善に寄与し、さらに、装置のサブスレッショルド特性を向上させて装置の信頼性を確保することができる。
【0008】
一実施例では、前記第2バッファ層には、炭素不純物がさらにドープされる。前記第2バッファ層の炭素不純物の濃度は、第2所定範囲を満たすとともに、前記第2バッファ層の鉄不純物の濃度よりも低い。
【0009】
一実施例では、前記第1所定範囲は、1016cm-3~5×1018cm-3を含み、前記第2所定範囲は、1016cm-3~1017cm-3を含む。
【0010】
一実施例では、前記第2バッファ層の厚さは、dである。なお、200nm≦d≦800nmである。
【0011】
一実施例では、前記第1バッファ層は、前記第2バッファ層の前記基板に近接する一側に位置する。前記第3バッファ層は、前記第2バッファ層の前記第2半導体層に近接する一側に位置する。前記第1バッファ層は、炭素不純物を有する。前記第1バッファ層の炭素不純物の濃度は、前記第2バッファ層の炭素不純物の濃度以下である。前記第3バッファ層は、炭素不純物を有する。前記第3バッファ層の炭素不純物の濃度は、前記第2バッファ層の炭素不純物の濃度よりも低い。
【0012】
一実施例では、前記第1バッファ層の炭素不純物の濃度は、1017cm-3以下であり、前記第2バッファ層の炭素不純物の濃度は、1016cm-3以上かつ1017cm-3以下であり、前記第3バッファ層の炭素不純物の濃度は、5×1016cm-3以下である。
【0013】
一実施形態では、前記第3バッファ層の厚さは、dである。なお、200nm≦d≦500nmである。
【0014】
一実施形態では、前記第1バッファ層の厚さは、dである。なお、200nm≦d≦800nmである。
【0015】
一実施例では、前記第1半導体層は、前記基板上に位置する核生成層をさらに含む。前記バッファ層は、前記核生成層の前記基板から離れる一側に位置する。
【0016】
一実施例では、前記第2半導体層は、前記第1半導体層の前記基板から離れる一側に位置するチャンネル層と、前記チャンネル層の前記第1半導体層から離れる一側に位置し、前記チャンネル層と共にヘテロ接合構造を形成するとともに、ヘテロ界面に導電チャンネルを形成する障壁層と、前記障壁層の前記チャンネル層から離れる一側に位置するキャップ層と、を含む。
【0017】
本発明は、半導体装置をさらに提供する。
【0018】
半導体装置は、上述したエピタキシャル構造を含む。
【0019】
上記の半導体装置は、上述したエピタキシャル構造によって製造され、より優れた装置のリーク特性及びピンチオフ特性を得ることに繋がるとともに、装置のサブスレッショルド特性を向上させて装置の信頼性を確保する。
【0020】
本発明は、半導体装置のエピタキシャル構造の製造方法をさらに提供する。
【0021】
半導体装置のエピタキシャル構造の製造方法は、基板を提供するステップと、前記基板上に第1半導体装置を製造するステップと、前記第1半導体層の前記基板から離れる一側には、導電チャンネルが形成される第2半導体層を製造するステップと、を含む。前記第1半導体層は、バッファ層を含む。前記バッファ層は、積層して設置される第1バッファ層、第2バッファ層及び第3バッファ層を少なくとも含む。前記第2バッファ層は、前記第1バッファ層と前記第3バッファ層との間に位置する。前記第2バッファ層に鉄不純物がドープされるとともに、前記第1バッファ層及び前記第3バッファ層に鉄不純物が積極的にドープされない。前記第2バッファ層の鉄不純物の濃度は、第1所定範囲を満たす。
【0022】
上記製造方法では、バッファ層を製造する場合、3つの段階により第1バッファ層、第2バッファ層及び第3バッファ層をそれぞれ形成し、第2バッファ層内に鉄不純物をドープして第2バッファ層の鉄不純物の濃度を第1所定範囲にすることで、バッファ層の高抵抗の実現に寄与し、装置に優れたリーク特性及びピンチオフ特性を与える。一方、鉄不純物を適切な濃度範囲で中部のバッファ層に分布させることで、基板及び第2半導体層に近接するバッファ層が鉄不純物をほとんど有していないか、または極めて少なく有する。具体的には、例えば、前記第1バッファ層における鉄不純物の濃度はほぼゼロであり、かつ、前記第3バッファ層における鉄不純物の濃度は1016cm-3よりも低く、ほぼゼロであることが好ましい。これにより、バッファ層の結晶品質の向上に寄与するとともに、装置のドレイン誘起障壁低下(DIBL)現象及び鉄不純物の尾引き現象の改善に寄与し、さらに、装置のサブスレッショルド特性を向上させて装置の信頼性を確保することができる。
【0023】
一実施例では、前記基板上に第1半導体装置を製造するステップは、前記基板上には、核生成層をエピタキシャル成長させるステップと、前記核生成層の前記基板から離れる一側には、前記第1バッファ層をエピタキシャル成長させるステップと、前記第1バッファ層の前記核生成層から離れる一側には、前記第2バッファ層をエピタキシャル成長させるとともに、鉄不純物を炭素不純物と共に前記第2バッファ層にドープするステップと、前記第2バッファ層の前記第1バッファ層から離れる一側には、前記第3バッファ層をエピタキシャル成長させるステップと、を含む。前記第2バッファ層の炭素不純物の濃度は、第2所定範囲を満たすとともに、前記第2バッファ層の鉄不純物の濃度よりも低い。
【0024】
一実施例では、前記第1バッファ層は炭素不純物を有し、前記第1バッファ層の前記核生成層から離れる一側には、前記第2バッファ層をエピタキシャル成長させるステップは、エピタキシャルプロセスにより前記第2バッファ層を形成するとともに、前記第2バッファ層の炭素不純物の濃度を前記第1バッファ層の炭素不純物の濃度以上にするステップを含む。前記第3バッファ層は炭素不純物を有し、前記第2バッファ層の前記第1バッファ層から離れる一側には、前記第3バッファ層をエピタキシャル成長させるステップは、エピタキシャルプロセスにより前記第3バッファ層を形成するとともに、前記第3バッファ層の炭素不純物の濃度を前記第2バッファ層の炭素不純物の濃度よりも低くするステップを含む。
【0025】
一実施例では、前記バッファ層を製造するステップは、前記第1バッファ層を形成する場合、鉄源をオフにして前記第1バッファ層における鉄不純物の濃度をほぼゼロにするステップと、前記第2バッファ層を形成する場合、前記鉄源をオンにして流量を制御することで、前記第2バッファ層における鉄不純物の濃度を1016cm-3~5×1018cm-3にするステップと、前記第3バッファ層を形成する場合、前記鉄源をオフにして前記第3バッファ層における鉄不純物の濃度を1016cm-3よりも低くするステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施例の構成を示す図である。
図2】本発明に係るエピタキシャル構造における炭素不純物及び鉄不純物の濃度分布を示す図である。
図3】本発明の他の実施例のバッファ層の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を容易に理解するために、以下、関連図面を参照しながら本発明をより全面的に説明する。図面には、本発明の好ましい実施形態が示されているが、本発明は、本明細書に記載された実施形態に限定されず、多くの異なる態様で実現されてもよい。逆に、これらの実施形態は、本発明の開示内容をより完全かつ全面的に理解するために提供される。
【0028】
なお、ある要素が他の要素に「固定される」場合、当該要素は他の要素に直接固定されてもよいし、中間要素を介して固定されてもよい。ある要素が他の要素に「連結される」場合、当該要素は他の要素に直接連結されてもよいし、中間要素を介して連結されてもよい。本明細書で用いられる「垂直」、「水平」、「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、「周方向」との用語及び類似の記述は、図面に示される方向又は位置の関係に基づいており、示した機器又は構成要素が特定の方向を有する又は特定の方向に構成及び操作される必要があること示す又は暗示するのではなく、単に本発明の説明を容易かつ簡略化することを目的としていることを理解すべきであり、従って、本発明に対する制限として理解すべきではない。
【0029】
別途に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の明細書内で用いられる用語は、特定の実施例を説明することだけを目的とし、本発明を限定することを目的としない。本明細書で用いられる用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数のいずれか又は全ての組合せを含む。
【0030】
より優れた装置のリーク特性及びピンチオフ特性を得るために、半導体装置におけるバッファ層を高抵抗にする必要がある。従来のプロセスでは、バッファ層の成長の途中でアクセプタ不純物を導入してバッファ層を高抵抗にすることが可能である。しかしながら、バッファ層の比較的高いアクセプタ不純物の濃度は、バッファ層の結晶品質と装置のサブスレッショルド特性に影響を及ぼし、その結果、装置の信頼性が低下し、装置の適用範囲が制限される。
【0031】
そのため、本発明は、従来技術の問題を解決し、バッファ層の高抵抗を満たすことを実現するとともに、ドーピングによるバッファ層の結晶品質と装置のサブスレッショルド特性への影響を低減する新型の半導体装置のエピタキシャル構造を提供する。以下、具体的な実施形態により、本発明の技術案を詳細に説明する。
【0032】
図1を参照し、本発明に係る半導体装置のエピタキシャル構造100は、基板10と、基板10上に位置する第1半導体層20とを含む。基板110は、窒化ガリウム、窒化アルミニウムガリウム、窒化インジウムガリウム、窒化アルミニウムインジウムガリウム、インジウムリン、ガリウム砒素、炭化珪素、ダイヤモンド、サファイア、ゲルマニウム及びシリコンのうちの一種類または複数種類の組み合わせであってもよいし、III族窒化物を成長させることが可能な他の材料であってもよい。
【0033】
具体的には、第1半導体層20は、バッファ層22を含む。バッファ層22は、積層して設置される第1バッファ層221、第2バッファ層222及び第3バッファ層223を少なくとも含む。第2バッファ層222は、第1バッファ層221と第3バッファ層223との間に位置する。なお、第1バッファ層221は、基板10と第2バッファ層222との間に位置してもよいし、第2バッファ層222の基板10から離れる一側に位置してもよい。図1に例示するように、第1バッファ層221は、基板10と第2バッファ層222との間に位置し、第3バッファ層223は、第2バッファ層222の基板10から離れる一側に位置する。バッファ層22は、次に成長が必要な半導体材料層に粘着する作用を有するとともに、基板10への金属イオンの侵入を防止することができる。このバッファ層22は、AlGaNやGaN、AlGaInNなどのIII族窒化物材料であってもよい。
【0034】
さらに、第2バッファ層222に鉄不純物がドープされるとともに、第1バッファ層221及び第3バッファ層223に鉄不純物が積極的にドープされない。好ましくは、図1に例示されるように、バッファ層22の鉄不純物は、第2バッファ層222内に分布し、第1バッファ層221における鉄不純物の含有量がほぼゼロであり、第3バッファ層223における鉄不純物の含有量がほぼゼロであることが好ましい。しかしながら、第2バッファ層の鉄不純物の尾引き現象のため、第3バッファ層内に鉄不純物がわずかに分布することになるが、その含有量が極めて少なく、1016cm-3よりも少ない。また、技術の発展に伴って、この尾引き現象を解消できるようになったら、第3バッファ層における鉄不純物がほぼゼロであることが好ましい。本発明では、鉄不純物の含有量がほぼゼロであることは、積極的に鉄がドープされないことを指し、論理的に鉄不純物の含有量がゼロであることが好ましいが、実際に鉄の存在が必然的である。
【0035】
バッファ層22の鉄不純物は、中間層に位置する第2バッファ層222内に分布するとともに、鉄不純物が分布する第2バッファ層222に接触する隣接層ホストは、第2バッファ層222ホストと同じである。すなわち、バッファ層22の鉄不純物は、基板や核生成層、チャネル層等の、ホストの異なる半導体層に直接接触しない。
【0036】
好ましくは、半導体のエピタキシャル構造は、第1半導体層20の前記基板から離れる一側に位置する第2半導体層30をさらに含んでもよい。図1に示すように、第2半導体層30内には、太い破線で示される導電チャンネルが形成される。具体的には、第2半導体層30は、チャンネル層31、障壁層32を含んでもよい。チャンネル層31は、バッファ層22と障壁層32との間に形成されてもよく、その上方の障壁層32と共にヘテロ接合構造を形成するとともに、界面において2次元電子ガスチャネル(すなわち、導電チャンネル)を形成してもよい。チャンネル層31は、2次元電子ガス移動のチャネルを与え、障壁層32は、障壁の役割を果たす。障壁層32は、AlGa1-xN材料であってもよく、そのAl含有量xは、0~1に制御されてもよい。
【0037】
具体的には、第1バッファ層221、第2バッファ層222及び第3バッファ層223は、エピタキシャル成長プロセスによって段階的に順次に形成される。第1バッファ層221を形成する過程において、成長条件を制御して鉄源をオフにすることで、第1バッファ層221における鉄不純物の含有量をゼロにすることができる。第2バッファ層222を形成する過程において、成長条件を調整して鉄源をオンにし、流量を制御して鉄不純物を第2バッファ層222にドープする。第3バッファ層223を形成する場合、成長条件を続けて調整して鉄源をオフにすることで、導電チャンネルに減衰する鉄不純物の濃度を減らすことができ、第3バッファ層223の鉄不純物の濃度を比較的低い範囲内、例えば、1016cm-3よりも低く維持する。上記の方法により、第2バッファ層222における鉄不純物の分布を実現することができるが、他の成長プロセスにより所望の第1バッファ層221、第2バッファ層222及び第3バッファ層223を形成してもよい。本発明では、バッファ層22の具体的な製造プロセスは限定されない。
【0038】
上記の半導体装置のエピタキシャル構造100では、バッファ層22は、第1バッファ層221,第2バッファ層222及び第3バッファ層223を少なくとも含み、バッファ層22に鉄不純物がドープされるとともに、鉄不純物が第2バッファ層222内に分布し、第2バッファ層222の鉄不純物の濃度が第1所定範囲を満たすことで、バッファ層22の高抵抗の実現に寄与し、装置に優れたリーク特性及びピンチオフ特性を与える。一方、上記のエピタキシャル構造100では、鉄不純物は適切な濃度範囲で中部のバッファ層に分布するが、基板及び第2半導体層に近接するバッファ層は鉄不純物をほとんど有していないか、または極めて少なく有する。具体的には、例えば、前記第1バッファ層における鉄不純物の濃度はほぼゼロであり、かつ、前記第3バッファ層における鉄不純物の濃度は1016cm-3よりも低く、ほぼゼロであることが好ましい。これにより、バッファ層22の結晶品質の向上に寄与するとともに、装置のドレイン誘起障壁低下(DIBL)現象及び鉄不純物の尾引き現象の改善に寄与し、さらに、装置のサブスレッショルド特性を向上させて装置の信頼性を確保することができる。図1に示されるエピタキシャル構造を例として、第1バッファ層221には、鉄不純物がほとんどなくて、バッファ層22の結晶成長品質を向上させるとともに、装置のドレイン誘起障壁低下現象を効果的に改善する。また、第2バッファ層222と第2半導体層30との間には、一層の第3バッファ層223がさらに挟まれる。第3バッファ層223における鉄不純物の濃度も極めて少なくて、チャンネルに減衰する鉄含有量の減少に寄与するほか、鉄不純物がチャンネルに進入して不純物散乱を引き起こして2次元電子ガス濃度と電子移動度を低下させ、装置の飽和電流と出力に影響を与えることを回避する。
【0039】
例示的な実施形態では、第2バッファ層222には、炭素不純物がさらにドープされる。第2バッファ層222の炭素不純物の濃度は、第2所定範囲を満たし、第2バッファ層222の鉄不純物の濃度よりも低い。
【0040】
具体的には、優れた結晶品質を得るために、高温高圧のエピタキシャル成長プロセスにより結晶を成長させ、この成長条件では、第2バッファ層222における炭素不純物の濃度は高くないが、鉄不純物は流量制御によってドープされ、その濃度が温度圧力による影響を受けにくいため、バッファ層22の高抵抗を実現するための主なアクセプタ不純物とされてもよい。一方、炭素不純物の濃度が温度圧力による影響を受けやすいことを考慮すると、第2バッファ層222内に適切な濃度の炭素不純物を続けてドープし、鉄不純物の高抵抗効果を補償し、さらに必要なバッファ層の高抵抗を得ることができる。
【0041】
さらに、第2バッファ層222における鉄不純物の濃度の第1所定範囲は、1016cm-3~5×1018cm-3を含み、第2バッファ層222における炭素不純物の濃度の第2所定範囲は、1016cm-3~1017cm-3を含む。鉄不純物及び炭素不純物は、深い順位のアクセプタとして、両者ともに適切な濃度で第2バッファ層222内にドープされ、高抵抗及びバッファ層22全体のリークの低減作用を果たす。鉄不純物の濃度が低すぎる場合は、必要なバッファ層の高抵抗を実現することができない。鉄不純物の濃度が高すぎて炭素不純物の濃度が低すぎる場合は、バッファ層22の結晶品質及び表面形状に影響を及ぼす。炭素不純物の濃度が高すぎる場合は、バッファ層の結晶成長の品質を悪化させる。
【0042】
例示的な実施形態では、図1に示すように、第1バッファ層221は、第2バッファ層222の基板10に近接する一側に位置し、第3バッファ層223は、第2バッファ層222の第2半導体層30に近接する一側に位置する。さらに、図2に示すように、第1バッファ層221は、炭素不純物を有し、第1バッファ層221の炭素不純物の濃度は、第2バッファ層222の炭素不純物の濃度以下である。また、第3バッファ層223は、炭素不純物を有し、第3バッファ層223の炭素不純物の濃度は、第2バッファ層222の炭素不純物の濃度よりも低い。第1バッファ層221及び第3バッファ層223の炭素不純物の濃度をいずれも第2バッファ層222の炭素不純物の濃度よりも低くすることで、高抵抗を実現するとともに、バッファ層22の結晶品質を効果的に向上させることができる。一方、第3バッファ層223の炭素不純物の濃度をより調整しやすいため、第3バッファ層223の炭素不純物の濃度を第2バッファ層222の炭素不純物の濃度よりも低くすることで、バッファ層22の結晶品質をより向上させる。
【0043】
さらに、第1バッファ層221の炭素不純物の濃度は、1017cm-3以下であり、第2バッファ層222の炭素不純物の濃度は、1016cm-3以上かつ1017cm-3以下であり、第3バッファ層223の炭素不純物の濃度は、5×1016cm-3以下である。第1バッファ層221、第2バッファ層222及び第3バッファ層223の炭素不純物の濃度を制御してそれぞれ上記の範囲内にすることで、バッファ層22の高抵抗の実現に寄与するとともに、バッファ層22の結晶品質を向上させる。各バッファ層の炭素不純物の濃度が高すぎると、バッファ層22の結晶品質を明らかに低下させるが、第2バッファ層222の炭素不純物の濃度が低すぎると、鉄不純物による高抵抗効果を十分に補償することができない。
【0044】
例示的な実施形態では、図1を続けて参照し、第3バッファ層223の厚さは、dである。なお、200nm≦d≦500nmである。上記の関係を満たすように第3バッファ層223の厚さを制御することで、第2バッファ層222における鉄不純物が導電チャネルから適切な距離を有するようにし、ドープされる鉄不純物による導電チャンネルにおける2次元電子ガスへの影響を低減させることができる。第3バッファ層223が薄すぎると、第2バッファ層222における鉄不純物から導電チャンネルまでの距離が短すぎ、導電チャンネルに減衰される鉄不純物の過剰を招きやすくて、さらに、装置の飽和電流及び出力に影響を及ぼし、装置の信頼性を確保しにくい。第3バッファ層223の厚さが厚すぎると、バッファ層22の成長効率に影響を及ぼす。
【0045】
例示的な実施形態では、第2バッファ層222の厚さは、dである。なお、200nm≦d≦800nmである。上記の関係を満たすように第2バッファ層222の厚さを制御することで、バッファ層22の高抵抗を良好に実現するとともに、バッファ層22の結晶品質を向上させる。第2バッファ層222が薄すぎると、バッファ層22全体の高抵抗の実現に影響を及ぼす。第2バッファ層222の厚さが厚すぎると、バッファ層22の成長効率に影響を及ぼす。さらに、第2バッファ層222には、比較的高い濃度の鉄不純物がさらにドープされる。第2バッファ層222の厚さが厚すぎると、第2バッファ層222の結晶品質及び表面形状にも影響を及ぼす。
【0046】
例示的な実施形態では、第1バッファ層の厚さは、dである。なお、200nm≦d≦800nmである。上記の関係を満たすように第1バッファ層221の厚さを制御することで、第1バッファ層221の結晶が3次元成長から2次元成長に可及的に変換することに寄与し、後続のバッファ層の結晶成長品質を保証するとともに、バッファ層22の成長効率に影響を及ぼさない。第1バッファ層221が薄すぎると、第1バッファ層221は3次元成長から2次元成長に即座に変換しない可能性が高くなり、後続のバッファ層の成長品質を悪化させる。第1バッファ層221の厚さが厚すぎると、バッファ層22の成長効率に影響を及ぼす。
【0047】
例示的な実施形態では、図3を参照し、バッファ層22は、第4バッファ層224及び第5バッファ層225をさらに含んでもよい。具体的には、第4バッファ層224は、第1バッファ層221と第2バッファ層222との間に位置し、第5バッファ層225は、第2バッファ層222と第3バッファ層223との間に位置する。第1バッファ層221が薄すぎると、第4バッファ層224は、第1バッファ層221の厚さの補償に用いられてもよい。第3バッファ層221が薄すぎると、第5バッファ層225は、第3バッファ層223の厚さの補償に用いられてもよい。第2バッファ層222が薄すぎると、第4バッファ層224及び/又は第5バッファ層225は、第2バッファ層222の厚さの補償に用いられてもよい。バッファ層22内の層数が多ければ、バッファ層22の成長効率に影響を及ぼしやすくなるため、バッファ層22の層数は3層や4層、5層であることが好ましい。
【0048】
例示的な実施形態では、図1を続けて参照し、第1半導体層20は、基板10上に位置する核生成層21をさらに含んでもよい。バッファ層22は、核生成層21の基板10から離れる一側に位置する。核生成層21は、その上方のヘテロ接合材料の結晶品質、表面形状及び電気学性質などのパラメータに影響を及ぼすことが可能である。核生成層21は、基板10の材料によって変わり、主に基板10及びヘテロ接合構造における半導体材料層に合わせる作用を果たす。本発明では、核生成層21は、高温AlNまたは低温GaNによって形成されてもよく、主に、バッファ層22を初期の3次元成長モードから2次元成長モードに変換させる。
【0049】
本発明は、上述したエピタキシャル構造100を含む半導体装置をさらに提供する。上記半導体装置は、上述したエピタキシャル構造100によって製造されてもよく、より優れる装置のリーク特性及びピンチオフ特性を得ることに繋がるとともに、装置のサブスレッショルド特性を向上させて装置の信頼性を確保する。例えば、上記のエピタキシャル構造100には、ソース、ゲート及びドレインを続けて製造することで、性能が優れた電界効果型トランジスタを得ることができる。
【0050】
本発明は、半導体装置のエピタキシャル構造100の製造方法をさらに提供する。なお、エピタキシャル構造100の構造は、図1に示される。当該製造方法は、基板10を提供するステップS1と、基板10上に第1半導体層20を製造するステップS2とを含む。第1半導体層20は、バッファ層22を含む。バッファ層22は、積層して設置される第1バッファ層221、第2バッファ層222及び第3バッファ層223を少なくとも含む。第2バッファ層222は、第1バッファ層221と第3バッファ層223との間に位置する。バッファ層22には、鉄不純物がドープされるとともに、前記鉄不純物は、第2バッファ層222内にドープされる。
【0051】
上記製造方法では、バッファ層22を製造する場合、3つの段階により第1バッファ層221、第2バッファ層222及び第3バッファ層223をそれぞれ形成し、第2バッファ層222内に鉄不純物をドープして第2バッファ層222の鉄不純物の濃度を第1所定範囲にすることで、バッファ層22の高抵抗の実現に寄与し、装置に優れたリーク特性及びピンチオフ特性を与える。一方、鉄不純物を適切な濃度範囲で中部のバッファ層に分布させることで、基板10及び第2半導体層30に近接するバッファ層が鉄不純物をほとんど有していないか、または極めて少なく有し、バッファ層22の結晶品質の向上に寄与するとともに、装置のドレイン誘起障壁低下(DIBL)現象及び鉄不純物の尾引き現象の改善に寄与し、さらに、装置のサブスレッショルド特性を向上させて装置の信頼性を確保することができる。
【0052】
例示的な実施形態では、ステップS2は、具体的に、以下のステップを含む。
S210:基板10上に核生成層21をエピタキシャル成長させる。核生成層21は、高温AlNまたは低温GaNによって形成され、主に、バッファ層22を初期の3次元成長モードから2次元成長モードに変換させる。
【0053】
S220:核生成層21の基板10から離れる一側に第1バッファ層221をエピタキシャル成長させる。
具体的には、エピタキシャル成長プロセスにより、第1バッファ層221における炭素不純物を低い範囲内にすることで、バッファ層の後続の結晶の成長品質の向上に寄与する。
【0054】
S230:第1バッファ層221の核生成層21から離れる一側に第2バッファ層222をエピタキシャル成長させるとともに、鉄不純物を炭素不純物と共に第2バッファ層222にドープする。第2バッファ層222の炭素不純物の濃度を第2所定範囲にするとともに、第2バッファ層222の炭素不純物の濃度を第2バッファ層222の鉄不純物の濃度よりも低くする。
具体的には、鉄不純物と炭素不純物の組み合わせにより、バッファ層22に必要な高抵抗の実現により寄与する。
【0055】
S240:第2バッファ層222の第1バッファ層221から離れる一側に第3バッファ層223をエピタキシャル成長させる。
【0056】
具体的には、エピタキシャル成長プロセスにより、第3バッファ層223における炭素不純物の濃度を低い範囲内にすることで、バッファ層22の結晶品質の向上に寄与する。
【0057】
さらに、ステップS230は、エピタキシャル成長プロセスにより第2バッファ層222を形成するとともに、第2バッファ層222の炭素不純物の濃度を第1バッファ層221の炭素不純物の濃度以上にするステップをさらに含む。ステップS240は、エピタキシャル成長プロセスにより第3バッファ層223を形成するとともに、第3バッファ層223の炭素不純物の濃度を第2バッファ層222の炭素不純物の濃度よりも低くするステップをさらに含む。第1バッファ層221、第2バッファ層222及び第3バッファ層223の炭素不純物の濃度が上記の関係を満たすことで、バッファ層22の高抵抗の実現に寄与するとともに、バッファ層22の結晶品質を効果的に向上させて装置の物性の信頼性を確保する。
【0058】
上述した実施例の各技術的特徴を任意に組み合わせることができる。説明の簡潔化のために、上述した実施例における各技術的特徴のあらゆる組合せについて説明していないが、これらの技術的特徴の組合せは矛盾しない限り、本明細書に記載されている範囲内であると考えられるべきである。
【0059】
上述した実施例は、本発明の複数の実施形態を示したものにすぎず、その説明が具体的かつ詳細であるが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。なお、当業者にとって、本発明の趣旨から逸脱しないかぎり、若干の変形および改良を行うことができ、これら変形や改良もすべて本発明の保護範囲内に含まれる。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に準ずるものとする。
【符号の説明】
【0060】
100 エピタキシャル構造
10 基板
20 第1半導体層
30 第2半導体層
21 核生成層
22 バッファ層
221 第1バッファ層
222 第2バッファ層
223 第3バッファ層
224 第4バッファ層
225 第5バッファ層
31 チャンネル層
32 障壁層
図1
図2
図3
【国際調査報告】