IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特表2023-519643炭化水素発泡剤および1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エンで作製された硬質ポリウレタンフォーム
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-12
(54)【発明の名称】炭化水素発泡剤および1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エンで作製された硬質ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20230502BHJP
   C08G 18/50 20060101ALI20230502BHJP
   C08J 9/14 20060101ALI20230502BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20230502BHJP
【FI】
C08G18/00 H
C08G18/50 033
C08J9/14 CFF
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514268
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 US2020046288
(87)【国際公開番号】W WO2021045887
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】102019000015396
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】クレイマー、ハンス
(72)【発明者】
【氏名】モスチャッティ、トーマス
【テーマコード(参考)】
4F074
4J034
【Fターム(参考)】
4F074AA79
4F074AH01
4F074BA37
4F074BA38
4F074BA39
4F074BA40
4F074BA53
4F074BA95
4F074CA24
4F074CA25
4F074CC04X
4F074CC04Y
4F074CC22X
4F074CC32X
4F074CC32Y
4F074DA02
4F074DA07
4F074DA32
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DF01
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF21
4J034DF22
4J034DF27
4J034DG02
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034DG06
4J034DG08
4J034DG09
4J034DG15
4J034DG16
4J034DG18
4J034DG23
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HB05
4J034HB06
4J034HB07
4J034HB08
4J034HB09
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC33
4J034HC34
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA42
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB03
4J034KB05
4J034KC02
4J034KC17
4J034KD02
4J034KD03
4J034KD04
4J034KD07
4J034KD11
4J034KD12
4J034KE02
4J034NA02
4J034NA06
4J034NA07
4J034NA08
4J034QA01
4J034QA02
4J034QA03
4J034QA05
4J034QB01
4J034QC01
4J034RA10
4J034RA14
4J034RA15
(57)【要約】
【解決手段】 ポリウレタン断熱フォームは、少量のシスおよび/またはトランス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エンおよび炭化水素発泡剤の存在下で作製される。非常に低いラムダ値が得られる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンフォームを作製する方法であって、反応系を形成することと、前記反応系を硬化させて前記ポリウレタンフォームを生成することと、を含み、前記反応系が、
a)少なくとも1つのポリイソシアネートと、
b)少なくとも1つのポリオールと、
c)少なくとも1つのウレタン触媒と、
d)少なくとも1つのフォーム安定化界面活性剤と、
e)成分b)、c)、d)、およびe)の合計重量に基づいて、0~3重量パーセントの水と、
f)成分b)、c)、d)、およびe)の100重量部当たり1~6重量部のシス-および/またはトランス-1,1,1,4,4,4-テトラフルオロブト-2-エンと、
g)成分b)、c)、d)、およびe)の100重量部当たり8~30重量部の4~6個の炭素原子を有する1つ以上の炭化水素と、を含む、方法。
【請求項2】
前記反応系が、成分b)、c)、d)、およびe)の100重量部当たり2~4重量部のシスおよび/またはトランス-1,1,1,4,4,4-テトラフルオロブト-2-エンを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応系が、成分b)、c)、d)、およびe)の100重量部当たり12~20重量部の4~6個の炭素原子を有する1つ以上の炭化水素を含有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記反応系が、成分b)、c)、d)、およびe)の合計重量に基づいて、30重量パーセント以下のアルコキシル化o-トルエンジアミンポリオールを含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記反応系が、空洞に導入され、前記空洞中で硬化され、前記反応系が前記空洞に導入されるときに実際に700~950ミリバールの圧力が前記空洞中に維持される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法で作製された、ポリウレタンフォーム。
【請求項7】
10℃の平均プレート温度でEN 12667に従って測定した際に、最大で18.5mw/m-°Kのラムダ値を示す、請求項6に記載のフォーム。
【請求項8】
10℃の平均プレート温度でEN 12667に従って測定した際に、最大で18.25mw/m-°Kのラムダ値を示す、請求項6に記載のフォーム。
【請求項9】
ASTM 1622-88に従って測定した際に、28~40kg/mの密度を有する、請求項6~8のいずれか一項に記載のフォーム。
【請求項10】
断熱されたキャビネットを製造する方法であって、
A)外側シェル部材および内側ライナー部材を配置し、それらの間に空洞を画定することと、
B)前記反応系を前記空洞に導入することと、
C)反応系が膨張して反応するように、前記反応系を硬化させて、前記空洞を充填し、かつ前記外側シェル部材および前記内側ライナー部材に接着するポリウレタンフォームを生成することと、を含み、前記反応系が、
a)少なくとも1つのポリイソシアネートと、
b)少なくとも1つのポリオールと、
c)少なくとも1つのウレタン触媒と、
d)少なくとも1つのフォーム安定化界面活性剤と、
e)成分b)、c)、d)、およびe)の合計重量に基づいて、0~3重量パーセントの水と、
f)成分b)、c)、d)、およびe)の100重量部当たり1~6重量部のシス-および/またはトランス-1,1,1,4,4,4-テトラフルオロブト-2-エンと、
g)成分b)、c)、d)、およびe)の100重量部当たり8~30重量部の4~6個の炭素原子を有する1つ以上の炭化水素と、を含む、方法。
【請求項11】
前記反応系が、成分b)、c)、d)、およびe)の100重量部当たり2~4重量部のシスおよび/またはトランス-1,1,1,4,4,4-テトラフルオロブト-2-エンならびに成分b)、c)、d)、およびe)の100重量部当たり12~20重量部の4~6個の炭素原子を有する1つ以上の炭化水素を含有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記反応系が、成分b)、c)、d)、およびe)の合計重量に基づいて、65重量パーセント以下のアルコキシル化o-トルエンジアミンポリオールを含有する、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応系が、成分b)、c)、d)、およびe)の合計重量に基づいて、30重量パーセント以下のアルコキシル化o-トルエンジアミンポリオールを含有する、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
亜大気圧が、少なくともステップB)の間、前記空洞中に維持される、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記亜大気圧が、実際に700~950ミリバールである、請求項14に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質ポリウレタンフォームを作製する方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
硬質ポリウレタンフォームは、冷蔵庫および冷凍庫などの機器ならびに他の用途のための絶縁フォームとして広く使用されている。フォーム絶縁材の断熱特性は、機器の全体的な性能にとって非常に重要である。より良い断熱は、エネルギー消費を減らし、運用コストを下げる。このため、ラムダ(λ)値がより低い、すなわち断熱材としてさらにより良く性能を発揮するポリウレタンフォームが常に求められている。
【0003】
この結果を達成するために過去数十年にわたって多くの作業が行われ、現在、ポリウレタンフォームの絶縁能力は、技術的な限界に近づいていると考えられている。そのため、小さな改善でも実現が難しくなっている。しかしながら、強い需要があるため、絶縁能力のさらなる改善は、たとえそれらの改善が小さくても、市場で歓迎されている。
【0004】
現在、最高の絶縁能力を有する商業的用途における硬質ポリウレタンフォームは、大部分のo-トルエンジアミン開始ポリエーテルポリオールを含有するフォーム配合物から作製される。このポリオールを、特に、例えば、WO2010/046361に記載されているような真空支援プロセスと併用して使用することにより、商業機器の製造設定において、ラムダ値が非常に低いポリウレタンフォームを首尾よく生成する。しかしながら、o-トルエンジアミン開始ポリオールは、高価であるため、フォーム配合物で使用される量を制限することが望ましい。真空アシスト法を実行するために必要な設備は、すべての製造場所で利用可能ではない場合がある。
【0005】
特定のハイドロフルオロオレフィン(HFO)およびハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)化合物は、硬質ポリウレタンフォームを作製する際に発泡剤として使用される場合、低いラムダ値に関連付けられている。しかしながら、これらの化合物は、o-トルエンジアミン開始ポリオールのように、比較的高価であり、発泡剤としてのそれらの使用は、大幅なコストを追加する。特定のHFOである1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン(HFO-1336mzz)は、シクロペンタンおよび他の発泡剤と併用して使用され、硬質ポリウレタンフォームを作製する。例えば、AU2016-200022AおよびWO2019/096763を参照されたい。WO2019/096763は、4~20部のHFO-1336mzzおよび2~10部のシクロペンタン(ポリオール重量に基づく)を含有するポリウレタンフォームシステムについて記載している。これらのフォームシステムは、冷凍/トレーラー用の複合パネルなどの複合パネルを作製するために使用されてる。このプロセスで作製されたフォームは、25℃の平均プレート温度でコア密度が約45~50kg/mおよびラムダ値が20mW/mK以上であると報告されている。HFO-1336mzz自体が、フォームを過度に脆くする原因になると言われている。
【0006】
本発明は、一態様では、
a)少なくとも1つのポリイソシアネートと、
b)少なくとも1つのポリオールと、
c)少なくとも1つのウレタン触媒と、
d)少なくとも1つのフォーム安定化界面活性剤と、
e)成分b)、c)、d)、およびe)の合計重量に基づいて、0~3重量パーセントの水と、
f)成分b)、c)、d)、およびe)の100重量部当たり1~6重量部のシス-および/またはトランス-1,1,1,4,4,4-テトラフルオロブト-2-エンと、
g)成分b)、c)、d)、およびe)の100重量部当たり8~30重量部の4~6個の炭素原子を有する1つ以上の炭化水素と、を含む反応系の反応生成物であるポリウレタンフォームである。
【0007】
本発明はまた、第1の態様に関して記載したように反応系を形成し、反応系を硬化させてポリウレタンフォームを生成することを含むポリウレタンフォームを作製する方法である。
【0008】
本発明はまた、
A)外側シェル部材および内側ライナー部材を配置し、それらの間に空洞を画定することと、
B)第1の態様の反応系を空洞に導入することと、
C)反応系が膨張して反応するように、反応系を硬化させて、空洞を充填し、かつ外側シェル部材および内側ライナー部材に接着するポリウレタンフォームを生成することと、を含む断熱されたキャビネットを製造する方法である。
【0009】
本発明に従って作製されたフォームは、驚くほど良好な絶縁特性、すなわち低いラムダ値を有することを特徴とする。ラムダ値は、多くの場合、炭化水素発泡剤のみを使用して調製される他の同様のフォームと比較して、2~5%以上減少する。本発明で得られたラムダ値は、1,1,1,4,4,4-テトラフルオロブト-2-エンを唯一の物理的発泡剤として大量に使用する場合に得られた値とほぼ同じである。後者の結果は、本発明が高価な1,1,1,4,4,4-テトラフルオロブト-2-エンのほとんどを、材料費を削減する安価な炭化水素発泡剤で置き換えることを可能にするので、特に驚くべきことであり、かつ有益である。
【0010】
本発明の別の利点は、ポリオール成分が少量のo-トルエンジアミン開始ポリオールのみを含有する場合でさえ、優れたラムダ値が得られることである。この恩恵により、o-トルエンジアミン開始ポリオールの多くをより安価なポリオールに置き換えることができ、優れた断熱特性を提供しながら、再び原材料費が削減される。
【0011】
成分a)は、少なくとも1つの有機ポリイソシアネートであり、その例には、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族もしくは芳香族ポリイソシアネート、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせが含まれる。有機ポリイソシアネートは、例えば、最大250のイソシアネート当量を有し得る。具体的な有機ポリイソシアネートには、例えば、アルキレンジイソシアネート、特にアルキレン部分に4~12個の炭素原子を有するもの、例えば、1,12-ドデカンジイソシアネート、2-エチルテトラメチレン1,4-ジイソシアネート、2-メチル-ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチル-2-ブチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、テトラメチレン1,4-ジイソシアネート、好ましくはヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,3-および-1,4-ジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート、ならびにこれらの異性体の任意の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナト-メチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、2,4-および2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネートおよびこれらの異性体の混合物、4,4’-、2,2’-および2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびこれらの異性体の混合物、1,4-キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネートおよびキシリレンジイソシアネート異性体の混合物、好ましくは芳香族ジイソシアネート、ならびにポリイソシアネート、例えば2,4-および2,6-トルエンジイソシアネートならびに対応する異性体混合物、4,4’-、2,4’-および2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートならびに対応する異性体混合物、4,4’-および2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、ポリフェニル-ポリメチレンポリイソシアネート、4,4’-、2,4’-、および2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物ならびにポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗MDI)、ならびに粗MDIとトルエンジイソシアネートとの混合物が含まれる。
【0012】
変性ポリイソシアネート、すなわち、有機ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートの化学反応によって得られる生成物も使用され得る。具体的な例は、好ましくは、変性ポリイソシアネートの総重量に基づいて、33.6~15重量パーセント、好ましくは31~21重量パーセントのイソシアネート基を含有する、エステル、尿素、ビウレット、アロファネート、ウレトネイミン、カルボジイミド、イソシアヌレート、ウレトジオン、ならびに/またはウレタン含有ジイソシアネートおよび/もしくはポリイソシアネートである。
【0013】
成分b)は、少なくとも1つのポリオールである。ポリマーフォームの所望の特性に部分的に応じて、広範囲のポリオールを使用することができる。したがって、有用なポリオールには、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ヒドロキシル末端ポリブタジエンゴム、およびポリアクリレートポリオール、ならびに他のタイプが含まれる。有用なポリオールは、約30~3000のヒドロキシル当量を有するが、少なくとも1つのポリオールが30~1000、特に75~560または100~350のヒドロキシル当量を有することが好ましい。ポリオールは、分子当たり2~8またはそれ以上のヒドロキシル基のヒドロキシル官能価を有し得る。
【0014】
成分b)は、好ましくは、75~560、特に100~350のヒドロキシル当量および少なくとも3、例えば3~8の公称ヒドロキシル官能価を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含む。そのようなポリエーテルポリオールの例には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジエタノール、1,2,6-ヘキサントリオール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、スクロース、マンニトール、o-トルエンジアミン(トルエン-2,3-ジアミンおよび/もしくはトルエン-3,4-ジアミン)、2,4-、2,5-、ならびに/または2,6-トルエンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)-エチレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、ならびにそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、30~59の当量を有するスターターを含有する1つ以上のヒドロキシルおよび/またはアミン基のエトキシレートおよび/またはプロポキシレートが含まれる。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、成分b)は、成分b)、c)、d)、およびe)の合計重量の65%以下、50%以下、40%以下、35%以下、30%以下、または25%以下の量のアルコキシル化o-トルエンジアミンポリオールを含有する。そのようなアルコキシル化o-トルエンジアミンポリオールは、75~560または100~350のヒドロキシル当量を有し得る。アルコキシル化o-トルエンジアミンポリオールは、存在しなくてもよく、または存在する場合、成分b)、c)、d)、およびe)の合計重量の少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%を構成し得る。本発明の有意な利点は、アルコキシル化o-トルエンジアミンポリオールが存在しないか、または少量しか存在しない場合でも、非常に低いラムダ値を得ることができることである。
【0016】
別の有用なポリオールは、75~560、特に100~350のヒドロキシル当量、および6~8の公称ヒドロキシル官能価を有するポリエーテルポリオールである。そのようなポリオールの例は、アルコキシル化ソルビトールまたはアルコキシル化スクロースポリオールである。そのようなポリオールは、存在する場合、例えば、成分b)、c)、d)、およびe)の合計重量の少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも25%、かつ最大80%または最大60%を構成し得る。
【0017】
別の有用なポリオールは、2~4の公称ヒドロキシル官能価および75~560のヒドロキシル当量を有するポリエーテルであり、これは、o-トルエンジアミンのアルコキシレートではない。そのようなポリエーテルポリオールの例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのような1つ以上の低分子量ヒドロキシル含有化合物のアルコキシレート、2,4-トルエンジアミン、2,5-トルエンジアミン、ビス(アミノエチル)アミン、エチレンジアミンなどのような1つ以上のアミンのアルコキシレート、およびモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミンなどのようなアルカノールアミンのアルコキシレートが含まれる。
【0018】
アルコキシレートである前述のポリオールのいずれにおいても、アルコキシドは、例えば、1,2-プロピレンオキシド、1,3-プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2-もしくは2,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド、またはシクロヘキサンオキシドのうちの1つ以上であり得る。プロポキシレートおよび/またはエトキシレートが特に好ましい。そのようなアルコキシレートは、好ましくはハロゲン化されていない。
【0019】
さらに別の有用なポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、およびスクロースなどの30~74のヒドロキシル当量を有する、2~8、特に2~6または3~4の公称ヒドロキシル官能価を有する。
【0020】
さらに他の有用なポリオールは、ポリエステルポリオールである。有用なポリエステルポリオールは、例えば、約2~約12個の炭素原子を有する有機ジカルボン酸(または対応する酸無水物もしくはエステル)、好ましくは8~12個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸と多価アルコール、好ましくは、2~12個の炭素原子、好ましくは2~6個の炭素原子を有するジオールおよび/またはトリオールとの反応生成物であり得る。好適なジカルボン酸の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼラン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、好ましくはオルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、および異性体ナフタレンジカルボン酸である。ジカルボン酸は、単独で使用してもよく、または互いに混合してもよい。ポリエステルポリオールを作製するために使用される二価および多価アルコールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、グリセロール、ならびにトリメチロールプロパンである。直鎖または分枝鎖に6個以上の炭素原子を有する1つ以上のペンダント脂肪族ヒドロカルビル基を含有する、米国特許第6,359,022号に記載されているような変性芳香族ポリエステルポリオールも有用である。さらに、ε-カプロラクトンなどのラクトンまたはω-ヒドロキシカプロン酸およびヒドロ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸から作製されたポリエステルポリオールも用いられ得る。例えば、WO2011/137011に記載されているようなハイブリッドポリエーテル-ポリエステルポリオールも有用である。
【0021】
別の有用なポリオールは、560を超えるヒドロキシル当量を有するポリエステルまたはポリエーテルポリオールである。
【0022】
成分c)は、ウレタン触媒、すなわち、アルコール基または水とイソシアネート基との反応を触媒する材料である。好適なウレタン触媒の中には、スズ(II)およびスズ(IV)触媒、他の第III族~第XV族の金属を含有する触媒、三級アミン化合物、アミジン、三級ホスフィンなどがある。有用なウレタン触媒の中には、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、ジアルキルイミダゾール化合物、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジメチルピペラジン、1,4-ジアゾビシクロ-2,2,2-オクタン、テトラアルキルグアニジン化合物、2,2,2-ジメチルアミノエトキシエチルメチルアミノエタノール、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、1,3,5-トリス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、トリエチレンジアミン、アルキル基が4~18個の炭素原子を含有するジメチルアルキルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズジラウレート、オクタン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ、塩化第二スズ、塩化第一スズ、ジ-n-ブチルスズビス(メルカプト酢酸イソオクチルエステル)、および式SnR(OR)4-n(式中、Rはアルキルまたはアリールであり、nは0~2である)の他の有機スズ化合物がある。
【0023】
1つまたは複数のウレタン触媒は、触媒的に有効な量で使用される。ウレタン触媒は、例えば、成分b)、c)、d)、およびe)の合計重量の最大5%、または最大4%を構成し得る。
【0024】
成分d)は、1つ以上のフォーム安定化界面活性剤である。好適な界面活性剤には、シリコーンオイルなどのシリコーン、および米国特許第4,483,894号に記載されているようなポリジメチルシロキサンおよびポリジメチルシロキサン-ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを含む有機シリコーン-ポリエーテルコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。他の好適な界面活性剤は、米国特許4,022,722号に開示されているような、少なくとも30,000の平均分子量を有する線状シロキサン-ポリオキシアルキレンボックコポリマーである。さらに他の好適な界面活性剤には、ノニルフェノールエトキシレートおよびエチレンオキシド/ブチレンオキシドブロックコポリマーなどの有機界面活性剤が含まれる。好適な界面活性剤は、Evonik Industries、Momentive Performance Materials、およびThe Dow Chemical Companyから広く市販されている。
【0025】
成分d)は、例えば、成分b)、c)、d)、およびe)の総重量の少なくとも0.25%かつ最大10%を構成し得る。好ましい量は、同じ基準で、少なくとも0.5%または少なくとも1%、かつ最大5%または最大3%である。
【0026】
成分f)は、1,1,1,4,4,4-テトラフルオロブト-2-エンのシスもしくはトランス異性体、または任意の比率のシス異性体とトランス異性体との混合物である。成分f)は、成分b)、c)、d)、およびe)の100重量部当たり1~6重量部の量で存在する。好ましい量は、同じ基準で、1~4重量部または2~4重量部である。
【0027】
成分g)は、4~6個の炭素原子を有する1つ以上の炭化水素である。そのような炭化水素の例には、n-ブタン、イソブタン、シクロブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n-ヘキサン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、シクロヘキサン、2-エチルブタン、2,2-ジメチルブタンおよび2,3-ジメチルブタン、ならびにそれらの任意の2つ以上の混合物が含まれる。1つ以上のペンタンが好ましく、シクロペンタンが特に好ましい。成分g)は、成分b)、c)、d)、およびe)の100重量部当たり8~30重量部、好ましくは10~20重量部、または12~20重量部の量で存在する。
【0028】
反応系は、すでに述べたものに加えて、様々な任意選択の構成成分を含み得る。そのような任意選択の構成成分は、イソシアネート三量化触媒を含み得る。イソシアネート三量化触媒の例には、アルカリ金属フェノラート、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属カルボキシレート、四級アンモニウム塩などのような強塩基が含まれる。別の任意選択の構成成分は、リン含有難燃剤、ハロゲン化難燃剤、およびメラミンなどの1つ以上の難燃剤である。反応系は、1つ以上の充填剤ならびに/または繊維ガラス、炭素繊維、フレークガラス、マイカ、タルク、および炭酸カルシウムなどの強化剤;二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジン、およびカーボンブラックなどの1つ以上の顔料および/または着色剤;1つ以上の殺生物剤;1つ以上の防腐剤;1つ以上の抗酸化剤;などを含有する。
【0029】
フォームは、構成成分a)~g)を任意の任意選択の構成成分と組み合わせることによって本発明に従って作製され、次いで成分g)が揮発し、ポリイソシアネートがポリオール、水、および他のイソシアネート反応性構成成分と反応し、高分子フォームを生成するような条件下で硬化される反応系を生成する。シスおよび/またはトランス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エンも発泡プロセス中に揮発し得る。イソシアネート指数(反応混合物に提供されるイソシアネート反応基に対するイソシアネート基の比の100倍)は、少なくとも90、好ましくは少なくとも100または少なくとも110である。ポリウレタン-イソシアヌレートフォームが望まれる場合、イソシアネート指数は、好ましくは、少なくとも200、少なくとも250、または少なくとも300である。いくつかの実施形態では、イソシアネート指数は、最大1000、最大600、最大500、または最大450、最大250、最大200、最大150、または最大125であり得る。
【0030】
成分a)~g)を混合する順序は、特に重要ではないが、他のすべての成分がすでに存在する場合、ポリイソシアネートを水およびポリオールと組み合わせることが一般に好ましい。成分b)~e)、b)~f)、またはb)~g)を最初に組み合わせて配合されたポリオール成分を形成し、次いで、これを残りの構成成分と組み合わせて反応系を生成し得る。特定の実施形態では、成分b)~e)またはb)~f)を組み合わせて、配合されたポリオール成分を形成し、次いで、配合されたポリオール成分を成分f)(必要な場合)、g)、およびa)と同時にまたは連続的に、のいずれかで混合して、反応系を生成する。しかしながら、様々な成分を一度に、または様々なサブコンビネーションに一緒にすることによって反応混合物を生成することは、本発明の範囲内である。
【0031】
ポリイソシアネート、ポリオール、および水は、典型的には、室温でも混合すると自発的に反応し、発熱反応熱は、多くの場合、炭化水素発泡剤(成分g))および成分f)を揮発させるのに必要な温度を生成するのに十分である。したがって、多くの場合、10~35℃などの室温またはその付近で反応混合物を形成することのみが必要であり、さらに熱を加えることなく硬化反応を完了させることができる。しかしながら、必要に応じて、成分は、反応混合物を形成するときもしくは形成する前に加熱することができ、および/または一旦形成された反応系は、硬化反応を促進するために高温に加熱することができる。
【0032】
フォームは、フォーム配合物がオープンエリアに分配され、垂直方向に自由に上昇してバンストック(bunstock)を生成することを可能にするフリーライズプロセスで製造することができる。他の実施形態では、フォームは、反応混合物を移動ベルトまたは基材上に連続的に分配することによって連続プロセスで生成される。基材は、対向するシートまたはパネルであり、対向するシートまたはパネルの第2の層は、サンドイッチ構造を形成するために、反応混合物の上に連続的に置かれ得る。反応混合物は硬化して、基材に接着するフォームを形成する。
【0033】
特に関心のある実施形態では、フォームは、膨張および硬化が行われる空洞または画定された空間に反応混合物を導入することによって生成される。空洞または画定された空間は、例えば、断熱パネルもしくは壁の壁、または冷蔵庫、冷凍庫、冷却器、食器洗い機、給湯器、または他の機器の壁によって画定され得る。空洞または画定された空間は、事前に絶縁されたパイプを作製するために使用されるような環状の型または空洞であり得る。特に、空洞は、外側シェル部材および内側ライナー部材を配置し、それらの間に空間を画定することによって形成することができる。外側シェル層は、例えば、断熱が望まれる機器の外壁を形成し得る。内側ライナーは、例えば、そのような機器の内壁を形成し得る。外側シェルおよび内側ライナーはそれぞれ、鋼またはアルミニウムなどの金属、およびポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンインターポリマー、ポリアミド、ポリエステル、硬質ポリウレタン樹脂などのような様々な構造用熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂で作製することができる。特定の実施形態では、機器は、冷蔵庫または冷凍庫であり、外側シェルは、金属であり、内側ライナーは、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンインターポリマー、ポリアミド、ポリエステル、または硬質ポリウレタン樹脂などの構造用熱可塑性樹脂である。
【0034】
外側シェルおよび内側ライナーは、反応系が導入される空洞を形成するように配置され、そこで硬化されてポリウレタンフォームを形成する。シェルおよびライナーは、ジグまたは他の機械的装置を使用してそれらのそれぞれの配置に保持され得る。
【0035】
反応系は、1つ以上の注入ポートを通してそれを注ぐまたは注入するなどによって、空洞に導入される。導入される反応系の量は、反応系が膨張して硬化するときに反応系が空洞を充填するのに少なくとも十分である。反応混合物が膨張すると、空洞を充填するために最小限必要とされる量を超えるいくらかの過剰の反応混合物を導入することによって、空洞が「オーバーパック」される場合がある。例えば、空洞は、5~40%オーバーパックされる場合がある、すなわち、反応混合物が膨張すると、空洞を充填するために最小限必要とされる量を超えて5~40重量%以上の反応系が導入される。
【0036】
反応系は、導入されると、膨張して硬化し、空洞中にポリウレタンフォームを生成する。ポリウレタンフォームは、典型的には、外側シェルおよび内側ライナーの両方に接着し、得られるアセンブリに機械的強度および安定性を付与するのに加えて、断熱を提供する。
【0037】
例えば、WO2007/058793およびWO2010/044361に記載されているように、亜大気圧は、充填ステップの間、および任意選択で硬化ステップの少なくとも一部において、空洞中に維持され得る。減圧は、例えば、フォーム形成組成物が型に装入される前または直後に、実際に300~950mbar(30~95kPa)、好ましくは実際に400~950mbar(40~95kPa)、さらにより好ましくは実際に700~950mbar(50~95kPa)であり得る。減圧は、好ましくは、反応系が型に導入されるまで、より好ましくは、反応系が膨張してゲル化する(すなわち、三次元ポリマーネットワークを形成する)まで維持される。
【0038】
本発明に従って作製されたフォームは、例えば、ASTM 1622-88に従って測定した際に、20~120kg/m、24~80kg/m、28~64kg/m、または28~40kg/mのフォーム密度を有し得る。気泡は、少なくとも約70パーセント独立していてもよく、少なくとも約80パーセント独立していてもよく、または少なくとも約85パーセント独立していてもよい。フォームは、多くの場合、10℃の平均プレート温度でEN-12667に従って測定した際に、20.0以下、19.0以下、18.5以下、さらには18.25mW/m-°K以下のラムダ値を有する。
【0039】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されているが、それらの範囲を限定しない。すべての部およびパーセンテージは、別途示されない限り、重量による。
【0040】
配合されたポリオールAは、ポリエーテルポリオール、ウレタン触媒、シリコーン界面活性剤、および水の混合物である。それは、1.8重量%の水ならびに4の官能価および約440mgKOH/gのヒドロキシル価を有する25重量%のo-TDAポリオールを含有する。配合されたポリオールAは、395mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0041】
配合されたポリオールBは、ポリエーテルポリオール、ウレタン触媒、シリコーン界面活性剤、グリセリン、および水の混合物である。それは、1.5重量%の水ならびに4の官能価および370~440mgKOH/gのヒドロキシル価を有する59重量%のo-TDAポリオールを含有する。配合されたポリオールBは、418mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0042】
PMDIは、約31重量%のイソシアネート含有量を有する高分子MDIである。
【0043】
実施例1および比較サンプルA
実施例1を作製するために、100重量部の配合されたポリオールAを、約23℃で3重量部のトランス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン、13.2重量部のシクロペンタン、次いで、140部のPMDI(122指数)と組み合わせて、反応混合物を形成する。反応混合物の一部は、200cmX20cmX5cm(~6’6”X8”X2”)の寸法を有する長方形の「ブレット」型にすぐに注入される。ブレット型は、200cm方向を垂直に配向して配向し、45±5℃に予熱する。ブレット型は、大気圧である。組成物は、それ自体の重量に対して膨張し、型の内部で硬化することを可能にする。得られたフォームがちょうど型を充填するようなポリウレタン形成組成物の量が選択される。次いで、得られたフォームの密度を測定し、最小充填密度(MFD)として報告する。型が10%オーバーパックされることを除いて、フォームを型から外し、実験を繰り返す。得られたフォームのラムダ値は、10℃の平均プレート温度を使用してEN 12667に従って決定する。
【0044】
反応混合物の別の部分を20cm×20cm×20cmの箱に注ぎ、クリームの時間を視覚的に評価する。スパチュラを硬化反応混合物の表面に押し付けて、ゲル化時間(混合後、ポリマーのストリングがスパチュラに付着する時間)およびタックフリー時間(混合後、ポリマーがスパチュラにもはや付着しなくなる時間)を評価する。
【0045】
前述の実験を、反応系がゲル化するまで、充填および泡の膨張中にブレット型に部分真空(-0.2気圧ゲージ、実際には80kPa)が引かれることを除いて、実施例1の配合物を使用して繰り返す。
【0046】
比較サンプルAは、100重量部の配合されたポリオールAを、14.5部のシクロペンタンおよび140部のPMDI(1.22指数)と組み合わせることにより、類似の方法で作製する。クリーム時間、ゲル化時間、およびタックフリー時間は、以前と同じように測定する。最小充填密度およびラムダ値は、実施例1に関して記載したように、大気圧および減圧でブレット型で作製されたフォームに対して決定する。
【0047】
前述の試験の結果は、表1に示されるとおりである。
【表1】
【0048】
表1のデータが示すように、ラムダの有意な減少は、3重量部の1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エンを配合物に添加し、シクロペンタンの量を約10%減少することによって得られる。実施例1で得られたラムダ値は、特にフォーム配合物がかなり低い割合のo-TDA開始ポリオールを含有することを考慮すると、非常に低い。クリーム、ゲル化、タックフリー時間に有意な変化は見られない。
【0049】
実施例2および3ならびに比較サンプルB
フォーム実施例2および3は、前の実施例で記載したのと同じ一般的な方法で、100部の配合されたポリオールBを、3部のトランス-またはシス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エンのいずれか、14.8部のシクロペンタンおよびPMDI(119指数)と組み合わせることによって作製する。比較サンプルBは、100部の配合ポリオールBを、16部のシクロペンタンおよびPMDA(121指数)と組み合わせ、類似の方法で得られた反応混合物を発泡させることによって作製する。クリーム、ゲル化、およびタックフリー時間は、それぞれの場合に測定し、大気圧および減圧のそれぞれでブレット型で生成されたフォームについての最小充填密度およびラムダも測定する。フォーム試験の結果は、表2に示されるとおりである。
【表2】
【0050】
表2のデータは、ラムダ値の有意な減少が、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンのシスまたはトランス異性体のいずれかを使用して本発明で達成されることを実証している。この場合、絶縁能力の改善は、大部分のo-TDA開始ポリオールを含有するフォーム配合物でも達成される。そのようなフォームは、ラムダ値が非常に低いことが以前から知られており、さらに有意な減少は、予想外であり、かなり有益である。
【0051】
実施例4ならびに比較サンプルCおよびD
比較サンプルCは、減圧した型および10%のオーバーパッキングを使用して、前の実施例で記載したのと同じ一般的な方法で、100重量部の配合されたポリオールAを、14.5部のシクロペンタンおよびPMDI(112指数)と組み合わせ、得られた反応混合物をフォームに加工することによって調製する。比較サンプルDは、100重量部の配合されたポリオールAを、6.6部のシクロペンタン、18部のシス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン、およびPMDI(112指数)と組み合わせることによって同様の方法で調製する。
【0052】
実施例4は、100部の配合ポリオールB、3部のシス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン、14.8部のシクロペンタン、およびPMDI(112指数)を組み合わせることによって、同じ一般的な方法で作製する。
【0053】
ラムダを測定する。フォーム密度は、いずれの場合も約35g/Lである。それぞれの場合の構成成分およびフォーム試験の結果は、表3に示すとおりである。
【表3】
【0054】
比較サンプルCとDとを比較するとわかるように、18部のシス-1,1,1,4,4,-ヘキサフルオロブタ-2-エンを含め、シクロペンタンの量を6.6部に減少させることによって、(比較サンプルCに対して)5.8%のラムダ減少が得られる。この結果は、高価な1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン材料を大量に必要とし、その結果、コスト面で大きな不利益が生じ、ラムダで1.1mW/m-°Kの減少をさせるには、18部のシス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エンが必要である。実施例1および4は、2つの異なるポリオール系において、その代わりに、6分の1(3部)のみの1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エンの量を添加することによって、その利益の半分以上からほぼ75%が本発明で得られることを示す。実施例1では、3部の1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エンのみを使用して、0.6mW/m-°Kの減少が得られ、実施例4では、3部の1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを使用しながら、0.8mW/m-°Kが得られる。本発明では、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エンを使用することの利点のほとんどは、使用レベルのほんの一部であり、コストのほんの一部で得られる。
【国際調査報告】