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特表2023-519653患者パラメータフィードバックに基づいて過飽和酸素療法を制御するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-12
(54)【発明の名称】患者パラメータフィードバックに基づいて過飽和酸素療法を制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/32 20060101AFI20230502BHJP
   A61B 5/1459 20060101ALI20230502BHJP
   A61B 8/13 20060101ALI20230502BHJP
   A61B 5/0536 20210101ALI20230502BHJP
   A61B 5/0538 20210101ALI20230502BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20230502BHJP
   A61M 1/14 20060101ALI20230502BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
A61M1/32
A61B5/1459
A61B8/13
A61B5/0536
A61B5/0538
A61B5/055 390
A61B5/055 380
A61M1/14 110
A61M1/36 185
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551533
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(85)【翻訳文提出日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 US2021024992
(87)【国際公開番号】W WO2021202603
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/003,210
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510034982
【氏名又は名称】ゾール サーキュレイション インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ZOLL Circulation,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン、ギャリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャコメッティ、パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ランプ、ジョシュア ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘルケン、ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ミリック、スティーブン エルウッド
(72)【発明者】
【氏名】クリーチ、ジェフリー ランス
【テーマコード(参考)】
4C038
4C077
4C096
4C127
4C601
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KK04
4C038KL01
4C038KL07
4C038KX01
4C077AA02
4C077BB07
4C077DD01
4C077EE01
4C077EE05
4C077HH03
4C077HH07
4C077HH12
4C077JJ04
4C077JJ08
4C077JJ16
4C077JJ24
4C096AA18
4C096AD14
4C096DC20
4C096DC33
4C096DC35
4C127AA06
4C127BB05
4C601DE16
(57)【要約】
本開示は、気体富化療法を制御するためのシステムおよび方法を提供する。1または複数のセンサは、患者の1または複数の生理学的パラメータ、例えば、血液または組織酸素パラメータを測定するために使用される。プロセッサは、測定されたパラメータに基づいて、気体富化療法の有効性を示す、測定された生理学的パラメータの値またはレベルを示す、ユーザインタフェースを通じた警報を生成するために使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における気体富化療法を制御するためのシステムであって、前記システムは、
気体で液体を富化して気体富化液体を形成するよう構成され、前記気体富化液体を血液と混合して気体富化血液を形成するよう構成される気体富化システムと、
前記気体富化システムに流体的に連結される複数の流体導管であって、前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管は、前記血液を前記患者から前記気体富化システムへ流すよう構成され、前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管は、前記気体富化血液を前記気体富化システムから前記患者へ流すよう構成される、複数の流体導管と、
前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管に連結された血液ポンプであって、前記気体富化システムと前記患者との間で血液をポンピングするための血液ポンプと、
1または複数の血液酸素パラメータを測定するよう構成される少なくとも1つのセンサと、
ユーザ入力を受け、可視警報および可聴警報の少なくとも1つを発するよう構成されるユーザインタフェースと、
プロセッサ、メモリ、ならびに、前記少なくとも1つのセンサおよび前記ユーザインタフェースに通信可能に連結された関連回路を含むコントローラと
を備え、前記プロセッサは、
前記少なくとも1つのセンサから前記1または複数の血液酸素パラメータの測定値に対応する1または複数の信号を受信し、
前記測定値に基づいて、前記気体富化療法の有効性を示す、前記血液酸素パラメータの前記測定値を示す、前記ユーザインタフェースを通じた警報を生成する
よう構成される、
システム。
【請求項2】
前記気体富化システムは、酸素で液体を富化し、血液と混合される酸素富化液体を形成するよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1または複数の血液酸素パラメータは動脈pOを含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサは、前記動脈pOを測定するためのクラーク電極を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記1または複数の血液酸素パラメータは動脈SOを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、pOの測定値を、760~1500mmHgであるpOの予めプログラムされた標的範囲と比較する、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記比較に基づいて、前記患者への気体富化血液の供給を制御する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記1または複数の血液酸素パラメータは動脈SOであり、前記プロセッサは、SOの測定値を、90~100パーセントである動脈SOの許容される通常範囲と比較する、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記1または複数の血液酸素パラメータは動脈pOであり、前記プロセッサは、pOの測定値を、75~110mmHgである動脈pOの許容される通常範囲と比較する、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記気体富化システムはカートリッジを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記カートリッジは3つのチャンバを有する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
患者における気体富化療法を制御するためのシステムであって、前記システムは、
気体で流体を富化して気体富化流体を形成するよう構成され、前記気体富化流体を血液と混合して気体富化血液を形成するよう構成される気体富化システムと、
前記気体富化システムに流体的に連結された複数の流体導管であって、前記複数の流体導管の少なくとも1つの流体導管は、前記患者から前記気体富化システムへ前記血液を流すよう構成され、前記複数の流体導管の少なくとも1つの流体導管は、前記気体富化システムから前記患者へ前記気体富化血液を流すよう構成される、複数の流体導管と、
前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管に連結された血液ポンプであって、前記気体富化システムと前記患者との間で血液をポンピングするための血液ポンプと、
気体富化血液を前記患者へ流すよう構成される前記流体導管に連結されたカテーテルであって、前記カテーテルに連結された1または複数の内部電極を含む、カテーテルと、
患者の外部表面に連結されるよう構成される複数の外部電極と、
ユーザ入力を受け、可視警報および可聴警報の少なくとも1つを発するよう構成されるユーザインタフェースと、
プロセッサ、メモリ、ならびに、前記カテーテルの前記1または複数の内部電極、前記複数の外部電極、および、前記ユーザインタフェースに通信可能に連結された関連回路を含むコントローラと
を備え、前記プロセッサは、
前記1または複数の内部電極と前記複数の外部電極との間の組織領域からの測定されたインピーダンス値に対応する複数の信号を受信し、
前記測定されたインピーダンス値に少なくとも部分的に基づいて、インピーダンストモグラフィマップを生成し、
前記インピーダンストモグラフィマップに基づいて、前記組織領域における血液灌流に関する情報であって、前記気体富化療法の有効性を示す情報を、前記ユーザインタフェースを通じて提供する
よう構成される、
システム。
【請求項13】
前記気体富化システムは、酸素で液体を富化し、血液と混合される酸素富化液体を形成するよう構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記インピーダンストモグラフィマップに基づく前記組織領域における血液灌流に関する情報は、低インピーダンス値を有するマップゾーンによって表される、血液灌流の増加および梗塞の低減を含む、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
前記組織領域は梗塞を含み、前記プロセッサは、前記組織領域における測定されたインピーダンス値の前記インピーダンストモグラフィマップを、前記組織領域における測定されたインピーダンス値の基準トモグラフィマップと比較して、前記患者における血液灌流または梗塞の大きさの変化を判定するよう構成される、請求項12から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、マップゾーンをタグ付けし、ある期間にわたって、前記タグ付けされたマップゾーンについての組織インピーダンスの変化を分析するよう構成される、請求項12から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、ある期間にわたって、前記タグ付けされたマップゾーンについての平均組織インピーダンスを計算するよう構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記1または複数のカテーテル電極は、バイポーラECG電極を含む、請求項12から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記気体富化システムに、前記組織領域における血液灌流に関する情報に基づいて前記血液中のO飽和のレベルを増加させるよう構成される、請求項12から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記血液ポンプに、前記組織領域における血液灌流に関する情報に基づいて前記患者への酸素富化血液の流量を増加させるよう構成される、請求項12から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記プロセッサは、梗塞ゾーンを示す前記組織領域のMRIまたはCT画像上に前記インピーダンストモグラフィマップを重ね合わせるよう構成され、前記プロセッサは、前記梗塞ゾーンにおける平均インピーダンスを計算するよう構成される、請求項12から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
患者における気体富化療法を制御するためのシステムであって、前記システムは、
気体で流体を富化して気体富化流体を形成するよう構成され、前記気体富化流体を血液と混合して気体富化血液を形成するよう構成される気体富化システムと、
前記気体富化システムに流体的に連結される複数の流体導管であって、前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管は、前記患者から前記気体富化システムへ前記血液を流すよう構成され、前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管は、前記気体富化システムから前記患者へ前記気体富化血液を流すよう構成され、
前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管に連結された血液ポンプであって、前記気体富化システムと前記患者との間で血液をポンピングするための血液ポンプと、
標的組織における標的分子の共鳴信号を測定するよう構成される核磁気共鳴プローブと、
ユーザ入力を受け、可視警報および可聴警報の少なくとも1つを発するよう構成されるユーザインタフェースと、
プロセッサ、メモリ、ならびに、前記核磁気共鳴プローブおよび前記ユーザインタフェースに通信可能に連結された関連回路を含むコントローラと
を備え、前記プロセッサは、
前記核磁気共鳴プローブからの前記標的分子の前記測定された共鳴信号に基づいて、前記標的組織における前記標的分子のレベルに対応する1または複数の信号を受信し、
前記測定された値に基づいて、前記気体富化療法の有効性を示す、前記標的組織における前記標的分子の前記レベルを示す、前記ユーザインタフェースを通じた警報を生成する
よう構成される、
システム。
【請求項23】
前記気体富化システムは、酸素で液体を富化し、血液と混合される酸素富化液体を形成するよう構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記標的組織における前記標的分子は、血液中の酸素を含む、請求項22または23に記載のシステム。
【請求項25】
血液中の酸素のレベルは、血液中のSOを指す、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記標的組織における前記標的分子は、血液中の高エネルギーリン酸塩を含み、血液中の高エネルギーリン酸塩のレベルは、前記標的組織の代謝状態を示す、請求項22から25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記プロセッサは、前記標的組織の磁気共鳴画像を生成し、前記磁気共鳴画像を分析して前記標的組織における前記標的分子の存在を検出するよう構成される、請求項22から26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記核磁気共鳴プローブは、カテーテルの外縁部の周りに巻かれた磁気コイルを含み、前記カテーテルは、前記患者へ気体富化血液を流すよう構成される前記少なくとも1つの流体導管に連結される、請求項22から27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記核磁気共鳴プローブは、カテーテルの端部上に核磁気共鳴イメージングレシーバを含み、前記カテーテルは、前記患者へ気体富化血液を流すよう構成される前記少なくとも1つの流体導管に連結される、請求項22から28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
患者における過飽和酸素療法を制御するためのシステムであって、前記システムは、
酸素で流体を富化して酸素富化流体を形成するよう構成され、前記酸素富化流体を血液と混合して酸素富化血液を形成するよう構成される気体富化システムと、
前記気体富化システムに流体的に連結された複数の流体導管であって、前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管は、前記患者から前記気体富化システムへ前記血液を流すよう構成され、前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管は、前記気体富化システムから前記患者へ前記酸素富化血液を流すよう構成される、複数の流体導管と、
前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管に連結された血液ポンプであって、前記気体富化システムと前記患者との間で血液をポンピングするための血液ポンプと、
1または複数のセンサ分子を含むO蛍光プローブと、
ユーザ入力を受け、可視警報および可聴警報のうち少なくとも1つを発するよう構成されるユーザインタフェースと、
プロセッサ、メモリ、ならびに、前記O蛍光プローブおよび前記ユーザインタフェースに通信可能に連結された関連回路を含むコントローラと
を備え、前記プロセッサは、
前記O蛍光プローブ上の前記センサ分子の測定された蛍光に対応する1または複数の信号を受信し、
前記1または複数の信号に基づいて、血液中のSOを判定し、
判定された前記SOに基づいて、前記過飽和酸素療法の有効性を示す、前記ユーザインタフェースを通じた警報を生成する
よう構成される、
システム。
【請求項31】
前記O蛍光プローブはカテーテルを含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記O蛍光プローブは、光ファイバケーブルの端部にコーティングされたセンサ分子を含む、請求項30または31に記載のシステム。
【請求項33】
前記センサ分子は、蛍光分子または蛍光体を含む、請求項30から32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記プロセッサは、Oによる消光に起因する前記センサ分子からの蛍光信号減衰を測定するよう構成され、前記蛍光信号減衰の時間は、前記血液中のSOまたはpOに比例する、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
患者における過飽和酸素療法を制御するためのシステムであって、前記システムは、
酸素で流体を富化して酸素富化流体を形成するよう構成される気体富化システムと、
ポンプと、
前記ポンプに流体的に連結された複数の流体導管であって、前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管は、前記気体富化システムによって生成された酸素富化流体を患者の血管に流すよう構成される、複数の流体導管と、
組織領域におけるpOを測定するよう構成される経皮pOプローブと、
ユーザ入力を受け、可視警報および可聴警報のうち少なくとも1つを発するよう構成されるユーザインタフェースと、
プロセッサ、メモリ、ならびに、前記経皮pOプローブおよび前記ユーザインタフェースに通信可能に連結された関連回路を含むコントローラと
を備え、前記プロセッサは、
前記経皮pOプローブから、前記組織領域における前記pOの測定値に対応する1または複数の信号を受信し、
前記測定値に基づいて、前記過飽和酸素療法の有効性を示す、前記ユーザインタフェースを通じた警報を生成する
よう構成される、
システム。
【請求項36】
前記少なくとも1つの流体導管は、酸素富化生理食塩水を前記患者の血管に注射するよう構成されるカテーテルを含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記プロセッサは、前記測定されたpO値に基づいて、血液への酸素富化生理食塩水の供給を制御する、請求項35または36に記載のシステム。
【請求項38】
前記組織領域における前記pOの前記測定値は、心筋組織におけるpOを含む、請求項35から37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
前記組織領域における前記pOの測定値は、冠血管におけるpOを含む、請求項35から38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
患者における過飽和酸素療法を制御するためのシステムであって、前記システムは、
気体で流体を富化して気体富化流体を形成するよう構成され、前記気体富化流体を血液と混合して気体富化血液を形成するよう構成される気体富化システムと、
前記気体富化システムに流体的に連結される複数の流体導管であって、前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管は、前記患者から前記気体富化システムへ前記血液を流すよう構成され、前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管は、前記気体富化システムから前記患者へ前記気体富化血液を流すよう構成される、複数の流体導管と、
前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管に連結された血液ポンプであって、前記気体富化システムと前記患者との間で血液をポンピングするための血液ポンプと、
光のパルスで組織領域を照射するよう構成される光音響イメージング光源と、
前記光のパルスによる照射に応答して、前記組織領域における光吸収成分によって生成された音波を検出するよう構成される超音波センサと、
ユーザ入力を受け、可視警報および可聴警報のうち少なくとも1つを発するよう構成されるユーザインタフェースと、
プロセッサ、メモリ、ならびに、前記光音響イメージング光源、前記超音波センサ、および前記ユーザインタフェースに通信可能に連結された関連回路を含むコントローラと、
を備え、前記プロセッサは、
前記検出された音波に対応する1または複数の信号を受信し、
前記検出された音波に基づいて画像を生成し、
前記ユーザインタフェースを通じて、前記画像に基づく前記組織領域についての血液酸素化情報であって、前記過飽和酸素療法の有効性を示す情報を提供する
よう構成される、
システム。
【請求項41】
前記気体富化システムは、酸素で液体を富化し、血液と混合される酸素富化液体を形成するよう構成される、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記プロセッサは、前記画像からの組織または血液酸素化情報に基づいて、前記患者への酸素富化血液の供給を制御する、請求項40または41に記載のシステム。
【請求項43】
前記組織領域における血液酸素化の変化を経時的に判定するために、前記画像は経時的に追跡される、請求項40から42のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項44】
前記組織領域における血流または血液酸素化の存在または変化を経時的に判定するために、前記画像は経時的に追跡される、請求項40から43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記光音響イメージング光源は、カテーテルに連結された光ファイバケーブルを含み、前記カテーテルは、前記患者へ前記気体富化血液を供給するよう構成される、請求項40から44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記プロセッサは更に、前記組織領域のトモグラフィ画像を生成するよう構成される、請求項40から45のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
前記光音響イメージング光源は、前記光のパルスを生成するために、レーザまたはパルスレーザダイオードを含む、請求項40から46のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項48】
前記血液酸素化情報は、酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンとの間で異なる吸光特性の結果として生じる、前記画像におけるコントラストによって表される酸素化ヘモグロビンレベルの変化を含む、請求項40から47のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
前記光音響イメージング光源は、前記光のパルスを生成するための発光ダイオードを含む、請求項40から48のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項50】
前記超音波センサは圧電素子を含む、請求項40から49のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項51】
前記圧電素子は、リニア、圧電、超音波トランスデューサアレイを含む、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記超音波センサは、ファブリ・ペロー干渉計(FPI)要素を含む、請求項40から51のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項53】
前記プロセッサは更に、FPIをラスタスキャンするよう構成される、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記光のパルスは、電磁スペクトルの可視部分にある、請求項40から53のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項55】
前記光のパルスは、電磁スペクトルの近赤外線部分にある、請求項40から54のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項56】
前記プロセッサは更に、前記組織領域の2次元画像を生成するよう構成される、請求項40から55のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項57】
前記プロセッサは更に、前記組織領域の3次元画像を生成するよう構成される、請求項40から56のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項58】
患者における気体富化療法を制御するためのシステムであって、前記システムは、
気体で液体を富化して気体富化液体を形成するよう構成され、前記気体富化液体を動脈血液と混合して気体富化血液を形成するよう構成される気体富化システムと、
前記気体富化システムに流体的に連結された複数の流体導管であって、前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管は、前記患者から前記気体富化システムへ前記動脈血液を流すよう構成され、前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管は、前記気体富化システムから前記患者へ前記気体富化血液を流すよう構成される、複数の流体導管と、
前記複数の流体導管のうち少なくとも1つの流体導管に連結された血液ポンプであって、前記気体富化システムと前記患者との間で血液をポンピングするためのポンプと、
1または複数の生理学的パラメータを測定するよう構成される少なくとも1つのセンサと、
ユーザ入力を受け、可視警報および可聴警報のうち少なくとも1つを発するよう構成されるユーザインタフェースと、
プロセッサ、メモリ、ならびに、前記少なくとも1つのセンサおよび前記ユーザインタフェースに通信可能に連結される関連回路を含むコントローラと
を備え、前記プロセッサは、
前記少なくとも1つのセンサから、前記1または複数の生理学的パラメータの測定値に対応する1または複数の信号を受信し、
前記測定値に基づいて、前記気体富化療法の有効性を示す、生理学的パラメータの前記測定値を示す、前記ユーザインタフェースを通じた警報を生成する
よう構成される、
システム。
【請求項59】
前記気体富化システムは、酸素で液体を富化し、血液と混合される酸素富化液体を形成するよう構成される、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記1または複数の生理学的パラメータは、動脈pOを含む血液酸素パラメータである、請求項58または59に記載のシステム。
【請求項61】
前記少なくとも1つのセンサは、血液中の前記動脈pOを測定するためのクラーク電極を含む、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記1または複数の生理学的パラメータは、動脈SOを含む血液酸素パラメータである、請求項58から61のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項63】
前記プロセッサは、pOの測定値を、760~1500mmHgであるpOの予めプログラムされた標的範囲と比較する、請求項60に記載のシステム。
【請求項64】
前記プロセッサは、前記比較に基づいて、前記患者への気体富化血液の供給を制御する、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
前記プロセッサは、SOの測定値を、90~100パーセントである動脈SOの許容される通常範囲と比較する、請求項62に記載のシステム。
【請求項66】
前記プロセッサは、pOの測定値を、75~110mmHgである動脈pOの許容される通常範囲と比較する、請求項60に記載のシステム。
【請求項67】
前記気体富化システムはカートリッジを含む、請求項58から66のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項68】
前記カートリッジは3つのチャンバを有する、請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
前記生理学的パラメータは動脈圧である、請求項58から68のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項70】
前記生理学的パラメータは、ECGセンサによって測定される心臓の電気活動である、請求項58から69のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項71】
患者における過飽和酸素療法を制御するための方法であって、前記方法は、
1または複数のセンサを介して前記患者の1または複数の血液酸素パラメータを測定する段階と、
1または複数の信号をプロセッサへ送信する段階であって、前記1または複数の信号は、少なくとも1つの前記センサからの前記1または複数の血液酸素パラメータの測定値に対応する、段階と、
前記測定値に基づいて、前記過飽和酸素療法の有効性を示す、前記血液酸素パラメータの測定値を示す、ユーザインタフェースを通じた警報を生成する段階と
を備える方法。
【請求項72】
測定する段階は、カテーテルに位置するセンサを介して測定する段階を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
測定する段階は、血液のpOを測定する段階を含む、請求項71または72に記載の方法。
【請求項74】
測定する段階は、血液のSOを測定する段階を含む、請求項71から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記1または複数の血液酸素パラメータの前記測定値を、非虚血組織における前記1または複数の血液酸素パラメータの許容される通常範囲と比較する段階を更に備える、請求項71から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記プロセッサを介して、前記測定値と前記許容される通常範囲との前記比較に基づいて、前記患者への気体富化血液の供給を制御する段階を更に備える、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
患者における気体富化療法を制御するための方法であって、
1または複数の内部カテーテル電極と複数の外部電極との間の組織領域からのインピーダンス値を測定する段階と、
前記測定されたインピーダンス値のトモグラフィマップを生成する段階と、
前記トモグラフィマップに基づいて、前記組織領域における血液灌流に関する組織灌流情報を、ユーザインタフェースを通じて提供する段階であって、前記組織灌流情報は前記気体富化療法の有効性を示す、段階と
を備える方法。
【請求項78】
マップゾーンをタグ付けする段階と、ある期間にわたる、前記タグ付けされたマップゾーンについての組織インピーダンスの変化を分析する段階とを更に備える、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
ある期間にわたる、前記タグ付けされたマップゾーンについての平均組織インピーダンスを計算する段階を更に備える、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
気体富化システムに、前記組織灌流情報に基づいて血液中のO飽和のレベルを増加させる段階を更に備える、請求項77から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
ポンプに、前記組織灌流情報に基づいて、前記患者への酸素富化血液の流量を増加させる段階を更に備える、請求項77から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
梗塞ゾーンを示す前記組織領域のMRIまたはCT画像上に前記トモグラフィマップを重ね合わせる段階と、前記梗塞ゾーンにおける平均インピーダンスを計算する段階とを更に備える、請求項77から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
患者における気体富化療法を制御するための方法であって、
核磁気共鳴プローブを使用して、標的組織における標的分子の共鳴の1または複数の組織パラメータを測定する段階と、
核磁気共鳴イメージングプローブからの前記標的分子の前記測定された共鳴に基づいて、標的組織における標的分子のレベルに対応する1または複数の信号を受信する段階と、
前記測定された値に基づいて、ユーザインタフェースを通じた警報を生成する段階であって、前記警報は、前記気体富化療法の有効性を示す、前記標的組織における前記標的分子の前記レベルを示す、段階と
を備える方法。
【請求項84】
前記標的組織の磁気共鳴画像を生成する段階と、前記磁気共鳴画像を分析して、前記標的組織における前記標的分子の存在を検出する段階とを更に備える、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
患者における過飽和酸素療法を制御するための方法であって、
蛍光プローブ上のセンサ分子の蛍光を測定する段階と、
前記O蛍光プローブ上の前記センサ分子の前記測定された蛍光に対応する1または複数の信号を受信する段階と、
前記1または複数の信号に基づいて、血液におけるSOを判定する段階と
前記判定されたSOに基づいて、前記過飽和酸素療法の有効性を示す、ユーザインタフェースを通じた警報を生成する段階と、
を備える方法。
【請求項86】
による消光に起因する前記センサ分子からの蛍光信号減衰を測定する段階であって、前記蛍光信号減衰の時間は、前記血液中のSOに比例する、段階を更に備える、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
患者における過飽和酸素療法を制御するための方法であって、
経皮pOプローブを使用して組織領域におけるpOを測定する段階と、
前記経皮pOプローブから、前記組織領域における前記測定されたpOに対応する1または複数の信号を受信する段階と、
前記測定されたpOに基づいて、前記過飽和酸素療法の有効性を示す、ユーザインタフェースを通じた警報を生成する段階と
を備える方法。
【請求項88】
前記測定されたpO値に基づいて、血液への酸素富化生理食塩水の供給を制御する段階を更に備える、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
患者における過飽和酸素療法を制御するための方法であって、
光音響イメージング光源からの光のパルスで組織領域を照射する段階と、
前記光のパルスによる照射に応答して、前記組織領域における光吸収成分によって生成された音波を検出する段階と、
前記検出された音波に基づいて画像を生成する段階と、
ユーザインタフェースを通じて、前記画像に基づく前記組織領域についての血液酸素化情報を提供する段階であって、前記血液酸素化情報は前記過飽和酸素療法の有効性を示す、段階と
を備える方法。
【請求項90】
前記画像からの血液酸素化情報に基づいて前記患者への酸素富化血液の供給を制御する段階を更に備える、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記画像を経時的に追跡して、前記組織領域における血液酸素化の変化を経時的に判定する段階を更に備える、請求項89または90に記載の方法。
【請求項92】
前記組織領域のトモグラフィ画像を生成する段階を更に備える、請求項89から91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記組織領域の2次元画像を生成する段階を更に備える、請求項89から92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記組織領域の3次元画像を生成する段階を更に備える、請求項89から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
患者における気体富化療法を制御するための方法であって、
1または複数のセンサを介して、前記患者の1または複数の生理学的パラメータを測定する段階と、
1または複数の信号をプロセッサへ送信する段階であって、前記1または複数の信号は、少なくとも1つの前記センサからの前記1または複数の生理学的パラメータの測定値に対応する、段階と、
前記測定値に基づいて、前記気体富化療法の有効性を示す、前記生理学的パラメータの測定値を示す、ユーザインタフェースを介した警報を生成する段階と
を備える方法。
【請求項96】
前記気体富化液体は過飽和酸素液体を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項97】
前記過飽和酸素液体は、0.1~6ml O/ml液体(STP)のO濃度を有する、請求項96に記載のシステム。
【請求項98】
前記気体富化血液は、過飽和酸素富化血液を含む、請求項1または96に記載のシステム。
【請求項99】
前記過飽和酸素富化血液は、600~1500mmHgのpOを有する、請求項98に記載のシステム。
【請求項100】
前記気体富化流体は過飽和酸素液体を含む、請求項12から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項101】
前記過飽和酸素液体は、0.1~6ml O/ml液体(STP)のO濃度を有する、請求項100に記載のシステム。
【請求項102】
前記気体富化血液は、過飽和酸素富化血液を含む、請求項12から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項103】
前記過飽和酸素富化血液は、600~1500mmHgのpOを有する、請求項102に記載のシステム。
【請求項104】
前記酸素富化流体は、過飽和酸素液体を含む、請求項30から34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項105】
前記過飽和酸素液体は、0.1~6ml O/ml液体(STP)のO濃度を有する、請求項104に記載のシステム。
【請求項106】
前記酸素富化血液は、過飽和酸素富化血液を含む、請求項30から34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項107】
前記過飽和酸素富化血液は、600~1500mmHgのpOを有する、請求項106に記載のシステム。
【請求項108】
前記酸素富化流体は、過飽和酸素液体を含む、請求項35から39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項109】
前記過飽和酸素液体は、0.1~6ml O/ml液体(STP)のO濃度を有する、請求項108に記載のシステム。
【請求項110】
前記酸素富化流体は、過飽和酸素富化血液を含む、請求項35から39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項111】
前記過飽和酸素富化血液は、600~1500mmHgのpOを有する、請求項110に記載のシステム。
【請求項112】
前記気体富化流体は、過飽和酸素液体を含む、請求項40から57のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項113】
前記過飽和酸素液体は、0.1~6ml O/ml液体(STP)のO濃度を有する、請求項112に記載のシステム。
【請求項114】
前記気体富化血液は、過飽和酸素富化血液を含む、請求項40から57のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項115】
前記過飽和酸素富化血液は、600~1500mmHgのpOを有する、請求項114に記載のシステム。
【請求項116】
前記気体富化液体は、過飽和酸素液体を含む、請求項58から70のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項117】
前記過飽和酸素液体は、0.1~6ml O/ml液体(STP)のO濃度を有する、請求項116に記載のシステム。
【請求項118】
前記気体富化血液は、過飽和酸素富化血液を含む、請求項58から70のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項119】
前記過飽和酸素富化血液は、600~1500mmHgのpOを有する、請求項118に記載のシステム。
【請求項120】
前記気体富化療法は、過飽和酸素療法である、請求項58から70のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本願は、参照によって全体の内容が本明細書に組み込まれた、2020年3月31日に出願された米国特許出願第63/003,210号に対する、米国特許法119条(e)の定めによる優先権を主張する。
【0002】
本願は一般に、気体富化療法、または、過飽和酸素もしくは気体療法システムの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
酸素化された血流の閉塞は心臓発作を引き起こし得る。そのようなことが発生する間、心筋に対する損傷または梗塞を引き起こし得る方式で、小さい心臓毛細管が膨張して血流を更に制限し得る。過飽和酸素療法システムは、過酸素化血液を患者の冠動脈に注入して、微小血管血流を改善し、心臓組織を正常な酸素レベルに戻す。過酸素化血液はカテーテルを介して提供され得、梗塞の大きさを低減することを助け得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給および/または制御するためのシステムおよび方法を提供する。1または複数のセンサは、患者の1または複数の生理学的パラメータ、例えば血液または組織酸素パラメータを測定するために使用され得る。プロセッサは、測定されたパラメータに基づいて、気体富化療法または過飽和気体療法の有効性を示す測定された生理学的パラメータの値またはレベルを示す、ユーザインタフェースを通じた警報を生成するために使用され得る。第1の例によれば、過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するためのシステムが開示される。システムは、液体を気体で富化して、気体富化液体を形成し、気体富化液体を血液、例えば動脈血液と混合して気体富化血液を形成し得るよう構成される気体富化システムを備える。システムは、気体富化システムに流体的に連結された複数の流体導管を備える。複数の流体導管のうち少なくとも1つの導管は、患者からの血液を気体富化システムへ流すよう構成され、複数の導管のうち少なくとも1つの導管は、気体富化システムから気体富化血液を患者へ流すよう構成される。システムは、気体富化システムと患者との間で血液をポンピングするための、複数の流体導管のうち少なくとも1つの導管に連結された血液ポンプを備える。システムは、1または複数の血液酸素パラメータを測定するよう構成される少なくとも1つのセンサを備える。システムは、ユーザ入力を受信し、可視警報および可聴警報の少なくとも1つを発するよう構成されるユーザインタフェースと、コントローラとを備える。コントローラは、プロセッサ、メモリ、ならびに、少なくとも1つのセンサおよびユーザインタフェースに通信可能に連結された関連回路を含む。コントローラまたはプロセッサは、少なくとも1つのセンサからの1または複数の血液酸素パラメータの測定値に対応する1または複数の信号を受信し、測定値に基づいて、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す血液酸素パラメータの測定値を示す、ユーザインタフェースを通じた警報を生成するよう構成される。
【0005】
特定の実装において、気体富化システムは、酸素で液体を富化し、血液と混合される酸素富化液体を形成するよう構成される。
【0006】
特定の実装において、1または複数の血液酸素パラメータは動脈pOを含む。
【0007】
特定の実装において、少なくとも1つのセンサは、pOを測定するためのクラーク電極を含む。
【0008】
特定の実装において、1または複数の血液酸素パラメータは動脈SOを含む。
【0009】
特定の実装において、プロセッサは、pOの測定値を、760~1200mmHgまたは760~1500mmHgであるpOの予めプログラムされた標的範囲と比較する。
【0010】
特定の実装において、プロセッサは、比較に基づいて、患者への気体富化血液の供給を制御する。
【0011】
特定の実装において、1または複数の血液酸素パラメータは動脈SOであり、プロセッサは、SOの測定値を、90~100パーセントである動脈SOの許容される通常範囲と比較する。
【0012】
特定の実装において、1または複数の血液酸素パラメータは動脈pOであり、プロセッサは、pOの測定値を、75~100mmHgまたは75~110mmHgである動脈pOの許容される通常範囲と比較する。
【0013】
特定の実装において、気体富化システムはカートリッジを含む。
【0014】
特定の実装において、カートリッジは3つのチャンバを有する。
【0015】
第2の例によれば、患者における気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するためのシステムが開示される。システムは、気体で流体または液体を富化して、気体富化流体または液体を形成し、気体富化流体または液体を血液と混合して、例えば気体富化血液を形成するよう構成される気体富化システムを含む。システムは、気体富化システムに流体的に連結された複数の流体導管を備える。複数の流体導管のうち少なくとも1つの導管は、患者からの血液を気体富化システムへ流すよう構成され、複数の導管のうち少なくとも1つの導管は、気体富化システムから気体富化血液を患者へ流すよう構成される。システムは、気体富化システムと患者との間で血液をポンピングするための、複数の流体導管のうち少なくとも1つの導管に連結された血液ポンプを備える。システムは、気体富化血液を患者へ流すよう構成される少なくとも1つの導管に連結されたカテーテルを備える。カテーテルは、それに連結された1または複数の内部電極を含む。システムは、患者の外部表面に連結されるよう構成される複数の外部電極を備える。システムは、ユーザ入力を受信し、可視警報および可聴警報の少なくとも1つを発するよう構成されるユーザインタフェースを備える。システムは、プロセッサ、メモリ、ならびに、カテーテルの1または複数の内部電極、複数の外部電極、およびユーザインタフェースに通信可能に連結する関連回路を含むコントローラを備える。コントローラまたはプロセッサは、1または複数の内部電極と複数の外部電極との間の組織領域からの測定されたインピーダンス値に対応する複数の信号を受信し、測定されたインピーダンス値に少なくとも部分的に基づいてインピーダンストモグラフィマップを生成し、トモグラフィマップに基づいて組織領域における血液灌流に関する情報を、ユーザインタフェースを通じて提供するよう構成され、当該情報は、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す。
【0016】
特定の実装において、気体富化システムは、酸素で液体を富化して、血液と混合される酸素富化液体を形成するよう構成される。
【0017】
特定の実装において、トモグラフィマップに基づく組織灌流情報は、血液灌流の増加、および、低インピーダンス値を有するマップゾーンによって表される梗塞の低減を含む。
【0018】
特定の実装において、組織領域は梗塞を含み、プロセッサは、組織領域における測定されたインピーダンス値のトモグラフィマップを、組織領域における測定されたインピーダンス値の基準トモグラフィマップと比較して、患者における血液灌流または梗塞の大きさの変化を判定するよう構成される。
【0019】
特定の実装において、プロセッサは、マップゾーンをタグ付けし、ある期間にわたる、タグ付けされたマップゾーンの組織インピーダンスの変化を分析するよう構成される。
【0020】
特定の実装において、プロセッサは、ある期間にわたる、タグ付けされたマップゾーンの平均組織インピーダンスを計算するよう構成される。
【0021】
特定の実装において、1または複数のカテーテル電極は、バイポーラECG電極を含む。
【0022】
特定の実装において、プロセッサは、気体富化システムに、組織灌流情報に基づいて、血液におけるO飽和のレベルを増加させるよう構成される。
【0023】
特定の実装において、プロセッサは、ポンプに、組織灌流情報に基づいて患者への酸素富化血液の流量を増加させるよう構成される。
【0024】
特定の実装において、プロセッサは、梗塞ゾーンを示す組織領域のMRIまたはCT画像上にトモグラフィマップを重ね合わせるよう構成され、プロセッサは、梗塞ゾーンにおける平均インピーダンスを計算するよう構成される。
【0025】
第3の例によれば、患者における気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するためのシステムが開示される。システムは、気体で流体または液体を富化して、気体富化流体または液体を形成し、気体富化流体または液体を血液と混合して、例えば気体富化血液を形成するよう構成される気体富化システムを含む。システムは、気体富化システムに流体的に連結された複数の流体導管と、患者から気体富化システムへ血液を流すよう構成された複数の流体導管うち少なくとも1つの導管と、気体富化システムから患者へ気体富化血液を流すよう構成される複数の導管のうち少なくとも1つの導管とを備える。システムは、気体富化システムと患者との間で血液をポンピングするための、複数の流体導管の少なくとも1つの導管に連結された血液ポンプを備える。システムは、標的組織における標的分子の共鳴信号を測定するよう構成される核磁気共鳴プローブを備える。システムは、ユーザ入力を受信し、可視警報および可聴警報の少なくとも1つを発するよう構成されるユーザインタフェースを備える。システムは、プロセッサ、メモリ、ならびに、磁気共鳴イメージングプローブおよびユーザインタフェースに通信可能に連結された関連回路を含むコントローラを備える。コントローラまたはプロセッサは、核磁気共鳴イメージングプローブからの分子の測定された共鳴信号に基づいて、標的組織における標的分子のレベルに対応する1または複数の信号を受信し、測定値に基づいて、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す、標的組織における標的分子のレベルを示すユーザインタフェースを通じた警報を生成するよう構成される。
【0026】
特定の実装において、気体富化システムは、酸素で液体を富化して、血液と混合される酸素富化液体を形成するよう構成される。
【0027】
特定の実装において、標的組織における標的分子は血液中の酸素を含む。
【0028】
特定の実装において、血液における酸素のレベルは、血液におけるSOを指す。
【0029】
特定の実装において、標的組織における標的分子は、血液中の高エネルギーリン酸塩を含み、血液中の高エネルギーリン酸塩のレベルは、組織の代謝状態を示す。
【0030】
特定の実装において、プロセッサは、標的組織の磁気共鳴画像を生成し、画像を分析して標的組織における標的分子の存在を検出するよう構成される。
【0031】
特定の実装において、磁気共鳴イメージングプローブは、カテーテルの外縁部の周りに巻かれた磁気コイルを含み、カテーテルは、気体富化血液を患者へ流すよう構成される少なくとも1つの導管に連結される。
【0032】
特定の実装において、磁気共鳴イメージングプローブは、カテーテルの端部における核磁気共鳴イメージングレシーバを含み、カテーテルは、気体富化血液を患者へ流すよう構成される少なくとも1つの導管に連結される。
【0033】
第4の例によれば、患者における気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するためのシステムが開示される。システムは、酸素で流体または液体を富化し、酸素富化流体または液体を形成し、酸素富化流体または液体を血液と混合し、例えば気体富化血液を形成するよう構成される気体富化システムを備える。システムは、気体富化システムに流体的に連結された複数の流体導管と、患者から気体富化システムへ血液を流すよう構成された複数の流体導管うち少なくとも1つの導管と、気体富化システムから患者へ気体富化血液を流すよう構成される複数の導管のうち少なくとも1つの導管とを備える。システムは、気体富化システムと患者との間で血液をポンピングするための、複数の流体導管の少なくとも1つの導管に連結された血液ポンプを備える。システムは、1または複数のセンサ分子を含むO蛍光プローブを備える。システムは、ユーザ入力を受信し、可視警報および可聴警報の少なくとも1つを発するよう構成されるユーザインタフェースを備える。システムは、プロセッサ、メモリ、ならびに、O蛍光プローブおよびユーザインタフェースに通信可能に連結する関連回路を含むコントローラを備える。コントローラまたはプロセッサは、O蛍光プローブ上のセンサ分子の測定された蛍光に対応する1または複数の信号を受信し、1または複数の信号に基づいて血液中のSOを判定し、判定されたSOに基づいて、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す、ユーザインタフェースを通じた警報を生成するよう構成される。
【0034】
特定の実装において、O蛍光プローブはカテーテルを含む。
【0035】
特定の実装において、O蛍光プローブは、光ファイバケーブルの端部にコーティングされたセンサ分子を含む。
【0036】
特定の実装において、センサ分子は、蛍光分子または蛍光体を含む。
【0037】
特定の実装において、プロセッサは、Oによる消光に起因するセンサ分子からの蛍光信号減衰を測定するよう構成され、信号減衰時間は、血液中のSOまたはpOに比例する。
【0038】
第5の例によれば、患者における気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するためのシステムが開示される。システムは、酸素で流体または液体を富化して、酸素富化流体または液体を形成するよう構成される気体富化システムと、ポンプと、ポンプに流体的に連結された複数の流体導管と、気体富化システムによって生成された酸素富化流体または液体を患者の血管へ流すよう構成される複数の導管における少なくとも1つの導管と、組織領域におけるpOを測定するよう構成される経皮pOプローブと、ユーザ入力を受信し、可視警報および可聴警報の少なくとも1つを発するよう構成されるユーザインタフェースと、コントローラとを備える。ポンプは、気体富化システムと患者との間で血液をポンピングするための、複数の流体導管の少なくとも1つの導管に連結された血液ポンプであり得る。コントローラは、プロセッサと、メモリと、経皮pOプローブおよびユーザインタフェースに通信可能に連結された関連回路とを備える。コントローラまたはプロセッサは、経皮pOプローブから、組織領域におけるpOの測定値に対応する1または複数の信号を受信し、測定値に基づいて、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す、ユーザインタフェースを通じた警報を生成するよう構成される。
【0039】
特定の実装において、少なくとも1つの導管は、酸素富化生理食塩水を患者の血管内へ注射するよう構成されるカテーテルを含む。
【0040】
特定の実装において、プロセッサは、測定されたpO値に基づいて、酸素富化生理食塩水を血液内へ供給するよう制御する。
【0041】
特定の実装において、組織領域におけるpOの測定値は、心筋組織中のpOを含む。
【0042】
特定の実装において、組織領域中のpOの測定値は、冠血管中のpOを含む。
【0043】
第6の例によれば、患者における気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するためのシステムが開示される。システムは、気体で流体または液体を富化して気体富化流体または液体を形成するよう構成され、気体富化流体または液体を血液と混合し、例えば、気体富化血液を形成するよう構成される気体富化システムと、気体富化システムに流体的に連結された複数の流体導管であって、複数の流体導管のうち少なくとも1つの導管は、患者から気体富化システムへ血液を流すよう構成され、複数の導管のうち少なくとも1つの導管は、気体富化システムから患者へ気体富化血液を流すよう構成される、流体導管と、複数の流体導管の少なくとも1つの導管に連結された血液ポンプであって、気体富化システムと患者との間で血液をポンピングするためのポンプと、光のパルスで組織領域を照射するよう構成される光音響イメージング光源と、光のパルスによる照射に応答して、組織領域における光吸収成分によって生成された音波を検出するよう構成される超音波センサと、ユーザ入力を受け、可視警報および可聴警報のうち少なくとも1つを発するよう構成されるユーザインタフェースと、コントローラとを備える。コントローラは、プロセッサ、メモリ、ならびに、光音響イメージングプローブ、超音波センサおよびユーザインタフェースに通信可能に連結される関連回路を含む。コントローラまたはプロセッサは、検出された音波に対応する1または複数の信号を受信し、検出された音波に基づいて画像を生成し、ユーザインタフェースを通じて、画像に基づく組織領域についての血液酸素化情報を提供するよう構成され、当該情報は、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す。
【0044】
特定の実装において、気体富化システムは、酸素で液体を富化し、血液と混合される酸素富化液体を形成するよう構成される。
【0045】
特定の実装において、プロセッサは、画像からの組織または血液酸素化情報に基づいて、酸素富化血液を患者へ供給するよう制御する。
【0046】
特定の実装において、画像を経時的に追跡することによって、経時的な組織領域中の血液酸素化の変化を判定する。
【0047】
特定の実装において、画像を経時的に追跡することによって、経時的な組織領域中の血流または血液酸素化の存在または変化を判定する。
【0048】
特定の実装において、光音響イメージング光源は、カテーテルに連結された光ファイバケーブルを含み、カテーテルは、気体富化血液を患者へ供給するよう構成される。
【0049】
特定の実装において、プロセッサは、組織領域のトモグラフィ画像を生成するよう更に構成される。
【0050】
特定の実装において、光音響イメージング光源は、光のパルスを生成するために、レーザまたはパルスレーザダイオードを含む。
【0051】
特定の実装において、血液酸素化情報は、酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビンについて異なる吸光特性の結果である、画像におけるコントラストによって表される酸素化ヘモグロビンレベルの変化を含む。
【0052】
特定の実装において、光音響イメージング光源は、光のパルスを生成するための発光ダイオードを含む。
【0053】
特定の実装において、超音波センサは圧電素子を含む。
【0054】
特定の実装において、圧電素子は、リニア、圧電、超音波トランスデューサアレイを含む。
【0055】
特定の実装において、超音波センサは、ファブリ・ペロー干渉計(FPI)要素を含む。
【0056】
特定の実装において、プロセッサは更に、FPIのラスタスキャンを行うよう構成される。
【0057】
特定の実装において、光のパルスは電磁スペクトルの可視部分にある。
【0058】
特定の実装において、光のパルスは、電磁スペクトルの近赤外部分にある。
【0059】
特定の実装において、プロセッサは更に、組織領域の2次元画像を生成するよう構成される。
【0060】
特定の実装において、プロセッサは更に、組織領域の3次元画像を生成するよう構成される。
【0061】
第7の例によれば、患者における気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するためのシステムが開示される。システムは、気体で液体を富化して、気体富化液体を形成し、気体富化液体を動脈血液などの血液と混合して、例えば、気体富化血液を形成するよう構成される気体富化システムと、気体富化システムと患者との間で血液をポンピングするための血液ポンプと、コントローラとを備える。コントローラは、プロセッサと、メモリと、1または複数の生理学的値を測定するよう構成される少なくとも1つのセンサに通信可能に連結された関連回路とを備え得る。プロセッサは、少なくとも1つのセンサから1または複数の生理学的パラメータの測定値に対応する1または複数の信号を受信するよう構成される。コントローラまたはプロセッサは、測定値に基づいて、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す、生理学的パラメータの測定値を示す警報を生成するよう構成され得る。システムはユーザインタフェースを備え得る。コントローラの回路は、ユーザインタフェースに通信可能に連結され得る。ユーザインタフェースはユーザ入力を受信するよう構成され得る。ユーザインタフェースは警報を発するよう構成され得る。警報は、可視警報および可聴警報の少なくとも1つであり得る。コントローラまたはプロセッサは、ユーザインタフェースを通じた警報を生成するよう構成され得る。コントローラまたはプロセッサは、患者への気体富化血液の供給を制御するよう構成され得る。コントローラまたはプロセッサは、1または複数の信号または測定値に基づいて患者への気体富化血液の供給を制御するよう構成され得る。コントローラまたはプロセッサは、警報を生成すること、および、患者への気体富化血液の供給を制御することの両方を行うよう構成され得る。第7の例は、第1~第6の例を参照して説明される実装のいずれかを使用して実装され得る。
【0062】
特定の実装において、気体富化システムは、酸素で液体を富化して、血液と混合される酸素富化液体を形成するよう構成される。
【0063】
特定の実装において、複数の流体導管は、気体富化システムに流体的に連結され、複数の流体導管のうち少なくとも1つの導管は、患者から気体富化システムへ血液を流すよう構成され、複数の導管のうち少なくとも1つの導管は、気体富化システムから患者へ気体富化血液を流すよう構成される。血液ポンプは、複数の流体導管の少なくとも1つの導管に連結され得る。
【0064】
特定の実装において、少なくとも1つのセンサは、血液中のpOを測定するためのクラーク電極を含む。
【0065】
特定の実装において、システムは、1または複数の生理学的パラメータに対応する1または複数の信号を測定するよう構成される少なくとも1つのセンサを備える。少なくとも1つのセンサは、気体富化血液を患者へ流すよう構成される導管に連結されたカテーテルであって、それに連結された1または複数の内部電極を含むカテーテルと、患者の外部表面に連結されるよう構成される複数の外部電極と、標的組織における標的分子の共鳴信号を測定するよう構成される核磁気共鳴プローブと、1または複数のセンサ分子を含むO蛍光プローブと、組織領域におけるpOを測定するよう構成される経皮pOプローブと、光のパルスによる照射に応答して組織領域における光吸収コンポーネントによって生成される音波を検出するよう構成される超音波センサとのうち1または複数によって提供され得る。
【0066】
特定の実装において、プロセッサは、pOの測定値を、760~1200mmHgまたは760~1500mmHgであるpOについて予めプログラムされた標的範囲と比較する。
【0067】
特定の実装において、プロセッサは、比較に基づいて、患者への気体富化血液の供給を制御する。
【0068】
特定の実装において、プロセッサは、SOの測定値を、90~100パーセントの動脈SOについて許容される通常範囲と比較する。
【0069】
特定の実装において、プロセッサは、pOの測定値を、75~100mmHgである動脈pOの許容される通常範囲と比較する。
【0070】
特定の実装において、気体富化システムはカートリッジを含む。
【0071】
特定の実装において、カートリッジは3つのチャンバを有する。
【0072】
特定の実装において、生理学的パラメータは、動脈pOおよび/またはSO、動脈圧、および、測定された(ECGセンサによって測定され得る)心臓の電気活動を含み得る血液酸素パラメータ、のうち1または複数である。1または複数の信号は、心臓の電気活動を測定するECGセンサからの信号、複数の内部電極間の組織領域からの測定されたインピーダンス値、複数の外部電極間の組織領域からの測定されたインピーダンス値、1または複数の内部電極と1または複数の外部電極との間の組織領域からの測定されたインピーダンス値、標的組織における標的分子のレベルに対応する1または複数の信号、O蛍光プローブ上のセンサ分子の測定された蛍光、経皮pOプローブからの組織領域におけるpOの測定値に対応する信号、検出された音波に対応する信号を含み得る。
【0073】
更なる例によれば、第1~第7の例のいずれかを参照して前に説明されたコントローラの機能を実行するコンピュータ実装方法が提供され得る。更なる例によれば、第1~第7の例のいずれかを参照して前に説明された機能をプロセッサに実行させるよう構成されるコンピュータプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品または非一時的コンピュータ可読媒体が提供され得る。
【0074】
更なる例において、患者における気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するための方法が開示される。方法は、1または複数のセンサを介して患者の1または複数の血液酸素パラメータを測定する段階と、1または複数の信号をプロセッサへ送信する段階であって、1または複数の信号は少なくとも1つのセンサからの1または複数の血液酸素パラメータの測定値に対応する、段階と、測定値に基づいて、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す、血液酸素パラメータの測定値を示す、ユーザインタフェースを通じた警報を生成する段階とを備える。
【0075】
特定の実装において、測定する段階は、カテーテル内に位置するセンサを介して測定する段階を含む。
【0076】
特定の実装において、測定する段階は、血液のpOを測定する段階を含む。
【0077】
特定の実装において、測定する段階は、血液のSOを測定する段階を含む。
【0078】
特定の実装において、方法は、1または複数の血液酸素パラメータの測定値を、非虚血組織における1または複数の血液酸素パラメータについての許容される通常範囲と比較する段階を備える。
【0079】
特定の実装において、方法は、測定値と許容される通常範囲との比較に基づいて、プロセッサを介して、患者への気体富化血液の供給を制御する段階を備える。
【0080】
更なる例において、患者における気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するための方法が開示される。方法は、1または複数の内部カテーテル電極と複数の外部電極との間の組織領域からのインピーダンス値を測定する段階と、測定されたインピーダンス値のトモグラフィマップを生成する段階と、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す情報である、トモグラフィマップに基づく組織領域における血液灌流に関する組織灌流情報を、ユーザインタフェースを通じて提供する段階とを備える。
【0081】
特定の実装において、方法は、マップゾーンをタグ付けする段階と、ある期間にわたるタグ付けされたマップゾーンについての組織インピーダンスの変化を分析する段階とを備える。
【0082】
特定の実装において、方法は、ある期間にわたるタグ付けされたマップゾーンについての平均組織インピーダンスを計算する段階を備える。
【0083】
特定の実装において、方法は、気体富化システムに、組織灌流情報に基づいて、血液中のO飽和のレベルを増加させる段階を備える。
【0084】
特定の実装において、方法は、ポンプに、組織灌流情報に基づいて患者への酸素富化血液の流量を増加させる段階を備える。
【0085】
特定の実装において、方法は、トモグラフィマップを組織領域のMRIまたはCT画像上に重ね合わせて梗塞ゾーンを示す段階と、梗塞ゾーンにおける平均インピーダンスを計算する段階とを備える。
【0086】
更なる例において、患者における気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するための方法が開示される。方法は、核磁気共鳴プローブを使用して、標的組織における標的分子の共鳴の1または複数の組織パラメータを測定する段階を備える。方法は、核磁気共鳴イメージングプローブからの分子の測定された共鳴に基づいて、標的組織における標的分子のレベルに対応する1または複数の信号を受信する段階を備える。方法は、測定値に基づいて、ユーザインタフェースを通じた警報を生成する段階を備え、警報は、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す、標的組織における標的分子のレベルを示す。
【0087】
特定の実装において、方法は、標的組織の磁気共鳴画像を生成し、画像を分析し、標的組織における標的分子の存在を検出する段階を備える。
【0088】
更なる例において、患者における気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するための方法が開示される。方法は、O蛍光プローブ上のセンサ分子の蛍光を測定する段階を備える。方法は、O蛍光プローブ上のセンサ分子の測定された蛍光に対応する1または複数の信号を受信する段階を備える。方法は、1または複数の信号に基づいて、血液中のSOを判定する段階を備える。方法は、判定されたSOに基づいて、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す、ユーザインタフェースを通じた警報を生成する段階を備える。
【0089】
特定の実装において、方法は、Oによる消光に起因するセンサ分子からの蛍光信号減衰を測定する段階であって、信号減衰時間は、血液中のSOに比例する、段階を備える。
【0090】
更なる例において、患者における気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するための方法が開示される。方法は、経皮pOプローブを使用して組織領域におけるpOを測定する段階と、経皮pOプローブから、組織における測定されたpOに対応する1または複数の信号を受信する段階と、測定されたpOに基づいて、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す、ユーザインタフェースを通じた警報を生成する段階とを備える。
【0091】
特定の実装において、方法は、測定されたpO値に基づいて、血液への酸素富化生理食塩水の供給を制御する段階を備える。
【0092】
更なる例において、患者における気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するための方法が開示される。方法は、光音響イメージング光源からの光のパルスで組織領域を照射する段階を備える。方法は、光のパルスによる照射に応答して組織領域における光吸収コンポーネントによって生成された音波を検出する段階を備える。方法は、検出された音波に基づいて画像を生成する段階を備える。方法は、画像に基づく組織領域についての血液酸素化情報を、ユーザインタフェースを通じて提供する段階であって、情報は、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す、段階を備える。
【0093】
特定の実装において、方法は、画像からの血液酸素化情報に基づいて、患者への酸素富化血液の供給を制御する段階を備える。
【0094】
特定の実装において、方法は、経時的な組織領域における血液酸素化の変化を判定するために、経時的に画像を追跡(tracking)する段階を備える。
【0095】
特定の実装において、方法は、組織領域のトモグラフィ画像を生成する段階を備える。
【0096】
特定の実装において、方法は、組織領域の2次元または3次元画像を生成する段階を備える。
【0097】
更なる例において、患者における気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するための方法が開示される。方法は、プロセッサによって、1または複数の信号を受信する段階であって、1または複数の信号は、少なくとも1つのセンサからの1または複数の生理学的パラメータの測定値に対応する、段階を備える。方法は、測定値に基づいて、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す、生理学的パラメータの測定値を示す、任意選択的にユーザインタフェースを通じた警報を生成する段階を備え得る。方法は、1または複数の信号または測定値に基づいて患者への気体富化血液の供給を制御する段階を備え得る。方法は、コンピュータ実装方法として実行され得る。方法は、前述の例示的な方法を参照して前に説明された実装のいずれかを使用して実行され得る。
特定の実装において、生理学的パラメータは、動脈pOおよび/またはSO、動脈圧、および、測定された(ECGセンサによって測定され得る)心臓の電気活動を含み得る血液酸素パラメータ、のうち1または複数である。1または複数の信号は、心臓の電気活動を測定するECGセンサからの信号、複数の内部電極間の組織領域からの測定されたインピーダンス値、複数の外部電極間の組織領域からの測定されたインピーダンス値、1または複数の内部電極と1または複数の外部電極との間の組織領域からの測定されたインピーダンス値、標的組織における標的分子のレベルに対応する1または複数の信号、O蛍光プローブ上のセンサ分子の測定された蛍光、経皮pOプローブからの組織領域におけるpOの測定値に対応する信号、検出された音波に対応する信号を含み得る。
【0098】
更なる例において、患者における気体富化療法または過飽和酸素または気体療法をモニタリング、分析、供給、および/または制御するための方法が開示される。方法は、1または複数のセンサを介して、患者の1または複数の生理学的パラメータを測定する段階を備える。方法は、1または複数の信号をプロセッサへ送信する段階であって、1または複数の信号は、少なくとも1つのセンサからの1または複数の生理学的パラメータの測定値に対応する、段階を備える。方法は、測定値に基づいて、気体富化療法または過飽和酸素療法の有効性を示す、生理学的パラメータの測定値を示す、ユーザインタフェースを通じた警報を生成する段階を備える。
【0099】
上の例のいずれかに関連して、気体富化液体が過飽和酸素液体を含む実装が提供され得る。過飽和酸素液体は、0.1~6ml O/ml液体(STP)のO濃度を有し得る。
【0100】
上の例のいずれかに関連して、気体富化血液が過飽和酸素富化血液を含む実装が提供され得る。過飽和酸素富化血液は、600~1500mmHgのpOを有し得る。
【0101】
更なる例によれば、例示的な方法のいずれかを参照して前に説明されたコンピュータ実装方法をプロセッサに実行させるよう構成されるコンピュータプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品または非一時的コンピュータ可読媒体が提供され得る。上記の複数のコンセプト、および以下でより詳細に説明される追加の複数のコンセプト(そのような複数のコンセプトは、相互に矛盾しない場合)のすべての組み合わせが、本明細書に開示される本発明の主題の一部であるとして考えられることを理解されたい。特に、本開示の最後に現れる特許請求される主題のすべての組み合わせは、本明細書において開示される発明の主題の一部であることが意図される。また、参照によって組み込まれる任意の開示にも現れ得る、本明細書において明示的に採用される用語は、本明細書に開示される特定のコンセプトともっとも整合性のある意味と一致するものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0102】
図面は主に説明を目的とし、本明細書に説明される発明の主題の範囲を制限することを意図しない。図面は必ずしも縮尺通りではない。いくつかの場合には、本明細書に開示される発明の主題の様々な態様は、異なる特徴の理解を容易にするために、図面において誇張して、または拡大されて示され得る。図面において、同様の参照符号は、一般に、同様の特徴(例えば、機能的に類似する、および/または、構造的に類似する要素)を参照する。
【0103】
図1A】気体富化療法または過飽和酸素療法を患者に供給するためのシステムの一実装を示す。
【0104】
図1B図1Aのシステムの概略図を示す。
【0105】
図1C図1Aのシステムの概略図を示す。
【0106】
図2】血液における1または複数のパラメータを検出するセンサに基づいて、患者への酸素富化血液の供給を制御するための例示的なシステムのフロー図を示す。
【0107】
図3A】測定されたインピーダンス値のトモグラフィマップに基づいて、患者への酸素富化血液の供給を制御するための例示的なシステムのフロー図を示す。
【0108】
図3B図3Aのシステムと共に使用するためのインピーダンストモグラフィカテーテルを有するシステムの概略図を示す。
【0109】
図4A】核磁気共鳴プローブからの測定結果に基づいて、患者への酸素富化血液の供給を制御するための例示的なシステムのフロー図を示す。
【0110】
図4B図4Aのシステムと共に使用するための核磁気共鳴プローブを有するシステムの概略図を示す。
【0111】
図5A】O蛍光プローブからの測定結果に基づいて、患者への酸素富化血液の供給を制御するための例示的なシステムのフロー図を示す。
【0112】
図5B図5Aのシステムと共に使用するためのO蛍光プローブを有するシステムの概略図を示す。
【0113】
図6A】経皮pOプローブからの測定結果に基づいて患者の血管への酸素富化液体の供給を制御するための例示的なシステムのフロー図を示す。
【0114】
図6B図6Aのシステムと共に使用するための経皮pOプローブを有するシステムの概略図を示す。
【0115】
図7A】光音響画像からの血液酸素化情報に基づいて、患者への酸素富化血液の供給を制御するための例示的なシステムのフロー図を示す。
【0116】
図7B図7Aのシステムと共に使用するための光音響イメージングプローブを有するシステムの概略図を示す。
【0117】
本明細書において開示される発明の主題の特徴および特長は、図面と併せて下で説明される発明を実施するための形態から、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0118】
以下の開示は、気体富化療法または過飽和酸素または気体療法のシステム、方法およびコンポーネント、ならびに例示的な実施形態に関するシステムおよび方法を説明する。システムは、過飽和酸素(SSO)療法を患者に提供し、1または複数の患者パラメータの分析に基づいて制御することを可能にする。SSO療法は、患者の血管内への直接的な、酸素過飽和生理流体(例えば血液)のカテーテルで促進される注入、または、生理食塩水などの酸素過飽和液体の注入を通じて、血液の酸素含有量を富化するための低侵襲的手技を指す。これらの手技は一般に、急性心筋梗塞(AMI)を患う患者を治療することを目的とするが、末梢血管疾患を含む他の病状にも使用され得る。患者の上または中に位置するセンサプローブまたはカテーテルによって検出された患者の血液酸素パラメータに関するフィードバックに基づくSSO療法の制御を強化する必要がある。また、イメージング技術を利用して標的組織をマッピングし、SSO療法に応答した、血液灌流、組織虚血および梗塞の大きさの変化に関するフィードバックを提供する必要がある。本明細書において説明される様々なフィードバック機構は、SSO療法の強化された制御を提供し、医療従事者および/またはシステムが、患者のアウトカムを改善するためにSSO療法を最適化することを可能にする。
【0119】
図1Aは、気体富化療法または過飽和酸素または気体療法を患者に供給するためのシステム100の概略図を示す。システム100は、図1Bにおいて更に詳細に説明される気体富化システム102を備える。気体富化システム102は、患者の血液に酸素を注入するために使用される。システム100は、導管102を介して患者から動脈血液を受け取る。患者から受け取られている血液の特性を検出するために、1または複数のセンサ106が、第1動脈ライン108に連結される。センサ106および114は、様々な血液パラメータ、例えば、酸素レベル、流量、圧力、ヘモグロビン含量、ヘマトクリット含量、pH、COレベル、pO、SO、酸素濃度、および/または、患者から到着して気体富化システム102に入る血液の温度を測定し得る。血液ポンプ112は血液を気体富化システム102(ここで、血液は、過飽和酸素液体、例えば生理食塩水と混合され)に引き込み、結果として生じる酸素富化血液または酸素過飽和血液を、第2動脈ライン110を介して再び患者にポンピングする。
【0120】
例として、システム100は、気体富化システム102において、気体富化液体、例えば酸素富化液体で患者の血液を富化することによって気体富化血液を作成し、気体富化血液、例えば酸素富化血液を形成し、気体富化血液を患者に供給し、例えば酸素の場合、酸素富化血液を患者に供給するために使用され得、それにより、患者の血液における酸素、および、組織への酸素の拡散を増加させる。特定の実装において、酸素富化液体または溶液、例えば過飽和酸素液体または溶液(酸素過飽和液体または過飽和酸素流体とも称される)は、0.1ml O/ml液体(STP)以上、または、0.1~6ml O/ml液体(STP)または0.2~3ml O/ml液体(STP)の溶解O濃度を有する液体を含み得る(例えば、臨床的に有意な気体塞栓無し)。そのような過飽和酸素液体または溶液が血液と混合されるとき、結果として生じる血液は、過飽和酸素富化血液と称され得る(酸素過飽和血液とも称され得る)。特定の実装において、システム100は、400mmHg以上、または、600~1500mmHgまたは760~1200mmHgまたは約1000mmHgの標的範囲における高いpOを有する過飽和酸素富化血液の注入を供給し得る。
【0121】
一例において、過飽和酸素富化血液は、過飽和酸素液体と混合するために気体富化システムに供給されたソース血液が80mmHgの最低pOを有するとき、760~1500mmHgのpOを有し得、血液流量は50~150mL/分であり、SSO生理食塩水流量は2~5mL/分であり、生理食塩水における溶解O濃度は0.2~3ml O/ml生理食塩水(STP)である。
【0122】
ソース血液が80mmHgより下である別の例において、治療目的は、血液pOを80mmHgより上に上昇させることであり得、システム100は、80mmHg以上または80~760mmHgのpOレベルを有する過飽和酸素富化血液の注入を供給し得る。
【0123】
第1動脈ライン上のセンサ106に加えて、または、それに代えて、第2動脈ライン110は、様々な血液パラメータを測定するための、または、患者へ再びポンピングされる前の富化血液を分析するための、その中に位置する1または複数のセンサ114を含み得る。システムは、制御システムへの有線または無線接続を介して、センサ106および114から取得された情報を受信および比較でき、かつ、血液ポンプ112および気体富化システム102を制御するために使用できる1または複数の制御システム116を備える。例えば、制御システムは、気体富化システムから患者へ流れる血液中の酸素の測定された分圧またはpOの値に対応する第2動脈ラインセンサ114から信号を受信できる。制御システムは、測定されたpOを、例えば760~1240mmHgまたは760~1500mmHgである血液pOの標的範囲と比較する。例えば、760~1240mmHgまたは760~1500mmHgの標的範囲は、50~150mL/分である予めプログラムされた血液流量、2~5mL/分である生理食塩水の流量、および、0.4~1.5ml O/ml生理食塩水(STP)または2~3ml O/ml生理食塩水(STP)である生理食塩水中の溶解O濃度に基づいて計算され得る。制御システムは、血液中の測定されたpOに基づいて上のパラメータのいずれかを調節し、標的範囲内の動脈血液pOを達成し得る。制御システム116は、インターネット120などのネットワークを介して1または複数のリモートサーバシステム118にローカルおよび/または通信可能に連結されるデータストレージについて構成され得る1または複数のローカルサーバシステムに通信可能に連結し得る。制御システム116はまた、ディスプレイ、キーボードまたはマウスなどのユーザインタフェースコンポーネントを含み得る。これらのコンポーネントは、様々なパラメータを調節するために使用され得、制御システムによって実行されるプロセスに基づいて生成および/または表示され得る様々なレポートを閲覧するために使用され得る。
【0124】
システム100は検知プローブ106も備え得る。本明細書において更に詳細に説明されるように、検知プローブは、患者の生理学的パラメータ、例えば、血液または組織パラメータの測定、イメージング、または光学的検知に使用され得、患者パラメータを内部で検知するためのカテーテルとして具現化され得、または、身体の内側または外側から検知するための別のプローブ、例えば経皮的pOセンサプローブ、またはセンサシステムの形態であり得る。特定の実装において、センサシステムは、内部および外部センサコンポーネントの組み合わせであり得る。センサは、ケーブルまたは他の有線接続を介して制御システムに連結され得る。
【0125】
検知プローブ106は、1または複数の生理学的パラメータに関する情報を提供する。情報は、センサから取得された情報に基づいて、気体富化システム102の注入、および、血液ポンプ112のポンピングを制御および調節する制御システム116によって分析される。
【0126】
図1Bは、過飽和酸素(SSO)療法を施行するための図1Aのシステム100をより詳細に示す。SSO療法を施行するためのシステム100は一般に、3つのコンポーネントデバイス、すなわち、メイン制御システム、気体富化システム(例えば酸素化カートリッジ)、および注入デバイス(例えば注入カテーテル)を備える。これらのデバイスは、SSO溶液と呼ばれる高酸素富化生理食塩水溶液を作成するために共に機能する。少量の自己血液がSSO溶液と混合されて酸素過飽和血液が生成される。酸素過飽和血液は患者に供給される。システム100は、3つの取り外し可能モジュール、すなわち、ベースモジュール1000、中間セクション制御モジュール2000、および表示モジュール3000を含むモジュール設計を有し得る。システム100はまた、特定の実装による、カテーテルを介して実装され得る検知および/またはイメージングプローブ106を有する。標準の「Eボトル」USP酸素タンク1022を受けて収容するために、ベースモジュール1000の裏側に気体タンク容器が提供される。酸素タンク1022は、気体タンクアダプタを介してシステムに装着される。酸素などの好適な気体が酸素タンク1022から酸素化カートリッジ内の第2チャンバへ供給される。第1チャンバからの生理学的液体、例えば生理食塩水は、第2チャンバへポンピングおよび霧化され、酸素過飽和生理溶液が作成される。この酸素過飽和生理溶液は次に、患者からの血液と共に、酸素化カートリッジの第3チャンバへ供給される。患者の血液が酸素過飽和生理溶液と混合するとき、酸素過飽和または富化血液が作成され、次に、注入カテーテルを介して、標的である心外膜動脈、例えば、左冠動脈主幹部へ供給される。
【0127】
システム100は、ポンプ112を含む流体ポンプアセンブリを備える。ポンプアセンブリはまた、吸引チューブ、圧力センサ、気泡検出器/フローメータ(2060)、リターンクランプ(2070)およびリターンチューブを含み得る。カートリッジハウジングは、マッチするカートリッジ(すなわち気体富化システム)を受けるよう構成される。カートリッジハウジングは、カートリッジと共に使用する、様々な検知、制御およびインタフェース機構を含む。特定の実装において、気体富化システムは、カートリッジではなく、直接注射システムとして構成される。
【0128】
システム100の3つのモジュール(1000、2000、および3000)の各々は、それらの中に収容された様々なコンポーネントの保護およびアクセスのためのドアまたはアクセスパネルを含み得る。例えば、中間セクション制御モジュール200は、気体富化システム(すなわちカートリッジ)を収容するためのヒンジ付きドア2051と、モジュールの内部空間へのアクセスウィンドウを覆うためのアクセスパネル2052とを含む。システムが所定の境界内で動作している場合でもユーザが同一の方式でシステムのシャットダウンを開始できるように、安全スイッチ(例えば、緊急停止スイッチ3050)が提供され得る。
【0129】
上の特定の実施形態において、ベースモジュール1000のボディは、円形の台1001上に位置する管状シャーシからできている。システムに可動性を提供するべく、複数の車輪1002が円形の台の底に装着される。車輪は、車輪を静止状態に維持するためのロック機構を有する。ベースシャーシは、バッテリ1003(不図示)と、電源1004(不図示)と、ベースモジュール1000を中間セクション主要モジュール2000に接続するためのコネクタとを含む、特定の電気的および機械的コンポーネントを収容する。
【0130】
図1Cは、システム100を概略的に示す。図1Cに示すように、システム100は、上で説明される3チャンバカートリッジなど、様々な形態で実装され得る気体富化システム102を備える。気体富化システムは、図1Bに示されるようなオンサイト貯蔵タンクの形態であり得る気体供給1022を介して気体を供給される。システム100はまた、図3B図4B図5B図6B、および図7Bに関連してより詳細に説明される様々な形態でも実装され得る、ケーブルまたは他の有線接続を介してコントローラに連結され得る検知/イメージングコンポーネントまたはシステム106を備える。検知コンポーネント106は、生理学的パラメータ、例えば、患者の血液の1または複数の血液または組織酸素パラメータを測定し得る。システムは、生成されたSSO溶液を血液中に注入し、血液ポンプ112によってポンピングしながら、供給カテーテル134を介して、酸素過飽和血液を標的の主要な心外膜動脈へ供給する。血液の注入および血液のポンピングは、プロセッサ380と、メモリ382と、検知イメージングシステム106、気体富化システム102、血液ポンプ112、およびグラフィカルユーザインタフェース(GUI)132に通信可能に接続される関連入力および出力回路384を含むコントローラ130によって制御される。コントローラ130は、コントローラ130のメモリ382に格納される1または複数のアルゴリズムによって判定されプロセッサ380(例えば、またはプロセッサシステム)によって処理されるように、検知システム106および気体富化システム102から入力を受信し得、検知システムから受信された入力に応答して、気体富化システム102を制御する。プロセッサ380は、1または複数の生理学的パラメータ、例えば、血液の血液酸素パラメータの測定値に対応する1または複数の信号を検知システム106から受信し、測定値に基づいて、生理学的パラメータ、または、生理学的パラメータの特性、例えば、測定された血液酸素パラメータのレベルを示す警報を生成するよう構成される。警報はグラフィカルユーザインタフェース上で示され得る。測定された生理学的パラメータ、例えば、測定された血液酸素パラメータのレベルは、システム100によって実装される過飽和酸素または気体療法を制御するためにプロセッサ380によって使用される。コントローラ130は、インターネット120などのネットワークに通信可能に連結され得、それを通じて、データストレージおよび/または情報アクセスのために様々なリモートサーバがアクセスされ得る。通信ネットワークは、システム100をリモートに制御し、またはモニタリングするために使用され得る。様々なシステムコンポーネントを制御およびモニタリングするためにユーザがシステムとインタラクションするために、システム100において、グラフィカルユーザインタフェース132が提供される。グラフィカルユーザインタフェース132はまた、ネットワーク120を介して閲覧またはアクセスされ得、例えば、グラフィカルユーザインタフェースは、リモート警報またはプロンプトをユーザに提供し得る。
【0131】
図2は、血液中の1または複数のパラメータを検出するセンサに基づいて、図1Cのシステムの一例によって実行され得る、患者への酸素富化血液の供給を制御するための例示的なプロセス200のフロー図を示す。特に、プロセス200は、血液酸素パラメータを測定して、過飽和気体療法、例えば、患者への酸素富化血液の供給を制御する。検知106は、気体富化デバイスから患者への血流のために構成される導管内もしくは導管上に、または、患者から気体富化デバイスへの血流のために構成された導管内もしくは導管上に位置し得る酸素化センサによって実行され得る。酸素化センサは、ケーブルまたは他の有線接続を介してコントローラに連結され得る。酸素化センサは、非侵襲性であり、pOおよび/または酸素飽和(SO)、例えば、血液中の動脈pOまたはSOを推定するために、近赤外線分光法(NIRS)またはパルスオキシメータなどの光学方法を利用し得る。パルスオキシメトリは、血液中のヘモグロビンに結合した酸素のパーセンテージを推定する。パルスオキシメータは、発光ダイオードおよび光検知センサを使用して、赤色光および赤外線光の吸収を測定する。プロセス200の全部または一部は、図1Cのコントローラ130を介して実装され得、すなわち、プロセッサ380およびメモリストレージデバイス382を使用して様々なアクションを実行する。例えば、202において、酸素化センサは、過飽和酸素または気体療法を受けた患者からの血液中のpO値を測定するために使用され得る。特定の実装において、センサは、pOを測定するためのクラーク電極などの電極を含む。クラーク電極は、正味反応O+4e+4H→2HOに従って、触媒白金表面を使用して、液体中の周辺酸素濃度を測定する電極である。204において、プロセッサ380は、204におけるpOの測定値に対応する酸素化センサから信号を受信する。206において、プロセッサ380は、測定されたpOを血液pOの標的範囲、例えば、760~1200mmHgまたは760~1500mmHgと比較する。上記のように、760~1240mmHgまたは760~1500mmHgの標的範囲は、50~150mL/分である予めプログラムされた血液流量、2~5mL/分である生理食塩水の流量、および、0.4~1.5ml O/ml生理食塩水(STP)または2~3ml O/ml生理食塩水(STP)である生理食塩水中の溶解O濃度に基づいて計算され得る。制御システムは、血液中の測定されたpOに基づいて上のパラメータのいずれかを調節し、標的範囲内の動脈血液pOを達成し得る。208において、プロセッサ380は、pOを示す警報を、例えばユーザインタフェースを通じて生成する。測定されたpOは、過飽和酸素または気体療法の有効性を示し、血液中のpOが予めプログラムされた標的範囲内であるかどうかを医療従事者に認識させ、患者の虚血組織への酸素の供給を最適化する。210において、プロセッサ380は、上で参照された生理食塩水または血液パラメータの1または複数をセンサ値のベースに修正することによって気体富化システムを制御する。
【0132】
特定の実装において、図1Cによるシステムは、患者の血圧(動脈または静脈)を検出するよう構成されるセンサからのフィードバックに基づいて、患者への酸素富化血液の供給を制御するためのプロセスを実行し得る。プロセスは、患者への過飽和気体療法、例えば、酸素富化血液の供給を制御するために血圧を測定する。検知は、気体富化デバイスから患者への血流のために構成される導管内もしくは導管上に、または、患者から気体富化デバイスへの血流のために構成された導管内もしくは導管上に位置し得る圧力センサによって実行され得る。血圧センサまたは血圧トランスデューサは、ケーブルまたは他の有線接続を介してコントローラに連結され得る。プロセスの全部または一部は、コントローラ130を介して、すなわち、プロセッサ380およびメモリストレージデバイス382を使用して実装され得、様々なアクションを実行する。例えば、血圧センサは、過飽和酸素または気体療法を受けた患者からの血液中の血圧値を測定するために使用され得る。プロセッサ380は、血圧の測定値に対応する血圧センサから信号を受信する。プロセッサ380は、測定された血圧を血圧の標的範囲、例えば、健常者における血圧と比較する。プロセッサ380は、血圧を示す、例えばユーザインタフェースを通じた警報を生成する。SSO療法を最適化するべく、測定された血圧は、過飽和酸素または気体療法の有効性を示し、血圧が標的範囲内にあるかどうかを医療従事者に認識させる。プロセッサ380は、気体富化システムにおける1または複数の生理食塩水または血液パラメータを修正することによって気体富化システムを制御して血圧フィードバックに基づいて療法を最適化し得る。
【0133】
血圧(例えば、動脈または静脈)の変化は、SSO療法の有効性に関するフィードバックを提供し得る。例えば、血圧の変化は、SSO療法に応答する、心筋組織における血流の変化を示し得る。SSO療法は、心筋の虚血性領域への拡散移動の増加を可能にするOの高い濃度勾配を提供する。もっとも必要性が高い領域へのこのOの拡散移動は、血流に依存しないので、SSOは、浮腫(膨張)を患う毛細管の内皮細胞への早期にアクセスできる。SSOは、微小血管系におけるこの浮腫応答を戻し、流れを戻すことができ、周囲の心臓組織に酸素化血液を与える。
【0134】
患者の血液の動脈圧力を測定するための例示的なセンサは、カテーテルに位置する、またはそれに連結される圧力センサを含む。カテーテルは、電子圧力トランスデューサおよび/または圧力モニタに接続された、流体で充填されたシステムまたは圧力管に接続され得る。検出された血圧の変化は、SSO療法の結果である、灌流の改善、および/または、虚血組織における流れの再開を示し得る。療法の結果、心機能が改善され得る。特定の実装において、プロセッサは、動脈圧力フィードバックに基づいて過飽和酸素療法の供給を制御し得る。
【0135】
特定の実装において、フィードバックは、測定された血圧波形に基づき得る。波形反射パターンの変化が検出され得る。一例において、患者の血圧の正常なパルス波形の反射パターンの変化が検出または測定され得る。別の例において、脈動流が(更なる微調整のために)作成され得、患者の血圧の作成されたパルス波形の反射パターンの変化が検出または測定され得る。いずれかの例において、波形において識別された第2ピークの相対強度およびタイミングなどの情報のために、パルス波形が分析され得る。
【0136】
特定の実装において、図1Cによるシステムは、1または複数のECGセンサまたは電極からのフィードバックに基づいて患者への酸素富化血液の供給を制御するためのプロセスを実行し得る。プロセスは、ECG信号を使用して患者の心臓の電気活動を測定し、患者への過飽和気体療法、例えば、酸素富化血液の供給を制御する。ECGセンサまたは電極は、患者の胸部上に位置し得る。ECGセンサは、ケーブルまたは他の有線接続を介して、コントローラに連結され得る。プロセスの全部または一部は、コントローラ130を介して、すなわち、プロセッサ380およびメモリストレージデバイス382を使用して実装され得、様々なアクションを実行する。例えば、ECGセンサは、過飽和酸素または気体療法を受けている患者の心臓の電気活動を測定するために使用され得る。プロセッサ380は、ECGセンサから信号を受信する。プロセッサ380は、ECG信号を標的信号、例えば、健常者の信号と比較する。プロセッサ380は、ECG信号が正常か、または異常かを示す警報を、例えばユーザインタフェースを通じて生成する。SSO療法を最適化するべく、測定されたECG信号は、過飽和酸素または気体療法の有効性を示し、患者のECGが正常か、または異常かを医療従事者に認識させる。例えば、急性の心臓病の患者のために虚血を緩和することにより、異常なECG信号が元に戻り得る。プロセッサ380は、気体富化システムにおける1または複数の生理食塩水または血液パラメータを修正することによって気体富化システムを制御してECGフィードバックに基づいて療法を最適化し得る。
【0137】
図3Aは、図3Bに示されるインピーダンストモグラフィカテーテルセンサシステム3106によって生成された測定されたインピーダンス値のトモグラフィマップに基づいて患者への酸素富化血液の供給を制御するための例示的なシステム300のフロー図を示す。電気インピーダンストモグラフィ(EIT)は、非侵襲性タイプの医療用イメージングであり、身体の一部の導電率、誘電率、およびインピーダンスが、表面電極測定から推論され、その組織領域のトモグラフィ画像を形成するために使用される。302において、システム300は、気体富化システムによって生成された気体富化血液を患者に供給させ、過飽和気体、例えば酸素療法を患者に提供する。304において、左冠動脈主幹部(LM)に位置するカテーテル電極と、患者の身体の外部表面上に位置する複数の外部電極との間の患者の組織に電流が加えられる。カテーテル電極および外部電極は、1または複数のケーブルまたは他の有線接続を介してコントローラに連結され得る。306において、システム300のプロセッサ380は、カテーテル電極と複数の外部電極との間の組織からの測定されたインピーダンス値に対応する電極から複数の信号を受信する。308において、プロセッサ380は、測定されたインピーダンス値のトモグラフィマップを生成する。一例において、プロセッサ380は、梗塞を有する組織領域における測定されたインピーダンス値のマップを生成するために使用され得、組織領域における測定されたインピーダンス値のトモグラフィマップを、組織領域における測定されたインピーダンス値の基準トモグラフィマップと比較して、SSO療法中の血液灌流の変化、または、患者における梗塞の大きさの変化を判定する。マッピングされた領域および血液灌流の任意の変化、または、梗塞の大きさの変化は、メモリデバイス382におけるプロセッサ380によって格納され得、将来の参照のためにタグ付けされ得る。310において、プロセッサ380は、低インピーダンス値を有するマッピングされたゾーンを、血液灌流が増加し梗塞の大きさが低減した組織ゾーンと対応付ける。虚血組織については、より高いインピーダンスが予想される。なぜなら、非虚血組織、または、血液灌流が増加した組織と比較して、虚血組織に存在する血液は少ないからである。プロセッサ380はまた、MRIもしくはCT画像などの、同一の領域、または、同一の梗塞ゾーンの他のマッピングされた画像上に、これらのマッピングされたゾーンを重ね合わせ、空間的に揃え得る。312において、患者への酸素富化血液の供給は、測定されたインピーダンス値のトモグラフィマップに基づいて制御される。例えば、供給カテーテル(特定の実装において、カテーテル電極を収容するカテーテルと組み合わされ得る)の場所は調節され得、および/または、酸素富化血液の供給の速度(すなわち、システムの血液ポンプによって制御される)は調節され得る。特定の実施形態において、トモグラフィマップが、予め定められた閾値、例えば10%より低いインピーダンスの減少(したがって、灌流の増加)を示さない領域を有する場合、または、トモグラフィマップに基づく推定された梗塞の大きさが、いくつかの他の予め定められた閾値、例えば15%より多く低減していない場合、血液中のSOは、測定されたインピーダンス値のトモグラフィマップ、および/または、梗塞の大きさの推測された変化に基づいて増加し得る。血液中のSOは、トモグラフィマップの領域のインピーダンス、または、推定される梗塞の大きさのいずれかの閾値を超えたことに基づいて、減少または停止され得る。
【0138】
図3Bは、図3Aに関連して説明されるインピーダンストモグラフィカテーテルを採用するシステム100の概略図を示す。図3Bにおいて、検知カテーテル3106が患者の管腔に挿入される。特に、検知カテーテル3106は、患者のLM冠動脈に位置する。しかしながら、他の実施形態において、検知カテーテルは他の冠動脈、または代替的に、食道などの他の管腔内に位置し得る。検知カテーテルは、カテーテルの長さに沿って配置された1または複数の電極を含み、例えば一対の電極が利用され得る。複数の追加的な表面電極(例えば電極3108)が被験者の胸郭上に外部的に配置される。複数の電極は、間隔を空けた位置に配置される。カテーテル3106の長さに沿って間隔を空けた位置に配置される複数の電極の使用は、カテーテル電極と表面電極との間の組織のインピーダンス測定を複数の軸で行うことを可能にする。
【0139】
別の実施形態において、検知カテーテルは、複数の電極を含み得る。電極は、被験者の身体の内側に使用するのに好適な任意のタイプの電極であり得、カテーテルの外部表面に装着され得るか、または、それに内蔵され得る。プローブの反対側の表面に配置される一対の電極を含む代わりに、単一の電極が、カテーテルの長さに沿って各レベルに提供され得、特定の実施形態において、単一の電極のみが提供され得る。しかしながら、プローブの長さに沿って間隔を空けた位置に配置される複数の電極の使用は、上記のように、インピーダンス測定が複数の軸で行われることを可能にする。
【0140】
複数の追加の電極は、典型的には被験者の身体上の電気信号を測定するために使用される湿式または乾式の自己接着医療電極など、被験者の身体上で外部使用するのに好適な任意のタイプの電極であり得る。Sheffield Mark 3.5およびEnlight 1800は、システム300によって供給されるSSO療法を制御するのに有用なイメージングフィードバックを提供するために実装され得る例示的な電気インピーダンストモグラフィ技術である。
【0141】
図4Aは、図4Bに示される核磁気共鳴(NMR)プローブ4106からの測定に基づいて、患者への酸素富化血液の供給を制御するための例示的なシステム400のフロー図を示す。402において、システム400は、気体富化システムによって生成された気体富化血液を患者へ供給させ、過飽和酸素または気体療法を患者へ提供する。404において、ケーブルまたは他の有線接続を介してコントローラに連結され得る核磁気共鳴プローブ(例えば、図4Bに示されるプローブ4106)は、過飽和酸素または気体療法を受けている患者の標的組織における1または複数の組織パラメータを測定するために、例えば、血液酸素など、組織における標的分子の共鳴信号を測定するために使用される。406において、システムのプロセッサ(例えば、プロセッサ380)は、核磁気共鳴プローブによって検出され、かつ、核磁気共鳴プローブからプロセッサ380へ送信された標的分子の検出された共鳴信号に基づいて、標的組織の磁気共鳴画像(MRI)を生成する。408において、プロセッサ380は、標的組織の画像を分析するために使用され、標的組織における血液中のSOのレベルまたは変化など、標的分子のレベル、または、標的分子のレベルの変化を判定する。標的組織は、心臓の梗塞ゾーンであり得る。分析は、410において、ユーザインタフェースを通じた警報を生成するために、プロセッサ380によって使用される。警報は、標的組織における標的分子の存在またはレベルに基づいて、過飽和酸素または気体療法の有効性を示す情報を提供する。警報に基づいて、患者への酸素富化血液の供給が制御され得る。例えば、供給カテーテルの場所が調節され得、および/または、気体富化血液の供給の速度(すなわち、システムの血液ポンプによって制御される)が調節され得る。代替的に、MRIイメージは、医療従事者によって分析されるように、ユーザインタフェースまたは遠隔モニタ上に表示され得、医療従事者は、画像に基づいて療法を制御し得る。
【0142】
上記のように、標的分子は酸素であり得る。別の実施形態において、標的分子は高エネルギーリン酸塩であり得る。高エネルギーリン酸塩分子の例には、アデノシン三リン酸(ATP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン一リン酸(AMP)、および、遊離リンイオン(Pi)が含まれる。標的組織、例えば、梗塞に影響された組織におけるこれらの分子の量をモニタリングすることにより、組織虚血の存在または変化を示す、標的組織のエネルギー/代謝状態がどれほど異常かの示唆を提供する。虚血性が高いほど、組織のエネルギー/代謝状態が低くなる。過飽和酸素または気体療法は、検出された標的組織のエネルギー/代謝状態、および、組織の検出された代謝回復に基づいて制御され得る。
【0143】
一実施形態において、磁気共鳴レシーバ、例えばコイルが、カテーテルの端部に位置し得、磁気共鳴駆動信号は、システムのどこか、例えば、患者の外部の位置から生成される。この実施形態は、対象の標的組織についての集中的な検出を可能にする。
【0144】
別の実施形態において、磁気共鳴レシーバ、例えばコイル、および、磁気共鳴ドライバは、カテーテル上に配置され得る。磁気共鳴カテーテルは、気体富化血液を供給するために使用される、大腿動脈、または、左冠動脈主幹部、または、他の冠動脈に位置するカテーテルと同一であり得る。代替的に、磁気共鳴カテーテルは、例えば心室または他の血管に位置する別個のカテーテルであり得る。
【0145】
図4Bは、図4Aのシステムと共に使用するための核磁気共鳴プローブを有するシステムの概略図を示す。特に、システム100は、検知要素としての核磁気共鳴イメージング(MRI)カテーテル4106と共に実装され得る。カテーテル4102は、カテーテル4106の外縁部の周りに巻かれた磁気コイル4108を含む。磁気コイル4108は、イメージングデータのアクティブ化およびそれからの受信のために、コントローラ130に接続される。磁気コイル4108から取得されたイメージングデータは、コントローラ130のプロセッサ380によって処理され、GUI132上に表示され得る。プロセッサ380は、核磁気共鳴イメージングプローブからの分子の測定された共鳴信号に基づいて、標的組織における標的分子のレベルに対応する信号を受信する。カテーテル4106はMRIカテーテルであるが、患者へSSO血液を供給するために供給カテーテルとしてなお実装され得る。別の実施形態において、磁気コイルは、カテーテルに内蔵され得る。別の実施形態において、磁気共鳴プローブは、カテーテルとは別個であり得、例えば別個のプローブである。
【0146】
図5Aは、図5Bに示されるような検知要素として、蛍光プローブからの測定に基づいて、患者への酸素富化血液の供給を制御するための例示的なシステム500のフロー図を示す。蛍光プローブは、ケーブルまたは他の有線接続を介して、システムのコントローラに連結され得る。蛍光プローブはO蛍光プローブであり得る。502において、システム500は、気体富化システムによって生成された気体富化血液を患者へ供給させ、過飽和酸素または気体療法を患者へ提供する。504において、O蛍光プローブは、気体富化デバイスへの血流のために導管に、気体富化デバイスから患者への血流のための導管に、患者の標的組織における血管に位置し得、例えば、気体富化血液供給カテーテルに連結され得、または、標的組織の中または近くに挿入され得る。506において、O蛍光プローブの光源が照射される。光ファイバケーブルは、特定の実装において、光源に光を提供するために使用され得、光ファイバケーブルは、システムのコントローラに接続される。508において、O蛍光プローブのセンサ分子の蛍光が測定される。センサ分子は蛍光分子を含み得る。510において、信号が、蛍光測定に基づいて、O蛍光プローブからコントローラ130のプロセッサ380によって受信される。蛍光は、蛍光プローブ上の照射されたセンサ分子(例えば蛍光分子)からの蛍光強度信号の寿命または減衰を測定することによって測定される。この信号の減衰は、センサ分子の蛍光強度信号に対する、血液または組織における酸素分子の消光効果によって生じる。512において、プロセッサ380は、蛍光プローブの蛍光強度信号に対する酸素の消光効果に基づいて、血液または組織におけるSOまたはpOを判定し得る。酸素消光に起因して信号が減衰するのに必要な時間の量の変化は、血液または組織における局所的なSOまたはpOを示す。514において、プロセッサ380は、血液または組織における判定されたSOまたはpOに基づいて、警報を生成する。警報は、過飽和酸素の有効性を示し、ユーザインタフェース132を介して提供され得る。
【0147】
特定の実施形態において、酸素は、検知プローブ上の蛍光分子または蛍光体信号の蛍光またはリン光を消光し得る。例えば、センサ分子(蛍光分子または蛍光体)は、光ファイバの束、任意選択的に1または複数ファイバの端部にコーティングされ得る。センサ分子は、高い周波数のパルスであり得る光源によって励起される。蛍光またはリン光寿命または減衰が測定される。信号が減衰するのに必要な時間の量の変化は、血液または組織における局所的な酸素濃度、SO、またはpOを示す。O蛍光またはリン光プローブをフィードバックに使用する利点の1つは、酸素から検知分子を保護する分子でセンサ分子を囲むことが可能であることである。このように、蛍光またはリン光寿命は、広い範囲の酸素濃度、SO、またはpO値、特に、非常に高い酸素濃度について調整され得る。結果として生じるSOまたはpOは、酸素富化血液供給場所の下流の血液または組織について判定され得る。
【0148】
図5Bは、過飽和酸素療法中に酸素濃度、SO、またはpOフィードバックを提供するためのO蛍光プローブを有するシステムの概略図を示す。O蛍光プローブは、図5Aのシステムと共に使用される。プローブ5116は、有線接続を介してシステムコントローラに連結される。プローブは、発光コーティング5110、例えば、蛍光分子を含むコーティング、光センサ5112、第1参照光源5114(例えば発光ダイオード)、および任意選択的に第2参照光源5116を含む。光センサ5112は、発光コーティング5110から反射した光を測定し、当該光は、第1参照光源5114によって投影される。発光コーティングから反射した光は、プローブが接触する血液または組織中の酸素によって消光される。酸素消光の結果として信号が減衰するのに必要な時間の量の変化は、血液または標的組織、例えばプローブが挿入される心筋組織における局所的な酸素濃度、SO、またはpO値を示す。別の実施形態において、O蛍光プローブは、カテーテルと別個であり得、例えば、NEOFOX-GTまたはUnisense MicroOptode技術などの別個のプローブが利用され得る。
【0149】
図6Aは、経皮pOプローブからの測定に基づいて、患者の血管への酸素富化液体の供給を制御するための例示的なシステムのフロー図を示す。602において、システム100は、酸素富化生理食塩水の供給を患者の末梢血管系へ供給させ、過飽和酸素療法を患者に提供する。604において、経皮pOプローブ(例えば、図6Bのプローブ6106)が、酸素富化生理食塩水供給の場所の近くの標的組織内に挿入され得る。経皮pOプローブは、患者の標的組織におけるpOを測定するために使用される。606において、コントローラ130のプロセッサ380は、経皮pOプローブによって判定されるような、組織におけるpOの測定値に対応する1または複数の信号を受信する。608において、プロセッサ380は、測定されたpO値に基づいて警報を生成する。警報は、ユーザインタフェースを介して提供され得、標的組織におけるpOに基づいて過飽和酸素療法の有効性を示す。プロセッサ380はまた、測定されたpO値に基づいて、血液への酸素富化生理食塩水の供給を制御するために使用され得、例えば、プロセッサ380は、酸素富化生理食塩水の流量および/または生理食塩水におけるOの濃度を制御し得る。
【0150】
図6Bは、図6Aのシステムと共に使用するための経皮pOプローブを有するシステムの概略図を示す。システムは、患者の血管に過飽和酸素溶液を直接供給する、米国特許9、919、276に説明される直接注射システムと類似し得、ここで、過飽和酸素は、血液と混合して、患者の血管系の内側で酸素富化血液を形成する。図6Bのシステムは、プロセッサ380、メモリ382、および入力/出力回路384を有するコントローラ130を備える。プロセッサ380は、pOプローブから信号を受信する。システムは、生理食塩水などの液体を気体富化システム602内へポンピングするためのポンプ612を備え、ここで、生理食塩水に酸素気体が注入され、過飽和酸素溶液SSOが作成される。SSOは次に、供給カテーテル668を介して患者の血管系に直接供給され、ここで、患者の血液と混合され、酸素富化血液が作成される。経皮pOプローブ61606は、有線接続によってコントローラに連結される。経皮pOプローブは、pOの非侵襲性測定を可能にする。システムは、測定されたpOフィードバックに基づいて、過飽和酸素療法の有効性を示す警報を表示するためのユーザインタフェース132を備える。pOプローブ6106の正確度は、pOプローブ6106の適用場所における皮膚を加熱することにより、一定の局所的な血管拡張を用いて増加され得る。これにより、皮膚における血流が最大になる。いくつかの実装において、経皮pOプローブ6106は、酸素浸透性疎水性膜によって覆われる、組み合わされた白金および銀電極を含み、電極の内側に閉じ込められたリン酸塩緩衝液および塩化カリウムのリザーバを有する。小さい加熱要素は、銀アノードの内側に配置され得る。経皮pOプローブ6106は、前側の胸壁または他の許容可能場所に適用され、測定のために加熱され得る。他の実施形態において、経皮的なプローブは蛍光プローブであり得る。
【0151】
別の実施形態において、組織における総pOを測定するための皮膚接触プローブが、SSO療法に関するフィードバックを提供するために利用され得る。プローブは皮膚に直接適用され得、皮膚に近い組織酸素化の全体測定を提供する。この測定は、末梢血管疾患を治療するためのSSOの適用に有用である。健常者における組織の総pOは約40mmHgである。プロセッサは、標的組織における測定された総pOを健常者におけるpOと比較し、それに従って、SSO療法の供給を調節し得る。
【0152】
図7Aは、光音響画像からの組織酸素化情報に基づいて、患者への酸素富化血液の供給を制御するための例示的なシステムのフロー図を示す。702において、システム700は、酸素富化システムによって生成された酸素富化血液を患者に供給させ、過飽和酸素療法を患者に提供する。704において、システム700は、光音響プローブ(例えば、図7Bに示される非侵襲性光音響プローブ7106)に、光音響イメージング光源からの光のパルスで組織の領域を照射させる。706において、光音響プローブの超音波センサまたは別個の超音波センサは、光のパルスによる照射に応答して、組織の領域における分子または構造によって生成された1または複数の音波を検出する。コントローラのプロセッサ380は、708において、検出された音波に対応する1または複数の信号を超音波センサ(有線接続によってコントローラに連結される)から受信し、710において、検出された音波に基づいて画像を生成する。712において、システム700は、ユーザインタフェースを通じて、画像に基づく組織領域についての組織酸素化情報を提供する。システム700は、714において、組織酸素化情報を使用して、患者への酸素富化血液の供給を制御し得る。
【0153】
図7Bは、組織の特性を検出するための光音響イメージングプローブ7106と共に使用されるシステム100の概略図を示す。光音響イメージングは、光励起および音響検出を使用して、組織試料内の吸光に基づいて組織構造の画像を生成する医療用イメージングモダリティである。光音響画像は、コントラストが組織の機械的および弾性的特性ではなく光学特性、特に吸光に依存する超音波画像とみなされ得る。それは、ヘモグロビン、脂質、水および他の光吸収発色団を検出する能力を有するが、純粋な光学イメージングモダリティより大きい透過深度を有する従来の超音波イメージングより高い特異性を提供する。それは、微細血管系などの解剖学的構造を視覚化するだけでなく、血液酸素化、血流、および温度の形態で機能情報を提供し得る。関心対象の組織は、光音響プローブからの十分に短い光のパルスによって照射される。この光は、ヘモグロビンまたは脂質など、組織内の特異的な成分によって吸収され、周波数が超音波範囲である力学的な波を生成する。これらの信号は、超音波センサ、または、超音波センサのアレイによって検出され得、信号は、画像再構成アルゴリズムを用いて関心対象の組織の画像を形成するために使用され得る。
【0154】
プローブ7106は、レーザ光を含み得る光源7108を含む光音響プローブの一例である。プローブ7106は、光音響プローブからの光によって照射されたときに組織から発生する光学音響波または音波を検出するための超音波トランスデューサアレイ(例えば、圧電素子、またはファブリ・ペロー干渉計要素)7110を含む。レーザ光は、特定の実装において、パルス光源を含み得る。いくつかの実装において、光源は発光ダイオードである。警報を生成し、患者へのSSO血液の供給を制御するべく、トランスデューサアレイ7110からのセンサデータは、コントローラ130のプロセッサ380によって受信され、組織の特性評価のめに組織画像を生成する。局所的なエネルギー蓄積に比例する超音波放出(すなわち、光音響信号)の強度は、生理学的に特異的な吸光コントラストを明らかにする。例えば、吸光は、酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンとの間で異なり、このコントラストは、生成された画像において可視的である。組織領域の画像は、組織における虚血を表す暗いゾーンを示し得るが、酸素化血液が虚血組織に流れ込みOが組織に拡散するにつれて、画像が明るくなり始める。標的組織領域の2次元または3次元画像が形成され得、画像コントラストは、標的組織領域における酸素の存在または酸素レベルの変化を示す。特定の実装において、組織領域の酸素化の変化を経時的に判定するために、標的組織領域の画像は、経時的に追跡され得る。例えば、画像のスライスが取得され、経時的に追跡され得る。SSO療法が患者に供給されるにつれて、組織中の酸素の経時的な増加が見られると予測される。
【0155】
プロセッサ380は組織領域のトモグラフィ画像を生成し得る。特定の実装において、従来の超音波画像が生成され得、血管および梗塞を含む、組織領域における解剖学的構造の画像を提供する。また、組織領域における酸素化の画像を提供するために光音響画像が生成され得る。組織領域における梗塞の大きさの変化を見るために、光音響画像は超音波画像上に重ね合わされ得る。システムは、別個の光音響プローブおよび超音波レシーバを備え得、または、2つのコンポーネントは単一デバイスの一部であり得る。特定の実装において、ハンドヘルド超音波デバイスがシステムに連結され得るが、音波を受信すること、および、光音響イメージングプローブから受信された音波に基づいて画像を生成することのみのために修正され得る。結果として生じる任意の光音響画像が、システムのユーザインタフェース上に、または、リモートもしくは別個のモニタもしくはタブレット上に表示され得る。画像は、無線で、または、有線接続を介して、遠隔モニタまたはタブレットへ送信され得る。
【0156】
特定の実装において、光源は、気体富化血液供給カテーテルに連結された光ファイバケーブルであり得、光源は標的組織領域のより近くに位置する。システムは、光またはレーザ光をパルス化または調整するためのハードウェアを含み得る。
【0157】
SSO療法において、酸素富化血液の供給のための注入点は、多くの場合、標的組織領域または虚血性領域から離れている(例えば、血管閉塞から数mm上流)。本明細書に説明される光音響イメージングプローブを有するシステムは、調整を通じて、および/または、異なるソースハードウェアを通じて、様々なレベルのイメージング深度および組織透過性を提供し得、これにより、より局所的な光の供給を可能にし、対象の組織領域の標的化が向上し、音波の生成および組織領域の結果的なイメージングが改善する。イメージング深度は、標的組織に依存して変動し得るか、または、標的組織領域から光源までの距離に依存して選択され得、例えばイメージング深度は、血管の場合、1~3mmであり得、心室筋の場合、15~35mmであり得る、心房組織の場合、3~10mmであり得る。例示的な既知の光音響(PAI)または光学音響(OAI)イメージングプラットフォームが下を使用する様々な組織標的の例示的なイメージング深度が下の表1において提供される(Schellenberg, Photoacoustics 11 (2018) 14-17)。
【表1】
【0158】
特定の実装において、心筋組織のイメージング範囲は、ソースの配置、ならびに、プローブと心臓との間の脂肪のサイズおよび層に依存し得る。光源および超音波トランスデューサが患者の外部にあるとき、超音波は、より深い組織から信号を受信するよう調整され得、より高い出力のパルスレーザが、より深い標的組織を励起するために使用され得る。上層からの応答が受信されないように、最初の応答がフィルタリングされ得る。光源がカテーテルの場所にあるとき、例えば、光ファイバケーブルがカテーテルに沿っていて光を標的組織に直接供給するとき、光源はパルスでも、または連続的でもよい。この照射は、励起後の組織の弛緩、血流または酸素拡散に関する情報を提供し得る。信号のソースは、超音波によって外部的に標的化される。
【0159】
特定の実装において、血流を計算するために光音響画像が使用され得る。これは、光をパルス化し、経時的に画像における応答、例えば、酸素化血液が移動しているか、または静的であるかを見ることによって達成され得る。これは、虚血に起因する血流の欠如があるかどうか、または、SSO療法が有効なので流れが増加したかどうかを示し得る。血流が多いことは、組織がより酸素化されていること、および虚血の低減を意味する。
【0160】
米国特許第6,743,196号、米国特許第6,582,387号、米国特許第7,820,102号および米国特許第8,246,564号の全体的な開示が参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0161】
本明細書に記載の特徴は、デジタル電子回路において、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアにおいて、またはこれらの組み合わせにおいて実装されてよい。装置は、プログラマブルプロセッサによる実行のために情報キャリアに有形に具現化されたコンピュータプログラム製品、例えば、機械可読ストレージデバイスにおいて実装され得、方法の段階は、命令のプログラムを実行するプログラマブルプロセッサによって実行され、入力データを操作し出力を生成することによって、説明された実装の機能を実行し得る。説明された特徴は、有利なことに、データストレージシステムからデータおよび命令を受信し、データストレージシステムへデータおよび命令を送信するように連結された少なくとも1つのプログラマブルプロセッサ、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスを含むプログラム可能なシステム上で実行可能な1または複数のコンピュータプログラムにおいて実装され得る。
【0162】
コンピュータプログラムは、いくつかのアクティビティを実行する、または、いくつかの結果をもたらすためにコンピュータにおいて直接的または間接的に使用され得る命令のセットである。コンピュータプログラムは、コンパイルまたは解釈された言語を含む、プログラム言語の任意の形態で書かれ得、スタンドアロン型プログラム、または、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくは、コンピューティング環境において使用するのに好適な他の単位を含む任意の形態で展開され得る。コンピュータプログラム命令およびデータを有形に具現化するのに好適な記憶装置は、例として、EPROM、EEPROMおよびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス;内部ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク;磁気光ディスク;CD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含む、すべての形態の不揮発性メモリを含む。
【0163】
本明細書において説明されるコンピューティングデバイスは、データファイルを格納するための1または複数の大容量記憶装置を含み得るか、または、通信するようにそれと動作可能に連結し得る。そのようなデバイスは、内部ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、磁気光ディスク、および光ディスクを含む。
【0164】
本明細書で使用される「機械可読媒体」、「コンピュータ可読媒体」および「プロセッサ可読媒体」という用語は、機械に特定の方式で動作させるデータを提供することに関与する任意の媒体を指す。コンピュータシステムを使用することにより、様々なプロセッサ可読媒体(例えばコンピュータプログラム製品)は、実行のために命令/コードをプロセッサに提供することに関与し得、および/または、そのような命令/コード(例えば信号)を格納および/または運搬するために使用され得る。
【0165】
多くの実装において、プロセッサ可読媒体は、物理的および/または有形の記憶媒体である。そのような媒体は、不揮発性媒体および揮発性媒体を含むがそれに限定されない多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、光学および/または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、ダイナミックメモリを含むが、これに限定されない。
【0166】
物理的および/または有形プロセッサ可読媒体の共通の形態は、例えば、フロッピディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュEPROM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジ、後で説明される搬送波、または、コンピュータが命令および/またはコードを読み出し得る任意の他の媒体を含む。
【0167】
プロセッサ可読媒体の様々な形態が、1または複数の命令の1または複数のシーケンスを1または複数のプロセッサに実行のために搬送することに関与し得る。単に例として、命令は最初、フラッシュデバイス、永続メモリを含むデバイス、および/または、リモートコンピュータの磁気ディスクおよび/または光ディスク上で搬送され得る。リモートコンピュータは、命令をそのダイナミックメモリにロードし、コンピュータシステムによって受信および/または実行されるように、伝送媒体を介して信号として命令を送信し得る。
【0168】
コンピューティングデバイスは、データサーバなどのバックエンドコンポーネントを含む、または、アプリケーションサーバもしくはインターネットサーバなどのミドルウェアコンポーネントを含む、または、グラフィカルユーザインタフェースもしくはインターネットブラウザを有するクライアントコンピュータなどのフロントエンドコンポーネントを含むコンピュータシステムまたはその任意の組み合わせの一部であり得る。システムのコンポーネントは、通信ネットワークなどのデジタルデータ通信の任意の形態または媒体によって接続され得る。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ピアツーピアネットワーク(アドホックまたは静的メンバを含む)、グリッドコンピューティングインフラストラクチャ、およびインターネットを含む。コンピュータシステムは、クライアントおよびサーバを含んでよい。概して、クライアントおよびサーバは、互いにリモートに配置されており、通常は、上記のようなネットワークを通してやり取りする。クライアントおよびサーバの関係は、それら各々のコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって生じ、互いに、クライアントサーバ関係を有する。
【0169】
特定の要件に従って、著しい変形が行われ得る。例えば、カスタマイズされたハードウェアも使用され得、および/または、特定の要素が、ハードウェア、ソフトウェア(アプレットなどのポータブルソフトウェアなどを含む)、またはその両方で実装され得る。更に、ネットワーク入力/出力装置などの他のコンピューティングデバイスへの接続が採用され得る。
【0170】
情報および信号は、様々な異なる技術および技法のいずれかを使用して表され得る。例えば、上の説明で参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、および記号は、電圧、電流、電磁波、磁界または微粒子、光場または微粒子、またはそれらの任意の組み合わせで表され得る。
【0171】
上で説明される方法、システムおよびデバイスは例である。様々な代替的な構成は、様々な手順またはコンポーネントを適宜に省略、置換、または追加し得る。構成は、フロー図またはブロック図として描写されるプロセスとして説明され得る。各々は、動作を連続的プロセスとして説明し得るが、動作の多くは、並列に、または同時に実行され得る。加えて、動作の順序は再配置され得る。プロセスは、図に含まれない追加のステージを有し得る。例示的な構成(実装を含む)の完全な理解を提供するべく、説明において具体的な詳細が与えられる。しかしながら、これらの具体的な詳細無しでも構成が実施され得る。例えば、構成を曖昧にすることを回避するべく、不必要な詳細無しで、既知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造および技法が示された。この説明は例示的な構成のみを提供し、請求項の範囲、適用性、または構成を制限しない。むしろ、上述の構成の説明は、説明された技法を実装するための可能な説明を当業者に提供する。開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更および要素の配置が機能に加えられ得る。
【0172】
また、フロー図またはブロック図として描写されるプロセスとして構成が説明され得る。各々は、動作を連続的プロセスとして説明し得るが、動作の多くは、並列に、または同時に実行され得る。加えて、動作の順序は再配置され得る。プロセスは、図に含まれない追加のステージまたは機能を有し得る。更に、方法の例は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語またはそれらの任意の組み合わせによって実装され得る。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェアまたはマイクロコードで実装されるとき、タスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、記憶媒体などの非一時的なプロセッサ可読媒体に格納され得る。プロセッサは、説明されたタスクを実行し得る。
【0173】
互いに接続または通信するものとして図で示される、および/または、本明細書において説明されるコンポーネント、機能、またはその他は、通信可能に連結される。すなわち、それらは、それらの間の通信を可能にするように直接的または間接的に接続され得る。
【0174】
本明細書(請求項を含む)において使用される場合、「のうち少なくとも1つ」が付く項目のリストにおいて使用される「および」は、選言的なリストを示し、例えば、「A、B、Cのうち少なくとも1つ」のリストは、AまたはBまたはCまたはABまたはACまたはBCまたはABC(すなわち、AおよびBおよびC)、または、1つより多い特徴との組み合わせ(例えば、AA、AAB、ABBCなど)を意味する。本明細書(請求項を含む)において使用される場合、別段の定めが無い限り、機能または動作が項目または条件「に基づ」くという語句は、機能または動作が、記述された項目または条件に基づき、当該記述された項目または条件に加えて1または複数の項目および/または条件に基づき得ることを意味する。
【0175】
複数の例示的な構成を説明したが、開示から逸脱することなく、様々な修正、代替的な構造、均等物が使用され得る。例えば、上記の要素は、より大きいシステムのコンポーネントであり得、他の規則が本発明の適用に優先し得る、または、さもなければ、それを修正し得る。また、上記の要素が考慮される前、間、または後に、複数の動作が講じられ得る。また、技術が進歩しているので、要素の多くは例であり、開示または請求項の範囲を拘束するものではない。従って、上の説明は、請求項の範囲を拘束しない。更に、1つより多くの発明が開示され得る。
【0176】
他の実施形態は、発明の範囲内である。例えば、ソフトウェアの性質に起因して、上で説明された機能は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ハード配線、または、これらのいずれかの組み合わせを使用して実装され得る。機能を実装する特徴はまた、様々な場所に物理的に配置され得る(機能の一部が異なる物理的場所に実装されるように分散されることを含む)。別段の定めが無い限り、請求項は、説明された順序または要素に限定されるものとして読まれるべきでない。添付の特許請求の範囲の思想および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更が当業者によって加えられ得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲の思想および範囲およびその均等物に属するすべての実装が特許請求される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
【国際調査報告】