(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-12
(54)【発明の名称】ガラスマットタイルバッカーパネルおよびガラスマットタイルバッカーパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
E04C 2/26 20060101AFI20230502BHJP
E04F 13/14 20060101ALI20230502BHJP
B32B 13/14 20060101ALI20230502BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
E04C2/26 Q
E04F13/14 102A
B32B13/14
E04B1/94 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552388
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2022-08-30
(86)【国際出願番号】 US2021023445
(87)【国際公開番号】W WO2021202141
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596172325
【氏名又は名称】ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェイク、マイケル ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ポン、ヤンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ドネラン、ジェフリー ウィリアム
【テーマコード(参考)】
2E001
2E110
2E162
4F100
【Fターム(参考)】
2E001DA01
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(57)【要約】
プレ含浸またはプレコーティングされた不織布繊維表マットを備えた石膏タイルバッカーパネル。プレ含浸またはプレコーティングされた不織繊維表マットに石膏スラリーを適用することを含む、これらの石膏タイルバッカーパネルを製造する方法も提供される。石膏タイルバッカーパネルを使用する石膏タイルバッカーパネルシステムも提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石膏ガラスマットタイルバッカーパネルであって、
前面および後面を有する石膏コア層であって、前記石膏コア層が0.25~1.25の厚さを有し、前記石膏コア層が少なくとも75重量%の硫酸カルシウム材料を含む、石膏コア層と、
反対側にある第1の面および第2の面を有する第1の不織繊維マットであって、前記第2の面が石膏コアに面しており、前記第1の不織繊維マットの前記第2の面が前記石膏コア層の前記前面に取り付けられており、
前記第1の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つ、および疎水性結合剤を含み、前記疎水性結合剤は、第1のポリマー、および任意に無機フィラー、および任意に第2のポリマー結合剤を含み、
堆積されたとき、前記第1の不織繊維マットは、コーティングガラスマット耐水性石膏バッキングパネル1.1のASTM C1178/C1178M-18標準仕様に従って、0.5グラム未満、好ましくは0.1グラム未満の表面吸水量を有する、第1の不織繊維マットと、
第2の不織繊維マットであって、前記第2の不織繊維マットは前記石膏コア層の前記後面に後ろカバーシートとして取り付けられ、前記第2の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、第2の不織繊維マットと、を備え、
前記第1の不織繊維マットおよび前記第2の不織繊維マットは、紙繊維およびセルロース繊維を含まない、石膏ガラスマットタイルバッカーパネル。
【請求項2】
(ポリマーおよびフィラーの)疎水性仕上げが、前記第1の不織繊維マットの繊維および結合剤の重量の5~80%である、請求項1に記載のパネル。
【請求項3】
前記各マットへのスラリーの浸透が、それぞれのマット厚さの30~60%の範囲である、請求項1に記載のパネル。
【請求項4】
セメント質コアが、少なくとも85重量%の硫酸カルシウム二水和物を含むセメント質材料を含む石膏パネルコア層を含む、請求項1に記載のパネル。
【請求項5】
前記疎水性材料が、皮膜形成ポリマー、シラン、シロキサン、フッ化物、または疎水性官能基を有するポリマーを含み、
少なくとも1つの前記皮膜形成ポリマーは、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つのアクリル系モノマーに由来する、請求項1に記載のパネル。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のパネルを作製する方法であって、
第1の不織繊維マットを表マットとして移動表面上に堆積させることであって、堆積されると、前記第1の不織繊維マットは反対側にある第1の面および第2の面を有し、前記第1の面は前記移動表面から離れる方向を向き、
堆積されると、前記第1の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択される不織繊維の基材と、前記第1の不織繊維マット上にプレ含浸またはプレコーティングされた疎水性材料とを含み、
堆積されたとき、前記第1の不織繊維マットは、コーティングガラスマット耐水性石膏バッキングパネル1.1のASTM C1178/C1178M-18標準仕様に従って、0.5グラム未満、好ましくは0.1グラム未満の表面吸水量を有する、堆積させることと、
少なくとも水および硫酸カルシウム材料を混合して、乾燥(水を含まない)ベースで少なくとも75重量%の硫酸カルシウム材料を含む水性石膏スラリーを調製することであって、亜硫酸カルシウム材料は硫酸カルシウム半水和物を含む、調製することと、
石膏コア層を形成するように前記水性石膏スラリーを前記第1の不織繊維マットの前記第2の面に接着関係で適用することであって、前記石膏コア層は表面および裏面を有し、前記石膏コア層の表面は前記表マットに面する、適用することと、
ボードプリフォームを形成するために、前記石膏コア層の前記後面に裏マットとして第2の不織繊維マットを適用し、それによって、前記表マットと前記裏マットとの間に前記水性スラリーを配置することであって、前記第2の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、配置することと、
前記表マットと前記裏マットとの間に配置された前記水性石膏スラリーを硬化させ、それによって前記石膏タイルバッカーパネルを形成することと、を含み、
前記第1の不織繊維マットおよび前記第2の不織繊維マットは、紙繊維およびセルロース繊維を含まない、方法。
【請求項7】
最終製品に疎水性仕上げを付与するのに十分な量の前記疎水性材料を充填または含浸させることにより、前記表マットをプレ含浸させる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記疎水性材料が、ロール上の前記表マット上に予め塗布され、前記表マットが前記ロールから移動面に移動する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
予め含浸された材料が、前記疎水性材料の均一な分布、または前記表マットの一方の表面から前記表マットの反対側の表面への前記疎水性材料の勾配である微細構造を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
建築物のタイルバッカーパネルシステムであって、請求項1~5のいずれか一項に記載の複数のタイルバッカーパネル、または請求項6~8のいずれか一項に従って作製された複数のタイルバッカーパネルが取り付けられた骨組みを備え、前記後ろマットが前記骨組みに面し、前記タイルバッカーパネルが前記システムの外部にある、タイルバッカーパネルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石膏コアを有するガラスマットタイルバッカーパネル、およびパネルを製造および設置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PengらのUS10,399,898は、疎水性仕上げ組成物および疎水性仕上げ組成物で作製されたセメント質物品を開示している。いくつかの実施形態では、物品は、有益な防水特性を有する柔軟で疎水性のセメント仕上げに面する無機鉱物繊維で表面強化された防水石膏パネルである。これらの防水石膏パネルは、建物の濡れた場所または乾いた場所でのタイルバッカーボード、外装、内壁、および天井として使用するための外部耐候性パネル、耐水性および低表面吸収性を有する屋根カバーボードなどの多くの用途がある。柔軟で疎水性のセメント仕上げは、フライアッシュ、被膜形成ポリマー、好ましくはシラン化合物(例えば、アルキルアルコキシシラン)、1つ以上のカルボン酸、カルボン酸の塩、またはそれらの混合物のいずれかを含む延長流動時間保持剤、および他の任意の添加剤を含むことができる。好ましくは、表面強化用の無機鉱物繊維を提供するために、プレコーティングされた不織ガラス繊維マットが使用される。ただし、パネルは、石膏コアを2枚のガラスマットシートの間に配置し、この石膏コアを硬化させることによって作製される。石膏コアが硬化した後、疎水性仕上げが適用される。
【0003】
ただし、ボード硬化の後に疎水性仕上げを適用することは、製造時間および複雑さを増大させる。ガラスマットタイルバッカーパネルをより迅速に製造する方法が望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、パネルを後処理することなく耐水性を提供するベースボード/マットの組み合わせであるパネルを提供する。
【0005】
本発明は、疎水性表面を有する改善された石膏ガラスマットタイルバッカーパネルおよびその製造方法に関する。特に、本発明は、石膏ガラスマットタイルバッカーパネルであって、
前面および後面を有する石膏コア層であって、石膏コア層が0.25~1.25インチ、好ましくは0.25~0.625インチの厚さを有し、石膏コア層が少なくとも75重量%の硫酸カルシウム材料を含む、石膏コア層と、
対向する第1および第2の面を有する第1の不織繊維マットであって、第2の面が石膏コアに面しており、第1の不織繊維マットの第2の面が石膏コア層の前面に取り付けられており、
ここで、第1の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つ、および疎水性結合剤を含み、疎水性結合剤は、第1のポリマー、任意に無機フィラー、および任意に第2のポリマー結合剤を含み、
堆積されたとき、マットは、被覆ガラスマット耐水性石膏バッキングパネル1.1のASTM C1178/C1178M-18標準仕様に従って、0.5グラム未満の表面吸水量を有する、第1の不織繊維マットと、
第2の不織繊維マットであって、第2の不織繊維マットは石膏コア層の後面に後部カバーシートとして取り付けられ、第2の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、第2の不織繊維マットと、を備え、
ここで、第1および第2の不織繊維マットは、紙繊維およびセルロース繊維を含まない、石膏ガラスマットタイルバッカーパネルを提供する。
【0006】
本発明はまた、本開示に記載される本発明の石膏不織繊維マットタイルバッカーパネルを調製する方法であって、
第1の不織繊維マットを表マットとして移動表面上に堆積させることであって、堆積されると、第1の不織繊維マットは対向する第1および第2の面を有し、第1の面は移動表面とは反対側を向き、
堆積されると、第1の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択される不織繊維の基材と、マット上にプレ含浸またはプレコーティングされた疎水性材料とを含み、
堆積されたとき、マットは、被覆ガラスマット耐水性石膏バッキングパネル1.1のASTM C1178/C1178M-18標準仕様に従って、0.5グラム未満の表面吸水量を有する、堆積させることと、
少なくとも水および硫酸カルシウム材料を混合して、乾燥(無水)ベースで少なくとも75重量%の硫酸カルシウム材料を含む水性石膏スラリーを調製することであって、当該硫酸カルシウム材料は硫酸カルシウム半水和物を含む、調製することと、
石膏コア層を形成するように水性石膏スラリーを第1の不織繊維マットの第2の面に接着関係で適用することであって、石膏コア層は表面および裏面を有し、石膏コア層の表面は表マットに面する、適用することと、
ボードプリフォームを形成するために、石膏コア層の裏面に裏マットとして第2の不織繊維マットを適用することであって、それによって、表マットと裏マットとの間に水性スラリーを配置し、第2の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、適用することと、
表マットと裏マットとの間にある水性石膏スラリーを硬化させることであって、それによって石膏タイルバッカーパネルを形成する、硬化させることと、を含み、
ここで、第1および第2の不織繊維マットは、紙繊維およびセルロース繊維を含まない、石膏不織繊維マットタイルバッカーパネルを調製する方法を提供する。
【0007】
製造を容易にするために、この方法は、マット(ガラスマットまたは本発明に適した他のマット)を有する最終製品の表面吸水量が、コーティングされたガラスマット耐水性石膏バッキングパネル1.1のためのASTM C1178/C1178M-18標準仕様に従って0.5グラム未満である、プレコートまたはプレ含浸されたフェーサーマットを生産ラインに供給する。堆積されたときに特定の表面吸水量を有するマットは、フィラーを含んでも含まなくてもよい疎水性材料の均一な分布でマットを予備含浸またはマットを予備コーティングすることによって達成され得る。
【0008】
典型的な含浸マットは、以下の組成を有する(重量%):
連続フィラメントガラス繊維20~60%
硬化ポリビニルアルコールなどの結合剤ポリマー1~10%または2~10%
疎水性含浸材料ポリマー、例えば硬化アクリルポリマー1~10%または2~10%
疎水性含浸材料中の鉱物フィラー40~70%
【0009】
典型的なコーティングされたマットは、以下の組成を有する(重量%):
連続フィラメントガラス繊維15~35%
結合剤として提供される硬化尿素ホルムアルデヒド樹脂1~10%または2~10%
疎水性コーティングとして提供されるポリマー、例えば、硬化アクリルポリマー1~10%または2~10%
鉱物フィラー45~75%
【0010】
典型的には、(ポリマーおよびフィラーの)疎水性仕上げは、第1の不織繊維マット繊維および結合剤の重量の5~80%(したがって、コーティングを含まないマットの重量に基づく)であり、より好ましくは、重量の10~70%、典型的には重量の40~70%または15~40%、例えば、重量の25~40%である。
【0011】
疎水性仕上げは、単一または複数のステップでマットに事前に適用され、各ステップは、任意でフィラーを含む様々な化学物質を適用し、耐水性を提供する。疎水性材料で「プレ含浸」または「プレコーティング」されるという用語は、最終製品に疎水性仕上げを付与するのに十分な体積を有する疎水性材料で含浸またはコーティングされたマットを示すために使用される。この説明の目的のために、ガラスマットを含浸することは、疎水性材料(疎水性仕上げ)の少なくとも一部がガラスマット繊維内へ所定の深さに浸透するように疎水性材料(疎水性仕上げ)の層をガラスマット上に配置することと定義される。ガラスマットのコーティングとは、ガラスマットに浸透しないでガラスマットの表面上に存在するように疎水性材料の層(疎水性仕上げ)をガラスマットの上に配置することと定義される。
【0012】
「プレ含浸された」という用語は、完成品に疎水性仕上げを付与するためにポリマー、シラン、シロキサン、フッ化物、または疎水性官能基を有するポリマーなどの十分な量の疎水性材料で充填または含浸されたマットを表すために使用される。疎水性材料は、典型的には、フライアッシュを有さない、および/または水硬性材料を有さない。
【0013】
含浸は、マットの製造中にワンステッププロセスで「その場で」完了することができる。さらに、含浸は、結合剤が化学的または機械的方法によってマットに導入または浸透される追加の処理ステップで完了することができる。化学的方法は、結合剤またはマット表面の化学的性質および結合剤粘度の改変を含むが、これらに限定されない。機械的方法は、圧力、真空、または重力を含むが、これらに限定されない。結果として得られる微細構造は、材料の均一な分布または1つの表面からの勾配につながり得る。このプレ含浸は、任意でフィラーを含む同じまたは異なるポリマーを用いて複数のステップで行われ得る。
【0014】
あるいは、堆積時に特定の表面吸水量を有するマットは、ポリマー、シラン、シロキサン、フッ化物、または疎水性官能基を有するポリマーなどの疎水性材料でマットをプレコーティングすることによって達成され得る。疎水性材料は、典型的には、フライアッシュを有さない、および/または水硬性材料を有さない。
【0015】
本発明の製品および方法において、リアマット(後ろカバーシートまたは裏フェーサーとしても知られる)は、リアマットを石膏パネルコアに結合するために常に部分的に埋め込まれる。リアマットへのスラリーの浸透は、マットの厚さの40~60%の範囲である。
【0016】
石膏パネルの石膏コアは、硬化石膏、すなわち、硫酸カルシウム半水和物および任意に硫酸カルシウム無水物を含む水性石膏スラリーを硬化させることから得られる硫酸カルシウム二水和物を含む。典型的には、硫酸カルシウム材料および水が混合される場合、得られる水性石膏スラリーは、乾燥ベース硫酸カルシウム半水和物(スタッコまたは焼石膏とも呼ばれる)で、少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも85重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%を有する。換言すれば、水性石膏スラリーは、硬化前の乾燥ベースの硫酸カルシウム半水和物で少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも85重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%である。
【0017】
別の態様では、本開示は、水の浸透を防止する本発明の少なくとも1つのタイルバッカーパネルが取り付けられた骨組みを含むタイルシステムに関する。特に、タイルバッカーパネルの裏面は骨組みに面し、タイルはタイル接着剤でタイルバッカーパネルの表面に適用される。骨組みは、木、金属、または任意の他の建築物用骨組み材料である。タイルバッカーパネルは、ねじ、釘、接着剤、または他の建築物用締結具によって骨組みに取り付けられる。好ましくは、タイルバッカーパネルは、ねじまたは釘によって作製された穿孔を除いて、穿孔を有しない。
【0018】
本発明のこれらおよび他の利点、ならびに追加の発明の特徴は、本明細書で提供される本発明の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】その石膏コア上に表マットとしての耐湿性の不織ガラス繊維マットを有する、本発明の石膏タイルバッカーパネルの第1の例の斜視図を示す。
【
図2】
図1の石膏タイルバッカーパネルの側面断面図を示す。
【
図3】プレコーティングされたフロントおよびリアフェーサーを有する本発明のタイルバッカーパネルの概略図を示す。
【
図4】プレコーティングされたフロントフェーサーおよびコーティングされていないリアフェーサーを有する本発明のタイルバッカーパネルの概略図を示す。
【
図5】プレコーティングされた不織ガラス繊維マットを示す。
【
図6】本発明のタイルバッカーパネルを製造するための連続製造ラインのウェットエンドの一例の概略側面図を示す。
【
図7】金属スタッド壁の片面に取り付けられた本発明のタイルバッカーボードを含む、本発明の壁システムの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、石膏コアおよび疎水性または耐水性の前面を有するタイルバッカーパネル(タイルバッカーボードとしても知られる)である。この明細書の目的のため、「板」および「パネル」という用語は代替可能である。最終製品には疎水性仕上げが必要である。これは、マットに事前に塗布された疎水性コーティング、またはマットに十分な体積パーセントを持つ疎水性結合剤によるものである。
【0021】
特に、本発明は、石膏ガラスマットタイルバッカーパネルであって、
前面および後面を有する石膏コア層であって、石膏コア層が0.25~1.25インチ、好ましくは0.25~0.625インチの厚さを有し、石膏コア層が少なくとも75重量%の硫酸カルシウム材料を含む、石膏コア層と、
対向する第1および第2の面を有する第1の不織繊維マットであって、第2の面が石膏コアに面しており、第1の不織繊維マットの第2の面が石膏コア層の前面に取り付けられており、
ここで、第1の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つ、および疎水性結合剤を含み、疎水性結合剤は、第1のポリマー、任意に無機フィラー、および任意に第2のポリマー結合剤を含み、
堆積されたとき、マットは、被覆ガラスマット耐水性石膏バッキングパネル1.1のASTM C1178/C1178M-18標準仕様に従って、0.5グラム未満、好ましくは0.1グラム未満の表面吸水量を有する、第1の不織繊維マットと、
第2の不織繊維マットであって、第2の不織繊維マットは石膏コア層の後面に後部カバーシートとして取り付けられ、第2の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、第2の不織繊維マットと、を備え、
ここで、第1および第2の不織繊維マットは、紙繊維およびセルロース繊維を含まない、石膏ガラスマットタイルバッカーパネルを提供する。
【0022】
本発明はまた、本開示に記載される本発明の石膏不織繊維マットタイルバッカーパネルを調製する方法であって、
第1の不織繊維マットを表マットとして移動表面上に堆積させることであって、堆積されると、第1の不織繊維マットは対向する第1および第2の面を有し、第1の面は移動表面とは反対側を向き、
堆積されると、第1の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択される不織繊維の基材と、マット上にプレ含浸またはプレコーティングされた疎水性材料とを含み、
堆積されたとき、マットは、被覆ガラスマット耐水性石膏バッキングパネル1.1のASTM C1178/C1178M-18標準仕様に従って、0.5グラム未満、好ましくは0.1グラム未満の表面吸水量を有する、堆積させることと、
少なくとも水および硫酸カルシウム材料を混合して、乾燥(無水)ベースで少なくとも75重量%の硫酸カルシウム材料を含む水性石膏スラリーを調製することであって、当該硫酸カルシウム材料は硫酸カルシウム半水和物を含む、調製することと、
石膏コア層を形成するように水性石膏スラリーを第1の不織繊維マットの第2の面に接着関係で適用することであって、石膏コア層は表面および裏面を有し、石膏コア層の表面は表マットに面する、適用することと、
ボードプリフォームを形成するために、石膏コア層の裏面に裏マットとして第2の不織繊維マットを適用することであって、それによって、表マットと裏マットとの間に水性スラリーを配置し、第2の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、適用することと、
表マットと裏マットとの間にある水性石膏スラリーを硬化させることであって、それによって石膏タイルバッカーパネルを形成する、硬化させることと、を含み、
ここで、第1および第2の不織繊維マットは、紙繊維およびセルロース繊維を含まない、石膏不織繊維マットタイルバッカーパネルを調製する方法を提供する。
【0023】
典型的には、(ポリマーおよびフィラーの)疎水性仕上げは、第1の不織繊維マット繊維および結合剤の重量の5~80%(したがって、コーティングを含まないマットの重量に基づく)であり、より好ましくは、重量の10~70%、典型的には重量の40~70%または15~40%、例えば、重量の25~40%である。
【0024】
リアマットは、裏フェーサーをパネルコアに接着するために、常に部分的に埋め込まれている。マットへのスラリーの浸透は、典型的には、マットの厚さの30~60%の範囲である。
【0025】
図1は、石膏パネルである本発明のタイルバッカーパネル2の斜視図を示す。石膏タイルバッカーパネル2は、石膏コア4、その前面におけるフロントフェーシング5、およびその後面におけるリアフェーシング6を有する。フロントフェーシング5は、所望の耐水性を有する不織ガラス繊維マットである。リアフェーシング6は、コーティングされていない、またはプレコーティングされた不織ガラス繊維マットである。しかしながら、ガラス繊維の代わりに他の繊維もマットに適している場合がある。
【0026】
図2は、
図1の本発明の石膏タイルバッカーパネル2の断面図を示す。石膏タイルバッカーパネル2のコア4は硬化石膏、すなわち硫酸カルシウム二水和物を含む。これは、硫酸カルシウム二水和物を含む石膏スラリーを硬化させることから生じる。
【0027】
図3は、プレコーティングされたガラスマットを使用する
図1のタイルバッカーパネル2の第1のバージョンの概略図をより詳細に示す。タイルバッカーパネル2は、石膏コア4と、それぞれフロントフェーシングおよびリアフェーシングとしての2つのプレコーティングされた繊維マット5、6とを含む。プレコーティングされた繊維マット5、6のそれぞれは、ポリマーでコーティングされたコーティング部分22、コーティングされていない部分26、およびコーティング部分22を覆う疎水性仕上げ組成物のコーティング30を有するガラス基材20を含む。石膏コア4は、乾燥ベースで50重量%を超える石膏を有する。典型的には乾燥ベースで少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも85重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%の硫酸カルシウム二水和物。任意に、石膏コア4は、他の添加剤をさらに含む。
【0028】
図4は、石膏コア4および2つの繊維マット5、6を含む、
図1のタイルバッカーパネル2の第2のバージョンの概略図を示す。第1の繊維マット5は、ガラス基材20、ポリマーでコーティングされたコーティング部分22、およびコーティングされていない部分26、ならびにコーティング部分22を覆う疎水性仕上げ組成物のコーティング30を含む。タイルバッカーパネル2の第2の繊維マット6はコーティングされていない。
【0029】
図5は、本発明における使用のための、ポリマー23でコーティングされたコーティング部分22、コーティングされていない部分26、およびコーティング部分22を覆う疎水性仕上げ組成物のコーティング30を有するガラス基材20を含むコーティングされたガラスマット5の断面を示す。コーティング部分22のコーティング浸透の測定された厚さは、矢印「D1」によって示される。コーティングされたガラスマット5のコーティング部分22のこの厚さ寸法(「D1」によって表される)は、約0.002~0.050インチ(2~50ミル)である。コーティングされずに残っている部分26の厚さは、矢印「D2」で示されている。これらの寸法は、マットの厚さ「D」が0.015~0.065(15~65ミル)であるコーティングされたマットの厚さにわたって10~75%延びるコーティングされた部分に特に当てはまる。コーティング部分22を覆う疎水性仕上げ組成物のコーティング30は、ガラス基材20のポリマーコーティング部分22にも浸透し得るが、明確にするために、これは図には示されていない。
【0030】
繊維質マットフェーシング
第1の繊維マットおよび第2の繊維マットフェーシング(カバーシートとしても知られる)は、本発明のタイルバッカーパネルの面に配置される。各繊維マットは、2つの対面する表面:外向きの表面および石膏コアに面する表面を有することが認識されよう。繊維マットは不織布である。好適な繊維マットは、石膏タイルバッカーパネルのためのフェーシング材料として使用される市販のマットを含む。
【0031】
第1の繊維マットおよび第2の繊維マットはそれぞれ、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択される繊維材料を含む。第1の繊維マットおよび第2の繊維マットは、紙繊維、およびセルロース繊維を含まない。
【0032】
好ましくは、タイルバッカーパネルの第1の繊維マットおよび第2の繊維マットは、それぞれ、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択される繊維材料である。より好ましくは、本発明の石膏タイルバッカーパネルは、全体として、紙およびセルロース、特にセルロース繊維を含まない。
【0033】
繊維マットは、任意の項的なタイプのポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維、またはこれらの組み合わせを含み得る。繊維の選択は、部分的には、石膏タイルバッカーパネルが使用される用途のタイプに依存するであろう。例えば、石膏タイルバッカーパネルが耐熱性または耐火性を必要とする用途に使用されるとき、適切な耐熱性または耐火性繊維が、繊維質マットにおいて使用されるべきである。
【0034】
鉱物繊維は、主に岩石、粘土、スラグ、またはガラスから作製された繊維質の無機物質である。これらの繊維は、繊維ガラス(グラスウールおよびガラスフィラメント)、鉱物ウール(ロックウールおよびスラグウール)、および耐火セラミックファイバー(RCF)の3つの一般的な群に分類される。
【0035】
繊維質マットにおける使用に好適な繊維材料の例は、限定されるものではないが、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリビニルアセテート(PVAc)、およびそれらの組み合わせを含む。好ましくは、繊維は、コーティングされた、または未コーティングのガラス繊維(コーティングされた、または未コーティングの繊維ガラスとしても既知である)からなる。典型的には、繊維は、コーティングされた、または未コーティングの耐アルカリ性ガラス繊維(コーティングされた、または未コーティングの耐アルカリ性繊維ガラスとしても既知である)からなる。一般に、不織繊維マットは、紙繊維およびセルロース繊維を含まない。
【0036】
マットの表面吸水量は、被覆ガラスマット耐水性石膏バッキングパネル1.1のASTM C1178/C1178M-18標準仕様に従って、0.5グラム未満、好ましくは0.1グラム未満である。
【0037】
本発明は、コアへの接着を維持するのに十分な蒸気透過性を保持しながら、タイルバッカーボードになるのに十分な耐水性を有するマットを提供する。コーティングされたマットの多孔性は十分に低いため、セメント質、例えば石膏のスラリーは浸透しない。しかし、石膏スラリーを使用する場合、多孔性は加熱時に石膏スラリーから水蒸気を逃がすのに十分である。したがって、疎水性仕上げは、加熱時に石膏スラリーから水蒸気を逃がすのに十分な多孔性をマットに与える。
【0038】
仕上げ剤は、望ましくは、仕上げ剤表面に塗布された水が、約30°~約120°、または約50°~約100°など、約30°以上(例えば、約40°以上)の接触角を示すような疎水性度を有する。接触角は、任意の適切な技術によって測定することができる。
【0039】
指定された表面吸水量を達成するために、マットがタイルバッカーパネルの生産ラインに供給される前に、マットは疎水性材料でプレコーティングまたはプレ含浸される。したがって、マットは、ボードのコアになる石膏スラリーと接触する前に、ポリマー(例えば、皮膜形成ポリマー)、シラン、シロキサン、フッ化物、または疎水性官能基を有するポリマーなどの疎水性材料でプレコーティングまたはプレ含浸される。疎水性材料は、典型的には、フライアッシュを有さない、および/または水硬性材料を有さない。本明細書の目的上、水と接触すると硬化して石膏コアを形成する硫酸カルシウム半水和物は、水硬性材料とはみなされない。代表的な水硬性材料は、ポルトランドセメントなどのセメントである。
【0040】
プレ含浸またはプレコーティングは、様々なマット上で行われ得る。
【0041】
本発明による疎水性材料のプレ含浸またはプレコーティングの前に、繊維マットは、すでに均一に分散された結合剤を有するマット繊維基材であり得る(通常、当技術分野では「コーティングされていないマット」と呼ばれる)。そのような不織「コーティングされていないマット」は、典型的には、均一に分散された少量の結合剤を有する。結合剤は、マット業界で一般的に使用されている任意の結合剤であり得る。好適な結合剤には、限定されないが、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ステアリン酸メラミンホルムアルデヒド、ポリエステル、アクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルまたはアクリル、スチレンアクリル系ポリマーなどで変性またはブレンドされた尿素ホルムアルデヒドまたはメラミンホルムアルデヒド、およびそれらの組み合わせが含まれる。この場合、このコーティングされていないマットをプレ含浸またはプレコーティングするために、疎水性材料が適用され得る。
【0042】
あるいは、本発明による疎水性材料を含む前に、繊維マットは、均一に分散された結合剤と、ポリマー結合剤の層である結合剤コーティングと、場合によっては石膏コアとは反対側を向いているマットの側面上のフィラーとを有する、マット繊維基材であり得る(通常、当技術分野では「プレコーティングされたマット」と呼ばれる)。この場合、この「プレコーティングされたマット」をプレ含浸またはプレコーティングするために、疎水性材料が適用され得る。通常、疎水性材料を「プレコーティングされたマット」に適用する場合、疎水性材料は結合剤コーティングの表面に適用される。しかしながら、疎水性材料は、結合剤コーティングが適用される前にプレ含浸またはプレコーティングするために適用することができる。
【0043】
未コーティングのマットの最大でも少量の実質的に均一に分布したポリマー結合剤に加えて、プレコーティングされたマットは、マットの厚さを通して最大で部分的に浸透させるために一方の側面に適用された追加の結合剤コーティングを有する。したがって、アクリルの予めコーティングされたガラスマットは、例えば、アクリル結合剤を使用する「未コーティングの」ガラスマットとは異なる。結合剤コーティングは、コーティングされたガラスマットの片面から、コーティングされたガラスマットの厚さの分数、典型的には10~75パーセント、好ましくは25~75%である深さまで、ガラスマット基材に均一に浸透する。均一に深い浸透は、参照により本明細書に組み込まれる、Bushらの米国特許出願公開第2007/0042657A1号に記載される1つ以上のコーティング技法によって達成され、これはコーティング混合物の、ガラスマット基材への露出の増加を容易にし、それによってより均一なコーティング浸透を達成する。このため、予めコーティングされた不織ガラス繊維マットは、一方の面が結合剤コーティングおよび疎水性仕上げでコーティングされ、他方の面がコーティングされておらず、未加工のガラス繊維側が露出している。プレコーティングされたマットを用いるとき、疎水性仕上げ組成物層は、未加工のガラス繊維側ではなく、コーティングされた繊維質マットのコーティングされた表面に接着される。セメント質ベースコアは、未加工のガラス繊維側に接着される。コーティングされたガラスマットのコーティングされていない厚さは、例えば、石膏スラリーまたは他のセメント質コア材料との接着目的のために十分に厚い。しかしながら、コーティングされていない厚さは、プレコーティングされていない繊維マットに通常関連する少量のポリマー結合剤を有し得る。
【0044】
「コーティングされていないマット」および「プレコーティングされたマット」の結合剤および/または結合剤コーティングに使用されるポリマーは、マット産業で典型的に使用される任意のポリマーであることができる。好適なポリマーには、限定されないが、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ステアリン酸メラミンホルムアルデヒド、ポリエステル、アクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルまたはアクリル、スチレンアクリル系ポリマーなどで変性またはブレンドされた尿素ホルムアルデヒドまたはメラミンホルムアルデヒド、およびそれらの組み合わせが含まれる。好ましくは、結合剤コーティングに使用されるポリマーはラテックスである。無機フィラーとともに使用されるポリマーラテックス結合剤の例には、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンブタジエンスチレン(SBS)、エチレン塩化ビニル(EVCl)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、変性ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、およびスチレンアクリレート(SA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
疎水性材料の組成
上で説明したように、疎水性材料は、プレ含浸またはプレコーティングによってプレ適用することができる。
【0046】
疎水性材料は、当該技術分野で知られている様々な方法のうちのいずれかによって、液体または固体材料(例えば、樹脂、湿潤分散粉末、乾燥粉末、または被膜)として繊維マットに適用することができる。例えば、疎水性仕上げ材料は、疎水性仕上げ材料をブラッシング、噴霧、ローリング、注入、浸漬、ふるい分け、またはオーバーレイすることによって適用することができる。粉末などの固体材料は、溶媒または分散剤が繊維マット材料と悪影響を及ぼさない限り、任意の一般的な溶媒(例えば、水、アルコールなど)または分散剤を使用して適用前に分散させることができる。繊維マットの表面繊維をエッチングし、それによって仕上げ材料がマットに付着する能力を高める溶剤を使用することもできる。好ましくは、使用される任意の溶剤または分散剤は、容易に乾燥され、仕上げが繊維マットに付着するのを妨げる残留物を残さない。液体または分散仕上げ材料は、繊維マットへの適用に好適な任意の粘度を有し得る。
【0047】
繊維マットの表面が不規則な表面であることを認識して、疎水性材料は、完全に連続的な仕上げを提供する必要はない。例えば、液体または粉末仕上げ組成物が使用される場合、仕上げ材料は、マットの繊維間の空隙内にあり、仕上げにギャップまたは穴を残す可能性がある。しかしながら、仕上げ材料は、好ましくは、連続的であり、望ましくは、第1の繊維マットの寸法と同一の広がりを有する仕上げを提供するのに十分な量で適用される。
【0048】
典型的な疎水性材料は、ポリマー(例えば、皮膜形成ポリマー)、シラン、シロキサン、フッ化物、または疎水性官能基を有する修飾ポリマーのうちのいずれか1つ以上である。疎水性材料は、典型的には、フライアッシュを有さない、および/または水硬性材料を有さない。
【0049】
皮膜形成ポリマー
皮膜形成ポリマーは、疎水性材料中のポリマーとして含まれ得る。皮膜形成ポリマーは、好ましくは、純粋なアクリル、ゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンアクリル、ビニルアクリル、またはアクリル化エチレン酢酸ビニルコポリマーから作製される。好ましくは、皮膜形成ポリマーは、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つのアクリルモノマーの重合に由来する。例えば、好ましくは乳化重合で用いられるモノマーには、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメチルアクリレート、アクリル酸2-エチルヘキシルおよびメタクリレート、シクロヘキシルアクリレートおよびメタクリレート、デシル-アクリレートおよびメタクリレート、イソデシルアクリレートおよびメタクリレート、ベンジルアクリレートおよびメタクリレート、他のアクリレート、メタクリレートおよびそれらのブレンド、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、酢酸よりも高いカルボン酸のビニルエステル、例えば、バーサティック酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド、ブタジエン、エチレン、塩化ビニルなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0050】
典型的には、皮膜形成ポリマーは、以下のうちの1つ以上を含む:アクリル系ポリマーおよびコポリマー、スチレンブタジエンゴムなどのゴム系ポリマーおよびコポリマー、スチレンおよびアクリルのコポリマー、酢酸ビニルおよびエチレンのコポリマー、塩化ビニルおよびエチレンのコポリマー、酢酸ビニルおよびVeoVa(バーサティック酸のビニルエステル)のコポリマー、ラウリン酸ビニルおよびエチレンのコポリマー、酢酸ビニル、エチレン、およびメタクリル酸メチルのターポリマー、酢酸ビニル、エチレン、およびラウリン酸ビニルのターポリマー、酢酸ビニル、エチレン、およびVeoVa(バーサティック酸のビニルエステル)のターポリマー、ならびにそれらの任意の組み合わせ。
【0051】
好ましくは、被膜形成ポリマーは、以下のうちの1つ以上を含む:アクリル系ポリマーおよびコポリマー、スチレンブタジエンゴムなどのゴム系ポリマーおよびコポリマー、スチレンおよびアクリルのコポリマー、酢酸ビニルおよびエチレンのコポリマー、塩化ビニルおよびエチレンのコポリマー、酢酸ビニルおよびVeoVaバーサティック酸のビニルエステル(Shell Chemical CompanyからVeoVaの商標で市販される)のコポリマー、ラウリン酸ビニルおよびエチレンのコポリマー、酢酸ビニル、エチレン、およびメタクリル酸メチルのターポリマー、酢酸ビニル、エチレン、およびラウリン酸ビニルのターポリマー、酢酸ビニル、エチレン、および分岐三級モノカルボン酸のビニルエステルのターポリマー(例えば、Shell Chemical CompanyからVeoVaの商標で市販されるバーサティック酸のビニルエステルまたはExxonMobil Chemical CompanyによってEXXARネオビニルエステルとして販売される)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ならびにそれらの任意の組み合わせ。
【0052】
一般的に使用されるモノマーは、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどである。好ましくは、モノマーは、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸メチル、スチレン、およびアクリル酸2-エチルヘキシルからなる群から選択される1つ以上のモノマーを含む。
【0053】
少なくとも1つの被膜形成ポリマーは、好ましくはアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つのアクリル系モノマーに由来する。例えば、少なくとも1つの被膜形成ポリマーは、アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチルコポリマーまたはアクリル酸2-エチルヘキシル/メタクリル酸メチルコポリマーであり得る。例えば、少なくとも1つのポリマーは、アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチルコポリマーまたはアクリル酸2-エチルヘキシル/メタクリル酸メチルコポリマーであり得る。典型的には、少なくとも1つのポリマーは、スチレン、アルファ-メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸ウレイド、酢酸ビニル、分岐三級モノカルボン酸のビニルエステル、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、エチレン、および1,3-ブタジエン、イソプレン、またはクロロプレンなどのC4~C8共役ジエンからなる群から選択される1つ以上のモノマーにさらに由来する。
【0054】
例えば、少なくとも1つの被膜形成ポリマーは、純粋なアクリル、スチレンアクリル、ビニルアクリル、またはアクリル化エチレン酢酸ビニルコポリマーであり得る。
【0055】
純粋なアクリルは、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリレートエステル、および/またはメタクリレートエステルを主なモノマーとして含む)。スチレンアクリルは、好ましくは、スチレンとアクリル酸、メタクリル酸、アクリレートエステル、および/またはメタクリレートエステルを主なモノマーとして含む。ビニルアクリルは、好ましくは、酢酸ビニルおよびアクリル酸、メタクリル酸、アクリレートエステル、および/またはメタクリレートエステルを主なモノマーとして含む。アクリル化エチレン酢酸ビニルコポリマーは、好ましくは、エチレン、酢酸ビニルとアクリル酸、メタクリル酸、アクリレートエステル、および/またはメタクリレートエステルを主なモノマーとして含む。モノマーはまた、当業者によって容易に理解されるように、アクリルアミドおよびアクリロニトリルなどの他の主要なモノマー、ならびにイタコン酸およびメタクリル酸ウレイドなどの1つ以上の機能性モノマーを含むことができる。特に好ましい実施形態では、被膜形成ポリマーは、アクリル酸ブチルおよびメタクリル酸メチルを含むモノマーに由来するアクリル酸ブチル/メタクリル酸メチルコポリマーなどの純粋なアクリルである。
【0056】
典型的な被膜形成ポリマーは、アクリル酸またはメタクリル酸の1つ以上のエステル、典型的には、例えば、約50/50重量の高Tgモノマー(例えば、メタクリル酸メチル)および低Tgモノマー(例えば、アクリル酸ブチル)の混合物で構成され、少量(例えば、約0.5重量%~約2重量%)のアクリル酸またはメタクリル酸を含む。ビニル-アクリル系ポリマーは、例えば、酢酸ビニルおよびアクリル酸ブチルならびに/またはアクリル酸2-エチルヘキシルおよび/またはバーサティック酸ビニルを含む。典型的なビニル-アクリル系ポリマーでは、形成されるポリマーの少なくとも50%が、酢酸ビニルで構成され、残りは、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルから選択される。スチレン/アクリル系ポリマーは、典型的にはアクリル系ポリマーに類似しており、そのメタクリレートモノマーの全部または一部がスチレンで置換されている。
【0057】
石膏コア
石膏タイルバッカーパネルの石膏コアは、主に硫酸カルシウム材料を任意の適切な添加剤と共に含む。
【0058】
本発明において有用な石膏パネルは、75重量%超の硫酸カルシウム材料、典型的には、少なくとも85重量%の硫酸カルシウム材料、より典型的には少なくとも95重量%の硫酸カルシウム材料を含む石膏コアを含む。概して、本発明において有用な石膏パネルは、75重量%超の硫酸カルシウム二水和物、典型的には少なくとも85重量%の硫酸カルシウム二水和物、より典型的には少なくとも90重量%の硫酸カルシウム二水和物、もっとも典型的には少なくとも95重量%の硫酸カルシウム二水和物を含む石膏コアを含む。
【0059】
典型的な石膏パネルコアは、乾燥(無水)ベースで90重量%を超える、より典型的には95重量%を超える硫酸カルシウム半水和物(スタッコ)を有する水性石膏スラリー混合物を硬化させることから製造される。
【0060】
好適な硫酸カルシウム材料は、水溶性硫酸カルシウム無水物、硫酸カルシウムアルファ半水和物、硫酸カルシウムベータ半水和物、天然、合成、または化学的に変性された硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム二水和物(「石膏」、「硬化石膏」または「水和石膏」)、およびそれらの混合物のうちのいずれか1つ以上を含む。本明細書で使用される際、「硫酸カルシウム」または「硫酸カルシウム材料」という用語は、上記で参照された硫酸カルシウムの形態のいずれかを指す。
【0061】
好ましくは、本発明の石膏ボードのコアは、10重量%未満の酸化マグネシウムを有する。より好ましくは、本発明の石膏ボードおよびセメントボードのセメント質コアは、5重量%未満の酸化マグネシウムを有する。最も好ましくは、本発明の石膏ボードおよびセメントボードのセメント質コアは、酸化マグネシウムを含まない。
【0062】
石膏コアは、紙またはガラス繊維を含むことができるが、好ましくは、紙および/またはガラス繊維を実質的に含まない(例えば、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、またはさらには、約0.05重量%未満の紙および/もしくはガラス繊維を含む、またはそのような繊維を含まない)。好ましくは、石膏コアはセルロースを含まない。
【0063】
タイルバッカーパネルを製造する方法
好ましくは、水性石膏スラリーは、乾燥(無水)ベースで10重量%未満の酸化マグネシウム、好ましくは乾燥(無水)ベースで5重量%未満の酸化マグネシウムを含み、最も好ましくは酸化マグネシウムを含まない。
【0064】
石膏パネルの石膏コアは、硬化石膏、すなわち、硫酸カルシウム半水和物および任意に硫酸カルシウム無水物を含む水性石膏スラリーを硬化させることから得られる硫酸カルシウム二水和物を含む。
【0065】
堆積される水性スラリーは水性石膏スラリーとして知られているが、堆積時に含まれる硫酸カルシウム材料の大部分、一般に少なくとも70重量%は、処理中に硬化して石膏(カルシウム二水和物)に変換される焼石膏(硫酸カルシウム半水和物)である。典型的には、水性石膏スラリーは、乾燥(無水)ベースで少なくとも75重量%の硫酸カルシウム材料、好ましくは乾燥(無水)ベースで少なくとも75重量%の硫酸カルシウム半水和物を含む水性石膏スラリーを提供するために、乾燥(無水)ベースで75~100重量%の反応性粉末を含む。
【0066】
典型的には、硫酸カルシウム材料および水が混合される場合、得られる水性石膏スラリーは、乾燥ベースの硫酸カルシウム半水和物で、少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも85重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%を有する。換言すれば、水性石膏スラリーは、硬化前の乾燥ベースの硫酸カルシウム半水和物で少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも85重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%である。
【0067】
本発明では、セメント質スラリーは、好ましくは、第1および第2の繊維マットに完全には浸透しない。好ましくは、セメント質スラリーは、各マットの厚さの30~60%、より好ましくは各マットの厚さの40~60%に浸透する。
【0068】
本発明の石膏タイルバッカーパネルの製造方法は、典型的には、プレコーティングされた底部フェーシング材料(フロントフェーシングになる)をコンベヤベルト上に、またはコンベヤベルト上に載っている形成テーブル上に配置することと、水性石膏スラリー排出物の下を通過するように、コンベヤベルトによって底部フェーシング材料を搬送することとを含む。次いで、この方法は、水性石膏スラリー(例えば、スタッコおよび水を含む混合物であり、ここでスタッコとは、典型的には主に硫酸カルシウム半水和物および任意に硫酸カルシウム無水物から構成される焼成石膏を指す)を、プレコーティングされた第1の不織マットフェーシング材上に堆積させ、湿ったスラリーを覆う。特に、水性スラリーは、典型的には、底部フェーシング材料上にスラリーを広げるミキサーの排出導管またはブーツを通して、ミキサーから排出される。本発明の石膏タイルバッカーパネルを調製する典型的な方法は、当該技術分野で既知である繊維質マット面セメント質板を作製するために使用される既存の石膏板製造ラインで実施することができる。水性石膏スラリーは、既知の方法に従って、繊維質マット面材料上に、および繊維質マット面セメント質パネルを調製するための既存の製造ライン上に堆積させることができる。簡潔には、本プロセスは、典型的に、繊維質マット材料をコンベヤ上、またはコンベヤ上に置く成形テーブル上に排出することを含み、次いで、ミキサーの排出導管の下に位置決めされる(例えば、当該技術分野で既知であるゲートキャニスタブーツ配置、または米国特許第6,494,609号および同第6,874,930号に記載されている配置)。セメント質スラリーの成分は、排出導管を備えるミキサーに供給され、そこで攪拌されて、セメント質スラリーを形成する。泡は、(例えば、米国特許第5,683,635号および同第6,494,609号に記載されるようなゲートにおいて)排出導管内に追加することができる。
【0069】
次に、移動する連続した上部フェーシング材料(リアフェーシングになる第2の不織マットフェーシング材料)が、別のコンベヤシステムを使用して、水性石膏スラリーおよび底部フェーシング材料の上に配置される。第2の不織マットフェーシング材料は、プレコーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。したがって、水性石膏スラリーは、タイルバッカーパネルプリフォームを形成するように2つのマットフェーシング材料の間に挟まれている。
【0070】
次いで、タイルバッカーパネルプレフォームは、タイルバッカーパネルを所望の厚さおよび幅に成形する形成ステーションを通過する。次いで、タイルバッカーパネルは、水性石膏スラリーが硬化させられるにつれて硬化し(例えば、硬化石膏と呼ばれる硫酸カルシウム二水和物のインターロッキングマトリックスを形成するように硬化する)、キルンでの最終乾燥前に固体物品を生成する。特に、それによって提供される湿ったセメント質アセンブリは、物品が所望の厚さにサイズ決定される形成ステーションに、および所望の長さに切断されて、セメント質板を提供する1つ以上のナイフ区分に運ばれる。繊維質マットに面した石膏パネルが硬化させられ、任意選択的に、乾燥プロセスを使用して(例えば、空気乾燥または繊維質マット面セメント質パネルを、窯を通して移送することによって)過剰な水を除去する。特に、石膏タイルバッカーパネルはベルトラインに沿って数分間移動し、その間に再水和反応が起こり、ボードが硬化する。次に、石膏タイルのバッカーパネルを所望の長さに切断し、乾燥のために大型の連続キルンに供給する。乾燥中、余分な水(自由水)は石膏コアから蒸発するが、化学的に結合した水は新しく形成された石膏結晶に保持される。
【0071】
上記のステップの各々、ならびにそのようなステップを実施するためのプロセスおよび装置は、当該技術分野で既知である。
【0072】
また、石膏タイルバッカーパネルなどのセメント質建築パネルの製造では、一次スラリーの堆積前に比較的高密度のスラリー層を第1のフェーシング材料上に堆積させ、堆積したスラリーから大きな空隙または空気ポケットを排除するために振動を使用することも一般的である。また、当技術分野で既知のハードエッジが時々使用される。これらのステップまたは要素(高密度のスラリー層、振動、および/またはハードエッジ)は、任意選択的に、本発明と組み合わせて使用することができる。
【0073】
したがって、任意に、コアと表マットとの間、および任意にコアと裏マットとの間に高密度の石膏層を適用することができる。例えば、スタッコおよび水はメインミキサーに挿入され、フォームは下流の排出導管に挿入され、これは、フォームがメインミキサー本体に挿入されないことを意味する。メインミキサーは、必要に応じて、ピンミキサーまたはピンレスミキサーであることができる。本質的に泡のないスラリーの一部は、濃縮層スラリーを形成するために排出導管とは概して反対側の出口ポートから、ミキサーから逸らされる。メインミキサーは、加圧スラリーラインを通って流れる高密度スラリーのためのより小さな排出ポートから、発泡していないスラリーを駆動するためのポンプとして作用する。湿潤形式の添加材は、噴射ポートを通じて加圧スラリーライン内へ噴射される。ラインは、スラリーおよび添加剤を均一に混合できるように、当業者のレベルの範囲内であるのに十分な長さであることが望ましい。スタッコまたは水を別々に導入する必要はない。必要に応じて、2つのミキサーを使用することができ、第2のミキサーは、コアと一方または両方のマットとの間に配置される、例えば、フォームがより少ないまたはまったくない、高密度層(スキムコートまたはスキム層)を別々に配合するためのものである。
【0074】
繊維質マット面セメント質石膏パネルにさらなる耐水性を提供することが所望される場合、繊維質マット面セメント質パネルを作製する方法は、(a)水中に約4重量%~約8重量%のシロキサンを含む水性シロキサン分散液を調製することと、(b)シロキサン分散液をセメント質混合物と組み合わせて、表面または他のタイプの基材上に堆積されるセメント質スラリーを提供し、続いて硬化させ、それによって繊維質マット面セメント質パネルを提供することと、をさらに含んでもよい。
【0075】
図6は、2つの不織ガラス繊維カバーシートの間に石膏層を有する本発明の層状タイルバッカーパネルを製造する製造生産ラインのウェットエンド80(上流部分)の一例を示す。
【0076】
ウェットエンド80は、石膏スラリー混合と分配アセンブリ82と、形成ステーション86とを含む。第1のコーティングされた不織ガラス繊維カバーシート材料の第1の移動するウェブ90(すなわち、予め適用されたポリマーコーティングおよび疎水性材料を有する上記のフロントフェーシング5のための材料)は、形成テーブル92に沿って移動の長手方向「T」に移動する。石膏コアスラリー94は、スラリーの添加および任意選択の発泡が起こる、石膏スラリー混合および分配アセンブリ82において混合される。石膏スラリー混合および分配アセンブリ82は、ウェットエンド80の単一の構成要素として示されているが、石膏スラリー混合および分配アセンブリ82を含む複数の構成要素が存在することができる。
【0077】
第1の石膏スキム層スラリー70を第1のカバーシート材料90に適用して、第1のコーティングされた不織ガラス繊維カバーシート材料90上に石膏スキム層を形成し、石膏コアスラリー94を堆積させる前に第1の石膏スキムコートローラー72の下を通過させ得る。石膏スキム層は、発泡石膏スラリーであり得る石膏コアスラリーよりも比較的高密度である。したがって、タイルバッカーパネルの石膏コア層用の石膏コアスラリー94は、適用される場合、第1の移動ウェブ90(例えば、石膏コアを形成するため)または石膏スキム層スラリー70のいずれかに堆積される。
【0078】
不織ガラス繊維カバーシート材料の第2の移動するウェブ96(すなわち、予め塗布されたポリマーコーティングおよび疎水性仕上げでコーティングされていないまたはコーティングされ得る上述のリアフェーシング6のための材料)が、石膏スラリー94に適用されるか、または以下に説明するように存在するならば第2のスキム層スラリー76に適用され、形成ステーション86を通過させられて、所望の合計厚さ(例えば、約0.25インチ~約1.0インチの厚さ、好ましくは0.25インチ~約0.625インチの厚さ)に層を圧縮する。得られる構造は、タイルバッカーパネルプリフォーム98である。
【0079】
典型的には、適用された移動ウェブ96の外面は、追加の層と接触しない。
【0080】
追加の構成要素は、製造ラインのウェットエンド80に含めることができる。例えば、第2のスキム層を形成するための焼石膏スラリー76は、堆積された石膏コアスラリー94の層に塗布され、次いで第2の石膏スキムコートローラー74の下を通過し得る。第1および第2の石膏スキム層は、典型的には、石膏コア層よりも薄く、密度が高い。典型的には、石膏コア層のための焼き石膏(硫酸カルシウム半水和物)スラリーは、第1のスキム層のスラリー70よりも密度が低く、かつ第2のスキム層のスラリー76よりも密度が低くなるように発泡させられる。したがって、所望ならば、焼石膏コアスラリー流94は、第1のコーティングされた不織ガラス繊維カバーシート材料90へ堆積する前に、例えば焼石膏コアスラリー流94をフォームおよび/または空気と混合する前のデバイス(図示せず)を通過し得る。典型的には、石膏スキム層70、76のためのスラリー流は、同じ組成および密度を有する。しかしながら、所望ならば、石膏スキム層70、76のためのスラリー流は、異なる組成および/または密度を有することができる。
図6は、同じ焼成石膏スラリー混合および分配アセンブリ82から生じる両方の石膏スラリー70、76、94を示す。しかしながら、焼成石膏スラリー70、76、94は、異なる密度などの異なる特性を有するために、異なる混合および分配アセンブリから得ることができる。
【0081】
第1の石膏スキムコートローラー72、第2の石膏スキムコートローラー74、形成テーブル92、形成ステーション86はすべて、当技術分野で知られているように、それらの意図する目的に適した従来の機器を含むことができる。ウェットエンド80には、当該技術分野において知られているような他の従来の機器を装備することができる。
【0082】
石膏スラリー70、76、94中の焼き石膏は、水と反応し、コンベヤがタイルバッカーパネルプレフォーム98を製造ラインに沿って移動させるにつれて硬化する。タイルバッカーパネルプレフォーム98は乾燥され、タイルバッカーパネルプレフォーム98が十分に硬化したラインに沿った点において所定の寸法のセグメントに切断される。セグメントを、裏返し、乾燥させて(例えば、窯で)余分な水を追い出し、処理して、所望の寸法の最終的な層状ウォールボードを提供することができる。
【0083】
硬化した石膏コアスラリー70、76、94から得られる石膏層(コアおよびスキム層を含む)は、一般に、0.25インチ~1.5インチの厚さおよび15~55ポンド/立方フィートの全体密度を有する。発泡した場合、硬化した発泡石膏スラリーから得られる石膏コア層は、30~90体積パーセントの総ボイド体積、好ましくは45~80体積パーセントのボイド体積を有する。石膏スラリー70、76の硬化から生じる第1のスキム層および第2のスキム層(存在する場合)は、30体積パーセント未満、好ましくは10体積%未満の全ボイド体積を有する。
【0084】
システム
本発明による製品は、製品の強度または柔軟性を損なうことなく、耐水性および/または水バリア特性を達成する。したがって、本発明の製品は、硬くなりすぎたり、脆くなりすぎたりせず、むしろ、コーティングされたガラスマット耐水性石膏バッキングパネル1.1のためのC1178/C1178M-18標準仕様にしたがって、くぎ引き抵抗、曲げ強さ、コア硬さ、端部およびエッジの硬さ、表面の吸水量、および/または湿潤偏位などの所望の機械的特性を達成する。さらに、本発明のパネルの剪断接着強度(例えば、硬化セメントモルタルまたは有機接着剤を使用して接着した場合)は、ASTM C1325規格に従ってテストした場合、約50psiを超える。この特性は、薄い硬化セメントモルタルまたは有機接着剤を使用してセラミックタイルおよび石を接着するための基材として使用できるいくつかの実施形態において有用である。
【0085】
本発明によるバッカーパネルは、多くの内外用途、特に耐水性、特に防水性が有益である場合に使用することができる。例えば、タイルバッカーパネルは、建物または他の構造物の湿った場所および乾燥した場所にセラミックタイルおよび天然石を取り付けるのに有用であり得る。タイルバッカーパネルの用途の非限定的な例は、シャワー室、バックスプラッシュ、カウンタートップ、床などを含む、キッチンおよびバスルームなどの、建物または他の構造物の濡れた領域を含む。別の態様では、本開示は、本発明に従って作製された少なくとも1つのタイルバッカーパネルが取り付けられた骨組みを含むシステムを対象とする。特に、本発明の建物のタイルバッカーパネルシステムは、複数のタイルバッカーパネルが取り付けられた骨組みを含み、リアマットは骨組みに面している。
【0086】
本明細書に記載の一体化パネルのいずれも、リアマットが壁スタッドまたは天井梁に面するように、ファスナ(例えば、ねじ、釘)を介して1つ以上の壁スタッドに接着されるタイルバッカーパネルを含むシステムの一部であることができる。
【0087】
2つの隣接するパネルは、耐水特性を有する好適な接合テープおよび接合化合物を使用して継ぎ目において接合される。好ましい接合化合物は薄い硬化モルタルである。
【0088】
図7は、タイルバッカーパネル壁システムにおいて使用され得るタイルバッカーパネルシステム20の斜視図である。
図7は、金属スタッド壁の片側に取り付けられた本発明のタイルバッカーパネル2を示し、タイルバッカーパネルは石膏パネル(例えば、
図2のパネル)を含む。
図7は、複数の金属スタッド24、上部トラック26、下部トラック28を含む、金属スタッド壁「骨格」22を示す。タイルバッカーパネル2は、壁を閉鎖し、壁表面を形成するために、あらゆる既知の方法で金属スタッド24の片側または両側に固定され得る。この金属スタッド壁「骨格」システムは、他の金属フレームが使用され得るので、単に例示として提供されている。または、木枠が用いられてもよい。
【0089】
システムでは、石膏タイルバッカーパネルは、典型的に、ねじ、釘、または接着剤のうちのいずれか1つ以上によって骨組みに取り付けられる。また、システムでは、石膏タイルバッカーパネルは、典型的に、ねじまたは釘によって作製された穿孔を除いて、穿孔を有さない。
【0090】
発明の条項
下記の条項は、本発明の様々な態様を定義する。
【0091】
条項1.石膏ガラスマットタイルバッカーパネルであって、
前面および後面を有する石膏コア層であって、石膏コア層が0.25~1.25インチ、好ましくは0.25~0.625インチの厚さを有し、石膏コア層が少なくとも75重量%の硫酸カルシウム材料を含む、石膏コア層と、
対向する第1および第2の面を有する第1の不織繊維マットであって、第2の面が石膏コアに面しており、第1の不織繊維マットの第2の面が石膏コア層の前面に取り付けられており、
ここで、第1の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つ、および疎水性結合剤を含み、疎水性結合剤は、第1のポリマー、任意に無機フィラー、および任意に第2のポリマー結合剤を含み、
堆積されたとき、マットは、被覆ガラスマット耐水性石膏バッキングパネル1.1のASTM C1178/C1178M-18標準仕様に従って、0.5グラム未満、好ましくは0.1グラム未満の表面吸水量を有する、第1の不織繊維マットと、
第2の不織繊維マットであって、第2の不織繊維マットは石膏コア層の後面に後部カバーシートとして取り付けられ、第2の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、第2の不織繊維マットと、を備え、
ここで、第1および第2の不織繊維マットは、紙繊維およびセルロース繊維を含まない、石膏ガラスマットタイルバッカーパネル。
【0092】
条項2.(ポリマーおよびフィラーの)疎水性仕上げは、第1の不織繊維マット繊維および結合剤の重量の5~80%(したがって、コーティングを含まないマットの重量に基づく)であり、より好ましくは、重量の10~70%、典型的には重量の40~70%または15~40%、例えば、重量の25~40%である、条項1に記載のパネル。
【0093】
条項3.各マットへのスラリーの浸透が、それぞれのマット厚さの30~60%の範囲である、条項1に記載のパネル。
【0094】
条項4.各マットへのスラリーの浸透が、それぞれのマット厚さの40~60%の範囲である、条項1に記載のパネル。
【0095】
条項5.セメント質コアが、少なくとも85重量%の硫酸カルシウム二水和物、より典型的には少なくとも95重量%の硫酸カルシウム二水和物を含むセメント質材料を含む石膏パネルコア層を含む、条項1~4のいずれか一項に記載のパネル。
【0096】
条項6.疎水性材料が、例えば、膜形成ポリマー、シラン、シロキサン、フッ化物、または疎水性官能基を有するポリマーを含む、
ここで、少なくとも1つの皮膜形成ポリマーは、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つのアクリルモノマーから誘導され、好ましくは、少なくとも1つの皮膜形成ポリマーは、アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル共重合体またはアクリル酸2-エチルヘキシル/メタクリル酸メチル共重合体ウレイドメタクリレート、スチレン、アルファ-メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、分岐三級モノカルボン酸のビニルエステル、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、エチレン、および1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのC4~C8共役ジエンから選択される、条項1に記載のパネル。
【0097】
条項7.条項1~6のいずれか一項に記載のパネルを作製する方法であって、
第1の不織繊維マットを表マットとして移動表面上に堆積させることであって、堆積されると、第1の不織繊維マットは対向する第1および第2の面を有し、第1の面は移動表面とは反対側を向き、
堆積されると、第1の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選択される不織繊維の基材と、第1の不織繊維マット上にプレ含浸またはプレコーティングされた疎水性材料とを含み、
堆積されたとき、第1の不織繊維マットは、被覆ガラスマット耐水性石膏バッキングパネル1.1のASTM C1178/C1178M-18標準仕様に従って、0.5グラム未満、好ましくは0.1グラム未満の表面吸水量を有する、堆積させることと、
少なくとも水および硫酸カルシウム材料を混合して、乾燥(無水)ベースで少なくとも75重量%の硫酸カルシウム材料を含む水性石膏スラリーを調製することであって、当該硫酸カルシウム材料は硫酸カルシウム半水和物を含む、調製することと、
石膏コア層を形成するように水性石膏スラリーを第1の不織繊維マットの第2の面に接着関係で適用することであって、石膏コア層は表面および裏面を有し、石膏コア層の表面は表マットに面する、適用することと、
ボードプリフォームを形成するために、石膏コア層の後面に裏マットとして第2の不織繊維マットを適用することであって、それによって、表マットと裏マットとの間に水性スラリーを配置し、第2の不織繊維マットは、ポリマー繊維、ガラス繊維、鉱物繊維、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、適用することと、
表マットと裏マットとの間にある水性石膏スラリーを硬化させることであって、それによって石膏タイルバッカーパネルを形成する、硬化させることと、を含み、
ここで、第1および第2の不織繊維マットは、紙繊維およびセルロース繊維を含まない、パネルを作製する方法。
【0098】
条項8.最終製品に疎水性仕上げを付与するのに十分な量の疎水性材料を充填または含浸させることにより、表マットをプレ含浸させる、条項7に記載の方法。
【0099】
条項9.予め含浸された材料が、疎水性材料の均一な分布、または表マットの一方の表面から表マットの反対側の表面への疎水性材料の勾配である微細構造を有する、条項7に記載の方法。
【0100】
条項10.表マットが、膜形成ポリマー、シラン、シロキサン、フッ化物、または疎水性官能基を有するポリマーのうちの少なくとも1つから選択される疎水性材料でプレコーティングされる、条項7に記載の方法。
【0101】
条項11.表マットが、シラン、シロキサン、およびフッ化物のうちの少なくとも1つから選択される疎水性材料でプレコーティングされる、条項7に記載の方法。
【0102】
条項12.硫酸カルシウム材料および水が混合されて、乾燥ベースで少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも85重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%の硫酸カルシウム半水和物を有する水性石膏スラリーが得られ、硫酸カルシウム半水和物を硬化石膏コアの硫酸カルシウム二水和物に変換する乾燥および再水和により過剰な水が石膏スラリーから除去される、条項7に記載の方法。
【0103】
条項13.表マットがロールから移動面に移動する間に、疎水性材料が表マットに塗布される、条項7に記載の方法。
【0104】
条項14.疎水性材料が、ロール上の表マット上に予め塗布され、表マットがロールから移動面に移動する、請求項7に記載の方法。
【0105】
条項15.建築物のタイルバッカーパネルシステムであって、条項1~6のいずれか一項に記載の複数のタイルバッカーパネル、または条項7~14のいずれか一項に従って作製された複数のタイルバッカーパネルが取り付けられた骨組みを備え、リアマットが骨組みに面し、タイルバッカーパネルがシステムの外部にある、タイルバッカーパネルシステム。
【実施例】
【0106】
表1は、耐水性についてテストされたOCマットと標準のAtlasマットのボード配合の比較を示す。マットは、それぞれのプレコートおよび非プレコートマットをそれぞれの石膏コアに適用することによって作製された。
【表1】
【0107】
耐水性OC VL3580プレコートマットは、次の範囲(重量%)の製品組成を有するコーティング済みマットである。
連続長繊維ガラス繊維 ベースマットの15~35%
微量の石英鉱物フィラーを含む炭酸カルシウム マットコーティングの成分として45~75%
硬化アクリルポリマー2~10%コーティング
硬化尿素ホルムアルデヒド樹脂2~10%均一に分散したガラス繊維結合剤
【0108】
比較のプレコートガラスマットは、(重量%で)以下の範囲の製品組成を有する:
連続フィラメントガラス繊維5~7%
石灰岩鉱物フィラー75~85%
スチレンブタジエンゴム(SBR)ポリマー3~6%
硬化アクリルポリマー4~7%
追加のポリマー3~6%
【0109】
この例では、24インチの水頭がUSGガラスマットシースボードの3つの試験片に適用された。5分後、3つの試験片の水位が0.20インチ、0.60インチ、および0.75インチ低下した。2時間後、水位の低下はそれぞれ7.25インチ、12インチ、および12.50インチであった。6時間後、水位の低下はそれぞれ14.25インチ、19.50インチ、および20インチであった。24時間後、水位の低下はそれぞれ21.50インチ、24インチ、および24インチであった(24インチの水位低下は、ボードからすべての水が漏れたことを意味する)。48時間後には、それぞれ23インチ、24インチ、および24インチの水位低下が見られた。
【0110】
この例では、24インチの水頭が、OC VL3580コーティングマットを使用したUSGトライアルボードにも適用された。48時間後、水漏れはなかった(テスト中、水位は一定に保たれた)。これは、疎水性仕上げの利点を示している。
【0111】
本明細書に引用されるすべての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個々にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0112】
本発明を記載する文脈において(特に、下記の請求項の文脈において)、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」という用語、ならびに同様の指示語の使用は、本明細書で別途記載のない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するように解釈されるものである。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」という用語は、特に明記しない限り、オープンエンドな用語(すなわち、「限定されるものではないが、含む(including, but not limited to)」を意味する)として解釈されるものである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、その範囲内にある各個別の値を個々に参照する簡単な方法として役立つことを単に意図し、各個別の値は、あたかも本明細書に個々に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で別途記載のない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書に提供される、いずれのおよび全ての例および例示的な用語(例えば、「など」)の使用は、本発明の理解をより容易にすることを単に意図し、請求項に別途記載されない限り、本発明の範囲に制限を課さない。本明細書における用語は、特許請求されていない要素を本発明の実施にとって不可欠であるとして示すものと解釈されるべきではない。
【0113】
特に明記しない限り、すべてのパーセンテージと比率は重量ベースである。本明細書で使用される場合、ポリマーまたはその任意の部分に関する「分子量」は、ポリマーまたは部分の重量平均分子量(「Mw」)を意味する。
【0114】
本発明は、上記の説明によって限定されるべきではなく、ここに修正された特許請求の範囲によって限定されるべきである。
【国際調査報告】